はじめ「うん、特定のサブクエストをクリアすると通常の報酬に加えて」
はじめ「依頼者の女の子が主人公にキスしてくれるっていう……ご褒美的な? 言っちゃえばおまけシーンなんだけどさ」
はじめ「こういうのっておまけとはいえ結構色っぽく作った方がプレイヤーからの反響いいんだよねぇ」
青葉「まあ……そうでしょうね」
はじめ「そこで相談なんだけど」
はじめ「モーションの参考にしたいから青葉ちゃんちょっとひふみ先輩とキスしてくんない?」
青葉「!?」
ひふみ「!?」ガタッ
ゆん「何やねんその新手のセクハラ」
元スレ
青葉「キスシーンのモーションですか」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1472132362/
はじめ「あはは、いや冗談だって冗談」
青葉「で、ですよねー」
ひふみ「……」シュン
ゆん「いや冗談でも十分セクハラの域入っとるやろ今の……青葉ちゃんしっかり怒っといた方がええで」
はじめ「ちょっとー、そんな怖い顔しないでよー」
はじめ「まあでも青葉ちゃんとひふみ先輩にちょっと協力して欲しかったのは事実なんだけどねー」
青葉「え」
はじめ「いや、ひふみ先輩クールだしちょっとナイト君っぽいしさぁ」
はじめ「そんでこのサブクエストに出てくる子はちょっと青葉ちゃんに似てるしさぁ」
はじめ「そんで理想のキスシーンの参考になるような動画も画像もネットで見つからないから」
はじめ「どうしようかなーって思ってたんだよね」
青葉「は、はあ……」
青葉「で、でもほら……ひふみ先輩は私とキスするとか嫌だと思いますし……」
ゆん「……青葉ちゃんその言い方やとひふみ先輩さえ良ければキスしてもいいみたいにも聞こえるで」
青葉「えっ!?」///
ひふみ「!!」ガタッ
青葉「あっ、いえ、その、今のはあくまでひふみ先輩の意見を考えたってだけでして、その……」///
はじめ「ひふみせーんぱーい! 実際どうなんですかー?」
ひふみ「え……ふぇっ!?」///
はじめ「青葉ちゃんにキスされるってそんなに嫌ですかー?」
ひふみ「えっ、あっ……え、えっと……」///
青葉「ちょ、ちょっとはじめさん! ひふみ先輩困ってるじゃないですか!」///
ゆん「はじめー、そろそろええ加減にせんと……」
ひふみ「……じゃ……なければ……」
ゆん「え?」
はじめ「へ?」
ひふみ「わ、私も……」
ひふみ「青葉ちゃんが……嫌じゃなければ……」
ひふみ「キス……構わない……けど……」
青葉「……え」
ひふみ「……」///
青葉「えええええええ!?」///
青葉「……」もじもじ
ひふみ「……」もじもじ
ゆん「……何か二人がすごいアレな空気になってしもたんやけど」
はじめ「うーむ……冗談で始まったこのやりとりがまさかガチになるとは」
ゆん「いやホンマこれはじめの責任やからな。どないすんねん」
はじめ「んー、ここまで話進んじゃった以上逆にキスさせないのも変か」
ゆん「……いやいやいやその考え方もどうなん!? ええん!? その考え方で間違うてないん!?」
はじめ「はーい、じゃあ二人ちょっと立ち位置とか指示するから聞いてー」
ゆん「え、ちょ、ホンマにやるん!?」
はじめ「うん、そんな感じ……ひふみ先輩と向かい合って……」
はじめ「ここでクエストクリアの報酬を普通に渡すわけね」
青葉「は、はい……」ドキドキ
はじめ「そんでそのあと『これもお礼』って感じでスッと顔近づけて軽くちゅっと」
青葉「か、軽く……ちゅっと……」ドキドキドキ
ひふみ「……」ドキドキドキ
ゆん(ひふみ先輩顔真っ赤やけど大丈夫やろか……)
はじめ「じゃ、お願いしまーす」
青葉「……じゃ、じゃあ……しますよ……」ドキドキ
ひふみ「う、うん……」ドキドキドキ
青葉「……」ドキドキ
ひふみ「……」ドキドキドキドキ
はじめ「……」じー
青葉「……あ、あんまり見ないでください!」
はじめ「いや見ないとモーションの参考にならないからね!?」
青葉「えっ!? あっ、そっかそうでしたね!!」
ゆん「一応モーションの参考ってこと忘れとったんか青葉ちゃん……」
ひふみ(……私も忘れてた……)
青葉(スッと顔近づけてキス……スッと顔近づけて……)
青葉(……ひふみ先輩の唇に……)
ひふみ「……」ドキドキドキドキ
はじめ「……」じー
ゆん(……ん? よく考えたらこれウチは見てる必要ないんちゃうかな……?)
青葉「……っ!」
ちゅっ
ひふみ「んっ!」ビクッ
ゆん「!!」
はじめ「!?」
青葉「っ!」パッ
ひふみ「ぁ……」
青葉「は、はい! 終わりました!」///
ひふみ「ぁ……ぁ……」ドキドキドキ
ゆん「ひゃぁぁ……いやホンマにしてもーたなぁ二人でキス……」ドキドキ
青葉「あ、改めて言わないでください!! 何か変に恥ずかしいじゃないですか!!」
ひふみ(キ、キス……ホントに……しちゃった……あ、青葉ちゃんと……!)///
青葉「あっ、あのっ! どうでしたかはじめさん! 参考になりましたかっ!?」///
はじめ「……ごめんすごい重大なこと言い忘れてた」
青葉「え?」
はじめ「キスするのほっぺたなんだわ」
ゆん「はじめのアホぉぉぉ――ッ!!」バシィン!
はじめ「いてぇ!!」
ゆん「何でそれ早く言わんのや!! 立ち位置の指示のときに言うべきやろそれ!!」
はじめ「いやそもそもサブクエストの報酬のおまけなんだから口と口でキスしないでしょ!!」
ゆん「するかもしれんやろ場合によっては!!」
はじめ「どういう場合だよ!!」
青葉「あ、あの……」
はじめ「あっ」
ゆん「あっ」
青葉「……ほ、ほっぺたでもう一回した方が……?」///
はじめ「い、いやもういいや! 何かごめん!! 本ッ当にごめん!! ひふみ先輩もすんませんでした!!」
ひふみ「う、ううん……」///
青葉「……」
青葉(だああああああ!! どうしようどうしようどうしようどうしよう)
青葉(何かすごいとんでもない勘違いでひふみ先輩の唇奪っちゃったああああ!!)
青葉(確かにはじめさんどこにキスするとか言ってなかったけど!! でも!!)
青葉(普通に考えて唇は無い!! 唇は無い!! 何で唇にキスするって思ったの私!!!)
ピコーン
青葉「ひぃっ!?」
青葉「メ、メッセ……?」
メッセ『From:ひふみ☆ 青葉ちゃんちょっとオフィスの外出れる?』
青葉「……」ざわ・・
青葉(ひふみ先輩がメッセに顔文字付けてない!! やっぱり怒ってる!!)
青葉「……」
ひふみ「……」
青葉(ど、どうしよう……何て謝ればいいんだろう……)
青葉(『キスしちゃってごめんなさい』……いやド直球すぎる……)
青葉(かといって『さっきはごめんなさい』……これはボカしすぎてて謝罪にしてはちょっと……)
ひふみ「あ、あの……」
青葉「えっ!? あっ、は、はいっ!」
ひふみ「その……青葉ちゃん……」
青葉「はいっ!!」
ひふみ「……ご、ごめんね……さっきの……」
青葉「……え?」
ひふみ「だ、だって……私が青葉ちゃんが嫌じゃなければ……なんて言わなければ……」
ひふみ「あんなことには……」
青葉「い、いえいえ! そんな……わ、私がキスする場所勘違いしなければ……」
ひふみ「……あの……青葉ちゃん……」
ひふみ「ホントに……嫌じゃなかった……?」
青葉「えっ」
ひふみ「も、もしも……あの場の空気に流されてたとか」
ひふみ「変な気遣いで……とかだったら」
ひふみ「ちゃんと……言って欲しい……かなって……」
青葉「や、あの、それは違います! ホントに、その……」
青葉「……嫌じゃ……なかったですよ……? ひふみ先輩と……キス……」
ひふみ「……い、今のも……」
ひふみ「私に……気を使ってるんなら別に……っ……」
青葉「……ッ」
青葉「んっ!」
ちゅっ
ひふみ「んむっ!?」
青葉「……は……っ……」
ひふみ「……あ、青葉……ちゃ……?」
青葉「……嫌じゃないって信じていただけないなら……」
青葉「信じていただけるまで何度でもキスしますよ……?」
ひふみ「え? あ……えっ……」
青葉「モーションの参考だからとか……そんな理由じゃなくて」
青葉「正真正銘……私の気持ちの籠ったものを……」
ひふみ「……」
ひふみ「……」
青葉「……」
ひふみ「……し……」
ひふみ「信じる……けど……」
ひふみ「……もう一回……欲しい……かも……」
はじめ「……あの二人一緒に部屋出て行ってからしばらく経つんだけど」
はじめ「どうしようこの後二人の間に変な空気できたら」
ゆん「まあ……しばらくの間はアレな空気になるやろな……」
はじめ「……だよね」
ゆん「とりあえず二人が戻って来たらちゃんと謝っとき」
はじめ「……はい」
ウィーン
ゆん「あ、二人が戻っ……」
はじめ「うあああああ二人ともすいませんでしたぁああああ!!」
ひふみ「?」ポー
青葉「何がですか?」ぎゅっ
ゆん(ポーッとしたひふみ先輩の腕に笑顔の青葉ちゃんが絡みつくように抱き着いとる――!!)
はじめ(別の意味で二人の間に変な空気できてる――!!)
数日後
青葉「ひふみ先ぱーい! そろそろお昼行きませんか?」
ひふみ「うん……これすぐ終わるから……これが終わったら……」
はじめ「……ほら、何ていうかさ」
はじめ「二人の関係が気まずくなったわけではないし?」
はじめ「ひふみ先輩が青葉ちゃんと笑顔でお昼食べに行ったりと随分明るい人になったし?」
はじめ「決して……悪い状況ではないよね? この状況」
ゆん「……せやけどな」
ひふみ「……うん、終わったよ」
青葉「お疲れ様です」
ちゅっ
ひふみ「っ!?」///
青葉「えへへ、それじゃお昼行きましょう」
ゆん「青葉ちゃんが仕事中でも構わずひふみ先輩にめっちゃキスする子になってしもたんはあかんやろ」
はじめ「マジすいませんでした」
おわり