サターニャ「ふう、今日も学校疲れたわね」
サターニャ「でも、ガヴリールもラフィエルもどうしたのかしら…今日学校来なかったし……」
サターニャ「明日も休んでたらお見舞いにでも行ってやろうかしら!」
サターニャ「……あれ、この気配……」
ドゴッ
サターニャ「がぁっ……」
サターニャ「あなたは……」
ガヴリール「……」
サターニャ「嘘、ガヴリール……?なんで……」
ガヴリール「悪いな、サターニャ」
ガヴリール「ここで死んでもらうよ」
サターニャ「ガヴリール…?や、やめ…」
ドゴッ‼
サターニャ「あ゙っ……!」
ドサッ
元スレ
ガヴリール「悪いな、サターニャ。……死んでもらうよ」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491657469/
・・・
ヴィーネ「あの、先生。今日…胡桃沢さんと、天真さんは…?隣のクラスの白羽さんも休んでるみたいですけど、何かご存知無いですか?」
グラサン「ああ、胡桃沢は入院したらしい」
ヴィーネ「サターニャが入院した……!?どうしてですか?」
グラサン「何でも昨日、道に倒れていたのを救急車で搬送されたらしい。○○病院に入院している、行ってやってくれ」
ヴィーネ「……ありがとうございます…、その、他の二人は…?」
グラサン「白羽は知らんが、おおかた天真はいつものようにサボりじゃないか?」
ヴィーネ「そうですか…」
ヴィーネ(○09号室…ここよね)
ヴィーネ「…」
ガラガラ
ヴィーネ「……サターニャ、大丈夫!?」
サターニャ「あら…ヴィネット」
ヴィーネ「お土産持ってきたわ、その…大丈夫なの?一体何が…」
サターニャ「ありがとう。怪我はたいしたことないわ。右肩にアザと、おでこをなん針か…」
ヴィーネ「頭に…?何があったの?」
サターニャ「………あれは、昨日の夜。2つ隣の町までメロンパンを買いにいった帰りの話よ」
ヴィーネ(暇なのかしらこの子は…)
サターニャ「………人通りの少ない道を歩いていたら、急に右肩に鈍い痛みと衝撃を感じたの」
サターニャ「振り向いたら、ガヴリールがいて…」
サターニャ「……その、死んでもらうよ……って言って、気がついたら倒れてたわ」
サターニャ「おでこから血が出てたみたいで、それで入院してるの」
ヴィーネ「ガヴが……!?」
ヴィーネ(なんで……?)
ヴィーネ「………」
サターニャ「ごめん、でも…話さなくちゃいけないと思って」
サターニャ「今日もガヴリールとラフィエルは学校には来てないのよね?」
ヴィーネ「うん…」
サターニャ「……そう」
サターニャ「………何でかしら…どうして…」
ヴィーネ「……ガヴ…」
ヴィーネ「……そうだ、タプちゃんなら……!」
ヴィーネ「待ってて、サターニャ。タプちゃんを呼ぶわ」prrrr…
サターニャ「うん、よろしくね」
『はい、月乃瀬先輩ですか?どうしました?』
ヴィーネ「サターニャが入院したの。もう聞いてる?」
『えっ……胡桃沢先輩が!?今すぐ行きます!どこの病院ですか?』
タプリス「胡桃沢先輩!!」
サターニャ「……大丈夫よ、肩と頭を少しだけ怪我しただけだから」
タプリス「良かった……」
ヴィーネ「タプちゃん、聞きたいことがあるんだけど、いい?」
タプリス「はい、何でも聞いてください!」
ヴィーネ「サターニャは、昨日ガヴ……に似て、似た人に襲われて怪我をしたみたいなの」
タプリス「えっ…天真先輩が……?」
ヴィーネ「それで、ガヴとラフィと連絡とれなくて……同じ天使のタプちゃんならわかるかと思って」
タプリス「…ご、ごめんなさい、私……その、急用を思い出して……!」
サターニャ「……?」
タプリス「っ!」
タプリス「……は、離してください……月乃瀬先輩……… 」
タプリス「……」
ヴィーネ「………ねえ」
ヴィーネ「何か、知ってるよね……?」
タプリス「な、何も知りません…」
ヴィーネ「本当に…?サターニャが怪我をしたの、お願い。話して」
タプリス「……ごめんなさい、今は……今は、言えないんです」
タプリス「……ぁくまの、お二人には」
タプリス「ごめんなさい!今日は、もう……か、帰らせていただきます!」
ダッ
ヴィーネ「あっ………」
サターニャ「…」
ヴィーネ「天界で何が起きてるんだろう…私たちの知らないとこで…」
ヴィーネ「……もう、帰るわね」
サターニャ「ええ、ありがとうね、すぐ退院できると思うから…」
ヴィーネ「うん。ゆっくり休んで」
サターニャ「………気を付けるのよ、ヴィネット」
サターニャ「何が起きてるのかわからない」
ヴィーネ「……ばいばい、また明日」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(調べる必要がある)
ヴィーネ(タプちゃんの様子は明らかにおかしかった…)
ヴィーネ(でも……)
ヴィーネ(………危険ね、サターニャの退院を待った方がいいわ)
ヴィーネ(………)
ヴィーネ(ガヴ、ラフィ……)
ヴィーネ(何が起こってるの………?)
グラサン「えー、宿題集めるぞー」
「……」
「…」
ヴィーネ「………」
委員長「月乃瀬さん?宿題……」
ヴィーネ「あっ……ごめんね、はい」
委員長「大丈夫?」
ヴィーネ「うん、ちょっとぼーっとしてただけ……」
ヴィーネ「何も……」
委員長「天真さんも、胡桃沢さんもどうしたんだろう……」
ヴィーネ「……」
prrrr…
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(タプちゃん……)
『プツッ』
『この電話番号は……』
ヴィーネ「え……」
『現在、使用されておりません。電話番号をお確かめの上、……』
ヴィーネ「嘘、タプちゃん………?」
ヴィーネ「………」
・・・
サターニャ「なあーはっはっは!大悪魔様華麗に復活よ!ヴィネット!待たせたわね!」
ヴィーネ「退院おめでとう、サターニャ」
サターニャ「何よー!景気悪いわね、もっと………もっと…」
サターニャ「……みんな、見つかった…?」
ヴィーネ「ごめん、サターニャ……皆とも連絡とれないし、黙ってたんだけど、タプちゃんとも……」
サターニャ「……何よ、あいつら………」
ヴィーネ「………」
サターニャ「…さ、探さないとね!勝手に居なくなるなんて許せないんだから!」
ヴィーネ「うん……そうね、探しましょう、手がかりを」
ヴィーネ「……じゃあ今日は、ガヴの家に行ってみましょう」
ヴィーネ「何かあるかも…」
サターニャ「え?でももう行ってるでしょう?朝とか、あんた絶対ガヴリールを起こしにとか……」
ヴィーネ「ええ、一応毎朝行ってたけど、鍵も変わってて入れなくて……でも……」
ヴィーネ「今日はドアぶち破るわよ」
サターニャ「ええ…いやまあ仕方ないけど…」
ドカーン‼
ヴィーネ「ふう」
サターニャ「あ、あんた……顔色一つよく変えないわね…犯罪よこれ、S級行為よ…」
ヴィーネ「まあ、前にもやったことあるし…」
サターニャ「……ま、まあいいわ!入りましょ!」
ヴィーネ「そうね…」
サターニャ「うーん、何も変わってないわねー…汚いし、散らかってるし……うわくっさ…」
ヴィーネ「……サターニャ、これ」
サターニャ「?どうしたの?」
ヴィーネ「……パソコン、置きっぱなしにしてある」
サターニャ「……じゃあ、ガヴリールはまだ居るってこと?あいつが置いてくなんてあり得ないわ!」
ヴィーネ「うん、もしくは……」
ヴィーネ「…もう、人間界には帰らない」
サターニャ「やめて、ヴィネット」
サターニャ「やめて」
ヴィーネ「……うん、ごめん」
サターニャ「さーて!何もわからなかったわね、次はラフィエルの家に行きましょう!」
ヴィーネ「……そうね」
・・・
サターニャ「何も無かったわね…というか、元々綺麗だから下手すれば生活感すらないし…」
ヴィーネ「そうね…もうこんな時間……今日は一先ず帰りましょうか」
サターニャ「そうね、じゃあ、ばいば─」
ヴィーネ「送っていくに決まってるじゃない、こんな状況でサターニャを一人で道歩かせるのは危険だわ」
サターニャ「……そうね、許可するわ」
ヴィーネ「……」
サターニャ「……ねえ、ヴィネット……」
ヴィーネ「どうしたの?」
サターニャ「わたしたち、また一緒に遊べるのかな」
ヴィーネ「……」
サターニャ「また、たこ焼きパーティーしたい…みんなで、一緒に」
サターニャ「クリスマスパーティーしたり、また一緒に年末にお寺に行きたい…」
ヴィーネ「……うん、私も行きたい」
ヴィーネ「行けるわよ、必ず。ね?」
サターニャ「……」
サターニャ「そうね、ありがと……ここでいいわ。気を付けて帰るのよ」
ヴィーネ「うん、明日は朝、迎えに来るからね」
サターニャ「ええ、また、明日」
ヴィーネ「またね」
ヴィーネ「………ガヴ、居るんでしょ」
ヴィーネ「………」キッ
「……」
ヴィーネ「……出てきなさい」
ガヴリール「……」
ガヴリール「よくわかったな、ヴィーネ」
ヴィーネ「わかるわよ、たかが駄天使の結界なんて」
ガヴリール「ちょっとショックだなあ、気付かれたのは」
ヴィーネ「………何でサターニャに、あんなことしたの」
ガヴリール「何でも何も無いよ、うざかったからかな」
ヴィーネ「……うそね」
ガヴリール「嘘じゃない。…まあ、ミスって殺し損ねちゃったけどな」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「そんで、ヴィーネ……」
ガヴリール「お前も、殺すっ!!」
ズバアッ‼
ヴィーネ「っ!!」
ヴィーネ(光の剣…さすが天使ね、でも……)
ヴィーネ「私だって……ッ!」
キイィン
ガヴリール「ほう、三叉槍か……いかにも悪魔だな、ヴィーネ!」
ヴィーネ「はああ!」
ガキッ
ガヴリール「くっ……」
ヴィーネ「なんで!なんで……ガヴ、サターニャ……泣いてたのよ!」
ズガッ
ガヴリール「…はあ?」
ヴィーネ「また、またガヴと、みんなと楽しくしたいって!なんで…なんで突然居なくなっちゃったの!」
ガヴリール「ぐっ……何でも何も無いって。面倒になったんだよ、何もかも…」
ガシャアッ
ヴィーネ「……何で……!」
ヴィーネ「ガヴ、私はあなたに勝つ!勝って……勝って、また、みんなで一緒に遊ぶんだから!!」
ズガアアッ
ガヴリール「……っ」
ヴィーネ「……はあっ、はあ……諦めたら、ガヴ……」
ヴィーネ「ゲームばかりしてるあんたが、私に白兵戦で勝てる道理は無いわ!」
ガヴリール「………ああ…」
ガヴリール「そう、だな……その通りだよ、ヴィーネ」
ヴィーネ「……降参……?」
ガヴリール「いいや、白兵戦で勝てないなら………」
ガヴリール「私には、優れた魔法能力がある!」
ズッ・・・
スファアアアアアッ!!!
ヴィーネ「これはっ…」
ヴィーネ(光の弓矢…こんなに大量に……)
ヴィーネ(避けられな……)
ズブリ
ヴィーネ「……ぁっ…」
ドサッ
ガヴリール「悪い、ヴィーネ……」
ガヴリール「少しだけでいい。何もしないでくれ……」
ガヴリール「………は、………ぉ…」
「…………」
・・・
「………ん…………ぃ…」
「つき………せ………い」
「月乃瀬先輩!!」
ヴィーネ「……っ!」
タプリス「月乃瀬先輩!!よかった……!」
ヴィーネ「タプ…ちゃん……?ここは……」
タプリス「ここは、月乃瀬先輩のお家です。私が運びました……」
ヴィーネ「……私の…」
ヴィーネ「そうだ、ガヴ……ガヴは」
ヴィーネ「っ!……痛ぅ……」
タプリス「動かないでください、月乃瀬先輩……まだ、矢の傷が…」
ヴィーネ「……ガヴは……?どうして、ガヴは……あんなことを……?」
タプリス「……っ」
タプリス「………私…からは………」
ヴィーネ「………話してくれない…の?」
タプリス「………」
ピンポーン
「ヴィネットー?居るのー?入るわよー?」
ヴィーネ「…サターニャ…」
タプリス「……っ!!」
ガチャ
サターニャ「…ヴィネットー?………ヴィネット!!」
ダッ
ドサアッ
タプリス「うっ……ぐ……」
サターニャ「……ヴィネットに……何をしたの!!」
ヴィーネ「やめて、サターニャ!!」
サターニャ「……!!」
タプリス「………はあっ……はあ……はあ…」
ヴィーネ「サターニャ…」
サターニャ「……私……その、ごめん…」
タプリス「い、いえ……私が悪いです……その」
タプリス「事情を、話させてくださいませんか」
タプリス「実は………天界では、秘密裏に悪魔を殲滅させようという動きがあるのです」
タプリス「……そして、尖兵として選ばれたのが、修行の身であり悪魔と交流のある数名の天使………」
タプリス「……天真先輩と、白羽先輩ももちろん任務を受けたのです」
タプリス「私は修行の身ですらないから、何の任務も受けてませんが……」
ヴィーネ「そんなことが……」
サターニャ「……」
タプリス「多分、白羽先輩と天真先輩は、月乃瀬先輩と、胡桃沢先輩を殺したように見せかけて救うつもりなんだと思います」
タプリス「忠告しただけでは、おそらく別の戦力が送られてくるはずですから…」
タプリス「…だから、お願いします」
タプリス「何よりも、お二人のため。どうか……もう、目立たないでください」
タプリス「……どうか…!」
ヴィーネ「……サター」
サターニャ「嫌よ」
タプリス「胡桃沢先輩!!」
サターニャ「嫌!それじゃあ…それじゃあもう、ガヴリールにもラフィエルにも会えなくなるってことでしょ!?」
サターニャ「私たちに危険を強いてまで会いに来てくれるわけない……!嫌よ、嫌よ!そんなの!!!」
タプリス「胡桃沢先輩、お願いします……わかってくださいよ……」
タプリス「………天真先輩たちの努力を、無駄にするんですか」
サターニャ「…ええ、無駄にしてやるわ」
タプリス「そんな!」
サターニャ「だって、そんなの楽しくないじゃない」
サターニャ「私は、またみんなと会いたい」
サターニャ「敵としてじゃなく、天使と、悪魔としてじゃなく」
サターニャ「友達として、また会いたいのよ」
タプリス「そんなっ……!」
ヴィーネ「ごめんね、タプちゃん」
ヴィーネ「私も、サターニャと同意見よ」
タプリス「……そんなこと、できるわけ…」
サターニャ「さて、ヴィネット」
ヴィーネ「なに?サターニャ」
サターニャ「やっぱり、悪魔らしく大暴れしてやんないとね?気が晴れないわよね!」
ヴィーネ「そうね……うーん、どのくらいすればいいかしら」
ヴィーネ「山一つで、十分かしら?」
タプリス「……何を……?」
サターニャ「見てなさい、私は……」
サターニャ「大悪魔、胡桃沢=サタニキア=マクドウェルよ」
ヴィーネ「月乃瀬=ヴィネット=エイプリル………」
ヴィーネ「友達のために、悪魔になります」
・・
ヴィーネ「私は魔法は得意じゃないから、サターニャに補助魔法をかけるわね」
サターニャ「よろしくね!さて……あの山でいいかしらね」
サターニャ「………くっくっく……」
サターニャ「なあーはっはっは!私の真の力……とくと見なさい!天使共!!」
サターニャ「うりゃあ…ぁあああああああああ!!!!!」
ズッ・
ドガアアアアアアアアアーン!!!!
タプリス「なっ……山の……先っちょが削れた!!」
タプリス「意外とショボい!!」
タプリス「じゃ、じゃないです!!何やってるんですか!こんなんしたらすぐに担当の天使が送り込まれ……」
ヴィーネ「そう、それが狙い」
タプリス「えっ……?」
サターニャ「推測に過ぎないけど、ね……それより、アンタは隠れてなさい?こっからは」
サターニャ「悪魔と、天使の戦いよ!」
サターニャ「…」
ヴィーネ「……っ」
サターニャ「ヴィネット」
サターニャ「……」
ヴィーネ「ええ………来たわね」
サターニャ「待ってたわよ……」
ヴィーネ「ガヴ、ラフィ!」
ラフィエル「………っ…」
ガヴリール「……お前ら………」
ガヴリール「何で……」
ガヴリール「お前ら……何で……」
ガヴリール「何でこんなことをしたんだよ!!!」
ラフィエル「サターニャさん、ヴィーネさん……隠れてくれていれば……助けられたんです」
ラフィエル「なのにっ……」
サターニャ「ラフィエル」
サターニャ「私は、アンタ達に会えなくなってまで助かるなんて、望んでない」
サターニャ「…離れましょ、ここじゃ存分に戦えないでしょ?」
ラフィエル「サターニャさん……!」
サターニャ「私は、あんたに勝って……あんたと、仲直りするの」
ヴィーネ「……二人が行ったわね」
ガヴリール「……ヴィーネ、まだ……まだ私に勝てると思ってるのかよ」
ガヴリール「忘れたのか、ヴィーネ」
ガヴリール「お前が、一回私に負けてることを」
ヴィーネ「忘れられないわよ、痛み止めの魔法をかけてるだけで、傷は残ってるわ」
ヴィーネ「でも」
ガヴリール「……」
ヴィーネ「勝つしか、無いの………サターニャと………私のために!!」
ガヴリール「……来いよ、ヴィーネ……」
ガヴリール「私たちの受けた任務は一つ、お前たちを殺すことだ!!」
ヴィーネ「はあああああっ!!!」
ガヴリール「っりゃあああ!!」
ガシャアアアン!!!
ヴィーネ「っ……!」
ガヴリール「やっぱりな……ヴィーネ、実は痛むんだろ」
ヴィーネ「な、なんのこと?」
ガヴリール「あの矢には悪魔祓いを纏わせてた」
ガヴリール「痛み止めの魔法なんかで問題無く戦えるまで回復なんかできないんだよ!!」
ドカッ
シュッ
ガヴリール「っ……」
ヴィーネ「……ガヴ、確かに痛むわ、でもね………魔法を使われたら勝てないし、白兵戦での戦いになれば」
ヴィーネ「この程度、ハンデじゃ足りないくらいよ!」
ドカアアアン!
ガヴリール「ぐっ…はあっ!!」
ヴィーネ「……!」
ヴィーネ(痛い…痛いよ、矢傷じゃない)
ヴィーネ(避けられつつも、少しずつ傷は与えている……けれど)
ヴィーネ(付けた傷と同じところが痛む……!)
ヴィーネ「ガヴ!!」
ガヴリール「ヴィーネッ!来い!」
ヴィーネ「はああああっ!」
ヴィーネ(それでも、まだ……魔法を使わせる暇なく攻撃すれば、意識を奪うに留めて勝利することが……)
ズッ
ヴィーネ「えっ……?」
ヴィーネ(太ももに、矢が刺さって……)
ガヴリール「ヴィーネ……使わせる暇無く、って考えてたみたいだけど」
ガヴリール「無駄だよ、そんなんで使えなくなるほど………」
ヴィーネ「……」
ガヴリール「主席の座は、甘くないんだ」
ガヴリール「………はああ!」
ヴィーネ「っ………!きゃああああ!!」
ズブッ
タタタタタタタンッ
ドサアッ
ヴィーネ「う……ぐ……っ」
ガヴリール「…」
サターニャ「……!ヴィネット……」
ラフィエル「……わかってました」
ラフィエル「…お二人が、助けられることを望まないくらい」
ラフィエル「でも、でも……」
サターニャ「……ラフィエル、許して。私、二人の努力を無駄にした」
サターニャ「でも、後悔しないし……させないわ、ラフィエルにも、ガヴリールにもね!」
サターニャ「……っ」
ラフィエル「ふっ…!」
サターニャ(ラフィエルの武器は光の弓矢……)
サターニャ(神速通が得意なラフィエルにはもってこいね…距離を取りつつ確実に攻撃する、と……)
サターニャ(対して私なんて魔法をかじっただけのお菓子屋さんの娘…)
サターニャ(何よこれ!不利すぎない!?)
サターニャ(何か……)
サターニャ「何か…」
サターニャ「そうだ!確か…」
サターニャ(これが成功すれば、勝ち筋に成りうるわ!)
サターニャ「ふふふ……ラフィエル?」
ラフィエル「っ……何ですか、サターニャさん」
サターニャ「あなたは、大きな過ちを犯してしまったようね…」
サターニャ「あなたの弱点……私には見え見えなのよ」
ラフィエル「っ……?」
ラフィエル(サターニャさんは、アホの子に見えてたまに勘が利く…)
ラフィエル「私のこの戦闘スタイルに、穴があると……?」
サターニャ「さあね?ぶ、ぶら……ぶらすと見るかは好きにすればいいわ!」
ラフィエル「ぶ、え……ブラフですか?」
サターニャ「そ、そうとも言うわね」
サターニャ「とにかく!私の勝ったも同然よ!」
ラフィエル「っ!」
ブュン!!
サターニャ「くっ……ぐあ!」
サターニャ(……わざと弓にあたって…転けるように見せて………い…痛い!)
サターニャ(!!やった……!!)
ラフィエル「サターニャさん……どうやらブラフだったようですね」
ラフィエル「………っ」
サターニャ「くっくっく……ラフィエル!これを見なさい!!」
カエル「ゲコ」
サターニャ「これがあなたの弱点!よ!!」
ラフィエル「っ…」ビクッ
ラフィエル(…え?)
ラフィエル「さ、サターニャ…さん……?その、それだけ……ですか?」
サターニャ「……な、なによ。弱点でしょ、あんたの…」
ラフィエル「……ぷっ」
ラフィエル「サターニャさん!そんな、死闘覚悟なのにカエル程度じゃさすがに……っ」
サターニャ「え、えー!だめだったの!?この作戦!」
ラフィエル「あははっ…ふふ…」
ラフィエル「……はあ、気分、失せちゃいました」
ラフィエル「………サターニャさん、じっとしてくださいね」
サターニャ「え、何よラフィエル、まさかとどめをあああああああああ痛い痛い!!ちょ、優しく!優しくやって!!!」
ラフィエル「動かないでくださいっ、矢を抜いて、すぐ治療しますから」
サターニャ「らふぃえる……?」
ラフィエル「……ごめんなさい、サターニャさん……」
ラフィエル「痛かったですか…?」
サターニャ「痛いって言ったじゃないの!!!」
ラフィエル「わ、……っと、ごめんなさい!すぐ回復魔法をかけますねっ…」
ラフィエル(本当に、ごめんなさい…サターニャさん……)
ラフィエル(許されないと思います……でも、私……私)
ラフィエル(また、みなさんの笑顔が見たくなってしまった私を……)
ラフィエル(サターニャさんは、許してくれるのでしょうか)
◇
ヴィーネ「はあ……はあっ………」
ガヴリール「……天使を舐めないでくれ、ヴィーネ」
ガヴリール「そもそも天使とは、元は悪魔を殺すために作られた尖兵だ」
ガヴリール「…対悪魔用の戦略や、魔法なんて腐るほどあるんだ」
ヴィーネ「っ………」
ガヴリール「…………とどめ……だ……ヴィー……」
ガヴリール「……無理だよ…………!」
ガヴリール「無理だよ…!ヴィーネを殺すことなんてできないよ……!」
ヴィーネ「ガヴ……?」
ガヴリール「でも………でも、じゃないと、ごめん、ごめんヴィーネ……!」
ヴィーネ「どうしたの、ガヴ……?」
ガヴリール「ハニエルが……人質にされてるんだ……!」
ヴィーネ「………!」
ヴィーネ「そんな……」
ガヴリール「任務をこなさなきゃ命は無いって……!」
ガヴリール「気付いた時はもう手遅れで……それでも両方助けようって……」
ガヴリール「っ……くっ…ぅうう……!」
ヴィーネ「……」
ヴィーネ(私たちが…したことで……ガヴが、苦しんでる……)
ヴィーネ(私の、せい……?)
ヴィーネ(どうすればいいのかわからない……そうだ………私が、私が死ねば……っ!!)
ズゥウウウウウ!!!
ガヴリール「ッ」
サターニャ「………何よ、…これ…この迫力……殺気?…」
ラフィエル「これは……」
ヴィーネ「この、空気が凍てつくような感覚……前にも」
ガヴリール「ねえ、さん……?」
ゼルエル「…………」
ゼルエル「おいガヴリール……今の話は本当か」
ガヴリール「………ゼルエル姉さんは、聞いてない……のか?」
ゼルエル「聞いてないもない!!何より……どういう状況だ!これは…ッ!!」
ラフィエル「………任務書です。悪魔を殲滅せよ、との………」
ゼルエル「なるほどな…ほんの様子見だけのつもりだったが……」
ゼルエル「…………ガヴリール」
ガヴリール「……」
ゼルエル「もう、安心しろ」
ゼルエル「例え相手が誰であっても……」
ゼルエル「妹達を危険に晒すような、大事な妹を泣かせるような奴は」
ゼルエル「何があっても、私が許さん」
ゼルエル「……ハニエルは私が助ける」
ガヴリール「ゼルエル、姉、さん……」
ゼルエル「………必ずだ、だから……」
ゼルエル「もう、一人で悩むな」
ガヴリール「姉さん……!」
ゼルエル「……友達は、大事にしろよ」
ゼルエル「神速通ッ」
スッ
ヴィーネ「………ガヴ」
ガヴリール「………」
ヴィーネ「ごめんなさい!!!」
ヴィーネ「……ガヴにも、事情があったのに考えず行動して、沢山悩ませたよね……!」
ヴィーネ「ごめん!」
ガヴリール「……ぐすっ…」
ガヴリール「ヴィーネ………っ!私こそ、本当にごめん……」
ガヴリール「傷、痛いよな…もっと、みんなに相談すればよかったんだ…!」
ガヴリール「ごめん…ごめん……うっ……うぁあああん……」
ヴィーネ「……っ」
ヴィーネ「ガヴ…謝らないでよ…もう…」ナデナデ
ガヴリール「ぐすっ……ひぅっ……」
ヴィーネ「…」ナデナデ
サターニャ「まったく、あいつらったら…」
ラフィエル「……サターニャさん、まだ傷、痛みますか?」
サターニャ「そりゃ痛いわよ、でも…」
サターニャ「ごめんね、ラフィエル」
ラフィエル「……謝らないでくださいよ、サターニャさん……ごめんなさい!」
サターニャ「………もう、元通り……よね?」
ラフィエル「……っ」ジワッ
ラフィエル「……はいっ!」
・・・
「ぇ………ん…」
「……ぇ…」
「お姉ちゃん!ガヴお姉ちゃん!」
ガヴリール「………!ハニエル!!」
ハニエル「ゼルお姉ちゃんから聞いた……私のために、頑張ってくれたんだよね」
ハニエル「ありがとう……ガヴお姉ちゃん!」
ガヴリール「………っくそ、話さなくていいのに」
ガヴリール「……ハニエル、時間あるか?」
ハニエル「?どうしたの?」
ガヴリール「……学校、着いてきてみるか?」
ハニエル「……っ!行く!いきたーい!」
ガヴリール「………着いたぞ、ハニエル」
ハニエル「……わあ……っ」
「あら、今日はハニエルちゃん連れてきたの?だめじゃないせめて学校に許可は…」
「このこ有望そうな目をしているわね…大悪魔様の弟子に相応しそうだわ!」
「あらあら、天使が悪魔の弟子とはあまり聞きませんね~」
「えっあんた私の弟子じゃないの」
ハニエル「えへへ…」
ガヴリール「……みんな…」
ガヴリール「…おはよう!!」
-end-
65 : 以下、\... - 2017/04/09 01:05:54.593 +P7bWGFE0.net 45/45終わりです!
読んでいただいた方、レス付けてくださった方ありがとうございました!
途中からなんかもうめちゃくちゃでマジ申し訳ありませんでした!