1 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 21:46:57.659 K8XvovLP0 1/29

勇者「でやぁっ! とりゃあっ! だあっ!」

ザシュッ! ザンッ! ズバッ!

ゴーレム「グハァッ!」

オーク「ち、ちくしょう……!」

触手「さすが勇者ですね……」ウネウネ

勇者「俺の目が黒いうちは、魔物に悪さはさせないぞ!」

勇者(今日はそろそろ帰るか……)


元スレ
女「この人、痴漢です!」勇者「は!?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1504529217/

2 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 21:49:34.459 K8XvovLP0 2/29

―電車―

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

勇者(ふぅ……今日も大勢の魔物を撃退することができた)

勇者(このままいけば、近いうちに魔王と対決できそうだな)

勇者(対決を通じて、なんとか人と魔物で和解を――)

「キャーッ!!!」

勇者「ん!?」

6 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 21:54:10.188 K8XvovLP0 3/29

「この人……痴漢です!」

勇者「は!?」




ザワッ……

7 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 21:56:40.899 K8XvovLP0 4/29

勇者「俺が痴漢!? あなたはなにをいってるんだ!」

「この人……私の胸やお尻をさわってきたんです!」

勇者「バカな! 俺はさわっていない!」

大男「いーや、オレは見たゾ」

デブ男「オレも見た!」

ロン毛「オレも見ました!」ファサッ

勇者「そ、そんな……!」

8 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 21:59:16.070 K8XvovLP0 5/29

ザワザワ… ガヤガヤ…

「マジで!?」 「勇者様が痴漢!?」 「信じられなーい!」 「ショックだわー」



勇者「いや……違う! 俺は吊り革につかまって立ってただけだ!」

「ふふん、まだ言い逃れするつもり? 勇者ってのは案外往生際が悪いわね」

「あれだけ目撃者がいたんだから、次の駅で降りてもらうわよ!」

勇者「ぐぐっ!」

10 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:04:08.446 K8XvovLP0 6/29

―駅―

兵士「勇者様が痴漢を!?」

勇者「違う! 俺はやってない!」

兵士「法律の前には勇者様も平等です。城で裁判を受けていただきます」

勇者「……分かった。出廷する」

勇者「無実の罪を晴らすために!」



「……できるかしらねえ」クスクス

大男「ククク……」

デブ男「ぐへへ……」

ロン毛「フフフ……」ファサ

12 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:07:30.560 K8XvovLP0 7/29

―城―

裁判長「これより勇者の裁判を始めます」

裁判長「勇者よ、あなたは彼女の体をさわりましたか?」

勇者「さわってない! 断じて!」

裁判長「――と申していますが?」

「いーえ、さわられました!」

大男「オレ、バッチリ見たぜ!」

デブ男「オレもオレも! オレ、視力0.9だぜ!」

ロン毛「思い切りさわってました!」ファサッ

裁判長「う~む、これだけ目撃証言があってはねえ……」

勇者「待って下さい! 彼らは嘘をついているんです!」

15 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:10:15.444 K8XvovLP0 8/29

「裁判長、この目が嘘をついてるというの?」ジッ…

裁判長「う、う~む……」

勇者「裁判長!」

裁判長「うむむ……」

「勇者を有罪にしたら、パンツあげる」ボソッ

裁判長「有罪!!!」カンッ

勇者「そ、そんな……!」

18 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:13:24.600 K8XvovLP0 9/29

国王「判決は下ったようだな」ザッ

国王「誠に残念だ、勇者よ」

勇者「陛下……!」

国王「どうやらおぬしに勇者の称号を与えたワシの目は、濁っておったようだ」

国王「本日この場より、勇者から勇者称号をはく奪する!」

国王「勇者としての活動はもちろん、城への出入りも禁止する!」

勇者「くうっ……!」ガクッ

20 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:15:22.940 K8XvovLP0 10/29

ブーブー… ブーブー…

兵士「さあ、とっとと出ていけ!」

元勇者「どうしてこんなことになったんだ……」トボトボ





「……」

「ふっ……」

21 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:18:10.808 K8XvovLP0 11/29

「フッ……アハハ……」

「アハハハハハハハハハッ!」

「アーッハッハッハッハッハ! 笑いが止まらないわ!」


バサァッ!


女魔王「まさか、こうまで上手くいくとはな!」

22 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:22:46.125 K8XvovLP0 12/29

大男「やりましたネ!」ボンッ

ゴーレム「魔王様の作戦が大当たりダ!」


デブ男「まったくだぜ!」ボンッ

オーク「魔王様は天才だ!」


ロン毛「おかげで労せずしてあの勇者を」ボンッ

触手「舞台から退場させることができましたよ」


女魔王「うむ、貴様らも人間に変化してよくやってくれた」

23 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:25:43.844 K8XvovLP0 13/29

女魔王「これでもう、この国は勇者がいない国となった」

女魔王「もはや恐れるものは何もない!」

女魔王「全軍で城へと攻め込むぞ!」





オオーッ!!!

25 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:29:32.020 K8XvovLP0 14/29

―城―

兵士「陛下、大変です!」

国王「どうしたのだ!?」

兵士「魔王軍が攻め込んできました!」

国王「なんだと!? どうしよう!?」

国王「……って、怯えることはない。こっちには勇者がおるのだからな!」

兵士「たしかに! 勇者様がいれば魔王軍など恐れることはありませんね!」

兵士「あれ、でも勇者様って……」

国王「あっ、いっけね! 勇者から勇者称号はく奪してたわ!」

兵士「あの……ぼく、故郷へ帰ります!」タタタッ

国王「あ、てめえ!」

26 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:31:34.454 K8XvovLP0 15/29

女魔王「貴様の兵士たちは全員逃げてしまったぞ」

国王「ぐぐぐ……!」

女魔王「どうする?」

国王「降伏します……」





こうして王国は魔王軍の軍門に下ったのであった。

29 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:35:05.355 K8XvovLP0 16/29

女魔王「これが人間の国王の玉座か……なかなかの座り心地だ」ドサッ

女魔王「フハハハ……アーッハッハッハッハ!」

女魔王「あっけないものだ! これでこの世は魔族の天下になったわけだ!」

女魔王「魔族の天下になったからには、法などいらぬ! ルールなどいらぬ! 全部撤廃する!」

女魔王「みんな、好き放題にふるまえ!」

ゴーレム「ハイッ!」

オーク「はいっ!」

触手「はいっ!」

30 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:38:25.966 K8XvovLP0 17/29

ゴーレム「ゴミを決められた時間外にゴミ捨て場に捨ててやったゾ」

オーク「オレなんて、試食コーナーの食い物全部食って何も買わずにスーパー出たぜ」

触手「インターネットで荒らしをしてやりましたよ」ウネウネ



女魔王「フッ、部下どもめ、はりきって悪事を楽しんでおるわ」

女魔王「さて、私も出かけるとするか」

34 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:42:08.819 K8XvovLP0 18/29

―電車―

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

女魔王(女性専用車両であれば、痴漢に出会うこともなく、安心だ)

女魔王「……ん? なんだ貴様ら?」


痴漢A「うひひひ……」

痴漢B「ひゃひゃひゃ……」

痴漢C「いっひっひ……」



痴漢があらわれた!

37 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:45:04.120 K8XvovLP0 19/29

女魔王「貴様ら、全員男ではないか! なぜここにいる!? とっとと通常車両に移れ!」

痴漢A「なぁ~にいってんだ!」

痴漢B「今は魔王の天下になったおかげで、ルールはなくなったんだぜ?」

痴漢C「魔王サマサマだぜ! おかげでおおっぴらに痴漢できる!」

女魔王「あ……」

痴漢ABC「この時をどれだけ待ったことか!!!」

39 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:48:32.042 K8XvovLP0 20/29

女魔王「おのれぇっ! ゲスどもが!」

女魔王「我が魔力の奔流を受け、消滅するがいい!」


ズガァァァァァンッ!!!


痴漢A「無駄だ……俺たちに女の攻撃は通用しない! 女騎士がオークに勝てないようにな!」

痴漢B「俺たちが今までどれだけ抑圧されてきたと思ってんだ!?」

痴漢C「性欲に勝る力なし!」


女魔王(な、なんだとぉ~!?)

40 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:51:37.477 K8XvovLP0 21/29

痴漢A「うひひひひ」サワサワサワ

痴漢B「ひゃひゃひゃひゃひゃ」サワサワサワ

痴漢C「いひひひひ」サワサワサワ

女魔王「いやぁぁぁぁぁっ!!!」

痴漢A「お、この姉ちゃん、結構いい体じゃん。服の中に手ェ突っ込もうぜ!」

痴漢B「いいね、いいね~!」

痴漢C「おっ、ピンクのブラしてやがるぜ!」

女魔王「お願い……やめて! 誰か助けてぇぇぇ!」

痴漢A「無駄だ! 今の世の中で、他人を助ける物好きなんざいやしねえよぉ!!!」

41 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:54:31.840 K8XvovLP0 22/29

元勇者「やめろ!!!」

女魔王「ゆ、勇者……!?」

痴漢A「なんだてめえは!?」

元勇者「勇者……いや元勇者だ」

痴漢A「元勇者っていったら、たしか痴漢で勇者称号はく奪された奴じゃねえか!」

痴漢B「ちょうどいいや、おめえも仲間に入れよ! 女には恨みがあんだろ!?」

痴漢C「今ならお前を“痴漢D”にしてやるよ!」

元勇者「……」

43 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 22:58:35.159 K8XvovLP0 23/29

元勇者「断る」

痴漢A「なにっ!?」

元勇者「俺には嫌がってる女性にイタズラをする趣味はない!」

痴漢A「へっ、かっこつけやがって! やっちまえ!」


ザシュッ! ズバッ! ザンッ!


痴漢ABC「ぎゃひぃぃぃぃぃぃっ!!!」

44 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:01:22.185 K8XvovLP0 24/29

元勇者「ふぅ……下手な魔物よりよっぽど危険な奴らだったな」

女魔王「なぜだ……なぜ助けた!?」

女魔王「私が魔王ということは知っているだろう!」

女魔王「おそらく、私があの時の“被害者の女”であるということも……」

元勇者「ああ、知ってたよ」

女魔王「あのまま放っておけば、復讐を果たせたはずなのに――」

元勇者「たとえ痴漢で勇者称号をはく奪されても、俺は自分の心のままに生きる」

元勇者「目の前で暴漢に襲われてる女性を放ってはおけなかった。それだけだ」

女魔王(この男……! たとえ、“勇者”でなくなっても、心は“勇者”なのだな……!)

46 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:03:51.050 K8XvovLP0 25/29

元勇者「じゃ、俺はこれで」クルッ

女魔王「……待て」

元勇者「?」

女魔王「このままでは私の気が済まん。これから一緒に城へ行こう」

女魔王「私は貴様に対してやったことを全て話し、罪を償う……!」

元勇者「魔王……」

47 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:08:40.205 K8XvovLP0 26/29

その後、城に出向いた魔王は全てを自白した。

これにより、勇者の痴漢は冤罪だったと判明し、めでたく勇者として復帰することができた。


さらに、ルールの必要性を痛感した魔王は、全ての法律やルールの復活を宣言。

ついでに国王も無事、王として復位した。





国王「勇者には本当に申し訳ないことをした……いやマジですみません」

49 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:12:50.529 K8XvovLP0 27/29

―電車―

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

痴漢D「揉ませろぉ~……」

女性客「いや……誰か助けてーっ!」

痴漢D「ふん、誰も助けになんか来ちゃくれねえよ~!」



勇者「やめろ!」

50 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:14:22.960 K8XvovLP0 28/29

痴漢D「ぐへえっ! す、すみませんでしたぁ~!」スタタタッ



女性客「ありがとうございました、勇者様!」

勇者「いやいや」

勇者「俺はいつでも弱い者の味方ですから!」

53 : 以下、\... - 2017/09/04(月) 23:18:17.118 K8XvovLP0 29/29

―勇者の家―

勇者「ただいまー」

女魔王「お帰りなさい」

勇者「いやー、まさかお前の妻になるとはな。今でもちょっと信じられないよ」

女魔王「まったくだ……おかげで世界は平和になったがな」

女魔王「ところで勇者」

勇者「ん?」

女魔王「昔、私を助けてくれた時、“嫌がる女にイタズラする趣味はない”といっていたが――」

女魔王「嫌がっていない女に対してはどうなのかな?」ギュッ…

勇者「お、おい……」







― 終 ―

記事をツイートする 記事をはてブする