大和「もし許されるなら」【1】
大和「もし許されるなら」【2】
大和「もし許されるなら」【3】

122 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:39:07.06 6enVUVL30 390/504


月曜日

提督「さてと・・・・・・」

ヤマ「霊峰君、来ると思う?」

提督「こればっかりはあいつが最終的に決める事だからな」

提督「!」

ヤマ「あ・・・・・・」

友提督「・・・・・・」

ガヤガヤ

「おい、霊峰の奴が来たぜ」

「今まで散々やりたい放題してたんだし」

提督(さて、とりあえずあいつの傍に行くか)スッ

ガラガラ

先生「ほら皆席に着け~」スタスタ

提督「! (ちっ、何て間の悪ぃ・・・・・・)」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ヤマ「櫂君放課後だよ~、どうするの?」

提督「移動教室に先生からの呼び出しがくるなんて・・・・・・まさかここまでタイミング悪ぃとは・・・・・・」

ヤマ「休み時間の間は何もなかったけど」チラッ

提督「・・・・・・」ジーッ

「おい霊峰、ちょっと来いよ」グイッ

友提督「・・・・・・」

ヤマ「! 櫂君!」

提督「あ~、放課後にか。てか、今時校舎裏に引っ張ってくパターンって・・・・・・」スッ

ヤマ「あの三人、前まで私の事いじめてた子達だ」

提督(あれ以降俺がヤマの傍にいるからその内手を出さなくなってたし、次の標的を探してたって所か)

提督「とりあえず、尾行するから先生呼んできてくれ」

ヤマ「! 分かった!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

123 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:40:05.10 6enVUVL30 391/504


「今まで散々やりたい放題してたよな?」

「父親の名前出してよぉ!」

「でももうお前を守ってくれるお父さんはいないなぁ」ニヤニヤ

友提督「・・・・・・好きにしろ、こうなる事は分かってたさ」

「おぉ、ならやられても文句ないよな?」ブンッ

友提督「っ!!」バキッ

「えい!」

バシッ

「この!」

バシッ

友提督「っ・・・・・・っ!!」ズキッ

「何だよこいつ、つまんね!」

「やり返さないならもっと殴ろうよ!」

「最近あの呪われ女に手が出せないしな!」

友提督(そうか、そういえばこいつら前まで眞祓井をいじめてた奴らか。なるほど、次の標的は俺か・・・・・・)

提督「だったら俺も殴らせてもらおうかなぁ?」

「「「っ!?」」」

友提督「!」

提督「もちろん標的はお前達三人だけどね」

「う、海原!」

「待てよ、今までは避けてたけどここは先生いないし」

「今までの分殴れるな!」

提督「来いよ、三人がかりで丁度いいくらいだ」

「おらっ!」ブンッ

「この!」ブンッ

「食らえ!」ブンッ

バシッバキッドムッ

提督「・・・・・・」ドシャッ

124 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:40:49.65 6enVUVL30 392/504


「何だよ、あれだけ強がっておきながら」

「手応えないなぁ」

「いいじゃん、もっと殴ろうよ!」

提督「へっ、バーカ」ニヤリ

ヤマ「先生こっち、こっちです!」

先生「! 何をしているんだお前達は!!」

「「「っ!?」」」

提督「あ~先生、今一発ずつもらったんですよ」

「や、やべ、逃げようぜ」

「く、くそ!」

「汚ぇぞ!」

提督「おやおや、わざわざ校舎裏(見えない所)まで引っ張ってって三人がかりで寄ってたかって袋叩きにしてる奴らが何言ってんだか」

先生「と、とりあえず五人とも職員室に来なさい!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「これであいつらも懲りただろ、いや~楽しかった」

友提督「何で俺達があまり怒られなかったんだ?」

ヤマ「先生達もあの三人には注意しなきゃって思ってたらしいんだけど、問い詰めてもしらを切るばっかりだったらしいよ」

提督「お前を助けるにも、正面切って殴りに行ったら同罪だからな。だから俺達で策を弄したって訳だ」

友提督「お前本当に小学生か? 年の割に随分大人びてるな」

提督「そうか? 冷静に考えてるだけだ、喧嘩はどっちが悪くても先に手をあげた方が負けなんだから」

ヤマ「でも櫂君殴られてたけど大丈夫なの?」

提督「普段から鍛えられてるからな」

125 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:41:43.96 6enVUVL30 393/504


提督「さ、帰ろうぜ。あ、そうだ"マナブ"」

友提督「?」

提督「俺達と友達になってくれねぇか?」

友提督「え?」

ヤマ「あ、私も! 霊峰君とお友達になりたい!」

友提督「し、仕方ねぇな! 友達になってやるよ!」

提督「おう、これからよろしくな!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督(それから俺とヤマ、そしてマナブは掛け替えのない親友となった。その後すぐにマナブは周囲に打ち解け、今ではクラスの中心的存在となっていた)

先生「よし、この前のテストを返すぞ」

「「「え~!?」」」

ヤマ「いや、何で皆嫌がるの?」

提督「今からテストするならまだしも・・・・・・」

友提督「いや、今回難しかったぞ。あ、俺だ、はい!」ガタッ

友提督「お、やったぜ!」つ99点

友提督「あいつらに見せてやろっと!」チラッ

126 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:42:40.51 6enVUVL30 394/504


提督「ま、変わんねぇな」つ100点

ヤマ「えへへ、私も!」つ100点

友提督「」

提督「ん? ヤマ、お前その問題理解してなかったよな?」

ヤマ「えへへ」キィィ

提督「な!? お前先生の頭ん中覗いたのか?」

ヤマ「この能力便利だよ~」ニコニコ

提督「うぐ、証拠の残らない完璧なカンニングだな・・・・・・」

ヤマ「だって櫂君ズルいよ、小4なのにもう高校生レベルの教育受けてるんだもん!」

提督「ズルくねぇよ! それに俺より賢い同年代なんて山のようにいるわ!!」

友提督「・・・・・・」

友提督(あぁ、99点って0点なんだな・・・・・・)トオイメ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ヤマ「じゃあねー、櫂君、霊峰君!」ノシ

提督「また明日な」ノシ

友提督「・・・・・・」ノシ

タッタッタッタッ

友提督「・・・・・・なぁ、櫂」

提督「ん?」

友提督「夏のこの時期・・・・・・そろそろ、あの季節だよな?」

提督「? 蝉取りか?」

友提督「ちげーよ! 体育の授業でプールやるだろ?」

提督「確かにプール開きだな」

127 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:43:36.35 6enVUVL30 395/504


友提督「それでだ。俺も多少身体を鍛えてさ・・・・・・」

提督「あ~、大体言いたい事は分かった」

提督「俺ん所で鍛えたいと?」

友提督「そういう事だ、お前ん所の姉ちゃん達強いんだろ?」

提督「まぁな。下手したら殺されるぞ?」

友提督「大丈夫だ、多少は頑丈だからな!」

提督「まぁ、聞いてみるか」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・って事なんだ。マナブも一緒に訓練させてくれねぇか?」

長門「なるほどな・・・・・・しかし、私達のトレーニングは厳しい、段階は踏んでもらうぞ」

友提督「ありがとうございます!」

提督「無理言ってごめんな、長門姉」

長門「今日は見学だ、櫂のトレーニングの様子を見ておくんだな」

友提督「はい!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

副長「素振り一万、始め!」

艦娘「1・・・・・・2・・・・・・3・・・・・・」ブンッブンッブンッ

友提督「あれは?」

長門「剣を帯刀している艦娘は皆このトレーニングを受けている。天龍に龍田、伊勢に日向、木曾といったメンバーの他に強さを極めようとする者達もトレーニングに入っている」

友提督「! 櫂は何やってるんですか?」

長門「あいつは別に鍛えてもらっている。見ろ」

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128 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:45:10.89 6enVUVL30 396/504


提督「やぁっ!」ブンッ

副長「・・・・・・」スッ

バシッ

提督「はっ!」ブンッ

バシバシバシッ

副長「多少は動き良うなったやんか」

提督「やぁっ!」

副長「せやけど・・・・・・」スッ

サッ・・・・・・

提督「っ!?(空振った!?)」

副長「せいっ!」

バシィィィンッッッ

提督「ふぎゃっ!?」

副長「直線的な攻撃ばっかやとすぐ読まれるで」

提督「痛ってぇ・・・・・・」

提督「まだ兄ぃに技出させられねぇのか」

副長「まだまだやな」

妖精「あんなのただの目の錯覚じゃん、剣気が龍の形してるように見えるだけさ」

副長「まぁせやけどな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

129 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:46:06.60 6enVUVL30 397/504


友提督「・・・・・・」

長門「あのレベルに今から放り込むわけにはいかん。最初は数名の艦娘の相手をしてもらう、試しに一週間通ってくれ」

友提督「はい・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

友提督「最初は誰だ?」

夕立「夕立っぽい!」

提督「えっ!? いきなり夕立姉か!?」

夕立「ちゃんと手加減はするっぽい!」

友提督「よっしゃ、準備運動もしたし何時でもいいぜ!」

提督「あ、ちょい待てマナブ!」

130 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:46:43.56 6enVUVL30 398/504


夕立「っぽい!!」ヒュッ

ガシガシッ

友提督「へ?」

夕立「ぽいぽいぽ~い!!」ブンブンブンッ

友提督「うわぁぁぁっ!?」グルグルグル

夕立「えい!」ブンッ

友提督「ふぎゃぁ!?」ドサッ

夕立「あ、やり過ぎたっぽい?」

提督「夕立姉、ちょっとは加減してあげてよ」

友提督「え? 何が起きたの?」

提督「夕立姉の攻撃は速かっただろ?」

友提督「おう、一瞬だった。何があったんだ?」

夕立「君の両肩を掴んで振り回して投げ飛ばしたっぽい!」

友提督「ま、まるで獣みたいだったな」

提督「あの荒々しい攻撃から夕立姉は『魔犬(ケルベロス)』って言われてるんだ」

131 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:48:42.18 6enVUVL30 399/504


友提督「こ、これが最初かよ」プルプル

提督「あぁ。どうする、続けるか?」

友提督「望むところだ!」

夕立「じゃあ続けるっぽい!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

一週間後

提督「どうだったよ、この一週間」

友提督「これを何年も続けてたのか、お前」

提督「まぁな。もっと辛いけど」

長門「どうだ、このトレーニング今後も続けるか?」

友提督「・・・・・・考えときます」ガタガタ

提督「だろうな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」

友提督「さぁお待ちかねのプールの時間だ」

提督「テンション高いなぁ、お前」

先生「プールでの授業は知っているな? プールサイドではふざけないように。あとプールに飛び込むのはダメだ。きちんと準備運動してからプールに入るんだぞ!」

ハーイ

提督「プールねぇ・・・・・・」

「おーい! 霊峰、海原、遊ぼうぜ!」

友提督「おーう! おい、早く遊ぼうぜ」

提督「興味ねぇよ」

友提督「いいから来いって、いい加減お前も俺ら以外の友達作れよ」

提督「分かったよ」

ソッチイッタゾ、ウナバラ!
ウワッ、ヤルナァオマエ
レイホウイケェ!

ヤマ「・・・・・・」

132 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:49:23.50 6enVUVL30 400/504


「ねぇ、霊峰君てかっこよくない?」

「分かる、クラスの中心で頑張ってるもんね!」

「えー、私は海原君がいいなぁ」

ヤマ「!」

「海原君かっこいいもんね~、大人っぽいし、賢いし」

「海原君運動もできるもんね、見てあの腹筋」

ヤマ「・・・・・・」プクーッ

「ねぇ海原君!」

提督「ん?」

「海原君すごい腹筋だよね、かっこいいなぁ」

提督「そうか? 運動してりゃ腹筋ぐらいつくだろ?」

友提督「それはお前だけだろ! 俺なんか今の身体造るのに苦労したぜ」

「やっぱり二人とも鍛えてるの?」

友提督「おう!」

提督「・・・・・・」

「ねぇねぇ、私泳げないんだー。海原君、泳ぎ方教えて!」

ヤマ「!?」

提督「いいけど」

「やったぁ! よろしくお願いします!」

ヤマ(あれ? 何だろう・・・・・・櫂君が他の女の子と話してると、胸が苦しい・・・・・・何で?)

ヤマ(櫂君にはすごく感謝してる。櫂君のお陰で私はいじめられなくなったし、いつも一緒にいてくれるもん)

ヤマ(櫂君が他の女の子と仲良くするのは別に悪い事じゃないのに。寧ろ櫂君は私と霊峰君以外とは全然話そうとしないし、友達を増やすべきなんだから喜ぶべきなのに)

ヤマ(それなのに、何で櫂君が他の女の子と話してるとこんなに嫌な気分なんだろう?)

ヤマ(考えても分かんないや。泳ごっと)

133 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:50:08.26 6enVUVL30 401/504


・・・・・・・ビキッ

ヤマ「っ!?」ズキッ

提督「!」

ヤマ(あ、足が攣った・・・・・・? い、息が・・・・・・)ブクブク

提督「おいマナブ、バトンタッチ」バッ

友提督「お、おう。というわけで、これからのコーチは俺だから」

「え~、霊峰君なの?」

ヤマ「・・・・・・」ゴボゴボ

ガシッ

提督「おい、しっかりしろヤマ!」グイッ

ザバッ

提督(! 水を飲んでる、まずいな)バシャッ

提督「おいヤマ! 返事しろ!!」

ヤマ「・・・・・・」

先生「どうしたんだ、海原!」

提督「先生、タオル持ってきてください! 早く!!」

先生「わ、分かった!」

提督「(・・・・・・やるしかねぇな)緊急事態だ、許してくれよヤマ」スゥッ

チュッ・・・・・・

「「「「「「っ!?」」」」」」

提督「・・・・・・」フゥゥゥ・・・・・・

提督「しっかりしろヤマ!」グッグッグッ

ヤマ「ゲホッ、ゴホゴホッ!!」ゴパッ

134 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:50:53.36 6enVUVL30 402/504


提督「!! 気がついたか!」

ヤマ「! ・・・・・・櫂・・・・・・君?」

提督「はぁ~、良かった。大丈夫か?」ダキッ

ヤマ「う、うん・・・・・・大丈夫」

先生「タオル持ってきたぞ」つタオル

提督「ありがとうございます。ヤマ、何があったんだ?」

ヤマ「うん、足が攣っちゃって」

提督「あ~こむら返りか。とりあえず今日はもうプールから上がれ。後で念のため保健室に連れてくから」ホラ、タオル

ヤマ「痛っ、足が・・・・・・」ズキッ

提督「軽く解すからな。後はタオル巻いてゆっくり揉んどけ」モミモミ グッグッ

ヤマ「う、うん・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

保健室

「応急処置が良かったね。もう治りかけてるよ」

ヤマ「そうですか」

提督「どうする? 休んどくか?」

「大事をとって休んどく?」

ヤマ「・・・・・・うん」コクッ

「分かったよ、担任には私から言っとく」

提督「じゃ、次の休み時間に来るから」ガタッ

ヤマ「! 待って!」ガシッ

提督「え?」

ヤマ「一緒に・・・・・・いて・・・・・・」

「! じゃあ二人休みか。そう伝えとくよ」ニヤニヤ

提督「は、はぁ・・・・・・」

「いやぁ、青春だねぇ。まだ小4なのに。じゃ、職員室にいるから何かあったら呼びに来て」スタスタ

ガラガラ・・・・・・

提督「・・・・・・どうしたんだ?」

135 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:51:48.15 6enVUVL30 403/504


ヤマ「さっき、嫌な気分だった」

提督「?」

ヤマ「櫂君が他の女の子と楽しそうに話してるのを見てると胸が苦しくてたまらない。何でだろうって思ってたら・・・・・・分かったの」

提督「・・・・・・」

ヤマ「私、嫉妬してたんだ・・・・・・だって私、櫂君の事・・・・・・好きだから////」

提督「っ!? ////」

ヤマ「初めて会った時からずっとボンヤリと思ってたけど、今はっきりした。私、櫂君の事が好き////」

提督「・・・・・・////」

提督「・・・・・・俺も、お前の事が気になってた。初めて会った時から・・・・・・一目惚れだったんだよ」

ヤマ「! じゃあ・・・・・・」

提督「ズルいと思われるかもしれねぇけど、俺から告らせてくれ。俺はヤマが好きだ、俺と付き合ってくれ」

ヤマ「うん! こっちこそ!!」ニコッ

提督「さぁ、少し寝ろ。ここにいるからさ」

ヤマ「一緒に寝る?」

提督「寝ません」

ヤマ「むぅ、即答しなくても」

ヤマ「あ、そうだ」

提督「ん?」

ヤマ「せっかく付き合ったんだから、何か特別な呼び方したいな・・・・・・」

提督「? 俺はこのままヤマって呼ぶぞ?」

ヤマ「うーん、じゃあ私は・・・・・・あ!」

136 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:52:42.13 6enVUVL30 404/504


提督「お、何かいいやつ思い浮かんだか?」

ヤマ「えへへ、"櫂ちゃん"」ニコッ

提督「っ!?////」ドキッ

提督「ちゃ、ちゃん付けすんじゃねぇ!////」

ヤマ「え~何で? 可愛いのに~」ニコニコ

提督「可愛さを求めるな!」

ヤマ「ねー、やっぱり一緒に寝ようよ~」グイッ

提督「おわっ!?」グイッ

ドサッ

ヤマ「えへへ、捕まえた~」ニヤニヤ

提督「お、おいヤマ、悪ふざけはやめろよ。早く降りろ////」ドキドキ

ヤマ「おやすみ、櫂ちゃん・・・・・・」ギューッ

提督「お、おいこら、俺は女の子の部屋によくある大きめのクマのぬいぐるみか!」

ヤマ「・・・・・・」zzz

提督「早っ!?」ガビーン

提督(く、くそっ! 一体どんな状況だよ、胸の上で好きな娘が寝てるって!)

ヤマ「んにゃ・・・・・・」ギューッ

提督(ヤマの奴、さっきは気にも留めてなかったけど年の割に発育いいな。そしていい匂いする・・・・・・////)モンモン

提督(って!? 俺は一体何考えてんだ!? 高校生レベルの教育受けてるから思考回路まで高校生になったのか!?////)

提督「・・・・・・考えるの疲れた、寝よ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

137 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:53:43.82 6enVUVL30 405/504


「おーい、そろそろ授業終わるぞーって、何やってんの?」

ヤマ「・・・・・・」zzz

提督「・・・・・・」zzz

「まったく、保健室で一緒に寝るなんて、中学生や高校生かっての」ヤレヤレ

ヤマ「ん・・・・・・」ムクッ

「あ、起きた?」

ヤマ「おはようございます・・・・・・っ!?////」

「とりあえずそいつ起こしな。もう授業終わるよ」

ヤマ「起きて、起きて櫂ちゃん」ユサユサ

「ん? アンタらそういう仲だったの?」

ヤマ「は、はい・・・・・・さっき告白されました////」

「そりゃおめでとう。同じ女としてアドバイスしておくけど、その恋が冷めないように気をつけるんだよ」

ヤマ「うん!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

数ヶ月後

友提督「そういやよヤマ。櫂の誕生日っていつだ?」

ヤマ「うーん、私も分からないんだ。遅く産まれたって聞いてるだけだし」

友提督「何か祝ってあげたいんだけどなぁ」

ヤマ「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

榛名「櫂の誕生日ですか?」

ヤマ「はい。いつなんですか?」

金剛「カイのbirthdayは次の土曜日デスヨ」

長門「なんだ、ヤマも祝ってくれるのか?」

ヤマ「はい! 彼女だもん!」

138 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:54:31.15 6enVUVL30 406/504


北上「おー、だったらピッタリの誕生日プレゼントがあるよ」ニヤニヤ

大井「流石北上さんです!」

ヤマ「え? どんなのですか?」

長門「あー、これは・・・・・・」アタマカカエ

榛名「あ、あはは・・・・・・」ニガワライ

北上「それはね・・・・・・」ゴニョゴニョ

ヤマ「・・・・・・っ!?////」ボンッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

当日

提督「あぁ、疲れた・・・・・・」

友提督「いやぁ、やっとお前も10歳か」

提督「姉さん達皆して祝ってくれたんだ。そりゃもちろんありがたいけど、ちょっと疲れるぜ」

ヤマ「あ、あのさ櫂ちゃん。私達からもプレゼントがあるんだけど」

提督「ん? 何?」

友提督「まぁ櫂。とりあえず俺からはこれだ、誕生日おめでとう」スッ

提督「おぉっ、新しい恐竜図鑑! 嬉しいよありがとう!」

ヤマ「わ、私のプレゼントは・・・・・・////」

提督「?」

ヤマ「み、耳かきサービス・・・・・・してあげる!」つ耳かき棒

提督「はぇ!?////」

ポン・・・・・・

友提督「まぁそういう事だ。後は二人で楽しめ!」b

提督「お、おう・・・・・・////」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

榛名「櫂とヤマちゃん、上手くやってるでしょうか?」

比叡「大丈夫だよきっと」

長門「だが、この歳で耳かきの癒しというのはどうだろうか?」

北上「分かってないなぁ長門さんは。片方が成人で片方が幼少だったら犯罪っぽいけど、どっちも幼少なら大丈夫だって」

大井「北上さんの言う通りです!」

陸奥「そうそう」

赤城「そんなものでしょうか?」

高雄「多分違うと思いますが・・・・・・」

139 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:55:39.80 6enVUVL30 407/504


吹雪「ていうか、北上さんそんな事考えてたんですか?」

北上「失敬な、あたしだけじゃないよ。例えば秋雲とかさぁ」

睦月「秋雲ちゃん達を基準にするのはどうかと思うのです」

天龍「とはいえ俺薄ら考えてたんだけどよ。櫂の奴、まだ10歳なのにイヤに大人びてるよな」

川内「しょうがないよ、私達が総出で教育してるんだし」

金剛「賢くなるのはNo problemデスガ・・・・・・」

霧島「お陰で思考回路もそれなりのものになってしまいましたし」

愛宕「て事は、性欲も?」

加賀「どうでしょう・・・・・・」

長門「否定しきれんな」

天龍「あの歳で性欲持つもんか?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

140 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:56:16.52 6enVUVL30 408/504


あっという間に月日が流れ・・・・・・

提督(12歳)(あっという間に卒業して、この春から俺も中学生か)

ヤマ「櫂ちゃん、制服見に行こうよ!」

提督「おう、じゃあ行ってくるよ」

元帥「気をつけてな」

榛名「行ってらっしゃい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「俺達の通う中学の制服は・・・・・・あれか」

提督(・・・・・・見たところ普通の学ランだな)

ヤマ「ねぇねぇ見て櫂ちゃん!」

提督「ん?」

ヤマ「このセーラー服可愛い~!!」

提督「それ別の中学だぞ、お前のはこっちだ」

ヤマ「えぇっ!?」ガビーン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

141 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:56:57.45 6enVUVL30 409/504


ヤマ「・・・・・・ねぇ櫂ちゃん」

提督「ん?」

ヤマ「櫂ちゃんって、将来の夢考えてる?」

提督「そうだなぁ・・・・・・俺は理系に進んで研究職に就きたいな。妖精さんから色々聞いてるうちにワクワクしてきたんだ」

ヤマ「・・・・・・私ね、海軍に入ろうかと思ってるの」

提督「な、何で!?」

ヤマ「櫂ちゃんのお姉さん達を見ててかっこいいって感じてたから」

提督「入っても成れるのは指揮官、提督だけだぜ。戦闘は皆艦娘がしてるし」

ヤマ「それでも・・・・・・私は皆を守りたいよ」

提督「・・・・・・だったら先ずは自分が強くならないとな」

ヤマ「! うん!」パァァ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督(そして俺達は中学校に進学した。授業は俺とヤマは元より、俺達に張り合おうとするマナブも何の問題もなく着いてこれた)

提督(因みに俺達三人は揃って帰宅部だ。とはいえマナブの計らいで時々部活の備品を借りて身体を動かす事もあったな)

友提督「なぁ、ここの問題教えてくれよ」

提督「ん? あぁ、ここはな・・・・・・」

友提督「おぉ、サンキュー!」サラサラ

提督「あ~、何か刺激が欲しいなぁ」

友提督「これ読むか? R-18の如何わしい本」スッ

提督「っ!? 学校に何持って来てるんだ、バカ!」

142 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:57:36.19 6enVUVL30 410/504


友提督「健全なる男子中学生はカバンの中にエロ本の1冊や2冊、入れとくもんだぜ?」ニヤニヤ

提督「まったく・・・・・・それに俺彼女いるし、要らなくね?」アタマカカエ

友提督「バカだなぁ、彼女持ちもこういうのはするもんだ」ニヤニヤ

提督「うーん・・・・・・」

友提督「な? 1回だけ、1回だけなら大丈b・・・・・・」

スパーンッッッ

友提督「痛っ!?」

ヤマ「もうマナブ! 櫂ちゃんに何吹き込んでるの!?」プクーッ

提督「上履きで頭は痛てぇ・・・・・・」

友提督「ヤマも読んどくか? 女としての魅力も上がるかm・・・・・・」

ヤマ「死ねッッッ!!////」ブンッ

ズパパパパァァァァァンッッッ

提督「ま、マナブぅぅぅッッッ!?」

友提督「」チーン

ヤマ「もう! 櫂ちゃん帰ろ!」ガシッ

提督「お、おう」グイッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ヤマ「・・・・・・ねぇ櫂ちゃん、やっぱり・・・・・・興味あるの?////」

提督「・・・・・・まぁ、な(寧ろよく今まで性欲が湧かなかったと褒めたいくらいだ)」

143 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:58:15.18 6enVUVL30 411/504


ヤマ「・・・・・・あの本の女の人と私と・・・・・・どっちが可愛い?」

提督「お前に決まってんだろ」

ヤマ「! 本当に!?」パァァ

提督「あ、あぁ////」

提督(実際ヤマの奴、初めて会った時よりずっと魅力的になったなぁ・・・・・・////)ポーッ

ヤマ「ねぇ本当? 嘘じゃないよね!?」ズズイ

提督「本当だって////」

ヤマ「本当かなぁ・・・・・・」キィィ

提督(っ!? 疑り深い奴め、こうなったら!)

グイッ

ヤマ「!」

チュッ・・・・・・

ヤマ「っ!?!?!?////」ボンッ

提督「これでもまだ疑うか?」

ヤマ「・・・・・・////」フルフル

提督「俺はお前にベタ惚れのガチ惚れなんだから・・・・・・な?」ナデナデ

ヤマ「わ、私だって! 櫂ちゃんの事大大大好きだもん!!」ギューッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

数週間後

提督「」ズーン

友提督「お、おい・・・・・・いい加減機嫌直せよ」

提督「・・・・・・ヤマがいなくて寂しい」シクシク

友提督「しょうがねぇだろ、夏風邪なんだから」

提督「お陰で今日の期末テスト全然やる気出なかった・・・・・・」

友提督「とか言って結局全教科満点じゃねぇか、分かってんだぞ?」

提督「まぁな」

144 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:59:00.07 6enVUVL30 412/504


友提督「とりあえず、部活してくか?」

提督「・・・・・・ヤマの見舞いに行くから遠慮しとく」スッ

友提督「そっか。分かった、じゃあまた来週」

提督「おう」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「とりあえず連絡入れといたし、早く向かうか」スタスタ

提督「人通り少ないけど近道だし、こっち行こっと」スタスタ

ヤマ『海軍に入ろうかと思ってるの』

提督「進路・・・・・・か」スタスタ

提督(俺も軍には興味がある。けど俺は皆みたいにはなれねぇ。未だにあの時の光景が頭から離れねぇ・・・・・・艦娘に対して偏見を抱いている人達が憎い)

提督(それだけじゃねぇ。俺は自分から見てクズだと思った相手に強く当たりすぎだ。俺は人と関わる仕事には向かねぇのかもしれねぇな)

提督「やっぱり研究職かなぁ。一人っきりで研究室に籠って、研究に没頭するのが性に合ってる」スタスタ

提督「ん?」ピクッ

提督(そこの曲がり角から声がする・・・・・・男の声だ)ソッ

145 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:59:59.09 6enVUVL30 413/504


「まさか真面目な君が学校にこんなの持って来てたなんてね」

「っ・・・・・・!?」カタカタ

提督(あの二人の高校生、この辺じゃ有名な進学校の生徒か。彼氏彼女って感じじゃなさそうだ)

「こんな事が学校の皆に知れたらどうなるだろうなぁ?」

女子高生(以降女子)「っ!?」

「君達カップルは学校中で話題になるだろうな~、つーかもし先公どもに知られたら君達二人共・・・・・・」ニヤニヤ

提督(あ~、大体事情は察した。他人事だけど俺には"そういうの"の趣味はねぇし、それが目の前で未遂なら尚更胸糞悪ぃ)

提督「姉ちゃん間違っても『私はどうなっても構わないから彼氏を助けて』だなんて言うなよ」スッ

「あぁ!?」ギロッ

女子「え?」

提督「まったく、彼持ちの女に手を出そうだなんて節操無さ過ぎだろ、サルかてめぇは」

「なっ・・・・・・!? くっ、くそっ!!」ダッ

女子「あ・・・・・・」

提督「あぁ、ちょい待った」スゥッ

提督「そんなに性欲有り余ってるなら金出してそういう店に通いやがれぇぇッッッ!!」

「なっ!? くそぉぉ!!////」カァァッ

タッタッタッタッ・・・・・・

提督「あ~すっきりした。いいストレス発散だ」ケラケラ

146 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:01:27.33 6enVUVL30 414/504


女子「あ・・・・・・」

提督「あぁ姉ちゃん、災難でしたね。早く彼氏の元に行ってあげてください。それと今後はできる限り彼と一緒に行動してくださいね? では・・・・・・」クルッ

女子「あの・・・・・・できれば、そこまで一緒に来てください」ウルウル

提督「いや、俺も人を待たせ・・・・・・っ!?」

振り返って見たその女子高生は、涙目になっていて身体をブルブルと震わせていた。それを見て提督は断るわけにいかなくなった

提督「・・・・・・分かりました」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督(移動中、女子高生の姉ちゃんはポツポツと事の成り行きを教えてくれた。彼氏との馴れ初め、デートをした事、初めて結ばれた事・・・・・・砂糖吐きそう)

女子「あの、本当に助けてくれてありがとうございました・・・・・・。あの人、学校でも女性絡みで噂の絶えない人だったんです」

提督「なるほど、何人犠牲になったんだか・・・・・・」

「!」

女子「あっ・・・・・・」タッタッタッ

不意に女子高生が走り出した。見れば一人の男子高生がベンチに腰掛けていた

提督(! あのサルと同じ制服・・・・・・って事はこの人が例の彼氏か)

男子高生が走り寄ってくる彼女に微笑みかける。とりわけイケメンというわけではなく、正に普通といった顔つきだがその目は優しさに溢れていた

提督(父さんや叔父さん、兄ぃや姉さん達と同じだ。優しく包み込むような雰囲気・・・・・・なるほど、姉ちゃんが惚れたのも納得だ)

提督が一人納得していると、その男子高生が近づいてきた。どうやら事の顛末を聞いたようだ

男子高生(以降男子)「あの、話は聞きました。僕の彼女を助けてくれてありがとうございます」

提督「いえ、個人的にそういう趣味が無かったので首を突っ込んだだけです。ただの気まぐれですよ」

男子「そ・・・・・・そうですか・・・・・・」

147 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:02:00.23 6enVUVL30 415/504


提督「では人を待たせてるんで」ペコッ

男子「ま、待って・・・・・・」

提督「?」

男子「あ、あの・・・・・・何かお礼がしたいんだけど・・・・・・」

提督「お礼なんて要りません」

女子「で、でも・・・・・・」

提督「それに、俺はアンタ達が思うような人じゃない。自分がクズだと思った相手の尊厳やプライドを完膚無きまでに叩き潰したくなるようなサディストだ!!」ギロッ

男子「・・・・・・」

女子「・・・・・・」

提督(ここまで言ったんだ、ヤマみたいなお人好しでもない限り誰だってドン引きするだろ。俺みたいな異常者の事は忘れてくれ)クルッ

148 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:02:42.54 6enVUVL30 416/504


男子「それでも・・・・・・君が僕達の恩人である事に変わりはないよ」

提督「っ!?」

女子「私は・・・・・・きっと君の言った通りの事を言ってたと思います。君が私にあの時注意してくれなかったら、間違った判断をして一生後悔してた・・・・・・」ポロポロ

男子「僕も、大好きな人が知らない間に取られてたかもしれなかった。それを防いでくれた君には感謝してもしきれない・・・・・・!」

提督「・・・・・・」ポカーン

男子「だから・・・・・・その・・・・・・僕達と、友達になってくれないかな?」モジモジ

はにかみながら男子高生が予想外の言葉を口にする。女子高生も賛成の様だ

提督「は・・・・・・はぁ・・・・・・構いませんが」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

その後二人はこれといって用事が無いため、提督に着いてくる事になった。提督も話すうちに心優しい二人と打ち解けたようで、許可を得てそれぞれ『兄ちゃん』『姉ちゃん』と親しみを込めて呼ぶようになっていた

提督「だからさぁ姉ちゃん、そこはもっと強気に出ないと。だからあんなサルにつけ込まれるんだよ」

女子「わ、私にできるかな・・・・・・私、引っ込み思案だから」

提督「引っ込み思案だからって逃げたらダメだよ、最低限の反撃する術は持たないと」

女子「は、はい・・・・・・」シュン

提督「兄ちゃんもだ、本当に取られたくない女とはなるべく一緒に行動しないと」

男子「櫂君ってしっかりしてるね、本当に中学生?」

提督「昔から歳の割に大人びてるって言われるんだ、周りに歳上が多いから」

ーー
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ーーーーーー

149 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:03:26.15 6enVUVL30 417/504


提督「着いたよ」

男子「す、すごい大きな屋敷・・・・・・」

女子「こ、ここが櫂君のお家なの?」

提督「違ぇよ、彼女の家」

ミラ「おや、櫂じゃないか」

提督「あ、ミラさん。爺さんにリクも」

「おぉ櫂か、ヤマの見舞いか!」

リク「櫂さん、こんにちは」

提督「こんにちは。はい、学校が終わったから」

ミラ「おや、後ろの二人は?」

提督「さっき知り合った人達だよ。大丈夫、いい人達だから」

ミラ「ふむ・・・・・・」キィィ

男子「あ、あの・・・・・・初めまして、櫂君には先程助けていただいて・・・・・・」

女子「は、初めまして・・・・・・」

ミラ「・・・・・・ふふ、確かにねぇ」ニコニコ

提督「ね? いい人達でしょ?」ニカッ

「にしても、よく来てくれたなぁ」

プルルルル・・・・・・

「お、電話か。櫂達、上がっていてくれ」

ーー
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ーーーーーー

ヤマ「うー・・・・・・」ゴホゴホ

提督「よぉヤマ、熱はどうだ?」

ヤマ「まだ熱いよぉ・・・・・・」

150 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:03:59.49 6enVUVL30 418/504


「婆さん、どうも俺達が出なきゃならんみたいだ」

ミラ「うーん、困ったねぇ」

提督「どうしたの?」

ミラ「急用ができて私と爺さんは出かけなきゃならないんだが、ヤマを置いていくわけにもいかないし」

提督「なら俺が留守番も兼ねてヤマを看病するよ」

ミラ「でも・・・・・・」

女子「私達も残ります、明日は休日なので」

ミラ「・・・・・・じゃあお願いしようかね」

提督「もちろん! 任せてくれ」

ミラ「ごめんね、じゃあお願いするよ」

「夜には帰ると思うから、頼むぞ!」

ミラ「バカだねアンタ。私達は今日は帰れないよ。一晩泊まってくるから、若い者同士仲良くするんだよ」

リク「じゃ、じゃあ俺も」

提督「分かった」

ーー
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ーーーーーー

ヤマ「・・・・・・櫂ちゃん、その人達は?」

提督「さっき帰りに知り合った人達。大丈夫、いい人達だ」

女子「よろしくね」

男子「よろしく」

151 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:04:42.49 6enVUVL30 419/504


ヤマ「ヤマです。よろしくゲホッ、ゴホゴホッ」ゴホゴホ

提督「うーん、まだ熱があるなぁ。姉ちゃん、タオル渡すからヤマの汗拭いてやってくれ。替えの服も場所教えてもらって」

女子「分かった」

男子「じゃあ何か消化のいいご飯作るよ」

提督「ありがとう、じゃあ兄ちゃんは飯作るの手伝って」

男子「うん」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

女子「何処か痒いところとかない?」ゴシゴシ

ヤマ「大丈夫・・・・・・」

女子「ヤマちゃんって、肌綺麗だね」ゴシゴシ

ヤマ「そうかな?」

女子「中学生なのに、顔も可愛いし胸も大きいし・・・・・・」ハイフク

ヤマ「お姉さんも負けてないよ」ウケトリ

女子「そう? ありがとう」ニコッ

ヤマ「ふー、だいぶさっぱりしたぁ。ありがとう」

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男子「何を作ろうか?」

提督「お粥やうどんかな」

男子「じゃあお粥かな?」

提督「米がありゃいいんだけど」チラッ

男子「もうほとんど残ってないね」

152 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:05:28.88 6enVUVL30 420/504


提督「うどんは?」

男子「無いよ」

提督「はぁ・・・・・・仕方ねぇ、素麺はあるし煮麺でも作るか。兄ちゃんネギ刻んで」

男子「分かった」

ーー
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ーーーーーー

ヤマ「ごちそうさまでした~」

女子「どう? 気分よくなった?」

ヤマ「うん!」

男子「よかった」

提督「ほら、さっさと寝ろ。歯磨きはしろよ」

ヤマ「はーい。じゃあおやすみ~」スタスタ

提督「・・・・・・」

男子「おやすみ」

女子「ゆっくり休んでね」

ーー
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ーーーーーー

提督「・・・・・・それで、今日の問題となったブツは?」

女子「これだよ」スッ

提督「・・・・・・」ウケトリ

提督(なるほど、交際しているから避妊具を持ち歩く事は何らおかしい事でもない。でもこの二人は真面目な性格だから、これすらも脅しの材料になるってわけだ)

153 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:06:04.50 6enVUVL30 421/504


男子「こ、これ・・・・・・初デートの時とこの前のプリクラ」

女子「////」

提督「まぁプリクラの写真を入れとくのは大丈夫だろ」

提督「姉ちゃん、帰りも言ったけど冷静に対処しなきゃ。普通、人の持ち物勝手に見てる時点で相手が悪いだろ?」

女子「で、でも生徒指導の先生にばれたら・・・・・・」

提督「先生がその現場を目撃したならともかく、直接見てないなら知らぬ存ぜぬで通せばいいんだよ」

女子「で、でも・・・・・・」

提督「とにかく。証拠隠滅も兼ねてこれは俺が貰っとくから、明日以降は誰かに聞かれても知らぬ存ぜぬで押し通しなよ?」

女子「うん。ありがとう、櫂君」

男子「ごめんね、僕がもっとしっかりしていたら」

女子「ううん、そんな事ない。私が落し物しなければ」

提督「タラレバいってもしょうがねぇだろ。とにかく、二人は人前でもっとイチャつけ。そしたらそれが周囲への牽制になる」

男子「う、うん////」

女子「善処します////」

154 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:06:40.14 6enVUVL30 422/504


提督「そういえば二人は高三でしょ? もう進路決めてるの?」

男子「い、医大に行きたいって思ってるんだ」

提督「医大? 医者が夢なのか?」

男子「うん。小さい頃からの夢なんだ」

提督「推薦?」

男子「ううん。基準は満たしてるけど、僕は最後まで頑張りたいんだ」

女子「私も、足を引っ張らないようにしてるの」

提督「姉ちゃんの志望は?」

女子「・・・・・・」チラッ

男子「?」

女子「////」

提督「あぁ、なるほど」

男子「櫂君は将来の夢って決まってるの?」

提督「理系の研究職に就きたいって思ってるんだ」

女子「ヤマちゃんからご家族の話聞いたよ」

提督「!」

提督「あぁ。俺の父は海軍元帥・・・・・・艦娘の提督をしているんだ」

男子「!」

女子「・・・・・・櫂君の口から、聞かせてもらってもいいかな?」

普通ならば、父親が海軍に所属していれば子供は同じ道を歩もうとする。しかし何故彼は海軍に入ろうとしないのか? 女子校生はその理由を聞いた

提督「俺には100人を超える、いや下手したらその倍以上の姉がいる。艦娘の姉だ」

提督「皆は本当に優しくて俺を実弟のように育ててくれた。勉強を教えてもらい、身体を鍛えてもらい、遊んでもくれた。俺は姉達が大好きだ」

提督「でも世間一般の奴らは、艦娘を兵器だの化け物だの、深海棲艦と同類だと陰口をたたく。それが俺には我慢ならないんだ」

男子「・・・・・・」

155 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:07:25.72 6enVUVL30 423/504


提督「二人は艦娘についてどう思ってるんだ?」

女子「・・・・・・」

提督「別にどうこうするわけじゃねぇ。正直に答えて」

男子「僕は彼女達のお陰で僕達が生かされていると思う。確かに戦いは続いているけど、僕達は自由に学校に行ったりできてる。それは艦娘の皆が頑張ってくれてるからだよ」

女子「私も同じ。艦娘の皆がいなかったら私達はとっくに全滅させられていたと思う」

提督「!」

男子「僕達は艦娘に感謝してるよ」

女子「今日櫂君に会う前からずっとね」

提督「・・・・・・よかった」ニコッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

ミラ「本当にありがとうね」

ヤマ「ばいばい、また明日遊びに行くね!」

提督「風邪が治ったらな」

男子「お世話になりました」

女子「ありがとうございました」

提督「じゃあ兄ちゃん姉ちゃん、またいつか。いい報告期待してるよ」

男子「うん。ありがとう」

女子「またね」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

明石「あ、櫂どうしたの?」

提督「明石姉、ちょっと聞きたい事があるんだ」

明石「何?」

提督「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

156 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:08:05.89 6enVUVL30 424/504


二週間後

提督(あれから暫くして兄ちゃん達から連絡が来た。どうやらあのサルは誰にも話していなかったらしく、先生達にも知られていなかったそうだ。そして今や学校内では付き合ってると認知されており、あの手の出来事は無いらしい)

ヤマ「何考えてるの?」

提督「さぁな?」ニヤリ

ヤマ「もー、教えてよ~!」プクーッ

提督(ついでに、後日俺達はデートの後晴れて(?)結ばれた。因みに姉ちゃんから預かったやつは使うより前にヤマに一つ残らずポイされました・・・・・・)モンモン

ヤマ(櫂ちゃんが何だかエッチな事考えてる気がする)

提督「とりあえず。早く帰るか」

ヤマ「うん」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ヤマ「あのお兄ちゃん、医者を目指してたの?」

提督「あぁ。きっとすげぇ努力してきたんだろうなぁ」

ヤマ「それを追いかけて必死に頑張る彼女って何だかほのぼのするなぁ」

提督「そうか?」

ガッ・・・・・・

ヤマ「あっ、すみません!」ペコッ

「痛てぇじゃんかよ、何するんだ!」

提督「!? お前は!」

「!? てめぇはあの時のガキ!!」ガッ

サル改めチャラ男は提督の胸ぐらを掴んでグイと引き寄せた。その顔は激しい憎悪に歪んでいる

157 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:09:00.04 6enVUVL30 425/504


提督「こんなとこで会うなんてな。発情期は乗り越えられたか、サル」

チャラ男「てめぇの所為で俺がどれだけ恥をかいたと思ってんだ、今日こそは落とし前つけてもらうぞ!」

バキッ

ヤマ「櫂ちゃん!」

胸ぐらを掴んだ状態からチャラ男の拳が提督の顔面に直撃し、提督は地面に倒れた。しかしすぐにはね起きて睨み返す。その口からは一筋の血が流れていた

提督「何が恥だ、人の女を寝取ろうと脅してる時点でてめぇは男の恥晒し、人の風上にも置けねぇ獣畜生以下の存在だ!」

チャラ男「な・・・・・・このぉ」プルプル

ヤマ「櫂ちゃんもうやめようよ!」グイッ

チャラ男「! ちょうどいい、その娘の身体で払ってもらおうかなぁ」ニヤリ

「おう、何やってんだ?」

チャラ男「おう、今からこの女やるぞ、お前らも手伝え」

「うひょ、上玉じゃん!」

「楽しませてもらうぜ!」

提督(ちっ、まさかの援軍かよ。合わせて四人か)

提督「そういうのは俺を殺してからにするんだな」

チャラ男「いい度胸だ」

「かっこいいぜ、彼氏」ニヤニヤ

158 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:10:01.56 6enVUVL30 426/504


ガシッ

ヤマ「きゃあ!?」グイッ

提督「!? ヤマ!!」

「がら空きだぜ、バーカ」ニヤニヤ

ヤマ「離してよ!」

「近くでみたらますます可愛いじゃん、よく見りゃスタイルもいいし」ニヤニヤ

チャラ男「あっけないな。所詮は威勢だけのガキ、ただの中学生だな」

提督「あ"?」ギロッ

チャラ男「? 何だよ、何か間違った事言ったか?」

提督「その中坊にムキになってんのは何処の誰だ、クソザルがぁっ!!」ダッ

バキィィィッッッ

チャラ男「ぐぁ!?」

突如顔面を殴られたチャラ男はそのあまりの拳の重さに倒れる。間髪入れずにヤマを捕まえてる相手に提督は飛び蹴りを放つ

提督「いつまで汚ぇ手で触ってんだクソッタレ!!」ダッ

ドガッッッ

ヤマを掴んでいる手に飛び蹴りが入り、手を離した隙に提督はヤマを掴み、包囲網から出た

ヤマ「櫂ちゃんありがとう、すぐ逃げ・・・・・・」

提督「先逃げろ、俺はこの害虫どもを駆除する!!」ギロッ

その双眸は普段の提督からは想像出来ないものだった。まるで汚物を見るかのように冷たい眼差しからは、荒れ狂う烈火の如き闘争心と憎しみが剥き出しにされている

チャラ男「やってくれるじゃん、ますます燃えてきたぜ」スッ

提督「」ダッ

バキィィィッッッ

チャラ男「うぐっ、捕まえたぞ」ガッ

提督「っ!?」

チャラ男「石で殴られた事あるか?」つ石

ヤマ「!?」

チャラ男「俺もこんな人間じゃなかったのに。お前があの時人の恋路を邪魔しなかったら俺も荒れなかったのにねぇ」ニヤニヤ

提督「はっ、何が恋だ。お前が欲しかったのはただの肉欲だろ。恋人じゃなくてもただ自分の性を発散させるだけの女が欲しかっただけだろうが。だからてめぇは人の女にあんな事ができるんだ」

チャラ男「何が悪いのさ? あんな童貞よりも俺の方が見た目もテクも上だ。あの娘も俺の方が良いに決まってる」ニヤリ

提督「それがお前の尊厳か?」

チャラ男「あぁ、俺とやった女子は皆俺のテクで堕ちちゃうぜ」

159 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:10:48.04 6enVUVL30 427/504


陸奥「あらあら、そんな無骨なプライドなんて砕き甲斐がないわ」

チャラ男「なっ!?」

「「「っ!?」」」

赤城「陸奥さん何を?」スタスタ

提督「陸奥姉!? 赤城姉まで、何で此処に!?」

陸奥「赤城の食べ歩きに付き合ってたのよ、そしたら櫂の声が聞こえて」

提督「・・・・・・」

赤城「とにかく、ヤマちゃんこっちに!」

ヤマ「う、うん!」

陸奥「それで? いつまで弟を組み伏せてるの?」チラッ

チャラ男「何だかよく分からねぇけど、これまたいい女が来たねぇ」ニヤニヤ

「ちょうどいいや、こいつもやっちまおうぜ!」

陸奥「あらあら、会ってすぐのお姉さんにヤラシイ視線向けるなんて、本当に節操ないわね」スッ

ガシッ

チャラ男「!?」グイッ

陸奥「えい」ブンッ

ドシャッ

チャラ男「ぐぁっ!?」

「うぎゃっ!?」

「ふぎゃ!?」

「ぐはっ!?」

投げ飛ばされたチャラ男は仲間を巻き込んで地面に倒れ、四人は目を回している

陸奥「大丈夫?」

提督「あぁ。ありがとう、陸奥姉」

160 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:11:21.42 6enVUVL30 428/504


陸奥「もう、こんなにボロボロになって。帰ったら長門にお説教してもらうわよ」ナデナデ

提督「えぇっ!?」ガビーン

陸奥「赤城、櫂とヤマちゃんを連れて先に帰ってて。すぐに追いつくから」

赤城「はい」

提督「陸奥姉は?」

陸奥「盛りのついた獣を去勢するのよ」ペロリ

ヤマ「っ!?」ゾクッ

陸奥「大丈夫よ、こんな子達の性欲処理なんかしないから」

提督「そういう問題じゃないけどね」

スタスタスタスタ・・・・・・

陸奥「さて、ちょっと試したかったのよねぇこれ」スッ

悪戯っぽく笑う陸奥は何処からか注射器を取り出した

ーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー

三年前

提督「なぁ明石姉」

明石「どうしたの?」

提督「性欲を抑える薬って無い?」

明石「はぇ!?」

161 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:12:08.18 6enVUVL30 429/504


提督「俺まだ小4じゃん? まだ性欲出すには早いと思うんだけど、皆の英才教育で高校生の思考回路だからさ。このままじゃ面倒じゃん、頼む」

明石「は、はぁ、あるにはあるけど・・・・・・。ちょっと待ってて」スタスタ

提督「にしても、色んな物があるなぁ」キョロキョロ

提督(ん? 何だこれ? 『身体に染み付いた技術を忘れさせる薬』?)

提督("料理"に"球技"、"水泳"に"筋力"、"道術"まで・・・・・・無駄に品揃えいいな。つーか、これ必要な場面あるか?)

提督「ん!?」ギョッ

提督("性"? 何だこりゃ!?)

陸奥「あらあら? 何見てるのかな?」ニヤニヤ

提督「うぉっ!? 陸奥姉脅かすなよ」ビクッ

陸奥「櫂が見ていたのはね、服用者の体に染み付いた性技が綺麗さっぱり取れるのよ」

提督「それに限らずこのシリーズ需要ある?」

陸奥「使いようによっては必要かもね」ニコニコ

162 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:12:41.70 6enVUVL30 430/504


明石「櫂、これならあるけど」スタスタ

提督「それで大丈夫だよ、ありがとう」

明石「但し!!」ガッ

グイッ

提督「(か、顔近い・・・・・・)何?」ビクビク

明石「本っ当に強力な薬だから絶対に服用方法を守ってね?」

提督「え? 何d・・・・・・」

明石「分かった!?」

提督「お、おう」

スタスタスタスタ・・・・・・

陸奥「随分念を押したわね」

明石「本当にキツい薬なんですよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

二週間前

明石「聞きたい事って?」

提督「明石姉がくれたあの薬、三年間言われた通りの服用法をしてきたけど、ありゃ一体どんな薬なんだ」

明石「あれはね。中和剤で100倍に薄めたものを更に砂糖や小麦粉で固めた錠剤。原液はあまりに危険だから」

提督「危険ってどれくらい?」

明石「少量の摂取で性欲が無になって二度と湧かなくなる」

提督「・・・・・・は?」

163 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:13:18.27 6enVUVL30 431/504


明石「つまり原液を少量でも体内に取り込んだら、その男性は今後一切勃起も射精もできなくなるほどの劇薬。生命活動には何ら支障は無いけど、その人は一生交尾ができなくなるの」

提督「」ゾクッ

明石「元は野良猫やペットを傷つける事なく去勢させるための薬だからね。だから人体にも何も影響ないんだよ」

提督「もうそろそろ止めたくなってきた」

明石「! よかったぁ、もし万が一があったらって心配してたのよ?」

提督「もう今日限りであの危険薬とはおさらばしようと思う」

明石「うんうん、明日からちゃんと性欲は出るからね! 安心して!」ニコニコ

ーー
ーーーー
ーーーーーー
ーーーーーーーー

陸奥「明石から貰ってきちゃった。でも正に使い時よね」

つまり彼女が持っているのは、例の劇薬の原液と性技を忘れさせる薬である

チャラ男「くっそ、何するんだよ!」

陸奥「もうちょっと大人しくしててね」ズン

倒れているチャラ男に馬乗りになる陸奥。その顔は妖艶な笑みを浮かべている

「「「ひいっ!?」」」ゾクッ

チャラ男「だ、大体何なんだよ、俺達お前に会ったの初めてだぞ!」

陸奥「私だってそうよ。それにいくら私でも一般人に手を出すはずないじゃない」

チャラ男「はぁ? 何言ってるんだよ?」

164 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:14:18.45 6enVUVL30 432/504


陸奥「私は軍人、貴方が傷つけたのは軍人の家族よ。例え軍人(そう)じゃなかったとしても、弟を傷つけた貴方達を私達は絶対に許さない」

チャラ男「っ!?」

陸奥「それじゃあ貴方の尊厳、つまり無尽蔵の性欲と自慢のテクニック。砕かせてもらうわよ」つ注射器×2

チャラ男「ひ、い、嫌だ、や、止めてくれ・・・・・・」ガタガタ ポロポロ

陸奥「きっと貴方が寝取ろうとした同級生も、櫂が助けなかったらそんな顔してたのよ。貴方達が真っ当に恋愛していたらこんな事にはならなかったのに」

チャラ男「っ!?」

陸奥「大丈夫、死にはしないわ。但し一生エッチできなくなるだけ」ニッコリ

プスッ・・・・・・プスッ・・・・・・

「「「っ!?」」」ガタガタ

陸奥「貴方達も同罪よ。同じ罰で償ってちょうだい」チラッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ヤマ「ふぇぇぇん・・・・・・」

提督「・・・・・・」

長門「それで喧嘩していたところをお前達が通りかかったと?」

陸奥「えぇ」

赤城「そういう事です」

長門「なるほど」ギロッ

提督「っ・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

165 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:14:59.34 6enVUVL30 433/504


ヤマ「櫂ちゃん、約束!」

提督「ん?」

ヤマ「今度からは絶対に自分の命を軽く見ないで。私のためにも生きてよ・・・・・・」

ヤマ「櫂ちゃんに守られてばかりは嫌だよ。私だって櫂ちゃんを守るんだから!!」

提督「・・・・・・分かった」

ミラ「ヤマ、大丈夫だったかい?」

ヤマ「うん」

ミラ「櫂、孫を守ってくれてありがとう。でもあんたも私達の大事な孫なんだ、いいね?」

提督「・・・・・・」コクッ

ミラ「巌山も、迷惑かけたね」

元帥「いや何の。ではミラさん、儂らは帰りますので」

提督「じゃあなヤマ」

ヤマ「っ!!」タッ

提督「!」

チュッ・・・・・・

ヤマ「ん・・・・・・」ギューッ

提督「・・・・・・」

ヤマ「ぷはっ、おやすみ櫂ちゃん////」ニコッ

提督「おやすみ////」

スタスタスタスタ・・・・・・

ヤマ「」クルッ

ミラ「? 何処に行くんだい?」

ヤマ「ちょっと倉庫に探し物」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

166 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:15:31.53 6enVUVL30 434/504


提督「ただいま・・・・・・」

榛名「櫂!!」タッタッタッ

提督「! 榛名姉」

榛名「ごめんなさい、痛かったですよね?」ギューッ

提督「平気だよ、伊達に鍛えられてねぇし」

榛名「あんな酷いこと言ってごめんなさい、榛名は櫂の事大好きですよ」ポロポロ

提督「分かってるさ。だから厳しく怒ってくれたんだろ?」

榛名「」ギューッ

提督「長門姉も、ありがとう。心配してくれて」

長門「私もキツく言いすぎたな。すまない」ナデナデ

167 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:16:12.12 6enVUVL30 435/504


明石「微笑ましい光景ですよね~」ホノボノ

陸奥「でも私達は・・・・・・」チラッ

少し離れた所で陸奥と明石は正座させられていた

元帥「それで陸奥? 赤城から聞いたが一般人相手に劇薬を投与したというのは本当かね?」ギロッ

陸奥「・・・・・・はい」

元帥「それで、明石はそれを作って剰え陸奥(このサディスト)に渡したのか?」

明石「さ、最近櫂から話を聞いていたもので、念のためと思っていたのですが」

元帥「はぁ・・・・・・使った者もそうじゃが、作って渡した者も一体何を考えておるか」

明石「うぅ・・・・・・」

陸奥「で、でも相手は櫂を傷つけた挙句石で殴ろうとしてたのよ? それ以前に櫂が助けた女子校生にも危害を加えようとしてたし、これぐらいの私刑なら」

提督「まぁでも陸奥姉は俺達を助けるためにしてくれたんだし、明石姉も俺の事を案じてくれてたわけだし」

元帥「例えそうでも・・・・・・あぁ、頭が痛い。とりあえずお前達二人は一週間謹慎じゃ」

陸奥「はい・・・・・・」

明石「分かりました・・・・・・」

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ーーーーーー

168 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:16:58.94 6enVUVL30 436/504


一年後

提督「あれからあっという間に一年が経ったなぁ」

提督(俺達は中学二年になった。そして兄ちゃん達二人は無事に海外でも最高難度の大学医学部に合格、日々学業に励んでいるそうだ。俺も負けてらんねぇなぁ)

ヤマ「じゃあ櫂ちゃん、また明日!」ノシ

提督「おう!」

スタスタスタスタ・・・・・・

友提督「・・・・・なぁ」

提督「! マナブか、どうした?」

友提督「・・・・・・俺のクソ親父の事で分かった事があるんだ」

提督「!?」

友提督「アイツは政治資金絡みで黒い噂があったってのは知ってるよな?」

提督「あぁ。それが何処からか情報漏洩して失脚したんだろ?」

友提督「俺のクソ親父はかなりやばい事考えてたらしいんだ。詳しくはお前ん家で話す。お前の親父さんも聞いておいた方がいいかもしれねぇし」

提督「・・・・・・」コクッ

タッタッタッ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元帥「それで、何かの?」

提督「・・・・・・」

友提督「はい。俺の父は政治資金と言って受け取った金をある組織に流していたそうなんです」

提督「その組織って?」

169 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:17:40.76 6enVUVL30 437/504


友提督「詳しくは知らないけど、艦娘に成り代わって深海棲艦を撃滅しようとしている過激組織らしい。かなりの軍事力と科学力を持ってるみたいだ」

提督「何だその絵物語みてぇな奴ら」

元帥「何とも勇ましいものじゃ」

友提督「軍人嫌いだった父は彼らの思想に多少なりとも賛同していたみたいで、政府の金を活動資金として提供していたんです」

元帥「・・・・・・」

友提督「しかし彼らは日本どころか世界すらも自分の傘下に置こうとした。そのためのカードとして開発したものがヤバすぎるやつだったんです」

友提督「それを知った父は怖くなったのか資金提供を打ち切り、その結果あんな目にあったようです」

提督「つまり・・・・・・詳しくは不明だけどそいつらは今現在、世界を相手にできるほどの何かを持ってるってわけか?」

友提督「あぁ」

元帥「それにしてもよくぞそこまで調べあげたものじゃ。一歩間違えば死んでいたかもしれんぞ?」

友提督「はい。我ながら奇跡だと思いますよ」

元帥「話してくれてありがとう」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

提督「・・・・・・」スタスタ

提督「過激派か・・・・・・俺もある意味奴らと同じだ」

提督「自分が気に入らない相手を力でねじ伏せようとする。獣みてぇだな」

170 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:18:19.81 6enVUVL30 438/504


ガッ

提督「っ!?」

一瞬の出来事だった。提督は突如現れた黒服達に捕まり、口元にハンカチを押し付けられた

提督「何・・・・・・を・・・・・・(まずい、麻酔作用のある薬か・・・・・・!?)」クラッ

「よし、今だ運べ!!」

提督「」ガクッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

榛名「!」ピクッ

金剛「? 榛名、どうしたデース?」

タッタッタッタッタッタッ・・・・・・

明石「あ、金剛さん、榛名さん!」

金剛「明石に夕張、どうしたデース?」

夕張「い、一緒に来てください!!」

171 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:18:57.25 6enVUVL30 439/504


タッタッタッタッタッタッ・・・・・・

島風「おう!? 何やってるの?」

明石「だ、大至急提督にお伝えしなければ!! 大淀を呼んできて!」

島風「ま、任せて!」ヒュンッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

バタンッッッ

明石「た、たたた大変です!!」

夕張「い、一大事です!!」

元帥「! どうした、二人ともそんなに慌てて」

明石「か、櫂が・・・・・・誘拐されました!!」

艦娘「っ!?」

元帥「何じゃと!?」ガタッ

夕張「櫂の持ち物には発信機が仕込んであるんですが、それの変化からして車で連れ去られたようです!!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「う・・・・・・ここは?」

提督(何処かの倉庫か? にしては狭いな)

ヤマ「櫂ちゃん・・・・・・」

提督「! ヤマ!? 何でここに!?」ダッ

声のする方を見ると、すぐ側でヤマが柱に縛りつけられていた。提督は思わず駆け寄って抱きしめる

ヤマ「いきなり知らない人達に気絶させられて・・・・・・それで・・・・・・」ポロポロ

提督「っ!? 何かされたのか!?」

172 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:20:40.43 6enVUVL30 440/504


『目は覚めたかい? 海原 櫂君』

突如部屋の照明が点き、声が響き渡る

提督「!」

『ようこそ、我らがアジトに。先ずは謝罪させてほしい、手荒な真似をしてすまなかったよ。何せあの元帥のご子息だ、生半可な方法じゃあ返り討ちにあうと思ってね』

提督「(変声機を使って喋ってるな)俺の事はどうでもいい。この娘は関係ねぇだろ、さっさと解放しろ」

『いや、彼女は必要だ。君に妙な真似をされては困る』

提督「どういう意味だ?」

『単刀直入にいう。我々はとあるウイルスを開発した。深海棲艦をも殺せる強力なやつをな。だが軍や政府はこのウイルスを使う事を禁じた』

提督「当たり前だ、そんなモン海にばらまかれたら深海棲艦どころか他の海洋生物にも影響が出るに決まってる」

『そうではない。彼らは恐れているのさ、戦争の終結を』

提督「は?」

『考えてもみたまえ、今日本は艦娘によって世界で最も対等に深海棲艦と渡り合っている。それがなくなればどうなる? また日本は弱い国に逆戻りだ』

提督「人間同士の戦争はずっと昔に終わってる。弱くても小さくても平和でいればいいじゃねぇか。そうなるために父さん達は奮闘しているんだ」

『甘いな。この話は平行線だ、今はよそう。さて、そのウイルスを我々は国への、延いては世界への貢献に使いたい』

173 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:21:23.25 6enVUVL30 441/504


『しかし、もはやその思いはない。我々に賛同できん奴らには消えてもらう。そうすれば世界は我々のもの。深海棲艦を殲滅し、我らの崇高なる志で統一された世界となろう』

提督(イカれてやがる。言ってる事がめちゃくちゃだ)ゾワッ

最もらしい事を言っているが、全然要領を得ない支離滅裂な主張。だがそれでも、そのようなウイルスがあるなら彼らはかなり危険だ

提督「!?」

急に目の前の画面が点き、そこにはカウントダウンが表示されていた

『このカウントダウンの終了とともにウイルスを世界にばら撒く。世界の人々が気づく間もなく、ウイルスは深海棲艦はもとより全人類を蝕むだろう』

提督「何だと!?」ゾワッ

『但し我々も鬼ではない。だから君には選択の余地を与えよう。マシンの動力を切る電源がある。それを机の上のピストルで撃ち抜けばこのマシンは止まる』

提督「!(ピストルってこれか)」スッ

提督「電源は何処だ?」キョロキョロ

ヤマ「・・・・・・」ガタガタ

提督「これか? これか!?」ガサガサ

ヤマ「櫂ちゃん・・・・・・」

提督「ここにはない・・・・・・ならこっちか?」スタスタ

ヤマ「櫂ちゃん!!」ガシッ

提督「!? 何だヤマ」

唐突に提督の手を掴んだヤマは震えながら

174 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:22:02.23 6enVUVL30 442/504








その手を自分の額に当てた・・・・・・






175 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:22:53.08 6enVUVL30 443/504


提督「!? ・・・・・・まさか」

ヤマ「ごめんなさい、ごめんなさい・・・・・・」ポロポロ

『見つかったようだね』

提督「てめぇ・・・・・・!!」ギロッ

『マイクロチップ型の電源をその娘の頭に埋め込ませてもらったよ。言わなくても分かるだろうが、敢えて言わせてもらおう』

『彼女の頭を撃ち抜けば世界は救われる』

提督「!?」

『愛する女か、全人類か、どちらか選びたまえ』

提督「そんな事・・・・・・できるわけねぇよ・・・・・・」ポロポロ

『さぁ、選べ! どちらかを切り捨てれば片方が助かる!』

提督「い、嫌だ!! 俺にはできねぇ!」

『ならばどちらも失うだけだ。嫌だ嫌だと言ってどうにかなる程世の中は甘くないぞ』

提督「黙れ!!」ギロッ

ヤマ「待ってください!」

提督「!?」

ヤマ「彼と・・・・・・話をさせてください」

提督「ヤマ! 何言ってんだよ!!」

『いいだろう。時間も余裕がある、二分ほどやるから話をつける事だ』

ヤマ「櫂ちゃん・・・・・・」

176 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:23:38.88 6enVUVL30 444/504


提督「安心しろ、すぐに何とかするからな」

ヤマ「・・・・・・」ダキッ

提督「!?」

ヤマ「これ以上苦しまないで。私を殺して」

提督「馬鹿な事言うな!! そんな事できるわけねぇだろ!」ポロポロ

ヤマ「いつもならもっと冷静なのに。櫂ちゃんが子供っぽいところって何か新鮮だなぁ」ニコニコ

提督「うるせぇ・・・・・・」ポロポロ

ヤマ「櫂ちゃんはいつも私の傍にいてくれた。一緒に遊んで、勉強して」

ヤマ「一緒に笑って、一緒に泣いて」ジワァ

ヤマ「恋人になってからはもっと仲良くなれた」ツーッ

ヤマ「何十回もデートして、何十回も愛し合って、本当に幸せだった」ポロポロ

提督「・・・・・・」ポロポロ

ヤマ「私は心の底から櫂ちゃんの事愛してるよ」ニコッ

提督「俺もさ」グシグシ

ヤマ「・・・・・・お願い」

提督「・・・・・・」グイッ

ヤマ「!」

チュッ・・・・・・

これが最後だ。提督は愛しい彼女にキスをする。応えるようにヤマも両腕を提督の首に回し、強く抱きしめる。この行為を惜しむように互いに強く抱きしめ合い舌を絡ませた後、提督はヤマの眉間にピストルを向ける

提督「ヤマ、お前を愛してる」カチャ

ヤマ「櫂ちゃん、愛してるよ」

177 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:24:26.75 6enVUVL30 445/504








ドォォォォォンッッッ






178 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:25:05.83 6enVUVL30 446/504


提督「・・・・・・」ポロポロ

ヤマ「・・・・・・」ユラッ

ドシャッ・・・・・・

眉間を撃ち抜かれたヤマはゆっくりと倒れた。だがその顔には死への恐怖や絶望など微塵もなかった。この上なく安らかな、幸せそうな死に顔である

『どうやら全人類は救われたようだ』

提督「・・・・・・」ギロッ

『櫂君、君に一つ謝罪しなければならない』

提督「謝罪だと・・・・・・? 今更何を謝ろうってんだ」

『彼女の眉間に埋め込んだのは、何の変哲もないタダの小さな金属片だ。マシンの動力を切る電源なんかじゃないのさ』

提督「っ!?」

『まったく、SF映画の見過ぎだよ。そんな事実際にあるわけないじゃないか。それにこんな簡単に切り札を切るわけがないだろう?』

提督「何・・・・・・だと・・・・・・?」ドサッ

思いがけない告白に提督は脱力して膝をつく

『今回、我々の本当の目的は海軍元帥に絶望を与える事。その為にご子息である君を壊したのさ』

提督「あ、あ、あぁあ・・・・・・」ガタガタ

『もちろん君を殺すのが手っ取り早いが、それではつまらん。だから君の精神を壊す事で元帥に我々の力を思い知らせる。作戦は成功だろう』

『ではさらばだ』

ブツッ

提督「や、ヤマ・・・・・・」ダキッ

呆然とした提督はヤマを抱き寄せる。そして彼らの目論見通り、その精神は崩壊した

提督「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!」

自分の所為だ。自分が弱いから彼女を殺してしまったのだ。
何よりも愛する女を自らの手で殺し、それが無駄死にだったという事実が提督を激しく責め立てる

提督「許してくれ・・・・・・許してくれヤマ」ポロポロ

179 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:25:55.65 6enVUVL30 447/504


「撃ちます、Fire!!」

「はぁぁぁっ!!」

ボガァァァァァァァァァンッッッ

ズドドドドドドドドンッッッ

金剛「カイ!!」タッタッタッ

長門「大丈夫か!!」タッタッタッ

榛名「怪我はありませんか!?」タッタッタッ

加賀「っ!? これは!?」

夕立「ど、どういう・・・・・・事?」

球磨「な、何で・・・・・・ヤマちゃんが?」

高雄「そんな・・・・・・」

入ってきた艦娘達は目の前の光景に皆言葉を失った

提督「許してくれヤマ・・・・・・俺が殺したんだ・・・・・・俺が悪いんだ!!」ガクガク

赤城「櫂、どういう事ですか、落ち着いてください」オロオロ

提督「お前だ・・・・・・お前が悪いんだ、お前がヤマを殺したんだ!!」ジャキン

徐ろに提督は近くに落ちていたピストルを拾い、自分の腹に押し付ける

提督「待ってろよヤマ、俺も苦しみ抜いた後にそっちに行くからな」ニコッ

艦娘「っ!?」ギョッ

榛名「何をしているんですか、やめなさい!!」ダッ

高雄「櫂!!」ダッ

球磨「落ち着くクマ!!」ダッ

ドォォォォォンッッッ

提督「うっ・・・・・・まだだ・・・・・・もっと、もっとだ」ゴフッ

提督「もっと苦しめ!! もっと辛い思いをしろ!!」

ドォォォォォン、ドォォォォォン、ドォォォォォン、ドォォォォォン・・・・・・

弾切れするまで自分の腹を撃った後、その傷口に銃口を押し付ける。傷口が開いて大量の赤黒い血が噴き出す

提督「はは、はははははは!! もっと苦しめ、お前はそれ以上の事をしたんだろ櫂!?」ゴパッ

180 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:26:48.81 6enVUVL30 448/504


榛名「やめなさい!!」ダキッ

提督「離せ、離せぇぇ! 俺は俺を許さねぇ、ぶっ殺す、嬲り殺してやるんだぁぁぁ!!」ガタガタ

榛名「っ!? ごめんなさい!」グッ

提督「っ!?」ガクンッ

後ろから抱きしめる榛名がチョークで絞め落とす

高雄「早く止血を!!」

加賀「ヤマちゃんは・・・・・・」

長門「・・・・・・」フルフル

赤城「そんな・・・・・・」

榛名「榛名が櫂を運びます。誰かヤマちゃんを」

高雄「分かりました」

金剛「私もついて行きマス」

愛宕「私も」

長門「残りの者は部屋の中を調べろ!! どんな物でもいい、ここで起きた事を録音してある機械などを探すんだ!!」

艦娘「はっ!!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌朝

ミラ「それで、櫂の様子はどうだい?」

元帥「失血が酷くてな。儂の血を輸血して今は昏睡しております」

加賀「特に異常は無いようですが、それでも」

「だいたい、何があったってんだ?」

元帥「儂にも分からん。何故櫂がヤマちゃんを殺したのか」

「櫂の事じゃ、何か事情があったにちげぇねぇ」

元帥「本当に申し訳ありませんでした、櫂に代わって深く謝罪します」ペコッ

ミラ「やめとくれ。私達はまだ何も分からない」

181 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:27:42.28 6enVUVL30 449/504


コンコン、ガチャ

明石「失礼します」

夕張「失礼します」

大淀「失礼します」

元帥「明石か」

明石「昨日長門さん達が持ち帰った機械から当時の会話を復元する事に成功しました」

夕張「結論から言わせていただくと、櫂に罪はありません」

ミラ「そうかい、よかったよ」ホッ

「あぁ。やっぱりな」

元帥「・・・・・・」

明石「その、内容ですが」

「聞かせてくれ」

ミラ「お願い」

元帥「頼む」

明石「・・・・・・分かりました」カチッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

カチッ

明石「・・・・・・以上で全てです」

元帥「・・・・・・」

ミラ「何て事だ・・・・・・」ポロポロ

「一番辛いのはあいつじゃねぇかよ」

夕張「この機械から彼らの居場所も割り出せました。ですが、その・・・・・・」

元帥「?」

大淀「榛名さんがその居場所を確かめるや否や単騎出撃しまして」

元帥「・・・・・・」

夕張「後を追って金剛型、長門型、扶桑型、伊勢型の全艦が出撃。大本営における全戦艦が彼らの本拠地の島に」

元帥「・・・・・・そうか」

明石「申し訳ありませんでした、引き止めはしたのですが」

元帥「構わん」

加賀「大丈夫でしょうか」

元帥「責任は儂がとる」

「? どういう事だ?」

加賀「簡単に言いますと」

182 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:28:17.21 6enVUVL30 450/504








加賀「今から島が一つ消滅します」






183 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:29:01.87 6enVUVL30 451/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

金剛「あそこデスカ」

扶桑「大丈夫かしら、あの島が消えてしまっても」

日向「恐らく奴ら以外の人はいない。だからこそ本拠地にしたのだろう」

伊勢「好都合だね」

山城「島ごと消されるなんて、不幸だわ」

比叡「今回は不幸の対象が違いますよね」

山城「当然よ。櫂にあんな事をしたんですもの」

長門「恐らく私達の仕事は例のウイルスの処分だ」

陸奥「そうなるわよね」

霧島「それと島からの脱出手段を潰す必要もあるわね」

扶桑「それよりも問題は」

金剛「榛名デース。あれは相当ブチ切れてるヨー」

比叡「と言うか私達置いていかれてますよ、お姉様」

金剛「Don't worry! 場所は分かってマース!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

184 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:31:26.73 6enVUVL30 452/504


ドカァァァァァァァァンッッッ

「な、何事だ!?」

「ぼ、ボス! 艦娘です、艦娘が乗り込んできました!!」

ボス「何!? 何体だ?」

「た、たった一体です!!」

「馬鹿な!?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「くそぉっ!!」ジャキン

ドォォォォォン、ドォォォォォン

榛名「・・・・・・」

コロ、コロ・・・・・・

「あ、当たったのに傷一つない!?」

「くたばれ!」ブンッ

キィィィィィン・・・・・・

榛名「・・・・・・」

カラァァァァァァン・・・・・・

「刀が折れた!?」

榛名「・・・・・・」チラッ

「こんの、舐めやがって」つ鉄パイプ

榛名「・・・・・・」ガシッ

「ひっ!?」

榛名「・・・・・・」グッ

バキィィィィィン

ガラァァァァァン・・・・・・・

「て、鉄パイプまで握り潰しやがった」

185 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:32:10.72 6enVUVL30 453/504


ボス「そこまでだ、艦娘」

榛名「!?」バッ

ボス「たった一体でここまで乗り込んでくるとは大したものだ」

榛名「櫂を追い詰めたのはあなたですか?」

ボス「その通り。彼はどうかね?」

榛名「ここに例のウイルスがあるんですね?」

ボス「あぁ。地下倉庫に大量に眠っている。ちょうど全世界に散開させる目前だったのだよ」

榛名「ここに組織の構成員全員がいるという事で間違いありませんか?」

ボス「如何にも。全戦力がこの島にいるのさ。さぁ、問答は終わりだ」

榛名「!・・・・・・分かりました。はい、榛名は大丈夫です」

ボス「あん?」

榛名「今あなた達のいう地下倉庫からウイルスを運び出したとお姉様達から連絡が来ました」

「ば、馬鹿な!?」

ボス「あれは一つ10トンは下らない超大型カプセルに入れてある! それが10個だぞ!! こんな短時間に運び出せるわけがない!!」

榛名「榛名達は戦艦です。その程度の重量、運搬するのに苦労はしませんよ」

ボス「くっ」

榛名「あれはこちらで処分させていただきます」ヒュンッ

ボス「っ!? (消えた!?)」

榛名「榛名の仕事はあなた達の存在を抹消する事」スタスタ

ボス「い、いつの間に後ろに!?」

榛名「あなた達は櫂を、榛名達の弟を傷つけた」

ボス「ま、待て! そもそも我々を認めなかった政府や軍が悪いんだ、あれほどのウイルスならこの戦いに決着がつけられる」

榛名「それは榛名達がつけます。あなた達が作ったのはただの失敗作です」

榛名「櫂を、弟を傷つけたあなた達を榛名は絶対に許しません!!」スッ

ゆっくりと拳を上に上げる榛名。そして

榛名「その報いを受けなさい!!」ブンッ

地面に力いっぱい叩きつけた

186 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:32:53.28 6enVUVL30 454/504








ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ






187 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:33:39.75 6enVUVL30 455/504


ボス「っ!?」

グラグラグラ・・・・・・

「な、何だ!?」

ビキビキビキ・・・・・・

バキ、バキバキバキ・・・・・・

榛名「・・・・・・罪なき命をあんなふざけた理由で奪ったあなた達は万死に値します」

ボス「実際奪ったのはあのガキだ、俺達は何もやっていない!!」

榛名「そうさせたのはあなた達でしょう?」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

金剛「! 榛名」

榛名「ごめんなさいお姉様、皆さんも」

長門「いや、私達も来たばかりだ」

榛名「とりあえず、確かめてからでもいいでしょうか?」

長門「構わん。私達も久しぶりだ」

榛名「ありがとうございます」クル

戦艦達は全員で先程までいた島を眺める

金剛「そろそろネー」

大本営の最高戦力の一人である榛名は、その全てが規格外である。その拳を地面に叩きつけるだけで、その衝撃はその地面の下の奥深くまで伝わる。地下のマグマ溜りを刺激する事で強制的に火山活動を引き起こすのだ。結果、たった一発のパンチで火山噴火を引き起こして島一つを消滅させる事になるのだ。それ故に榛名は『黙示録(アポカリプス)』という二つ名をつけられており、その攻撃は『世界の終わり(ワールドエンド)』と呼ばれている

比叡「あ!」

188 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:34:19.77 6enVUVL30 456/504








ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッッッ






189 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:35:01.34 6enVUVL30 457/504


榛名「!」

長門「相変わらず・・・・・・言葉が出ないな」

陸奥「黙示録の二つ名は伊達じゃないわね」

金剛「で、このvirusどうするノー?」

長門「最も深い海溝に沈める。さぁ移動するぞ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

榛名「失礼します。榛名ならびに全戦艦帰投いたしました」

元帥「うむ」

長門「ウイルスは我々の独断で、世界で最も深い海溝に沈めました」

元帥「そうか。超深海の水圧と低温ならウイルスを完全破壊できるやもしれん。よくやった」

ガチャ

「た、大変よ司令官!」アセアセ

「櫂が目を覚ましたんだ」

元帥「!」

榛名「本当ですか!?」

「でも、櫂ちゃん錯乱しだして・・・・・・」オロオロ

「急に櫂ちゃんが部屋を飛び出しちゃったのです!!」アワアワ

元帥「!? いかん、早く探すんじゃ!」

艦娘「は、はい!!」ダッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

シャワー室

ザァァァァァァァ・・・・・・

提督「・・・・・・」ガシガシガシ

提督「取れろ、取れろ取れろ取れろ!!」ガシガシガシ

190 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:35:44.33 6enVUVL30 458/504


バンッ

榛名「っ!? 櫂!!」ダッ

提督「は、るな、ねえ・・・・・・」

榛名「!?」ギョッ

ゆっくりと振り返る提督を見て榛名は凍りついた。彼はタワシを片手に一心不乱に自分の腕を擦っていたのだ。全身から血が噴き出し、特に両腕はズタズタになっている

提督「取れねぇんだ・・・・・・どれだけ洗っても、擦っても・・・・・・。あの娘の血が、ヤマの血が取れねぇよ・・・・・・」ポロポロ

榛名「櫂・・・・・・」ダキッ

提督「あ、あぁあ、あぁぁぁぁぁぁ」ポロポロ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」

妖精「泣き疲れて寝ちゃった?」ヌリヌリ

榛名「はい」

妖精「精神が壊れて幻覚でも見たのかな? 何にせよ辛いだろうね」

榛名「代われるものなら榛名が代わりたいです」ナデナデ

妖精「腕がこんなになるまでタワシで擦るなんて・・・・・・」

妖精(ん!? 傷の治癒が早い!? 何で!?)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

191 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:36:57.66 6enVUVL30 459/504


その後、提督は発狂する事こそ無かったものの一言も言葉を発さなくなった。部屋でただ何をするでもなくボンヤリと座るだけの状態が何ヶ月も続いた。艦娘の皆は暇を見つけては足繁く提督の部屋に通った。話しかけたり、ご飯を食べたりとできるだけ彼と接するようにした。
団長や副長も気分転換にと色々な所に提督を連れ出した。それでも彼は一言も喋らなかった

元帥「回復の兆しは見せんか・・・・・・」

加賀「どうしたものでしょうか?」

ガチャ

夕張「失礼します。櫂が部屋を抜け出しました」

元帥「場所は?」

夕張「今の所不明です」

元帥「青葉達に尾行させるように。恐らくは・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ミラ「!? 櫂!」

「よく来てくれたな!」

提督「・・・・・・」

ミラ「? どうしたんだい?」

提督「・・・・・・」スッ

ミラ「!?」

「!?」

提督「申し訳・・・・・・ありませんでした」土下座

ミラ「やめとくれ、私達はアンタを責めたりなんかしないよ」

「話は全部聞いてる、辛い思いをさせてしまったな」

ミラ「さ、上がっておくれ」

提督「・・・・・・はい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

192 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:37:36.09 6enVUVL30 460/504


ソラ「櫂君、大丈夫?」

リク「心配してたんだよ?」

提督「ごめんなさい」

ミラ「(すっかり他人行儀だ。相当意識してるんだね)櫂、ちょっと来てくれるかい?」

提督「はい」スッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ミラ「この倉庫には先祖代々の資料があると言われている」

提督「・・・・・・」

ミラ「私達の一族の呪い・・・・・・知ってるかい?」

提督「いいえ」フルフル

ミラ「それはね・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」

ミラ「ただ、ヤマとアンタは逆だ。何故かというとね」

徐ろにミラは一つの巻物を提督に渡した

ミラ「ヤマはアンタを死なせないようにしたんだ」

提督「え?」

ーーーーーー
ーーーー
ーー

193 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:38:27.17 6enVUVL30 461/504


ガサガサ、ゴソゴソ

ヤマ「! あった! この儀式なら櫂ちゃんを守れる」パァァ


ーー
ーーー

ヤマ「これでよし。後は巻物に書かれた呪文を詠唱すれば」

ヤマ「ーーーーーーーーーーーー」

キィィィィィン・・・・・・

バタンッッッ

ミラ「ヤマ、何をやって・・・・・・!?」ギョッ

ヤマ「やった、やったよおばあちゃん! これで櫂ちゃんが死なずにすむn・・・・・・」

パァァァァァァァン・・・・・・

ヤマ「・・・・・・え?」ヒリヒリ

ミラ「何て事を・・・・・・何て馬鹿な事を・・・・・・!!」ブルブル

ヤマ「何・・・・・・で・・・・・・?」

ミラ「その巻物に書いた方法なら確かに櫂を呪いによる死からは助けられる」

ミラ「でも世の中そんなに都合よくいかないんだよ!!」

ヤマ「え?」ジワァ

ミラ「その巻物に書かれた儀式は、言ってみたら"立場逆転"。つまり」

194 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:39:09.12 6enVUVL30 462/504








ミラ「アンタが受けるはずの苦しみを櫂が味わうようになるんだよ!!」






195 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:39:55.12 6enVUVL30 463/504


ヤマ「そ・・・・・・そんな・・・・・・嘘・・・・・・」ツーッ

ミラ「愛する人を失う事がどれほど苦しく辛い事か、下手したら死ぬより辛いんだ。よく分かってるだろう!?」

ヤマ「わ、私は、ただ・・・・・・」ポロポロ

ヤマ「櫂ちゃんに生きてほしかっただけなのに・・・・・・!」ポロポロ

ミラ「本当にもう、アンタは」ダキッ

ヤマ「うわぁぁぁぁぁぁん!!」ポロポロ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」

ミラ「ヤマは確かに浅はかな行動をしたかもしれない。でもね、アンタを思っての事だってのは理解してほしい」

ミラ「辛いかもしれないけど、乗り越えてほしい。今まで通り、皆と明るく接しておくれ。ヤマだってアンタの元気な姿が見たいんだ」

提督「・・・・・・はい」ポロポロ

ミラ「例え他所の女の子と結婚したとしても、アンタは私達の家族、孫なんだ。忘れないでね」

提督「・・・・・・ありがとうございます」ポロポロ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

196 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:40:58.27 6enVUVL30 464/504


ガチャ

提督「ただいま」

元帥「! 櫂、もう大丈夫なのか?」

提督「"親父"、俺海軍に入る」

元帥「・・・・・・何故か、理由を教えてくれんか?」

提督「ヤマの意志を継ぐためだ。あいつは海軍に入りたがっていた。その夢を俺が叶える」

元帥「・・・・・・分かった」

元帥「しかし、軍はお前が思うほど楽な所ではないぞ。お前が軍人となった以上は儂もケンも、身内といって甘やかしはしない。それでもよいな?」

提督「何を今更。必要以上に甘やかされるつもりはない」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌年

提督「・・・・・・ここか」

提督(軍学校への入学出願会場。来年、皆は高校生だが、俺は士官候補生だ。気を引き締めねぇとな)

友提督「真剣なツラしてんなぁおい!」バシィン

提督「! マナブ!?」

友提督「何だよ、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔して」

提督「え、お、お前進路決めてたんじゃ」

友提督「お前を一人になんかできるかっての。二人で天辺目指そうぜ!!」

提督「・・・・・・本音は?」

友提督「めちゃくちゃ美人な艦娘とイチャラブしたい」

提督「帰れ」ゲシッ

友提督「痛てぇ!?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

197 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:41:42.64 6enVUVL30 465/504


友提督「なぁ櫂」

提督「ん?」

友提督「いくら何でもおかしくねぇか? 俺達もそうだけど出願した人全員通すなんて」

提督「それだけ人員不足なんだろ。なんせ死人が出る所に務めるんだ、慢性的に人手が足りてなくても不自然じゃねぇよ」

提督(それに、どうせ軍学校の篩にかけられるだろう。油断できねぇな)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ガチャ

元帥「おぉ、帰ったか」

提督「ただいま」

団長「そうだ櫂、お前の意見を聞きたいんだが」

提督「?」

元帥「儂とケンで考案したんじゃが、どうかの?」

提督「? 艦娘のトレーニングプログラム?」ペラッ

元帥「何せ、資源も少なく演習も今までのようにはできんからのう。基礎的な体力をつければ練度も上がるかと思ったんじゃが」

提督「よくもまぁこれだけのデータを集めたもんだ」

団長「どうだ?」

提督「特に問題ねぇと思う。ただ・・・・・・」

元帥「?」

提督「これとは別に皆に一般教養もつけてやりたいなって思うんだ」

提督「解体された後でも社会で何不自由なく生活できるようにするのも、提督の仕事じゃないかな?」

元帥「確かにのう。考えてみよう」

提督「無理なら俺が勝手に組み込むだけだし」

団長「そうだ、今日申請してきたんだったな?」

提督「あぁ」

団長「学校とはいえ軍だ。もしお前に何かあっても容赦はしないぞ?」

提督「当然だ。それ以前に俺はそんな奴にならねぇよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

198 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:42:17.36 6enVUVL30 466/504


提督(月日は流れ、俺とマナブは軍学校に入学した。朝から晩まで規律と集団行動、訓練と忙しない日々が続く。入った瞬間に車の免許を強制的に取らされたのは面食らったけど。その勢いで二輪の免許も取ったのはご愛嬌)

提督(当然の事ながら俺は元帥の息子である事を周りに隠している。教官達にも口止めを頼み、この事実を知るのは俺とマナブ、教官達だけ・・・・・・のはずだ)

教官「今日の訓練は拳銃による射撃訓練だ!」

提督「っ!?」

友提督「! 大丈夫か? もし辛いなら休んでも」

提督「いや、大丈夫だ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

199 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:43:31.51 6enVUVL30 467/504


教官「全員整列したな? ではこれより訓練を開始する!!」

パァァァン、パァァァン

提督「・・・・・・」

「違うって、もっとよく狙え」

友提督「うわ、またあいつ偉そうに」ヒソッ

同期の中の一人が提督は少し苦手だった。彼は自分と同じく海兵の父を持ち、その血筋なのか成績もいい。それだけならいいのだが、それを鼻に掛ける嫌味な性格であった

「何で分からないかなぁ? もっとイメージして撃つんだよ」

「具体的に教えてくれよ」

「例えばだな、あの的を人だと思うんだよ」ヘラヘラ

「人?」

「そうそう、頭を撃ち抜くイメージだ、自然と命中するようになるぜ」

提督「・・・・・・」

友提督「次お前だぜ」

提督「あぁ・・・・・・」スタスタ

拳銃を握ると同時にあの時の記憶が鮮明に甦る。あの時、愛する人を撃ち抜いたあの感じが。自然と鼓動が早くなる

提督「・・・・・・」ドクンドクンドクン

「おいおい、俺の説明聞いてなかったか?」

・・・・・・やめろ

「簡単だ、人の頭をイメージすればいいんだよ」

やめろ、やめろ!

「頭を撃ち抜くイメージだ、簡単だろ?」

提督「っ!!」ジャキン

「「「「っ!?」」」」

教官「っ!? 海原、何をやっている!!」

友提督「か、櫂!!」

「ひっ!?」ギョッ

提督「・・・・・・あるのか?」

「あ?」ガタガタ

提督「お前・・・・・・本当に人を撃ち殺した事あるのか? 人の頭を撃ち抜いた事あるのか?」

「も、ものの例えじゃねぇかよ、何本気に」

提督「人を撃ち殺した事も無いくせに分かりきった口をきくな」

「な、何様のつもりだよお前!」

友提督「まぁまぁまぁ、一旦ここは落ち着こう、な?」アセアセ

提督「・・・・・・」スッ

200 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:44:22.16 6enVUVL30 468/504


友提督「きっと例えが悪かったんだよ、的をスイカとかカボチャに例えればよかったんだ、ほらサイズも近いし」

提督「・・・・・・」クルッ

スタスタスタ・・・・・・

友提督「お、おい何処行くんだよ!?」

教官「! ま、待て海原、おい!」タッタッタッ

友提督(櫂の奴、やっぱりあれが堪えるよな。にしても、今までのあいつと雰囲気が違うな。前のブチ切れたあいつは烈火みたいだったのに、今はまるで深海みたいだ。静かだけどめちゃくちゃ不気味で引きずり込まれそうな雰囲気だ)

友提督「やっぱり着いてきて正解だったな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

数日後

提督「・・・・・・」カリカリ

コンコン

教官「失礼する、海原」

提督「はっ!」ビシッ

教官「貴様の過去は聞いた。だがあの件は、流石にこちらとしても見逃すわけにはいかない。すまないが貴様は今後射撃訓練には参加できない」

提督「了解です」

教官「それともう一つ」スッ

提督「? これは?」

教官「貴様のお父君からの電報だ」

提督「・・・・・・」ウケトリ

提督「・・・・・・」ピラッ

提督「・・・・・・!」

教官「では失礼する。明日以降も訓練に励め」

提督「はっ!!」ビシッ

201 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:45:03.68 6enVUVL30 469/504


提督(皆が近々最終決戦・・・・・・深海棲艦との全面戦争を始める、か)

提督「こっちも返信の手紙を書くか。電報の書き方は・・・・・・」ガサガサ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

二週間後

教官「全員揃っているな」

教官「先ずは朗報だ! 海軍はつい先日、人類の悲願を成就した!!」

ザワザワ・・・・・・

教官「深海棲艦の本拠地に総力戦を行い、見事勝利。我ら人類は深海棲艦との戦争に勝ったのだ!!」

ウォォォォォォ!!

教官「だが、まだ奴らの残党は残っている。そいつらを全て根絶するためにも、貴様らには一層の努力を期待する!!」

「「「「「「「はっ!!」」」」」」」

提督(良かった、皆が勝ったんだ!! あぁ、今すぐ無事を確かめたいなぁ)ホッ

人類の勝利という言葉に皆が沸き立つ中、提督は戦場に赴いた姉達の身を案じていた。海軍最強の艦娘達ではあったが、それでも不安はある。
勝利の代償として誰かが轟沈していないだろうか。姉達に限ってそんな事はないと信じているが、"勝利"の二文字だけではこちら側の被害状況など、詳しい内容は分からない

友提督「お姉さん達の心配か?」

提督「あぁ。確かめてくる」ソロッ

友提督「あいよ」

教官「なお、この勝利の立役者たる大本営の艦娘達、"一人の犠牲も出さずに勝利した"その訓練方法の実用性なども此度の闘いから注目され始めている。よって我が軍学校でも正式に採用し・・・・・・」

友提督(! タイミング悪っ!!)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

202 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:45:47.19 6enVUVL30 470/504


そして年月は流れ

提督(ついに俺達も明日で軍学校卒業か)

友提督「ったく、お前小学校と変わらねぇじゃねぇか」

提督「何の事だ」

友提督「俺以外とは口もきかない、そのクセ座学や訓練は優秀で。ガリ勉野郎か!!」

提督「一つだけ良くないやつあったじゃんか」

友提督「あれは仕方ねぇ。それ抜きにしてもだ!」

提督「で? お前決めたのか? 初期艦誰にするか」

友提督「もちろん。二年前から決めてあるさ」

友提督「お前は? 多分新制度の対象だから選り取りみどりだろ?」

提督「・・・・・・どうだろうな?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

教官「今日をもって貴様らはこの軍学校を卒業する! 三年前、役立たずのタダ飯喰らい共だった貴様らは立派に一新兵となった。以後、それぞれの軍でさらなる精進を期待する!!」

教官「なお、海軍所属の者はこの後必要書類を書いてもらうため、成績順に我々の元に来るように!」

提督「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「一番目か」

コンコン

教官「入れ」

ガチャ

提督「失礼します。海原です」

教官「あぁ来たか海原。かけたまえ」

提督「失礼します」スッ

教官「さて、まずはおめでとう。見事首席合格した事、お父君もさぞお喜びだろう」

203 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:46:35.14 6enVUVL30 471/504


教官「皆を呼ぶ理由は他でもない、以後貴様らがそれぞれ鎮守府に着任するにあたり、手続き書類を書くと共に一つ決めてもらいたいものがある」

提督「初期艦ですよね」

教官「その通りだ。知っての通り、三年前の大戦後、それまで第一線で戦ってきた古参提督達の多くが退役された」

教官「彼らの鎮守府にいた初期レベルおよび比較的練度の低い駆逐艦を次の世代の初期艦にしようとする新制度だが、流石に全員が選べるわけではない」

教官「成績上位十名がその新制度の対象となる。首席の貴様も当然対象だ。このリストの中から選びたまえ」スッ

提督「教官、自分は結構です」

教官「何?」

提督「初期艦は従来の五人の中から選ばせていただけませんか?」

教官「構わないが、それでいいのか?」

提督「はい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・! よぉマナブ」

友提督「よっしゃぁ!! 無事選べたぜ!!」

提督「おぉ、そりゃおめでとう。つーか次席なら大して変わらねぇよ」

提督「で、誰選んだんだ?」

友提督「Z1、レーベだよ! ドイツ艦隊編成という夢への第一歩だぜ!!」

提督「お前の目当てはビスマルクだろ」

友提督「あ、バレた? そういうお前は?」

204 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:47:12.71 6enVUVL30 472/504


提督「吹雪」

友提督「・・・・・・へ?」

提督「いやだから、吹雪だって」

友提督「はぁぁ!? 首席なのに!? わざわざ従来の五人から選んだのか!?」

提督「別に誰選ぼうと俺の自由じゃん」

友提督「確かに。で、理由は?」

提督「普段ちゃらんぽらんな俺と真面目な吹雪なら、丁度いいバランスなんじゃね?って理由」

友提督「あ~、なるほど」

友提督(確かにこいつ最低限のルールを守るだけで後は一切適当だからな。真面目な子ならストッパーにもなるだろうし)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「荷物はこれでよし、と」

元帥「支度はできたかの?」

提督「あぁ」

団長「お前が立派な提督になるのを楽しみにしているぞ」

提督「ありがとう、"叔父貴"」

副長「ほれ、餞別や」スッ

提督「? これは?」

副長「俺からの着任祝い。かなりの業物や、使わんですむよう祈っとるで」

提督「兄ぃ、ありがとう」

元帥「流石に全員とまではいかんが、残っている皆に挨拶はしてくれんかの?」

提督「分かってる」

副長「いえ、他の奴らも仕事休んで来てますよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

205 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:47:55.11 6enVUVL30 473/504


島風「もう行くの?」

綾波「少し寂しくなりますね」

敷波「いつでも帰っておいでよ」

元吹雪「櫂ちゃん頑張ってね!」

元睦月「挫けたらダメだよ!」

元夕立「櫂ちゃんならできるっぽい!」

元暁「辛くなったら私達を頼ってね?」

元響「хорошо」

元雷「櫂ちゃんは強い子だから大丈夫!」

元電「ファイト! なのです!」

川内「夜更かししちゃダメだよ?」

神通「姉さんがそれを言いますか? でも、身体には気をつけてくださいね?」

那珂「櫂ちゃん、笑顔を忘れちゃダメだよ?」

元天龍「そうだ! 自信を持ってやれよ!」

元龍田「鎮守府をしっかり守るのよ~?」

元球磨「でも、あんまり一人で溜め込むんじゃないクマ」

元多磨「泣きたいときは泣いてもいいニャ」

元北上「気楽に頑張んな~」

元大井「しゃんとするのよ?」

元木曾「時間見つけて俺達にも顔見せてくれよ?」

提督「ありがとう。でも、できればちゃん付けはやめてほしいな」

艦娘「えぇ!? 何で!?」

提督「ちゃん付けはあいつだけの特権なんだ。我儘だけどお願いしてもいいかな?」

艦娘「・・・・・・分かった」

206 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:48:35.87 6enVUVL30 474/504


元愛宕「逞しくなったわね」

元高雄「頑張るのよ」

赤城「またいつかご飯食べに行きましょうね」

加賀「貴方の仲間に会うのを楽しみに待ってるわ」

長門「精進しろよ、櫂」

陸奥「人生楽しんでね?」

金剛「See you again! 笑顔が一番デース」

比叡「ファイトだよ!」

霧島「皆と仲良くね?」

榛名「榛名達は何時でも貴方の味方です。忘れないで」

提督「皆・・・・・・ありがとう」

副長「頑張りや~」

団長「達者でな」

元帥「行っておいで。儂の息子じゃ、必ずやれる」

提督「はい!!」

提督「行ってきます!!」

艦娘「行ってらっしゃ~い!」

ーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミラ「という事さ・・・・・・」

妖精「・・・・・・」

吹雪「司令官・・・・・・」

北上「・・・・・・」

文月「・・・・・・」

大鳳「・・・・・・」

利根「・・・・・・」

207 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:49:19.20 6enVUVL30 475/504


大和「ひっ・・・・・・ひっ・・・・・・」ポロポロ

ミラ「! 大和」

大和「私は最低です・・・・・・そんな提督に・・・・・・私は何て酷い事を・・・・・・」ポロポロ

ミラ「アンタの話は一昨日櫂から聞いたよ。最終決戦の時、普段の立ち振る舞い、そして"共鳴"の使用。それを聞いてピンときた」

ミラ「大和、アンタはヤマの生まれ変わりだ」

大和「!?」

ソラ「大和は櫂君の事、好き?」

大和「・・・・・・」コクッ

リク「だったら、義兄さんと一緒にいてください」

ミラ「それが櫂のためでもあり、アンタ自身のためでもあると思うよ」

大和「私だって、提督と一緒にいたいです・・・・・・でも、もう私にはそんな資格無いんです」ポロポロ

妖精「大和・・・・・・」

大和「!」クルッ

吹雪「大和さん?」

ミラ「!」チラッ

ソラ「おばあちゃん?」

リク「どうしたの?」

大和「提督が内出血を起こしてる」

ミラ「しかもかなりの量だ!」

妖精「っ!? まずい!」

間髪入れずに妖精はナースコールのボタンを押した

ーー
ーーーー
ーーーーーー

208 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:49:53.84 6enVUVL30 476/504


「皆さん、落ち着いて聞いてください」

その後提督は駆けつけた看護師達によって緊急治療室に搬送された。残った一人の医者が、病院に搬送されてからの提督の診断結果を皆に話している

「海原さんの体内から謎の猛毒物質が大量に検出されました」

艦娘「!?」

「謎の猛毒物質が海原さんの内蔵を汚染しています。胃や腸、肝臓や膵臓が侵されている事による出血かと」

大和「それは治るのですか!?」

「手術で取り除くしか方法はありませんが、不可能です」

妖精「な、何でさ!?」

「これ程複雑な物を除去するにはかなりの技量が必要となります。しかも汚染範囲が今も増加中で、時間も限られています」

吹雪「スピードと技量がないとできない・・・・・・って事ですか?」

「現在、当病院にはその条件に合う医者は在籍しておりません。いや、恐らく日本国内でも探すのは至難かと」

大和「そ、そんな・・・・・・」ドサッ

文月「司令官・・・・・・死んじゃうの?」ウルウル

「今は何とか抑え込む事ができていますが、近いうちにまた症状が悪化する危険性が高いでしょう」

妖精「・・・・・・」

209 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:50:39.84 6enVUVL30 477/504








??「そのオペ、僕に切らせてください」






210 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:51:32.00 6enVUVL30 478/504


艦娘「っ!?」

妖精「!?」

ミラ「!」

「!?」

驚いた顔で皆が声のする方を見ると、一人の青年がいた。歳は提督とあまり変わらないようにも見えるその青年は自信に満ちた目で見つめていた

??「僕なら成功します」

大和「え・・・・・・?」

「アルバイトの君が出ていい幕ではない! 出て行きたまえ!」

文月「アルバイト?」

ミラ「雇われた医者かい?」

??「患者を放っておく事はできない。僕なら彼を救えます」

「いい加減にs・・・・・・」

大和「お願いします!!」

「!?」

大和「例え万が一、いえ那由多の果ての可能性でも、助かる可能性があると仰るなら・・・・・・」スッ

涙を流しながら大和は深々と頭を下げる

大和「どうか・・・・・・提督を助けてください!!」

??「任せてください」クルッ

スタスタスタ・・・・・・

北上「本当に大丈夫なの? 失敗しないよね?」

ピタッ

??「僕は失敗しません、外科医には失敗は許されないから。一度失敗されたら患者はその時点で終わりですから」

それは青年の医者としての信念だった。まだ若いこの青年は、自らの手で退路を断ち切る事で迷いや油断を切り捨てていた

吹雪「・・・・・・」ポーッ

??「10分後に手術(オペ)を始めます」スタスタ

「私はどうなっても知らんぞ」スタスタ

妖精「・・・・・・」テテテテ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

211 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:52:16.14 6enVUVL30 479/504


妖精「待ってよ」

??「! どうかしましたか?」

妖精「これを使って」つ傷薬

??「妖精印の傷薬・・・・・・実物を見たのは初めてです」ウケトリ

妖精「毒に侵された範囲が全部摘出できたら、それを切断面に塗って。摘出された部分を再生できるから」

??「それほどの薬ならオペするまでもないのでは?」

妖精「傷薬は傷は治せても病や毒は治せないのさ。あくまで傷を塞ぐ力を引き出してるだけだしね」

??「なるほど」

妖精「本当に治せるのかい?」

??「できるできないじゃない、やらなきゃいけないんだ」

妖精「・・・・・・」

??「僕は必ず彼を救ってみせる」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

212 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:52:53.03 6enVUVL30 480/504


そしてオペが始まった。大和達はオペを行っている部屋の前で待っている。ミラはひたすら合掌してお経を読み上げ、オペの成功を祈っている。ある者は壁にもたれ掛かり、ある者は椅子に座って俯く。皆が緊張しながらその時を待っていた
そして手術中のネオンが消えたのは、実に半日以上過ぎた時、翌日の正午だった。

大和「っ!?」ガタッ

??「皆さん」

部屋から出てきたのは白衣に身を包んだ若い女性だった。歳はあの青年と同じくらいだろうか。非常に整った顔立ちの美女だった

大和「て、提督は、提督は大丈夫ですか!?」

??「結論から言いますと、手術は成功です。彼の体内の猛毒物質に汚染された箇所は全て摘出できました」

ミラ「! あぁ、良かった」ホッ

艦娘「やったぁ!!」ピョンピョン

ソラ「わーい!!」

リク「ちょ、姉さん落ち着いて」アセアセ

妖精「アンタ達も、ここ病院だよ!」

??「・・・・・・ですが」

大和「?」

??「手術には成功しましたが、彼が目を覚ますかまでは我々には判断できません。こればかりは彼自身の力に頼るしかありません」

大和「・・・・・・はい。それでも提督を助けていただき、本当にありがとうございます」ポロポロ

涙を流しながら大和は女性に頭を下げた。続いて周りの皆も頭を下げる

??「あぁそうだ」スッ

妖精「!」

??「あの人から。手術の時に助かったって言ってましたよ」

妖精「そっか」ウケトリ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

213 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:53:47.00 6enVUVL30 481/504


数日後

大和「・・・・・・」

吹雪「大和さん、本当に帰らないんですか?」

大和「はい。提督の傍にいたいんです」

北上「だからって・・・・・・」

妖精「あたしも残るよ。流石にこの娘一人にはさせない」

大鳳「お願いしますね」

文月「司令官、目覚ますかな?」ウルウル

利根「分からぬ。また明日じゃな、明日来たら起きておるかもしれぬぞ」ナデナデ

スタスタスタ・・・・・・

大和「・・・・・・」

妖精「ねぇ、あれからずっと泊まってるけど、帰らないの?」

大和「はい。提督がいないと辛いんです」

妖精「皆や元帥、団長や副長、ミラさん達も言ってたけど、せめて食事はちゃんと摂ってよ。提督が目が覚めた時、窶れた大和を見たらどう思う?」

大和「・・・・・・」コクッ

妖精「とりあえず、先ずはシャワーを浴びといで。その間に元帥が持ってきてくれた差し入れ温めとくから」

大和「その姿でですか?」

妖精「大丈夫、アンタ達の艤装メンテに比べたら楽なもんさ」テテテテ

大和「・・・・・・」スッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

214 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:54:31.65 6enVUVL30 482/504


大和「ごちそうさまでした」

妖精「榛名が作った野菜炒め、どうだった?」

大和「凄く・・・・・・美味しかったです」ジワァ

妖精「!?」

大和「提督が・・・・・・大和に作ってくれたのと、同じ味です・・・・・・」ツーッ

妖精「ほら涙拭いて」つハンカチ

大和「・・・・・・」グシグシ

妖精「ほら、もう休みなよ」

大和「はい」スッ

スタスタスタスタ・・・・・・

妖精(休みなって言ったのにベッドの側の椅子に腰掛けて。言う事なんて聞きやしない)

妖精(ま、提督の傍が大和にとって一番安心するんだろうね)テテテテ

妖精「大和」

大和「・・・・・・」

妖精「? 大和?」

大和「・・・・・・」スーッ、スーッ

妖精「・・・・・・寝てるし」

妖精「毛布だけ掛けとくか」バサッ

大和「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

215 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:55:23.00 6enVUVL30 483/504


気がつくとそこは何もない真っ白な空間だった。どっちが上下かも分からない。地面に足をつけているわけでもなく、空中に浮いているでもない不思議な感覚だ

大和「ここは・・・・・・?」

大和「っ!? 提督は!?」キョロキョロ

『落ち着いて』

大和「!! 誰ですか?」

『貴女の事はずっと見てたよ。櫂ちゃんをありがとう』

大和「!? まさか・・・・・・ヤマさん?」

ヤマ『うん。この前は私が迷惑かけちゃってごめんね?』

大和「そんな! ヤマさんは悪くないです」

ヤマ『私の負の魂が起こしたんだから、私の責任。止めてくれてありがとう』

ヤマ『それに貴女が私の生まれ変わりで本当に良かった』

大和「そんな・・・・・・大和は何もできていません。提督を傷つけてしまって」

ヤマ『私も時々喧嘩したよ。でも直ぐに櫂ちゃんが謝ってくれるから仲直りしちゃってたし』

大和「大和はヤマさんの代わりになんてなれません・・・・・・」

ヤマ『櫂ちゃんは大和ちゃんの事愛してるよ。私の後釜とか生まれ変わりだとかなんて理由じゃなくて、大和ちゃん(貴女)自身に惚れてるの』

ヤマ『大和ちゃんは、櫂ちゃんの事好き?』

大和「っ!? はい! 大好きです!」

ヤマ『それなら大丈夫! きっと櫂ちゃんは分かってくれるよ!』

大和「!」

ヤマ『だから、私からお願いしてもいいかな? 櫂ちゃんと幸せになって!』

大和「大和にはそんな資格ありません・・・・・・。知らなかったとはいえ、提督を傷つけたんです!!」ポロポロ

ヤマ『人を愛するのに資格や理由なんて必要ないよ。私は呪いの所為で長生きできなかったけど、貴女は違う。死人(私)にできない事を大和ちゃんにしてほしいの』

ヤマ『だから、お願い』

大和「大和は・・・・・・大和は・・・・・・」ポロポロ

ヤマ『大丈夫。私は何時でも大和ちゃんの事見てるから。櫂ちゃんや他の皆と幸せに過ごしているところを、これからも見せてね?』

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「ん・・・・・・」ムクッ

大和「! 夢ですか・・・・・・」

216 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:56:06.95 6enVUVL30 484/504


ミラ「起きたみたいだね」

大和「っ!? ミラさん! おはようございます」ペコッ

ミラ「いいよ。妖精さんから聞いたよ、付きっきりだったんだって?」

大和「はい」

吹雪「おはようございます」

大和「吹雪ちゃん、皆も」

北上「提督はどう?」

利根「うーむ、多少顔色が良くなっておる気がするのぅ」

大鳳「そうですか?」

文月「司令官起きるかな?」

大和「起きると・・・・・・いいですね」ナデナデ

217 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:56:44.84 6enVUVL30 485/504








提督「・・・・・・」ピクッ






218 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:57:20.85 6enVUVL30 486/504


大和「!?」

提督「ん・・・・・・」

薄らと目を開ける提督。黒い瞳は数日ぶりに光が入った事で一瞬眩んだが、直ぐに順応した。ゆっくりと酸素マスクを外し、提督は大和を見る

提督「・・・・・・大和・・・・・・」

大和「う、うぅう~・・・・・・」ジワァ

艦娘「提督(司令官)!!」

大和「っ!!」ダッ

タッタッタッ・・・・・・

吹雪「っ!? 大和さん!?」ギョッ

提督「!」

文月「司令か~ん!!」ダッ

ボフッ

提督「文月・・・・・・」

文月「うぇぇぇぇぇぇん、良かったよぉぉぉ!!」ビェェェェ

北上「本当に提督はー!!」ポロポロ

大鳳「よがっだでず・・・・・・ぼんぼび、ぼんぼびよがっだぁぁぁ」ポロポロ

利根「本当に・・・・・・世話がやけるのぅ」グスッ

提督「ごめんな、皆。迷惑かけたな」

吹雪「ちょ、皆さん落ち着いてくださいよ、司令官起きたばかりなんですから!」アセアセ

提督「吹雪もいいぜ、ほら」コイコイ

吹雪「っ!?」ジワァ

提督「我慢するなよ、泣いてもいいから」

吹雪「司令官・・・・・・」ウルウル

タッタッタッ・・・・・・

ダキッ

吹雪「うわぁぁぁぁぁぁぁん!! 司令かぁぁぁぁん!!」ギューッ ポロポロ

提督「心配させてごめんな吹雪」ナデナデ

ミラ「本当に良かったよ、アンタが無事で」グスッ

提督「ミラさんも、迷惑かけてすみませんでした」

ミラ「無事ならいいんだ」

219 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:58:04.39 6enVUVL30 487/504


妖精「提督!? 目が覚めたの!?」

提督「あぁ。お陰様で」

妖精「さっき大和が泣きながら走ってったからまさかと思ったけど」

提督「っ!? そうだ、大和を追いかけねぇと」ガバッ

そう言うが早いか提督はベッドから跳ね起き、腕の点滴を乱暴に外す

妖精「ちょ、何やってんのさ!?」ギョッ

提督「今はこうしちゃいられねぇんだ!!」ダッ

ベッドから立ち上がり、走ろうとした瞬間

提督「!?」クラッ

提督「あ、足が動かねぇ!?」ヨロヨロ

激しい目眩に襲われる。足もおぼつかない。数日間寝たきりだったのだ、当然体が鈍っている

吹雪「司令官!?」ガシッ

提督「悪ぃ吹雪」

妖精「あぁもうっ!!」ダッ

懐から傷薬を取り出した妖精は、提督に駆け寄ると点滴痕の止血をし、彼の口の中に牛乳を流し込む

妖精「上着の左胸ポケット!」

提督「っ!? ありがとう!!」ゴソゴソ

かけてあった上着から何かを取りだして、今度こそ提督は大和を追いかける

提督(分かる! あいつが何処にいるのか!)タッタッタッ

先ほどの体の鈍りを全く感じさせない足どりで提督はどんどん大和の後を追う。その行き先は・・・・・・

ーー
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ーーーーーー

220 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:58:46.96 6enVUVL30 488/504


屋上

大和「何で・・・・・・逃げてしまったんでしょうか」

大和「あの人の傍にいたいのに、傍にいると罪悪感に押しつぶされそうになる・・・・・・やっぱり提督を傷つけた私に、彼の傍にいる資格なんて・・・・・・」ポロポロ

提督「見つけたぞ、大和!!」

大和「っ!?」バッ

提督「・・・・・・」スタスタ

大和「提督・・・・・・」フイッ

提督「本当にすまなかった!!」土下座

大和「っ!?」

提督「お前を傷つけるような事をして。お前に寂しい思いをさせ、不安にするような事ばかりしていた」

大和(違う・・・・・・やめて・・・・・・)

提督「本当に俺が悪かった。この事は一生かけてでも償っていく! やれというならこの場で腹を切ってでも詫びる!だかr・・・・・・」

大和「やめてッッッ!!」

提督「っ!?」

大和「・・・・・・何謝ってるんですか! 悪いのは全部私なんです! 貴方を疑い、傷つけた!」ポロポロ

大和「こんな私に・・・・・・貴方の傍にいる資格なんてないんです!!」ポロポロ

提督「そんな事・・・・・・」

大和「なのに・・・・・・!! 提督がいないと私は辛くて堪らない」グシグシ

提督「・・・・・・」スッ

大和「・・・・・・こんな私に提督を愛する資格なんてないんです。でももし・・・・・・」

221 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 02:59:22.39 6enVUVL30 489/504








大和「もし許されるなら・・・・・・提督、貴方とやり直したい」






222 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:00:30.45 6enVUVL30 490/504


大和「提督、本当に申し訳ありませんでした」土下座

提督「・・・・・・」

提督「何言ってんだ、そんなもん無理に決まってんだろ」

大和「っ!?」

提督「俺達別れてねぇのに何でやり直す必要があるんだ? 勝手に終わらせんじゃねぇよ」

大和「え・・・・・・!?」ジワァ

提督「お前に初めて会った時、確かに俺はお前にヤマの面影を見て取った。何かにつけてヤマと比較していた」

提督「でも今は違う。いや、お前に告白した時には既に違った」

提督「俺は大和に惚れていたんだ。ヤマの生まれ変わりとしてではなく、一人の異性として、お前に惚れていたんだ」

大和「っ!?」

提督「俺はもうお前がいないと生きていけねぇ。だから」ゴソゴソ

大和「?」

徐ろに大和の前に跪き、小さな小箱を差し出す

パカッ

大和「っ!?」

提督「大和、俺と結婚してくれ」

箱に入っていたのは結婚指輪だった。銀色に輝くリングは単純な形ながら非常に美しく感じる。そしてそのリングの上にはダイヤモンドが付いている

大和「私なんかで・・・・・・」フルフル

大和「私なんかでいいんですか・・・・・・?」

提督「お前以外考えられねぇよ」

大和「・・・・・・喜んで」

提督「!」

大和「喜んでお受け致します!!」ポロポロ

提督「良かった・・・・・・」ホッ

提督「ほら、指出して」スッ

大和「あ・・・・・・」

提督「お、やっぱりピッタリだ」

大和「提・・・・・・督・・・・・・」

提督「一生幸せにするからな、大和」

大和「っ!!」ダキッ

提督「おわっ!?」ギューッ

大和「提督、大好きです!! 一生貴方を愛します!!」

大和「本当に・・・・・・本当に良かった」ポロポロ

大和「うわぁぁぁぁぁぁぁん!!」ギューッ

提督「・・・・・・」ナデナデ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

223 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:01:17.83 6enVUVL30 491/504


ホラ、ナキヤメッテ。キレイナカオガダイナシダゾ

ウワァァァァァァン!!

??「・・・・・・」

??「彼の事が心配だった?」コツコツコツ

??「まあね。君の麻酔医としての補佐もあってオペは成功した。でも彼の心を治すのは僕には無理だったな」

??「でも、もう彼女がいるから大丈夫ですね」

??「これで僕達も君に恩返しができたかな、櫂君?」

??「彼がいなかったら私達はあの日、一生後悔してたかもしれない」

??「櫂君のお陰で僕は夢を叶え、そして君と結婚できたんだ。彼は僕達の恩人だよ」

??「うん////」

??「でも勝手にオペしちゃったからもうすぐ契約切られるかな」ナハハ

??「所長から他の派遣先聞いてみましょう」

??「ごめんね、君まで巻き込んじゃって」ナデナデ

??「ん・・・・・・」チュッ

??「!」

??「私は貴方の妻よ? 貴方と一緒にいれたらそれでいいんです////」

??「ははは。僕もさ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

224 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:02:02.73 6enVUVL30 492/504


提督「え? 若い先生?」

文月「うん。その人が司令官を助けてくれたんだよぉ」

北上「他の医者が前列が無いとかリスクが高いとか言ってたのにその人は一切迷わなかったんだ」

大鳳「確かこんな漢字の名前でした」カリカリ

提督「・・・・・・!?」

吹雪「因みに手術の後に話してくれた女の人もいたんです」

大鳳「その人も同じ苗字でこんな漢字の名前でしたよ」カリカリ

提督「!? は、ははは。まさかなぁ」ポロポロ

大和「提督? どうしました?」

提督「とんだサプライズだ。あの二人に助けられるなんて」グシグシ

提督(ありがとう、兄ちゃん、姉ちゃん)

提督「にしても驚きだ、まさかあの歳で医者に、しかもドクターXになっていたのか」

文月「ドクターXって?」

提督「ドクターXってのは、手術が確立されてねぇ危険なオペも行って、命を天秤にかける事もあるから、悪魔の外科医と言われてる人達だ」

提督「でもそれは違う。俺からしたら、彼らは命を救うためにはなんでも行うという、自分を守る事より命の可能性に賭ける事のできる熱い心を持った、凄い技術者だ」

提督「一般の医者が己の保身のために匙を投げるハイリスクなオペを進んで開拓していく、言ってみたら医術の先駆者達さ」

吹雪「・・・・・・」

提督「? どうした吹雪?」

吹雪「私、医者になりたいです!」

提督「・・・・・・お前、医者がどれだけ辛いか分かっているのか?」

提督「人の命を預かる仕事だ。生半可な覚悟じゃ務まらねぇぞ」

吹雪「それでも私は! 彼のように多くの人を救いたいんです!」

提督「・・・・・・お前が決めた道だ、俺に口出しする権利はねぇ。だけど、医師免許を取ったら逃げる事は許されねぇぞ?」

吹雪「当然です!!」

提督「・・・・・・なら頑張れ」ナデナデ

吹雪「はい!」

225 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:02:49.40 6enVUVL30 493/504


ミラ「大和、迷いは消えたかい?」

大和「はい!」

ソラ「良かった」ホッ

リク「義兄さんの事、よろしくお願いします」

元帥「ところで櫂、お前この後どうするつもりじゃ?」

提督「どうするって退院するけど」

元帥「馬鹿者、軍を抜けるかどうかじゃ」

提督「・・・・・・」

団長「もう艦娘は戦いの場に出向く必要もない。同時に提督も必要なくなったしな」

副長「軍やめて他んとこ探すかっちゅうこっちゃ」

提督「どっちにしろ一線は退くさ」

大和「私達はどのようなご決断でも貴方に着いて行きます」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

226 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:03:30.08 6enVUVL30 494/504


提督「この鎮守府ともおさらばか」

大和「思い出が詰まってますよね」

北上「最初は吹雪との二人三脚」

大鳳「北上さんや私のどんちゃん騒ぎ」

文月「勉強や訓練以外にも楽しい事ばっかだったよぉ」

利根「当然出撃もこなしたのぅ」

吹雪「こうして来れたのも全て司令官のお陰です」

提督「俺だけじゃねぇよ。皆がいたからさ」

大和「・・・・・・////」

提督「そろそろ出発だ。皆引っ越し業者に荷物渡したか?」

艦娘「はい!」

提督「よし、じゃあ歩いてくか」

艦娘「は・・・・・・って、えぇっ!?」ギョッ

吹雪「ここからですか!?」

提督「当たり前」

北上「鬼ー、人でなしー!!」

提督「うるせぇ!」

大鳳「着くのいつですかぁ?」

提督「たぶん二、三時間で着く」

文月「司令官おんぶして~」

提督「最初は自分の足で歩こうな? 疲れたらおぶってやる」

文月「うん~」ニパァ

利根「食事はどうするんじゃ?」

提督「今日は外食」

大和「提督」

提督「お前もか、何だ大和」

227 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:04:09.79 6enVUVL30 495/504


大和「あ、愛してます////」

提督「」

艦娘(さり気なく愛を叫ぶ大和さん可愛い)

提督「俺もさ」ナデナデ

大和「ん・・・・・・////」スリスリ

提督「お前ら、俺と大和ホテル行ってるから先に向かってくれ」

妖精「行かせないよ?」ギロッ

提督「はいすみませんでした」

大和「むー・・・・・・」

吹雪「妖精さんも一緒に来ますよね?」

妖精「誰がこのバカップルのストッパーになるのさ?」

提督「本当にありがとうな」

妖精「いいって事よ」

提督「じゃ、行くか」

艦娘「はい!」

文月「行くよぉ!」タッタッタッ

吹雪「待って文月ちゃん」

北上「元気だねぇ」

利根「お主が言うか」

大鳳「私達もさほど変わりませんよ」

ワイワイ

提督「・・・・・・」

228 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:05:33.95 6enVUVL30 496/504








『お幸せに、櫂ちゃん』






229 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:06:17.07 6enVUVL30 497/504


提督「っ!?」バッ

提督「・・・・・・あぁ。ありがとうな」

大和「どうしました?」

提督「お幸せに、だってさ」

大和「! はい!」ニコッ

妖精「幻聴かい?」

提督「多分な」

大和「そんな事ありませんよ」

シレイカーン、ヤマトサーン、ヨウセイサーン!!

妖精「はいはい、今行くよ~!」テテテテ

提督「さ、行くぞ」スッ

大和「はい」ギュッ

スタスタスタ・・・・・・

ーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー

230 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:06:54.61 6enVUVL30 498/504


10年後

大和「~♪」コトコト

提督「楽しそうだな大和」

大和「えぇ。今日は少しお出かけをするから」

ドタドタドタドタ・・・・・・

文月「おはよう司令官、大和さん!」

提督「おう、おはよう」

大和「おはよう。どうしたの文月ちゃん?」

文月「生徒会から呼び出しがあったんだぁ。朝早くから大変だよぉ」イソイソ

提督「大変だな引退したのに」

大和「はい、お弁当」スッ

文月「ありがとぉ、行ってきまーす!!」ダッ

提督「ほれ、文月」ポイッ

文月「ほわぁ、菓子パン?」

提督「何も食わねぇと力出ねぇぞ」

文月「ありがとぉ司令官」パクッ

タッタッタッ・・・・・・

提督「忙しないなぁ、受験生なのに」

231 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:07:34.83 6enVUVL30 499/504


吹雪「おはようございます、司令官、大和さん」

提督「おはようさん」

大和「今日はお休み?」

吹雪「ううん、今日はゼミの後輩指導。午後からだから」

北上「ふわぁぁぁ、おはよー」ノビー

提督「おはようさん、クソニート」

北上「誰がニートだ、ちゃんと稼いでるじゃんかー」

提督「家から出ろよ引き籠り」

大和「まぁまぁ朝から」

北上「確か利根っちと大鳳は今日朝帰りだっけ?」イタダキマース

提督「あぁ。静かにしてやれよ?」

北上「はいはーい」モグモグ

吹雪「二人も大変だよね、今じゃ忙しい日々だし」

提督「まぁな。本人が楽しんでるならそれが一番だ」

ガチャ

大鳳「ただいまー」

利根「今帰ったぞ~」

大和「お帰りなさい。一緒に帰ってきたの?」

大鳳「えぇ。利根さんと駅で会ったから」

利根「ちょうど良かったしのぅ」

提督「有名人は大変だねぇ」

232 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:08:21.44 6enVUVL30 500/504


利根「吾輩は少し寝てくるとしよう」フワァァァ

大鳳「私も寝てくるわ」ノビー

北上「はいはーい」ノシ

大和「静かにね?」

利根「うむ」

スタスタスタ・・・・・・

提督「じゃ、そろそろ仕事に」スッ

大和「分かったわ」

提督「行ってくるよ」スタスタ

吹雪「行ってらっしゃい!」

北上「行ってら~」

大和「貴方」トコトコ

提督「ん?」クルッ

チュッ・・・・・・

大和「行ってらっしゃい」

提督「おう」ナデナデ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

233 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:10:21.19 6enVUVL30 501/504


大和「そろそろかな?」

北上「んぁ? 何処か出かけるの?」

大和「えぇ。留守番お願いしてもいい?」

北上「自宅警備の達人に任せなって」ニヒヒ

大和「行ってきます」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和(私達が鎮守府を引っ越してから10年。市役所への届け出で提督と私は夫婦に、皆は書類上は私達の養子という事になり、それぞれの道を歩み出した)

大和(22歳になった吹雪ちゃんは、進学した医大で歴代トップの成績を修めている。今は卒論を作り終わって院への進学待ち)

大和(北上さんは26歳。持ち前の知識を活かして執筆したライトノベルが異例の大ヒット。生活の片手間に書いた小説が悉くヒットして印税のみで億万長者になった)

大和(大鳳さんは自身の夢を叶えて料理評論家になった。その的確かつ客観的な評価、そして自身の体験談を交えた自筆の本のヒットにより、27歳にして世界中から注目される存在に)

大和(文月ちゃんは18歳。この辺でトップの進学校で主席。スポーツも万能で生徒会長も務めていた、正に学校のアイドルね。でも何故か告白は全て断っているのよね)

大和(利根さんは提督との約束通り、世界的に有名な料理人の下で5年間修行し、今はその人の下で働いている。その腕前と発想から28歳で料理界のホープとも呼ばれてる)

大和(29歳となった提督は一線は退いたものの、艦娘が居なくなった軍を盛り立てるために霊峰さんと一緒に後進育成の教官になった。今では教え子から絶大な支持を得ているみたいね)

234 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:10:57.94 6enVUVL30 502/504


「大和ー、遅いわよー!」

大和「! ビス子にコウちゃん、遅れてごめん」タッタッタッ

ビスマルク「やっと揃ったわね」

港湾「ハヨ行コ!」ワクワク

大和(霊峰さんの奥さんであるビスマルク改めビス子と、副長さんの奥さんの港湾棲姫ことコウちゃんとはよく週末に出かける親友になった。コウちゃんが副長さんの真似をして関西弁を使うようになったのは驚いたわ)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「~♪」スタスタ

提督「よう大和」

大和「! 貴方! 今帰り?」ギューッ

提督「まぁな、そっちもお出かけの帰りか?」

大和「うん! 早く帰ろ、櫂ちゃん」ニコッ

提督「おいおい、外は恥ずかしいって」

大和「最近軍はどう?」

提督「特に問題無さそうだ、目立った事もないし」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

235 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:11:46.07 6enVUVL30 503/504


提督「ただいまー」

ドタドタドタドタ・・・・・・

「お父さん、お母さん!」ダキッ

提督「おっとっと、今日は何時に起きたんだ? 休日だからって昼まで寝てたのか?」ナデナデ

「10時だよ、朝ご飯の後ちゃんと勉強したもん!」ニパァ

大和「妖精さんは分かりやすかった?」

「うん!」

吹雪「お帰りなさい司令官、大和さん」

北上「今日も異常なーし」ニヒヒ

大鳳「平和ね~」

文月「後であたしもお勉強教えてあげるね?」

「本当に? ありがとう文月お姉ちゃん!」

義理の姉達囲まれているのは提督と大和の間に産まれた8歳の娘である。親バカ二人曰く「海原家の天使」であり、今は小学2年生である

利根「久々に吾輩が晩ご飯を作ったからの!」

大和「ありがとう利根さん」

大和(本当に・・・・・・幸せ)

提督「大和・・・・・・」ナデナデ

大和「天国のヤマさんも・・・・・・見守ってくれてるかしら」

提督「! あぁ、きっとな」

妖精「あの娘のためにもこの平和を維持しなきゃね」

提督「当然」

提督「さ、行こうぜ!」

大和「うん!」




236 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 03:12:32.41 6enVUVL30 504/504


以上で終わりです。こんな駄作に付き合って頂いて誠にありがとうございました。また何か思いついたら書くかもです

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