1 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 19:52:29.31 Q1IxI1jM0 1/504


・独自設定あり
・提督鎮守府の艦娘が少数
・個人名あり
・グロシーンあり
・途中(主に戦闘シーン)地の文あり
・砲雷撃戦は殆ど皆無
・中二病全開の戦闘シーン
・書き溜めを投下するのでコメントに返信できない
その他、様々な点はありますが、それでも構わないという方はどうぞ


元スレ
大和「もし許されるなら」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492253549/
大和「もし許されるなら」2
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1492267924/

2 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 19:54:04.13 Q1IxI1jM0 2/504


某鎮守府 執務室

提督「やっと終わったか、8時間」

吹雪「喜んでくださいよ司令官、初めての大型建造でこれですよ!! きっと戦艦か空母です!!」

提督「空母はもう引き取って来たあいつがいるだろ」

吹雪「そうですけど、彼女一人では厳しい時もありますよ」

提督「あぁ、やっと戦力強化できるぜ」スッ

提督「皆を集めといてくれ、全員で迎えるぞ」

吹雪「はい!」タッタッタッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

吹雪「皆さん、いよいよですよ」ワクワク

北上「楽しみだねぇ」フワァァ・・・・・・・

大鳳「どんな方でしょう」ドキドキ

文月「優しい人かなぁ?」

利根「そうじゃと良いがの」

利根「それより吹雪、提督はまだ来とらんのか?」

吹雪「あ、あれぇ!?」キョロキョロ

吹雪「もう、あの人は!! すみません、連れてきます!」タッタッタッ

スタスタ・・・・・・

北上「お? 出てきたねぇ」

3 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 19:55:13.16 Q1IxI1jM0 3/504


大和「大和型戦艦一番艦、大和。推して参ります!」ビシッ

利根「何と! 大和型じゃったか!!」

大鳳文月「うわぁ・・・・・・!!」キラキラ

タッタッタッタッタッ・・・・・・

吹雪「何してたんですか、司令官!!」タッタッタッ

提督「小便行ってただけだろ」タッタッタッ

吹雪「ハァ、ハァッ・・・・・・。っ!? あぁ! この人が新しい艦娘ですか!? 」

大和「はい、大和です!」ニコッ

吹雪「まさか大和さんに会えるだなんて!」

大和「よろしくお願いしますね」

提督「ん? そいつが・・・・・・。っ!?」ハッ

大和「貴方が提督ですね? 大和型戦艦一番艦、大和です!!」ビシッ

提督「・・・・・・」

文月「? 司令官?」クイクイ

提督「! いや失礼。俺がこの鎮守府の責任者、提督の海原だ」

大和「提督、よろしくお願いします」

提督「お前ら、順番に自己紹介しろ」

吹雪「はい! 特型駆逐艦、吹雪です!! この鎮守府の初期艦です!」ペコ

北上「あたしは雷巡北上。よろしくねぇ」

文月「あたし、文月って言うのぉ。よろしくぅ」ニパァ

大鳳「装甲空母、大鳳です。よろしくお願いします」

利根「吾輩が利根である! 吾輩にドンと頼るが良いぞ」

大和「ふふふ、なかなか個性的な艦隊ですね。他の艦娘はどちらに?」

提督「これで全員」

大和「・・・・・・へ?」

提督「まぁ、詳しくは皆から聞いてくれ。皆、大和に鎮守府を案内してやれ」クル

4 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 19:56:34.47 Q1IxI1jM0 4/504


提督「そうだ大和、案内終わって部屋を確かめたら執務室に来てくれ」

大和「あ、はい」

提督「じゃ、後は頼んだ」スタスタ

吹雪「大和さん、こっちです」グイッ

文月「こっちこっち~」グイッ

大和「あぁ、はい」スタスタ

提督「・・・・・・」スタスタ

提督(焦った、まさかあんなにそっくりとは・・・・・・)

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大鳳「ここが食堂です。とはいえ人数が人数なので、一般家庭のダイニングレベルですけど」

利根「これであらかた案内したかの?」

大和「はい、ありがとうございました」

文月「大和さん、司令官に呼ばれてたのぉ」

吹雪「そうでした! 執務室に案内しますね」

大和「はい」

スタスタ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

吹雪「ここが執務室です。隣が司令官の自室ですから」

大和「吹雪ちゃん、今から何をするのでしょうか?」

吹雪「あぁ。ここに来た艦娘は皆やるんです」

大和「な、何をですか!?////」カァァッ

吹雪「如何わしい事じゃないですよ!?」アセアセ

吹雪「まぁ、大丈夫ですよ」

コンコン

吹雪「吹雪です。大和さんを連れてきました」

ガチャ

提督「早かったな、入ってくれ」

吹雪「では、後で食堂に」ペコ

大和「はい。ありがとうございました」

5 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:02:58.54 Q1IxI1jM0 5/504


提督「で、どうだった?」

大和「皆さん本当に優しい方達でしたよ」

提督「仲良くしてくれたら何よりだ。そこに座ってくれ」

大和「はい」スタスタ

ポフッ

提督「さて、先ずは説明させてもらうが、数年前に大規模作戦が遂行され、深海棲艦はほぼ壊滅したという。今は僅かな残党を残すのみだ」

大和「! では、大和ははっきり言って足手まといでは?」

提督「まぁ、奴らとの戦闘はするが、それが終わるのもそう遠くはねぇ。俺は戦後のお前らが何不自由なく、社会に溶け込むようにしたい」

提督「そこでだ。色々端折って言うが」スッ

ドサッ

大和「? これは?」

提督「学力検査だ。五教科250点満点、高校受験レベルの問題を解いてもらいたい」つ鉛筆・消しゴム

大和「えぇっ!?」ギョッ

提督「別に悪いからって不合格にするわけじゃねぇよ。今のお前の学力を調べるだけだ」

大和「はぁ・・・・・・?」

提督「一教科25問のマークテスト。一教科50分だ」つストップウォッチ

提督「休憩は10分ずつ。ま、気楽にやってくれ」

ピッ

大和「・・・・・・・」カリカリ

カリカリカリカリカリ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

6 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:04:18.12 Q1IxI1jM0 6/504


ピピピピ、ピピピピ、

提督「そこまで。筆記用具を置け」カチッ

大和「・・・・・・・」スッ

提督「全部終わったか。採点してくるから、ここで待っててくれ」トントン

大和「分かりました」

提督「この部屋にいてくれたらいいから、好きに見て回っていいぞ。あ、引き出しは開けるなよ、機密書類あるかもしれねぇから」スタスタ

ガチャ パタン

大和「・・・・・・」キョロキョロ

大和(・・・・・・あまり物を置いてませんね。あら?)スッ

スタスタ

大和(本棚にある本、兵法とか軍事書類かと思ったら、物理に化学、生物に地学、英語や数学・・・・・・古典や地理まで・・・・・・学生みたいね)

スッ

パラパラ

大和「うわ・・・・・・」

大和(何この問題! 見てるだけで頭が痛くなってくる!!)

大和「赤線や付箋だらけ・・・・・・」

スッ

大和「! 写真立て・・・・・・」

スッ

大和(提督・・・・・・子供の頃でしょうか? 側の筋骨隆々な壮年の男性は・・・・・・元帥のバッジ!?)

大和「・・・・・・関係者かしら?」

7 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:05:18.51 Q1IxI1jM0 7/504


「父親だ。義理だけどな」

大和「!?」バッ

提督「採点終わったぜ。やるなぁ、ほぼ満点じゃねぇか」

大和「殆ど勘ですよ」

提督「運も実力の内って言うだろ? まぁ、これならあいつらについて来れるな」スッ

大和「? これは?」

提督「この鎮守府では、学校みてぇに一般教科の授業を行っているからな。それに使う参考書や教科書だ。念のため、吹雪達に今までのノート写させてもらえ」

大和「へ? あ、はい」

提督「次の授業は3日後。教科は化学だ」

大和「分かりました」

提督「詳しい予定はあいつらに聞きゃあいいだろ。じゃ、ゆっくり休め」

大和「はい、失礼します」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

食堂

吹雪「えぇっ!? すごいじゃないですか、大和さん!」

大和「そ、そうでしょうか?」

大鳳「そうですよ! 私なんて殆ど分からなかったわ」

文月「頭いいんだね~」

スタスタ・・・・・・

北上「ご飯できたよ~」つお盆

利根「新しい仲間の歓迎会じゃ、たんと食え」つお盆

大和「あ、その、大和、実は・・・・・・」アセアセ

吹雪「大丈夫です!」

大和「え?」

北上「あたし達、いつも色々してるうちに大量に作っちゃうからね。逆に食べてもらわないと困るんだよ」コトッ

大鳳「わぁ・・・・・・いっぱいあるなぁ」キラキラ

大和「そういう事なら・・・・・・。あ、そうだ提督は?」

吹雪「提督はあまりこういうのは好きじゃないんです。『お前らが親睦を深めるのに、俺がいたら邪魔だろうが』っていっつもインスタントで済ませてるんです」プンプン

文月「あたしも司令官と食べたいなぁ」

利根「奴も普段は一緒に食べるんじゃ、我慢せい」

文月「ふみゅ~」プーッ

利根「頬膨らましても駄目じゃ」ツン

8 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:06:40.66 Q1IxI1jM0 8/504


吹雪「さぁ皆さん、グラスは持ちましたね? では、大和さんの着任をお祝いして、カンパーイ!!」

「「「「カンパーイ!!」」」」

大和「カンパーイ!!」

吹雪「はい、大和さん! 欲しい料理があったら遠慮なく言ってくださいね!」

大和「ありがとうございます、吹雪さん」モグモグ

大和「! この唐揚げ美味しい!」

北上「ありがとねん」ニヒッ

大和「北上さんはお料理上手ですね」

北上「まさか。あたしは人並みだよ////」ポリポリ

利根「食べておるか、大和?」

大和「はい」モキュモキュ

大和「これもすごく美味しいです!」

利根「当然じゃ、吾輩の自信作じゃからな」フフン

吹雪「利根さんは、この五人の中で一番料理が上手いんですよ!」モグモグ

大鳳「私も利根さんのご飯大好きです!」

文月「あたしも~!」パクパク

利根「ふふん、褒めても何も出ないぞ」ドヤァ

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9 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:07:38.95 Q1IxI1jM0 9/504


「「「「「「ごちそうさまでした」」」」」」

大鳳「うぅ、満腹です」ケフ

大和「大和もです」

利根「やはり大和型の食いっぷりは凄まじいのぅ」カチャカチャ

大和「お恥ずかしいです」

利根「いや、作り手としては嬉しいぞ」ニコニコ

利根「吾輩が食器を片してくる。皆は少し休んでおれ」スタスタ

大和「! そうだ、皆さんが着任された時の話を聞かせていただいても?」

文月「やっぱり最初は吹雪ちゃんなのぉ」

吹雪「分かりました。初期艦ですもんね」

大和「最古参なら色々話もありますよね?」

吹雪「まぁ、最初は苦労の日々でしたね」ニガワライ

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1年弱前

吹雪「はぁぁ、緊張するなぁ・・・・・・」ドキドキ

吹雪「確か、15歳で軍学校に入って殆どを好成績で卒業した鬼才って話だし」ドキドキ

吹雪「私、やっていけるかな、足引っ張らないかなぁ?」ドキドキ

吹雪「・・・・・・迷っていても仕方ないよね、よし!」

コンコン

「どうぞ」

吹雪「しょ、初期艦吹雪です! 失礼します!」

ガチャ

吹雪「初めまして、司令官!!」ビシッ

提督「あー、お前が吹雪か。この度新しく着任した『海原 櫂(うなばら かい)』だ。よろしくな」

吹雪「はい、よろしくお願いします!!」

提督「さて、初めて鎮守府に来たら、次どうすんだったっけか」ペラッ

吹雪「あ、はい。先ずは・・・・・・って、何読んでいるんですか?」

提督「ん? あぁ悪ぃ、化学の参考書」

吹雪「へ?」

提督「いや、俺昔は理系の道に進みたくてな。勉強してたのが癖になっちまったんだよ・・・・・・。こう見えて緊張してるもんで、紛らわすためにな」ナハハ

吹雪「はぁ・・・・・・」キョトン

10 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:08:38.74 Q1IxI1jM0 10/504


吹雪「えっと、確か着任後は建造を・・・・・・」

提督「あ、そうだ。思い出した」

吹雪「え?」

提督「今は、建造自由にできねぇんだ」

吹雪「ど、どういう事ですか!?」

提督「数年前、深海棲艦の本拠地を叩いて、もう後は残党を倒すだけなんだ。それで、軍備を縮小したいらしい」

吹雪「縮小ですか?」

提督「あの作戦で多くの古参提督達が実質引退したからな。若い奴らに後を任せるとはいえ、大規模艦隊は作られたくねぇらしいんだよ」

吹雪「というと?」

提督「理由としては、二つある。一つは、有限の資材問題。これはまぁ、納得できるだろ?」

吹雪「はい。それで、二つ目は・・・・・・?」

提督「これがまた馬鹿らしい理由なんだけど・・・・・・」

吹雪「?」

提督「どうも軍としては、お前ら艦娘に無双してほしいらしい」ハァ

吹雪「無双・・・・・・ですか?」

提督「アクション系でよくいるっしょ、たった一人で雑魚集団相手に無双するキャラ。あんなふうになってほしいんだと」ヤレヤレ

吹雪「そ、それは少し無理があるかと・・・・・・」

提督「まぁ、無双は大袈裟だが要は少数精鋭で活動してほしいそうだ。よって一定の功績を収めて初めて建造が許されるんだってよ」

吹雪「何となく理解しました」

提督「てなわけで、暫くは俺ら二人で何とかしなきゃいけねぇんだ。まぁよろしくな」

吹雪「はい! 精一杯頑張ります!!」

11 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:09:35.68 Q1IxI1jM0 11/504


吹雪「では、早速出撃準備を・・・・・・」

提督「おい待てぃ、俺がいつそんな事命令した?」

吹雪「え? だって早く練度を上げないと」

提督「それ以前にお前がある程度レベルアップしとかなきゃいけねぇだろ」

吹雪「どういう事ですか!?」

提督「13時か、昼飯は済ませたか?」

吹雪「? はい、済ませましたよ」

提督「よし、10分後に体操服に着替えてグラウンドに待機してろ」スタスタ

吹雪「」ポカーン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

グラウンド

吹雪「・・・・・・」E:ジャージ

吹雪「10分経ちましたけど・・・・・・」

吹雪「司令官何しているんですかぁ~?」

「総員、整列ッッッ!!」

吹雪「っ!?!?」ビクッ

「気を付けぇぇぇい!!」

吹雪「!!」ビシッ

スタスタ・・・・・・

吹雪「あ、あの、司令官・・・・・・?」

「誰が司令官だ・・・・・・!!」

吹雪「へ?」

提督「海原教官と呼べぃ!!」E:迷彩軍服・ペレー帽・サングラス・葉巻

吹雪「・・・・・・」ポカーン

吹雪(つ、突っ込みどころ多過ぎぃぃ!!)

12 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:10:37.27 Q1IxI1jM0 12/504


提督「とまぁ、冗談は置いといて」

吹雪「!?」ズッコケ

提督「要はお前らの基礎体力を鍛えさせてもらう」

吹雪「基礎体力?」

提督「闘いに強くなるには、身体を鍛えるべし! 暫くは身体と頭を鍛えるぞ」

吹雪「はい!」

提督「では準備体操の後、腕立て伏せと腹筋、背筋、スクワットを200回、グラウンド10週だ」

吹雪「が、頑張ります!」

トイウカ、シレイカン?
ン?
ミセイネンナノニ、ハマキナンカクワエタラダメデスヨ!
ハマキジャネーヨ、チョコレートガシダ
チョコレート?
ホレ パキッムシャムシャ
ホントダ!

ーー
ーーーー
ーーーーーー

吹雪「はぁ、はぁ・・・・・・。や、やっと終わった・・・・・・」ゼーッゼーッ

提督「なかなか・・・・・・やるじゃ、ねーか・・・・・・」ハァ、ハァ・・・・・・

吹雪「司令官までしなくても・・・・・・」

提督「馬鹿言え、お前らだけにあんな鬼トレさせるわけねーだろが」

吹雪「その割にはあまり息切れしてませんよ?」

提督「軍学校じゃあ、あんなの日常茶飯事だ。遅れたらすーぐペナルティだの何だのって扱かれる毎日だったからなぁ」

吹雪「大変だったんですね」

13 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:11:34.07 Q1IxI1jM0 13/504


提督「よっしゃ、休んだし次のメニューに行くか」

吹雪「はい!」

提督「先ずは正拳突き100回、前蹴り100回! 始め!」

吹雪「1! 2! 3! ・・・・・・」ブンッ、ブンッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

こんな感じでトレーニングをして、気がついたらもう夕方でした。

提督「よし、今日はこんなとこだ」

吹雪「も、もう動けません~・・・・・・」ヘナヘナ

提督「風呂入ってこい。飯は俺が作っとく」

吹雪「司令官、身体が動きません」

提督「うーん、ちと飛ばしすぎたかね?」ヒョイ

吹雪「し、司令官!?////」

提督「何だ?」オヒメサマダッコ

吹雪「な、何を・・・・・・?」

提督「とりあえず風呂場までは連れてってやる」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「こっから先は自分で歩け」スッ

吹雪「あ、はい」

提督「吹雪・・・・・・」

吹雪「はい?」

提督「今日は、俺の無茶ぶりに付いてきてくれてありがとうな」ナデナデ

吹雪「!」

吹雪「と、当然です! 私は司令官の艦娘ですから!!」キラキラ

提督「そうか、明日からは座学も入れるから、もっとハードだぞ」

吹雪「任せてください!」

提督「いい返事だ。風呂でゆっくり休め」スタスタ

14 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:12:25.87 Q1IxI1jM0 14/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

食堂

吹雪「こ、これ全部司令官が作ったんですか!?」

提督「有り合わせの炒めもんだけどな。まぁ、食えなくはねぇと思う」

吹雪「い、いただきます」パン

吹雪「・・・・・・!」パクパク

吹雪「すごく美味しいです!」

提督「はは、なら良かった」モグモグ

吹雪「料亭にでも居たんですか?」パクッ

提督「まさか。家族と作った料理だからな」

吹雪「御家族は今どちらに?」モグモグ

提督「大本営」

吹雪「軍人だったんですか?」

提督「まぁな。この件はまたいつか。ほら、さっさと食わねぇと俺がもらうぞ」ヒョイパクッ

吹雪「あ! ちょっと司令官!?」ソレワタシノオカズー!

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「ここが吹雪の部屋だ。明日は7時に執務を始めるからな」

吹雪「はい! おやすみなさい、司令官!」

提督「おやすみ」スタスタ

これが着任初日の私達です。この時はまだ、このトレーニングに意味があるか不安だったんです。そして一週間後でした。

15 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:13:15.23 Q1IxI1jM0 15/504


執務室

提督「そろそろ出撃しても大丈夫だろ」

吹雪「寧ろ何で今まで出撃させてくれなかったんですか・・・・・・」トホホ

吹雪「この一週間、午前に執務、午後は鬼トレと座学、時々艤装で海上演習。全然出撃してないじゃないですか!」

提督「バッキャロー、俺はある程度レベルアップしてから、次のダンジョン進む派なんだよ」チキンプレーサイコー!

吹雪「RPGと一緒にしないでください! 何事も経験あるのみですよ!」

提督「まぁ、今まではそれで良かったかもしれねぇけどな」ボソッ

吹雪「? とりあえず、出撃しますから」スタスタ

提督「吹雪、二つ条件がある」

吹雪「? はい、何でしょうか?」

提督「俺は執務室から無線でお前と連絡を取るから、こっちから指示する以外は海上ではお前の判断で行動していい。だからこそ、沈まねぇようにしてくれ」

吹雪「当然です!」

提督「それと、これは条件っていうかお願いなんだが・・・・・・」

吹雪「お願い・・・・・・ですか?」

提督「できるだけ、弾薬は消費しないでくれ」

吹雪「えぇっ!?」ギョッ

そんなわけで、無茶ぶりを受けて私は渋々初出撃をしました。

ーー
ーーーー
ーーーーーー

16 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:14:24.06 Q1IxI1jM0 16/504


海上

吹雪「弾薬消費しないでくれって、無理ですよ~」

吹雪「砲雷撃戦になったら、絶対消費するし・・・・・・。素手で倒せって事なのかなぁ」

ピクッ

吹雪「! 敵艦発見!」

吹雪「えっ? 嘘・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

波止場

提督「おー、帰ってきたな」

吹雪「司令かーん!」

提督「お疲れさん、どうだった?」

吹雪「司令官、二つ言わせてください」

提督「ん?」

吹雪「何で鎮守府正面海域に戦艦のエリートクラスが居るんですか!? 死ぬかと思いましたよ!!」

提督「生きてんじゃねぇか。前に話した通り、残党だけだからな。多分縄張りも変わったんだろ。なっ、訓練しとかなきゃ沈んでたろ?」

吹雪「それと、その鬼トレですけど・・・・・・」

吹雪「すごい効果ですね、あれ!!」キラキラ

提督「は、はい?」

吹雪「まさか初出撃で戦艦を素手で倒せるなんて・・・・・・私感動しました!!」キラキラ

提督「お、おう・・・・・・そうか」

詳しく聞いたところ、あのトレーニングは軍が膨大な資料から得た効率的な艦娘のトレーニング法を一連のメニューにしたもので、他の鎮守府でも採用しているそうなんです!

吹雪「私今、練度幾つだろうなぁ」ポー

提督「測ればいいじゃん。おーい、妖精さーん」

妖精「はいはーい」ヒョコ

吹雪「妖精さん、私今練度幾つですか?」

妖精「暫しお待ちを・・・・・・」

吹雪「・・・・・・」ワクワク

妖精「吹雪さんの今の練度は48だね」

提督「何だ、とっくに改になれんじゃねぇかよ」

吹雪「嘘ぉ!?」ギョッ

妖精「吹雪さん、工廠へ。改にしますので」

吹雪「はい! 行ってきます!」タッタッタッ

17 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:15:12.31 Q1IxI1jM0 17/504


思ったより効果てきめんな鬼トレを続け、二週間経った頃でした。

吹雪改二「まさか一ヶ月弱でもうレベル90代だなんて、色々おかしいよ。って、あれ?」

吹雪「司令官、何か届いてますよ」つ封筒

提督「ん? まさか軍の経費でパチンコしてたのバレたか?」ウケトリ

吹雪「そんな事してたんですか!?」ギョッ

提督「冗談だって」ビリッ

吹雪「か、からかわないでくださいよ~!」プクーッ

提督「お? 喜べ吹雪、新しく建造する事が許可されたぜ!」スッ

吹雪「ほんとですか!? おめでとうございます、司令官!!」

提督「でも、一回だけな・・・・・・」ズーン

吹雪「ま、まぁできるだけいいじゃないですか!」アセアセ

提督「それもそうか、よし! やるか!」

吹雪「はい!」

吹雪「あ、でも司令官、この場合もし同じ艦娘が出たらどうするんですか?」

提督「それはねぇよ、確か既に同じ艦娘がいたら予備の艤装が出るだけだ。そうなった場合、その旨を大本営に伝えてもう一度建造できるらしい」

吹雪「じゃあ心置きなくできますね!」

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18 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:16:04.19 Q1IxI1jM0 18/504


吹雪「・・・・・・私はこんな感じです」

大鳳「吹雪さん、提督にいじられすぎじゃないですか?」

吹雪「はい、マイペースな司令官に最初は振り回されっぱなしでした」

北上「まぁ、吹雪は広辞苑に"真面目"の例文で載ってそうなくらいだからねー。苦労してたっしょ」

大和「提督ってそんな方だったんですね」

吹雪「根は良い人なんですけど。次は北上さんですね」

北上「そだねぇ。あたしがその建造で着任した艦娘なんだ」

吹雪「司令官のブレーキ役が増えるかと思ったら・・・・・・」

北上「同じく自由奔放なあたしが来たから吹雪の苦労が増えたんだよね」

吹雪「マイペースなお二人ですから、すぐに意気投合して、ほんと大変だったんですよ」

大和「あ、あはは・・・・・・」ニガワライ

北上「あたしが来た時の話ねぇ~」

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ーーーーーーーー

北上「あたしは軽巡北上、まーよろしく」

吹雪「・・・・・・」ポカーン

提督「よろしく、俺がこの鎮守府の提督の海原だ。そしてこの生気の抜けた顔してんのが・・・・・・」チラ

吹雪「どうしよう、司令官だけでも大変なのに、またマイペースな人が来ちゃったよぉ・・・・・・。私胃潰瘍になりそう・・・・・・」ブツブツ

提督「おい、起きろ吹雪!!」ビシッ

吹雪「はっ!? あ、き、北上さん! 初期艦の吹雪です、よろしくお願いします!」ペコ

北上「よろしくねー」

19 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:17:02.86 Q1IxI1jM0 19/504


吹雪「では司令官、北上さんに鎮守府を案内してきます」

提督「頼んだ。あ、北上。終わったら執務室来てくれ」

北上「はいはーい」

で、吹雪に案内されて鎮守府を一通り回った後、執務室で提督からあの試験を受けさせられたんだ。

ーー
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ーーーーーー

食堂

北上「ま、まさか着任初日に筆記試験するとは思わなかったよ」

吹雪「司令官曰く、私達が社会で生きていけるようにとの事です」

北上「吹雪はあれやったの?」

吹雪「私は一から司令官の授業を受けていますから。あれは今の授業についていけるかを見るためらしいんです」

北上「うへぇ、学校じゃんそれ。嫌だなぁ」

吹雪「何言ってるんですか、ここで一番キツイのは鬼トレですよ」

北上「へ? 鬼トレ?」

吹雪「めちゃくちゃキツイですけど効果てきめんなトレーニングなんです! 深海棲艦相手に素手で無双できるようになれるんですよ!!」

北上「そんな話あるわけないじゃん」

吹雪「とにかく明日やってみてくださいよ」

北上「まぁ、期待しないで受けるよー」

ーー
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ーーーーーー

翌日

執務室

提督「・・・・・・」カリカリ

北上「提督ー」ペラッ

提督「ん?」カリカリ

北上「何か昨日、吹雪から聞いたんだけどさ」ウワ、ナニコノモンダイ!?

提督「何だ?」カリカリ

北上「鬼トレ? ってのがあるみたいじゃん? どんなやつなの?」スッ

提督「その名の通り、まるで鬼のようなトレーニングだ」カリカリ

北上「あたし多分無理だと思うよ」

提督「やってみなきゃ分かんねぇよ」カリッ

北上「にしても、この本棚の参考書難し過ぎ」

提督「お前も勉強によってはそれが解けるようになるぜ」トケイチラッ

提督「昼飯食ったら13時までに体操服に着替えてグラウンドに集合な」スタスタ

北上「あーい」

20 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:18:38.68 Q1IxI1jM0 20/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「では、いつも通りのメニューを始めろ!!」教官モード

北上「・・・・・・色々突っ込みどころが多過ぎない・・・・・・?」ヒソッ

吹雪「気にしたら負けです・・・・・・」ヒソッ

提督「私語は慎め! 吹雪、今日は北上にメニューを一通り教えながらこなせ」

吹雪「はい、教官!!」

北上「今は教官なんだね、提督の呼び方・・・・・・」

提督「北上、最初だからといって気を抜くなよ?」

北上「はいよ~」

提督「では、始めぃ!!」

ーー
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ーーーーーー

北上「ヒーッ、ヒーッ・・・・・・何このトレーニング、辛すぎ・・・・・・」ゼーッゼーッ

吹雪「大丈夫ですよ、私も最初はそんな感じでしたから」

北上「何で、二人は、息切れ、して、ないの、さ・・・・・・?」ハァ、ハァ

吹雪「一ヶ月も毎日してたら慣れます」

提督「なら俺と吹雪は次から一段階ハードにするか?」ジロ

吹雪「け、結構です」(震え声)

提督「まぁ、これはトレーニングのアップらしいからな。これぐらいには慣れてもらいたい」

北上「今度は何やるのさ?」

吹雪「正拳突きと前蹴りを100回ずつです」

北上「・・・・・・はい?」

提督「よし、始めぃ!!」

吹雪「1! 2! 3! ・・・・・・」ブンッ ブンッ

北上「い、1! 2! 3! ・・・・・・」ブンッ ブンッ

ーー
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ーーーーーー

21 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:19:35.55 Q1IxI1jM0 21/504


こんな感じで、何処のスポコン漫画かってトレーニングをした後、提督が一つ提案をしてきてね・・・・・・。

北上「これ、意味あんの?」

吹雪「効果はありますよ!」

提督「なぁ、お前ら」

吹雪「はい?」

北上「何?」

提督「艦娘二人になった事だし、今回から組み手入れてみようかと思うんだが、どうだろうか?」

吹雪「私は構いませんよ」

北上「あたしも」

提督「よし、実戦形式で行くか」

提督「反則行為以外なら何でも有りだ。相手の背中が地面に着くか、相手が降参する、若しくは相手を戦闘不能にしたら勝ちだ」

吹雪「じゃあ、お願いします」スッ

北上「よろしく」スッ

提督「始め!」

ーー
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ーーーーーー

提督「そこまで。勝者、北上」

吹雪「うぅ、私の方が練度は上なのに」

北上「吹雪は真面目だからねぇ、フェイントに引っかかりやすいんだよ」

提督(うーん、以外と組み手は有りか。互いの弱点が分かるから改善の余地がある)

提督「そういや妖精さん、今の北上の練度は?」

北上「え? 練度ってそんな変わんないっしょ」イヤイヤ

妖精「だいたい19だね」

北上「え!? たったこれだけで?」ギョッ

提督「北上、工廠行け。改になれるぜ」クイッ

北上「は、はーい」スタスタ

提督「にしても、妖精さんはどうやって艦娘の練度見てんだ?」

妖精「妖精の力」

吹雪「すっごくアバウトですね・・・・・・」

ーー
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22 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:20:29.19 Q1IxI1jM0 22/504


それから、あたしもこのトレーニングの効力知ってからは、何か楽しくなってきちゃってさ。他にも色々娯楽も見つけたしね。

提督「おい北上、お前宛に何か届いたぞ」つ段ボール箱の山

北上改二「あ、やっと来たんだ」スタスタ

吹雪「何か買ったんですか?」

北上「漫画数種とアニメとゲーム」ニヒッ

吹雪「そんなお金あったんですか?」

北上「大人買いしちゃった」つカード

提督「っ!? テメッ、それ俺のクレジットカード!! 何やってんだぁ!!」

吹雪「そうですよ!! 他人のお金勝手に使うなんて」プンプン

提督「ちゃんとポイント付けてもらったのか!?」クワッ

吹雪「て、そっちですか!?」ガクッ

北上「もち」b

提督「なら良し」

吹雪「いいんですか!?」ギョッ

提督「時々俺らも貸してもらうぜ」

北上「いいよー」

提督「但し・・・・・・」パッ

北上「あっ!?」

提督「これ以降は自分の金で買え」つカード

北上「いーじゃんか、ケチ~!」ブーッ

提督「やかましい!!」クワッ

吹雪「・・・・・・」

吹雪(・・・・・・二人のノリに色々とついていけない・・・・・・)ズーン

ーー
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23 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:21:40.45 Q1IxI1jM0 23/504


グラウンド

北上「よっ、はっと!」サッ サッ

吹雪「えいっ!」ブンッ

北上「ふっ」シュッ

吹雪「あ、あれ!?」

北上「はい、チェック」手刀

吹雪「うっ、降参です」

提督「そこまで。勝者、北上」

吹雪「うわぁん、また負けたぁ・・・・・・」

北上「ニシシシ、ハイパーな北上様をなめちゃあいけない」

提督「・・・・・・なぁ、北上」

北上「ん? 何?」

提督「お前、組み手の時に相手に自分から攻撃しないよな? 何でだ?」

北上「ん~、カウンター派だからかな。相手が単純な攻撃ならいなせばいいんだし」

北上「それに、あたしはあまりパンチとかキックは得意じゃないんだ。あんまり力も入んないしさ」

提督(打撃というより、北上は合気道派(トリッキータイプ)なのか・・・・・・?)

吹雪「なら、飛び道具を使うのはどうですか?」

北上提督「飛び道具?」

吹雪「鉄砲とまでは言いませんが、何かを飛ばしながら闘うんです。北上さんは身のこなしが軽いから、きっと錯乱しながら攻撃するのに向いてると思います!!」

北上「あ、それ面白そうかも」

提督「妖精さんに聞いてみるか」スタスタ

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提督「とりあえず、木材加工してクナイみたいなの作ってもらったから、これ使いな」つ木製の棘みたいなもの

北上「ありがとねん」ウケトリ

提督「よし、的に当ててみな」つ案山子

ドスッ、ドスッ、ドスッ・・・・・・

北上「・・・・・・」スチャ

提督「始め!」

北上「!」ダッ

ストトトトッッッ!!

北上「はい、一丁~」スタッ

吹雪「全弾・・・・・・命中・・・・・・?」ポカーン

提督「・・・・・・おったまげた」ポカーン

北上「ん~、あたしこーゆーの向いてんのかも」

吹雪(しかも、全部案山子の脳みそに刺さってる・・・・・・)ゾクッ

北上「硬い素材で作ったらあいつらにも十分使えるっしょ?」

提督「うん、有りだな」

てなわけで、あたしは自分なりのスタイルを見つけて、今は個人練習に入ってるんだ。

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24 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:24:07.91 Q1IxI1jM0 24/504


北上「あたしの事はこれくらいかな」

大和「自分なりのスタイル・・・・・・ですか」

吹雪「私は基本に沿ったものですけどね」

大和「因みに、北上さんと吹雪ちゃんはどっちが強いんでしょうか?」

北上「総合的なパワーは吹雪だねぇ」

吹雪「でも、勝率は北上さんが上ですよ」

文月「二人とも強いよ~」

大和「それで、次に鎮守府に着任したのは・・・・・・」

大鳳「あ、私です」

大和「え? でも、確か貴女も大型建造でしか・・・・・・」

大鳳「実を言うと、私はここで建造されたわけでは無いんです」

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私は以前、別の鎮守府で建造されました。そこでは、私は何をやっても失敗ばかりで、出来損ないの烙印を押されていました・・・・・・。

「また作戦失敗か! 何故あんな簡単な事ができんのだ!!」

大鳳「ご、ごめんなさい・・・・・・!」

「うちは貴様のような出来損ないを養うつもりは無い! もう貴様は要らん!!」

大鳳「っ!?」

度重なる任務の失敗を咎められ、私は遂に解体される事が決定しました。地下牢で解体される時を待っていた、そんな時でした。

大鳳「・・・・・・」

25 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:24:46.22 Q1IxI1jM0 25/504


カツ、カツ、カツ、カツ・・・・・・

大鳳(っ! もう来たんだ・・・・・・)

ガチャ、ギィィィィィ・・・・・・

大鳳「!」

提督「ほー、お前が大鳳か」

大鳳「だ、誰ですか!?」

提督「俺は海原 櫂。装甲空母、大鳳。本日付で、お前は俺の艦隊所属だ」

大鳳「は、はい? 仰る意味が・・・・・・」

提督「要は、地下牢から出してやるって事」

大鳳「ここから・・・・・・?」

提督「別に強制はしねぇ。ここで燻ってるか、別の可能性に手を伸ばすかは、お前が決めろ」

大鳳「・・・・・・私は落ちこぼれの出来損ないです。私には可能性なんてもの、微塵もありませんよ・・・・・・」

提督「この世に不必要な人間なんかいねぇよ。お前はいわば原石だ、燦然と輝く宝石のな。お前が落ちこぼれかどうかなんて磨いてみないと分かんねぇよ」

大鳳「私が・・・・・・原石・・・・・・?」

提督「あぁ。もしお前が宝石になれなかったら全部俺の責任だ、お前の前で腹切って土下座して詫びてやる。万が一、いや、例え那由他の果ての可能性でも希望があるなら、一つ賭けてみないか?」

大鳳「・・・・・・分かりました。空母大鳳、貴方の艦隊に配属させていただきます」

提督「よし、交渉成立だ」ニッ

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26 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:25:37.18 Q1IxI1jM0 26/504


吹雪「初めまして! 私は初期艦の吹雪です!」

北上「雷巡の北上だよ、まーよろしく」

提督「こいつらがうちの艦娘だ。仲良くしてやってくれ」

大鳳「あ、あの、提督。たった二人ですか?」

提督「侮るなよ。こいつらは今や単体で、艦隊の五つや六つを瞬殺できる程の精鋭だぜ」

大鳳「た、単体で!? すごいじゃないですか!!」

北上「いやぁ」テレテレ

吹雪「それ程でも」テレテレ

提督「お前も直にこうなるからな」

大鳳「プ、プレッシャーかけないでくださいよ~」

提督「お前ら、大鳳に鎮守府を案内してやれ」

吹雪「はい!」

北上「終わったら、また連れてくるねー」

提督「頼む」

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食堂

大鳳「」ズーン

吹雪「た、大鳳さん大丈夫ですか!?」アセアセ

北上「どうだった、筆記試験?」

大鳳「全然・・・・・・解けなかった」ズーン

大鳳「あぁあ、最初からついてないなぁ」

北上「更に追い込むようで悪いんだけど」

吹雪「明日からもっとハードになりますよ」

大鳳「えぇ!?」ガビーン

27 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:26:23.90 Q1IxI1jM0 27/504


ーー
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翌日早朝

大鳳「はっはっ、ふっふっ、はっはっ、ふっふっ・・・・・・・」タッタッタッ

吹雪「あ、大鳳さん! おはようございます!」タッタッタッ

大鳳「吹雪さん! おはようございます」タッタッタッ

大鳳「吹雪さんも毎朝ランニングを?」タッタッタッ

吹雪「はい! もっと強くなるために」タッタッタッ

吹雪「でも、気をつけてくださいね」タッタッタッ

大鳳「え?」タッタッタッ

吹雪「この鎮守府名物の鬼トレはこんなもんじゃありませんよ!!」タッタッタッ

大鳳「鬼トレ?」タッタッタッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

執務室

提督「吹雪から聞いたぜ。早朝からランニングなんて」カリカリ

大鳳「いえ。せめてもの努力です」

提督「いや。そういう小さな努力が積もり積もって、いつかは実を結ぶ。よく言われた言葉だ」カリカリ

提督「それに、そうやって努力する事は間違いなくお前の良い点だ。もっと誇ってもいいんじゃねぇか?」カリカリ

大鳳「ありがとうございます」

提督「今日は昼間は雨だ。鬼トレより先に座学しておくか。吹雪達からノートは写させてもらったか?」カリッ

大鳳「は、はい」

提督「今日は物理だ。難しいと思うが、頑張れよ」ヨテイヒョウチラッ

大鳳「が、頑張ります!」

28 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:27:08.29 Q1IxI1jM0 28/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「えー、それでは物理の授業を始めたいと思う」スーツ・指揮棒

吹雪「起立!」ガタッ

北上大鳳「」ガタッ

吹雪「気をつけ、礼!」ビシッ ペコ

北上大鳳「」ビシッ ペコ

吹雪「着席!」ガタッ

北上大鳳「」ガタッ

提督「では、今日は力学の波動を学習したいと思います」

北上「"は"・・・・・・」

提督「先言っとくぞ、へそ出し雷巡。『波導は我にあり』とか言ったら、ドタマぶち抜くからな?」つチョーク

北上「チッ、バレタカ・・・・・・」

提督「"波導"じゃなくて"波動"だからな。さて・・・・・・」クル

カツ、カツ、カツ、カツ

スーッ、カツカツ・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「・・・・・・であり、この公式は波動力学において、基礎とも呼べる。しっかり覚えておくように」

北上「・・・・・・」ファァ~

吹雪「・・・・・・」カリカリ

大鳳「・・・・・・」カリカリ

提督「じゃあ、この公式を利用して・・・・・・」カツカツ

提督「大鳳、この問題を解いてみろ」

大鳳「っ!? ひゃ、ひゃいぃっ!!」ガタッ

大鳳「え、えーっと・・・・・・」アワアワ

29 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:27:50.92 Q1IxI1jM0 29/504


吹雪「大鳳さん、公式公式」ヒソッ

大鳳「!」ハッ

大鳳(そうだ、公式! 振動数と波長が出ているから、それをかけて・・・・・・)

大鳳「に、20m/sです!」

提督「そう、正解だ。このように三つのうち二つがある場合は容易に計算できる。では・・・・・・」

大鳳「吹雪さん、ありがとうございます」ヒソッ

吹雪「いえ、どういたしまして」ヒソッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

グラウンド

提督「少し地面がぬかるんでるけど、まぁ大丈夫か」

提督「よし、ではこれよりトレーニングを開始する!」教官モード

大鳳「・・・・・・」ポカーン

吹雪(分かる、すっごく分かりますけど・・・・・・)

北上(突っ込んだら負けだよ、大鳳)

提督「いつも通りのメニューから、始め!」

北上「ねぇ教官」ノシ

提督「何だ?」

北上「まさか、この泥のとこで腕立て伏せとかやれってわけじゃないよね?」

吹雪「あ!」キョロキョロ

提督「うむ、確かに。仕方ない、準備運動はコンクリートの上でやるとしよう」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

30 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:28:30.22 Q1IxI1jM0 30/504


吹雪「はっはっ、ふっふっ、はっはっ、ふっふっ・・・・・・」タッタッタッ

北上「はっはっ、ふっふっ、はっはっ、ふっふっ・・・・・・」タッタッタッ

大鳳「はっはっ、ふっふっ、はっはっ、ふっふっ・・・・・・」タッタッタッ

提督(普段から走り込んでいると言うだけはあるな。初日で全くペースを落とさずについてきている)タッタッタッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「では、組み手を始めるか」

吹雪「大鳳さん、お願いしますね」スッ

大鳳「は、はい」スッ

北上「あたし見学~」

提督「始め!」

吹雪「やぁっ!」ダッ

大鳳「はぁっ!」ダッ

ドムッ

吹雪「」

大鳳「」

提督「・・・・・・(互いに突っ込んだら、クロスカウンターの状態で固まっちまった)」

北上「漫画だけかと思ってたよ、互いの拳がほっぺにめり込んだまま、固まるなんて状況・・・・・・」

31 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:29:05.40 Q1IxI1jM0 31/504


吹雪「」フラッ

大鳳「」フラッ

ドサッ ドサッ

提督「お、おいお前ら!!」タッタッタッ

北上「ありゃりゃ・・・・・・」タッタッタッ

提督「おい吹雪、大鳳! しっかりしろ!」

北上「二人とも気絶しちゃったね」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

妖精「脳震盪かねぇ、これは」

提督「脳震盪!?」ガビーン

北上「・・・・・・マジで?」

妖精「今は眠ってるだけだから、安静にしといてね」テテテテ

北上「・・・・・・互いに脳震盪起こす程の一撃だったんだね」

提督「腕力は多分吹雪が上だ。大鳳は恐らく・・・・・・」

北上「踏み込みだよね」

提督「やっぱりか、走り込んでいる分踏み込みが強い。だから初速から前に進む力が強いんだな」

32 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:29:52.25 Q1IxI1jM0 32/504


吹雪「う、うぅ・・・・・・」ピクッ

大鳳「うぅ・・・・・・」ピクッ

提督「お、目が覚めたか」

吹雪「司令官・・・・・・?」

大鳳「私達、何が・・・・・・?」

北上「お互いのパンチで気絶しちゃったんだよ」

吹雪「思い出しました・・・・・・」

大鳳「痛っ・・・・・・!?」ズキッ

北上「! 大鳳手首が・・・・・・!」

大鳳「あ、紫色になってる」イタタ

吹雪「えぇ!? 大丈夫ですか!?」アセアセ

提督「見せてみろ」

提督「・・・・・・関節傷めたな。湿布もらってくる」スタスタ

大鳳「そんな! 高速修復材があれば・・・・・・」

提督「いつまでもそれに頼るわけにもいかねぇよ」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

妖精「はい、これでいいよ」

提督「悪ぃな」

妖精「今日一日はなるべく安静にしてね。そしたら明日にはマシになるよ」テテテテ

大鳳「・・・・・・」

提督「? どうした?」

33 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:30:36.83 Q1IxI1jM0 33/504


大鳳(私・・・・・・本当に役立たずだなぁ。トレーニング初日に皆に迷惑かけて・・・・・・)ジワッ

大鳳「やっぱり、私は落ちこぼれなんだ。役立たずの出来損ないなんだ・・・・・・」ポロポロ

提督「・・・・・・」

北上「何言ってんのさ」

吹雪「司令官も私達もそんな事全然考えてませんよ」

大鳳「でも・・・・・・」ポロポロ

提督「誰にだって得手不得手はある。大鳳は空母だ、肉弾戦は苦手なのかもしれねぇな」

大鳳「そしたら私はトレーニングの意味が」

吹雪「ありますよ!」

大鳳「!?」

吹雪「初日であの鬼トレについてきたんです! 大鳳さんの力は絶対伸びますよ!!」

北上「空母なんだし、弓矢とかで狙撃する遠距離タイプなんじゃないかな?」

大鳳「吹雪さん・・・・・・北上さん・・・・・・」

提督「それだ! 試してみよう」タッタッタッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

34 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:31:22.27 Q1IxI1jM0 34/504


提督「負傷したのが左手なのは不幸中の幸いだな」つ的

ドスッ

提督「よし、あの的狙撃してくれ」

吹雪「司令官、肝心の弓矢が無いと・・・・・・」

大鳳「大丈夫です。持っていますから」スッ

北上「それは?」

大鳳「私の武器、クロスボウです」

大鳳「行きます・・・・・・」カチャ

バシュッ

北上「当たった?」

提督「あぁ、バッチリ」ガタガタ

吹雪「ホントですか!? すごいで・・・・・・」

提督「バッチリ外れだ・・・・・・」ガタガタ 帽子に矢

吹雪北上大鳳「司令官(提督)!?」ギョッ

35 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:32:11.72 Q1IxI1jM0 35/504


提督「し、死ぬかと思った」カタカタ

大鳳「ごごご、ごめんなさいぃ!」

北上「あと数センチ下なら頭に刺さってたよ」つ帽子

吹雪「あ、ある意味すごいじゃないですか・・・・・・」(震え声)

大鳳「うぅ。私、空母なのに酷いノーコンなんです・・・・・・」ズーン

大鳳「そのせいで何をやっても失敗ばかりで・・・・・・」

提督(さて、どうしたものか・・・・・・。このままじゃ大鳳がますます落ち込んじまう。何とかあいつの長所を活かす事は・・・・・・)

北上「あのさ」

提督「ん?」

北上「ノーコンなら外さない距離まで近づけばいいんじゃないの?」

吹雪「それができたら・・・・・・あ!」

提督「あ、そうか! 大鳳の脚力を活かして相手の懐に入って・・・・・・」

吹雪「零距離射撃すれば・・・・・・!」

北上「長所を活かせるって事」ニヒヒ

大鳳「え・・・・・・え?」オドオド

提督「よし大鳳、やってみろ!」

大鳳「は、はい!」ダッ

ダダダダッ

北上「おー」

吹雪「は、早い・・・・・・!」

大鳳(懐に入って・・・・・・)ダンッ

大鳳(零距離射撃・・・・・・)ジャコン

バシュッ

大鳳「あ。当たった・・・・・・当たった!」

大鳳「やったぁぁぁっ!!」ピョンピョン

提督「やったな、大鳳!!」

吹雪「すごいです!」

北上「やるぅ」

的に矢を当てる。たったそれだけの事でしたが、それが私にはとても嬉しかったんです! 何せ、今まで何一つとして成功できなかった私が初めて何かを成功できたんですから!

36 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:33:01.15 Q1IxI1jM0 36/504


ーー
ーーーー
ーーーーーーーー

それから私は何かが吹っ切れたんでしょう、生き生きと鎮守府で生活していました。

工廠

北上「これをこうして・・・・・・と。こんなふうにしてくれない?」カリカリ

妖精「なるほどね、分かった」

大鳳改「何をしてるんですか?」

北上「あぁ、大鳳の武器を新しく創ってたんだよ」

大鳳「私の?」

北上「航空機を発艦させるあのクロスボウの他に、大鳳自身が闘うためのね。それにはあのスタイルを活かせる武器じゃないと」

大鳳「ありがとうございます、北上さん」

北上「いいって。で、大鳳は何しに来たの?」

大鳳「艦載機を数機造っていただきたくて」

北上「あぁ、確かマニュアルが何処かに・・・・・・」ガサゴソ

大鳳「へ?」

北上「はい、これ見て」つマニュアル

大鳳「わ、私が造るんですか!?」ガビーン

北上「あたしも自分の武器は自分で造ったからね」つ魚雷

大鳳「酸素魚雷ですか? 先がかなり鋭角で、なんだか鉄杭みたいですよ」

北上「まぁね。あたしの戦闘スタイルに合わせて改良してあるんだよん」

北上「ちょっと中の火薬をいじってあるのさ。並の相手なら突き立てられた瞬間、ドカンッ!! 木っ端微塵さ」ニヒヒ

大鳳「っ!?」

北上「提督がね、『自分流に改造したらそれだけ自分にあったものになる』って言ってたんだ。大鳳も造ってみなよ」

大鳳「はい」ペラッ

大鳳「・・・・・・」カチャカチャ

37 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:33:59.03 Q1IxI1jM0 37/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

大鳳「ふぅ。できた」

北上「できた?」スタスタ

大鳳「はい、何とか」

妖精「おぉ、結構造ったね」

北上「あ、はいこれ。妖精さんが造ってくれたよ」スッ

大鳳「これは? ガントレット? 随分とゴツイですね」

北上「実戦用、というか実戦の時しか使っちゃいけないよ、これ」

大鳳「えぇ!?」

北上「ネイルガンを組み込んだガントレット。大鳳のパンチの衝撃に反応して手の甲から棘が飛び出すんだって」

妖精「片手につき300本、1回で2本ずつ出るから、片手で150回まで発射できるよ」エッヘン

大鳳「あ、ありがとうございます」

妖精「さぁ、物は試し」つ案山子

大鳳「分かりました」スチャ

38 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:34:46.15 Q1IxI1jM0 38/504


大鳳「!」ダッ

ダンッ

大鳳「はぁっ!」ブン

ドムッ ドシュッ

妖精「さぁ案山子はどうなってるかな」チラ

大鳳「あ!」

北上「うわっ、胸に穴が空いてる」

大鳳「あれ? 飛び出した棘は?」

妖精「あ、貫通しちゃってる」

大鳳「えぇ!?」ギョッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

波止場

提督「帰ってきたか」

吹雪「司令かーん!」ノシ

北上「帰ったよぉ~」

大鳳「ただいま戻りましたぁ」

吹雪「今回"も"全員無傷です!」

提督「そうか、良かった。各自補給をしておくように」

北上「いやぁ、今回のMVPは大鳳だよ」

吹雪「はい! 艦載機で爆撃した後、敵旗艦を一撃で倒したんですから!!」

大鳳「いえ、お二人の力があってこそですよ」テレテレ

提督(・・・・・・一皮剥けたな、大鳳)ニッ

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39 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:35:27.80 Q1IxI1jM0 39/504


大鳳「私の話はこれくらいですね」

大和「すごいじゃないですか!」

北上「最初はこの三人で頑張ってたんだ」

吹雪「で、暫くして建造許可が出て着任したのが・・・・・・」チラ

文月「あたしぃ」ノシ

大和「文月ちゃんだったんですね」

大鳳「文月ちゃんが来てから大変だったんです」

北上「あぁ、確かに」

大和(こんな小さな子ですもの、提督も色々と教えたり世話したりで大変だったのでしょうか?)

吹雪「提督がものすごい子供嫌いで大変だったんですよ!!」プンプン

大和「えぇ!?」ガビーン

文月「えっとね~」

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ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー

文月「あたし、文月って言うの。よろしくぅ~」ニパァ

提督「」

吹雪「私、初期艦の吹雪です、よろしくお願いします!」

北上「雷巡北上だよ、まぁよろしくー」

大鳳「航空母艦大鳳です」

提督「」

吹雪「ちょっと司令官!?」ユサユサ

提督「じょ、嬢ちゃん迷子か? 親御さん何処?」カタカタ

文月「ふみゅ?」キョトン

吹雪「うちに新しく所属した艦娘ですよ、睦月型駆逐艦の文月ちゃんですよ!!」

提督「そ、そうか・・・・・・。俺はこの鎮守府の提督の海原だ、よろしく」ガタガタ

文月「よろしくぅ」

40 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:36:22.34 Q1IxI1jM0 40/504


提督「み、皆で鎮守府案内してやれ」クル

文月「司令官はぁ?」

提督「司令官は忙しいの! 後で執務室に来るように!!」ダッ

吹雪「ちょっ、司令官!?」アセアセ

文月「あたし嫌われたぁ・・・・・・?」ウルウル

北上「そ、そんなわけないじゃん」アセアセ

大鳳「そうですよ」アセアセ

吹雪「と、とりあえず鎮守府案内しますね」スタスタ

文月「うん~」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

食堂

文月「ふみゅ~」クテー

北上「疲れちゃったね、文月」スタスタ

大鳳「仕方ないですよ、初日に筆記試験は」

北上「はい、シチュー作ったから」コト

文月「ありがとぉ」カチャ

北上「大鳳もね」コト

大鳳「ありがとうございます」

文月「司令官はぁ?」モグモグ

大鳳「執務室ですよ」モグモグ

北上「吹雪も手伝っているし、もう終わるかねぇ」

大鳳「うーん。北上さん、胡椒取ってもらっていいですか?」

北上「おー、香辛料(スパイス)の神が降臨なされた」つ胡椒

文月「・・・・・・」スッ

41 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:39:59.08 Q1IxI1jM0 41/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

執務室

吹雪「司令官」

提督「・・・・・・何だ?」カリカリ

吹雪「今日の文月ちゃんへの態度酷すぎませんか?」

提督「・・・・・・」カリカリ

吹雪「司令官、ひょっとして子供嫌いなんですか」

提督「・・・・・・まぁな」カリカリ

吹雪「それなら私も子供ですよ?」

提督「お前は子供でも聞き分けがある。聞き分けねぇ子供は嫌いなんだ。すぐ泣くからな」カリカリ

吹雪「色々と極論すぎませんか? 子供は最初は聞き分けないものですよ」

提督「あん?」カリッ

吹雪「そのうちに聞き分けや我慢ができるようになるんです。それに、艦娘の精神年齢は司令官が思うよりかなり高いですよ」

提督「そうか。明日から考えてみるか」カリカリ

吹雪「はい!」

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執務室前 廊下

文月「司令官・・・・・・」

トコトコ・・・・・・

ーー
ーーーー
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42 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:40:42.30 Q1IxI1jM0 42/504


翌日

グラウンド

提督「始め!」

吹雪「いきますよ、文月ちゃん」

文月「ほわぁ!」ダッ

吹雪「やぁっ!」ブン

文月「!」サッ

吹雪「なっ!? 消えた?」キョロキョロ

文月「やぁっ!」

吹雪「!?」ビクッ

ぺチン・・・・・・

文月「このこのこのぉ~!」グルグル

ポカポカポカポカ・・・・・・

吹雪「痛っ、痛たたた!? こ、降参ですぅ!!」

提督「しょ、勝者、文月!」

文月「やったぁぁぁ」ピョンピョン

北上「何なの、あの試合」

大鳳「すごく微笑ましいですね」

提督「まぁ最初はあれでもいいさ」

提督(攻撃は別として、あの小さな身体を活かして一瞬で相手の懐に入るか・・・・・・。意外とセンスはあるのかもしれねぇ)

ーー
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43 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:41:35.00 Q1IxI1jM0 43/504


教室

提督「・・・・・・では、ここまでの復習を兼ねて確認テストをします。筆記用具以外は机の下に」

一同「」ガサゴソ

提督「1問2点、10点満点だ。途中式もちゃんと書くように」スッ スッ スッ スッ

提督「時間は30分間だ。終わって見直しが済んだら提出してもいいからな。では始め」タイマーカチッ

吹雪「」カリカリ

北上「」カリカリ

大鳳「」カリカリ

文月「」カリカリ

ーー
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ーーーーーー

提督(15分経過。ぼちぼち提出者が出るかな)

文月「司令官、終わったよぉ」スッ

提督「お、早かったな」ウケトリ

提督(意外だな、てっきり吹雪かと思っていたが・・・・・・・。って、なっ!?)ギョッ

文月「?」

提督「文月、全問正解だ」

吹雪北上大鳳「えぇ!?」ガビーン

文月「えへへ、司令官の説明がわかりやすかったから」テレテレ

提督(途中式も必要最小限だが要点はきちんと書いてある。こいつ才能の塊か!?)ゾワッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「お前ら風呂入ってこい。飯作っといてやる」

文月「司令官はお風呂入らないの?」

提督「今は入りません。俺まで入ったら誰が飯作るんだ?」

文月「司令官一緒に入ろうよぉ」クイクイ

吹雪北上大鳳「なっ!?////」ビクッ

44 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:42:30.69 Q1IxI1jM0 44/504


提督「話聞いてたか、吹雪達が一緒に入るだろ」

文月「やだやだやだ~!」ギューッ

提督「幼稚園児かお前は!? いいから離れろ!!」ググッ

文月「やー!」ギューッ

提督「こ・・・・・・の! おいお前ら、剥がすの手伝ってくれ!」

吹雪「は、はい!」タッタッタッ

ーーー
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数週間後

執務室

吹雪「司令官」

提督「ん?」ペラッ

吹雪「折角の休日なんですから、司令官も何処か出かけたらどうですか?」

提督「行く宛ねぇよ」ペラッ

吹雪「もう! 文月ちゃんもほぼレベル90代後半だし、私達にはたっぷり休日くれるのに何で司令官は執務室に籠るんですか!?」

提督「それが提督だからだ」ペラッ

吹雪「ほら、こんないいお天気なんですから、地学の本読んでないで散歩でもしてきたらどうですか?」つ提督の私服

提督「悲しいなぁ、吹雪はそんなに俺をここから追い出してぇのか?」パタン

吹雪「いいから早く」セカセカ

提督「はいはい、分かりました。じゃあ、暫く散歩してくるから、留守番頼むぜ」スッ

吹雪「はい!」

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ーーーーーー

正門

提督「ったく、吹雪のヤツめ」スタスタ

提督「ま、久々に街を散策してみるか。一人で自由気ままに散歩するのも久々だなぁ」スタスタ

45 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:43:20.16 Q1IxI1jM0 45/504








??「司令かーん、待って待ってぇ」トコトコ









46 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:43:56.73 Q1IxI1jM0 46/504


提督「ん?」クル

文月改「えへへ、あたしも一緒に行くぅ」テヲギューッ

提督「」

文月「行こ、司令官?」ニパァ

提督「お、おう・・・・・・」ズーン

ーー
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ーーーーーー

街中

文月「司令官暑いねぇ」パタパタ

提督「まだ8月だしな」パタパタ

提督(おまけに都会特有のこの暑さだよ。田舎の太陽が頑張っていますって感じの暑さじゃなくて、なんつーか、都市熱でムカムカするような蒸し暑さ。屋内行かねぇと文月が熱中症になっちまうな)キョロキョロ

文月「司令官」クイクイ

提督「ん?」

文月「アイス食べたい」

提督(あぁ、アイスか! それなら多少涼まるし、店内なら冷房も効いてるだろ)

提督「分かった」

文月「やったぁ。じゃあ、あそこ行こぉ?」スッ

提督「ん? 何処だ・・・・・・」クル

47 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:44:44.64 Q1IxI1jM0 47/504


某お高いアイス店

提督「」

文月「? 司令官?」

提督「文月、あそこだけは駄目」蒼白

文月「何でぇ?」

提督「高いから」

文月「ふみゅ~」ショボン

提督「うぐっ・・・・・・(頼むからそんな顔するなよ、俺が悪いみてぇじゃねぇか)」

提督「あぁ、もう! 分かった、あそこ行くか」

文月「ホント?」キラキラ

提督「お、おう」


ーー
ーーー

提督「好きなヤツ一つ選びな」

文月「えっと」

店員「いらっしゃいませ! 当店ではただいまキャンペーン中で、お一人様お二つで、もう一つアイスが選べます!」

文月「じゃあ、三つ食べられるのぉ?」キラキラ

提督(それ何か店違くね? いや、突っ込んだら負けか)

文月「司令官は何にする?」

提督「俺は一つでいい。文月は三つ選びな」(震え声)

文月「じゃあ、これとこれと・・・・・・あとこれ」

提督(躊躇いなく選びやがった!? 文月意外と策士か!?)ガビーン

48 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:45:27.24 Q1IxI1jM0 48/504



ーー
ーーー

文月「おーいひぃ~」ストロベリー&バニラ&キャラメル

提督「よ、良かったな」ラムレーズン

文月「司令官のそれ何?」

提督「ラムレーズン。干しぶどうが入ってんだよ」

文月「一口頂戴」

提督「ん」スッ

文月「はむっ・・・・・・何か変な味ぃ」

提督「干しぶどうをラム酒漬けにしてあるからな。少量酒が入ってるんだよ」パクッ

文月「あたしのも。はい、アーン」スッ

提督「別に要らねぇよ」

文月「あたしのアイス要らない?」ウルウル

提督「っ!? 分かったからその目をやめろ! ・・・・・・あー」アーン

文月「! はいアーン」スッ

提督「あむっ・・・・・・うん、美味い。久々に食べたなぁストロベリー味」

文月「アイス美味しいね」パクッ

提督「・・・・・・あぁ」パクッ

提督(この屈託のねぇ笑顔・・・・・・。こんないい子を避けてたんだな、俺は)

ーー
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ーーーーーー

アリガトウゴザイマシター

文月「司令官ありがとぉ」ニパァ

提督「・・・・・・構わねぇよ」

文月「? どうしたのぉ?」キョトン

提督「いや、何でもねぇ」

文月「お土産買ってこ~」クイクイ

提督「そうだな、あいつらに何か買ってくか」スタスタ

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49 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:46:14.07 Q1IxI1jM0 49/504


ショッピングモール

提督「さて、あいつら何がいいんだか」

文月「北上ちゃんはアクション系の漫画、吹雪ちゃんは雑誌、大鳳ちゃんはランニングシューズが欲しいって言ってたよぉ」

提督「マジで? ありがとう文月」ナデナデ

文月「えへへ、司令官に褒められたぁ」ニパァ

提督「一番近いのはシューズ店か」スタスタ

文月「待って待ってぇ」トコトコ

ーー
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提督(さて、三人の分買えたな。他にもチョークの補充分も買ったし)

提督「」チラ

文月「」(/◎\)ゴクゴク

提督「・・・・・・文月、少しここで待っててくれ」スタスタ

文月「はぁい」プハァ

文月「あ、ジュース無くなっちゃった」

「お嬢ちゃん一人?」

文月「? おじさん誰?」

「おじさんがいい物あげるよ。一緒においで」

文月「司令官に待っててって言われたのぉ」

「あぁ、司令官ならおじさんと一緒にいるよ、連れて行ってあげよう」ガシッ

文月「! おじさん離してよぉ」ググッ

「大丈夫だから、おじさんと行こう、な?」グイ

文月「やー!! 離してよぉ!!」ググッ

50 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:46:53.02 Q1IxI1jM0 50/504


ガシッ

「なっ!?」ギョッ

提督「うちの娘に何か用か?」

「な、何だてめぇは!?」

提督「この子の保護者だ。離してもらおうか」

「何が保護者だ、引っ込んでろ!」ブン

提督「・・・・・・」パシッ

提督「ふんっ」グイ

「!?」

提督「よっ!」一本背負い

ドサッ

「ぐはっ!?」

文月「ほわぁ・・・・・・」

提督「大丈夫か、文月?」チラ

文月「うんー、ありがとぉ司令官」

警官「そこ、何の騒ぎだ!」タッタッタッ

提督「ん?」

文月「お巡りさんだぁ」

警官「何だね君は、こんな所で喧嘩とは」

提督「・・・・・・」つ証明書

警官「っ!? ち、鎮守府の方でしたか! これは大変失礼を!」ビシッ

提督「そこのおっさん、幼女誘拐の未遂犯だから」スッ

警官「そうでしたか、ご協力感謝します!」ビシッ

提督「んじゃ、これで失礼」スタスタ

文月「司令官待ってぇ」トコトコ

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51 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:47:24.88 Q1IxI1jM0 51/504


文月「司令官さっき何してたのぉ?」

提督「お前にこれを買ってた」スッ

文月「? 開けてもいい?」

提督「あぁ」

文月「ほわぁ」キラキラ

司令官があたしにきれいなヘアゴム買ってくれたんだぁ。赤い小さなビーズのかわいいヘアゴムだったの

提督「安モンで悪ぃな。今日俺の散歩に付き合ってくれたお礼だ」

文月「ひっ・・・・・・ひっ・・・・・・」ポロポロ

提督「な、泣く程嫌だったのか!?」ガビーン

文月「違うの、違うのぉ」グシグシ

文月「さっきのおじさんが怖くて、泣くの我慢してたの」フルフル

提督「? 別に泣きゃいいじゃねぇか」

文月「そしたら司令官、あたしの事嫌いになるから・・・・・・」ジワッ

提督「・・・・・・どういう事だ?」

52 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:48:05.60 Q1IxI1jM0 52/504


文月「司令官、子供は泣くから嫌いなんでしょ?」

提督「っ!?」

文月「だから、泣かないように我慢してたの。司令官が嫌いにならないように」

提督「つまり、俺が子供は泣くから嫌いだって言ってたから、泣かねぇように今まで我慢してた。でも、さっきのが思ったより怖くて、ほっとした瞬間涙が止まらなくなったって事か・・・・・・?」

文月「うん・・・・・・。こんなに優しくされて・・・・・・もう我慢できないよぉ」ポロポロ

提督「」ダキッ

文月「司令・・・・・・官・・・・・・?」

提督「ごめんな文月、辛い思いさせて」ナデナデ

提督「俺は聞き分けねぇ子供が苦手なだけで、文月みたいないい子は大好きだからな。だから、泣きたい時は泣いていいよ」ナデナデ

文月「司令官、司令官・・・・・・!」ギューッ

文月「ふぇぇぇぇぇん!!」ギューッ

提督「よしよし」ナデナデ


ーー
ーーー

文月「司令官、肩車して?」クイクイ

提督「おう」ヒョイ

文月「ほわぁ、高い高~い!」キャッキャッ

提督「あ、危ねぇから暴れんな!」オロオロ

文月「はぁい」ギューッ

提督「聞き分けがあってよろしい」スタスタ

文月「司令官」スッ

提督「ん?」スタスタ

文月「大好きぃ」ヒソッ

提督「はは、あぁ俺も」ニッ

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53 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:48:40.10 Q1IxI1jM0 53/504


文月「こんな感じぃ」

大和「何か・・・・・・すごくいい話ですね」

吹雪「司令官もそれから文月ちゃんに優しくなって、ほっとしましたよ」

北上「まさか文月だけアイス奢ってもらってたなんて」クッ

大鳳「いいなぁ」

吹雪「お二人は何を羨ましがっているんですか」アキレ

文月「司令官にもらったヘアゴム、今も付けてるよぉ」ホラ

大和「本当、とっても綺麗・・・・・・」

利根「ふー、やっと終わった」スタスタ

吹雪「あ、利根さん。どうもありがとうございます」イスヒク

利根「すまんの、吹雪。で、今何の話をしておるんじゃ?」ガタッ

大鳳「ちょうど皆が着任した時の話をしていたんです」

北上「最後の利根っちで終わりだよ」

利根「吾輩の話か? そうじゃなぁ」

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54 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:49:13.56 Q1IxI1jM0 54/504


吾輩の提督の第一印象はなかなかであった。何せ、開口一番こう言ったんじゃからな

利根「吾輩が利根である! 吾輩が艦隊に加わる以上、もう索敵の心配はないぞ!」ビシッ

提督「何かガキが古風な喋り方してんぞ、おい!」ガビーン

吹雪「何言ってるんですか!? 利根型重巡洋艦の一番艦、利根さんですよ!」

北上「見た目は子供、それでいて古風な口調。正に『のじゃロリ』だよ」

提督「なるほど憶えとくよ、のじゃロリ」メモメモ

利根「あははは、なかなか面白い提督じゃな! じゃが、吾輩はロリではないぞ」

提督「まぁな、提督の海原だ。よろしく」

吹雪「初期艦の吹雪です、よろしくお願いします」

北上「雷巡北上だよ、よろしくー」

大鳳「装甲空母、大鳳です。よろしくお願いします」

文月「あたし文月って言うの、よろしくぅ」

55 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:49:52.38 Q1IxI1jM0 55/504


提督「んじゃ、皆は利n・・・・・・じゃなくてのじゃロリに鎮守府を案内してやれ」

利根「何故言い替えるのじゃ、吾輩はロリではないぞ!!」クワッ

提督「どっからどう見てもロリじゃねぇか!」

利根「な、二度ならず三度も呼ぶか!」

提督「何回も言ってやらァ、ロリ!」

利根「やかましいわ、童(わっぱ)!」

提督「誰が童だ! もうそろそろ二十歳(はたち)だ、バーカ!!」

利根「まだ童ではないか、アホゥ!!」

ワーワーギャーギャー

艦娘「・・・・・・」

艦娘(子供の喧嘩じゃん、これ・・・・・・)


ーー
ーーー

提督「いやぁ、久々に楽しい口喧嘩ができたぜ」アハハハ

利根「確かに。お主と話しておると実に愉快じゃ」アハハハ

提督「まぁ、改めてよろしくな」アクシュ

利根「うむ。こちらこそよろしく頼むぞ」アクシュ

艦娘(何か和解&意気投合してる!?)イツノマニ・・・・・・

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56 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:50:27.58 Q1IxI1jM0 56/504


利根「よもや着任初日に筆記試験があるとはのぅ」

大鳳「驚きますよね」

文月「利根ちゃんどうだったー?」

利根「社会はできたんじゃが、英語がイマイチじゃったな」

吹雪「皆さーん、ご飯できましたよー」つお盆

北上「お、待ってました」

利根「ん? ここでは皆が分担で料理しておるのか?」

吹雪「はい、今日は私が当番なんです!」ゴト

文月「因みに利根ちゃんは一ヶ月後からだよ~」

利根「何と!? もう吾輩の番も決まっておるのか!?」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

提督「うーん、今日は一日中雨か。座学しかできねぇなぁ」カリカリ

利根「何じゃ、晴れておれば何をしておったのじゃ?」

提督「地獄の鬼トレーニング」カリカリ

利根「吹雪達が昨日言っておったやつか」

提督「良かったな利根、暫くお前に地獄は来なさそうだ」カリッ

利根「できれば一生来てほしくないがの」

提督「今日は古典だ、得意分野だろ?」

利根「まぁ、英語に比べたらのぅ」

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57 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:51:02.98 Q1IxI1jM0 57/504


教室

提督「では、この古文を現代語訳してもらう」カツカツ

吹雪(これは少し難しいなぁ)

文月「分かんないよぉ」

大鳳(も、もう考えるの・・・・・・辞めよう)チーン

利根「ふむ。確かこの単語は・・・・・・」カリカリ

北上「すーっ・・・・・・すーっ・・・・・・」zzz

提督「」ビキッ

艦娘「っ!!」ゾクッ

利根「起きんか北上」ユサユサ

提督「ではとりあえず、余裕綽々なやつがいるし」つチョーク

提督「そいつに聞いてみよう」ブン

バシィィッッッ!!

北上「イダァァァァァッッッ!? 何すんのさ!!」ガバッ

提督「おはよう、北上君。皆が考えている中居眠りとは随分余裕ではないか」ビキビキ

北上「あ・・・・・・(て、提督、血管が・・・・・・)」タラタラ

提督「いや別に居眠りしても構いません、構いませんけど、これくらいの問題にあっさり答えてもらわないと示しが付かないので・・・・・・ねぇ?」ビッキビキ

北上「あ、あははは・・・・・・」ダラダラ

北上(ヤバイヤバイ、朝までアニメ見てて一睡もしてないなんて言ったら・・・・・・)ダラダラ

提督「ほら、答えて・・・・・・」ゴゴゴゴ

北上(殺される・・・・・・!!)ガタガタ

58 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:51:37.80 Q1IxI1jM0 58/504


提督「はぁ。まぁ大方、徹夜でアニメ鑑賞でもしてたんだろ」マッタク

北上「あ、あれ? 怒らない・・・・・・の?」ビクビク

提督「一週間、アニメと漫画とゲーム禁止な」

北上「そんな殺生な!?」ガビーン

北上「て、提督ー、どうかご慈悲をー」ビエエ

提督「(完全に中毒一歩手前じゃねぇか、大丈夫かよ)・・・・・・明日の座学の振る舞いによっては、返してやらん事もねぇ」

北上「あ、ありがとうございます・・・・・・」ズビビーッ

吹雪(北上さん、キャラが変わり過ぎです)

提督「さて、俺らがこんな茶番してる間に他の奴らはちゃーんと考えたよな?」ニッッッコリ

艦娘「」

ーー
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ーーーーーー

59 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:52:19.01 Q1IxI1jM0 59/504


翌日

グラウンド

提督「どうだ、鬼トレの感想は?」

利根「正に地獄、鬼じゃな」

提督「次は組み手だ」

大鳳「では、私が利根さんと組みます」スッ

利根「御手柔らかにな」スッ

提督「始め!」

大鳳「はぁっ!」ダッ

利根「!?(この一瞬で吾輩の懐に!? 何という脚力じゃ!)」バッ

大鳳(!? 後ろに跳んだ!?)

利根「さて、吾輩も攻めるかの!」ダッ

ブンッ

大鳳「っ!?」サッ

利根「ほぉ、これを避けるか。なら!!」バッ

ブンブンブン・・・・・・

大鳳「さ、逆立ち回転蹴りっ!?」サッサッサッ

北上「へぇ、蹴り技主体かぁ」

文月「利根ちゃんかっこいいー」

吹雪「すごい・・・・・・」

提督(長いリーチを活かした回転蹴り。当然遠心力も加わって当たればかなり重い蹴りだな。それにしても・・・・・・)

提督「・・・・・・体操服で良かった」ボソッ

吹雪「え?」

提督「・・・・・・何でもねぇ」

60 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:53:08.62 Q1IxI1jM0 60/504


利根「はぁっ!」ブン

大鳳「っ!? 回転からの踵落とし!?」サッ

ズドォォォン

大鳳「あぅ!?(しまった、体制が!)」ガクッ

利根「隙ありじゃ!」バッ

ピタッ

大鳳「う、降参です」

提督「そこまで、勝者利根!」

利根「ふぅ、なかなか疲れたのぅ」

大鳳「すごいです利根さん!」

吹雪「はい!」

北上「まさか吹雪と文月の他に打撃タイプが着任するなんてねぇ」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

そんな日々に慣れた一週間後の事じゃ。吾輩は初出撃の後、提督に考えを打ち明けたのじゃ。

波止場

利根改「のぅ提督」

提督「ん?」

利根「今日出撃して分かったんじゃがのぅ」

利根「吾輩を対空訓練してくれぬか?」

提督「何を藪から棒に。どういう事だ?」

利根「吾輩は索敵をしようにもカタパルトが・・・・・・の。直しても大鳳が索敵をしてくれておる。ならば攻めを任せて吾輩は防空に徹しようかと思ったのじゃ」

提督「なる程ね。で、具体的にどうするつもりだ?」

利根「うむ。とりあえず対空射撃の練習をさせてはくれぬか」

提督「よし。じゃあ」スッ

提督「これを砲撃で撃ち落とせ」つフリスビー

利根「分かった」ジャキ

提督「よっと」ブン

利根「!」ドォン

バシャァァン

提督「外れだ」

利根「何の!!」ジャキ

ーー
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ーーーーーー

61 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:53:37.67 Q1IxI1jM0 61/504


利根「ば、馬鹿な・・・・・・カタパルトだけでなく砲撃まで不調じゃと・・・・・・!?」ズーン

提督「全く、貴重な火薬がパァじゃねぇか」

利根「面目ない・・・・・・」ショボン

提督「いっそ、自分をカタパルトにして自分で砲弾投げた方が早いんじゃねぇか?」

利根「吾輩は重巡洋艦じゃ、そんな事できん。戦艦ならまだ分からんが」スッ

利根「じゃが、自分で投げるのはありじゃな」つ小石

提督「またやるか?」つフリスビー

利根「頼む」ジャラ

提督「よっと」ブン

利根「そりゃ!」ブンッ

62 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:54:21.21 Q1IxI1jM0 62/504


ズドドドドッッッ

提督「え!? 当たったぞ!?」ギョッ

利根「ふむ、こっちのカタパルトは絶好調じゃな」ニヤリ

提督「すげぇ、即席の散弾銃ができたじゃねぇか!!」

利根「弾薬は要らんぞ、ただ小さめの弾があれば良い」

提督「早速妖精さんと話してみよう、工廠に行こうぜ」スタスタ

利根「うむ!」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

利根「・・・・・・」トントン

北上「随分手際いいね、料理の経験でもあるの?」

利根「まさか、吾輩は一ヶ月前に建造されたばかりじゃぞ」コトコト

利根「吾輩の当番である以上半端な物は出さんようにせんとな」カチャカチャ

北上「まさか一ヶ月間勉強したの?」

利根「まぁの」ジュー

ーー
ーーーー
ーーーーーー

利根「さぁ、食べるがよいぞ!!」

ドォォォン

艦娘「いただきまーす!!」

吹雪「うわ、何これ!?」モグモグ

文月「おいひぃよぉ」パクパク

大鳳「はい、はい!!」ガツガツバクバク

北上「大鳳がっつきすぎだよ」ムシャムシャ

利根「良かった、口に合ったようじゃな」

63 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:54:56.57 Q1IxI1jM0 63/504


提督「うわ、何じゃこりゃ!?」ギョッ

利根「おぉ提督、お主も食べて感想を聞かせてくれぬか」

提督「いただきます」パクッ

提督「うわマジか、すっげぇうめぇ!」ガツガツ

提督「何だお前、レストランにでもいたのか?」

利根「まさか、勉強した料理を何とか拵えただけじゃよ」パクッ

提督(一ヶ月の勉強でこんな上手く作れるもんか!? 文月といい、こいつといい、ここには何かしらの才能がある奴ばっかだな)

ーー
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64 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:55:42.41 Q1IxI1jM0 64/504


利根「提督よ、少しよいかの?」

提督「ん? あぁ利根、丁度いいとこに。お前にプレゼントがあるぜ」

利根「何じゃ?」

提督「おめでとう利根、遂に改二になれるじゃねぇか」つ設計図

利根「おぉ、早速後で改修してくるかのぅ」

提督「で、そっちは何の用だ?」

利根「吾輩、欲しい物があるのじゃが」

提督「欲しい物?」

利根「うむ。料理本を何冊か買いたいのじゃ」

提督「料理本?」

利根「あの日以来、何やら料理する事が楽しくてのぅ」

提督「何だ、そういう事ならこっちも歓迎だぜ」

提督「着任時に言ったように、俺の目標はお前らが社会で生きていけるようにする事だ。間違いなくそれはお前の役に立つぜ」ニッ

利根「すまんの、提督」

提督「何なら暫く名のある料理人の下で修行するか?」ニヤニヤ

利根「もし戦いが終結したら、それも良いかもしれぬな」ニヤリ

提督「まぁいいさ。本は俺が何冊か買っとく」

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ーーーーーー

提督「おい利根、本が届いたぜ」つ段ボール箱

利根改二「おぉ、感謝するぞ提督よ」ウケトリ

利根「む?」

提督「ん? どうした?」

利根「どれも中華料理の本ばかりではないか。何故じゃ?」

提督「・・・・・・何となく」b

利根「どういう意味じゃ!?」クワッ

提督「あ、そうだ。それ作る時に頼みがあるんだけどよ」

利根「ん? 何じゃ?」

ーー
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65 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:56:16.10 Q1IxI1jM0 65/504


その晩

吹雪「楽しみだなぁ」ワクワク

文月「お腹空いたぁ」グー

大鳳「今日は利根さんですからね」ワクワク

北上「早く食べたいねぇ」

提督「今日は中華料理らしいからな」ニマニマ

??「さぁできたぞ」スタスタ

吹雪「待ってまし・・・・・・た?」ポカーン

文月「ほわぁ・・・・・・」ポー

大鳳「え?」ポカーン

北上「・・・・・・どういう事?」ポカーン

提督「おお、今日もまた美味そうだなぁ」

利根「と、当然じゃ。わ、吾輩の自信作なのじゃからな・・・・・・////」E:赤チャイナドレス(スリット入り) ・シニヨン

艦娘(どうしよう、すっごく似合ってる。寧ろ似合い過ぎてて違和感ない・・・・・・)ポカーン

66 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:56:48.09 Q1IxI1jM0 66/504


文月「利根ちゃん可愛い~」

利根「わ、吾輩が可愛いじゃと!? な、な、何を言うか////」カァァ

北上「いやいや利根っち、語尾に『アル』を付けないと」ニヤニヤ

利根「どういう意味じゃ!?」クワッ

提督「いやぁ、利根を弄れて文字通りのメシウマだわ」モグモグ

利根「く、屈辱じゃ! 何故吾輩がこんな服装を・・・・・・!」

提督「いや、普段の色違いみたいなもんだろ」

利根「!?」ハッ

吹雪「今気づいたんですか!?」

大鳳「服装はともかく、やっぱり美味しいです!!」ガツガツバクバク

文月「このチャーハン美味しい」モキュモキュ

北上「あたしも料理教えてよ」ムシャムシャ

利根「うむ、構わんぞ」

提督「多分軍でも料理の腕は三指に入るんじゃねぇか?」

利根「何を言う。吾輩より上なぞいくらでもおる」

利根「もしそんな人が着任したら共に料理をしたいものじゃなぁ」

提督「・・・・・・」

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67 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:57:37.67 Q1IxI1jM0 67/504


利根「吾輩の話はこんなとこじゃな」

北上(尚、褒められて満更でもないから、あのチャイナドレスを大事にしまってある事は内緒であった)

大和「皆さんの話を聞く限り、提督は皆に慕われておいでなのですね」シミジミ

吹雪「大和さん、明日からの鬼トレ頑張りましょうね」

大和「ふ、不安です・・・・・・」

文月「大丈夫だよぉ」

北上「暫くしたら慣れるから」

大和「!?」ギョッ

大鳳「そういえば今何時でしょうか?」

提督「23時59分だ。部屋に戻る時間を一時間は軽くオーバーしてるなぁ」

大和「あ、あの・・・・・・」アセアセ

北上「そろそろ部屋に戻らないとね」

吹雪「うちは22時までに部屋に戻らないといけないんです」

利根「提督に見つかったら長々と説教が待っておる。見つからんうちに早く戻らんとな」

文月「ほわぁ、司令官」

北上「そう、提督に見つか・・・・・・」クル

利根「ん? どうした北上、何を固まって・・・・・・」クル

提督「よぉお前ら。随分楽しそうじゃねぇか」ピキッ

艦娘「」

68 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:58:23.72 Q1IxI1jM0 68/504


吹雪「あ、あの、司令官、これはその・・・・・・」

提督「まぁ大和は規則を知らなかったんだ、今回は見逃そう。部屋に戻れ」

大和「は、はいぃ!!」サッ

大和「お、お先に失礼します」ソロソロ

提督「さて、お前ら・・・・・・常日頃から口酸っぱく注意してるよな、『明日の行動に支障が出ない程度なら起きててもいいから、遅くとも22時には部屋に戻っていろ』って」ビキビキ

艦娘「っ!!」ガタガタ

提督「まぁ、そこに正座したまえ。夜更かししたいなら俺も付き合おう」

艦娘(オワタ・・・・・・)チーン

提督「さぁ、楽しい楽しい夜戦(説教)開始と行こうじゃないか、なぁ?」ニッッッコリ

艦娘「ヒェェェ」ガタガタ

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69 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 20:59:01.84 Q1IxI1jM0 69/504


翌日

執務室

ガチャ

大和「失礼します。おはようございます提督」

提督「おはようさん」ゲッソリ

吹雪「お、おはようございます、大和さん・・・・・・」ゲッソリ

北上「い、いい朝だねぇ・・・・・・」ゲッソリ

大鳳「あは、あははは・・・・・・」ゲッソリ

文月「スゥー・・・・・・スゥー・・・・・・」zzz

利根「よ、よく眠れたか大和よ?」ゲッソリ

大和「み、皆さんどうされたのですか!?」ギョッ

提督「夜更かしの説教さ、二、三時間ガミガミ、クドクド、イビイビと説教した後朝まで全員で立ってたんだよ」フワァァ

大和「ふ、文月ちゃん寝てますけど」

吹雪「た、立ってればいいんですよ・・・・・・」

北上「立ち寝もありだよ・・・・・・」

提督「ったく、ホント器用な奴・・・・・・」

大鳳「ですが何も提督まで付き合う事無いですよ・・・・・・」

大和「えぇ!?」ギョッ

提督「馬鹿言え、お前らにだけ辛い思いはさせねぇよ。お前らに罰を与えて俺も連帯だ」

吹雪「意味が分かりませんよ・・・・・・」

提督「うー、腹減ったぁ」

大和「で、でしたら大和が何か作ります!」

提督「大和が?」

大和「はい、お任せ下さい」タッタッタッ

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70 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:00:12.61 Q1IxI1jM0 70/504


大和「どうぞ召しあがって下さい」ニコッ

艦娘「い、いただきます・・・・・・」

大鳳「ズズッ・・・・・・っ!? このスープ美味しい!!」

文月「サンドイッチも~」モキュモキュ

吹雪「はぅぅ、パンケーキのシロップの甘さが染み渡るぅぅ」ホッコリ

利根「うむ、疲れた朝はお茶漬けに限る! 梅干しの酸味が最高じゃ!」サラサラ

北上「年寄りくさいよ、利根っち」つふりかけご飯

提督「うーん」ムシャムシャ

大和「? どうしました提督? まさか、お口に合いませんでしたか?」

提督「いや、めちゃくちゃ美味いよ。ただ・・・・・・」ゴクッ

大和「? ただ?」

提督「何でお前、皆の好きな朝食が分かったんだ?」

吹雪「! そういえば話した事無いですよね!?」

大和「何でと言われましても・・・・・・考えるより先に身体が動いていましたので」

提督「・・・・・・」

提督(俺が朝は米派でおにぎり。それぞれ『塩にぎり』と『おかか』と『鮭』・・・・・・。この三つしか食えない事も分かったのか・・・・・・!?)ゾッ

利根(ふむ、吾輩のお茶漬けのお湯の温度、ふりかけの量・・・・・・全て絶妙な具合じゃな)

北上(あたしが玉子味のふりかけご飯が大好物って何で分かったんだろう?)

吹雪(私がパンケーキ好きっていつ言ったのかな?)

文月「レタスがシャキシャキしておぃひぃ」ホッコリ

大鳳「文月ちゃん、私にもサンドイッチください」

文月「はい」スッ

大鳳「ありがとうございます」シャクシャク

大鳳(中からシャキシャキのレタスやトロトロの半熟卵・・・・・・アクセントの胡椒も絶妙ですぅ)ホッコリ

艦娘提督(大和恐るべし・・・・・・)ゴクッ

大和「?」キョトン

71 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:03:27.00 Q1IxI1jM0 71/504


ーー
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ーーーーーー

執務室

提督「大和、鬼トレの話は聞いたか?」カリカリ

大和「はい、皆さんからお聞きしました」

提督「言っとくけど最初は本当に地獄だからな。慣れるまで大変だぜ」カリカリ

大和「戦艦の艦娘として着任した以上、どのような訓練にも取り組む所存です」

提督「随分な心がけだな、流石は日本最強の艦娘だ」カリッ

大和「そんな、最強だなんて////」ポッ

提督「時間か・・・・・・・。昼飯済ましたら13時までに体操服来てグラウンド集合な」

大和「はい」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「よぉし、皆お待ちかねのトレーニングを開始する!!」教官モード

大和「・・・・・・」ポカーン

艦娘(もうお決まりのパターンだ、これ・・・・・・)アキレ

提督「準備体操の後、腕立て伏せと腹筋、背筋、スクワットを200回、グラウンド10週だ、始め!!」

大和「っ・・・・・・っ・・・・・・」ストレッチ中

艦娘「」ジーッ

文月「? どうしたのぉ?」

大和「? どうかしましたか、皆さん?」ドォォォン

艦娘「くっ・・・・・・」ペターン

文月「大和ちゃん、おっきいね~」

大和「? 何がですか?」キョトン

文月「お胸~」

大和「はぇっ!?////」ボンッ

72 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:04:11.39 Q1IxI1jM0 72/504


吹雪(私と文月ちゃんは成長すれば何とかなるかも・・・・・・)

北上「確かに皆より大きいよねぇ」ジーッ

大鳳「ひ、貧乳はステータスだ、希少価値だ・・・・・・・」ガタガタ

利根「流石は戦艦、立派なモノを持っておるのぅ」

大和「あ、あの、皆さん?////」ムネカクシ

提督「ボサっとしてんじゃねぇ、さっさとやれ!!」背筋中

艦娘「は、はいぃ!!」ビクッ

ーー
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ーーーーーー

大和「はっはっ、ふっふっ、はっはっ、ふっふっ・・・・・・」タッタッタッ

提督(うーん、戦艦だから基礎体力はあるのか。初めてでこれ程食いついてくるとは)タッタッタッ

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大和「はぁっ、はぁっ・・・・・・」ゼーッゼーッ

提督「最初っから無理すんなよ?」

吹雪「それにしても初めてで一周も遅れないなんて、すごいですよ」

大和「あの、提督・・・・・・」

提督「ん?」キョウカントヨベ、キョウカント

大和「あ、あの・・・・・・非常に申しにくい事なのですが・・・・・・////」モジモジ

提督「何だよ」

73 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:04:59.64 Q1IxI1jM0 73/504


大和「は、走る時、揺れるんです。どうしたらいいでしょうか?////」カァァ

艦娘「嫌味かぁぁぁぁ!!」クワッ

大和「っ!?」ビクッ

提督「あ・・・・・・」(察し)

北上「あたしら、揺れるモノも無いのに・・・・・・」チーン

大鳳「」チーン

文月「大鳳ちゃん、大丈夫ぅ?」ユサユサ

吹雪「うぅ・・・・・・」ズーン

利根「ある者だけの悩みじゃなぁ」

提督「・・・・・・ノーコメントで////」フイッ

大和「えぇ!?」ガビーン

提督「いつまで燃え尽きてんだ、さっさと次行くぞ」

艦娘「はぁい・・・・・・」ズーン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「よし、組み手を始めるぞ」

吹雪「大和さん、お願いします」スッ

大和「はい」スッ

提督「始め!」

吹雪「やぁっ!」ダッ

大和「!」

吹雪「はっ!」ブン

大和「っ!」バッ

バシッ

吹雪「なっ、片手で!?」

バッ

吹雪「だったら!」バッ

バババババババッ

大和(乱打・・・・・・! しかも一発一発がとても重い・・・・・・!)パパパパパ

吹雪(全部受け止めてくる! 流石は大和さん!)バババババ

74 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:05:44.85 Q1IxI1jM0 74/504


大和「ふっ!」ブン

吹雪「っ!?」サッ

大和(避けた! 攻撃だけでなく守りや回避も柔軟に対応するなんて・・・・・・。流石は初期艦の吹雪ちゃんですね)

吹雪「危なかったぁ・・・・・・」

大和「次は大和の番です!」ダッ

ブンッ

吹雪「きゃっ!?」サッ

提督「なんつー速さの回し蹴りだ」

北上「避ける吹雪も流石だねぇ」

吹雪(大きい攻撃はその分隙も大きい、片足立ちで不安定な今がチャンス!)バッ

ズルッ

吹雪「あっ!?」ヨロッ

大和「吹雪ちゃん!!」バッ

ドシィィィン・・・・・・

大和「吹雪ちゃん、大丈夫ですか?」

吹雪「はい、何とか・・・・・・」ムニュゥ

提督「そこまで、勝者吹雪!」

吹雪「えぇ!? どういう事ですか、司令官!?」

大和「あぁ、大和負けちゃいましたね」

提督「あぁ、吹雪が前に倒れる前に大和が下で庇って背中を付けた。判定勝ちだ」

吹雪「そんなっ!?」

大和「無事で良かったです、吹雪ちゃん」ニコッ

吹雪「うぅ、勝ったのに後味悪いなぁ。それに・・・・・・」

大和「?」ムニュゥ

吹雪「こっちは完敗だし・・・・・・精神的敗北だ・・・・・・」チーン

大和「ふ、吹雪ちゃん!?」ガビーン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

75 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:06:23.48 Q1IxI1jM0 75/504




大和「吹雪ちゃん、わざわざありがとうございます」カリカリ

吹雪「いえ、今日のアレは私が反則勝ちしちゃったようなものだし・・・・・・」

大和「ふふ、運も実力の内。ですよ」カリカリ

吹雪「あ、それ司令官の言葉ですね!」

大和「はい!」カリカリ

吹雪「大和さん、明日からはちゃんと自分から攻めて来てくださいね」

大和「え、でも吹雪ちゃん・・・・・・」オロオロ

吹雪「本気じゃないと練習の意味が無いですよ」

大和「・・・・・・分かりました」

吹雪「当然、明後日からは座学も入りますよ」

大和「はい。早く残りも写し終えますね」カリカリ

利根「ん? 何じゃ、もう写しておるのか?」つアイスバー

大和「はい、とても多いみたいですから」カリカリ

大鳳「大和さん真面目ですね」つアイスバー

北上「感心だねぇ」

文月「大和ちゃん偉い偉い」ナデナデ

大和「ふふ。ありがとうございます、文月ちゃん」ニコッ

ーー
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76 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:07:00.13 Q1IxI1jM0 76/504


翌日

グラウンド

吹雪「やぁっ!」バッ

大和「はぁっ!」バッ

バキッ ドガッ

大和「ふっ!」ブン

ズドンッ

吹雪「うっ! やぁっ!」バッ

バキッ

大和「くっ!」

提督「・・・・・・」

北上「いやぁ、格闘漫画顔負けのバトルだねぇ」

利根「よもや大和と正面からど突き合えるとは、流石は初期艦じゃのぅ」

77 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:07:40.25 Q1IxI1jM0 77/504


大和「ふっ!」サッ

ブンッ

吹雪「っ!」サッ

吹雪「もらった!」バッ

大和「甘いですよ」グルッ

シュッ

吹雪「ロー!?」ピョン

大和「はぁっ!」グルッ

バシッ

吹雪「きゃっ!?」

ドシャッ・・・・・・

提督「そこまで、勝者大和」

文月「何があったの?」

北上「昨日みたいに回し蹴りをしゃがんで避けた吹雪が突っ込もうとしたら、大和がそのままの回転でローキックを出したのさ」

利根「それを跳んで躱した吹雪に更に一回転した大和の裏拳がヒットしたんじゃ」

大和「吹雪ちゃん、大丈夫ですか?」アセアセ

吹雪「はい、受け身は取れたんで。やっぱり強いですね」

大和「いえ、吹雪ちゃんも強いですよ」

ワイワイ
ガヤガヤ

提督「平和なモンだなぁ・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

78 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:08:17.89 Q1IxI1jM0 78/504


吹雪「明日から座学が始まりますね、大和さん」

大和「はい、初めてだから緊張します」

北上「まぁ、質問に答えたら居眠りしてても大丈夫だよ」

吹雪「北上さん、変な事教えないでくださいよぉ」

利根「とはいえ、あやつのチョークは痛いからのぅ」

大和「利根さんは投げられた事あるんですか?」

利根「ちと、宿題を忘れてそれを誤魔化した時にの。あれは正に弾丸じゃった・・・・・・」ゾッ

文月「バシーンって音がしたのぉ」

大鳳「食らった利根さん白目剥いて気絶しちゃったんですよ」

利根「うぅ、吾輩の黒歴史じゃ・・・・・・」

大和「確か明日は化学でしたよね?」

吹雪「はい。確か有機のとこです」

大鳳「有機は難しいです・・・・・・」

北上「大鳳は座学自体無理じゃん」

大鳳「うぅ・・・・・・」

79 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:08:56.17 Q1IxI1jM0 79/504


吹雪「確かに有機は難しいです」

大和「単純だからこそ、ですね」

北上「あたしら、そろそろ寝るね」フワァァ

文月「おやすみぃ」トテトテ

大鳳「おやすみなさい」スタスタ

利根「うむ、吾輩も寝るとしよう」スタスタ

吹雪「大和さんはどうします?」

大和「大和はもう少し起きています」

吹雪「分かりました、おやすみなさい」スタスタ

大和「おやすみなさい」

80 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:09:44.96 Q1IxI1jM0 80/504


大和「・・・・・・」ペラッ

大和「もし明日の座学、提督の質問に全て答えられたら、大和は褒めていただけるのでしょうか?」

大和(戦艦『大和』は、運用の際大量の資源を必要とする。故に『大和』は数多の鎮守府の財政を圧迫していると聞きます。だからこそ、大和は着任した鎮守府の役に立ちたい。その思いが心の奥底にあるのです)

大和(どのような形でもいい、皆に一言『よくやった』『素晴らしい』と褒められたい・・・・・・)

大和「?」

大和「・・・・・・違う?」キョトン

大和「皆? それとも提督(あの人)? 大和は誰に必要とされたいのでしょうか?」

大和(大和は皆からよりも、寧ろ提督に褒めてもらいたい・・・・・・? 何故あの人の評価を気にするのでしょうか?)キョトン

大和「・・・・・・考えても無駄ですね」パタン

大和「大和も寝ましょう」スタスタ

ーー
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ーーーーーー

81 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:10:41.19 Q1IxI1jM0 81/504


翌日

教室

提督「・・・・・・である、従ってニトロ化には『濃硝酸』の他に触媒として『濃硫酸』が必要だ。これは正誤問題でよく出てくるから覚えておくように」カツカツ

吹雪「・・・・・・」カリカリ

北上「・・・・・・」カリカリ

大鳳「・・・・・・」カリカリ

文月「・・・・・・」カリカリ

利根「・・・・・・」カリカリ

大和「・・・・・・」カリカリ

提督「では問題だ、トルエンに濃硝酸を加えると水と後何ができる? 大和」

大和(えっと、確かこことここが置き換わって、この配置は・・・・・・)カリカリ

大和「ニトロトルエンです。隣同士ならo(オルト)、一つ分空いたらm(メタ)、反対位置ならp(パラ)を名前の前に付けます」

提督「正解だ、よくやった。大和の言ったように・・・・・・」

大和(提督に褒められました、大和は幸せですぅ・・・・・・)プルプル

提督「・・・・・・因みに、トルエンにニトロ基が三つ付くと何になるか、北上」

北上「確か『2,4,6-トリニトロトルエン』だよね。TNT火薬の材料」

提督「よく知ってるな、その通りだ。今ではニトログリセリンとかが有名だが、これも爆薬の原料だ、覚えておくように」カツカツ

提督「では今日の授業はここまでだ。各自復習しとけよ」トントン

提督「明日は休みだ、ゆっくり羽伸ばしな」スタスタ

北上「ふぁぁ、やっと終わった」ノビーッ

文月「当たらなくて良かったぁ」ホッ

大和(本当に平和ですね。まるで本物の学生みたいです)

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82 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:11:27.91 Q1IxI1jM0 82/504


翌日

執務室

ガチャ

吹雪「失礼します・・・・・・って、あれ?」

提督「ん? おはよう吹雪、朝からどうした?」イソイソ

吹雪「珍しいですね、何処か出かけるんですか?」

提督「まぁな、留守番頼む」スタスタ

吹雪「はい」

提督「あ、そうだ。誰か来るかもしれねぇから。来たらこの部屋に通しといてくれ」スタスタ

吹雪「へ? あ、はい・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「! あれは提督?」

提督「お前に乗るのも久しぶりだなぁ」つヘルメット

大和(大きなバイクですね・・・・・・。何処か外出でしょうか?)

提督「・・・・・・」スチャ

ブゥン、ブゥン・・・・・・

提督「・・・・・・」ガチャン

ブォォォォォォォン・・・・・・

大和「・・・・・・少し興味あります・・・・・・////」タクシーハ・・・・・・

大和(これは決してストーカーじゃありません、上官についての見識を深めるための行動・・・・・・そう、自主学習です! やましい事ではありません////)正当化

大和「すみません、前のバイクを追いかけてください」

ーー
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ーーーーーー

83 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:12:10.17 Q1IxI1jM0 83/504


大和(提督を追いかけ、着いたのは墓地でした)

大和「御親族の命日でしょうか?」

大和「ありがとうございます」つお代

大和(提督、バケツと花を持って歩いて行きますね・・・・・・)

大和「・・・・・・」スタスタ

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鎮守府

吹雪「大和さんもお出かけかなぁ?」キョトン

文月「吹雪ちゃん、利根ちゃんが呼んでたよぉ」

吹雪「あ、うん分かった。ありがとう文月ちゃん」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

利根「おぉ、来たか吹雪」

吹雪「どうしたんですか?」

利根「お客が来たんじゃが、提督を出せと聞かんのじゃ」

??「提督はいるか?」

吹雪「司令官は今出かけております。客はお通しするよう指示をされましたので、執務室にご同行願います」スッ

??「良かろう」スタスタ

吹雪(憲兵の制服・・・・・・。何の用でここに来たんだろう?)スタスタ

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84 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:13:07.47 Q1IxI1jM0 84/504


墓地

スタスタスタ・・・・・・

提督「」つ水入れ

バシャッ バシャッ

提督「」つ杓

ザバッ グチュグチュ バシャッ

ザバッ グチュグチュ バシャッ

ドプドプ・・・・・・ゴト

ドプドプ・・・・・・ゴト

提督「」つ花

スッ スッ

提督「」つピック

クチュクチュ ガリガリ グチュグチュ

提督「」つ杓

バシャッ バシャッ バシャッ ガッ ガッ ガッ

提督「」つ蝋燭×2

スッ スッ

提督「」つマッチ

チッチッ シュボッ ボッ ボッ

提督「」つ線香

シュボッ ザクッ

提督「」合掌

85 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:14:03.65 Q1IxI1jM0 85/504


提督(あれからもう5年は経つよな・・・・・・。俺は元気にしてるよ。うちに所属してる娘達もな。勉強教えるのが大変だよ)

提督(そういや、お前にそっくりな娘が着任したんだぜ。生きてたらぜってぇお前に瓜二つな顔だ、雰囲気とかも似てるし)

提督(・・・・・・どんな因果なんだろうな、お前以外愛さねぇって誓ってたのに・・・・・・)

提督(ただ、かなりのアホだってとこは違うな・・・・・・ったく)スッ

提督「上官をストーカーするとは、いい度胸してんじゃねぇか」クル

スッ スタスタ・・・・・・

大和「・・・・・・いつから気づいていたのですか?」

提督「鎮守府を出た時からだ。タクシーが追ってきたから不思議に思っていた」

大和「ごめんなさい、どうしても気になってしまって・・・・・・」

提督「あまり人のプライベートに首は突っ込むな、お前の身が持たねぇよ」

大和「・・・・・・眞祓井(まはらい)・・・・・・という方ですか?」

提督「余計な詮索するな、提督命令だ」スタスタ

大和「・・・・・・はい」スタスタ

提督「タクシー代幾らした?」ヤレヤレ

大和「・・・・・・1500円程、です」シュン

提督「あっあく、ほんあむあふあいひやあっふぇ(訳:全く、とんだ無駄遣いしやがって)」ハンカチクワエ

ジャー バシャバシャ キュッキュッ

提督「まぁいい」フキフキ

86 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:15:12.34 Q1IxI1jM0 86/504


提督「ほれ」つヘルメット

大和「!? え!?」ウケトリ

提督「後ろに乗れ、帰るぞ」ヘルメット装着

大和「え、えと・・・・・・////」カァァ

提督「いいから」グイッ

大和「あ・・・・・・////」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

提督「しっかり捕まってろ。後舌噛むからあんま喋んなよ?」

大和「は、はい!!」ヘルメット装着

提督「行くぞ」ブゥン、ブゥン

大和「!!」ギュゥゥ

ブォォォォォォォン・・・・・・

ーー
ーーーー
ーーーーーー

ブォォォォォォォ・・・・・・

大和(提督の背中大きいですね・・・・・・////)

大和(落ち着く・・・・・・////)ギュッ

ムニィ

提督「っ!?////」

大和「? どうかしましたか?」ムニュゥ

提督「・・・・・・いや、何でもねぇ////」カァァ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

87 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:16:02.73 Q1IxI1jM0 87/504


鎮守府

吹雪「それで、憲兵の方が何のご用でしょうか?」

??「何、仕事をしに来ただけだ」

文月「?」

北上「仕事ねぇ・・・・・・」

大鳳「定期の職務確認でしょうか?」

利根「っ!? お主、よもや・・・・・・」キッ

??「察しが良くて助かる。その通りだ」

??「この鎮守府の提督、海原 櫂を連行しに来た」

艦娘「!?」

??「『過酷なトレーニングを強要し、艦娘を苦しめている』と連絡があってな」

吹雪「嘘です! あれは軍が推奨している公式のトレーニングのはずです!!」バッ

??「はて? そのような記録は一切存在しないが?」ニヤリ

北上「・・・・・・とんだクズみたいだね、軍も憲兵も」キッ

大鳳「貴方が何と言おうが、私達はあのトレーニングを、何よりも提督を信じています!」スチャ

文月「司令官の事悪く言わないでよぉ!」

利根「連行すると言うなら、吾輩達を倒してからにしてもらうぞ!」バッ

??「・・・・・・臨戦態勢か、さて」

??(周囲を囲んで逃げ道を封じているな、合図無しでこれとはなぁ・・・・・・)

??「面白い・・・・・・」ニタァ

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88 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:16:58.10 Q1IxI1jM0 88/504


鎮守府前

提督「もうそろそろ着くぞ」

大和(うぅ、もう少しこのままがいいです・・・・・・////)

ゾワァ

提督「ん!?」ハッ

大和「きゃっ!?」ビクッ

キキィィッッッ

大和「な、何ですか一体!?」ゾクッ

提督「・・・・・・まさか」

提督「急ぐぞ!!」ブゥン

大和「はい!」

ーー
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ーーーーーー

鎮守府

??「・・・・・・」チラ

吹雪「・・・・・・」スッ

北上「・・・・・・」つ鉄杭型酸素魚雷

文月「・・・・・・」

??「・・・・・・」チラ

大鳳「・・・・・・」つクロスボウ

利根「・・・・・・」ジャラ

??(ふむ、慎重だな。相手の出方を窺っているようだ・・・・・・)

??(北上は珍しい型の酸素魚雷を、利根は小さな鉛玉をいつでも投合できるように、大鳳はいつでもクロスボウを撃てるように構えている)

吹雪「・・・・・・」ゴクッ

89 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:17:46.03 Q1IxI1jM0 89/504


吹雪(相手の周囲を囲んで動きを制限している。私達の方が数で有利・・・・・・な筈なのに)

吹雪(何だろうこの違和感は・・・・・・。寧ろ私達の動きが制限されているみたい)

利根(まるで喉元に刃物を当てられているようじゃ、少しでも動けば死ぬ・・・・・・)

タッタッタッタッ

提督「お前ら何やってんだ、武器を降ろせ」

艦娘「司令官(提督)!?」

提督「いいから早く」

艦娘「・・・・・・了解」スッ

提督「ったく、来るならちゃんと言ってくれよ、ケンの叔父貴」

艦娘「叔父貴!?」ガビーン

??「いやぁ、すまんな。こうでもしないと自由に動けんのでな」ワハハハハ

吹雪「えっと、司令官?」オドオド

提督「あぁ、紹介するよ。こちら憲兵団の海軍担当師団の団長にして俺の叔父の『海原 堅山(けんざん)』だ」

団長「いや艦娘の諸君、先程は嘘を言ってすまなかった、紹介の通り、海原だ」

吹雪「こ、こちらこそ先程はご無礼を!!」ペコ

北上「海軍担当師団?」

提督「憲兵にも色々あってな。海軍や艦娘関連の職務を主に引き受けている団が海軍担当師団。叔父貴はそこのトップなんだよ」

提督「そういや、何で皆臨戦態勢に?」

団長「実はな・・・・・・」

ーー
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ーーーーーー

90 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:18:28.36 Q1IxI1jM0 90/504


提督「・・・・・・で、皆叔父貴の嘘に騙されたと?」ハァ

吹雪「司令官が連行されるかと思ってつい・・・・・・」

提督「叔父貴、しょうもねぇ嘘止めてくれよ、鎮守府ぶっ壊す気か?」

団長「すまんすまん」

提督「皆も、俺を庇ってくれてありがとうな」

吹雪「いえそんな!」アセアセ

北上「あたし達は提督に迷惑かけてばっかなわけだし・・・・・・」(´-ω-`;)ゞポリポリ

大鳳「当然です!」

文月「司令官いなくなっちゃやだもん!」ウルウル

利根「うむ」

提督「でも、迂闊に飛びかからなくて正解だぞお前ら」

艦娘「え・・・・・・?」キョトン

提督「いや、今のお前らじゃ叔父貴にゃ勝てねぇからな」

艦娘「えぇ!?」ガビーン

91 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:19:08.45 Q1IxI1jM0 91/504


提督「叔父貴と海軍元帥、つまり俺の親父は陸上じゃ艦娘より強ぇからな。多分人の形してる生物の中で最強の二人だから」

団長「そもそも諸君らが行っているあのトレーニングは私と兄者の考案した物だ」

艦娘「」ポカーン

提督「で? まさかこれだけの理由でここ来たのか?」

団長「まさか。つい先日、お前が六人目の艦娘を着任させたと聞いてな。祝いの品を持ってきたのだ」

大和「提督、置いてくなんて酷いですよ!!」タッタッタッ

団長「おぉ、君が・・・・・・っ!?」ハッ

大和「えっと、どちら様でしょうか?」

提督「憲兵団団長で俺の叔父」

大和「これは失礼を。大和です」

団長「大和か、いや私の甥が諸君らに迷惑をかける」

団長「櫂、ちょっといいか?」クイクイ

提督「ん? 何だ?」スタスタ

団長「まさか、"あの娘"の生まれ変わりか?」ボソッ

提督「まさか、それに大和って艦娘は他にもいるだろ?」ヒソッ

団長「うむ、だがしかし先の作戦以降大和の艦娘も殆どが解体され、一般人となった。兄者の鎮守府にもいなかった数少ない艦娘だから、私は実質初めてこの目で見た」

提督「叔父貴が!? 40年も憲兵してんのにか!?」ガビーン

92 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:19:47.38 Q1IxI1jM0 92/504


提督「とにかく、別モンだろ。雰囲気とか見た目が似てるだけさ」ヒソッ

団長「・・・・・・辛いか?」

提督「そうも言ってられねぇ職だろ」

団長「ふっ、小僧が一丁前に」ニヤリ

吹雪「あの、お二人共?」

提督「ん?」

団長「あぁすまんな、つい話し込んでしまった」スタスタ

団長「ほれ、これが祝いの品だ」スッ

提督「ん? 何だこりゃ、ワインか?」

団長「そうだ、かなりの年代モノだ」

提督「あのさ、叔父貴」

団長「む?」

提督「俺、まだ未成年なんだけど」19歳

団長「・・・・・・」

艦娘「・・・・・・」

提督「」

団長「一口ぐらい飲んでも大丈夫だ、バレなければ問題ない」

提督「アンタ憲兵だろ!? 警察が法破らせてどーすんだよ!!」

団長「馬鹿もん! 世の中法など有って無いような物だ、法がキチンと成立しているなら、この世に犯罪など無いのだからな」ドヤァ

提督「ドヤ顔で何言ってんの!? 憲兵のトップがサラッととんでもねぇ事言っちまったよ!?」ガビーン

艦娘「・・・・・・」ポカーン

艦娘(すっごいめちゃくちゃな人・・・・・・)

93 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:20:54.11 Q1IxI1jM0 93/504


提督「悪ぃけど、まだ俺は酒は飲まねぇよ」

大和「ですが、このワインどうします?」

利根「団長殿が飲めば良かろう?」

団長「私は酒は飲めん。下戸なのだ」

北上「飲めないのに酒買ってきたの?」アキレ

吹雪「と、とにかくもうお昼です。団長さんもご一緒しませんか?」

団長「ではお言葉に甘えて」

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ーーーーーー

団長「何と美味い! 素晴らしい腕前だな」モグモグ

利根「口に合って良かった」ムシャムシャ

大鳳「はぁ、緊張した分余計にお腹が空きました」バクバク

文月「ねー?」モキュモキュ

吹雪「にしてもすごい方ですね」パクパク

北上「まさかあたし達が束になっても勝てないって言われるなんてね」シャクシャク

提督「まぁ、叔父貴と親父は特殊だからな」ガツガツ

大和「特殊?」

94 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:21:53.91 Q1IxI1jM0 94/504


提督「皆見てみろよ、あのゴッツイ体つき。見た目に違わず二人共すげぇ脳筋で・・・・・・」

団長「暫く見んうちに随分口がでかくなったなぁ櫂」ガシッ

ミシミシミシ・・・・・・

提督「痛たたたたッッッ!? 折れる折れる、腕折れる!!」ギャァァァァ

団長「全く、お前はまだまだ半人前だ、兄者にもっと鍛えてもらえ」

提督「勘弁してくれよ叔父貴。あんな訓練したら身が持たねぇよ」

艦娘「・・・・・・」

団長「! そうだ櫂、少し買い物してきてくれんか?」つメモ

提督「ん?」ウケトリ

提督「・・・・・・買うもん多くね?」

団長「私の車を貸してやる」つキー

提督「はいはい分かりましたよ、じゃあ留守番頼むぜ」スタスタ

団長「任せろ」

文月「いってらっしゃぁい」ノシ

95 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:22:40.94 Q1IxI1jM0 95/504


団長「さて、本人がいない間にあいつの過去でも少し話してやるか」ニヤニヤ

北上「悪い顔してるねぇ団長」

団長「聞きたくないか、あいつの過去」

艦娘「はい!」

大和「(即答・・・・・・)は、はい・・・・・・!」

団長「とはいえ、流石にあいつが秘密にしときたい事は話さんよ。それは本人の許可がなければな」

吹雪「で、司令官の過去とは?」

大鳳「確か提督は元帥の養子だと聞きましたが」

団長「あぁその通りだ。今から話すのはあいつの赤子の時の話だ」

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19年前

大本営

ガチャ

団長「兄者、話とは何だ?」

「おおケン、急に呼び出してすまんのぅ」

当時既に大将の地位にあった兄者、そして当時副団長を勤めていた私は共に自由に動けん身分だったが、暇を見つけてはよく顔を合わしていた。

団長「む? 兄者、その赤子は誰だ?」

驚いたよ、兄者がその腕に産まれたばかりの赤子を抱いていたのだからな。

「おぉ、紹介するぞケン。儂の養子じゃ、名前は櫂」

「すぅー・・・・・・すぅー・・・・・・」zzz

団長「おい加賀君、兄者の言っている事がよく分からんのだが」

加賀「はい。先日、深海棲艦に襲撃された海岸の街に出撃した際・・・・・・」

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96 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:23:24.91 Q1IxI1jM0 96/504


ザッザッザッザッ・・・・・・

長門「何と惨い・・・・・・」

加賀「沿岸の街はほぼ壊滅状態です」

「もっと早く向かっておったら!!」クッ

榛名「貴方の性ではありません、提督!!」

ーーーーァァ、オギャー!

「! 聞こえたか!?」バッ

加賀「? 何がですか?」

「赤子の声がした!」ダッ

長門「提督!!」

金剛「そっちは崖ネー!」

「加賀、榛名、長門はついてきてくれ! 金剛達は他の艦隊と合流し、他の生存者を探すのじゃ!」

タッタッタッタッタッ・・・・・・

ザザーン・・・・・・ザザーン・・・・・・

オギャー、ホギャー・・・・・・

「こっちか! っ!?」

「オギャー! ホギャー!」

榛名「提督、見つかりましたか! って!?」

「? ア~・・・・・・?」キョトン

97 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:24:12.68 Q1IxI1jM0 97/504


ガラガラガラ・・・・・・

タッタッタッタッタッ・・・・・・・

「・・・・・・親御さんの方は?」

榛名「駄目です・・・・・・」フルフル

「・・・・・・そうか」

スタスタ・・・・・・

加賀「何故その子は助かったのでしょうか?」

「分からん。ただ、一つだけ言える」

加賀「はい?」

「この男の子は海に愛されておるな」

長門「仰る意味が・・・・・・」

ザバッ

「この子は櫂(オール)の上に乗って海に浮いておった。産まれて間もない赤子が自分から櫂に乗れると思うか?」

加賀「!」

タイショウ!!
ウナバラタイショウ、ドコデスカ!?

「・・・・・・この子は儂の養子にする」

艦娘「「「えぇっ!?」」」

「ほっといたら孤児院行きじゃ、見捨てられんわい」

艦娘「「「・・・・・・」」」

「ばー・・・・・・?」サワサワ

「あぁ、儂がお前の父。お前はこの『海原』の息子。名前は・・・・・・カイじゃな。海という意味じゃが、漢字は櫂にしよう。海に愛され、櫂に助けられた男。お前は『海原 櫂』じゃ」

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98 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:25:28.08 Q1IxI1jM0 98/504


加賀「・・・・・・というわけでして」

団長「兄者・・・・・・」

子宝に恵まれなかった兄者はその数年前、奥さんを病で亡くしていてな。恐らく家族がほしかったのだろうな

ガチャ

金剛「Hey! テートク、帰ってきましたヨー!」

「静かに入らんか金剛、櫂が起きるじゃろうが」ゴツン

金剛「Ouch!? Sorryデース」サスサス

榛名「ただいま戻りました」

比叡「あ、櫂は寝てるんですか?」

霧島「そのようです」

「スマンがお前ら暇じゃろう? 休憩も兼ねて櫂の昼寝に付き添え」スッ

金剛「了解デース」ダキシメ

榛名「榛名頑張ります!」

比叡「お昼寝だぁ」

霧島「比叡お姉様がするのではありませんよ」

金剛「さぁカイ、お姉さん達とお昼寝するデース」スタスタ

ガチャ パタン

「あの子を儂の養子に迎え入れ、父として愛情を注ごうと思う。儂の艦隊の皆は全員承諾してくれた」

団長「本当か!? 百人以上はいるあの娘達を説得したと言うのか!?」

「元より、あいつらには命の大切さを知り、優しい心を育んでほしかった。戦争をしていると命を尊ぶという感覚が麻痺してくるからな」

団長「とはいえ兄者、全員があの赤子の面倒を見るのか?」

「あぁ、非番の者は基本的に櫂のお守りじゃ。もちろん当番制じゃがな」

加賀「思いのほか皆積極的に取り組んでいます」

「ケン。お前の甥となる赤子じゃ、お前からも愛情を注いでやってはくれんか?」

団長「当然だ、言われるまでもない」

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99 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:26:33.62 Q1IxI1jM0 99/504


団長「そうしてあいつは兄者や私、鎮守府の艦娘達に囲まれて育った」

大和「・・・・・・」

大鳳「? でも少し変じゃないですか?」

吹雪「私達と同じ艦娘には既に会っているって事ですよね?」

北上「なのに提督、あたし達の着任時にまるで初めて見るかのように接してたよね?」

団長「あぁ、それは兄者の教えだろう」

団長「同じ『吹雪』という艦娘でも、人格には若干の違いがある。基本的に真面目な性格だが、少し堅物な娘もいれば、逆にズボラな娘もいる。艦娘も人と同じく十人十色だと教えられたのだ。だから諸君らと今までの自分の知る艦娘とは区別して接しているのだろう」

利根「なるほどのぅ」

文月「? どういう事?」

利根「つまり、あやつは小さい頃に一緒におった『文月』とお主を全く別の人間として考えておる。あくまでお主個人を見ておるのじゃ」

文月「・・・・・・そっかぁ」ポワーン

艦娘(絶対分かっていないな、これ・・・・・・)

大和「! ですが大和を見た時は提督の顔に一瞬動揺が見られましたけど?」

団長「スマンが、それはあいつ本人から許可が出ないと話せん」

大和「どういう事d・・・・・・」

ガチャ

100 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:28:12.37 Q1IxI1jM0 100/504


提督「ただいまぁ」つ買い物袋

団長「何だ、随分早かったな」ウケトリ

提督「何言ってんだよ、30分ぐらい買い物してきたぞ」カギポイッ

団長「む? もうそんな時間か!?」キャッチ

提督「で、何の話してんだ?」

吹雪「司令官の昔話です!」

文月「司令官の赤ちゃんの時の話ぃ」

提督「んなっ!? そんな事話したのかよ!?////」

団長「減る話でもないだろう? まぁ仕方あるまい、赤子の時を話題にされ、恥ずかしくなるのは誰もが通る道だ」ニヤニヤ

提督「そーゆー問題じゃねぇ!!」クワッ

北上「提督赤くなっちゃってかぁわいい」ニマニマ

大鳳「ふふ、取り乱した提督も可愛らしいですよ?」ニコニコ

提督「きたぁかぁみぃぃ、たぁいほぉぉ!!お前らぁぁぁッッッ!!////」

モーオコラナイデヨ、カイキュゥン

ア、イイデスネソレ! ジャアワタシモ、カイキュン!

オマエラ、イイカゲンニシロー!

マァマァ、ソウオコルデナイ・・・・・・クフッ フルフル

オイトネ、ナニワライコラエテンダ?

シレイカンカワイイヨォ?

フ、フミヅキマデ!?

ア、アノ、ワタシモカワイイトオモイマス・・・・・・!

フブキ・・・・・・オマエモカ ズーン

大和「・・・・・・」

団長「すまないな。あればかりは私と兄者、そして櫂本人の三人で決めた事なのだ」

大和「わかっています」

団長「ただ、あいつが君を決して蔑ろにしたいわけでない事は信じてくれ」

大和「はい」

101 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:29:02.88 Q1IxI1jM0 101/504


団長「おい櫂、私はそろそろ帰らせてもらうぞ。あんまりサボっておるとあいつが五月蝿いのでな」

提督「ん? あぁ、今日はありがとう叔父貴」

団長「皆も甥が迷惑をかけるが、よろしくな」

艦娘「はい!」

団長「ではまたな」クル

提督「前まで送ってくぜ」スタスタ

団長「む、スマンな」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

団長「櫂、大和君の事だが」

提督「・・・・・・何だよ」

団長「お前の気持ちは分かる。だが、彼女は彼女だ。別人だと割り切って優しく接してやれ」

提督「・・・・・・」

団長「兄者には話したのか?」

提督「報告は義務だ、キチンとしてある」

団長「ならよい。ではな」

提督「またな、叔父貴」

ブォォォォォォォン・・・・・・

提督「・・・・・・それがあいつの為・・・・・・になるのか・・・・・・?」ボソッ

提督(なぁ、教えてくれ・・・・・・お前ならこんな時どうするんだ・・・・・・? 『ヤマ』・・・・・・)

102 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:29:42.73 Q1IxI1jM0 102/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

提督「今日はこの海域に出撃してもらう。近年この周辺では比較的豊富な資源スポットが確認された。軍としてはなるべく抑えておきたいが、敵も考えは同じのようだ」

提督「皆にはここの海域にいる敵艦隊を撃滅してほしい。何か質問はあるか?」

大鳳「よろしいでしょうか?」

提督「ん?」

大鳳「何故我々なのでしょうか? 泊地の方が近いので、そちらの艦隊に要請した方が早いのでは?」

提督「このスポット周辺には過去に使われた機雷や爆雷が不発のまま残っている。それに加え、資源の大半は燃料、つまり可燃物だ。そして、泊地ではお前らのように肉弾戦訓練を行っている所が少ない」

提督「不用意に砲雷撃戦なんかされたら、最悪・・・・・・言わなくても分かるよな?」

艦娘「っ・・・・・・」ゴクッ

提督「敵はどうかはわからないが、可能ならこちらからは砲雷撃を行わないようにしてくれ。旗艦は・・・・・・」

提督「大和、初出撃で悪いが頼めるか?」

大和「! お任せ下さい!」ビシッ

提督「皆旗艦経験がある、大和をフォローしてやってくれ」

艦娘「了解」

提督「では5分後に出撃する。移動して準備を」

艦娘「はっ!!」

ーー
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103 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:30:24.06 Q1IxI1jM0 103/504


その夜

鎮守府

提督「・・・・・・で、何でお前ら中破してんだ?」

大和「・・・・・・」中破

吹雪「じ、実は・・・・・・」中破

利根「艦隊と交戦中にスコールが発生しての」中破

文月「雷様がゴロゴロー!! って鳴ってね~」中破

北上「それが敵艦の燃料に引火しちゃったみたいで・・・・・・」中破

大鳳「それで辺り一帯の爆雷や機雷が連鎖爆発を起こしまして・・・・・・」中破

提督「それでよく中破ですんだなぁ。良かったよお前らが無事で」ホッ

大和「しかし、資源は大丈夫でしたが回収はできず、おまけに大和達の入渠で鎮守府の資材が・・・・・・」ズーン

提督「まぁ、確かにかなり吹っ飛んだけど。お前らが無事なら安いモンだろ?」

提督「さっさと風呂入って来い。飯にするぞ」バケツモツカエ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

執務室

提督「さて、どうしたモンかねぇ」カリカリ

提督(周辺海域の艦隊は撃滅できたが、あの辺りのスコールは想定外だな。あの辺は昔は比較的天候は安定していたはずなんだけどなぁ・・・・・・)

提督「えぇと」ガサガサ

パラパラパラ・・・・・・

提督(吹雪と北上と文月に少し遠征に向かってもらうか。この編成条件に当てはまる任務あったかな・・・・・・?)パラパラ

104 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:31:10.72 Q1IxI1jM0 104/504


ガチャ

大和「失礼します」

提督「ん? 大和か、どうしたよ?」

大和「あの、今日の失態は旗艦である大和の責任です。何とお詫び申し上げれば・・・・・・」

提督「言っとくけど、俺は今まで任務の失敗を咎めた事は一度もねぇぜ? それにお前はこれが初陣なんだ、仕方ねぇ」

大和「・・・・・・ですが」

提督「どうしてもお詫びがしたいってんなら、少し手伝ってくれ」

大和「! はい!!」ニコッ

提督「この書類の山に一枚一枚印鑑を押して欲しいんだ」つ印鑑

大和「お任せ下さい!」ウケトリ

提督「・・・・・・」パラパラ

大和「~♪」ペタンペタン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「終わりました」ニコッ

提督「ありがとう、かなり時間短縮できた」

大和「お次は何を?」ソワソワ

提督「いや、別に何もねぇけど」

大和「そう・・・・・・ですか・・・・・・」ショボン

提督「つーか、もう21時50分だけど?」

大和「あ・・・・・・」ハッ

提督「だからもう休みな。明日もまた忙しいんだから」

大和「はい・・・・・・お先に失礼します」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

105 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:31:46.70 Q1IxI1jM0 105/504


ガチャ

吹雪「あ、大和さん」

大和「! 皆さんまだ起きていたのですか?」

北上「まぁ、旗艦が謝罪に行ってるのに・・・・・・」

利根「吾輩達が寝るわけにもいかんしのぅ」

大鳳「大和さん一人に申し訳ないです」

文月「・・・・・・」zzz

大和「文月ちゃんはもう寝てますね」ナデナデ

吹雪「大和さん」

大和「? はい」

吹雪「司令官の事、どう思っています?」

大和「へっ!?////」

大和「そ、それはもちろん、優しくてしっかりした上官だと・・・・・・////」モジモジ

艦娘(何とまぁ分かりやすい・・・・・・)

106 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:32:23.79 Q1IxI1jM0 106/504


北上「いや、そんな上下関係抜きでさ。異性としてどうかって話」

大和「いせっ!?////」ボンッ

北上「大和なら一発で墜せると思うなー。だってほれ」モミッ

大和「きゃっ!?////」

北上「おぉ、これはこれは。少なくとも80後半、いや恐らく90前半。その上形や見た目も綺麗だしねー」モミモミ

大和「や、やめてくださいよー!////」バッ

大和「そ、それよりも皆さんはどう思ってるんですか?」アセアセ

吹雪「私は、少し世話が焼けるけど、いざって時は頼りになるお兄ちゃんって感じです」

北上「あたしは親友かなぁ。親身になってくれるから悩み相談とかもできるし」

利根「吾輩も、職場での相棒みたいな感じかのぅ」

大鳳「私にとっては恩人です。私に色々と大切な事を教えてくれましたし、尊敬できる先輩とか師匠みたいな感じです!」

文月「ふみゅ~、何の話ぃ?」グシグシ

大和「あ、起こしちゃいましたか」

吹雪「文月ちゃんにとって、司令官はどんな人ですか?」

文月「? 司令官は司令官だよぉ。でも、時々優しいお父さんに感じるなぁ」

大和「み、皆さん提督を異性としては見ていないと?」

北上「見てないっていうよりも」

利根「寧ろあやつが吾輩達を異性として見ておらん」

吹雪「私と文月ちゃんは子供だから論外ですし」

大鳳「私達を完全に家族のようにしか見ていません」

107 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:33:16.79 Q1IxI1jM0 107/504


大和「・・・・・・」

吹雪「大和さん」

大和「?」

吹雪「私達、応援していますから!!」キラキラ

大和「えぇ!?////」

北上「いやぁ、こういうのは見てて楽しいからね」ニヤニヤ

大鳳「ワクワクします!」ワクワク

利根「まぁ、吾輩達も全力でサポートするからの」ドン

文月「大和ちゃん、がんばぁ」ニパァ

大和「え、えぇ!?」

吹雪「では、おやすみなさい」スタスタ

スタスタスタ・・・・・・

大和「・・・・・・」ポカーン

ーー
ーーーー
ーーーーーー

翌日

グラウンド

大和(うぅう、昨日の事意識しすぎて集中できません)

利根「はぁっ!」ブン

パシッ

利根「!」

ブンブン

パシッ パシッ

大和「うぅう・・・・・・」

利根(攻撃が全く当たらん、何故じゃ!?)

ガシッ

利根「なっ!?」

大和(は、恥ずかしいですぅ!!////)ブンブン

利根「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!?」グルグル

108 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:34:01.24 Q1IxI1jM0 108/504


スポッ

大和「! あ、あれ?」

ドカァァァァァァンッッッ!!

大和「! ご、ごめんなさい利根さん!」タッタッタッ

利根「め、目が回るぅぅ・・・・・・」ピヨピヨ

北上「いやぁ、見事なジャイアントスイングだったよ」

吹雪「って!!」ギョッ

大和「て、提督!!」ガビーン

提督「」ピクピク

利根「うぅ、やっと意識が戻ってきた。何じゃ、変な感触の地面じゃのぅ」チラ

提督「」チーン

利根「な、何でお主が吾輩の下敷きになっておるのじゃ!?」ギョッ

大和「と、とりあえず提督から降りてください」

利根「う、うむ」スッ

文月「司令官大丈夫ぅ?」

妖精「皆どいてどいてー!!」テテテテ

吹雪「妖精さん!」

妖精「えっと・・・・・・」診断中

妖精「気絶してるだけだね、今日は安静にしといてね」つ担架

えっほ、えっほ、えっほ・・・・・・

妖精「あ、君達も今日は終わりにしてよ」テテテテ

艦娘「は、はい」

ーー
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109 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:34:44.83 Q1IxI1jM0 109/504


提督寝室

提督「う・・・・・・」ピク

提督「ん? ・・・・・・ここは、俺の部屋か?」ムク

大和「気がつきましたか、良かったです」

提督「あぁ、大和。悪ぃ、迷惑かけた」

大和「こちらこそ申し訳ありませんでした。大和が周りを見ていれば」

提督「注意してなかった俺にも非がある」

大和「あの、煮麺作りましたのでよければ召し上がってください」スッ

提督「! あぁ悪ぃ、いただくよ」スッ

ズルルルル・・・・・・

提督「・・・・・・」モグモグ

『煮麺作ってみたの! 櫂ちゃんのお口に合えばいいけど・・・・・・』

『美味しい? ホント!? やったぁ!!』

提督「!」ツーッ

大和「っ!? 提督、どうされました!? まさかお口に・・・・・・」オロオロ

提督「いや美味い、めちゃくちゃ美味い」ポロポロ

提督(あいつの煮麺・・・・・・またそれを味わう事ができるなんてな)グシグシ

提督「ありがとう、大和」ニッ

大和「・・・・・・はい」ニコッ

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110 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:35:33.00 Q1IxI1jM0 110/504


一ヵ月後

執務室

大和改「提督」ペタンペタン

提督「ん?」カリカリ

大和「何故提督は休もうとなさらないのですか?」ペタンペタン

提督「休む必要ねぇから」カリカリ

大和「それなのに大和達にはたっぷり休暇くれるじゃないですか」トントン

提督「まぁ、既に全員最高練度だしな。最近は座学ばっかで、トレーニングは自主だし」カリッ

大和「大和が言いたいのは、提督も休んでくださいという事です! 最近目の下の隈が酷いですよ!!」プクーッ

提督「わかったからもうちょい待て、あとこの一山で終わりなんだ」カリカリ

大和「うぅ」ジトー

提督「そんな目で人を見るな、終わったんならもうあがっていいぞ」カリカリ

大和「・・・・・・失礼します」スタスタ

ーー
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ーーーーーー

スタスタスタ・・・・・・

大和(うぅう、何で提督は休んでくれないのでしょうか? そしたら大和が日頃の疲れを癒すために・・・・・・)モンモン

大和「・・・・・・皆さんに相談してみましょうか」

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111 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:36:33.39 Q1IxI1jM0 111/504


吹雪「司令官を休ませる方法・・・・・・ですか?」ペラッ

大和「はい。大和が休んでと言っても『後で』とか『これが終わったら』と聞かないんです」

利根「うーん、あやつは少し仕事を重要視し過ぎな面があるからのぅ」つ煎餅

大鳳「その点私達にはあまり仕事をさせませんし」パリパリ

利根「吾輩からは、休ませる事は困難じゃがその分、休んでおる時にたっぷりリラックスさせるしか思い浮かばんのぅ」パリパリ

吹雪「私もそうかと」つ煎餅

大和「分かりました・・・・・・」スッ

吹雪「頑張ってくださいね」

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北上「提督を休ませる方法?」つ某海賊漫画

大和「北上さんからは何かあります?」

北上「あたしもいい案は思い浮かばないなぁ」

文月「楽しかった~♪」

大和「文月ちゃんはアニメ見てたのですか?」

文月「昼間の録画ー」ピッ

大和「!」

北上「ん? 科学特集? 提督好きそうなのやってるなぁ」

文月「ほわぁ、お髭のおじさん達が芸能人と何か喋ってるよー」

北上「今日は森林浴やアロマテラピーが題材らしいねぇ」

大和(アロマ・・・・・・テラピー・・・・・・)

大和「! これだ!」ダッ

北上「?」

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112 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:37:31.78 Q1IxI1jM0 112/504


提督「あ~、やっと終わったぁ」ノビー

バタン

大和「提督!!」

提督「どわぁっ!? 何だ何だ!?」ビクゥ

大和「山に行きましょう、緑に囲まれたら疲れもとれますよ!!」キラキラ

提督「まさか今からじゃねぇよな?」

大和「まさか。明日は休日ですよね?」

提督「休日もここで過ごすさ」

大和「もうっ!! 何で外に出ないんですか!!」プクーッ

提督「逆に何で外に出そうとさせるんだ? 何かあったら困るだろ」

大和「うぅ・・・・・・」ショボン

提督「つーか、何で急にそんな話になった?」

大和「今しがたテレビでアロマテラピーの特集がありまして・・・・・・。だから山に行って森林浴をなされば提督も癒されるかと」

提督「なるほどな、フィトンチッドか」

提督「確かに森林浴はリラクゼーション効果が高いけどな」

提督「全く、俺の事を考えて提案してくれたのは嬉しいし感謝してる。だけど、俺は大丈夫だから」

大和「・・・・・・分かりました」トボトボ

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113 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:38:07.56 Q1IxI1jM0 113/504


翌日早朝

寝室

提督「」zzz

モゾモゾ・・・・・・

提督「ん・・・・・・・」ムニャムニャ

提督(何だ? 誰か俺の布団に入ってやがるな)チラ

妖精「うひゃぁ絶品だぁ・・・・・・へへへ」ムニャムニャ

提督(何だ、妖精さんか・・・・・・まぁ妖精さんなら問題ねぇか)ナンノユメミテンダカ

モゾモゾ・・・・・・

提督(何か俺の上に乗ってんなぁ、体が重い)フトンメクリ

文月「すぅー・・・・・・すぅー・・・・・・」zzz

提督「」

文月「ふみぃ・・・・・・」スリスリ

提督「」ホオツネリ

提督(夢じゃねぇな・・・・・・)

提督「おい、起きろ文月」ユサユサ

文月「うー・・・・・・」ムニャムニャ

114 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:38:42.85 Q1IxI1jM0 114/504


提督「起きろって」ユサユサ

文月「んー」グシグシ

文月「おはよぉ司令官」ニパァ

提督「おぅ、おはよう・・・・・・って、そうじゃねぇだろ」

提督「何で俺の布団に入ってるんだ?」

文月「怖い夢見たのぉ、司令官がいなくなっちゃう夢」ジワァ

提督「そ、そうか・・・・・・で、どうやって俺の部屋に入った? 鍵かけたはずだけど」

妖精「あたしが合鍵作ったんだよ」ムク

提督「アンタかよ!?」オキテタノカ!?

妖精「まぁまぁ、許してあげなよ」フワァァ

提督「ったく、今回だけだぞ」ナデナデ

文月「うんー」

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115 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:39:55.14 Q1IxI1jM0 115/504


提督「さて、休日を謳歌するために部屋に入ったはいいけど・・・・・・」チラ

大和「・・・・・・」ツーン

提督「何でお前がいるんだ?」

大和「今日は提督に何としても日頃の疲れをとっていただきます!」

提督(癒されるどころか気が張って余計疲れるわ)

大和「とにかく、早くうつ伏せになってください」ポンポン

提督「はいはい・・・・・・(ま、暫く好きにさせるか・・・・・・)」スッ

コト

提督「ん? 何だそりゃ?」

大和「アロマオイルです、昨夜北上さんがネットで購入してくださいまして。これなら出歩かずとも森林浴ができるかと」

提督「なるほど・・・・・・手数料で200円取られただろ?」

大和「はい。では大和式マッサージ、御堪能ください」スッ

グッグッ グッグッ・・・・・・

提督(これは気持ちいいなぁ・・・・・・)

大和「肩の辺りも解していきますね」グッグッ

グニグニ グニグニ・・・・・・

提督「っ・・・・・・!」ピク

大和「かなり凝ってますよ、よく今まで我慢していましたね」グニグニ

提督「うぅ~・・・・・・」

大和「~♪」グニグニ

116 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:40:42.58 Q1IxI1jM0 116/504


提督「大和、そういや休日はお前や他の皆は何しているんだ?」

大和「思い思いに過ごしていますよ。今日は皆さん出かけましたけど」グニグニ

大和「吹雪ちゃんと大鳳さんは甘味処巡りに、北上さんは文月ちゃんと一緒にアニフェスに、利根さんは街で開催されている中華料理の展覧会にお出かけです」グッグッ

提督「物の見事に出払ってるなぁ」

大和「皆さん提督を休ませるために出かけたんですよ」

提督「お前も出かけりゃよk・・・・・・」

大和「・・・・・・」グッ

提督「イダァァァァッ!? な、何すんだよ!?」ビクン

大和「・・・・・・サッシテクダサイヨ////」ボソッ

提督「・・・・・・」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「後は足も解しますね」モミモミ

提督「いっ・・・・・・!?」ビクゥ

大和「こうやって、足裏と足の甲を強めに指圧、足首を解して、脹脛を揉みほぐして」

グッグッ グニグニ・・・・・・

モミモミ モミモミ・・・・・・

提督(足の疲れが・・・・・・和らいでく・・・・・・)ホッコリ

大和「提督、少し痛いけど我慢してくださいね?」

提督「へ?」

グゥゥッ!

提督「っ!?!?(ひ、膝裏に親指をゆっくり押し込んできた!?)」ビクゥ

大和「膝裏にはリンパ管が通っている他、腰痛のツボもあります。ここをマッサージしたら、足先の老廃物なども取り除けますよ」グニグニ

提督「い、イギギギギッッッ・・・・・・!!」ナミダメ

117 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:41:19.62 Q1IxI1jM0 117/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

大和「終わりですよ提督、どうですか?」

提督「・・・・・・!」グルグル グキグキ

提督「マジか、体が軽い!?」ギョッ

大和「良かった、体の疲れはとれたみたいですね」ニコッ

提督「あぁ、ありがとう」

大和「では、お昼にしましょう。軽く作りますので」スッ

提督「いや、マッサージしてもらったから次は俺が」

大和「提督」

提督「な、何だ?」

大和「言ったはずですよ? 今日は提督には休んでいただきますって」

提督「・・・・・・分かったよ、任せる」

大和「はい」ニコッ

ーー
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118 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:41:59.17 Q1IxI1jM0 118/504


提督「・・・・・・」モグモグ

大和「お~いひぃ~♪」パクパク

提督「お前の中じゃ軽い食事は山盛りのご飯三杯とオカズの事なのか・・・・・・?」

大和「はい。戦艦大和は凄まじい燃料を必要としますから」ムシャムシャ

提督「まぁ、それは艦娘やってりゃ仕方ねぇか(空母勢が小食に見えてくるぜ・・・・・・)」

大和「・・・・・・ご迷惑でしょうか?」シュン

提督「お前はその消費量に見合う以上の活躍をしているさ、迷惑なんかしてねぇよ」ズズッ

提督「ごちそうさん大和、じゃあ俺はこの辺で・・・・・・」スタスタ

大和「また執務室・・・・・・ですか?」ジトー

提督「っ!?」ギクッ

大和「許しませんよ提督? 午後の部もありますからね」

提督「・・・・・・はい(まだあんのかよ・・・・・・頼むからもう解放してくれ・・・・・・)」ズーン

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119 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:42:34.05 Q1IxI1jM0 119/504


提督「・・・・・・で、午後の部って?」

大和「はい、耳かきをさせていただきます」

提督「み、耳かき?」キョトン

大和「はい。最近耳が痒いと言っていましたし」つ耳かき棒

提督(耳かきか・・・・・・小さい頃はよく高雄姉や榛名姉に膝枕してもらいながら耳掃除してもらったなぁ)

提督「分かった、じゃあ頼むよ」スッ

大和「? 膝枕はしませんよ?」キョトン

提督「え?」

大和「提督、膝枕での耳かきは癒しとしてはよろしいですが、衛生的にはあまりよろしくありません」

提督「へぇ、じゃあどうすりゃいいの?」

大和「提督、胡座をかいていただいても?」

提督「? かいたぜ」スッ

大和「では・・・・・・失礼します」スッ

提督「なっ!?////」

大和「・・・・・・////」ドキドキ

提督(な、何が起きた!? 何故大和は俺の胡座の上に対面で座ってんだ!?////)カァァ

120 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:43:14.29 Q1IxI1jM0 120/504


大和(うぅう、提督の胡座の上に対面で座るだなんて、大和ただの変態じゃないですか! 北上さんはこれが一番効果的って言ってましたけど本当にこれで大丈夫なんですかぁっ・・・・・・!?////)カァッ

大和「お・・・・・・重くないですか?////」

提督「い、いや、そんな事・・・・・・////」

大和「良かった・・・・・・。では、始めますね」スッ

ショリショリ サリサリ カッカッ

カリカリ スーッスーッ チョイチョイ

提督(ま、待て待て、一気に色んな事が起こりすぎだ、キャパ超えちまう!!////)ドキドキ

提督(み、耳には優しく丁寧な快感。しかも大和のいい匂いがしてくる・・・・・・!!////)ドクンドクン

提督(そ、それに・・・・・・////)

大和「かなり溜まってますよ、提督」クイクイ

ムニュゥゥウ

提督(対面だから大和の豊満な柔らかい胸が押しつけられ・・・・・・てか、潰れて形変わってる!!////)バクンバクン

提督(逃げようにも大和が後ろに足を回してしっかり固定してやがるっ!!////)

大和「ふぅぅ~・・・・・・」フーッ

提督「っ!?////」ビクン

121 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:43:57.23 Q1IxI1jM0 121/504


大和「後は大きいのがここに・・・・・・」スッ

サリサリ コリコリ チョイチョイ

カリカリ コッコッ ショリショリ

大和「つ、次は反対側ですよ////」

提督「お、おう・・・・・・!!////」クルッ

ショリショリ カッカッ

大和「こちらも溜まってますよ」クリクリ

提督「っ・・・・・・////」

大和「ふぅぅ~・・・・・・」フーッ

提督「っ!?////」ビクゥ

大和「提督、お耳が弱いのですか?」

提督「・・・・・・////」フイッ

大和「ふふ・・・・・・////」クスッ

大和「可愛いです・・・・・・////」ヒソッ

『櫂ちゃん、耳かきしてあげる!』

『櫂ちゃんお耳弱いの? 可愛い・・・・・・!』

提督「っ!」

大和「提督?」

提督「もういい大丈夫だ、ありがとう」ググッ

大和「え?」スッ

122 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:44:38.10 Q1IxI1jM0 122/504


提督「かなり休んだ、もう十分疲れはとれたから」ググッ

大和「執務室は駄目ですよ」

提督「何もしねぇと逆に不安だわ、何かさせてくれよ」

大和「ワーカーホリックじゃないですか!! 尚更息抜きが必要です!」ガビーン

提督「ワーカーホリックで結構だ、お前らを戦場に駆り出して自分が何もしねぇのはしょうに合わねぇ」スッ

大和「あ、ちょっと提督!!」ウデツカミ

提督「は、離せ大和、いい加減にしろ!」ググッ

大和「いい加減にするのは提督です!!」ガバッ

提督「おわっ!?」グラッ

ドシィィィィン・・・・・・

提督「痛たた・・・・・・大丈夫か、大和?」セナカウッタ・・・・・・

大和「・・・・・・何で」

大和「何で提督は、自分をもっと大事にしてくれないのですか!!」キッ

提督「はぁ?」

大和「いつもいつも、貴方は大和達の負担を減らして。その分を自分一人で片付けようとして! 挙句倒れそうになってもまだ休もうとしない!!」ジワァ

提督「・・・・・・」

123 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:45:42.35 Q1IxI1jM0 123/504


大和「もっと大和達を頼ってください。大和が駄目なら吹雪ちゃんや北上さん、大鳳さんに文月ちゃん、利根さん! 誰かしらに頼ってください!!」ツーッ

大和「大和は提督が倒れるなんて嫌です! 仕事でも私情でも提督がいないと駄目なんです!!」ポロポロ

提督「!? ・・・・・・どういう意味だ?」

大和「・・・・・・!?////」ハッ

提督「私情ってどういう事だ・・・・・・!」

大和「・・・・・・です・・・・・・」

提督「あ?」

大和「・・・・・・好きなんです! 提督の事が!!/////」

提督「なっ!?////」

大和「異性として・・・・・・好きなんです。着任してから心の何処かで提督が気になっていました////」

大和「一緒に暮らすうちに提督に恋心を抱くようになりました・・・・・・////」

提督「・・・・・・」

大和「ぐ、軍属の身である故にといった理由も承知の上です。それを踏まえて大和の想いをお伝えさせていただきます////」

提督「・・・・・・俺は・・・・・・」

ガチャ・・・・・・

提督大和「!?」ビクゥ

吹雪「ただいま帰りまし・・・・・・」

大鳳「ただい・・・・・・ま・・・・・・」

北上「提督ー、土産買ってき・・・・・・」

文月「ただいまぁ」

利根「ん? お主ら何を・・・・・・」

大和「あ・・・・・・」提督を押し倒し中

提督「」大和に押し倒され中

ポクポクポク・・・・・・チーン

艦娘「・・・・・・ごゆっくりと」ススス

大和「ち、違っ!////」アワアワ

提督「ちょ、おい待てお前らぁ!?」アセアセ

吹雪「大丈夫です、司令官と大和さんが存分に楽しめるように・・・・・・」b

北上「明日の朝まで緊急時以外取りつがないから」b

大鳳「ご武運を」b

文月「がんばぁ」b

利根「ごゆるりと・・・・・・」b

パタン

大和「あ、あぅぅう・・・・・・////」カァァ

提督「あ、あいつらぁ・・・・・・////」アタマグシグシ

124 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:46:39.65 Q1IxI1jM0 124/504


大和「も、申し訳ございませんでした・・・・・・////」

提督「いや、こっちも悪かった」

提督「・・・・・・大和」

大和「・・・・・・はい」

提督「お前の気持ちは分かった。俺としてはお前みたいな美人に告白されてすげぇ嬉しい。出来るなら俺だってその想いに応えてやりたい・・・・・・」

大和「・・・・・・」

提督「けど、俺は今の時点では誰かを異性として愛する事はできない。許してくれ」

大和「・・・・・・分かりました」

提督「ごめんな」

大和「・・・・・・ですが、思い焦がれる勝手は許してください」ニコッ

提督「それは構わねぇさ」

大和「・・・・・・では、夕食にしましょう」スッ

スタスタ・・・・・・

提督「・・・・・・女々しい野郎だな、俺は」

提督(亡くなった奴に未だ好意を寄せ続けるなんて・・・・・・。区切りをつけて、さっさと前に進むべきなのは俺自身が一番よく理解してる。でも頭が理解しても感情は納得してくれねぇ)ツーッ

提督「教えてくれ・・・・・・俺はどうしたらいいんだ・・・・・・なぁ」ポロポロ

提督「・・・・・・頼むから・・・・・・誰か・・・・・・」ポロポロ

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提督寝室前 廊下

大和「・・・・・・」

大和「提督・・・・・・」

125 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:47:19.31 Q1IxI1jM0 125/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

タッタッタッタッ・・・・・・

提督(9歳)「くそ、くそ! くそっ!!」タッタッタッ

提督「何でアイツら! 皆のお陰で生きていられるってのに!!」

提督「父さんや皆もそうだ! あんな事言われて何で平気なんだよ!」

ピタッ

提督「はぁ、はぁ・・・・・・」キョロキョロ

提督(・・・・・・夢中で飛び出して来たけど、ここ何処だ?)

提督「・・・・・・街のこっち側なんて来たの初めてだ」

コノ!

ノロワレタイチゾクメ!

提督「ん? 誰かいんのか?」スタスタ

「っ・・・・・・!」ボロッ

男子1「呪われた一族!」ゲシッ

男子2「化け物女!」バシッ

男子3「俺達が退治してやる!」ドカッ

提督「なっ!?」ギョッ

提督(女の子がいじめられてる・・・・・・!)ダッ

提督「お前ら女相手に何してんだよ!」

男子1「!?」

男子2「やべ!」

男子3「逃げろ!」

タッタッタッタッ・・・・・・

126 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:49:00.51 Q1IxI1jM0 126/504


提督「何だアイツら、さっさと逃げやがって」

提督「お前、大丈夫だったか?」

「・・・・・・」フイッ

提督「おい、返事しろよ。大丈夫なのか?」グイッ

「っ・・・・・・!?」

提督「!?////」ハッ

「・・・・・・不気味でしょ? こんな光る目・・・・・・」

提督「綺麗だ・・・・・・////」

「へ・・・・・・!?////」カァァ

提督「あ、いや、その目がすげぇ綺麗でさ! 見とれちまってよ////」アセアセ

(この子だって・・・・・・口では何とでも言えるわ)キィィ

提督(この子の目、紫色が混じってんのか。何か宝石みたいで本当に綺麗だなぁ)

(!? ・・・・・・そんな、まさか)

提督(つーかこの子、今は傷だらけだけど、すっげぇ可愛い顔してんなぁ。何でいじめられてたのか不思議なくらいだ)

「っ!?////」

提督「? まぁ、大丈夫そうだから良かったよ。じゃあ、気を付けて帰れよ」スッ

「! 待って!」

提督「?」

「君、名前は?」

提督「・・・・・・櫂。海原 櫂」

「櫂・・・・・・」

提督「で、そういうお前は?」

「・・・・・・耶麻(やま)。眞祓井(まはらい) 耶麻よ」

提督「それで、わざわざ名前聞くために呼び止めたのか?」

ヤマ「ううん。ちょっと遊ぼ?」ニコッ

提督「っ!?////」ドキッ

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ーーーーーー

127 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:49:51.18 Q1IxI1jM0 127/504


近くの公園

提督「耶麻はこの辺の子なのか?」

ヤマ「うん! あそこの丘にあるのが私の家だよ!」スッ

提督「へぇ、あの大きな屋敷は耶麻の家だったのか!」

ヤマ「櫂君って、私と同じ10歳だよね? 何処の学校?」

提督「? 学校なんか行ってねぇよ。そして俺は9歳だ、遅く産まれたからな」

ヤマ「えっ?」ギョッ

イタカ!

イエ、ミツカリマセン!

ヤマ「! あの人達誰?」

提督「ちっ! 憲兵だ」

ヤマ「ケンペー? 何それ?」

提督「軍の警察だよ。そういや逃げてんの忘れてた」

ヤマ「逃げてる? どういう事?」

ヤマ(憲兵(警察)から追われてる→悪い事をした→捕まったら少年院行き→二度と会えないかもしれない)サァァ

提督「じゃあそろそろ逃げるわ。ありがとう、会話できて楽しかったよ」スッ

ヤマ「っ! 駄目!」ガッ

提督「え!? ってうわぁ!?」グラッ

ドサッ

提督「痛た、背中打った・・・・・・大丈夫か?」

ヤマ「悪い事したらちゃんと謝らなきゃ駄目!」提督に馬乗り

提督「? はぁ?」キョトン

ヤマ「私も一緒にごめんなさいするから。逃げちゃ駄目だよ!」

提督「悪ぃ、何言ってんのかさっぱり分かんね・・・・・・」

??「見つけたで、櫂!!」

提督ヤマ「っ!?」ビクゥ

??「ほんまにお前は迷惑かけおってからに! ガンさんや団長がエラい心配しとったで!」

提督「げっ!? あ、兄ぃ!?」ギョッ

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ーー

128 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:50:44.65 Q1IxI1jM0 128/504


提督「・・・・・・ん?」

提督(ここは・・・・・・俺の部屋か。そうだ、飯の後帰ってそのまま寝落ちしちまったみてぇだな)

提督(久しぶりにアイツの夢を見た・・・・・・枕元がびしょ濡れだ)グシグシ

ポタッ・・・・・・

提督「ん? 何だ?(水漏れ・・・・・・にしては温かい水だな)」

大和「・・・・・・」ツーッ

提督「おわぁ!?」ビクゥ

大和「きゃあ!?」ビクゥ

提督「な、何だ大和か・・・・・・」

大和「お、おはようございます、提督」

提督「おはよう。・・・・・・とりあえずお前に三つ聞きたい」

大和「はい?」

提督「まず、どうやって中に入った?」

大和「妖精さんに合鍵を・・・・・・」

提督「・・・・・・そして、何で泣いてんだ?」

大和「分かりません・・・・・・提督が寝ながら泣いていらっしゃるのを見たら何故か涙が溢れてきたんです」グシグシ

提督「・・・・・・」

大和「・・・・・・そして三つ目の質問は、『何の用事で、こんな夜這い紛いな行為をしに来たんだ?』で、よろしいでしょうか?」

提督「!? ・・・・・・あぁ(何で分かんだよ、一瞬寒気がしたぜ)」ギョッ

大和「大本営から連絡が来ましたので」

提督「は? 何て?」

大和「『Hey! カイ!今日は私達がカイのteachingのassistantに行きマース!』、『鎧袖一触です』、『胸が熱いな』・・・・・・との事です」

提督「・・・・・・ほぼ把握した(後ろ二つは何が言いてぇのか普通分かんねぇよ)」

提督「大和、『今日は大本営から特別講師がお見えになる』って皆に伝えてくれ」

大和「分かりました」スタスタ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

129 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:51:27.01 Q1IxI1jM0 129/504


執務室

大和「お見えになられました」スタスタ

提督「ん、分かった」

ガチャ

金剛「Hey! カイ! 久しぶりデース!」

比叡「久しぶりー!」

榛名「元気にしていましたか?」

霧島「ちゃんと仕事している?」

提督「久しぶり、金剛姉、比叡姉。元気さ、榛名姉。今してんだろ、霧島姉」ニッ

加賀「久しぶりね、櫂。急に押しかけてごめんなさい」

提督「加賀姉、久しぶり。まぁ確かに、出来れば前日に連絡欲しかったな」ニッ

長門「元気そうで何よりだ。少し焼けたな?」

提督「長門姉、そっちこそ少し日焼けしたんじゃねぇか?」ニッ

榛名「金剛お姉様が言ったように、今日は榛名達が、櫂の授業を手伝いますよ」

提督「何言ってんの、手伝うんじゃなくて、授業を開いてもらうからな」

比叡「まっかせて!!」

提督「あ、比叡姉は見学な」

比叡「何で!?」ガビーン

霧島「た、確かに」カチャカチャ

金剛「比叡、大人しくしてるデース」

比叡「ヒェェェ」ガーン

130 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:52:10.86 Q1IxI1jM0 130/504


大和「・・・・・・」

金剛「! Youが噂の大和デスネ?」

大和「あ、はい! 初めまして!」ペコッ

金剛「今日は私達がビシバシ鍛えマース! 着いてきてくださいネー!!」

長門「大和型とは試合した事が無い、楽しみだ」

大和「は、はい・・・・・・」

提督「じゃあ最初に、金剛姉に英語を教えてもらうな。後は鬼トレに参加してくれ」

加賀「分かったわ」

長門「任せろ」

比叡「気合い! 入れて!! 頑張ります!!」

霧島「腕が鳴るわ」ゴキゴキ

提督「既にやる気満々だなオイ!?」ギョッ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

教室

提督「えー、今日の英語は俺じゃなくて別の人に教えてもらう」

吹雪「誰でしょうか?」

文月「分かんな~い」

北上「まぁ、今日はあのチョーク弾が飛んでこないみたいだねぇ」フゥ

大鳳「き、北上さん・・・・・・」アセアセ

利根「とはいえ、お主が教鞭を持たせるからにはさぞかし素晴らしい教師なのじゃな」

提督「あぁ。幼い頃、俺に英語を教えてくれた教師だ」

大和「・・・・・・」

131 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:52:51.43 Q1IxI1jM0 131/504


金剛「Hello, everyone! My name is Kongou! Nice to meet you!」

吹雪「な、Nice to meet you, too」

北上「な、何だ金剛さんか、びっくりしたぁ」

金剛「・・・・・・」ヒュン

バシィィィィッ!

北上「痛ぁぁっ!?」マタチョーク!?

金剛「Hey! Ms. Kitakami! We don't speak Japanese in this class.OK?」

北上「お、OK・・・・・・!」ゾワッ

艦娘「っ!!」ゴクッ

提督(懐かしいなぁ、金剛姉の英語講座。授業中は一切英語以外喋らせてくれなかったっけ・・・・・・)シミジミ

比叡(英語を教える時のお姉様は一切容赦ないからなぁ)ウンウン

榛名(よく櫂も怒られていましたね)ニコニコ

霧島(尤も、何故か金剛お姉様の方が精神的ダメージを負っていましたが・・・・・・)カチャカチャ

艦娘(スパルタ過ぎる・・・・・・!!)

132 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:53:27.67 Q1IxI1jM0 132/504


ーー
ーーーー
ーーーーーー

金剛「フーっ! I'm sorry. 皆に厳しくしすぎでしたネー」

吹雪「い、いえ! どうもありがとうございました!」

北上「あの1時間だけで8発もチョーク弾撃たれたよ」ヒリヒリ

金剛「北上はわざと日本語喋ってたデース!」

大鳳「何やってるんですか、北上さん」

利根「吾輩は一発も食らっておらんぞ」

文月「利根ちゃん英語嫌いなのにねー?」

ワイワイ

比叡「流石はお姉様です!」

榛名「皆さん優秀ですね。榛名感激です!」

提督「まさか俺らまでグループワークの頭数に入ってるとは思わなかったぜ」

霧島「ま、まぁ楽しめたでしょ?」

加賀「やりました」つ85点 キラキラ

長門「英語は苦手だ・・・・・・」つ83点 クッ

提督「で、何で加賀姉と長門姉は二人で競い合ってんの?」アキレ

比叡「気にしたら負けだよ、櫂」

133 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:54:10.05 Q1IxI1jM0 133/504


提督「お前ら昼休みだ。昼飯食ったら鬼トレやるぞ」

長門「やっとか。胸が熱いな」

榛名「お昼はどうするの?」

提督「当番制。今日は確か吹雪だったな」

吹雪「が、頑張ります!」フンス

ーー
ーーーー
ーーーーーー

吹雪「どうぞ、今日は蕎麦です」

金剛「Oh! Japanese foodデース!」キャッキャッ

比叡「わーい!」

霧島「ごめんなさいね、私達の分まで」

吹雪「いえ。司令官の御家族ですので」ニコッ

榛名「・・・・・・」

吹雪「あ、榛名さんは確か蕎麦アレルギーでしたよね? これは大丈夫ですか?」つ焼きそば

榛名「あ、焼きそばは大丈夫です・・・・・・って、何故榛名のアレルギーを?」

吹雪「司令官が教えてくれたんです!」

大和「『榛名姉は焼きそばが大好きだ』って、いつも焼きそばの時は仰ってましたよ」

榛名「榛名は幸せです・・・・・・。あの子がこんないい子に育ってくれて」ブワッ

金剛「Oh、榛名! 泣いたら折角のpretty faceが台無しネー」

比叡「ほら、ティッシュ」つティッシュ箱

榛名「お姉様! 榛名は、榛名は・・・・・・!」ズビビーッ

134 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:54:53.44 Q1IxI1jM0 134/504


霧島「良かったわね榛名。貴女の愛情はあの子にちゃんと届いていたみたいよ」

提督「仕事終わらして来てみたら、一体何の騒ぎだ?」

北上「まぁまぁ、今日は身内も来てんだからさ」

文月「楽しいご飯だねぇ」

大鳳「は、はい!」ダラダラ

利根「涎を拭かんか、大鳳」つハンカチ

提督「じゃあ皆、さっさと食って鬼トレするぞ」パン

提督「いただきます」

吹・文・北・大・利「いただきます!」

大和「いただきます」

金剛「イタダキマース!」

比叡「いただきまぁす」

榛名「いただきます」

霧島「いただきます」

長門「いただきます!」

加賀「いただきます・・・・・・」

赤城「いただきます!!」

一同「・・・・・・」

赤城「? 皆さんどうしました?」ムシャムシャ

艦娘「誰だアンタ!?」ギョッ

135 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:55:47.63 Q1IxI1jM0 135/504


加賀「あ、赤城さん!?」

提督「赤城姉いつの間に!?」

赤城「はい! お久しぶりです櫂。加賀さん、何で私を呼んでくれなかったんですか!」

加賀「え、いや、その・・・・・・」

長門「お前を呼んだら櫂の鎮守府の食糧があっという間に蒸発してしまうだろうが」

提督(アンタらもかなり食ってるけどな)

吹雪「えっと、お知り合いですか?」

提督「赤城姉。大本営の最高戦力の一人だ」

北上「・・・・・・マジ?」ポカーン

大鳳「正規空母の、しかも一航戦のお二人に会えるだなんて」キラキラ

大和「段々面子がすごい事になっていきます・・・・・・」

利根「何を今更・・・・・・」

文月「司令官、もう半だよぉ?」

提督「何っ!? お前らさっさと食え!」ガツガツ

艦娘「は、はい!!」パクパク

赤城「そんな急いで食べたら詰まらせますよ?」ムシャムシャ

金剛「誰の所為だと思っているネー」ハァ

ゲッホゲホッ、ミ、ミズ・・・・・・

ダ、ダイジョウブカ、キタカミ!? つ水

ア、アザッス、ナガトサン ゴクゴクゴク

ーー
ーーーー
ーーーーーー

136 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:56:36.01 Q1IxI1jM0 136/504


提督「よし、じゃあ組手を始めるけど、今回は大本営の艦娘達がお前らの相手をしてくれる」

長門「待ちくたびれたぞ・・・・・・」ボキッボキッ

霧島「やっとね・・・・・・!」ゴキゴキ

大和「や、やる気満々ですね」ニガワライ

北上「でもさぁ提督、あたし達相当強いと思うんだよねぇ」

提督「まぁな。でも上には上がいるもんだぜ?」

利根「じゃが、正直今の吾輩達ならばいくら大本営の艦娘であろうとそれなりに渡り合えよう」ニヤリ

吹雪「ちょ、北上さん、利根さん!」アセアセ

長門「なかなかに威勢がいいな」

北上「だからさ提督。なーんも心配要らないよ。のほほんと観戦してなよ」

提督「ほー、随分な自信だ。じゃあ俺は一切お前らを心配しねぇからな、後悔するなよ?」ピクピク

大和「・・・・・・」

北上「まぁまぁ、サクッと終わらせるよん」

利根「うむ。吾輩達の力を思い知らせてやるからな」ビシッ

文月「自信満々~」

提督「文月、ああいうのを死亡フラグって言うんだ・・・・・・」

137 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:57:08.16 Q1IxI1jM0 137/504


提督「先ずは北上。比叡姉が相手だ」

北上「よろしくね~」

比叡「こちらこそ!」

提督「始め!」

比叡「先手必勝!」ダッ

先に仕掛けたのは比叡。高速戦艦の機動力を駆使して北上に突っ込む

北上「甘いよ・・・・・・!」サッ

柔よく剛を制すを体現している北上はその一直線の攻撃を避けようとするが

比叡「気合い! 入れて!!」ダンッ

高速戦艦の脚は予想以上の速さであった

北上(っ!? 速っ!!)ギョッ

比叡「打ちます!!」ブンッ

ズドォォォォォォン!!

北上「あっぶなぁ・・・・・・!」ゾワッ

北上(動きが速い! それにあのパンチ・・・・・・)チラッ

比叡「ヒェェェ! ぬ、抜けないぃぃ!!」ジタバタ

長門「・・・・・・何をやっているんだ、比叡は」

北上(地面にめり込んでる・・・・・・! 冗談キツイよ)ゾッ

138 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:57:43.90 Q1IxI1jM0 138/504


ただし身動きの取れない今がチャンス。北上は背後に周り、手刀を構える

北上「隙あり!」サッ

ズボッ!!

比叡「あ、抜けた!! えい!」ブンッ

北上「え!?」

正に首に手刀を寸止めしようとした直後、比叡が地面から拳を抜き、そのままの勢いで回転しながらの左ストレートを放つ。突然の事に北上は対応しきれず

バキィッ!!

北上「うわぁっ!?」

ドサッ

提督「そこまで、勝者比叡姉!」

比叡「だ、大丈夫でしたか?」

北上「ジョブジョブ。いつつ・・・・・・、まさかあたしがペースを崩されるなんて」ヨロヨロ

北上「い"っ!?」ガクッ

比叡「おっと!」ガシッ

北上「あ、ありがと(参ったなぁ、たった一撃もらっただけで身体に力が入らないや)」

文月「北上ちゃん大丈夫ぅ?」オロオロ

北上「大丈夫・・・・・・じゃないかも」

提督「フラフラじゃねぇか、休んでろ」

吹雪「北上さんが一撃でああなっちゃうなんて・・・・・・」ゴクッ

139 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:58:32.70 Q1IxI1jM0 139/504


提督「次、利根と霧島姉だ」

利根「お手並み拝見じゃな」

霧島「ふふふ、こちらこそ」カチャカチャ

提督「始め!」

利根「往くぞ!」ダッ

霧島「・・・・・・」

利根が接近し、得意の蹴りを放つ

利根「はぁっ!」ブンッ

霧島「・・・・・・」スッ

利根「っ!?」ピタッ

下から蹴り上げようとした矢先に霧島が徐ろに出した左手。それを見た利根は動物的直感で攻撃を中断した

霧島「! ・・・・・・あら」

文月「? 何で利根ちゃん蹴らなかったのぉ?」

北上「霧島さんが手を出したでしょ。掴みにくる可能性があるからねぇ」

霧島「次は私ね」スッ

利根「!!」バッ

霧島「ふっ!!」ブンッ

霧島が大振りのパンチを放つ。それを利根は

利根「そこじゃ!」サッ

紙一重でしゃがみこみ躱す。と同時に相手の懐に飛び込み

霧島「!?」

ズドドドドンッッッ!!

吹雪「大振りのパンチを躱して顎と顳?に二発ずつの蹴り!」

大和「流石利根さんです!!」

利根「決まった!」

利根(この場所に攻撃を当てられたら、普通の人間ならば神経が断たれて命の危険すらある! じゃが人間より強靭な艦娘、しかも戦艦ならば大丈夫じゃろう)

利根(とはいえ、流石の戦艦も脳が揺れて気絶は必至・・・・・・)

提督「・・・・・・」

140 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:59:15.44 Q1IxI1jM0 140/504


霧島「・・・・・・流石は利根ちゃんね」

利根「な!?」ギョッ

霧島「目のつけ所はいいわね。確かに並大抵の戦艦なら危なかったわ」コキコキ

吹雪「脳が揺れて動けないはずなのに・・・・・・何で!?」

提督「無駄だ。霧島姉には小細工は一切通用しねぇ・・・・・・」

北上「・・・・・・怖」ゾワッ

霧島「さぁ、次は私の番ね」

利根「くっ!」ジリッ

霧島「マイク・・・・・・チェック!」

バキキキッ!

霧島が叫んだ直後、その右足の下にある地面に突如ヒビが入る

艦娘「ひっ!?」ビクッ

吹雪「霧島さんの右足の地面が急に砕けた!?」

金剛「Oh! 霧島が本気デース!」

大和「な、何故分かるのですか?」

加賀「周りの地面が砕けるほど、霧島さんが強く踏みしめたんですよ」

長門「あれは霧島が抑えていた筋力を解放した証拠。いわばエンジン点火の合図だ」

霧島「ワン!!」

ビキキキッ!

赤城「左右を交互に砕いた後・・・・・・」

霧島「ツー!!!」

バキィィィィッッッ!!

ビキビキバキバキ!!

轟音と共に霧島の周辺の地面は一気に砕けた。しゃがみこんだり、足踏みをしたわけでもない。ただ足に力を込めただけで辺りにこれだけの衝撃が走るのだ。利根は相手の抑えていた筋力の規模にただ呆然としていた

比叡「両方の足で同時に踏みこんで一気に周辺の地面を割る」

榛名「この威嚇のような現象が霧島の本気の合図なんです」

提督「グラウンドが・・・・・・また直すのに多額の費用が・・・・・・」ズーン

141 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 21:59:52.61 Q1IxI1jM0 141/504


霧島「」ヒュンッ

利根「なっ!?(は、速い! 一瞬で懐に!?)」ハッ

霧島「ふっ!」ブンッ

利根「はぁっ!」ブンッ

バキィィィィッ!!

霧島「!」

一瞬で懐に入った霧島のパンチと利根の蹴りが激突した直後

ミシッ バキバキバキッッッ

利根「っ!? あぁあっ!?」ズキズキ

長門「・・・・・・足が砕けたか」

ドサッ

霧島「・・・・・・まだやる気?」

利根「無論! と言いたいとこじゃが、足が砕かれてはな・・・・・・降参じゃ」

提督「勝者、霧島姉!」

霧島「ちょっとやり過ぎたわ、ごめんなさい」

利根「構わんよ、吾輩の全力じゃったが・・・・・・」

提督「だから言ったろ、後悔するって」

北上利根「面目ない」シュン

提督「とりあえず休んでろ。妖精さん後頼んだ」

妖精「任された。ほら二人共傷見せて・・・・・・」イソイソ

提督「さてと、次は・・・・・・」チラッ

大鳳「っ!?」ビクッ

提督「・・・・・・大鳳は個人演習だな。赤城姉、加賀姉、悪ぃけど大鳳に色々教えてあげてくれねぇ?」

加賀「分かったわ」

赤城「空母ですからね」

大鳳「よ、よろしくお願いします!」ペコッ

加賀「とりあえず艦載機について教えた後、体術も指導するわ」

大鳳「はい!」

142 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:00:45.01 Q1IxI1jM0 142/504


提督「さてと誰かやりたいやついるか?」

吹雪「わ、私が行きます!!」

長門(・・・・・・ほぅ。先程の試合を見て尚挑戦にくるか)ニヤリ

長門「ならば相手は私が引き受けよう」ザッ

提督「先言っとくけど、長門姉はさっきの二人よりずっと強ぇぞ。それでもいいのか?」

吹雪「愚問です! 司令官、私の事も心配しないであくまで審判として行動してください!」キッ

提督「! そうか。なら始め!」

長門「さぁ吹雪、好きに打ってくるがいい」ドン

吹雪「!? (長門さん、腕を組んだまま仁王立ちしてる。でも、本人もああ言ってるし、ここは言う通りに!)」グッ

吹雪「行きます!!」バッ

ダンッ

吹雪「やぁぁっ!!」

バキッッッ!!

長門「・・・・・・」

吹雪の体重を乗せた一撃を長門は防ぐ素振りもせずにただ受ける。吹雪は即座に得意の乱打を打つ

吹雪「はぁぁぁっ!」バババ

バババババババババッッッ!!

長門(ふむ、なかなか重いな。それでいて一発一発を確実に当てにきている)

吹雪(手応えはあるのに全然効いてない!? 長門さん眉一つ動かさないなぁ)クッ

吹雪「やぁぁっ!!」ブンッ

バシィィィィッ

バシバシバシィィィィッ

長門「!」

長門(乱打に蹴りを加えてきたか)

吹雪「利根さん直伝!」グルンッ

その場で長門の頭上まで跳躍した吹雪。空中で一回転し、遠心力を加えた踵落としを脳天に叩き込む

バキィィィィッッッ!!

長門「・・・・・・(空中で一回転して頭に踵落としか。流石は初期艦娘、素晴らしい身のこなしだ)」

吹雪「・・・・・・ダメージゼロですか」スタッ

長門「? どうした、もう終わりか?」

吹雪「・・・・・・さっきのは私の最高の攻撃だったんですけど・・・・・・」

長門「そうか。なかなかの攻撃だったぞ」

吹雪「ありがとうございます・・・・・・ですが、ガードすらしないで無傷だなんて」

長門「一般基準ならば十分、超人クラスだ。さて、私も反撃するとしようか・・・・・・」

スッ・・・・・・

吹雪「? (組んでた腕を解いて下ろs・・・・・・)」

143 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:01:27.17 Q1IxI1jM0 143/504








ズドドドドドドドドドンッッッ!!






144 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:02:40.21 Q1IxI1jM0 144/504


吹雪「ガハッ!?」ヒュン

ドカァァァァァァァァァンッッッ!!

大和「・・・・・・!? なっ!?」ギョッ

文月「・・・・・・え?」

吹雪「な、何・・・・・・?」パラパラ

大和「な、何が起きたんですか!?」

大和(長門さんが組んでいた腕を解いて下ろした瞬間、吹雪ちゃんが一瞬であそこの壁に叩きつけられていた・・・・・・)

文月「み、見えなかったよ・・・・・・何が起きたのぉ?」ガタガタ

提督「早速十八番を出しやがった・・・・・・」ゾクッ

吹雪「うっ・・・・・・」ドサッ

吹雪「ゲホゲホ、ガハッ・・・・・・」ゴパッ

大和「ふ、吹雪ちゃん!!」

文月「血が出てるよぉ」ポロポロ

長門「・・・・・・」スタスタ

ザッザッザッ・・・・・・

吹雪「う・・・・・・うぅ・・・・・・」ググッ

長門「これほどのダメージを負ってなお、その戦意は衰えず・・・・・・か」ザッ

吹雪「と・・・・・・う・・・・・・然・・・・・・です・・・・・・っ!」ボタボタ

長門「見事だ。お前とはもっと楽しみたいものだが、肋の砕けたお前はもうまともに動けん。死んで櫂や他の皆を悲しませるのがお望みか?」

吹雪「(敗けられない! 初期艦の私が強くなきゃいけないんだ・・・・・・!!)まだ・・・・・・まだ・・・・・・!!」キッ

提督「レフェリーストップだ、吹雪」スッ

吹雪「! 司令・・・・・・官・・・・・・」ポロポロ

妖精「ほら吹雪、早く傷を!!」セカセカ

長門「・・・・・・大人げなくしてしまったな。すまない」

吹雪「いえ・・・・・・ありがとうございました」

提督「・・・・・・」チラッ

提督は文月を見る

文月「・・・・・・」ガタガタ

文月は顔面蒼白で震えていた。無理もない、一瞬で吹雪が叩きのめされた場面を見たのだ。これでは試合どころではない

提督「・・・・・・(肉体的もあるけど、皆精神的ダメージが強過ぎるな。潮時か・・・・・・)」

提督「今日の訓練は終わr・・・・・・」

145 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:03:16.70 Q1IxI1jM0 145/504


大和「提督、次は大和の番です!」

提督「!?」

長門「!?」

大和「長門さん、次は大和とお願いします」

長門「・・・・・・後悔しないな?」

大和「はい!」スッ

長門「・・・・・・分かった」スッ

提督「・・・・・・いいんだな、大和」

提督「始め!」

大和「はぁっ!」ダッ

バシィィィィッ

長門「・・・・・・」

大和「行きます!!」

ドカッバキッゴキッ!!

ガンッゴンッドムッ!!

長門「っ・・・・・・!」

手数では吹雪に劣るものの、それを補って余りあるパワーで大和は殴り続ける。その重さに思わず長門は顔を顰める

大和「まだまだぁ!」グルンッ

バキィィィィッッッ!!

ドカァァァァッッッ!!

長門(くっ・・・・・・何という重さだ! 流石は大和型と言ったところか・・・・・・!)

乱打に回し蹴りを加え、更に激しく攻める大和。そして

大和「はぁぁぁっ!」

ズドォォォォンッッッ!!

ズザザザザッ・・・・・・

霧島「長門さんが・・・・・・」

榛名「動かされた・・・・・・?」

提督「・・・・・・」

146 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:04:04.02 Q1IxI1jM0 146/504


長門「流石だ、私の仁王立ちする場から動かせる者はそういないぞ」

大和「・・・・・・」

腕を組んだまま長門はゆっくりと大和に歩み寄る

長門「不器用な私の唯一の取り柄が武術だった。それ故に私が後進の艦娘や、櫂に教える事ができたのは闘い方だけだ」ザッザッザッ

提督「長門姉・・・・・・」

長門「私は闘いに於いては一切容赦はしない。覚悟ある相手に本気をもって返す、それが不器用な私なりの礼儀だ」

大和「はい、分かっています」

長門「さぁ、そろそろ私の番だ」スッ

大和「っ!?」バッ

147 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:04:44.82 Q1IxI1jM0 147/504








ズドドドドンッッッ!!









148 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:05:19.64 Q1IxI1jM0 148/504


長門「! ・・・・・・ほう」

大和「くっ・・・・・・!」ズザザザザッ

吹雪「! 防いだ!」

利根「何と!」

北上「・・・・・・マジ?」アングリ

文月「ほわぁ」キラキラ

金剛「WOW!!」

比叡「ひぇぇ!」

榛名「え・・・・・・!?」

霧島「私の記憶だと、この攻撃を見切ったり防いだ人は三人だけよ」カチャカチャ

大和「はぁっ、はぁっ・・・・・・!!」ゼーッゼーッ

長門「まさか一度目で私のあの技を防ぐとは、大したものだ」

大和(一瞬頭の中に、長門さんが大量のパンチを打ってくるイメージが浮かんだから思わずガードしましたが・・・・・・まさか本当に防げたなんて・・・・・・これは一体・・・・・・)

大和「あの攻撃の正体は、音速以上の速さで放たれた無数のパンチだったんですね」

長門「あぁ、その通りさ」

149 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:06:02.50 Q1IxI1jM0 149/504


長門「瞬く間に繰り出された20発以上の拳は、その速さ故に目視できず、ほぼガード不能。さしずめ、『瞬撃拳(しゅんげきけん)』とでも名付けようか」

大和「正に瞬きする間の神業です」ズキズキ

大和(両腕が動きませんね・・・・・・。確かに吹雪ちゃんが吹き飛ばされるのも納得です)

長門「投了しても構わんぞ。両腕を折られては力が出せまい」

大和「愚問ですよ、長門さん。私はまだ戦えます!!」ダッ

長門「全く・・・・・・」スッ

大和「次は食らわない!」バッ

長門「む? 横に跳んで躱したか」

大和「はぁぁぁっ!」ブンッ

長門「甘い!!」バッ

ズドォォォォンッッッ!!

大和「ガハッ!?」

利根「無駄のないハイキックじゃ・・・・・・」

ドシャッ・・・・・・

大和「う、うぅ、ま、まだまだ!」ググッ

提督「勝者、長門姉」

大和「な、何故ですか提督!?」

提督「背中が地面に付いたろ。熱くなってるとこ悪ぃけど、あくまでこれは試合であって殺し合いしてるんじゃねぇからな」

大和「!」ハッ

長門「小手先の技を見切ったからとて、油断するなよ」

大和「うぅ、完敗です」

提督「じゃあ今度こそ訓練は終わりだ。全員風呂入ってこい」スタスタ

妖精「ほら大和。傷にかけるからね」つバケツ

ーー
ーーーー
ーーーーーー

150 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:06:41.54 Q1IxI1jM0 150/504


利根「今更ながら、妖精の技術には驚くばかりじゃ。皆ボロボロになりながらも一瞬で傷が完治するとはのぅ」

霧島「足は大丈夫ですか?」

利根「うむ、心配無用じゃ」

北上「文月はちゃっかり無傷だけどね」チラッ

文月「?」

大鳳「・・・・・・」グテーッ

大和「だ、大丈夫ですか大鳳さん!?」

大鳳「い、一航戦のお二方、厳しすぎました」

ーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー

赤城「35番目と59番目の艦載機の反応が鈍いですよ大鳳さん!! 0.01秒遅れています!!」

大鳳「で、ですが、艦載機一つ一つに意識を集中させてもいくつかには意識が届きません」

加賀「そこが間違いよ。私達も艦載機一つ一つに意識を向けては直ぐに疲労するわ」

大鳳「へ?」

赤城「艦載機は空母(私達)にとって言わば手の様なもの。貴女は手を動かすのに一々意識をする必要はありませんよね?」

大鳳「!」

加賀「箸のようなものよ。最初は苦労するけど、慣れれば貴女は今の倍以上の艦載機を容易く正確に、長時間稼働させることが可能になります」

大鳳「うわぁ・・・・・・」キラキラ

赤城「艦載機を己の身体が如く操るには経験あるのみ! 正に箸の扱いと同じです!」

大鳳「はい!!」

ーー
ーーーー
ーーーーーー

151 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:07:31.18 Q1IxI1jM0 151/504


加賀「いくら空母とはいえ、艦載機ばかりに任せては駄目。だからこそ体術を身につけてもらうわ」

赤城「貴女自身がやられてしまっては元も子もないですからね」

大鳳「体術・・・・・・ですか? ですが空母は肉弾戦は向かないので、後方支援に徹するべきでは?」

加賀「いつ私達(空母)が後方に下がるべき存在と決めつけました?」

大鳳「えっ、あ、いや」アセアセ

加賀「つまり、貴女は私達空母が艦載機の扱いしか秀でていないとでも?」

大鳳「・・・・・・はい、正直」ボソッ

赤城(大鳳さんと同じ立場なら私もそう思いますね・・・・・・)ウンウン

加賀「・・・・・・頭にきました」ピキッ

大鳳「へ?」

加賀「一航戦の体術、見せてあげるわ」ボキボキ

大鳳「ひぃぃッッッ!?」

加賀「構えなさい大鳳さん。間合いを詰められた時の対処法を伝授します」

ーーーー
ーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー

大鳳「多分大和さんレベルです、あの人達の体術は」

榛名「かなり絞られちゃったみたいですね」

大鳳「はい、もうくたくたになっちゃいましたよ」

金剛「? そう言えば吹雪がいないデース」

比叡「あ、ホントだ」

文月「ちょっと部屋に戻るって言ってたよぉ」

長門「・・・・・・」

赤城「もしかしたら・・・・・・」

加賀「そうね」

提督「? どうしたよ皆、あれ、吹雪は?」スタスタ

152 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:08:15.09 Q1IxI1jM0 152/504


大和「提督」

提督「ん?」

大和「吹雪ちゃんが部屋から戻らないんです、見てきてもらってもいいでしょうか?」

提督「・・・・・・分かった」スタスタ

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コンコン

提督「吹雪いるか? 入るぞ」

ガチャ

吹雪「あ、司令官! すみませんつい夢中になってしまって・・・・・・」

提督「何に?」

吹雪「さっきの長門さんとの試合を書いていたんです。様々な事を学べたので」

提督「・・・・・・おい」

吹雪「やっぱり大本営の最高戦力はすごいですよね、私なんかじゃ足元にも及びません」

提督「・・・・・・吹雪!」

吹雪「あれですかね、きっと今とは比べ物にならないほどの死線をくぐり抜けてきたからこその実力ですよね!」

提督「吹雪!!」

吹雪「・・・・・・何ですか?」

提督「大丈夫か?」

吹雪「何がですか、私は至って大丈夫ですよ」

153 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:09:10.05 Q1IxI1jM0 153/504








提督「じゃあ何で、こっちを見て喋らねぇんだ?」







154 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:09:52.90 Q1IxI1jM0 154/504


吹雪「・・・・・・」

提督「お前いつも皆に言ってんじゃねぇか、『会話する時は相手の目を見て喋れ』って」スタスタ

吹雪「先に食べていてください、後で向かいますから」

提督「・・・・・・何で一人で我慢するんだ?」スタスタ

吹雪「我慢なんかしてません、いい加減にしてください!」

提督「そうか、なら」ガッ

グイッ

吹雪「っ!?」グルッ

提督「この大粒の涙は何だ?」

吹雪「っ~!!」ポロポロ

提督「全部吐き出しちまえよ。俺と一番長い付き合いじゃねぇか、遠慮すんなよ」

吹雪「司令・・・・・・官・・・・・・!」ポロポロ

ガバッ

提督「おっと」ダキッ

吹雪「悔しい・・・・・・悔しい悔しい悔しい!! 悔しいです・・・・・・!!」ポロポロ ギューッ

提督「悔しい・・・・・・ねぇ」ナデナデ

155 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:10:49.05 Q1IxI1jM0 155/504


吹雪「あんなに頑張ってたのに・・・・・・あんなに努力したのに! 必死で自分の身体を、精神を鍛えようと決めてたのに!! 長門さんに全く歯が立たなかった!」

吹雪「長門さんに負けた後、気づきました。私は強くなった自分に酔っていたんです! 初期艦だから、この鎮守府の一番上の先輩だから! 戦艦(大和さん)と対等に戦える程に強いんだ!! そんな驕りがあったんです!」

提督「! (あ、そういう意味での悔しいか・・・・・・)」

吹雪「初心を忘れ、それを長門さんに完膚なきまでに叩きのめされるまで気がつかなかった!! 私はそんな自分に気づけなかった事が悔しいです!!」

吹雪「悔しくて・・・・・・悔しくて・・・・・・! う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんッッッ!!」ポロポロ

着任した当初、吹雪は自身のその格闘技を仲間を守り、己を磨くためのものと心得ていた。しかしその後、鎮守府には自分よりスペックの高い艦娘が着任していった。癖のある仲間に置いていかれないように努力するうち、何時しか吹雪は己の強さに拘るようになった。そして初期艦としてのプライドに裏打ちされたその考えが吹雪の全てだった。そんなプライドに意味なんてない。それを長門に負けるまで気づく事ができなかった。それが真面目な吹雪には我慢ならなかったのだ。

提督「・・・・・・(全く、世話の焼ける奴だな。妹がいるとこんな感じなのかねぇ)」ナデナデ

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156 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:11:54.87 Q1IxI1jM0 156/504


提督「落ち着いたか?」つティッシュ箱

吹雪「はい・・・・・・」ズビビーッ

提督「長門姉達は深海棲艦の本拠地を叩く最終決戦に出撃したんだ、お前らが勝てねぇのは当然だ」

吹雪「流石ですね、やっぱり・・・・・・」

提督「別に初期艦だから一番強くなきゃいけねぇとか、そんな決まりは一切ねぇんだから。そもそも俺個人の考えじゃ、組み手の訓練なんか、軍だからしょうがねぇと諦めてて、皆で楽しく切磋琢磨していければいいと思ってる程度だ。俺としてはお前らには戦い方よりも戦後の生き方を模索してほしいんだ」

吹雪「分かりました、司令官!」ニコッ

提督「ほら、さっさと飯行くぞ」

吹雪「はい!」

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一週間後

提督「何だかんだ言って、結局一週間も滞在してたなぁおい」

長門「仕方ないだろう、つい指導に熱が入ってしまったのだ」

赤城「もう貴女は立派な空母です」

加賀「私達が教えられる基礎の全ては叩き込んだわ」

大鳳「お二方には何とお礼を申し上げればよいか・・・・・・」ウルウル

北上「卒業式みたいだね」

157 : ◆Fd8Nv55Lkc - 2017/04/15 22:12:37.16 Q1IxI1jM0 157/504


榛名「一週間でしたが、とても楽しかったです」

金剛「たまにはコッチに帰って来るネ」

提督「考えとくよ」

霧島「とはいえ、もうそろそろ大本営で会議が行われるかと」

大和「大本営で?」

比叡「確か明日だったっけ」

提督「面倒くせぇなぁ、話ならそっちで片付けりゃあいいじゃねぇかよ」

長門「馬鹿者、お前は強制参加だ」

提督「えぇぇっ!?」ガビーン

榛名「駄目ですよ、ちゃんと会議に出なきゃ」

提督「ちょ、ちょっと世直しの旅に出るわ」フラッ

長門「どこのご老公だ、いいから来い」ガシッ

金剛「大和達も来るネ!」

大和「や、大和もですか!?」ギョッ

吹雪「えぇっ!?」

提督「嫌だぁ、行きたくねぇぇぇっ!!」ジタバタ

長門「暴れるな馬鹿者!」ズルズル

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大和「もし許されるなら」【2】

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