兄「…」
妹「…」
元スレ
兄「…」妹「…」(テーブルを挟んで向かい合う二人)
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1500023152/
兄「…」
妹「…」
兄「…」スッ
兄「…」カキカキ…(計算式を書き始める)
妹「…」
兄「…」カキカキ…
妹「…」
兄「…」ピタッ
妹「…」
兄「…」カタカタカタ…(ルービックキューブを弄り始める)
妹「…」
兄「…」カタカタカタ…
妹「…」
兄「…」カタカタカタ…
妹「…」
妹「…」ガタッ
兄「…」カタカタカタ…
妹「…」スタスタスタ スッ
妹「…」バシャアッ!!(兄にバケツの水を掛ける)
兄「…」カタカタ…ピタッ
妹「…」
兄「…」ポタ…ポタ…
兄「…」
兄「…」スッ スタスタスタ
兄「…」ガチャ(リビングを出て行く)
妹「…」
1分後
兄「…」ガチャ(リビングに戻ってくる)
兄「…」スタスタ
兄「…」ファサッ(新聞紙を読み始める)
妹「…」
妹「…」スッ(iPadを手に取る)
妹「…」
兄「…」
兄「…」(眉間にシワを寄せる)
妹「…」
妹「…」スッ スタスタ
妹「…」カチャカチャ ジャ-
兄「…」
妹「…」スタスタ
妹「…」コトン(二人分のコーヒーを机に置く)
兄「…」
兄「…」ゴクゴク
兄「…」
妹「…」ゴクゴク
妹「…」
妹「…」ブシュッ!!(口に含んだコーヒーを兄に吹きつける)
兄「…」ベチャベチャ…
兄「…」ポトポト…
妹「…」ガタッ(立ち上がる)
兄「…」スッ(新聞紙を閉じ、立ち上がる)
妹「…」スタタタ
妹「…」(キッチンから包丁を取り出す)
兄「…」
兄「…」(妹の元に向かう)
妹「…」
兄「…」スタスタ
妹「…」ガバッ(布で顔を押さえつける)
兄「…」グッグッ(抵抗する)
ガチャッ
黒服の男「…」
兄「…」ピタッ
妹「…」ピタッ
黒服の男「…」
兄「…」
妹「…」
黒服の男「…」
おわり
兄(今日、ウチに新しい家族が増えた)
兄(妹だ、俺に新しい妹ができた…色々と事情があって、親が連れてきたんだ)
兄(本当に楽しみで、仲良くしたいと思っている…しかし一つ問題がある)
兄(妹は超名門校に通う天才なのだ)
兄(彼女にバカな姿見せないで兄らしくやれよ、と親には散々釘を刺された)
妹「…」
兄(そう、今目の前にいるのがその妹だ)
兄(こうしてリビングの机で今、まさに初対面したってところなのだが、まず雰囲気から違う)
兄(物々しいオーラを放っていて、全ての動き、瞬き一つでさえ計算されて動いているようだ)
妹「…」
兄(貴重な初対面だっていうのに、親は今出掛けている、いきなり二人きりだ…)
兄(普通なら挨拶の一つでもするのだろうが、それすらできない)
兄(一言でも口を開けば俺の全てを悟られそうな、雰囲気だ…)
兄(しかしかくいう俺の情報をまだ妹は知らない)
兄(俺がどれだけバカか、あるいは天才か)
兄(俺はとうの前に覚悟を決めた、兄として、妹に匹敵する天才を演じると)
兄(実際俺はバカだが、頭のいい奴がやりそうなことは分かるぞ…)
兄(例えば、計算…とか?)
兄(とりあえずこの気まずい雰囲気を断ち切ろう、俺が兄として一歩踏み切るのだ)
兄「…」スッ
兄「…」カキカキ…
妹「…」
兄(まずい…これはまずいぞ、計算式を書き始めたはいいけど、自分でも何書いてるか分からん)
兄(まず何の計算式だよこれ…今思えばなんでこのタイミングで計算式なんだよ…)
兄(妹の様子は…やばいソッポ向いてる…)
兄(何にしてもこんなデタラメな計算式見られたら俺がバカだって一発でバレるな)
兄(墓穴掘る前にさっさと別の何かをしないと…)
妹「…」
兄(あっ、丁度机にルービックキューブが置いてあるじゃないか)
兄(父さんが気まぐれで買ってきたけど一度も完成したことがないやつ…)
兄(天才っぽいしあれを触ろう)
妹「…」
兄「…」カタカタカタ…
妹「…」
兄「…」カタカタカタ…
妹「…」
兄(まずいな、妹が期待している)
兄(もしかしてすぐにこのルービックキューブの色を揃えるんじゃないかと期待している…)
兄(実際のところ自分でも何してるか分からんのに)
兄「…」カタカタカタ…
兄(ど、どうするこの状況…こんなもん一生掛かっても完成しないぞ…)
妹「…」
妹「…」ガタッ
兄(なんだ…妹が立って自分部屋の方に向かったぞ)
兄(まさか早速呆れられたのか?)
兄(いや違いない…最初は完成させられるんじゃないかと期待したのに、裏切られたって感じだよな…)
妹「…」スタスタスタ スッ
兄(ん?妹が降りてきたぞ、そして何か持ってるな)
兄(あれはなんだ、小さいバケツ?)
妹「…」バシャアッ!!
兄「…」
兄(何ィー!?水を、水を掛けられたぞ!?)
兄(なんだ?どうしてだ?やっぱり不快に思ったからか?)
兄(というか今の状況ならそれしかないか…)
妹「…」
兄(もしかしてこの妹ってドSとか?)ポタ…ポタ…
兄(優秀だと自信がついてそういう方向に転ぶっていうからな)
兄(とりあえず、タオルを取りに行こう…これは自分で取りに行くべきだ)
兄「…」スッ スタスタスタ
兄「…」ガチャ
兄(まずいな…初対面にして俺のダメさを見してしまった)
兄(というかもう既に俺が完全なバカだって見透かされてるのか…)
兄(いいや諦めてはいけない、俺は一度覚悟しただろう)
兄(なんとか信用を取り戻すぞ)
兄「…」ガチャ
兄「…」スタスタ
兄「…」ファサッ
兄(新聞だ、新聞を読んでいたらそれっぽいだろう)
兄(とりあえずこの状態で、次の作戦を考えよう)
妹「…」
妹「…」スッ
兄(なっ…妹がiPadを取り出したぞ…)
兄(そして何してんだ…顔を隠すように…いや違う)
兄(撮っている…俺を撮影している…!!)
妹「…」
兄(何なんだこれは…何が目的だ!?)
兄(観察?俺を知るために、深層心理を詳しく掴む為に記録しているのか?)
兄(この状況で急にってなると、思い出作りとか、記念とか、そういうのじゃないはず)
兄(やっぱりそうだ、だとしたらまずいぞ…俺は天才を装う必要がある)
兄(少なくとも分かったような素振りを見せなければならない)
兄(俺は今新聞を読んでいる…眉間にシワでも寄せたらそれっぽいだろう)
兄「…」
兄(だいぶ今の俺いい感じの雰囲気出てるんじゃないか…)
妹「…」
妹「…」スッ スタスタ
兄(あ、あれ?iPadを机に置いてキッチンの方に歩いていくぞ…)
兄(ダメだったのか…そんな心理さえ見破られていた…)
妹「…」カチャカチャ ジャ-
兄(それにしても何をしだしたんだ彼女は)
兄(…コップを二つ取り出して、何かを作っている)
兄(二つってことは俺のために?)
兄(あれは、ウチのコーヒー粉だ…コーヒーを作ってくれるんだ!)
兄(なんだ、完全に嫌われてるってワケじゃないみたいだな)
妹「…」スタスタ
妹「…」コトン
兄(普通ならばお礼でも言うのだろうけど、もはやそんな空気じゃないな)
兄(一言でも喋ったら、見限られそうだ)
兄(それにしても、物々しい色をしているな、今思えばブレンド方法も独特だった)
兄(オリジナルだ、さっそく新しい妹のオリジナルブレンドを飲めるのか)
兄(ではさっそく…)
兄「…」ゴクゴク
兄「…」
兄(なんだこれ!?色々おかしいぞこのコーヒー!)
兄(まず驚いたのはホットじゃない…アイスコーヒーだ…いやアイスコーヒーでもない!)
兄(微妙な温度の水で作れられていて、 固形物だったり、粉状のものが混ざり合った口に入ってくる)
兄(これはなんだ?これが上級国民の飲み物なのか?)
兄(し、しかしまずいな…だいぶ嫌な顔してしまった)
兄(思っていたものじゃなかったとはいえ、折角作ってくれたんだ、今の顔はまずかった)
妹「…」
兄(妹どんな顔してるだろうか…)チラ
妹「…」ブシュッ!!
兄「…」ベチャベチャ…
兄(ええ!?何してんだこの人!?)
兄(いきなり俺の顔面にコーヒー吹き出したぞ!?)
兄「…」ポトポト…
兄(キレたのか?俺がコーヒーを不味そうに飲むから?)
兄(ダメだ全然分からん、必ず何か意図があるはずなんだけど)
兄(ただ物々しいオーラを感じる、今俺は敵意を向けられている気がする)
兄(さっきから妹の行動はおかしい、俺の何かを感じ取って、敵意を向けている…!)
妹「…」ガタッ
兄(なっ!立ち上がったぞ!)
兄「…」スッ
兄(お、俺も立って対抗…いやいつでも逃げられる準備をしておこう)
兄(なんかすごく怖くなってきた…何をされるんだ俺は…)
妹「…」スタタタ
妹「…」シャキン
兄(あっ、あれは…包丁…だ)
兄(殺されるのか?俺は?)
兄(…落ち着け、冷静になるんだ、こういう時こそ冷静になるんだよ)
兄(いいか、妹とは今日初対面で、確かに俺はバカをやっているけども、殺されるようなことをしたか?)
兄(いいやしていない、不快にさせたにしても殺されるはずなんてない)
兄(彼女の行動には必ず何か意味がある…)
兄(包丁を取り出した…料理…)
兄(料理か、そういえば今日親が帰ってくるまでに妹がクリームシチューを作ってくれるって話をしていたぞ!)
兄(それなら俺も手伝おう!そうすることで一気に距離を縮められるぞ!)
兄(きっとキッチンのどこに道具が置いてあるか分からないだろうから、教えてやらないといけないしな)スタスタ
妹「…」
兄(まず鍋を取り出してやるか)
妹「…」ガバッ
兄(!?)
兄(なんだ!?布…!何かで湿らせた布だ!)
兄(それで俺の顔を押さえてくるぞこいつ!何をするんだ!?)
兄(やばい、クロロホルムか…!?このままじゃ俺は…!)
ガチャッ
黒服の男「…」
兄「…」ピタッ
妹「…」ピタッ
兄「…」
兄(…だれ?)
兄(なんか人入ってきた…誰だよあの男こえーよ…)
黒服の男「…」
兄(不法侵入じゃねえか…しかも何も言わないし全然動かない、なんだあいつ…)
兄(もう色々ありすぎてバカの俺には分からん…どうすればいいんだよ俺はー!)
おわり
妹(私は今日、新しい家族の一員となった)
妹(私に新しい兄ができたのだ)
妹(一人っ子だった私にはそれがとても嬉しくて、感動してる…だけど一つ問題がある)
妹(私が天才だと思われていることだ)
妹(私は友人に誘われてある名門校に記念受験をした)
妹(しかし頭の悪い私は一つも問題が分からない…適当にマークシートを埋めて出した結果それが全問正解で)
妹(私は今にいたる…親も私が名門校在学中だってことを誇りに思い、それだけをお兄さんに伝えている…)
妹(そんな状態で私がバカだってバレたら期待を裏切っちゃいそうでヤダな)
妹(だから決めた、私はなんとか天才を演じるわ!)
兄「…」
妹(と、今目の前に座っているのが私のお兄さんとなる人)
妹(何よりも問題なのは、この人実は頭が良いということ)
妹(この人の親が言っていた、兄さんは何を考えているか分からない、ある意味天才だって)
妹(まさかそんな人だなんて今日まで知らなかった…)
妹(私はこの人との会話についていけるのだろうか、とにかく、相手に話しかけられるまではこの空気を崩してはいけない)
兄「…」カキカキ…
妹(ん!?何か描き始めたよこの人!何してるの!?)
兄「…」カキカキ…
妹(何かチラチラこっちを見ている…似顔絵?似顔絵だ…)
妹(この人きっと私の似顔絵を描き始めたんだわ…何か意図があるのかな)
妹(だけどここで動いたりしたら何か失礼になりそうだ)
兄「…」ピタッ
妹(あれ?手が止まった…なんで?)
兄「…」カタカタカタ…
妹(ええ!?今度はルービックキューブ!?)
兄「…」カタカタカタ…
妹(一体何をやっているのこの人?突然私の似顔絵を描き始めたと思ったら、それをやめてルービックキューブを弄り始めた!)
妹(いや、明らかに不自然過ぎるわ、こんなこと)
兄「…」カタカタカタ…
妹(この人は天才…何かあるに違いない)
妹(そもそもそれだけ頭がいいのに、ルービックキューブが未だに完成しないのはおかしい…)
妹(完成しないルービックキューブ、わざと完成させていないのかな…)
妹(ルービックキューブ…色が揃わない…色?似顔絵に必要な色がない?)
妹(そうだ、きっとそういうメッセージだわ!)
妹「…」ガタッ
兄「…」カタカタカタ…
妹(私の部屋に絵の具セットがある!それを渡して私が察しのいい妹だってアピールしよう!)スタタタタ
妹(絵の具セットを用意して、バケツに水を入れてっと…)
妹(これで完全に信用を得られるぞ…だけどなんだか緊張するな)
妹(あっ、やばい手が滑った…!)
妹「…」バシャアッ!!
兄「…」カタカタ…ピタッ
妹(あ゛あ゛あ゛!!ごめんなさい!!)
兄「…」ポタ…ポタ…
妹(怒ってる!絶対に怒っている!完全にやらかしたわ私!)
妹(謝るべきかな!?普通ならすぐに謝るべきなんだけど!)
兄「…」スッ スタスタスタ
妹(あ、あれ!どこへ…!)
兄「…」ガチャ
妹(あああ嫌われたあああ!完全に嫌われたあああ)
妹(もう見切りをつけたって感じに出て行ったんだ…話にならないって)
妹(やっぱり無理だったんだ、私に天才とのコミュニケーションなんて)
妹(…)
妹(いや、きっとお兄さんは許してくれる)
妹(怒っているにしても、器だって広いはずだよ、天才なんだもん)
兄「…」ガチャ
妹(ほら!私にチャンスをくれるんだ)
兄「…」スタスタ
兄「…」ファサッ
妹(新聞紙?新聞を読み始めたわ)
妹(今度は失敗しない…!新聞…情報…)
妹「…」スッ
妹(ミラーリングよ、私も同じようにニュースを読んで親近感を上げるのよ)
妹(こっちはiPadだけど…同じだよね、変わらないよね)
妹(ちょっとお兄さんの方見てみよう…どんな顔してるだろう…)
兄「…」キッ
妹(うわあっ!眉間にシワをよせて怖い顔してる!)
妹(失敗したんだ!これも違った!)
妹(どうしよう、とにかく別のことをしなくちゃ…)
妹(新聞…新聞を読む男の人…コーヒー!)
妹「…」スッ スタスタ
妹(コーヒーを作って出そう!察せる女だって思わせるのよ)
妹(と、キッチンまで来たはいいけど、私コーヒーとか作ったことない…)
妹(とりあえずコーヒー粉を出して…コップに入れれ、お湯を入れたらいいのかな)
妹(今は夏だし、アイスコーヒーがいいよね、じゃあ水をそのまま入れればいいか)ジャ-
妹(あれ、コーヒーってこんなじゃないよね、全然色とか違うし…)
妹(もっと濃い黒が何か…近くに胡椒とか?)
妹(もういいや、あんまここにいると怪しまれる、適当に近くにあるの色々混ぜとけい)
妹「…」カチャカチャ
兄「…」
妹(まあ大丈夫大丈夫、なんか色がそれっぽくなったし)スタスタ
妹「…」コトン
妹(どうぞ、二人分だよ☆)
妹(だけどお兄さん飲んでくれるのかな、さっきのことで怒っているだろうけど)
兄「…」
兄「…」ゴクゴク
妹(おっ!飲んでくれた!やっぱりお兄さんは懐の広い人だった!)
妹(すごく渋い顔してるなぁ…やっぱブラックで良かったんだ)
兄「…」
妹(私も飲もう)ゴクゴク
妹(うーん美味し…ん?)
妹「…」ブシュッ!!
妹(マズゥッ!なんだこれ!?)
妹(よくこんなもの飲めたなこの人!?物凄く不味いぞ!)
兄「…」ベチャベチャ…
妹(ああ!!最悪だ、私なんてことを…兄さんの顔に吹き出してしまったわ)
兄「…」ポトポト…
妹(今度は私が先に動かないと、布巾を、布巾で顔を拭いて謝意を見せないと!)
妹「…」ガタッ
妹(キッチンにあるよね布巾!)
兄「…」スッ
妹(やばい!お兄さんも立った!もう完全に呆れられてる!)スタタタ
妹(早く探さないと!)ガチャガチャ
妹(これは?いやこれは包丁だよ!なんでこんなもん取ってんの!)
兄「…」
兄「…」スタスタ
妹(えええ!こっちに向かって歩いてきた!)
妹(やばい、早く包丁置いて布巾を!)
妹(見つけた!布巾があった、兄さんの顔を拭いてみせないと)
妹「…」ガバッ
兄「…」グッグッ
妹(ええ!?なにこの人!抵抗してくる!顔を吹かせまいと手を掴んでくる!)
妹(何か、何か意図があるの!?拭いちゃダメなの!?)
妹(私このままどうしたらいいの?)
ガチャッ
黒服の男「…」
兄「…」ピタッ
妹「…」ピタッ
黒服の男「…」
妹(だれ?)
妹(誰だあのおっさん…お父さんじゃないし、この家族の人でもないはず)
妹(見たことない…お兄さんの知ってる人?なんで全然動かないの?)
妹(何か言ってよ…せめてこの状況を打開してよ!)
妹(お兄さんも動かなくなったし、色々ありすぎてバカの私には何が起きてるか全然分からない…)
妹(私は一体どうしたらいいんだよー!)
黒服の男「…」
おわり
男「…」
男(私は弁護士をしている)
男(今回は両親の離婚を原因に女子高生を養子として引き取ったある一家に、新しい家族間での相続など説明を求められやってきた)
男(しかし、今その一家の母方から帰るのが少し遅くなるから先に家に入っていてくれとの電話があった…)
男(無用心にも思えるが、問題はそこじゃない)
男(家族の経歴について聞いたところ、一家の長男は学歴は然程だが、天才肌タイプらしい)
男(引き取られた娘も超名門校に通うエリート型のお嬢様だと聞く…)
男(かくいう俺は学歴だけで弁護士になっただけで、実は然程実力もないポンコツだということは今まで何とか誤魔化してきた)
男(しかし今回、あの天才二人に挟まれた時、俺は耐えられるのか?)
男(見抜かれるんじゃないのか?俺は本来二人の上に立って話をしなければいけない人間)
男(俺は平常心を保っていられるのだろうか…)
ガチャ
男(本当だ、鍵が開いている…それじゃあおじゃましまーす)
男(入っていいんだよな、リビングに二人がいると聞いた)
男(何とかそれっぽい雰囲気を出すために今日は全身黒にしたが、逆に怪しくないか?)
男(ここまで来たんだ、入るぞ)ガラッ
兄「…」ピタッ
妹「…」ピタッ
男「…」
男(な、何やってんだこいつら!?)
男(娘は左手に包丁、右手に布巾を持ち、男はそれを必死に止めようとしているぞ!?)
男(これは、俺が止めるべきなのか?いや、あの二人、何かヤバイものを見られたって感じでこっちを見ている)
男(退散するべきなのか?入るのが早かったのか?)
兄「…」
妹「…」
男(いや求められている…何か言うじゃないかと求められているんだ)
男(しかしこの物々しい雰囲気、これが天才…!耐えられない、何をすればいいのか全く分からないぞ!)
男(最初の一言…何を言う…何を…)
兄「…」
妹「…」
男「あ…」
パリンッ
兄妹男「!?」
オバちゃん「…」(割れた窓からオバちゃんが入ってくる)
オバちゃん「…」スタッ…
オバちゃん「…」ギロッ
兄「…」
妹「…」
男「…」
オバちゃん「…」
兄妹男オバちゃん(一体どうすればいいんだよー!!)
完