ヴィーネ「実は私、悪魔じゃないの…」
サターニャ「…えっ?」
ヴィーネ「今まで黙っててごめんね?私のお父さんは、悪魔について研究していた考古学者でね」
ヴィーネ「お父さんの研究を完成させるために、今まで悪魔のふりをしていたの…」
ガヴ「へー…」
サターニャ「な、何よそれ!?じゃあ、今までのヴィネットは…!」
サターニャ「ずっと私たちを騙していたの…?友だちだと思っていたのは、私たちだけだったの…?」
ヴィーネ「ごめんね…本当に、ごめん」ボロボロ
サターニャ「ヴィネットぉ…」グスッ
ヴィーネ「なーんて、嘘に決まってるでしょ!」
サターニャ「う、嘘なの!?良かった…」
ヴィーネ「あははっ、騙された?騙された?」
ガヴ(うぜぇ…)
元スレ
ヴィーネ「ガヴリール、聞いて聞いて!」ガヴリール「あーはいはい」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490974919/
ラフィ「エイプリルフール、ですか?」
ガヴ「ああ、なんでも、四月一日の1日だけ、みんなで嘘をつき合うイベントらしい」
ラフィ「ほうほう、それは面白そうなイベントですねっ!」
ガヴ「…ちっとも面白くねぇよ。おかげで、ほら」
ヴィーネ「あ、ラフィラフィ!聞いて聞いて!」
ラフィ「?どうしたんですか?ヴィーネさん」
ヴィーネ「あのね、実はサターニャって男の子なのよ!」
ラフィ「………」
ヴィーネ「………」
ラフィ「………?」
ヴィーネ「…ふふっ、なーんてね!嘘よ嘘!今日ってエイプリルフールって言うのよ!知ってた?ねぇ知ってた?」
ラフィ「……なるほど。ちょっとこれはきついですね」
ガヴ「あいつが無類のイベント好きなのはクリスマスのときに嫌というほどわかったと思うが…」
ラフィ「確かにあの時のヴィーネさんも、少し様子がおかしかったですけれど…」
ヴィーネ「ねぇねぇ、田中さん!知ってた?あの先生のグラサンって、100均で売ってる玩具なの!」
「へ、へぇ…」
ラフィ「……別のベクトルにイッちゃってますねぇ、あれは」
ガヴ「……救いようがないのは、つく嘘つく嘘がつまらなさ過ぎるってことなんだよな…」
ラフィ「今日一日だけの話なんでしょう?なら、放っておいてもいいんじゃないでしょうか?」
ガヴ「まぁそうなんだけどさ…」
キンコンカンコーン
ヴィーネ「…あっ、チャイム鳴っちゃった…」
ガヴ(や、やっと終わるか…)
ラフィ「では私は教室に戻りますね」
ガヴ「あ、ああ…」
サターニャ「ね、ねぇガヴリール…」
ガヴ「?なんだサターニャ」
サターニャ「その……ガヴリールが家で反復横飛びの練習をしてたら苦情が来たって本当?さっき、ヴィネットが誰かと話しているのが聞こえたんだけど…」
ガヴ「信じてるんじゃねーよ…」
先生「それでは、宿題を回収する」
ガヴ(授業が始まれば、ヴィーネも大人しくなるだろ…)
ヴィーネ「はい、先生!私宿題やってきていません!」
ガヴ「」
先生「……ほう」
ヴィーネ「そして、その事について悪びれる気もさらさらないです!」
先生「………」
ヴィーネ「………」
先生「……廊下に」
ヴィーネ「ふふっ、嘘ですよ!ちゃんとやって来ています!」
ヴィーネ「騙されましたか?」
先生「宿題を出したら、廊下に立ってろ」
先生「授業を終わる」
「ありがとうございやしたー」
ガヴ(……さて)
ヴィーネ「みんなー!聞いて聞いて、さっき廊下に立ってたら、兎が一羽駆けていって」
ガヴ「もうお前黙れ!?」ダダダダッ
ヴィーネ「!?んぐ、むぐーっ、むぐーっ!!」ジタバタ
ガヴ「く、くそっ、力強っ……!?」
サターニャ「な、何やってんのよガヴリール!」
ヴィーネ「んー!んーーーっ!!ぷはっ、サターニャ!これはね、『ますかるご』っていう新しいスポーツでね!」
サターニャ「ま、ますかるご?」
ガヴ「ああっ、もう!そうだ、そういうことだ!このゲームのルールはな、先に相手を黙らせた方の勝ちだ!」
ガヴ「サターニャ!協力してくれ!ヴィーネを黙らせろ!」
サターニャ「面白そうじゃない!やってやるわ!」
ヴィーネ「ぐっ…!サターニャ、違うわ!このスポーツのルールはね…!」
ガヴ「サターニャ!ヴィーネの言うことは全部嘘だと思え!いいな!」
サターニャ「?う、うん、わかった!」
ガシッ
サターニャ「さぁ捕まえたわよヴィネット!これで私の勝ちね!?」
ヴィーネ「むぐーーっ!?むぐーーっ!」
ガヴ「よ、よし……これで一件落着…」
ヴィーネ「んぐーーーーっ!!」
サターニャ「!?な、なに…?こ、この力っ……!ヴィネット、あなた…!」
ヴィーネ「うらあああああああっ!!」バシッ
サターニャ「きゃあっ!?」
ガヴ「さ、サターニャが!?」
ヴィーネ「…ふう、ふう」
ヴィーネ「ねぇ、ガヴ!聞いてくれる?昨日私がお風呂に入ろうとしたら…湯船がオレンジジュースだったの!」
ガヴ「だからなんだよ!?お前のその姿勢、執念を通り越して狂気を感じるわ!」
ヴィーネ「サターニャ、サターニャ!実はラフィのカエル嫌いってキャラ付けなのよ!」
サターニャ「えっ、そうなの!?」
ヴィーネ「嘘よ!騙されたわね!」
サターニャ「ああっ!また騙したの!?」
ヴィーネ「あははははははっ!」
ガヴ(なんというか純粋にもう怖い)
ガヴ(今のヴィーネに会話が通じる気がしない…)
ガヴ「ヴィーネ、ヴィーネ!」ユサユサ
ヴィーネ「あははは……ん?ガヴ?どうしたの?」
ガヴ「ああ良かった日本語通じてる…あのさヴィーネ、久々のイベントだからって浮かれるのもいいけど、程々にしような?な?」
ヴィーネ「ええ!?だって今日だけは嘘をついても許されるんでしょ?じゃあ今のうちに沢山ついておかないと損じゃない…!」
ガヴ「うん、それはわかったからさ。とりあえず授業中くらいは我慢しよう?あと、私たち以外にそのノリで行くのもダメだ。明日からのお前のクラスの立ち位置に関わる」
ヴィーネ「……う、わ、わかったわよ」
ヴィーネ「ガヴは…ちゃんと付き合ってくれる?」
ガヴ「当たり前だろ。…友達なんだし」
ヴィーネ「そっか…なら、わかったわ」
ヴィーネ「…少し自重するわね」
ガヴ「……!」ホッ
「~であるからして」
カリカリカリカリ
ガヴ(…よし、静かにはなったな)
ガヴ(全く、世話の焼けるヴィーネだ…)
ガヴ(こいつ、魔界にいた頃もイベントがある度にこんな調子だったんだろうか…)チラ
ヴィーネ「……ハァ……ハァ」ウズウズ
ガヴ(あーっ、ダメなやつだこれ)
ガヴ「おいっ、ヴィーネ。ダメだぞ。授業中はダメだぞ」ヒソヒソ
ヴィーネ「わ、わかってるわ…でも」ヒソヒソ
ヴィーネ「あはっ……言いたいっ……言いたい言いたい言いたい言いたい…」ブツブツブツブツ
ガヴ(これは私の手には負えない気がしてきた)
「こらっ、そこ、何を喋っている!」
ガヴ「!」
ヴィーネ「安倍政権の未来について真剣に話し合っていました!!」
ガヴ「このバカ!!」
「な、何…?」
ヴィーネ「ふふっ、先生、今日はエイプリルフールですよ?」
「………」
ガヴ(………………)ズーン
ガヴ(どうすりゃいいんだよこれ……)
【翌日】
ヴィーネ「昨日は楽しかったわね~」
ガヴ「……お前はそうだろうよ」
ガヴ(胃が痛い……)
ラフィ「あらあら。随分とつやつやしていますね?ヴィーネさん」
ヴィーネ「まぁ、ね。これで今日からも生きていけるわー」
ガヴ「……生気を吸い取られた気分だ」
サターニャ「辛気臭いわねー。こっちまで暗くなっちゃうじゃない」
ヴィーネ「エイプリルフールっ、素晴らしい行事だったわ」
ヴィーネ「来年もよろしくね、ガヴ♪」
ガヴ「……はは」
ガヴ(そうかー、来年にも四月一日はあるのかー)
ガヴ「……もう」
ヴィーネ「ん?」
ガヴ「もうエイプリルフールなんて懲り懲りだ!!!」
~fin~