不良「お前ら、少年法って知ってるか?」
DQN「ショウネンホー?」
ギャル「なにそれ? 新しい化粧品?」
不良「俺もよく知らねえんだけどよ、未成年の犯罪者をかばうための法律らしいんだ」
DQN「へぇ~、オメーすげェな! 弁護士みてえじゃん!」
不良「へへへ……」
不良「でさ、この少年法のおかげで、俺らぐらいの年齢の奴は犯罪やっても大した罪にならないらしいぞ!」
DQN「マジかよ!」
ギャル「やだ~! サイコーじゃん!」
不良「だからさ……」
元スレ
不良「少年法で守られてるうちに人殺ししようぜ!」DQN「それいいな!」ギャル「おもしろそ~!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1506699005/
不良「少年法ってやつに守られてるうちに人殺ししようぜ!」
不良「なにしろ、人殺しなんてめったに経験できるもんじゃねえからな!」
不良「今のうち殺っとかないと、損だぜ!」
DQN「それいいな!」
ギャル「おもしろそ~!」
不良「へへへ……決まりだな!」
不良「さっそくターゲットを決めるか」
DQN「ワクワクしてきたぜェ!」
ギャル「誰にするする~?」
不良「そうだ! 俺らの担任の教師にしねえか!?」
DQN「そりゃいいな! あいつガミガミうるせえしよ!」
ギャル「うんうん! ちょっとスカート短くしただけで、ギャーギャーいってきたり~!」
DQN「しかもすぐ殴るしよ!」
不良「俺なんてバックドロップされたこともあるぜ!」
ギャル「やだ~! 超プロレス的~!」
DQN「よっしゃ、ターゲットは決まりだな!」
不良「だけどさ……」
DQN「ん?」
ギャル「どしたの?」
不良「あいつが俺らにうるさいのは、決して俺らが憎いからってわけじゃないと思うんだ」
DQN「あっ……!」
ギャル「たしかにそうかも……」
DQN「体罰だって、オレらみたいに殴られないと分からないような奴もいるしな!」
ギャル「一方的に悪者にするのはよくないかも!」
不良「やっぱあいつをターゲットにするのはやめよう……」
DQN「んじゃ、オレの元カノはどうだァ!?」
不良「元カノ?」
ギャル「どんな女なの~?」
DQN「とにかく金遣いが荒くてよ。オレも頑張ってコツコツ貢いでたんだけど」
DQN「結局、あんたみたいな金持ってない奴には愛想尽きたってフラれちまったよ!」
不良「ひでえ女だな」
DQN「ああ、さすがのオレもあの夜は一人でメソメソ泣いちまったよ!」
ギャル「かわいそ~!」
不良「フランダースの犬でもギリギリ泣かないお前が泣くなんて相当だな! やっちまおうぜ!」
DQN「だけど、今話しながら思ったけど、失恋ってのは人生につきものだよな」
不良「そりゃそうだな」
ギャル「あたしも何度かしてるもん!」
DQN「人間ってそうやって痛みを乗り越えて、成長していくもんじゃん?」
DQN「それに、あいつもそれなりにいいところもあったしな……」
不良「ってことは……」
DQN「ああ、元カノをターゲットにするのもやめだ!」
ギャル「DQN、男らしい~!」
ギャル「じゃさ、あたしのバイト先の先輩にしない?」
不良「どういう奴なんだ?」
ギャル「大学生の男なんだけど、もうホントキモくって!」
ギャル「あたしの胸や尻をしょっちゅうさわってくんの!」
不良「マジかよ!?」
DQN「セクハラじゃん!」
ギャル「嫌がっても、“いやよいやよも好きのうち”ってほざいてくるしさ~」
DQN「とんでもない奴だな……よし、そいつを血祭りに上げようぜェ!」
ギャル「でも……あの先輩、いいところもあるんだよね」
不良「へえ?」
DQN「どんな?」
ギャル「あたしがシフト代わってくれっていったら、大抵代わってくれるし」
ギャル「ミスってお客さんに怒られた時、かばってくれたこともあったし……」
不良「ふうん、やるじゃん」
DQN「完全なゲスってほどでもねェんだな」
ギャル「うん……死んじゃったらやっぱり寂しい、かも」
不良「う~ん、人殺しってのもなかなかムズいな」
DQN「ああ……どんなにムカつく奴にも大抵いいところの一つや二つあるし」
ギャル「たとえなくても、命を奪うまでもないって結論になっちゃうよね」
不良「だけど、殺しのチャンスは少年法に守られてる今のうちしかないぞ」
DQN「だよなァ~」
ギャル「どうしよ~! チャンスは絶対モノにしなきゃ!」
不良「よし、こうなったら人間はやめて動物にしよう!」
DQN「おっ、それ名案!」
不良「となると、どの動物にするか決めないとな」
ギャル「あ、猫はダメ! あたし猫飼ってるし~!」
DQN「犬もやめろよなァ! オレ、犬飼ってるから!」
不良「いきなり犬猫がアウトかよ」
ギャル「じゃあハムスターあたりにする?」
不良「絶対ダメ! 俺、パブリック飼ってるし!」
DQN「パブリック?」
ギャル「そんな動物いたっけ?」
不良「俺の飼ってるハムスターの名前だよ」
DQN「なんでそんな名前にしたんだよ」
不良「“ハム”って縦書きにすると“公(おおやけ)”って漢字にも見えるだろ?」
不良「で、“公(おおやけ)”を英語でいうと“public”だからパブリック」
DQN「オメー、ネーミングセンス超イカしてんな!」
不良「へへへ……」
不良「俺、あんまり弱いものイジメ好きじゃねえし、やっぱ強い動物のがいいかもな」
DQN「そうだな。どうせやるなら強いやつだ」
ギャル「うんうん!」
不良「じゃあさ、ヒグマはどうだ?」
DQN「ヒグマか……相手にとって不足はねェな」
ギャル「でも、あたしクマ結構好きなんだよね~、気が進まな~い」
不良「じゃあどうすんだよ? 虎やライオンにしてみるか?」
ギャル「いっそ、哺乳類から離れない?」
不良「うーん……そうするか」
不良「両生類?」
DQN「オレ、カエル好きだからダメ」
不良「鳥類?」
ギャル「インコ可愛いからダメ~!」
不良「虫?」
DQN「バカ! 一寸の虫にも五分の魂っていうだろ!」
不良「魚類?」
ギャル「あたしのおじいちゃん、漁師だからダメ~!」
不良「じゃあ爬虫類にしよう。ヘビにしよう、ヘビ!」
ギャル「うん、それいい! あたしヘビ嫌いだし! ニョロニョロしててキモイもん!」
DQN「一番強いヘビっていうとなんになる?」
不良「アナコンダだろうな……。ターゲットはアナコンダに決まりだ!」
DQN「アナコンダっつったら、たしかボア亜科のヘビだな。毒はなかったはず」
DQN「だけど日本にはいねェだろ。どこにいるんだ?」
不良「南米だろ、多分」
DQN「南米!? 地球の裏側じゃねェかよ!」
ギャル「しばらく日本を留守にしなきゃダメじゃん!」
不良「うーん……そうなっちまうな」
ギャル「ちょっと待って! あたし、これでも手芸部の部長だし、学校は休めないんだけど」
DQN「オレも! 老人ホームで介護のバイトしてるし……」
不良「俺だって地味に皆勤賞狙ってたんだよ!」
不良「でもさ、やるしかねえだろ! 少年法で守られてるのは今だけなんだからさ!」
ギャル「そうだね……少しぐらい学校サボってでも、やり遂げないとね」
DQN「倒そうぜ、オレたちの手でアナコンダを!」
不良「決まりだな」ニッ
不良「行くぞ……南米へ!」
キーン…
南米――
不良「ふぅ~、やっと着いた」
ギャル「暑いね~」
DQN「なんたって南米だからなァ~」
不良「ググってみたら、この村に住む“ボベボ族”って部族がアナコンダのすみかを知ってるらしい」
不良「すみませーん」
村人「ボベベ?」
不良「え?」
村人「ボベッボベボボベボベベベボベボ?」
不良「やべえ……言葉が分かんねえ。DQN、お前分かるか?」
DQN「オレは英語フランス語ドイツ語は話せるけど、これは分かんねえや」
不良「ちっ、使えねえな! クズが!」
DQN「すまねえ……」シュン…
不良「ごめん、いいすぎた」
不良(このままじゃアナコンダを探せない……どうしよう!?)
ギャル「あ、あたし分かるよ! ボベボ族の言葉なら!」
不良「なんで!?」
ギャル「あたしのパパ、少数民族を研究してる学者だから、ボベボ族の言語も教わったことがあんの!」
不良「へぇ~」
DQN「人は見かけによらねえな」
ギャル「見かけによらないはチョー余計~!」
ギャル「それじゃ話しかけてみるね。ボボベボベボボベボベボ」
村人「ボベボボボベボベボベボボボベボ」
ギャル「ベボボ?」
村人「ベボベボ」
ギャル「ベッボー」
村人「ベッボー」
DQN「どうだった?」
ギャル「アナコンダならこの先のジャングルにいるって!」
不良「よぉっし、行くぜ!」
ジャングル――
ガサガサ… ガサガサ…
不良「もう3時間は歩いてるな」
DQN「ギャル、大丈夫か? 女にはキツイだろ」
ギャル「全然平気~! 三歳までは家庭の都合でジャングルで育ったし」
DQN「大した女だぜ!」
不良「ったく、どこまで歩けばいいんだか――」ガサガサ…
不良「あ、あれは!?」
ニュルニュルニュル…
アナコンダ「シャァァァァァッ!!!」グワッ
不良「うわーっ! 出たーっ! あんなとこにアナコンダ!」
DQN「10メートル……いや、15メートルはありやがるぜ!」
ギャル「やだー……ぶっとくてながーい!」
不良「へへへ……バイクで制限速度を守って暴走してる時よりもゾクゾクしてきたぜ!」
DQN「どうするよォ!?」
不良「決まってんだろ……少年法を満喫するために、アナコンダをブッ倒す!」サッ
DQN「うおりゃ!」バキッ
アナコンダ「シャッシャッ」ニヤッ
DQN「全然効いてねえ!」
アナコンダ「シャァァァァァッ!」グワッ
ドカッ!
三人「ギャァッ!」ドザッ
不良「くっ……なんてヘビーな攻撃だ……!」
アナコンダ「シャッ!」バクンッ
ギャル「いやぁぁぁっ! 呑まれちゃうぅぅぅ!」
DQN「ギャルーッ!」
不良「ギャルをはなしやがれぇ!」ドカッ バキッ
アナコンダ「シャッ!」ペッ
ギャル「きゃっ!」ドサッ
DQN「不良、あぶねえ!」
アナコンダ「シャァァァァッ!」グルグルグルッ
不良「し、しまった! 巻き付かれた!」
ミシミシミシミシミシ…
不良「ぐ……! ぐは……っ!」ミシミシミシ…
ギャル「キャーッ!」
DQN「やべえ……全身の骨を砕かれちまうぞ!」
不良「二人とも……逃げ、ろ……」ミシミシ…
DQN「なにいってんだ!?」
ギャル「そんなことできるわけないじゃん!」
不良「いや……元はといえば……俺が悪かったんだ……」ミシミシ…
不良「俺が、少年法に守られてるうちに人殺ししよう、なんて、いわなきゃ……」ミシミシ…
不良「こんなことには……ならなかった……」ミシミシ…
不良「これは罰なのさ……俺は罰を受け入れる……っ!」ミシミシ…
DQN「あああっ……やめろっ、やめてくれぇっ!」
ギャル「イヤーッ!!!」
アナコンダ「命の大切さが分かったか?」シュルッ…
不良「へ……?」ドサッ
アナコンダ「手荒なマネをして、悪かった」
アナコンダ「しかし、知ってもらいたかったのだ……」
アナコンダ「命とは、尊いものなのだと」
アナコンダ「遊び半分に奪っていいものではないのだと……」
不良「ア、アナさん……」
DQN「とてもよく分かりました……」
ギャル「あたしたちが間違ってました……!」
アナコンダ「分かってくれればそれでよいのだ」
ギャル「太陽が眩しいね……」
不良「へっ……南米の熱い日差しが、俺たちを祝福してくれているようだ」
不良「帰ろう……日本へ!」
DQN「ああ!」
ギャル「ええ!」
アナコンダ「うむ!」
キーン…
日本――
不良「日本だーっ! やっぱり故郷は落ち着くなぁ!」
DQN「ほんのちょっとの南米滞在だったのに、まるで何年も留学してきたかのようだぜ」
ギャル「ホントホント~! 留学生になった気分~!」
不良「アナさん、どこか寄りたいところとかあるか?」
アナコンダ「せっかく日本に来たので、日本食をご馳走になりたいのだが……」
不良「よっしゃ! じゃあ俺んちに来いよ! うちは割烹店だから!」
DQN「不良の包丁さばきはプロ並みだからなァ!」
不良「へへへ……」
キャーッ!
不良「なんだ、今の悲鳴は!?」
不良「どうしたんすか!?」
アナコンダ「何があったのだ?」ニョロニョロ
主婦「ひったくりよぉ……! あいつらにバッグをひったくられたのよぉ!」
ブロロロロロロロ… ブォンブォンブォン…
金髪「いっただきーっ!」
ピアス「イエイイエイ!」
ビッチ「キャッホーッ! もっと飛ばしてーっ!」
不良「おいおい……改心した俺らの前でひったくりとはふてぇ奴らだ」
DQN「ちっ、メシ食う前にやることができちまったなァ」
ギャル「アナさん! お願い!」
アナコンダ「うむ! 私に乗りたまえ!」
アナコンダ「飛ばすぞ……本気を出したアナコンダはチーターよりも速い!」
ニョロニョロニョロニョロニョロッ
アハハハハ……
金髪「さっきのババアの財布、三万も入ってたぜ! 今日だけで30万ぐらい稼いだな!」
ピアス「だが、サツもそろそろ俺らをマークし始める頃じゃねえか?」
ビッチ「平気平気、どうせ捕まっても大した罪にはなんないし!」
金髪「少年法のおかげでな!」
金髪「そうだ、いっそ人殺しでもやらねェか? 殺しちまっても数年で出られるらしいし」
ピアス「そりゃいいな! シャバに出たら三人で告白本でも書いて印税で儲けようぜ!」
ビッチ「どうせやるなら、記録に挑戦しようよ!」
ギャハハハハ…… キャハハ……
不良「なんて奴らだ……! 少年法を盾に殺しをしようだなんて……!」
DQN「クズってのはこういう奴らをいうんだな……」
ギャル「許せない……!」
不良「おい」ザッ…
金髪「な、なんだてめぇら!?」
不良「少年法はよぉ……お前らみたいなクズを守るための法律じゃねえんだよ!」
金髪「なんだと~!? いきなり現れたと思ったら、キレイごといいやがって!」
ピアス「ちょうどいいや、こいつらブッ殺しちまおうぜ!」
ピアス「んで、その動画をYouTubeにでもアップすりゃ、俺らも人気ユーチューバーよ!」
金髪「ナイスアイディア!」
金髪「ってことだ、てめぇらには死んでもらうぜ」
不良「かかってきやがれ、ドクズども!」
金髪「オラァ!」バキィッ
不良「ふん……軽いな」
金髪「なに!?」
不良「少年法を盾にこそこそ悪事するお前らと、わざわざ南米まで旅に出た俺らじゃ――」
不良「レベルが違うんだよォ!!!」
バキィッ!
金髪「ぐっはぁぁぁぁぁ!」
DQN「そういうこった!」
ドゴッ!
ピアス「ぐげぇっ!」
ギャル「カカト落とし!」
ガツンッ!
ビッチ「ぎゃん!」
アナコンダ「三人とも締め上げてやったぞ」ギリギリ…
アナコンダ「どうする?」ギリギリ…
不良「うーん、そうだなぁ……」
金髪「た、助けてぇっ!」
ピアス「もう二度としません!」
ビッチ「許してぇぇ!」
不良「折っちゃってくれ。少なくとも、未成年の間は退院できないぐらいに」
アナコンダ「ラジャー」ニコッ
金髪「や、やめっ――」
ゴキゴキゴキ… ベキベキベキ… バキボキベキ…
ぐぎゃあぁぁぁぁぁ……!!!
不良「まさか、少年法を悪用しようとしてる奴らがいるなんてな……」
DQN「あァ……法律を武器に悪事をするなんて信じられねェ!」
ギャル「超ビックリ!」
不良「なぁ、アナさん」
アナコンダ「ん?」
不良「法律ってのは、善良な市民が不便なく生活できるために存在するものだと思ってたけど……」
不良「あいつらみたく、法律を逆手にとって悪さをするような奴もいやがる」
不良「しょせん、法律ってのも万能じゃねえんだな……」
アナコンダ「……」
アナコンダ「たしかにそうかもしれん」
アナコンダ「法律とて“穴”はある」
アナコンダ「だが、お前たちのような市民がしっかり法律を理解して、正しく運用しようと心掛ければ」
アナコンダ「その“穴”を埋めることは十分可能なのではないかな?」
不良「へへっ、そうだな!」
DQN「その通りだ!」
ギャル「アナさんの言う通り!」
ギュルルルルル…
不良「おっと、法律の穴を埋めるより先に、まずは胃袋を食い物で埋めないとな!」
アッハッハッハッハ……
おわり