― 城 ―
大臣「大変です! 帝国が我が国に兵を動かし始めたという情報が入りました!」
国王「なんじゃと!? 我が国は同盟国なのに、なぜ……!?」
大臣「おそらく帝国内の“帝国は全世界を支配すべき”という考えの過激な一派が」
大臣「軍の一部を独断で動かしたのでしょう」
大臣「我が国を一気に殲滅し、拠点とし、帝国から独立してしまおうという算段です」
国王「うむむ……どうすればよい?」
大臣「我が国がある程度帝国と戦えれば、周辺国も味方するでしょうし」
大臣「帝国内の皇帝派と挟み撃ちにすることも可能です。ですが……」
大臣「敵は5万もの大軍、迎え撃つのはもちろん、籠城してもおそらく……」
国王「くっ、ここまでか……!」
斧軍師「諦めるのはまだ早いッ!!!」
元スレ
斧軍師「斧があればどんな大軍にだって勝てるッ!!!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1479124517/
国王「誰じゃ!?」
斧軍師「我は斧軍師……」
斧軍師「斧があればどんな大軍にだって勝てるッ!!!」ブオンブオンブオンッ
大臣「あんな巨大な斧を軽々と……!」
斧軍師「我に任せてもらえれば、帝国軍などたちまちに蹴散らせてみせようぞ」
国王「うむむ……どうじゃ?」
大臣「現状、打つ手はありません。この大男に任せてみるのも、一つの手かと……」
国王「分かった……ならば斧軍師よ、我が国の命運、おぬしに託そう!」
斧軍師「御意ッ!」
― 王国軍陣地 ―
斧軍師「――というわけだ。全軍を指揮する将軍に会いたい。どこにおる?」
兵士「あなたが軍師に……?」
兵士「しかし、将軍はまだお若いですが名門の出で、気位の高いお方です」
兵士「いくら陛下の命令でも、あなたに指揮権を与えるとは思えませんが……」
斧軍師「そこをどうにかするのが我の務めよ。とっとと教えろッ!」
兵士「ひいっ! あっちです、あっちにいます!」
兵士「う~む、ド迫力の軍師だな」
女兵士「軍師というよりは、どこかの山賊の頭領みたいですね!」
将軍「キミが軍師だと?」
斧軍師「うむ」
将軍「で、キミに指揮権を譲れ、だと?」
斧軍師「そうだ。キサマでは、この苦境を乗り越えることはできまい」
将軍「ハッハッハ、笑わせてくれる!」
将軍「ボクはね、王国内のチェス大会で8位入賞したこともあるんだ! 戦略の天才なんだ!」
将軍「帝国軍だって――」
斧軍師「噴ッ!」ブオオンッ
ズガァンッ!!!
将軍「あ、あわわ……」ジョボボ…
斧軍師「どうする?」
将軍「あなたに全軍をお任せしましゅ!」
斧軍師「チェックメイトだな」
将軍「え、と……まず何をすればよろしいでしょう?」
斧軍師「王国軍のメイン武器はなんだ?」
将軍「け、剣ですが……」
斧軍師「よし、今すぐ装備を変えろ」
将軍「え?」
斧軍師「全員の装備を斧にするのだッ!!!」
将軍「!?」
斧軍師「全員の装備を斧にしたか?」
将軍「はいぃっ!」
斧軍師「よろしい、これより調練を開始する!」
斧軍師「斧を思い切り上に振り上げ、思い切り振り下ろすのだッ!」
斧軍師「ただひたすらこれだけを繰り返すのだ!」
斧軍師「開始ッ!」
ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ! ブオンッ!
兵士「こんなんで本当に勝てるのか……?」ブオンッ
女兵士「さあ……でもなんだか楽しいですね!」ブオンッ
斧軍師「……む」ピクッ
斧軍師「そこの女子(おなご)、なかなかいい素振りをするではないか」
女兵士「ありがとうございます!」
女兵士「あたし、元々は木こりだったんですが、今回の件で徴兵されたので……」
斧軍師「そうか」
斧軍師「ならば手本を見せてやろう」
斧軍師「ぬおおおおおおおっ……噴ッ!!!」ブオオオンッ
ズガァンッ!!!
女兵士「すっごーい!」
兵士「地面に亀裂が……ッ!」
斥候「報告いたします!」ババッ
将軍「どうした?」
斥候「帝国との国境に近い西の平原に、帝国軍が現れました! およそ1万!」
将軍「い、1万……!?」
斧軍師「うろたえるな!」
斧軍師「おそらく敵はこの1万で、我らを滅ぼすつもりだろうが! そうはいかん!」
斧軍師「こやつらを蹴散らし、初戦を勝利で飾ろうぞ!」
― 平原 ―
ズラッ……!
将軍「なんて数だ……! チェスとは全然ちがう……!」ガタガタ…
斧軍師「当たり前だ!」
将軍「本当にあんな数に勝てるんですか……? 降伏した方が……」
斧軍師「シャキッとせんか! 将であるキサマがへこんでいたら、士気に関わるわ!」
将軍「は、はいぃっ!」
斧軍師「全軍、斧を構えィッ!」
ジャキーンッ!
帝国兵A「お? なんだなんだ?」
帝国兵B「ギャハハハハハッ! あいつらの武器、よりによって斧だぜ! 斧!」
帝国兵A「斧かよ! とんだゴミ武器じゃねえか! こりゃ楽勝だな!」
帝国兵B「あまりにも可哀想だから手加減してやろうぜ!」
アハハ…… ワイワイ……
斧軍師(やはりな……)
斧軍師「かかれーっ!!!」
ワァァァッ!!!
兵士「うおおおおおおおっ!」タタタッ
帝国兵A「ハハハッ、斧なんかで何ができるってんだ? 薪割りでもすんのか?」
兵士(上に持ち上げて――)グッ
兵士「振り下ろすッ!」
ズバァッ!!!
帝国兵A「ぐぎゃあっ!」ドザッ
兵士「や、やった……!」
女兵士「たあっ!」ドシュッ
帝国兵B「ぐげっ!」
ザシュッ! ドシュッ! ザシュッ!
「ぐぎゃあっ!」 「なんて威力だ!」 「斧のくせに強いぞ!」
将軍「ボクらが優勢みたいだ……これはいったい!?」
斧軍師「今、この世界には斧は弱くてダサい時代遅れな武器という風潮がはびこっておる」
斧軍師「そこを突いたのだッ!」
将軍「なるほど!」
斧軍師(斧使いとしては、複雑な気分だがな……)
帝国隊長「くそぉっ! 退却っ! 退却だっ!」
「ちくしょう、油断した!」 「退却っ、退却っ!」 「斧のくせに生意気だ!」
ザッザッザッ……
将軍「やった! 帝国軍が退却していきますよ!」
斧軍師「…………」
将軍「やりましたね!」
斧軍師「安心するのはまだ早い」
将軍「えっ!」
斧軍師「初戦は勝利したが、これからは敵も気を引き締めてくるぞ」
斧軍師「もはや、今日のような野戦での勝利は期待できまい」
将軍「そんな……どうすれば……」
斧軍師「だが、我々が想定より手強いと知った以上、すぐには攻めてくるまい」
斧軍師「今のうちに斧で木を切り倒し、大量の丸太を作るのだ!」
― 帝国軍陣地 ―
司令官「なにをやっておるか!」
帝国隊長「申し訳ありませんっ!」
司令官「こんな小国相手に退却するとは……それでも帝国軍人か!」
帝国隊長「敵が斧を装備するという奇策に出まして……」
司令官「斧を!? 自滅にも等しいとんでもない奇策だな!」
剣聖「斧か……」
司令官「なんだ、≪剣聖≫の称号を持つ貴様でも、斧ごときが気になるのか?」
剣聖「いや……」
司令官(こいつを使えば、戦況を有利にすることもできる)
司令官(が、一人斬るたびに金を要求するような奴だからな……慎重に使わねばなるまい)
― 山 ―
兵士「ふんっ! ふんっ!」ガッガッ
兵士「いやぁ~、まさか兵士になって森林伐採をやるとは思わなかったよ」
女兵士「これはあたしの得意分野だから頑張りますよ!」
女兵士「ヘイヘイホーッ!」ガッガッ
将軍「あの……ボクもやります!」
斧軍師「よい心がけだ」
斧軍師「だが、あまり無茶はするなよ。キサマは将なのだからな」
将軍「はいっ!」
兵士「あ~……疲れた」ドサッ
女兵士「でも楽しかったです!」
将軍「ご覧の通り、大量の丸太ができました!」
斧軍師「よろしい」
将軍「だけど、これほど大量の丸太……いったいどうするんですか!?」
斧軍師「知れたこと……これで防壁を作るのだ!」
斧軍師「丸太同士を、我が米粒を潰して作ったこの“のり”でくっつけるのだァァァッ!」ネバー
将軍「まるで図工ですね! ワクワクしてきました!」
斧軍師「ぬおおおおおおおお……」ズンズン
斧軍師「ふんっ!」ドズゥンッ
オォォ~……!
兵士「すごい……一人で丸太を何本も運んでる!」
女兵士「あたしは一本が限界です……!」ヨロヨロ…
兵士「君もすごいな!」
ジャーンッ!!!
将軍「おおおっ! 城を守る防壁が完成した!」
将軍「これなら……帝国軍も容易には攻め込めませんね!」
斧軍師「だが、我は余った丸太でもう少し細工をしようと思う」
将軍「へ……? いったいどんな?」
斧軍師「それはお楽しみだ」
斧軍師「ついでに植林もしておくように! ただしスギは植えるなよ!」
将軍「イエッサーッ!」
翌日――
― 帝国軍陣営 ―
司令官「いいかッ!」
司令官「我らはあの平和ボケの皇帝に見切りをつけ、世界を支配すべく立ち上がった!」
司令官「軍とは平和を守るためではなく、他国を侵略するためにあるのだ!」
司令官「まずはこの小国を叩き潰して、我らの理想郷を作り上げるのだ!」
オーッ!!!
司令官「出撃ッ!」
ザッザッザッ……
司令官「む……?」
司令官「なんだ、あの巨大な丸太の壁は……!?」
帝国隊長「昨日はあんなものありませんでしたが……」
司令官「ぬうう……あれを越えるのは少々手間だな」
司令官「迂回するしかあるまい!」
帝国隊長「ははーっ!」
ザッザッザッ……
ザッザッザッ……
司令官「ところで、地図によれば、この辺りには大きな川があったはずだが……」
帝国隊長「そうですね。しかし、今や小さな小川があるだけですな」
帝国隊長「おかげで楽に渡河できますよ」
司令官「…………」
司令官「!」ハッ
司令官「ま、まずいッ! ――今すぐ退却させろ!」
帝国隊長「え!?」
斧軍師「もう遅いわッ!」
斧軍師「このロープを切れば、丸太が崩れて川の水がドバーッて寸法よ!」
斧軍師「丸太でせき止めておいた、大量の水を味わうがよいッ!」
斧軍師「ロープを切るのは、もちろんこの斧ッ!」ジャキーンッ
斧軍師「これぞ『斧水の計』よ!」
斧軍師「ぬんッ!!!」ズバッ
ドジャアアアアアアアッ……!!!
ザバァァァァァ…… ザザァァァ……
司令官「うぐぐ……なんてことだ!」
司令官「たかが斧如きワーストウェポンにここまでしてやられるとは……!」
帝国隊長「かなりの兵が流されてしまいました……!」
帝国隊長「一度陣へ引き返し、戦力を立て直しましょう!」
司令官「ぬうう……ムシケラどもめ!」
それから数日間――
~
ワァァ…… ワァァ……
兵士「だああっ!」ザクッ
女兵士「でやぁぁぁっ!」ザシュッ
~
将軍「よぉし、ロープを斧で切って丸太を転がせ!」
ゴロゴロ……
ドズゥゥゥン……!
~
帝国隊長「今日も攻め切れませんでした……」
司令官「ぬうう……」
司令官「どうやら、この国を手に入れるには、あの斧軍師を始末する必要があるようだな!」
剣聖「…………」
弓兵(オレは帝国軍一の弓の使い手……)
弓兵(オレの一矢で、あの軍師を仕留めてやる! ちょろいもんだぜ!)ギリリッ…
ビュオッ!
グサッ!
斧軍師「ぐはァァァッ!!!」
兵士「矢が軍師さんの胸にッ!」
女兵士「いやぁぁぁぁぁっ!」
兵士「軍師さん、大丈夫ですか!?」
斧軍師「懐に斧を入れておいたおかげで、無事だった」スッ
兵士「おおっ!」
女兵士「よかった……!」
斧軍師「このように、斧は盾にもなるのだッ!」
弓兵「な、なんだとォ!?」
斧軍師「反撃だ!」ブオンッ
ギュルルルルルルルッ! ――ザクッ!
弓兵「ぐはぁっ……! ちょろいのは……オレだった、か……」ドサッ…
女兵士「すっごーい! あんな遠くの敵に斧を命中させた!」
斧軍師「投げ斧を極めれば、1キロ先のフットボールに命中させることも可能ッ!」
兵士「おおっ、クレイジー!」
その後も――
将軍「よぉ~し、斧で土を耕して作ったぬかるみ地獄に敵をハメてやるんだ!」
オーッ!
斧軍師「キサマもだいぶ将軍として板についてきたようだな」
将軍「ありがとうございますぅ!」
~
兵士「絶対この国を守ろうな!」
女兵士「はいっ!」
兵士「うおおおおおおおおおおっ!」ザクッ
女兵士「でやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」ドシュッ
ワァァァ…… ワァァァ……
― 帝国軍陣営 ―
司令官「ムシケラどもめ……手こずらせおって!」
司令官「これ以上長引くと周辺国が呼応し、皇帝軍にも背後を突かれ、身動きが取れなくなる!」
帝国隊長「ど、どうしましょう!?」
剣聖「…………」
司令官「こうなれば、打つ手は一つだ」
司令官「古来より、敵軍からの一騎打ちの誘いは断ってはならぬという風習がある」
司令官「一騎打ちであの斧軍師を始末し、その勢いに乗じてこの王国を制圧する!」
司令官「剣聖、あの斧軍師を一騎打ちで倒せッ! 強敵だが、金はたっぷり払う!」
剣聖「……分かった」
― 王国軍陣地 ―
将軍「お手紙です!」
斧軍師「お手紙ときたか。どれどれ……」
斧軍師「!」ピクッ
斧軍師「一騎打ちか……」ガサ…
将軍「こんなもの、律儀に受ける必要ないですよ!」
斧軍師「そうもいかん。我の辞書に“敵国から申し入れてきた一騎打ちを断る”の文字はない」
将軍「長いですね!」
斧軍師「それに、ここで敵の主力の戦士を倒せば、我が軍がさらに有利になる」
斧軍師「受けて立つッ!!!」
― 平原 ―
ヒュゥゥゥゥゥ……
斧軍師「さすがの我も驚いたぞ。まさかキサマが帝国についているとはな」
斧軍師「キサマとはともに斧と剣を極め合った仲……」
斧軍師「別れる時の『弱きを助け、悪しきをくじく』の誓いはどうしたァ!」
剣聖「時が流れれば考え方も変わる。今の俺には金がいる。それだけだ」
斧軍師「おのれぇっ!!!」
兵士「どうやらあの二人、因縁があるようだ!」
女兵士「いよいよ決闘開始ですね!」
斧軍師「ゆくぞッ!」ブオオンッ
剣聖「……来い」チャキッ
――ガキィンッ!
ギィンッ! キィンッ! ガキンッ!
斧軍師「噴ッ! 破ァッ! ――闘ッ!」ブオオンッ
剣聖「…………」シュバッ
女兵士「軍師さんは相変わらずのド迫力ですね! 木こりの参考になります!」
兵士「だけど相手の剣士はその攻撃をことごとく受け流してる!」
斧軍師「破アァァァァァッ!」ブオンッ
ドゴォンッ!
剣聖「はっ!」
ザシィッ!
斧軍師「ぬうう……ッ!」
兵士「まずい……! 軍師さんの力と気迫を、相手の技と速さが押し始めている……!」
女兵士「軍師さんっ!」
キィンッ! ギィンッ! ガァンッ! ギンッ! キィィンッ!
カキィンッ! ――ザクッ!
斧軍師「…………!」
剣聖「終わりだ」
司令官「フハハハ、斧を弾き飛ばした! 剣聖の勝利だ!」
帝国隊長「やりましたな!」
剣聖「トドメを刺させてもらう」
斧軍師「……まだだッ!」
剣聖「?」
斧軍師「斧の使い手は……斧がなくなっても戦えるッ!」
斧軍師「破アァァァァァッ!!!」ビリビリッ
将軍「上半身の服を破り捨てた!?」
斧軍師「ぬうう……!」ムキムキッ
剣聖(隆起した腕を、直角に曲げた!? まさか、この技は……伝説の――)
斧軍師「――喰らえッ!」
斧軍師「アックスボンバーッ!!!」ブオンッ
ドゴォォォンッ!
剣聖「がはぁぁぁぁぁっ……!」ドザァッ…
兵士「決まった!」
女兵士「やった、やったーっ!」
将軍「斧軍師殿の逆転勝利だァ!」
剣聖「さすが、だな……」ゴフッ
斧軍師「おぬしこそな。武器の勝負では、我が負けていた」
斧軍師「ところで、なぜおぬしは金を欲したのだ?」
剣聖「娘が重い病にかかってしまい……治療費が欲しかったんだ……」
斧軍師「ならば、これをやろう」ドスンッ
剣聖「それは……金の斧! お前の宝物じゃないか!」
斧軍師「よいのだ。斧一本で親友の娘が助かるのならば、安いものよ」
剣聖「……かたじけない」
兵士「これが友情ってやつか……!」
女兵士「いい話だぁ~!」グスッ
将軍「軍師殿に……敬礼ッ!」ビシッ
司令官「ぐ……! こんなバカな……ッ!」
帝国隊長「司令官、今の戦いで我が軍から離脱者が続出しています!」
司令官「な、なんだとぉぉぉ……!?」
この決闘を機に、司令官率いる過激派は空中分解を始めた。
やがて、呼応した周辺国や皇帝派による援軍も到着し、司令官たちは完全に敗れ去った。
王国は守られたのである――
― 城 ―
国王「斧軍師よ、よくやってくれた」
国王「おぬしがいなければ、我が国は今頃滅び去っていたじゃろう」
大臣「ところで、どうだろう?」
大臣「これからも我が国の軍師として、軍を指導してくれないか?」
斧軍師「あいにく我は一つのところにとどまることを好まぬ」
斧軍師「この謁見が終わったら、すみやかに旅立つ予定だ」
大臣「そうか……残念だ」
国王「しかし、そういうことであれば引き止めはすまい。これからも達者でな」
斧軍師「感謝ッ!」
― 城の外 ―
兵士「本当に行ってしまうのですね」
女兵士「また遊びに来て下さいね!」
斧軍師「うむ、必ず」
将軍「ところで、次はどこへ向かうんですか?」
斧軍師「我はさすらいの軍師……斧の向くまま気の向くままに」
斧軍師「この斧が飛んでいった方向に向かうとしよう。そらっ!」ビュンッ
ギュルルルルルルルルッ!
ギュルルルルルルルルッ! ザクッ!
女兵士「……も、戻ってきちゃいましたね」
兵士「どうします?」
斧軍師「…………」
斧軍師「えぇと……」
斧軍師「とりあえず、もうしばらくこの国におることにしよう」
― 完 ―