サターニャ『もしもしガヴリール? あんた今暇?』
ガヴリール「なんだよサターニャ、私は今ネトゲで忙しいんだ」
サターニャ『あんた休日だからって家に引きこもってばかりいると体にキノコが生えるわよ』
ガヴリール「切るぞ」
サターニャ『待ちなさいよ!』
元スレ
【ガヴドロ】サターニャ『面白い場所を見つけたわ!』
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1499853039/
ガヴリール「なんだよ。用件を言えよ」
サターニャ『よくぞ聞いたわね! 実はとっても面白い場所を見つけたのよ!』
ガヴリール「面白い場所?」
サターニャ『そうよ。だからちょっと来なさいよ!』
ガヴリール「はぁ? もう夕方だぞ?」
サターニャ『大丈夫よ。まだ外は明るいわ。夏の空を嘗めないでちょうだい!』
ガヴリール「なんだそれ。嫌だぞ面倒くさい。これからネトゲのイベントがあるんだ。行くならお前一人で行けよ」
サターニャ『一人じゃないわよ。実はヴィネットとラフィエルも誘ったの。あとはあんただけよガヴリール!』
ガヴリール「みんな来るのか?」
サターニャ『そうよ』
ガヴリール「その面白い場所って何だよ?」
サターニャ『それは教えられないわ。来てみてからのお楽しみよ!』
ガヴリール「はぁ……分かったよ。で? どこに行けばいいんだ?」
サターニャ『決まりね。じゃあ町外れの……』
サターニャ「あっ……よく来たわねガヴリール」
ガヴリール「疲れた……なんでこんな町外れの森で待ち合わせなんだよ」
サターニャ「内緒よ。この森の奥に目的の場所があるのよ」
ガヴリール「ふぅん。ところでヴィーネたちは?」
サターニャ「……あんたが遅いから先に行ったわよ。私たちも行くわよ」
ガヴリール「まだ歩くのか?」
サターニャ「えぇ」
ガヴリール「ところでそのリュックはなんだ?」
サターニャ「荷物が入っているわ」
ガヴリール「……そうだろうな」
サターニャ「えぇ」
ガヴリール「……お前、この暑いのに長袖に長ズボンだな」
サターニャ「虫に刺されないようによ」
ガヴリール「私は半袖にスカートだぞ。森の中に入るなら前もって言ってくれよ」
サターニャ「そうだったわね。悪かったわ」
ガヴリール「虫除けスプレーとか持ってないのか?」
サターニャ「持ってきてないわ。天使なら聖なる光で防げるんじゃない?」
ガヴリール「……今は故障中なんだ」
サターニャ「そう……」
サターニャ「こっちよ」
ガヴリール「おい、そっちは道じゃないぞ」
サターニャ「そうよ」
ガヴリール「どこに行くんだ?」
サターニャ「行けば分かるわ」
ガヴリール「……辺りも暗くなってきたぞ」
サターニャ「そうね」
ガヴリール「街灯なんか無いぞ? 帰れるのか?」
サターニャ「大丈夫よ。懐中電灯があるから」
ガヴリール「なあ……」
サターニャ「ん?」
ガヴリール「道、合ってるのか?」
サターニャ「えぇ、合ってるわ」
ガヴリール「……」
サターニャ「……」
ガヴリール「ヴィーネたちは……」
サターニャ「着いたわ」
ガヴリール「ここは……川?」
サターニャ「川よ」
ガヴリール「……ヴィーネとラフィは?」
サターニャ「……」
ガヴリール「サターニャ?」
サターニャ「さあ……陽が沈むわ」
ガヴリール「……暗くて何も」
サターニャ「よく目を凝らしてごらんなさい」
ガヴリール「……今、光った」
サターニャ「見える?」
ガヴリール「あぁ……ホタルだ」
ガヴリール「お前が見せたかったのって……」
サターニャ「……そう。面白いでしょ?」
ガヴリール「うん……綺麗だ…………」
サターニャ「綺麗でしょ……」
サターニャ「見れて良かった。条件が揃わないとなかなか見られないのよ」
ガヴリール「条件って?」
サターニャ「気温や湿度。風や、月の光の加減とか。……詳しくは忘れちゃった」
ガヴリール「月は……見えないな」
サターニャ「そうね……今夜だけは眠っててもらいましょう」
ガヴリール「……それで、ヴィーネたちは?」
サターニャ「……私たちだけよ」
ガヴリール「ん……嘘、ついたのか?」
サターニャ「嘘……ついたわ」
ガヴリール「……そう」
サターニャ「怒った……?」
ガヴリール「別に……いいよ」
サターニャ「……ありがとう」
ガヴリール「なんだよ、急に……」
サターニャ「なんとなく……」
ガヴリール「そうか……」
サターニャ「……ホタル、綺麗でしょ。天使みたい」
ガヴリール「そうかな」
サターニャ「それで、この暗闇は悪魔みたい……」
ガヴリール「そうなの?」
サターニャ「うぐ……だから、その、光と闇は二つで一つっていうか……」
ガヴリール「なんだそれ。ヘヘッ……」
ガヴリール「そろそろ帰ろうか?」
サターニャ「もう少しだけ……」
ガヴリール「肌寒くなってきたし……」
サターニャ「私は長袖だから平気よ」
ガヴリール「私は半袖なんだよ。先に帰っちゃうぞ?」
サターニャ「この暗闇の中を?」
ガヴリール「うっ……。懐中電灯あるだろ?」
サターニャ「貸さないわよ。私が帰れなくなるじゃない」
ガヴリール「じゃあ神足通を使って」
サターニャ「ノーパンで帰るつもり?」
ガヴリール「サターニャ」
ガヴリール「お腹も空いてきたし……」
サターニャ「メロンパンあるわよ」
ガヴリール「またイヌに取られちゃうぞ」
サターニャ「ここまでは来ないわよ」
ガヴリール「サターにゃあ……」
サターニャ「分かったわよ。じゃあ一緒にメロンパン食べたら帰りましょう」
ガヴリール「ほんと?」
サターニャ「メロンパンて、お月様みたいよね」
ガヴリール「確かにな」
パカッ
サターニャ「はい、半月」
ガヴリール「サンキュー」
モグモグモグモグ
ガヴリール「ほら、三日月」
サターニャ「あははは」
ガヴリール「さて、メロンパンも食べたし、帰ろう」
サターニャ「ん……もうちょっと」
ガヴリール「サターニャ、風邪引いちゃうぞ……私が」
サターニャ「じゃあ、暖めてあげようか……私が」
ガヴリール「サ、サターニャ?」
ギュッ
サターニャ「ガヴリール……キスしても、いい?」
ガヴリール「そ……それは、その。恥ずかしいよ……」
サターニャ「大丈夫よ。だあれも見てなんかないんだから……んっ」
チュッ チュゥ……ンッ……ンアッ……プハッ
ガヴリール「ハァハァ……」
サターニャ「エヘヘ……」
ガヴリール「サターニャの唇……柔らかくて甘い味がした」
サターニャ「ふふ、お月様の味よ……」
サターニャ「ガヴリール、私のこと……好き?」
ガヴリール「え? あー、嫌いじゃない……かな」
サターニャ「……そう」
ガヴリール「サ……サターニャはどうなんだよ?」
サターニャ「んー? 何がー? ウフフ」
ガヴリール「だ、だから、私のこと……どう思ってるんだよ?」
サターニャ「私はガヴリールのこと、大大大好きよっ!」
ガヴリール「サターニャ……」
サターニャ「例えガヴリールが他の誰かのことを想っていても、私はあなただけを見ているわ!」ポロポロ
ガヴリール「ごめん……ありがとう」
サターニャ「謝らないで……今日は無理矢理連れてきちゃってごめんなさいね……。みんなには秘密だからね! さあ、帰りましょうか」グスン
ガヴリール「大丈夫か? 落ち着くまでもう少し居ようか?」
サターニャ「ううん、平気よ。あんまり森に長居すると体にキノコが生えるわよ」
ガヴリールドロップアウト
『月とホタルと天使と悪魔』
ー完ー
30 : ◆tc6/59leHM - 2017/07/12 19:32:14.646 wTAW9D180.net 21/21終わりです。読んでくださってありがとうございました。