大和「もし許されるなら」【1】

158 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:13:22.46 Q1IxI1jM0 158/504


大本営

提督「長門姉に引き摺られて来たけど、本当に何も変わらねぇな」

大和「広いですね」

吹雪「あわわわ・・・・・・」カチコチ

北上「吹雪リラックス、肩の力抜きなよ」

大鳳「北上さんはもう少し緊張感を持ちましょうよ・・・・・・」

文月「お腹空いたぁ」

利根「少し我慢しておれ」

??「おぉ櫂、久しぶりじゃのう」

提督「! 親父!」

大和「! ではこの方が」

長門「あぁ。海軍の総司令官、元帥の『海原 巌山(がんざん)』殿だ」

元帥「いやはや、お前は何かしらの理由をつけて会議を休むと思ってのぅ。前もって長門達を向かわせておいて正解じゃったわい」

提督「別に会議が嫌なわけじゃねぇんだけどな・・・・・・」ボソッ

元帥「む? 何か言ったかの?」

提督「・・・・・・別に」

元帥「ほぅ、この娘達が?」

提督「あぁ、吹雪は知ってるよな?」

吹雪「お久しぶりです、元帥!」ビシッ

159 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:14:04.54 Q1IxI1jM0 159/504


元帥「久しぶりじゃのう吹雪ちゃん。うちのバカ息子がいつも迷惑をかけてすまんの」

吹雪「いえ、そんな事は・・・・・・」

提督「お前らも挨拶しろ」

北上「雷巡北上です」ビシッ

大鳳「装甲空母大鳳です!」ビシッ

文月「睦月型駆逐艦の文月っていうのぉ」ニパァ

利根「利根型航空巡洋艦の利根じゃ」ビシッ

大和「大和型戦艦、大和です!」ビシッ

元帥「皆元気が良くて何よりじゃ。儂が元帥の海原じゃ。息子が世話になっておるのぅ」

提督「とりあえず部屋を貸してくれ。どうせ2、3日かかるんだ、皆を泊めたい」

元帥「うむ、お前の部屋を使うがよい」

金剛「私が案内するデース!」

スタスタスタ・・・・・・

長門「元帥、少しお話が」

元帥「む?」

長門「」ヒソヒソ

元帥「!・・・・・・そうか」

提督「・・・・・・」

元帥「櫂、少し良いか?」

提督「ん?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

160 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:14:52.20 Q1IxI1jM0 160/504


文月「広いね~」キョロキョロ

利根「うむ、規模が桁違いじゃな」

??「ん? 金剛やないか、こんなとこで何しとんの?」

金剛「Oh、ローグデース!」

吹雪「ローグ?」

北上「憲兵じゃん、知り合いなの?」

??「まぁな、てか、あんまローグてゆーなや金剛」

金剛「だってテートクもダンチョーも櫂も呼んでるデース」

吹雪「! 司令官も?」

??「! 君らもしかして、櫂んとこの艦娘け?」

大和「! 提督をご存知なのですか?」

??「まぁな、あいつがちっさい時からの知り合いなんやわ」

提督「ん? あ、ローグの兄ぃ!」スタスタ

??「! おー、櫂! 久しぶりやなぁ、すっかり立派になってからに」

提督「兄ぃは全然変わらねぇなぁ」

艦娘「兄ぃ?」

提督「あぁ、紹介するよ、この人は憲兵団の副団長の法田 宮彦(ほうだ みやひこ)。俺が小さい頃から世話になってるお兄さんみたいな人だ」

副長「よろしくなぁ皆。法田っていいます」

文月「?」

161 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:15:30.11 Q1IxI1jM0 161/504


北上「何で日本刀持ってんの?」 フー・・・・・・ン・・・・・・

副長「ん? あぁ、俺がそれなりの達人やからや」ニシシ

北上「それなりって、中途半端だねぇ」フー・・・・・・ン・・・・・・

副長「なはは、こらまた手厳しい指摘やわ」チャキ

艦娘「っ!?」ギョッ

副長「」ヒュッ

北上「ひぃっ!?」ビクッ

副長「あぁ、悪ぃ悪ぃ。北上の頭の2cm上に蚊が飛んどってな」スッ

艦娘「あっ!」

大和(た、確かに蚊が刃に付いてる)

副長「あり? 頭と体の関節狙ったんやけど、ちょいズレとんなぁ」つ布巾

提督「相変わらずの動体視力と剣術だなぁ」

副長「まぁ、これくらいやったらな」フキフキ

チャキ・・・・・・チン

北上「え・・・・・・え? 何、あたしの頭の上を飛んでる蚊の関節を狙って、それが簡単?」ボーゼン

提督「親父と叔父貴が別次元過ぎて目立たないけど、兄ぃも艦娘より強いからな。特に剣術なら艦娘に指導するくらいだ」

金剛「よく伊勢や日向、天龍や龍田がlesson受けてボコボコにされてたネ」

副長「久々に櫂もしごいたろか?」

提督「遠慮しときます」

162 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:16:06.78 Q1IxI1jM0 162/504


文月「ねぇねぇ」

提督「?」

副長「ん? 何や?」

文月「副長さん何で左手の小指が動かないの?」

艦娘「!?」

提督「文月、それは今聞くべき事じゃ」

副長「まぁまぁ、疑問持つんは、ええ事やでな」

文月「?」

副長「俺の小指はな、昔詰めたんや」

文月「つめるー? なにそれー?」キョトン

大和「文月ちゃん、もっと大きくなったら教えてあげますね」

文月「? 分かった~」

吹雪「・・・・・・」

北上「え、じゃあマジモンなの?」

副長「元な。ふっるいとこやったんやわ」ニシシ

副長「まぁ昔の話やからな」

利根「逞しいのぅ」

副長「ほれ、つまらへん俺の話は終わりや。何か用事あるんちゃうんか?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

163 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:16:46.65 Q1IxI1jM0 163/504


吹雪「司令官は何処に行ったのかなぁ?」

大和「提督なら確か元帥殿に話があるって連れて行かれましたけど」

提督「呼んだかお前ら?」ヌッ

北上「あ、帰ってきてたんだ」

提督「えー、俺の必死な説得も虚しく。今から元帥直々の鬼トレをする事になりました」

艦娘「い、今から!?」ギョッ

提督「というわけで、動ける服装に着替えてグラウンドに集合しましょう。因みに俺も強制参加だから」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

グラウンド

元帥「諸君、儂の思いつきに付き合ってくれてありがとう。ではこれより、本場の鬼トレを開始するぞい!」E:迷彩軍服・ペレー帽・サングラス・葉巻

艦娘(アンタが元ネタかい!!)

元帥「儂はトレーニングとなれば厳しいぞ。そこのハナタレの青二才とは比べ物にならんくらいにな!」ジロ

提督(息子に対して散々な言いようだなぁおい・・・・・・)イツモノコトダケド

元帥「櫂から内容を聞いたが、儂の場合はもう一捻りあるぞい」

艦娘「?」

提督「はぁ・・・・・・(エンジンかかっちまったなぁ)」

元帥「なに、今までのメニューに制限時間を設けるだけじゃよ」ニヤリ

大和「せ・・・・・・!?」

吹雪「制限時間!?」

164 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:17:37.46 Q1IxI1jM0 164/504


元帥「左様。時間をかければどれだけ体力の無い者も終わらせる事は可能じゃ。それを如何に素早く行うか、じゃよ」

提督「俺は早くて3時間が限界だった」

元帥「最初という事も考慮してサービスじゃ、制限時間は4時間としよう」

北上「4時間なら、まぁ・・・・・・」

利根「うむ、それ程苦では無いのぅ」

提督「お前ら親父のスパルタさを知らねぇからそんな事言えるんだよ」

元帥「制限時間以内に終わらなかった場合ペナルティじゃからの。では始めぃ!」スッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

元帥「はっはっはっ!! いやはや、皆の日頃の訓練の成果、よく見せてもらったわい。まさか儂のトレーニングを初めて受けてここまで持ち堪えるとはのぅ」

艦娘「」チーン

提督「だから・・・・・・言ったのに・・・・・・・」ゼーッゼーッ

北上「ま・・・・・・まさか・・・・・・元帥が」ボロッ

大鳳「ランニング中に・・・・・・妨害して来るなんて」ボロッ

吹雪「バ、バスケットボールが凄い勢いで飛んできた・・・・・・」ガタガタ

文月「背中痛いよぅ」シクシク

利根「吾輩も・・・・・・あ、脚が・・・・・・」ズキズキ

大和「も、もう動けません・・・・・・」グッタリ

元帥(ふむ、櫂はともかく、大和だけはボールを全て避けておったな。前や横だけでなく、後ろからのボールさえも)

165 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:18:22.61 Q1IxI1jM0 165/504


元帥「さて、次は組み手をするわけじゃが。ほれ、儂が全員相手してやるぞい」

北上「い、言ってくれるじゃん」ユラァ

大鳳「先ほどの妨害には面食らいましたが」

利根「流石に7対1では勝てまい!」

提督(あ、俺も入ってんだね)

文月「行くよぉ」

吹雪「覚悟!」バッ

大和「あ、ちょっと皆さん!?」ギョッ

元帥「ふむ」

先陣を切って飛び込んだのは吹雪と大鳳だった。得意の乱打を放つ吹雪と

吹雪「やぁぁっ!」ババババ

持ち前の踏み込みを活かした重い拳を放つ大鳳

大鳳「はぁっ!」ブンッ

ガシッ

吹雪「ふぎゃっ!?」

ズドンッ!!

大鳳「なっ!?」

元帥「なかなかやるのぅ」

しかし、その二人を元帥は苦もなく防いだ。その左手は乱打を放つ娘の顔を正面から掴み、その右手は体重の乗った拳を軽く受け止めていた。

大和(吹雪ちゃんをアイアンクローで、大鳳さんのジョルトブローを片手で止めた!?)

元帥「ほいっ」ブンッ

吹雪「きゃあっ!?」

大鳳「ひゃあっ!?」

ドカァァァァァァァンッッッ

提督「あ~あ・・・・・・」

166 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:19:04.12 Q1IxI1jM0 166/504


吹雪「」ピクピク

大鳳「」ピクピク

投げ飛ばされた二人は壁に叩きつけられ、目を回していた

元帥「うーむ、寄る年波は越えれんか。最近身体が鈍ってしまうのぅ」

間髪をいれずに小さな駆逐艦が躍り出る。一瞬で見上げる大男の懐に飛び込み

文月「とぉ~」バッ

元帥「む?」

バシィィッ

元帥「ふむ」

文月「え?」

その小さな拳は文月の顔より大きな左手で難なく受け止められた

元帥「踏み込みが甘いぞい、文月ちゃん」スッ

元帥は右手の人差し指を親指に引っ掛けた状態で突き出す。いわゆるデコピンであった

文月「デコピン!?」バッ

バチィン

文月「あうっ!?」

ヒュー・・・・・・・

提督「おわ、文月!」バッ

ガシッ

提督「大丈夫か!?」

文月「はにゃ~・・・・・・」グルグル

北上「よっと」バッ

元帥の懐に北上が飛び込む

ガガッ グイッ

胸ぐらと右腕の袖を掴み

元帥「ほ?(掴みに来おったか、背負い投げかの?)」

167 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:19:46.99 Q1IxI1jM0 167/504


北上「よいしょっ!」グッ

グググッ

北上「!? あ、あれ!?」

元帥「? どうしたのかね?」

北上(あ、上がらない!? 何なのさこの爺さん、足の裏に磁石でもくっついてんの!?)

元帥「投げないなら儂の番じゃよ?」スッ

北上「!? ヤバッ!」バッ

利根「はぁっ!」バッ

バシィィッッッ

元帥「む?」

掴みかかろうとした元帥の右手を利根の前蹴りが弾く

北上「あっぶな、助かったよ利根っち」

利根「やはり元帥は桁違いじゃ、試合感覚では勝てんぞ」

北上「だよねぇ」

元帥「そうじゃな、儂を殺す気でかかってくるがよい」

利根北上「はぁっ!」バッ

元帥「でないと、つまらんからのぅ」バッ

ガシッ、ガシッ

二人を背中側から掴み、持ち上げた後

元帥「ほいっ」

ドゴォォォォォォォンッッッ

北上「」チーン

利根「」チーン

提督「頭から地面に突き刺さった・・・・・・」

大和「瞬殺・・・・・・ですか?」ゾッ

元帥「さて、後はお前達二人じゃよ」

大和「っ!!」

提督「その前にその二人を引っこ抜かせてくれ」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

168 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:20:38.11 Q1IxI1jM0 168/504


艦娘「元帥怖い元帥怖い・・・・・・」ガタガタブルブル

大和(五人とも端っこで体育座りしちゃいましたよ)

提督「はぁ・・・・・・」

大和「提督、大和を先に行かせてください」

提督「・・・・・・長門姉の時といい、お前の積極性には脱帽だよ。本当にいいのか?」

大和「はい」

提督「・・・・・・まぁ、お前のそんなとこが好きだけどな」ボソッ

大和「えっ!?////」カァッ

提督「何でもねぇよ」

大和「はぁ・・・・・・」スッ

元帥「・・・・・・」

大和「っ!」ダッ

元帥「!」

ズドドドドドドドッッッ

ラッシュ。戦艦の筋力を遺憾なく発揮し、仁王立ちする巨漢を殴り、

大和「はぁっ!」

ドガガガガガガガッッッ

蹴り、殴り・・・・・・

元帥「・・・・・・ふむ」スッ

バシィィッッッ

大和「なっ!?」

元帥「随分と重い拳じゃのぅ、長門に痛みを感じさせ、その場から動かしただけの事はある」

大和「まさか片手で受け止められるとは」

元帥「なんのこれしき。赤子の拳じゃよ」

大和「でしたら!」ブンッ

左手を掴まれた状態から跳ね上がるように放った右膝の飛び蹴りは

元帥「!」

ズドォォォォォォォォンッッッ

元帥の鳩尾に深く沈んだ。だが・・・・・・

大和「っ!?」ギョッ

元帥「鳩尾に膝蹴りか・・・・・・常人ならばこれでケリはついたかの」

大和(そ、そんな・・・・・・これでも効いてないの!?)

提督(親父と叔父貴は普通の人間よりも数十倍、骨密度と筋肉密度が高い。いわば天然の鎧を纏ってるようなもんだ)

169 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:21:26.11 Q1IxI1jM0 169/504


元帥「さて」ガシッ

大和「っ!?」

元帥「ほいっ」ブンッ

大和「きゃあっ!?」

ドガァァァァァァァァァンッッッ

提督「っ!」

大和「うぅ・・・・・・」

元帥「ふむ、皆筋は良いし力も十分じゃ(しかし、奴を相手にするにはまだ足りんかのぅ・・・・・・。奴を倒す望みがあるとしたら、やはり大和ちゃんか)」

元帥「で、お前は来ないのか?」ジロ

提督「はいはい、やりますよ(だから会議に行くのは嫌なんだよ)」ハァ

タッタッタッタッ

提督「はっ!」ブンッ

バキィィィィッ

元帥「ぬっ!」

元帥「せいっ!」ブンッ

ドムッ・・・・・・

提督「うぐっ!?」ヨロッ

大和「提督!!」

元帥「ほれどうした、もっと打ってこんか!」

提督「っ!」バッ

ドカッ、バキッ、バシッ、ゴキッ

元帥「何じゃその甘い打ち込みは!」

バキィィィィッ

提督「っ!?」

ドシャッ・・・・・・

元帥「全く、全然変わっておらんではないか。さては暫く組み手をしておらんな?」

提督「ゲホゲホッ、はぁ、はぁ・・・・・・」

元帥「もう一度鍛え直しじゃ。いつも言っておるじゃろうが」

提督「っ! ・・・・・・」

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ーーーー

170 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:22:03.73 Q1IxI1jM0 170/504


長門「はぁっ!!」フッ

ズドドドドドドドドドッッッ

元帥「せい!」バッ

バキィィィィッ

長門「がはっ!?」

霧島「ふっ!」ブンッ

ドカァァァァァァァンッッッ

元帥「甘いぞい」パシッ

霧島「なっ!?」グルグル

ブンブンブン・・・・・・

元帥「ほっ!」ブンッ

バコォォォォォォォォンッッッ

霧島「うぁっ!?」

赤城「はっ!」ブンッ

加賀「ふっ!」ブンッ

ガシッ、ガシッ

元帥「はぁっ!」ブンッ

ドカァァァァァァァンッッッ

バコォォォォォォォンッッッ

赤城「きゃっ!?」

加賀「うっ!?」

ドカァァァァァァァン

バゴォォォォォォン

ホレカカッテコイ、ヒヨッコドモ!!

提督(7歳)「・・・・・・」

171 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:22:49.92 Q1IxI1jM0 171/504


榛名「どうしたのですか、櫂」

提督「何で毎日父さんは長門姉達をボコボコにしてるの?」

榛名「ボコボコにしてるわけでは・・・・・・」ニガワライ

榛名「お父さんは長門さん達を鍛えているんですよ」

提督「何で父さんが? 艦娘(皆)の方が人間より強いんじゃないの?」

榛名「それは本人に聞いてみましょうか」フフッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「父さん」

元帥「む? 何じゃ櫂」

提督「何で父さんは艦娘(皆)より強いの?」

元帥「簡単じゃよ、儂は他人より身体の構造(つくり)が頑丈なんじゃ。じゃから艦娘と殴りあえるのじゃよ」

提督「・・・・・・そっか」

元帥「? どうかしたかの?」

提督「俺は父さんみたいに強くはなれないよね」

元帥「? 何でそう思うのじゃ?」

提督「血が繋がってないから遺伝しないし。だから俺は父さんみたいに艦娘と組み手できないよ」

元帥「櫂、何も身体の頑丈さが力の全てではないぞい」

提督「? どうして?」

元帥「力の強さは何も身体が強いからではない。問題は心の強さじゃよ」

提督「心の強さ?」

元帥「そうじゃよ。儂ら軍人はいわば祖国の為に盾となる存在じゃ。皆を守る為には強くなければならん。そう心得ておくだけでもかなり違うぞい」

提督「・・・・・・」

元帥「儂らが戦っておる深海棲艦は、人間(儂ら)では太刀打ちできん。故に艦娘の皆に代わりに戦ってもらっておるのじゃ」

提督「でも父さんはその皆より強いじゃん」

元帥「陸ではな。奴らが海の上で戦ううちは人間に勝ち目はない。艦娘だけが、海上で戦えるのじゃよ」

172 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:23:58.45 Q1IxI1jM0 172/504


元帥「しかし、全てを彼女達に任せ、自分だけは安全な場所でのうのうと暮らすのは無責任じゃ。儂ら提督が弱いままでは、もしもの時に彼女達の足でまといになりかねん。故に儂は彼女達と共に己を鍛える事で、足を引っ張る事なく、いつか来る戦争の集結の瞬間を全員で迎えたいと思っておる」

提督「・・・・・・」

元帥「よいか、腕っ節が強くなくともよい。じゃが、軍人となり大切な者達を守りたいならば、強くならねばならん。頭と心、そして身体を鍛える。強くなろうと心に決めれば、それ相応の力はちゃんとついてくれる」ナデナデ

ーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

提督「・・・・・・」グッ

元帥「お前が弱いままでは、いつか皆の足を引っ張る。弱い者が誰かを守る事はできんぞ」

提督「分かってる・・・・・・」ダッ

そう、弱いままでは戦場で彼女達の足を引っ張ってしまう。だからこそ父は恵まれた体躯を活かし、艦娘と共に強くなる事を選んだ。そしてその背中に自分は憧れたのだ

大和「提督・・・・・・」

提督「オラァッ!」ブンッ

元帥「ふっ」ブンッ

ドゴォォォォォォォンッッッ

提督「ゲホッ」ゴフッ

ビチャッ

大和「っ!!」

提督「まだだ、まだまだ!」ダッ

重い拳に意識を失いかけるも、必死で立て直す提督、それを見て元帥は

元帥「そうじゃ。気を強くもて!」

血を吐く提督を鼓舞する

提督「分かってる!」バッ

バキィィィィッ

ドカァァァァッ

元帥(櫂、お前は昔から聞き分けのよい子じゃった。多少の反抗期はあれど、基本的には優しい心の持ち主じゃったな。父として、上官として接してきたが、お前は儂の望んだように優しく、そして強い男に育ってくれた。儂は嬉しいぞぃ)

元帥(今のお前達ならば十分力をつけておる。じゃが、今の強さに満足してほしくはない。せめてこの戦いが終わるまでは、もっと高みへ行こうという向上心を持っていてほしい)

173 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:24:52.81 Q1IxI1jM0 173/504


提督「はっ!」ブンッ

元帥「・・・・・・」ブンッ

ドカァァァァァァァンッッッ

提督「っ!?」ヨロッ

ドシャッ・・・・・・

大和「提督!!」タッタッタッ

吹雪「司令官!!」タッタッタッ

提督「あ~、も、無理だ」

吹雪「またこっぴどくやられましたね」

提督「だから会議行きたくねぇんだよ」

元帥「まあ、昔と比べて強くはなっておるからのぅ」

大和「でもやり過ぎです! 死んでしまったらどうするんですか!?」キッ

元帥「あれしきで死ぬようなヤワな訓練はしとらんよ」ポイッ

提督「大和、いいんだ」パシッ

大和「提督、ですが・・・・・・」

提督「親父、ありがとうな」つ傷薬

元帥「明日までに傷を癒せ。一時間後にご飯じゃ」スタスタ

テイトク、キズヲミセテクダサイ

ダイジョウブダッテ、ジブンデヌレル

ダメデスヨ、シレイカン ガシッ

ホレホレ、フクヌゲー

チョッ、オイコラ、フブキ、キタカミ!?

ガマンシテクダサイネ、テイトク

マ、マテヤマト、チョッ、ギャァァァァァッ!!?

ーー
ーーーー
ーーーーーー

174 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:26:06.49 Q1IxI1jM0 174/504


翌日

提督「あ~ダルっ、めんどくせぇなぁ」

大和「何で会議中寝てたんですか!」

提督「だってつまんねぇもん」

副長「せやかて寝たらあかんやろ、会議中ガンさん眉間に皺が寄りっぱなしやったで」

提督「! そうだ兄ぃ、久々に稽古つけてくれよ」

副長「何やな藪から棒に? まあ、ええけど」

副長「鋼か竹か、どっちや?」

提督「竹で」即答

大和「鋼か竹ってどういう意味ですか?」

提督「真剣か竹刀かって事」

副長「おし、30分後にグラウンドな」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

バシッ、バシバシッ

竹刀の打ち合う音が響く。提督は手に持つ竹刀を上段、下段と打ち込む

提督「せいっ」ブンッ

しかし対する副長は

副長「お?」

バシッ

左手だけで持った竹刀で容易く受け止め、流していた

大和「さっきから提督が攻めてますね」

文月「いけー、司令かーん!」

吹雪「副長さんは受けてばかりです」

北上「・・・・・・」

大鳳「? どうしました?」

利根「珍しく静かじゃな」

北上「副長さん、全然本気じゃないよ」

艦娘「え?」

北上「普通、剣は提督みたいに両手で持つんだよ。でも副長さんは片手、しかも左手で持ってんじゃん」

吹雪「あっ」

北上「しかも副長さんは左手で剣を握る力は半減してるから、力はそんなに入らないはずなのに、それで提督の剣を易易と防いでるあたり、ねぇ」

バシッ、バシッ

提督「やっ!」ブンッ

ここぞとばかりに上段を決めようとした提督を副長は

175 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:28:17.98 Q1IxI1jM0 175/504


副長「アホ!!」ブンッ

バシィィッッッ

提督「いだっ!?」

副長「打ち込む時は、衝撃の瞬間に強く握り直せっていつも言うとるやろが!」

提督「うぅ、忘れてた・・・・・・」

副長「まぁええわ、ほな俺もそれなりの力出すか」シュル

バサッ・・・・・・

艦娘「っ!?」

北上「やっぱマジモンだったんだ・・・・・・」

文月「ほわぁ、虎と龍だー」

利根「前の左胸のは桜吹雪かの?」

吹雪「っ・・・・・・」ゴクッ

大鳳「あ、あぁ・・・・・・」

副長「行くで、櫂」スッ

提督「・・・・・・」スッ

副長「」

提督「」

艦娘「っ・・・・・・」ゴクッ

北上(提督は普通の構え、副長さんは居合の構え・・・・・・)

提督「せぇぇぇぇいっ!!」ブンッ

副長「居合・・・・・・」スッ

ガルルル・・・・・・

提督「っ!? やべっ」

艦娘(!? ド、ドラゴンのオーラ!?)

ガォォォォォォッッッ

副長「飛竜一閃(ひりゅういっせん)!!」ブンッ

バシィィィィィィッッッ

提督「ぐぁっ!?」

ゴァァァァッッッ

副長「強襲!!」

バシィィィィィィッッッ

提督「ぐへっ!?」

グォォォォォォッッッ

副長「角竜一突(かくりゅういっとつ)!!」

バシィィィィィィッッッ

提督「う・・・・・・」フラフラ

ドシャッ・・・・・・

提督「ま、参りましたぁ・・・・・・」グルグル

大和「居合の切り上げから即座に袈裟斬り、そして突き・・・・・・」ゾッ

北上「い、一瞬副長さんの周りにドラゴンのオーラが映って見えた・・・・・・」

176 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:28:55.36 Q1IxI1jM0 176/504


副長「ありゃりゃ、ちとやり過ぎたわ」

提督「流石だよなぁ、兄ぃは」ムクッ

副長「まぁ、お前もそれなりには強なっとんな。これやったら大丈夫やろ」

提督「そっか、良かった。ありがとう」

大和「最初は攻めていたんですけど」

副長「もうそろそろ午後の会議始まんで」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「大和、さっきのを含めて会議を傍らで聞いていてさ」

大和「はい」

提督「提督連中をどう思う?」

大和「はい? どういう事ですか?」

提督「艦隊の編成は完全に着任した艦娘に影響してるけど、大体の傾向は掴めただろ?」

大和「朧気ではありますが」

提督「"初期艦制度"の内容が少し変わったからな。例えばロリコンの少将の鎮守府艦隊は水雷戦隊で編成したものだし、中将は航空機好きだから、艦隊を航空戦力で固めている。そして今日は来てねぇけどドイツ艦のみで構成された艦隊を持つ提督もいるんだぜ」

大和「提督達も好みが影響するんですね」

提督「とりあえず今日は終わりだ。先に部屋に帰ってろ」

大和「分かりました」スタスタ

アラ、フブキチャン

ヤマトサン、カイギオツカレサマデス! ドウデシタ、テイトクレン?

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ーーーーーー

177 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:29:34.17 Q1IxI1jM0 177/504


元帥「すまんのぅ呼び出して」

提督「呼び出す口実を作るためにわざわざ会議に居眠りさせるなんてな」

提督「で? 話って何だよ」

元帥「今から4年前、儂らが深海棲艦との最終決戦に挑み、そして勝利をした大規模作戦。あの時に奴らの本拠地を叩き、大部分を撃滅した。故に深海棲艦はそれ以降数を増やす事が不可能となり、この戦争に終わりが見えた。その後4年間、お前や皆の活躍により、奴らは既に絶滅寸前。勝利は目前のはずじゃった。じゃが・・・・・・」

提督「? 何だよ」

元帥「儂には一抹の懸念がある。あの時、あの決戦の場から儂らはある一体を逃したのじゃ。そいつはいわば深海棲艦のリーダー。普段戦う奴らや姫級を艦娘とするならそいつはさしずめ提督のようなものじゃ」

提督「っ!?」

元帥「特筆すべきは奴の強さじゃ。この艦隊の最高練度の艦娘達を相手に単体で渡り合い、殆どダメージを負っていなかったのじゃ」

提督「長門姉や赤城姉、金剛姉達と渡り合ってほぼ無傷!?」

元帥「あの決戦から奴の目撃情報が一切ない。それが心配じゃ」

提督「・・・・・・それを俺に言ってどうしろと? 正直そんな奴となんか戦えねぇよ」

元帥「唯一・・・・・・」

提督「?」

元帥「唯一、奴と戦える艦娘がおるとすれば、それは大和ちゃんじゃ」

提督「なっ!? 大和が!?」

元帥「今でこそあの実力じゃが、あの娘を鍛えれば恐らく、いや、必ずや長門達を凌駕するじゃろう」

178 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:30:19.17 Q1IxI1jM0 178/504


提督「大和をどうしろって言うんだよ。暫く親父が鍛えるってか?」

元帥「そうじゃ。良いかの?」

提督「・・・・・・あいつは、確かにスゲー奴だよ。皆からも慕われてるし、実力も折り紙つきだ。それでも奴とはまだ戦えねぇ・・・・・・か」

提督「分かった。じゃあ親父、暫く大和をこっちで鍛えてくれ。その代わり条件がある」

元帥「? 何じゃ?」

提督「他の奴らも一緒に置いてやってくれねぇか? 吹雪、北上、大鳳、文月、利根。大和を親父が鍛えている間、叔父貴や兄ぃに稽古をつけさせるなりして、この五人を傍に置いてやってほしい」

元帥「無論じゃ。元より長門達を動員してあの五人も鍛えてやりたいと思っていたところじゃ」

提督「どうかよろしくお願いします。・・・・・・"元帥"」土下座

元帥「うむ。上官として、父として、承知した」

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翌日

吹雪「・・・・・・分かりました」

北上「まぁこのままやられっぱなしもなんか嫌だもんね~」

大鳳「必ずや見違える程強くなって見せます!」

利根「期待しておれよ提督!」

文月「司令官・・・・・・」シュン

提督「そんな顔すんなよ文月、強くなって帰って来い」ナデナデ

文月「うんー」

179 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:31:08.12 Q1IxI1jM0 179/504


大和「提督」

提督「ん?」

大和「提督の考えは理解しました。この大和、必ずやその名に恥じぬ強さを得て帰投致します」

提督「おう、楽しみにしてるぜ!」ニカッ

大和「っ!!////」カァッ

元帥「任せてくれ、この六人は儂が責任をもって預るぞい」

提督「あぁ。じゃ、俺はこれで」クルッ

大和「提督!!」タッタッタッ

提督「ん?」

大和「んっ・・・・・・!!」

チュッ・・・・・・

提督「っ!?////」

艦娘「なっ!?////」

元帥「おー、これはこれは」ニヤニヤ

大和「ん、んくっ・・・・・・////」

提督「!?!?!?////」

大和「プハッ、ふふ、大和の初めてですよ?」

提督「な、お、おい大和、何を!?////」カァッ

大和「これで大和は暫く頑張れます!」

提督「はぁ!?」

吹雪「い、意外と大胆なんですね、大和さん////」

北上「あたしまで固まっちゃったよ////」

文月「司令官と大和ちゃん顔真っ赤ぁ」ニコニコ

大鳳「い、今の舌入れてましたよね?////」

利根「ガッツリとな////」

元帥「若いとはいいのぅ、儂も新婚の時は母さんと・・・・・・」シミジミ

提督「半世紀以上前の事を思い出してんじゃねぇよ!!////」

180 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:31:47.17 Q1IxI1jM0 180/504


提督「じゃ、頑張れよ皆!」スタスタ

艦娘「はい!」

吹雪「司令官もしっかり休んでくださいね」

文月「バイバーイ」ノシ

北上「じゃねー」ノシ

大鳳「頑張りまーす!」

利根「身体に気をつけるんじゃぞー!」

大和「」ノシ

吹雪「? 大和さん?」

大和「////」

吹雪「や、大和さんが気絶してる!?」

北上「あー、後でショートした感じか」

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鎮守府

執務室

ガチャ

提督「ふー、帰った帰った」スタスタ

妖精「あ、帰ってたの?」ヒョコ

提督「今着いた、悪ぃな急に留守にして」

妖精「ちゃんと鎮守府は機能させといたよ」

提督「ありがとう、お礼とお詫びを兼ねてほれ、皆で食べてくれ」つビニール袋

妖精「大本営間宮のアイスと駅前の高級プリンじゃん、わざわざありがとね」ウケトリ

妖精「皆ー、お土産だよー!」

ワイワイガヤガヤ

181 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:32:28.74 Q1IxI1jM0 181/504


提督「・・・・・・」ボーッ

妖精「ん? どひはのへーほく?」モキュモキュ

提督「・・・・・・」ボーッ

妖精「んぐっ、ボーッとして何かあったの?」

提督「え? い、いや、何でもねぇ////」

妖精「何だそういう事か」

提督「あ?」

妖精「大方、大和にディープキスでもされたんでしょ?」

提督「な、何で分かるんだよ////」ギクッ

妖精「おいおい、あたしを誰だと思ってんのさ、妖精さんだぞ?」エリピラッ

提督「何か腹立つな、その仕草とドヤ顔」

妖精「大和、あんたに告白した後もずっと一途に想い焦がれてんだよ。あんたもそろそろケリつけたらどうさ」

提督「・・・・・・」

妖精「このままじゃ大和が可愛そうだし、何よりあの娘が浮かばれないよ」

提督「分かってるさ」

妖精「ごめん、出過ぎた事言って」

提督「いや、アンタは正しい。あの時皆と一緒に励ましてくれた上に、俺が提督に就く際には、わざわざ俺の鎮守府に異動までしてくれた。本当に感謝してるよ」

妖精「今思えば妙な縁だよね、あたしら」

提督「まぁな。よっしゃ、溜まった番組観るぞー!」

妖精「はは、あたし達も同席させてもらうよ、美味しいおやつもあるしね」

ソウトキマレバ、サッソクジュンビダ。 ツイデニバンメシモ、スマシチマオウゼ!

サラトグラスハアタシタチガヨウイスルヨ

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182 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:33:27.29 Q1IxI1jM0 182/504


一週間後

提督「・・・・・・って話なんだよ」ニマイチェンジスル

妖精「なるほどね、確かに気になるなぁ、その深海棲艦のリーダーって奴」アタシハサンマイ

提督「だろ、長門姉達でも対してダメージ与えられなかったらしいんだ」セーノ

妖精「あの脳筋軍団が、ねぇ・・・・・・」デーハ

提督「ツーペア」14477

妖精「フルハウス」55888

提督「ありゃ、負けちまった」ホラヨ

妖精「昔はトランプでババ抜きしかできなかった坊やが今やポーカーで遊べるようになるなんてね」アイヨ

話は一時間前、提督は予てから疑問に思っていた事を妖精に質問しようとした。だがそれに対し、妖精は自分に勝ったら何でも答えるが、負ける度に提督からはお菓子を要求するとトランプを持ち出した。そこで2人は真実とお菓子をそれぞれ賭けて、ポーカーを行っているのだ。現在提督の全戦全敗。妖精の側には大量の飴玉やラムネ、チョコが山積みになっていた

提督「話戻すぜ。仮にもしそんな奴がいたらこの鎮守府の艦娘は全滅だ」

妖精「だからあの六人を元帥の元に預けてきたと?」

提督「まあな。これで万一ここにそいつが来たとしても皆がぶつかる必要が無いからな」

妖精「その代わり、あんたは確実に死ぬよ」

提督「だろうな」

妖精「まったく、呑気なもんだよ」

提督「よっしゃ、もう一戦」ニヤ

妖精「次も勝つのはあたしだよ」ニヤ

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大本営

吹雪「はぁっ!」ブンッ

文月「やぁっ!」ブンッ

団長「甘い!」バッ

バシバシッ

団長「二人ともまだまだだ、もっと強く踏み込め!」

吹雪「はい!」

文月「難しいよ~」

183 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:35:54.09 Q1IxI1jM0 183/504


副長「まったく、団長もえらい楽しそうやなぁ。ガンさんといい、何であの兄弟はド突き合いなると高揚するんやろか?」チラッ

利根「はぁっ!」

バキィィィィィッッッ

長門「ふむ、なかなかの蹴りだ。だが」スッ

組んでいた腕を解いて構えようとする長門、だが利根はそれを見逃さず

利根「十八番はもう少しお預け願うかのぅ」バッ

腕が動いた瞬間には既に前蹴りを放っていた

長門「!?」

ズドォォォォォォォォォンッッッ

長門「技を出す前に攻撃する事で防いだか」

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北上「そこっ!」ヒュッ

北上の手刀が空を切る。だがそれが相手に当たる事は無かった

??「遅いよ!」ブンッ

北上「っ!?」サッ

一瞬で背後に回った影は北上に蹴りを放つ。それを間一髪で躱す

北上「全く、怖い人だねぇ川内さん」

川内「なかなか筋はいいと思うよ。私の攻撃を初見でここまで躱すなんて。一週間指導してるけど殆ど出しちゃったし、もうそろそろネタ切れかな」

北上の戦闘スタイルを聞いた元帥は、自身の艦隊から同じような戦い方をする艦娘を選出した。それが彼女、軽巡川内であった。自他共に認める夜戦好きの彼女は相手を撹乱させる天才だった。夜の暗闇に紛れ、敵艦が気づいた時には既に背後を取られている、正に忍であった。特段力に秀でたわけでもない川内は、それを補って余りある技術を以てして夜戦のエキスパートとなったのだ。

北上「まさか『夜霧の忍姫(よぎりーにんき)』に指導してもらえるなんてね」

川内「何で私の渾名知ってるの? って、あぁ、櫂か。夜間および視界の悪い場所での戦闘に特化した『夜戦隊』隊長の力、教えてあげるよ」

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184 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:36:22.98 Q1IxI1jM0 184/504


副長「あの二人は飽きへんなぁ、一週間も同じ相手で。俺やったら絶対飽きるわ」

陸奥「長門も何だかんだで楽しいのよ」

神通「姉さんも少しウキウキして見えます・・・・・・。那珂ちゃんはどう思います?」

那珂「那珂ちゃんもそう思うな~。川内ちゃん楽しそう!」セカセカ

副長「ん? 何や那珂、さっきから服整えてばっかやけど」マイクマデモチダシテ

那珂「だって皆ヘトヘトだよ? 艦隊のアイドル、那珂ちゃんが皆の疲れを癒さなきゃ!」つマイク

副長「頼むから止めて、お前の歌聞いとると何でか俺ら外野が恥ずかしなるから」

陸奥「確かにねぇ。あれは私達が恥ずかしいわ」

那珂「ちょっとどういう事!?」ガビーン

神通「あ、あははは・・・・・・」ニガワライ

185 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:37:01.04 Q1IxI1jM0 185/504


大鳳「・・・・・・」

大鳳は静かに目を閉じて立っていた。その周りには膨大な数の艦載機が飛び回っている。100近い数は、彼女のキャパシティを大きく超え、本来ならその表情には疲労が見えるはずだ。だが大鳳の顔はまるで艦載機など飛ばしていないかのようなリラックスした表情だった。それでいて艦載機は1機たりとも動きにブレは生じていない

ブォォォォォォォォン・・・・・・

キィィィィィィィィン・・・・・・

大鳳「・・・・・・!」カッ

大鳳は閉じた両目を開く。その視界に飛び込んできたのは・・・・・・

赤城「!」

加賀「よく気づいたわ」

赤城と加賀の二人は一気に間合いをつめ、左右からストレートを放つ

大鳳「はっ!」バッ

大鳳は両側から迫る拳を受け止め、即座に反撃のカウンターパンチを繰り出す。それとほぼ同じタイミングで周りを舞う艦載機が一斉に離れた場所にあった的に殺到し、集中砲火を浴びせた。一航戦の二人との訓練で、大鳳は自身が他の事に気を向けている間にも艦載機を正確に且つ大量に操れるようになった。その上、体術も以前より上達していた

赤城「・・・・・・やはり貴女には素質がありましたね」

加賀「えぇ。まさかたった二週間でこれ程上達するなんて」

大鳳「お二人にはとても感謝しています。そして提督にも」

赤城「櫂にですか?」

大鳳「はい。嘗て落ちこぼれの出来損ないと言われていた私を提督は引き取り、大切な仲間、家族だと言ってくださいました。それに以前、提督が言っていました。『お前は磨けば燦然と輝く宝石になる』って。私は宝石ではありませんが、彼のお陰で自分を変える事ができたんです!」

加賀「ふふ、櫂らしいわ」

赤城「全くです」

副長「空母組も良好やな。さて、問題はあの二人やわ」チラッ

陸奥「確かに」チラッ

神通「あの、大丈夫でしょうか・・・・・・?」

186 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:37:34.13 Q1IxI1jM0 186/504


元帥「もう終わりかの・・・・・・?」

傍観組が見つめた先、そこには元帥が仁王立ちしていた。全身泥や血に塗れ、額からは血が流れていた。だがそれを気にする素振りも見せず、ただただ下を見つめている。その視線の先には

元帥「大和ちゃんや」

大和「う・・・・・・うぐ・・・・・・」ググッ

ボロ雑巾としか言いようのない姿の大和が倒れていた

元帥(全く、恐ろしい娘じゃ。たった二日で儂が出血するとはのぅ。一週間で既に儂に追いつかんという勢いじゃ)

元帥「しかしこの一週間でここまで強くなるとは、なかなかの素質。櫂(あのバカ)には些か勿体ない逸材じゃ」

大和「っ・・・・・・!?」ピクッ

元帥「(ふむ、やはり食いつくか)大和ちゃんや、あやつの鎮守府で燻るより、大本営で長門や赤城と共にこの海軍を引っ張っていかn・・・・・・」

大和「今・・・・・・何て言いました?」ググッ

元帥「む?」

普段からは想像のつかない大和の低い声。まるでダメージが全回復したかのようにゆっくりと、しかし力強く立ち上がる。元帥をしっかりと見据えるその眼は怒りに燃えてすらいた

大和「幾ら元帥とはいえ、幾らお父上とはいえ! 提督を貶める輩を!! 大和は許さない!!」

187 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:38:12.38 Q1IxI1jM0 187/504


この一週間大和を鍛えてきた元帥は、ある事に気づく。
提督(息子)の鎮守府の艦娘は彼をとても慕っていた。危険な段階にこそ達していないが、彼を批判する声には露骨に不快感を表すのだ。
そしてそれが最も顕著に表れているのが、提督に恋心を抱いている大和であった。
大和は提督が自分達の事を思い、その未来を案じて教育をしてきた事を、自分達に負担を強いる事の無いようにと書類仕事を一手に引き受け、己の時間を削っている事を、戦えない提督自身に代わり深海棲艦と戦う自分達艦娘の苦楽を共にしようと努力している事を熟知していた。
それ故に彼女にとって、提督を批判する声は許し難いものであった。

元帥(無論人当たりも良いあやつを批判する者は殆どおらん。それ故に過剰に反応を示すようじゃな)

元帥(あの娘も確か、櫂の悪口に過剰に反応しておったのぅ)

ヤマ『櫂ちゃんの事をバカにしないでよ、この髭ジジイ!!』

元帥(全くあやつめ、そのうち刺されるんじゃないかのぅ)

大和「覚悟・・・・・・」スッ

元帥はこの事を見事に利用した。提督を非難すると、大和は直ぐに立ち上がり、向かってくる。しかも彼女の身体能力はぐんぐんと上昇していくのだ。そして元帥は確信した

元帥(この娘が覚醒する鍵は櫂が握っておるのぅ)

大和「はぁっ!!」バッ

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188 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:39:01.15 Q1IxI1jM0 188/504


元帥「いやはや、修行のためとはいえすまなかった。儂も息子を非難していて心が痛かったぞい」

大和「いえ、大和も申し訳ございませんでした」

その後立ち向かった大和は元帥にまたしても叩き伏せられ、そこで本日の修行は終了。艦娘達は全員入渠し、高速修復材も使用し今に至る

副長「にしても大和すごいなぁ。たった一週間でガンさんとド突き合えるなんて」

団長「うむ。流石は大和だな」

吹雪「やっぱり大和さんはすごいです!」

北上「やっぱ、ラブパワーじゃない?」ニヤニヤ

大和「な、何を・・・・・・////」ボンッ

大鳳「いや、目の前であんなキス見せられたら誰でもそう思いますよ」

文月「司令官とラブラブだもんねー」ニコッ

利根「もういっそ押し倒したらどうじゃ?」

大和「や、止めてくださいぃ////」カァッ

・・・・・・

大和「!」ピクッ

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提督「せーの」

妖精「でーは」

提督「フォアカード」58888

妖精「フォアカード」74777

提督「俺の勝ちだ」

妖精「ありゃりゃ」

提督「約束通り、色々教えてくれ」

妖精「分かった、答えられる範囲なら何でも答えるよ」

189 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:39:36.66 Q1IxI1jM0 189/504


提督「ありがとう。じゃあ先ず、これについて教えてくれ」つ傷薬

妖精「妖精印の傷薬だね。一週間でどんな外傷も、二週間で複雑骨折すらも完治する優れものだよ」

提督「その効力もスゲェけど、問題はそこじゃねぇ。俺がこれを使った時、傷が一瞬で塞がり、砕けた骨も元通りになった。他の同期達もこの傷薬は使用してるけど、これ程早くは治らない。何故俺だけがこんなに異常な程の回復が可能なんだ?」

妖精「まず、その薬の説明だけどね。その薬は生命体が持つ治癒力を最大限、いや極限まで活性化させるんだよ。本来長い時間をかけてゆっくりと治癒していく傷を短時間で治せるのはそういう理由さ。傷が塞がるっていうのは細胞分裂によって瘡蓋の下に新たな皮膚を造る事。細胞分裂(その力)を極限まで活性化させるから、傷の治癒だけじゃなく、体組織の再生すらも可能なんだ」

提督「『再生の薬』だと? 御伽噺じゃあるまいし、そんな夢みたいな薬あるわけ・・・・・・」

妖精「妖精(あたし)にそんな事言われてもね」

提督「確かに。悪ぃ」

妖精「ううん。それで、その薬は妖精でも安定した製造が難しい。加えて軍事機密でもあるから、病院や薬局じゃ当然扱っちゃいない」

190 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:40:25.77 Q1IxI1jM0 190/504


妖精「そして何で提督にはこれが異常に効くのかって話だけど、効きやすい身体だからとしか言えないよ」

提督「効きやすい体質って、あっさりし過ぎだろ!?」

妖精「実を言うと、元帥と団長の兄弟はこれが異常な程効くんだよ」

提督「は!? でも俺は親父と血は繋がってないから体質を受け継ぐのはおかしいぞ!」

妖精「確かにあんたは元帥の実の子供じゃない。けど何も遺伝だけが体質を受け継ぐわけじゃないよ」

提督「・・・・・・どういう事?」

妖精「あんた、"あの時"の大量出血で死にそうだったんだよ。その時に同じ血液型だった元帥が迷わずあんたに輸血したんだ。あんたの中には元帥の血が流れているんだよ」

提督「それこそ辻褄が合わねぇ。赤の他人だった俺が親父の血を取り込んで体質が似てきたなら、軍の連中に片っ端から輸血すりゃいいじゃねぇかよ。艦娘以上とはいかなくても、常人より遥かに強くなれる」

妖精「その通り。そう考えた科学班は同じ血液型の軍人達に輸血した。でも誰一人として元帥の体質を受け継がなかったんだ。あんただけを除いてね」

提督「・・・・・・」

妖精「だからね、あたし達はある推測を立てたんだ。すごく突拍子も無い馬鹿げた推測をね」

提督「推測?」

妖精「もしかしたら、元帥と団長の特異体質は、隔世遺伝みたいに発現する妖力や霊力の類では? ってね」

提督「妖力!?」

妖精「もしそうならあんただけが体質を受け継ぐ事ができたのも納得できる。霊力や妖力の類は、使用者と酷似した何かを持っている人の方が発現しやすいんだ」

提督「? ・・・・・・??」

191 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:41:06.48 Q1IxI1jM0 191/504


妖精「提督は元帥に育てられた。だからあんたは元帥を海軍の誰よりも近くで長く見ているでしょ?」

提督「まさか・・・・・・そんなバカな・・・・・・」

妖精「あくまでこれは推測、仮定の話だ。でも、もしそうなら提督はあの驚異的な治癒力と共にあの身体の頑丈さが発現しているはずだよ」

提督「確かに気になってた。何で親父のパンチとか食らっても死なねぇのか」

妖精「他に質問は?」

提督「・・・・・・いや。特にねぇ、大丈夫だ」

妖精「そう。何かあったら何時でも言いなよ?」

提督「あぁ、分かって・・・・・・」ピクッ

・・・・・・

提督「・・・・・・」

妖精「? どうしたのさ?」

提督「・・・・・・どうも嫌な予感が当たったみたいだ」スッ

妖精「はぁ?」

提督「全妖精に連絡。沿岸部の住民に避難勧告を出し、住民を非難させろ」

妖精「っ!? 分かった!」テテテテ

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192 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:41:46.46 Q1IxI1jM0 192/504


大本営

大和「・・・・・・」

元帥「・・・・・・」

団長「・・・・・・」

副長「・・・・・・」

吹雪「ちょ、皆さんどうしたんですか!?」アセアセ

文月「っ!?」ガタガタ

北上「! 文月、どうしたのさ?」ナデナデ

文月「司令官が・・・・・・司令官がいなくなっちゃう・・・・・・!!」ガタガタ ギューッ

利根「? あやつは元々ここにおらんじゃろうが」

大鳳「どうしたのでしょうか・・・・・・」

バタンッッッ

大淀「げげげ、元帥っ! き、緊急事態、緊急事態です!!」

元帥「大淀、何じゃ、何が起きた」

大淀「深海棲艦が三体出現しました!」

北上「三体? たったの?」

副長「その三体、えらい奴やな」

大鳳「え?」

元帥「大淀。その艦種は分かるかの?」

大淀「内、二体は戦艦棲姫と戦艦レ級、どちらも今までの同種とは桁違いの強さを持った個体です・・・・・・!」

艦娘「っ!?」

大淀「しかも・・・・・・残りの一体は・・・・・・あ、あぁ・・・・・・」ガタガタ

大鳳「? 大淀さん?」

大淀「忘れもしない、このソナー越しに伝わってくる圧倒的な存在感・・・・・・! 間違いなく"奴"です!!」

副長「何やて!?」ガタッ

団長「バカな!?」

大淀「し、しかもその三体が向かっているのは・・・・・・」

元帥「っ!? まさか・・・・・・」

193 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:42:25.44 Q1IxI1jM0 193/504








大淀「櫂の・・・・・・鎮守府です」







194 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:43:30.20 Q1IxI1jM0 194/504


艦娘「っ!?」ギョッ

元帥「何という事じゃ・・・・・・」

団長「兄者、櫂の鎮守府に!」

副長「!? ・・・・・・どうも奴さんらはそうさせる気あらへんみたいですよ」チャキ

艦娘「!?」

大淀「はい。同時刻、大本営に五体の姫級・鬼号に率いられた大規模な艦隊が接近。もし元帥や団長殿、副長殿がここを空けた場合、艦娘だけではやや苦しい展開となります」

副長「一世一代の大勝負、いや大博打に出たみたいやな」

元帥「残る全勢力を以て全面戦争を仕掛けてきおったか」

団長「ここにいる現役の艦娘は何人だ?」

大淀「はい、長門型二人と一航戦、金剛型四人と川内型三人。綾波さんと敷波さん、島風さん。後は櫂の・・・・・・」

大和「元帥」

元帥「む?」

大和「誠に身勝手な行動、申し訳ございませんが、大和達は提督の鎮守府に戻ります」

元帥「・・・・・・そうか」

吹雪「・・・・・・」

北上「・・・・・・」

大鳳「・・・・・・」

文月「・・・・・・」

利根「・・・・・・」

大和「どうか、許可を」

元帥「元よりそのつもりじゃったよ。確か艤装は持って来ておるな、お主達は鎮守府に向かうのじゃ」

艦娘「はっ!!」ビシッ

団長「大淀君、艦娘達に報告を!」

大淀「了解しました」タッタッタッ

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ーーーーーー

195 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:44:17.99 Q1IxI1jM0 195/504


数分後

大本営の敷地内、海に面した場所に元帥達は立っていた。周りの艦娘は六人を除き、艤装を展開せず、ただただ海を見ていた

元帥「今のうちじゃ。海岸沿いに海上を行け、早く」

艦娘「はっ!!」

元帥「大和ちゃん」

大和「はい」

元帥「息子を頼んだぞい」

大和「・・・・・・はい!」

ザザザザザザザザ・・・・・・

六人が去った後暫くして

長門「・・・・・・お出ましか」

全員が目を向ける先には赤や黄色の光が朧気にユラユラと映る。やがてその光ははっきりと映るようになり、艦隊の先頭には五体の深海棲艦が構えている。やがて大艦隊は湾内まで侵入し、波止場に上陸してきた

元帥「久しぶりじゃのぅ。まさか貴様が殴り込みに来るとは思いもよらんかったわい」

元帥「南方棲戦姫よ」

南方「久シブリネ、巌山。相変ワラズ、ゴリラミタイナ風貌デ、遠クカラデモスグニ分カッタワ」

元帥「それで、今日も殺し合い(デート)のお誘いかの? 生憎儂は約半世紀、ただ一人の女しか愛しておらんよ」

南方「フン、数十年前ナライザ知ラズ、老イボレニナッチャッタ貴方ニハ、モウ興味無イワ」

196 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:45:10.08 Q1IxI1jM0 196/504


元帥「港湾棲姫に駆逐棲姫、飛行場姫に離島棲鬼を引き連れて来るとは。護衛艦も殆どが戦艦や空母とはのぅ」

南方「サァ? 他ニモ伏兵ガイルカモネ?」ニヤリ

霧島「なら、その伏兵には退場頂きますね」スタスタ

ジャキキキッ ガチャ ジャコン

南方「砲ヲ降ロシナサイ。無駄ヨ」

霧島に砲を構える随伴艦達に一言忠告する南方棲戦姫。敵軍の真っ只中をズカズカと横断し、波止場の端へと着いた霧島は空へ右拳を突き上げ・・・・・・

霧島「はぁっ!!」

海面に叩き付けた

ズッ・・・・・・バッッッシャァァァァァァァァァン

刹那、海面が大きく波打ったかと思いきや湾内、いや近海に凄まじい衝撃が走った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

大本営から約数十km地点

大和「皆さん大丈夫ですか?」

吹雪「まだまだ!」

北上「もっと飛ばしてもいんじゃない?」

文月「お~!」

ズゥゥゥゥン・・・・・・

利根「ん? 何じゃ?」

ザザザザザザザザ・・・・・・・

大鳳「み、皆さんあれ!!」

艦娘「え!?」クルッ

吹雪「た、高波!?」ギョッ

北上「何で!? あたし達海岸に沿ってるのに、何で後ろから高波が来るの!?」

利根「というより、ある地点から沖に向かって同心円状に波が広がっておるのかのぅ?」

大鳳「そ、そんな現象がどうして・・・・・・」

その瞬間六人は思い当たった。
こんな事をいとも簡単にやってのけそうな人達が何人もいた事を・・・・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

197 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:45:50.52 Q1IxI1jM0 197/504


霧島「あら、結構潜んでいたみたいですね」

霧島が海面を殴りつけて数秒後、一体、また一体と駆逐艦や潜水艦の亡骸が海面に浮上してくる

南方「アラアラ、アンナ荒業デ伏兵ヲ全員仕留メルナンテ、アノ異名ハ本当ノヨウネ」

南方「『血ニ飢エタ鮫ノ如ク戦場ヲ彷徨イ、敵ヲ探スタメニ海ヲモ震ワス牙』。金剛型四番艦、霧島。マタノ名ヲ、『海震鮫牙(かいしんこうが)』霧島」

霧島「ふふ、久々に楽しめそうね」カチャカチャ

嘗ての深海棲艦との最終決戦より以前、元帥の艦娘はその桁違いの実力と一騎当千の活躍から、渾名や異名、二つ名を持つ者がいた。
・夜戦において右に出る者はいないといわれる『夜霧の忍姫』川内
・その凄まじい闘争心を鮫と例えられた『海震鮫牙』霧島
・瞬く間の神業を放ち、対峙した敵に敗北すら悟らせない『瞬眼映華(しゅんがんえいか)』長門
・航空戦において無類の強さを発揮し、正に制空権を我が物とする『天舞無法(てんぶむほう)』加賀と『青天覇神(せいてんはしん)』赤城
彼女達に代表される元帥の艦娘達は、敵は疎か、味方さえをも震え上がらせるその実力から、尊敬と畏怖の意味を込めて渾名をつけられていたのだ

南方「サテ、伏兵モ潰サレチャッタ事ダシ、ソロソロ始メマショウカ」

元帥「せっかちじゃのぅ、焦らんでもちゃんと叩きのめしてやるわい」

南方「ソウイウワケニモイカナイノヨ。"アノ御方"ノ命令ダカラ」

元帥「貴様とは儂が決着をつけよう。二人きりでな」

南方「アラ嬉シイ、二人デ楽シミマショウ」

南方棲戦姫の言葉を皮切りに、飛行場姫と港湾棲姫、駆逐棲姫と離島棲鬼の二手に別れ、それぞれをまた団長と副長に率いられた艦娘達が迎え撃つ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

198 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:46:32.96 Q1IxI1jM0 198/504


副長「久々に気分が高揚するわ」チャキ

加賀「セリフを盗らないでちょうだい」ギリギリ

赤城「さぁ、発艦始め!」ギリギリ

バシュバシュ

飛行場姫「『天舞無法』ト『青天覇神』カ。艦載機ハ私ガ相手ダ」

飛行場姫は艦載機を発艦させ、一航戦の二人と航空戦を繰り広げる

港湾棲姫「ナラ私ハ『瞬眼映華』ト『尊厳粉砕(プライドクラッシャー)』、『鬼神姉妹(きじんしまい)』ネ」

長門「お前の渾名も懐かしいな」

陸奥「もうちょっと可愛い渾名が良かったわ」

敷波「ちょっと! 何でアタシ達は一括りなのよー!」

綾波「まぁまぁ」

ジャキキキキッ

ドォォォォォォォン

周りの随伴艦達は一斉に砲撃を始める。その砲弾は真っ直ぐに艦娘に向かって降り注ぎ

ズドドドドドドドド・・・・・・

少数の艦載機の集中砲火によって、着弾する前に過半数が爆発した

飛行場姫「! 貴様ラカ!?」

赤城「あれくらいは造作もないです」

加賀「鎧袖一触です」

199 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:47:11.78 Q1IxI1jM0 199/504


パシッ

陸奥「お返しよ」ブンッ

長門「受けとれ!!」ブンッ

ドカァァァァァンッッッ

砲弾をまるで野球ボールのように次々に受け止め、投げつける長門と陸奥。時速300kmは下らない豪速球は的確に随伴艦達の頭部を撃ち抜き、辺りに爆煙が立ち込める

綾波「敷波ちゃん!」

敷波「任せて!」

爆煙によって視界が悪い中、綾波と敷波は躊躇うことなくその中に飛び込む

ドカッバキッ

「ッ!?」

メキメキ、ゴキンッ

「ギャァァァァッ」

何かが砕け、へし折れる音と共に随伴艦達の悲鳴が響き渡る

港湾棲姫「ッ!? 何、ドウシタノ!?」ギョッ

副長「決まっとるやろ、鬼神姉妹が暴れとるんや」

爆煙を突き抜けて副長が港湾棲姫に突っ込む。既に鯉口を切り、抜刀に移っているが、港湾棲姫を守るように随伴艦達が立ち塞がる

港湾棲姫「鬼神姉妹、アノ二人ネ?」

綾波と敷波は比較的後の方に元帥の元に着任し、どちらかと言えば周りから教わる立場であった。それでいて誰にでも優しく、守る事を第一に考える二人だが、視界が悪い状況でのみ、何故か好戦的になるのだ。まるで野生の勘としか形容できない感覚で相手の位置を割り出し、息の合った連携で狼狽する敵に襲いかかる

綾波「ふぅ、意外と倒しちゃったみたいです」

敷波「ちゃんと鍛えとけよ~」パンパン

港湾棲姫「ッ!?」ギョッ

爆煙が晴れ、そこには地獄絵図が広がっていた。随伴艦達はその殆どが目も当てられない様で事切れていた。首と胴が離れている者、四肢をもがれている者、頭が身体にめり込んでいる者・・・・・・。正に残虐非道、彼女達の突っ込んだ場所はまるで鬼が暴れたかのような光景が広がる事から付けられた渾名が『鬼神姉妹』であった

200 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:48:01.40 Q1IxI1jM0 200/504


副長「ほな、俺もぼちぼち行こかな」

「ッ!?」

ズバババババババッッッ

副長が走り抜けると同時に随伴艦達を斬撃が襲う。縦に真っ二つにされ、首を刎ね飛ばされ、真横に切断される

副長「手応えのあらへん奴らやな」

陸奥「あらあら、じゃあ私が倒しちゃうわよ?」

副長「あぁ、随伴艦達皆やるわ、好きにせぇ」

「ッ!」ジャキキッ

ドォォォォン

陸奥「あらあら、先ずは力かしら?」ケロッ

「ッ!?」ギョッ

陸奥「ふん」ブンッ

バゴォォォォン

「ッ!」ダッ

陸奥「遅いわよ」サッ

バキィィィッッッ

「ッ!?」

力には力で、速さには速さで対抗してその悉くで相手を凌駕する。基本的にほとんどの事を卒なくこなせる陸奥は、相手の得意とする分野で勝負を挑み、それに勝つ事が可能だ。自分が得意としていた事を軽く凌駕されるという事実は、相手の尊厳を完膚無きまでに叩きのめす。それゆえに敵に屈辱すら与えて勝利する彼女はプライドを砕くもの、『尊厳砕(プライドクラッシャー)』と言われている

長門「お前がその悪趣味を深海棲艦や悪人のみに発揮するからいいが、間違っても私達にするなよ?」

陸奥「分かってるわよ」

201 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:48:38.47 Q1IxI1jM0 201/504


長門「さてと、私は・・・・・・」スッ

港湾棲姫「ッ!?」サッ

ズドドドドドドドドッッッ

港湾棲姫「パンチ23発。腕ガ痺レチャッタワ」

長門「なかなか硬い腕だな、これは砕くのに時間がかかりそうだ」

港湾棲姫「次ハ私ノ攻撃ネ」スッ

港湾棲姫が腕を長門に振り下ろそうとした直後

ガキィィィィィィィン・・・・・・

港湾棲姫「アラ?」

副長の刀が下から切り上げて腕を弾いた。辺りに鋭い金属音が響く

副長「大振りで隙だらけやったから、その腕落としたろ思ったんやけど、確かに硬いなぁお前の腕」

港湾棲姫「私ノ腕ニ当タッテ刃毀レシナイナンテ、イイ刀ネ」

副長「日本刀(鋼の芸術)を嘗めんなよ? 鍛えられた刀と心、そして本人の技量。それが合わさった剣士に切れへんモンはあらへん」

長門「副長、奴の腕を頼む」スッ

副長「任された。腕の前に先ずはそのデコの角からぶった斬ったるわ」チャキ

港湾棲姫「ヤッテミナサイ」ズズズ

全身から凄まじい闘気を放つ港湾棲姫を前に、長門は両拳を握りしめ、納刀した副長は再び居合の構えに入る

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

202 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:49:48.09 Q1IxI1jM0 202/504


霧島「榛名、後ろに下がって!!」

榛名「は、榛名だって戦えm・・・・・・」

比叡「いいから早く!」

榛名「は、はいぃ」サッ

離島棲鬼「何故ソノ艦娘ヲ戦ワセナイ?」

金剛型四人は離島棲鬼に対して攻めあぐねていた。というのも、榛名を一切戦わせようとせず、残り三人が戦っている状態だった

金剛(少し決定打に欠けマスネ・・・・・・。But、榛名を戦わせるわけにはいかないデース)

離島棲鬼「ドウシタ、『森羅燼滅(しんらじんめつ)』。得意ノ爆破攻撃ヲ見セテミロ」

金剛「Youにはnormal punchで十分デース!」バッ

バキィィィィィィッッッ

離島棲鬼「グゥッ!?」ズザザザザザッ

ドカァァァァァンッッッ

金剛の重い拳を顔面に喰らい、離島棲鬼は堪らず吹き飛び、壁に激突する

離島棲鬼(クッ、素ノパンチデコレホドカ。更ニハ、コレニ爆発ガ加ワルノカ・・・・・・)

比叡「気合い! 入れて!!」ダンッ

離島棲鬼「ッ!?」

離島棲鬼が顔を上げると、すぐ目の前に比叡が突っ込んで来ていた。それを見て離島棲鬼はすぐさま上体を捻って躱す。その拳はコンマ数秒前に離島棲鬼の顔があった空間を通過し・・・・・・

比叡「打ちます!!!」ブンッ

バゴォォォォォォォォォォォンッッッ

ガラガラガラガラガラ・・・・・・

離島棲鬼「壁ガ砕ケタカ、流石ハ『戦神槍(グングニル)』比叡ノ拳ダ」

離島棲鬼(姉ト妹ハコレホドノ実力者ダガ、何故アイツ(榛名)ハ戦ワナイ? イヤ、寧ロ三人ガ奴ヲ戦ワセナイノカ?)

離島棲鬼「! ソウカ」バッ

離島棲鬼は思い当たるが否や、凄まじい速度で榛名に肉薄し、拳を振り上げる
戦わせようとしない理由は単純。姉妹達から見て、榛名が戦えるほどの戦力に達していないからだ。それが証拠に榛名自身は自らも戦おうとしている。

榛名「!」

離島棲鬼(馬鹿メ、姉妹ノ言ウ通リニ下ガッテイレバ死ナズニ済ンダモノヲ!!)ブンッ

203 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:50:35.95 Q1IxI1jM0 203/504


金剛「そうはいかないネー!」ブンッ

バキィィィィィィィッ

離島棲鬼「マタカ。素ノパンチデ」

金剛「外れデース」ニヤッ

離島棲鬼「ッ!?(手袋!? マサカ!!)」

ドッガァァァァァァァァァァァァァンッッッ

離島棲鬼「クッ」ドシャッ

凄まじい大爆発を喰らった離島棲鬼は何とか着地するも、身体のあちこちから煙が燻り、一部は装甲が融解している。

離島棲鬼「漸ク出シタカ、爆破攻撃ヲ」

金剛が両手に装着している手袋は彼女が妖精に頼んで造ってもらった特注品であった。
その手の甲には二種類の液体が入っている。それ単体では無害だが、それらが混じった途端、些細な刺激で急激な化学変化を起こし大爆発を起こす爆薬となるのだ。
金剛の手袋にはとても小さな穴が無数に空いており、常時は液体も漏れず、空気も入らないが、金剛が何かを殴りつけた際にのみ、二種類の液体が染みだし、殴った対象に付着する。付着して数秒で混じった液体は時間差を生じて空気摩擦等で反応、大爆発を起こすというわけである。金剛型戦艦の名に恥じぬ一撃の威力に加え、時間差で大爆発を引き起こす。打撃と爆破の二段攻撃であらゆる敵を吹き飛ばす金剛を、人は『森羅燼滅』と呼び、畏れた

金剛「But、こう見えてこのgauntletsの表面に付いたliquidで爆発しないのデース。妖精さんのtechnologyはすごいネー」

比叡「お姉様、一体誰に喋っているのですか?」

金剛「読者サービスというやつデース!」

204 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:51:07.75 Q1IxI1jM0 204/504


離島棲鬼(クッ、カナリダメージガ大キイナ)

霧島「これで終わりじゃありませんよ!」ダッ

離島棲鬼「ッ!? 調子ニ乗ルナァァッッッ!!」ブンッ

霧島「なっ!?」

バキィィィィィィッッッ

霧島「っ!!」ズザザザザザッ

比叡「霧島!! っこの!!」ブンッ

離島棲鬼「一直線デ避ケヤスイゾ、オ前ノパンチハ」サッ

バキィィィィィィッッッ

比叡「きゃあっ!?」

ドカァァァァァンッッッ

榛名「霧島! 比叡お姉様!!」

金剛「よくも比叡達を!! 覚悟するネ!!」

離島棲鬼「私モ本気デオ前達ヲ叩キ潰ス!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

205 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:51:45.64 Q1IxI1jM0 205/504


川内「てやーっ!」

バシィッ

「ッ!?」

ジャコンッ

ドォォォォォォォン

川内「遅い遅い!」サッ

駆逐棲姫「チィッ、チョコマカト、スバシッコイ奴ダ」バッ

神通「貴女の相手は私です!」ガシッ

駆逐棲姫「ッ!?」グイッ

駆逐棲姫の腕を掴むと同時に神通は、力の限り地面に叩きつける

バコォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

駆逐棲姫「グァッ!?」

神通「まだこの程度では倒れませんか」

駆逐棲姫(何トイウパワーダ、コレガ噂ノ神通カ・・・・・・!)

姉がパワーでなくテクニックを駆使して戦うのに対し、神通はパワーを重視した戦法をとる。だが決して力押しだけではない。ある時はパワーで以て倒し、またある時は柔術で敵をいなし、多彩な戦法を駆使する。神通のその美しくも力強い動きを華として、人は彼女を『戦場に咲く華』と讃えた

那珂「那珂ちゃんのスペシャルライブ、いっきまーす!!」

まるで自身が戦場のど真ん中にいる事を忘れているかのような立ち振る舞いの那珂。当然周りにいるのはファンなどではなく、彼女の命を狙う敵である

那珂「毎日毎日、歌のレッスンで鍛えたお腹と喉。これで編み出した新曲、皆に披露するねー!!」スゥゥ

川内「っ!? 神通、島風、団長! すぐに耳塞いで!!」

島風「おぅっ!?」バッ

206 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:52:38.43 Q1IxI1jM0 206/504








那珂「ーーーーーーーーーーッッッ!!」














207 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:53:26.73 Q1IxI1jM0 207/504


那珂の口から発せられたのは、普段の明るい声などではない。まるで怪獣の雄叫びのような凄まじい轟音であった

「ッ!?」ビリビリ

那珂の周りにいた深海棲艦は皆一様に耳から出血し、泡を吹きながら息絶えていく。那珂のすぐ側にいた数体に至っては吹き飛ばされていた

那珂「皆ー、聞いてくれてありがとー!!」

那珂は神通のように肉弾戦に秀でたわけでも、川内のように敵を撹乱させるテクニックがあるわけでもなかった。ともすれば、彼女の行き着いた結論は己の趣味を攻撃に昇華させる事だった。アイドルを自称するだけあって、彼女の腹筋、肺活量は並大抵のものではなく、喉も強靭であった。
彼女が放つ声は普段の会話や歌唱の他に、攻撃用のものがあった。その範囲はかなり狭いものの、その範囲内では耳を塞がないと只ではすまない。彼女を中心に、半径約50mが攻撃用の声の効果範囲であり、その範囲内では耳を塞がないと確実に聴覚や三半規管に異常をきたし、最悪鼓膜が破れる。更に半径30m以内では、那珂の声が衝撃波となるため、吹き飛ばされてしまう。

那珂「ふー、那珂ちゃん今日も絶好調~♪」

ナカァァッ、ヤカマシイヤロガオマエェェ!!

ヒェェェェェッ!!

那珂「あれ、今副長さんと比叡さんの声聞こえた気がしたんだけどな~?」キョトン

神通「後で謝ってね那珂ちゃん」

島風「耳がキンキンするよー」

団長「普段喋ったり歌う分には何ら問題ないのだがな」

川内「使い分けれるあたり、流石私達の妹だよね」

駆逐棲姫「ウグッ、何ト恐ロシイ声ダ。マサカ声ダケデ敵ヲ倒ストハ」ヨロヨロ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

208 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:54:21.09 Q1IxI1jM0 208/504


南方「フフ、個性的ネ、貴方ノ艦隊ハ」

元帥「何を今更。それにしても何故貴様らは急に侵攻してきたのじゃ?」

南方「アノ御方ハアル人間ニ会イタガッテイルノ。ケドソコニ行ケバ貴方達モ来チャウデショ?」

元帥「儂らを足止めするためにここに来たのか」

南方「ゴ明察。随伴艦(出来損ナイ)達ハトモカク、私達"原艦"ガ来タラ貴方達ガ迎撃シナキャイケナイモノネ」

原艦。それは深海棲艦の各艦における起源と呼べる存在である。彼女達は自らの姿や能力を模した複製体を大量に生産し、それを海域中に放った。通常、艦隊が戦うのはこの複製体である。原艦は幾度となく複製体を放ち、沈められた個体からはその戦闘データを抜き取り己の物としていた。それを数十年と繰り返した結果、原艦は通常個体とは桁違いの実力を誇るようになったのだ

元帥「生憎、儂も心配症でのぅ。早いとこケリを着けたいものじゃ」

南方「ツマラナイ男。モットユックリ楽シミマショウヨ」

元帥と南方棲戦姫は静かに対峙する

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209 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:55:24.09 Q1IxI1jM0 209/504


鎮守府

レ級「」

戦艦棲姫「モウ終ワリカ?」

鎮守府の波止場、レ級と戦艦棲姫が仁王立ちしている。その視線の先には

提督「・・・・・・」

ボロボロになった提督が大の字に倒れていた。衣服は破れ、全身に打撲痕があり、右の脇腹にはまるでバーナーで炙られたかのようなひどい火傷の痕、腹からは赤黒い血が溢れている

提督(参ったな、こいつら今までの個体とは次元が違う。親父の体質で何とか生きてるけど、本当なら軽く10回は死んでるぜ)

ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー

一時間程前

鎮守府の妖精に指示を出した後、提督は一人波止場に陣取って敵を待ち構えていた

提督「・・・・・・」

その手には一振りの日本刀が握られている。鎮守府への着任祝いとして副長に貰った物であった

提督「さて、何が来やがるかな」

先程妖精から聞いた話、あれが本当ならば今の自分は常人より身体が頑丈になっているはずだ。勝てる見込みは無くとも一矢報いるぐらいは可能かもしれない

210 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:56:12.98 Q1IxI1jM0 210/504


提督「!」

戦艦棲姫「貴様ガ海原 櫂ダナ?」

レ級「・・・・・・」

提督「深海棲艦にまで名前が知られているなんてな。何でわざわざこんな一鎮守府を襲撃しに来たんだ?」

戦艦棲姫「数日前カラ、リーダーノ様子ガオカシクテナ。頻リニアル男ノ名ヲ口ニスルヨウニナッタノダ。ソレガオ前ダ」

提督「ますますわけわかんねぇな、俺はお前らのボスに会った事ねぇよ」

戦艦棲姫「トニカク、オ前ニハ我々ニ着イテ来テモラウ」

提督「嫌だと言ったら?」

戦艦棲姫「半殺シニシテデモ連レテイク」

「ガルルルルル・・・・・・」

戦艦棲姫が声を荒らげた。それに呼応するように彼女の傍らにいた怪物が唸り声をあげ、臨戦態勢に入る

提督「だったら二人と一匹、きっちり叩き出してやる。ほいほい着いていくほど暇じゃねぇんだよ」チャキ

提督は鯉口を切り、相手を睨みつけて威嚇する。だが戦艦棲姫は気にする素振りも見せず

戦艦棲姫「愚カナ男ダ、勝テナイ相手ニ挑ンデ何ニナル」

提督(勝てない相手・・・・・・か)

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ーーーーーーーー
ーーーー

ふぇぇぇん・・・・・・

ヤマ「ふぇぇぇん、櫂ちゃ~ん」シクシク

提督(12歳)「何時まで泣いてんだヤマ! うっせーよ!」

ヤマ「だって、だってぇ・・・・・・」ボロボロ

その日、俺はある事で長門姉から大目玉をくらっていた。俺の傍らには泣きじゃくるヤマが、そして長門姉から少し離れた場所に陸奥姉と赤城姉、榛名姉がいてその様子を見守っていた

長門「何を考えているんだ馬鹿者!!」

ガツンッッッ

提督「痛っ!」

ヤマ「櫂ちゃん!!」

陸奥「ちょっと長門! 櫂は怪我してるのよ!?」

211 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:57:24.75 Q1IxI1jM0 211/504


提督「何すんだよ長門姉! 俺一応怪我人だぞ!」

長門「中学生がたった一人で高校生の不良グループに立ち向かうなんて! もし陸奥と赤城が見かけなかったらどうなっていたのか分かっているのか!!」

ヤマ「櫂ちゃんは悪くないの! 私が不良に連れてかれそうになったのを助けてくれたの! だから櫂ちゃんを怒らないで、長門お姉ちゃん!!」ビエエエ

長門「そうだとしても! 何故ヤマを素早く奪い返して逃げようとしなかった! 何故お前は相手に片っ端から殴りかかったのだ!!」

提督「あいつら俺が中学生だからって笑ってやがったんだ! 馬鹿にされてたまるか!!」

長門「馬鹿者!!」

ガツンッッッ

提督「いってぇぇ!? だから俺怪我人!!」

長門「勇敢と無謀を履き違えるな! 勝てもしない相手に策もなく戦いを挑むのは、ただの愚か者だ! 最悪殺されていたかもしれんのだぞ!!」

提督「だから何だ! 好きな奴守るためなら命なんか要らねぇ! 例え死んでも俺h・・・・・・」

バキィィィィィィッッッ

ドカァァァァァンッッッ

提督「ぁっ!?」

ヤマ「櫂ちゃん!?」タッタッタッ

何が起きたか分からなかった。一瞬で俺の身体が遥か遠くの壁に叩きつけられていた

榛名「・・・・・・」

赤城「は、榛名さん!?」

陸奥「ちょっ!?」

長門「!?」

提督「っ!」ズキズキ

ヤマが駆け寄ってくると同時に、右の頬に激痛が走る。頬どころか、まるで顔の骨が折れたかのようだった。そこでようやく俺は榛名姉に殴り飛ばされたのだと気づいた

榛名「今、何て言ったんですか・・・・・・? 命が要らないって言いましたか?」

提督「っ!?」

榛名「榛名は命を大事にしない子は、大嫌いです!! 出て行きなさい!!!!」

提督「っ! くそっ!!」ダッ

ヤマ「あ、櫂ちゃん!」タッタッタッ

榛名「・・・・・・」

212 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:58:09.16 Q1IxI1jM0 212/504


陸奥「榛名・・・・・・」

榛名「・・・・・・痛いです」ズキズキ

赤城「・・・・・・」

榛名「あんなに大好きな櫂を殴ってしまいました・・・・・・! 櫂に大嫌いだと、出て行けと言ってしまいました・・・・・・。榛名は・・・・・・お姉ちゃん失格です・・・・・・」ポロポロ

長門「いや、お前は悪くないさ。加減を間違えただけだ。私だって心が締めつけられている、拳が痛いんだ」ツーッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

公園

提督「あー、いてて・・・・・・傷薬あってよかった」ヌリヌリ

ヤマ「・・・・・・」

提督「ふぅ、だいぶ痛みが引いてったな」

ヤマ「榛名お姉ちゃんの言った事は正しいよ」

提督「・・・・・・」

ヤマ「櫂ちゃん、私も櫂ちゃんが死ぬのは嫌だよ。大好きな人が死ぬなんて」ギュッ

提督「あれは・・・・・・」

ヤマ「私、あの時全然怖くなかったよ? 櫂ちゃんがいてくれたから。櫂ちゃんが死んじゃうかもしれなかったから、だから怖かったの」ポロポロ

提督「ヤマ・・・・・・」

ヤマ「もうあんな無茶しないで。約束して」スリスリ

提督「分かった(やっぱりこいつには一生敵わねぇな)」

213 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:58:47.65 Q1IxI1jM0 213/504


元帥「櫂、ここにおったのか」スタスタ

提督「! 父さん」

ヤマ「! こんにちは」

元帥「こんにちはヤマちゃん。すまんのぅ家のゴタゴタに巻き込んでしまって」

元帥「びっくりしたぞぃ、急に大きな音がするから行ってみれば、外周壁は砕けておる上、長門と榛名は泣いておるし、赤城と陸奥はオロオロしておるし」

元帥「櫂。今回は長門が正しいぞい、お前がやった事は馬鹿者と言われても仕方ない」

提督「うぐっ」

ヤマ「櫂ちゃんの事をバカにしないでよ、この髭ジジイ!!」

元帥「ひ、髭!?」

提督「アハハハハ、言われてやんの!」

元帥「うーむ、暫く剃っておらんからのぅ」サワサワ

元帥「まぁとにかく。勇敢と無謀を履き違えてはいかんぞい。この二つは紙一重、どちらにも傾くからのぅ」

提督「・・・・・・」

ヤマ「? 長門お姉ちゃんも言ってたけど、どう違うの?」

元帥「あまりハッキリとした線引きがされておらんから詳しくは分からんが、勇敢とは勝算がある時に、それを冷静に判断し、行動できる者の事じゃ。無謀とは勝ち目が無い相手にただ策もなく、後先も考えずに挑む者の事じゃよ」

提督「分かんねぇよ」

元帥「まぁ、そのうち分かるじゃろう。ただのぅ」

提督「?」

元帥「男には決して引いてはならん時がある。例え勝ち目が無くとも、例え自分が死にそうでも、大切なものを守る時は、何としてでも勝たねばならん。自分の弱さを知り、それに打ち勝つのじゃ」ニコリ

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ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

提督(その後ヤマを家まで送った後、帰ったら榛名姉が号泣しながら謝ってきてびっくりしたな。こっちが悪かったんだからもういいって言っても離してくれなくて、仕方なく一晩一緒に寝たっけか)

提督(親父が言ってた、男が引いちゃいけねぇ状況っつうのは)

提督「こういう事なんだな」

戦艦棲姫「? 何ヲ言ッテイル?」

214 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:59:35.22 Q1IxI1jM0 214/504


提督(確かに敵は俺より強ぇし、勝算も限りなく低い。だけど俺がここで敗けるわけにはいかねぇ。大和達(あいつら)の為にも、俺は敗けられねぇ!!)

提督「敗けるわけには・・・・・・」

レ級「?」

提督「いかねぇんだよ!!」

戦艦棲姫「何ヲゴチャゴチャト・・・・・・モウイイ、抵抗スルナラ半殺シニスル」

構える三人と一匹。硬直状態が続くと思った直後、足裏に僅かな衝撃を感じる

提督(ん? 何だ?)

そして提督の視界には、一瞬大きく波打つ海が見えた。飛沫が上がってそれがおさまり、静かになった時

レ級「!」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

提督「!」サッ

戦艦棲姫「ホウ、アレヲ避ケルカ」

提督「はぁっ!」ブンッ

レ級「!?」サッ

ガキィィィィィン

レ級の砲撃を躱した提督は、一気に間合いを詰め、レ級の頭上から刀を振り下ろした。それをレ級は尻尾で受け止める

提督「このっ!」ババッ

レ級「ッ!!」ブンッ

ズババッ

バキィィッ

刀の切先がレ級の肩を切り裂き、尻尾の殴打が提督の頬を打ち抜く。だが両者は大した事もなかったように構える

戦艦棲姫「レ級ノ攻撃ガアマリ効イテナイ。カナリ頑丈ナ身体ダナ」バッ

提督「!?」

ドカァァァァァンッッッ

レ級と向かい合う提督の背後から戦艦棲姫がミドルキックを放つ。鋭い蹴りは左の脇腹に深く沈み、提督は数歩よろめいた

提督「っ!!」

215 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:00:14.69 Q1IxI1jM0 215/504


戦艦棲姫「フフ、挨拶トハイエ、アレヲ食ラッテソノ程度カ。コレハ久々ニ手応エノアル人間ダ」ニヤリ

「ガルルルルル・・・・・・」ニタァ

戦艦棲姫「イイダロウ、本気デ行クゾ」バッ

提督「!?(速い!)」

バキィィィィィィッッッ

提督「ぐぁっ!?」

戦艦棲姫が提督に飛び蹴りを放つ。提督は後方へ吹き飛ばされ、その先で

「ガァァァ!」ブンッ

ドゴォォォォォン

提督「がっ!?」

巨大な両腕が振り降ろされ、提督を殴る。提督の身体は地面に叩きつけられ、地面に亀裂が走った

レ級「!」ドスン

バキッバキッゴキッグシャ

倒れた提督に馬乗りになり、レ級が殴りまくる。辺りの地面に血飛沫が舞うが

提督「ふんっ!」

バキッ

レ級「ッ!?」ヨロッ

提督は膝蹴りをレ級の背中に入れる。痛みに一瞬レ級が力を抜いたすきに素早く脱出し、一息ついた

提督「ふぅ、死ぬかと思った」

216 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:00:55.83 Q1IxI1jM0 216/504


戦艦棲姫「何故オ前ハコノ鎮守府ニ固執スル? 何故"提督"デアル事ニ拘ル?」

戦艦棲姫「抵抗シナケレバ痛イ目ニ合ワズニスムノダゾ!」バッ

提督「うっせーよ!」ブンッ

ガンッ

戦艦棲姫「ウッ!?」

近づく戦艦棲姫を拳で殴り飛ばすが、入れ違いにレ級が突っ込み、貫手を繰り出す

レ級「!」バッ

ザシュッ

間一髪で躱すも、胸に浅くはない裂傷を負い、一歩下がった

提督「ぐっ」

ガシッ

提督「!?」グイッ

「ガオオッ」

不意に頭を鷲掴みにされ、身体が宙に浮く。見ると巨大な左手が自分を持ち上げている

提督「放せバケモン!」ブンッ

ガツンッッッ

提督は右の肘で怪物の顔面を打ち抜くが

「グッ!?」ジャキン

少しの呻き声しかあげず、右肩に付いた砲塔から集中砲火を食らわせる

ドガガガガガガガガッッッ

提督の右脇腹に、まるで焼き鏝で滅多刺しにされたような激痛が走る

提督「ぐぁぁぁぁっ!?」

手を離した怪物の身体にもたれかかるも、すぐに突き飛ばして振り返った提督に、レ級が尻尾を振り上げる

レ級「!」ブンッ

ガキィィィィィン

レ級の尻尾に弾かれた刀が提督の手から離れ、宙を舞う

217 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:01:51.49 Q1IxI1jM0 217/504


提督「っ!?」

ザシュッ

提督「この!」ガシッ

再び手刀で切りつけるレ級の肩を掴み

レ級「!?」

バキィィィィィィッッッ

力いっぱいに蹴り飛ばす

戦艦棲姫「フンッ」ガシッ

提督「っ!?」グイッ

戦艦棲姫が後ろから提督の頭を鷲掴みにし、またしても身体が宙に浮く。だが、先程のように見上げるような怪物に持ち上げられて宙吊りになるわけではない。自身より身長の低い相手に身体を持ち上げられたのだ。天地が逆転したかのように提督の身体は縦に回転した後

ドカァァァァァンッッッ

ガァァァァァァァァンッッッ

提督「ぐぁっ!?」ゲホッ

近くに立っていた鉄骨に腹から叩きつけられた。衝撃を吸収しきれず、鉄骨はへし折れ、地面に落ちて鈍い金属音が響く。提督も耐えきれず遂に吐血する

提督「う、ぐ・・・・・・」ヨロヨロ

すぐさま立ち上がるも、かなりのダメージに意識は朦朧としている。やっと視界がハッキリした時には目の前の戦艦棲姫が既に右のハイキックを繰り出した後だった

バキィィィィィィィィィィィィィッッッ

提督「ガハッ!?」ゴパッ

重い蹴りが提督の左顔面に直撃した。口からは血塊を吐き、顔と首に激痛が走る

レ級「!」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

提督「っ!」フラッ

レ級の砲撃が直撃し、ふらつく提督に戦艦棲姫が止めの一撃を放つ

218 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:02:39.80 Q1IxI1jM0 218/504


戦艦棲姫「ハッ!」グルン

バキィィィィィィッッッ

ドスッ

後ろ回し蹴りが提督の腹に沈む。同時に彼女の履いているヒールの踵が突き刺さる

提督「がっ!」ゴフッ

あまりの威力に提督の身体は後方に吹き飛び、やがて地面に大きくバウンドし、倒れ伏す

提督「ぐ、はぁ、はぁ・・・・・・」

ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー

戦艦棲姫「マサカ本当ニ半殺シニスルハメニナルトハナ」

提督「これが・・・・・・半殺しに、見える、かよ・・・・・・。どっから・・・・・・ど・・・・・・見ても、瀕死・・・・・・・だろ」ググッ

戦艦棲姫「マダ減ラズ口ヲタタケルカ。本当ニオ前ハ、殺シテモ喋リソウダナ」

ズシン、ズシン、ズシン・・・・・・

ガシッ

提督「うぐっ・・・・・・!」グイッ

再度頭を鷲掴みにされ、提督の身体が宙に浮く

戦艦棲姫「頭ヲ砕ケバ、ソノ口ハ閉ジルダロウ。ヤレ」

「ガルルルルル・・・・・・」ググッ

ミシ、ミシミシミシ・・・・・・

怪物がその右手に力を込める度、提督の頭から音が鳴る

提督「ぐぅ、あ、あぁぁぁあぁあっ!?」

219 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:03:14.46 Q1IxI1jM0 219/504


ガシッ

「ガ!?」

提督「はぁ、はぁ、へへ」ニヤリ

戦艦棲姫「ア?」

レ級「!?」

戦艦棲姫は自分の目が信じられなかった。たった今まで、自分達に一方的に叩きのめされ、息も絶え絶えだったこの男は、一体何をしている?
自分の頭を鷲掴みにする怪物の手を、まるで真剣白刃取りのように掌で挟み、強かに笑っているのだ

提督「俺の頭か・・・・・・てめぇの腕か・・・・・・はぁ、はぁ、うぐっ・・・・・・先に潰れるのは、どっちだろうな・・・・・・!!」

戦艦棲姫「死ノ直前デ錯乱カ!? 何処マデ愚カナ男ダ!」

提督「ぐ、うぐぅぅぅ・・・・・・!!」ググッ

ミシ、ミシミシ・・・・・・

「ッ!? ガルルルルル・・・・・・」ググッ

ミシミシ、ミシ・・・・・・

互いに力を込めるも両者の間には歴然たる力の差があった。自分の掌よりも小さな頭と、自分の胴よりも太くがっしりとした腕。誰がどう見ても怪物のほうが圧倒的に有利である。加えて提督は全身に致命傷を負い、今現在もその身体から血がボタボタと滴り落ちているのだ。提督に勝ち目は無かった

提督「こ、の・・・・・・!!」ググッ

戦艦棲姫「無駄ナ足掻キダ、諦メロ」

提督「う、うおおおおおおおおッッッ!!」

220 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:04:24.23 Q1IxI1jM0 220/504







バキバキバキバキ!! グシャッ!!






221 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:04:57.54 Q1IxI1jM0 221/504


「ッギャァァァァァァァァァァッッッ!?」

戦艦棲姫「ッ!? 何ダト!?」ギョッ

怪物の右腕が手首を中心にグシャリと潰れ、辺りに青黒い体液が飛び散る

提督「へ、へへ、人間様・・・・・・嘗めんじゃねぇよ・・・・・・!!」ニヤリ

戦艦棲姫「ッ! 貴様、化ケ物カ!?」

提督「てめぇらに言われたくねぇよ」

戦艦棲姫「オ、オノレェェェッッッ!!」ダッ

ガシッ

ドスゥゥゥン・・・・・・

提督「ぐぁっ!」

完全に冷静さを欠いた戦艦棲姫は提督を押し倒し、両手で首を絞める

提督(う、やべぇな。もう全然力が入らねぇや)

戦艦棲姫「モウイイ、死ネェッッッ!!」ググッ

提督「う・・・・・・あ・・・・・・・が・・・・・・」

提督(くそ、ここまでか・・・・・・!! すまねぇ皆・・・・・・)

222 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:05:47.01 Q1IxI1jM0 222/504








ドォォォォォォォンッッッ







223 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:06:24.93 Q1IxI1jM0 223/504


戦艦棲姫「ガッ!?」

ドシャッ

提督「っ! ゲホゲホ、オェッ!!」

突如砲撃音が轟いたと思いきや、戦艦棲姫に砲弾が直撃、すぐ側に崩れ落ちた。

コツ・・・・・・・コツ・・・・・・コツ・・・・・・コツ・・・・・・

レ級「!?」ゾクッ

「ッ!?」ゾクッ

提督「うぇ、ゲホッ・・・・・・はぁ、はぁ、何だ?」

??「何ヲシテイルノ、戦艦棲姫」

戦艦棲姫「ッ!? リーダー・・・・・・!」ガタガタ

??「連レテ来イッテ命令ナノニ、何デ彼ヲ殺ソウトシテイルノ?」

提督(っ、何だこの底冷えするような冷たい声は!?)

提督「っ!!」

戦艦棲姫の方を見ると、上体を起こしたまま固まり、その表情は恐怖に怯え、見開いた目が斜め上を凝視していた。その視線の先には戦艦棲姫より頭一つ長身の女が立っている。右腕が蟹の鋏のような形の巨大な砲となっており、白い長髪がまるで蛸の足のように不気味に蠢いている。顔ははっきり見えないが、青白く光る双眸はまるで氷のようだ

戦艦棲姫「モ、申シワケアリマセンデシタ・・・・・・!」ガタガタ

224 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:07:13.42 Q1IxI1jM0 224/504


深海棲艦リーダー(以降リーダー)「モウイイワ、謝ラナクテモ」スッ

そう言うが早いか、謎の深海棲艦はゆっくりと右足をあげ、戦艦棲姫の顔に乗せ、地面に押し付ける

戦艦棲姫「ヒィッ、オ、オ許シヲ・・・・・・ドウカゴ慈悲ヲ・・・・・・!!」ガタガタ ボロボロ

恐怖に唇を震わせ、大粒の涙を流しながら戦艦棲姫が許しを乞う。だが冷たい瞳は一切聞き入れない

リーダー「ジャアネ」グッ

戦艦棲姫「イ、嫌ダッ! 死ニタk・・・・・・」

ドゴォォォォォンッッッ

グシャッッッ

躊躇う事なくリーダーは戦艦棲姫の頭を踏み抜いた。辺りに青黒い体液が飛び散り、地面には亀裂が走る

提督「っ!?」

提督の身体に体液が付着する。すぐ側を踏み抜いたため、全身に衝撃の余波が伝わり、激痛が走る

リーダー「・・・・・・」

提督「仲間を躊躇なく殺したのか」

リーダー「・・・・・・」

提督「何で俺を狙う? 目的は何だ!」

リーダー「・・・・・・」

提督「何とか言え!」

225 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:08:10.62 Q1IxI1jM0 225/504


リーダー「・・・・・・ヤット」ツーッ

提督「っ!?」

リーダー「ヤット・・・・・・会エタ・・・・・・!!」ポロポロ

提督「泣いて・・・・・る・・・・・・?」

リーダー「5年間・・・・・・ズット会イタカッタヨ、"櫂チャン"」

提督「っ!? お前・・・・・・まさか・・・・・・」

リーダー「ソウダヨ。私ノ名前ハ、眞祓井 耶麻。ヤマダヨ」

ハッとなり、顔を見つめる。その顔には朧気ながらも確かに彼女の面影がある

提督「・・・・・・俺が理系に進もうとした理由は?」

リーダー「妖精サンガ科学ノイロハニツイテ力説シテタカラデショ?」

提督「お前が俺にくれた最初のバレンタインデーのチョコは?」

リーダー「ミルクチョコニホワイトチョコヲコーティングサセタ奴。何回モ失敗シチャッタ」

提督「(・・・・・・まさか)俺がお前と・・・・・・よく出かけてた場所は?」

リーダー「公園ヨ。アソコノベンチガ二人ノ特等席ダッタネ」

提督(能力は使ってねぇ。なのに俺とヤマしか知らねぇ事を・・・・・・)

提督は確信した。こいつには確かにヤマの記憶がある。しかし提督には疑問が残る

提督「お前・・・・・・何で・・・・・・深海棲艦に?」

彼女は艦娘ではなく、純粋な人間だった。何故死んだ人間が深海棲艦となったのか

リーダー「ドウデモイイワ」スッ

チュッ・・・・・・

提督「んぐっ!?」

リーダーが上体を起こしている提督の上に跨った。そして疑問を投げかけるその口に自らの唇を重ねる

提督(冷たい・・・・・・まるで氷みたいな唇。体温を奪われそうだ)ヒヤリ

あまりの冷たさに鳥肌を立てるが、構わずに提督の唇を貪るリーダー。両目を閉じ、ただひたすらに彼を求める。彼女とのキスを経験した唯一の人物である提督だからこそ確信する

提督(何十回、何百回としたから分かる。このキスの仕方、間違いなくヤマだ)

226 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:08:56.06 Q1IxI1jM0 226/504


提督「んぐっ!?」

突如口の中に違和感を感じる。リーダーが口の中に舌を捩じ込んできたのだ。舌は口内を蹂躙しながら喉の奥に入っていく。

提督「!!」

リーダー「ン、ンゥ・・・・・・ンクッ」

本来、人間は喉に違和感を感じると吐き気を催す。だが、違和感や不気味さは感じるが不思議な事に吐き気はしない。

提督(息苦しくねぇ!? 一体どうなってやがる!?)

長い舌は気管を器用に避けて食道へ侵入し、遂に胃へと到達した

提督「んぐっ!?(は、腹の中がゾワゾワする・・・・・・!!)」ゾクッ

舌は胃の内側の壁を拭い、胃をコーティングしている粘液を纏う。そしてゆっくりと胃液に浸っていく。胃液の成分は濃塩酸という強酸だ。その酸の強さたるや胃の中に送られた食べ物は疎か、容れ物である胃そのものすら溶かすほどである。それを防ぐのが胃をコーティングしている粘液である

提督(き、気持ち悪ぃ・・・・・・! 一体腹の中で何がおきてるんだ!?)ゾクッ

胃の中で、舌は胃液をピチャピチャと舐め取り、かき混ぜ、胃を内側から愛撫する。胃の中だけではない。今現在、傍から見れば誰もがその場で一瞬思考を停止させるだろう。不気味に蠢く白い長髪が提督の頭を包み込み、両腕を背中に回してしっかりと固定し、背中から伸びる無数の青白い触手が提督の四肢の一つ一つに丁寧に絡みつき、身体に巻きついている。正にリーダーは提督を全身に感じながらキスをしているのだ

提督(もう、意識が持たねぇ・・・・・・)フッ

提督はというと、度重なる衝撃に脳の処理が追い付かず、意識を失ったところである

リーダー(モウ二度ト離サナイワ、ズット一緒ニイルカラネ)ドロォ

意識を失った提督の口内から喉、胃までを通過している長い舌をドロドロと伝う赤黒い液体。謎の液体は胃の中に溜まり、やがて全身を巡る

227 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:10:23.29 Q1IxI1jM0 227/504


リーダー「ン、ングッ・・・・・・プハ」

リーダー「フフ、久々ニ興奮シチャッタ」ペロリ

レ級「」ビクビク

「クルルルル・・・・・・」ビクビク

リーダー「コンナニナッチャッテ・・・・・・」ズズズ

無数の触手を収納しながらリーダーは提督をしげしげと見つめる。そして振り返り

リーダー「彼ヲ連レテ帰ルワヨ」

レ級「!」ビシッ

リーダーが提督を抱えようと再びしゃがもうとした瞬間だった

228 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:11:16.42 Q1IxI1jM0 228/504








ドガァァァァァァァァァァァァンッッッ!!






229 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:12:05.67 Q1IxI1jM0 229/504


レ級「!?」

「!?」

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

リーダー「ンァッ!?」

リーダーの身体が突如吹き飛び、近くにあった工廠の壁に叩きつけられた

ガラガラガラガラ・・・・・・

ズズゥゥゥゥゥゥゥゥン・・・・・・

あまりの衝撃に工廠は倒壊し、辺りに土煙が漂う

「何を・・・・・・しているの?」

レ級「!」

静かに、だが力強く響く声。レ級と怪物が声のした方向を見ると、提督の傍に影が立っている。次第に影は増え、最終的には六つの影が提督を守るように立ち塞がる

「よくも司令官を・・・・・・!!」

「許さないんだから!」

「生きて帰さないからね」

「まともに死ねると思わないでくださいね」

「原型を留められると思わんことじゃ」

ガラガラガラガラ・・・・・・

リーダー「クッ、邪魔ガ入ッタワネ」ペッ

土煙が晴れると、そこには六人の艦娘が立っていた

吹雪「まったく、司令官は何考えているんですか・・・・・・」

大鳳「命があるだけで丸儲けですよ」

北上「まさかこんなにボロボロにされてるなんてねー」

利根「出血が酷い、妖精さんはおらんのか?」

文月「妖精さん、早く早く~」

妖精「まったく、この馬鹿提督め!」テテテテ

吹雪「大丈夫ですよね?」

妖精「うん、気絶してるだけだよ。傷を塞いで安静にさせるね」ヌリヌリ

文月「よかったぁ」

妖精「ったく、たった一人で無茶した挙句、皆に迷惑かけて! この馬鹿には後でボーナス請求してやる!」ヌリヌリ

艦娘「あ、あははは・・・・・・」

大和「・・・・・・」

230 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:12:46.04 Q1IxI1jM0 230/504


リーダー「貴女達ガ櫂チャンノ艦娘?」

大和「だと言ったら?」

リーダー「櫂チャンハ渡サナイワ、貴女達ニハ消エテモラウ」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

北上「! 撃ってきた!」

リーダーは大和に向かって砲撃する

大和「・・・・・・」スッ

パシッ

吹雪「受け止めた!?」

大和「・・・・・・」ググッ

バキバキ、グシャッ

ドカァァァァァンッッッ

文月「ひぃっ!?」

大鳳「大和さん!」

リーダー(私ノ砲撃ヲ片手デ受ケ止メタダケデナク、砲弾ヲ握リ潰シタ・・・・・・!?)

パラパラ・・・・・・

大和「・・・・・・」

利根「全くの無傷・・・・・・じゃと!?」

大和「・・・・・・」ガチャ

ガシャン・・・・・・

リーダー「? 艤装ヲ外スナンテ、何ノツモリ?」

大和「妖精さん、どうか提督をよろしくお願いします」

妖精「っ!? わ、分かった」ゾクッ

大和「皆は周りの敵をお願いします。あの女は・・・・・・"私"が倒します・・・・・・!」キッ

リーダー「私ヲ・・・・・・倒ス・・・・・・ダト?」ギロリ

231 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:13:47.28 Q1IxI1jM0 231/504


吹雪「分かりました」スッ

吹雪は左手を前に出し、右手を後ろに引き、自然体の構えをとる

大鳳「ご武運を」ジャキン

大鳳はマガジンを装填したクロスボウを構える

吹雪「はぁっ!!」ブンッ

ボンッ

「ガッ!?」

吹雪が右ストレートで素早く前の空間を殴った瞬間、離れていた怪物の身体に衝撃が走る

リーダー「! 空気砲ネ、光速デ大気ニ圧力ヲカケル事デ衝撃波ヲ放ツナンテ」

レ級「!」

大鳳「余所見厳禁ですよ!」ダッ

レ級「!?」

思わず見蕩れていたレ級の懐に大鳳が入る。レ級が気づいた時には既に遅く

大鳳「はぁっ!」ブンッ

ドムッ

ドシュシュッッッ

レ級「ッ!?」ガフッ

大鳳の重い拳がレ級の腹に沈むと同時に、ガントレットから発射された棘が打ち込まれる

レ級「?・・・・・・?」ヨロヨロ

キィィィィィィィィィィン

レ級「ッ!?」

ドガガガガガガガガッッッ

リーダー「イツノ間ニ艦載機ヲ飛バシテイタノカシラ」

大鳳「何時でしょうね?」ニッ

既に他の艦娘も艤装を外し、最低限の身軽になった状態で臨戦態勢に入る

232 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:14:27.69 Q1IxI1jM0 232/504


「ガァァァァァッッッ!!」

ダンッ

「ッ!?」

吹雪に向き直る怪物だが、既にその懐に小さな影が入り込む

文月「とぉぉ~っ」ブンッ

バキィィィィッ

その小さな拳からは想像できないほどの衝撃を腹に食らい、思わず後ずさる怪物の後ろに北上が迫る。その手には酸素魚雷が逆手に握られている

北上「よいしょっと」つ魚雷

ブンッ

ドスッ

「ガッ!?」

鉄杭のような形の魚雷が背中に突き刺さると同時に炸裂した

ドカァァァァァンッッッ

「ギャォォォォォォォッッッ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レ級「!」ブンッ

利根「ほっ」ピョン

レ級が尻尾で下段を攻める。だが利根は軽く跳んで容易く躱した

レ級「」ニヤリ

バカめ。と言いたげにニヤリと笑うレ級。空中では無防備となる上に、着地の瞬間を狙えば大ダメージを叩き込める。尻尾の重みを利用して一回転し、レ級は再び尻尾で下段を、さらには手刀で上段を攻めた

ブンッ

レ級「ッ!?」

尻尾と手刀は相手を捉える事なく空を切る。あいつは何処だ? 利根が消えた!?

レ級「? ・・・・・・?」キョロキョロ

233 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:15:12.34 Q1IxI1jM0 233/504


利根「何処を見ておる、吾輩はここじゃ!」

レ級「ッ!?」

声のした方を、上空を見上げたレ級は仰天した。利根が空中で腕を組み、仁王立ちしていたのだ。よく見ると両足の下に艦載機が着いている

利根「意外とここは安定しておるのぅ」

何と利根はあの跳躍で、低空飛行していた艦載機の上に立ち、上昇していたのだ。驚異的な脚力とバランス能力をもってしてもほぼ不可能な神業である

利根「吾輩の航空戦、とくと見よ!」ジャラッ

旋回しながら腰に巻いたベルトの巾着からBB弾のような鉛玉を少量掴み、投合する構えに入る

レ級「!」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

利根「せいっ!」ブンッ

ドカァァァァァンッッッ

レ級の放った砲弾を鉛玉の雨が迎え撃つ。数発は砲弾に当たり、砲弾を爆発させる。残りはレ級に降り注ぐ

レ級「ッ!」バッ

横に跳んで避けたレ級の背後から大鳳が迫る

大鳳「はぁっ!」

バキィィィィッ

レ級の脇腹に飛び蹴りを放ち、レ級がよろめく

利根「はぁっ!!」

よろめいたレ級に追い打ちをかける。艦載機から飛び降りた利根の、重力による自由落下の力を乗せた重い踵落としがレ級の脳天に直撃する

ガコォォォォォォォォォンッッッ

レ級「ッッッ!?」ガフッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

234 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:16:00.18 Q1IxI1jM0 234/504


吹雪「まだまだ!!」ババババ

よろめく怪物に吹雪が乱打を放つ

ズドドドドドドドドッッッ

吹雪の放つ拳が怪物の顔を、肩を、腕を、胸を、腹を打ちつける。一週間の特訓で、一撃一撃が大幅強化された吹雪の猛攻を前になす術はない

北上「それそれそーれ、まだまだ終わんないよぉ~」ブンッブンッブンッブンッ

その背面からは北上が酸素魚雷を投げ続けていた。背中や腰、脚に突き立てられた魚雷は爆発し、それによってできた傷をさらに魚雷で深く抉っていく。前からの乱打と後ろの魚雷に挟まれた、一方的な攻撃であった

「ガ、ガガガ・・・・・・」フラフラ

ふらつく怪物の懐に文月が入り、勢いよくジャンプする

文月「とぉぉ~っ」ピョン

ズドォォォォォォォォォンッッッ

ミシミシミシッッッ

「グッ!?」

顎にジャンピングアッパーを食らった怪物が顔を上にあげ、仰け反る

文月「吹雪ちゃん、今だよぉ~」

吹雪「任せて」ダッ

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

衝撃で上を向いている怪物の顔に吹雪が加速をつけて飛びかかる。加速のついたジャンピングパンチが右顔面に直撃し

バキバキバキバキ、ブチィィィィッ

ドシャッ・・・・・・

怪物の頭が身体から離れ、地面に落ちた

北上「倒れる前のトドメだよー」ダッ

頭が離れた直後、まだ立っていた身体に北上が飛びかかる。その手には酸素魚雷が握られ

北上「せいっ!」ブンッ

ドシュッッッ

それを頭があった位置に突き立てる

ドカァァァァァンッッッ

ズズゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッ

吹雪「よしっ!」グッ

文月「やったぁ~」ピョンピョン

北上「一丁あがり~」ニッ

文月「利根ちゃんと大鳳ちゃんの手助け行くー?」

北上「いや、要らないっしょ。大和さんもそうだけど、あたし達が行ったら邪魔だと思うよ」

吹雪「一先ず様子を見ましょう!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

235 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:16:40.25 Q1IxI1jM0 235/504


レ級「!」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

利根「はぁっ!」ブンッ

ドカァァァァァンッッッ

レ級「ッ!!」ギリッ

砲弾を撃てば鉛玉で相殺。艦載機を放てば航空戦で撃墜。魚雷を投げても艦載機と鉛玉で爆破される。遠距離では何をしても相手に落とされ、レ級は肉弾戦に持ち込むしかなかった

レ級「ッ!」バッ

利根に肉薄し、両手で貫手を放つ。だが

利根「」パシパシッ

レ級「ッ!?」

利根は躊躇う事なく両手首を掴んで止め、軽く跳び上がる

利根「せいっ!」ブンッ

バキィィィィッ

跳躍して勢いをつけた膝蹴りが顎先を捉え、レ級の身体が大きく仰け反る。利根はそのまま空中で、レ級の両手首を掴んだまま身体を丸め、両足の裏をレ級の胸につけ

利根「はぁっ!!」

曲げていた両足、そして丸めていた身体を一気に伸ばした

ブチブチブチィィィィッッッ

レ級「ッッッ!?」

反動でレ級の身体が後方に吹き飛ぶが、しっかり掴んでいた両腕は肩から引きちぎれた

ドシャッ・・・・・・・

利根「まるで手刀が本物の刃物みたいじゃな。危なっかしい貫手じゃのぉ」ポイッ

片方を放り投げ、倒れたレ級を睨みつける

236 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:17:25.42 Q1IxI1jM0 236/504


利根「そろそろ終いじゃ。覚悟するがよい」ダッ

レ級「ッ!」ギロリ

助走をつけて再び跳躍した利根を睨みつけ、迎え撃とうとするが、背後から大鳳が迫る

大鳳「こちらを忘れないでください!!」ダッ

レ級「ッッッ!!」ブンッ

後ろの大鳳を尻尾で振り払おうとしたが、その瞬間

ザクッ

レ級「ッッッ!?」

ドシャッ・・・・・・

利根「刃物は危ないと身に染みたかの?」

上空から利根が投合した自身の左手の貫手で、レ級の尻尾は切断された。これにより、レ級は攻め手を失った

大鳳「流石です、利根さん!!」ブンッ

利根「うむ、一気に決めるぞ!」ブンッ

着地した利根と、大鳳が一気に間合いを詰める

大鳳「はぁっ!!」ブンッ

利根「せいっ!!」ブンッ

ズドォォォォォォォォォンッッッ

ドシュシュッッッ

バキィィィィィィィィッッッ

利根の回し蹴りが喉に、大鳳のパンチが背中に直撃、その直後に撃ち込まれた棘が楔となり

バキバキバキバキ、グチィィィィィッッッ

レ級の身体は上下真っ二つに裂けた

利根「大鳳、吾輩の蹴り、当たっとらんか? 大丈夫だったかの?」

大鳳「はい、身体の真後ろじゃなかったので」

237 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:18:08.23 Q1IxI1jM0 237/504


吹雪「大鳳さん、利根さん!!」タッタッタッ

利根「吹雪達か、そっちはどうじゃ?」

北上「楽勝楽勝」ニヒヒ

大鳳「どうします、大和さんの加勢に行った方がいいでしょうか?」

文月「行かない方がいいよぉ~」

利根「うむ、吾輩達では足手まといじゃからのぅ」

吹雪「一旦、司令官の様子を見に行きましょう」

艦娘「了解」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

吹雪「妖精さーん」タッタッタッ

妖精「! 吹雪、皆も」

大鳳「提督の様子は!?」

妖精「傷は塞がったけど失血が酷い、輸血しないと・・・・・・!」

利根「何じゃと!?」

北上「輸血パックは?」

妖精「分かった、何人かついてきて!」テテテテ

タッタッタッタッタッタッ・・・・・・

提督「・・・・・・」ピクッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

238 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:18:54.27 Q1IxI1jM0 238/504


リーダー「櫂チャンハ誰ニモ渡サナイ!!」

リーダー「渡シテタマルカァァッッッ!!」

ズァァァァァァァッッッ

大和「っ!?」

無数の青白い触手がリーダーの背中から生える。それらが幾重にも絡まり、やがては四本の太い触手となった

大和(得体の知れない力ですね・・・・・・早く倒した方がよさそうです)ダッ

リーダー「アアアアアッッッ!!」グイッ

大和「触手を足がわりに!?」

四本の触手は伸縮自在のアームとなり、リーダーの身体を宙に持ち上げる。一瞬にして大和の攻撃の射程外へと回避したリーダーは高所から砲撃する

リーダー「・・・・・・」ジャキン

ドォォォォォォォンッッッ

大和「くっ、だけどアームを倒せば!!」ダッ

グニャァァァッ

大和「へ!?」

リーダー「バカメ!!」ブンッ

バチィィィィッ

大和「うっ!!(なんて弾力、打撃でのダメージは期待できそうにありません・・・・・・)」

リーダー「マダダァァッッッ!!」ジャキン

ドォォォォォォォン、ドォォォォォォォン

大和(まずはあの触手をどうにかしないと・・・・・・)

リーダー「考エ事ナンテ余裕ジャナイノ」ブンッ

ギュルルルルルル・・・・・・

大和「っ!?」

触手が大和の首に巻き付き、締め上げる。大和は触手をちぎろうとするが、その弾力によって伸びるだけであった

大和「う、うぅう・・・・・・(く、苦しい・・・・・・い、息が・・・・・・)」

リーダー「ハァッ!!」ブンッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

239 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:19:31.61 Q1IxI1jM0 239/504


妖精「何考えてんだい、あんた達は!!」

艦娘「す、すみません・・・・・・」シュン

医務室では、吹雪達が妖精から大目玉をくらっているところだった。輸血パックを取りに医務室に来た妖精は振り返って仰天した。何で五人とも着いてきているのかと。怪我人を一人放ったらかしにして何を考えているのだ

妖精「あたし言ったよね!? "何人か"って!! 全員着いてこいなんて言ってないよ!!」

吹雪「うぅ・・・・・・」

文月「ひっ・・・・・・ひっ・・・・・・」グスグス

妖精「とにかく、今は怒鳴っていても仕方ない。利根と北上は輸血パックを、吹雪と大鳳は点滴具を持って。文月は提督の様子を見てきて!」

ドカァァァァァァァァァァァァァンッッッ

妖精「なっ!?」

艦娘「っ!?」ビクッ

大和「うぅ・・・・・・」コキコキ

妖精艦娘「大和(さん)(ちゃん)!!」

グオオオオッッッ

吹雪「な、何か来たぁ!?」ビクッ

北上「何あれ、触手!?」

大和「皆避けて!!」

妖精「・・・・・・よくも」プルプル

文月「妖精さん?」

240 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:20:10.83 Q1IxI1jM0 240/504


妖精「よくもあたしの医務室(プライベートスペース)をぉぉぉっ!!」クワッ

艦娘「ひぃっ!?」ビクッ

妖精「あんの触手め~!!」テテテテ

そう叫んだ妖精は近くの棚に飛び込んだ。そこには医薬品だけでなく、様々な化学物質が置いてある

妖精「医務室で暴れたら・・・・・・」ガサゴソ

大和「妖精さん、危ないですから戻ってください!!」

グオオオオッッッ

妖精「危ないだろうがぁぁぁぁぁっ!!」ブンッ

妖精は怒りを込めて、手にした大きさの異なる二つの瓶を触手に投げつけた。その瓶のラベルを大和は見逃さなかった

大和(大きな瓶には"濃塩酸"、小瓶には"濃硝酸"・・・・・・。っ!? 比率3:1、まさか・・・・・・!!)ゾクッ

パリパリィィィィン・・・・・・

投げた瓶は触手に命中し、二つの液体が混ざる。触手に橙赤色の液体が付着し、残りの触手がそれを拭おうとするが、それが間違いだった

ッ!? ギャァァァァァァァァッッッ!? イ、イタイッ、ヤケルゥゥゥッ!!!

利根「な、何じゃ!? 急に触手が爛れ始めたぞ!?」

文月「何あの液体~?」

241 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:21:04.69 Q1IxI1jM0 241/504


妖精「濃塩酸と濃硝酸をぶっかけてやったんだ」

吹雪「え、じゃあまさか、あの橙赤色の液体って・・・・・・!!」ゾワッ

大和「えぇ・・・・・・王水・・・・・・・ですよね?」

妖精「当たり」

大鳳「えぇ!? あの金や白金も溶かしちゃうぐらい酸化力の強いっていう!?」

北上「うん。でも確か銀は表面に膜ができるせいで溶けないんだよね?」

吹雪「はい、王水と反応してできる塩化銀のせいで反応が遅くなるんです」

文月「王水の比率は3:1だよねー?」

利根「うむ、濃塩酸が3、濃硝酸が1の割合じゃ」

ワイワイガヤガヤ

大和「すぐさま、こんな事が出てくるようになるなんて・・・・・・! 提督、貴方の教育は皆の中でちゃんと生きています・・・・・・」ウルウル

妖精「うん、すごいね。確かにすごいけどさぁ・・・・・・」チラ

リーダー「ウゥ、痛イジャナイ、触手ガ焼ケルカト思ッタワ!!」キッ

妖精「今戦闘中だよね?」

艦娘「あ、そういえば」ハッ

242 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:21:41.92 Q1IxI1jM0 242/504


リーダー「コノッ!!」ブンッ

妖精「でも、まだ触手使うんだね」アキレ

妖精「追撃だ、それ!」ブンッ

赤く爛れた四本の触手が再び迫ってくるが、呆れた様子の妖精が更に小瓶を投げつける。かなり厳重に密閉された小瓶に大和は不安を覚えた

大和「ちょ、今度は一体何を投げたんですか!?」

妖精「狭心症の薬の原料。つまり」

ドカァァァァァァァァァァンッッッ

リーダー「ッ、キャァァァァァァァッ!?」

妖精「ニトロの原液さ」

リーダー「ウ、ウゥウ・・・・・・二度モ触手ヲ攻撃サレタァ・・・・・・」

妖精「いや、触手引っ込めりゃ済んだ話じゃん」

リーダー「ウルサイッッッ!!」ブンッ

ほぼ逆ギレ状態のリーダーはボロボロになった触手を大和に伸ばす

大和「っ!?」

リーダー「逃ガサナイ!」バッ

グルルルルルルル、ギュルルルルルル

大和「っ!? しまっ・・・・・・!」

四本の触手に両手足を拘束され、大和の身体が持ち上げられる

リーダー「イイ的ダワ」ニチィ

ドォォォォォォォンッッッ

ドォォォォォォォンッッッ

ドォォォォォォォンッッッ

大和「ぐ、うぁっ!?」ガフッ

243 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:22:16.30 Q1IxI1jM0 243/504


大和「このっ・・・・・・」グググッ

大和(! あまり伸びない? 酸と爆破で触手が傷んだから弾力が失われているんだ、これなら!!)グググッ

大和「うぁぁっ!!」グイッ

ブチブチブチブチィィィィッ

リーダー「ッ!? 触手ヲチギッタ!?」

大和「ふぅ、これでだいぶ楽になります」ダッ

リーダー「ッ!?」ジャキン

大和「はぁっ!!」ブンッ

バギャァァァァァァァァァァンッッッ

リーダー「ウッ、右手ガ無クナッタ・・・・・・」

大和「とりあえず外に出なさい!」ブンッ

バキィィィィッ

リーダー「ッ!!」

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

大和「皆さん、提督をお願いします!」ダッ

妖精「わ、分かった」

吹雪「気をつけてください」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

244 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:23:03.03 Q1IxI1jM0 244/504


リーダー「マ、マタ・・・・・・離レチャウ・・・・・・」

リーダー「櫂チャンガ奪ワレル・・・・・・」

タッタッタッタッタッタッ・・・・・・

大和「逃がしません!」

リーダー「嫌ダ・・・・・・・嫌ダ・・・・・・!」ズズズ

大和「はぁっ!!」ブンッ

リーダー「嫌ァァァァァァァッッッ!!」

ゴォォォォォォォォォッッッ

大和「っ!?」ビリビリ

突如、辺りに衝撃が走り、風圧で大和の動きが止まる

大和「何て衝撃・・・・・・身体が引きちぎれそう・・・・・・・!」

リーダー「ァァァァァァァァッッッ」ズズズ

大和(っ!? 何かが飛んできた? あの深海棲艦に向かって飛んでいく・・・・・・)

グチャグチャ、グチッ、ドチュッ・・・・・・

何かが身体に撃ち込まれる生々しい音が響く。それが止むと同時に衝撃も治まった

大和「っ!!(何、この悪寒は!?)」ゾクッ

リーダー「レ級ヤ戦艦棲姫ノパワーヲ吸収サセテモラッタワ。ソロソロ本気デ行クワヨ」スタスタ

土煙の中から歩いてきたリーダー。砕けた右腕は再生し、右腕と両脚が黒く染まり、その双眸からはまるで炎のように黄色い光がユラユラと立ち上っている。その凄まじい闘気によって辺りの景色も陽炎のように歪んでいる

リーダー「ソウネ・・・・・・二撃、イエ、三撃目デ貴女ハ、ソコノ壁ニ叩キツケラレルワ」クスッ

大和「やれるものならやってみなさい!」ブンッ

245 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:23:54.94 Q1IxI1jM0 245/504


リーダー「・・・・・・踏ミ込ンデ体重ヲ乗セタ右ストレート・・・・・・」サッ

大和「っ!?」ギョッ

リーダー「遅イワヨ」

大和「(いつの間に後ろに!?)はぁっ!!」ブンッ

リーダー「右ノ後ロ回シ蹴リ」スッ

ビタァァァァァァ・・・・・・・

大和(!? 指一本で止めた!?)

リーダー「マズハ一撃目」ヒュン

大和「っ!?」サッ

ゴォォォォォォォォォッッッ

大和「っ!? 何て風圧・・・・・・!」ビリビリ

大和「このっ!!」ブンッ

リーダー「右ストレートカラ左ノ後ロ回シ蹴リ」サッ

大和「っ!?」

ブンッブンッ

リーダー「ソノ勢イデ右ノハイキック、左ノ裏拳」サッ

ブンッブンッ

リーダー「次ハ私。二撃目」ブンッ

大和「っ!?」サッ

リーダー「シャガンデ躱シテ前ニ飛ビコミ前転」ブンッ

大和(尽く、こっちの動きが二、三手先まで読まれている!?)ゾワッ

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

大和「っがはっ!?(何この威力、元帥の攻撃の比じゃない・・・・・・・!!)」ドパッ

ドゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

ガラガラガラ・・・・・・・

ズズゥゥゥゥゥゥゥゥン・・・・・・・

リーダー「アラ、叩キツケラレハシタケド貫通シチャッタワ」

246 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:24:35.68 Q1IxI1jM0 246/504


大和「・・・・・・・」

リーダー「何デ動キガ読マレテイルノカ、テ言イタソウネ」スタスタ

リーダー「私ハ周辺ニアル物質ヤ生命ト同調スル事デ、相手ノ動キガ手ニ取ルヨウニ分カル。人ノ考エヤ心ノ声モ聞コエルシ、数分ナラ未来モ予知デキル」

大和「っ!? そんな・・・・・・バカみたいな話・・・・・・」

リーダー「マァ、サッキノハ貴女ノ動キヲ読ンデ、ソウナルヨウニ誘導シタンダケド」

リーダー「コノ地面カラモ様々ナ情報ガ伝ワルノ。近クヲ歩ク人ノ気配、ソノ目的地」

大和「っ!?」

リーダー「マタ新シク予知スルナラ、ソウネ・・・・・・貴女ノ前ニ人ガ立チ塞ガルワ」

大和「人?」

大和「バカな事言わないでください、ここには私と貴女の二人だけです!!」ダッ

リーダー「人ノ話ハ聞カナキャ駄目ヨ?」クスッ

その時、距離の縮まる両者の間に影が割り込んだ

大和「っ!? そんな・・・・・・何故・・・・・・!?」

割り込んだ影はリーダーを庇うように大和と対峙する。その手には刀が握られていた

リーダー「フフ、私ヲ守ッテクレルヨネ?」

「あぁ・・・・・・もちろんだ・・・・・・。・・・・・・今度こそ・・・・・・」

大和「何故・・・・・・ですか・・・・・・?」

247 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:25:18.96 Q1IxI1jM0 247/504








大和「提督・・・・・・!!」






248 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:26:25.72 Q1IxI1jM0 248/504


提督「ヤマは俺が守る・・・・・・!!」チャキッ

大和「何が・・・・・・起きて・・・・・・いるの?」

大和の前に立つ提督は異常だった。以前の優しい目はまるで炎のように真っ赤に染まり、爛々と輝いていた。そしてその焦点の定まらない目や鼻、口や身体の傷口から赤黒い液体がドクドクと流れ、それが気化して全身を覆うオーラとなっているのだ。その禍々しい容姿に大和は言葉を失った

大和「あ、あぁあ・・・・・・」ガタガタ

提督「俺・・・・・・は・・・・・・」チャキッ

大和「っ!?(意識がまだハッキリしていない!? まるで催眠にでもかかったみたい)」

大和「・・・・・・貴女・・・・・・一体、提督に何をしたの・・・・・・?」

リーダー「サァ?」クスッ

大和「おのれ!!」ダッ

ヒュッ・・・・・・

大和「っ!?」サッ

提督「ヤマを・・・・・・守る・・・・・・」

大和「提督、目を覚ましてください! 貴方は操られているんです!!」

提督「黙れ・・・・・・貴様に・・・・・・俺ノ・・・・・・何ガ分かるんだァァ・・・・・・!!」ダッ

大和「っ!?」

突進してきた提督の剣を素早く躱し、大和は捕まえようと試みるが・・・・・・

大和「提督っ!!」ガシッ

ジュゥゥゥゥゥゥゥッッッ

大和「っ!!」バッ

リーダー「アラアラ、触ラナイ方ガイイワ。ソノオーラハ櫂チャンノ怒リ。櫂チャンノ負ノ感情。ソレラシク言ウナラ"憤怒ノ炎"ッテトコヨ」

大和「う、うぅう・・・・・・」

左腕を押さえ、大和はリーダーを睨みつける

リーダー「貴女ヤ皆ヘノ怒リガ具現化シタ炎ノ味ハドウ?」

大和「私達・・・・・・への」

リーダー「櫂チャンハ私ヲ守ル。私ノ敵ナンダカラ、貴女達ニ怒リヲ向ケルノハ当然ノ事ヨネ?」

提督「俺は・・・・・・俺は・・・・・・」チャキッ

大和「提督・・・・・・」スッ

リーダー「ッ!?」

大和は提督をゆっくりと抱きしめた。当然そのオーラで身体が焼かれるが気にする素振りも見せない

提督「何・・・・・・ヲ・・・・・・」

大和「・・・・・・」ジュゥゥゥゥゥ

249 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:27:02.82 Q1IxI1jM0 249/504


・・・・・・俺のせいだ

俺のせいでヤマが死んだ・・・・・・・

俺がヤマを殺したんだ・・・・・・

何故俺は!! 愛する女を!!

守れなかった・・・・・・守ってあげる事ができなかった・・・・・・!!

俺が弱いから・・・・・・

弱い俺のせいでヤマを死なせた・・・・・・

・・・・・・憎い

俺は俺自身を許さねぇ・・・・・・


・・・・・・ジャア、次ハ守ッテクレルヨネ?

もちろんだ・・・・・・今度こそ・・・・・・俺はお前を守るからな、ヤマ!!


250 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:27:46.11 Q1IxI1jM0 250/504


大和「・・・・・・」ジュゥゥゥゥゥ

大和(提督は・・・・・・亡くなった恋人を守れなかったと言っています・・・・・・。普段のあの振る舞いの中、人知れず彼は泣いていた。これは提督自身への怒り・・・・・・)

大和(だから提督は守ろうとしているんですね。大和ができることは、提督を縛るこの自責と後悔を断ち切る事。ヤマさんだって本当はこんな事望んではいないはずです!)

大和「提督・・・・・・大和は提督に守られるだけは駄目だと思います」ジュゥゥゥゥゥ

提督「!?」

大和「大和は・・・・・・提督とお互いに守りあい、支え合いながら生きていきたいです」ジュゥゥゥゥゥ

ヤマ『櫂ちゃん、私は櫂ちゃんに守られてばかりは嫌だよ。私だって、櫂ちゃんを守るんだから!!』

提督「っ!?」ハッ

大和「もう十分、提督は苦しんだと思います。どうか、ご自分をお許しください」ジュゥゥゥゥゥ

提督「・・・・・・俺は・・・・・・」

251 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:28:24.03 Q1IxI1jM0 251/504








「そうだよ提督!」






252 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:29:08.87 Q1IxI1jM0 252/504


提督「!」

妖精「あんたはこの5年間、十分に苦しみ抜いた。もういい加減、自分を許してあげなよ・・・・・・」ポロポロ

提督「俺は・・・・・・」フッ

シュゥゥゥゥゥゥゥ・・・・・・

リーダー「ッ!? 櫂チャンノオーラガ消エテイク・・・・・・何デ・・・・・・!?」

提督「大和・・・・・・ごめん」

大和「提督は悪くありません。どうか、あとはこの大和にお任せを」ニコッ

提督「」ガクッ

大和「妖精さん、皆、提督を」ギュッ

気を失った提督を優しく抱きしめた後、ゆっくりと妖精と吹雪達に委ねる

妖精「分かった・・・・・・」

吹雪「大和さん」

大和「決着をつけます」キッ

リーダー「何デ・・・・・・私ヲ・・・・・・守ッテクレルンジャナカッタノ?」ワナワナ

大和「貴女は提督を傷つけた・・・・・・その報いを受けてもらいます」キラリ

パァァァ・・・・・・

リーダー「ッ!?」

艦娘「!?」

妖精「!?」

突如大和の身体が黄金色に輝き始める。身体中の傷が消えると共に、提督の纏っていたオーラを吸収し、虹色の光を発する

バツン・・・・・・・

大和の結んでいた髪が解け、長く美しい髪がバサバサと靡く。虹色の光が治まり、そこには髪を下に下ろした大和が立っていた。その目は淡い紫色を帯び、優しく光り輝いている

大和「さぁ、ケリをつけましょう」

253 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:29:49.59 Q1IxI1jM0 253/504


リーダー「フフフ・・・・・・ソノ根拠ノ無イ自信ヲ打チ砕イテアゲルワ」ダッ

大和「左のストレート」スッ

リーダー「ナッ!?」ブンッ

大和「・・・・・・」ニコッ

リーダー「バ、バカナ!!」ブンッ

大和「右ミドルキックから左フック」サッ

ブンッパシッ

リーダー「ッ!!」サッ

大和「はぁっ!!」ブンッ

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

リーダー「ガハッ!?」ドパッ

ドカァァァァァァァァァァンッッッ

大和「これで同じ土俵ですね」

ガラガラガラガラ・・・・・・

リーダー「・・・・・・マサカ、私ト同ジ能力ヲ持ッテイルナンテ」ペッ

254 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:30:27.33 Q1IxI1jM0 254/504


リーダー「偶然・・・・・・ジャナイワヨネ? 貴女、私ト何カ関係アルノ?」ギロリ

大和「共通点ならありますね。提督を愛しているという」

リーダー「ッッッ!!」ギリッ

リーダー「貴女ガ、私ノ櫂チャンヲ奪ッタノネ・・・・・・?」ポロポロ

大和「貴女は彼を縛り、独占しようとしている。それが私との違いです」

リーダー「黙レ!! 櫂チャンハ私ノ"モノ"ヨ!! 返シテ!!」ダッ

大和「最後の勝負です!!」ダッ

リーダー「櫂チャンヲ!! 返シテヨォォォォォォォォッッッ!!!!」ブンッ

大和「提督は!! 貴女だけの道具ではありません!!!!」ブンッ

リーダー「アァァァァァァァァァァァァッッッ!!」

大和「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!」

ドガガガガッッッ

バギャッッッ、バキィィィィッ

バゴォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

ドカァァァァァァァァァァァァァァンッッッ

ガコォォォォォォォォォォォォォォンッッッ

リーダー「ハァッ!!」

大和「はぁっ!!」

まるで鏡に映ったかのように同じ攻撃を出し合う大和とリーダー。攻撃を受け止め、弾き、相殺する。攻撃を一切ヒットさせる事なく二人は正に互角の戦いを披露する。拳や脚から発せられた凄まじい衝撃の余波が辺りに走り、突風が吹き荒れる

255 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:31:11.79 Q1IxI1jM0 255/504


リーダー「貴女ガ! 私カラ櫂チャンヲ奪ッタンダ!!」ポロポロ

大和「奪ってなんかいません! 提督は! 今でも一人の女性を! ヤマさんを愛しているんです!!」

リーダー「ッ!?」

大和「私が立ち入る隙なんてありませんよ」

リーダー「・・・・・・」

大和「それだけ貴女を愛しているんですよ、ヤマさん」

リーダー「ッ、私ノ心ヲ覗イタワネ・・・・・・」

大和「・・・・・・」

リーダー「・・・・・・ソレデモ、私ハ貴女ガ許セナイ・・・・・・櫂チャンノ傍デ生キテイル貴女達ガ・・・・・・!!」

大和「っ!?」

リーダー「モシ、私ノコノ憎悪ガ消エルトシタラ・・・・・・私ガ死ヌカ貴女達ガ死ヌカノドチラカヨ・・・・・・」

大和「・・・・・・」

リーダー「ダカラ死ンデ。ソウシタラ私ハマタ櫂チャント一緒ニナレルカラ」ニチィ

大和「・・・・・・分かりました」

吹雪「大和さん!?」ギョッ

大和「大丈夫です、そういう意味ではありません。今、私は覚悟を決めましたので」

リーダー「覚悟?」

256 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:33:22.44 Q1IxI1jM0 256/504


大和「できれば貴女を殺さずにいたかったのですが、貴女を解放する手立てがそれしかない以上、そうするしかありません。私は貴女を殺す覚悟を決めました」

リーダー「殺セルトイイワネ。ソノ前ニ貴女ガ死ヌカモシレナイケド」

提督「・・・・・・」ピクッ

吹雪「!」

北上「提督!」

妖精「気がついた? 意識は? 大丈夫かい?」

提督「や・・・・・・ま・・・・・・」

リーダー「!!」

大和「!!」

提督「・・・・・・た・・・・・・く・・・・・・れ・・・・・・」

リーダー「何、聞コエナイヨ! モウ一度オ願イ!」

大和「提督・・・・・・」

提督「・・・・・・大和・・・・・・」

リーダー「ッッッ!?」

大和「っ! はいっ!」

提督「大和、そいつを・・・・・・ヤマを・・・・・・助けて・・・・・・くれ・・・・・・憎しみ・・・・・・から、解放してくれ」

リーダー「ナ・・・・・・ンデ・・・・・・」ガタガタ

ドシャッ・・・・・・

大和「・・・・・・了解」

提督からの指示を受けた大和は静かに目を見開く。リーダーはあまりの衝撃に呆然とし、その場にヘナヘナと崩れ落ちた

リーダー「何デ・・・・・・櫂チャン・・・・・・」ワナワナ

大和「提督からのお願いです。どうか、貴女を苦しめるその憎しみから解放されてください」スタスタ

リーダー「・・・・・・分カッタワ。櫂チャンニ伝言頼ンデイイ?」

大和「何なりと」

リーダー「アリガとう」スゥ・・・・・・

大和(! 負の感情が薄れていく・・・・・・)

リーダー「私は何時でも櫂ちゃんを見守っている。大好き。でも、私の事は大丈夫だから、櫂ちゃんにはもう一度、好きな人をつくって恋をして欲しい。・・・・・・皆と幸せに過ごして・・・・・・って伝えて」ポロポロ

大和「・・・・・・必ず」ツーッ

257 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:34:17.27 Q1IxI1jM0 257/504


妖精「一つ、質問してもいいかい?」

リーダー「何? 妖精さん」グシグシ

妖精「あんた、ヤマなんでしょ? 何でこんな事を・・・・・・何で深海棲艦なんかになっちゃったのさ・・・・・・?」ポロポロ

当然、提督の家に遊びに来ていたヤマは妖精とも仲が良く、時々話の相談をしたりと懐いており、また妖精も二人の保護者役を買って出たりと、二人をとても可愛がっていた。

リーダー「私の家の"呪い"・・・・・・『呪われた一族』、知ってるでしょ?」

妖精「っ!? あれか・・・・・・」

大和「?」

リーダー「私の魂が分裂して漂い、うち一つがリーダー(この肉体)に憑依した、それが今から数日前。あれから5年経ったから、櫂ちゃんがどうなっているか、大丈夫か知りたかったのかな・・・・・・その結果こんな事になっちゃって、本当にごめんなさい」

妖精「大丈夫、あの馬鹿ならきっと立ち直れるさ」

リーダー「うん。いい人もいるみたいだし」チラ

大和「!」

リーダー「大和さん、櫂ちゃんをよろしくね」

大和「・・・・・・分かりました」

妖精「成仏・・・・・・するのかい?」

リーダー「うん。憑依している肉体が修復不可能なくらい損壊したら、きっと昇天できる。お願いしてもいいかな?」

大和「」コクッ

頷いた大和はゆっくりと拳を振り上げる。それを見たリーダーはすっかり負の感情の消えた優しい顔つきで微笑む

大和「ヤマさん。どうか、安らかに」ブンッ

リーダー「うん・・・・・・ありがとう」

258 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:35:06.52 Q1IxI1jM0 258/504








ドッッッガァァァァァァァァァァァァァァンッッッ






259 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:35:44.21 Q1IxI1jM0 259/504


大和「・・・・・・」

地面に深くめり込んだ右手をゆっくりと引き抜き、大和は前を見る。リーダーの身体は跡形もなく消し飛び、地面には今までで一番大きな亀裂が走っており、湾内の水が流れ込んできている

妖精「あの娘、昇天できたかな」

大和「そうだといいですね」

提督「大和・・・・・・」

大和「! 提督」クルッ

振り向くと、完全に意識が戻った提督がこちらに歩いてきていた。とはいえ、完全にはダメージ回復してないため、覚束無い足どりである

提督「ありがとう。あいつを助けてくれて」

大和「はい」

提督「俺がいつまでもウジウジしてるからヤマが説教に来たのかもしれねぇな」ヘラヘラ

大和「もう! 笑い事じゃありませんよ!」

提督「悪ぃ悪ぃ」

大和「提督、ヤマさんからの伝言です」

そう言って大和はヤマからの伝言を提督に伝える。一言一句漏らさずに

妖精「よく間違えなかったね」

大和「大切な伝言ですから」

提督「・・・・・・」

260 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:36:26.64 Q1IxI1jM0 260/504


妖精「・・・・・・吹っ切れたかい?」

提督「あぁ」

シレイカーン、ヤマトサーン、ヨウセイサーン

テイトクーダイジョウブー?

妖精「あぁ、皆呼んでるね」テテテテ

ホラ、アンタラハスグサマニュウキョ!

エェェエェェエッッッ!? ガビーン

大和「提督も休んでくださいね?」

提督「あぁ」

大和「早く行きましょう」スタスタ

提督「・・・・・・大和」

大和「! はい?」クルッ

提督「・・・・・・」

大和「? 提督?」

提督「・・・・・・俺は5年前、最愛の恋人を失った」

大和「・・・・・・」

提督「俺にとって彼女の存在が大きかった事もあるけど、その死んだ原因が俺だった。だから俺は、ヤマ以外の誰かに恋をしなかったんだ。今思えば贖罪の意志だったのかもしれねぇ」

大和「提督・・・・・・」

261 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:37:25.61 Q1IxI1jM0 261/504


提督「だけど今回の件で漸く気持ちにケジメがついた。俺はもう一度、前に進みてぇ」

大和「それは素晴らしいお考えです! 大和もそのお手伝い、尽力させていただきます!」

提督「というわけでだ。・・・・・・大和」

大和「? はい?」

提督「俺と結婚を前提に付き合ってくれないか?」

大和「・・・・・・え?」

提督「お前がこの前、俺に告白してくれた時、素直に嬉しかった。あの時はくだらねぇ理由で断ってしまって、お前には本当に辛い思いをさせてしまった」

大和「い、いえ! そんな事はありません!」

提督「あんな酷い事言った上、今更こんな事を言うなんて虫のいい話だって事は重々承知してる」

大和「提督・・・・・・そんな事ありません」ジワァ

提督「あの時は怖かったんだ。誰かを愛したら、またそいつを失ってしまうかもしれねぇって。俺のせいでまた愛する女を失うかもしれねぇ、それが怖かったんだ」ツーッ

提督「だから俺は"守る"事に異常に固執してたんだな・・・・・・」

大和「・・・・・・仕方ありませんよ。大和も同じ立場ならそう考えます」ポロポロ

提督「だけどお前は守られるだけじゃなく、お互いに守りあいながら生きていきたいって言ってくれた。本当に嬉しかった」

提督「改めてお願いします。大和、俺と結婚を前提に付き合ってください」

大和「はい! 喜んで・・・・・・!!」ポロポロ

大和「提督、どうか一人で抱え込まず、大和や皆を頼ってください。大和は提督と支え合いながら生きていきたいです!」

大和「提督! 心より愛しております!!」ニコッ

262 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:38:09.41 Q1IxI1jM0 262/504


提督「ありがとう、やまt・・・・・・」

チュッ・・・・・・

大和「ん・・・・・・////」

提督「大和・・・・・////」

大和「これで二回目ですね。大和が提督の唇を奪ったのは////」ニコッ

提督「確かに。このままやられっぱなしも嫌だしな////」スッ

大和「あ・・・・・・////」クイッ

提督は大和の顎をあげ、その唇に優しく接吻する。大和はすぐに両手を提督の頬にあて、ゆっくりと引き寄せる。やがて大和はその両腕を提督の首に回し、提督はそれぞれ大和の後頭部と腰を抱き寄せ、互いに密着しながら唇を求め合い、舌を絡ませる

大和(提督・・・・・・提督・・・・・・! 好き・・・・・・好き・・・・・・大好き・・・・・・!!)

263 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:38:48.04 Q1IxI1jM0 263/504








「・・・・・・あの~」






264 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:39:20.75 Q1IxI1jM0 264/504


提督大和「っ!?」ビクッ

吹雪「大変申し訳ないんですけど////」

北上「そーゆーのは二人っきりの時にベッドでやってほしいんだけどー////」

大鳳「み、見てるこっちが恥ずかしいですよぉ////」

文月「ほわぁ、ラブラブー!」ニコニコ

利根「青春するのは構わんが、時と場合を弁えてもらわねばな////」

妖精「ちょっとは周り見なよバカップルが」

提督「わ、悪ぃ////」

大和「す、すみません////」パッ

265 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:39:57.38 Q1IxI1jM0 265/504


提督「いや、とにかく。皆ありがとう。皆のお陰でこの鎮守府、延いては街を守る事ができた」

北上「波止場に面した建物以外は・・・・・・ね」

吹雪「それは言っちゃダメです」

提督「とりあえず皆は入渠してきてくれ。俺は今から飯を作r・・・・・・」

妖精「させないよ!?」ギロリ

提督「嘘です冗談です」

妖精「当たり前!! あんたが一番の重傷患者なんだからね!!」

提督「じゃ、じゃあ俺は部屋にいるから入渠して飯食って早く寝ろ。以上、解散」

艦娘「はっ!」ビシッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督寝室

提督「使えなくなった施設は何処だ?」

妖精「工廠は全壊、あと艤装や装備の倉庫とあたしの医務室が半壊。波止場は壊滅的だし、出撃は無理だね」

提督「するつもりもねぇよ。どうせ暫くこの鎮守府は機能しねぇさ」

妖精「とはいえ、直すに越した事は無いね」

提督「確かに。お願いしてもいいか?」

266 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:40:36.87 Q1IxI1jM0 266/504


妖精「任された。てか元々あたし達の仕事だしね」

提督「明日は俺も手伝うさ」

妖精「ふふ、あんたが吹っ切れたみたいで安心したよ。元帥達も喜ぶだろうね」

提督「はは、そうかもな。あんたにも迷惑かけたな」

妖精「うぅん。本当に良かったよ。じゃ、安静にしてなよ」テテテテ

提督「はいはい」

ガチャ・・・・・・パタン

提督「・・・・・・」

提督(今までごめんな、ヤマ。俺はもう一度前に進む。皆と、大和と一緒にな)

提督(だから皆を見守ってやってくれ)

提督「大和(あいつ)をお前の分も含めて、愛したい」

提督「今度こそ、もう何も失わねぇように・・・・・・」


続く

267 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:43:17.27 Q1IxI1jM0 267/504


これで前編は完結です。色々詰め込み過ぎた気がしますが、それでも気に入ってくれる方がいると幸いです。
では、後編の投稿を暫くお待ちください。

268 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 23:54:38.16 Q1IxI1jM0 268/504


続編
大和「もし許されるなら」2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492267924/


大和「もし許されるなら」【3】

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