サターニャ「ヴィネットー!」タタタ
ヴィーネ「おはようサターニャ、宿題なら見せないわよ」
サターニャ「いきなり失礼ね! 違うわよ!」
サターニャ「はい、これあげる!」
ヴィーネ「あ、ありがと……」
ヴィーネ「髪留め……かしら? これって……」
サターニャ「魔界通販で買ったの!」
ヴィーネ「返すわ、気持ちだけ貰うわね」
サターニャ「ちょっとちょっと! せめて説明くらいは聞いてってよ!」
元スレ
【ガヴドロ】ヴィーネ「髪留め……かしら?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1501975783/
ヴィーネ「どうせ碌なものじゃないんでしょ……あまり無駄遣いしない方がいいわよ」
サターニャ「無駄ですって? 説明を聞いたらそんな事言えなくなるわよ」
サターニャ「これは【デビルズウィスパー】って言ってね」
サターニャ「なんとなんと……身に付けた悪魔の考えを読み取り答えを教えてくれる機能を搭載!」
サターニャ「宿題なんてなんのそのってわけ!」
ヴィーネ「自力で解かないと意味ないって散々言ってるのに……」
ヴィーネ「で、どうしてそれを私に?」
サターニャ「さっきも言ったけど、答えは悪魔にしか聞こえないのよ」
サターニャ「同じ悪魔であるヴィネットなら使いこなせるでしょう?」
サターニャ「……悪魔よね?」
ヴィーネ「悪魔だから……」
ヴィーネ「でも私のためにわざわざ買ってくれたんだ……物はともかくそれは嬉しいな」
サターニャ「いやー『もう一つお付けしてこのお値段』って言っててね、すごいお得だったからつい!」
ヴィーネ「あんた我慢できなかっただけでしょ」
サターニャ「いいから使ってみなさいよ、一流の悪魔になるにも役立つかもしれないわよ?」
ヴィーネ「まあ機能を使うかは置いといて、デザインは可愛らしいし……」
ヴィーネ「ありがたく頂くわね。ありがとうサターニャ」
……
ヴィーネ「よいしょ」スチャ
ヴィーネ「うん、良い感じかな?」
『お似合いです』
ヴィーネ「わ、びっくりした!」
ヴィーネ「そういえば身に付けたらって言ってたわね……」
『先ほどと比較しても、クラスメイトから好意を得やすくなっています』
ヴィーネ「べ、別にいらないわよそんな情報……///」
まち子「つ、月乃瀬さん……? 一体誰に向かって話して……」
ヴィーネ「あ」
ヴィーネ(悪魔以外には聞こえない……というかそれ以前に身に付けた者以外には)
ヴィーネ「ち、違うのよ? これには訳が……」
ヴィーネ(側から見れば鏡に向かって話しかけてる変な人ってことじゃ)
『関心・恐怖を抱かれています。変な人という認識は依然として変わりありません』
ヴィーネ「そんなぁ!?」ガ-ン
まち子「月乃瀬さん!?」ビクゥ
……
ヴィーネ「はあ……」
ヴィーネ(どうにしろ悪魔について話すわけにも行かないし……説明のしようもなかったか…)
『浮かれていて考えが言葉に出てしまっていた』
『もしくは気合いを入れるため敢えて自分に言い聞かせるよう言葉を発していた、などの誤魔化し方が効果的です』
『彼女の性格上、原因は恋の所為……などと説明することで抱かれている恐怖を払拭し、かつ好意を得ることが出来ます』
ヴィーネ(もう遅いって……何より変に応援されても悪いじゃない)
ヴィーネ(実際に好きな人がいるわけじゃないし……ね)
……
ヴィーネ「ふあ……(疲れた……)」
ヴィーネ(ガヴ、遅いわね……大丈夫かしら)
『彼女は不摂生な生活を送っていますが、現在は健康です』
『現在より20分前に目を覚まし、3分前に学校に向かって進み始めました』
ヴィーネ(そんなことまでわかるんだ……)
ヴィーネ(というかもうお昼なんだけど……堂々と遅刻しすぎよ)
……
ガヴリール「おいーす」
ヴィーネ「遅すぎよ……授業ほとんど残ってないじゃない」
ガヴリール「来ただけ褒めてもらいたいくらいだ」
ヴィーネ「全くもう……」
ヴィーネ(起こしに行かなかったのは失敗だったわね……)
ヴィーネ(もっとも起こしに行ったところで意味があったかはわからないけど……)
『彼女を起こしに向かい、目を覚ますまで粘った場合には20分の時間が掛かり、あなたが遅刻していました』
『しかし彼女の学校への到着は2時間早まっていました』
ヴィーネ(ふーん……)
ヴィーネ「ガヴ」
ガヴリール「なに」
ヴィーネ「明日は起こしに行ってあげるからね。今日は早めに寝なさいよ?」
ガヴリール「……気が向いたらね」
ヴィーネ(うーん……あまり好きじゃないのかしら?)
『いいえ、彼女はあなたに強い好意・信頼を抱いています』
『只今の会話でそれらはより高まりました』
ヴィーネ「ふぇ!?///」ポン
ガヴリール「うおっ」
ヴィーネ(あ、わ、私じゃないわよ! 学校が好きかどうかって話で!///)
『労力への不満が意欲を上回っています。あまり好きでは無いようです』
『しかし先程の会話による責任感の発生、あなたへの好意の高まりにより意欲は上昇の傾向にあります』
ヴィーネ「良かった……って私についてはいいんだって!///」
ガヴリール「どうしたんだお前」
『あなたへの恐怖が僅かに高まりました』
ヴィーネ「お昼食べてくる時間はあったの?」
ガヴリール「食べてないや、正直お腹空いて辛い」
ヴィーネ「そんなんじゃ勉強にも身が入らないじゃない」
ヴィーネ「ほら」ズイッ
ガヴリール「ん?」
ヴィーネ「今から買いに行っても時間掛かるし、行く気力もないでしょ」
ヴィーネ「私のお弁当分けてあげるから」
ガヴリール「……妙に優しいじゃん、何か隠してる?」
ヴィーネ「そそ、そんなことないわよ! 折角の人の好意を!///」
ヴィーネ「で、食べるの!? 食べないの!?」
ガヴリール「ありがたくもらうよ、ありがとな」ニコ
ヴィーネ「ど、どういたしまして」
ヴィーネ「……あんたこそ妙に素直じゃない、なんでよ」
ガヴリール「……さあね」
『あなたへの好意・信頼が高まりました』
『あなたの作った弁当は美味であり、空腹の彼女に強い喜びを与えています』
『また彼女は自覚していませんが、強い好意から無意識にあなたの言葉に従う素直な一面を覗かせています』
ヴィーネ「……///」
ガヴリール「んじゃ」ア-ン
ヴィーネ「?」キョトン
ガヴリール「お腹空いて力が入らん。食べさせて」
ヴィーネ「なっな……///」
ヴィーネ「……ほんとにどうしちゃったのよ、もう」ア-ン
ヴィーネ(どうしてかなんて、わかってるんだけど)
ガヴリール「あむ」パク
ヴィーネ「どうかな?」
ガヴリール「うむ、美味しい」モグモグ
ヴィーネ「良かった、じゃあ次は……」
ヒソヒソ
ヴィーネ「?」
『食べさせるというあなたの行為に対し、驚嘆・羨望・敬愛・崇拝といった感情が向けられています』
ヴィーネ「!!///」ポン
『あなたの行為はこの場において異質であり、とても関心を引きます』
ヴィーネ(うるさい!!///)
ガヴリール「まだー?」ア-ン
ヴィーネ(ううう……///)ア-ン
……
ホカノクラステストヤラサレタッテヨ
ナンカテストヤルラシイゾ
エ-ベンキョウシテナ-イ
ヴィーネ「今時抜き打ちテストなんて……」
ヴィーネ「来てて良かったわね、ガヴ」
ガヴリール「良くないっての……何もわからん」
ヴィーネ「少し時間あるし、可能な限り教えてあげるわよ」
ガヴリール「さすが神様ヴィーネ様~」
ヴィーネ「サターニャにも教えてあげなきゃ……ん?」
サターニャ「」ニマニマ
ヴィーネ「サターニャ?」
サターニャ「!」チラッ
サターニャ「」フンス
ヴィーネ(あっ……)
『彼女に勉強の意思はありません。【デビルズウィスパー】の機能を利用し乗り切るという自信に満ち溢れています』
ヴィーネ(うん、知ってる)
ガヴリール「ここ教えてくれー」
……
ヴィーネ(さすがにテスト中は外しておかないとね……)カリカリ
ヴィーネ(テストは自分の実力を知るためのものでもあるんだから、正々堂々挑まなきゃ)カリカリ
ヴィーネ(……悪魔ってそういうものだっけ?)カリカリ
……
ヴィーネ(こんなものかな)チラッ
ガヴリール「……」ウ-ン
ヴィーネ(ガヴは……あまり良い表情じゃないわね)
ヴィーネ(あの短い時間じゃさすがに無理があったかしら)
ヴィーネ(サターニャは……)チラッ
サターニャ「」
ヴィーネ(目が死んでる……一体何があったのよ)
……
ガヴリール「あーきっつ……」
ヴィーネ「お疲れ様。どんな感じ?」
ガヴリール「半分取れてればいいくらいかね……貴重な夏休みに補修なんて勘弁だぞ」
ヴィーネ「抜き打ちだし今回のテストだけで全部決まるわけじゃないんだから、次頑張ればいいのよ」
ヴィーネ「今回わからなかったところもしっかり教えてあげるから、ね?」
ガヴリール「頼りにしてるよ」
サターニャ「ヴィネットぉぉ……」グスグス
ヴィーネ「もっと重症っぽいのもいることだし」ナデナデ
サターニャ「おのれ魔界通販めえ……」グスグス
……
ヴィーネ「さて」スチャ
ガヴリール「そういえばヴィーネ、イメチェンしたんだな」
ヴィーネ「たまにはね……というか気づくの遅いわね……」
ガヴリール「いんや、最初から気づいてたさ」
ヴィーネ「嘘吐きなさいよ……」
『彼女は嘘を吐いてはいません』
『あなたの顔に対しての注目度が増しており、髪留めの存在を把握しています』
ヴィーネ(う……///)
ヴィーネ「……そこまで言うなら信じるけど」
ガヴリール「何も言ってないが」
ガヴリール「やっぱ何か隠してないか?」
ヴィーネ「……何もないわよ」
ガヴリール「なんか今日一日様子が変だし」
ガヴリール「考えを読まれてるような気もするしさ」
ヴィーネ「」ギクッ
ガヴリール「私がお昼食べてきてないってのは合ってるんだけどさ」
ガヴリール「『食べてきてないの?』じゃなくて『食べてくる時間はあったの?』って言ってたよね」
ガヴリール「まるで私が起きてすぐに学校に来たのを知ってたかのような……」
ヴィーネ「」ギクギクッ
ガヴリール「悪魔にも私たちの千里眼みたいな技があるのかは知らないけどさ」
ガヴリール「隠し事はあんまり嬉しくないかな」
ヴィーネ(ガヴ……?)
『心の奥底で、彼女は悲憤に咽んでいます』
『あなたから秘密や悩みを相談されるに値しないと突きつけられているようで』
『そんな自分に対する、強い嫌悪・怒りが見られます』
ヴィーネ(……!)
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴリール「ま、私の勘違いならいいんだ」
ヴィーネ「ごめんね……」ギュ
ヴィーネ(自分が悪魔らしくないなんて悲しむ一方で)
ヴィーネ(自分はやっぱり優しく出来ているんだと、安堵する側面もあった)
ヴィーネ(でも、こんな簡単なことにも気づかない)
ヴィーネ(やっぱり私は、悪魔だったんだ)
ガヴリール「……なんで謝るのさ」
ヴィーネ「勘違いなんかじゃないの」
ヴィーネ「嘘吐くななんて言っておいて、私が嘘吐いてたの」
ヴィーネ(こんな時でも、私に怒りを向けるわけじゃない)
ヴィーネ(隠し事をされた方……そう、自分自身に怒りを向け、相手を責めようとはしない)
ヴィーネ(これが外面は変わっても全く変わっていない、ガヴの根幹たる優しさ)
ヴィーネ(そんな優しさを持つガヴに、私は……)
ヴィーネ「ごめん……ごめんね……」ポロポロ
ガヴリール「なんだよ……なら私は悪くないのに」
ガヴリール「勝手に泣いて……ずるいじゃん」ポロポロ
……
ヴィーネ「……これ」スッ
ガヴリール「髪留め……? これがどうかしたのか?」
ヴィーネ「魔界通販の道具みたい」
ヴィーネ「身に付けた悪魔が考えたことについて答えてくれる……そんな道具よ」
ガヴリール「うわ、魔界もえげつない物作るな……」
ヴィーネ「これでガヴを覗いちゃったの」
ガヴリール「の、覗い……!? いつから使ってるんだよこれ!」
ヴィーネ「え、いや今日の朝からだけど……」
ガヴリール「よ、良かった……風呂とかトイレとか覗かれてたらどうしてやろうかと」
ヴィーネ「な!? ち、違うの!! 覗いてたっていうのは」
ヴィーネ「ガヴの……心の中っていうか……」
ガヴリール「心……?」
ヴィーネ「言い訳になるけど、わざと覗いたわけじゃないの……」
ヴィーネ「ガヴが私のこと、どう思ってるのかな……とか」
ガヴリール「……で、なんていう答えが聞けたんだ?」
ヴィーネ「……私に対する、強い好意・信頼……とか」
ガヴリール「……///」カアア
ガヴリール「……つまるところ」
ガヴリール「私がヴィーネを好きだってこと……で良いんだよね」
ガヴリール「そうか……」
ヴィーネ「ガヴ……?」
ガヴリール「……自分でもわかってなかったんだ」
ガヴリール「この気持ちがなんなのか、私がヴィーネをどう思っているのか」
ガヴリール「なんせ誰かを好きになるなんて初めてだから、ね」
ガヴリール「魔界通販の道具を信用したわけじゃないけど……たぶん合ってるんだと思う」
ガヴリール「私、ヴィーネのことが好きなのか」
ガヴリール「……私だけ覗かれるのは癪だ、それ貸してよ」
ガヴリール「私に対するヴィーネの気持ち、丸裸にしてやる」
ヴィーネ「な……!/// ざ、残念ながら悪魔にしか使えないのよ」
ガヴリール「ならその口で言ってみるんだな」
ガヴリール「私への気持ち、洗いざらい吐いてもらうぞ」
ヴィーネ「ぐ……///(悪化した……)」
ヴィーネ「わ、私は……///」
ヴィーネ「……好き、大好き」
ヴィーネ「つい答えを聞いちゃうほど、何かの拍子にガヴのことを考えちゃうくらい」
ヴィーネ「お世話して、守ってあげたくなっちゃうくらい」
ヴィーネ「ずっとずっと一緒に居たいくらい、大好き」
ガヴリール「っ……合格にしといてやる……///」
ヴィーネ「うあー恥ずかしい……///」プシュ-
ガヴリール「それだけ言ってくれれば流石に伝わったさ……」
ガヴリール「……私がこの気持ちに気づいてたとしても」
ガヴリール「今のヴィーネみたいに直接口にすることは無かったかもしれない」
ガヴリール「その点では、コイツの導く答えとやらには本当に感謝してる」
ガヴリール「これからゆっくりと、こんな道具に頼らなくてもいいように」
ガヴリール「お互いの本音を曝け出せるような関係になるんだ」
ヴィーネ「ガヴ……」
ガヴリール「だ、だから私も言う!」
ガヴリール「私! 天真=ガヴリール=ホワイト!! は!!」
ガヴリール「ヴィーネ……月乃瀬=ヴィネット=エイプリルが大好きだ!!」
ガヴリール「ちょっと隠し事されただけで落ち込んじゃうくらいには大好きだ!!」
ガヴリール「あと……あーもう考えがまとまらないっての! めんどくさい!」
ガヴリール「何でもいいから付き合ってくれ!!」
ヴィーネ「……ぷっ」
ヴィーネ「あっはははははは! 何よそれ!」
ガヴリール「うるさいな!!///」
ヴィーネ「でも良かったわよ、あんなに狼狽えるガヴ久しぶりに見た」
ヴィーネ「可愛い可愛い」ナデナデ
ガヴリール「撫でるな!」
ガヴリール「次はお前の番だからな、返事はどうなのさ」
ガヴリール「コイツが使えない以上、お前の口からの【答え】が私の全てなんだぞ」
ヴィーネ「ふふ、わかってるくせに」
ヴィーネ「喜んで。ってね」
パチパチ
ヴィーネ「……ん?」
パチパチパチパチ
ヴィーネ「」
ガヴリール「」
パチパチパチパチパチパチパチパチ
ガヴリール「……いつの間にやらギャラリーがいっぱいですね」
ヴィーネ「……」スチャ
『この場にいる全ての人々が心の底からあなたたちを祝福しています』
『あなたたちの声はとても大きく、上階にまで響いています』
ヴィーネ「」
ヴィーネ「」
『ちなみに聴取者は118人に上ります』
ヴィーネ「ははははっ……はあっはははははははは!!!」
ガヴリール「ヴィーネぇ!?」ビックゥ
『あなたへの恐怖が大きく高まりました』
……
…
…
……
ガヴリール「ヴィーネさん」ポケ-
ヴィーネ「どうしたの」ポケ-
ガヴリール「記憶消す道具とか、無いの? 通販」ポケ-
ヴィーネ「わかんない」ポケ-
ガヴリール「そうか」ポケ-
ヴィーネ「そうね」ポケ-
ガヴリール「……っはああぁぁ……」
ガヴリール「……いいよ、恥なんか捨てちまえ」
ガヴリール「いずれは簡単に本音を曝け出せるくらいになるつもりなんだ、恥ずかしいなんて言ってられるか」
ヴィーネ「……それもそうか」
ヴィーネ「そうと決まれば、今からでも見せつけてあげるんだから」ギュ
ガヴリール「いきなりだな……」ギュ
ヴィーネ「ふふふ……♪」スリスリ
ヴィーネ(周りになんて思われたとしても、この幸せには敵わない)
ヴィーネ(そう、全ては私たち次第……そうよね?)
『その通りです』
『末永く、お幸せに』
~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~
サターニャ「ふっふん!」スチャ
サターニャ「私の名前は何かしら?」
『胡桃沢=サタニキア=マクドウェル様です』
サターニャ「くくく……なーっはっはっは!!」
サターニャ「良い買い物だったわ……! 【デビルズウィスパー】……!」
サターニャ「類稀なる頭脳を更にサポートし、もはやこのサタニキア様の弱点は無いに等しい!」
サターニャ「私ってば大悪魔……この世を統べるに相応しいとは思わないかしら!?」
『大悪魔としては技量・覚悟があまりに未熟です』
サターニャ「辛辣!?」ガ-ン
サターニャ「生意気ね……ふんだ!」
サターニャ「実際に私がこの世を掌握していく姿、最も近い場所から見ているがいいわ!」
……
ラフィエル「~♪」
サターニャ(ターゲット発見よ)
サターニャ(さあて……どうお返ししてあげようかしら!)
サターニャ(あいつが嫌がることを教えなさい!)
『カエルなど、体表に粘液を纏う生物に対し激しい嫌悪を抱きます』
サターニャ(それは知ってる!)
『面白さを追求しており、退屈をとても嫌います』
サターニャ(退屈ね……あいつが主に何をして楽しんでいるかはわかる?)
サターニャ(それを奪えば効くんじゃないかしら)
『この頃であれば、あなたを導ることで大きな喜びを得ています』
サターニャ(なんで私なのよ!!)
『あなたの反応は特殊であり、著しく彼女の興味を惹きます』
サターニャ(ってことは……私がやられないようにすればいいのね)
サターニャ(……あいつの謀略を全て躱すのはかなり難しいのだけれど)
『彼女が行動を始める前にその場から離れること』
『また、彼女の行動に対しての反応を極力抑えるなどが効果的です』
サターニャ(へー……それくらいなら簡単じゃない)
ラフィエル「サターニャさん」ヌ
サターニャ「うわああはぁぁ!?」ビクウ
ラフィエル「物陰からじっと見つめられていたら照れちゃいます♪」
サターニャ(げ、バレてたの……)
『あなたが彼女を視認した時には既に認識されていました』
サターニャ(うっそでしょ……本当にこいつに勝てるのかしら)
『先程のあなたの反応を見て、喜悦に震えています』
サターニャ(ぐぬぬ……! 好き放題楽しんでからに……!)
サターニャ(反応を極力抑える……か)
ラフィエル「ところでこんなものは如何でしょう♪」スッ
サターニャ「あ! メロンパ……」
サターニャ(って素直に渡すわけないわよね……)
サターニャ(惜しい……惜しいけど反応しちゃダメなの!)
サターニャ「……それが?」
ラフィエル「サターニャさんに差し上げようかと思い……」
サターニャ「いらない。それじゃ」スタスタ
ラフィエル「……あら?」キョトン
ラフィエル(サターニャさん……体調でも悪かったのでしょうか)
サターニャ(ああああ……メロンパンんん……)
サターニャ(下手に見せられたせいで食べたくて仕方無いわ……買いに行かなきゃ)
サターニャ(休み時間中に戻ってこれるかしら?)
『あなたの脚であれば往復で8分ほど掛かる計算です』
『あなたの身体能力に関しては、大悪魔との自負に違わず非常に高い水準で纏まっています』
サターニャ(ふふん、もっと褒めなさい!)
……
サターニャ「ふー……走ったら余計にお腹空いたわ」
サターニャ「ここからお昼まで我慢かあ……」
ラフィエル「我慢しなくていいんですよ?」ヌ
サターニャ「おわぁぁ!?……っ!」
サターニャ(は、反応は小さく!)
ラフィエル(驚く姿もお元気が無いようです……お腹が空きすぎてしまったのでしょうか)
ラフィエル「メロンパン、私のを差し上げますから」
ラフィエル「我慢なさらず、お召し上がりくだ……」
サターニャ「いらないっていってるでしょ」プイ
サターニャ「じゃ、授業始まるし急いでるの」タッ
ラフィエル「あっ……」
ラフィエル「……」シュン
サターニャ(うああああん……!)
サターニャ(お腹空いて泣きそう……)グウウウ
……
ラフィエル「サターニャさ」
サターニャ「……」ダッ
……
ラフィエル「サターニャさん、サターニャ様」
サターニャ「……」ダッ
……
ラフィエル「……」
ラフィエル「……考えたくはありませんでしたが」
ラフィエル「嫌われて……しまいましたか」
ラフィエル「サターニャさん……」トボトボ
サターニャ(や、やばい……! お腹空きすぎて死ぬんじゃないかしらこれ……!)
『食への欲求こそ膨れ上がっていますが、当分命に関わるものではありません』
サターニャ(うっさいわね! 別に本気でそう思っちゃいないわよ!)
サターニャ(……ラフィエル、落ち込んでるのかしら)
『あなたから反応が貰えず、大きく気を落としています』
サターニャ(……無視はやっぱりやりすぎだったわ)
サターニャ(けど……ここであいつに痛い目を見せておかないと、またいつも通りに弄ばれる)
サターニャ(……何か別のことで痛い目を見せられないかしら?)
サターニャ(何か弱点とか……)
『甘いものが好物であり、弱点ともなり得ます』
サターニャ(と言うと?)
『一般的な女性と比較して、体重の増加を強く警戒しています』
『彼女は名家の生まれとして自由に娯楽として食事を摂る事が出来ず、蓄積した嗜好品への興味が解放され強く表れています』
『また、過去に食べ過ぎで体重を大幅に増加させた経験があるようです』
『当然、体重について触れられることも好ましくは思いません』
サターニャ「ぶふぅっ!!」
サターニャ(あのいつも澄ました顔したラフィエルが……!)
サターニャ(裏ではそんな悩みを抱えていたなんて……うくくくっ……!)ケラケラ
サターニャ(あー笑ったわ……他には無いの?)ハアハア
『自身の予想を超えた行動をされることが苦手なようです』
『常に冷静な彼女ですが、その際には綻びが生じます』
サターニャ(とは言うけど……あいつの予想を裏切るのはかなり難しいのよね)
サターニャ(どんな行動を取っても掌の上で転がされているようで……)
サターニャ(まあその予想を破る手段すらもコイツで知ることが出来るわけだし、大丈夫かしらね)
サターニャ(それじゃあ第二回戦と行こうかしら)
サターニャ「ラフィエルー!」
ラフィエル「あ……サターニャさん……」
ラフィエル(サターニャさんから声を掛けてくれました……)
サターニャ(体重……か)
サターニャ「元気無いわね、どうしたの?」
ラフィエル「っ……やはり、そう見えますか?」
サターニャ「そんな顔されてたらね」
サターニャ「ご飯、しっかり食べてるの?」
サターニャ「あまり体重気にしてたら身体壊すわよ」
サターニャ(スムーズに体重について切り出せたわ)
ラフィエル「いえ……ご飯は十分に食べていますよ」
ラフィエル「私……そんなに体重気にしてるように見えます?」
サターニャ「そういうわけじゃないけど」
サターニャ「ほら」ポイ
ラフィエル「……?」ポス
サターニャ「……私のメロンパンあげるわよ」
サターニャ「それでも食べて、元気出しなさい」
サターニャ(そんな中で甘いものを渡すという悪魔的行為!)
ラフィエル「……!」パアアア
ラフィエル「ありがとうございます、サターニャさん!」
サターニャ(……あれ? 喜んでない?)
『あなたから好物のはずのメロンパンを渡される』
『気分が沈みきった状態で、自分がそれだけ大切にされていることに気づく』
『その浮上の喜びは過去になく大きなものとなっています』
サターニャ(それじゃダメじゃない!?)
サターニャ(……まあいいわ)
サターニャ(正直、落ち込んでるラフィエルはあまり見たくないし)
サターニャ(いつもみたいにニコニコ胡散臭い笑顔してる方がラフィエルらしいもの)
ラフィエル(良かった……私、サターニャさんに嫌われていませんでした)
ラフィエル(いえ、確かに嫌われていたのでしょう)
ラフィエル(優しい優しいサターニャさんだからこそ許してくれたのです)
ラフィエル(……振る舞いを改めないといけませんね……)
ラフィエル「サターニャさん、お昼ご一緒出来ませんか?」
サターニャ「いいわよ。もうお腹が耐えきれそうにないの」
ラフィエル「……そんな状態にも関わらず、私にメロンパンを……?」
サターニャ「あっ、そうだった……メロンパン……」
サターニャ「……って違う! あげたんだから気にせず食べちゃいなさい」
ラフィエル(やはり、この方は……)トクン
ラフィエル「……では、私のメロンパンもサターニャさんに差し上げます」
サターニャ「だからいいって……」
ラフィエル「一緒に食べた方が美味しいですから」
ラフィエル「同じ言葉を返すようで失礼ですが、気になさらずお召し上がりになってください」
サターニャ「……そこまでいうなら」
ラフィエル「それでは、私のクラスへ行きましょう」
……
サターニャ「おいひいいい……」ポロポロ
ラフィエル「泣くほどお腹空いてたんですか……」
サターニャ「これが『気分が沈みきった状態からの浮上』なのね……なんて幸せなのかしら」
『彼女とあなたのそれには大きな差異があります』
サターニャ(うっさい!!)
ラフィエル「何の話ですか?」キョトン
サターニャ「なんでもないわ」モグモグ
サターニャ「あんたもいい加減食べたら?」モグモグ
ラフィエル「そうですね、いただきます」
サターニャ(……そろそろ仕返しのチャンスかしら)
サターニャ(確か予想を超える出来事に弱いのよね……)
サターニャ(ラフィエルが予想もし得ない出来事とか……何か無い?)
『あなたのメロンパンを彼女に食べさせてあげてください』
サターニャ(え、結局あげなきゃダメなの!?)
『いえ、食べる量はほとんど変わりません』
サターニャ(……? まあ素直に従ってあげるわ)
サターニャ「ラフィエル」
ラフィエル「どうしましたか?」
サターニャ「口開けて」ア-ン
ラフィエル「さ、サターニャさん!?」オロオロ
サターニャ(おー……本当に弱いのね)
サターニャ「いいから、お腹空いてるんでしょ?」
ラフィエル「しかしそれではサターニャさんの分が……」
ラフィエル「……いえ、良いこと思いつきました」
ラフィエル「メロンパン、いただきますね」ハム
サターニャ(……これ、なんか結構恥ずかしいことしてない?)
『非常に興味を惹く光景と空気を醸し出しています』
サターニャ(やっぱり……)
サターニャ(まあ、大悪魔として注目されるのは慣れてるわ)
サターニャ(それに、こんな幸せそうな顔してるラフィエルから取り上げるなんてS級悪魔的行為よ)
ラフィエル「♪」ハムハム
ラフィエル(サターニャさんが口をつけた部分……///)
ラフィエル「ごちそうさまでした」
サターニャ「あー、気にしないで……」グウウウ
ラフィエル「やっぱり我慢してるじゃないですか」
サターニャ「大悪魔は空腹になんて屈しないわよ……」
ラフィエル「だから我慢なんてしないでいいんですって」
ラフィエル「はい、どうぞ♪」スッ
サターニャ「あ、メロン……パン?」
ラフィエル「サターニャさんから手渡された分は食べきっていないですからね」
ラフィエル「食べかけで申し訳ないですが……是非ともどうぞ」
サターニャ「……結局交換しただけじゃない」クスッ
ラフィエル「それでは、失礼しますね」ア-ン
サターニャ「あーん……」ア-ン
サターニャ(ラフィエルの食べかけ……///)
『周囲から安堵・羨望・崇拝・庇護などの感情が向けられています』
……
サターニャ「ふー……これで放課後まで持ちそうだわ」
ラフィエル「そういえばサターニャさん、ご存知ですか?」
サターニャ「なにが?」
ラフィエル「私のクラスで◯◯の抜き打ちテストがあったんです」
ラフィエル「もしサターニャさんのクラスでも同じ科目があるのであれば、テストが行われる可能性は高いですよ」
サターニャ「げっ、次のやつじゃない……」
ラフィエル「そうなんですか! では今からご一緒にお勉強でも」パアッ
サターニャ(……いや、宿題もコイツで解けるんだった……テストも余裕よね)
サターニャ「普段ならありがたいんだけど、実は今日は必勝法があるの!」
サターニャ「勉強なんてやらないわ!」
ラフィエル「サターニャさんが……!?」
サターニャ「何よその顔!」
『凄まじいまでの驚嘆の感情が見られます』
サターニャ(私を何だと思っているのよ!)
サターニャ「まあそういうことで、今回は大丈夫よ!」
サターニャ「じゃ、またねラフィエル!」タタタ
ラフィエル「あっ……」
ラフィエル(お勉強、一緒にやりたかったのですが……)シュン
……
イマカラ60プン
ハジメ-
サターニャ(胡桃沢=サタニキア=マクドウェル……っと)
サターニャ(くくく……腕が鳴るわね)
サターニャ(過去何度も苦渋を味わわせられた憎きテスト……目に物見せてあげるんだから)
サターニャ(えーとなになに……)
サターニャ(……よし! 全くわからないわ!)
サターニャ(じゃ、答えを教えて頂戴ね)
『SS級悪魔的行為に抵触しているため、回答できかねます』
サターニャ(……あ?)
……
サターニャ「ヴィネットぉぉ……」グスグス
ヴィーネ「もっと重症っぽいのもいることだし」ナデナデ
サターニャ「おのれ魔界通販めえ……」グスグス
サターニャ(結局一問も教えてくれなかった……)
サターニャ(これこそSS級悪魔的行為じゃない! 魔界追放ものよ魔界通販!)
ラフィエル「……」ムス-
ラフィエル「だから教えてあげるっていったじゃないですか……」プンプン
サターニャ「あー……」フラフラ
ラフィエル「サターニャさん!」
サターニャ「んえ、何……? 今ちょっと元気が」
ラフィエル「テスト、ダメだったんですね」
サターニャ「偉そうなこと言っといてごめんなさいねー……手も足も出なかったわ……」グテ-
ラフィエル「私とのお勉強は、嫌でしたか?」
サターニャ「そんなことない!!」スクッ
ラフィエル「きゃっ……!」
ラフィエル「……んんっ!/// ならば何故……」
サターニャ「だって答え教えてくれるはずだったんだもん!」
サターニャ「これ、魔界通販で買ったんだけどね!」
サターニャ「コイツに聞けば、わかんないことは教えてくれたの!!」
ラフィエル「……はい?」ニコ
サターニャ「あっ」
『逃走はお勧めしません』
……
ラフィエル「カンニング宣言は如何なものかと……」プンプン
サターニャ「ごべんなざい……」グスン
ラフィエル「正直に言いますと、怒ってるのはそこではないんです」
ラフィエル「……それ、どこまでわかるんですか?」
サターニャ「知りたいことであればほとんど全てです……」
ラフィエル「私にも使いましたね?」
サターニャ「そ、そんなこと」
『正直に話すことをお勧めします』
サターニャ「……はい、使いました」
ラフィエル「今日のサターニャさん、すっごく変でした」
サターニャ「日頃の仕返ししたくて……つい……」
ラフィエル「……そう至ったのは私が行き過ぎたせいでもあります」
ラフィエル「けれど……本当に、本当に怖かったんですからね……」
サターニャ「悪かったと思ってるわ……」
サターニャ「……私も、途中で落ち込んでるラフィエルを見るのが辛くなって」
サターニャ「自分の納得いく方法で仕返し出来ないか考えたりしてみたんだけど……」
ラフィエル「それが、パンの食べさせ合いですか」
サターニャ「事実ラフィエルがすごい可愛い顔してたし……なんかもうこれでいいかなって」
ラフィエル「……可愛いなんて言っても簡単には許しませんからね」
サターニャ「どうしたら許してくれるかしら……?」
ラフィエル「それ、悪魔の方にしか使えないんですよね」
ラフィエル「自分の一番の弱点を聞いてみてください」
ラフィエル「そして、それを私に教えてください」
ラフィエル「サターニャさんが自覚している弱点が一番の弱点とは限りませんからね」
ラフィエル「第三者であるその道具に判定してもらいましょう」
サターニャ「そんなのでいいの……? 私が嘘言ったらどうするのよ」
ラフィエル「そこはまあ……信じてますので」ニコオオ
サターニャ(白状しよう)
サターニャ(……私の一番の弱点って何だと思う?)
『あなたの一番の弱点は』
『彼女、白羽=ラフィエル=エインズワースです』
サターニャ(え……!?)
ラフィエル「さあ、何が聞こえたのですか?」
サターニャ「……あんた。ラフィエル、みたい」
ラフィエル「そ、そんな……」ガ-ン
ラフィエル「いえ、今までを考えれば何もおかしくないですね……ふふふ」イジイジ
サターニャ(ラフィエルがおかしい)
サターニャ(……本当にラフィエルなんでしょうね!)
サターニャ(嘘だったら承知しないわよ!)
『嘘ではありません。目の前の白羽=ラフィエル=エインズワース本人です』
サターニャ(そんなわけ……!)
『彼女の貼り付けたような笑顔も、柔らかい身体も、黄金の瞳も、実は豊かな表情も』
『彼女を構成するあらゆる要素が、あなたの心を揺さぶります』
『続けて言うと、彼女の一番の弱点はあなたです』
『両想い、と言うやつです。おめでとうございます』
サターニャ(な……な……!?///)ポン
ラフィエル「ちょ、何が聞こえたんですか!」ユサユサ
サターニャ「いや、ね」
サターニャ「言わなきゃダメ……?///」
ラフィエル「言ってください! 今すぐ!」
サターニャ「……要約すると」
サターニャ「……ラフィエルが好きで好きで堪らなくて」
サターニャ「……落ち着かないから、弱点だとか……」
ラフィエル「なるほど……私が好きで」
ラフィエル「好きで……?///」プシュ-
ラフィエル「や、やっぱり嘘ついてますね! あれほど正直にと言ったじゃないですか……!」
サターニャ「あんた意外とめんどくさいわね!! 好きみたいだなんて私だってわからなかったわよ!!」
サターニャ「でも……言われてみたら確かにその通りで」
サターニャ「ラフィエルを悲しませたくなかったのだって……きっとそのせいで」
ラフィエル「……本当、なんですね」
サターニャ「……魔界通販だって、こういうところは信用出来るし」
サターニャ「私自身もそう思い始めちゃったから、もう否定できようもないわ」
ラフィエル「……嬉しいです、サターニャさん」
ラフィエル「実を言うと……私もサターニャさんが弱点なのかもしれません」
ラフィエル「たとえその道具の指示通りであったとしても」
ラフィエル「サターニャさんに嫌われたと思って……その後にサターニャさんの優しさに触れて」
ラフィエル「そこで初めて、私の中でサターニャさんがとても大きな存在であると自覚しました」
ラフィエル「サターニャさん……あなたをお慕いしております」
サターニャ「え、知ってるけど……」
ラフィエル「……」
ラフィエル「……また使いましたね!?」
サターニャ「いや違うの! コイツ意外と饒舌だから余計な情報まで――」
……
…
ラフィエル「……」ハアハア
サターニャ「……」ゼエゼエ
サターニャ「あんただって千里眼? とやらで私を覗けるんでしょ……ちょっとくらいいいでしょ……」ゼエゼエ
ラフィエル「それを言われると辛いですが……」ハアハア
サターニャ「本当に覗いてるの……」ゼエゼエ
サターニャ「……ふうっ」
サターニャ「まあ、これからはコイツに頼りっきりはやめるわ」
サターニャ「勉強、教えてくれるんでしょ?」
ラフィエル「もちろんです」
ラフィエル「……私も覗き見は控えます」
ラフィエル「だって、これからはずっとお側に居させていただけるのですから」
ラフィエル「サターニャさんが好きなこの双眸で、ずっと見続けさせていただきますよ」
サターニャ「ふふ……なんか変わったわねあんた」
ラフィエル「サターニャさんこそ」
サターニャ「たった一つ、意識しただけよ」
「「自分に嘘つかない」」
ラフィエル「……ですよね?」
サターニャ「わかってるじゃない」
サターニャ「……じゃ、帰りましょ」
ラフィエル「どちらの家に帰りましょうか♪」
サターニャ(それじゃあんたも)
サターニャ(またね)
『またの機会に――』
おわり
85 : 以下、\... - 2017/08/06 09:57:17.836 Grkoj2xz0 78/78長くなってしまったので分けても良かったのですが前半のサターニャのテストについて補完する必要があったので繋げることにしました
落ち込むラフィを書いていると死ぬほど心が痛むので早めに救いに向かわせた次第です
多くの支援ありがとうございました