…
ゴソゴソ
ガヴリール「映画のペアチケット、なんで私のポストにこんなものが入ってるんだ?」
ガヴリール「……ふむふむ、インターネット抽選の景品か」
ガヴリール(確かソシャゲの通貨を無料入手するために抽選に応募したんだったな…)
ガヴリール(そもそも私はこんな恋愛映画なんて興味ないし、適当に誰かに譲ってやるか……)
プルルルル、プルルルル…
ガヴリール「ん?電話か……」ポチッ
ガヴリール「もしもし」
『もしもし、天真先輩、私です!タプリスです!』
ガヴリール「おう、どうした?」
『今週の土日、下界に降り許可が降りたんです!一応天真先輩に報告しておこうと思いまして……』
ガヴリール「そっか、よかったじゃん」
ガヴリール(タプリスは土日に下界に遊びに来るのか、私の家に来られるのも面倒だし映画のチケットでも譲って追い払うか……)
元スレ
ガヴリール「映画のペアチケット……?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1492014780/
『それで、もし天真先輩に予定がなければ……』
ガヴリール「あっ、そうだタプリス」
ガヴリール「抽選で映画のペアチケットが当たったんだった」
ガヴリール「私こういうの興味ないからさ、チケットはタプリスにあげるよ、遠慮はいらない」
ガヴリール「適当に誰か誘って映画見てこいよ、ヴィーネなんか丁度いいんじゃないか?」
『え、えっと……』
『もし、映画に行くなら、その……』
ガヴリール「ん?」
『天真先輩と一緒に行きたいなー、なんて……』
ガヴリール「えっ」
ガヴリール「い、いや、恋愛映画だぞ?私そういうのあんまりみないし……」
『いいじゃないですか!きっと見てみると面白いですよ!』
ガヴリール「待て待て、私意外にもいるだろ?ヴィーネとかラフィエルとかさ、あいつらならきっと付き合ってくれるって」
『……もしかして天真先輩、私と二人じゃ嫌ですか?』
ガヴリール「あー、そんなことはないんだけど……」
『ごめんなさい、わがまま言って、天真先輩もお忙しいですよね』
ガヴリール「うっ……」
ガヴリール(これでも一応私の後輩だしな、なんだか少しかわいそうになってきた……)
『月乃瀬先輩に連絡してみますね、チケット、ありがとうございます』
ガヴリール「あー、タプリス……」
『はい?』
ガヴリール「その、なんだ……やっぱり私と行こうか」
『……っ…!!』
………
タプリス「おはようございます、天真先輩!!」
ガヴリール「おはようタプリス」
ガヴリール「今日は元気一杯だな、そんなに私と映画に行きたかったのか?」
タプリス「勿論です!今思えば私、天真先輩と二人で遊びにいくなんて初めての事ですから!」
タプリス「それに二人で映画だなんて、これじゃまるで……」
タプリス「………はっ!いけません、私達は女の子同士!そのような関係では……!」ドキドキ
ガヴリール「何一人で盛り上がってんだよ」
ガヴリール「それより上映までまだ時間あるからさ、どっかでお昼でも食べようか」
タプリス「はい!」
………
ガヤガヤ……
タプリス「そ、それにしてもお洒落な店が沢山ありますね……」キョロキョロ
ガヴリール「まぁ、この辺はちょっと都会だしな、私はあんまこういうところこないけど」
ガヴリール「それよりタプリス、何か食べたい物とかある?」
タプリス「えっとー、下界の食べ物にはあまり詳しくないので、天真先輩のオススメで……」
ガヴリール「うーん、私もあんまり外食とかしないからなぁ……」
ガヴリール「とりあえずあそこにある吉○屋にでも入るか」
タプリス「はい!」
……
ガヴリール「むぐむぐ………」
タプリス「天真先輩!そんなに頬張ったら喉に詰まっちゃいますよ!」
ガヴリール「もぐ………っ」ゴクリ
ガヴリール「……ふぅ、天使学校首席の私がそんなヘマするわけないだろ、見ろ、この食べっぷり!」
タプリス「……頬にご飯粒がついてますよ?」
ガヴリール「んー、めんどくさいから取って」
タプリス「えっ!?」
タプリス(わ、私が、天真先輩の頬についたご飯粒を………!?)
ガヴリール「はやくー」
タプリス「だ、だめですよ先輩!そういうのはまだ早いというかなんというか……」ドキドキ
ガヴリール「は?」
……
「お会計、1200円になります」
タプリス「あ、でしたら別々で……」
スッ
ガヴリール「いいよ、私払うから」
タプリス「えっ、いや、でも……」
ガヴリール「いいからいいから、後輩が遠慮とかすんな」
タプリス「天真先輩……っ」キュンッ
ガヴリール(後輩に見栄を張って食事を奢る、私も下界に染まったなぁ……)
…
ガヴリール「……さて、そろそろ上映時間だな、映画館に行くか」
タプリス「私、下界で映画を見るのって初めてで、なんだかワクワクしちゃいます!」
ガヴリール「私も映画館なんて初めてだよ、普段はDVD借りるかネットで見てるし」
タプリス「でーぶいでー……?」
ガヴリール「あーうん、DVDな」
ガヴリール「円盤みたいなやつだよ、パソコンとかで再生するやつ」
タプリス「……下界にはまだまだ私の知らないものが溢れているんですね、勉強になります!」
ガヴリール「タプリスは真面目だなぁ」
「お待たせいたしました、二名様でよろしかったですか?」
タプリス「はい」
スッ
「……ペアチケットですね、かしこまりました」
「ええと、こちらの映画は15歳以上推奨の映画となっておりまして、妹さんのほうは……」
ガヴリール「私達、姉妹と間違われてるみたいだな、タプリスはもう15歳になったんだっけ?」
タプリス「はい、バッチリです!」
ガヴリール「よし、じゃあ問題ないな」
ガヴリール「ふふん、それにしてもタプリス、まさかお前が妹と間違われるなんてな」クスッ
タプリス「え、えっと……そうですね!天真先輩ってなんだか大人っぽいですもんね!」
……
ガヴリール「私達の席は結構後ろのほうだな」
タプリス「中が暗くて歩きにくいですね……」
ガヴリール「ん、案内してやるから手を貸せ」
タプリス「えっと、はい」スッ
ギュッ
タプリス「!?」
ガヴリール「躓いたりすると危ないからな、私の手を握ったままゆっくりついてこいよ」
タプリス「は、はい……」ドキドキ
タプリス(今日の天真先輩、なんだか格好いいです……!)
ガヴリール「よし、ここだな」
ガヴリール「座っていいぞタプリス」
タプリス「えっと天真先輩、椅子が無いんですが…」
ガヴリール「あー、これはだな……」
ストンッ
タプリス「!?」
ガヴリール「椅子が壁にくっついているから、下ろしてから座るんだよ」
タプリス「す、凄いです!流石天真先輩です!」
ガヴリール「ふふん、まぁ下界の常識ってやつだよ」ドヤッ
……
『映画の無断撮影は犯罪です、最大○年以下の懲役と、○万円の罰金が……』
タプリス「なんだかドキドキしてきましたね……」
ガヴリール「あぁ、想像以上の迫力だな、音がズンズン響いてくる……」
タプリス「え、えっと天真先輩……」
ガヴリール「ん?どうした?」
タプリス「手、握ってもいいですか……?」
ガヴリール「ん、いいぞ」スッ
タプリス「ありがとうございます!」
ギュッ
ガヴリール「……」
タプリス「えへへ……」
……
『先輩、手、握ってもいいですか……?』
『あぁ、いいぞ』
『えへへ、先輩の手、温かいです……』
ガヴリール「………っ」カァァァ
バッ
タプリス「ああ!なんで離しちゃうんですか!」
……
『んっ………ちゅっ……れろっ……』
『先輩……きてください……んっ』
『お前の可愛い声、もっと聞かせてくれ……』
タプリス「………っ」モジモジ
ガヴリール「うぅ………」ドキドキ
ガヴリール(これエッチなシーンあるじゃん!聞いてないんだけど!)
『~~♪』
ガヤガヤ……ガヤガヤ……
ガヴリール「終わったな……」
タプリス「終わりましたね……」
ガヴリール「とりあえずさっさと出るか、あんまりちんたらやってると詰まって出られなくなるからな」ムクッ
ヨロッ
ガヴリール「おっと……」
タプリス「天真先輩!」
ギュッ
ガヴリール「あーごめんタプリス、ちょっと立ちくらみしちゃっ……て……」
タプリス「………」モニュッ
ガヴリール「ひゃんっ!」
ガヴリール「ど、どこさわってんだよタプリス!」カァァァ
タプリス「ご、ごご、ごめんなさい先輩!事故です!事故なんです!」
ガヴリール「まったく、気を付けろよな……」
………
タプリス「今日はたのしかったです!ありがとうございました!」
ガヴリール「おう、また遊びに行こうな」
タプリス「はい!」
タプリス「……」
ガヴリール「どうした?タプリス、帰らないのか?」
タプリス「え、えっと、あの……」
タプリス「明日って、日曜日ですよね?」
ガヴリール「あぁ、そうだな」
タプリス「私、今日は帰りたくないなー……なんて」
ガヴリール「はぁ、そういうことか」
ガヴリール「泊まってく?家、汚いけど」
タプリス「……!いいんですか!?」
ガヴリール「お前がどうしてもっていうならな」
タプリス「わーい!天真先輩!大好きです!」
ギュッ
ガヴリール「ちょ、離れろって……!」
ガヴリール「まぁ、私もお前の事、嫌いじゃないけど……」ボソッ
タプリス「…え?」
ガヴリール「いや、何でもない」
タプリス「天真先輩も私の事……」
ガヴリール「ち、違うから!そういうのじゃないから!」
ガヴリール「後輩としてって意味だよ、勘違いするな!」
タプリス「……私は」
タプリス「私は天真先輩の事が好きです、先輩としてではなく、特別な意味で」
ガヴリール「……お前それって」
タプリス「普段はだらしないし、ゲームばかりしてて、他人にまったく興味がなくて……」
タプリス「そんな先輩ですが、とても優しくて、一緒にいると安心して、時々凄く格好よくて……」
タプリス「……先輩のそういうところが私、大好きです!」
ガヴリール「……」
タプリス「今日一日過ごしてわかったんです、やっぱり私、天真先輩の事が好きなんだなーって……」
ガヴリール「タプリス」
タプリス「ごめんなさい!気持ち悪いですよね!いきなりこんな……」
ガヴリール「タプリス!」
タプリス「……」
ガヴリール「……お前が私の事をどう思っているかはわかった」
ガヴリール「そして、今すぐその告白に返事をすることはできない」
タプリス「……っ」
ガヴリール「とりあえずさ、今日はもう遅いから泊まっていけよ」
ガヴリール「ゆっくり、落ち着いてから話をしよう、な?」
タプリス「………はい」
………
…
………【天界】
タプリス「…………そして私達は結ばれたっ……と」カタカタカタカタ
天使「あの、千咲さん…?あまり長時間でのご利用は…」
タプリス「……はぁ?」カタカタカタ
天使「他にご利用される方もいらっしゃいますので…」
タプリス「他にご利用される方って、どこにいるんですかぁ~?見たところここには私一人しかいないようですがぁ~??」
天使「え、えっと…………」
タプリス「大体誰もいないのに私がパソコンを使って何が悪いんですか!?私がパソコンやめたら今すぐ誰かが使うんっていうんですか!?えぇ!?」
天使「………そ、それは」
タプリス「言い返せないなら私の勝ちなんですが??それでもいいですか!?」
天使「……………うぅ」
タプリス「はい、黙ったぁ~!!論破!!論破です~!!」キャッキャッ
完