ザァー……――
ガヴ「雨やまない……はぁーあ……まあた傘持っていかれちゃいました……」
ガヴ(まったく優等生も疲れますね……ゼル姉さんがあんなだから……)
ラフィ「あら……?」
元スレ
ラフィエル「ガヴちゃん一緒に帰りましょう?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1491497143/
ザァー……――
ガヴ(私だって頑張ってるんですよ?成績だってダントツじゃない……でも……疲れちゃうよ……)ブツブツ
ガヴ(子供の世界では出る杭は燃やされるのがオチ……ゼル姉さんがうまくいったからって私がうまくいくとも……)ブツブツ
ラフィ「あの……?」
ガヴ「ふあ!?」ビクッ
ラフィ「えっと……ガヴリールさん……ですよね?」
ガヴ「あ……はい」ニッコリ
ラフィ「……傘わすれちゃったんですか?」
ガヴ「えぇ……ついうっかり……」ニコニコ
ザァー……――
ガヴ(誰でしたっけ?この子は……ここまで出てるんだけど……)
ラフィ「あ……私白羽です、白羽=ラフィエル=エインズワースです」ニコ
ガヴ「え?ああ……えっと、天真です。ガヴリール=ホワイト」
ガヴ(白羽……?ああ……あの名家のお嬢様かぁ……)
ラフィ「うふふ♪知ってますよ~あのゼルエル様の妹君にして天使の中の天使!主席候補のガヴリールさん……この学校で知らない人なんていませんよ?」
ガヴ「あ……そうなんですね……すみません」
ガヴ(なんだろ……この子ちょっと苦手かも……)
ザァー……――
ラフィ「……あの……よかったら傘使いませんか?」
ガヴ「へ?ああ……いえ……走って帰るので平気ですよ」
ラフィ「だめです!風邪引いちゃいますよ!せめて途中まで一緒に帰りましょう?」
ガヴ「それじゃ二人とも濡れちゃいますよ……うーん……そのうち止むとは思うので大丈夫ですよ」
ラフィ「むー!」プクー
ガヴ「そ……そんなにむくれなくても……」
ガヴ(うっとおしいし……可愛いけどわざとらしい……)イラッ
ガヴ「私は大丈夫だからラフィエルさん先に帰ってください」ニッコリ
ラフィ「じゃあ……私もここで止むのを待ちます!」
ガヴ「えー!」
ガヴ(本当にうざい!なんなの?同情?もしかして傘を隠したのはこの子?)
ラフィ「今日は授業ちょっと厳しかったですねー」
ガヴ「え!?ええ……そうですねー」
ラフィ「…………」
ガヴ「…………」
ザァー……――
ガヴ(終わりぃ!?ええ!?今の何!?)
ラフィ「あ……一緒のクラスですし……その……」
ガヴ「はい?」
ラフィ「ガヴちゃんって……呼んでいいですか?」
ガヴ「ええ?もちろん……“好きに”呼んでください」
ラフィ「…………」
ガヴ「…………えっと?」
ラフィ「あ……私のことはラフィってよんでくださいね!」
ガヴ「え……?ああ……ええ……」
ガヴ(えぇ……何これ……)
ザァー……――
ガヴ(はぁ……めんどくさい……教書読んでたい……雨止むまで図書館にいるべきだった……)
ラフィ「……雨やみませんねぇ……」
ガヴ「そーですねー……」
ガヴ(滅私奉公は天使の基本ですけど……この子はいったい何がしたいんだろう……)
ガヴ「はぁ……」
ラフィ「あ……すっすみません……退屈ですよね!えっと……しりとりでもします?」アセアセ
ガヴ「え?」
ガヴ(退屈なのはあなたのせいかもですよ……“ラフィ”さん?)
ガヴ「えぇ……じゃあお先にどうぞ?」
ラフィ「えっと!じゃあ……りんご!」
ザァー……――
ガヴ「ごりらー」
ラフィ「らっぱ!」
ガヴ「ぱいなぽー」
ラフィ「ぽー?」
ガヴ「パイナップル……ル」
ラフィ「えっと……ルビー」
ガヴ「び?い?」
ラフィ「どちらでも~」
ガヴ「じゃあ……イカ」
ラフィ「……かさ」
ガヴ「……」ドキッ
ザァー……――
ガヴ「えっと……さ……さ……」
ラフィ「傘盗られちゃったんですか?」
ガヴ「え?」
ラフィ「傘を忘れるなんて……ありえませんよ……昨日からずっと降ってますもの」
ガヴ「……っ!」
ラフィ「実は私も盗られちゃったんですよね」
ガヴ「……え!?でも……その傘は?」
ラフィ「ええ……なので私も盗ってきちゃいました」テヘ
ガヴ「え?……ええ!?い……いけませんよ!白羽さん!」
ラフィ「ラフィ」
ガヴ「ふえ!?」
ラフィ「ラフィ……ですよ?ガヴちゃん」
ガヴ「えぇ……?」
ザァー……――
ラフィ「後ろみてください……傘置きにいっぱい置き傘ありますよ?どうしてもっていかないんですか?」
ガヴ「は……はぁ!?私たちは天使ですよ!人のものをもっていくことは許されません!その傘も返してきて下さい!」
ラフィ「いやですよ~」ダッ
ガヴ「しらは……ラフィ!」
ラフィ「うふふ!ほらガヴちゃん!とり返しに来てください!」
ガヴ「ぐ……っこの!」ダッ
ラフィ「あはは!ほ~ら!こっちですよ!」
ザァー……――
ガヴ「ラフィ!待ちなさい!っまてぇ!」ガバッ
ラフィ「きゃ……!あっ!」ビチャ!
ガヴ「きゃあ!」ビチャ!
ラフィ「けほっ……ドロが……」
ガヴ「あ……ご……ごめんなさいラフィ?大丈夫?」
ラフィ「はい……大丈夫ですよ……うふふ、ガヴちゃん泥だらけですよ~」
ガヴ「ラフィ……?あなた一体……」
ラフィ「許せませんよね……」ボソッ
ガヴ「えっ?」
ラフィ「どうして正しいことをしているだけなのに辛いんでしょうね……」
ガヴ「は?」
ガヴ(やめて?そんなこと知らない)
ラフィ「そうしろと教えられてそうしてるだけなのにね……ぐすっ」ポロポロ
ガヴ(ラフィ?泣いてるの?雨のせいで……わからない……)
ザァー……――
ガヴ「ラフィ?泣いてるんですか?」
ラフィ「泣いてませんよ?……ひっく……雨粒が目に入っちゃうんです……離してくれませんか?」パチパチ
ガヴ「……傘は返してくれますよね?」
ラフィ「はい……もちろん持ち主に返します」
ガヴ「わかりました……立てますか?」
ラフィ「はい……ぐすっ」
ガヴ「……それ……本当はあなたの傘ですよね?」
ラフィ「あら~さすがガヴちゃん!どうしてわかったんですか?」
ガヴ「わざとらしいからですよ……」
サァ…………
ガヴ「……もう帰ってください……」
ラフィ「いやですよ?」
ガヴ「っ!?あなたは何がしたいんですか!?」
ラフィ「わかりませんか?」
ガヴ「わかるわけないでしょう!全く!あーあー私を泥だらけにしたかったとか怒らせたかったとか!?」
ラフィ「うーん?違いますよ」
ガヴ「じゃあなんですか!?まさか私を亡き者にしてしまおうとか!」
ラフィ「違いますねぇ……」
ガヴ「じゃあなんだっていうんですか!」
ラフィ「わかりません」
ガヴ「は?」
ポツポツポツ…………
ラフィ「ガヴちゃんなら……わかるかなーって……」
ガヴ「は?」
ラフィ「私の家……いわゆるイイトコなので……私も結構期待されちゃって……結構厳しくって」
ガヴ「ああ……」
ラフィ「ガヴちゃんも最初は同じかなって思ったんですよ……お姉さんはあのゼルエル様で……」
ガヴ「……」
ガヴ(でしょうね……)
ラフィ「私も結構がんばってるのに……ガヴちゃんには勝てなくて……」
ラフィ「だからガヴちゃんならわかるかなって思ったんです……色々と!」
ガヴ「…………」
ガヴ(きっと誰にも一生わかりませんよ……ラフィ……でも……言いません)
ポツ……ポツ……
ガヴ(雨……止みそう……これだけドロドロだともうどうでもいいけど)
ラフィ「ああ……雨……やんじゃいそう……もっとふってー?」
ガヴ「クスッ」
ラフィ「なんて……ふふっ」
ガヴ「もう……ラフィったら!また降ったらいつまでたっても帰れないですよ!」
ラフィ「もうびしょびしょだからあんまり関係ないですけど……」
ガヴ「ふふっ……あははっ!ほんとですね」
ラフィ「くすっ……じゃあ……ガヴちゃん、一緒に帰りましょう?」
ガヴ「……ん!」
完