【数日前・エンジェル珈琲】
ガヴリール「ヴィーネの誕生日かぁ」
「ご注文は以上でよろしいですか?」
ガヴリール「う~ん、あいつ何あげたら喜ぶんだ?」
「あっ、はい。お水ですね。少々お待ちください」
ガヴリール「部屋に可愛い小物とか多いし、そっち系とか……でも私センス無いんだよなぁ」
「お会計760円です。ありがとうございました」
ガヴリール「う~~~~ん」
マスター「て、てんまくん?ちょっとお仕事してみない?ちょっとだけでいいよ?」
ガヴリール「いま忙しいです」
マスター「ええー……」
元スレ
ガヴリール「ヴィーネと一緒にいたいから」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1507647531/
マスター「なるほど、あの子へのプレゼントを考えているんだね」
マスター「ふふふ、天真くんは友達想いの良い子だねぇ」
ガヴリール「ええ、まあ。いつも世話になってるし、媚び売っておこうと思って」
マスター「媚びって」
ガヴリール「マスターはどういうのがいいと思いますか?」
マスター「そうだねぇ、天真くんの気持ちがこもった物であれば、どれも最高のプレゼントになるんじゃないかな?」
ガヴリール「そういう綺麗事はいいんで」
マスター「ご、ごめんね!?アドバイスがふわっとしすぎたよね!!」
マスター「よく聞くのは自分が欲しい物を渡すというものがあるね。天真くんが欲しい物をあげたらどうだい?」
ガヴリール「ああ、金ですか」
マスター「そっ、そうなんだ。それはやめたほうがいいかな……!!」
マスター「女の子らしくアクセサリーはどうかなっ?」
ガヴリール「アクセサリーですか」
マスター「カバンとかに付けて貰えたら天真くんも嬉しいよね」
ガヴリール「まあ」
ガヴリール「アクセサリーか……」
ガヴリール「んー」
マスター「…………」
マスター「……私は、天真くんがあげたいものをプレゼントするといいと思うよ」
ガヴリール「私があげたいもの?」
マスター「そう。天真くんが一番あの子にあげたいものをね」
ガヴリール「それなら昨日出された宿題をあげたいです」
マスター「宿題は自分でやろうね天真くん!!」
【当日・ヴィネット宅】
「はっぴーばーすでーとぅーゆー♪」
「はっぴーばーすでーとぅーゆー♪」
ガヴリール「ヴィーネ」
ラフィエル「ヴィーネさんっ」
サターニャ「ヴィネット!」
「「「お誕生日おめでとう!」」」
ヴィーネ「みんなありがとう~~!!」
ヴィーネ「こんなにたくさんの飾り付けすごいわね!料理もいっぱい用意してくれて、本当に嬉しいわ!」
サターニャ「私の大切な悪魔仲間なんだから盛大に祝わないとね!」
ガヴリール「お前が自宅のコンロを盛大に爆発させた時はどうなるかと思ったけどな」
ラフィエル「サターニャさんは早めに応援役に回っていただいて正解でしたね!」
サターニャ「私の励ましで士気が上がったでしょう?」フフン
ガヴリール「だいぶうっとおしかったけどな」
ヴィーネ「なんだかその時の様相がありありと浮かぶんだけど」
ラフィエル「さてさて、早速ではありますが、ヴィーネさんにプレゼントを贈りたいと思いますっ」
ヴィーネ「わぁっ、ほんと?やったぁ!」
ラフィエル「私のはこれでーす」
ヴィーネ「あっ、くまのぬいぐるみ!」
ラフィエル「予想通りの返答ありがとうございますー」
ヴィーネ「へ?……あっ」
ガヴリール「うわぁ……悪魔が『あっくまのぬいぐるみ』って」ニヤニヤ
サターニャ「ぷふー!くすくす」
ヴィーネ「もうっ!ラフィ!」
ヴィーネ「ま、まあ、ありがとう。すごく可愛いし嬉しいわっ!」
ラフィエル「ちなみにお腹を押すと喋るんですよ」
ヴィーネ「へぇ~」ポチ
『お前を呪い殺してやる』
『お前を呪い殺してやる』
ヴィーネ「怖いわ!!!!!!!!」
ヴィーネ「こんなぬいぐるみイヤすぎる!」
ラフィエル「冗談ですよっ。右手を押すと録音を上書きできますから、可愛い台詞を喋らせてあげてください」ニコニコ
ヴィーネ「もう~~~!」
サターニャ「私のはこれよ!!」
ガヴリール「これは……」
ヴィーネ「『悪い子になる薬』……?」
ラフィエル「魔界通販ですか?」
サターニャ「違うわ。人間界でたまたま入ったお店で売ってたの」
ラフィエル「え……」
ガヴリール「裏面にラムネ菓子って書いてあるんだけど」
ヴィーネ「あ、ありがとうサターニャ。いつか使うわ───」
サターニャ「早速使ってみてヴィネット!」
ヴィーネ「ゔっ」
ラフィエル「ぐ、ぐふっ、ヴィーネさん……ぷくくく……早く使ってください」
サターニャ「ヴィネットっ」キラキラ
ヴィーネ「うゔっ!」
ヴィーネ「むむむ…………」
ヴィーネ「えいっ!」パク
ガヴリール「お、いったぞ」
ヴィーネ「……」ニョキ
サターニャ「ツノが出たわ」
ヴィーネ「……」バサ
ラフィエル「羽も出ましたね」
ヴィーネ「私の名はワルヴィーネ!!悪魔の本能に従い、悪いことをしまくってやるわ!!」バ-ン
サターニャ「おおっ!」キラキラ
ガヴリール「うわぁー……」ドンビキ
ラフィエル「あはははっ、ひーっ、ひーっ、おなかいたいっ」プルプル
ヴィーネ「そこの引いてる天使!イタズラしてやる!」バッ
ガヴリール「わ、私!?」
ヴィーネ「こちょこちょこちょ」コチョコチョ
ガヴリール「あっはっは!や、やめ!やめろヴィーネ!」
ヴィーネ「この!このこの!」コチョコチョ
ガヴリール「こいつっ、もうヤケになってる!うひゃひゃひゃ!コチョコチョやめてっ!!」
サターニャ「へー、本当に効くのねその薬。どんなジョークグッズよって思ってたけど」
ガヴィーネ「「なにーーーーーー!!?」」
ヴィーネ「私くすぐり損じゃない!!」
ガヴリール「私はくすぐられ損だぞ!?」
ラフィエル「いたたた、お腹つりました。いった!助けてください……!」プルプル
ガヴリール「最後は私からな」
ガヴリール「はいヴィーネ」
ヴィーネ「わぁ、かわいい!羽根のアクセサリーね!」
ガヴリール「それ、姉さんの提案で作ったんだ」
ガヴリール「姉さんが『お前がとんでもなく世話になっている方に感謝の気持ちを伝えなければ申し訳が立たない』って」
ヴィーネ「プレゼントの可愛さに反して込められた気持ちが重い」
ガヴリール「ちなみに、私とハニエルと姉さんの羽根で作ってる」
ヴィーネ「天使の羽根で……」
ラフィエル「ご利益ありそうですね~」
ヴィーネ「あ、これはガヴの羽根ね。先がちょっと丸くなってる」
ガヴリール「なんで私のってすぐわかるんだよ」
ヴィーネ「ガヴの部屋を掃除してるとたまに落ちてるもの。見覚えあるわ」
ガヴリール「まあ、季節の変わり目は抜けやすいからな……」
サターニャ「へぇ~、綺麗ね。ヴィネットちょっと見せて」
ヴィーネ「いいわよ」スッ
サターニャ「ありが───あばばばば」ビリビリ
ガヴリール「ああ、それ姉さんが魔除けの効果を付けたらしいぞ」
ラフィエル「ヴィーネさんには効果ないとダメなんじゃないですか?」
ヴィーネ「触ってもなんともないんだけど」
ヴィーネ「私悪魔よね……」
ヴィーネ「みんなどうもありがとう!」
ヴィーネ「プレゼント、大切にするわね!」
ラフィエル「サターニャさんのプレゼント、ちゃんと一日一粒飲んで悪い子になってくださいね」
ヴィーネ「………………うん」
サターニャ「さあ、ケーキも料理もたくさんあるし、今日は騒ぐわよ!」
サターニャ「カラオケセットも持ってきたんだから!」
ヴィーネ「こ、こら!あんまりうるさくすると近所の人に迷惑だから!」
サターニャ「悪魔が他人に迷惑かけなくてどうすんのよ!」
ガヴリール「こいつ縛っといていいんじゃね?」
ラフィエル「あ、ロープ持ってきてますよ」
ヴィーネ「なんでいつも持ってるの!?」
【帰り道】
サターニャ「楽しかったわねー」
ラフィエル「ヴィーネさん最高でした」
ガヴリール「…………」
ガヴリール「あっ!私ヴィーネの家に忘れ物してきたわ」
ラフィエル「ガヴちゃん?」
サターニャ「ドジねー。ちゃんと確認してから出なさいよ」
ガヴリール「取ってくるから先帰ってろ」タタタ
サターニャ「え?別に待ってるのに」
ラフィエル「サターニャさん」
サターニャ「ん?」
ラフィエル「ガヴちゃんもああ言ってることですし、先に帰りましょう」
サターニャ「なんで?ヴィネットの家すぐそこよ」
ラフィエル「ふふふ、ガヴちゃんのかわいい乙女心を察してあげてください」ニコニコ
サターニャ「はぁ?」
ラフィエル「さて、白線だけ踏みながら帰りましょうか。踏み外したらマグマに落ちるということで」
サターニャ「ふふん!大悪魔の私にはマグマなんて効かないわ」
ラフィエル「じゃあ100人の天使から矢を撃たれるということで」
サターニャ「ひぃっ!?えげつない!!」
【ヴィネット宅】
ピンポーン
ヴィーネ「あれ?誰かしら」
ヴィーネ「はーい」ガチャ
ガヴリール「よ、よお」
ヴィーネ「ガヴリール!」
ヴィーネ「もしかして、なにか忘れもの?」
ガヴリール「ん、んー、まあね」
ガヴリール「とりあえず、家にあげてよ」
ヴィーネ「うん?」
ヴィーネ「で、どうしたの?」
ガヴリール「いやー、まあ、なんというかね?二次会……的な?」
ヴィーネ「え?でも、さっき一通り片付けちゃったじゃない。サターニャやラフィは?」
ガヴリール「あいつらはどうでもいいから!」
ヴィーネ「どうでもいいって……」
ガヴリール「ゔぃ、ヴィーネさん!!」
ヴィーネ「は、はい!」
ガヴリール「これ……あげますので」スッ
ヴィーネ「なに?この包み」
ガヴリール「……開けてみて」
ヴィーネ「…………エプロン」
ガヴリール「あいつらの前でガチなプレゼント渡したら、からかわれそうだし……」
ガヴリール「……マスターに相談したら、プレゼントは自分のあげたいものをあげるのがいいって言うからさ」
ガヴリール「いやほら、私にご飯作ってくれる時さ、ヴィーネいつもわざわざ自分の家からエプロン持ってくるしさ?」
ガヴリール「使ってるのも、古いやつっぽいし、よれてるから」
ガヴリール「うちに、置いておけば、いつでもご飯作りやすい。と思ってさ……」
ヴィーネ「…………」
ヴィーネ「ふふ」
ガヴリール「な、なに」
ヴィーネ「これを使ってご飯作ってくれってこと?それ遠回しなプロポーズかなにか?」
ガヴリール「ち、違う!」カァァ
ヴィーネ「違うの?」ニコニコ
ガヴリール「うっさいなもぉ……!こっち見んなよ」///
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「ん?」
ヴィーネ「このエプロンとっても可愛い。ありがと」
ガヴリール「ん」
ヴィーネ「あと、私と二人になりたくてわざわざ戻ってくるガヴもとっても可愛い」
ガヴリール「ぐ……」///
ヴィーネ「その気持ちも含めて、すごく嬉しいわ。ありがとう」
ガヴリール「ん……」
ヴィーネ「さて、それじゃあ早速使わせてもらっていい?」
ガヴリール「え?」
ヴィーネ「やるんでしょ?二次会」
ヴィーネ「一晩中おしゃべりするにはやっぱり美味しいお菓子がないとね」
ガヴリール「あ……」
ガヴリール「うん、そうだね」
ヴィーネ「じゃあ、ちょっとだけ待ってて」
ガヴリール「ん」
ヴィーネ「~~~♪」カチャカチャ
ガヴリール「…………」
ガヴリール(さっきの仕返ししてやろ)
ガヴリール「ヴィーネ、エプロン似合うね」
ヴィーネ「そう?」
ガヴリール「ほんとにうちに嫁に来ちゃう?」ニヤニヤ
ヴィーネ「…………」ピク
ガヴリール「お?どうした?」ニヤニヤ
ヴィーネ「……………………考えとく」
ガヴリール「なっ!?」カァァ
ヴィーネ「何よ、自分から聞いたくせにぃ」ニヤニヤ
ガヴリール「え、あ、だってヴィーネが照れる予定だったし……!」
ヴィーネ「顔まっかじゃない」
ヴィーネ「あ!二次会だけど、女の子らしく恋バナとかしよっか!」
ヴィーネ「もちろん付き合ってくれるんでしょ?ガヴリール」ニコニコ
ガヴリール「そんなテンションのヴィーネと恋バナとか無理だから!」
ヴィーネ「そうだ! ガヴ、もう一回歌ってよ」
ガヴリール「な、何を?」
ヴィーネ「お誕生日のうた!」
ガヴリール「えぇ?なんで?」
ヴィーネ「いいじゃない、ガヴの歌ききたいんだもの」
ヴィーネ「歌ってくれたら恋バナは勘弁してあげる」
ガヴリール「むむむむ……」
ガヴリール「……は、」
ガヴリール「はっぴ♪ばーすでー♪とぅーゆー♪」
ガヴリール「はっぴ♪ばーすでー♪とぅーゆー♪」
ヴィーネ(かわいい)
ガヴリール「う、歌ったぞ」
ヴィーネ「ありがとう!」
くまのぬいぐるみ『はっぴ♪ばーすでー♪とぅーゆー♪』
ヴィーネ「毎晩聴いて寝るわ」
ガヴリール「あっ!?お前早速ラフィのぬいぐるみ活用しやがって!」
ガヴリール「ヴィーネ調子乗りすぎ!」
ヴィーネ「だってさっき悪い子になる薬飲んじゃったもーん。悪い子なんだもーん」
ガヴリール「ただのラムネだろ!?」
ガヴリール「も、もう帰る!これ以上ここにいたら何されるかわからん!」
ヴィーネ「だーめ!まだ私の誕生日は終わってないんだから、色々わがまま聞いてくれたっていいじゃない!」
ガヴリール「誕生日は何やってもいい日じゃないから!」
ヴィーネ「逃がさないわよガヴ!一晩中お話しするんだから!」
ガヴリール「良い子は早く寝なさい!」
ヴィーネ「いまは悪い子なの!」
ガヴリール「えい!」ダッ
ヴィーネ「あっ、こら逃げるな」ガシ
ヴィーネ「捕まえた!ほら観念しなさい」ギュッ
ガヴリール「ぐうううう~~~!」///
ヴィーネ「うふふ。さーて、二次会楽しみねガヴリール」ニコニコ
ガヴリール「なんでヴィーネやたら嬉しそうなんだよ!?」
ヴィーネ「そんなの決まってるじゃない?」
ヴィーネ「ガヴと一緒にいれるから!」
完