ザーザー
ガヴリール「……」チラッ
ガヴリール「また雨……か」
ガヴリール(私は梅雨が嫌いだ)
ガヴリール(出先で突然雨が振り始めたり)
ガヴリール(それに、どうしてこうもジメジメしているのか)
ヴィーネ「何たそがれてんの!ガヴ!」
ヴィーネ「ほら!早く来なさい」
ガヴリール「別にいいって」
ヴィーネ「良くないわよ!女の子なんだからそんな髪じゃ駄目よ!」
ガヴリール「別に出かけるわけじゃないんだからさぁ」
ヴィーネ「いいから来なさい!整えてあげるから!」
ガヴリール「……わかったよ」
ガヴリール(これも梅雨のせい)
ガヴリール(ほんとなんなんだ、この湿気は)
ヴィーネ「もう……どんだけ放っておいたらこんなに髪がもっこもこになるのよ……」グシグシ
ヴィーネ「ちゃんと手入れしなさいよ」
ガヴリール「知らないよ、私は悪くない。梅雨が悪い」
ヴィーネ「それにしても……」モフ
ヴィーネ「……」モフモフ
ヴィーネ「……」モフモフモフ
ガヴリール「……おい」
ヴィーネ「……」モフモフモフモフ
ガヴリール「おい!ヴィーネ!」
ヴィーネ「えっ、あっ!何?」
ガヴリール「何してんの?」
ヴィーネ「てっ、手入れだけど?」
ガヴリール「……ならいいけどさ」
ヴィーネ「じゃ、じゃあ続きやるわね」
ガヴリール「ああ、ちゃんとやってくれよ」
ヴィーネ「ちゃんと毎日手入れしないと」サッサッ
ガヴリール「めんどくさ……」
ヴィーネ「だめよ、やらないと」
ガヴリール「チッ……」
ガヴリール「はやく梅雨終わらないかな~」
ヴィーネ「ガヴは梅雨が嫌い?」
ガヴリール「当たり前じゃん」
ヴィーネ「私は結構好きなんだけどなぁ」
ヴィーネ「はい、終わったわよ、次は羽根出して」
ガヴリール「羽根までやらなくていいよ」
ヴィーネ「できる時にやっとかないと!ほら!出して!」
ガヴリール「……ったく」
ガヴリール「ほら」バサァ
ヴィーネ「」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「」パクパク
ガヴリール「ん?おい、ヴィーネ、、どうした?」
ヴィーネ「……輪っか出してみて」
ガヴリール「え?なんで」
ヴィーネ「いいから」
ガヴリール「……」シューン
ヴィーネ「やっぱり……」
ガヴリール「なんだよ」
ヴィーネ「ガヴ、落ち着いて聞いてね」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「羽根と輪っかにカビ生えてる」
ガヴリール「うっそだろ!?」
ガヴリール「……」チラッ
ガヴリール「くっそぉ!」
ガヴリール「本当なんなんだよ!梅雨はよ!」
ヴィーネ「……ガヴが悪いと思うけど」
ガヴリール「あ!?」
ヴィーネ「……まあ手入れしてあげるから」
ガヴリール「……」
ガヴリール「……よろしく」
ヴィーネ「あら、素直ね」
ガヴリール「流石にカビはやだ」
ヴィーネ「そりゃそうね」
ヴィーネ「痛くない?」ワシャワシャ
ガヴリール「おう」
ヴィーネ「どれだけ放置したらこんなに生えるのよ……」
ガヴリール「うるさいな、ほっとけ……」
ヴィーネ「……」ガッ
ガヴリール「てっ」
ヴィーネ「あっ、ごめん!」
ガヴリール「……気をつけろよ」
ヴィーネ「……」スッスッ
ガヴリール「なぁ、ヴィーネ」
ヴィーネ「何?」
ガヴリール「さっき梅雨が好きって言ってたじゃん」
ガヴリール「なんで好きなの?」
ヴィーネ「だって雨ってなんかロマンチックな気分に浸れるから」
ガヴリール「は?」
ヴィーネ「それに私やりたいことがあるの」
ヴィーネ「傘忘れたのに出先で急に雨降ってきて、困ってる時に」
ヴィーネ「相手がおもむろに折りたたみ傘を取り出して」
ヴィーネ「『一緒に入ろ』とか」
ヴィーネ「憧れちゃうのよね」
ヴィーネ「雨のおかげで関係が急接近する2人……」キャー
ガヴリール「なんでだよ肩とか濡れるじゃん」
ヴィーネ「……憧れない?」
ガヴリール「まったく」
ヴィーネ「……そっか」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「まあでもたまには一日中家でこうして話し合ってるのもいいでしょ?」
ガヴリール「……まあそうだな」
ヴィーネ「ね?」
ヴィーネ(表面のカビは取れたわね)
ヴィーネ(後は……)
ガヴリール「確かに羽根の手入れは気持ちよか……」
サワッ
ガヴリール「ひゃんっ!」
ヴィーネ「!?」
ガヴリール「おい!ヴィーネ!今何を……」
サワサワ
ガヴリール「きゃあっ」
ガヴリール「ちょ、やめ……やめろ!」
ヴィーネ「……あ、ああ、ごめんね」
ガヴリール「……ったく、なんなんだよ!」
ヴィーネ「いや、根元の方にまだ残ってたから……」
ヴィーネ「次は気をつけるから!」
ガヴリール「……気をつけろよ?」
ヴィーネ「分かった!」
ガヴリール「ほんとだぞ?」
ヴィーネ「ええ」
ガヴリール「……んっ、じゃあよろしく」ポフッ
ヴィーネ「……」オソルオソル
ヴィーネ「……」スッスッ
ヴィーネ「どう?」
ガヴリール「ん、いい感じ」
ガヴリール(やべえ、すっごい気持ちいい……)
ヴィーネ「……」スッスッ
ガヴリール「……」
ガヴリール(こいつってほんとこういうのうまいよな……)
ガヴリール(気持ちいい……)
ヴィーネ「それにしてもガヴがこんなに背中弱かったなんてね」
ヴィーネ「……はい!終わり!」
ガヴリール「……」コロン
ヴィーネ「……ガヴ?」
ガヴリール「……」スゥスゥ
ヴィーネ「……寝ちゃったか」
ヴィーネ「……ふふっ」
ガヴリール「んん……」
ガヴリール「はっ!」
ヴィーネ「あ、ガヴ起きた?」
ガヴリール「私寝てた?」
ヴィーネ「うん、寝てたわよ」
ガヴリール「そっか……」
ガヴリール「今何時?」
ヴィーネ「20時」
ガヴリール「えっ!?5時間も寝てたのか!?」
ヴィーネ「もう遅いし泊まってっていい?」
ガヴリール「……ああ、すまんな、ずっと寝てて」
ヴィーネ「ふふっ、別にいいわよ」ヨッコイショ
ヴィーネ「……さて、晩御飯のオカズ買ってくるけど、何がいい?」
ガヴリール「肉」
ヴィーネ「あいまいね……分かったわ」
ヴィーネ「じゃあ行ってくるわね」
ヴィーネ「雨もやんでるし……ダッシュで行ってくるわ!」
ガヴリール「ああ、よろしくー」
ガヴリール「……羽根も輪っかも綺麗になってる」
ガヴリール「気持ちよかったなぁ」
ガヴリール「……梅雨、か」
ガヴリール「……ん?」
ポツッポツッ……
ザアアア
ガヴリール「雨……」
ガヴリール「雨!?」
ガヴリール「あいつ、傘は!?」
ガヴリール「持ってってない……か」
ガヴリール「……仕方ない!」
ダッ
ガヴリール「そういえばあいつ……」
ガヴリール「相合傘……か」
ガヴリール「……」
ガヴリール「……ま、たまには梅雨もいいもんだな」
おわり