1 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:46:13.26 xrQ9YzKJ0 1/19

「ほら、今日はハロウィンだろ?」

鹿島「……そうですね」

「……そんじゃ、トリックオアトリート」

鹿島「……そんな事言わないで。 僕はこれ以上、君の悪い部分を見たくないんだ……だからイタズラなんてしないでくれ」

鹿島「……はい、飴です!!」

「おう、サンキューな。 今日はちゃんと部活来いよ」スタスタ

鹿島「はーい」

元スレ
堀「ハッピーハロウィン」鹿島「!!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1477831572/

2 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:47:15.51 xrQ9YzKJ0 2/19

「……」

(妙だな……)

(今の鹿島……なんか違和感があったな)

(いつもよりも……イケメンっぽくないっつーか……覇気がないっつーか……)









鹿島「……」

鹿島(私、今日誕生日なんだけどなぁ)

鹿島(……)

鹿島(……ん? なんだろう、この気持ち)

3 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:47:47.64 xrQ9YzKJ0 3/19

女子「鹿島くーん!!」

鹿島「!!」

女子「誕生日おめでとー!!」

鹿島「うわー!! 覚えててくれたの!? ありがとう!!!」

女子「はいこれ!! 誕生日プレゼント!!」

鹿島「ありがとう!! 凄い嬉しい!!」

佐倉「鹿島くーん!! 誕生日おめでとー!!」

瀬尾「ハピバー」

鹿島「千代ちゃん!! それに先生も……ありがとう!!」

4 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:48:20.58 xrQ9YzKJ0 4/19



鹿島「ねぇねぇ二人とも」

佐倉「何?」

鹿島「二人はさ……誕生日祝ってもらえないとどう思う?」

瀬尾「『は? 祝えよ』って思う。 怒り爆発!! みたいな」

鹿島「そっか……千代ちゃんは?」

佐倉「うーん……覚えててなかったとかだったら……しょうがないかなぁって思うかな」

鹿島「そっかぁ……」

鹿島「……」

鹿島(なんか違うなぁ)

佐倉「鹿島くん、何かあったの?」

鹿島「ううん!! なんでもないよ!!」

瀬尾「分かった、覚えてないやつがいるんだ。 だったら今日、誕生日だよって言えばいいじゃん」

鹿島「いや、本当になんでもないんだ……なんかごめんね、変な質問しちゃって……」

5 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:48:55.19 xrQ9YzKJ0 5/19

鹿島「うわーあっという間に放課後だー」

鹿島「……」






瀬尾『だったら今日、誕生日だよって言えばいいじゃん』











鹿島「……」

鹿島「それは違う気がするんだよなぁ……」

鹿島「……と、それは兎も角……部活に行かないと……」

女子「鹿島くーん!!!」

女子「ねぇねぇ!! これからみんなで食べに行かない!?」

鹿島「ええっ!? いいの!!?」

女子「うん!! 折角の誕生日なんだからみんなで祝いたいの!!」

女子「私もーー!!!」

鹿島「みんな……私の為に……嬉しいなぁ」

鹿島「……!!」











『今日はちゃんと部活来いよ』












鹿島「……」

女子「……鹿島くん? 何かあったの?」

鹿島「ううん!! なんでもない!! どこに行こっか?」

6 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:49:23.89 xrQ9YzKJ0 6/19

「……」

部員「堀ちゃん、イライラしてるね」

「……当たり前だろ、ちゃんと来いっつったのに……」

「なんであいつは部活に来ねえんだあああああ!!!」

部員「お、落ち着いて堀ちゃん!!!」

「これが落ち着いていられるかぁ!!」

部員「うーん……今日は部活に来てほしかったけどなぁ鹿島くん」

部員「確かに……誕生日だしな。 祝いたいよね」

「は? 誕生日?」

部員「あれ、堀ちゃん知らなかったの? 今日、鹿島くんの誕生日だよ?」

「……!!!」

(そうだ、一年前……)

7 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:50:02.55 xrQ9YzKJ0 7/19

鹿島『堀先輩!! 今日はなんの日か知ってますか!!?』

『ハロウィンだろ?』

鹿島『それもそうですけど……もっと大事な日です!!』

『なんだよ?』

鹿島『私の誕生日です!!』

『! お前、今日誕生日なのか?』

鹿島『はい!!』

『そうか……誕生日おめでとう』

鹿島『ありがとうございます!! 来年は覚えててくださいね!!!』

『おう、分かった分かった』

男子『堀ちゃーん! ちょっと来てー!』

『おう、今行く!!』ダッ

鹿島『……』

鹿島(覚えててくれるかなぁ)

8 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:50:29.45 xrQ9YzKJ0 8/19

「……」

(そうか、今言われて思い出した……)

(……それにあの違和感の正体……)

「……なぁお前ら」

部員「?」

「頼みたいことがある」

9 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:50:58.11 xrQ9YzKJ0 9/19

鹿島「ほら、アーンして……」

女子「アーン///」

女子「いいなー!! 私も私もー!!」

鹿島「焦らないで……一人ずつちゃんとやるからね」

女子「はーーい!!」

プルルルル……

鹿島(! 電話……誰からだろう)

鹿島(……!! 堀ちゃん先輩!!?)

ピッ

鹿島「も、もしもし?」

『鹿島てめぇ!! 部活サボってどこ行ってんだお前はぁ!!』

鹿島「ご、ごめんなさい!!」

10 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:51:24.94 xrQ9YzKJ0 10/19

『おい!!! お前今どこにいる!!?』

鹿島「え、ええと……レストラン◯◯で女の子達と……」

『そいつら全員帰らせろ!!! そんで近くにある公園で待ってろ!!!』

鹿島「え、ええっ!? なんでですか!!?」

『部長命令だ!!!』

プツッ

鹿島「き、切れちゃった……」

女子「鹿島くん、私にもアーンして……」

鹿島「……ごめんみんな!!!」

女子達「???」

11 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:51:52.59 xrQ9YzKJ0 11/19

公園

鹿島「……」

鹿島「もっとみんなといたかったけど……部長命令だししょうがないよね」

鹿島「でも堀先輩……何考えてんだろう?」

タッタッタッ……

鹿島「……!!!」

「はぁ……はぁ……」

鹿島「堀先輩……」

「……」

鹿島(あー……部活サボったから怒られるか蹴られるかかなー)

「……悪かった」

鹿島「……へ?」

12 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:52:28.94 xrQ9YzKJ0 12/19

「誕生日……覚えててなくて……はぁ……悪かった……」

鹿島「!!!!」

「朝……お前と話した時……なんかいつもと違った気がしたんだ……」

「忘れられるのも……覚えられてないのも……祝ってもらえないのも……悲しいよな……」

鹿島「……」

鹿島(そっか……私はあの時……)













『ハッピーハロウィン』

鹿島『!!』












鹿島(……悲しかったんだ)

鹿島(私は第一声で……誕生日を祝って欲しかったんだ)

13 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:52:54.91 xrQ9YzKJ0 13/19

「……鹿島……」

鹿島「……なんですか?」

「……誕生日、おめでとう」

鹿島「!!」

「……」

鹿島「……ありがとうございます!!!」

「その……悪いな……プレゼント……何も用意してねえ……」

鹿島「そんな……プレゼントなら貰いましたよ!! 堀先輩のお迎えです!!」

「……そっか」

「……よし、部活に戻るぞ。 まだ時間は残ってる」

鹿島「はい!!!」

14 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:53:34.89 xrQ9YzKJ0 14/19

学校

「お前ら帰ったぞー」

鹿島「ごめんなさい、遅れましたー」

パアーン!!!

鹿島「!!!」

部員「「「「「「鹿島くん誕生日おめでとーーーーー!!」」」」」」

鹿島「み、みんな……」

「部活で祝うのが俺だけなわけねぇだろ?」

鹿島「みんな……本当にありがとう!!!」ニコッ

「……!!!」

部員「はいこれ!! 僕からのプレゼント!!」

部員「私からも!!!」

「……」

部員「……堀ちゃん? なんかあった?」

「……いや、なんでもねぇよ」

「……」

(今のアイツの顔……)

(なんだよアイツ……ヒロインにもなれるじゃねえか)

15 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:54:01.61 xrQ9YzKJ0 15/19

帰り道

鹿島「今日は本当にありがとうございました!!! 堀先輩が誕生日の時もちゃんと祝います!!」

「おう、ありがとな」

鹿島「11月28日、楽しみにしてくださいね!!」

「!! お前、俺の誕生日知ってたのか?」

鹿島「勿論ですよ!! 先輩の誕生日覚えるのは当たり前です!!」

「……本当ごめんな、覚えてなくて」

鹿島「そんな謝ることじゃないですよ!! それに私……迎え嬉しかったです!!!」

鹿島(迎えに来るのも……二人で一緒に帰れるのも……可愛がられてる証拠だよね!!)

16 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:54:28.58 xrQ9YzKJ0 16/19

「……」

鹿島「先輩?」

「……オホン!!」

鹿島「?」

「……お姫様……この後、ご予定はございますか?」

鹿島「へ?」

「私は……あれだけでは祝い足りないのです」

「貴女の願い事を……なんなりと申してください」

鹿島「……」

「……」

鹿島「私はね……君とこれから残りの時間……一緒にいたいな」

鹿島「この願い……聞いてくれるかな? お姫様」

「俺はお姫様じゃねえよ!!」ドカッ

鹿島「ぐはっ!!」

17 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:54:55.17 xrQ9YzKJ0 17/19

鹿島「だってー……やっぱお姫様って言われるのはなんか違和感ありますよ」

「誕生日の主役なんだ、そういう日があってもいいと思うぜ?」

鹿島「!! ……じゃあ……先輩がそういうなら……」

「……ああ、明日になればお前はいつもの王子に戻るんだ。 今のこの瞬間を味わえ」

鹿島「……はい!!!」ニコッ

「!!!!」

鹿島「私……貴方と……ケーキが食べたいわ」

「……」

鹿島「……先輩?」

「……!! お、おう……じゃあ……買いに行くか」

18 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:55:21.29 xrQ9YzKJ0 18/19

鹿島「ごちそうさまでした!! お休みなさい!!」

「おう、お休み」













「……」















鹿島『みんな……本当にありがとう!!!』ニコッ












鹿島『……はい!!!』ニコッ













(あの顔……もう見れねえのか)

(俺は来年、卒業しちまうしな)

(常にイケメンじゃねえ鹿島なんて鹿島じゃねえ……けど……)

(たまには見てえな……あの顔も……)

19 : ◆LYNKFR8PTk - 2016/10/30 21:56:04.44 xrQ9YzKJ0 19/19

鹿島「最近、堀ちゃん先輩が週一の頻度で私にスカートをくれるんだけど」

御子柴「は?」

鹿島「それでヒロインの演技しろって言ってくるんだ」

御子柴「は??」

鹿島「これって演技の幅を広げろってことだよね!!」

御子柴「まぁ……そういうことじゃねえの?」












若松「最近、堀先輩がマミコにも光ってるトーンを俺に貼らせようとするんですけど……」

野崎「何故だ!!?」













「鹿島だったらどんな場面でも……男役でも女役でも光るぜ!!」

~終わり~

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