-サターニャの家-
タプリス「えっ、北海道旅行が当たった!?」
サターニャ「ええ、魔界通販の懸賞企画に応募したらね」
サターニャ「見事この私が、当選したのよ!」
サターニャ「さすが大悪魔の私、持っている、と改めて実感したわ」
ヴィーネ「まぁたしかに運は良いと思うけど、あの通販番組でしょ?」
ヴィーネ「大丈夫なの……?」
サターニャ「人数は五人までOKみたいで」
サターニャ「移動・宿泊費は全て、とある地方のTV局が負担、のようね」
ヴィーネ「それだけなら、問題はなさそうだけど……」
サターニャ「せっかく、この大悪魔サタニキア様のお供に選んでやったんだから」
サターニャ「喜びなさい、あんたたち!」
ガヴリール「めんどいからパス」
ラフィエル「まぁまぁ、ガヴちゃん。みなさんで旅行というのも」
ラフィエル「たまには良いものだと思いますよ。ちょうど、大型連休ですし」
ヴィーネ「北海道には、美味しいものがたくさんあるわよ、ガヴ」
サターニャ「そんなに文句を言うなら、あんただけ来なくてもいいのよ?」
ガヴリール「……はぁ、仕方ないな。行ってやるよ」
元スレ
ガヴリール「千咲ちゃん、日本全国サイコロの旅をする」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1494849706/
-金曜日19:00 東京駅-
サターニャ「というわけで、スタート地点はここみたいね」
ヴィーネ「どうして東京まで出てきたの、サターニャ」
タプリス「それに、スタート地点って、どういうことですか?」
ラフィエル「ここから空港に向かって、北海道へ行くんです?」
サターニャ「ふっふっふっ、よく聞いてくれたわね」
サターニャ「この当選した旅行はね……」
サターニャ「なんと北海道へ到着するまでの道中も楽しめるように」
サターニャ「特別な仕組みになっているらしいわ!」
ガヴリール「……なんか嫌な予感がしてきた」
サターニャ「それはね、このデビルサイコロとデビルボードよ!」
タプリス「な、なんですか、それ」
サターニャ「説明書きによると……」
サターニャ「まず、ボードに六通りの行き先が表示されて」
サターニャ「サイコロを振り、出た数字の行き先へと向かう」
サターニャ「それを繰り返していき、見事、北海道へたどり着けばクリア、みたいだわ!」
ガヴリール「はぁ……こういうことだろうと思った」
サターニャ「あ、さっそく、ボードに何か表示されそう」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■一投目の行き先
1:りんごがおいしい 青森
2:ごはんがおいしい 新潟
3:みかんがおいしい 松山
4:そばがおいしい 盛岡
5:ふぐがおいしい 下関
6:一気にゴール 札幌
ガヴリール「おいおい、この行き先をサイコロで決めるのか?」
ヴィーネ「明らかに北海道とは逆の方向があるんだけど……」
ラフィエル「四国や中国地方が出たら、厳しいですね」
サターニャ「要は、一発で6を出せば終わりってことでしょ?」
サターニャ「簡単じゃない!」
タプリス「いやいやいや……」
ヴィーネ「ちょっと、サターニャ。始める前に、その説明書見せて」
サターニャ「え? 別にいいけど」
ヴィーネ「なになに……」
ヴィーネ「制限時間は二日後の12:00まで。ただし乗り始めが時間内ならOKとする」
ヴィーネ「制限時間内に北海道へ着かなければ、ペナルティ」
ヴィーネ「途中、別の手段で移動した場合もペナルティ、かつ、移動費全額支払い」
タプリス「ペ、ペナルティって何ですか?」
ヴィーネ「えっと、どれどれ……、旅行当選者の……死!?」
タプリス「なっ!?」
サターニャ「え、どういうこと?」
ヴィーネ「これクリアできなかったら、あなたが死ぬってことよ、サターニャ!」
サターニャ「は? そ、そんなこと、あるわけ……」
ガヴリール「というかさ。そもそも、こんなの始めなければいいじゃん」
ヴィーネ「ボ、ボードに行き先が表示された時点で、スタートしているみたい……」
ガヴリール「そうか、短い付き合いだったな、サターニャ」
サターニャ「ちょっと! 勝手に殺さないでよ!」
ラフィエル「でも、サターニャさんが死んでしまったら」
ラフィエル「私の人生の楽しみが、八割減になってしまいます……」
サターニャ「あんたは、ただ、面白がってるだけでしょ!」
タプリス「で、でも、さっきの胡桃沢先輩じゃないですけど」
タプリス「クリアすれば良いんですよね!?」
サターニャ「タ、タプリス……」
ヴィーネ「そうね。乗りかかった船だし、がんばってクリアしましょう」
ガヴリール「はぁ、仕方ないな」
サターニャ「ふふっ、それじゃあ私が、最初の一投で終わらせてあげるわ!」
タプリス「せめて、北海道に近づく目で頼みます……」
サターニャ「いくわよ! 何が出るかな、何が出るかな……」
サターニャ「それはサイコロ任せよい!!」ブンッ
コロンコロンッ 『3』
ヴィーネ「3? 3ってことは……」
ラフィエル「四国の松山ですね……」
ガヴリール「こんのっ、バカ悪魔!! 逆方向だしてどうすんだよ!」
サターニャ「し、仕方ないじゃない! サイコロの目なんだから!」
タプリス「……ま、松山まではどうやって移動するんです?」
ヴィーネ「わからないわね……って、ボードに新たな文字が!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『深夜バス』
ガヴリール「深夜バスってマジかよ……」
タプリス「深夜バスって、なんですか?」
ラフィエル「目的地へ向けて夜通し走り続けるバスのことですよ」
ラフィエル「お値段がお手頃で若者に人気がありますが」
ラフィエル「バスのシートに長時間座り続けるため、肉体への疲労がかなり……」
ヴィーネ「もうこれ、罰ゲームみたいなものじゃない……」
タプリス「ですけど、なんかこれも、旅って感じがして良いじゃないですか」
ガヴリール「タプリス。そう言ってられるのも、今のうちだぞ」
タプリス「えっ?」
-金曜日20:00 深夜バス内-
タプリス「……もう腰が痛くなってきました」
ヴィーネ「ええ、そうね……」
サターニャ「あんたたち、だらしないわね……まだ三十分しか経ってないじゃない」
ヴィーネ「誰のせいだと思ってるのよ!」
ラフィエル「まぁまぁ」ジーッ
サターニャ「ちょっと、あんた! 何してるのよ」
ラフィエル「他にお客さんもいませんし、この旅行の様子を」
ラフィエル「動画に収めておこうと思いまして」
サターニャ「ね、寝顔とか撮るのやめてよね」
ラフィエル「うふふ」
タプリス「絶対に撮りそうですね、白羽先輩……」
ガヴリール「で、制限は二日後ってことは、日曜日の12:00か」
ヴィーネ「このバスには12時間乗るみたいだから、到着は明日の朝ね」
タプリス「半日も乗り続けるんですね……うぅ、お風呂入りたいです」
ヴィーネ「目的地が道後温泉ってところらしいから、それまでは我慢ね」
ラフィエル「温泉ですか、楽しみですね」
ヴィーネ「あとは瀬戸大橋も通るみたい」
ガヴリール「通るって言っても、夜中だろ……」
-土曜日05:30 香川県内 パーキングエリア-
タプリス「……」
サターニャ「……聞いて」
ヴィーネ「……何よ」
サターニャ「……さっき、お尻の肉が取れる夢を見たわ」
ラフィエル「……」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「……誰か、瀬戸大橋、見た?」
タプリス「……」
サターニャ「……」
ラフィエル「……松山まではあとちょっとですよ、頑張りましょう」
-土曜日07:30 松山 道後温泉-
サターニャ「松山、到着よ!」
ヴィーネ「みんなお疲れ様……」
ガヴリール「腰、痛すぎ……もう深夜バスには乗りたくない」
ラフィエル「……そうですね、でも」
ラフィエル「ハムスターのように縮こまるタプちゃんは可愛かったです」
タプリス「は、恥ずかしいです……」
ガヴリール「とりあえず、風呂行かないか」
-道後温泉 浴室-
タプリス「すごいです、なんだか風情があるといいますか」
ヴィーネ「良いお風呂じゃない」
ラフィエル「建物の外観も歴史を感じさせる、良いものでしたね」
ガヴリール「はぁ……いい湯だ、疲れきった腰に効く」
バシャバシャバシャ
サターニャ「なはははっ、なかなか良いところじゃない!」
タプリス「く、胡桃沢先輩、他にお客さんが居ないからって」
ヴィーネ「まるで子供ね……」
ラフィエル「そんなところもサターニャさんの、良いところです」
タプリス「おぉ……」
ラフィエル「タプちゃん? どうしました?」
タプリス「え? い、いえ! 何でもありません!」
ヴィーネ「あはは、初めて見たらびっくりするわよね」
ラフィエル「……?」
タプリス「そ、そうですね。言うなれば、メガロポリスって感じです……」
ガヴリール「同じ女とは思えん」
バシャバシャバシャ
サターニャ「なははははっ!!」
-土曜日09:00 松山駅-
サターニャ「あ、ボードの様子がっ!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■ニ投目の行き先
1:夢の直行便 札幌
2:ふぐが食べたい 下関
3:振り出しに戻る 東京
4:魅惑のアイランド 香川県 小豆島
5:一気に最南端へ 鹿児島
6:なぞのまち 大分県 臼杵
タプリス「また、札幌直行がありますよ!」
サターニャ「ふっふっふっ、今度こそ……」
ガヴリール「お前には任せておけん。私が一発で決めてやる」
サターニャ「私に振らせなさいよ!」
ヴィーネ「サターニャは一回目ひどかったからね……」
ラフィエル「そうですねぇ。ここはガヴちゃんに任せましょうか」
サターニャ「ぐぬぬぬ、仕方ないわね」
ガヴリール「さくっと1を出して終了だ」
タプリス「がんばってください、天真先輩!」
ガヴリール「何が出るかな、何が出るかな……」
ガヴリール「それは、サイコロ任せよーい」ブンッ
コロンコロンッ 『6』
サターニャ「何が、私に任せろ、ですって、この駄目天使!」
ガヴリール「アァッ!? お前に言われたくねーよ!」
ヴィーネ「もう、なにしてるのよ……」
タプリス「なぞのまち臼杵って、何ですかね……」
ラフィエル「見当もつきません……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『電車とフェリー』
ヴィーネ「移動手段は……電車と、フェリー!?」
ラフィエル「四国の西端まで行って、そこから海を渡って九州に上陸ですね」
タプリス「す、すごいです! フェリーなんて初めて乗ります!」
ガヴリール「タプリス。それ、フラグな……」
タプリス「えっ?」
-土曜日10:00 電車内-
タプリス「車窓からの景色が綺麗ですね……」
ヴィーネ「本当。深夜バスに比べたらだいぶマシね……」
ガヴリール「おいサターニャ! そのみかん饅頭、私のだろ!」
サターニャ「ふんっ、どこかに名前でも書いてあったのかしら!」
ヴィーネ「あんたたちも、よく飽きないわね……」
タプリス「あははは……」
-土曜日12:00 フェリー内-
ラフィエル「」チーン
ヴィーネ「ラフィがすっかり、船酔いでダウンしてるわね」
タプリス「白羽先輩が倒れてたら、誰が動画を撮るんです?」
ラフィエル「……だ、大丈夫です。固定して、撮って、ますから」
ヴィーネ「プ、プロね……」
ガヴリール「っていうか、これでもう、九州上陸か」
サターニャ「そうよ! もっと四国ですることあったんじゃないの!?」
サターニャ「私たち、お風呂入っただけじゃない!」
タプリス「あははは……で、ですよね……」
ガヴリール「……もう帰りたい」
-土曜日13:00 大分県 臼杵-
ラフィエル「というわけで、大分県の臼杵(うすき)に到着しました」
タプリス「あ、白羽先輩、大復活です!」
ヴィーネ「でも、なんというか……」
サターニャ「イマイチ、九州に来たっていう、実感がないわね」
ガヴリール「こんだけ移動に移動を続けてたらな」
ヴィーネ「あ、ボードが更新されそう」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■三投目の行き先
1:夢の直行便 札幌
2:地獄の深夜バス 名古屋
3:温泉で一休み 別府
4:振り出し寝台特急 東京
5:まだまだ九州 小倉
6:たっぷり九州 鹿児島
サターニャ「一応、札幌の目は毎回あるのね」
ガヴリール「それがベストではあるが……」
ヴィーネ「2だけは絶対に嫌……」
ガヴリール「じゃあ、ヴィーネが振れよ」
ヴィーネ「えぇ……嫌よ……」
ラフィエル「誰が振ったって同じですよ、あまりお気になさらず」
ヴィーネ「……わ、わかったわ」
ガヴリール「あ、3でもいいぞ。たっぷり温泉」
タプリス「いいですね、それ」
ヴィーネ「プレッシャーかけないで、お願い……」
ヴィーネ「じゃあ、いくわよ」
ヴィーネ「何が出るかな、何が出るかな……」
ヴィーネ「それは、サイコロ任せよいっ」ブンッ
コロンコロンッ 『5』
タプリス「5の小倉――」
ガヴリール「そぉいっ!」ダッ
コロコロコロッー
タプリス「あ、天真先輩! なにサイコロ蹴ってるんですか!?」
ガヴリール「え、何のこと?」
ラフィエル「駄目ですよ、ガヴちゃん」
ラフィエル「あまりにひどいズルをすると、ペナルティを受けちゃいます」
ラフィエル「それに少しだけ北上できますし、良いじゃないですか」
ガヴリール「……ちぇ」
サターニャ「でも、なーんか面白くないわね」
ヴィーネ「し、深夜バスが出なかっただけ良いでしょ!」
タプリス「そうですよ、旅をもっと楽しめると思えば、です!」
-土曜日15:00 電車内-
ヴィーネ「ガヴ、そもそもルールっていうのはね……」
ガヴリール「ああ、わかったよ! 守れば良いんだろ守れば!」
ヴィーネ「わかればよろしい」
タプリス「あ、見てください! ここ、USA駅ですよ!」
サターニャ「ふっ、ついに来てしまったのね、自由の国アメリカまで」
ガヴリール「アメリカの次が、ぶぜんながす駅って、どうなってんだよ」
-土曜日17:00 小倉駅-
サターニャ「やっとここまで、たどり着いたわ」
ヴィーネ「九州の北端、だけどね」
タプリス「とりあえずは、九州を脱出したいですね」
ラフィエル「あ、ボードの方が……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■四投目の行き先
1:振り出し寝台特急 東京
2:神のまち 出雲
3:地獄の深夜バス 名古屋
4:もう疲れた 一泊 小倉
5:新幹線でびゅん 大阪
6:夢の直行便 札幌
サターニャ「毎回、札幌があるのに、どうしてたどり着けないのよ!」
ガヴリール「そっくりそのまま、お前に返してやる」
サターニャ「あんただって出せなかったでしょ!」
ガヴリール「なんだって!?」
タプリス「お、お二人とも喧嘩はやめてください」
ヴィーネ「でも、さすがに移動続きで疲れたし」
ヴィーネ「札幌には行きたいけど、4の小倉一泊も魅力的ね」
ラフィエル「たしかに、そうですね。あ、じゃあ、今度は私が振ってみますね」
ガヴリール「ああ、任せたぞ、ラフィエル」
ラフィエル「では、いきますよー」
ラフィエル「何が出るかな♪ 何が出るかな♪」
ラフィエル「それは、サイコロ任せよーい♪」ブンッ
コロンコロンッ 『5』
ガヴリール「5は……大阪か」
ラフィエル「札幌も一泊も、出せませんでした……」
ヴィーネ「気にすることないわ、ラフィ。一歩前進よ!」
タプリス「は、はい! それにわたし、新幹線って初めて乗るので楽しみです!」
ガヴリール「お前、フラグ立てすぎ」
タプリス「えっ?」
ヴィーネ「指定の新幹線が出発するまで、二時間くらいあるわね」
ガヴリール「じゃあ、あれだ。とんこつラーメンでも食べよう」
サターニャ「あんたにしては、良い提案じゃない」
タプリス「わたし、あれやりたいです! 替え玉!」
ガヴリール「いいけど、お前はたぶん食べきれないと思うぞ」
タプリス「そ、そうですか……」
タプリス「おやっさん、替え玉! って、一度、言ってみたかったんですけど」
ガヴリール「何に影響されてんだよ……まぁ、いいや」
ガヴリール「私も食べるの手伝ってやるから、着いたらやってみろ」
タプリス「ありがとうございます、天真先輩!」
ヴィーネ「なんだかんだで、タプちゃんには甘いわよね、ガヴ」
ラフィエル「うふふ、良いじゃないですか」
サターニャ「替え玉なんて、十回頼んでやるわ!」
-土曜日19:30 新幹線内-
タプリス「すごい、これが新幹線……とても速いです!」
ガヴリール「感想が子供か」
ヴィーネ「でも、暗くて景色がほとんど見えないのが残念ね」
タプリス「そうですね……」
サターニャ「……げふっ」
ラフィエル「あらあら、サターニャさん。はしたないですよ」
ガヴリール「結局、お前は替え玉、三回だしな」
サターニャ「細い麺だからもっといけると思ったのに、くやしい……」
ヴィーネ「これからどんな乗り物に乗るかわからないのに……」
ラフィエル「あら、サターニャさん。鼻から血が……」
サターニャ「え、うそ?」
ラフィエル「ちょっと待っててくださいね」フキフキ
サターニャ「ご、ごめん……」
ラフィエル「いいんですよ。ティッシュ、つめておきますね」
サターニャ「あ、ありがと……」
ラフィエル「いえいえ」
タプリス「どう考えても、食べ過ぎが原因ですね……」
ヴィーネ「それと、結構疲れが溜まっているのかもね」
ガヴリール「はぁ……大きい子供、多すぎだろ……」
-土曜日22:00 新大阪駅-
サターニャ「ここが大阪、コメディアンの街なのね」
ラフィエル「すっかり鼻血は止まったみたいで、よかったです」
タプリス「さすがに少し眠くなってきました」
ガヴリール「そうか? これからが夜本番だろ」
ヴィーネ「超夜型天使……」
タプリス「あ、ボードの様子が……」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■五投目の行き先
1:寝台特急 東京
2:寝台特急 新潟
3:深夜バス 長野
4:頼むから一泊 大阪
5:夢の直行便 札幌 ただし朝まで待機
6:新幹線 名古屋 ただし朝まで待機
ガヴリール「ほら、タプリス。もう眠いんだろ」
ガヴリール「4か5、出そうな」
タプリス「えぇ、わたしがですか!?」
ヴィーネ「そうね、順番的にはタプちゃんかな」
サターニャ「早く振りなさいよ」
タプリス「わ、わかりました。何が出ても怒らないでくださいね!」
タプリス「何が出るかな、何が出るかな……」
タプリス「それは、サイコロ任せよーい」ブンッ
コロンコロンッ 『2』
ガヴリール「寝台特急ぅ?」
タプリス「ひぃっ、ごめんなさいごめんなさい!」
ヴィーネ「でも、寝台よね? 深夜バスよりはマシなんじゃ」
ラフィエル「それに新潟ですから、だいぶ北へ移動できるのもプラスですよ」
ラフィエル「タイムリミットの明日の12:00まで、時間がありませんから」
サターニャ「決まったの!? ほら、どこでも良いからさっさと行くわよ!」
ガヴリール「お前絶対、目的忘れてるだろ」
ヴィーネ「自分が死ぬかもしれないってのに、呑気ね……」
-土曜日23:00 大阪駅構内-
ヴィーネ「みんな、緊急事態が発生したわ」
タプリス「そ、そんな改まって、どうしたんです?」
ヴィーネ「私たちの人数は五人。それに対して……」
ヴィーネ「ここにある寝台券は、四人分」
みんな「な、なんだってー!?」
ラフィエル「どうしてそんなことに……」
ヴィーネ「なんか明日、新潟で大型イベントがあるらしくて」
ヴィーネ「結構、お客さんが多いみたい」
ヴィーネ「それで一人だけ、自由席、になっちゃったの」
ガヴリール「一晩、自由席って……深夜バスよりもつらいぞ……」
サターニャ「私はパスよ。だって、お尻の肉がまた取れるかもしれないし」
ガヴリール「それは夢の話だろ、バカ」
サターニャ「バカとは何よ! このダメ天使!」
ガヴリール「あ、なんだって!?」
タプリス「ケ、ケンカはやめてください!」
タプリス「元はと言えば、わたしが新潟行きを出してしまったのが悪いんです」
タプリス「ですから、わたしが自由席にいきます」スッ
ラフィエル「タプちゃん……」
ヴィーネ「こんなにかわいい後輩を自由席に一人……」
ヴィーネ「座らせることなんて、できないわ」
ヴィーネ「私が、自由席に行く」スッ
ガヴリール「ヴィーネ、お前にだけ良い格好させるかよ」
ガヴリール「私が、行けば済む話だ」スッ
ラフィエル「だめです、ガヴちゃん。天使として、みなの手本となるために」
ラフィエル「私が一人で、自由席へ」スッ
サターニャ「何よ、あんたたち! それじゃ私が、格好悪いみたいじゃない!」
サターニャ「ふふっ、自由席はね! この大悪魔のサタニキア様に任せなさい!!」
みんな「どうぞどうぞ」
-日曜日01:00 寝台特急内 自由席-
サターニャ「……」
サターニャ「……お尻いたい」クスン
-日曜日09:30 新潟駅-
ガヴリール「ふぅ……やっと着いたか」
ラフィエル「寝台も結構、辛かったですね」
ヴィーネ「そうね、背中が痛くなっちゃった」
タプリス「み、みなさん……く、胡桃沢先輩が」
サターニャ「……お尻」クスン
ラフィエル「よく頑張りましたね、サターニャさん」スリスリ
サターニャ「……」コクッ
タプリス「あ、ボードが更新されそうですよ!」
ドゥルルルルルッ ダンッ
■六投目の行き先
1:振り出しに戻る 東京
2:ちょっと戻る 金沢
3:ちょっと進む 山形
4:太平洋を見よう 仙台
5:北海道はもうすぐ 青森
6:一気に上陸 北海道
ガヴリール「というか今、09:30だよな」
ヴィーネ「タイムリミットの12:00まで、もう時間がないわ」
ラフィエル「到着時間ではなくて、乗り込むまでの時間で良いみたいですけど」
ガヴリール「それでも、東京とか青森とかが出たらアウトってことだろ?」
ラフィエル「そうですね……」
サターニャ「……私がやる」
タプリス「胡桃沢先輩、ふ、復活して……」
サターニャ「私の命がかかってるのなら……」
サターニャ「他の誰でもない、私の手で、すべてを終わらせてあげるわ!」
サターニャ「この大悪魔である、サタニキア様がね!」
ヴィーネ「サターニャ……」
ラフィエル「随分なやる気ですけど、サイコロですからね……」
ガヴリール「自分の命が終わらなきゃいいけどな」
タプリス「胡桃沢先輩、ファイトです!」
タプリス「先輩ならきっと、できますよ!」
サターニャ「ふっ、当然っ!!」
サターニャ「行くわよ!! 私の生き様! 見てなさい!!」
サターニャ「何が出るかな! 何が出るかな!!」
サターニャ「それは、サイコロ任せ……よいっ!!!」ブンッ
タプリス「……お願いっ」
コロンコロンッ 『6』
サターニャ「えっ」
ヴィーネ「うそ……」
タプリス「胡桃沢先輩! やりました! 6です!」
ガヴリール「こいつ……本当にやりやがった」
ラフィエル「そうですかそうですかぁ」
サターニャ「やったぁぁぁぁぁっ!!!」
サターニャ「見なさいっ! 私の完全なる……」
サターニャ「大勝利よぉぉぉぉっ!!」
タプリス「おめでとうございます……ぐすっ、本当に!」
サターニャ「なーに、あんたが泣いてるのよ」
タプリス「だって……胡桃沢先輩の命が助かったんですよ!」
サターニャ「だから、終わらせてやるって言ったでしょ!」
タプリス「はい……はいっ!」
ガヴリール「でも、これでようやく、北海道上陸か……」
ラフィエル「長かったですね、二日もかかるなんて」
ヴィーネ「飛行機なら、一時間半くらいなのにね……」
タプリス「あれ? でも、移動手段が書いてませんね」
サターニャ「別に北海道に着くなら、なんでも良いでしょ」
ヴィーネ「あ、ボードに追記されるみたい」
ドゥルルルルルッ ダンッ
『フェリー 18時間』
タプリス「はわ、はわわわわ……」
ヴィーネ「18時間、日本海の荒波の中……?」
ガヴリール「なんでだよ! スッと行かせてくれよ!」
サターニャ「なははははっ! 海の女に、私はなるっ!」
ラフィエル「」チーン
みんな「もう、嫌だぁぁぁぁぁぁっ!!」
タプリス(こうして、重い足取りでフェリーに乗り込んだ、わたしたちは)
タプリス(翌日の早朝、満身創痍で北海道に上陸しました……)
おしまい
40 : 以下、\... - 2017/05/15 22:17:52.132 9JHDCcsZ0 24/24タプリスは祭りのあと
行き先と出目はサイコロ1準拠
5,4,3,2,1,Go!
サターニャ「オエエゲロゲロゲロ…」
…トップガン&エアーウルフはいらないです