1 : 以下、\... - 2016/12/20 00:31:00.952 Vg9p7mcz0.net 1/30

同僚女「社会人のくせに実家通いはヤバイでしょー」

「……すみません」

同僚女「だって、いい年してお母さんにご飯とか作ってもらってるんでしょ?」

「はい……」

同僚女「悪いけど、あなたを一人前の男として見ることはできないなー」

「そうですよね……」

元スレ
同僚女「実家から会社通ってんの? ダッサwww」男「ううっ……」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1482161460/

9 : 以下、\... - 2016/12/20 00:34:09.952 Vg9p7mcz0.net 2/30

同僚女「そこで、私から提案があるんだけど」

「なんですか?」

同僚女「私のマンションで暮らさない?」

「ど、どういうことですか?」ドキドキドキ

同僚女「やだ、そんなに身構えないでよ!」

同僚女「私も夜一人だと寂しいことがあるし、もう一人ルームメイトが欲しいなーぐらいの感覚よ」

「そういうことですか……」

14 : 以下、\... - 2016/12/20 00:37:05.015 Vg9p7mcz0.net 3/30

同僚女「嫌になったら、すぐ出ていってくれればいいんだし」

同僚女「私もそこらへんはサバサバしてるから、全然気にしないし」

同僚女「ねえ、どう?」

「そうですね……」

「ぼくはいいんですけど、お父さんとお母さんが許してくれるかどうか……」

同僚女「そんなのいい大人なんだし、許してくれるに決まってるじゃない!」

「でも……」

17 : 以下、\... - 2016/12/20 00:40:20.013 Vg9p7mcz0.net 4/30

同僚女「あー、分かった分かった!」

同僚女「だったらこうしよう」

同僚女「私があなたのお父さんとお母さんを説得してあげる!」

同僚女「これでどう?」

「いいんですか?」

同僚女「私から提案してるんだしね、それぐらいはやらなきゃ」

「じゃあ今日はぼくの実家にご案内します!」

同僚女「よろしくね」

同僚女「あ、そうだ。リポビタンD飲んでおこっと」グビッ

21 : 以下、\... - 2016/12/20 00:43:24.529 Vg9p7mcz0.net 5/30

電車――

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

同僚女「電車はどこまで乗るの?」

「終点までです」

同僚女「へえ、結構遠いのね」

同僚女(こりゃ帰りは結構遅くなっちゃうかも……まあいいけど)

24 : 以下、\... - 2016/12/20 00:46:34.109 Vg9p7mcz0.net 6/30

終点――

同僚女「ここからはどうするの? バス? それとも自転車かなにか?」

「いや……どっちでもないですよ」ピューイッ

魔女「ひっひっひ、呼んだかい?」ヒュオッ

「今日もよろしく頼むよ」

同僚女「ホウキに乗った……魔女!?」

魔女「さあ、乗っておくれ。飛ばすからねえ」


ドヒュンッ!


同僚女「新幹線より、ずっと速い!」

31 : 以下、\... - 2016/12/20 00:49:46.983 Vg9p7mcz0.net 7/30

同僚女(ホウキに揺られること、およそ3時間……)


魔女「はい、到着だよ」

魔女「あたしの力で送れるのはここまでだ。どうか許しておくれ……」シクシク…

「ありがとう。泣かないで、魔女のおばあちゃん」

「さ、ここからは歩きましょう」

同僚女「うん」


同僚女(ホウキを降りた私の目の前には広大な密林が広がっていた――)

34 : 以下、\... - 2016/12/20 00:52:15.378 Vg9p7mcz0.net 8/30

同僚女「なんなの? この密林……」

「ここを通らないと、ぼくの実家にはたどり着けないんです」

「さ、入りますよ!」ガサガサ…

同僚女「ええっ、まだ心の準備が!」

「密林の中では、無数の毒蛇や虎が襲ってきますから、なるべく気配を消して下さいね」

同僚女「消し方なんて分からないわよ!」

42 : 以下、\... - 2016/12/20 00:55:04.496 Vg9p7mcz0.net 9/30

毒蛇「シャーッ!」

「はっ!」ベシッ

毒蛇「シュルル……」ビクンビクン


「ガルルァッ!」

「とうっ!」バシッ

「ガルゥ……」ドサッ


同僚女「殺しちゃったの……?」

「いえ気絶させただけです」



同僚女(日頃頼りない彼が毒蛇や虎を手刀でやっつけていく姿は、まさに驚きであった)

45 : 以下、\... - 2016/12/20 00:58:40.701 Vg9p7mcz0.net 10/30

ドドドドドドドドドド……!


同僚女「土石流みたいな川ね……」

「時速300km以上で流れてますからね」

「しかも、川の中には恐竜をも9.58秒で食い尽くすスーパーピラニアがいます」

同僚女「そんな……! どうやって渡ればいいのよ!?」

「もちろん、こうします」ヒョイッ

「あなたを肩車してぼくが渡れば、安心です」ザブザブ…

同僚女「でもピラニアが……!」

「大丈夫、スーパーピラニアの牙といえど、ぼくの体には歯が立ちませんから」ザブザブ…


同僚女(彼のいうとおり、無数のスーパーピラニアが彼を食べようとしては、脱落していった)

53 : 以下、\... - 2016/12/20 01:01:26.160 Vg9p7mcz0.net 11/30

兵士A「おっ、人間が来たぞよ?」

兵士B「殺っちゃう? 殺っちゃう? ウーパールーパー?」

兵士C「久々の獲物だぜ!」



同僚女「やっと川を渡り切ったと思ったら、なんなのよあいつら!?」

「心配いりません。ただの血に飢えた兵士ですよ」

「ですが、装備はAK47やM16とあなどれません! 気をつけて下さい!」

56 : 以下、\... - 2016/12/20 01:04:40.021 Vg9p7mcz0.net 12/30

兵士A「撃て撃てぇぇぇぇぇっ!!!」

ガガガガガガガッ



「ぼくが盾になります!」キキキキキキンッ

「さあ、先を急ぎましょう!」キキキキキキンッ

「ある程度攻撃したら、彼らは満足して巣に戻りますから!」キキキキキキンッ

同僚女「ひいいいっ!」

62 : 以下、\... - 2016/12/20 01:07:37.957 Vg9p7mcz0.net 13/30

ギシギシ… ギシギシ…

同僚女「なんなの、この吊り橋……」

同僚女「手すりがないし、幅が10センチぐらいしかない上に、底が見えない……」

「落ちると無限地獄へまっさかさまです」

同僚女「無限地獄ってなに?」

「文字通り、永遠に無限大の苦痛を味わわされる地獄です」

「なので、決して落ちないように」

同僚女「そんなこといわれても……きゃっ!」ズルッ

63 : 以下、\... - 2016/12/20 01:10:10.793 Vg9p7mcz0.net 14/30

「おっと」ガシッ

同僚女「きゃあああ、落ちるぅぅぅぅぅぅっ!」

「大丈夫です! ファイトーッ!」グイッ

同僚女「いっぱーつ!」

「ね?」ニコッ

同僚女「リポビタンD飲んでおいてよかったわ……」

70 : 以下、\... - 2016/12/20 01:13:33.319 Vg9p7mcz0.net 15/30

ドラゴン「ギャオオオオオオンッ!」


同僚女「きゃああっ! ドラゴンだわ! 初めて見た!」パシャッパシャッ

「ぼくらを通せんぼするつもりのようですね」

「30秒待ってて下さい。すぐに決着をつけます!」

「行くぞ!」

ドラゴン「ギャァァァァス!」

73 : 以下、\... - 2016/12/20 01:17:02.947 Vg9p7mcz0.net 16/30

ドラゴン「ジャブ! ジャブ! ジャブ!」シュッシュッシュッ

「くっ!」

ドラゴン「火を吐く! ……と見せかけてジャブ!」シュッ

ドラゴン「ジャブ! ジャブ!」シュッシュッ

ドラゴン「尻尾を振りまわす! ……と思わせてジャブ!」シュッ

「くっ……!」


同僚女(なんというジャブの連打! 男君が防戦一方だわ! アドバイスしないと!)

同僚女「男君、ボクサーは足への攻撃に弱いわ!」


「なるほど! ローキック!」ベシッ

ドラゴン「いてっ! ギ、ギブアップ!」

77 : 以下、\... - 2016/12/20 01:20:21.015 Vg9p7mcz0.net 17/30

同僚女(ドラゴンを倒すと、炎も凍りそうな極寒の大地が私たちを待ち受けていた)


ビュオォォォォォ……!


同僚女「さ、寒い!」

「なにしろ-150℃ですからね……」

「ぼくが抱きしめてれば、寒いですが体温低下は防げます」ギュッ…

「しばらく我慢して下さい」

同僚女「あ、あ、ありがと……」ガチガチ…

80 : 以下、\... - 2016/12/20 01:23:32.091 Vg9p7mcz0.net 18/30

グツグツ…… ボコボコ……


同僚女「今度は暑いわ……」

「ここは溶岩地帯です。あの溶岩に触れたら、骨はおろか魂まで溶けてしまいます」

「絶対に触らないようにして下さいね」

同僚女「ノドが渇いちゃった……」

「でしたら、ぼくの汗をなめて下さい」

同僚女「うん……あ、ポカリスエットの味がする!」ペロペロ…

「ぼくは七種類の汗を出せますから」

84 : 以下、\... - 2016/12/20 01:26:25.376 Vg9p7mcz0.net 19/30

クイズ魔神「ようこそ、クイズ空間へ!」テレッテー

同僚女「なんなのこいつ!?」

「クイズ魔神です。彼のクイズを間違えると即死しますので、うかつに声を出さないように!」

同僚女「うん!」

クイズ魔神「問題」

クイズ魔神「ぼたもちは春はぼたもち、秋はおはぎと呼ぶが、夏と冬は?」

「夜船と北窓!」

クイズ魔神「正解だ。通るがいい」

89 : 以下、\... - 2016/12/20 01:29:29.710 Vg9p7mcz0.net 20/30

パァァァァァァ…

同僚女「まぁ、光り輝いていてキレイな空間ね……まるで天国だわ」


天使A「コッチヘオイデ……」

天使B「イラッシャイ……」


同僚女「可愛らしい坊やたちだこと……」

「ダメです! 天使の誘いに乗ってはいけません!」

同僚女「えっ!?」

「誘いに乗ったら最後、一瞬で魂を抜き取られてしまいます!」

同僚女「危ないとこだったわ!」

91 : 以下、\... - 2016/12/20 01:33:09.589 Vg9p7mcz0.net 21/30

「さ、今日はここでキャンプしましょう」

同僚女「うん……」

同僚女「ところで、もう一週間ぐらい経過したけど、会社どうしよう……」

「大丈夫ですよ、この地域は時間の進み方がとても早いんです」

「なので、会社を出てからまだ二時間と経っていません」

同僚女「そうなんだ……」

同僚女「でも老けるのが早くなっちゃったりしない?」

「その点はご心配なく!」

92 : 以下、\... - 2016/12/20 01:35:08.226 Vg9p7mcz0.net 22/30

同僚女(あれから幾つの難関をくぐり抜けただろうか)

同僚女(雷雲の谷、死神軍団、絶望の集落、ハイパーブラックホールなどを突破し、ようやく……)



「さ、見えましたよ!」

「あれがぼくの実家です!」

同僚女「わぁっ、大きい! まるでお城じゃない!」

「お父さんはここら一帯の王なので……」

同僚女「へえ、そうなんだ」

「どうぞ! 中にお入り下さい!」

93 : 以下、\... - 2016/12/20 01:38:54.086 Vg9p7mcz0.net 23/30

同僚女「ところで、ご両親はどんな人なの?」

「どんな人といわれても、普通の人ですよ。平凡な両親です」

同僚女「うーん……たとえば身長は?」

「どちらも160ぐらいですね」

同僚女「へぇ~、男君は170はあるのに、二人とも小さいんだ」

96 : 以下、\... - 2016/12/20 01:42:40.190 Vg9p7mcz0.net 24/30

(160m)「お帰り」

(160mm)「お帰りなさい」


同僚女(やっぱりこういうことか……)

「あのお父さんお母さん、今日はぼくから頼みがあるんだ」


「なんだい?」

「なにかしら?」


同僚女(あ、お母さんの方が声が大きいんだ)

98 : 以下、\... - 2016/12/20 01:46:24.191 Vg9p7mcz0.net 25/30

「ぼく、同僚女さんと一緒に暮らしたいんだ!」

「だから今日でこの家を出ていく!」

「な、なんだと!?」

「いけないわ、そんなこと!」

「!」ビクッ

「ど、どうして……?」

102 : 以下、\... - 2016/12/20 01:51:09.881 Vg9p7mcz0.net 26/30

「だって……なぁ?」

「ええ、外の世界はあまりにも危険すぎるわ!」

「ううっ……それはそうだけど……」

「だろう?」

「実家を出るのはもっと経験を積んでからになさい」

同僚女(ここは私が助け船を出さないと!)

同僚女「なにいってるんですか! 外の世界よりこの世界の方がよっぽど危険ですよ!」

「うむむ……」

「うぐぐ……」

103 : 以下、\... - 2016/12/20 01:54:37.798 Vg9p7mcz0.net 27/30

「たしかに……いつまでも実家やこの世界でぬくぬくしていては自立心が養えぬ」

「この娘のいうとおり、危険かもしれぬ」

「おっしゃるとおりね、あなた」

同僚女(そういうことじゃないけどまあいいや)

「しかしなぁ……」

「そんな急にはねえ……」

「お願いだよ、お父さんお母さん!」

「うむむむ……わしは押しに弱いのだ……」

104 : 以下、\... - 2016/12/20 01:57:48.925 Vg9p7mcz0.net 28/30

「よかろう……許す!」

「お嬢さん、息子をよろしくお願いします」

「甘やかして育ててしまったから苦労するかもしれないけど、よろしくね」

同僚女「はいっ!」


同僚女「これで私たち、晴れて一緒に暮らせるわね!」

「嬉しいです!」

105 : 以下、\... - 2016/12/20 02:01:04.536 Vg9p7mcz0.net 29/30

同僚女のマンション――

同僚女「ここが私のマンションよ」

「広いですし、キレイな部屋ですね~」

(それにいい匂いがする……)クンクン

同僚女「実はさ……」

同僚女「私、ホントはあなたにそんなに興味ってなくて」

同僚女「ちょっとの間、二人暮らしってのをやってみたかった、ぐらいのつもりだったんだよね」

同僚女「どうせあなたなら、手ぇ出してこないって分かってたし」

「あ、そうなんですか……(やっぱり……)」

同僚女「だけど、私……あの実家への旅路であなたに本気で惚れちゃったみたい」

同僚女「あんなにたくましくて頼りがいがあるなんて、知らなかったから……」

「え……!?」

109 : 以下、\... - 2016/12/20 02:04:21.984 Vg9p7mcz0.net 30/30

同僚女「だから……」ヌギッ

「え、え……!?」

「あ、あのっ! ぼくそういうのしたことなくって……」ドキドキ…

同僚女「大丈夫、手取り足取り教えてあげるから……」

同僚女「今日は危険日だけど……いいよね?」スッ…

「あ、あの……ぼくっ……あっ……!」ドサッ

(お父さん、お母さん……外の世界はやっぱり危険な魅力でいっぱいです……!)





おわり

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