サターニャの部屋
サターニャ「魔界通販で買った何かが届いたわー!」
サターニャ「さーて、何を買ったんだったかしら~?」ワクワク
サターニャ「……ん?なにこれ」
サターニャ「注射器みたいな……自転車の空気入れのポンプっぽい……んん?」
サターニャ「説明書、説明書は……」
『人間キグルミ化ポンプ』
サターニャ「うーん?買ったかしら、こんなの……使い方は~」
『ホースの先の吸盤をキグルミにしたい人にくっつけ、ポンプのレバーを引っ張ります』
サターニャ「なるほど……?」
元スレ
ラフィエル「魔界通販からなんか来た」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490711041/
ラフィエル「どうしたんですか?」
サターニャ「ラフィエル⁉」ビクッ
サターニャ「またあんたは勝手に人の家に入ってきて!」
ラフィエル「やだなー、サターニャさんの家だけですよ~」
サターニャ「なお悪いわ!」
サターニャ「!」ピーン
ラフィエル「あ!また面白い物買ったんですね⁉どれどれ……」
サターニャ(この吸盤をラフィエルの背中に……)キュッ
ラフィエル「ひゃっ⁉え?サターニャさん?なんですか?」
サターニャ「レバーを引く!」ギュー
ラフィエル「あは、くすぐったい、え?なにを……」ガクッ
サターニャ「あれ、レバー止まんない……これ自動なの?」
ラフィエル「あれ、あ、脚が、潰れ、萎んでる……?」
サターニャ「え、なにこれ、え⁉」
それはまるで、風船の空気が抜けていくようだった。
まずは脚がしぼみ、自立出来なくなったラフィエルは膝から崩れるように倒れ込む。
ラフィエル「あ、手が溶け、力が抜け……あ、あぁぁあ、あ」ビクンビクン
そして身体を支えようと床に着いた手もまた、ダルんと力なく潰れた。
ラフィエル「あ」ドサッ
軽く痙攣しながら床に突っ伏したラフィエル、その胴体さらに頭がしぼんでいく様子を、サターニャはただ見ているしかなかったーー。
ラフィエル「」ペター
サターニャ「嘘……ラフィエルが、皮だけに、なっちゃった」
サターニャ「え、えぇ⁉せ、説明書は……!」
『レバーが完全に引かれたらキグルミ化完了!あとは背中の穴からキグルミを着ればその人になりきれるぞ!』
サターニャ「そ、それだけ⁉まさか死んでないでしょうね⁉」
ラフィエル「」
サターニャ「あったかい……生きてる……?」
サターニャ「……キグルミ」
サターニャ「着て、みようかしら」
サターニャ「……背中の、あった、穴」
サターニャ「……」
ラフィエル「」
『※キグルミを着る時は服を脱いでください』
サターニャ「……」ヌギヌギ
サターニャ「……ええい!」グイ
皮だけになったラフィエルの背中には小さな穴があった。
手を入れて広げると、それはゴムのように伸びた。
サターニャ「……うわ、中身空っぽじゃない……ぬるぬるする……」グイグイ
ポンプに吸い込まれたのか、ラフィエルの内側には何も入っておらず、サターニャはそこへ脚を入れる。
サターニャ「!」ピター
サターニャ「皮が張り付いてくる⁉」ピター
脚の位置を合わせた瞬間、ラフィエルの皮は吸盤のようにサターニャの脚に吸い付いた。
サターニャ「……手足を合わせて……最後に、頭」ピター
同じように手、そして頭の位置も合わせる。
するとーー。
ラフィエル(サターニャ)「……!」ピター
ラフィエル(サターニャ)「すごい、完全に……!」
ラフィエルの皮はサターニャの身体を包み込み、背中の穴も塞がった。
サターニャは、ラフィエルになっていたーー。
ラフィエル(サターニャ)「あ、声もラフィエルになってる!」
ラフィエル(サターニャ)「あれ、なんか体格も変わってる……?」
ラフィエル(サターニャ)「魔界通販おそるべ、し……?」
ラフィエル(サターニャ)「⁉」ピキー
自身の身体の変化に驚くサターニャを、急な頭痛が襲うーー!
ラフィエル(サターニャ)「あ、頭が……!」
ラフィエル(サターニャ)「これは、ラフィエルの、記憶……?」
ラフィエル『サターニャさーん!』ラフィエル『サターニャさんたら~』ラフィエル『サターニャさんサターニャさん!』
ラフィエル『メロンパンですよ~』ラフィエル(サターニャ)「これは」ラフィエル『面白いですね~』
ラフィエル『うふふ~』ラフィエル『さすがサターニャさん!』ラフィエル『大好きですよ~』
ラフィエルの皮を着たことで、サターニャの頭にラフィエルの記憶が流れ込む。
それは、一瞬の内にラフィエルの内面を理解するーー強制的に理解させられる、という事であった。
ラフィエル(サターニャ)「あ、頭が、あ、あぁぁあぁぁああ!!!!!」
ラフィエル(サターニャ)「そうだ、これは……!」
ラフィエル(サターニャ)「この幸福感は、ラフィエルの感情……!」
ラフィエル(サターニャ)「私の中のラフィエルの心が、私とひとつになれた事に喜んでる!」
『ラフィエルはサターニャが好き』
とりわけ強いその感情がサターニャの脳内を支配するーー!
ラフィエルの心を理解したサターニャの心は、自身がサターニャであるという当たり前の事実に喜び打ち震えていたのだ。
ラフィエル(サターニャ)「……あれ?私って、どっちだっけ?」
サターニャでありながらラフィエルとなった彼女。
やがて二人の少女の心は融解し混ざり合う……!
ラフィエル()「あ、え?」
ラフィエル「えーと、私は、サターニャ……ラフィ、あれ?」
自分がサターニャなのか、ラフィエルなのか、そんな事は些細な問題ーーそう、彼女は結論した。
ラフィエル「そうだわ!この幸福感を他の誰かにも教えてあげなくちゃ!」
そしてーー!
ヴィーネの部屋
ラフィエル「あ、ヴィネットさん!」バシュン
ヴィーネ「え、えぇ⁉なんでラフィが急に⁉」
ラフィエル「ヴィネットさんは、ガヴリールちゃんの事が好きですよね⁉」
ヴィーネ「え、うん、ガヴは好きだけど……あれ?」
ラフィエル「どうしました?」
ヴィーネ「今ラフィ、ヴィネットさんって……ガヴリールちゃんって言った?」
ラフィエル「?」
ラフィエル「私、魔界通販でこんなもの買ったんですよ!」
ヴィーネ「え?え?」
ラフィエル「これを使えば、ヴィネットさんがどれだけガヴリールちゃんを好きか、理解させてあげられるんです!」
ヴィーネ「待ってラフィ、いえ、あなたホントにラフィなの⁉」
ラフィエル「いま、皮にしてあげますね!」
ヴィーネ「え⁉皮って……」キュッ
ラフィエル「うふふ」
ヴィーネ「あっ」ギュー
腹部に張り付いた吸盤から、何かが抜けて行く感覚に戸惑うヴィーネ。
胴体が潰れたところで、戸惑いは恐怖へと変わる。
ヴィーネ「いや、うそ、やめ、やめてラフィ!こんな、こんな物……!」
吸盤を外そうと伸ばした手は、目的地に辿り着くことなくヒラヒラと舞っていた。
抵抗虚しく、仰向けに寝そべったヴィーネはただ身体の感覚がなくなっていくのを感じるしかなかったーー。
ヴィーネ「」ペター
ラフィエル「ふぅ、さて、ガヴリールちゃんの部屋へ行かないと!」バシュン
ガヴの部屋
ラフィエル「ガヴリールちゃん!」バシュン
ガヴリール「うお⁉なんだラフィか驚かすなよ」
ラフィエル「じゃーん!」ペラン
ガヴリール「あ?なんだいきなり……おい」
ガヴリール「おいそれ、ヴィーネに見えるんだが」
ラフィエル「そうですよ!ヴィネットさんです!」
ガヴリール「……お前ラフィじゃないだろ」
ラフィエル「さぁガヴリールちゃん!ヴィネットさんを着てください!」
ガヴリール「意味わかんねーよ!ヴィーネは無事なんだろうな!」
ラフィエル「すぐに分かりますよ!愛です、愛が世界を救うんです!」
ガヴリール「チッ……話が通じねぇ」
ガヴリール「手荒なマネはしたくないが、弓矢で」ヴォン
ラフィエル「今のガヴリールちゃんでは、私には勝てませんよ~?」ヴォン
サターニャの部屋
ガヴリール「……ん?」
ガヴリール「あれ、私、確かラフィに……」
ガヴリール「え、なんで、裸に……動けないし」
ラフィエル「あ、おはようございますガヴリールちゃん」
ガヴリール「そのガヴリールちゃんてのやめろ……私になにする気だ」
ラフィエル「魔界通販で買った道具でガヴリールちゃんの身体の自由は奪いました」
ガヴリール「……お前、サターニャなのか?」
ラフィエル「私がラフィエルかサターニャかなんて、どっちでもいい事なんですよ」
ガヴリール「あ?」
ラフィエル「それは、アナタがガヴリールかヴィネットのどちらなのか、なんて事と同じくらいに」
ガヴリール「……は?」
言うと、ラフィエルはガヴリールの身体を持ち上げ、空中に固定するーーこれも魔界通販で買った道具の効果であった。
そして今度は、ヴィーネの皮の背中の穴を広げる。
ガヴリール「おい、おいサターニャ、なにする気だ、おい!」
自由を奪われたガヴリールの脚を、ヴィーネの皮の中に入れる。
ガヴリール「おい、なんだこれ、脚が、張り付いて、おい!」
ラフィエル「大丈夫、大丈夫、怖くない、怖くない」
下半身が完全に皮の中に入ったガヴリール。
ガヴリール「う、うぅ、ヴィーネぇ……!」
ラフィエル「はーい、次は上半身ですね~」
両腕、そしてついには頭部も皮の中へーー!
ヴィーネ(ガヴリール)「あ、張り付く、あ、あぁ!」
ヴィーネ(ガヴリール)「あ……あ?」ピキー
ヴィーネの記憶が、心が、ガヴリールの脳髄を満たすーー!
ヴィーネ『もうガヴったらー!』ヴィーネ『ガーヴ、えへへー』ヴィーネ『大好き』
ヴィーネ『起きなさーい』ヴィーネ(ガヴリール)「あ、あぁ」ヴィーネ『宿題やった?』
ヴィーネ『今ご飯できるねー』ヴィーネ『ガヴのパンツ……』ヴィーネ『ガヴガヴガヴガヴ……』
ヴィーネ(ガヴリール)「あ、あぁ!ヴィーネ、ヴィーネぇ!!!!」ビクンビクン
ヴィーネ(ガヴリール)「そうか、ヴィーネはこんなにも、私を……!」
ラフィエル「うふふ♥」
ヴィーネ(ガヴリール)「私、私……?私は、ガヴリール……ヴィーネ……あ、あれ?」
ラフィエル「いいんですよ?ヴィネットさん、自分の心に従って、ね?」
ヴィーネ(ガヴリール)「え、えへへ、私、ガヴと一つになってる……えへ、えへへへ♥」
ラフィエル「うふふふふ」
ヴィーネ「えへ、えへへへへ」
ラフィエル「次は誰がいいでしょう?」
ヴィーネ「そうね……そうだ!タプちゃんなんかどうかしら?」
ラフィエル「いいですね!タプちゃんはヴィーネさんの事が好きみたいですし!」
ヴィーネ「あは、楽しみだな~」
ラフィエル「あとは……あぁ、マルティエルなんかも良いですね!」
ヴィーネ「あははは」
ラフィエル「うふふふ」
「「「「あはははははははははは」」」」
おわり