ほむら「……ついに、やったわ」
QB「まさか、誰一人欠けることなくあのワルプルギスの夜を打倒するなんてね……恐れいったよ、暁美ほむら」
ほむら「私たちの勝ちよ、インキュベーター」
QB「ふん、別に構わないさ。ワルプルギスを倒したからといって、君たち五人が魔法少女じゃなくなるわけじゃない」
ほむら「……」
QB「じっくり待たせてもらうさ。君たちが魔女と化すその日をね」
ほむら「勝手に待てばいいわ。……私にはもう、絶望する理由なんてないのだから」
元スレ
教師「次の問題を、暁美」ほむら「……わかりません」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1312904207/
翌日
ほむら(……そう、絶望なんてするわけがない)
ほむら(魔法少女は全員健在。美樹さやかと上条恭介、志筑仁美の関係も良好。巴マミは魔女化の真実を発狂することなく受け入れた)
ほむら(魔法少女のままだから、魔女退治を続ける必要はあるけれど……)
ほむら(それでも、ワルプルギスを倒した私たちなら、いまさら普通の魔女に負けるなんてことはないでしょう)
ほむら(ふふ、ついに夢にまで見た、まどかとの学園生活が……)
教師「さて、次の問題を……暁美、暁美ほむら」
ほむら「あっ、はい」
教師「問3だ」
ほむら「はい。ええと…………?」
教師「暁美?」
ほむら「…………すみません、わかりません」
教師「……暁美が答えられないなんて珍しいな。よろしい、では……美樹さやか」
さやか「げえっ!」
教師「こら、げえっとはなんだ。早く答えなさい」
さやか「うう、ほむらに答えられないものがあたしにできるわけないじゃん……えっと、6?」
教師「うむ、正解だ」
さやか「おお、ラッキー!」
ほむら「……!」
昼休み
ほむら「……はあ」
まどか「ほむらちゃん、元気ないね。どうかしたの?」
ほむら「まどか……いえ、なんでもないわ」
さやか「まさか、さっきの授業のこと気にしてんの?」
ほむら「……別に」
さやか「あんなの気にすることないって! 頭いいほむらだって、たまには調子が悪い時もあるでしょ」
ほむら「……美樹、さやか」
まどか「そうそう、さやかちゃんだってたまには調子いいこともあるしね!」
さやか「あはは、こいつめー! ま、そういうわけだからさ、お昼でも食べて気分転換といこうよ」
ほむら「あら、あなたは上条恭介と一緒に食べるんじゃないの?」
さやか「うっ……きょ、今日は仁美に譲ってあげようかなーって」
ほむら「ヘタレね」
まどか「ヘタレだねえ」
さやか「う、うるさいなー! いいから食べるよ、ほら早く!」
数か月後
ほむら(……どう、しよう)
まどか「ほむらちゃーん! テストどうだったー?」
ほむら「ま、まどか……」
まどか「私、ちょっと失敗しちゃってさ……見てよこれ、47点」
ほむら「……!」
さやか「まどかなんてまだマシな方だって……あたしなんて29点だよ」
ほむら「……!?」
さやか「はあ……どうしたものかね。このままじゃ……」
まどか「上条くんと同じ高校いけないって?」
さやか「そうそう……って違うし! そんなんじゃないから!」
まどか「……そういえば、ほむらちゃんは何点だったの?」
ほむら「あ……」
さやか「無視すんなー! というかほむらの点数なんて聞きたくない、なおさら惨めになるー」
ほむら「…………17点よ」
まどか「え?」
さやか「えっ」
ほむら「ごめんなさい……今日は、先に帰らせてもらうわ」
まどか「あ、ほ、ほむらちゃん……行っちゃった……」
さやか「17点って……あいつが……? だってあいつ、あんなに頭よかったのに……」
まどか「どうしよう…ほむらちゃんのこと、傷つけちゃったよお……」
さやか「まどか……」
ほむら「……と、いうわけなのよ」
杏子「はあ……まあ大変そうなのは伝わってきたけどさ。学校のことなら私よりマミの奴に相談した方が適任なんじゃねーか?」
ほむら「巴マミは今、高校受験を控えて勉強に励んでいる……余計な心配を、かけたくないの」
杏子「余計な心配ねえ……まあいいや。そもそも、なんでそんなに頭が悪くなっちまったんだ?」
ほむら「ちょっと違うわ。……私、そもそも頭は良くないのよ」
杏子「ああ? だって、前はいい点数取れてたんだろ?」
ほむら「私……ずっと入院してたから、最初は勉強についていけてなかったの」
杏子「ふむ」
ほむら「でも、ループする度に同じ勉強をするわけじゃない」
杏子「まあ、そうなるな」
ほむら「いくら頭が悪くたって、何十回も何百回も同じ授業を受けてれば嫌でも頭に入ってくるってことよ」
杏子「ほう、つまり……」
ほむら「ええ、ループの範囲外の勉強については、私はまったくわからないのよ……」
杏子「……それなら、単に勉強すればいいんじゃないのか?」
ほむら「そうなんだろうけど……」
杏子「けど?」
ほむら「長いこと、自分で勉強なんてしてなかったから……勉強の仕方も、よくわからないの……」
杏子「……」
ほむら「それに、魔女退治もサボるわけにいかないから集中して取り組めないし」
杏子「……そうか」
ほむら「ありがと……話を聞いてもらえて、少し楽になったわ」
杏子「もういいのかい? 何の役にも立ててねーけど」
ほむら「ええ。あとは自分で頑張ってみる……」
杏子「無理はすんじゃねーぞ。体を壊しちゃ、元も子もねーからな」
ほむら「忠告に感謝するわ」
翌年・春
まどか「えー、マミさんの第一志望合格をお祝いしてー」
さやか「かんぱーいっ!」
マミ「ふふ、ありがとうみんな。私のためにこうして集まってくれて」
杏子「気にすんなよマミ。私は美味いものが食えるから来ただけだし」
さやか「こら、今日の主役より先に料理に手を付けるな」
マミ「いいのよ美樹さん。ほら、こっちのから揚げも美味しそうよ」
杏子「おお、さんきゅー」
ほむら「こうして五人そろうのも久しぶりね」
QB「酷いなあ、五人と一匹と言っておくれよ」
ほむら「黙りなさい。料理として卓に並べてやるわよ」
まどか「ほむらちゃん、店内で重火器を持ち出すのはちょっと……」
ほむら「まどかがそう言うなら……」
QB「やれやれ」
マミ「うふふ、相変わらずみたいね。そういえば皆ももうすぐ三年生だけど、進路の方はもう決めてあるのかしら?」
ほむら「……」
杏子「んー、そもそも学校行ってねーし」
さやか「いや、あんたには聞いてないでしょ……」
杏子「ちえー」
さやか「えっと……あたしは××高を目指そうかなって」
マミ「ああ、あの音楽系が盛んな学校ね」
まどか「さやかちゃん、すごいんですよ。進路が決まってから、めきめき成績が上がってきてて」
マミ「あら、それはすごいわね」
さやか「ふふふ……これがあたしの実力ですよ!」
マミ「これも、上条君?への愛がなせるわざなのかしら」
さやか「ぶほぉっ!? な、な、なんでマミさんがそれを……まさか!」
まどか「わ、私じゃないよ!?」
マミ「ああ、いつかキュゥべえが言ってたのよ」
さやか「……」
QB「さやかはいつもそうだね。事実をありのままに伝えると決まって同じ反応を痛い痛いもげる耳もげる」
杏子「なーさやか、上条って誰だっけー?」
マミ「鹿目さんは?」
まどか「わ、私は……マミさんと同じ高校に行ければなって」
マミ「ふふ、嬉しいわ。そうしたら、また鹿目さんが後輩になるのね」
まどか「えへへ……」
マミ「さて、最後ね。暁美さん、貴女はどこに進学するつもりなの?」
ほむら「…………ないわ」
マミ「え?」
ほむら「進学は……しないわ。卒業したらすぐ、働こうと思うの」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「黙っててごめんね、まどか。でも、私は決めたの。今の成績じゃ、まともな高校には受からないし……それなら、いっそ働いた方がって」
まどか「だ、だめだよそんなの! 一緒に、高校に行こうよ!」
マミ「鹿目さんに賛成ね。中卒で働くとなったら、大変な苦労をすることになるわよ」
ほむら「いいの。私、頭は悪いけど、魔法少女になったおかげで体力には自信があるから。いくらでも食べていけるはずよ」
マミ「そうは言っても、ね……」
ほむら「爆発物の製造とか、火器の扱いには自信があるし」
マミ「ええ、悪いけど現代日本でそのスキルが役に立つ状況は少ないと思うわ」
まどか「花火職人でも目指すつもりなの、ほむらちゃん!?」
ほむら「花火職人、悪くないわね。職人になったら、毎晩まどかの為に大玉を打ち上げましょう」
まどか「えっ、そ、そんなの照れちゃうよ……じゃなくて!」
マミ「花火職人はともかく、女の子が中学卒業してすぐに働くっていうのは……」
ほむら「私は、本気よ」
まどか「……じゃあ、」
ほむら「え?」
まどか「私も、高校には行かないよ。卒業したら、ほむらちゃんと一緒に働くことにする」
マミ「鹿目さんまで!?」
ほむら「そ、そんなの……」
まどか「……」
ほむら「そんなのだめ! まどかがそんな生き方を選ぶなんて、私が許さない!」
まどか「どうして?」
ほむら「ま、まどかが好きだから……そんな不安定な道を、まどかに選んでほしくないのよ」
まどか「大丈夫、なんとかなるよ」
ほむら「なるわけないでしょ! どこまで愚かなの、貴女は……!」
ほむら「中学を卒業したばかりの女の子を雇ってくれるところなんて、そう都合よくあるとは思えないし……世間の目だって……」
ほむら「と、とにかくだめよ! そんなの、認められ……あ」
まどか「気付いた?」
ほむら「ま、まどか……」
まどか「今、ほむらちゃんが言ったこと……全部、私の気持ちと一緒だよ」
まどか「好きな人に、そんな苦労はさせたくない」
ほむら「わ、私……私は……」
まどか「一緒に頑張ろうよ、ほむらちゃん。ほむらちゃんは、ずっとずっと運命と戦ってきた、強い子なんだから」
ほむら「まどかぁ……」
まどか「今更、勉強なんかに負けるわけないよ。私が、保証する。だから……頑張って、二人で同じ高校に行こう?」
ほむら「うん、うんっ……!」
まどか「……マミさん、悪いんですけど」
マミ「ええ、わかってるわ。暁美さんが合格するために、私が一年間責任を持って勉強を教えてあげる」
まどか「ありがとうございます。マミさんとほむらちゃんがそっちに専念できるよう、魔女の方は私が頑張りますから」
ほむら「まどか……巴マミ……ありがとう……」
マミ「貴女にお礼を言われる日が来るとわね。でも、まだちょっと早いかしら」
ほむら「え?」
マミ「感謝の言葉は、合格してからでも遅くはないわ」
ほむら「……私、頑張るから。絶対に、二人の期待に応えてみせる」
まどか「うん、その意気だよほむらちゃん!」
マミ「勉強会はさっそく明日から始めるとして……。さあ、今日は暁美さんの前途を祝して」
まどか「ほむらちゃん、カンパイ」
ほむら「……うん。カンパイ。二人とも」
さやか「ん? なんか三人で盛り上がってるね」
QB「そろそろ勘弁してくれてもいいんじゃないかな? ボクの耳がわけのわからないことになってるんだけど」
杏子「さやかー、上条って誰だよー
ほむら(こうして、私は翌日から巴マミに勉強を教えてもらうことになった)
ほむら(彼女の教えは厳しかったが、私も二人の気持ちに報いるためにやれるだけのことをした)
ほむら(マミが使用していたノートや参考書は、本当に私の役に立ってくれた)
ほむら(やがて、私の成績は少しずつだが上がっていった)
ほむら(合格ラインにはまだまだ届かないものの、二人はそれをまるで自分のことのように喜んでくれて)
ほむら(私は、なおさら勉強に精を出した)
ほむら(そして……)
合格発表の日
まどか「ほむらちゃんは何番だっけ」
ほむら「……0312番よ」
マミ「0312……0312……」
ほむら(お願い……どうか……)
まどか「0312……あっ」
ほむら「っ!」
マミ「暁美さん」
ほむら「は、はい……」
マミ「おめでとう。合格よ」
ほむら「えっ……」
マミ「この一年間。本当によく頑張ったわね……ふふ、変ね、こんなに嬉しいのに……涙が、止まらないわ……」
まどか「ほむら、ちゃん……」
ほむら(二人とも、泣いてる……)
ほむら(いや……泣いてるのは私も一緒か)
ほむら(私は、幸せものね。こんな素晴らしい親友と、先輩を持てたのだから)
ほむら「二人とも、本当にありが」
まどか「どうしよう、私……落ちちゃったよう……」
ほむら「」
マミ「えっ」
QB「こうして、暁美ほむらと鹿目まどかは二人して魔女化し、ボクは無事にノルマを達成できましたとさ」
QB「めでたし、めでたし」
144 : 以下、名... - 2011/08/10(水) 02:01:26.54 XNY3esTg0 31/38
以上で終了です。
次に書くときはもう少しオチを読まれないように頑張りますね。
こんな時間までお付き合いいただき、ありがとうございました!
せっかくなんでもうちょっとだけ続くんじゃ
二人が魔女化しなかった場合。完全に蛇足なんで注意
まどか「ごめんね……ごめんね、ほむらちゃん……」
ほむら(あ……今なら時間を戻せるような気がする)
ほむら(今ならまた、もう一度……まどかとの出会いを、やり直せる気がする)
ほむら(幸い、どうにか私の学力はそれなりの水準まで引き上げられた)
ほむら(戻って、まどかに勉強を教えれば……二人してこの学校に、合格できるかもしれない)
ほむら(けど、それは)
ほむら(再び彼女の命を、危険に晒すということ)
ほむら(もう一度、やり直す? まどかとの学園生活を、楽しみたいがために?)
ほむら「……まどか、泣かないで」
まどか「で、でも……ほむらちゃん、あんなにがんばってたのに。この学校に入るために、毎日毎日遅くまで……」
ほむら「大丈夫よ」
まどか「大丈夫……?」
ほむら「滑り止め、受かってたじゃない。そっちに入学すればいい話よ」
まどか「え……せっかく受かったのに……そんなの……」
ほむら「私を舐めないでもらいたいわね」
まどか「えっ?」
ほむら「私の幸せは、いい学校に進学することじゃないわ」
ほむら「ただ、隣に貴女さえ居てくれれば……貴女と笑い合えれば、それで私は幸せなの」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「……ごめんなさい、巴マミ。貴女が勉強を教えてくれたおかげで、私は合格できたのに」
マミ「……たしかに、ちょっと残念ね」
ほむら「……」
マミ「でも、いいの。貴女たちを後輩にできないのは残念だけど、それが、貴女の譲れないものなのでしょう?」
ほむら「はい。私も……また、呼びたかったです。巴先輩って」
マミ「え?」
ほむら「いえ、なんでもないわ……これまで、ありがとう」
ほむら(……私の選択を、愚かだと笑う人もいるでしょうね)
ほむら(でも、私はこれでいいの)
ほむら(誰が何と言おうと……まどかが生きて、笑っていてくれればそれでいい)
ほむら(それに)
ほむら(何が起きるかわからないし、不都合があってもやり直せはしない)
ほむら(けれども、ずっと未来に続いていく)
ほむら(この世界こそ……私が望んでいたものなんだから)
171 : 以下、名... - 2011/08/10(水) 03:09:41.66 XNY3esTg0 38/38
以上、蛇足終了。
こんな感じで、今度こそ本当に終わりです。
読んでいただき、ありがとうございました。
QBの思い通りにさせない