喫茶店
亀山「あ、このコーヒーうまいっすね!なんていうか、深みがある…っていうんでしょうか。こういうの」
右京「僕もそう思います。良い喫茶店を見つけました」
マスター「おぉ、本当かい!?実は私、ブレンドコーヒーには自信が」
ガヴリール「マスター。その話はもう良いっす」
ガヴリール「つーか。何でわざわざ私が働いてる喫茶店に来たの?」
亀山「あ、それはですね。ここのマスターが盗難の被害届を出したもんですから」
右京「その事情聴取に参りました。決してガヴリールさんが働く姿を見ようとしたわけではないので、ご心配なく」
ガヴリール「警部さん絶対私のこと馬鹿にしてるよな」
右京「馬鹿になど…していませんよ?」
元スレ
ガヴリール「喫茶店の食器がなくなってるらしい」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490681473/
関連作
ガヴリール「私の下着を盗んだ奴を捕まえてほしいんだが…」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」
http://ayamevip.com/archives/50019429.html
ガヴリール「ヴィーネが刺されて死んでた」右京「警視庁の杉下です」亀山「亀山です」
http://ayamevip.com/archives/50038317.html
右京「では、早速ですが話を詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか」
マスター「うん…実はねえ。2か月前くらいから週に1回食器がなくなってるんだ」
マスター「コーヒーカップは毎回必ず…後、フォークや皿がなくなることもあってね」
マスター「最初は何かの間違いかと信じたかったけど…こうも続くと、誰かが取ってるんじゃないかと思って」
亀山「週に1回って…何曜日なんすか?」
マスター「日曜日さ。食器がなくなっていることに気付くのは、朝店に入った時だよ」
右京「なるほど…食器がなくなっていることが分かるのは朝」
亀山「つまり犯人は、土曜日の深夜から日曜日の明け方にかけて食器を盗んでいる…ということですかね?」
右京「その可能性は高いですねえ」
右京「ところでガヴリールさんは、何曜日にアルバイトに入っているんですか?」
ガヴリール「私か?土曜日と、最近日曜日も入ってるけど」
亀山「丁度食器が盗まれる前後…ですか」
ガヴリール「何だよ。私を疑ってるのか?」
右京「いいえ。アルバイトに入っている曜日だけでは疑う要素としてはあまりに薄い」
亀山「でも右京さん。ほらー、このカップ高そうですし…遊ぶ金欲しさとか、あるかもしれないじゃないですか」
右京「それもありません。このカップは見たところマスターが特注したもの、恐らく世界中を探してもこの喫茶店でしか使われていない」
右京「他の食器もです。仮に売ってお金を稼ごうにも必ず出所が特定される…」
右京「ガヴリールさんも流石にそんなリスクを負ってまで課金の為のお金を得ようとはしないでしょう」
ガヴリール「だから絶対私のこと馬鹿にしてるだろ」
亀山「この人ー…俺に対してもこんな感じなんっすよ」
亀山「となるとー…やっぱまた知り合いの犯行じゃないんですか?」
亀山「ガヴリールさんの周りって、ほら、変な人ばっかでしょ。それにガヴリールさんの困る姿を見て楽しむ人も多い」
ガヴリール「丁度お前の相棒とかな」
亀山「だから、この前の下着泥棒や殺人事件みたいにガヴリールさんやマスターの周りの人間が怪しいと思うんです」
右京「その可能性も……ありますねぇ」
カランカラン
マスター「おや、来客のようだ。天真君、出迎えてくれるかな?」
ガヴリール「へいマスター。らっしゃいませー」
伊丹「ささ、入って入って。ここのコーヒーがな、美味いんだよ」
ラフィ「あら~、伊丹刑事ってこの辺のお店詳しかったんですね♪」
亀山「ブフッ…!」
伊丹「げっ、…何で特命がここにいんだよ!」
右京「我々は捜査が目的ですが」
亀山「お前こそ何でいんだよ!」
伊丹「な、何だって良いだろ!ボケ!」
亀山「よくねえよ!どう見ても女の子と一緒に入ってきたじゃねえか!!」
ガヴリール「ラフィエル…何やってんだ?」
ラフィ「この前のことを黙っている代わりに何か奢ってほしいって言ったんです」
ラフィ「そうしたら伊丹刑事、こんなお洒落なお店を見つけてきて…まぁ♪」
ガヴリール「お前ここの常連だよな?」
マスター「ま、まあまあ落ち着いて…。何か頼むかい?」
ラフィ「伊丹刑事…私、こういうお店は初めてなんです」
ラフィ「伊丹刑事は何度かここにいらしたことがあるんですよね?是非、私の分まで注文してくれませんか…?」キラキラ
伊丹「お、おう…任せとけ。えぇーっとな………深煎りストロングコーヒーのアイスを、2つで」
マスター「あ、あのー…そのメニューは、ホットしか無いんだけど」
伊丹「あぁっ!?…じょ、冗談だ。本当はアイスソルトキャラメルラテを2つ、だ」
マスター「…悪いねえ。うち、そういうメニューはなくて…」
伊丹「あ、あぁっ!?」
ラフィ「すみませんマスターさん、それじゃいつものを2つで」
伊丹「あぁぁっ!?」
ガヴリール「ブレンドコーヒー2つ。へいお待ち」コト
ラフィ「ガヴちゃん、ありがとう♪」
伊丹「はぁ…、メニューくらい分かりやすい場所においとけってんだ」
亀山「お前も下らない見栄張るなら、下調べぐらいしとけってんだ」
伊丹「んだとゴラァ!」
亀山「なにぃ!」
右京「ところで白羽さん。あなたはこのお店の常連なんですか?」
ラフィ「はい♪毎週土曜日、ガヴちゃんが働いている姿を見たくてここへ」
ガヴリール「見ても何の得もしないから来なくていいぞ」
マスター「ちょ、ちょっと天真君!お客さんにそういうこと言ったら失礼じゃないか!」
右京「毎週土曜日…しかし今日は日曜日ですねえ。普段なら来ていないはず」
ラフィ「はい。いつも日曜日はサターニャさんをいじり…導いて1日を過ごしていますから」
ラフィ「でもガヴちゃんが新しくシフトを入れた時とか、サターニャさんが出かけている時とか」
ラフィ「今日みたいにお誘いをいただいた時は日曜日でも来てるんです」
右京「なるほど…。マスターの話では、盗難が起きるのは土曜日の深夜から日曜日の明け方にかけてだった」
伊丹「警部さん!まさか…彼女のことを疑っているんじゃないでしょうね」
亀山「お?伊丹、お前もしかして…この子にホの字かぁ~?」
伊丹「んだとゴラァ!」
亀山「なにぃ!」
ガヴリール「マスター。あの2人出禁にした方が良いと思います」
マスター「い、いやあ…お客さんだしそういうわけには…」
右京「なるほど…。マスター、週に1回の盗難がなかったことはこれまでにありますか?」
マスター「あぁ、確か…3週間前は珍しく何も取られてなくてほっとしたよ」
右京「3週間前…。白羽さん、あなたは喫茶店に来られましたか」
ラフィ「いえ…。3週間前の土曜日はガヴちゃんとサターニャさんと、ショッピングに出かけましたから」
右京「なるほど……」
ラフィ「あのぉ、杉下警部。私のことを…疑っているんですか?」
右京「いいえ。しかし細かいことが気になるのが、僕の悪い癖でして」
ラフィ「あら~♪」
右京「ではそろそろ行きましょうか、亀山君。ごちそうさまでした」
亀山「あれ、右京さん。もう出てっちゃうんすか?」
右京「ええ。長居しては迷惑がかかりますから」
亀山「それもそうっすね。伊丹と白羽さんの邪魔をしても悪いし、ハッハッハ」
伊丹「なんだとこの亀!」ガタッ
亀山「あ?やるのか!?」
マスター「お、お客さん!落ち着いて、落ち着いて!」
ラフィ「なんだか大変ですね」ニコニコ
ガヴリール「お前が元凶だろ」
帰り道
亀山「にしても、白羽さん…かなり怪しくないっすか?」
右京「そう思いますか?」
亀山「ええ。土曜日に必ず来てて事件が起きている、しかも白羽さんが来ていない時は犯行は起きなかった…」
亀山「自分が来た時に毎回犯行を起こすと怪しまれるから、日曜日は何もせずに帰る。どうっすか、右京さん」
右京「その可能性はありますねぇ」
右京「しかし、客として訪れた時に犯行を済ませるのはかなり難しいと思いますよ」
亀山「と…いうと?」
右京「土曜日はマスターだけではなくガヴリールさんがアルバイトに来ています」
右京「普段ならマスターが厨房に行っている時監視の目を逃れることは出来ますが、土曜日はそうもいかない」
右京「常にガヴリールさんが表に出ている以上、不自然な行動をすれば真っ先に気付かれるでしょう」
亀山「でも、ガヴリールさんも料理をしに厨房に入る時があるかもしれないじゃないですか」
右京「あのガヴリールさんにマスターが料理を任せるとは思えません」
亀山「それもそうっすね」
亀山「うーん、しかし客の犯行でないとすると一体誰が…」
サターニャ「あら!警部さんじゃない!」
右京「おや、胡桃沢さん。この前はどうも失礼しました」
サターニャ「良いってことよ。何か悪魔的行為(デビルズアクション)が起きれば偉大なる大悪魔であるこの私に疑いがかかる」
サターニャ「それは無理もない話だし全然気にしてないわ」
亀山「な、なんていうか…すっごい神経図太いんっすね」
右京「そういえば、胡桃沢さんはあの喫茶店を利用したことはありますか?」
サターニャ「利用?ええ、利用しているわ」
サターニャ「あのガヴリールがバイトとして入っている時は、毎回客としてあいつを利用してやってるのよ!」
亀山「右京さん。これ以上話聞かなくても良くないっすか?」
右京「そのようですねえ」
サターニャ「ちょ、ちょっとちょっと!何私のこと馬鹿にしてるのよ!」ムキー
右京「では、最後にもう1つだけ」
サターニャ「クックック、人間にしては殊勝な心掛けね。良いわ、1つだけならこの偉大なる大悪魔…胡桃沢・サタニキア・マクドウェル様が何でも教えてあげる」
右京「あなたは白羽さんと随分仲がよろしいようですが」
サターニャ「なっ…あ、アイツと仲良くなんてないわよ!!」
右京「そうですか。では白羽さんの身の周りのこともご存知ではないですか?」
サターニャ「天使ってことしか知らないわよ。そういえばそういう話したことないし」
亀山「なんでも教えてくれるんじゃなかったんっすか」
サターニャ「うっさいわね!!」
サターニャ「あ、でもね。このサターニャ様の下僕が、昨日ラフィと話してて根掘り葉掘り聞いてるのを目にしたわ」
右京「!どんな会話をしていたか、覚えていますか?」
サターニャ「え?全然」
右京「そうですか……」
亀山「その。さっき出てきた、サターニャ様の下僕って…誰のことすか?」
サターニャ「決まってるじゃない。この前メロンパンをいっぱい献上してくれた刑事さんのことよ」
亀山「…なぁ、それってまさか」
右京「亀山君」
亀山「はい」
右京「一課に行って話を聞き出してくれますか」
亀山「任せてください!」
捜査一課
ガヤガヤ
亀山「ちーっす」
伊丹「!特命係の亀山ァ」
亀山「まあまあ、そう怖い顔すんなって。サターニャ様の下僕の伊丹、ちょっと面貸せ」
伊丹「あぁん!?てめえ…ぶっ殺すぞ!」ドンッ
亀山「お前さ。この前白羽さんにプライベートな質問したんだってな」
伊丹「それがどうした」
亀山「詳しく教えてくれよ」
伊丹「教えるとでも思ってんのか」
亀山「そうかー…仕方ねえなあ」
亀山「えー一課の皆さん!大ニュースですよ、大ニュース!」
伊丹「!?」
亀山「この伊丹刑事ね、誰と喫茶店入ったと思う?女子高生の」
伊丹「おいぃ!」
亀山「お、おう、任せとけぇ。えーとな、深煎りストロングコーヒーをー…」
伊丹「てっめえ!」ドンッ
伊丹「…分かった。何が知りたいぃ!」
亀山「よっし」
翌日 警視庁特命係
右京「なるほど…いわゆるお嬢様、ですか」
亀山「ええ。専属の執事もついてるんですよ。実家じゃ、生活の世話は全部してくれるんだとか」
ガヴリール「その執事は私にとってのヴィーネみたいなもんらしいし、ラフィエルもラフィエルで苦労してるみたいだけどな」
右京「なるほど…。人物像が容易に想像できますねえ」
亀山「それよりガヴリールさん。そのー…どうしてここに?」
ガヴリール「学校サボった。ここならパソコン持ち込んでネトゲもできるし、掃除もしなくていいし」
亀山「良いんすか…右京さん」
右京「問題はないと思いますよ」
ガヴリール「それにしても、ラフィエルのこと疑ってるのか?」
亀山「まあ…。今のところ一番怪しいっすからねえ」
ガヴリール「私はあいつがそんな真似するようには見えないけどな」
亀山「でも、あの子結構…陰湿なとこありません?」
ガヴリール「食器を取られて、今一番困ってるのはマスターだ」
ガヴリール「でも、ラフィエルはマスターが困った顔を見せたところで喜んだりはしない」
ガヴリール「困らせるならもっと…良い反応返すやつを選ぶはずだよ」
亀山「良い反応返すやつ…って言いますと?」
右京「恐らく、伊丹刑事や胡桃沢さんのことでしょう」
亀山「あっ、なるほど」
右京「しかし…。犯人像が、ようやく浮かび上がってきました」
亀山「えっ、本当ですか右京さん」
右京「ええ。今朝事情聴取に行ったところ、盗難は起きていなかったという」
亀山「そうみたいっすね…。でも、白羽さんは昨日喫茶店に確かに行っていた」
ガヴリール「しかも刑事の男と一緒にな」
ガヴリール「サターニャから鬱陶しいくらいメールが来るんだよ、学校でみんなが噂にしてるって」
亀山「警視庁もその話で持ちきりっすよ。伊丹のやつ、自分が通報されるんじゃないかって怯えっぱなしで」
右京「そこなんですよ。亀山君、ガヴリールさん!」
ガヴリール「えっ」
亀山「どういう…ことっすか?」
右京「刑事の男と、白羽さんのようなお嬢様が一緒に喫茶店に入った」
右京「天使の基準は分かりませんが、少なくとも日本人にとってこれは見過ごせないニュースなんです」
右京「翌日…いや、もっと早ければ当日のうちにその噂は耳に入って来るはずです」
亀山「確かに…。今は携帯もありますからね、噂が広まるのは早いっすよ」
右京「それだけではありません。週1しかバイトをしていなかったガヴリールさんがなんと週2で入りはじめた」
右京「これも、ガヴリールさんの周りではかなりの大事件です」
ガヴリール「凄くむかつくけど確かにあいつら大騒ぎしてたな」
右京「ところが、白羽さんがその記念に喫茶店に入った日曜日の夜は盗難が起きなかった」
右京「つまり犯人は…白羽さんが週1、土曜日に喫茶店に入っていることしか知らないんですよ」
47 : 以下、\... - 2017/03/28 17:09:44.388 Luvr16qN0.net 22/34ヴィーネちゃんは生き返ったんですか…?
ガヴリール「えっ。じゃあ、犯人はラフィエルじゃないのか?」
右京「はい。そしてガヴリールさん、1つお願いがあります」
ガヴリール「お願い?」
右京「来週の土曜日の深夜。白羽さんに、僕達に協力するよう伝えて頂けませんか?」
ガヴリール「ラフィエルに。ん、分かった」
亀山「土曜日の深夜っていうと、予定通りなら犯行が起きる日…。右京さん、張り込みっすね?」
右京「ええ。ただし、僕達2人だけでは犯人に太刀打ちできません」
亀山「太刀打ちできないって…犯人って、相当ヤバいやつなんすか」
右京「その通りです。だからこそ、優秀な天使である白羽さんの力が借りねばなりません」
ガヴリール「おい。当てつけか」
土曜日深夜 喫茶店
??「神足通。……」フォン
??「…千里眼。よし、誰もいませんね」
??「では、いつも通り…今日はコーヒーカップと、フォークに小皿ですね。失敬しま…」
ガシッ
??「…!」
右京「窃盗の現行犯ですよ」
亀山「署までご同行願えますか。食器泥棒さん」
亀山「いや…。マルティエルさん」
??「…」
マルティエル「…くっ」
マルティエル「どこから現れたというのです。私の千里眼には何も映らなかったというのに…」
ラフィ「私の結界の中に、2人とも隠れていてもらったんですよ」
マルティエル「な…お嬢様!?」
ラフィ「本来の千里眼なら結界の中であっても見通せるはずですが…。修行が足りないようですね、マルティエル」
右京「犯人があなたであることは薄々感づいておりました」
亀山「しかし、彼女の話によると…天使ってのは厄介な技を使うようでしてね」
亀山「張り込み捜査も、その千里眼とやらで俺達の存在がバレちゃ元も子もないっすから」
右京「ですので、我々も天使の力を借りることにしたのです」
マルティエル「……」
ラフィ「うふふ♪」
マルティエル「ですが…何故分かったのです。私は盗みを働く瞬間以外ずっと天界にいるというのに」
右京「まず、盗まれた食器と常連客のレシートを照らし合わせることから始めました」
亀山「そうしたら、コーヒーカップは毎回ですが…フォークと皿が盗まれた日はパスタ」
亀山「スプーンとガラス容器が盗まれた日は、アイスクリームを彼女が頼んでいたんですよ」
右京「つまり犯人の目的は、白羽さんが使った食器であること。それはすぐにわかりました」
ラフィ「寒気がしますね」
マルティエル「で、ですが…それなら人間界の誰かを疑うのが普通ではないんですか?」
右京「いいえ。今回は事情が異なります」
右京「白羽さんは毎週土曜日だけではない。たまに日曜日も喫茶店に足を運んでいたんです」
右京「もし犯人が白羽さんの使った食器を目当てとしているならば、日曜日の夜も犯行が起きるはず」
右京「しかし、日曜日の夜は何も起きていない…つまり犯人は土曜日しか喫茶店に行ってないと思い込んでいたんですよ」
亀山「土曜日は、白羽さんの使った食器が何であるか確認する必要があるでしょうから」
亀山「当然店内を監視はするし、もし白羽さんが来なかったら犯行にも及ばない。そうですよね?」
マルティエル「……」
右京「特に、白羽さんと伊丹刑事が喫茶店に入ったことはその日のうちにこの街一帯で大ニュースとなった…にも関わらずあの夜犯行は起きなかった」
右京「つまり犯人は、土曜日でなくては全く情報を得ることが出来ない」
右京「このことから導き出される結論は1つ…。犯人は、土曜日のみ我々の住む人間界の様子を見に来ている」
右京「すなわち、天使だということですよ」
右京「そこからは簡単でした。あなたの普段の行いは白羽さんやガヴリールさんから聞き出すことが出来ましたし」
亀山「毎週土曜日に喫茶店に入っていることを、あなたに話したとも白羽さんは仰っていました」
右京「天使の仕業だと分かれば、例え天使がどのような技を持っていたとしても対処は可能です」
亀山「なんせ、こっちにも優秀な天使がついていますからね」
ラフィ「あら~♪特命係の亀山警部ったら♪」
亀山「特命係は余計だ!!」
右京「これが我々の推理です。勿論これまでの犯行については、天界にあるであろうあなたの住所に家宅捜索を行なわない限り証拠はない」
右京「しかし、今回の現行犯に関して言い逃れすることは出来ないでしょう」
亀山「改めて、署までご同行願います。マルティエルさん」
マルティエル「……分かりました」
ラフィ「…マルティエル。1つ聞いていいですか?」
マルティエル「お嬢様…。なんでしょう」
ラフィ「大体予想はついてますけど、どうしてこんなこと…したんです?」
マルティエル「…。下界でお嬢様が色んな方と仲良くしているのが、妬ましかったのです」
マルティエル「だから、少しでもお嬢様が下界で暮らした証を自分のものにしたいと」
パシンッ
ラフィ「マルティエル」
マルティエル「ありがとうございます」
ラフィ「しっかり改心してきてくださいね?」
マルティエル「…はい」
亀山「…あの人大丈夫なんっすか?」
右京「さぁ。後はマルティエルさんの人生です」
後日 喫茶店
マスター「そうか。盗まれた食器も戻って来るんだね?」
ガヴリール「ラフィが今度実家に帰った時に持ってきてくれるらしいです」
右京「えぇ。マルティエルさんの性格上食器を処分しているとは考えにくいです」
亀山「でもー…良いんっすか?もしかしたら色々使ってるかもしれないじゃないっすか」
マスター「使うって…どういうことだい?」
ガヴリール「あ、マスター。気にしなくていいっす」
右京「亀山君も。余計なことは言わない方が良いですよ」
亀山「あっ、はいっ、すんません」
カランカラン
マスター「おっと、お客さんのようだ。天真君、迎えてきてくれるかい?」
ガヴリール「へい…3名様っすね」
サターニャ「あーっはっはっは!ガヴリール、今日も屈辱的な命令をしにきてやっ」
ガヴリール「帰れ」ドロップキック
サターニャ「たわ…って何よ!?」ヒラリ
ガヴリール「おい避けるなよサターニャ…ってあっ」ゲシッ
伊丹「ごふっ!?」
ガヴリール「やべ。刑事さん蹴っちゃった」
ガヴリール「まあいっか」
伊丹「おい、何すんだテメエ!腰うったじゃねえか!」
ガヴリール「まあまあ。そんなことより3名様で良いっすか?こっちの席にどーぞ」
伊丹「そんなこと…で済むことじゃねえだろ!」
サターニャ「刑事さん、ガヴリールの言う通りだわ!早く席についてアイツに命令してやりましょう!」
ラフィ「あら~…ガヴちゃんもサターニャさんも、伊丹刑事も楽しそうですね♪」
亀山「あの、白羽さん。また伊丹のやつに連れてこさしたんっすか?」
ラフィ「はい。今日はサターニャさんも一緒です」
亀山「良いんっすか…これそのうち問題になりますよ、伊丹にとって」
ラフィ「いざとなったら私がなんとかしますよ」
亀山「白羽さんって何者なんすか」
ラフィ「うふふ♪」
サターニャ「…というわけで。ガヴリール、ブレンドコーヒーを持ってきなさい!」
ガヴリール「ちっ…。で、刑事さんは?」
伊丹「あ?俺か…」
サターニャ「ほら、さっき蹴られた仕返しよ。高圧的に、悪魔的に命令してやると良いわ!」
伊丹「そうだな…。おいガキ、このダッチコーヒーってのを持ってこい」
ガヴリール「…は?」
伊丹「聞こえなかったのかぁ?このガキ。ダッチコーヒーだ!」
ガヴリール「…いや。何言ってんだ、刑事さん」
右京「伊丹刑事、そのメニューは季節限定でこの時期は取り扱っていないようですよ。右の方に書いてあります」
伊丹「あっ…。本当だ」
ラフィ「あら~、伊丹刑事ったら♪」
サターニャ「ふん、メニューを見間違えるなんて。この私の下僕としてはまだまだ精進が必要みたいね」
伊丹「…」プルプル
亀山「ブフッ、お前女子高生に滅茶苦茶言われてんじゃねーか」
伊丹「あんだと、ゴラァ!」ドンッ
亀山「なにぃっ!」ドンッ
伊丹「テメエ最近調子乗りやがってよ、ぶっ殺すぞ!」
亀山「やれるもんならやってみろよ、この大悪魔サターニャ様の下僕!」
伊丹「ざっけんなよ、コラァ!!」
ガヴリール「マスター。やっぱり特命係と捜査一課は出禁にしませんか?」
マスター「…そうした方が良い気もしてきたよ」
~この物語はフィクションです~