大和「もし許されるなら」【1】
大和「もし許されるなら」【2】

1 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:52:04.31 Q1IxI1jM0 269/504


これは

大和「もし許されるなら」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492253549/

の続きとなっています
注意事項等もそちらを参照してください
・後半から艦これらしさ皆無でグダグダ

2 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:53:28.96 Q1IxI1jM0 270/504


最終決戦の翌日

提督「ふぅ、まあこんなとこで一先ずかな」

妖精「まぁ、ホントに応急処置みたいなもんだね」

大和「しばらく鎮守府は機能しそうにありませんね」

吹雪「そもそも私達って出撃する意味ありますかね?」

北上「もう深海棲艦いないしねー」

文月「暇だねー」

大鳳「終わってみると少し喪失感があります」

利根「うむ、今か今かと待ち侘びたものじゃが、いざ終わったら呆気ないものじゃな」

提督「とりあえず、親父に呼び出されてるんだ。お前ら今から大本営に戻るぜ」

艦娘「はっ!」ビシッ

妖精「んじゃ留守番してるね」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」ポカーン

艦娘「・・・・・・」ポカーン

提督「なぁ、親父」

元帥「何じゃ?」

提督「どうしたらこんな風になるの? それにそこいらにある敵の亡骸だけどさぁ」

北上「所々融解した黒焦げの塊に、蜂の巣状態の敵」

吹雪「四肢が千切れた上に首から上が破裂したような敵もいますよ・・・・・・」

利根「あれは滅多打ちにされて最早原型を留めておらんのぅ」

元帥「うむ、全面衝突した結果じゃよ」

提督「敷地内に無傷な建物見当たらないんだけど!?」

3 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:55:27.31 Q1IxI1jM0 271/504


長門「そう言うな。何はともあれ勝利したのだ」

金剛「カイも無事で良かったデース」

大和(つい昨日まで重傷者だったんですけど・・・・・・)

提督「皆も無事で良かったよ」

元帥「時に大和ちゃんや」

大和「はい」

元帥「息子を守ってくれて本当にありがとう」

大和「! はい!」

陸奥「そういえば櫂、副長さんの事なんだけど・・・・・・」

提督「え!? まさか兄ぃが!?」ギョッ

陸奥「えぇ・・・・・・港湾棲姫との戦いで・・・・・・壮絶な死闘の末・・・・・・」ツーッ

艦娘「っ!?」

提督「う、嘘だろ・・・・・・あ、兄ぃ・・・・・・」ヘナヘナ

大和「提督・・・・・・」

提督「あ、兄ぃぃぃぃぃぃッッッ!!」

4 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:56:09.65 Q1IxI1jM0 272/504


副長「やかましいなぁ、何やな」ヒョコ

提督「っ!?」ギョッ

艦娘「っ!?」ギョッ

提督「え? え!? 兄ぃ!? 何で!? まさか幽霊!?」

副長「勝手に人殺すなボケ!!」ゲシッ

提督「痛てぇ!?」

副長「陸奥! 何紛らわしい事言うとんねん、櫂が可愛そうやろが!!」

陸奥「ごめんなさーい」テヘッ

北上「し、心臓に悪いよ、びっくりしたじゃん」

吹雪「本当ですよ、死んじゃったのかと思ったじゃないですか!」

提督「ん? でも陸奥姉、じゃあ兄ぃに何があったんだ?」

陸奥「それは・・・・・・ねぇ?」チラッ

副長「まぁ、実際見てもろた方がええやろな。おい、こっち来ぃや」コイコイ

「・・・・・・」スタスタ

提督「!?」

大和「な!?」

吹雪「えぇ!?」

北上「へ!?」

大鳳「え!?」

文月「ほわぁ」

利根「何と!?」

5 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:56:51.59 Q1IxI1jM0 273/504


港湾棲姫「ア、アノ・・・・・・コ、港湾棲姫デス。ヨロシクオ願イシマス・・・・・・」スッ

提督「これは一体どういう事だ?」

大和「な、何で深海棲艦が」

提督「ん? 腕組んでる?」

北上「え? まさか・・・・・・」

副長「うん。何か知らんけど、惚れられた」

提督艦娘「はぁ!?」ギョッ

港湾棲姫「アナタ、襟ガ曲ガッテルワ」テキパキ

副長「ん? あぁマジか、おおきに」

港湾棲姫「・・・・・・////」スリスリ

北上「ま、まあ愛は人それぞれだしね」

吹雪「あれもう新婚夫婦じゃないですか」

大鳳「提督と大和さんに加えて」

利根「こっちまでこんな事になっておるとは」

文月「港湾ちゃん、よろしくー」ニパァ

港湾棲姫「ヨ、ヨロシク」ニコッ

提督「おめでとう兄ぃ、やっと彼女いない歴=年齢に終止符打てたな」ホロリ

副長「やかましいわ」

元帥「まぁとにかく。大本営は全壊したが、儂らにはまだやるべき事がある。とりあえずはこの壊れた建物を直したいんじゃが、如何せん人手が足りんのでな」

提督「じゃあ俺ら帰りますんで」クルッ

団長「逃がさんぞ櫂」ガシッ

提督「げっ、叔父貴!?」

団長「お前達も手伝え。憲兵師団長命令だ」ニヤリ

提督「しょ、職権乱用だぁぁ!!」ジタバタ

団長「いいから手伝え」ズルズル

ーー
ーーーー
ーーーーーー

6 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:57:33.60 Q1IxI1jM0 274/504


元帥「ふむ、まぁこんなところじゃな」

提督「や、やっと終わった・・・・・・」

榛名「お疲れ様です」

大和「榛名さん達も。ずっと働き詰めじゃないですか」

榛名「榛名達は大丈夫です。これしきの事は慣れっこですから」

提督「そういや親父」

元帥「何じゃ?」

提督「深海棲艦が壊滅したから、大和達は解体なのか?」

元帥「まぁそうなるな。じゃが、その前に幾つか任務をこなしてもらうぞい。しばらく期間をやるから、皆の進路を決めさせてやる事じゃ」

提督「ありがとう。で、任務って?」

元帥「うむ、明日になれば遠方に出向いておったあやつが帰って来るからのぅ。明日詳細を話そう」

提督「何だ、あいつ帰ってくるのか」

元帥「かれこれ半年は会っておらんじゃろう」

提督「まぁな。じゃ、俺らは休ませてもらうぜ」スタスタ

ーー
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7 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:58:39.50 Q1IxI1jM0 275/504


翌日

提督「さてと、久しぶりだなぁあいつに会うのも」

吹雪「? 誰か来るんですか?」

北上「こんな朝早くに誰が来んのさ」

提督「大和以外は面識ある奴だ」

大和「お知り合いですか?」

提督「同期にして俺の数少ない友人だ。腐れ縁みたいなもんだよ」



??「腐れ縁とは酷いな櫂」




提督「! 帰ったかこの野郎!」

??「今しがたの到着だ」

バシッ

提督「久しぶりの本土の土はどうだ、親友」握手

??「いいもんだ、やっぱり生まれ故郷の土地は安心するぜ」握手

吹雪「! 霊峰さん」

北上「あ、クソマゾ提督」

??「再会早々酷くね!?」ガビーン

大和「?」

友提督「初めての人もいるしな。自己紹介させてくれ。俺は『霊峰 学(れいほう まなぶ)』。櫂とはガキの頃からの付き合いだ」

提督「こいつがこの前言った「ドイツ艦の艦隊」提督だ」

大和「! あぁ、なるほど」

友提督「! アンタが大和だな? 櫂から話は聞いてる(なるほど、確かにヤマと瓜二つだ)」

大和「初めまして。大和です」

友提督「あいつは知っての通りいい奴だ。どうか一緒にいてやってくれ」

大和「はい。分かっています」

8 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:59:20.72 Q1IxI1jM0 276/504


??「ちょっと、Admiral! 私達を置いていくなんていい度胸ね!」スタスタ

友提督「あ、悪い」

提督「お、ビスマルクか。皆も久しぶり」

ビスマルク「久しぶりね、櫂さん」

プリンツ「櫂さーん、Guten Morgen!」ノシ

グラーフ「本土の土も久々だ・・・・・・」スタスタ

レーベ「遠方への出撃は疲れたよ」

マックス「これでしばらく休みがとれる」

ロー「やっとのんびりできるよー」

提督「レーベ達には悪ぃけど、これから俺達また任務だぜ」

レーベ「・・・・・・え?」

マックス「」

ロー「う・・・・・・嘘だ」

友提督「まぁな。悪いが休みはお預けだ」

プリンツ「えぇえ!?」ガビーン

レーベ「Admiral、まさか知ってて僕達に教えなかったの!?」

友提督「だって教えたらお前ら嫌がって仕事しなくなるじゃん」

マックス「この世界には・・・・・・神はいないのか・・・・・・」

グラーフ「神は・・・・・・死んだ・・・・・・」

提督「ニーチェを入れるなニーチェを」

9 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:59:59.85 Q1IxI1jM0 277/504


ビスマルク「Admiral! 帰ったらデートしてくれるって言ったじゃない! あれは嘘なの!? 」

友提督「いやすまん、仕事中暇見つけて行こうか、な?」

ビスマルク「Ich wei? nicht mehr wie G?lle, Sie L?gner ist!(あなたのような嘘つきは、もう知らないわ!)」

友提督「Nun sage ich, dass Stimmung wieder.(まぁそう言うなって、機嫌直してくれよ)」ダキッ スリスリ

ビスマルク「!? Gefesselt! Wissen dieser gro?en L?gner Idiot Admiral, Schande!(離せ! この大嘘つきのバカ提督、恥を知りなさい!)////」カァァ

提督「何で帰還早々、痴話喧嘩見せつけられてんだ俺達」

吹雪「何言っているのかさっぱり分かんないです」

提督「うん、まぁ・・・・・・」

北上「提督ドイツ語分かるの?」

提督「寧ろこれを聞くためにプリンツに教わった。Prinz, vielen Dank. Bismarck und er ist auch ein g?nstiger(プリンツ、ありがとう。あいつとビスマルクは、相も変わらずだな)」

プリンツ「Ja! Sie sind perfekte Paar!(はい! 二人はお似合い夫婦です!)」

提督「おいマナブ、親父に報告して来いよ」

友提督「あ、すっかり忘れてた」

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ーーーーーー

元帥「さて。お主達二人には海外諸国の様子を調査してきてほしいのじゃ」

友提督「つまり、威力偵察って事ですか?」

提督「何で喧嘩売りに行くんだよ、様子見てくるだけだ」

元帥「うむ。深海棲艦が完全にいなくなったのか、それの確認も兼ねて遠方に出向いてほしい。そして向こうの国の軍が今後どのように動くかを確認してきてほしいのじゃ」

友提督「深海棲艦という共通の敵がいなくなった以上、外国が攻めてくる可能性も否定しきれませんしね」

10 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:00:37.19 6enVUVL30 278/504


提督「向こうにその意思があるかどうか見てこい・・・・・・と?」

元帥「うむ、深海棲艦出現以前の日本は様々な国と友好関係を築いておった。今更対立する事は避けねばならん」

提督「俺達は何処の国に行けばいいんだ?」

元帥「その事じゃが、他の者にもこの任務は遂行してもらうため幾つかのエリアに分けさせてもらった。あくまでもこれは深海棲艦がいなくなったかどうかの調査が目的じゃからのぅ」

元帥「霊峰君には欧州を。櫂にはアメリカを担当してもらいたい。欧州は更に幾つかのグループに分かれてもらう」

友提督「はっ!」ビシッ

提督「了解」

ーー
ーーーー
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提督「アメリカねぇ。先ずはロッキー山脈行って、フロリダの湿地帯探索した後ナイアガラを通過してカナダに渡ってアルバータ州の恐竜公園行って、後は・・・・・・」スタスタ

友提督「おいおい、観光スポット巡るんじゃねぇぞ?」ペラッ

提督「ドイツ語のガイドブックでデートスポット探してる奴に言われたくねぇよ」

友提督「何言ってんだ、ビスマルクの故郷だぜ!? もうラブラブデートしろって天啓っしょこれ!」

提督「そっち行ったら本場のビスマルクやもっと美人いるかもな」

友提督「いーや、俺はあの娘一択だ! 他のビスマルクなんざ眼中に無いね!」

提督(しまった、地雷踏んだかなこれ?)

友提督「そもそもあいつと来たらさぁ、もぉ堪んねぇよ! だってさ、この前の土曜日の夜なんか・・・・・・」ベラベラ

ーー
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11 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:01:29.46 6enVUVL30 279/504


提督「あー、ったく! あの後延々とあいつのビスマルク愛と惚気話聞かされて砂糖吐きそうだったぜ」

大和「ふふふ、大変でしたね」ナデナデ

提督「なぁ大和?」

大和「はい?」ナデナデ

提督「何で俺、お前に膝枕されてんだ?」

大和「大和がしたかったからです////」

提督「あっそう////」

大和「どうですか、大和の膝枕」

提督「・・・・・・デス////」ボソッ

大和「聞こえませんよ~?」ナデナデ

提督「柔らかくてスベスベしてて・・・・・・気持ちいい・・・・・・です・・・・・・////」

大和「ふふ、ありがとうございます」ニコニコ

提督「何にせよ明日は朝早くにアメリカに向かうんだ。もう休んでおけ」

大和「海外は初めてで緊張しますね」

提督「吹雪達はもう寝たか?」

大和「はい。もう五人とも寝ています。明日のアメリカが楽しみなのでしょうね」

提督「お前もだ、早く寝ろ」

大和「提督はどうなさるおつもりですか?」

提督「マナブと一緒にこの後会議だ。視察中の予定を組まなきゃいけねぇからな」スッ

12 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:02:06.11 6enVUVL30 280/504


大和「分かりました」

提督「おやすみ」

大和「おやすみなさい。! あ、そうだ提督」

提督「ん?」クルッ

大和「ん・・・・・・」チュッ

提督「っ!?////」

大和「おやすみのキスです////」スタスタ

提督「・・・・・・////」ボーッ

提督「・・・・・・何か積極的になったな、あいつ」

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ーーーーーーーーーーーー
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翌日

吹雪「あーっ、気持ちい~!!」ノビー

北上「やっぱり海の上はいいねー」

大鳳「艦娘ですもんね!」

文月「あー、イルカさんだ~」キャッキャッ

利根「おお、たくさんいるのぅ」

大和「あっちにはクジラもいます!」

ザザザザザザザザザ・・・・・・

提督「ったく、何も太平洋艤装で横断する事ねぇのに。俺だけこんなでっかい船乗って申しわけねぇ気持ちになるじゃん」

大本営妖精「皆最後に艤装で海を走りたいんですよ」

提督「アンタ達もごめんな、この船の操縦とか」

大本営妖精「いえ。皆さんの仕事をサポートするのが私達妖精の役目です」

提督「・・・・・・」ボーッ

大本営妖精「・・・・・・あの、櫂さん」

提督「ん?」

大本営妖精「先輩はお元気ですか?」

提督「元気だよ。今頃鎮守府の医務室で薬品棚の整理でもしてんじゃね?」

大本営妖精「そうですか。なら良かったです」

13 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:02:40.58 6enVUVL30 281/504








・・・・・・ズキッ






14 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:03:24.43 6enVUVL30 282/504


提督「・・・・・・っ!?」フラッ

大本営妖精「っ!? 櫂さん!?」

提督「あぁ悪ぃ、船酔いしちまったみてぇだ・・・・・・」

大本営妖精「それならいいんですが。水平線の方を眺めてください、楽になりますよ」

提督「ありがとう」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

数日後

提督「お、見えてきた。北アメリカ大陸」

大本営妖精「道中、深海棲艦は一体も遭遇しませんでしたね。もうこれは確定事項でいいかと」

提督「にしても。飛行機なら一日ぐらいで着くってのに数日かかるとは、ここが船の限界かぁ」

大本営妖精「これでも一般の船よりはずっと速いですよ」

提督「結局皆バテて船に乗るしよ」チラッ

北上「いやぁ、もうたっぷり艤装は堪能したから」

吹雪「もう何時でも艦娘辞められます」

提督「シャキッとしろよ、今からアメリカ海軍に謁見するんだからな」

大和「はい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

スタッ

提督「ん~っ、遂に上陸したぜ!!」

北上「ユー!!」

大鳳「エス!!」

文月「エー!!」

吹雪「何だかんだ司令官もはしゃいでるじゃないですか」アキレ

大和「まぁまぁ」

利根「ふむ。ここがアメリカか・・・・・・」キョロキョロ

15 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:04:21.93 6enVUVL30 283/504


??「I waited for you, Admiral Unabara」ビシッ

提督「! I thank for a meeting, Colonel」ビシッ

アメリカ大佐「Please come here, the general commander will wait for you」

提督「I understand. Thank you guidance. おいお前達、アメリカ軍総司令官がお待ちしてるそうだ、行くぞ」

艦娘「はっ!」ビシッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

コンコン・・・・・・

アメリカ大佐「General commander, I took people of the Japanese Navy.」

ガチャ・・・・・・

提督「Nice to meet you, General commander. I'm Unabara of the Japanese Navy.」ビシッ

艦娘「」ビシッ

??「I was waiting, Admiral Unabara. Welcome to the USA.」ビシッ

アメリカ総司令官「Anyway, hang it to the chair. Shall I serve even any drink?」

提督「Then, with your words. お前達も座らしてもらえ」ドサッ

大和「いえ、大丈夫ですから」

提督「分かった」

アメリカ総司令官「I heard everything from the Marshal of the Japanese Navy.」

提督「ーーーー」ベラベラ

アメリカ総司令官「ーーーー」ベラベラ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・というわけで、向こうにその気は無く寧ろこれまで以上の友好関係を築きたいとのこと、と」カタカタカタカタ

提督「深海棲艦は航行中確認せず、北太平洋においては完全消滅の方向で問題無し・・・・・・と」カタカタカタカタ

提督「送信っと」カチッ

16 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:05:00.53 6enVUVL30 284/504


提督「報告は終わったな。結構気さくな人で良かった」ノビー

大和「日本との対立など言語道断、日米の絆はより強固なものにすべきだ、とも仰っていましたね」

提督「あぁ、内容分かっていたのか?」

大和「朧気ではありますが」

提督「総司令官がいいレストランを紹介してくれたし、今夜は二人で飯でも行くか?」

大和「はい。喜んで」ニコッ

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吹雪「司令官と大和さんは二人っきりでお食事ですし、私達はどうしましょうか?」

北上「あたし達も尾行する?」

大鳳「探偵みたいでワクワクします!」

利根「辞めておいた方がいいと思うがの」

文月「あたしもそう思うな~」

吹雪「確かに、見知らぬ国で何かあったら司令官にも迷惑ですし」

北上「まぁ・・・・・・言われてみれば」

??「それでしたら、一緒にお食事などどうでしょうか?」

吹雪「! 貴女は?」

??「申し遅れました。航空母艦サラトガです」

大鳳「航空母艦? 私と同じね」

サラトガ「お話は総司令官から聞いております。海原さんの艦隊の皆様、滞在中はサラ達に何なりと」

吹雪「随分と流暢な日本語ですね、びっくりしました」

サラトガ「いずれはサラ達も日本に派遣され建造される予定でしたので、日本語の修得は必須でした」

サラトガ「しばしお待ちを。もう一人、同僚が同じ艦娘どうしの会議に行っておりますので」

17 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:05:48.96 6enVUVL30 285/504


バタンッッッ!!

??「ハーイ、アイオワ級戦艦アイオワよ!!」

艦娘「っ!?」ビクッ

サラトガ「もう、アイオワ。急に入ってきたらびっくりするでしょ?」

アイオワ「Oh,I'm sorry. 改めて! Meがアイオワよ!」

吹雪「よ、よろしくお願いします」

北上「パ、パツキンメリケンガール・・・・・・だ・・・・・・」ボーゼン

吹雪「北上さんが壊れた!?」

利根「何故じゃ!?」

文月「ほわぁ、大っきい~」

アイオワ「Oh! 何てpretty girl!」ダキッ

大鳳「ふ、文月ちゃん!?」

アイオワ「So cute!」ムギュー

文月「く、くるひぃよぉ・・・・・・」

大鳳「がはっ!?」ゴパッ

ドシャッ・・・・・・

吹雪「ちょっ、大鳳さん!?」ギョッ

北上「あぁ、精神的ダメージを・・・・・・」

サラトガ「ふふ、本当に賑やかで楽しい艦隊」ニコニコ

ーー
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ーーーーーー

18 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:06:33.11 6enVUVL30 286/504


数日後

提督「We were taken care of for a few days」握手

アメリカ総司令官「Please send the best regards to Marshal」握手

提督「アメリカ軍に敬礼!」ビシッ

艦娘「はっ!」ビシッ

アメリカ総司令官「Salute the Japanese Navy!」ビシッ

「「「Yes,Sir!!」」」ビシッ

アイオワ「See you again!」ノシ

サラトガ「Goodbye everyone」ノシ

提督「・・・・・・」

大和「提督?」

提督「いや、ずっとここに来てから思ってたんだけどな」

吹雪「司令官?」

大鳳「何をですか?」

利根「お主が思い悩むとは、余程の事なのじゃな」

文月「何何~?」

提督「実はな・・・・・・」

艦娘「っ・・・・・・」ゴクッ

提督「アメリカの艦娘が皆同じ顔ばっかに・・・・・・アイオワとサラトガ以外同じ顔に見えるんだ」

吹雪「そんな事!?」ズッコケ

提督「うん、これでずっと悩んでた」

北上「何とまぁどうでもいい・・・・・・」

吹雪「もう! 私達の心配を返してくださいよぉ!!」グルグル

ポカポカポカポカ・・・・・・

文月「やっちゃえ~」コチョコチョ

コチョコチョ、コチョコチョ・・・・・・・

提督「痛っ、痛い痛い殴んなよ吹雪、文月もくすぐるなよ、や、止め! 大和助けて」

大和「ふふふ」ニコニコ

大鳳「行け行け~二人とも~」

北上「何この締まらない終わり方・・・・・・」

利根「言ったら負けじゃよ」トホホ

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19 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:07:17.04 6enVUVL30 287/504


提督「・・・・・・って事だ。報告書にもあるように、アメリカも友好関係を続けるってよ」

元帥「うむ、不安も杞憂じゃったか。いや、本当に良かった」

提督「他のエリアはどうなんだ?」

元帥「大部分のエリアで、発見されてはおらん。確定で良かろう」

提督「良かった。じゃあ俺達は鎮守府に戻るから」クルッ

元帥「うむ。近い内に新たな任務を送るからのぅ」

スタスタスタ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

鎮守府

提督「帰ったぜー」

大和「お疲れ様でした、提督」

提督「いや、皆もお疲れさん。部屋でゆっくり休みな」

艦娘「はっ!」ビシッ

ヨーシ、サッソクオミヤゲアケヨウ!

オーッ!

提督「ふぅ。約二週間ぶりの執務室だ」スタスタ

ギシッ・・・・・・

提督「あ~、この椅子の感触・・・・・・やっぱり慣れた椅子が一番だ」ノビー

大和「少し年寄りくさいですよ、提督」モミモミ

提督「ん? あぁ、サンキュー大和」コキコキ

大和「凄く張ってますよ、酷い肩凝りです」モミモミ

提督「まぁな。デスクワークの宿命だよ」

大和「首の方も失礼しますね」モミモミ

提督「あぁあ、そこそこ・・・・・・」

大和「ふふふ、やっぱりお年寄りみたいです」モミモミ

20 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:07:51.02 6enVUVL30 288/504


大和「提督、上を向いてください。首が前に傾いてますよ」

提督「ん? 分かった」クイッ

ギュッ・・・・・・

提督「ん!?」ムニュ・・・・・・

大和「ふふふ、捕まえました////」ギュゥゥ

提督「お、おい大和・・・・・・!?////」ムニュムニュ

大和「どうですか、大和の胸部装甲は?」

提督「(こ、後頭部に・・・・・・)柔らかくて気持ちいい・・・・・・って何言わせんだよ!!////」

大和「ありがとうございます////」スッ

提督「!////」

チュッ・・・・・・

大和「提督の唇、甘くて大好きです////」

提督「日に日に積極的になっていくなぁ、お前////」

大和「大和をここまで虜にする提督が悪いんです////」チュッ

ハムハム・・・・・・アムアム・・・・・・

提督(っ、この! 甘噛みしてきやがって!////)

21 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:08:28.02 6enVUVL30 289/504








妖精「・・・・・・あのさぁ」






22 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:09:33.16 6enVUVL30 290/504


提督「どわぁっ!?」ビクッ

大和「きゃあっ!?」ビクッ

妖精「二人っきりでお熱いのは結構なんだけど、せめて時と場所を弁えなよ。変態社長とエロ秘書か」ヤレヤレ

提督「わ、悪ぃ・・・・・・////」

大和「あぅあぅ・・・・・・////」

妖精「大和も、提督が愛おしいのは分かるけどすぐに発情しない!」

大和「は、はつっ!?////」ボンッ

提督「いや、本当にごめんって。ほら、土産やるから」ガサゴソ

妖精「土産? そういやアンタらアメリカ行ってたんだってね」

提督「ほれ、ブランデーチョコ」スッ

妖精「おぉ、これがテレビに取り上げられたセレブ御用達の高級ブランデーチョコ!」キラキラ

提督「皆も食べるかと思って、三箱買ってきたぜ」

妖精「皆ー、お土産だよ~!」

ワイワイガヤガヤ・・・・・・

大和「はむっ・・・・・・ん~、おいひぃ~」モキュモキュ

提督「結構いけるな、アルコールいくつだ?」モグモグ

妖精「お菓子に入ってるアルコール度数なんてたかが知れてるよ」パクッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

数時間後

提督「・・・・・・」zzz

妖精「むにゃむにゃ・・・・・・」zzz

大和「皆さん寝ちゃいましたね。風邪ひいちゃいますよ」つ毛布

バサッ・・・・・・

提督「う・・・・・・ん・・・・・・」zzz

23 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:10:46.37 6enVUVL30 291/504


大和「大和も眠くなっちゃいました」フワァァ

大和「提督、失礼致します」バサッ

モゾモゾ・・・・・

大和(提督の腕枕・・・・・・大和は幸せです////)

提督「ん・・・・・・」モゾモゾ

大和(っ!? 提督の寝顔、やっぱりいつ見ても可愛いです////)キュン

ツーッ・・・・・・

大和「っ!?」ハッ

提督「・・・・・・」ツーッ

大和「・・・・・・涙・・・・・・」

大和(提督・・・・・・泣いているのですか?)

大和「提督・・・・・・」スッ

ペロッ・・・・・・

大和「っ、しょっぱい・・・・・・っ!?」

許して・・・・・・くれ・・・・・・

大和(これはあの時の・・・・・・リーダーの力で提督が纏っていた赤黒いオーラ・・・・・・)

大和(『憤怒の炎』の時と同じ・・・・・・まるで提督の思いが直接脳内に響くような感覚。これは一体・・・・・・)

提督「・・・・・・」ポロポロ

大和「提督・・・・・・大和はここに。お側におります」ギュッ

大和(詳しくは分かりませんが、今すべき事。それは提督の苦しみを和らげる事です)

大和「大丈夫・・・・・・大丈夫ですよ」ナデナデ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

24 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:11:16.83 6enVUVL30 292/504


さぁ、選べ! どちらかを切り捨てれば片方が助かる!

い、嫌だ!! 俺にはできねぇ!

ならばどちらも失うだけだ

ドォォォォォンッッッ

うわぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!

ーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

25 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:11:53.18 6enVUVL30 293/504


提督「っ!?」ガバッ

提督「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」ガタガタ

提督「・・・・・・夢・・・・・・か」チラッ

大和「・・・・・・」zzz

妖精「んにゃ・・・・・・」zzz

提督「・・・・・・うっ!?」

フラフラ

妖精「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「おぇえっ!!」

ビチャビチャ・・・・・・

提督「はぁ、はぁ、うぅ・・・・・・」ガクガク

提督「久しぶりに吐いたな、くそっ・・・・・・」
グイッ

提督「にしても、吐瀉物に血みてぇのが混じってんな。まだ傷は完治してねぇのか?」

提督「トイレ掃除は後でするとして、口だけ漱いでおくか」フラフラ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ガチャ・・・・・・

提督「うぅ、俺一人のトイレとはいえ時間かけすぎたか・・・・・・」スタスタ

大和「提督・・・・・・」

提督「! 大和か、どうした?」

大和「顔色が優れませんが、如何がなさいました?」オロオロ

提督「いや、何でもねぇよ」

大和「・・・・・・そうですか」キィィ

提督「まだ早いし、もう一眠りして来い」

大和「分かりました」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

26 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:12:30.42 6enVUVL30 294/504


数日後

大和「元帥から新たな任務が通達されました」スッ

提督「ん? 何させるのかねぇ」ウケトリ

吹雪「数日間暇でしたからね」

大鳳「吹雪さんずっと自主練してたじゃないですか」

利根「吾輩は結構充実しておったぞ」

北上「あたしも大満足だよー」

文月「あたしも~」

提督「利根はともかく北上と文月はどうせアニメばっか見てたんだろ」

北上「失敬な、ちゃんと漫画読んでゲームしてたよー!」

文月「映画二つ観たよー」

提督「大して変わんねぇよ! にしても」チラッ

提督「そんなインドア派を外に叩き出すのにぴったりな任務だな」

大和「任務の内容は何でしょうか?」

提督「兄ぃの仕事手伝うんだってよ。まぁ、艦娘(お前達)が解体された後の進路の参考になるし」

吹雪「副長さんって何をしてるんですか?」

提督「艦娘が社会で真面目に生活できているか調べてるのさ。お前達は私服で大丈夫だから、明日は好きな服着て仕事だ」

北上「えー、ジャージでいいー?」

提督「もうちょっとさぁ、年頃の女の子なんだからお洒落に気を使おうとか思わねぇのか?」

北上「お洒落に金を使うくらいなら漫画に使った方がいーじゃんかー」ブーッ

吹雪「もう、北上さんの服は私が決めますからね!」

文月「あたしもいーい~?」

吹雪「もちろん!」ニコッ

提督「まぁ明後日だし、今日明日で服買ってきてもいいんじゃねぇか? お前達皆で行ってこいよ」

利根「では、お言葉に甘えさせてもらうかの」

大鳳「じゃあ行ってきますね!」

提督「大和、お前も行ってこい」

大和「よろしいのですか?」

提督「あぁ」コクッ

吹雪「じゃあ司令官、留守番よろしくお願いしますね!」

提督「行ってら~」ノシ

ガチャ・・・・・・パタン

27 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:13:08.46 6enVUVL30 295/504


妖精「何で皆追い出したのさ」

提督「・・・・・・少し一人になりたかった」

妖精「あんたがそうしたがるのは大体何か嫌な事があった時だ」

提督「・・・・・・なぁ妖精さん」

妖精「ん?」

提督「あいつらにとって、俺は本当に必要なのか?」

妖精「藪から棒に何言い出すんだか。あんたが提督である以上、あの娘達には必要だと思うけどね」

提督「"提督である間は"・・・・・・だろ?」

提督「あいつらが解体された後社会に出て暮らす上で、提督(俺)の存在はあいつらにとっての枷でしかねぇよ」

戦争が終わり、解体されて普通の人間に戻った彼女達は社会で生活する。当然そこで気になる異性や尊敬する人と出会い、その人達と生きていくものだ。そうなった時、自分という存在が足を引っ張るのではないか

妖精「あー、言い方が悪かった。そういう意味じゃなくて」アタマグシグシ

提督「あ?」

妖精「あの六人にとってあんたはただの"提督"かい?」

妖精「吹雪と大鳳にとってはお兄ちゃん。北上と利根にとっては親友。文月にとってはお父さん。そして大和にとっては愛する人なんだよ?」

提督「は?」

妖精「"提督"なんてのは軍属中の肩書きでしかないよ。少なくともあの娘達にとって必要なのは"提督"じゃなくて、その本質である"海原 櫂"そのものなんだとあたしは思う」

提督「俺そのもの?」

妖精「あの娘達は多分あんたから離れようとなんてしないよ。元帥と違って少数な分皆とあんたとの繋がりや絆が強いから」

提督「自立させねぇとな」ニガワライ

妖精「まぁ無理だね、諦めな」ニヤ

妖精「難しい事言ったかもしれないけど、あたしは例え皆が解体されても提督から離れはしないと思うよ。例え自分達がいかず後家になっちゃうとしても」

提督「・・・・・・分かった。ありがとう」

妖精「気にしない気にしない」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

28 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:13:47.37 6enVUVL30 296/504


任務当日

提督「さぁお前達、待ちに待った社会見学の日だ」

北上「何で提督は軍服なのさー?」

提督「俺は仕事だからだ」

ガチャ

副長「おー、皆揃っとるな」

提督「兄ぃ、久しぶりって、何かゲッソリしてね?」

副長「うん、まぁ・・・・・・あの娘に毎晩搾られた結果これよ」

提督「マジかよ」ゾッ

北上「おー、早速惚気けてますねー」ニヤニヤ

吹雪「港湾さん、もう同居してるんですか?」

副長「まぁな、俺が監視すんのも兼ねるっちゅうたら皆同意してくれたし」

大鳳「監視という名義ですよね」

副長「まぁそういうこっちゃ」

大和「それで、仕事の方は?」

副長「あぁせや、ほんなら目的地だけ伝えるわ、ほれ」つ紙

提督「えーっと、『ショッピングモール』と、『動物園』と、『孤児院』?」

副長「何処も車で一時間かからへんし、ちょっとよるぐらいやから一日で終わるで」

文月「車で行くのー?」

副長「せやけどなぁ、一つ問題あんねん」

提督「問題?」

29 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:14:30.21 6enVUVL30 297/504


副長「俺の車六人乗りやから、二人余んねや。どないしたらえぇやろか」

提督「あぁ、じゃあ俺がバイク出すよ。後ろに大和乗せてくから」

大和「え!?////」

提督「ん? 嫌か?」

大和「い、いえとんでもない! 是非////」

副長「決まりやな。ほな早速出発しよか」

副長「後なぁ仕事やけど軍服はあかんで櫂。私服で行くで」

提督「え、私服でいいのかよ?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

副長「おし、着いたで。最初の目的地、ショッピングモール」

吹雪「鎮守府(うち)の近所のショッピングモールよりずっと大きいですね」

提督「ん? 確かここって・・・・・・」

副長「せやで。ここは元大本営の艦娘、つまり櫂の姉貴達で営業しとるんや」

提督「やっぱりか」

吹雪「えぇ!? じゃあたった一つのショッピングモールじゃないですか!!」ギョッ

大和「元艦娘が営業している・・・・・・」

副長「とりあえずカフェで昼食とるか。えぇ店あんねや」ニヤニヤ

提督「メイドカフェか? 港湾の姉貴にチクるぜ?」

副長「ちゃうわ、アホ!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

30 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:15:08.39 6enVUVL30 298/504


北上「何ここ?」キョトン

吹雪「"カフェ Thunderbolt"!?」

利根「何とも威厳の感じる名前じゃな」

大和「カフェらしさが微塵も感じられないのですが」

提督「お前達見た目で物を判断するもんじゃねぇぜ。見ろ大鳳を」チラッ

大鳳「あぁ、ランチコースもいいけどパンケーキもいいなぁ。あ、でもサンドイッチも捨て難いし・・・・・・どれにしようかなぁ」ギラギラ ダラダラ

提督「目を爛々と輝かせて口からは滝のように涎垂らしてやがる。ほら涎拭けよ」つハンカチ

副長「まだ入るゆーとらへんのに」アキレ

艦娘(一ヶ月くらい何も食べてない肉食獣みたい)ゾッ

副長「まぁ目的地ここやし。入ろか」スタスタ

「いらっしゃいませ、何名様でしょうか?」

副長「八人や、禁煙席で頼むわ。後職場調査も兼ねとるけどな、電」

元電「副長さん、お久しぶりです。あ、櫂も久しぶり。大きくなったわね」

提督「久しぶり、電姉。何か落ち着いたなぁ、艦娘の時は『はわわ』とか『なのです』って言ってたのに」

元電「もう、言わないでよ恥ずかしいわ。では席にご案内しますね」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元電「ご注文はお決まりですか?」

副長「あぁ、ちょっと多いけどえぇか?」ウィンク

提督「! あぁ、確かに多いな」ニヤ

元電「大丈夫です、ご注文をどうぞ」

副長「ほな、いくで・・・・・・」

31 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:15:52.22 6enVUVL30 299/504


副長「先ずは"季節の野菜たっぷりサラダ"を大盛りで一つでもトマトとキュウリは抜いてな俺嫌いやから代わりにニンジンとキャベツ多めにお願い次は"ふわとろタマゴのサンドイッチ"を三つと"ジューシーハムベーコンサンド"三つ胡椒多めに振ってな後ハムとベーコンはちょい焦げ目がつくぐらいしっかり火ぃ通して次に"メチャ甘シロップパンケーキ"を二つバターは要らへんからどっちも抜いて後はシロップちょっと多めにお願いドリンクは"これぞレディの味! ブラックコーヒー"一つ砂糖とミルクは要らへんで次に"一番搾り果汁百%オレンジジュース"を氷抜きで二つ後パルプも抜いてな次に"カルピスソーダ"と"ジンジャーエール"を二つ"コーラ"一つ後は・・・・・・」

元電「はわわっ!? ちょ、ちょっと待ってくださいなのです!」ビクッ

提督「あ、口調戻った」

元電「えっと、サラダが三つでサンドイッチが五つ、じゃなくて、六つで・・・・・・」ハワハワ

「落ち着いて電、私がきちんと聞いていたわ」スタスタ

元電「雷ちゃん!」

元雷「もう副長さん、毎度電をからかうのやめてよね!」プンスカ

副長「ははは、堪忍堪忍。電からかうのおもろいからな。せやけど、『当店ではそのようなサービスは行っておりません』って感じで上手く流さなあかへんよ」

元電「お客様のご要望にはちゃんと答えたいのです」

元雷「! 櫂なのね!? 久しぶり、大きくなったわね!!」

提督「久しぶり、雷姉。電姉といい、何か身長伸びてねぇか?」

元雷「解体されたから私達も歳をとるようになったのよ!」

元電「と、とりあえずご注文を聞き返すのです」

艦娘(完全に口調戻ってる)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元電「では、しばらくお待ちくださいなのです」スタスタ

副長「はいよ~」ノシ

副長「いやぁ、おもろかった」ケラケラ

北上「いい趣味してるねぇ副長さんも」

提督「まさか毎度こんな事してんのか?」

副長「まぁな。このカフェ来たら大体しとる」

吹雪「電ちゃん可哀想ですよ」

文月「だよねー」

利根「とはいえ、このメニューかなり安いが
これで成り立っておるのか?」

副長「とある業界で人気なんやわ、こんな感じの店は」

32 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:16:28.93 6enVUVL30 300/504


「お待たせしました」スタスタ

「хорошо」スタスタ

提督「お、暁姉にヴェル姉」

元響「ヴェールヌイは呼びづらいだろう? 響でいいって言ってるじゃないか」

元暁「あっ!」カクッ

副長「おわ、危なっ!」パシッ

提督「うわ、暁姉大丈夫か!」ガシッ

元暁「これくらい大丈夫よ、暁はもう一人前のレディなんだから!」

元響「躊躇なく暁を見捨ててお盆を取ったね副長さん」コトッ

副長「あはは、つい・・・・・・」

元響「そういえば、ちゃんとロシア語は勉強してるかい?」チラッ

提督「う、最近ご無沙汰です・・・・・・」ギクッ

元響「Как это происходит?(調子はどうだい?)」

提督「っ!? Да, это сильно.(はい、好調です)」ビクッ

元響「・・・・・・うん、問題なさそうだ」ニコッ

提督「す、спасибо(ありがとうございます)」

元響「とりあえず客足も落ち着いたし雑談しても大丈夫だね。それで、櫂と一緒の皆は?」

元暁「櫂の鎮守府の艦娘よね? 今日は非番なの?」

大和「解体後の進路の参考にと思いまして」

元響「なるほど、確かに解体後どうするかは大変だからね。暁は最後まで迷っていたし」

元暁「も、もう! 恥ずかしいから言わないでよ!」

副長「まぁ、皆ちゃんと暮らせとるし問題あらへんな」

元響「うん、ただ一つ問題があってね」

提督「ん? 問題って何d・・・・・・」

33 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:17:13.15 6enVUVL30 301/504


「おいおい、電ちゃん俺らと遊ぼうよぉ!!」

提督「ん?」チラッ

元響「あぁ、また来ていたのか」

副長「何や騒がしいなぁ」チラッ

見ると電に言い寄る三人の男がいた。誰もが自己主張の激しい服を着てタバコを咥え、似合わない色に髪を染めている

元暁「電に言い寄ってくる迷惑な客よ」

「ほらほら誰も迷惑してねぇんだしさぁ」ニヤニヤ

元電「嫌なのです、辞めてください!」

「またまたぁ、そんな事言って恥ずかしがらなくてもいいんだよ?」

北上「あの三人かっこつけてんのかねぇ」

元雷「貴方達! 毎度毎度電に嫌がらせするの辞めてちょうだい、迷惑なのよ!!」

元電「雷ちゃん・・・・・・」ウルウル

「あぁ!? 客の言う事が聞けねぇのか!?」

「お客様は神様ですって言葉知らねぇのか!?」

「常識だぜ姉ちゃん!?」

吹雪「うわぁ、めんどくさいお客ですね」

副長「・・・・・・ブフッ」

副長「あははははははははははッッッ」

提督「あはははははははははは、ひーっ、ひーっ!!」バンバン

艦娘「」

「「「」」」

副長「ちょ、おま、聞いたか櫂!? 『お客様は神様』やってさ!!」ゲラゲラ

提督「『常識だぜ!?』だってさ、もう笑っちまうよ!!」ゲラゲラ

34 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:17:53.69 6enVUVL30 302/504


文月「? 司令官何で笑ってるの?」

吹雪「『お客様は神様』って、合ってるんじゃないですか?」

副長「あんなぁ、『お客様は神様』っちゅうんは、ある演歌歌手が言った"ものの例え"なんやわ」

提督「歌を唄う時にな、あたかも神前で祈る時のように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な藝をお見せすることはできない。だから、お客様を神様とみて、歌を唄う。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件だから、お客様は絶対者、神様なのですっていう、いわばその人の心得なんだ」

吹雪「そうなんですか!?」

副長「まぁ、それ以前に『お客様は神様』っちゅうんは店員側がそうやって心得るだけであって、客が言うべきもんやないでな。そもそもその人の言う"お客様"は聴衆やオーディエンスの事で、飲食店や商店の客やないで」

「「「っ!?」」」

提督「それを恥ずかしげもなく『常識』だなんて豪語しやがって・・・・・・」プルプル

副長「あかん、あかんてマジで・・・・・・」ハラカカエ

「おい、てめぇらさっきからうるせぇんだよ」

「関係ないやつは引っ込んでろ」

「ぶっ殺されてぇのか!?」

副長「おぉ、神様がえらい荒れとんなぁ。お供えもんが足らへんかったか?」ニヤニヤ

提督「兄ぃやめてやれよ、信仰が足らねぇから神様も怒ってんだって」ケラケラ

「っ!? てめぇぶっ殺す!!」ブンッ

提督「おぉおぉ鎮まりたまえ、神様よ」

副長「からかい過ぎたんは堪忍な、せやけどなぁ」チャキッ

ヒュヒュン

スパパパパパ・・・・・・

「「「・・・・・・え?」」」

ポトポトポト・・・・・・

副長「ここ禁煙席なんやわ、タバコは他所で吸ってくれるか?」ギロッ

「「「ひぃぃっ!?」」」ビクッ

北上「タバコの火の部分だけ器用に切り落としたねー」

「な、何で刀持ってんだよ!?」ガタガタ

「じゅ、銃刀法違反だぜ、犯罪者が!」

提督「まぁ、拳銃とか刀携帯しててもいい身分だし」ギロッ

副長「それに自分ら『ぶっ殺す』とか、脅迫罪やで? 警察呼ばれて危ないんはそっちなんちゃうか?」ギロッ

35 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:18:29.23 6enVUVL30 303/504


「くっ、くそぉ、二度と来るかこんな店!!」

提督「とか言いつつ、一週間後にはケロッと忘れてヒョコヒョコ足を運ぶ疫病神であった」

>アハハハハ
>ゲラゲラ

「っ!? ////」カァァッ

「くっ、くそっ!! ////」カァァッ

「覚えてやがれ!! ////」カァァッ

タッタッタッ・・・・・・

提督「悪ぃ、5分で忘れるわ」ケラケラ

副長「二度と面見せんなよぉ」ケラケラ

パチパチパチ・・・・・・

元電「副長さん、櫂、ありがとうなのです!」

元雷「これでしばらくは平和になるわ、本当にありがとう!」

大和「でも、あの人達お代払っていませんね」

提督「あ、確かに」

元響「大丈夫だよ、これくらいなら」

副長「あぁ、俺が払っとくわ。どうせ大したもん頼んどらへんやろし」

元暁「ありがとう副長さん」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

副長「いやぁ食った食った。おし、早めに食ったし仕事再開やな」

文月「? 司令官はぁ?」

吹雪「さっき響さん達に呼ばれてましたよ」

北上「まぁ姉弟として話がしたかったんじゃない?」

36 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:19:10.24 6enVUVL30 304/504


大鳳「うぅ、食べ過ぎたぁ・・・・・・」ウップ

利根「あの後更にお替わりしておったのぅ」

副長「食べ過ぎやわ大鳳」

大和「・・・・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

元暁「皆の進路の役に立ったかしら?」

提督「あぁ、きっと参考になったよ」

元電「良かったのです。安心したのです」

元雷「それにしても櫂。あの大和って人、本当にいい人ね!」

提督「自慢の彼女だ」

元響「乗り越えたみたいだね。安心したよ」

提督「今のところはな」

元雷「辛くなったら何時でも私達を頼ってね!」

元響「君は私達にとって大事な弟なんだ」

元暁「一人前のレディ、暁に頼ってね!」エッヘン

元電「なのです!」

提督「ありがとう皆」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元電「ありがとうございましたなのです」ペコ

提督(あれ以降口調戻っちまったよ)

北上「次は何処行くのさ?」

大鳳「まさか全店舗廻るつもりですか?」

副長「まさか、そんなん今日中は無理やって。とりあえず今日は食料品店とペットショップやな」

利根「食料品店とは、そこかの?」

大和「ですね」

37 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:20:11.05 6enVUVL30 305/504


「いらっしゃいませって、あぁ副長さん」

「いらっしゃい・・・・・・ませ・・・・・・」

副長「おぉ白雪に弥生か」

元白雪「櫂! お久しぶりです!」

元弥生「久しぶり・・・・・・櫂」

提督「白雪姉、弥生姉久しぶり。ここは吹雪型と睦月型の皆がいるのか?」

元弥生「そう・・・・・・」

「どうしたの白雪ちゃん?」スタスタ

「弥生ちゃんも」スタスタ

元白雪「あ、吹雪ちゃんに睦月ちゃん」

元吹雪「あ、副長さん。! 櫂も、久しぶり!」

吹雪「私!?」

元睦月「あ、櫂のところの艦娘だね! 吹雪ちゃんが二人いる!」

元吹雪「ホントだぁ、よろしくね」スッ

吹雪「は、はい!」スッ

「どうしたのぉ?」スタスタ

元弥生「あ、文月ちゃん・・・・・・」

元文月「ほわぁ、あたしがいる~」

文月「あたしだぁ~」キャッキャッ

北上「何かややこしい絵面だね」

副長「言うな、しゃあないやろ。とりあえず時間も押しとるし、軽く確認だけするで」

38 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:20:50.70 6enVUVL30 306/504


吹雪「あの、吹雪さん!」

元吹雪「何?」

吹雪「私、成長するでしょうか!?」クワッ

元吹雪「うーん、私はあまり成長してないかなぁ。諦めちゃダメだよ! きっと大きくなるから」

吹雪「はい!」キラキラ

元睦月「あ、如月ちゃん! 副長さんや櫂が来てくれたよ!」

元如月「あらぁ、久しぶり~」

副長「おぉ、無沙汰やな」

元文月「そのヘアゴム可愛い~」

文月「司令官に買ってもらったのぉ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「結構働いてたな。全員だから軽く十人は越してるぜ」

副長「睦月型や陽炎型は艦娘屈指の大人数やからな」

大和「あの、何で元艦娘の皆さんは提督の事を呼び捨てにしているのですか?」

提督「ん? 年上の姉貴達なんだから別に違和感ねぇじゃん」

北上「でも、何かキャラ的にちゃん付けしそうな人いたじゃん」

文月「あたしも呼び捨てしてたよー」

副長「んー、まぁ事情があんねや。お、ペットショップ着いたで」

39 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:21:28.42 6enVUVL30 307/504


「ぽいっ!」

副長「あ?」

提督「ん?」

艦娘「ぽい?」

提督「あ、夕立姉久しぶり」

元夕立「櫂、久しぶりっぽい!」

副長「おわ、えらいこっちゃ!」ガシッ

グイッ

元夕立「きゃあっ!?」

副長「おぉい店員さーん、犬が逃げ出しとんで~!」つ元夕立

元夕立「夕立は犬じゃないっぽい~!!」ジタバタ

「はいはい何でしょうか? って何だ、副長さんか。あ、櫂も久しぶり」スタスタ

副長「お、時雨! ちょうどえぇとこに、この犬ケージから逃げとんで」

元夕立「時雨ー、助けてっぽい~!!」ジタバタ

元時雨「毎度毎度夕立で遊ぶのは辞めてくれるかな、僕としても反応に困るんだ」

提督「何か、職務中の兄ぃの厳格さが失われつつあるな」

元時雨「これでも本当に集中してる時は鬼みたいだけどね」

提督「ここは白露型が経営してるのか?」

元時雨「そうさ、姉さんが店長、僕はその補佐。後が従業員で、村雨や夕立が主に接客してるんだ」

提督「接客・・・・・・ねぇ」チラッ

副長「さて、こいつ容れるケージ何処や?」キョロキョロ

元夕立「もー! いつまで夕立吊るされてるっぽ~い!!」ジタバタ

アッタマキタッポイ! ガブッ

イタッ、カムナアホ!

提督「あれが?」

元時雨「ノーコメントで」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

40 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:22:08.02 6enVUVL30 308/504


元夕立「吹雪ちゃんや睦月ちゃんには会ったっぽい?」

提督「あぁ、元気だったよ」

元時雨「このショッピングモールの皆は元気さ。そういえば提督はどうだい? あのお歳だから色々心配なんだ」

副長「ぴんぴんしとるが」

大和「ここには元駆逐艦の皆さんが勤めているのですか?」

元時雨「そうだよ。大本営の駆逐艦はほとんどここに勤めているんだ」

北上「でも不思議だね、何で一から店建てたのさ?」

吹雪「確かに、わざわざ店つくらなくても就職すればいいですよね」

元時雨「なかなか難しいんだ、元艦娘の就職は。僕達や吹雪型、睦月型みたいに姉妹揃って働きたいけど、大所帯だから全員が雇ってもらえないなんてザラだからね」

元夕立「だから、いっそ自分達で店をつくればいいって思ったっぽい!」

提督「さらっとものすごい事考えたんだな、皆」

大鳳「よく皆さんだけで経営していけますよね、店の経営なんて大変ですよ」

元時雨「まぁね。何人かはその為に大学に行って経営の分野とか、経済学を学んだって話さ。そう言う僕もその一人だよ」

利根「それまでの間はどうしておったんじゃ?」

41 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:22:52.38 6enVUVL30 309/504


元時雨「色々したさ、パートを探して短期で雇ってもらったり、深夜のバイトを姉妹交代で行ったり。そうこうして準備ができた時に駆逐艦の皆で集めたお金でこのショッピングモールを建てたんだ」

大和「夢のような話ですね。大変でしたでしょう?」

元時雨「もちろん、提督や他の皆にも支援はしてもらったさ。お陰でこのショッピングモールはどの店も好調、今じゃ連日大賑わいなんだ。今日もさっきまでお客が殺到してたんだよ」

副長「お、そろそろ混みそうやな。別の所も廻らなあかへんし、そろそろ行こか?」

提督「分かった。じゃあ時雨姉、夕立姉、ありがとうな。皆によろしく」

艦娘「ありがとうございました」ペコ

元時雨「応援してるよ、皆の進路」

元夕立「また来てっぽ~い!!」ノシ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督達が去った数分後、事務員達の控え室で数名の元艦娘が集まっていた。話題はもちろん、自分達の弟の事である

元吹雪「ねぇ皆、櫂の事どう思う?」

元夕立「大和さんと付き合っているし、もう乗り越えたっぽい?」

元睦月「それだといいんだけど・・・・・・」

元吹雪「暁ちゃん達はどう思う?」

元暁「暁は問題ないと思うわ」

元響「そうかな? 私は完全には乗り越えてないと思うな」

元時雨「僕もさ。まだ心の片隅にあのトラウマがへばりついてると思う」

元白雪「とりあえず、他の皆にも伝えますね」

元雷「そうね。何かあったら」

元電「電達が励ますのです!」

元吹雪「でもそれは櫂が頼ってきた時だね。あの子の傍にいるのはもう私達じゃない。櫂には仲間がいる。私達は櫂や皆を見守るべきだと思う!」

元駆逐艦達「うん!」

ーー
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42 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:23:43.09 6enVUVL30 310/504


副長「さぁ着いたで。第二の目的地、動物園」

文月「ほわぁ、動物園楽しみ~」キャッキャッ

提督「遊びに来たんじゃねぇぞ?」

北上「ここは誰が働いてるのさ?」

副長「自分や」

北上「へ?」

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提督「まさか憲兵の身分証で通してもらえるなんてな」

副長「元艦娘が働いとる所限定やでな。ちょい園長に顔出してくるわ、待っとってな」スタスタ

??「あ、櫂じゃねぇか!」

提督「! 木曾姉、久しぶり」

元木曾「久しぶりだなぁ、元気してたか?」

北上「あ、木曾じゃん」

元木曾「うぉっ、北上姉さん・・・・・・別人だけど」

北上「え、ここあたしもいるの?」

元木曾「おう、ここは球磨型の皆が働いてるんだぜ」

提督「上の二人は飼われてる側じゃね?」

元木曾「それは言っちゃいけねぇ」

吹雪「因みに木曾さんは何の担当何ですか?」

元木曾「俺は両生類と爬虫類、あと鳥類の担当なんだ。二時間後に猛禽類のショーをやるんだ、観てってくれよ!」

副長「お待たせ~って、おお木曾か久しぶりやな」

元木曾「し、師匠!?」

副長「まぁな、今日は定期の調査なんやわ」

43 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:25:00.57 6enVUVL30 311/504


元木曾「師匠、俺二時間後にショーやるんだ、観てってくれよ!」

副長「二時間後か・・・・・・まぁ大丈夫やな、それまで他の四人の所行っとるわ」

元木曾「ありがとう! 皆も絶対来てくれよな!」タッタッタッ

北上「師匠?」

副長「木曾や他の奴らに剣を教えとった事があるんやわ」

大和「あぁ、そのような事言ってましたね」

副長「よし、二時間までたっぷりあるし、廻ってこか。最初は猛獣の所やな」スタスタ

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吹雪「大きな熊ですね~」

提督「エゾヒグマか、かなり大きいなぁ」

文月「このクマさん寝てるね~」

??「今お腹いっぱいで寝てるんだクマ」

提督「あ、球磨姉」

元球磨「やっぱり櫂だったクマ、久しぶりだクマ」

副長「檻から出て大丈夫なんか自分?」

元球磨「球磨は熊じゃないクマ、夕立とかもそうだけどこのネタいつまで続くクマ!?」

副長「俺がくたばるまでや」

吹雪「ですよね・・・・・・」ニガワライ

提督「球磨姉は確かイヌ科とクマを担当してるんだっけ?」

元球磨「そうクマ。ネコ科は多磨がしてるクマ」

44 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:25:42.02 6enVUVL30 312/504


文月「あ、クマさん起きた~」

提督「何か機嫌悪そうだな」

元球磨「あいつ最近機嫌悪いクマ。残しておいた餌をカラスに食べられたんだクマ」

ヴゥゥゥゥ・・・・・・ ノッシ、ノッシ

大和「! 隣のケージの方に向かいましたよ?」

北上「ツキノワグマのケージじゃん」

グォォォォォォォッッッ!!

提督「な、何かイチャモンつけてねぇか?」

元球磨「またケンカ売りにいったクマ」スゥゥ

副長「ん?」

元球磨「ヴォーーーーッッッ!!!!」

ビクッ

元球磨「ケンカ吹っかけてんじゃねークマ、大人しくするクマ!!」

北上「まさかの吠えて大人しくさせる」

提督「流石球磨姉、えげつねぇ」

45 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:26:32.28 6enVUVL30 313/504


??「何ニャ、うるさいニャー。またゴローが暴れたのかニャ?」スタスタ

元球磨「あ、多磨だクマ」

元多磨「副長さん、櫂、久しぶりだニャ」ゴトン

提督「久しぶりって、多磨姉そのバケツは?」

元多磨「今からシバ達とキキに餌あげるんだニャ」

文月「餌やりしたーい!」

元多磨「止めといたほうがいいニャ、ほら」グイッ

多磨と球磨はそれぞれ右足のズボンと左袖をたくし上げた。そこには

文月「っ!?」

吹雪「!?」

提督「・・・・・・爪や牙の痕・・・・・・か」

元多磨「あいつらにとって遊んでるつもりでもこっちはこのザマだニャ」

元球磨「ここに来た頃にそこのゴローにやられたクマ。あの時はすごい怪我だったクマ」

副長「文月のトラウマになるやろ、やめぇや」

元多磨「動物園では飼育員の言う事は聞いておいた方がいいニャ」

文月「うん」

元多磨「とりあえず、多磨がいれば大丈夫だし、特別に体験させてやるニャ」スタスタ

文月「やったー!」

北上「・・・・・・」

大和「どうしました?」

北上「あたしの姉達がワイルド過ぎて驚きなんだけど」

提督「まぁそんなもんだろ、あの二人は」

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46 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:27:23.90 6enVUVL30 314/504


元多磨「まずはシバ達の餌ニャ」

吹雪「シバ?」

元多磨「この動物園の人気者、ホワイトライオンだニャ」

北上「シバって誰がつけたのさ」

元球磨「名前は球磨達がここに就職した時に既についてたクマ。名付け親も名前の意味も知らんクマ」

文月「ほわぁ、ライオンだぁ」

提督「へぇ、見事なホワイトライオンだ」

大和「美しい色ですね」

吹雪「でも、何で白なんですかね?」

利根「アルビノとやらではないのか?」

提督「ホワイトライオンの場合は大昔、氷河期の祖先の遺伝子が隔世的に発現したものらしいぜ」

元多磨「氷の世界では隠れられてもサバンナでは目立ちすぎだニャ。そのせいでなかなか獲物が捕れずに餓死するから数が少ないニャ」

副長「詳しいやないか」

元球磨「職業柄、この手の質問が多いから知らないわけにいかないクマ」

元多磨「とりあえずシバ達に餌やりするニャ」ゴトン

バケツの音に反応してライオン達が集まってきた。七頭のライオンが大口を開けて餌を催促する

北上「因みに本日の献立は?」

元多磨「鶏丸々一羽を全員分だから、鶏七羽だニャ」

そう言って多磨は次々とバケツから肉を掴み取り、投げ入れた。果たして七つの肉塊は見事にそれぞれの口に一個ずつ納まり、ライオン達はその場に座り込み肉にかぶりつく

副長「えらいがっついとんなぁ、断食でもしとったんか?」

元多磨「動物園では肉食獣には毎日餌はあげないニャ。シバ達も二日に一回あげるだけニャ」

吹雪「えぇ!? ちゃんとご飯あげないと可哀想ですよ!」

提督「これが普通だ。あいつらは野生ではいつでも餌にありつけるわけじゃねぇからな」

大和「逆に毎日あげたらいけないって事ですね」

元多磨「次はキキだニャ」スタスタ

大和「キキ?」

元多磨「若いシベリアトラの雌だニャ」

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47 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:28:26.31 6enVUVL30 315/504


元多磨「次は文月ちゃんに手伝ってもらうニャ」

文月「ほんと~? やったぁ~」

元球磨「キキの餌やりは見ていても楽しいクマ」

手伝いのため多磨についていく文月と別れ、提督達はシベリアトラのキキの飼育場に向かう。しばらくすると

提督「おぉ、これが」

北上「でっか・・・・・・」

吹雪「シベリアトラのキキちゃん」

利根「すごい迫力じゃな」

大和「大きいですね」

副長「ウロウロしとんなぁ」

元球磨「あ、多磨が来たクマ」

強化ガラスで覆われたトラの檻の上に多磨と文月が立つ。檻の端から文月が肉を提督達の近くに投げ込んだその瞬間


ガォォォォッ


2mはあろうその巨体を宙に浮かし、トラが肉を空中でキャッチする。それを間近で見た皆は


吹雪「うひゃあ!?」ビクッ

副長「ナイスキャッチ!」

利根「天晴れじゃ!」

北上「すごいジャンプ力」

提督「お見事!」

大和「すごいです!」

元球磨「いつ見ても大迫力だクマ」

>オイ、キキノエサヤリシテルゾ!
>ミタイミタイ!

提督「お、客来るから退こうか」

その後数分間トラの餌やりは続き、絶えず歓声が響いた

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48 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:31:28.19 6enVUVL30 316/504


提督「文月お疲れ様、すごかったぞ」ナデナデ

文月「えへへ~、楽しかったよ~」

元多磨「木曾には会ったみたいだし、後は北上と大井だニャ」

北上「お、ついにあたしに会う時かー」

元球磨「二人は草食動物の担当だクマ。北上が大型動物で、大井が中型や小型の担当クマ」

副長「おおきに。ほな俺ら行くわ」

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文月「ゾウさんだ~」キャッキャッ

提督「アフリカゾウか、しかも雄だ」

吹雪「何で性別判るんですか!?」

??「アフリカゾウは額の形で雌雄が判断できるんだ」スタスタ

提督「あ、北上姉」

北上「おー、あたしだ」

元北上「元気してたー?」

提督「まぁな。何か様になってんなぁ北上姉」

元北上「褒めても何も出ないよん」

副長「北上、大井はどうしたんや?」

元北上「大井っちはあと少ししたら来るんじゃない?」

49 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:32:04.96 6enVUVL30 317/504


??「北上さぁん!」タッタッタッ

提督「大井姉、久しぶり」

元大井「あら久しぶりね、櫂」

北上「あぁ大井っちだ」

元大井「っ!? き、北上さんが二人も!? あぁ」フラッ

提督「うわ、大井姉!?」

大和「だ、大丈夫ですか!?」ガシッ

元大井「す、すみません。あぁ、北上さんが二人もいるだなんて・・・・・・」ウットリ

元北上「大井っち、もう仕事終わったの?」

元大井「はい、今は少し休憩時間です」

北上「流石大井っち、仕事が早いねぇ」

元大井「ありがとうございます、北上さん!!」

副長「二人の北上を相手に会話する大井・・・・・・ややこしいなぁ」

提督「大井姉にとっては"北上"は同じ存在なのか?」

50 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:32:44.04 6enVUVL30 318/504


『御来場のお客様にご連絡致します。まもなく"第三広場"にて、『猛禽類ショー』を開催致します。奮って御観覧ください。繰り返します、まもなく・・・・・・』

提督「ん? これ確か木曾姉が言ってたやつだ」

副長「よし、行くか」

元北上「お~、木曾の晴れ舞台観てきてあげてねー」

元大井「ではまた後で」

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北上「さーて、どんなショーなのかね~」

吹雪「猛禽類ってどんな鳥でしたっけ?」

利根「確か鷲や鷹の事じゃったと思うぞ」

副長「あと梟や木兎も猛禽類やで」

文月「かっこいい鳥さんなのぉ」

大鳳「ワクワクします!」

大和「確かに、木曾さんがどんな鳥のショーを見せてくださるのか楽しみです」

提督「お、木曾姉が出てきた」

51 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:34:36.69 6enVUVL30 319/504


元木曾「それでは皆さん、今から猛禽類のショーを行いたいと思います! まず最初に芸を見せてくれるのは、このチャコ君です!!」

現れた木曾は艦娘の時に愛用していたマントを羽織り、その右腕には一羽の黒褐色の鳥を乗せていた。その様は驚く程に似合っており、周囲の観客を沸かせる

副長「ほぇぇ、よぉ似おてるが」

北上「あの鳥は、ハリスホークかな?」

吹雪「ハリスホーク?」

文月「なぁに~それー?」

提督「ハリスホークはモモアカノスリって鳥の別名だ。社会性を持つ特異性質から比較的訓練しやすいんだ」

利根「相変わらずすごい知識じゃなぁ」

提督「俺の数少ない取り柄だよ」

大和「すごい取り柄だと思いますよ」

大鳳(唐揚げ食べたくなりました)

元木曾「今からチャコに芸を見せてもらうけど、そのためにはもう一人に手伝ってほしいんです! どなたかやってみたい方はいませんか?」

吹雪「はい!」サッ

元木曾「(お、吹雪ちゃんか)ではそこのお嬢さん、前に出てきてください」

吹雪「司令官、行ってきます!」

提督「おう!」

大和「頑張ってきてくださいね!」

タッタッタッ

元木曾「よし、じゃあお嬢さん。左手にこの手袋を着けて」つ手袋

吹雪「よいしょっと、できました」

すると木曾は腰の袋から肉の塊を出して吹雪の左手の親指と人差し指で摘むようにと指示した

元木曾「いいか、絶対に肩より腕を下に下げるなよ。もし下げたら鳥が登ってくるかもしれねぇからな」

吹雪「っ! はい!」

言われた通りに吹雪は左手を斜め上に伸ばす。これにより、ちょうど木の枝の様な形となった。それを確認した木曾は、吹雪から10m程離れた場所に移動した。

52 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:35:37.36 6enVUVL30 320/504


元木曾「それではチャコを放ちます。チャコはちゃんとお嬢さんの腕に止まるでしょうか」スッ

吹雪「っ・・・・・・!」ゴクッ

提督「さて・・・・・・」

副長「どうなるやろか」

元木曾「・・・・・・行けっ!」グッ

ハリスホークを乗せた左手を前に突き出す木曾。勢いよく吹雪に向かって飛び立つハリスホーク。そのまま低空飛行から見事に吹雪の左手に止まった。観客席からは拍手喝采が起こる

吹雪「うわぁ・・・・・・」キラキラ

吹雪は自分の正面から飛んできた鳥の迫力とその優雅さに感嘆の声を洩らす。当のハリスホークはというと吹雪の持っていた肉を鉤状の嘴と爪を使って一心不乱に貪っていた

元木曾「ありがとう吹雪ちゃん、かっこよかったぜ。ほら、手伝いのお礼の飴玉やるよ」

吹雪「ありがとうございます!」ウケトリ

元木曾「さぁ皆さん! ショーを手伝ってくれたこのお嬢さんに今一度大きな拍手を!」

元木曾「さぁまだまだいきますよ! 続いて芸を見せてくれるのは・・・・・・」

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副長「いやぁ、すごかったなぁ木曾!」

北上「さっすが、あたしの妹だよ」

元木曾「へへ、皆も見てくれてありがとうな!」

提督「にしてもあれだな、木曾姉がまさかあんな敬語使うパフォーマーになってたなんて」

元木曾「俺だって敬語ぐらい使えるぞ!」

吹雪「私も文月ちゃんもいい思い出ができましたよ、ありがとうございました!」

元多磨「ああいうのはやっとかないと損だニャ~」

元北上「その結果身体に傷がつくとかたまったもんじゃないね」

元大井「私達も人の事言えませんよ北上さん」

大和「・・・・・・皆さんは」

元多磨「!」

元球磨「何だクマ?」

大和「皆さんは何故動物園の飼育係をしようと思われたのですか?」

元大井「私は北上さんについていっただけです」

元木曾「俺も姉さん達をほっとけねぇって思ったから」

元北上「あたしは成り行き任せ」

副長「理由軽っ!」

53 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:36:51.45 6enVUVL30 321/504


元球磨「球磨は元々自分が獣っていじられてたのもあるし、何より動物が好きだったからだクマ」

元多磨「結果やりたかった仕事をできたし、怪我もまるで勲章みたいで誇らしいもんだニャ」

元木曾「やっぱ、やり甲斐のある仕事ができりゃ最高だよなぁ」

艦娘「やり甲斐のある・・・・・・」

元球磨「皆は何か無いクマ?」

吹雪「私はまだ見つかってません・・・・・・」

文月「あたしも~」

北上「あたしもさっぱり。今一ピンと来ないんだー」

元北上「おぉ、流石あたしだ」

大鳳「私は食べる事が好きだし、食べる仕事で稼げたらいいなぁって思ってます」

利根「吾輩は料理人を目指しておる。提督と約束もしてあるしのぅ」

大和「大和は・・・・・・」チラッ

提督「ん?」

元多磨「まぁ、元から決まってるならそれに向かって努力すればよし、決まってない人の参考になれば嬉しいニャ」

提督「ありがとうな球磨姉、多磨姉」

54 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:37:31.82 6enVUVL30 322/504


副長「そろそろ最後の所行こか」

提督「じゃあ、今日はありがとう」ノシ

艦娘「ありがとうございました」ペコ

元球磨「またいつでも来るクマー」ノシ

元多磨「待ってるニャ~」ノシ

元北上「じゃあねー」ノシ

元大井「身体に気をつけてくださいね!」ノシ

元木曾「あばよ~!!」ノシ

ブロロロロロロロ・・・・・・

元球磨「・・・・・・皆、櫂の事どう思うクマ?」

元北上「まさか恋人つくるなんてねぇ」

元大井「もうあの娘の事は乗り越えたのかしら?」

元多磨「だといいんだけどニャァ」

元木曾「何かありゃ俺達が助けてやりゃいいさ。あの七人を見守ろうぜ」

元球磨型「(クマ)(ニャ)(だね)(そうね)」

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55 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:38:30.60 6enVUVL30 323/504


提督「で、ここが最後の『孤児院』か」

副長「櫂、ちょいえぇか?」ゴニョゴニョ

提督「んぁ?」

ーー
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提督「お邪魔しまーす」スタスタ

艦娘「しまーす」スタスタ

??「ん? もしかして櫂か!?」

??「あらぁ、久しぶりね~」

提督「久しぶりだなぁ天龍姉、龍田姉」

元天龍「何だよ、ここに俺達がいるって何で分かったんだ?」

提督「親父からの任務でね」

元龍田「司令からの~? 司令はお元気~?」

提督「あぁ。まだまだ元気さ」

提督「ここは天龍姉達以外の先生はいねぇのか?」

元天龍「まさか。俺はこの孤児院の院長様だぜ!」

元龍田「天龍ちゃん支えるのに私だけじゃ大変なのよ~?」

??「っ!? もしかして櫂!?」

タッタッタッ

提督「あ、高雄姉! って事は」

56 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:39:41.43 6enVUVL30 324/504


??「ぱんぱかぱ~ん!!」ダキッ

ムギューッ

大和「なっ!?」ギョッ

提督「おわっ、愛宕姉!?」ビクッ

元愛宕「なぁにぃ、こんなイケメンに育っちゃって。お姉ちゃん一目惚れしちゃったわよぉ?」クリクリ

提督「うわ、ちょ、止め・・・・・・」

ガシッ

提督「おわっ!?」グイッ

大和「大和の提督に何するんですか!」ギューッ

元愛宕「あらぁ残念」ペロリ

元高雄「もう、何をしてるんですか愛宕!」

元高雄「ごめんなさいね櫂・・・・・・っ!?」ハッ

大和「あ、あの、先程はついカッとなってしまい申し訳ございませんでした」ペコ

元愛宕「いいのよぉ、私も久々に可愛い弟をついからかいたくなっちゃったの」

元高雄「もう。改めて、高雄です」ニコッ

元愛宕「愛宕で~す!」

大鳳「ぐはぁっ!?」ゴパッ

提督「大鳳!?」ギョッ

ーー
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提督「にしても高雄型の四人もいたなんて」

元鳥海「少し興味があったんです、こういうの」

元摩耶「あたしは結構楽しいぜ、皆とこう賑わいながら過ごすの」

キャッキャッ

文月「あははは、待て待て~」キャッキャッ

ワイワイ、ガヤガヤ

吹雪「あ、ここはこう折ればっと。ほら、鶴さん折れたよ」

一段落した後、提督達は天龍達に案内されテーブルへとついていた。すぐ側のスペースでは、年少の子供達に混ざって文月が鬼ごっこを、少し離れた場所では吹雪が少し年長や低学年と折り紙をしている

元天龍「なぁ櫂、お前ちっとは剣の練習してるのか?」

提督「いや全然。ただ筋トレしてるぐらい」

元天龍「そうか。うっしゃ、俺がいっちょ鍛えてやるよ」

提督「え、今から!?」

元龍田「うふふ~、私も久々に血が騒いじゃう~」ニコニコ

提督「えぇ!? 二対一!?」ギョッ

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57 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:40:43.29 6enVUVL30 325/504


提督「何で竹刀や竹の薙刀があるのさ」つ竹刀

元龍田「天龍ちゃんが男の子を鍛えてるのよ~」つ薙刀

元天龍「俺様の剣技、見せてやるぜ!」つ竹刀

天龍達に連れられ、提督は中庭に立っていた。天龍と龍田はそれぞれ竹刀と薙刀を持っている

元天龍「行くぜ!」ダッ

提督「おわっ!?」バッ

バシィッッッ

元天龍「オラオラァ、その程度かよ!!」ブン

元龍田「行くわよ~」ダッ

天龍の猛攻を防ぐ提督の背後から龍田が薙刀を一閃させる

提督「っ!?」サッ

ヒュッ

元龍田「あらあらぁ、避けられちゃったぁ」グルグル

天龍に代わり龍田が攻めた。力任せの姉と違い、巧みに薙刀を操って追い詰める。
打ち込めば薙刀を前で回転させていなし、しゃがめば斬り下ろし、後ろに下がれば突きがくる。流れるような動作で相手を確実に追い詰める龍田に提督は終始圧倒された

提督「くっ!」

元龍田「足元注意♪」ブン

バシィッッッ

提督「うわっ!?」フラッ

大和「提督!」

ドシャッ

倒れた提督に薙刀を突きつける龍田。勝負ありだ

元天龍「あ~あ、また龍田がいいとこ持ってきやがって」

北上「にしても強いねー」

元天龍「おう、俺が一番だ!」

元龍田「もう、天龍ちゃんったら~」ニコニコ

提督「でも兄ぃがいたらなぁ。色々指導してもらえるんだけど」

元天龍「へっ、師匠なんてもう目じゃねぇな! 俺達は既にあの人を超えてるぜ!」

元龍田「確かにねぇ~」

北上「あぁあ、知~らない」

提督(・・・・・・かかったな)

58 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:42:39.06 6enVUVL30 326/504


副長「ほぅぉ、言うてくれるやないか」スタスタ

元天龍元龍田「っ!?!?」ビクッ

副長「いつの間にか、えらい調子乗るようなったなぁ自分ら」ビキビキ

元天龍「あ、あわわわ・・・・・・」ガタガタ

元龍田「ひぃぃッッッ!?」ガタガタ

副長「櫂、竹刀貸せ。このバカ弟子どもしばいとるから、皆は飯作っとりや」

提督「程々にな」スッ

元高雄「じゃ、じゃあお夕飯の支度をしましょう」スタスタ

艦娘「はーい」スタスタ

「天龍先生と龍田先生は?」

元愛宕「ちょっと遊んでくるらしいわ~」スタスタ

元鳥海「流石に擁護しきれません・・・・・・」スタスタ

元摩耶「二人の骨は、何とかして拾っといてやるよ・・・・・・」スタスタ

提督「ごゆっくり~」スタスタ

副長「さぁて、楽しもや。・・・・・・じっっっっくりと」ボキボキ

元天龍元龍田「ひっ・・・・・・」ガタガタ

ギャァァァァァァァァァァァァッッッ!?

ーー
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ーーーーーー

大和「・・・・・・」ザクザク

元高雄「お上手ですね」ザクザク

大和「いえ、利根さんに比べれば大和なんて」

元高雄「・・・・・・」

大和「? どうかされました?」

元高雄「いいえ。何でもありません」

大和「?」

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59 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:43:15.03 6enVUVL30 327/504


副長「いやぁ運動した後の飯は美味いなぁ」

元天龍「ふ、ふふふ、怖いか?」ボッコボコ

吹雪「す、すごい顔になってる」

文月「風船みたーい」キャッキャッ

提督「ある意味怖いな」

元龍田「あぅぅ」ボッコボコ

大鳳「唇がタラコみたいですよ!?」

利根「たん瘤が五つも・・・・・・」

北上「女だろうが容赦なくボコる副長さん流石っすわ」

副長「刀握っとる奴に男も女もあるか」

元鳥海「もう、お二人とも無茶し過ぎですよ」

元摩耶「死ななかっただけ奇跡だぜ」

大和「でもやり過ぎですよ副長さん」

副長「まぁそら堪忍」

提督「・・・・・・使うか?」つ傷薬

元天龍「おぉ、妖精薬! サンキュー」ヌリヌリ

元龍田「ありがと~」ヌリヌリ

元龍田「あ~痛みが和らいでく~」

60 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:43:54.25 6enVUVL30 328/504


提督「なぁ天龍姉、龍田姉」

元天龍「あん?」

元龍田「なぁにぃ?」

提督「二人は、何で孤児院やろうと思ったんだ?」

元天龍「俺達は現役の時に、何度も遠征に行ってた。その度にずっと考えてたんだ」

元龍田「深海棲艦の侵攻で親を亡くしたりした子供達、戦争に限った話じゃなく親がいない子供達を救えないかしらって」

提督「それで孤児院を?」

元天龍「何でか俺はちびっ子に好かれやすい質だったし、お前を育てるのも楽しかったんだ。だからできる限り多くの子供を幸せにしたかった」

元高雄「私達も同じ思いでした。なのでこの孤児院の職員として働いています」

艦娘「・・・・・・」

元天龍「俺達が戦っている裏ではその影響で苦しんでいる人達がいる。だからそんな目に合わしちまった償いも兼ねての行いだ。二度と皆に辛い思いをさせねぇためにな」

提督「・・・・・・」

副長「えぇこっちゃ。お前らの想いはよぉ分かった!」ナデナデ

元天龍「師匠・・・・・・!」

北上「そうだよ。立派な考えだよ」

大鳳「すごく立派です!」

提督「・・・・・・」

元高雄「櫂、少しいい?」

提督「! あぁ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

元高雄「私、安心しました」

提督「?」

元高雄「貴方があの事を乗り越えてくれたみたいで」ツーッ

提督「・・・・・・今のとこは、だけど」

元高雄「大和さんは本当にいい人です」ポロポロ

元高雄「本当に・・・・・・心配していたんですよ」スッ

提督「高雄姉・・・・・・」グイッ

涙を流す高雄は提督をゆっくり抱き寄せ、その胸に自らの顔を押し付ける。提督はそんな姉を静かに抱きしめた

元高雄「良かった・・・・・・貴方が大和さんのような人に会えて。・・・・・・・本当に、本当に良かった・・・・・・!」ギューッ ポロポロ

提督「・・・・・・」ギュッ

提督「高雄姉・・・・・・ありがとう」ナデナデ

ーー
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61 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:44:29.86 6enVUVL30 329/504


副長「そろそろ帰るか、もうそろそろ23時やが」

元摩耶「泊まってきゃいいじゃんかよ」

元龍田「部屋なら空いてるわ~」

北上「ダメだよ、副長さんには奥さんがいるんだから」

元天龍「えっ、師匠結婚したのか!?」

副長「何やその意外そうな顔は」

元高雄「驚きですよ、あの副長さんが結婚だなんて」

元愛宕「あの副長さんがねぇ」

副長「・・・・・・お前らの中の俺は一体どんな評価されとんねや」ガックリ

元摩耶「剣に生きる男」キッパリ

元龍田「剣が恋人~」ニコニコ

元天龍「剣じゃなきゃ満足できねぇ男!」

副長「しばいたろか天龍?!」クワッ

提督「俺達はどうする?」

大和「大和はどちらでも」

文月「あたしは帰る~」

吹雪「私もです」

利根「吾輩は泊まっても構わんぞ」

大鳳「私もう眠いですよ~」フワァァ

北上「あたしはどっちでもいいよ~」

提督(よくよく考えりゃ、バイクじゃ一人しか乗せられねぇし、兄ぃに乗せてってもらうしかねぇか)

62 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:45:29.21 6enVUVL30 330/504


副長「櫂達はどうする?」

提督「帰るよ。兄ぃ、皆を車で頼むわ」

副長「分かった。ほら車組はこっちや」スタスタ

スタスタスタスタ・・・・・・

提督「さて、バイク出してくるか」スタスタ

元高雄「・・・・・・大和さん」

大和「はい?」

元高雄「櫂の事、どうかよろしくお願いします」ペコ

大和「! ・・・・・・もちろんです」

元天龍「とりあえず見送りに行ってくる」スタスタ

元摩耶「あたしと鳥海は皆寝ちまったし残るよ」

元愛宕「お願いねー」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元龍田「うぅ、かなり冷えるわ」フルフル

副長「見送りせんでもえぇのに」

提督「まぁまぁ。んじゃ、またな」ノシ

艦娘「ありがとうございました」ペコ

元天龍「おう、また来いよ!」ノシ

元龍田「待ってるわ~」ノシ

元愛宕「バイバ~イ」ノシ

元高雄「さようなら~」ノシ

ブロロロロロロロ・・・・・・

元天龍「行っちまったか・・・・・・」

元龍田「久々に賑やかだったわね~」

元愛宕「・・・・・・一安心。よね、高雄ちゃん?」

元高雄「えぇ。本当に・・・・・・」ニコッ

63 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:46:14.40 6enVUVL30 331/504


元天龍「榛名さんと高雄さんは特にあいつの事可愛がってたもんな」

元龍田「天龍ちゃんもいいお姉ちゃんしてたわよ~」ニコニコ

元天龍「っ!? お、俺ぁただあいつがいつも泣きべそかいてやがったから発破かけてやってただけだ!!////」

元愛宕「お陰で逞しい子に育ったわね」

元天龍「へっ。あのガキンチョが今となっちゃ立派な提督様か」ニッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

鎮守府

提督「今日はこのまま解散でいい。ゆっくり休め」スタスタ

艦娘「はっ!!」ビシッ

提督「それと、もうそろそろその堅苦しい敬礼を止めろ。お前達は直に軍人じゃなくなるんだから、社会人らしい挨拶にしねぇとな」

北上「お疲れッス先輩!」

大鳳「今日も大活躍でマジ尊敬ッス!」

提督「お前達は学生か・・・・・・。でもまぁ、今はそんなもんか。じゃ、お疲れさん」スタスタ

大和「あ・・・・・・」トコトコ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「何も秘書艦仕事しなくても」カリカリ

大和「なら提督も休んでください」プクーッ

提督「報告書作るだけだ。さっさと寝ろ、もう天辺越えてるぞ」カリカリ

大和「そっくりそのままお返しします。早く寝てください、もう1時前ですよ」

提督「まぁ待て、後は判子押してっと」ペタン

64 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:47:19.73 6enVUVL30 332/504


提督「提出は明日・・・・・・じゃねぇや、今日の朝にしときゃいいか」

大和「さぁ終わりましたよ。早くお休みください」

提督「分かったから。つうかお前は何で部屋に戻って寝ねぇんだ?」

大和「? 何故恋人と寝たいと思ってはいけないのですか?」キョトン

提督「っ!? か、勝手にしろ! ////」

大和「はい♪」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

一週間後

提督「とうとう明日か」

吹雪「この艦娘としての身体も今日が最後ですね」

文月「あたし達解体されるの~?」

北上「そうだよ、丸鋸やレーザーのある実験室に連れてかれて・・・・・・」

吹雪文月「ひぃっ!?」ビクッ

提督「んなわけねぇだろ」バコッ

北上「痛っ!?」

大鳳「空母や戦艦の食事量も常人並になるそうです」

利根「なら今日は最後の晩餐じゃな。艦娘として心ゆくまで食べてほしいのぅ」

大和「・・・・・・」

提督「? どうした大和?」

大和「!? な、何でもありません////」フイッ

提督「?」

北上「提督~、女の子にこれ以上言わせるのは失礼じゃないの~?」ウリウリ

提督「?? どういう事だ?」

北上「大和さんはねぇ、『艦娘である大和を抱いてください』って思ってんのさ」ニヤニヤ

提督「はぁ!?////」

大和「ちょっ!?////」

65 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:48:18.90 6enVUVL30 333/504


北上「あれ~? 違うの?」ニヤニヤ

大和「き、北上さん何を・・・・・・大和にだって心の準備が・・・・・・////」ボソボソ

北上「あれだけ露骨にイチャついて、寧ろ何で今までやらなかったのさ?」

大和「うぅ・・・・・・////」

提督「と、とにかくだ。今日はお前達にとって艦娘としての最後の日だ。艦娘としてやり残した事がないように行動しろ」

大鳳「では利根さん、お願いしてもいいですか?」

利根「うむ! たんと食べるがよい!」

北上「あたしもちょっと頂こうかな~」

文月「あたしも~」ノシ

吹雪「じゃ、じゃあ私もお願いします!」

提督「明日の分は残しとけよ利根」

利根「その辺りはちゃんと考慮しておる」

大和「大和もよろしいでしょうか?」

提督「構わねぇさ、楽しんでこい」

提督「とりあえず・・・・・・その気なら夜にここに来な」ヒソッ

大和「! はい!」パァァ

ワイワイガヤガヤ

ガチャ・・・・・・パタン

提督(さてと。流石にあの人数が心ゆくまで食ったら食料がやばいな。今週末にでも買い出し行くか。俺はあいつらの晩餐に出る必要もねぇし・・・・・・)

提督「・・・・・・鰻重の出前でも取るか」

66 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:49:04.41 6enVUVL30 334/504


ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ・・・・・・

突如鳴り響く着信のバイブ音。提督は棚の上にある携帯端末を手に取る。普段職務の連絡など仕事関連の場合は、部屋の固定電話からかかってくる。第一彼に携帯(私用)で連絡しようとする人物は家族を除けば数人しかいない

提督「マナブか、何だ?」

友提督『あぁ悪い、今大丈夫か?』

提督「特に用事はねぇな。大丈夫だ」

友提督『今からビスマルクとそっちに行くから。一緒に昼飯食ってもいいか?』

提督「はぁ!? 今から!? そして他人の鎮守府で飯!?」

友提督『大丈夫さ、こっちでちゃんと持ってくから。じゃ、また後で』

提督「ちょ、おい!! ・・・・・・切りやがった」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

友提督「よぉ、久しぶり」

提督「・・・・・・本当に来やがった」

ビスマルク「すみません櫂さん。Admiralが急に」

提督「いや、こっちも飯食う前だったし」

友提督「ほれ、寿司大量に買ってきたぜ!」

提督「寿司か、最近食ってねぇな」ソワソワ

友提督「ん? 誰か待ってるのか?」

提督「お前から連絡来る前に出前取ったんだよ。あぁ来たな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

67 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:49:55.35 6enVUVL30 335/504


友提督「鰻重頼むとかどんだけ金持ってんだよ」パクッ

提督「俺一人分なんだ、そんなにいかねぇだろって思ってな」モグモグ

友提督「まぁまぁ、寿司も食えよ。白身好きだろ?」

提督「あぁ。鯛と?と鰤と鱸を頼む」

友提督「あいよ」

ビスマルク「っ!? ッッッーーーー!!」ジタバタ

友提督「どうしたの?」

ビスマルク「か、かりゃい、かりゃいよぉ~」ウルウル

提督「あ~ほら水」つコップ

ビスマルク「だ、danke」ゴクゴク

ビスマルク「何あの緑色の小さなやつ、めちゃくちゃ辛いじゃない!!」

提督「何だ本ワサそのまま食ったのか」

友提督「そりゃ辛いに決まってる」

ビスマルク「うぅ、あんな辛いもの、日本人はよく食べられるわね」

提督「大丈夫だ、日本人だけど俺ワサビ食えねぇから」

友提督「そのまま食べるんじゃなくて、味のアクセントとしてちょっと刺身とかにつけて食べるんだよ」

ビスマルク「うーっ、まだ舌がヒリヒリするわ・・・・・・」

友提督「しょうがねぇな」グイッ

ビスマルク「っ!?」

チュッ・・・・・・

ビスマルク「ング!?!?!?!?////」カァァッ

友提督「ぷはっ。・・・・・・どうだ、辛くなくなったか?」ナデナデ

ビスマルク「・・・・・・Ja////」ポーッ

提督「何急にイチャつきだしてんだ、こっちまで口ん中が甘ったるくなっちまったじゃねぇか」

68 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:50:37.81 6enVUVL30 336/504


友提督「はは、悪い悪い。けどお前と大和もなかなかのもんだぜ?」

提督「・・・・・・否定はしねぇ////」つ鯛

友提督「ん? そういやお前んとこの艦娘達は?」

提督「艦娘としての最後の晩餐を楽しみたいんだと。今頃利根の料理を心ゆくまで楽しんでるさ」ヒョイ パクッ

友提督「それでお前は六人だけで楽しませてぼっち飯か。バカだろ」

提督「うっせーよ!」ムシャムシャ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ビスマルク「・・・・・・」zzz

友提督「寝顔がまるで女神みてぇだ」ナデナデ

提督「とんだバカップルだな、お前達も」

提督「それで? わざわざイチャラブ見せつけるために寿司持って来たわけじゃねぇだろ。一体何の用事だ?」

友提督「お前んとこの艦娘然りうちの艦娘然り、皆は解体された後社会人として生きていく。そうなった後俺達はどうしようかと思ってな」

提督「それで俺がどうするかを聞きに来た。そういう事か?」

友提督「当たり~。何か参考にならねぇかと思って」

69 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:51:13.94 6enVUVL30 337/504


提督「俺も正直悩んでいる・・・・・・。このまま軍(超安定職)に残るべきか、別の仕事を探すべきか」

友提督「このご時世、就職は難しいぜ?」

提督「その代わり命の危険からは多少遠ざかるだろ? まぁ、元から俺はそんなもの気にしねぇけど」

友提督「お前そんな事言いやがって・・・・・・まだ乗り越えられねぇのか?」

提督「俺は乗り越えたつもりだ。ただ心の奥底には今でもあの地獄がこびりついている」

友提督「・・・・・・」

提督「俺は・・・・・・怖い。大和を失う事が、それが俺の所為でそうなる事が怖いんだ。あの時みてぇに」

友提督「あれはお前の所為じゃねぇ!! 俺や皆、何よりヤマ自身がそう思ってる!!」

提督「・・・・・・」

友提督「何があっても俺はお前の味方だ、辛かったら俺達を頼ってくれ」

提督「・・・・・・ありがとうな」

ビスマルク「ん・・・・・・」モゾモゾ

友提督「あぁ悪い、起こしちまったか」ナデナデ

友提督「じゃあ俺達はそろそろ帰るよ」

提督「あぁ。寿司ごちそうさん」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」ペラッ

提督「・・・・・・」ペラッ

ガチャ

大和「提督失礼します」

提督「よぉ、楽しめたか?」パタン

大和「はい。大和も皆も大満足でした」

提督「そうか。良かった」

大和「それで・・・・・・その・・・・・・////」モジモジ

提督「・・・・・・本当にいいのか?」

大和「・・・・・・はい////」

提督「・・・・・・分かった。俺も男だ、お前の気持ちにきちんと応えよう。俺の寝室でいいか?」スッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

70 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:51:58.10 6enVUVL30 338/504


翌日

提督「・・・・・・」

妖精「昨夜はどうだった?」ニヤニヤ

提督「まぁ・・・・・・イチャラブだったわ」

妖精「かなり搾り取られたみたいだね」

提督「・・・・・・少なくとも5回は果てた////」

妖精「まぁアンタならそれくらいか。ついでにいい事教えといてあげるよ」

提督「あ?」

妖精「艦娘が解体されるというのは艤装を展開できなくなるだけじゃなく、他にも様々なものを失うんだ。まず筋力や骨密度も常人レベルまで下がるし、空母や戦艦であっても食事量が並の人間程度に下がる。まぁそうするために妖精(あたし達)が体内を弄るんだ。その副作用で幾つかの臓器などがリセットされるんだ」

提督「いい事じゃねぇか、食事量が抑えられたら食費浮くし」

妖精「そのリセットされるものの中に"アレ"も含まれてるんだ」ヒソヒソ

提督「へ~・・・・・・・って、はぁ!? 何でそんなもんまで!?////」ギョッ

妖精「乙女には色々あるもんさ、その辺も理解しな。とりあえずこの事は皆知ってるし、今夜はもう一度あの娘を抱いてあげな」テテテテ

提督「お、おい!////」

提督「・・・・・・マジかよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

工廠

提督「時間だ。これから解体されるお前達を除名するための式を行う。これは勝手に俺がやってる事だけど最後くらい軍らしく堅苦しく終わろうじゃねぇか」

吹雪「」ビシッ

北上「」ビシッ

大鳳「」ビシッ

文月「」ビシッ

利根「」ビシッ

大和「」ビシッ

提督「諸君達のお陰でこの海を、人類の制海権を再び取り戻す事ができた。軍に生きた諸君達に今度は自らの夢・目標を追いかけてほしい」

71 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:52:55.67 6enVUVL30 339/504


提督「吹雪型駆逐艦一番艦、吹雪!」

吹雪「はっ!」ビシッ

提督「吹雪の真面目さと元気な姿にいつも支えられてきた。お前が俺の初期艦で本当に良かった、本当にありがとう」ナデナデ

吹雪「こちらこそ、ありがとうございました!」

提督「球磨型軽巡三番艦改め球磨型重雷装巡洋艦三番艦、北上!」

北上「はっ!」ビシッ

提督「北上の何事にも動じない精神にはいつも助けられた。この艦隊が笑顔を絶やさなかったのもまた、お前の力が大きいだろう。本当にありがとう」ナデナデ

北上「こっちこそ、提督にはお世話になりっぱなしだったよー、ありがとね」

提督「大鳳型装甲空母一番艦、大鳳!」

大鳳「はっ!」ビシッ

提督「大鳳もまた、真面目な姿勢でよく俺についてきてくれた。お前が自分に自信と誇りを持てたかどうかは分からねぇけどな」

大鳳「覚えていますか、提督? 私が宝石の原石であると言ってくれた事を」

提督「もちろんだ」

大鳳「私は貴方について行き皆さんと過ごし、自分自身に誇りを持つ事ができました。私は貴方の言う通り、磨かれた宝石になれました!」

提督「そうか、良かった。お前の航空戦、肉弾戦はこの艦隊の勝利に大きく貢献してくれた。本当にありがとう」ナデナデ

大鳳「礼を言うべきなのはこちらです! 本当にありがとうございました!」

提督「睦月型駆逐艦七番艦、文月!」

文月「はい!」ビシッ

提督「文月の無邪気な笑顔と元気な姿にいつも元気づけられた。よくぞ俺の指揮に文句の一つも言わずついてきてくれた、本当にありがとう」ナデナデ

文月「えへへ、あたしも司令官と一緒で楽しかったよぉ、ありがとぉ~」ニパァ

提督「利根型重巡洋艦一番艦改め利根型航空巡洋艦一番艦、利根!」

利根「はっ!」ビシッ

提督「利根の冷静な判断と行動には何度も助けられた。また、料理でこの艦隊に幸福を与えてくれて本当にありがとう」ナデナデ

利根「吾輩もお主には助けられてばかりじゃった。吾輩の方こそ礼を言わせてくれ、本当にありがとう」

72 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:53:37.80 6enVUVL30 340/504


提督「大和型戦艦一番艦、大和!」

大和「はっ!」ビシッ

提督「大和には仕事でもプライベートでも本当に助けられた。皆のまとめ役になったり、秘書艦仕事を手伝ってくれたりと世話になりっぱなしだった。本当にありがとう」

大和「いいえ。本当にお礼を言うのは大和の方です。提督と共に過ごした時間が大和にとっての全てです」

一人一人に感謝の言葉を述べた後、六人はそれぞれ解体スペースへと移動する。そして横一列に並んだ後、再び提督に向かって敬礼した

提督「本日、現時刻を持って!! 吹雪、北上、大鳳、文月、利根、大和。以上六名の艦娘としての任を解く!!」

提督「・・・・・・皆、本当にありがとう。お前達は俺にとっての家族だ、愛してるぜ」ビシッ

艦娘「っ!! はっ!!」ビシッ

ゆっくりと解体室の扉が閉まる。残された提督は肩の荷が降りたように大きく息をついた

妖精「とりあえず、一時間もすれば全員終わるよ。それまで待ってるかい?」

提督「そうさせてもらうよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「! 終わったのか」

一時間後ゆっくりと扉が開き、中から六人の少女が歩いてきた

文月「司令か~ん」タッタッタッ

ダキッ

提督「文月・・・・・・」

吹雪「私達皆、普通の少女になりました!」

北上「特に今までと変わんないけどねー」

73 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:54:49.45 6enVUVL30 341/504


利根「しかし、何だか喪失感があるのぅ」

大鳳「もう艤装が展開できませんからね」

大和「提督? どうしました?」

提督「もう俺はお前達の提督じゃねぇんだ、提督とか司令官って呼ぶのは止めろ」

北上「いやぁ、だからって急に変えるのは抵抗あるよ」

大鳳「でも大和さんは困らないですよね?」

大和「え?」

北上「いやだからさ、こうやって呼べばいいんだよ」スッ

北上「ーーーー」ゴニョゴニョ

大和「っ!?!?!?!?////」ボンッ

北上「ほら早く、早速呼んであげなよ」

大和「じゃ、じゃあ・・・・・・////」

提督「ん?」

大和「・・・・・・ダーリン////」カァァッ

提督「」

74 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:55:41.10 6enVUVL30 342/504


提督「・・・・・・」

大和「・・・・・・////」

提督「」ダキッ

大和「きゃあっ!?////」

北上「おぉ、これが伝説のお姫様抱っこ」

吹雪(そういえば着任初日にしてもらったっけ、もう一年以上前かぁ)シミジミ

提督「・・・・・・」ギューッ

大和「あ、あわわわ・・・・・・////」カァァッ

提督「いいかお前達、明日の朝まで緊急連絡以外俺に取り次ぐなよ」

大和「っ!?」

一同「了解」

提督「今日は自由行動だ、以降の連絡は明日伝える」

大和「え、ちょっ、あの、提督・・・・・・?////」

提督「悪ぃけど加減はできねぇぞ? 大和」ニッ

大和「はうっ////」キュンキュン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

75 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:56:39.93 6enVUVL30 343/504


大和(大和達が解体されて一ヶ月が経ちました)

大和(皆が今後について悩んでいる間、大和は何度か提督をデートにお誘いしました。ですが・・・・・・)

ーーーー
ーー

大和「提督、週末買い物に行きませんか?」

提督「週末? 週末は・・・・・・あぁ悪ぃ、週末は三日間大本営に行かなきゃいけないんだ」

大和「そう・・・・・・ですか・・・・・・」シュン

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大和「提督、明日は予定空いてますか?」

提督「明日は・・・・・・無理だ、マナブに頼まれて買い物に付き合う事になってる。ごめん」

大和「い、いえ・・・・・・楽しんできてください」

ーー
ーーーー

大和(といった感じで断られてばかりです)

大和「それどころか、提督が大和を避けているような気がします・・・・・・」ショボン

大和(っ!? まさか浮気!?)

大和(ま、まさかそんなわけ・・・・・・提督のような方が浮気だなんてするはずがないです)

76 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:57:20.62 6enVUVL30 344/504


提督「大和? ぼーっとしてどうした?」

大和「ふぇっ!? い、いえ、何でもありません」

提督「そうか、ならいいけど」

大和「あ、あの、提督・・・・・・」

提督「ん?」

大和「よ、よろしければ次の土曜日に何処かお出かけしませんか?」

提督「次の土曜日・・・・・・」ウーン

大和「はい・・・・・・(また、先に予定が入っているのでしょうか)」

提督「特に何もねぇな、いいぜ」

大和「!! ほ、本当ですか!? 大和、楽しみにしております!!」パァァ

提督「最近色々と忙しくて一緒にいられなかったしな」ナデナデ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

77 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:58:07.87 6enVUVL30 345/504


大和「~~♪」ルンルン

吹雪「大和さん何だか楽しそうですね、どうしたんですか?」

大和「次の土曜日に提督とお出かけするので、衣服を選んでいるんです!」

北上「おー、やっと誘えたんだ」

利根「ここ最近あやつは用事ばかりじゃったしのぅ」

文月「皆の携帯買いに連れてってくれたのが最後だよぉ」

大鳳「あれももう二週間前ですよ」

大和「仕方ありませんよ。提督は未だ軍属の身、忙しくて当然です」

北上「それでも夫婦の時間は取るべきでしょうが」

大和「ふ、夫婦だなんて、そんな////」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

そして前日

提督「さてと、プランとしてはこんなとこかな」

妖精「うん、問題ないと思う」

提督「後はこれを渡すタイミングだよなぁ」つ小箱

妖精「やっぱり、ベタだけど綺麗な夜景を見ながらじゃない?」

提督「やっぱそうなるか」コトッ

78 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:58:56.94 6enVUVL30 346/504


ヴーッ、ヴーッ、ヴーッ・・・・・・

提督「ん?」スッ

提督「もしもし。・・・・・・はい。はいそうですが・・・・・・」

妖精「?」

提督「・・・・・・! あぁ、ご無沙汰です。どうしたんで・・・・・・え・・・・・・!?」

提督「・・・・・・はい、はい分かりました。それで、日時は・・・・・・? ・・・・・・明日!?」

提督「・・・・・・分かりました」

コトッ

妖精「? 誰からだい?」

提督「・・・・・・義姉さんだ」

妖精「!?」

提督「明日は大和と出かける日なのに・・・・・・いきなり過ぎだぜ」

妖精「で、何て言ってたの?」

提督「ーーーー」ゴニョゴニョ

妖精「!? そんな・・・・・・」

提督「どっちも無下にできない。俺はどうしたら・・・・・・」

妖精「大和を連れてってあげたら?」

提督「それはだめだ。義姉さん達は大和を知らない、混乱させるだけだ」

妖精「! 確かに・・・・・・万策尽きたか」

提督「あぁ、クソッ! また大和を・・・・・・」

79 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 00:59:35.81 6enVUVL30 347/504


妖精「行きなよ、世話になった人だろ?」

提督「!?」

妖精「アンタは行くべきだ。皆にはあたしから説明しておく、アンタは大和に謝ってすぐに行きな!」

提督「・・・・・・分かった」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「大和、少しいいか?」

大和「はい?」

提督「実は明日、急用が入ってどうしても俺はそっちに顔を出さなきゃいけない。だから明日のお出かけは・・・・・・」

大和「っ!? ・・・・・・そう、ですか・・・・・・」

提督「本当にすまない」

大和「いえ、仕方ありませんよ。行ってらっしゃいませ」

提督「この埋め合わせは必ずする。本当にごめん」ダキッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

大和「・・・・・・」ショボン

妖精「大丈夫かい?」

大和「はい・・・・・・」

妖精「また今度誘ってみなよ。きっと上手くいくさ」

大和「・・・・・・」

妖精「? 大和?」

80 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:00:15.93 6enVUVL30 348/504


大和「今度って・・・・・・何時ですか?」

妖精「・・・・・・」

大和「きっと提督は・・・・・・大和に愛想が尽きたんです・・・・・・」

妖精「何バカな事を! そんな事あるわけが・・・・・・」

大和「無いって・・・・・・言い切れますか?」

妖精「・・・・・・少なくとも提督はアンタを見捨てたりはしない。これは確信を持って言えるよ」

大和「どうだか・・・・・・」

妖精「・・・・・・」

妖精(提督、早く帰ってきてよ。このままじゃ大和がどんどん・・・・・・)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

大和「・・・・・・提督」

妖精(一日経った・・・・・・あれから大和は不気味なくらい静かにソファーに座って食事も摂っていない)

大和(大和だって、提督を信じています。ですが提督が一日帰らなかっただけで、不安で押し潰されそうです。提督が浮気をしたために帰らなかったという最悪の事態が頭から離れません)

妖精「とりあえず、昼食持ってくるからね」テテテテ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ガチャ

大和「!」

提督「すまない、遅くなって」

部屋に入って来た提督は普段の純白の軍服や私服ではなく、真っ黒なスーツを着ていた。その黒いスーツの上着を脱ぎながら提督は謝罪の言葉を口にする

提督「本当にごめん大和、この埋め合わせは必ずするからな」

大和「・・・・・・」上着受け取り

81 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:01:07.74 6enVUVL30 349/504








フワッ・・・・・・






82 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:02:15.24 6enVUVL30 350/504


大和「っ!?」クン

スーツから仄かに香る香水の匂い。提督は香水をつけないし、この鎮守府の皆の匂いとも違う。つまりは・・・・・・

大和(他の・・・・・・女性の・・・・・・)

私の中で何かが音を立てて崩れる音がした。今まで考えまいとしていた事態が現実となった・・・・・・。やはり提督は浮気をしていた、だからこの一ヶ月私との時間を作れなかったのだ

提督「来週の日曜日は空いてるか? 俺もその日なら予定がないから・・・・・・」

大和「・・・・・・もういいです」

提督「そんな事言わないでくれ、今まで時間が取れなかった分・・・・・・」

大和「私よりも・・・・・・一緒にいるべき女性がいるでしょう?」

提督「え・・・・・・?」

大和「私が嫌いになったなら、はっきりと仰ってください」

提督「何を馬鹿な、俺がお前を嫌いになるわけ」

大和「それは私がヤマさんの代わりだからですか?」

提督「っ、確かにお前はヤマと似ている。だけどお前はお前だ、大和」

大和「女の代わりだったらいくらでもいます、目処も立っているんでしょ!?」

提督「代わりなんかいない!」

大和「ならこの香水の女は誰ですか!!」

提督「っ!! ・・・・・・それは・・・・・・」

大和「この人との時間を取ってたから私との時間が取れなかったんですよね!?」

提督「違う!」

大和「嘘だ!! 」

大和「そもそも提督はヤマさんの事を乗り越えられてなんかいない!! 私に惚れたのも大和がヤマさんに似ていたからで、私はヤマさんの代わりでしかないんです!!」

提督「・・・・・・」

大和「その上知らない所で浮気まで・・・・・・。亡くなった人の後釜だった挙句浮気までされるなんて」

大和「こんな事なら、私は貴方に建造されたくなかった! 貴方と出会いたくなかった!!貴方の艦隊になんて入りたくなかった!! 」

83 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:02:55.07 6enVUVL30 351/504








大和「貴方なんかと・・・・・・愛し合わなければよかった!!!」






84 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:03:35.53 6enVUVL30 352/504


提督「っ!?」

大和「・・・・・・っ!?」ハッ

一通り感情をぶちまけた後、はっと我に還る。私は何て事を言ってしまったのだ。提督に対して取り返しのつかない事を言ってしまった

大和「ち、ちが、違うんです提督、大和はそんな事・・・・・・」ポロポロ

提督「分かってるよ大和・・・・・・俺が全部悪いんだ」

大和「ご、ごめんなさい、大和はこんな事言うつもりは・・・・・・」ポロポロ

提督「いいんだ、お前は何も悪くない」ツーッ

一筋の涙を流し、ゆっくりと執務室の扉に歩いていく提督。私は止める事ができない、身体が動かない。と、その瞬間

提督「っ!? がはっ!!」ゴパッ

ドシャッ・・・・・・

突如提督が吐血し、その場に崩れ落ちた。口から赤黒い血がドクドクと流れ出す

85 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:05:03.82 6enVUVL30 353/504


ガチャ

妖精「大和、提督は・・・・・・ってどうしたのさ!?」

吹雪「ひいっ!?」

文月「司令官!?」

北上「ちょっ、何があったのさ!?」

大鳳「提督!!」

利根「しっかりするのじゃ!!」

大和「わ、わた、私は・・・・・・」ポロポロ

妖精「っ!? これはここの設備じゃ手に負えない! 救急車を呼んで!! 元帥にも連絡を!! 急いで!!」

吹雪「は、はい!!」ダッ

利根「分かった!」ダッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和(その後駆けつけた救急隊員によって、提督は病院へと緊急搬送された。今は症状が治まりましたが、提督は昏睡状態になってしまいました。今は皆に鎮守府を任せ、病室(個室)にいるのは大和と妖精さんだけです)

妖精「まさかこんな時に限って病院が人手不足だなんて・・・・・・」

大和「・・・・・・」

妖精「それで、何があったの?」

大和「っ!?」ジワァ

妖精「大和?」

大和「大和は、大和は提督に酷い事を言ってしまいました・・・・・・」ポロポロ

妖精「・・・・・・」

大和は泣きながら妖精に事の顛末を話した

妖精「仕方ないよ、誰だってそうなるさ。でもね、その言葉が提督にとってどれほどのものか、分かっているんだよね?」

大和「ひっ、ひぐっ・・・・・・」コクコク

86 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:05:43.35 6enVUVL30 354/504


妖精「反省してるならいいさ、提督も許してくれるよ」

大和「許してもらう資格なんて、大和にはありません」

ガチャ

元帥「櫂の様子は?」

妖精「今は眠っているよ」

団長「そうか・・・・・・」

副長「昏睡状態・・・・・・か」

友提督「辛いよな、大和」

大和「っ!?」ジワァ

妖精「マナブ!」

友提督「っ!? あ、すまない」

妖精「マナブ、アンタこの前櫂の事買い物に誘った?」

友提督「あぁ、レーベとマックスの誕生日プレゼントを買うのに、ビスマルクと行ったんだが、もう一人男の意見が欲しくてな」

大和「!」

妖精「元帥も、この前三日間大本営に櫂を呼んでたよね?」

元帥「うむ、決戦後に引退した者達が多くての。書類仕事を櫂と霊峰君に手伝ってもらっていたのじゃ」

大和「!」

妖精「ね?」

大和「・・・・・・」コクッ

大和「その件については分かりました。ですが、昨日今日と提督は何処に・・・・・・?」

87 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:06:20.86 6enVUVL30 355/504








??「私達の所だよ」






88 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:06:57.63 6enVUVL30 356/504


大和「!」

元帥「! おぉミラさん」

病室の入口にいたのは元帥よりも高齢に見える一人の女性だった。初めて見る方なのに大和は何処か懐かしさを感じた

??「もうおばあちゃん! 先に行かないでよ」タッタッタッ

??「義兄さんは! 義兄さんはどうなんですか!?」タッタッタッ

遅れて提督と同じくらいの年代の男女が入って来た。そのうちの一人、女性を見て大和は一瞬硬直した

大和「え!? (大和そっくりの方です)」

??「! 貴女が大和ちゃんね? 櫂君から話は聞いたわ。本当にヤマそっくり!」

大和「ヤマ!? え?」

??「姉さん、自己紹介まだだろ? 困惑しちゃうよ」

??「あ~そうだ、ごめんなさい。私は眞祓井 想羅(まはらい そら)。ソラって呼んで」

??「俺は眞祓井 凜玖(まはらい りく)。リクって呼んでください。さっき初めて見た時は驚きましたよ、ヤマ姉さんそっくりなもんで」

大和「眞祓井・・・・・・。っ!? それって確か!」

ソラ「ええ。ヤマは私の妹、リクのお姉ちゃんなのよ」

リク「そしてこっちが眞祓井 鏡水(まはらい きょうすい)。俺達の祖母で眞祓井家当主なんだ」

??「当主といってもつい昨日なったばかりだけどねぇ。それに鏡水だなんて呼びづらいだろう、ミラでいいよ」

大和「は、はぁ・・・・・・」

ミラ「順を追って話すとね。つい先日私の夫、つまり前当主が亡くなったんだ。それで昨日今日と葬式を行っていたんだ」

大和「え・・・・・・?」

89 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:07:38.45 6enVUVL30 357/504


リク「おじいちゃんはヤマと義兄さんを可愛がってたから、一昨日呼んだんだ」

ソラ「式中は大丈夫だったんだけど、その後で涙が止まらなくなっちゃって。それで私、櫂君の胸で泣いちゃったの」

リク「姉さんがそのまま泣き寝入りしちゃったから、義兄さん帰れなくてそのまま一泊してったんだ」

大和「っ!?」

頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。確かにソラさんの匂いはスーツに残っていたあの香水の匂いと一致する。提督は浮気なんかしていなかった、それを自分は一方的に決めつけあんな酷い事を・・・・・・

大和「っ・・・・・・」フラッ

ミラ「! 大丈夫かい?」ガシッ

大和「!? す、すみません」

ミラ「いいんだよ。ふふ。その目、確かにヤマそっくりだ」

大和「え・・・・・・?」

ミラ「巌山、ここは私達だけにしておくれ。彼女には話すべきだ、櫂とヤマの事を」

元帥「分かりました。では頼みますぞ」

団長「私達も帰るとしよう」

副長「あいよ~」

友提督「じゃ、後頼みますわ」

スタスタスタ・・・・・・

ミラ「さて、どこから話したものか。まずは我が一族の事について話すとしよう」

大和「はい・・・・・・」

90 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:08:29.64 6enVUVL30 358/504


ミラ「古来、私達"眞祓井"家はその名の通り"悪魔祓い"として悪霊や妖魔の類を成仏させる一族だった。古くは平安時代から続いていたとも言われておる旧家さ」

妖精「悪魔祓いとはまた・・・・・・」

ミラ「無論今ではそんな非科学的なと批判されるが、まだ科学が発展していなかったその当時は悪霊や妖怪が信じられていたものさ。人が床に伏せるのは全て悪霊の仕業。そんな時代さね」

大和「なるほど・・・・・・納得です」

ミラ「そして眞祓井家は人外のものを祓うために、妖怪の力を得たと言い伝えられているんだ」

大和「妖怪の・・・・・・力・・・・・・?」

ミラ「そうさね・・・・・・例えば」チラッ

リク「?」

ミラ「リク。あんたこの間の期末試験、結果はどうだったんだい?」

妖精「はぇ!?」

リク「え、あれ? まだ返ってきてないよ?」

ミラ「おや、本当にかい?」キィィ

大和「っ!? その目は・・・・・・!」

リク「っ!?」

ミラ「・・・・・・まったく、返ってきてるじゃないか。酷い点数だ」

妖精「!?」ギョッ

ミラ「嘘ついた罰だ。ソラ、部屋の本棚、上から二段目の裏と机の引き出しの二重床の中のやつ処分しておしまい」

ソラ「はぁい」

リク「ちょっ、おばあちゃんそりゃないよ!!」

ミラ「お黙り。悪い点をとった事は私は怒っちゃいない。隠そうとした事に怒ってるんだ、慈悲はないよ」

リク「そんなぁ・・・・・・」ズーン

ミラ「ふふ、大和ちゃん、身内の恥を晒してしまって申し訳ないね」

大和「は、はぁ・・・・・・」

妖精「寧ろアンタの所為だと思うけど」

91 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:10:27.65 6enVUVL30 359/504


ミラ「それもそうだねぇ。今のが眞祓井家が稀に発現する事がある妖力、『共鳴(きょうめい)』だよ。周りにある森羅万象と同調する力。これによって相手の考えを聞いたり、記憶を覗いたりするのさ。より精錬された力は生物だけじゃなく、無機物と同調する事もできる」

大和「!! この能力って」

ミラ「そう。ヤマもこの能力を発現していた。それもかなりの精度だったよ」

妖精「妖力なんだ、あれって。他にもそれらしきものあるんだけどさ」

ミラ「巌山と堅山の身体かい?」キィィ

妖精「ご明察。あの強靭な肉体についての仮説を妖精達で立てたんだ」

ミラ「・・・・・・その仮説は当たりだ。あの兄弟もまた、妖力を得た一族の末裔なのさ。妖力の名は『鎧鬼(がいおう)』。まるで鎧を纏っているような強靭な肉体を鬼に喩えた力さ」

妖精「やっぱりか。因みに海原家って何の一族だったの?」

ミラ「そこまでは何とも。ただ強靭な肉体を必要としていた一族なのだろうね。他にも自然を味方につける妖力の使い手や獣を操る妖力の使い手なんかもいたそうだ」

92 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:11:04.53 6enVUVL30 360/504


ミラ「にしても妖精さんや、あんた達の仮説には驚いたよ。ほぼほぼ正解だと思っていい。能力の発現の過程や受け継ぐ条件、よくそこまで辿り着いたものだ」

妖精「何分、考える事が好きな質なんでね」

ミラ「なるほど、確かにそんな顔だ。さて、私達が古来よりそういった悪魔祓いを行っていたんだが、ある事件が起きたんだ」

大和「ある事件?」

ミラ「祓う対象だった悪霊に呪いをかけられたのさ。末代まで続く強力な呪いを」

妖精「呪い?」

ミラ「それ以降、一族の者が恋に落ちた相手が皆一様に不慮の死を迎えるようになった。ある者は事故に逢い、またある者は急病に倒れ、またある者は殺された。それも全員が目の前で死んだと言われている。現に私の夫も目の前で息を引き取った」

大和「っ!?」

ソラ「私達のお母さんもリクを産んですぐに病気で・・・・・・」

リク「それだけならまだ何とでもなったんだ。でも呪いはまだ続く」

ミラ「死んだ相手の魂は二つに分割され、正の魂は職場の同僚、学校の同級生など比較的近い存在に転生する。そして生まれ変わりとなったその者と惹かれ合うのさ。だが、そこに負の魂が転生した存在が近づき、互いに殺し合う。目の前で恋に落ちた相手が二度も死ぬところを見ては・・・・・・。そして残された者は皆、自らその命を絶ったと聞く」

大和「そんな・・・・・・」

ミラ「愛する者を二度も目の前で失い、最後には己の命をも絶つ呪いをかけられた。これが私達が『呪われた一族』と言われる所以だよ」

妖精「それであのリーダーは・・・・・・」

大和「っ!?」ハッ

93 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:11:53.23 6enVUVL30 361/504


ミラ「私達の話は以上だ。この事を踏まえて大和ちゃん、あんたに櫂とヤマの過去を話したいんだけど・・・・・・聞く覚悟はあるかい?」

大和「・・・・・・お願いします」

妖精「いいの? 多分辛いと思うよ」

大和「構いません。どうか」

ミラ「分かった、話そう。先ずは櫂の過去から話すべきだね」

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10年前

提督(9歳)「・・・・・・よし、できたよ霧島姉」

霧島「では見せてちょうだい」スッ

霧島「・・・・・・」つ赤ボールペン

キュキュッ、ピッ、キュキュッ、ピッ、ピッ

提督「・・・・・・」ドキドキ

霧島「昨日やったところは大丈夫よ。ただしまだここの計算が苦手ね」

提督「マジで!? うわ、やっちゃったぁ・・・・・・凡ミスじゃん!」ガーン

霧島「集中が足りてないわね。少し頭を捻れば解けるはずよ」

提督「この歳で微積分解けるだけでもすげぇと思うんだけど」ボソッ

霧島「何か言ったかしら?」

提督「何も」

フ~ン・・・・・・

提督「! (蚊だ、もう夏か・・・・・・)」

94 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:12:34.08 6enVUVL30 362/504


霧島「っ!? もう何!?」サッサッ

提督「蚊は女性ホルモンに釣られるっていうし、霧島姉女なんだから仕方ねぇよ」

霧島「よく知ってるわね。妖精さんに教えてもらったの?」フ~ン・・・・・・

提督「読んだ本に載ってた」

霧島「女性ホルモンにねぇ。私艦娘よ?」フ~ン・・・・・・

提督「でも女じゃん」

霧島「まぁ確かにそうだけど・・・・・・」フ~ン・・・・・・

・・・・・・ブツッ

霧島「ッ!!」ジャキン

提督「えぇっ!? ちょっ、何でここで艤装展開してんの!?」ギョッ

霧島「目標(蚊)捕捉! 全門斉射!!」バッ

ドガァァァァァァァァァァァンッッッ

提督「ぎゃぁぁぁぁぁッッッ!?」

霧島「・・・・・・目標殲滅。ふぅ・・・・・・」艤装解除

提督「」ガタガタ

霧島「? 櫂、どうしたの?」

提督「いや、別に・・・・・・」ガタガタ

霧島「?」キョトン

提督(オーバーキル過ぎる・・・・・・てか、蚊一匹にここまでするとか、どこまで沸点低いの霧島姉は!?)ゾッ

95 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:13:10.51 6enVUVL30 363/504


ドタドタドタ・・・・・・

バタンッ!!

榛名「霧島、櫂! 何の音ですか!?」

霧島「あら榛名、いきなりどうしたの?」

提督「アンタの所為だ、アンタの」ハァ

元帥「何じゃ、騒がしいのぅ」

霧島「あぁ元帥、蚊がいましたので」

元帥「霧島、毎度の事じゃが蝿や蚊如きに主砲をぶっぱなさんでくれ、被害が大き過ぎるんじゃ。見ろ、壁に大穴が空いておるではないか」ヤレヤレ

霧島「申し訳ありません」ペコ

提督「毎年夏の風物詩だな」

元帥「こんな費用のかかる風物詩なぞ誰が喜ぶんじゃ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「ゼェ・・・・・・ゼェ・・・・・・も、もう無理だって島風姉」フラフラ

島風「おっそーい!! これでもまだ本気じゃないんだよ?」

提督「いや、既に目にも留まらぬ速さじゃん」

島風「何言ってるの! スピードっていうのはね、目にも留まらぬ速さじゃ二流! 目にも映らぬ速さじゃないと一流じゃないんだよ?」

提督「いや、そんな領域に到達してるの島風姉だけだから」

川内「あ、櫂に島風。何やってるの? 駆けっこ?」

提督「あ、川内姉。綾波姉に敷波姉も、『夜戦隊』の訓練してたの?」

川内「そうだよ~」

綾波「駆けっこですか。楽しそうですね」

島風「三人もしようよ駆けっこ!」

敷波「えー、アタシも?」

96 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:13:55.45 6enVUVL30 364/504


提督「敷波姉は本気出したらすげぇもんな~!」

敷波「持ち上げすぎじゃない? ・・・・・・まぁ、嫌じゃないけどさ////」プイッ

綾波「もう、素直じゃないなぁ」ニコニコ

川内「あはは、じゃあ私も久々に走ろうかな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

比叡「むむ、次の櫂の一手は・・・・・・」ウーン

提督「・・・・・・よし」スッ

パチッ

提督「王手」

比叡「ヒェェェ!?」

比叡「ならここはこの駒を取って・・・・・・」スッ

パチッ

提督「なら・・・・・・」スッ

パチッ

提督「王手」

97 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:14:36.14 6enVUVL30 365/504


比叡「むむ、ここは王を逃がすのが・・・・・・」

パチッ

提督「・・・・・・」スッ

パチッ

提督「王手」

比叡「ならば! 歩をここに置いて」スッ

パチッ

提督「はい終わり」スッ

パチッ

比叡「あぁっ!?」ギョッ

提督「比叡姉引っかかり過ぎだよ」

比叡「ヒェェェ、また負けたぁ・・・・・・」

ガチャ

金剛「Hey! Tea timeネー!」

提督「やった、今日の茶菓子何?」

金剛「霧島手作りのクッキーデース!」

比叡「やったー!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

榛名「櫂、午後の勉強は何でしたっけ?」コポコポ

提督「神通姉の国語と、加賀姉の地理だけど」シャクシャク

金剛「Wow,神通はvery harshからネ」サクサク

提督「いや、金剛姉の方がスパルタじゃん」

比叡「あれ(チョーク弾)はお姉様の愛の鞭ですよ」ズズッ

霧島「ともあれ、皆さんの教え方は本当に分かりやすいですよ」サクサク

提督「そう言う霧島姉もな」ズズッ

98 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:15:41.26 6enVUVL30 366/504


加賀「櫂、ここにいたの?」スタスタ

提督「! 加賀姉」

加賀「ちょうど良かったわ、午後の勉強だけど、私達に演習の予定が入ってしまって・・・・・・」

提督「ありゃ、中止?」ショボン

加賀「えぇ、ごめんなさい。この埋め合わせは必ずするわ」

提督「まぁ仕方ねぇか、最高戦力だし。あ、ちょっとしゃがんで」スタスタ

加賀「?」スッ

提督「演習頑張ってな、天舞無法の加賀姉」ナデナデ

加賀「っ!? 分かってるわ」キラキラ

金剛(加賀がめちゃくちゃsparklingしてマース)

加賀(流石に気分が高揚します)キラキラ

加賀「ではこれで」スタスタ

ウワッ! ナニヒカリカガヤイテンノヨ、コノイッコウセン!
フッ、ゴコウセンニハアジワエナイシフクヨ
ナンデスッテ!? キーッ
オチツキナサイ、ズイカク
カガサンモオチツイテ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

99 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:16:22.33 6enVUVL30 367/504


神通「ではこの文の要点をまとめてみてください」

提督「・・・・・・」カリカリ

神通「・・・・・・」ニコニコ

提督「これで大丈夫かな?」スッ

神通「では・・・・・・」

神通「・・・・・・9割正解ですね。よくできました」ナデナデ

提督「残り1割を教えてほしいんだけど」

神通「そうですね、強いて言うならこの部分でしょう。ここは・・・・・・」

提督「・・・・・・」

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大和(本当に艦娘に育てられていたんですね、提督は)

ミラ「さて、いつまでそこにいるつもりだい?」チラッ

ソラ「え?」クルッ

リク「?」クルッ

吹雪「あ、あはは、すみません」

大和「吹雪ちゃん!? 皆も、何時からいたんですか?」

文月「司令官の昔話から聞いてたのぉ」

北上「いやぁ、入るタイミングが見つからなくて」

利根「やはり吾輩達も心配でのぅ」

大鳳「あ、鎮守府ならビスマルクさん達がいますので大丈夫ですよ」

ミラ「おやおや、櫂の仲間だね。何とも上司想いのいい娘達じゃないか」

吹雪「失礼ですが、お名前をお伺いしてもいいですか?」

ミラ「私は眞祓井 鏡水。ミラって呼んでおくれ」

北上「ミラさんさぁ、何で提督の過去が分かるの?」

ミラ「まぁ記憶を覗いてるからねぇ。それ以前に小さい頃からの知り合いで私にとっては孫も同然なんだよ」

ミラ「さて、話を戻すとしようか」

100 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:17:11.90 6enVUVL30 368/504


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提督「あ~小腹空いたな、間宮姉ん所に何かねぇかな」

元帥「! おぉ櫂、ちょうど良い所に」

提督「? 父さんどうしたの?」

元帥「金剛達と買い物に行ってきてくれんか、備蓄がそろそろ危なくてのぅ」

提督「赤城姉達か。二人ともあんなに食って太らねぇのかな?」

元帥「お前も犬や猫より多く食べても太らんじゃろう? そういう事じゃよ」

提督「分かった、行ってくる」スタスタ

元帥「頼んだぞい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

金剛「後は何が必要デース?」

霧島「紅茶の茶葉とカレールーは買いましたし、後は・・・・・・」つメモ

比叡「お酒も買ってきてって言われてるよ」

榛名「じゃあお酒を買えば全部ですね」

提督「身分証あるの?」

金剛「Don't worryデース!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

比叡「お、重い~」

提督「この荷物で家まで帰んのきつくね?」

金剛「こんなもん艤装に比べたら屁でもないネー」

榛名「榛名は大丈夫です」

提督「俺が早く車の免許取ったらいいんだ、そしたら皆を乗せて買い物に行ける!」

榛名「櫂・・・・・・」ウルウル

霧島「ふふ、楽しみにしてるわね」

101 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:17:45.02 6enVUVL30 369/504


ヒソヒソ・・・・・・

提督「?」

「見ろよあれ、艦娘だぜ」

「知ってるか、あいつら風呂入るだけで怪我が治るんだぜ」

「マジかよ、化け物じゃねぇか」

提督「っ!!」ピクッ

「化け物の癖して戦争ずっと続けやがって」

「正義の味方ヅラする前にさっさと海を取り返せっての」

「でも見た目はすげぇ美少女だぜ、いいよなぁ軍人は」

「やっぱり夜は何人も侍らせてんじゃね?」

「自分だけの性欲処理係とか最高じゃんか!」

提督「っ!!」ブツッ

提督「このっ・・・・・・!!」キッ

102 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:18:40.54 6enVUVL30 370/504


ガシッ

提督「っ!?」

榛名「・・・・・・」ギューッ

金剛「・・・・・・」フルフル

あまりに自分勝手な偏見を押し付ける周りの人間に食ってかかろうとする提督を榛名は優しく抱きしめ、金剛は静かに首を横に振る。微笑みかける二人は、まるで「手を出してはいけない」、「私達なら大丈夫だ」と言っているようだった

比叡「ぅぅ・・・・・・」アタマグシグシ

霧島「・・・・・・」メガネカチャカチャ

提督「・・・・・・」

榛名「帰りましょうか」

提督「・・・・・・分かった」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「くそっ、あいつら何なんだよ!!」

金剛「カイ・・・・・・」

霧島「一般人からしたら深海棲艦も艦娘も同じ化け物だという事でしょう」

元帥「うーむ、民衆との軋轢は未だ消えず・・・・・・か」

提督「自分達が誰に生かされてると思ってんだ! 皆がいなかったらとっくに殺されてたかもしれねぇのに!!」

榛名「櫂落ち着いてください」

提督「大体、榛名姉達は悔しくねぇのかよ!? あんなに好き勝手言われて!!」

榛名「仕方ないですよ、榛名達は人の形をした兵器なんですから」

提督「皆は兵器じゃねぇ!! 兵器なら俺を大切にしてくれるわけがねぇだろ!!」

元帥「榛名、今の発言はお前が悪い。お前達は立派な人間じゃ」

榛名「すみません・・・・・・」

103 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:19:51.86 6enVUVL30 371/504


元帥「とはいえ、あんな事に一々腹を立てていては身が持たんぞ、櫂」

提督「何でだよ、こっちは家族バカにされたんだぞ!!」

元帥「人間というのは本来とても弱い生き物なんじゃよ。一人一人はひ弱故に心優しい。しかし人数が増え群衆となると次第に強大な力を持つようになる」

提督「・・・・・・」

元帥「そうなった時の彼らの意思、つまり民意は正に化け物じゃ。いくら正しくとも彼らの大多数が悪と言えば悪とされる。しかし、その様な理不尽にも歯を食いしばって耐え、儂らは彼らを守らねばならん」

提督「守る必要が何処にあるんだよ、あいつらは自分を守ってくれてる皆を化け物だの何だのって言ってんだぞ!? そんな奴ら守る価値ねぇよ!」

元帥「いくら理不尽でも彼らは守るべき民じゃ。儂ら海軍は国を守っておるのじゃから」

提督「はぁ!?」

元帥「儂らが守っておるのは国土だけではない。いくら土地があろうと、そこを開拓して住み、動かす人がいなければ意味がない。国とは、人間がいて初めて成り立つのじゃ」

提督「っ!? それでも俺は認めねぇ! 守ってもらってる立場で、その恩を仇で返すような奴らなんか!!」ダッ

比叡「あっ!?」

榛名「櫂!!」

ア、カイ! カケッコスルノ? マケナイヨ!
ツイテクンナ! シマカゼネエ!

元帥「・・・・・・やはり理解はしてくれんか」

霧島「仕方ありません、いくら賢くとも感情はまだ歳相応でしょう」

比叡「私達の事を思っての発言なんだけどね」

榛名「て、提督どうしましょう、櫂が、櫂が!!」オロオロ

金剛「は、早く連れ戻すネ! Hurry!!」オロオロ

元帥「まぁ慌てるでない。櫂にも考える時間が必要じゃよ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

104 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:20:39.53 6enVUVL30 372/504


比叡「あれから一時間は経つよ」オロオロ

霧島「何処まで行ったのかしら」オロオロ

金剛「は、榛名?」

榛名「きっと迷子になって泣いてるに違いありません、もしかしたら人攫いに誘拐されたり・・・・・・」ガタガタ

金剛「お、落ち着くネ榛名、カイの事デスそんな事にはならないネー」

比叡「長門さんに扱かれてるもんね」

元帥「む、ローグか。・・・・・・そうか、見つかったか」

艦娘「!!」

元帥「ローグが保護したそうじゃ。どうも女の子と一緒にいたらしい」

金剛「What's!?」

榛名「お友達ができたのでしょうか?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・ただいま」

元帥「お帰り。頭の中はすっきりしたかね?」

提督「何かどうでもよくなった。皆も当たり散らしてごめん」

榛名「いいんですよ、榛名達を思って怒ってくれてたんですから」

長門「まったく、要らん心配をかけるな」

金剛「? その娘は誰デスカ?」

ヤマ「っ!?」ビクッ

提督「街で会った。俺の友達だ」

ヤマ「ま、眞祓井 耶麻です。初めまして」

榛名「ヤマちゃんですね? 初めまして、榛名です」ニコッ

105 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:21:49.41 6enVUVL30 373/504


提督「うちの姉さん達は皆すげぇんだぜ! 皆に勉強も教えてもらってるしな」

ヤマ「へ~、いいなぁ。私も教えてほしいなぁ」

元帥「いやはや、今日は息子が迷惑をかけたようですまなかったのぅ」

ヤマ「! 櫂君のお父さんですか?」

元帥「初めまして、海原 巌山じゃ」

提督「まぁ、実の父親じゃねぇけどな」

ヤマ「え?」

提督「俺は孤児だったのを父さんに拾われたから、血は繋がってねぇんだ」

ヤマ「それでもお父さんでしょ?」

提督「あぁ。血の繋がりなんてどうでもいいしな」

元帥「なかなかしっかりしたお嬢さんじゃ。これからも櫂をよろしくな、ヤマちゃん」

ヤマ「うん! そうだ、櫂君も学校行こうよ!」

提督「は? 学校?」

106 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:22:25.95 6enVUVL30 374/504


ヤマ「やっぱりちゃんと義務教育は受けないと!」

提督「でもなぁ、今更小学校行っても何も学ぶ事ねぇし」

長門「行くべきだ。何も学校では授業だけが全てではない」

元帥「長門の言う通りじゃ。何時かはお前を学校に入れようと思っていたのじゃが、少し遅れてしまってのぅ。櫂、お前は同じ年代の友達を作るべきじゃ」

提督「いや、行ってもつまんねぇって」

ヤマ「・・・・・・櫂君は私と学校行くの、嫌?」ウルウル

提督「っ!? 分かったよ、行きゃいいんだろ、行けば!! だからそんな目で見るな!」

ヤマ「えへへ、やったぁ」ニコニコ

提督「っ・・・・・・////」

元帥(ほぅ、なかなかの策士じゃな)ニヤニヤ

榛名(青春ですねぇ)ニコニコ

長門(そういう事か、まったく・・・・・・)ニヤリ

元帥「決まりじゃな。明日にでも話に行くとしよう」

提督「分かった」

元帥「ではヤマちゃん、櫂が送っていくからのぅ。今日はありがとう」

ヤマ「はい、ではさようなら!」ペコ

ーー
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ーーーーーー

107 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:23:11.83 6enVUVL30 375/504


提督「・・・・・・なぁ?」

ヤマ「何?」

提督「お前、学校楽しいのか?」

ヤマ「・・・・・・」

提督「あの様子だと、学校でもいじめられてんだろ?」

ヤマ「・・・・・・」コクッ

提督「で、仲良い奴を増やすために俺を誘ったのか?」

ヤマ「っ!? ・・・・・・」ウルウル コクッ

提督「・・・・・・まぁ何にせよ俺はお前の味方でいるつもりだし」

ヤマ「っ!? 本当に!?」パァァ

提督「(ち、近い・・・・・・////)お、おう」タジッ

ヤマ「よかったぁ・・・・・・」

提督「あ、でも俺めんどくさい奴だぜ? 自分が気に入らないとすぐ感情的になるし、ちょいサディストだし」

ヤマ「大丈夫だよ、櫂君可愛いもん!」

提督「っ!? 答えになってねぇよ////」

ヤマ「じゃあ、学校で会えるの楽しみにしてるね!」ノシ

提督「あぁ、じゃあな」ノシ

ーー
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108 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:23:51.41 6enVUVL30 376/504


ミラ「お帰りヤマ」

ヤマ「ただいま、おばあちゃん!」

ソラ「あら? ヤマ何だか楽しそうね?」

リク「お姉ちゃん学校でいい事あった?」

ヤマ「えへへ・・・・・・////」ニマニマ

ミラ「ふむ・・・・・・」キィィ

ミラ「・・・・・・なるほど、いい子に出会えたみたいだね」

「何、ヤマに男か!? こりゃめでたい! 酒じゃ婆さん、今夜は祝い酒じゃ!!」

ヤマ「お、男だなんて、おじいちゃん・・・・・・////」カァァ

ミラ「まったく、あんたは毎晩飲んでるじゃないか、この酔いどれ爺」ハァ

ーー
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109 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:26:43.37 6enVUVL30 377/504


一週間後

提督「何かさっさと話が進んだなぁ」スタスタ

先生「う、海原さん・・・・・・教室はこっちです」スタスタ

提督「先生、教師が生徒に敬語使ってどうするんですか。普通の生徒みたいに扱ってくださいよ」

先生「し、しかしあの元帥殿のご子息を」

提督「俺はあの人じゃありません。何の権力もありませんし、父の威を借るつもりもありません。どうかお願いします」

先生「は、はぁ・・・・・・分かったよ」

提督「では改めてお願いします。俺が海軍元帥の息子だって事は伏せといてください」

先生「それもそうか、なら海外から帰ってきた事にしよう。幸いお前は外国語が上手いしな」

提督「はい。ですが聞かれた時ですよ? こっちからは言わないでくださいね」

先生「分かった」

スタスタスタスタ・・・・・・

先生「ここが教室だよ。もう皆待っている」

ガラガラッ

先生「おーい皆、席に着け」

ワイワイガヤガヤ

先生「今日は転校生を紹介する。さ、入って」

110 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:27:30.02 6enVUVL30 378/504


提督「・・・・・・」スタスタ

ザワザワ

ネェ、チョットカッコヨクナイ?
ドウシヨウ、チョータイプナンダケド

ヤマ「!」パァァ

提督「! (お、ヤマだ。! あいつまた何かされたのか?)」

先生「自己紹介してくれるかな?」

提督「」コクッ

提督「海原 櫂です。今日からよろしくお願いします」

先生「じゃあ皆、席順に自己紹介をして」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

先生「じゃあ海原、お前の席は・・・・・・あそこだ」

提督「はい」スタスタ

先生「では授業を始めるぞ。皆教科書を開いて」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」

提督(初見だし一応真面目に授業は聞いてたけど、やっぱりつまんねぇなぁ)

提督(おまけに・・・・・・)チラッ

ワイワイガヤガヤ

「ねぇ海原君、質問いい?」ワクワク
「あ、私も!」
「僕もいいかい?」

提督の周りには大勢の生徒が集まっていた。転校生に質問攻め、当然の組み合わせである

「おい、新入り!」

提督「あ?」

「俺は霊峰 学様だ! このクラスでは俺に従え!」

これが提督と友提督の初の会合であった。自分達が後に唯一無二の親友となる事を、今の二人は知る由もない

提督「ふーん、よろしく」

「ちょ、ちょっと海原君、霊峰君は・・・・・・」

111 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:28:27.33 6enVUVL30 379/504


友提督「俺の親父は国会議員! つまり政治家だ!! そして俺は政治家の息子だ、分かったら俺には逆らうなよ?」

提督「・・・・・・どーでもいい」

友提督「な!?」

「「「「っ!?」」」」ギョッ

友提督「お、俺の親父は政治家だぞ!? 俺にそんな態度とって」

提督「どうなるってんだ?」ギロ

友提督「っ!?」

提督「偉いのはお前の親父さんであって、お前自身じゃねぇだろ」スッ

スタスタスタスタ・・・・・・

ヤマ「!」

提督「よぉヤマ。約束通り来たぜ」ニッ

ヤマ「うん、ありがとう」

チョット、ナンデウナバラクントナカヨクシテルノ!?

提督「ったく、またいじめられてたのか? 頬に痣ができてる」ナデナデ

ヤマ「あ・・・・・・」

「おい海原、そいつに関わるな」

「そいつは『呪われた一族』だぞ」

提督「・・・・・・お前達のその話、何処から仕入れた情報だ?」ナデナデ

「何処って・・・・・・」

「お父さんとお母さんが・・・・・・」

提督「じゃあ聞くけど、お前達自身はその『呪われた』場面を見た事があるのか?」

「「「・・・・・・」」」

提督「・・・・・・やっぱり、周りや親の言う事を鵜呑みにしてるだけか」

「じゃあ海原はどうだってんだよ!」

「まるで自分が私達と違うみたいな言い方してさ!!」

提督「少なくとも俺は自分の目で確かめてから肯定や否定をするさ、周りの意見は参考程度にしか見ねぇよ」

「「「・・・・・・」」」

提督「さっさと席戻れ、次の授業始まるぜ」

ーー
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112 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:29:09.77 6enVUVL30 380/504


提督「やっぱり学校行っても何も得るもんねぇな」スタスタ

ヤマ「櫂君よかったの? 私を庇って皆の反感買っちゃって」スタスタ

提督「あんな奴ら、こっちから願い下げだ。どうせ今の同級生も高校生になっちまえばほとんど散り散りだしな」

ヤマ「それに霊峰君にもあんな態度とって・・・・・・霊峰君のお父さんに知られたら」

提督「普通の親はそんな態度とる子供に説教するに決まってる。それにもし本当に政治家なら『そんな下らない事で一々多忙な私の手を煩わせるな』とでも言って聞き流すし、こんな事に反応するならそいつはただの親バカか政治家としての器の小さい小者だ」

ヤマ「・・・・・・きっぱり言い切るなぁ、怖くないの?」

提督「そんなもん、長門姉の鉄拳に比べたら他のもんなんて可愛いもんさ」

ヤマ「・・・・・・あのさ」

提督「ん?」

ヤマ「ありがとう。今日、休み時間の間ずっと傍にいてくれて。お陰で今日は誰も嫌がらせに来なかった」ニコッ

提督「そうか。明日以降もいるさ、お前が嫌がらせを受けなくなるまで」

ヤマ「うん!」

ソウダ、ドヨウビウチニキテ! カゾクニアワセルカラ
ワカッタ、タノシミニシテルゼ!

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友提督「ちっ、何だあの野郎、この俺様に嘗めた口ききやがって!」ズカズカ

ガチャ

友提督「お父様、ただいま帰りました!」

「・・・・・・」カリカリ

友提督「今日来た転校生が俺に口答えしてきたのです、何とか言ってやってください!」

「私は今忙しいんだ、部屋から出て行きなさい」

友提督「っ!」

ガチャ バタン

プルルルルル・・・・・・

「私だ・・・・・・何!?」

「バカな!? 何故だ!! ・・・・・・この大事な時にしくじりおって!」ガタッ

「・・・・・・っ!? 何!? 私はそんな事まで望んではいない、何とかしろ! もしもし? もしもし!? っ・・・・・・くそっ!!」ガチャン

ーー
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113 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:30:29.01 6enVUVL30 381/504


土曜日

提督「近くで見ると更に大きいなぁ」

ヤマ「皆心待ちにしてたんだよ」

スタスタ・・・・・・

提督「お邪魔します」

ミラ「いらっしゃい。あんたが海原 櫂君だね?」

提督「はい」

ミラ「私は眞祓井 鏡水。ふふふ、何とも女らしくない名前だろう?」

提督「は、はぁ・・・・・・」

ヤマ「もう、おばあちゃん! 何時もそんな事言って!」

ミラ「ふふふ・・・・・・確かにねぇ」

提督「失礼ですが、それなら渾名のようなものを考えたらどうですか?」

ヤマ「渾名?」

提督「そうそう。例えば、鏡水の"鏡"からミラ・・・・・・とか」

ミラ「おや、なかなか可愛らしいじゃないか」

ミラ「ふふふ。ヤマの言う通り、なかなかいい子じゃないか」

ソラ「あら、その子がヤマの彼氏?」

提督「へ?」

ヤマ「お、おおおお姉ちゃん、何言ってるの!?////」

リク「おぉ、あなたが俺のお兄ちゃんだな!」

提督「え、あ、あぁ、よろしく」

ヤマ「リク!? 櫂君まで何言ってるの!?////」

提督「え? 何が?」

ヤマ「な、何でもないけど・・・・・・////」ゴニョゴニョ

114 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:31:10.16 6enVUVL30 382/504


ミラ「ヤマ、櫂を案内しておやり。爺さんにもちゃんと紹介するんだよ」

ヤマ「うん! 櫂君行こ!」タッタッタッ

提督「分かった。では失礼します」スタスタ

ミラ「ゆっくりしといで」

ーー
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ーーーーーー

提督「このトウモロコシ美味ぇ!」ムシャムシャ

「当たり前じゃ、この俺が精魂込めて育ててんだからな! たんと食え!」

提督「爺さんすげぇなぁ。あんなでっかい畑一人で耕すなんて」

「いやぁ、櫂と言ったなお前。手伝ってくれた時のあの手際の良さに全然へこたれねぇ体力。最近のガキにしてはなかなか見所がある、流石はヤマが選んだ男じゃ」

リク「確かに全然疲れたとか言わないもん、びっくりしたよ」シャクシャク

提督「家族が運動好きで姉達に鍛えてもらってるんだ、あれくらいなら」

「これからも助けてもらえるとありがたいわい、はっはっはっはっ!!」

ソラ「すっかりおじいちゃんに気に入られちゃった」モグモグ

ヤマ「知り合い以外には本当に無口なのに」モキュモキュ

ミラ「打ち解けてもらえてよかったよ」

「いい食いっぷりじゃ、ほれもっと食え!」

提督「はい!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「今日はありがとうございました、わざわざ野菜まで頂いてしまって」

「また何時でも来いよ!」

ミラ「親御さん達によろしくね」

ヤマ「またね~!」ノシ

提督「さよなら~」ノシ

ーー
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115 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:31:53.24 6enVUVL30 383/504


提督「ただいま」

元帥「お帰り。どうじゃった、ヤマちゃんの家は」

提督「楽しかったよ。ほら、野菜もらっちゃった」

元帥「おぉ、これは何とも見事な夏野菜じゃ」

加賀「茄子やトマト、トウモロコシやキュウリがこんなにも・・・・・・流石に気分が高揚します」

金剛「Wow、明日からのdinnerが豪華デスネー」

高雄「こんなにたくさんの野菜を・・・・・・」

榛名「どれも美味しそうですね」

元帥「今度儂もお礼に行かねばな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督(それからというもの、俺とヤマは毎日一緒に行動した。土曜日はヤマの家に、日曜日は俺の家で遊ぶ。そのうち、俺の家族と眞祓井家は家族ぐるみの付き合いとなった。そんなある日だった)

提督「・・・・・・」

ヤマ「? どうしたの?」

提督「なぁ、最近友提督(あいつ)が来てねぇよな?」

ヤマ「! 言われてみたら、最近霊峰君が来てない・・・・・・」

先生「ほら皆席に着けー」

先生「今日は皆に話がある。霊峰君が、家の事情でしばらく学校を休むそうだ」

提督(家の事情・・・・・・。そういえばあいつ、親が政治家だからどうこうって言ってたな。もしかしてそれが関係しているのか?)

先生「では授業を始めるぞ、移動教室だから遅れないように」スタスタ

提督「これは少し調べる必要があるな」

116 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:32:39.20 6enVUVL30 384/504


ヤマ「どうしたの?」

提督「普通なら人ん家の事情には首を突っ込む必要はねぇんだけど、あいつの場合はちょっと特殊だ」

ヤマ「?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「夕張姉、パソコン貸してほしいんだけど」

夕張「パソコン? いいよ」

提督「ありがとう」スッ

明石「櫂どうしたの? 調べ事?」

提督「まぁね。明石姉、夕張姉、最近何か政界のニュースってあった?」カタカタ

夕張「政治の世界ねぇ・・・・・・最近ずっと引き籠ってて分からないなぁ」

明石「! そういえば確か何とかって政治家が失脚したって話があったような・・・・・・」

提督「! その話何処に載ってたの!?」カタカタ

明石「少し貸して。ページが消されてなかったら・・・・・・」スッ

カタカタカタカタ・・・・・・

提督「!!」

明石「! あった!」カチッ

提督「・・・・・・なるほど、大体把握できた。ありがとう明石姉」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

117 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:33:57.94 6enVUVL30 385/504


翌日

キーンコーンカーンコーン

先生「ではまた月曜日に」

「あ~、一週間終わったぁ!」

「明日買い物行こうよ!」

提督(さて、何とかしてあいつに会うにはどうしたら・・・・・・)イソイソ

ヤマ「櫂君どうしたの?」

提督「ヤマ、あいつの家に行ってみようかと思っているんだけど」

ヤマ「何で?」

提督「事実を確かめに行く」スッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

先生「霊峰君の家の住所を教えてほしい?」

提督「はい。一クラスメイトとして気になりまして。もし彼が家族関係で困っているなら、似たような身内を持つ者同士として俺が力になれるかと」

先生「やめておいた方がいいと思うがなぁ。とはいえ、欠席の理由も詳しくは教えてもらっていないし、学校(こちら)としてはきちんと把握しておきたい」

先生「じゃあ頼んでもいいか?」

提督「はい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「行けねぇ距離じゃねぇけど、近くはないなぁ」

ヤマ「確かに・・・・・・どうするの?」

提督「ヤマ、今日は俺ん家に来てくれ。そこから姉さんにヤマん家まで送ってもらう」

ヤマ「え? 私も一緒に行くよ!」

提督「今回は俺一人で事に当たる。悪ぃな」

ヤマ「・・・・・・分かった」

提督「ありがとう」

118 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:34:55.32 6enVUVL30 386/504


ヤマ「でも何で? 一人で行って大丈夫なの?」

提督「あいつだって男だ、俺一人なら胸の中ぶちまけるかもと思ったんだ」

ヤマ「あ~、男同士ならってやつね」

提督「そうそう」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・って理由なんだ。長門姉、ヤマを家まで送ってくれないかな?」

長門「そういう理由なら致し方あるまい、任せてくれ」

陸奥「念のため私も一緒に行くわ」

ヤマ「長門お姉ちゃん、陸奥お姉ちゃん、よろしくね」

提督「じゃ、行ってくる」

元帥「気をつけてな」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・」スタスタ

提督「・・・・・・ここか・・・・・・」

ピンポーン・・・・・・

提督「すみませーん」

ガ、ガガ・・・・・・

「はい? どちら様でしょうか?」

提督「学君の同級生です、学君いらっしゃいますか?」

「学は熱を出して休んでいます、お引き取りください」

提督「一週間も下がらない熱がそうそうありますか? それ程なら普通病院に連れて行きますし熱ならちゃんと教師に伝えますよね?」

「・・・・・・帰ってください」

提督「・・・・・・事情は大体把握しています、それを踏まえて何かお力になれないかと伺った次第です」

「・・・・・・」

提督「・・・・・・」

119 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:35:55.67 6enVUVL30 387/504


・・・・・・ガチャ

提督「! (ひとりでに門が開いた・・・・・・)」

ガ、ガガ・・・・・・

「入ってください」

提督「お邪魔します」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

「初めまして。学の母です」

提督「初めまして。海原 櫂です」

「それで、大体把握しているというのは?」

提督「私も権力者の父がおりますので。だから学君の悩みを多少なり解決できるかと思いまして」

「・・・・・・分かりました、学の部屋はこちらです」

提督「ありがとうございます」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

コンコン・・・・・・

「学ちゃん、お友達ですよ・・・・・・」

提督「・・・・・・」

「・・・・・・ごめんなさい、学ちゃん今は機嫌が悪いみたいで・・・・・・」

提督「普段も返事しない時は放っておくんですか?」

「はい。下手に刺激したらますます機嫌が悪くなるので・・・・・・」

提督「母親が子供に嘗められてどうするんですか・・・・・・」アキレ

「は、はぁ・・・・・・?」

提督「もういいです。こっからは俺一人でしますので」スッ

「え?」

提督「ふっ!!」ブンッ

バギャァァァァァァンッッッ

「っ!?」ギョッ

120 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:36:56.83 6enVUVL30 388/504


提督「親に返事ぐらいしろよ、お前」ズカズカ

友提督「人の部屋のドア勝手に蹴破って入ってくるなんて、どんな教育受けてんだよ」

提督「お前が返事してドアを開ければ済んだ話だ」

友提督「ちっ、何の用だよ」

提督「引き篭もりのクラスメイトを引き摺り出しに来たんだ。来週からはちゃんと学校来やがれ」

友提督「学校なんて行くだけ無駄だ」

提督「俺が言える義理じゃねぇけど、お前は学校に行く必要があるさ」

友提督「・・・・・・どういう意味だ?」ギロ

提督「"今の"お前が学校を休んだところで、さらに自分の将来をめちゃくちゃにするだけだね」

友提督「お前に俺の何が分かる!! こっちの事情も知らねぇくせに!!」ブンッ

提督「知ってるさ。じゃなきゃここに来ねぇよ」サッ

提督「親父さん、蒸発したんだろ?」

友提督「っ!?」

提督「世間にはまだ公にされてねぇ情報だけど、そんな裏情報に精通している姉がいるんだ」

提督「お前の親父さん、裏で政治資金使ってヤバイ事に手をつけてたって話だ。その情報が何処からか漏れて失脚させられた」

友提督「・・・・・・」

提督「そしてそいつはお前達を置いて自分一人で行方を眩ませたんだな。お前は親父を盾にやりたい放題していたから学校に居辛いから仮病で休んでる。だろ?」

友提督「・・・・・・まったく、鋭い野郎だ」

提督「だから俺はお前にあの時言ったんだ、『偉いのはお前の親父さんであってお前じゃねぇ』って」

友提督「反論できねぇな」

121 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/16 01:37:55.81 6enVUVL30 389/504


提督「とはいえ、俺はお前を助けたいと思っているんだ。お前は寧ろ親父さんの被害者だしな」

友提督「何でだ?」

提督「・・・・・・実を言うと、俺も父さんが権力者なんだ。だからお前の力になれるかと思ってな」

友提督「・・・・・・悪いけど俺はお前に助けてもらうつもりはない。さっさと帰れ」

提督「なら来週から学校に顔を出せ。それを約束するなら帰る」

友提督「っ!! さっきから聞いてりゃ、お前一体何様のつもりだ!!」ガッ

提督「クラスメイト様だ」

友提督「ふざけんじゃねぇ!!」ブンッ

バキィィィッッッ

提督「・・・・・・」

友提督「親父がいなくなった俺の気持ちがお前なんかに分かるものか!!」

提督「俺からしたらお前達家族をあっさり捨てる時点でそんな奴は父親だなんて認めねぇよ」

友提督「っ!?」

提督「そんな奴の事考えるだけ無駄だ、お袋さんと二人でさっさと自立しちまえ」

友提督「・・・・・・」

提督「・・・・・・」

友提督「・・・・・・ふ」

友提督「あははははははははははッッッ」

提督「・・・・・・」

友提督「ったく、お前の所為だぞ」

友提督「今までの悩みが無くなっちまったよ」

提督「いや、そんな事言った覚えないけど」

友提督「一つ、借りができたな」

提督「そうか、なら来週学校に返しに来い」クルッ

提督「じゃあな」スタスタ

ア、コレデカエルンデ。オジャマシマシタ。
ド、ドウモ

友提督「・・・・・・ありがとう」ボソッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー


大和「もし許されるなら」【4】

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