1 : 以下、\... - 2017/03/27 02:44:51.129 Ua6jfawt0.net 1/12

張五飛「ええい、そこをどけぇ!」

どんっ

張五飛「ぬぉぉ!?何だ、この国の婦人は!俺の国の婦人より肉付きもパワーも圧倒的だぞ!」





ガヴリール「頼んでたタイムセールの卵は?」

張五飛「すまん…」

ガヴリール「あのさぁ、せめて言い訳くらい言ったら?」

張五飛「言い訳などあろうはずもない…。全ては俺の失態だ…」

ガヴリール「もういいよ。それより晩御飯作ってくれる?」

張五飛「任せろ」

元スレ
ガヴリール「五飛…後は任せた…」張五飛「チッ、軟弱者が!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1490550291/

5 : 以下、\... - 2017/03/27 02:47:47.815 Ua6jfawt0.net 2/12

張五飛「湯を沸かし、カップに注いで三分…。ええい、まだか!」





ガヴリール「あのさ、このカップ麺、麺の中心まで煮えてないっていうか…」

張五飛「すまん…」

ガヴリール「カップ麺もタダじゃないんだよ?わかってる?」

張五飛「ああ…」

ガヴリール「もったいないから食べるけど、書いてある時間は守ろうよ。ガキじゃないんだからさぁ」

張五飛「わかった…」

8 : 以下、\... - 2017/03/27 02:53:41.591 Ua6jfawt0.net 3/12

張五飛(コロニーから地球へと落とされた俺は、地球の日本へと不時着した…。地球への降下の際に小さな隕石に当たり落下コースがずれたのだ…)

張五飛(墜落して負傷した俺は、ガヴリールと名乗る女に助けられかくまってもらっている…)

張五飛(命を助けられた恩を返す…。それが今の俺の使命なのだ…)

ガヴリール「ちょっ、五飛!レベル上げ頼んでおいたのに何で経験値減ってんの!?」

張五飛「うむ。モンスターにやられたら経験値や所持金が減っていたのだ」

ガヴリール「勘弁してよ…。私の二時間がパーだよ…」

張五飛「ぐっ…すまん…」

15 : 以下、\... - 2017/03/27 03:04:47.241 Ua6jfawt0.net 4/12

張五飛「今日は資金不足で満足な食費すらないガヴリールの為に食材を獲りに海までやってきた」

張五飛「夜の海は暗い。だが、魚も夜に眠る。海底を漂う魚を突いて仕留めるのは戦士にはたやすい事!」

張五飛「しかし俺はそんな事はしない。密漁は犯罪だからな」

ブロロロロ…

張五飛「来たか…」

16 : 以下、\... - 2017/03/27 03:06:31.705 Ua6jfawt0.net 5/12

男A『約束の物です』

男B『発砲スチロールの冷却箱に十箱…。アワビ、カキ、サザエ…、うん、確かに』

張五飛「フン、雑魚が」

ガッシ ボカッ

男A男B『ぐっ』ドサッ

張五飛「さびれた海辺の廃トンネルで密漁の受け渡しの現場をおさえる…。戦士である俺には赤子の手をひねるくらい簡単な事だ。さて、この食材が痛む前にガヴリールに届けなければ…」

17 : 以下、\... - 2017/03/27 03:06:48.959 Ua6jfawt0.net 6/12

ガヴリール「あのさぁ、こんなにたくさんの海産物、冷蔵庫のどこに入るんだよ。言ってみろ」

張五飛「すまん…」

ガヴリール「すまんじゃなくてさぁ…。まあいいよ。知り合い呼んで消費するの手伝ってもらうから」

張五飛「かたじけない…」

20 : 以下、\... - 2017/03/27 03:14:44.427 Ua6jfawt0.net 7/12

張五飛(ガヴリールの依頼でネトゲのイベント会場に来た俺は、炎天下のドーム会場で熱中症で倒れてしまった…)

張五飛(ネトゲのイベントコードを手に入れて帰るだけと軽く見た結果、水分の携帯を忘れ補給ができず倒れる結果に…)

張五飛(なんたる不覚…)

ガヴリール「はい、水」

張五飛「ガヴリール…。すまん、俺は…」

ガヴリール「いいから飲め」

張五飛「ありがとう…」

ガヴリール「悪かったな、五飛」

張五飛「何がだ?作戦を失敗したのは俺だぞ」

ガヴリール「このイベントについて詳しく説明してなかったからね。そのせいで五飛をこんな目に遭わせちゃって」

張五飛「いや、これは…」

ガヴリール「このイベントさ、昨年のでは人が何十人も熱中症で倒れてんだよ。しかも、脱糞する人やそれ以上の目に遭う人も結構出ててさ」

張五飛「それは…」

ガヴリール「私がめんどくさがらずにきちんと言っておけば…。ごめんな…」

張五飛「ガヴリール…」

張五飛(普段はだらしなく人間のクズみたいな命の恩人だったが、この時のガヴリールはまるで天使のように思えた…)

張五飛(だが次の日には熱中症が見せた幻だったのだろうと考えを改めた)

23 : 以下、\... - 2017/03/27 03:24:22.917 Ua6jfawt0.net 8/12

ガヴリール「いいか?今はネトゲの経験値アップ、アイテムドロップ率アップの期間なんだ。私が学校に行ってる間、レベル上げとレアドロ収集やっとけよ」

張五飛「お前は誰に物を言っている。全て俺に任せておけ。そして安心して勉学に励んでこい」

ガヴリール「……だな。うん、任せたよ、五飛」

24 : 以下、\... - 2017/03/27 03:25:45.730 Ua6jfawt0.net 9/12

張五飛「ふむ…『わぁ、ありがとうございます♪さすが前衛職ですね、頼りになります!』…と、こんなものか」カタカタ

張五飛(ガヴリールにネトゲを叩きこまれた俺は、本人同然に振る舞い、本人以上の成果を叩き出せるようになっていた…)

張五飛(戦うだけが戦士ではない…。後衛で回復、支援する事もまた戦士の務めなのだ…)

張五飛「むむっ、あの攻撃職、前に出すぎだ!タンクは何をやっている!?」

張五飛「くそっ、このままでは…。回復によるヘイト管理でタゲをずらすしかない!うぉぉぉおおお!」

25 : 以下、\... - 2017/03/27 03:26:30.342 Ua6jfawt0.net 10/12

ガヴリール「お、やったじゃん。レベルも上がってるしレアアイテムまでゲットとか。五飛、お前、なかなかやるようになったじゃん。明日も頼むな」

張五飛「フン、是非もない」

張五飛(その日の晩御飯は少し豪華に、カップ麺に生卵が付いた)

31 : 以下、\... - 2017/03/27 03:36:16.087 Ua6jfawt0.net 11/12

張五飛(ガヴリールの代わりに掃除、洗濯、食事の支度、あらゆる家事をし、そして奴の代わりにゲームの中で戦いを続ける毎日…)

張五飛(そんな日々にも終わりは訪れる…。それは唐突だった…)

ずんちずんずんち!ずんちずんずんち!

ガヴリール「何だ、この音?」

張五飛「!?」

張五飛(このアラームは、海底に隠していたナタクに何かがあったという事か!)

張五飛「すまない、ガヴリール。命を助けて貰った恩をまだ返し切れてはいないが、お前とはもうお別れだ」

ガヴリール「いきなりなんだ。どういう事か説明しろよ」

張五飛「俺はもう行かなければならない」

ガヴリール「どこに?」

張五飛「仕事だ……。俺は戦士として……」

ガヴリール「……そうか」

張五飛「ああ」

ガヴリール「……これ、少ないけど持ってけよ」

張五飛「これは!?どうしたんだ、こんな大金!お前、素行不良で収入が全然ないはずでは……」

ガヴリール「これはお前の稼ぎだよ。ゲーム内の物を売ればお金に変えられるんだ。合法的にな。お前には私のいない間ずっとゲームをさせていたからな」

張五飛「……助かる」

33 : 以下、\... - 2017/03/27 03:41:54.276 Ua6jfawt0.net 12/12

張五飛(海底へと辿り着いた俺はとんでもない生き物と遭遇した…)

イカ娘『ハーッハッハ!私は海からの侵略者、イカ娘でゲソ!手始めにこの大きな人間を征服してやるでゲソ!』

張五飛「させるかーっ!ナタク、正義を見せてみろぉーっ!」ブォンッ

…………

………

……

千鶴「ダメじゃない、海の家を壊しちゃ」

張五飛「すまん…」

イカ娘「ごめんでゲソ…」

千鶴「これは修理にお金がかかるわね…。住み込みで働いてもらうけど、構わないわね?」

イカ娘「ぐぬぬ…仕方ないでゲソ…」

張五飛「わかった。この損失は必ず埋めさせてもらう」

張五飛の戦いはまだまだ続く…
正義の名の元に…

-完-

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