魔界 胡桃沢洋菓子店
サターニャ「お待たせしたわね!ご注文のケーキよ!」
マルティエル「ありがとうございます」
サターニャ「……あれ?お客さん、もしかしてラフィエルの執事の人じゃない?」
マルティエル「……あ、確かお嬢様のご学友の……サタニキア様でしたか?」
サターニャ「そうそう!いやー、髪ほどいてたし、ラフィエルっぽい服だったから全然分かんなかったわー!」
マルティエル「こちらこそ気づかず失礼しました」
サターニャ「気にしてないわ!」
元スレ
サターニャ「いらっしゃいませー」マルティエル「ショートケーキと、モンブランと…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490534391/
マルティエル「サタニキア様はアルバイトですか?」
サターニャ「違う違う、ここ私の家なの!休みの間だけ手伝ってて……ん?」
サターニャ「っていうか執事、あんた天使じゃないの?なんで魔界にいるのよ?」
マルティエル「私は悪魔ですので」
サターニャ「マジで⁉」
マルティエル「冗談です」
サターニャ「なんなのよ!」
マルティエル「訳あってこちらに家があるんです」
サターニャ「天使なのに?」
マルティエル「許可は得ていますよ」
サターニャ「へぇ、ラフィエルのお屋敷に住んでるんだと思ってた」
マルティエル「お屋敷に泊まる事も多いのですが……その、そろそろ帰りますね」
サターニャ「あ、ねぇねぇ、あんたの家に遊びに行ってもいい?なんかラフィエルの弱点とか知ってそうだしお話ししたいわ!」
マルティエル「⁉」
マルティエル「いえ、それはちょっと」
サターニャ「ママ~?ちょっと友達の家に行ってくるから店番お願ーい!」
サターニャ母「気をつけて行ってくるのよー?」
サターニャ「はーい……さて」
サターニャ「いない!!!!」
魔界
ヴィーネ「ふんふふーん♪……あれ?あの人ってラフィの執事?」
ヴィーネ「んー、でも天使が魔界にいるわけないか」
サターニャ「あ!ヴィネット!ちょうどいいわ!」
ヴィーネ「サターニャ?どうしたの慌てて」
サターニャ「この辺りでラフィエルの執事見なかった?逃げられたのよ!」
ヴィーネ「逃げられた?何があったか知らないけど、それらしき人なら向こうに行ったわよ」
サターニャ「サンキューヴィネット!」
ヴィーネ「わっ⁉……なんなのあの子?」
マルティエルのアパート
マルティエル「ふぅ、やっと着きました」
ドア「ガチャ」
サターニャ「追いついたわよ!」
マルティエル「⁉」
サターニャ「お邪魔するわ……え?」
ドア「バタン」
マルティエル「……」
マルティエルの『部屋』
マルティエル「天使が魔界に入るには面倒な手続きがあります」
マルティエル「いくらラフィエルお嬢様といえど、それほどの労力を使ってまで魔界には来ないでしょう」
マルティエル「そして部屋を借りるとなれば更に面倒、しかしだからこそやる価値がありました」
マルティエル「まさか私が魔界で部屋を借りているとは夢にも思わない、と」
マルティエル「お嬢様は私を『お嬢様大好きレズ執事』くらいに認識されているようですが、私としてもその方が都合が良かった」
マルティエル「お屋敷の自室ではコレクションにも限界があります」
マルティエル「そうです、この服もお嬢様の服なんです、天界ではさすがに着れません」
マルティエル「下着も……えぇ、もちろん洗濯前の」
マルティエル「あぁ、ケーキですが、特に変な意味はありませんよ?胡桃沢洋菓子店のケーキは美味しいです美味しいです」
マルティエル「いっしょに食べましょう?大丈夫ですよ、怖がらずとも……飲み物は何がいいでしょう?と言っても『種類』はまだ多くないのですが……」
マルティエル「そうだ、ラフィエルお嬢様についてお話ししたいのでしたね?ここまで来てしまったのですから、腹を割って話しましょう……腹を、割って」
マルティエル「そういえばサタニキア様はラフィエルお嬢様のお気に入りだそうですね?ねぇ、サタニキア様?ねぇ」
マルティエル「羨ましくはありますが、私は今の立場が気に入っているのです……お嬢様に従う下僕のような奴隷のような」
マルティエル「嫉妬心……いえ、冗談ですよ?怖がらないで?さ、遠慮せず飲んで、ほら、お嬢様のですから、ね?」
マルティエル「おや、てっきり貴女もお嬢様のことが好きなのかと思ったのですが……まさか嫌い……ですよね、好きに決まってますお嬢様のお気に入りの貴女が、はい」
マルティエル「そうだ、サタニキア様にお願いがあるんです、協力と言いますか……私は執事、学校までは着いていけません」
マルティエル「これ、分かりますか?ええ、ゴマ粒ではないですカメラです極小の……これをですね、サタニキア様に付けてほしいんです」
マルティエル「人間界からでもここに届くんですよ、電波というか、そういうアレが……でも万が一外れるととても困るので、埋め込みたいのですが」
マルティエル「痛くはないですどうせ忘れます大丈夫大丈夫、ね?協力してくださいますね?ありがとうございます、ですよね、はい」
マルティエル「最終的には、この部屋の存在はお嬢様に知られるべきだと考えているんですよ、ええ、まるで内臓をまじまじと見られるような、そんな気分」
マルティエル「分かりますか?分からない、どちらでもいいですが、好きなんです、そうそれと、お嬢様と、えぇ」
マルティエル「サタニキア様は元気な人だと聞いていたのですが、今日は体調でも悪いのですか?気分、私は良いですが、はい、大丈夫ですか?」
マルティエル「帰り道は、そうですね、もう遅いので、大丈夫だと思いますが……晩御飯とかどうでしょう?私、そういうのも得意で、お嬢様とか」
友人の証言
「最後に会ったのは、確か、誰かを追いかけていたみたいで、はい、かなり急いでいて、詳しい話は知りません……知りません!」
おわり