トール「ちょっと文句言ってきますか」
ピンポーン
ヴィーネ「あれ、誰か来たみたい」
ガヴリール「私ネトゲで忙しいからヴィーネ代わりに出てきてー」
ヴィーネ「はいはい」
ピンポーン
ヴィーネ「はーい今でまーす」ガチャ
トール「あ、こんにちは、隣の部屋の小林です」
ヴィーネ(メイドさん⁉)
トール(おや、この気配は悪魔ですか)
元スレ
ヴィーネ「もうガヴったらー!」トール「隣の部屋がうるさいですね…」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1489146728/
トール「ちょっと大きな声が聞こえたので、どうしたのかと思いまして」
ヴィーネ「あっ、ごめんなさい!うるさかったですか……?」
トール「いえいえ、気をつけていただければそれで」
ヴィーネ(あれ?この人角が生えてる?)
ヴィーネ「その角、もしかしてあなた悪魔ですか?」
トール「そういうあなたこそ悪魔のようですね」
ヴィーネ「実はそうなんですよ!私、知り合い以外の悪魔に会うの初めてなんです!よければお友達に」
トール「あぁ、すみません、私は悪魔じゃなくてドラゴンです」バサー
ヴィーネ「」
トール「それじゃ、また」
ドア「バタン」
ヴィーネ「」ガタガタガタガタ
ガヴリール「ヴィーネ~?誰だったー?どうせ新聞の勧誘かサターニャだと思うけど」
ヴィーネ「ガヴ、落ち着いて聞いてね」ガシッ
ガヴリール「なんだよ、肩痛いお前が落ち着け」
ヴィーネ「隣の部屋に、ドラゴンが住んでる」
ガヴリール「はい?」
ヴィーネ「殺される前に引っ越そう」
ガヴリール(そういやヴィーネには隣の部屋のメイドラゴンのこと教えてなかったな)
ガヴリール(……からかってやるか)ニヤリ
ガヴリール「な、なんだってー!ドラゴンというのは、悪魔をおやつ代わりに食ってしまうと言うあのドラゴンのことかー⁉」
ヴィーネ「馬鹿ガヴ!声が大きい!あのドラゴンに聞こえたら次こそ食われるわよ!」ヒソヒソ
ヴィーネ「早く引っ越そう、ね?天使なら神足通だっけ、ワープとか使えるでしょ?なるべく音を立てずにここから立ち去るのよ!」
ガヴリール「……ヴィーネビビりすぎじゃね?」
ヴィーネ「だってドラゴンよ⁉私達みたいな見習いの悪魔や天使じゃ手も足も出ないわよ……」
ガヴリール(もうちょっとからかってみるかな)ニヤニヤ
ガヴリール「でもさ、どこに引っ越したってドラゴンと同じ町に住んでることには変わりないだろ?」
ヴィーネ「!」
ガヴリール「ヴィーネは顔も知られたわけじゃん?自分が悪魔だって言っちゃったんだっけ?」
ヴィーネ「」ガタガタガタガタガタガタ
ガヴリール「ドラゴンがその気になれば一瞬で見つかるんじゃない?」
ヴィーネ「……我、月乃瀬=ヴィネット=エイプリルの名において開け!ゲートよ!」
ガヴリール「魔界に帰ろうとするな!」
ガヴリール「はいドッキリ大成功~」
ヴィーネ「……?」
ガヴリール「お隣のトールとは顔見知りでしたー」
ヴィーネ「……は?」
ガヴリール「ご主人の小林さんが有能なお陰で、きちんと躾けられてるみたいだぞ」
ヴィーネ「……はぁ⁉」
ガヴリール「あ、ちなみにカンナってちっこいドラゴンも住んでる」
ヴィーネ「もぉぉぉおおお」
ガヴリール「!」ビクッ
ガヴリール「おいヴィーネ泣くな」アセアセ
ヴィーネ「ホントにビックリしたんだから!もうガヴったら……もう、もう!」
ガヴリール「お前は牛か」
ガヴリール「あーでも、この前サターニャが食われそうになってたっけな」
ヴィーネ「そうやってまた怖がらせようとして~!騙されないわよ~!」
ガヴリール「いや、マジでマジで」
ヴィーネ「」
ガヴリール「これはサターニャとトールに聞いた話なんだが……」
~
サターニャ「ガヴリール!遊びに来たわよ!」
トール「どちら様ですか?」 ガチャ
サターニャ(やっば、部屋間違えた……)
トール「おや?もしかして、あなたも異界の方ですか?」
サターニャ「あなたもって、あんたもそうなの?」
トール「はい!」バサー
サターニャ(角に羽根……悪魔ね!)
サターニャ「これも何かの縁ね!せっかくだからお邪魔するわよ!」
トール「いえ、それはちょっと迷惑ですね」
サターニャ「なんでよ!」
サターニャ「同じ悪魔なんだしいいじゃない!」
トール「悪魔?」
トール(あぁ、私の角と翼を見て勘違いしたんですか)
トール(魔力もさほど感じられませんし、下等種ですね)
トール(小林さんに悪いモノが憑いても困りますし、やっぱり帰ってもらいますか)グゥー
トール「……そろそろ3時ですね」
サターニャ「え?そうね」
トール「小腹が空いたのでおやつにでもしますか」
サターニャ「おやつ!私も食べたい!」
ラフィエル「私もご一緒してよろしいでしょうか?」
サターニャ「げっ!ラフィエル!」
トール「お知り合いですか?」
サターニャ「まぁ、そんなところね」
サターニャ「あ、こいつも異界の住人よ」
トール「!」
トール(そろそろカンナも帰って来ますし、多いほうが良いですね)
トール「それじゃお二人とも、中へどうぞ」
サターニャ「お邪魔するわ!」
ラフィエル「失礼します~」
ラフィエル(この気配はドラゴン……サターニャさんを殺らせはしません……!)
カンナ「ただいまー」
トール「あ、カンナ、今日は早いんですね」
カンナ「おなかすいた、おやつ食べたい」
トール「ふっふっふー!今日はとっておきのおやつがあるんですよ!」
カンナ「なにそれ、すごーい」
サターニャ「なんかちっこいのが来たわね?この子も悪魔?」
カンナ「悪魔じゃない、私はドラゴン」
トール「」
サターニャ「」
トール「もーカンナ~!せっかく油断させたところを食べようと思ってたのに~!」
サターニャ「」
カンナ「トール様なら油断させなくてもイチコロ」
サターニャ「」
トール「まぁそれは当然ですけどね!でも、あんまり暴れられても近所迷惑ですし」
サターニャ「ら、ららら、らふぃ、らららラフィエル⁉どっ、どどどドラゴンだって⁉」ギュッ~
ラフィエル「!」
ラフィエル(あぁ!サターニャさんがこんなに力強く抱きしめてくださるなんて!)ドキドキ
ラフィエル「じゃなくて!大丈夫ですよサターニャさん……私が神足通で逃が」
トール「やはり天使でしたか……!」 シュッ
ラフィエル「」
カンナ「トール様つよーい」
サターニャ「」
トール「このサイズを食べるとなると、元の姿に戻らないといけませんね」
サターニャ「」
ラフィエル「」
トール「屋上に運びますか」
カンナ「手伝う」
トール「はいっ!お願いしますね!」
小林「あれ?二人とも何してんの?その袋なに?」
トール「あれ小林さん、今日はだいぶ早いお帰りですね♥」
カンナ「おかえりー」
小林「はいただいま。言ってなかったっけ?今日は……」
サターニャ「ん″~」
小林「……」
トール「」
小林「その袋、なに」
トール「違うんですよ小林さん!この天使と悪魔を屋上に運ぶのを誰かに見られたら、人間を運んでるのと勘違いされるかもしれないじゃないですか!」
小林「天使と悪魔」
トール「しまってあった寝袋を勝手に使ってしまったのは悪かったですけど、ゴミ袋だと強度に問題が!」
カンナ「トール様おなかすいたー早く食べたいー」
小林「食べる」
トール「カンナ!いま小林さんに事情を説明しているので、食べるのはもう少し待っててください!」
小林「袋あけろォ!」
~
ガヴリール「お隣さんがドラゴンだって知った時はさすがの私もビビったね」
ヴィーネ「」
ガヴリール「サターニャはもちろんだけど、ラフィエルもめっちゃ泣いてたからね」
ラフィエル「泣いてません」
ガヴリール「!」ビクッ
ラフィエル「というかドラゴンとか何の話かよく分かりません」
ガヴリール「お、おう」
ガヴリール「ま、そんなこんなで、すれ違ったら挨拶する程度に顔見知り」
ヴィーネ「そんなこんなで済むレベルか!!!!!」
ガヴリール「おいおいヴィーネ、そんな大声出したらいくら顔見知りでも……」ニヤニヤ
ピンポーン
ヴィーネ「あわわわわわ」ガタガタガタガタ
ピンポンピンポンピンポーン
サターニャ「ガヴリール!遊びに来たわよー!」
トール「うるさいですね、またあなたですか」ガチャ
サターニャ「げっ、メイドラゴン!」
トール(……小腹が空きましたね)
トール「サターニャさん、一緒におやつでもどうですか?」
サターニャ「いいわね!お邪魔するわ!」
トール「はいっ!」
おわり
ラフィエル「あら?今確かにサターニャさんの声が聞こえたはずですが」ガチャ
ガヴリール「ピンポンダッシュとか最悪だなあいつ」
ヴィーネ「遊びに来たーって聞こえた気がするけど」
ラフィエル(まさか、またドラゴンに捕まったのでは……?)
ラフィエル「……!」ガタガタガタガタ
ラフィエル(くっ、身体の震えが……!もう、もうあんな怖い思いはしたくありません……!)ガタガタガタガタ
ラフィエル「でも、サターニャさんを失うのはもっと怖い!神足通!」シュン
ガヴリール「ラフィ⁉」
ラフィエル「サターニャさん!」
翔太「わぁ!何か出た!」
ルコア「悪魔の召喚成功だね~!おめでと~!」
ラフィエル「……はい?」
ルコア「おや?キミは悪魔じゃないね?この感じは天使かな?」
ラフィエル「えーと、そうですね、私は天使ですが……」
ラフィエル(ワープ先がズレた……?この魔法陣に引っ張られたのでしょうか?)
翔太「え?それはおかしいよ!だってこの術は悪魔を召喚するためのものだし」
ルコア「僕だって悪魔じゃないのに召喚されたよ?」
ラフィエル「あなた悪魔じゃないんですか?」
ルコア「うん!僕はケツァルコアトル、ドラゴンさ!」
ラフィエル「」ガタガタガタガタ
翔太「ルコアまたそんなこと言って……お前はサキュバスだろ?」
ルコア「もぅ翔太くんたら信じてよぉ~」
ラフィエル(この気配、トールさんに気絶させられた時に感じた殺気とよく似ています……間違いなく彼女はドラゴン!)
ラフィエル「翔太さん?あなたは人間ですよね?ルコアさんの主なんですよね?」
翔太「そうだけど……?」
ラフィエル(人間に従うドラゴンと出会えた、これは運命!)
ラフィエル(ルコアさんの力でトールさんを倒してもらうしか、サターニャさんを救う方法はない!)
ラフィエル「翔太さん、お願いがあります!ルコアさんの力を私に貸してほしいんです!」
ルコア「うん?何か事情がありそうだね」
ラフィエル「~と、いうワケなんです!」
ルコア「なるほどね~、事情は分かったよ」
ルコア(こっちの世界での生活に慣れたトールくんが、いくら悪魔とはいえ知り合いを食べるとは思えないけどな~)
ラフィエル「……」ドキドキ
ルコア(悪魔思いの良い天使じゃないか……うん、助けてあげよう!でもその前に)
ルコア「それじゃ早速、そのドラゴンの住んでる部屋へ行ってみようか」
ラフィエル「ありがとうございます!」
ルコア「助っ人に僕の友達も呼んでおくね~」
ラフィエル「こ、この部屋です!」
ルコア「それじゃ行くよ~」
ラフィエル「あの、翔太さんも一緒だと危険なのでは……?」
ルコア「大丈夫大丈夫、ほら、ファフニールくんもいるから」
ファフニール「ふん」
翔太「ドキドキ」
ドア「ガチャ」
サターニャだったもの「」
ラフィエル「」
翔太「」
ドア「バタン!」
ラフィエル「⁉」ビクッ
トール「あ、ルコアさんにファフニールさん!待ってましたよ!」
カンナ「いらっしゃい」
ラフィエル「⁉」
ルコア「はーい、僕達みんな友達でしたー!」
ファフニール「ふん」
ラフィエル「」
ラフィエル「あぁぁああぁああぁあ」ガクッ
ガヴリール「ドッキリにしてはちょっとやり過ぎじゃね?」ヒソヒソ
ヴィーネ「サターニャも『ラフィエルにいつもの仕返ししてやるわ!』とかノリノリだったけど、これは悪ノリが過ぎるわね……」ヒソヒソ
ガヴリール「おーいサターニャ、そろそろネタバラシしないと後が怖いぞ~」ヒソヒソ
サターニャ「仕方ないわね……かかったわねラフィエル!私はこの通りピンピンしてるわ!やーい騙され」
ラフィエル「……」ギュッ
サターニャ「ら、ラフィエル……?そんな抱きしめられたら痛いんだけど」
ラフィエル「心配したんですよ……ばか」ギュ~
トール「やだな~ラフィエルさん、私が小林さんの言いつけを破ってサターニャさんを食べる訳ないじゃないですか!」
ラフィエル「あっ、はい、そうですよねっ」ビクビクッ
ヴィーネ「話してみると良い人ね、トールさん」
カンナ「ガヴリール~ゲームしよー」
ガヴリール「私はドラゴン相手でも手加減しないぞ」
ファフニール「俺も混ぜろ」
小林「ただいまー……って、なんか賑やかだな」
トール「おかえりなさい小林さん♥……なんで滝谷とエルマまでいるんですかね」
エルマ「小林先輩が晩御飯を食べさせてくれると言うのでな!邪魔するぞ!」
滝谷「ファフニール殿も来てたでやんすか」
翔太「ドラゴンと天使と悪魔がこんなに……!」
ルコア「これでハッピーエンドだね~」
おわり!