「酒に酔っていた」個人タクシーに追突 内一人は意識不明の重体
8月2日。静岡県警舞天署は、信号待ちをしていた個人タクシーに追突し私立舞天高校に通う女子生徒5人にそれぞれ重軽傷を負わせた疑いで、運送業の男(38)を逮捕した。
同署によれば、容疑者男性は運転直前にビールなどのアルコール類を摂取していた形跡が見られ、過失運転致傷の他に飲酒運転の容疑も掛けられている。
同男性は過去にも数回、酒気帯び運転で逮捕された前科があり、舞天署は男性の余罪を追及する方針を明らかにした。
また、負傷した女子生徒のうちTさん(17)は意識不明の重体で、未だ回復の見込みは立っていない。
事件後、タクシーに同乗していたTさんの友人(16)は「Tさんは私を庇って怪我をした。なんと申し開きをすればいいのかわからない」と涙ながらに口にしている。
善良な女子高生たちに、無責任な運転が与えた痛みは大きい。
元スレ
ガヴリール「安価でギャルゲー、トゥルーエンド」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491846079/
2 : 以下、\... - 2017/04/11 02:41:49.431 g4PLonS+0.net 2/30安価無しの書き溜めです
紛らわしくて済みません
医師「申し訳ありあません。ここから先、親族以外の方の立ち入りはちょっと……」
ヴィーネ「月乃瀬です。天真さんの家族から許可証を得ています」
医師「ゼルエルさんからの……。ああ、いつものお見舞いの方ですか。申し訳ありません、どうぞお通りください。ただ、病院内ですのでお静かに」
ヴィーネ「はい。失礼します」
~~~~~~
ガラララ
ヴィーネ「お待たせガヴ。もう9月になったわ。ちょうど今日から衣替えだったの。聞いてよ、サターニャったらね? 衣替えのこと忘れてて、夏服のまま来ちゃったのよ。もうおかしいでしょ?」
ヴィーネ「あ、そうだ。前にも言ったと思うけど、ちゃんとネトゲのログインボーナスは受け取ってるから安心してね? 昨日で連続ログイン500日サービスってものをもらったの。……もう、どんだけやってんのって話よ全く。……まあ、パスワードとIDのメモを盗んじゃったのはあれだけど、許してね?」
ヴィーネ「そうそう。昨日ハニエルちゃんから電話かかって来てたわ。元気になったらすぐに帰って来てね、だって。これは帰らない訳にはいかないわね、お姉ちゃん」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「……ねえガヴ」
ガラララ
ゼルエル「君か。今日は一段と早いじゃないか」
ヴィーネ「あ、お姉さん」
ゼルエル「……君はいつも泣きそうになっているな。つい、悪魔だということを忘れてしまいそうになる」
ヴィーネ「あはは……よく言われます」
ゼルエル「もうすぐ、君の番だ。早ければ今夜にでも」
ヴィーネ「……そう、ですか」
ゼルエル「何度も言うが、君は何一つとして悪くはない。憎きあの男は、前科ありで過去には妊婦をはねたこともあるらしい。情状酌量の余地なしで、晴れて終身刑。檻の中だ。……もう終わった事件なんだ。そう気を落とすな」
ヴィーネ「はい」
ゼルエル「白羽や千咲に、あの悪魔……胡桃沢といったか? 彼女らも、もう立ち直ったのだろう? 君ももうすぐだ。もうすぐ、私の愚妹がなんとかしてくれる」
ヴィーネ「……それが、終わったら?」
ゼルエル「術式は完全にほどけて、ガヴリールの魂は完全に冥界へ送られるだろうな。……文字通り半死半生の状態で、よくここまで悲しみを減らしてくれた」
ヴィーネ「……私は、この悲しみを忘れたくないです」
ゼルエル「忘れるのではない。乗り越えるだけだ」
ヴィーネ「立ち直ったら、ガヴの居場所がなくなっちゃうじゃないですか」
ゼルエル「もとより死した者に居場所などないよ。心に痛みを薄める機能が備わっているのは、我々が過去を乗り越えて前に進むためだ。実際、術式の手助けがあったとはいえ、君以外の三人は見事にやってのけた。いつまでもガヴリールにこだわるな。いい加減に目を覚ましたまえ」
ヴィーネ「……っ! 嫌、です」
ゼルエル「あのな。君のそれは健気でもなんでもない。ただの代償行動だ。そんな気持ちでいつまでも依存されては、私もガヴリール本人も迷惑だと言っている」
ヴィーネ「迷惑? ……迷惑って言ったんですか!? ガヴを救いたいって、なんとかしたいって思うことが迷惑なんですか!」
ゼルエル「騒ぐな。病院内だぞ」
ヴィーネ「忘れたくない、まだ一緒にいたい、それがいけないことですか」
ゼルエル「……それが生ある者の感情なら、私は心から祝福しようじゃないか。だが君は駄目だ。心が仮死状態な者の感情など、気持ち悪くて仕方あるまい」
ヴィーネ「仮死、状態? 勝手なこと言わないでよ」
ゼルエル「違うのか悪魔の娘。私とて全力を尽くした。あらゆる神通力を使った。だが駄目だった。――天使は魂を導くだけだ。手に触れることなんてできやしない」
ヴィーネ「だから諦めるって? ……家族なのに、随分と薄情ね」
ゼルエル「そう罵ってくれて構わないさ。……もう帰りたまえ。頭を冷やして、自分まで殺さないためにはどうするのが正解なのか、しっかりと考えてくるといい」
ヴィーネ「……まだ、手はあるわよ」
ゼルエル「なに?」
ヴィーネ「暴言、失礼しました。ご忠告の通り、帰らせてもらいます」
ガララララ、バタン!!
ゼルエル「私が薄情か……」
ゼルエル「……ふざけるな!!」ガンッ!
ゼルエル「大切な妹だ、家族だ! そう簡単に諦めきれるはずがないだろう!!」
ゼルエル「だがどうしろというのだ! このままずっと、冷たいベッドの上で寝かせ続けろとでも? それはもはや生きてなどいない。そうまでして生き長らえて、果たして何の価値がある?」
ゼルエル「だから……仕方ないじゃないか」
四月 一週目 夜 行動残数『0/10』
ガヴリール「……あぁ、だからバフはちゃんと維持しろとあれほど」カタカタ
プルルルル
ガヴリール「はい?」
ゼルエル『ガヴリールか? 私だ』
ガヴリール「……」
ゼルエル『突然だが、お前にある試練を課すことに』
ガヴリール「姉さん、もういいよ。……思い出した、全部」
ゼルエル『……私の腕も衰えたものだな』
ガヴリール「術式の効きが相当弱くなってるみたいだね。次はヴィーネだってことくらいわかってるよ」
ゼルエル『……』
ガヴリール「にしても悪趣味なことするよね。なんでよりにもよってギャルゲーって形なのさ。確定した世界の私たち、きっと世間から結構冷たく見られるぞ?」
ゼルエル『……すまない』
ガヴリール「まあ、いいけどね。早速明日から動き出すよ。それでヴィーネが私の呪縛から逃れられるんなら、これ以上の喜びはないからさ」
ゼルエル『……本当に、すまない』
ガヴリール「何度も謝るのは姉さんらしくない。ぶっちゃけキモい。それじゃあ切るから。おやすみー」
ゼルエル『まて、ガヴリール……。待ってくれ……』
ガヴリール「……おやすみ」ピッ
ガヴリール「……さてと、最後の一周。始めますか」
四月 一週 朝
学長「はい。で、この話はどういう意味かと言いますと~」
ガヴリール(……多分、三周目にタプリスじゃなく姉さんが現れたのは、二週目の私が失敗したからだ)
ガヴリール(8月2日の夏休み2日目。現実と同じように、追突事故に巻き込まれたんだ。……術式の世界に、重ねて術式を施すなんてことは無理だ。つまり、そのままおっ死んだんだろう)
サターニャ「ふぁぁ~、眠たいわね~……」
ラフィエル「サターニャさん、ちゃんと起きてなきゃダメですよ?」
ヴィーネ「いや、なんでラフィがここにいるのよ。別のクラスじゃない」
ガヴリール(……きっと、この周回が終わったら。現実に生きるこいつらは、虚構に生きる私を忘れて生きていく)
ガヴリール(まあいいや。曲がりなりにも私は天使なんだ。最後の最期らしく、天使らしいことをしてやろう)
好感度内訳
『ヴィーネ――3/10
サターニャ――10/10 救
ラフィエル――10/10 救
タプリス――10/10 救』
四月 一週 放課後
ガヴリール「おいヴィーネ、一緒に帰ろうぜ」
ヴィーネ「ええ、そうしましょうか」
ガヴリール(そういえば、サターニャと初めて会ったのはこの自販機近くだったな。ああ、思い出せば思い出すほどあのクッソ不味いジュースに腹が立つ)
ガヴリール(……七味唐辛子のうどんを美味いって言い放ったあいつの味覚なら、まあ合うのかもしれないけどさ)
ヴィーネ「ガヴ? どうしたの、なにか懐かしそうな顔しちゃって」
ガヴリール「ん? ああ……今日はネトゲで復刻イベントがやるんだ。その復刻イベントってのが、私が初めて参加したイベントのリメイクなんだよ」
ヴィーネ「……聞いた私がバカだったわ」
《ヴィーネと少し仲良くなった気がする》
+1
四月 二週 昼
ガヴリール「ヴィーネ、調理実習組もうぜ」
ヴィーネ「えぇ~、あんた真面目にやらないじゃない……」
サターニャ「頼りないガヴリールよりも、この私を信じなさいヴィネット! たちどころにこの調理室を地獄絵図に塗り替えてやるわ!」
ヴィーネ「有言実行だから笑えないわ……」
ガヴリール(こいつ、去年から全く成長してないのな。……まあ、そこがサターニャの良い所なのかもしれないが)
ガヴリール(たとえ世界が変わっても、サターニャだけは変わらずに痛い行動を繰り返していそうな気がする。……なんだろうな、この安心感)
ガヴリール(ああ、あの人が食べられる代物じゃない料理、また食べてみたいと思う私がいる。どうかしちゃったみたいだ)
《ヴィーネ、サターニャと少し仲良くなった気がする》
+1
四月 三週 昼
ラフィエル「ガヴちゃーん、久しぶりにお昼一緒しませんか~?」
ガヴリール「ああ、いいよ。ヴィーネも来るか?」
ヴィーネ「ええ。そういえばラフィとって結構貴重な体験かしら……」
ラフィエル「うふふ、なんでしょうか……蠱惑的なものを感じます……」
ヴィーネ「そういう意味じゃねえよ!」
ガヴリール(……ラフィも変わらないな。コイツの場合はサターニャとは違って、ぶれないとか歪まないとか、そういう意味合いの変わらないだけど)
ガヴリール(うん、きっとラフィは良くも悪くも強いんだ。私のことを忘れて、いつもみたいに笑顔を張りつかせて自分の道を進んで行くんだろう)
《ヴィーネ、ラフィエルと少し仲良くなった気がする》
+1
五月 一週 昼
ヴィーネ「もう五月ね……光陰矢のごとしって本当だわ」
ガヴリール「体育祭なんて嫌いだ……」
ヴィーネ「もうガヴったら。運動しないとブクブク太って行くだけなんだからね?」
ガヴリール「むしろどんどん痩せて行っている件について」
ヴィーネ「……日本国憲法の改正を要求するわ」
ガヴリール(そういえばこの校舎の角。ラフィが犬にメロンパンで餌付けしているのを見たことがあったな)
ガヴリール(思い返せばあれは、ラフィなりのサターニャへのアプローチだったんだろうな……。サターニャさんサターニャさん、私はあなたをからかいますから相手してください、みたいな)
ガヴリール(私はそこまで弄られなかったが……なんだろう、ちょっとショック)
《ヴィーネと少し仲良くなった気がする》
+1
五月 二週 昼
タプリス「せーんぱい! 体育祭カッコよかったですよ!」
ガヴリール「……」チーン
タプリス「先輩が物言わぬ屍に!?」
ヴィーネ「タプちゃん、そっとしておいてあげて。ガヴは自分の中の全てを燃やして戦い抜いたのよ……敬礼」
タプリス「敬礼!」ビシッ
ガヴリール(まさか下界に降りてきたとき、宇宙服みたいなものを着てた時はガチでビビったな……。プレデターかターミネーターでも送られてきたのかと思った)
ガヴリール(でもそれは、タプリスの純真さを端的に表している。……私たちのなかで最も天使らしいこいつは、きっとこれからたくさん辛い目に遭うだろう)
ガヴリール(頑張れ、タプリス。駄目な先輩だったけど、私はいつだってお前を応援しているから。お前ならいつか、天界一の天使にもなれるさ)
《ヴィーネ、タプリスと少し仲良くなった気がする》
+1
五月 三週 休日 昼
ヴィーネ「全くガヴったら……使わないたこ焼き器の処分くらい自分でしなさいよ」
ガヴリール「いや、お前が置いていったんじゃん。たぶん徳川埋蔵金が見つかる可能性と同じくらい使わないよ?」
ヴィーネ「ガヴも頭は悪くないんだから、自炊くらいすぐ覚えられるわよ」
ガヴリール「うむ。確かに習得はお茶の子さいさいだと思う。けどな……めんどくさいことこの上ない!!」バーン
ヴィーネ「誇って言うな!」
ガヴリール(ああ……今年の頭にたこ焼きパーティーとかやったな。そういえばタプリスがパソコンで混乱した末、プログラム言語習得したんだっけか)
ガヴリール(あいつもあいつでスペックイカれてるからな……。羨ましいような恐ろしいような……)
ガヴリール(……また、会いたいな)
《ヴィーネと少し仲良くなった気がする》
+1
六月 一週 昼
ガヴリール(中間試験だ……。それなりに難しいが、解けないというほどではない。家庭教師ヴィーネ先生の助力を得た今の私は、向かうところ敵なしだ!)
ガヴリール「……」チラッ
ヴィーネ「……」カリカリ
ガヴリール(ヴィーネは、どうしてここまで私に世話を焼いてくれるんだろうな)
ガヴリール(放っておけないから? 世話焼きの本能がうずくから? ……わからない)
ガヴリール(……ヴィーネ)
六月 一週 夜
ガヴリール(明日、ヴィーネを遊びに誘おう。それで好感度はマックス。晴れてヴィーネも卒業だ)
ガヴリール(……残留する私の役目も、終わる)
ガヴリール(ヴィーネと結ばれるか、あるいは深い絆を結ぶかして、8月2日に天真=ガヴリール=ホワイトが死亡する未来を回避する)
ガヴリール(作られた新しい可能性のエネルギーを利用して、術式が作動。選ばれた世界の自分の感情をコピーして、悲しみという汚水を濾過する)
ガヴリール(これまで私は、無自覚のうちに友人を3人救ったんだ……)
ガヴリール「ま、駄天使にしては頑張った方だよな……」
ガヴリール「って、私って結構うぬぼれか? ……まあいいや、私がここで留まっていることが理由だし、うぬぼれても許されるだろ、多分」
ガヴリール「……最期の夜くらい、ヴァルハラ王国でも救ってやるか」
ガヴリール「……あっ、違うって。そこで回復したらタゲつくじゃん」
ガヴリール「ああ、もう。このレベルに苦戦するなら部屋入ってくるんじゃないよ。マジで初心者部屋に帰ってくださいって感じ?」
ガヴリール「うわっ、ヒーラー死んだ。ヤバいヤバい、壁しないと……」
ガヴリール「早く復活草使えよカス……ボロボロじゃんこのパーティ。誰が回復すんだよマジで」
ガヴリール「…………グス」
ガヴリール「……あれ? なんで私泣いてんだ?」
ガヴリール「あれ、あれ? 止まらない、なんで? あれ……?」
ガヴリール「……なん、で? ヒック……なんで、涙出るの? 私、最後にネトゲできて……うっ……天国だわこれって……」
ガヴリール「これから、パーティ解散して……フレ部屋入ってから、ギガンドデーモンぶち殺すはずだろ……? お、おいおい……限定装備が、そんなに嬉しいのかよ、私……」
ガヴリール「ずっと、ネトゲ世界で、神だって……グスッ、崇められてさ……私、すっごく興奮して……」
ガヴリール「でも……それって……ひとりぼっちじゃんって……気付いちゃった……」
プルルルルル
ガヴリール「サターニャ! サターニャ出ろよ!」
『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』
プルルルルルル
ガヴリール「ラフィ……ラフィならきっと」
『おかけになった電話番号は』
プルルルルルル
ガヴリール「タプリス、なあタプリスたすけてよ」
『おかけにな』
ガヴリール「……ひっ!」
プルルルルルル
ガヴリール「ヴィーネっ……ヴぃーねぇ……」
『おかけになった電話番号は、現在使われておりません』
ガヴリール「あ……」ガクッ
ガヴリール「……いやだよ」
ガヴリール「死にたくない、消えたくない、忘れられたくない」
ガヴリール「まだ学校サボりたい、まだ調理部で飯食いたい、まだ仕送りに脅えたい」
ガヴリール「たすけてよ、誰か。誰でもいいからさ」
ガヴリール「いなくなりたくないんだよ! 助けてよ!」
ガヴリール「ひとりぼっちは嫌だ! 寂しいのは嫌だ! 構ってもらえないのは嫌だ! 退屈なのは嫌だ!」
ガヴリール「……それじゃ、駄天しても、つまらないじゃん」
ガヴリール「…………うぅ、うわああああん! うわああああん、ぐすっ、あああああああああ!」
――ガチャ
ヴィーネ「もう、ほんっとうにガヴは仕方ないわね」ギュッ
ガヴリール「……え?」
ガヴリール(なにかに、抱きしめられた。なんだろう)
ガヴリール(すごく安心できる。すごく落ち着く。すごく温かい)
ガヴリール(そっか、ヴィーネだ)
ヴィーネ「……久しぶり。不甲斐ない駄天使さまを迎えに来たわよ」
ガヴリール「なんで、ここに」
ヴィーネ「……どうしてって。ちょっとヤバめの睡眠薬をグイっと一飲みしたのよ。ラフィにお願いして救急車はスタンバイしてるから、今ごろ胃洗浄でもしてることじゃないかしら」
ガヴリール「ば、馬鹿じゃんお前……下手したら、お前まで死ぬんだぞ?」
ヴィーネ「ええ、そうね」
ガヴリール「そうでなくとも、悪魔が命懸けで天使を救うってこと自体が、魔界に対する反逆行為だ……」
ヴィーネ「そうね。これから大変だわ」
ガヴリール「……なんで?」
ヴィーネ「はぁ……。馬鹿なのはガヴの方だったのね」
ガヴリール「な、なんだと!?」
ヴィーネ「ふーんだ、察しの悪いおばかさんに教えてあげることなんてあるわけないじゃない。――さて、と」
ガヴリール「ヴィーネ」
ヴィーネ「帰りましょうか、ガヴ。一緒に」
ガヴリール「ヴィーネ、ヴィーネ、ヴィーネ……」
ヴィーネ「うん、ここにいるわよ」
ガヴリール「……う、うぅ、ヴぃーね、ヴぃーね……ずっ、ヴぃーねぇ……」
ヴィーネ「ガヴ、泣いてちゃ駄目じゃないの……もう、本当に仕方ないんだから」
ガヴリール「――んぅ?」
ガヴリール(知らない天井だ……)
「お、おい! 目覚めたぞ!」
「親族に連絡しろ! 早く、早く!」
「毎日来てた黒髪の子もいるだろ、早く呼べ!」
「その娘、いまオーバードーズでこん睡状態!」
ガヴリール(うわぁ……騒がしいな……)
ガヴリール(なんか、すっごく眠い……)
「……ヴリール! ガヴ……! よく……たわね! この……ニキア様が……わ!」
「……ヴちゃんガ……んガヴ……! よか……たです、……ったです! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「先……! ……輩! 生き……んですね! ホントに……たんで……ね!」
ガヴリール(誰だ……? なんだろう、大事な奴らな気がする……)
ガヴリール(駄目だ……眠気には勝てなかったよ……)
ガヴリール(事故の後遺症として、私の右足は麻痺していた。動かそうとすれば、他の部分より反応が遅れる)
ガヴリール(なんでも、破裂した窓ガラスが私の神経を切り裂いたことが原因らしい。奇跡的につながっていたから、半年もすれば感覚が元通りになるというのが医師の言葉だが、不便なことこのうえない)
ガヴリール(結果として、松葉づえを借りることになった。私に合うミニマムサイズなんてないわと笑い転げていたサターニャを蹴り飛ばせなかったのが悔しい)
ガヴリール(遅れた分の勉強は、ラフィが助けてくれることになった。病院のベッドで遥か遠きヴァルハラ王国を想う私のもとへ、満面の笑みでノートと教科書のコピーを持ってきてくれたのだ。ちくしょう)
ガヴリール(……だけど、そんなことは序の口だ)
ガヴリール(決まった死に抗うという、サタンも驚きの反逆行為を犯してしまった私。しかも悪魔の助力を借りての、極め付きの反逆だ。このたび天界から追放される羽目になってしまいましたとさ。めでたくなしめでたくなし)
ガヴリール(当座の生活資金やらはゼルエル姉さんが出してくれるらしい。私が社会に出るまでは、日々の善行に比例して仕送りを増やしてくれるとのこと。逆にぐうたらしていると、徐々に減らしていくぞと脅された)
ガヴリール(……私病み上がりだぞ? もうちょっと優しくしてくれてもいいんじゃないか? なんて思ったりする)
ガヴリール(だけど、一番の衝撃だったのは……)
ヴィーネ「……が、ガヴ。あの、角と槍と羽、見える?」
ガヴリール「出てない。悪魔の気配さえも感じない」
ヴィーネ「そんなぁぁぁ……」ガックリ
ガヴリール(月乃瀬=ヴィネット=エイプリルが、駄天ならぬ駄地? 駄獄? してしまったことだ)
ガヴリール(そりゃあなぁ。悪魔と天使って本来的に抗う種族だもんなぁ……)
ガヴリール「お前これからどうするの? 悪魔の力失ってたんじゃ、もう魔界帰れないじゃん」
ヴィーネ「うぇぇ~ん、どうしようガヴ~」
ガヴリール「あ、でも。定められた法則に抗うっていうSSS級悪魔的行為したから、取り敢えず暮らしていける額の仕送り来てるかも」
ヴィーネ「あっ、なんだろうこの二千万円って思ってたけどそういうことね」
ガヴリール「おいちょっとこれから焼肉行こうぜヴィーネの金で」
ヴィーネ「に、二千万は嘘よ! ……一千五百万」
ガヴリール「不動産買おうぜヴィーネの金で!」
ヴィーネ「い、嫌よ! これはちゃんと貯金して、大切に管理して使うんだから!」
ガヴリール「お、おう……お前そういうところ変わらないな……」
ガヴリール「おっとっと……」フラッ
ヴィーネ「あ、大丈夫ガヴ?」
ガヴリール「久々の電車とか、怪我人にはベリーハードモードだわー……」
ヴィーネ「贅沢言っていられないわよ。これから私たち、誰の庇護もなく独り立ちしなくちゃいけないんだから」
ガヴリール「お前一千万もあるんだからタクシー代くらい出してくれたっていいじゃん……。病院から舞天まで乗り換えまであるんだぞ?」
ヴィーネ「お医者さんにも言われたでしょ? ちゃんと日常生活でリハビリしてくださいねって」
ガヴリール「ちえー……」
ガヴリール「……座れたなー」
ヴィーネ「そうねー……」
ガタンゴトン、ガタンゴトン……
ガヴリール「……駄目になっちゃったな、私たち」
ヴィーネ「そうねー……」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「……ガヴ、肩にもたれかかっていい?」
ガヴリール「私は病人だって……って、厳密にはヴィーネも同じか。しゃーねーなー、今回だけだぞ?」
ヴィーネ「ありがと」コトン
ガタンゴトン、ガタンゴトン
ガヴリール「……」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「あのさヴィーネ」
ヴィーネ「……なに?」
ガヴリール「たまに思うんだ。もし駄天して一人ぼっちだったら、私世界終わらせてたかもって」
ガヴリール「ヴィーネ。いつも、本当にありがとうな」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ「私ね、ガヴが好き」
ヴィーネ「天使なのにぐうたらで、一人じゃ何もしなくて、怠け者な。そんな駄目なガヴが、大好き」
ガヴリール「……おいおい、奇遇だな」
ガヴリール「……悪魔のくせに、いつだっておせっかい焼きで、誰にだって優しくて、イベント好きで。そんな駄目なヴィーネが、私は大好きだよ」
ヴィーネ「クスッ、そっか」
ガヴリール「うん。そうだよ」
ヴィーネ「じゃあ」
ヴィーネ「――これからの世界は、きっと素晴らしいものになるわね」
トゥルーエンド
32 : 以下、\... - 2017/04/11 02:53:15.871 g4PLonS+0.net 30/30クロスチャンネルとリリーフに影響されてわけわからんことになったけど
これで終わりです
御付き合いいただきありがとうございました