1 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:39:57.56 DaMxCUIA0 1/9

「ふぅ……今日は月がきれいですね」


 ここは留置場。

 子供から名前をバカにされ、むしゃくしゃして広場に爆裂魔法を使ったら捕まってしまった。

 世知辛い世の中になったものだ。


「めぐみん。めぐみん!」

「ん?この声はアクアですか?」

「迎えに来たの。逃げるわよ」

 まったく……。私のために脱獄の助けをするなんて、素晴らしい仲間を持ったものです。


----まぁ、明日には釈放されるので、余計な事はして欲しくないのですが。


元スレ
カズマ「おまわりさん!こいつです!」ダクネス「!?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1458661197/

2 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:40:54.91 DaMxCUIA0 2/9

「大丈夫です。明日には出られる身ですので、アクアは見つかる前に逃げてください。そろそろ見回りも来る時間のはずです。」

「大丈夫。心配しないで」

 心配しないで?どういう意味なのだろう?


「外でダクネスとカズマが露出お散歩プレイをしているから、警察はそっちで手一杯なの。だから見回りは…………って、なんで寝たふりするの!?めぐみん!?」


 これ以上、警察の人に怒られたくないので私は寝ることにした。

3 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:42:41.02 DaMxCUIA0 3/9

■別の日


 私、ダスティネス・フォード・ララティーナは我慢の限界だった。


「か、カズマ……。そろそろ我慢の限界だ」

「え?なにが?」

 くっ、この男。わかっているくせに……

「わ、私の口からそれを言わせるのか。さすがカズマだな。いいだろう」

「は?お、おい。お前、何を……」


 我慢できなくなった、私は声を大にして言う。

 ギルドにいた他の冒険者も私に注目した。

「先日、めぐみんと屋敷で深夜におしっこ我慢プレイをしていたんだろう!? なぜ私を呼んでくれなかったのだ!? 私はこう見えて我慢大会連続優勝者だぞ! その私をのけ者にするなんて……く、くぅ……さ、さすがカズマだ! まさかのお預けプレイとは! ……ん? めぐみん、どうかしたのか? 赤くなってプルプル震えて…………」



「『エクスプロージョン』ッッ!」



----あぁ、やはり爆裂魔法は最高だ----

4 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:44:11.25 DaMxCUIA0 4/9

■別の日


 ここは留置場。先日何かをやらかしたダクネスを迎えに来た。

 あいつは貴族だからすぐに留置場から出られるらしい。

 この異世界は権力が全てだからな……。はぁ……


「おい、迎えに来たぞ。ダクネス」

「いつもいつもすまないな。カズマ」

「で、今度は何をやって捕まったんだ?」


「広場で大量のところてんスライムが体に絡まってな。それで興奮……いや、取るのに時間がかかってな。するとなぜか警察がやってきて……って、どこに行くんだカズマ!? 走ってどこに行くんだ!?」



 その後、全力でところてんスライムを大量購入し、屋敷でダクネスにプレゼントしようとしたら、めぐみんとアクアに白い目で見られたのはまた別の話だ。

5 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:46:00.37 DaMxCUIA0 5/9

■別の日


「ダクネスにはこういう服が似合うと思うの」

「こ、これは私には可愛すぎないか!?」

 私、水を司る女神アクアがアクシズ教団の勧誘を行っていたら、お店の前でうろうろしていたダクネスを見かけた。

 ダクネスは中々自分に素直になれない。

 きっと欲しい服も買えない。

 だから、気が利く私が服を選んであげることにした。


「またのご来店を~♪」


「ありがとう。アクア。今日はその……いい服が買えた」

「いいのよ。いつもダクネスにはお世話になってるしね」

「ああ、でも、こんな可愛い服……。私に本当に似合うだろうか?」

「大丈夫よ。自分に自信を持ちなさい」

「あ、ああ。そうだな。せっかくだし頑張ってきてみる」


 ダクネスはもじもじして恥ずかしそうにしている。

 んー、もしかしたら、きっかけがないと着れないのかも……

 あっ、ひらめいた。


「買った服。確かスカート短かったわよね? だったら露出プレイだと思ってみるといいわ。試しにカズマの前に行ってみなさい。絶対に変な目で見られるから」


「お、おい。さすがの私もそれはどうかと思うぞ。だが、せっかくの仲間の提案だ。試してみりゅ」


 ダクネスはすごく嬉しそう。喜んだ犬みたいにハァハァ言ってる。

 さすが私。今日も良い事したわね。

6 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:47:07.95 DaMxCUIA0 6/9

■別の日


「おはようカズマ」

「おはようダクネス」

「あ、あれ?」


 朝起きたら、いつも俺が座る椅子がなかった。

 お、おかしい。昨日はあったはず……誰かが隠したのか?


「どうしたカズマ? ん? 椅子がないのか? 仕方ない。クルセイダーである私が椅子になってやろう。なに気にするな。仲間を守るのは聖騎士として当然のことだ」


 ダクネスは訳の分からない事を言うと空気椅子のポーズをとる。

 なるほどダクネスを椅子にして座ればいいのか。これは極上の椅子っぽいぞ。

 特に背もたれが気持ちよさそうだ。



「!?」


 めぐみんが目を真っ赤にしながら俺を見ていた。

 や、やばい。このまま座ったら殺される!?



「ほぅ。私の視線に気付きながらダクネスに座るとはいい度胸ですね」

「なっ、お、俺はいつの間に!? こ、これが極上の椅子の魅力の力か!?」

「か、カズマ、あまり力を入れるな。私にも……んんっ。あぁ限界がぁ……」



 この後、無茶苦茶めぐみんから殴られた----

7 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:47:39.82 DaMxCUIA0 7/9

■別の日


 私、ダスティネス・フォード・ララティーナは誇り高い聖騎士のクルセイダーだ。

 我慢大会も連続で優勝している。これもクルセイダーの特訓の為だ。

 クルセイダーは前衛で耐えるのがメインだ。

 我慢大会くらい簡単に勝てないようでは、前衛は務まらない。

 しかし、そんな誇り高い聖騎士で我慢強い私でもカズマには勝てない。



「さあ、ダクネス。これは野球拳と言って日本の正式な国技だ。負けたら絶対に脱ぐんだぞ! 絶対だからな!」

 あと1回。あと1回負けたら私の下着姿がこいつの目の前で露わになる。


「え?めぐみんさん…………目が凄く真っ赤なんですが……って、ぎゃぁぁぁぁ! 痛い痛い痛い!」

 そして、下着姿になった私はカズマの舐めるような視線を受けて……


「ギブギブギブギブ! 助けてくれ! ダクネス!」

 あぁ……もう最高だ!!!!! 早く脱がせてくれ! カズマ!





 ん?やけに静かだな。

 私が妄想にふけっている間にかなりの時間がたったようだ。


 ま、まさか、カズマ……。ここまで脱がせておいて部屋に戻ったのか!?

 くぅ……。なんという屈辱。こんな屈辱初めてだ!

 やっぱりあいつは最高だ!

8 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:49:35.80 DaMxCUIA0 8/9

■別の日


 親友のダクネスがいつも楽しそうにしていた。

「どう? たまにはあたしとクエストにいかない?」

「クリス。その誘いは嬉しいが……。すまない、今日はカズマ達と行く予定が」

「そっかー」

「そう悲しそうな顔をするな。よかったら一緒にどうだ?」

「ううん。そうじゃないんだ。あのダクネスが私意外と上手くやってるのが……。ちょっと妬けちゃってさ」

「うっ……いやその……なんだ……」


 照れくさそうにしながら、返答に困っているダクネスにあたしは一つ質問をする。

「ねえ、ダクネス。今のパーティーは楽しい?」

「……ああ。最高の仲間だ。この仲間になら命をかけてもいい。そう思えるくらいに最高のパーティーだな」


 ダクネスの笑顔を見た。

 くやしいなぁ……。

 あたしといた時以上の笑顔だよ。


「そっかー。じゃあ、いつもの病気もほどほどに頑張るんだよ」

「び、病気などではない! で、では、ちょっと行ってくる」

「うん。行ってらっしゃい」


 親友を見送ってあたしは----


もっともっとその素晴らしい仲間を好きになりますようにと。心の底からの祈りを捧げた--



あと例の性癖も少しは落ち着きますように----




       終わり

9 : ◆xW69XHZIXl2A - 2016/03/23 00:51:01.97 DaMxCUIA0 9/9

これにて終わりになります。
読んでくれてありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!

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