私の名前は月乃瀬ヴィネット=エイプリル、この春から舞天高校に通うことになった女子高生!
桜が咲き誇る中、新生活への期待を抱き、私の新しい住居となるアパートを探していたんだけど……。
不良A「てめぇこのクソアマ、どこ見て歩いてんだよ」
不良B「人に肩をぶつけておいてごめんなさいで済ませるつもりか?あ?」
ヴィーネ「す、すみません………馴れない土地だったもので……」
不良A「ケッ、しったことかよ!おい!こいつ連れていくぞ!」
不良B「了解、まぁ痛い事はしないから大人しくしてろよ?」グイッ
ヴィーネ「や、やめてください!離してください!」
不良A「ひゃはは!この街で俺らに逆らえる奴なんていねえんだよ!助けなんて来ねぇから諦めな!!」
「そこまでです!!」
不良A「………あ?」
元スレ
ヴィーネ「怖い人達に絡まれちゃった……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1492524220/
……美しく揺らめくブロンドのロングヘアー、透き通ったような蒼い瞳に小柄な体格
争いとは無縁そうな容姿をした彼女が、柄の悪そうな大男二人を呼び止めていた
不良A「………なんだてめぇ…」
ガヴリール「…男性二人で一人の女の子に乱暴をするなんて許せません、今すぐその手を離しなさい」
不良B「…お前、俺らが誰だかわかってんのか?」
ガヴリール「あなたの事は存じませんが、これ以上その女性に乱暴するというのならば……」
スッ
ガヴリール「私が相手をします!」
不良A「おい聞いたか?こいつが俺の相手をするってよ?」
不良B「へっ、ちょっと痛めつけてこいつも一緒に拐っちまおうぜ」
ヴィーネ「ちょ、ちょっとあなた、私のことはいいから逃げなさい!」
ガヴリール「お気になさらず、困っている方を放ってはおけない性格なので」ニコッ
……
不良A「ごふっ………………」
ドシャァッ‼
ガヴリール「ふぅ、まずは一人ですね」
不良B「てっ、てめぇ!舐めやがって!!」ブンッ
ガヴリール「………」
ガヴリール(…相手の右腕の動きを見るに狙いは私の顔面ですね、まったく、女性にたいして容赦のない方ですね)
ガヴリール(しかし、私達天使はこのような荒くれものを数々の武術を使いねじ伏せてきました、下界の三下風情に負けるはずがありません)
ガヴリール「………」ヒョイッ
不良B「……嘘だろ!?俺の拳をかわすなんて…」
ガヴリール「…更正の余地は無しですね、あなたにはキツいお灸を据えてあげます」
不良B「ひっ………」
ガヴリール(…素早い打撃と天使力の行使を得意とする『天界武術』、その中でももっともオーソドックスな打撃……)
ガヴリール「ふんっ!!」シュッ
不良B「なっ、はやっ………!?!?」
バゴォッ‼
不良B「げふっ………!?」
ガヴリール「下界の武術で例えるならば、ジャブってやつですね」
ヴィーネ「な、なんて速さなの……」
…
ガヴリール「…お怪我はありませんか?」
ヴィーネ「え、ええ……あなたのほうこそ大丈夫?」
ガヴリール「はい、争い事には慣れっこですので」ニコッ
ヴィーネ「そ、そうなんだ………」
ヴィーネ(一体この人はどんな人生を歩んできたんだろう……)
ガヴリール「ところであなた、お名前は?」
ヴィーネ「私は月乃瀬ヴィネット=エイプリル、ヴィーネでいいわ」
ガヴリール「私は天真ガヴリール=ホワイト、この春から舞天高校に通うことになりました!」
ヴィーネ「うそっ!?じゃあ私と一緒ね!」
ガヴリール「ふふ、今日は素敵な方と出会えました、主の導きに感謝を………」
ヴィーネ(それが、私の彼女の出会いだった……)
……
後に聞いた話によると、彼女は人間ではなく、天使であることがわかった。
天使学校を首席で卒業、天界武術の大会を最年少で優勝、暴徒と化した堕天使の軍勢を拳一つで鎮圧、あまりに現実離れした武勇伝の数々に、私の心は高鳴った。
才色兼備、まさに完璧を形にした彼女と同じ学校に通い、友人として過ごせるのだ、これほどまでに誇らしい事はないだろう……。
そう、思っていたのが数週間前……。
ヴィーネ「……はぁ、ガヴったら、今日もまた学校に来てない……」
委員長「天真さん、どうしちゃったのかしら?最初はあんなに真面目だったのに……」
………
……
強面の男「おい、本当にこのアパートで間違いねぇんだな?」
不良A「は、はい、ここが奴の………『舞天の守護神』の住むアパートです…」
不良B「奴はたった数日で俺らの仲間を皆蹴散らしてしまったんです、相当の手練れですよ…」
強面の男「……そいつは俺よりつええのか?」
不良B「と、とんでもないです!!宇上さんに勝てるのはこの街でもたった一人だけ、あのお方くらいのものですよ…」
不良A「それよりもさっさとやっちおうぜ、ここ、かなり目立つからよ…」
不良B「よし、じゃあ呼び出すぞ………」
ドンドンドン‼‼
「オラァ!天真ァ!出てこいやコラァ!!」
…ガチャッ
ガヴリール「……なんだよ、さっきからうるさいんだけど…」
強面の男「…おい、こんなちんちくりんが本当に舞天の守護神なのか………?」
不良A「そ、そのはずなんですけど………あれ?」
不良B「もっと健康そうな見た目をしていたような…」
ガヴリール「…なんだよ、人違いか?でもお前らさっき確かに私の名前を呼んでたよな?」
不良A「…っ!てことはやっぱり…!」
強面の男「ふん、間違いねぇようだなぁ?ちょっと面貸せや…」
ガヴリール「…ったく、もう喧嘩なんてしないって決めたのに…」ポリポリ
ガヴリール「………いいよ、相手になってやる」
強面の男「へっ、そうこなくちゃあな?守護神様よー」
ガヴリール「…お前みたいな弱そうな奴よゆーだよよゆー、三秒で終わらせてやる」
強面の男「でけぇ口叩くじゃねえか、後で吠え面かいてもしらねえぞ?」
…
強面の男「………」ピクピク
ガヴリール「はい、去勢しゅーりょー」
ガヴリール「命までは取らねえよ、こんくらいで済ませてやったんだから感謝しろ」
不良A「う、宇上さん………っ!!」
不良B「ば、バカな…宇上さんは舞天中の頭だぞ…?」
ガヴリール「それにしてもお前らの用心棒がこんなに雑魚だったなんてな、なんか拍子抜けしたわ」
不良A「なんだとっ!?」
不良B「もういっぺん言ってみろやコラァ!!」
ガヴリール「あぁ?」ギロッ
不良A「………ひっ」
ガヴリール「…ふん、明日からは学校に顔を出すつもりだから問題を起こすわけにもいかない、これくらいにしといてやるよ」
ガヴリール「……たくっ、時間の無駄だったわ、帰ってネトゲでもしよっと」スタスタ
………
不良A「………あのお方には頼みたくなかったが、やむを得ないな…」
不良B「…『舞天の守護神』と『舞天の破壊神』…これはやべーことになるぞ…」
…
ガヴリール「ふわぁぁぁぁ、ねむ……」
ヴィーネ「おはようガヴ、今日は遅刻せずに来たわね」
ガヴリール「まぁ、流石に留年だけは勘弁だしな」
委員長「て、天真さん、なんか雰囲気変わった……?」
ガヴリール「べつに、私は元からこんなだけど」
委員長「そ、そうよね!天真さんは元々こんな感じよね!」
委員長(やっぱりあの時の天真さんは幻覚だったのかしら……)
サターニャ「……」
……
ガヴリール「………」スタスタ
ガヴリール「うげっ、このジュースまっず……」
ガヴリール「悔い改めろ」ポイッ
カランカラン……
サターニャ「………!!」
サターニャ「ちょっとあんた!待ちなさいよ!」グイッ
ガヴリール「あ?」
サターニャ「ジュース溢れてるわよ!」
ガヴリール「……」
サターニャ「……」
不良A「くくっ、ついにはあの二人が出会っちまったか」
不良B「これで天真の奴も終わりだな………!」
ガヴリール「じゃーんけーん……」
サターニャ「……?」
ガヴリール「ぽんっ」
サターニャ「……っ!」バッ
ガヴリール「はい、お前の負けな」
ガヴリール「んじゃ、あとよろしくー」スタスタ
サターニャ「なっ!!ちょっと待ちなさいよ!!」
舞天の破壊神、敗れる!!
完