男「お願いします!」
幼馴染「君の土下座なんか何度見たことか。そろそろ飽きたよ?」
上から声が降り注ぐ
睨むというよりダウナー的に気だるげな半目が見下ろしている
幼馴染は薄手のパーカーのフードを被っており、ただめんどくさがって切らないだけの黒い長髪がだらんと垂れ下がる
男「頼むよ勉強教えてくれ!」
幼馴染「自業自得だろまったく。ボクにとってはいい迷惑だよ」
元スレ
幼馴染「それでボクを頼ってきたの?めんどくさいなあ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464088644/
男「宿題!」
幼馴染「…え?」
男「しゅくだい!」
幼馴染「いやいやいや、テスト勉強とかじゃないのか?」
男「宿題とかめんどくさすぎて」
幼馴染「帰れ」
男「いやここ俺ん家だし」
幼馴染「土に」
男「言ってる意味が分からないなー(棒)」
幼馴染「じゃあ直球に。死ね」
男「バリア!バリアしたから跳ね返す!」
幼馴染「小学生か君は」
男「そんな小学生みたいなむn
幼馴染「タブーを踏み越える時は覚悟しておいたほうがいいよ?」
男「すいませんでした!だからその宿題破り捨てようとしないで!」
男「だいたいLINEで助けてって送って家まで来てくれた時点でやってくれるつもりだったくせにー」
幼馴染「もっと緊急事態かと思ったよ。危篤状態かと」
男「マジトーンで言うなよ」
幼馴染「ボクのトーンはいつだって同一で単一で平坦だよ」
男「だよなあ、お前がテンション上げてんのなんか見たこと無いもん」
幼馴染「だったらボクを喜ばせてみる?」
男「幼馴染!好きだ!」
幼馴染「…」
男「…」
幼馴染「…」
男「…あの」
幼馴染「うん」
男「…せめてちょっとぐらい表情変えてくんない?」
幼馴染「反応に困ってね。そんな心の込もってない告白されても」
男「…そうすか…」
男「それはもしかして心が込もってればOKっt
幼馴染「しょうがないな…ほら貸して」
男「え?何を?」
幼馴染「決まっているだろ。宿題」
男「幼馴染様!」
幼馴染「様をつけるな」
男「幼馴染ちゃん!」
幼馴染「キモイ」
―――――
―――
―
幼馴染「…寝てるとコーヒー流し込むぞ」
男「はっ!寝てた」
幼馴染「何だ起きてたか」
男「俺に何しようとした!」
幼馴染「鼻からコーヒーとコーラを流し込もうかと」
男「ヒィッ」
幼馴染「ほら、ほとんどやってあげたよ」
男「うわっ、ありがたい。本当ありがたい」
幼馴染「ま、筆跡で疑われてもボクは知らないからそこは自分で切り抜けてね」
男「流石にそこまで見たりしないだろ」
幼馴染「だといいね」
男「で、宿題はお前のおかげで何とか終わったが」
幼馴染「うん、じゃあボクは読書でもしているよ」
男「帰らないのか?」
幼馴染「帰ってほしいの?」
男「いや、ぜひもっと一緒にいたい」
幼馴染「そ」
幼馴染「今日は親が家にいないんだよ。そんな家に帰っても寂しいだけだ」
男「だから俺んちに来たと?」
幼馴染「そう、それだけ。わざわざ君を助けに来たわけじゃないから。勘違いしないでね」
男「ツンデレセリフならそんな淡々というなよ」
幼馴染「ボクの性格はよく知っているだろう?」
男「…だな、デレないもんな」
幼馴染「…さあてね」
幼馴染「夜も更けてきたね」
男「月がきれいd」
幼馴染「残念、出てないよ」
男「ちっ」
幼馴染「それじゃ、また明日ね。宿題家に置き忘れないでよ」
男「へいへい」
朝
家の前
幼馴染「おはよう」
家が隣同士のためいつも一緒に行っている
男「おう、おはよう」
幼馴染「きちんと宿題持ってきたかい?」
男「もちろん」
幼馴染「本当に?」
男「当たり前だって。カバンの中にある」
幼馴染「…見せて」
男「えっと…」ガサゴソ
男「取ってくる!」
幼馴染「早くしなきゃ置いてくよ」
男「はぁ…はぁ…待たせた」
幼馴染「息整えてからでいいよ。みっともない」
男「スー、ハー、よし、行ける」
幼馴染「ん、じゃあ行こうか」
男「お前そのパーカーいつまで着るんだ?制服の上からじゃ暑いだろ」
幼馴染「ボクのトレードマークだもの」
男「暑いだろ」
幼馴染「…少し」
男「脱いじゃえ!」
幼馴染「やめろ、脱がせようとするなぁ変態」
生徒用玄関
友「よお仲良きお二人さん!」
男「おはようハイテンション」
幼馴染「おはようお調子者」
友「なあ男、下駄箱にラブレターでも入ってないのか?」
男「何だ朝から唐突に」
幼馴染「あるわけないだろう?ねえ男」ノゾキコミ
男「…無いな」
幼馴染「そりゃそうだね、うん、当たり前だ」
教室
男「ようやくパーカー脱いだか」
幼馴染「流石に授業中は着ているわけにはいかないからね。あーあ、私服高校に行けば良かった」
幼馴染「…これの匂い嗅いだりするなよ?」ジトー
男「お前俺のことどんなふうに思ってるんだよ」
幼馴染「変態」
男「」ガーン
友「そーいや俺たちの中で姐さんだけダントツに成績良かったよな。何でこの底辺校に来たんよ?」
幼馴染「別に意味は無いよ?近かったからって理由だよ」
友「本当かな?」
幼馴染「…どういう意味?」
男「そういえば俺にどの高校に行くか聞いていたよな」
幼馴染「全然関係ないね」
授業中
男子は校庭で体育、女子は室内で保健の授業
幼馴染「…」ジー
女「授業そっちのけで校庭なんか見てどーしたの?」
幼馴染「雲一つ無い良い天気だな、とね」
女「目は校庭を向いてたよー?」
幼馴染「気のせいじゃないかな」
女「実は男くんを目で追っていたんでしょぉ?」
幼馴染「…授業中は黒板を見るものだね」向き直る
数学
先生「宿題回収します」
男「げ」
幼馴染「は?」
男「……一枚、無い」
幼馴染「…この馬鹿」
男「くそっ、せっかくの努力が」
幼馴染「その努力はボクの努力だろ。もー、何やってんのさこの馬鹿は」
男「助けてくれ!」
幼馴染「もう知らない」
男「そんなこと言わずに!」
幼馴染「助けようにももう遅いよ…」
友「で、大将は宿題を倍出されたと?」
女「バカだねー」
男「うるさいうるさい、しょうがないだろ!」
幼馴染「しょうがなくないよ…ボクの努力を無にしてさ。ちゃんと持ってきたか確認もしたのに」
女「ばーかばーか」m9
友「ばーかばーか」m9
男「うっさい未提出常習者共!」
幼馴染「君も3馬鹿の一員だろ」ペシ
男「手伝ってください!」
幼馴染「教室で土下座しないでよ恥ずかしい…」
男「お願いします!」
幼馴染「めんどくさい」
男「そこをなんとか」
幼馴染「…無理」
男「お願い!」
幼馴染「そもそもボクは今日図書委員の仕事があってね」
男「…くぅーん」
幼馴染「そんな捨てられた犬みたいな目でこっちを見るな鳴くな」
男「…オネガイシマスヨオサナナジミサマ」
幼馴染「はぁ…図書委員の仕事を終えるまで待ってくれ」
男「」ヤッタ!
幼馴染「ほら、何してんの?」
男「え?待ってるんだろ?」
幼馴染「教室で待つ気かい?」
男「え?」
幼馴染「図書室行くよ」
男「いいのか?邪魔なんじゃ」
幼馴染「今日はボクだけで十分な仕事だから一人で引き受けた。そのボクの権限で貸切にしてあげるよ」
男「つまりあれか?俺と二人きりになるためにそれを―
幼馴染「早くしないと置いていくよ」
男「あ、待って待って」
男「にしても図書委員会だからって普通たった一人に任せるかね?」
幼馴染「もちろん。君と違って信頼されている」
男「で、お前はその信頼を裏切って掃除をサボっているんだな…」
幼馴染「君の宿題の参考書だが?」
男「ナマ言ってすいませんでした」
幼馴染「そこ間違ってる。代入値は72」
男「くっ?」
幼馴染「は?」
男「いえ、ありがとうございます」
夕方
図書室全体にオレンジ色の陽が差し込み、本棚の陰とコントラストを生み出す
幼馴染「…ほぉ」
男「…綺麗だな、夕日も、幼馴染も」
幼馴染「っ…ふぅ、嫌味として受け取っておくよ」パサ
パーカーのフードを被ってそっぽを向く幼馴染
男「そこは褒め言葉として受け取ってくれよ」
幼馴染「……そうだね、綺麗だね」
男「フードをかぶる前に顔が赤くなっていたのが一瞬見えたのは気のせいということにしてやる」
幼馴染「気のせいじゃない…………夕日のせいさ」
幼馴染「もう最終下校時刻だ。流石にこれ以上は無理だよ」
男「ん、そうだな。もうそんな時間か」
幼馴染「…次」
男「え?」
幼馴染「……次ボクがここを掃除するのは再来週の水曜だよ」
男「…分かった、覚えておく」
幼馴染「じゃ、帰ろうか」パサ
パーカーのフードを被り直し、さっと立ち上がる
家
男「お前また髪手入れサボっただろ」
幼馴染「めんどくさいじゃん。シャンプーとリンスで洗うだけで充分でしょ」
男「櫛ぐらい入れろよ。せっかくの綺麗な髪が台無しだ」
幼馴染「めんどい」
男「しゃあねえな。俺がやってやるよ。ほら、こっち来い」
幼馴染「ん…じゃあ頼むよ」
幼馴染「~」
幼馴染が気持ちよさそうに息を漏らす
二人の間には会話は無い。しかし気まずい沈黙には程遠く、その息遣いが場を和ませ、ゆったりとした雰囲気を作り出す
幼馴染(撫でられているみたいだな…男に…)
男「~」サラリ
幼馴染「んっ…」
男「お、悪い、うなじに手が触れただけだ」
幼馴染「い、いや…気にしないよ…続けてくれ」
男「あぁ」
幼馴染(…悪くないなぁ)
男「はい出来た。ちゃんと毎日櫛でとかせよ」
幼馴染「めんどい」
男「せっかくの綺麗な髪」
幼馴染「さっき聞いた」
男「めんどくさがるな」
幼馴染「だったら君が毎日風呂上りにとかしてくれよ」
男「それは何だ?同棲のお誘いか?」
幼馴染「なわけあるか」
そう言ってフードを被る
幼馴染「じゃ、明日呼んだら来てね」
男「執事扱いですかお嬢様」
幼馴染「…執事姿もいいんじゃない?」
男「そんなこと言うならお前にもメイド服を着てもらおうか」
幼馴染「‥変態め」
男「同じ穴のムジナだ」
幼馴染「君と同じ穴になんて入ってたまるか」
男&幼馴染(今年の文化祭の出し物はぜったいに(メイド・執事)喫茶にしよう)
男「暇だな」
幼馴染「そうだね」
男「…」
幼馴染「…」ジー
男「何だよ、人の顔じーっと見て」
幼馴染「君の変な顔でも見ていたら暇つぶしになるかななんて」
男「誰が変顔じゃ」
幼馴染「ほら、物憂げな顔してみて」
男「え」
幼馴染「ほらほら」
男「こ、こうか?」
幼馴染「次はかっこつけた顔で」
男「」キリッ
幼馴染「うん、いいねいいね」
男「…いいねじゃねえよ」
男「じゃあ次はお前が俺を変顔で楽しませろ」
幼馴染「断る」
男「俺にはやらせたのに自分ではやらないのかよ」
幼馴染「もちろん」
男「じゃあ強制的に表情を変えさせてやる」
幼馴染「おもしろい、やってみなよ」
男「幼馴染は可愛いな、大好きだよ」
幼馴染「バーリア」ぱさ
男「あ、フードで顔を隠すなんてずるい!ルール違反!」
幼馴染「そんなルール聞いてないもん。残念だったね」
男「脱げ!それ脱げ!」
幼馴染「やめろ、触れるな、変態、ルール違反だ」
男「そんなルール聞いてない!」
幼馴染「…えっち」
男「」ビクッ
幼馴染「ボクを強姦しようだなんて…君がそんな人だったなんて」
男「う、う…」
幼馴染「…いいよ、女のボクじゃ…君に抵抗できないもん…」モジモジ
男「…お…あ…」
幼馴染「…優しくして、ね…」
男「わかったよ俺の負けだよちくしょぉぉおおおお!!!」
幼馴染「くすくす、へたれ」
学校
男「お…も…」
幼馴染「何やってるの?」
男「見てわからぬか…先生から色々運ぶのを言い渡されてな…にしてもあのやろうこれは多すぎだろ…」
幼馴染「だね、怪我しないように足元には気を付けてね」
男「おう…」
幼馴染「君が怪我するのは悲しいからね。そうなったらボクはとても悲しい」
男「その割にはずいぶん楽しそうだな!そう思うならちょっとぐらい持ってくれてもいいんじゃないか!」
幼馴染「やだよめんどくさい。ほらほら、技術科準備室はまだ一階上だよ」
男「…はあ」
男「終ったぁ…」
幼馴染「お疲れ様でした」
男「マジで疲れたよまったく…」
幼馴染「ご褒美は何がいい?」
男「くれるのか!?」
幼馴染「あげない」
男「ああ、わかっていたさ」
幼馴染「ちょっと…なんであれくらいでふらついてんの」
男「見た目以上に重かったんだよ…」フラフラ
幼馴染「男のくせに情けない」
男「もう7往復だぞ!」
幼馴染「おや…それはご苦労」
幼馴染「まったくしょうがないなあ、ほら、肩少し貸してあげるから」
男「悪いな。教室まででいいから」
幼馴染「あ、体重はかけないでね」
男「意味無いだろ!」
幼馴染「ボクと密着できるのが嬉しいくせに?」
男「まあ…役得かな」
幼馴染「ふふ、なら良し」
男「いやいや、体重かけずに肩に寄りかかれっつったってやっぱ無理だし意味ないし」
幼馴染「だろうね」
男「だろうねって、おm―うわっ」
幼馴染「ちょっ」
足がもつれて転んだ
幼馴染も巻き込んで
幼馴染「いっ…」
男「す、すま」
チュ
男「へ」
幼馴染「…転んだ反動だ。事故だね。ラッキースケベってやつだ」
男「いやいやいや、ちょっと」
幼馴染「さ、とっとと教室に行こうか」
絶対今のは自主的に唇重ねられた
教室で
男「今度どっか遊びに行くか?」
幼馴染「かまわないよ」
友「お、デートか?」
女「か?」
男&幼馴染『黙ってろ』
友「ぶー」
女「ぶーぶー」
当日
幼馴染「あれ?あれれ?」
母「どうしたの?」
幼馴染「…パーカーは?」
母「全部洗濯に出しちゃったわよ?」
幼馴染「バカァ!」
母「ふふ、たまには素直な気持ちを見せてあげなさいな」
幼馴染「く…ぅ…」
家の前
幼馴染「や、やぁ…」
男「なんだその格好!?」
幼馴染「えっ!?やっぱり変!?」
男「いや、驚いただけであって可愛い」
幼馴染「っ…なら、いいけどさ…」
幼馴染「しかしだね、やっぱりパーカーが無いと落ち着かない」
男「顔が赤くなっても隠せないからか?」
幼馴染「紅くなることなんて無いからね。今までもこれからも」
男「今日分かるな」ニヤニヤ
幼馴染「いいだろう。君の悔しがる顔を存分に拝んでやるよ」
幼馴染「で、どこいくの?」
男「ゲーセン」
幼馴染「…あ、そう」
幼馴染(ま、デートじゃなくてただ遊びにいくわけだしね)
男「」ニヤ
幼馴染「ホラーゲームだけはしないからね」
男「…ちっ」
ゲーセン
幼馴染「ホラーだけはしないって言っただろ!」
男「頼むよぉおおおお」
幼馴染「くどい!」
男「…だったらガンシューティングゲーで勝負して決めようじゃないか。ノーコンな」
幼馴染「いいだろう。ただしボクが勝ったら言うこと一つ聞いてもらうよ」
男「おっけえ…くっくっく」
幼馴染(ゲームならまず酷い負け方はしない。ガンシューなら勝てる可能性も十二分にある)
男「今更キャンセルは無しな」
幼馴染「ボクが逃げるわけないじゃないか」
The House of the Dead4
幼馴染「ホラーゲームじゃないかぁぁあ!」ズダダダダダ
男「ゾンビゲーとホラーゲーを一緒くたにするんじゃない!」ダダダダン
幼馴染「どう違うって言うんだ!うわっ、こっちにくるなぁああ、ひやぁぁあ」
男(可愛い)
幼馴染「あ」
男「え?あ」
幼馴染の顔を見ようと目を放した内にやられていた
男「よし、次のゲームで勝負だ」
幼馴染「次はゾンビゲーも無し」
男「ならこれはどうだ?」
タイムクライシス4
幼馴染「ゾンビゲーでも無さそうだね。これならボクも実力をだせるよ?」
男「よっし、勝負だ!」
幼馴染「虫の大群とか聞いてないよぉおおお」ダダダダダ
男「テラーバイト如きにビビるな二等兵!所詮は機械に過ぎんぞ」ダダダダダ
幼馴染「誰が二等兵だへっぽこ軍曹」
男「ふっ、俺はこのゲーム得意なのだよ」ボムポイッ
幼馴染「くっ、負けてらんないよ」
幼馴染「…普通に負けた」
男「かかか、ならホラーゲームに付き合ってもらおうか」
幼馴染「やだぁっ、絶対嫌だぁっっっ」
男「…お前がそんな感情を表に出すなんて珍しいよな」
幼馴染「そういう問題じゃないの…お願いだから、ね?」
男「うーん…」
幼馴染「じゃ、じゃあ…じゃぁ…」
幼馴染「わ、分かった。一緒にプリクラ撮ってあげるから、ね?」
男「それならOK」
幼馴染「…ふぅ」
男「怖がっている幼馴染も見たかったんだけどなあ」
幼馴染「見られてたまるかあ…」グヌヌ
男「じゃ、プリクラ行こうか」
幼馴染「やめろ、肩を抱くな、触れるな、恥ずかしい」
幼馴染「プリクラなんて撮るの初めてだよ…」
男「友達といったりしないのか?女とか」
幼馴染「あれがそんな性格に見えるかい?」
男「見えない」
幼馴染「でしょ?」
男「さて、プリクラコーナーに来たはいいが…」
幼馴染「や、やっぱりやめない?」
男「何故」
幼馴染「こんな可愛げたっぷりな場所ボクには入りづらいよ…」
男「大丈夫だいじょうぶ」
幼馴染「何を根拠に」
男「だって幼馴染は十分可愛いからな」
幼馴染「っ///」カァ
幼馴染「あっ、無い…///」
急いでフードを被るしぐさをしたがパーカーではないためフードは無く、手は空をかくだけだった
男「いいもん見たなあ。くぁいいなぁ」
幼馴染「うるさいよ、もぉ…///」
男「ちょっと待った、そっちは女性限定だ」
幼馴染「え?カップルなら男でも入れるんじゃないの?」
男「最近はカップルでも男禁制なんてのもあるんだよ」
幼馴染「めんどいね」
男「今俺たちをカップルと認める発言があったな」
幼馴染「誰がボク達のことだなんて言ったよ」
≪撮るモードを選んでね♪≫
幼馴染「一人、カップル、友達…友達だね」
男「カップルな」タッチ
≪愛する二人を収めるよ♪≫
幼馴染「お、おい」
男「今だけだよ今だけ」
幼馴染「そんな言葉で誤魔化せると…まあいいか」
幼馴染「変なことするなよ」
男「へいへい」
≪はい、チーズ≫
男「」ホッペニチュ
幼馴染「ひゃわっ///」
≪カシャ≫
真っ赤な顔で驚いている幼馴染のプリクラが撮れた
幼馴染「なんだよこれ、大失敗じゃないか///」
男「いや、大成功大成功。フードありじゃ絶対顔隠されていたからな」
幼馴染「今後一か月は絶対パーカー手放さないからね…」
男「もうすぐ夏だぜ」
幼馴染「我慢するの…」
男「さーて、落書きは」
俺の嫁♡
幼馴染「いい加減にしろ」
男「一つだけあっても虚しいだろ?」
幼馴染「はいはい。もー」
ボクの旦那様
幼馴染「これでいい?」
(笑)をつけて「これでOK」ボタンにタッチする
男「いやあ一生の宝ができたぜ」
幼馴染「そうかい、ボクも当分忘れられそうにない思い出になったよ…はぁ」
男「可愛い」
幼馴染「うるさい…」
男「付き合って」
幼馴染「やだ」
男「この流れならいけるかと…」
幼馴染「どうしてそう思ったんだ。ほら、そろそろ帰るよ」
男「ちぇー」
家にて
幼馴染「このやろっ!このやろっ!お前のせいで大変な目に遭ったぞバカー!」
母「あらあら、いくらもの投げてもお母さんには当たらないのよ?」
幼馴染「このっ、どんだけっ、恥ずかしい目に遭ったとっ!」
母「うふふふ、ずいぶん楽しんだようね?」
幼馴染「恥ずかしい目に遭っただけだったよっ!」
母「それだけでお母さんに物投げつけるの?」
幼馴染「どうせ当たってくれないじゃないかバカー」
休日
今日はパーカーを買いに行く
あのバカ母がまたわざとパーカー全部洗濯しちゃわないように予備をいくつか買っておかないと
幼馴染「…今日は男から誘われなかったな」
いつも遊ぼうとか宿題見てとか言われてたけど…どうしたんだろう
幼馴染「ま、いっか。とっとと買って帰って来よう」
服屋
いつも通りクール系のパーカーを買って
幼馴染「こういう可愛いのは…ううむ…似合う…かな…ん…と」
着たいような着たくないような…着たいような…
幼馴染「…うん、一応買っておこ…かな。あ、これは好きだな」
幼馴染「猫耳パーカー…人気なんだこれ…ぅゎ、尻尾付き…」
幼馴染「ん…男の声?そんなまさか」
男「ははは」
幼馴染「…間違いない、あの間抜け声…それにしてもやけに楽しそうだけど」
女「それでね~」
男「ああ」
幼馴染(女と一緒にいる!?え…そういうこと…まさか…男…女と)
友「おい置いてくなよ」
男「おせーんだよ」
女「だよー」
幼馴染「なんだ三馬鹿トリオか」
幼馴染「…何をホッとしているんだボクは」
幼馴染「やあ、奇遇だね三馬鹿ども」
男「おお、本当にいた」
友「流石女だぜ」
幼馴染「は?」
女「あたしが二人を連れてきたんだよー、幼馴染ちゃんが来るからって」
幼馴染「どっから仕入れたんだその情報は」
女「にぱー」
母にも言ってないはずだが恐ろしいなこいつは…
男「で、何買ったんだ?」
幼馴染「誰が見せるか」
男「いいじゃん見せてくれよ」
幼馴染「いつか着て見せるよ」
友「今が良いぜ」
女「今ー」
幼馴染「うるさい、君たちがいるなら猶更見せたくない」
友「だったら大将と二人っきりなら見せるってのかYO」
女「YO!YO!」
幼馴染「何だこいつらのテンション…」
男「いつも通りだろ」
幼馴染「…帰ろ、男」
男「え、ああ、じゃあな」
友「おう、また明日な」
女「明日ねー」
男「二人きりになったら見せろよ?」
幼馴染「断る」
別の日、幼馴染の家にて
幼馴染「暇だなあ…男に会いに…行くのもめんどいなあ…むしろ来てくれないかなあ…」ダラァー
ピンポーン
幼馴染「えっ!?」キタイ
<幼馴染ー
幼馴染「男!?…しまった、この恰好じゃ出れない…えっと、えっと」オドオド
幼馴染「や、やあ…」
男「可愛い」
幼馴染「っ」パサ
幼馴染「いきなり来て何だ君は」
男「いや、そのパーカーだよ」
幼馴染「え?あ?…あぁ、そ、そうか…」
そういえばこの可愛いデザインのパーカー着ようかどうか迷っていたから手元にあったんだ
結局着てきちゃったな…
幼馴染「…に、あってる…?」
男「ああ、似合ってるよ。可愛い」
幼馴染「何度も言うな」
男「お前が聞いてきたんじゃないか、フードで顔見えないし外せよ」
幼馴染「い、や、だ」
幼馴染の部屋はめんどくさがりの部屋とは思えない程片付いていた
男「部屋の内装だけは女の子してるよな」
ついさっきまで歩いていたかのようにランダムに置き去りにされた動物のぬいぐるみ以外は
幼馴染「うるさいなあ…いいじゃん、好きなんだから」
男「このベッドにおいてあるのはまさかいつも抱いて寝て…?」
幼馴染「違う、違うから」
男「あ、懐かしいなこのぬいぐるみ。数年前に俺がゲーセンで取ってあげた奴だ」
幼馴染「え…覚えて、いたの?」
男「当たり前だろ。あんな大切な思い出忘れるわけがない」
幼馴染「…そう」パサ
男「ところでこのぬいぐるみけっこうほつれたりしているけど…良く抱きしめているのか?」
幼馴染「どういう観察眼をしているんだ君は」
―――――
―――
―
男「もう6月だな」
幼馴染「そうだね、もうすぐ夏だ…その割には梅雨の気配が全くしないね」
男「いいんじゃね?梅雨なんか無くても」
幼馴染「いや、ダメだよ…雨期は雨期でしか味わえない特別な雰囲気がある」
男「そういうもんか?」
幼馴染「そういうものだよ」
幼馴染「ねえ男、何で夏が近くなるとこう…哀愁を感じるんだろうね?」
男「幼馴染…?まだ夏休みまでけっこうあるぞ」
幼馴染「うん…昔はさ、まだ一か月以上あるのにカレンダーを見て指折り数えて行ってさ」
幼馴染「…」
男「…」
幼馴染「ね、今年も遊ぼう?夕陽が落ちるまで」
幼馴染「計画も立てよう。あのバカ二人も誘ってどっか遠くに旅行だ」
幼馴染「来年は受験の年だ…そうなる前に、さ」
幼馴染の勉強机近くの壁には色々大学のパンフレットが「別れじゃない」と大きく書かれた紙と共に貼ってあった
男「そうだな、今年の夏休みも楽しもう」
幼馴染「うん!…うん」
男「あれ?今テンション上げなかったか?」
幼馴染「まさか。ボクははいつだって同一で単一で平坦なテンションだよ」
男「もうこんな時間か」
幼馴染「帰るのかい?」
男「そうd…泊まってもいいか!?」
幼馴染「帰れ」
男「ちっ」
幼馴染「ふう、また明日ね」
男「ん?…ああ、また明日な」
男(そういや明日は日曜じゃ…そうかそうか、休みでも俺に会いたいのか)
幼馴染「ニヤついていないで帰れっての」
男「へいへい、明日な」
幼馴染「何でニヤついているんだ」グイグイ
男「分かった帰るよ、押すなって」
―――――
―――
―
幼馴染「たまには髪型でも変えてみようかな…」
母「そうねえ、ロングポニテなんか似合うと思うわよ?」
幼馴染「んむー、難しくない?」
母「女の子ならこのくらいの手間惜しんじゃだめよー」
幼馴染「そんなこと言ったってめんどいものはめんどいよ」
母「可愛くなりたいんでしょ?」
幼馴染「別に?」
母「男君に可愛いと言われたいんでしょぅ?」
幼馴染「…………別、に」
母「本当?」
幼馴染「………」
幼馴染「できたっ」
母「ふふ、似合ってるわよ?」
幼馴染「本当?か…か、わ、いい?」
男「ああ、可愛いよ」
幼馴染「…」
男「」ニヤニヤ
幼馴染「っ!何でいるんだぁ!///」
幼馴染「」ハッ
近くにあるパーカーを取り、顔を隠しながら後ずさる
幼馴染「もう一度聞く…何でいるんだ」
男「お前のお母さんにあげてもらった」
母「あらあら。お義母さんと呼んでもいいのよ?」ウフフ
幼馴染「勝手に話を進めるな!」
男「とりあえずポニテ似合っているぞ。可愛い」
幼馴染「うるさい」シュ
ぱっと髪を解いてパーカーを着る
男「ありゃりゃ、いつも通りになった」
幼馴染「…この恰好は嫌い?」
男「いや、パーカーっ娘は最高だと思う」
幼馴染「パーカーを着てれば誰でも?」
男「なわけあるか。お前だからいいんだ」
幼馴染「……そう」
母「あらあら。うふふ」
母「今日お母さんお友達と一泊旅行に行くからね」
幼馴染「は?」
母「だから明日まで帰ってこないけど男くん幼馴染ちゃんをよろしくね?」
男「了解ですお義母様」ビシッ
幼馴染「何が了解だ!何をさせたいんだ!こら!待て」
母「今夜はごゆっくりー」
幼馴染「今夜じゃない!ゆっくりでもない!」
男「で、どうする?」
幼馴染「本当に行ったよ…もー」
男「これは覚悟して今夜はしっぽり」
幼馴染「しないから」
幼馴染「…ま、明日までいないなら…一人じゃ寂しいかな」
男「オーケー、今夜はt」
幼馴染「臭いセリフ禁止」
男「むぐむぐ…」
男「漫画読んでいい?」
幼馴染「お好きにどうぞ」
男「ありがとう」
幼馴染「はーあ、夕ご飯どうしよう」
男「幼馴染の食べたい」
幼馴染「めんどい」
男「食べたい」
幼馴染「めんどい」
男「じゃあ一緒に料理を」
幼馴染「んー、まあ、それならいいかな」
漫画読書中
男「…」
幼馴染「…」
男「…膝枕してほしいなぁ」
幼馴染「っ」パサ
急いでパーカーのフードを被る幼馴染
幼馴染「な、何だいきなり」
男「いやこの漫画読んでいたら羨ましくなってさ」
幼馴染「少女漫画の膝枕耳かきシーンねぇ…ふむ、耳かきならやってもいいよ」
男「待て、お前が手に持っているのはカッターナイフだ。耳を裂く気か」
幼馴染「さあ、横になりなよ。うふふふ」
男「オーケー、俺が悪かった」
幼馴染「…しい?」
男「え?」
幼馴染「してほしい?どうしても」
男「イエス!」
幼馴染「…言葉が足りない」
男「可愛くて優しいパーカーが似合う素敵な幼馴染に膝枕してほしいなあ。大好き、大好き!」
幼馴染「……ちょっと過剰かな」パサ
男「丁度良くがわからない!」
幼馴染「まあ、及第点はあげよう。おいで」
男「お、いいのか?」
幼馴染「まあ、特別…だよ。顔を覗き込もうとするな」グイ
フードを深く被って顔を隠すがその下はきっと照れているんだろうと予想がつく
幼馴染「ほら、おいでってば」
膝をぽんぽんと叩いて呼ぶ幼馴染
男「お、オジャマシマス」
幼馴染「もっと嬉しそうな顔をしてよ」
ぽふ
幼馴染「ん…収まりが悪いね」モゾモゾ
幼馴染「もう少し頭の角度を…」
男(うぉぉ、いい眺め…フードの陰に入っているダウナー気味な可愛い顔も…小さな胸も)
男(まな板じゃなかったんだな…下から見ると膨らんでいるのがわかる)
幼馴染「今肘を顔面に振り下ろせる絶好の位置にいることを忘れないでね」
男「す、すいません」
幼馴染「まったく…幸せかい?」
男「とっても」
幼馴染「うむ」
幼馴染(ボクもだ…)
幼馴染「男、足が痺れてきた」
幼馴染「男?」
幼馴染「男…まさか、寝た?」
幼馴染「…人の足を痺れさせておいて自分は快適に寝て…もう」
幼馴染「…いい寝顔だなあ」
サラリ、と髪に触れる
幼馴染「少しだけ…ね」ナデナデ
幼馴染「無理、流石に足限界」
幼馴染「そろそろ起きろっ」ペシッ
男「あうっ」
男「むにゃ…俺寝てた?」
幼馴染「ああ、おかげで足が痺れたよ」
男「悪い悪い。今どくよ」ムク
幼馴染「まったく…あれ、あれれ?」
男「どした?」
幼馴染「足が痺れて…立ち上がれない」ス
男「まあ、俺のせいだしな」
幼馴染の手を引いて立ち上がらせる
幼馴染「わっ…」トサ
勢い余って男に抱きつくようによりかかってしまう
幼馴染「ご、ごめん」
男「」ギュ
幼馴染「な、ぜ抱きしめる///」
男「いや、この流れはやった方がいいかななんて」
幼馴染「いい、もう恋愛漫画のトレースはいいから放して」
男「まだ足痺れてんだろ?もう少しこうしていろよ」
幼馴染「うぅ…これは仕方ないことだから、足痺れたせいだから」ギュ
男「はいはい」
幼馴染「そろそろご飯作ろうかな」
男「俺も手伝うよ」
幼馴染「そう?じゃあカップ焼きそば買ってきて」
男「料理しようよ!」
幼馴染「めんどくさい」
男「そんなんじゃ良い妻にはなれんぞ」
幼馴染「知るか」
幼馴染「」ス
男「どこ行くんだ?」
幼馴染「めんどいけど、作ってくるよ。待ってて」
男「え?手伝うって」
幼馴染「待っててって。大人しくしていないと作らないから」
男「…そうか、じゃあ美味しいの期待してるよ」
幼馴染「うん」
台所
幼馴染「さて…母の無理やりレッスンが役に立つとはね…」
―――――
―――
―
母「うふふ…好きな人への愛を込めるのが美味しくなる秘訣よ。愛しています。って呟きながら料理するの」
―
―――
―――――
幼馴染「無い、絶対ありえない。そんなことできない」
―――――
―――
―
母「裸エプロンで作れば喜ばない男はいないわよー」
―
―――
―――――
幼馴染「…前言撤回、何一つ役に立つこと教えてもらってない…」
幼馴染「でも男は裸エプロンより裸パーカーの方が喜んでくれそうな気がするかな」
男「え!?まじで!?裸パーカーしてくれるのか!?」
幼馴染「しないから。というか大人しく待ってろって言ったよね」
男「でも裸エプロンもいいよn」
幼馴染「死ねっ!」ゲシッ
男「ぐあぁっ」
男「お…幼馴染にはパーカーが一番似合います…」ピクピク
幼馴染「よろしい」
幼馴染「ところで何食べたいの?」
男「ハンバーグ!」
幼馴染「めんどくさっ」
男「作ってくれないのか?」
幼馴染「んー、時間かかるけど…まあ大人しくしててね」
幼馴染「…おいしくなぁれ」ボソッ
幼馴染(しまった、母の料理する姿を見ていたからつい)
男「にやにや」ニヤニヤ
幼馴染「案の定聞いていたか…」
男「いやあありがたいなあ」
幼馴染「はいはい、もう少しでできるから待っててね」
幼馴染「はい出来たよ」
男「いただきます」モグモグ
幼馴染「…美味しい?」
男「ああ、流石幼馴染だな」
幼馴染「流石と言われてもねえ…」
男「あーん」
幼馴染「調子に乗るな!」
男「むぐっ」
ハンバーグを口の中に無理やり突っ込まれた
男「げほっ、こんな激しいあーんは予想外だったぜ」
幼馴染「良いから食えばか」
男「ご馳走様でした」
幼馴染「お粗末様でした。風呂沸いたけど君は………入るの?」
男「そりゃもちろん。わざわざ家まで帰って入ってくるのもめんどいし」
幼馴染「…」
男「え?ダメ?」
幼馴染「ま、いいけど」
男「俺は後で入るわ」
幼馴染「うん、じゃあ…」
幼馴染「うん、君が後?」
幼馴染(そしたらボクの入った湯船に男が入ることに…)
幼馴染「だ、だめ、やっぱりボクが後!///」
男「うん?そうか、じゃあ先に頂くよ」
男「あがったぞー」
幼馴染「う、うん、じゃあボクも…入ってくる…よ」
何故か風呂場に行くのにフードを被って行く幼馴染
幼馴染「…男が入ったお風呂…」
幼馴染「違う、ボクが入りたいわけじゃない。男に後に入られたくなかっただけ…」
幼馴染「いつもより匂いが違う気がする…ってそんなわけあるか。どんだけ汚いんだ。ありえない」
幼馴染「っくち!……」ブルブル
幼馴染「……早く入ろ」
幼馴染「…///」チャポ
幼馴染「…///」プクプク
幼馴染「男の…男ぉ…///」
幼馴染「あがった…よ///」
男「何か顔赤くね?」
幼馴染「…のぼせただけだよ///」
男「ああ、確かに長かったもんな」
幼馴染「えっ」
男「え?」
幼馴染(そ、そんなに浸っていたのかボクは…///)
男「…濡れた髪って何でこんな色っぽいのか」
幼馴染「っっ///」パサ
男「濡れた髪を乾かす前にフードを被るな!」
幼馴染「か、関係無い、ボクは髪型に拘りないもん///」
男「ほら、フード外せ。ドライヤーくらいかけろ」
幼馴染「や、やだ、見られたくない」
男「いいじゃないか濡れた髪ぐらい」
幼馴染「…そっちじゃない///」
男「…」ジー
幼馴染「な、何だよ…」
男「髪の匂い嗅いでいい?」
幼馴染「やっぱり君は変態だ」
男「は、いや、水に濡れた髪が色っぽくてつい」
幼馴染「変態め」
幼馴染「男」
男「ん?させてくれるのか?」
幼馴染「髪…乾かして、とかして。自分でやるのめんどくさい」
男「…了解」ニヤリ
幼馴染「な、なんだその顔は」
男「ほら、おいで」
幼馴染「…ん」
ほんのりと香る女の子の匂い、髪に浸透したシャンプーの匂い
水の染みた艶やかな髪質、水滴のついたうなじ
男「」ナデナデ
幼馴染「…ドライヤーは?」
男「櫛をした後だ」ナデナデ
幼馴染「それ櫛じゃない。よくて手ぐし」
男「嫌か?」
幼馴染「…ま、自分でやるよりはめんどくさくないからいいよ。君に任す」
男「じゃあもう少し手ぐしだな」ナデナデ
幼馴染「…///」
男「」スー
幼馴染「…」
男「手入れしないくせに髪は綺麗だよなあ」
幼馴染「…褒め言葉として受け取っておくよ」
男「本当は隠れて手入れしているとか」
幼馴染「そんなめんどいことするか。君に隠す意味も無い」
男「そりゃそうか…」
幼馴染「ほら、手を休めないで櫛」
男「はいはい」
その後
幼馴染「ありがとね、満足した」
男「満足?」
幼馴染「あ、間違えた。えと、ま、髪整えてくれてありがと」パサ
男「整えたそばからフード被んなよ」
幼馴染「いいじゃん別に」
男「ん?何だこれ」
幼馴染「置手紙?母さんの?」
テーブルの上に置かれた裏返しの手紙
そこに書かれていたのは
「私のタンスに幼馴染用に見繕ったネグリジェがあります。これを
幼馴染「っー!」グシャグシャ
読んでいる途中でひったくられてクシャクシャに丸められる
幼馴染「あいつめ!何勝手に!勝手なことを!帰ってきたら!こうしてやる!こうしてやる!///」グシャグシャ
男「おぉ、すげえ」タンスパカッ
幼馴染「出すなぁっ!///」
幼馴染「ふぁーあ…そろそろ寝ちゃお?」
男「ネグリジェは?」
幼馴染「あれを着ると本気で思っているなら頭の病気だね。今すぐ脳みそこねくりまわしてあげようか?」
男「ハッハッハ。それにしてもあの人はぶっ飛んでいるな…」
幼馴染「同感。いつかぶっ飛ばしてやる」
男「一緒の部屋で寝ようぜ!」
幼馴染「いいよ。どうせ断ったってしつこいし」
幼馴染「その代わり、君が布団敷いてくれよ。めんどいから」
男「ん、了解」
幼馴染「二つね。流石に一緒の布団で寝るとかはしないから」
男「…ワカッテルワカッテル」
幼馴染「露骨に残念がるな」
幼馴染「少し離れてない?」
男「くっつけていいのか?」
幼馴染「まあ、くっつけるぐらいなら。入ってこないでね」
男「了解」
―――――
―――
―
男「おやすみ」
幼馴染「うん、おやすみ」
男「…スピー」
幼馴染「はやっ」
てっきり無理やりにでも入ってくるかと思ったけど
……そういやいつもこうだった
朝
幼馴染「ん…」
陽光を浴び、目を開ける
男「…」ジー
幼馴染「」
幼馴染「…」
幼馴染「っっっ!」バッ
男「どうした、飛び起きて」
幼馴染「な、なな、朝っぱらから…何…///」
男「幼馴染の可愛い寝顔と朝一番の顔を見ようかと」
幼馴染「見てどうするんだそんなもん!///」
幼馴染「ったく」
身体を起こしてそうそうパーカーを着る
幼馴染「次はフードを被って寝る」
男「次もお泊りあるのか!」
幼馴染「そんな輝いた目で見るな!」パサ
男「ちなみに何で?」
幼馴染「ふん、へたれの君なら手は出してこないから安心だものね」
男「分からんぞー、もしかしたら突然狼になってくるかもぜ?」
幼馴染「……問題無い」
男「え?」
幼馴染「だって君が襲い掛かってこようと余裕で殴り倒せるし」
男(…舐められてんな。筋トレしよう)
次の日、家にて
男「ふんっ、んっ、ふんっ」筋トレ中
ピロピン
男「ん?LINE?幼馴染からか」
『今何してる?』
『筋トレ』
『いいじゃん、かっこよくて』
さらに次の日、学校にて
男「筋肉痛なった…」
幼馴染「馬鹿」
男「馬鹿って言うこと無いだろ…」
幼馴染「昨日言った『かっこいい』は取り消させてもらうよ」
男「取り消す必要はないだろ…」
幼馴染「かっこいいなんて言われたからって筋トレしすぎて筋肉痛になるような馬鹿には仕方ないよ」
男「つつつ…」
幼馴染「大丈夫?」
男「大丈夫じゃないから肩貸して…」
幼馴染「やだ」
男「この間足の痺れたお前を支えてあげたじゃないか」
幼馴染「…いいよ」
男「やったぁ」ギュ
幼馴染「な、何故抱きつく、そんなことしていいなんて言ってないぞ」パサ
男「いやあ、バランス崩しちゃって。筋肉痛でうまく立てなくてさあ」
幼馴染「じゃ、じゃあ仕方ないね…」ギュ
幼馴染「じゃなーい!学校でやるなっ!」
友「よおー、お熱いねえおふたりさん」
女「なにいちゃついてんのかな?かな?」
幼馴染「いちゃついてなんかいない!///」
女「赤くなっちゃってまー」
友「どうせならもっといちゃつけばよいのだー!」
女「よいのだー!」
男「のだー!」
幼馴染「君までノるな馬鹿!」
幼馴染「天気予報が嘘がついた…か」
男「まあ梅雨だからな。こういうこともあるさ」
幼馴染「…はぁ、折り畳みぐらい持ってくれば良かった。諦めて濡れて帰ろうか」
男「いや、ちょっと待ってろ」
幼馴染「は?」
男「走って取ってくる!」
幼馴染「お、おい!…本当に行っちゃったよ」
男「はぁ…はぁ‥‥取ってきた」
幼馴染「馬鹿じゃないの?」
男「ひでぇ…せっかく持ってきたのに」
幼馴染「ま、ありがとうね」
男「はい、お前の分」つ傘
幼馴染「…いらない」
男「は?」
幼馴染「わざわざ走ってくれたお礼だよ。一つの傘で一緒に帰ろうか」
男「相合傘か!」
幼馴染「声が大きいよ…」パサ
幼馴染「男、もうちょっと内側に入って。肩濡れてるよ」
男「密着することになるぞ?」
幼馴染「構わないよ。ほら」
互いの体温を感じる程に体をくっつける
男「…」
幼馴染「…雨音が心地好いね」
男「そうだな…」
幼馴染「もう少し、聞いていたい」
男「じゃあ、寄り道でもするか」
幼馴染「うん」
男「で、風邪引いたと」
男「俺が…」
何やってんだろうなあ、俺
男「…大人しく寝ていよう」
―――――
―――
―
幼馴染「…」ジィ
男「」パチ、パチ
瞬きをして幼馴染を見つめる
幼馴染「わわ、起きた///」パサ
男「夢でも会えるなんて幸せだなあ」
幼馴染「寝ぼけるな」ペチ
男「病人に暴力を奮うやつがあるか!」
幼馴染「なんだ、元気じゃないか」
次の日
男「お…治ってら」
男「ってことは今度は多分あいつが引いているな」
男「看病してやろう。うん、弱っているところを存分に見てやろう」
幼馴染「や、おはよう」
男「…風邪は?」
幼馴染「ひ弱な君と一緒にするな。看病したって移ったりしないよ」
男「…あ、そう、それは良かった」
幼馴染「残念そうにするな」ペシ
男「…はい」
幼馴染「はいじゃないよ」
男「ちくしょー!走ってやるー!」ダッ
幼馴染「おい、病み上がりだろ馬鹿」
学校
男「ゼー、ハー、気分悪い…」
幼馴染「馬鹿だね。保険室行く?」
男「我慢、我慢だ…」
幼馴染「ぶり返してもっと酷くなったらどうする。大人しく休め」
男「俺は…ひ弱じゃない」
幼馴染「はいはい。ボクが悪かったから、ほら、保険室行くよ。友くん、そういうことで先生来たらよろしく」
友「いえっさー」
女「保健室でしっぽりするのかな?やはは」
幼馴染「誰がするか」
保健室
養護教諭(保健室の先生)「よぉお二人さん、保健室でしっぽりしに来たのかい?すまねえなあ、おじさんがいてよ」ニッシッシ
幼馴染「録音したよ。これは教頭に抗議させてもらう」
養護教諭「げっ、おいおい冗談きついぜ嬢ちゃん。じゃ、じゃあ俺はちょこっと席外すから好きに使うといい。はっはっは」
幼馴染「うん、抗議は絶対にしよう」
男「やめてやれよ…」
幼馴染「セクハラ、だめ、絶対」
男「…俺は?」
幼馴染「君でもダメ」
男「幼馴染、そろそろ授業に戻っとけよ」
幼馴染「まさか、ついでだからここでサボらせてもらうよ」
男「サボるようなキャラでもないだろ?優等生キャラがいきなり不良になると印象悪くなるぞ」
幼馴染「一回程度じゃ大丈夫だよ。ボクだってたまにはそういう時もあるの」
男「どうなったって知らねえぞ」
幼馴染「そんな大げさなことじゃないっての。ほら寝ていろ」
男「膝枕」
幼馴染「調子に乗るな」
眠ってしまった
寝つつも半分起きていると頭を撫でられているのが分かる
「早く良くなあれ」なんて言葉は聞こえないが慈しみをもって優しく撫でられているのを感じる
とても心地好い…とても…
幼馴染「おはよ」
男「んあ…今は…」
幼馴染「もうそろ下校時刻だよ」
男「何ぃ!?」
男「あ、ほんとだ!夕焼け小焼けだ!」
幼馴染「ボクまで一日サボリになっちゃったじゃないか。どうしてくれるんだい?」
男「責任は取る!結婚しよう」
幼馴染「どーしてそーなる」ジトー
幼馴染「で、責任取ってくれると言うなら…」
男「言うなら?」
幼馴染「土曜日一日付き合ってもらおうかな。その頃には体調も戻っているでしょ」
男「デートのお誘いか?」
幼馴染「何を馬鹿な」
幼馴染「時は金なり。ボクの時間を奪ったんだから君の金で返してもらおうってだけだよ。破産するまで奢らせてやる」
男「時と金が等価値と言うなら金と一緒に俺の土曜日の時間を奪うことにならないか?」
幼馴染「ボクと過ごす時間はマイナスかい?」
男「いや、プラスだな」
幼馴染「そうだろ」
一瞬だけ笑みを零した幼馴染
当日
男「…雨かぁ…」
幼馴染「雨だね」
男「…どうする?また今度にするか?」
幼馴染「いや、今日行こう」
男「別に明日にしてもいいんだぞ?」
幼馴染「雨の日じゃないとできないこともあるよ?」
幼馴染がそう言って取り出したのはフードつきのレインコート
幼馴染「どう?」
水玉模様のレインコートを着てフードをかぶり、くるりと回る幼馴染
男「パーカーとはまた違った良さがあるな。なんだか子供っぽくて可愛い」
幼馴染「『子供っぽくて』というのが気になるけどまあいいだろう」
幼馴染「ほら、君の分も」
男「ペアルック!?」
幼馴染「レインコートにペアルックも何もないだろ」
男「で、どこに行くんだ?今日はお前に俺の時間を捧げる約束だったからな。どこまでも付き従うぜ!」
幼馴染「近衛兵のように?」
男「望みとあらば貴女のナイトになろう。永久(とわ)に」
幼馴染「プッ」
男「何故笑う。そこは紅くなるところだろう」
幼馴染「無茶言わないでよ」クスクス
男「近衛兵とか言い出したのはお前だろ」
幼馴染「そーだっけ?」
男「で、どこ行くんだ?二度目だが」
幼馴染「君の頭の中みたいなところだよ」
男「は?」
幼馴染「知らないかな?この辺にフラワーランドがあるんだ、けっこう綺麗なんだよ」
男「…誰が脳内お花畑だ!」
幼馴染「おお、分かっているじゃない」
男「やかましい!」
男「ところでそんなデートスポットに俺をさs」
幼馴染「違う。行きたかったけどカップルが多いところに一人で行くのは嫌だっただけ」
男「へー」ニヤニヤ
幼馴染「そのニヤケ顔をやめろ」グイー
男「いはははは」
ほっぺを思いっきり引っ張られた
幼馴染「ほら、行くよ」
男「ほっぺたが痛い」
幼馴染「そんなに強くしてない」
男「幼馴染の手でナデナデしてくれれば治る気がする」
幼馴染「てい」デコピン!
男「はうっ」
幼馴染「で、行くんだよね?」
男「ああ…ナデナデはしてくれないのか?」
幼馴染「…しょーがないなあ」
男の両頬に手を添える
真正面から男の目をまっすぐ見据え
幼馴染「痛いのとんでいけ」スリスリ
男「 」
幼馴染「…おーい?…固まってるよこの馬鹿」
男「…時計が3分進んでいる…誰か俺の時を止めやがったな!?ギアスか!スタンドか!」
幼馴染「馬鹿は馬鹿なことを馬鹿に言ってないでとっとと行く支度しろ馬鹿」
男「え?あ?はい」
男「…なんか怒ってる?」
幼馴染「早く支度しないでこれ以上時間無駄にしたら怒る」
男「わ、わかった。ごめんよ」
幼馴染「ほらほらとっとと」
男「レインコートで雨の中のお散歩ってのも悪くないな」
幼馴染「そうでしょ?雨音が耳に心地いいよ」
男「…手をつないでもいいか?」
幼馴染「だーめ」
男「可愛い幼馴染と繋ぎたいなあ」
幼馴染「…ダメだって///」パサ
男「フード被っても半透明だから見えてるぞ。顔が紅いの」
幼馴染「うるさい///」
男「フラワーランド…こう綺麗でもこの天気じゃなあ…」
幼馴染「…そうでもないよ」
男「とは?」
幼馴染「ほら、花に水滴が垂れている姿は美しいよ」
男「…だな」
幼馴染「……手、繋ぐ?」
男「え?」
幼馴染「こんな天気だからね。だぁれも人がいない。人がいないから見られる心配も無い」
男「…なら、繋ぐか」
幼馴染「うん」
別の日
幼馴染「梅雨過ぎたね」
男「過ぎたなー」
幼馴染「本格的に暑くなるなあ…嫌だなあ…」
男「まあそれは皆思ってるよ。仕方ない」
幼馴染「今年こそは暑さに負けずパーカーを…」
男「やめなさい」
幼馴染「夏用パーカーだってあるんだよ!」
男「…大丈夫かなあ」
幼馴染「大丈夫だいじょうぶ、出来るだけ薄い素材でできているから」
―――――
―――
―
幼馴染「暑い…」
男「…諦めろ」
幼馴染「…うー」
男「何でそこまでこだわるんだ…」
幼馴染「…好きでしょ?」
男「お前が?もちろん」
幼馴染「…」パサ
幼馴染「…暑い!///」パサ
幼馴染「違う、パーカー姿///」
男「まあ、それは大好きだけど…他にもお前に似合う服装はある」
幼馴染「……すっごい不安なんだけど」
男「まあ任せろ」
男「これぞ幼馴染に与える夏コーデ」
男「白ワンピース、麦わら帽子、そしてヒマワリを一本!」
幼馴染「…どこから持ってきたこのヒマワリ」
男「うん、これぞ夏の少女のイメージ。これならゴッホも放っておかないな」
幼馴染「君はゴッホをヒマワリ専門画家とでも思っているのか」
男「なんだ、気に入らないか?」
幼馴染「まあ…ヒマワリはともかくワンピースはいいかな。少し子供っぽい気もするけど」
男「そんなことないよ、良く似合ってる」
幼馴染「そう?…君が言うならいいか」
幼馴染「で、今日はどこに行く?」
男「宿題お願いします」
幼馴染「…どこに行く?」
男「さっさと宿題終わらせたいんだ!」
幼馴染「さ、とっとと遊びに行こうじゃないか」
男「宿題ぃぃいいい!」
幼馴染「うるさい!だったら何で着替えさせたんだ!」
男「特に意味は無い可愛い」
幼馴染「君ってやつはー」
幼馴染「家で宿題するならこんな恰好する必要ないね」
というわけで
幼馴染「クーラー最大でいつものパーカー姿。これぞボク」
男「…自堕落め」
幼馴染「クーラーは文明の利器だよー」グテー
男「じゃあ宿題」
幼馴染「こんなクーラーの効いた部屋では寝たくなるね」
男「いや、宿題」
幼馴染「一緒に、寝ようか?」
男「!」
夕方
男「…やられた」
幼馴染「ふふ、宿題は明日の朝に頑張ってくれたまえ」
男「今からでもいい!宿題を手伝え」
幼馴染「断る。ボクと添い寝出来ただけいいじゃないか」
男「…お前が寝ている間にキス貰ったぞ」
幼馴染「」
幼馴染「…///」カァ
幼馴染「な、なな、なんて卑怯なことを!///」
男「冗談だよ、これであいことしてやろう」
幼馴染「…///」パサ
幼馴染「クソァッ!///」ゲシッ
男「おうふっ」グハッ
男「…じゃ、じゃあ本当にキスしてみるか?」
幼馴染「この流れでよくそんなことが言えるね…」
男「冗談だ、冗談」
幼馴染「はぁ…では明日ね」
男「ああ、明日な」
家
男「あ、結局宿題やらずに一日が終わってしまった」
男「……めんどくせ。明日早起きすりゃいいや」
学校
幼馴染「やあ、終わらせただろうね?」
男「え?なんのこと?」スッキリ
幼馴染「よーく眠ったようで…宿題をやってきた気配も全く無いね」
男「イエス!」
友「俺もだぜ!」
女「だってあたしやる必要ないしー」
幼馴染「いつも通りだね3バカトリオ」
幼馴染「で、馬鹿共どうするつもりだい?」
女「どうするの?」
幼馴染「君もだ」
女「あたしはやる必要ないもんねー、やはは」
友「宿題なんぞやらなくてもテストでいい点とればいい!」
幼馴染「とれないくせに」
男「幼馴染、宿題見せてくれ!」
幼馴染「うん、君は素直で大変よろしい。君だけに見せてあげるよ」
友「俺も!」
幼馴染「ダメ、君はテスト勉強でもしているといい」
友「さっきのは嘘だったんだー!頼むよ」
幼馴染「触れるな、しっしっ」
友「酷い!」
幼馴染「はい、ボクの宿題」
友「ありがとう!」
幼馴染「君じゃない」
男「恩に着る!」
幼馴染「お礼は次の休日にでもいただくよ」
男「おう、考えておこう」
女「ほほーう?」
友「ほっほーう?」
幼馴染「その興味を持ったぞみたいな目をやめろ」
休日
男「今日は早めに宿題終えたぜ!」
幼馴染「で、何でいちいちボクに報告?」
男「なんだ、てっきり遊んでほしいかと思って来たのに」
男「だったら女とでも―
幼馴染「分かった分かった。何でそこであれの名が出てくる」
幼馴染「で、今日はどんなアホなことを」
男「プール行こうぜ」
幼馴染「ぷ、プールか…うん、じゃああのアホどもにも連絡を」
男「いや、二人きりでだ」
幼馴染「二人きり…ま、まあ…君がそう言うなら…///」パサ
庭
男「さあ!」
幼馴染「…」
ビニールプール<やぁ
幼馴染「…ていっ」ゲシ
男「ぐぉっ、何をする!」
幼馴染「こんなのは入れるか!ボクたちは高校生だよ高校生」
男「すんませんでした…」
幼馴染「はぁ…プール期待したのに」
男「冗談だよ。今から行こうか」
幼馴染「本当に?」ジィ
男「ああ、今すぐだ」
幼馴染「じゃ、じゃあ…ちょっと待っててね。水着取ってくるから」
男「期待してるぜ」
幼馴染「されても困るよ。というか去年と同じ水着だし」
幼馴染「…これ、だよね」
幼馴染「…ん…念のため」ヌギヌギ
・・・
幼馴染「入らない…」
違う、太ったんじゃない、断じて違う
幼馴染「一年経てば…そんなものかな」
幼馴染「…今日行きたかったのに…」
幼馴染「…と、いうことで」
男「ふt」
幼馴染「」ジトー
男「俺たちゃ成長期だもんな、仕方ないよな」
幼馴染「」コクコク
男「それに太ってたらこんなに可愛くない」
幼馴染「それで誤魔化すつもりなら黙ってた方がマシだよ」ゲシゲシ
男「しかしだ!幼馴染が可愛いのは事実」
幼馴染「」パサ
幼馴染「ああもううるさい」
幼馴染(やっぱりパーカーは必須。フードは必須…///)
男「何フードで顔隠してんだよ」
幼馴染「うるさいうるさい」
男「しかし着れる水着が無いなら仕方ない。買いに行くか」
幼馴染「…君も女性用水着売り場に来る気かい?」
男「…難易度高いな」
幼馴染「入ってきたら一生変態呼びしてあげるよ」
男「だったら一人で」
幼馴染「ん…それもな…ぁ…」
女「はいはいはい!ここに女ちゃんがいるよー」
幼馴染「…何故いる。どうやって入った」
女「まあほら、気にしない気にしない」
幼馴染「いや気になるから」
男「気にしても仕方ない、女だし」
女「仕方なーいね」
幼馴染「…もういいや」
幼馴染「着いてくるなって言ったのに…」
男「可愛い幼馴染の水着姿がいち早く見たくて」
友「特に意味は無いけど呼ばれたから」
女「にぱー☆」
幼馴染「アホ二人帰れ」
友「男は良いのか!」
幼馴染「…いい」目逸らし
友「ブーブー」
女「ブーブー」
幼馴染「もうやだこいつら…」
デパート
水着売り場
女「これ似あうよー」
幼馴染「ビキニなんかもってくるな」
男「これとかどうか?」
幼馴染「どうかじゃない。そんな子供っぽいもの持ってくるな」
友「これは」
幼馴染「変態!」ゲシ
友「ぐはぁっ」
幼馴染「というか男子二人出てけぇ」
男「追い出された」
友「男なら特攻しようぜ大将!」
男「それやられたら本気で嫌われそうだからやめておこう」
友「あーあ、つまんねえ。俺等も漢の水着を買いに行くか!」
男「やめろ」
女「さーて、幼馴染ちゃんにはこれが似合うかなあ」
幼馴染「大胆すぎないか…?」
女「男くんはきっと喜ぶよぉ…」
幼馴染「…」
女「幼馴染ちゃん男くんに喜んでほしいんでしょ?」
幼馴染「……」
女「だぁかぁらぁ…」
幼馴染「・・・って騙されないぞ。あいつを喜ばせるならパーカーで充分だ」
女「えー、ほら買おうよー」
幼馴染「うるさい、この無難なので充分だよ」
女「あ、少し可愛いの選んでるー」
幼馴染「気のせいだ気のせい」
男「お、選び終わったのか?」
幼馴染「まあね」
女「教えてあげようかあ?」
友「知りてえなあ。だろ?大将」
男「え、ま…」
幼馴染「走るよ!」
男「え?はぁ?」
いきなり男の手を取って走り出した
幼馴染「ふぅ…巻いたかな」
男「追ってくる気配は無いな」
幼馴染「なら良かった」
男「二人きりになりたかったのか?」
幼馴染「なわけあるか。アホどもと一緒にいたくなかっただけだよ」
男「だろうな」ニヤニヤ
幼馴染「ニヤつくな馬鹿」
男「で、どうする?」
幼馴染「どうするも何も普通に帰るだけだよ」
男「なんだ、残念」
幼馴染「残念?」
男「ああ、もっと一緒にいたい」
幼馴染「ならまたゲーセンでも行く?」
男「いいのか?」
幼馴染「ま、ね」
ゲームセンター
幼馴染「相変わらず五月蠅いところだね」
男「ある意味ゲームセンターの証だな」
幼馴染「あまり一人で来たい場所ではないね」
男「慣れなきゃそうだろうな。プリクラまた撮るか?」
幼馴染「……もうあれはいい///」パサ
男「フードで隠すなよ。分かり切ってるぞ」ニヤニヤ
幼馴染「うるさいうるさい、そこには触れるな」
男「さて何のゲームをするか」
幼馴染「ゲームより…君の腕が見たいな」クイ
男の服の裾を引っ張ってクレーンゲームの前に連れて行く
男「この可愛いぬいぐるみほしいのか?」
幼馴染「君の失敗する様子を見てからかってやろうと思っただけだよ」
男「そう思い通りにいくかよ。で、どれがいい?」
幼馴染「ん…これ」
男「さて速攻ゲットしてやるぜ!」
幼馴染「がんば」
男「どうせならもっと熱く応援してくれよ」
幼馴染「分かった。松岡修造流すよ」
男「遠慮します」
幼馴染「いいからはやくとって」
男「へいへい」
男「おっ、おっ、もうちょい…あー」
幼馴染「はい百円」
男「おう!」
・・・
男「あー」
幼馴染「はい百円」
男「おけー」
・・・
男「…だめだ」
幼馴染「ほら次」
男「…ところでこの百円どこから」
幼馴染「君の財布」
男「だと思った!」
男「ふー、とれた」
幼馴染「おお、ご苦労様」
男「まあ幼馴染が喜ぶのならいいか…」
幼馴染「じゃあそういうわけでこれは貰っておくね。君の忘れ形見に」
男「忘れ形見!?」
幼馴染「これを見る度に君を思い出すから…一生忘れないよ」
男「変なこと言うな!」
幼馴染「ふふ、ぬいぐるみ増えた」
男「そろそろ帰るか」
幼馴染「ん…そうだ、ね…」
男「どうした?」
幼馴染「…雨の音がする」
男「…本当だ」
幼馴染「男、傘持ってる?」
男「生憎」
幼馴染「…やだなあ」
幼馴染「仕方ない、コンビニまで走るよ」
男「お、おう」
男に買ってもらったぬいぐるみを濡れないように抱えて走る幼馴染
幼馴染「うぅ…濡れる」タッタッタッタ
幼馴染「はぁっ…はぁっ…」タッタッタッタ
男「頑張れ、コンビニまで後少しだ」
幼馴染「頑張るような距離でもないのにこの土砂降りはなんなのさ…」
男「これも夏の醍醐味だよ」
幼馴染「そんなのいるか!」
―――――
―――
―
男「ようやく傘ゲット」
幼馴染「これでゆっくり帰れるね。一つでいいよ」
男「つまり相合傘がしたいと」
幼馴染「お金の節約だよ。他意は無いね」
男「…」
幼馴染「…何?そんなじろじろ見て…」
男「腹、透けてる」
幼馴染「…雨に濡れたんだ、こっち見るな」
男「いくらパーカー着たいからってそんな薄いパーカー着てくるから」
幼馴染「仕方ないだろ。パーカーはボクに必要なの。こういう時とか」パサ
男「だからフードで顔隠すなよ。見えない」
幼馴染「見ようとするな///」
幼馴染「もうちょっとそっち行け、肩が濡れる」
男「しょうがないだろ」
幼馴染「じゃあ無理やりにでも入る」ギュ
男「…密着してるぞ」
幼馴染「うるさい、仕方ないから」
幼馴染「ふう、ようやく帰ってこれた」
男「本当はもう少し一緒にいたかったんじゃないのか?」
幼馴染「雨の中は嫌だよ」
男「じゃあ家の中」
幼馴染「…」
男「ダメか?」
幼馴染「…」
男「…」
男「あ」
幼馴染「しゅ」
二人『ん?』
幼馴染「…君からどうぞ」
男「いやいやお前から」
幼馴染「宿題教えてくれと頼むのなら君がボクの家に来る理由はあるね…と」
男「よし、すぐ宿題持ってくる!」
幼馴染「あ、君の言おうとしたこ…と…行きやがった」
幼馴染「…少しぐらい部屋片づけておくかな」
男「きたぞー」
幼馴染「や、待っていたよ」
男「…なんだこの片づけようとして途中で飽きたって感じの部屋は」
幼馴染「別に汚くはないでしょ」
男「まあ、そうだな。部屋の隅に積み上げただけにしか見えないけど」
幼馴染「君の部屋よりはマシだ」
男「汚くないわ!」
幼馴染「使用済みティッシュはゴミ箱に入れなよ」
男「適当なこと言うな!」
幼馴染「じゃ、宿題やろか」
男「もう少しゆったりしていたっていいじゃないか」
幼馴染「そう言って夏休み後半まで宿題残していたことが何度あるか」
男「ぐっ……やります」
幼馴染「ん、頑張れ」
幼馴染「そこ間違ってる。代入値はそっち」
男「あ、そうか。すまん」
幼馴染「なぜ謝る」
男「…さあ?」
幼馴染「…そのちっちゃい消しゴム使いにくくない?」
男「使えないことは無い」
幼馴染「これ使いなよ」
男「お、MONO消し」
幼馴染「カバー取るな」
男「俺の名前は書いてないのか…」
幼馴染「あるわけないだろ。好きな人の名前を消しゴムに書くのは小学生だけだ」
男「じゃあまさか小学生のころには!」
幼馴染「さあね。書いていたとしても使い切ってるから確かめようは無いよ?」
男「そういや小学生のころ一つの消しゴムを大切に使ってたな。まさかあれが…」
幼馴染「まさか。君と違って物を大事にする性格だっただけだよ」
男「へえ?めんどくさがりのお前が?」ニヤニヤ
幼馴染「めんどくさがりと大切にしないは別だから」
男「そういや一度消しゴムがどっかに行ったって喚いて必死になって探してなかったっけ」
幼馴染「記憶のねつ造はやめてもらおうか」
男「俺の記憶力はかなりいいんだぞ。他にも消しゴム関連は…」
幼馴染「ほら手が止まってる。そこ解いてみろ」
男「え?どれ?あ…これ苦手な奴…」
幼馴染「うん、じっくり教えてあげるから」
幼馴染「…大分暗くなってきたね」
男「ん?そんなにやってたっけ」
幼馴染「時間なんて気づいたら過ぎ去っているものs」
―ヒュー、ガタタガタガタ―
幼馴染「っ」ビクッ
男「ああ、そういや台風が近づいてるって」
幼馴染「え…」
男「さて、今日は宿題終わりっと…」
幼馴染「…君の頭なら今のうちにもっとやっておいたほうがいいんじゃないかな」
男「お前のところにくる口実は残しておいた方がいいだろ?」
幼馴染「そんなもの適当に作れ。君なら『一人じゃ寂しくて死んじゃう』で充分でしょ」
男「お前の目に俺は兎にでも見えているのか」
幼馴染「…そうだね。だからこれは君の代わり」ギュゥ
男「妙にくたびれてるぞそのぬいぐるみ…」
男「さて、俺の代わりも決まったことだし帰るか」
ヒュー、ガタガタ
幼馴染「っ…」
幼馴染「ま、待った。時には代わりではなく本物の、君が、必要な時があるんだよ」
男「いやいや、何その言い方、俺を何に使うっていうんだ」
幼馴染「それは…その…きょ」
男「きょ?」
ガタガタガタ、ガンッ
幼馴染「ひっ………………察して」
男「やだ!」(満面の笑み)
幼馴染「死ね!」
幼馴染「ということで君なら分かってくれると思って…」
男「帰るわ」
幼馴染「…今日の君は意地悪だね」
男「悪かった悪かった、怖がるお前が可愛くてつい」
幼馴染「死ね。そんな軽い褒め言葉で償えると思うな」
男「いや、あの、本当にすいませんでした…」
幼馴染「…ふん」
幼馴染「罰として明日まで帰るなよ」
男「むしろそれどっちからしてもありがたいご褒美では」
幼馴染「じゃあその部屋の隅で一晩中スクワット
汗の匂いを巻きちらすウザったいオブジェクトとなるがいい」
男「普通に居座らせていただきます」
幼馴染「よろし… ―ガタンッ― ひっ」
男(可愛い)
幼馴染「と、りあえず、テレビでもつけようか」
男「音は小さめに」
幼馴染「大きめに」
「台風は明日には過ぎ去るようで」
男「良かったな」
幼馴染「何のことかな」
男「さっき察してくれとか言ってたくせに」
幼馴染「天気予報は何も関係ないから」
男「…」
幼馴染「何だその沈黙は」
男「ま、いっか」
幼馴染「何だその自己解決は」
幼馴染「さて、お風呂沸かそ」
男「おう」
幼馴染「君がね」
男「そんぐらいめんどくさがんなよ」
幼馴染「だってめんどくさいもん」
男「やってきたぞー」
幼馴染「ありがと」
男「人が働いているときにソファにだらけて本を読んでいるとは…いいご身分だな」
幼馴染「治まってきたからね」
男「確かに音が止んできたな」
幼馴染「違う」
男「別に隠さなくていいのに。怖いなら怖いって言えよ」ニヤニヤ
幼馴染「うるさい」
男「風呂あがったぞー、怖くなかったか」
幼馴染「うるさいっての…」
男「うわっ、テレビ音量でっかっ」
幼馴染「そう?適当に弄っといて。ボクも入ってくるから」
男「おう、前みたいにのぼせんなよ」
幼馴染「余計な御世話だよ」
お風呂
幼馴染(ふぅ…いい湯…)ブクブク
幼馴染(包まれてる気分…)
ヒュー ガタガタ
幼馴染「ま、またっ…」
幼馴染(お、男…呼べるわけがない…)
幼馴染「早く、出ないと…」
男「あれ?思ったより、早かったな」
幼馴染「………さっきのぼせるなって言われたし」
男「怪しい」
幼馴染「うるさい。頭よろしく」
男「ああ。おいで」
幼馴染「ん」ポフ
男の前に背中を預けるように座る幼馴染
男「…」ギュ
幼馴染「な、に、何をしている…///」
男「いや、やっておいた方がいいかなって」
幼馴染「…調子に乗るな///」マジトーン
男「…すいません」パ
男(おかしいなあ。女が次そんなシュチュエーションになったらこうしなきゃダメだって)
男(…何であいつ"次"なんて言ったんだ?風呂上りに髪乾かして梳かしたことなんて言ってないんだが)
幼馴染(ちょっとすごんだだけで止めるとかヘタレめ)
幼馴染(なんていうのは意地悪が過ぎるかな)
男「」スンスン
幼馴染「やめて」
男「幼馴染の髪は良い匂いがする」
幼馴染「…………とっとと乾かして」
男「へいへい」
幼馴染(…ダメだな、もう少しやらせてあげようかと思ってたけど…やっぱり恥ずかしい)
幼馴染(というか…そんな変態なことはしてほしくない)
男「さて、ドライヤー」
幼馴染「ん?」
男「ん?」
幼馴染(前はその前に頭撫でてた…)
幼馴染「その…えと…前と、手順が違うな…と」
男「手順?特にないけど?」
幼馴染「いや、その…あ…ほら…ドライヤーの前に…」
男「ああ」
幼馴染「そう!」
男「なんだっけ?」
幼馴染「…おい」
男「いやあ言われないと今一思い出せないかな」
幼馴染「…あ、頭…」
男「頭?」
幼馴染「……………な、でて」
男「なで?」
幼馴染「頭撫でて…って…」
幼馴染(い、言えた…言った…言えた…///)
男「ああ思い出した思い出した」ナデナデ
幼馴染「ん…ぅ///」
男「もっと素直になってもいいのに」
幼馴染「充分だろ」
幼馴染(限界だよ)
男「もっと甘えたいんだろ?」ナデナデ
幼馴染「それは君だろう?」
男「お前だろ?」
幼馴染「君だろ?」
男「お前も…って終わらないな」
幼馴染「そうだね。とっとと…いや、丁寧に髪を乾かして」
男「はいはいお嬢様」
幼馴染「その呼び方は嫌」
男「お姫様」
幼馴染「もっと嫌」
男「幼馴染」
幼馴染「ん。よろしい」
ドライヤー<ブォォン
男「熱くないか?」ナデナデ
幼馴染「うん。問題無いよ」
男「やっぱり長いと手入れが大変だなぁ」
幼馴染「そうだね。だからめんどくさいんじゃん」
男「でも切らないんだな」
幼馴染「それもめんどくさいかな」
幼馴染「それに、君がやってくれるからいいじゃないか」
男「俺もめんどくさいと思ってる可能性は?」
幼馴染「役得なくせに」
男「互いにな」
幼馴染「………ん」
男「よし、終わり」
幼馴染「ありがと…寝る時間までまだあるね」
男「そうだな、まだ眠くもないし」
幼馴染「テレビでも見る?」
男「ホラー」
幼馴染「帰れ」
男「え?帰っていいの?まだまだ嵐は荒れて…」
幼馴染「帰らないで。でもホラーはダメ」
男「いいじゃんホラー」
幼馴染「よくない。適当にバラエティーでも流していよう」
男「はいバラエティー」
幼馴染「右上に『夏の夜特別企画』とか書いてあるんだけど」
男「だから何だ?」
幼馴染「そういう場合は大抵ホラー企画…」
男「逃がすか!」ギュー
幼馴染「はっ、放せ。放せぇ!」
テレビ<ギャァアアア
幼馴染「ーっっ!」
男「くっくくく」
幼馴染「このぉっ///」
男「そろそろ夕食にしたいなあ」チラ
幼馴染「意地悪したからやだ」
男「本心は?」
幼馴染「めんどくさい」
男「…料理は女の子に必須スキル」
幼馴染「うるさい。作れるけど作りたくないの。というかこの間振る舞ったじゃないか」
男「……」グー
幼馴染「」ピク
男「…幼馴染の料理…食べたい…」
幼馴染「…」
男「…」グー
幼馴染「ああもう、分かったよ。ボクの負け」
男「!」
幼馴染「その代わり次は君の手料理をいただくからね?」
男「おう!」
幼馴染「…見られているとやりにくいよ」
男「前みたいに『美味しくなあれ』ってやるのが見たくて」
幼馴染「…不味くなってしまえ」
男「!?」
幼馴染「…………美味しくなれ」ボソッ
男「」ニヤニヤ
幼馴染「…何?」
男「いやあ楽しみだなって」
幼馴染「あそ、大人しく待っててね」
幼馴染「はいお待たせ」
男「おう、ありがとう」
幼馴染「味は保証しないよ」
男「美味しいに決まってる」
幼馴染「そ?」
男「幼馴染が『美味しくなぁれ』してくれたからな」ニヤニヤ
幼馴染「なっ///」カァア
幼馴染「き、聞いていたのか///」
男「いつ小声で言っててもいいように聞き耳立てていたからな」
幼馴染「君はもっと難聴鈍感であるべきだ!」
男「そんなハーレムもの主人公みたいな個性を求めんな」
幼馴染「…そろそろ寝よっか。部屋は別」
男「先に釘を刺されてしまったか」
幼馴染「釘は刺してない。明確に拒否しただけ」
男「荒らしは今日の夜中強くなるんだけどな」
幼馴染「…」
男「一人で大丈夫か?」ニヤニヤ
幼馴染「……」
男「まあそこまで言うなら声も届かない遠いお部屋で…」
幼馴染「分かった。君がそこまで言うなら同じ部屋で寝てあげよう」
男「同じベ…」
幼馴染「死んでしまえ」
次の日
男「…何もなかった」
幼馴染「あってたまるか」
男「今日は何をしよう!」
幼馴染「帰れ」
男「え、朝だよ」
幼馴染「帰れ。ボクはやることが色々ある」
男「ちぇー」
幼馴染「またね」
幼馴染「さて、男は帰ったし…」
幼馴染「…布団…男の寝た…」バフッ
幼馴染「…」スンスン
幼馴染「…二度寝したくなった」グテー
ピンポーン
幼馴染「んっ…っ、寝すぎた。…って昼か」
ピンポーン
幼馴染「はいはい…」
<幼馴染~いないのかー?
幼馴染「っ…男!?…わっ、あ、寝癖…あ、ん…えと…」
<いないのかな…
幼馴染「い、いるいる!」
幼馴染「や、やあ…さっきぶりだね」
男「あれ…寝癖」
幼馴染「ボクがめんどくさがりなのは知っているだろう?」
男「朝無かったと思うけど」
幼馴染「もっとよくボクを見てほしいものだね」
男「何か誤魔化そうとしてないか?」
幼馴染「気のせい、気のせい」
幼馴染「で、何の用で来たんだい?」
男「プール行かないか?」
幼馴染「ん、いいよ」
男「この間水着買ってたよな?楽しみだ」
幼馴染「あまり楽しみにされても…困るよ」
プール
幼馴染「…男、いこ。別のところ行こう」
女「逃がすかー!」
友「イェッサー!」
幼馴染「男!このバカども追い払え!」
男「諦めよう」
幼馴染「はあ、仕方ないなあ」
女「何だかんだ言っても幼馴染ちゃんいつもあたしたちといて楽しそうだしー」
幼馴染「ああもう何も言わないよ」
~着替え中~
幼馴染「……」
女「さあさあ早く着なよ」
幼馴染「とは言ってもね…少しくらい心の準備が必要なわけで…」
女「あたしに見られたって恥ずかしくないじゃん?」
幼馴染「君じゃないよ」
女「分かってる分かってる。男くんでしょぉ?」
幼馴染「……」
女「にっひっひぃ。幼馴染ちゃんは純粋で可愛いねえ」
幼馴染「…うるさい」
幼馴染「そういう女だって友に見られるのは恥ずかしいんじゃないのかい?」
女「全然?幼馴染ちゃんが恥ずかしがり屋すぎるだけだよ」
幼馴染「…」
女「やはは、あたしの弱点を探ろうたってむっだだよー」
幼馴染「そうだね、頭空っぽだもの」
女「照れますなー」
幼馴染「褒めてn…もういいや」
女「お、脱ぎましたな?」
幼馴染「…」
女「幼馴染ちゃん着てると目立たないけどそれなりに胸あるよねー」
幼馴染「…近づいてくるな」
女「自分の触ってろ変態!」
幼馴染「こっちのセリフだ!」
~合流~
男「なんか遅くなかったか?」
幼馴染「女子の着替えは長いものさ」
女「にひひー、長いもの長いもの」
幼馴染「別に待ってなくても良かったのに」
女「待ってなかったら幼馴染ちゃん泣いてただろうけどねえ」
幼馴染「そんなわけあるか」
女「で、で?男くんどうなの?幼馴染ちゃんの、し・た・ぎ♪」
幼馴染「水着だ!」
女「それはさておきー、感想をどうぞ?幼馴染ちゃんの水着はどうなの~?」
幼馴染「君が聞くのは違うだろう」
女「じゃあじゃあ幼馴染ちゃんからどーぞー」
幼馴染「…男、女の質問に応えなよ」
友「あ、そういう言い方しちゃう?」
男「そうだなあ、女の水着は…」
幼馴染「そっちじゃないだろ!」
男「で、感想だろ?」
幼馴染「う…うん…///」
友「」ヒソヒソ
男「エロい!」
幼馴染「」ゲシッ、ビシッ
男「あだっ!」
友「何で俺まで!」
幼馴染「もう一度言ってみ?」
男「可愛い、似合ってる。ライン美しい」
友「エロい!」
幼馴染「いっぺん沈んでこい!」ゲシッ
友「俺だけっ!」グハァ
女「とぉーっ!」キックッ!
友「ぎゃぁーっ!」ドッボーン
友「あっぷっ…あっぷっ、たす、助けてぇっ」
女「あっひゃっひゃ、あたし以外の女に『エロい』だなんて言った罰なのだー!」
幼馴染「さて、馬鹿二人がはしゃいでいる間にどっかいこ」
男「そうだな、ウォータースライダー行くか」
女「お昼ご飯時に集合ねー」
幼馴染「はいはい」
ウォータースライダー
幼馴染「あれ、こんなに高かったっけ…」
男「なんか冬の間に改築してたらしいよ」
幼馴染「男、ボク流れるプールの方に行きたくなったなあ」
男「怖くなったか?」
幼馴染「…正直に言うと…うん…」
男「じゃあ行こう!」
幼馴染「正直に言っても連れて行くのか!」
男「大丈夫、大丈夫、ジェットコースターにだって乗れるじゃないか」
幼馴染「いや、そうだけど…機械じゃないから…」
男「安全性が怖いって?そんなんで危険だったらやってないって」
幼馴染「頭じゃ分かってるけど…ちょっと、ひっぱらないで。引っ張るなって!」
男「このウォータースライダー浮き輪で滑るタイプなんだな」
幼馴染「…」
男「あ、二人用浮き輪貸し出してるな」
幼馴染「 !」
男「じゃ、一人用浮き輪二つ借りてくるわ」
幼馴染「二人用!」
男「なんだか不安がなくなったって顔してるな」
幼馴染「ん、安心したからね」
大きな二人用浮き輪を抱えている幼馴染と並ぶ
男「俺と一緒なら怖くは無いってか?」
幼馴染「そんなラスボス前みたいなセリフ言った覚えは無いよ」
男「でもそんな感じだろ?」
幼馴染「どうせ認めなかったら一人用に替えてくるとか言い出すんでしょ?」
男「はっはっは、先を読まれた」
幼馴染「何度も同じことされてるからね」
男「さて、次だな。心の準備は出来てるか?」
幼馴染「必要ないね」
男「前と後ろどっちがいい?」
幼馴染「前は譲ってあげよう」
男「じゃあ俺が後ろで」
幼馴染「後ろ譲って」
男「別に怖さは変わらないと思うけどなあ」
幼馴染「うるさい」
男「さてレッツゴー!」
幼馴染(男の背中だけを見てる。余計なことは考えずに―
―シュパァアア(滑る音)―
幼馴染「ーっっ!」
男「怖かったら叫んでもいいんだぞー!」
幼馴染「誰が…叫んだりなんかぁーっ!!」
男「やっほーっ!」
幼馴染「ぃゃぁあああっ!」
さっぱぁあああん!
男「いやあ楽しかったな」
幼馴染「うん、怖くはなかったね」
男「最後叫んでたじゃないか」
幼馴染「雰囲気を出すためね」
男「じゃあもう一回滑るか?」
幼馴染「上等!…次も君が前ね」
男「本当にもう一度滑るんだな?後悔するなよ?」
幼馴染「もう慣れたもんね」
―――――
―――
―
幼馴染「やぁあああ!」ギュゥ
やっぱり怖かったのか男の背にしがみつく
手に収まる程度の小ぶりな胸が背中に押し付けられているのがわかる
幼馴染「あー、楽しかった」
男「俺に抱きつくのが楽しいならもっといいんだぞ」
幼馴染「全然違うよ」
男「次どこ行く?」
幼馴染「そうだね、まだお昼まで時間あるし…」
波のプール
幼馴染「揺られているのは気持ちいいねぇ」グテー
男「そうだな」
幼馴染「…男、もっとこっち来て」
男「ん?」
幼馴染「ボクの顔見て」
男「どうした?」
幼馴染「ていっ!」バシャァアン
男「あぷぅっ!」
幼馴染「ふふ、引っかかった」
男「このやろ!」バッシャァ
幼馴染「わっ、鼻に入ったっ」
幼馴染「ごめん、ちょっと待ってて」
男「トイレか?」
幼馴染「何ではっきり言うかなー、もう」
さて、俺は適当に漂ってるか
「へーい彼女?オレと遊ばなーい?」
そんな声が聞こえる。プールなんかでナンパする奴なんているのか
「ちょっとぉ、聞こえてないのかぁ?」
それにしてもナンパする肉食男子とは思えない高い声だが…
「君だよ、君」
男「ぶはぁっ、俺ェ!?」
巨乳の美女が覗き込んできた。スポーツでもやっていそうな引き締まったボディにボーイッシュを感じさせる顔立ち
「わっはは、いい反応ー。どうせ寂しい独り身なんでしょ?一日付き合ってよ」
男「い、いや俺は」
「この巨乳を見ても答えはでないかなあ?」
男「…」
幼馴染「何やってんのかな?ねぇ」
男「あ、幼馴染」
幼馴染「普通逆でしょに…何で君が絡まれてボクが助けるんだ」
「なあんだ、連れがいたのかあ」
幼馴染「そういうこと。ほら消えろ」シッシッ
男「…なんかすまん」
幼馴染「いいよ、別に何も無かったんだし」
幼馴染「…何もなかったよね?」
男「い、イエス…」
幼馴染「そ、なら良かったよ」
幼馴染「そろそろ女たちと合流する時間だ。ほら、お昼ご飯食べにいこ」
男「あ、ああ」
飲食スペース
女「聞いたよー逆ナンされたんだってー?」
友「ボーイッシュ巨乳美人だったんだってー?」
男「どっから聞いたんだお前ら!」
幼馴染「へえ、もしかして…黒幕は君たちか…」
友「めっそーもない!」
女「やははー、どーだろねー」
女「タコ焼きたこ焼きかき氷~♪」
友「焼きそばかっこめー!」
幼馴染「飯ぐらい大人しく食べられないのか」
男「だってこいつらだし仕方ない」
友「おい男!早食い勝負すっぞ!」
男「おう!」
幼馴染「君も同類じゃないか」
―――――
―――
―
友「よっしゃー!泳ぐぜー!」
女「やっは-!」
男「ひゃっほー!」
幼馴染「食べてすぐ泳ぎに行くな馬鹿ども!」
幼馴染「まったく…でもま、賑やかなのはいいことか」
女「ほらほら幼馴染ちゃんもレツゴーだよ!」
男「行くぞー!」
幼馴染「わ、わ、引っ張るな」
友「遊ぶなら今の内だぜー」
―――――
―――
―
夕方
男「いやあ楽しかったな」
幼馴染「そうだね。夏は十分楽しんだと思うよ」
友「いや、まだ一つ残ってるぜ姐御!」
女「そーだよ!今日の夜!夏祭り!花火!」
幼馴染「そうだね。祭…か」
幼馴染(和服…着て行こうかな)
女「このあたしが着付け手伝ってあげようか?ぐっふっふ」
幼馴染「一旦解散して夜現地集合しようか」
女「ちっ」
幼馴染「『ちっ』じゃない」
家にて
幼馴染「ん…難しいかな」
幼母「やってあげようか?」
幼馴染「いいの。ほっといて」
幼母「男君の前にぶかっこうな和服で出るの?」
幼馴染「そうならないように頑張っているんだよ…」
幼母「だから私がやってあげようか?って言っているんだよ?」
幼馴染「ボクでやらないと意味ないから…」
幼母「乙女ねえ」
幼馴染「うっさいよ、もう…」
幼母「ほらほらもうすぐ時間じゃない?」
幼馴染「分かってるようるさい!」
―――――
―――
―
幼馴染「よし、これでどう?」
幼母「うんうん、可愛いよぉ」
幼馴染「…変なところ無い?ちゃんと後ろもできてる?」
幼母「大丈夫よ、自信持ちなさい」
幼馴染「…ふふ」
幼母「笑みが零れてるわよ?」
幼馴染「っ///」
幼馴染「行ってくる!///」
幼母「楽しんでおいで」
~ピンポーン~
男「はいはーい」
―――――
―――
―
男「ってあれ?幼馴染?現地集合じゃ?」
幼馴染「その前に…その…えと…うん、一緒に行こう?」
男「…うるさいのと合流する前に俺と二人きりでいたかった。と」
幼馴染「…………そうなる、かな///」
男「今日は素直じゃないか」ナデナデ
幼馴染「うっさいよ…他に言うことは?///」
男「ああ、浴衣可愛い」
幼馴染「っっ///」
幼馴染「よ、よし、行こう///」
男「何でそっぽ向くんだよ」
幼馴染「パーカー着てないから安心して君をまっすぐに見られないんだよ///」
幼馴染「ほ、ほら」
男「?」
幼馴染「手…繋いで///」
男「頭でも打ったか?」
幼馴染「なわけあるか!///」
男「じゃあ熱があるのか?」
幼馴染「確かに顔は熱いけど違う!///」
幼馴染「毒を食らわば皿までだよ…どうせ恥ずかしい思いしながら過ごすんだから…つまり、その///」
幼馴染「その…ボクは恥ずかしくても嬉しい思いをついでにするっ!それだけっ///」
男「…」
幼馴染(やっぱり言うんじゃなかった‥//)
男「」ギュ
幼馴染「わぁっ、無言で抱きしめるな。やめろ離せ///」
男「いやあ素直な幼馴染は可愛いなあ」
幼馴染「絶賛後悔中…///」
男「ついでだから色々やってよ」
幼馴染「色々?」
男「萌え袖」
幼馴染「///」チョコン
手をほとんど隠し指だけを袖から見せる。良い。実に良い
男「上目遣い」
幼馴染「///」ジィ
男「可愛い」
男「次ジト目…はいつも見てるからいいや」
幼馴染「あ?」ジト
女「お熱いですなー」
友「ですねえ」
幼馴染「うわぁっ、いつの間に///」
男「現地集合じゃなかったのか」
友「だって面白いもの見れそうだったし」
女「面白いもの見れたしー」
幼馴染「今すぐ忘れろ!///」
友「無理!」
女「無理~」
男「無理だぜ」
幼馴染「君はその必要無いの///」
友「おぉ~」
女「わぉー」
幼馴染「何なんだいったい///」
友「やっぱり夜の祭の雰囲気って特別だよなあ」
男「だよな。大好きだぜ」
幼馴染「男」チョイチョイ
男「ん?どうした?」
幼馴染「あのぬいぐるみ取って」
男「射的か。楽勝だぜ」
女「あたしあれー」
友「…何だあのデザイン。キモ」
女「そう?くぁいいよ~?」
男「落ちろぉぉおおお!」
オヤジ「ハッハッハ、半端な気持ちじゃだめだぜ。心と決意を精一杯込めな」
男「精一杯…幼馴染!」
幼馴染「ん?」
男「ゲットしたらご褒美くれ!」
幼馴染「…できたら…ね///」
男「よっしゃぁあああ、命を込めろぉぉぉお!!!!」
友「2発で取れたぞー」
女「わぁい」
男「ゲット!」
オヤジ「重り付けたのに…すげえな兄ちゃん」
男「これこそ愛のなせる業だぜ!」
幼馴染「臭いこと言ってんじゃない!///」
男「褒美忘れるなよ?」
幼馴染「今するとは言ってないし///」
男「褒美褒美ー」
幼馴染「五月蠅いウザイ」
男「褒美くれないと"可愛い"を連呼してやる」
幼馴染「…しょうがないな。目を瞑って」
男「おう」
幼馴染「あーん」
男「」アーン
幼馴染「ていっ」
男「っっ!あっぢゃぁあああ」
たこ焼きを放り込まれた
友「巫女の舞が始まるから見に行こうぜ」
女「委員長ちゃんの普段見られない姿だよねぇ」
男「おうっ」
と二人に付いて行こうとしたが
幼馴染「…」チョイ
幼馴染が服を掴んで引き留めた
男「どうした?」
幼馴染「…行かないで」
男「どうしたんだよ」
幼馴染「…君、巫女服好きじゃないか」
男「パーカー・巫女・浴衣は3大好きな衣装だからな」
幼馴染「…だからだよ」
男「嫉妬か?」
幼馴染「そんなとこ」ジィ
男「そんな睨まなくても変な気は起こさないぞ」
幼馴染「そういう問題じゃない」
男「じゃあ何だ?」
幼馴染「…きょ」
男「きょ?」
幼馴染「今日は…ボクは出来るだけ…素直になろうと頑張っているんだよ?///」カァ
男(可愛い)
幼馴染「だから…今年の夏祭りは…今回だけは…ボクだけを…見てよ///」カァァ
男「可愛い」ギュゥ
幼馴染「やめろっ、抱きしめるな、他の奴もいるだろっっ///」
男「いやつい。可愛いから」
幼馴染「二度も言うな、早く離せ!」
男「もっと幼馴染も女を見習って柔軟になれよ」
幼馴染「柔軟?あれはフリーダムって言うんだよ。もしくはトラブルメーカー」
~その頃~
女「ヒューヒュー、委員ちょちゃーん。こっち向いてー美人っー」
「巫女舞の最中に巫女様に話しかけるのはおやめください」
~~
男「まあ、確かにあそこまでカオスになれとは言わないが」
男「っ…そうだ、幼馴染が巫女コスを…」
幼馴染「断る」
男「いいじゃないかしてくれたって」
幼馴染「嫌だ」
男「」ショボン
幼馴染「そんな顔をするな」
男「だってー」
幼馴染「うるさい」
男「あ、巫女舞終わったっぽい」
幼馴染「…もうか」
幼馴染「わ…わわわ」
男「おっと危ない」
巫女舞を見終わって再び露天通りに戻ってきた人波に飲まれそうになった幼馴染を抱き留める
男「狭いくせに人多いからなぁ」
幼馴染「…///」ドキドキ
女「幼馴染ちゃーん」
友「うっす大将!」
幼馴染「わぁっ」
とっさに男から離れる幼馴染
男「おうお前ら」
友「もう少しで花火始まるぜー」
幼馴染「いつも通りの場所で?」
女「そーそー、あそこら辺一帯は貸し切ってあるからねえ」
いつもながらどうやっているんだろう
神社の境内で一番高い場所、立ち入り禁止の小さな林道の先に開けた空間があり、そこから花火が良く見える
友「じゃあ俺たちは向こう行ってっから」
幼馴染「え?」
女「お二人共もごゆっくりねー」
男「二人っきりにしてくれたんだな」
幼馴染「さあ、あの二人がそうなりたかっただけじゃないの?」
男「お前だってあの二人の性格は知ってるだろ?」
幼馴染「まあ、馬鹿だけど悪い奴らじゃない………今現在ボクらを覗いていたもおかしくない!」
男「………気にしないでおこう。多分そうだとしても探すだけ無駄だ」
ひゅ~ ドーン
幼馴染「わぁ…」
男「綺麗だな」
幼馴染「うん……」
不意に幼馴染の手が俺の手に触れる
何も言わずにその手を握る
幼馴染「…」
見るとその顔は無表情だった…あ、見てると少し恥ずかしそうに…
幼馴染「こっちを見るな。花火を見ろ///」
男「あ、はい…ふ」
幼馴染「ふふ…///」
どちらからともなく軽く笑い、どちらかともなく身を寄せ合う
男「良い夜だな」
幼馴染「そうだね」
―――――
―――
―
巨大な花火が二人を照らし出す
幼馴染「好き」
花火の音に合わせて言ったその言葉はすぐに掻き消える
男「これで終わりなんだな。今年の夏祭りも」
幼馴染「…うん」
男「思い出は充分か?」
幼馴染「…いや、あと一つ…」
男「え?」
幼馴染が顔を近づけてくる。雰囲気と目が訴えてくる
目を閉じる
心音が花火の音よりも大きくなった。それは、どちらの鼓動なのか
チュ
幼馴染「ぷは…ん、これで充分、かな///」
男「いやあ俺もご馳走様だよ」ナデナデ
幼馴染「その言い方はやめてくれないかな///」
友「さて帰るかい大将!」
幼馴染「っ!!」ビクゥッ
男「お前ら、まさか」
女「ナニモミテナイヨー、ヤハハ」
幼馴染「うぅぅぅ…///」プシュゥゥ
―――――
―――
―
友「じゃあ俺たちはここでな」
女「やははー、ばいばーい」
男「次は学校でな。宿題忘れんなよ」
友「あたぼーよー!」
女「あたしはやらなくたって平気だしい?」
男「大丈夫かな。女はともかく友」
幼馴染「…///」
男「幼馴染?ぼーっとしてるけど大丈夫か?」
幼馴染「ん、少し考え事///」
男「じゃ、また明日な」
幼馴染「え?あれ?もう家の前?///」
男「ボーっとしすぎだろ」
幼馴染「…ボクとしたことが、ね///」
その夜
幼馴染「いくらなんでも恥ずかしいことしすぎだろボクはぁああ///」
枕に顔を埋めて足をジタバタさせる
幼馴染「こんな時大人ならお酒飲んで忘れられるのかなあ…もう///」
幼馴染「……そんなこと言ったってどーにもならないのに///」
続き
幼馴染「それでボクを頼ってきたの?めんどくさいなあ」【後編】