1 : 以下、名... - 2017/09/26 16:02:12.00 mcdpoiVw0 1/139



ヴィーネ「……」ドキドキ


魔界通帳  月乃瀬=ヴィネット=エイプリル様


ヴィーネ「……」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「また、仕送り減ってる……」グスン


ヴィーネ「やっぱり、悪いことしないと仕送り額上がらないよね……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……こうなったら」

ヴィーネ「悪いことするしかないわね」




元スレ
【ガヴドロ】ヴィーネ「また仕送りが減ってる……こうなったら……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506409331/

2 : 以下、名... - 2017/09/26 16:03:29.71 mcdpoiVw0 2/139



ヴィーネ「しかし、悪いことって何があるのかしら?」ウーン

ヴィーネ「人殺しとかしたくないし……万引きとか? いや、お店の人に迷惑掛かるわね」

ヴィーネ「できれば、被害を最小限に抑えるのがいいよね」

ヴィーネ「うーん……どうしましょうか」


ヴィーネ(そこから私が一晩中考えて、導き出した答えとしては……)

ヴィーネ「そうだ! ガヴ達になにか悪いことしてみましょう!」

ヴィーネ(こんな結論となってしまいました。今、思えばこの時の私はどうかしてたと思います)


3 : 以下、名... - 2017/09/26 16:04:02.07 mcdpoiVw0 3/139



ヴィーネ「取りあえず、明日実践してみましょう!」

ヴィーネ「今日は夜遅いから寝ましょうか。悪事は明日考えましょう」パチッ 照明オフ

ヴィーネ「お休みなさい」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……Zzz」



4 : 以下、名... - 2017/09/26 16:05:21.67 mcdpoiVw0 4/139



―翌日 学校―


ヴィーネ「さて……誰に何をしようかしら……」スタスタ

ヴィーネ(なるべく、皆が傷つかないことがいいわね……)

ヴィーネ(いくら仕送りを増やしたいといっても、友達を失いたくないしね)


ヴィーネ「……」トコトコ

ヴィーネ「……ん? あれは……」




サターニャ「私は~恐怖の~大悪魔~♪」フンフン


ヴィーネ「……」

ヴィーネ「最初はサターニャで決まりね!」



5 : 以下、名... - 2017/09/26 16:06:14.60 mcdpoiVw0 5/139



ヴィーネ「サターニャ!」タッタッタッ

サターニャ「あら、ヴィネットじゃない! おはよう!」ニコッ

ヴィーネ「おはよう、サターニャ」


ヴィーネ(サターニャには何をしようかしら……)ウーン

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(悪口を言ってみましょうか。ただ、フォローを入れながら極力相手を傷つけないようにしましょう)

ヴィーネ(慎重に言葉を選びましょう)



6 : 以下、名... - 2017/09/26 16:07:14.93 mcdpoiVw0 6/139



ヴィーネ「ねえ、サターニャ」

サターニャ「? どうしたのよ、ヴィネット。真剣な顔して……?」

ヴィーネ「…………サターニャってお馬鹿よね」

サターニャ「な!? 何言ってんのよ! 失礼ね!」


ヴィーネ(予想通りの反応ね……でも、ここは鬼にして!)

ヴィーネ「うるさいわね! お馬鹿サターニャ!!」

サターニャ「ぐう……よくも言ったわね……!」


7 : 以下、名... - 2017/09/26 16:08:28.89 mcdpoiVw0 7/139



ヴィーネ「大体、何よその蝙蝠の髪飾りは! 可愛いと思ってんの?」

サターニャ「こ、これは……お母さまが誕生日に買ってくれたもので……」グスッ

ヴィーネ「似合っていて可愛いわよ! このお馬鹿!」

サターニャ「!! また、馬鹿って言った! 馬鹿っていう方が馬鹿よ!」

ヴィーネ「うっさい! アホーニャ!」

サターニャ「……今日のヴィネットどうしたのよ? 何かあったら相談しなさいよ」

ヴィーネ(やめて! その優しさが辛い!)

ヴィーネ「あんたには関係ないわよ!」


8 : 以下、名... - 2017/09/26 16:09:33.68 mcdpoiVw0 8/139



サターニャ「大いに関係あるわ! だって、ヴィネットは私の友達だからね!」

ヴィーネ「!!」

ヴィーネ「……ありがとう」ボソッ

サターニャ「? なんか言った?」

ヴィーネ「ううん、ただの独り言よ」

ヴィーネ(もう悪口は十分言ったからいいよね。これ以上ここに居たら、サターニャの優しさで心が痛むわ……)


ヴィーネ「と、とにかく! これ以上ここに居たくないわ! じゃあね、サターニャ!」タッタッタッ

サターニャ「ちょっと!? ヴィネット!」

サターニャ「……」

サターニャ「……私と一緒には居たくないのかしら」グスッ


9 : 以下、名... - 2017/09/26 16:10:17.99 mcdpoiVw0 9/139



―その日の夜―


ヴィーネ「はあ……今日は疲れたわ。サターニャとあの後、話しにくかった……」

ヴィーネ「ガヴ達からも何があったのかと心配されたし……」

ヴィーネ「サターニャには明日謝りましょう」

ヴィーネ「今、気になるのは……仕送りは上がっているかしら?」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「少し上がっているわ!」パアア



13 : 以下、名... - 2017/09/27 01:18:44.61 Mmsz9+vD0 10/139



―次の日の学校―


ヴィーネ「うーん……サターニャにどうやって謝ろうかしら?」スタスタ

ヴィーネ「ガヴとは時々喧嘩するけど……サターニャとは喧嘩したことあまりないわね」スタスタ

ラフィエル「あら、ヴィーネさん。おはようございます」ペコッ

ヴィーネ「ラフィ、おはよう」クルッ


ヴィーネ「ねえ、ラフィ……サターニャはまだ学校に来てないよね?」

ラフィエル「サターニャさんですか……少し、待ってください」センリガンハツドウ

ヴィーネ「?」

ラフィエル「……まだ家に居ますね。サターニャさんを起こしに行けば良かったですね」ムウ…


14 : 以下、名... - 2017/09/27 01:19:31.36 Mmsz9+vD0 11/139



ヴィーネ「ああ、千里眼ね。ほんとに便利な能力ね……もしかしてずっとサターニャを見てるの?」

ラフィエル「いえ、千里眼の使い過ぎは体力を消耗しますので、週に5日ぐらいですかね。昨日はまったく使ってないですし」

ヴィーネ「そうなんだ(それでも多いわよ!)」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ちょうど二人っきりね……仕送りのためにラフィエルに悪いことしましょう!)

ヴィーネ(ただ、悪口はやめましょう……心が痛むし、ラフィに敵いそうにないしね)

ヴィーネ(うーん、何があるかしら…………そうだ!)ピコーン



15 : 以下、名... - 2017/09/27 01:20:09.76 Mmsz9+vD0 12/139



ヴィーネ(ラフィには嘘をついてみましょう! そうと決まれば)

ヴィーネ「ねえ、ラフィ。私、実はね……」

ラフィエル「どうしたんですかヴィーネさん?」

ヴィーネ「実は……私はサキュバスだったのよ!」

ラフィエル「……」

ラフィエル「そうなんですか!!」プクク

ヴィーネ(ぐっ……流石にこれは信じてないわね。まあ、私はただの悪魔なんだけど)


16 : 以下、名... - 2017/09/27 01:21:08.26 Mmsz9+vD0 13/139



ヴィーネ「えーと……あっ、ガヴがネトゲを止めたんだって!」

ラフィエル「そうなんですか。では、ガヴちゃんに聞いてみますねー」ニコニコ

ヴィーネ「じ、実はただの冗談よ!」アセアセ

ラフィエル「はい、知ってますよー」ニコニコ

ヴィーネ(えーとっ、他には……)

ヴィーネ「た、タプちゃんの趣味はガヴの盗撮らしいわよ!」

ラフィエル「そんなことしたら天界に強制送還ですが……いいのですか?」

ヴィーネ「やっぱり今のなしで」



17 : 以下、名... - 2017/09/27 01:22:14.12 Mmsz9+vD0 14/139



ラフィエル「うふふ……分かっていますよ」

ラフィエル「ヴィーネさんは嘘をつけませんからね」ニコニコ

ヴィーネ「むっ!」カチン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえばさ。昨日、サターニャに……」

ラフィエル「はい、なんでしょうか?」ニコニコ


ヴィーネ「彼氏ができたわよ」

ラフィエル「………………え?」


18 : 以下、名... - 2017/09/27 01:25:22.48 Mmsz9+vD0 15/139



ヴィーネ「偶々、放課後にサターニャが、男の人から告白されているところを見てね」

ラフィエル「う、嘘ですよね。それも嘘ですよね!?」

ヴィーネ「残念ながら本当よ。そしたらサターニャはOKしたわ」

ヴィーネ「その後、二人は恋人つなぎでサターニャの家に行って……」

ラフィエル「えっ……えっ……」オロオロ

ヴィーネ「そして……サターニャの家の前に着くと,お互いを見つめあい……」

ラフィエル「はっ……はっ……はっ……」ブルブル

ヴィーネ「サターニャが目を閉じ……男性の顔がゆっくりと近づいていって……お互いの唇が重なった」

ラフィエル「……うっぷ」

ヴィーネ「数秒間のキスを終えた二人は……仲良くサターニャの家に入っていったわ」

ヴィーネ「そこからは私も知らない」


19 : 以下、名... - 2017/09/27 01:28:17.75 Mmsz9+vD0 16/139



ラフィエル「あはは……あはははははははは……!!」


ラフィエル「あははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」


ラフィエル「はー……」

ラフィエル「……」

ラフィエル「……やるべきことが見つかりました」

ラフィエル「私の……私だけの……サターニャさん。今すぐに確かめないと!」

ラフィエル「待っていてください愛しのサターニャさん! あなたのラフィエルが必ず……必ず魔の手から救い出します!!」シュン


ヴィーネ「まあ、これも嘘なんだけどね……って、あれラフィ? どこに行ったの?」キョロキョロ





20 : 以下、名... - 2017/09/27 01:29:09.11 Mmsz9+vD0 17/139



ガヴリール「ふぁぁぁ……ヴィーネ、おはよう」テクテク

ヴィーネ「あ、ガヴおはよう」


ヴィーネ(その日、サターニャとラフィは学校に来ませんでした)




―夜―

ヴィーネ「……」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「仕送りが大幅に増えてる!?!?!?」



25 : 以下、名... - 2017/09/28 02:05:45.87 SEXhyB++0 18/139



―次の日 教室―


ヴィーネ「うーん、なんで仕送り額があんなに増えていたのかしら……」

ヴィーネ「もしかして悪魔として認められたとか!……なんてね」


ガヴリール「おはようヴィーネ」テクテク

ヴィーネ「おはようガヴ」

ガヴリール「あれ? 今日もサターニャ来てないのか」

ヴィーネ「ほんとね……何かあったのかしら? 風邪ひいたとか?」

ガヴリール「ははは……ないない! あの馬鹿が風邪ひくとかありえないよ」


26 : 以下、名... - 2017/09/28 02:06:59.61 SEXhyB++0 19/139



ヴィーネ「そうは言っても心配ね……今日サターニャの家に行ってみようかしら。ガヴも行く?」

ガヴリール「すまんが今日はバイトだから無理だ。それとサターニャの家に行くなら、ラフィエルの家を見に行ってくれ」

ヴィーネ「ガヴも心配なのね」

ガヴリール「別に……そんなつもりじゃないし」プイッ

ヴィーネ「任せて。サターニャの家に行った後にラフィの家に行くつもりだから」

ガヴリール「うん、任せたよヴィーネ」


27 : 以下、名... - 2017/09/28 02:07:45.03 SEXhyB++0 20/139



―放課後―


ヴィーネ「さてと……ガヴもバイトに行ったし、私もサターニャの家に行きますか」ガタッ

ヴィーネ「もしかしたら、体調が悪いのかも知れないから、何か買っていきましょう」スタスタ

ヴィーネ「それと悪口を言ったことも謝らないとね」スタスタ

ヴィーネ「……」スタスタ

ヴィーネ「……ん? あれは……?」


黒奈「……」ボー

ヴィーネ「後輩の黒奈ちゃんね! 何してるのかしら? 声を掛けてみましょう!」スタスタ



28 : 以下、名... - 2017/09/28 02:08:51.69 SEXhyB++0 21/139



ヴィーネ「おーい! 黒奈ちゃーん!」


黒奈「?」クルッ

黒奈「月乃瀬先輩……こんにちは」ペコッ

ヴィーネ「黒奈ちゃんは今何しているの?」

黒奈「千咲を……待っています」

ヴィーネ「タプちゃんを待っているのね。仲良くなって良かったわ!」

黒奈「はい……」コクッ

ヴィーネ(タプちゃんも黒奈ちゃんと友達になってよかった……)

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(そうだ! タプちゃんにも何かしましょう!)



29 : 以下、名... - 2017/09/28 02:09:49.90 SEXhyB++0 22/139



ヴィーネ(いくら仕送りが上がってもまた、下がるかもしれないしね)

ヴィーネ(とはいっても……タプちゃんにはどんなことをしましょうか……可愛い後輩だから変なことはしたくないわ……)ウーン

黒奈「月乃瀬先輩……どうしたんですか……?」

ヴィーネ「!」ピコーン

ヴィーネ(良いこと思いついたわ! これなら多分問題ないと思う! そのためにも……)

ヴィーネ「ねえ、黒奈ちゃん……ちょっと、協力してくれるかしら……?」

黒奈「……? なんですか?」



30 : 以下、名... - 2017/09/28 02:10:46.83 SEXhyB++0 23/139



タプリス「うぅ……遅くなってしまいました……まさか、お手伝いがあんなに時間かかるとは思わなかったです」タッタッタッ

タプリス「流石に黒奈さんは帰っていますよね……?」タッタッタッ


黒奈「――――――」

ヴィーネ「――――――」


タプリス「!! 良かったです! まだ、居てくれました!」スタスタ

タプリス「しかし、月乃瀬先輩と黒奈さんの組み合わせは珍しいですね……何を話しているのでしょうか?」

タプリス「……少しだけ聞いてみましょう!」ワクワク

タプリス「そーと、近づいて……」ソローリ



31 : 以下、名... - 2017/09/28 02:11:53.04 SEXhyB++0 24/139



ヴィーネ「黒奈ちゃん最近どうかしら?」

黒奈「はい……順調に事は進んでいます……」

タプリス(? 何を話しているのでしょうか?)ヒョコッ

ヴィーネ「ふふ……それは良かったわ。魔界からの指令も大変よね」

黒奈「そう……ですね」

タプリス(魔界からの指令? い、一体どういうことでしょうか)

ヴィーネ「まあ、順調に進んでいるのならいいわ」

ヴィーネ「舞天高校の全生徒傀儡化計画がね」

タプリス(……)

タプリス(ええええええええええ!?!?!?)

タプリス(傀儡化計画とはなんですか!?)

32 : 以下、名... - 2017/09/28 02:13:26.53 SEXhyB++0 25/139



ヴィーネ「舞天高校を手中に収める……最高に悪魔的行為ね!」

タプリス(ま、まさか月乃瀬先輩がこのようなことを……!)

ヴィーネ「そのためにはガヴリールとラフィエルを、我が物にすることが優先事項……」

ヴィーネ「ラフィエルのほうは同胞サタニキアによって、攻略一歩手前の所まできているわ」

黒奈「月乃瀬先輩のほうは……どうですか?」

ヴィーネ「これを見なさい」ペラッ ガヴの寝顔の写真

黒奈「これは……無様な格好ですね」ニヤァ

ヴィーネ「すでにガヴリールは首輪を繋げられたも同然よ!」

タプリス(く、首輪!? も、もしかしてあの写真は……!)



33 : 以下、名... - 2017/09/28 02:14:26.73 SEXhyB++0 26/139



~~~~~~~~~~


ヴィーネ『ガヴリール、今日も良いプレゼントを持ってきたわよ』

ガヴリール『ヴィーネ……もうやめてください。元の優しいヴィーネに戻ってください』グスッ

ヴィーネ『何を言ってるのかしら? これが本当の私よ』クスッ

ヴィーネ『とりあえず、これを付けなさい』

ガヴリール『はい……って、えっ……///』

ガヴリール『こ、これは……首輪ですか///』


34 : 以下、名... - 2017/09/28 02:15:15.58 SEXhyB++0 27/139



ヴィーネ『そうよ。私のペットとしての証よ』

ガヴリール『うう……恥ずかしいです///』

ヴィーネ『あなたに拒否権はないわ。早くつけないと……』

ガヴリール『!! わ、分かりました! だから……乱暴なことは止めてください……』カチャカチャ

ヴィーネ『ふふ……似合っているわよ』ナデナデ

ガヴリール『うう……///』

ヴィーネ『ついでに写真も撮っておきましょう』パシャパシャ

ガヴリール『ヴィ、ヴィーネ! 写真は撮らないで……!』

ヴィーネ『ヴィーネ? 呼び方が間違っているわよガヴ? 言い直しなさい』

ガヴリール『……ご主人様///』カアア

~~~~~~~~~~~~


35 : 以下、名... - 2017/09/28 02:16:27.17 SEXhyB++0 28/139



タプリス(~~~~~~っ!!)

タプリス(なんて……なんて……羨ましい!!)

タプリス(あっ、間違えました)

タプリス(にくらしい!!)

タプリス(どうにかして天真先輩達を助けないと……!)


36 : 以下、名... - 2017/09/28 02:17:32.43 SEXhyB++0 29/139



ヴィーネ「そして、魔界から新たな指令が下されたわ」

タプリス(ん?)

ヴィーネ「千咲=タプリス=シュガーベルの篭絡よ」


タプリス(えええええええええ!?!?!?)

タプリス(ついに……私も悪魔の餌食に……!)


ヴィーネ「これは黒奈ちゃんに任せたわ。やってくれるよね?」

タプリス(!)


37 : 以下、名... - 2017/09/28 02:18:47.19 SEXhyB++0 30/139



黒奈「……」

黒奈「……ません」

ヴィーネ「? ごめんなさい、聞こえなかったからもう一回言ってもらえるかしら?」

黒奈「それは……できません」

タプリス(!!)

ヴィーネ「あら……それはどうして?」

黒奈「千咲とは……下界で初めての……友達だからです」

タプリス(……)

タプリス(黒奈さん……あなたのこと誤解していました)


38 : 以下、名... - 2017/09/28 02:20:09.20 SEXhyB++0 31/139



ヴィーネ「ふーん……私の命令が聞けないんだ……」

ヴィーネ「そんな子は……お仕置きしないとね!」三叉槍シュン

黒奈「うぅ……」ブルブル


タプリス「!」ダッ

タプリス「だ、駄目です!! 黒奈さんを傷つけないでください!」バッ

黒奈「千咲……?」

ヴィーネ「あら、タプちゃん……ここに居るっていうことは、さっきの話聞いていたのね。まあ、いいわ」

ヴィーネ「先に黒奈ちゃんを始末しましょう!」ジャキッ

タプリス「!!」

タプリス「ぐっ……逃げますよ! 黒奈さん!」ガシッ

黒奈「!!……うん」



39 : 以下、名... - 2017/09/28 02:21:09.53 SEXhyB++0 32/139



タプリス「つ、月乃瀬先輩の悪魔! 変態! サキュバス!」タッタッタッ


ヴィーネ「さ、サキュバス!? なんで!?」ガーン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「行っちゃった……」

ヴィーネ「まあ、黒奈ちゃんが居るから、タプちゃんに伝えてくれるでしょう」

ヴィーネ「さっきの話は全部ドッキリだってこと」



46 : 以下、名... - 2017/09/29 17:19:08.58 rmKxydro0 33/139



~回想~


ヴィーネ「黒奈ちゃんに協力してほしいことは、タプちゃんを“怖がらせる“ことよ」

黒奈「怖がらせる……ですか」

ヴィーネ「そうよ。そのために芝居を打ってみようと思うの。要はドッキリね」

黒奈「……面白そうですね」ニヤァ…

黒奈「それで……どんなドッキリをするんですか……?」

ヴィーネ「そうね……魔界からの指令で学校を掌握するために、悪魔が天使をひれ伏せさせる……っていう設定でどう?」

黒奈「……設定が凝っていますね」

ヴィーネ「まあ、こういうのは楽しまないとね///」

黒奈「では……千咲がこの教室に来たら……始めましょう」

ヴィーネ「ええ、よろしくね♪ 黒奈ちゃん」


~回想終わり~


47 : 以下、名... - 2017/09/29 17:19:49.01 rmKxydro0 34/139



ヴィーネ(途中からアドリブが多かったけど……十分怖がらせること出来たかしら……?)

ヴィーネ(それより、タプちゃんに嫌われてないよね……)オロオロ

ヴィーネ(まあ……そのへんのフォローは黒奈ちゃんに任せましょう)

ヴィーネ(しかし……)

ヴィーネ(黒奈ちゃんは案外ノリがいいわね)



48 : 以下、名... - 2017/09/29 17:21:13.54 rmKxydro0 35/139



―タプリスside―


タプリス「はあ……ここまで来れば追っては来ないでしょう……」ゼーハー

黒奈「千咲……」

タプリス「黒奈さんは安心してください。私が必ず守りますから!」

黒奈「うん……それより……」 



     ドッキリ大成功!!



タプリス「しかし……天使のような月乃瀬先輩が、あのようなことをするとは……はっ!? まさか!」

タプリス「月乃瀬先輩は誰かに操られてる!?」


49 : 以下、名... - 2017/09/29 17:22:30.28 rmKxydro0 36/139



黒奈「千咲」



    ドッキリ大成功!!



タプリス「そうです! それしか考えられません!! しかし、一体誰がそのようなことを……」

黒奈「千咲……こっち見て……」

タプリス「なんですか! 今、情報を整理しているところ……です……」



    ドッキリ大成功!!



タプリス「……」

タプリス「ほええええええええ!?!?」


50 : 以下、名... - 2017/09/29 17:24:01.49 rmKxydro0 37/139



タプリス「い、一体どこからドッキリなんですか!?」

黒奈「最初から……」

タプリス「」

黒奈「千咲……?」

タプリス「良かった……本当に良かった」グスッ

黒奈「!! 千咲……泣かないで……」オロオロ

タプリス「月乃瀬先輩や胡桃沢先輩と敵対関係にならなくてよかった……」

黒奈「……ごめんなさい」ペコッ




51 : 以下、名... - 2017/09/29 17:24:44.73 rmKxydro0 38/139



タプリス「もう……今回だけですよ?」エヘヘ

黒奈「うん……それと……」

黒奈「さっきは助けてくれてありがとう……」

タプリス「!! まあ、黒奈さんもドッキリとはいえ私を庇ってくれましたから! これでお相子です!」

黒奈「分かった……」

タプリス「では、帰りましょうか」ギュッ

黒奈「!!……うん」ギュッ


52 : 以下、名... - 2017/09/29 17:26:00.63 rmKxydro0 39/139



―ヴィーネside―


ヴィーネ「さて、サターニャの家に行きましょう」

ヴィーネ「ちょっと遅くなったから、サターニャの家に行って、必要あれば買い出しに行きましょう」スタスタ


サタニキア邸


ヴィーネ「サターニャ、居るのー?」ピンポーン


………………ガチャッ

サターニャ「こんな時間に誰よ……ってヴィネット!」

ヴィーネ「あっ、サターニャ! なんで学校来なかったのよ! 心配してたわよ!」

サターニャ「ごめんなさい……大事な用があったのよ。明日には行くわ」


53 : 以下、名... - 2017/09/29 17:26:46.91 rmKxydro0 40/139



ヴィーネ「そう……それなら良かった。そういえば、ラフィも学校に来なかったのよ。何か知ってる」

サターニャ「ラフィ!?」

ヴィーネ(ん? ラフィ?)

ヴィーネ「ラフィについて何か知ってるの?」

サターニャ「いや……知らないわね///」

ヴィーネ「そっか……体調とか悪くないよね?」

サターニャ「大丈夫よ……ありがとね」

ヴィーネ「それなら良かったわ。じゃあ、明日ちゃんと登校するのよ?」

サターニャ「分かったわ。またね、ヴィネット」

ヴィーネ「また明日。サターニャ」



54 : 以下、名... - 2017/09/29 17:27:50.05 rmKxydro0 41/139



ヴィーネ「サターニャは問題なさそうね……」

ヴィーネ「次はラフィの家に行きましょう」ピロロロロ

ヴィーネ「ん? メッセージ? ラフィからね」カチカチ



『ヴィーネさん。お手間をかけさせてすみません』

『明日は学校に登校しますので心配しないでください』

『ではまた明日学校でお会いしましょう!』



ヴィーネ「……問題なさそうね。ラフィの家には寄らなくていいか」

ヴィーネ「まあ、休んだ理由は明日聞けばいいか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえば、サターニャって“ラフィエル”って呼んでたよね」

ヴィーネ「うーん…………ま、いっか」スタスタ



55 : 以下、名... - 2017/09/29 17:28:27.38 rmKxydro0 42/139



―その日の夜―


ヴィーネ「さーて、タプちゃんを『怖がらせる』という悪魔的行為を行ったから、仕送りが増えていると思うわ!」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「むしろ昨日より減ってる!?!?」ガーン



64 : 以下、名... - 2017/10/01 23:31:48.85 GLsmt84i0 43/139



―次の日 教室―


ヴィーネ「うーん……なんで仕送り額が減っていたのかしら……」

ヴィーネ「成功したと思ったのに……」


サターニャ「ヴィネット!! おはよう!」スタスタ

ヴィーネ「おはよう、サターニャ」

ヴィーネ「そうだ……サターニャ。二日前にあなたに悪口言ってごめんなさい!」ペコッ

サターニャ「? 何の話よ?」

ヴィーネ「えーとっ……私があなたに悪口言って……傷つけてしまったのを……その……」

サターニャ「……ああ、あれね。別に気にしてないわ」

ヴィーネ「ほ、ほんとに?」

サターニャ「何か理由があったのでしょう? 長い付き合いだから分かるわよ!」

サターニャ「だから、何も聞かないわ!」

ヴィーネ「サターニャ……ありがとう……!」



65 : 以下、名... - 2017/10/01 23:32:43.48 GLsmt84i0 44/139



ガヴリール「おーす……ってサターニャ。なんで学校休んでたんだ? サボりか?」スタスタ

サターニャ「フフーン! 我が宿敵に教えることはないわ!」ドヤァ

ガヴリール「あっそ」イラッ

ヴィーネ「私も気になっていたけど……なんで2日間学校に来なかったの?」

サターニャ「えっ!?」

サターニャ「それは……その……」アタフタ

ラフィエル「うふふ……サターニャさんと私はそれぞれ、天界と魔界から呼び出しに応じてたんですよ」ヒョコッ


66 : 以下、名... - 2017/10/01 23:33:25.45 GLsmt84i0 45/139



サターニャ「ラフィ!? そ、そうよ! ちょっと、野暮用で魔界に行ってたの!」

ガヴリール「私は天界からそんな通知来てないぞ?」

ヴィーネ「私もよ。なんで呼び出されたの?」

サターニャ「そ、それは……」

ラフィエル「すみません。守秘義務なので言えないですね」

サターニャ「そーよ! しゅひ義務だから言えないわ!」

ヴィーネ「そう……」



67 : 以下、名... - 2017/10/01 23:33:58.69 GLsmt84i0 46/139



ガヴリール「なあ、ヴィーネ」ヒソヒソ

ヴィーネ「どうしたの? ガヴ」ヒソヒソ

ガヴリール「こいつらこんなに仲良かった?」ヒソヒソ

ヴィーネ「確かに……サターニャは“ラフィエル”って呼んでたしね」ヒソヒソ

ガヴリール「多分、この二日間でお互いの仲が、進展することがあったんだろうな」ヒソヒソ

ヴィーネ「そうでしょうね」ヒソヒソ

ヴィーネ(まあ、仲良しなのはいいことだけどね)



68 : 以下、名... - 2017/10/01 23:35:13.25 GLsmt84i0 47/139



―放課後 校舎―


ヴィーネ「もう放課後ね……今日は悪いこと出来なかったわ」スタスタ

ヴィーネ「仕送り額を上げる為に、誰かに悪いことしないと……! このままでは生活できないわ」スタスタ

ヴィーネ「ただ、同じ人にするのも気が引けるのよね……」スタスタ

ヴィーネ「誰かいないかしら……?」スタスタ

ヴィーネ「ガヴは今日もバイトだし…………ん? あれは……?」ピタッ



まち子「よいしょっと。ふー、これで荷物整理は終わりかしら。早く、部室に行きましょうか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(委員長がいたわ! 周りに誰もいないし、これはチャンスね!)



69 : 以下、名... - 2017/10/01 23:38:05.69 GLsmt84i0 48/139



ヴィーネ(さて……委員長にはどんなことをしましょうか)ウーン

ヴィーネ(なるべく、穏便に済ませたいわね)

ヴィーネ(……ここは魔界『悪事大百科』を使いましょう)ボン!

ヴィーネ(適当にページを捲って、そこに書かれていることを実行しよう)パラパラ

ヴィーネ(ここだ!)ピタッ



『悪事その58 悪魔的性的嫌がらせ(デビルズセクシャルハラスメント)』



ヴィーネ「」

ヴィーネ「変なページ引いちゃった……」ズーン



70 : 以下、名... - 2017/10/01 23:39:14.44 GLsmt84i0 49/139



まち子「さてと……行きますか。今日は何を作るのかしら?」

ヴィーネ(委員長が行っちゃう! こうなったらもうヤケよ!)

ヴィーネ(この項目に書かれてあることをするわ!)ジー ペラペラ

ヴィーネ(…………よし! 作戦開始!)バタン



ヴィーネ「委員長―」タッタッタッ

まち子「? あら、月乃瀬さん。学校にまだ居たのね」クルッ

ヴィーネ「ええ……少し用があってね」

まち子「用事って……私に?」

ヴィーネ「そうよ」

まち子「どんな用事なの? 月乃瀬さ――」ドン!



71 : 以下、名... - 2017/10/01 23:40:42.97 GLsmt84i0 50/139



ヴィーネ「委員長……いや、まち子」ズイッ

まち子「!?」

まち子(壁ドンされてる!? それと……顔が近い///)

ヴィーネ「まち子って……可愛いわね」サラッ

まち子(でも……嫌な気分ではないわね///)ドキドキ

ヴィーネ「もっとあなたの顔を見せてよ」アゴクイ

まち子「ちょっと/// 月乃瀬さんどうしたのよ///(直視できない///)」


72 : 以下、名... - 2017/10/01 23:43:53.54 GLsmt84i0 51/139



ヴィーネ「私はいつも通りよ」クスッ

まち子(いつもの月乃瀬さんはただの変な人よ! 今の月乃瀬さんはサキュバスよ!)


ヴィーネ「それよりも……この後予定はある?」

まち子「えっ……予定って……?」ドキドキ

ヴィーネ「私と……」

ヴィーネ「楽しいことしない?」ボソッ

まち子「~~~っ!」ゾクゾク

まち子「それって……つまり、月乃瀬さんとその……///」モジモジ

73 : 以下、名... - 2017/10/01 23:45:20.34 GLsmt84i0 52/139



ヴィーネ「ふふ……遠慮はしなくていいわよ?」

ヴィーネ(こんな感じ? 悪魔的セクハラっぽいかな?)

まち子「うぅ……///」プイッ


上野「……」ドキドキ

田中「……」ドキドキ


まち子「」



74 : 以下、名... - 2017/10/01 23:46:08.44 GLsmt84i0 53/139



ヴィーネ「まち子……目を逸らさないで」

まち子「いや、その月乃瀬さん……あそこの曲がり角……」

ヴィーネ「? どうしたの?」チラッ


上野「月乃瀬さん大胆ね///」キャー!

田中「まち子を迎えに行ったら……すごい場面に出くわしたね///」キマシタワー!


ヴィーネ「……」

ヴィーネ(!?!?!?!?!?!?!?)



76 : 以下、名... - 2017/10/01 23:47:00.66 GLsmt84i0 54/139



上野田中「「あっ……」」


ヴィーネ「」

まち子「……///」

上野田中「「あはは……///」」


ヴィーネ「」ハッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……二人共引っかかったわね!」

まち子「!?」

上野「えっ!? どういうこと月乃瀬さん!」

ヴィーネ「二人を驚かすために委員長と協力して、芝居を打ったのよ!」ヤケクソ



77 : 以下、名... - 2017/10/01 23:48:13.12 GLsmt84i0 55/139




上野田中まち子「「「な、なんだってーー!!」」」



田中「あれ? なんでまち子も驚いてるの?」

まち子「!! えーとっ……なんとなくよ!」

上野「そっか、なんとなくか」

田中「なんとなくなら仕方がないね!」

ヴィーネ「そ、そういうことで委員長手伝ってくれてありがとう!」

まち子「う、うん! 面白かったわ!」

ヴィーネ「それじゃあ、また明日ね!」ピューン

上野「あ! 月乃瀬さん今度部室に来てねー! 皆で料理勝負しましょう!」

ヴィーネ「分かったわー!」タッタッタッ



78 : 以下、名... - 2017/10/01 23:49:02.54 GLsmt84i0 56/139



上野「行っちゃったね……」

田中「月乃瀬さんって意外とお茶目なんだね。気が合いそう!」

まち子「……」ボー

上野「じゃあ、部室に行きましょうか」スタスタ

田中「? まち子どうしたの? 行こうよ」

まち子「えっ!? ああ、そうね」


79 : 以下、名... - 2017/10/01 23:50:40.66 GLsmt84i0 57/139



まち子「……」

まち子(はあ……なんかどっと疲れたわね)

まち子(月乃瀬さんの発言は本音だったのかしら? 本音だったら私は……///)

まち子(まあ……考えても仕方ないか)

まち子(しかし……)

まち子(月乃瀬さん綺麗だったな///)カアア



80 : 以下、名... - 2017/10/01 23:52:02.49 GLsmt84i0 58/139



―その日の夜―


ヴィーネ「はあ……今日は恥ずかしかったわ。うまく、誤魔化せたからいいけど」

ヴィーネ「よく考えたら、あれってセクハラじゃないよね……///」バタバタ

ヴィーネ「委員長と明日からどんな顔して会えばいいのよ!」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そういえば……仕送り額はどうなったのかしら」

ヴィーネ「見るのは怖いけど……確かめましょう」ペラッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「ちょっとだけ増えてる!!」パアア



85 : 以下、名... - 2017/10/03 01:46:07.30 +I/X/2qe0 59/139



ー翌日 学校―


ヴィーネ「うーん、なんで仕送り額が増えてたのかしら? あれで増えるなら、タプちゃんの時はもっと増えてもよかったと思うけど」

ヴィーネ「そもそも、増減の基準が分からないわね。何をしたらいいのか見当もつかない……ん?」


まち子「あっ……月乃瀬さん……お、おはよう」

ヴィーネ「委員長……おはよう。あの……昨日のことは……」

まち子「分かっているわ。何か理由があったのでしょ?」

ヴィーネ「うん……まあ……そうね」

まち子「安心して。月乃瀬さんは変な人だけど、意味もなくあんなことをする人じゃないのは知っているから」

ヴィーネ「!! ありがとう委員長!……えっ? 変な人?」

まち子「それと、上野と田中が料理部に、遊びに来て欲しいって言ってたわよ」

ヴィーネ「……ええ! 必ず行くわ!」



86 : 以下、名... - 2017/10/03 01:47:28.57 +I/X/2qe0 60/139



ガヴリール「……」ジー

ヴィーネ「……? あら、ガヴおはよう」

まち子「おはよう天真さん」

ガヴリール「おはよう……二人共随分仲がいいな」


ヴィーネ「色々あったのよ……色々ね」

まち子「そうね……」

ガヴリール「ふーん……まあ、いいや。まち子、ヴィーネを借りていくぞ」ガシッ スタスタ

まち子「ええ、いいわよ」

ヴィーネ「ど、どうしたの? ガヴ」スタスタ



87 : 以下、名... - 2017/10/03 01:48:20.33 +I/X/2qe0 61/139



まち子「……」

まち子(今日は月乃瀬さんを見ても何ともないわね……昨日のあの感情は何だったのかしら……?)

まち子(朝起きたら、あの感情がすっぽりと抜け落ちていた。まるで昨日の出来事が何もなかったかのように)

まち子「……」

まち子(まあ、考えても仕方ないか)





88 : 以下、名... - 2017/10/03 01:49:21.90 +I/X/2qe0 62/139



ヴィーネ「この先、屋上だけど……そんなに大事な話なの?」スタスタ

ガヴリール「大事な話だな……他の人には聞かれたくないし、誰も居ないところがいい」スタスタ

ヴィーネ「?(いつもより真剣ね)」


―屋上―


ガヴリール「よし……ここでいいか」

ヴィーネ「それで、どんな用事なの?」


ガヴリール「ヴィーネ!」ガシッ

ヴィーネ「な、なによガヴ(えっ…………これってまさか!)」

ガヴリール「明後日の日曜日、私の妹の面倒を見てほしい!」


89 : 以下、名... - 2017/10/03 01:51:07.75 +I/X/2qe0 63/139



ヴィーネ「えっーと/// 少し考えさせて……へっ? 妹の面倒?」

ガヴリール「そうだ! 明後日に妹のハニエルが下界に遊びに来るんだ!」

ヴィーネ「別にいいけど…………その日、ガヴは何をしているの?」

ガヴリール「バイトだ」

ヴィーネ「……最近、バイトによく入っているわね。何か欲しいものあるの?」

ガヴリール「……買いたいものがあるんだ。今は言えないけど」

ヴィーネ「そう…………分かった! ハニエルちゃんの面倒は私が見るわ!」

ガヴリール「……! ありがとうヴィーネ!」



90 : 以下、名... - 2017/10/03 01:52:44.04 +I/X/2qe0 64/139



ヴィーネ「それにしても、ゼルエルさんはよく許してくれたわね」

ガヴリール「……姉さんには理由を言ってくれたら納得してくれた」

ガヴリール「それにヴィーネなら任せてもいいって」

ヴィーネ「そうなんだ……」

ヴィーネ(そこまで買いたいものは大事な物なのかしら?)ウーン

ガヴリール「じゃあ、日曜日の午前中にハニエル連れて、ヴィーネの家に行くから……ハニエルを頼んだ!」

ヴィーネ「分かったわ」




91 : 以下、名... - 2017/10/03 01:54:18.80 +I/X/2qe0 65/139



―日曜日 ヴィーネの家の前―


ハニエル「……」モジモジ

ガヴリール「どうしたハニエル? 緊張してんのか?」

ハニエル「うん……ガヴおねえちゃんのお友達でも、悪魔の人と会うのは初めてだから……」

ガヴリール「あーそれなら心配すんな。ヴィーネはどっちかというと天使寄りだから」

ガヴリール「じゃあ、チャイム鳴らすぞ」スッ

ハニエル「うん……」ドキドキ



――ピンポーン



スタスタスタスタ  ガチャ



92 : 以下、名... - 2017/10/03 01:55:56.31 +I/X/2qe0 66/139



ヴィーネ「いらっしゃい! ガヴとハニエルちゃん!」

ガヴリール「おっす、ヴィーネ」

ハニエル「こ、こんにちは……」オドオド

ヴィーネ「あなたがハニエルちゃんね! 私は月乃瀬=ヴィネット=エイプリルです。今日はよろしくね!」ニコッ


ハニエル「……! よろしくねヴィーネお姉ちゃん!」

ガヴリール「な? 言ったとおりだろ?」

ハニエル「うん! 天使みたいな人だね!」

ヴィーネ「て、天使……」ガーン

ガヴリール「おー、良かったなハニエル」

ハニエル「うん!」

ヴィーネ「天使……」ズーン



93 : 以下、名... - 2017/10/03 01:56:48.98 +I/X/2qe0 67/139



ガヴリール「……それじゃあ、ヴィーネ。ハニエルをお願いします」ペコッ

ヴィーネ「分かったわ!」

ハニエル「ガヴお姉ちゃん! お仕事頑張ってね!」

ガヴリール「ああ、適度に頑張ってくるわ。それと、ヴィーネお姉ちゃんの言うことをちゃんと聞くんだぞ」ナデナデ

ハニエル「うん!」

ガヴリール「夕方にはバイト終わるから、終わった後ヴィーネの家に行くわ」スタスタ

ヴィーネ「分かったわ。いってらっしゃいガヴ」ヒラヒラ

ガヴリール「おう」スタスタ



94 : 以下、名... - 2017/10/03 01:58:37.70 +I/X/2qe0 68/139



ヴィーネ「行ったわね……」

ヴィーネ「ねえ、ハニエルちゃん……ガヴは天界でもあんな感じなの?」

ハニエル「そうだよ! ガヴお姉ちゃんはとっても優しいんだよ!」

ヴィーネ「ええ、知っているわ……そんなガヴだから世話を焼きたくなるのよ」

ハニエル「!!」

ハニエル「えへへ……嬉しいな」


ヴィーネ「さてと……ハニエルちゃん、何して遊びましょうか?」

ハニエル「うーん…………天界ではできないことがいいな!」

ヴィーネ「そっか……では町に出かけましょうか」

ハニエル「はい! 今日はお世話になります!」ペコッ

ヴィーネ「ええ! お姉ちゃんに任せてね!」ナデナデ



95 : 以下、名... - 2017/10/03 01:59:38.25 +I/X/2qe0 69/139



―商店街―


ヴィーネ「さて……どこに行こうかしら?」トコトコ

ハニエル「ねえ、ヴィーネお姉ちゃん」トコトコ

ヴィーネ「なあに? ハニエルちゃん」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃんは、ガヴお姉ちゃんみたいに働かなくていいの?」

ヴィーネ「そうね……一応、仕送りがあるからそれを充てにしているわ」

ハニエル「そうなんだ……ヴィーネお姉ちゃんは良いことしているの?」

ヴィーネ「あー、私は悪魔だから悪いことすれば、仕送り増えるわね」

ハニエル「!! そうだよね……ヴィーネお姉ちゃんは悪魔だったよね……」


96 : 以下、名... - 2017/10/03 02:00:57.71 +I/X/2qe0 70/139



ヴィーネ(あ、あれ……怖がらせたかしら……?)

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃんは……」

ヴィーネ「うん?」

ハニエル「ハニエルにひどいことするつもりなの?」ウルウル

ヴィーネ「なんでそうなるの!?」

ハニエル「ひっ! だ、だって……ハニエルにひどいことすればお給料が増えるんでしょ……?」ビクビク

ヴィーネ(成程……そういうことね)

ヴィーネ「心配しないで……ハニエルちゃんに酷いことしないわ!」ナデナデ

ヴィーネ(ハニエルちゃんに悪事を働けば、ゼルエルさんから消されそうだしね)ブルッ

ハニエル「……うん! 分かったよ!」

ヴィーネ(納得してくれて良かった)ホッ


97 : 以下、名... - 2017/10/03 02:03:07.32 +I/X/2qe0 71/139



ハニエル「じゃあ……悪魔さんはどうやってお給料をもらっているの?」

ヴィーネ「そうね……基本的に貰える額は固定なのよ」

ヴィーネ「そこから、悪事を働くごとに増えていったり、減ったりするわ」

ヴィーネ「悪事をしたその日に上がったかどうかは、通帳を見ればわかるようになっているのよ。

だから、一日単位でも貰える額が分かるようになっているわ」

ハニエル「……」

ハニエル「うーん……分からない!」

ヴィーネ「そ、そうよね! 説明不足でごめんなさい!」

ハニエル「!! ヴィーネお姉ちゃんが謝る必要はないよ!」

ヴィーネ「……ありがとうハニエルちゃん」

ハニエル「えへへ……あっ! あそこのお店に行ってみたいな!」ビシッ

ヴィーネ「分かったわ!……ん? あの店は」



98 : 以下、名... - 2017/10/03 02:03:50.07 +I/X/2qe0 72/139




エンジェル喫茶



ヴィーネ(あの店はガヴが働いている喫茶店ね……! ハニエルちゃん連れてきていいのかしら?)

ハニエル「わーい!」トテトテ カランカラーン

ヴィーネ(あぁ……! ハニエルちゃん入って行っちゃった……)

ヴィーネ(こうなったら……行くしかないわね!)カランカラーン

101 : 以下、名... - 2017/10/04 00:50:01.34 ZFM2z4iS0 73/139



―エンジェル喫茶-


カランカラーン

ハニエル「わあ……!」キョロキョロ

ガヴリール「へい、らっしゃい……なんだハニエルか」

ハニエル「あっ! ガヴお姉ちゃん!」

ヴィーネ「ごめんね、仕事中に来ちゃって……」カランカラーン

ガヴリール「まあ、いいさ。今日も客居ないから、適当なとこに座っていいよ」

ヴィーネ「そうね。ハニエルちゃんこっちに座ろうか」スタスタ

ハニエル「うん!」テクテク



102 : 以下、名... - 2017/10/04 00:50:49.38 ZFM2z4iS0 74/139



ガヴリール「注文は何にする? それと、ハニエルの分は私が出すわ」

ヴィーネ「へえ……ちゃんとお姉ちゃんらしくしてるのね」クスッ

ガヴリール「うるせえ。さっさと注文しないと勝手に決めるぞ」

ヴィーネ「そうね……お昼ご飯まだだし、ここで食べようか。私はサンドイッチとブレンドコーヒーで」

ハニエル「うーん……オレンジジュースとこのナポリタンで!」

ガヴリール「はいよ。すぐに作るから待ってろ」スタスタ

ヴィーネ「いや、あんたが作るわけではないでしょ!」



103 : 以下、名... - 2017/10/04 00:51:41.45 ZFM2z4iS0 75/139



10分後


ガヴリール「へい、お待ち。ご注文の料理だ」コトッ

ヴィーネ「ありがとう……あんたの接客態度は相変わらずね」

ガヴリール「褒めても何も出ないぞ」

ヴィーネ「褒めてないわよ」


ハニエル「いただきます!」パクッ

ハニエル「~~っ! 美味しい!!」モグモグ

ガヴリール「良かったなハニエル」

ヴィーネ「私も頂くわ」

ガヴリール「うん、ゆっくりしていけよ」




104 : 以下、名... - 2017/10/04 00:52:58.58 ZFM2z4iS0 76/139



ヴィーネ「それじゃあ、ガヴまた後でね」カランカラーン

ハニエル「また後でね! ガヴお姉ちゃん!」ノシ

ガヴリール「おう、気を付けてな」


ヴィーネ「さてと……お腹もいっぱいになったし、色々なところを見て回りましょうか」

ハニエル「お願いします!」ペコッ

ヴィーネ「ええ! 任せてね!」


ヴィーネ(その後、二人でゲームセンターに行ったり、洋服を見に行ったりして楽しい時間を送りました)

ヴィーネ(そして、あっという間に時が過ぎて……ハニエルちゃんが天界に帰る時間へとなりました)



105 : 以下、名... - 2017/10/04 00:54:38.22 ZFM2z4iS0 77/139



―ヴィーネの家―


ハニエル「今日は楽しかった! ありがとうヴィーネお姉ちゃん!」

ヴィーネ「喜んでもらってなによりだわ」

ハニエル「それとね……! 悪魔の人には会ったのは初めてだけど……ヴィーネお姉ちゃんが優しい悪魔で良かった!」


ヴィーネ「……」

ハニエル「? ヴィーネお姉ちゃん?」

ヴィーネ「……ねえ、ハニエルちゃん。私って悪魔に向いてないと思う?」

ハニエル「えっ……私には分からないよ……」


ヴィーネ「……」ハッ

ヴィーネ「ご、ごめんなさい! 変なこと聞いちゃって!」

ハニエル「……お姉ちゃんお悩み事?」



106 : 以下、名... - 2017/10/04 00:55:57.04 ZFM2z4iS0 78/139



ヴィーネ「………………うん」コクッ


ハニエル「そんな時は誰かに話すといいんだよ!」

ハニエル「よかったら私に話してよ……ヴィーネお姉ちゃんの力になりたい……!」

ヴィーネ「……」

ハニエル「……」ジー

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「くすっ……ガヴと同じで優しいわね。良かったら……悩みを聞いてくれる?」

ハニエル「……うん!」


107 : 以下、名... - 2017/10/04 00:57:36.72 ZFM2z4iS0 79/139



ヴィーネ「……私は悪魔として中途半端なのよ」

ハニエル「そうなの?」

ヴィーネ「ええ……この一週間で、悪いことしようとしたけどダメだった」

ヴィーネ「結構、頑張っているつもりだったけどね。どうしても、本気になれなくて」アハハ


ハニエル「……」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん無理してない?」

ヴィーネ「えっ……無理を……?」

ハニエル「うん、別に悪いことしなくてもいいと思うよ」

ヴィーネ「それだと仕送りが……」

ハニエル「お金がないなら、ガヴお姉ちゃんみたいに働けばいいんだよ!」

ハニエル「大事なのは無理してやりたくないことを、やらないことじゃないかな?」

108 : 以下、名... - 2017/10/04 00:58:18.99 ZFM2z4iS0 80/139



ヴィーネ「…………」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「そうね……ハニエルちゃんの言うとおりだわ」

ヴィーネ「どこかで……無理してたわ。視野が狭くなってたと思う」

ヴィーネ「仕送りが減って生活が厳しくても……やりたくないことはやらない。それでいいじゃない」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん!」

ヴィーネ「ありがとうハニエルちゃん。私はこれから……自分の意思で決めていくわ!」

ハニエル「うん!」



109 : 以下、名... - 2017/10/04 00:59:59.71 ZFM2z4iS0 81/139



――ピンポーン


ヴィーネ「! ガヴが帰ってきたわ」ガチャ

ガヴリール「はあ……やっとバイト終わった……」

ヴィーネ「お疲れ様、ガヴ」ニコニコ

ガヴリール「ヴィーネもハニエルと遊んでくれてありがとな……ってなんか嬉しそうだな」

ヴィーネ「えへへ……そう見える?」


ハニエル「ガヴお姉ちゃんお帰りなさい」

ガヴリール「どうだ? 下界は楽しかったか?」

ハニエル「楽しかった!」

ガヴリール「そうか……ちなみにネトゲはもっと面白いぞ」

ヴィーネ「堕落の道を勧めるのはやめなさいよ」

ガヴリール「冗談だって……じゃあ、ハニエル。天界に帰るか」


110 : 以下、名... - 2017/10/04 01:01:18.69 ZFM2z4iS0 82/139


ハニエル「!」

ハニエル「そうだね……もう帰らないといけないよね……」ショボン

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「また、来れるわよ。その時はいつでも来ていいからね」

ハニエル「……うん!」


ガヴリール「よし、ゲートを開いて……っと」ゲートオープン


ガヴリール「それじゃ、ヴィーネ。また明日学校で」

ヴィーネ「ええ、また明日ね」

ハニエル「ヴィーネお姉ちゃん! 今日はありがとう!」

ヴィーネ「こっちこそありがとね!」

ハニエル「バイバーイ!」シュン



111 : 以下、名... - 2017/10/04 01:01:52.32 ZFM2z4iS0 83/139



ヴィーネ「……行っちゃった」

ヴィーネ「小さな子に大事なこと教えられたわね……」

ヴィーネ「これからは無理して、悪いことをするのは控えておきましょう」

ヴィーネ「ただ、生活が厳しくなりそうだから、アルバイトでもしようかしら……」



112 : 以下、名... - 2017/10/04 01:04:28.12 ZFM2z4iS0 84/139



ヴィーネ(ハニエルちゃんが天界に帰った後、無理して悪いことをしないと決めました)

ヴィーネ(仕送りは減りましたが、それでも最低限の生活はできるので、ほっとしています)

ヴィーネ(バイトをする必要はなかったので、学業に専念することができ、またいつも通りの日常に戻れました)

ヴィーネ(しかし……それから一週間経ったとき、私宛に魔界から一通の手紙が届きました)

ヴィーネ(それは……)



113 : 以下、名... - 2017/10/04 01:05:21.97 ZFM2z4iS0 85/139



―日曜日―


ヴィーネ「ガヴー、ご飯できたわよー」

ガヴリール「おう、すまない。いつも悪いな」

ヴィーネ「悪いと思っているなら、自分でしなさい!」

ガヴリール「そのうちな」

ヴィーネ「もう、ガヴったら……私がいなくなったらどうするのよ?」

ガヴリール「……それは嫌だな」ボソッ

ヴィーネ「? なんか言った?」

ガヴリール「何も言ってない!」


114 : 以下、名... - 2017/10/04 01:06:09.91 ZFM2z4iS0 86/139



ヴィーネ「そう……まあ、ご飯食べ終わったら帰るわね」

ガヴリール「今日は泊まっていかないのか?」

ヴィーネ「明日、学校があるからね。荷物は家にあるし」

ガヴリール「そうか……分かったよ」

ヴィーネ「ええ、では食べましょうか」

ガヴリール「そうだな」


115 : 以下、名... - 2017/10/04 01:09:40.29 ZFM2z4iS0 87/139


―――――――――――― 
―――――――― 
―――― 

ヴィーネ「じゃあ、私は帰るわね」

ガヴリール「おう……なあ、ヴィーネ」

ヴィーネ「どうしたの?」

ガヴリール「明後日は予定空いているか?」

ヴィーネ「予定? 空いているわよ?」

ガヴリール「そうか……その日は予定空けといてくれ」

ヴィーネ「? 別にいいけど……なにかするの?」

ガヴリール「それは当日のお楽しみだ」

ヴィーネ「分かった。予定空けとくわ。それじゃあ、また明日」ガチャ

ガヴリール「ああ、また明日な」


―――バタン



116 : 以下、名... - 2017/10/04 01:10:42.22 ZFM2z4iS0 88/139



ヴィーネ「うーん、明後日は何かあったかな? 今日が10月8日で明後日は10日……」スタスタ

ヴィーネ「あっ……そうだ。私の誕生日だ」スタスタ

ヴィーネ「もしかして……誕生日覚えてくれてたのかな?」スタスタ

ヴィーネ「それだったら嬉しいな……皆は祝ってくれるのかしら?」スタスタ

ヴィーネ「ふふ……当日が楽しみね!」



117 : 以下、名... - 2017/10/04 01:11:24.60 ZFM2z4iS0 89/139



―ヴィーネの家―


ヴィーネ「さてと、明日の準備をして早く寝ますか」パチッ

ヴィーネ「…………ん? テーブルの上に黒い手紙が置いてあるわね」ヒョイッ

ヴィーネ「これって魔界からの手紙ね。なんて書いてあるのかしら」ペラッ

ヴィーネ「……………………え?」




118 : 以下、名... - 2017/10/04 01:12:41.36 ZFM2z4iS0 90/139




『悪魔学校より緊急通達』


『下界での活動において、悪魔的行為の不振により、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルに命じる』

『今後、一切天使への接触を禁じる』

『これを破った場合は直ちに身柄を拘束し、魔界へ強制送還する』

『また、この通達を誰かに漏らした場合も、同様に処する』

『以上』



ヴィーネ(そこには短い文で、金輪際ガヴ達に関わるなとの通達でした)



123 : 以下、名... - 2017/10/07 00:18:29.72 W88kJbIg0 91/139



―翌日 学校―


ヴィーネ「はあ……」

サターニャ「ため息ついてどうしたのよ。元気ないわね」

ヴィーネ「ああ……サターニャか。おはよう」

サターニャ「おはよう。何かあったの?」

ヴィーネ「……何でもないわ(昨日の通知のことは言えない)」



ガヴリール「おーす、ヴィーネ。サターニャ」

ヴィーネ「!!」ビクッ

サターニャ「あんた、今日も来るのが遅いわね」

ガヴリール「は? こっちはネトゲで忙しかったんだよ 文句あるか?」

サターニャ「そんなことは知らないわよ!」


124 : 以下、名... - 2017/10/07 00:19:21.42 W88kJbIg0 92/139



ガヴリール「おい、ヴィーネ。馬鹿はほっといて宿題見せてくれ! 昨日、結局できなかったんだよ!」

サターニャ「馬鹿って言うな!」

ヴィーネ「……」プイッ

ガヴリール「? ヴィーネ?」  キーンコーンカーンコーン


サターニャ「もうすぐ授業が始まるわね。さっさと席に着きなさいガヴリール!」

ガヴリール「あ、ああ……」チラッ

ヴィーネ「……」



125 : 以下、名... - 2017/10/07 00:20:11.28 W88kJbIg0 93/139



ガヴリール「ふぁぁ……ようやく休み時間か……」

ガヴリール「早く宿題をしないと怒られるな。ヴィーネに見せてもらおう」キョロキョロ

ガヴリール「あれ? ヴィーネはどこ行った?」


ラフィエル「ガヴちゃん、どうしました?」ヒョコッ

ガヴリール「……いや、なんでもない」

ラフィエル「そうですか。あっ、明日のことで打ち合わせしたいのですが、よろしいですか?」

ガヴリール「宿題終わってからな」



126 : 以下、名... - 2017/10/07 00:21:12.38 W88kJbIg0 94/139



ガヴリール(あれから、休み時間になるとヴィーネはどこかへ行った)

ガヴリール(途中からヴィーネの後をつけたが、私を見るや否や全速力で逃げられた……)

ガヴリール(考えたくなかったが……もしかして、ヴィーネに避けられてる?)


―――――――――― 
―――――――― 
――――― 


ガヴリール「……というわけなんだ」

サターニャ「ははーん、遂にヴィネットから愛想尽かされたのね!」

ガヴリール「は? そんなわけあるか!」

ラフィエル「ふーむ、あのヴィーネさんがガヴちゃんを避けるとは……」


127 : 以下、名... - 2017/10/07 00:21:53.09 W88kJbIg0 95/139



ガヴリール「だから、次の授業終わったら昼休みだろ? その時にヴィーネに聞いてみようと思う」

ラフィエル「なるほど。皆でヴィーネさんを捕まえて尋問する、ということですね!」

ガヴリール「まあ、それで合っているけど……穏便にな」

ガヴリール「とにかく! 力を貸してくれ!」

サターニャ「しょうがないわね! 後で学食を奢りね!」

ガヴリール「サターニャは来なくていいぞ」

サターニャ「なんでよ!」

ラフィエル「まあまあ、サターニャさん。私も気になるので、一緒にヴィーネさんを捕まえましょう!」


128 : 以下、名... - 2017/10/07 00:23:06.20 W88kJbIg0 96/139



―昼休みー


ヴィーネ(もう昼休みになっちゃった……)

ヴィーネ(今日はガヴ達とは……ううん、今後はガヴ達と一緒に食べられないわね)

ヴィーネ(……誰も居ないところで食べよう。屋上がいいわね)ガタッ

ヴィーネ(はぁ……)スタスタ




ガヴリール「よし、ヴィーネは行ったぞ」

サターニャ「こっちを見向きもせず、弁当箱を持ってどこに行くのかしら?」

ラフィエル「私たちを避けているなら、人目もない場所に行くでしょうね」

サターニャ「つまりトイレね!」

ガヴリール「なんだ、その寂しい奴は……屋上とかだろ」

ラフィエル「それでは、屋上に行ってみましょう!」スタスタ



129 : 以下、名... - 2017/10/07 00:25:09.23 W88kJbIg0 97/139



―屋上―


ヴィーネ(今度からどうしよっかな……一人で食べるのは寂しいし……)

ヴィーネ(それよりもガヴ達と話せないのが、こんなにも辛いなんて……)



ガヴリール「ヴィーネ!!」バン

ヴィーネ「!?」ビクッ

サターニャ「やっぱりここに居たのね! ヴィネット!」

ラフィエル「ヴィーネさん……なにかあったのですか?」


ヴィーネ(ガヴ、ラフィ、サターニャ……)


ガヴリール「ヴィーネは……私のこと嫌いになったのか?」

ヴィーネ「!」


130 : 以下、名... - 2017/10/07 00:26:22.60 W88kJbIg0 98/139



サターニャ「なにかあったなら、私達に話しなさいよ! 友達でしょ!」

ラフィエル「私も気になります。話してみてくれませんか?」

ヴィーネ「……」ギリッ

ヴィーネ「……あんた達には関係ないわよ」

ガヴリール「関係ある!」


ヴィーネ「関係ないわよ!!!!!」




ガヴサタラフィ「「「」」」ビクッ





131 : 以下、名... - 2017/10/07 00:27:21.89 W88kJbIg0 99/139



ヴィーネ「お願いだから……天使のあんた達は私ともう関わらないで……」スタスタ

ガヴリール「ど、どういうことだよそれ……」

サターニャ「ちょっと!? どういうことよ!」

ラフィエル「天使というのは……私達のことですか?」



ヴィーネ「そうよ……私はね! 前々から……!」




132 : 以下、名... - 2017/10/07 00:27:51.75 W88kJbIg0 100/139




ヴィーネ「天使が大嫌いなのよ!!」




133 : 以下、名... - 2017/10/07 00:28:49.02 W88kJbIg0 101/139



ガヴリール「…………え?」

サターニャ「ヴィネット……いい加減にしないと怒るわよ」

ラフィエル「……」

ヴィーネ「そういうことだから……さようなら」




ヴィーネ「天真さん、白羽さん」スタスタ




ガヴリール「……!」

ラフィエル「……」

サターニャ「……」



134 : 以下、名... - 2017/10/07 00:29:33.80 W88kJbIg0 102/139



ヴィーネ(……もう後戻りはできない)

ヴィーネ(これでいいのよ……これで)

ヴィーネ(魔界からの命令は絶対……命令違反はどんな目にあうか分からない。それだと私以外にも、迷惑がかかるかもしれない)

ヴィーネ(私の選択は間違っていない)

ヴィーネ(……)



140 : 以下、名... - 2017/10/08 23:43:17.08 J+srs7MK0 103/139



ヴィーネ(その後、誰とも目を合わせず、そそくさと家に帰りました)

ヴィーネ(家に着くと、すぐにベッドに横たわり、色々な感情が頭を駆け巡りました)

ヴィーネ(私の携帯電話には、サターニャからの電話が鳴りやまず、ラインにはガヴやラフィからたくさんのメッセージが届きました)

ヴィーネ(……あんな態度を取ったのに、私を心配してくれる友人達に感謝の気持ちと同時に、心が痛みました)

ヴィーネ(……)

ヴィーネ(私は何をやっているんだろう)



141 : 以下、名... - 2017/10/08 23:44:26.04 J+srs7MK0 104/139



―火曜日 学校―


ヴィーネ「……」

サターニャ「……」スタスタ

ヴィーネ「……」

サターニャ「……おはよう。ヴィネット」

ヴィーネ「!!……うん、おはよう」

サターニャ「……」スタスタ ガタッ

ヴィーネ(サターニャ……ごめんね)



142 : 以下、名... - 2017/10/08 23:45:07.79 J+srs7MK0 105/139



ガヴリール「ヴィーネ」

ヴィーネ「……!」プイッ

ガヴリール「……返答はしなくていい。そのまま聞いてくれ」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「今日の放課後、屋上に来てくれ。ヴィーネに伝えたいことがあるんだ」

ヴィーネ「……?」

ガヴリール「それだけだから……待ってる」スタスタ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(伝えたいこと? 何だろう?……行った方がいいかしら)



143 : 以下、名... - 2017/10/08 23:46:13.81 J+srs7MK0 106/139



―放課後 屋上―


ヴィーネ(ガヴの伝えたいことが気になって、結局来ちゃった……)

ヴィーネ(……大丈夫。聞いているだけなら問題ないはず)

ヴィーネ(……)




ガヴリール「よう……ヴィーネ」スタスタ

ヴィーネ「!」

ガヴリール「そのまま、後ろを向いたままでいい……聞いてくれ」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「まず、最初に……誕生日おめでとう」

ヴィーネ「……!」


144 : 以下、名... - 2017/10/08 23:47:30.72 J+srs7MK0 107/139



ガヴリール「今日はヴィーネの誕生日だろ? それでな……ヴィーネにプレゼントがあるんだ」

ガヴリール「バイトで稼いで、ネトゲの課金をしないで貯めたお金で買ったんだ……」

ガヴリール「ヴィーネに受け取ってほしい」スッ


ヴィーネ(ガヴからのプレゼント……とっても嬉しいな)

ヴィーネ(でもごめんね……それは受け取れないのよ)


ガヴリール「…………」

ガヴリール「私はさ。ヴィーネが私達天使を無視するのに、何か訳があることは知っている」

ガヴリール「優しいヴィーネのことだ。深い事情があるはずだ」


145 : 以下、名... - 2017/10/08 23:48:36.47 J+srs7MK0 108/139



ヴィーネ「……」

ガヴリール「……それとな、私の気持ちを聞いてほしい。この日に言おうと決めていたんだ」

ヴィーネ「……?」


ガヴリール「……」スーハー グッ

ガヴリール「私はな……ヴィーネのことが」



「ずっと前から好きなんだ」



ヴィーネ「!!」


146 : 以下、名... - 2017/10/08 23:49:43.64 J+srs7MK0 109/139



ヴィーネ(うそ……ガヴは私のことを好きなの……?)

ヴィーネ(ああ……こんな状況じゃなければ嬉しいのに……素直に喜べない)



ガヴリール「もしもさ。無視する原因が私にあるとしたら、言ってくれ。絶対に直すから」

ガヴリール「これ以上……好きな人から嫌われるのは辛いんだ」グスッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ごめんねガヴ。あなたに原因はないわ。悪いのは私よ……)


147 : 以下、名... - 2017/10/08 23:50:44.47 J+srs7MK0 110/139



ガヴリール「……」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「そうか……分かったよ」

ガヴリール「今まで迷惑かけてごめんな。もう……ヴィーネに心配かけないようにする」グスッ

ガヴリール「これから……自分のことは……自分でするから」ポロポロ


ガヴリール「だから……」




「さようなら、ヴィーネ」





 スタスタスタ    ガチャ  

――――――バタン



148 : 以下、名... - 2017/10/08 23:51:29.50 J+srs7MK0 111/139



ヴィーネ「……」

ヴィーネ(ガヴ泣いてた……私が傷つけたから……)

ヴィーネ(ごめん、ごめんねガヴ……)

ヴィーネ(でも、魔界に送還されたくないのよ)

ヴィーネ(魔界に帰るぐらいなら……皆のそばにいたいよ……)


ヴィーネ「例え……皆から嫌われても」



149 : 以下、名... - 2017/10/08 23:52:13.46 J+srs7MK0 112/139



ヴィーネ(その後、ふらついた足どりのまま家に帰りつきました)

ヴィーネ(何も食べる気が起きず、ただ今日のことについて考えていました)

ヴィーネ(あの時……命令に背いて、ガヴに私の気持ちを伝えていたら……今頃はどうなっていたのだろうと)

ヴィーネ(考えても仕方ないことを考え続けました)

ヴィーネ(やがて、眠りにつき朝がやって来て……)



ヴィーネ(私は初めて学校をずる休みしました)



150 : 以下、名... - 2017/10/08 23:52:50.66 J+srs7MK0 113/139



ヴィーネ「……」

ヴィーネ「はあ……」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……ガヴ」

ヴィーネ「……」



151 : 以下、名... - 2017/10/08 23:53:43.37 J+srs7MK0 114/139



???「ヴィネット」

ヴィーネ「!」ビクッ

ヴィーネ「だ、誰?」キョロキョロ

???「悪いがこの部屋に、結界をはらせてもらう」シュン


ヴィーネ(!? これは天使の結界。それもかなり強力な結界……)

???「久しぶりだな」

ゼルエル「ヴィネット」

ヴィーネ「ゼ、ゼルエルさん……」

ヴィーネ(そこに居たのはガヴのお姉さんで……神の右腕と呼ばれている天真=ゼルエル=ホワイトさんでした)



152 : 以下、名... - 2017/10/08 23:55:03.14 J+srs7MK0 115/139



ヴィーネ「な、なぜゼルエルさんがここに……?」

ゼルエル「偶然ガヴリールを千里眼で覗いたとき、泣いているガヴリールを見つけてな」

ヴィーネ「!!」

ゼルエル「すぐにガヴリールの家に行き、本人から事情を聞いた」

ヴィーネ「……それでガヴを傷つけた私に、なにかするんですか?」

ゼルエル「何もしないさ。ただ、ヴィネットがなぜガヴリール達を、無視したのか理由を聞きに来た」

ゼルエル「話してくれるか?」


ヴィーネ(そうだった……ゼルエルさんとも関わっちゃいけないよね)プイッ

ゼルエル「……もし、事情を誰かに聞かれたくないなら、心配するな」

ゼルエル「この結界は誰にも感知されない。もちろん、会話を聞き取るなどもってのほかだ」


ゼルエル「だから頼む……訳を話してくれ……!」ペコッ




153 : 以下、名... - 2017/10/08 23:55:54.45 J+srs7MK0 116/139



ヴィーネ「……」

ゼルエル「……」

ヴィーネ「……」

ゼルエル「……」

ヴィーネ「……魔界から」

ゼルエル「……!」

ヴィーネ「今後、天使たちと関わるなとの……命令書が届きました」

ゼルエル「……」

ゼルエル(ん? 昔ならともかく、今の時代にそんなことがあるのか?)


ヴィーネ「本当は皆と一緒にいたいです……でも、違反したら強制的に魔界に送還されて……」


154 : 以下、名... - 2017/10/08 23:57:14.09 J+srs7MK0 117/139



ゼルエル「それは本当に魔界からの手紙か?」

ヴィーネ「はい……机の上にあります」



ゼルエル「すまないが拝見させてもらう」ペラッ

ゼルエル「……」ジー

ゼルエル(なるほどな、理由は分かった。ただ、これはヴィネットにとって重要な試練だ)

ゼルエル(助言だけしかできないな)



ゼルエル「ヴィネット。お前にとって、ガヴリール達はなんだ?」

ヴィーネ「大事な友達です……」


155 : 以下、名... - 2017/10/08 23:58:44.74 J+srs7MK0 118/139



ゼルエル「そうか……では、ガヴリールから告白されてどう思った?」

ヴィーネ「え!? な、なんで知ってるんですか!」

ゼルエル「ガヴリールに聞いた」

ヴィーネ「そ、そうですか」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「告白は……とても嬉しかったです。私もガヴのことを……」ハッ


ヴィーネ「い、今のは忘れてください!」アセアセ

ゼルエル「ふふ……ヴィネットもガヴリールのことが好きなのか」

ヴィーネ「うぅ……///」カアア



156 : 以下、名... - 2017/10/08 23:59:48.02 J+srs7MK0 119/139



ゼルエル「そうだな。私が言えるのはひとつだけだ、ヴィネット」

ゼルエル「自分の気持ちを偽るな」

ヴィーネ「!」

ゼルエル「偽って偽り続けたところで待っているのは後悔だけだ」


ヴィーネ「……そんなことは分かってますよ! でも、ガヴ達と関わったら……」

ゼルエル「ヴィネットは魔界からの命令のほうが、友達よりも大事なのか?」

ヴィーネ「……!」

ゼルエル「どうなんだ、ヴィネット。本当に大事なものはなんだ?」

ヴィーネ「……」




ヴィーネ「……そんなの決まってるじゃないですか!」

ヴィーネ「ガヴ達のほうが大事です!」

ゼルエル「!」



157 : 以下、名... - 2017/10/09 00:01:05.95 iGBt7wG70 120/139



ヴィーネ「でも……命令には背けないです……」

ゼルエル「……」

ゼルエル「私ならもっと周りに頼るな」

ヴィーネ「え……?」

ゼルエル「一人で抱え込もうとするな。ガヴリール達がいるだろ?」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……はい」

ゼルエル「それとな……ヴィネットが連れて帰られそうになったら、私が全力で助ける」

ゼルエル「必ずな」

ヴィーネ「……ありがとうございます」



ゼルエル「だから、もう迷うな……ああ、それと」


ゼルエル「私の妹を頼んだ」


ヴィーネ「!」

ゼルエル「では、さらばだ」シュン



158 : 以下、名... - 2017/10/09 00:03:13.23 iGBt7wG70 121/139



ヴィーネ「……」


ヴィーネ「…………」チラッ


魔界からの手紙



ヴィーネ「……」スタスタ ガシッ

ヴィーネ「……」ジー

ヴィーネ「……何がガヴ達に関わるな、よ」

ヴィーネ「そんなこと……!」

ヴィーネ「そんなこと私の知ったことではないわ!」ビリビリビリビリ



ヴィーネ「強制送還がなによ! 皆と一緒に居られないほうがよっぽど辛いわよ!」

ヴィーネ「もう私は偽らない。ガヴ達に謝る……謝って許してもらう……!」

ヴィーネ「その前に……ガヴに私の思いを伝える!」


ヴィーネ「開け、ゲートよ!」ゲートオープン

ヴィーネ「行先はガヴの家!」シュン



160 : 以下、名... - 2017/10/09 11:29:21.47 iGBt7wG70 122/139



―ガヴリールの家の玄関―


ヴィーネ(そういえば、今の時間ガヴは家に居るのかしら?)

ヴィーネ(まだ、授業終わってないし家にいないかもしれない)ウーン

ヴィーネ(まあ、その時は気が進まないけど、学校に行きましょう)スタスタ

ヴィーネ(とにかく、謝らなくちゃ……ガヴは居間にいるのかな?)ガチャッ

ヴィーネ(……)



161 : 以下、名... - 2017/10/09 11:29:55.55 iGBt7wG70 123/139



そこで私が見たものは、物が散乱したいつもの部屋ではなく、整理整頓され華やかに飾り付けをされていた部屋だった


壁には大きな文字で『ヴィーネ誕生日あめでとう!』と書かれていた


昨日の誕生日のために……私のために皆がここまでしてくれたことに、感謝と謝罪の気持ちでいっぱいになる


そして、中央にはテーブルの上に突っ伏して寝ているガヴリールの姿


起こさないように細心の注意を払いながら、ガヴの元へ近づく


162 : 以下、名... - 2017/10/09 11:31:12.80 iGBt7wG70 124/139



ヴィーネ(……ガヴ寝てるよね?)

ガヴリール「……」スースー

ヴィーネ「ぐっすり寝てるわね…………ん?」


テーブルの上、ガヴの横に箱が置いてあるのを見つけた


ヴィーネ(気になるわね。何が入っているのかしら……?)パカッ

ヴィーネ(わぁ……! かわいいネックレスね! これってもしかして私へのプレゼント?)


ガヴリール「うーん……」ゴシゴシ

ヴィーネ「!! ガヴ……起こしてしまった?」

ガヴリール(!? ヴィーネがなんでここにいるの!?)


163 : 以下、名... - 2017/10/09 11:31:43.72 iGBt7wG70 125/139



ヴィーネ「あ、あのね……聞いてほしいことがあるの」

ガヴリール「……な、なに?」



ヴィーネ「あなた達にひどいことしてごめんなさい!!」ペコッ

ガヴリール「……へ?」キョトン

ヴィーネ「その……実はね……」


ヴィーネ(その後、ガヴに全部話した……仕送りのこと、そして魔界からの通達のこと……)

ヴィーネ(全部話し終わった後、ガヴは……)

ガヴリール「なんだよ、それ……! ふざけるな!」


164 : 以下、名... - 2017/10/09 11:32:13.52 iGBt7wG70 126/139



ヴィーネ「そ、そうだよね……ごめん」

ガヴリール「ヴィーネに対して怒っているんじゃない! 魔界に対してだ!」

ヴィーネ「えっ?」

ガヴリール「だってそうだろ! 優しい奴に悪いことを、無理やりさせるのは間違っているだろ!」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「ありがとうガヴ……」



165 : 以下、名... - 2017/10/09 11:32:50.13 iGBt7wG70 127/139



ガヴリール「で、これからどうするんだ?」

ヴィーネ「これから?」

ガヴリール「命令に背いたんだ……すぐに魔界からヴィーネをひっ捕らえに悪魔がやって来るだろ?」

ヴィーネ「う、うん……」

ガヴリール「どこに逃げる?」

ヴィーネ「ど、どこに逃げるって……」

ガヴリール「このままヴィーネと離れ離れになりたくない。天界とかどうだ?」

ヴィーネ「流石に入れないわよ!」

ガヴリール「大丈夫。ヴィーネなら私より天使らしいからいけるって」

ヴィーネ「あんまり嬉しくないんだけど!?」

ガヴリール「まあそれはいいとして、サターニャ達を呼ぶぞ。もう学校終わってるだろうから、みんなで話し合おう」プルルルル

ヴィーネ「そうね……お願い」

ヴィーネ(ラフィ達にも事情を説明して謝らないとね……)



166 : 以下、名... - 2017/10/09 11:33:45.99 iGBt7wG70 128/139



―合流後 ヴィーネ説明中―


サターニャ「……」

ラフィエル「……」

ヴィーネ「かくかくしかじかっていうことなの……本当にごめんなさい!」

ガヴリール「それでさ、ラフィの家にヴィーネを匿えないか? 白羽家なら手を出しづらいだろ?」

ラフィエル「いえ、それはいいのですが……」

サターニャ「ヴィネット。それは魔界の試練みたいなものよ」



ヴィーネガヴ「「…………はい?」」



サターニャ「ヴィネットは悪魔的行為をしにくいでしょ? そんな悪魔のために用意された救済処置みたいなものなの」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「……」



ヴィーネガヴ「「えええええええ!?!?!?」」




167 : 以下、名... - 2017/10/09 11:34:19.69 iGBt7wG70 129/139



ラフィエル「よく考えてみてください。そんな命令するならなぜ、天使と悪魔は一緒の学校に通うことができるでしょうか?」

ヴィーネ「言われてみれば……そうね」

ガヴリール「なんでサターニャは魔界の試練だって、気付かなかったんだよ! この馬鹿!」

サターニャ「そんなものは噂だけでしか聞いたことなかったのよ! 都市伝説と思っていたの!」

サターニャ「後、馬鹿って言うな!」

ヴィーネ「と、都市伝説……」ズーン

ラフィエル「ヴィーネさんは素晴らしい悪魔なんですね!」

ヴィーネ「それ……褒めてる」

ラフィエル「褒めてますよー」ニコニコ



168 : 以下、名... - 2017/10/09 11:35:00.58 iGBt7wG70 130/139




ヴィーネ「じゃあ、魔界送りとかならないよね? 大丈夫だよね?」

サターニャ「ならないわ。あんたはもうちょっと、悪魔的行為について勉強しなさい。その様子だと仕送りのあげ方とか知らないでしょ?」

ヴィーネ「えっ!? 仕送りのあげ方があるの!?」

サターニャ「相手に嫌な思いや恋愛感情を抱かせると、仕送りアップね。その時、相手が抱いた感情は緩和されるわ」

ラフィエル「恋愛感情は悪魔的行為に入るのですか?」

サターニャ「相手の心を手に入れるようなものだからね」

ヴィーネ(ああ、それで仕送りが上がった時があったのか)



169 : 以下、名... - 2017/10/09 11:36:05.01 iGBt7wG70 131/139



ガヴリール「そういえば……もしも、ヴィーネが命令を守っていたらどうなるんだ?」

サターニャ「どうにもならないわね。どちらにせよ仕送りがあがるわ」

ヴィーネ「命令違反でも仕送りあがるの!?」

サターニャ「だって、命令違反だなんて……最高の悪魔的行為じゃない!」

ヴィーネ「……」

ガヴリール「ヴィ、ヴィーネ?」



ヴィーネ「ああああああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」



ラフィエル「まあまあ、良かったではないですか♪」

ヴィーネ「そうだけど! そうなんだけど!!」

ガヴリール「なんにせよ……ヴィーネは居なくならないんだな」ホッ


170 : 以下、名... - 2017/10/09 11:36:45.56 iGBt7wG70 132/139



サターニャ「さてと……遅くなったけど、昨日の誕生日会を始めるわよ!」スクッ

ヴィーネ「えっ!? 今からするの!?」

ラフィエル「この後予定があるのですか?」

ヴィーネ「いや、何もないけど……その……してもらうのは悪いし」ゴニョゴニョ

サターニャ「何言ってるの。当たり前じゃない!」

ラフィエル「そうですよ。今までのことは忘れて楽しみましょう!」


ヴィーネ「サターニャ……ラフィ……」ウルウル

ラフィエル「とはいっても料理の材料がありませんね。サターニャさん、買いに行きましょう」

サターニャ「そうね。タプリスも呼んで皆で楽しみましょう! 行くわよラフィ!」タッタッタッ

ラフィエル「あっ、待ってくださいサターニャさん! それでは行ってきます」ペコッ スタスタ 



――――ガチャッ   バタン



171 : 以下、名... - 2017/10/09 11:37:24.82 iGBt7wG70 133/139



ヴィーネ「……」

ガヴリール「……」

ヴィーネ「行ったわね……」

ガヴリール「そうだな……」

ヴィーネ「ねえ、ガヴ」

ガヴリール「なんだ?」

ヴィーネ「ありがとう。私のこと見捨てないでくれて」

ガヴリール「優しいヴィーネがあんなことするはずないからな。見捨てないよ」

ヴィーネ「うん……ありがとう」

ガヴリール「ああ……」


172 : 以下、名... - 2017/10/09 11:38:31.98 iGBt7wG70 134/139



ヴィーネ「……」

ヴィーネ「それと、昨日の屋上のことなんだけど……」

ガヴリール「!! お、おう……」



ヴィーネ「私もね。ガヴのこと好き……」



ガヴリール「!!」

ガヴリール「ほ、ほんとに? 嘘じゃないよな?」

ヴィーネ「嘘じゃないわ。だからね……これからも私と一緒に居てくれる」

ガヴリール「うん……もちろんだ。ずっと、一緒だ……」

ヴィーネ「ありがとうガヴ!」ギュッ

ガヴリール「ああ! これからはずっと一緒だ!」





ヴィーネ(あの後、サターニャ達はタプちゃんや黒奈ちゃんと合流したのち、皆でお祝いをしました)

ヴィーネ(一日遅れの誕生日会だけど……最高の忘れられない一日となりました)

ヴィーネ(そして、誕生日会は終わりサターニャ達はそれぞれ帰路につきました)



173 : 以下、名... - 2017/10/09 11:39:15.14 iGBt7wG70 135/139



ガヴリール「皆帰ったな……どうだ? 楽しかったか?」

ヴィーネ「ええ、楽しかったわ。生きている中で一番楽しかったわね」

ガヴリール「そうか、それはよかった」

ヴィーネ「うん……皆には感謝しかないわね」

ガヴリール「そうだな……」



ヴィーネ「じゃあ、私も帰るわね」

ガヴリール「え!? 泊っていかないのかよ!!」

ヴィーネ「明日も学校よ!? 今日はずる休みしたから明日は行かなきゃ!」

ガヴリール「真面目かよ!」

ヴィーネ「真面目で悪かったわね! もう、帰るわね!」

ガヴリール「分かったよ。じゃあな、ヴィーネ! また明日!」

ヴィーネ「ええ……また明日!」



174 : 以下、名... - 2017/10/09 11:39:54.39 iGBt7wG70 136/139



―ヴィーネの家―


ヴィーネ「はあ……今日は楽しかったな……」

ヴィーネ「帰って明日の準備をして……今日は寝ましょう」ガチャッ

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……ん? また黒い手紙が来てる!?」

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「中身を見るのは怖いけど……内容を確かめないとね……」ペラッ

ヴィーネ「……」ジー

ヴィーネ「……」

ヴィーネ「……クスッ」


ヴィーネ「さてと、明日も頑張りましょう!」



180 : 以下、名... - 2017/10/09 12:15:44.32 iGBt7wG70 137/139



『悪魔学校より』

『月乃瀬=ヴィネット=エイプリル様へ』


『あなたは魔界の命令よりも友を優先したことにより、下界においての評価が認められました』

『よって、仕送り額の増加を決定しました』

『今後、あなたの下界での活躍を期待しております』


『追伸』

『そして、これからも友を大事に』



      ―完―

177 : 以下、名... - 2017/10/09 11:42:28.25 iGBt7wG70 138/139


終わりです

長い間、お付き合いいただきありがとうございました


178 : 以下、名... - 2017/10/09 11:53:38.34 iGBt7wG70 139/139

それとこちらは過去作です

読んでいただければ幸いです

ガヴリール「嘘の告白?」マルティエル「はい、そうです」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1501172187/
http://ayamevip.com/archives/50653466.html


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