河原 テントの中
パワポケ「広い銀河の地球の星にピンチになったら現れる!イキでクールなナイスガイ!」
パワポケ「レッド参上!!」
パワポケ「……ふう。やはりこの姿は落ち着く」
カンタ「……」
元スレ
パワポケ「たまには元の姿に戻らないとな。……変身ッ!!」
http://engawa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1324472884/
カンタ「……おじちゃん。なにやってるの?」
パワポケ「ひっ」ビクッ
パワポケ「カ、カンタ君!?」
パワポケ「ち、ちがうんだ!この姿は……」
カンタ「……いい年した大人が恥ずかしくないの?」
パワポケ「え?」
カンタ「しかもおじちゃんって働いてないんでしょ?」
パワポケ「それは、そうだけど……」
カンタ「おじちゃんはヒーローオタクでやんす~!」タタタタッ
パワポケ「待ってくれ!カンタ君!」
パワポケ「……行っちゃった」
パワポケ「俺の正体がばれたか……?」
パワポケ「いや、変身した瞬間は見られていないはずだ」
パワポケ「……ヒーローオタクか。まあ、その程度の勘違いはされても問題はないか」
パワポケ「……」
パワポケ「……今日はもう寝よう」グスッ
翌日 レストラン裏口
パワポケ「今日は不作だなあ」ガサゴソ
夏菜「ん?」ガチャ
パワポケ「あ、霧生さん。良かったら残飯分けてくれない?」
夏菜「ヒーローオタク!店のゴミを漁るなって言ってるだろ!」
パワポケ「ごめん、ごめ……え?」
パワポケ「あの、霧生さんっていつもは俺のこと、おっさんとかパワポケさんって呼んで」
夏菜「ハァー……ったく」
夏菜「リストラにでもされた可哀想な人だと思ってたのに」
夏菜「みんなが必死で働いてる時間にヒーローごっこかよ」
夏菜「ただのクズじゃねえか。こんな奴の心配して損したぜ」
夏菜「二度と店に来んなよ。通報するぞ!」
パワポケ「あ、あの」バタン
パワポケ「……」
パワポケ「……霧生さんもあの時近くにいたのか」
パワポケ「仕方ない、別の場所に行こう」グキュルルルー
パワポケ「……」グスッ
商店街
パワポケ「お腹空いたなあ……あ、コロッケの君」
貴子「あ。……あなたはこの間の」
パワポケ「あの時はコロッケありがとう。おかげで餓死しないですんだよ」
貴子「そうですか。よかったですね」
パワポケ「そういえば恩人の名前も聞いてなかったな。よかったら教えてくれないか?」
貴子「気にしないでください。それに、あなたに私の名前を名乗りたくないですし」
パワポケ「え?」
貴子「ブラブラしてるだけじゃなく、明るいうちからヒーローごっこしてるんですね」
貴子「お父さんは一人でも一生懸命お店を切り盛りしてるのに……」
貴子「こんな人のことを少しでも気遣った私が馬鹿みたい」
貴子「では、私はこれで。もう道で見かけても話しかけないでください」スタスタ
パワポケ「あ……」
パワポケ「……あの子もあの時近くにいたのか」
パワポケ「まあ、特に親しかったわけでもないし。不信の目で見られることには慣れてるさ」
パワポケ「……コロッケありがとう」
パワポケ「……」
パワポケ「行こう……」トボトボ
倉庫
団員「あいうえおいうえおあうえおあいえおあいうおあいうえ!!」
パワポケ「ここで練習してるみたいだな」
パワポケ「チラシくれた子はいるかな?」キョロキョロ
パワポケ「あ。あの~すみません」
ちよ「あ、あの時チラシをもらっていった人!」
パワポケ「ちょっと興味があったからね」
ちよ「……帰ってくれませんか?」
パワポケ「え?」
ちよ「私たちは劇団アタッテ砕けろとして、まじめに活動してるんです」
ちよ「演劇を舐めてる人にウロチョロされると迷惑なんです」
パワポケ「別に俺は舐めてんか……」
ちよ「ヒーローごっこが好きだから演劇も出来るって?はっ!」
ちよ「演劇を馬鹿にするな!あんたみたいな勘違いしたヒーローオタクが、私は一番嫌いなんだ!」
ちよ「帰れ!!」
パワポケ「……はい」
パワポケ「……噂になってるのか?」
パワポケ「……」グスッ
パワポケ「そうだ維織さんのところに行こう」
パワポケ「准だって、何だかんだいって俺のこと心配してくれてるし」
パワポケ「喫茶店に行ってお腹も心も癒されよう……」トボトボ
喫茶店
カランコロン
准「お帰り下さいませ、ご主人様♥」
パワポケ「客を追い出そうとするな!まったく」
パワポケ「やあ、維織さん。今日は何読んでるの?」
維織「……………………」
パワポケ「本に集中してるか。維織さんらしいや」グゥ~
パワポケ「あ」
維織「……………………」チラッ
パワポケ「はは……」
維織「……………………邪魔」
パワポケ「え」
維織「ヒーローオタクに用はない」スッ
維織「……………………」
パワポケ「……」
維織「……………………聞こえなかった?」チラッ
パワポケ「……いや」
維織「そう」スッ
パワポケ「……この間はサンドイッチありがとう」
維織「……………………気にしないで」パラッ
維織「そのかわり、二度とこの店には来ないで欲しい」
維織「その方が私は嬉しい」
パワポケ「……ああ、わかったよ」
維織「……………………」
パワポケ「……」
パワポケ「……准も、またな」
准「気安く私の名前を呼ばないで下さい、ご主人様♥」
パワポケ「……ごめんなさい」
パワポケ「……じゃあな」カランコロン
准「けっ、クズ野郎が」ペッ
パワポケ「うううう」
パワポケ「なんでだ!?昨日の今日で噂が広がり過ぎだろ!」ポロポロ
パワポケ「はっ」ピタッ
パワポケ「……もしかして、噂を広めているのはカンタ君か?」
パワポケ「カシミールに行こう!」タタタッ
カシミール
カランコロン
パワポケ「カンタ君!」
カンタ「うげ……ヒーローオタクだ……」
パワポケ「……君が、俺がヒーローオタクだって町のみんなに言いふらしたのか?」
カンタ「そうでやんす」
パワポケ「……君の、君のせいで……俺は……!」グッ
カンタ「人のせいにするな!!」ドンッ
パワポケ「ひっ」ビクゥ
カンタ「おいらは嘘なんか言っていないでやんす!昨日のおじちゃんの奇行は事実でやんす!」
カンタ「おじちゃんは大人として恥ずかしくないんでやんすか!?」
パワポケ「うぐっ。そ、それは」
カンタ「おいら達は命がけでジャジメントスーパーと戦ってるんでやんす!」
カンタ「おじちゃんみたいな駄目人間は、おいら達の町にはいらないでやんす!」
パワポケ「うう……」ポロポロ
奈津姫「カンタ!店では静かにし……ヒーローオタク!?」
奈津姫「カンタ!!そいつから離れて!」バッ
パワポケ「カ、カンタ君のおかあさ」
奈津姫「今すぐ店から出て行きなさい!この変質者!」
パワポケ「あの、でも、俺は悪いことなんて何も」
奈津姫「うるさい!」ピポパ
奈津姫「もしもし!警察ですか!?今店に変質者が!場所は」
パワポケ「失礼しましたー!!」カランコロン バタン ダダダダ
パワポケ「俺が……俺が何をしたっていうんだ……」ポロポロ
権田「キャプテン……いや、パワポケ」
パワポケ「!」グシグシ
パワポケ「……権田。何の用だ」
権田「お前はもうビクトリーズの練習には来るな」
パワポケ「!……お、お前もなのか……」
権田「……ビクトリーズの、いや、商店街みんなの総意だ」
木川「そうだそうだ!」
並木「ヒーローオタクがいると、町の治安が乱れるであります!」
青島「あんたはこの町にいていい人間じゃない」
パワポケ「ぐっ……!」
寺門「だいたいお前は態度がでかくて気にいらなかったんだよ!」
水間「お前みたいな変態は見たことがない!」
電視「今度准さんに近付いてみろ!神の裁きを食らわせてやるからな!」
ピエロ「二度と来んな~!」
カニ怪人「死んじまえ!」
白「これでめでたしめでたしである」
城田「ほっほっほ」
ムシャ「……」
パワポケ「うわあああああー!!」ダダダダ
トボトボ
パワポケ「……いいんだ。ジャジメントは止めたし」
パワポケ「あとはこの町の人間だけでどうにかすべきだ」
パワポケ「そうさ。もとから椿の計画を阻止したら町を離れるつもりだったじゃないか」
パワポケ「……いいんだこれで」ポロポロ
さすらいの不審者編 終
おまけ
武美「おーい、パワポケさーん!」タタタッ
パワポケ「た、武美!?来るな!来ないでくれぇ!!」
パワポケ「お前にまで嫌われたら……俺はもう立ち直れない!」ダダダダ
武美「ちょ、こら!逃げるな!」タタタタ
パワポケ「やめろおおお!俺はお前との思い出だけは汚したくないんだあああ!!」ダダダダ
武美「待ってって言ってるでしょ!あたしを置いていく気なの!?」タタタタ
パワポケ「…………え?」ピタッ
武美「ハーハー……、やっと捕まえた」キュッ
パワポケ「お、お前は……俺を嫌わないのか?」
武美「なんで命の恩人を嫌いになるのよ!というか、あたしはパワポケさんの彼女でしょ!?」
パワポケ「でも、俺は……ヒーローに変身して……」
武美「別にいいじゃない。それくらいで嫌いにならないって」
パワポケ「でも、商店街のみんなは」
武美「あれはみんなが悪いよ」
パワポケ「そうなのか……?」
武美「まあ、パワポケさんにもちょびっとだけ非があると思うけどね」
武美「元からギリギリアウトだったし」
パワポケ「そ、そうか……。そうだよな。……アウトか」
武美「それにあたしアンドロイドだよ?」
武美「そっちの方がヒーローオタクよりアウトでしょ」
パワポケ「そういえばそうか」
武美「いや、ちょっとは否定して欲しいんだけど……」
武美「それにさ」
武美「パワポケさんはごっこじゃない、本物のヒーローの様な気がするんだ」
パワポケ「……俺は、ヒーローなんかじゃないよ」
武美「でも、普通の人間じゃないんでしょ?」
パワポケ「ああ」
武美「なら、普通じゃない者同士仲良くしようじゃないの!」
パワポケ「……ああ、そうだな!」
パワポケ「さて、旅の連れができた所で……次はどっちの方角に行こうかな」
武美「東!」
パワポケ「どうして?」
武美「日が昇る方向だから!」タタタタ
パワポケ「ああ、なるほど……」スタスタ
タタタタ ガッ
武美「あっ」ドテッ
ドガァアアアアアアアアアアン
パワポケ「武美いいいいいい!?」
おまけ 終
おまけ
カシミール
パワポケ「うわあああああああああああ!!!!!」ガバッ
武美「ひっ」ビクッ
武美「な、何?」
パワポケ「た、武美……?」
パワポケ「武美いいいいいい!!」ダキッ
武美「ちょ!?やだ、何!?ちょっと!…………パワポケさん?」
パワポケ「うう……うううううううう」ポロポロ
武美「……もう。何が何だか……」ナデナデ
武美「なっちゃん、ごめんね」
奈津姫「いいわよ。他のお客さんもいないことだし」
奈津姫「……でも、パワポケさんも泣くことがあるんですね」クスッ
パワポケ「っ!な、奈津姫さん!?」
カンタ「おじちゃん、怖い夢でも見てたでやんすか?」
パワポケ「カンタ君!?…………夢?……夢だった……のか?」
パワポケ「よ、良かったあー」ハァー
カンタ「どんな夢だったんでやんす?」
パワポケ「え?あ、……その、商店街のみんなから嫌われて……ここから逃げ出す夢を……」
カンタ「何言ってるでやんす!おじちゃんはこの町のヒーローでやんす!」
パワポケ「ヒーロー……この俺が……」
カンタ「そうでやんす!おじちゃんをイジメる奴がいたら、おいらがやっつけてやるでやんす!」
カンタ「だから、いなくなっちゃ駄目でやんす!」
パワポケ「カンタくーん……!」ポロポロ
奈津姫「あらあら」クスクス
武美「……あー、パワポケさん?」
パワポケ「あ、すまなかったな取り乱して。なんだ?」
武美「抱きつくの止めてもらえると嬉しいんですが。……なっちゃんとカンタ君見てるし」
パワポケ「わ、悪い!」バッ
カンタ「うーん。おじちゃんはまだまだ子どもでやんすねえ。おいらの方が大人でやんす」
パワポケ「ううう」カアァ~
武美「それじゃあ、そろそろ行こうか。なっちゃん、ごちそうさま」
パワポケ「あ、ごちそうさま」
奈津姫「ありがとうございました」
カンタ「また来るでやんす~」カランコロン バタン
パワポケ「さてと。今日は店を開くんだろ?」
武美「……」
パワポケ「武美?」
武美「……パワポケさん」
武美「いなくなっちゃ嫌だよ?」
パワポケ「……」
パワポケ「ああ」
パワポケ「当り前だ」
パワポケ「俺は武美も、この町のみんなも、大好きなんだから!」
おまけ 終