「サターニャさん!サターニャさん!」
あいつが来た。
いつも面倒な事をしてくるあいつが。
「どうしたの?ラフィエル」
今日は1体彼女に何をされるのだろうか
元スレ
サターニャ「恋の方程式」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1497268382/
「今日が何の日か知ってますか?」
「今日?知らないわ?」
「…そうですか、では教えて欲しいですか?」
「いいわよ、別に」
「教えて欲しいですかー?」
「だから別にいいって…」
「本当は知りたいんじゃないですか?」
こうやって彼女はグイグイとちょっかいをかけてくる。
「聞かないと損しちゃいますよー?」
「…もう、仕方ないわね、じゃあ今日は一体何の日なのかしら?」
「ふふふ、よくぞ聞いてくれました!」
「あんたが無理やり…まあいいわ」
どうして私は彼女のちょっかいを受け入れられるのだろう。
嫌なら嫌といえばいいのに。
…でも、それが出来ない。
ずっと、彼女にされるがまま。
自分でもよく分からない。
「なんと、今日は…!」
「恋人の日なんです!」
「へー」
「あら、反応薄いですね」
「サターニャさんに恋人は…まあ、いませんよね」
「ちょっ、なによそれ!」
まあいないけど。
「そんな事言うなら…あんたにはいるのかしら?その恋人って言うのが」
「はい!もちろんいますよ!」
「ほーら、あんたも……えっ?」
衝撃だった。
確かにラフィエルは外面はよくて、運動もできて、勉強も…
…確かにモテる要素は揃っている
…でも、でも!
ラフィエルに限って恋人などいない、そんなはずない、そう思っていたのに。
「そ、そっか…」
「…サターニャさん、その恋人って誰のことか分かりますか?」
わからない。わかりたくない。
「さ、さぁ?」
「教えて欲しいですか?」
「べ、別にいいわよ」
「そんなこと言ってやっぱり聞きたいんじゃないですかー?」
このまま何事もなく日々をずっと過ごしていけると思っていた。
でも、私の知らないところでラフィエルは…
私の知らない男の人とデートとかしちゃってるの?
このまま私のそばからいなくなってしまうの?
ずっと普段通りのこの日常を過ごしちゃいけないの?
嫌だ。ラフィエル。どこにも行かないで。私のそばから…離れないで。
…ずっと隣で微笑んでいて
……でもそう思うのはワガママなのかな
だってラフィエルにはもう相手がいるもんね。
この場から逃げ出したい。
どこか遠くへ行きたい。
…もう何も聞きたくは
「じゃあ行っちゃいまーす!」
「私の恋人とは…」
「いや…やめ…」
「サターニャさんのことでした!」
「……えっ」
「…えええええ!!」カァァァ
「ほっ、本当に!?ねぇ!ラフィエル!」グイグイ
「えっ…あの、サターニャさ…」カァァァ
「……なっ、なーんて!全部冗談ですよー!恋人なんていませーん!サターニャさんのバーカ!」ダダッ
「……なによ」
彼女はいつもこう。
私をかき回すだけかき回して去っていく。
…ではどうして、私はそれを嫌だといって拒絶しないのか。
……その答えが、今日少し解けた気がする。
私は彼女のそのイタズラを嫌がってなどいない。
…むしろ、私は彼女のそれを求めて…
「恋人……か」
おわり
16 : 以下、\... - 2017/06/12(月) 21:14:02.089 PYB6lnPL0 13/13恋人の日なので!
ありがとうございました!