私はアイツが好きだ
だが、私はアイツの勝負をただ受け、それを流していく毎日
自分の思いを彼女に伝えることが出来ない、そんな自分に腹立ちもする
だが……いつかは必ず……
私はそう思っていた
あの事件が起こるまでは
確かに、その日はサターニャと2人で「勝負」とは関係なく、本屋に行けて嬉しかった
しかし、「グラサン」という単語に怯えるサターニャを見て、私の中に「イタズラごころ」
天使には似つかわしくない、その感情が芽生えたのがまずかった
そして事件は起こった
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「ギャランドゥ!」
「人に名を尋ねる時は自分から名乗るべきじゃないかしら!?」
「あい……ふぃーる……そう……」
「ぐっど!!!!!」
「自己PR?あなたには感じ取れないの?この溢れ出るオーラ」
「このカリスマ性があれば自己PRなんて必要ないわ!」
(ふっ……完璧な面接だった……これならグラサンも文句は……)
グラサン「……胡桃沢、大事な話がある」ゴゴゴゴ
ヴィーネ「……ちょっと、ガヴ」
ガヴ「ん?」
ヴィーネ「……この本、サターニャが持ってたんだけど、もしかして」
ガヴ「あー、それ本当にやっちゃったの?」
ヴィーネ「……やっぱり」
ヴィーネ「サターニャ、すっごい怒られて……可哀想に」
ガヴ「……」
ヴィーネ「あんたちゃんと謝っときなさいよ」
ガヴ「おー、わーったわーった」
ガヴ「お、サターニャじゃん」
ガヴ「お前まさか本当にあれやるとは……」
サターニャ「……」
サターニャ「……あんた本当に天使?悪魔じゃないの?」
ガヴ「は?何言ってんだ、私は正真正銘の天使……」
サターニャ「……信じてたのに」ポロリ
ガヴ「えっ、おい、サターニャ」
サターニャ「……もう知らない」サッ
ガヴ「……」
ガヴ「んだよアイツ……」
【翌日】
ガヴ「……お、おい、サターニャ」
サターニャ「……」プイッ
ガヴ「……」
ガヴ「ふんっ、あんなやつ知るかよ」
【放課後】
ガヴ「……」
ガヴ(サターニャのやつ……1人でそそくさと帰りやがって)
ガヴ(私も……帰るか)
ガヴ「……」テクテク
「勝負よガヴリール!」
ガヴ「……!」バッ
シーーーーーン
ガヴ「……」
ガヴ「空耳か……」ハァ…
ガヴ「何やってんだ私は……」
ガヴ「……」
ガヴ(もうアイツとは……)
ガヴ「……」ジワァ
ガヴ「……」グシグシ
ガヴ(……謝ろう)
ガヴ(……そうすれば)
【翌日】
ガヴ「お、おい、サタ……」パクパク
サターニャ「……」テクテク
ガヴ(なんで……なんで声が出ないんだ!)
ガヴ「ちょ……まっ……」
ガヴ「……」
ガヴ「……」ハァ…
キーンコーンカーンコーン
ガヴ「……」
サターニャ「……」ササッ
ガヴ「……」
ガヴ「……帰ろう」
ガヴ「……」テクテク
ガヴ(……やっぱり仲直りは……無理なのかな)
ガヴ(私は……なんであんなことを)
ガヴ(……)
エーンエーン
ガヴ(……なんだ?)
女の子「うわーん」ビェェビェェ
ガヴ(風船が木に引っかかってんのか……)
ガヴ(可哀想だけど……いまの私には何もする気力が……)
『あんた本当に天使?』
ガヴ「……アイツの言葉」
ガヴ「……分かったよ!やればいいんだろ!!」
女の子「うぅ……グスッグスッ」
ガヴ「……おい、もう大丈夫だから泣くな、私が取ってやるよ」
女の子「ほんと……?」グシグシ
ガヴ「……あぁ」
女の子「……ありがとう!」パァァァ
ガヴ「よいしょよいしょ」キノボリー
ガヴ(……もうちょいだ)
ガヴ(……あと少し!)
ガヴ(よし!取っ……)
バキッ
ガヴ(えっ)
ヒューー
ガヴ(あっ……こりゃやべーな)
ガヴ(……羽根だしたら強制送還だし)
ガヴ(第一もう間に合わないか……)
ガヴ(怪我……ですむかな)
ガヴ(怪我したら……心配してくれるかな)
ガヴ(ヴィーネ、ラフィエル……)
ガヴ(……アイツは心配してくれないかな)
ガヴ(……そっか、もうアイツとは……)ウルウル
「はやく降りなさいよ」
ガヴ(あぁ……走馬灯ってやつか?アイツの顔が見える……私死ぬのかな)
「はやく降りなさいっていってんのよ!!!」ガバァ
ガヴ「いって!なにすんだよこの野郎!」ドサァ
「あんたがいきなり私の上に乗っかってきたんでしょ!?」
ガヴ「……って、え?現実?」
サターニャ「何言ってんのよ、頭でも打ったの?」
ガヴ「え、いや、大丈夫……」
ガヴ「……体が痛くない」
サターニャ「……そりゃ私の上に乗っかってきたからね」
ガヴ「……なんでお前が下に居たんだ」
サターニャ「……子供が泣いてるからみたら……あんたが木に登ってて……そして落ちるの見かけて……」
サターニャ「……ダッシュで下まで駆け寄ったらあんたがもう上まで来てて……」
ガヴ「……そうか、それは……すまない」
サターニャ「……それにしても」
サターニャ「……あんたにも天使らしいところあったのね」
サターニャ「少しだけ……見直したわ」
ガヴ「……」
ガヴ「サターニャ、話があるんだ」
サターニャ「……このタイミングで?」
ガヴ「……あぁ、面接のことなんだが……あの……その……」
サターニャ「……もういいわよ」
ガヴ「……えっ?」
サターニャ「もういいって言ってるの」
サターニャ「あれくらいの罠も見抜けないなんて私もまだまだよね」
ガヴ「ほっ、本当に許してくれるのか!?」
サターニャ「しつこいわよ、もういいって」
ガヴ「……」
ガヴ「……ありがとう」
サターニャ「なはっ!大悪魔は器がでかいのよ!」
ガヴ「……ふふっ」
サターニャ「……なによ」
ガヴ「……大悪魔なのに優しくていいのかよ」
サターニャ「い、いいでしょ!別に!」
私はコイツが好きだ
大悪魔といいつつ、大悪魔になりきれないところ
優しくて友達思いなところ
……馬鹿なところ
あげれば色々と出てくる
……ちょっと前まではいつその思いを告げようか悩んでいた
でも、もういい
どうして今まで気付かなかったんだろう
「そ、そんな事言ったらあんただって天使っぽくないじゃない!」
「私は大天使だぞ?大悪魔なんかけちょんけちょんだぞ」
「なっ!やれるもんならやってみなさいよ!」
「おう!じゃあ……」
……しかし、やっと気付くことが出来た
いつもアイツからかけてくれるあの言葉の大切さを
そして、いつもその言葉をアイツから言われる幸せを……
もう、私はこれ以上は望まない
ただ、私はその言葉をお互いに言い合える、そんな関係で十分だ
願わくばこの関係がずっと続いていくことを……
「勝負だ!」
おわり
25 : 以下、\... - 2017/05/06 20:02:29.037 7MGCof0M0.net 24/24綺麗なガヴサタを書きたかったんです
ありがとうございました!