1 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:38:28.81 AX+Wc+rK0 1/17



冬が好きだ。

何よりも寒いのが。

手袋にマフラーだってできる。

寒いのを口実に抱きついても許される。

夏場はそうはいかない。

だから冬が好き。

寒いなぁ…とぼそっと呟いた。

君はどうしてくれるんだろう?



元スレ
女「寒いなぁ…」男「そっか」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1483623508/

2 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:40:11.69 AX+Wc+rKo 2/17




「ねえねえ、男は冬って好き?」

「うーんどうだろう。寒いのは嫌かな」

「そっか…ちょっと残念だな」

「でも冬は好きだよ?星も綺麗だし雪も降るから」

「よかった。そうだ、今日流星群来るじゃん」

「そっか、そうじゃん。見に行くの?」

「ちょっと迷ってるんだよねー」


分かりやすく「誘え」ってアピール


「あははっ。じゃあ行こうか?」

「うんっ!」

「何時ぐらいからだっけ?」

「んーとね…確か11時ぐらいからだったかな」

「じゃあ10時ぐらいに待ち合わせしようか?」

「いいよ。場所は?」

「神社の近くのとこでどう?」

「分かった。それじゃまた後でね」

「うん」



3 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:40:57.31 AX+Wc+rKo 3/17



天体観測デートだ やったね

男も私もお互いに好きだって分かってるのに

全く告白をしようとしないで

ズルズル仲良しのままなんだよね

そろそろ告白してくれないかなぁ…

いや、別に私が告白しても良いんだけど…


「早いね…まだ9時半だよ?」

「女だってそうじゃん」

「確かにそうだね…行こっか」


男が早めに来てる、それだけで嬉しくなる


「ねえねえ、少し神社に寄っていかない?」

「神社?」

「うん。私、夜の神社ってわりと好きなんだ」

「いいよ、寄っていこう」


神頼みもたまには良いよね?



4 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:42:11.29 AX+Wc+rKo 4/17



「良いよねーこういう雰囲気。なんて言うんだっけ?」

「ホラー、かな?」

「なんか違うと思うよ?」

「なんだろうね…まあ雰囲気は確かに良いね」

「でしょでしょ!ほらお参りしよ」

「お参りまですんのかい…」



チャリンチャリン

ペコペコ

パン!パン!

「………………」

ペコッ



「何をお祈りしたの?」

「お祈りしたことを言ったら叶わなくなるってばーちゃんが言ってたから言わない」

「何それ?」

「分かんない。迷信かもね」

「なら教えてよー」

「やだ」


つまんないの 教えてくれても良いのに


5 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:42:38.54 AX+Wc+rKo 5/17



「ここ、2人で来るのは久しぶりだね」

「誰かと来たりするの?」

「友だちと来たり1人で星を見に来たりね」

「へぇ…、あ、そこ滑るよ」

「おっと、ありがと」


手、繋ごうか?なんて期待してないもん


「ふぅ…やっと着いたね」

「そうだね…大丈夫だった?」

「うん…あーちょっと寒いかな」

「良かったらコート着る?」

「大丈夫。ありがとね」


遠回しに言うんじゃダメなのかな


6 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:43:05.41 AX+Wc+rKo 6/17


「ね、街めっちゃ綺麗だよ」

「うわぁ…ほんとだ…すごい」

「嫌なこととかあるとさ、たまに来るんだよね」

「そんな場所、私に教えて良いの?」

「んー女なら良いかなって」


ずるいよそんなの…期待しちゃうじゃん…


「あのさ…それってどういうこと?」

「あっ…うーん…お好きなように」


お好きなように?


「良いの?ほんとに好きなようにとっちゃうよ?」

「うん、いいよ」

「それってさ…あ…」

「ん?」

「今、流れ星が見えたの」

「なんかお願いできた?」

「そんな暇ないよ。気づいた時には消えちゃったもん」


怖気づいちゃった

肝心なとこで、って意味で私らしいな

神さまと流れ星にお願いしたら流石に叶うかな


7 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:43:41.46 AX+Wc+rKo 7/17



「そっか。次はお願いできると良いね」

「男はなんてお願いする?」

「うーん…願いが叶いますようにってお願いしようかな」

「なにそれ?」

「さっきお参りした時の願いだよ。女は?」

「じゃあ私もそうする」

「真似すんなよー」

「えへへ。あ、また」

「うそ、見逃した…あっ見えた」

「けっこう来るね」

「そうだね。うわぁ…綺麗」

「ほんと綺麗」


あんまり綺麗だったからお願いし忘れちゃった


8 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:44:12.29 AX+Wc+rKo 8/17


「あー首痛い…」

「私も…」

「そろそろ帰ろっか?」

「もう少し夜景見てても良い?」

「あ、じゃあ俺も見る」


気を使ってくれたんだろう 優しいな


「あのね…ほんとはね」

「うん?」

「言おうと思ってたことがあるんだ」

「言いたいこと?」

「うん。けっこう前から言おうと思ってたんだけど…」

「………」

「私ね…男のことが…」

「はっ…はくしょん!」

「ど、どしたの…?」

「なんか冷えたみたい…ごめん、それでなんだっけ?」

「ううん、やっぱなんでもない」

「ん、そっか」


9 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:44:39.37 AX+Wc+rKo 9/17


男も薄々感づいてはいたんだろうな

私と付き合いたくないのかな

なんで遮ったんだろう

さっき怖気づいたバチが当たったのかな

わざわざあんな小芝居まで打って

下手くそなくしゃみだったな


「今日はありがとね」

「私こそ。ありがと」

「じゃ、また明日ね」

「うんまた明日ー」


結局、最後まで言えなかったな

チャンスだったのにね



10 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:45:05.26 AX+Wc+rKo 10/17


「おはよ」

「ん、おはよう。今日寒いね。午後から雪だってさ」

「らしいね。雪ってちょっとワクワクしない?」

「あーわかる。なんか子どもに戻った気がするよね」


雪ってなんであんなにワクワクするんだろう


「あー…ちょっと降ってんね」

「今から少し弱まるみたいだしこのまま帰ろうよ」

「そうしよっか」


さく、さく

積もり始めた雪を踏みしめる

なんとなく気持ちが昂る


「積もり始めてるね。何センチぐらい積もるかな?」

「10センチぐらいってニュースで言ってたよ」

「そんなに…。雪だるまとか作れるね」

「この年になって雪だるま?…うん、ちょっと良いかも」

「小さい頃に作ったの覚えてる?」


意外だった 男がそんなこと覚えてるなんて


11 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:45:45.02 AX+Wc+rKo 11/17


「うん。次の日に溶けちゃってて私が泣いた時でしょ?」

「そうそう。今度は泣かないよね?」

「どうだろう。悲しかったら泣くかもね」


悲しいのは別な理由だけど


「はーっ」

「真っ白だね」

「うん…そうだね」

「どうかした?」

「ううん…寒いなぁって思ってさ」

「ちょっと待ってて…えーっと…あった、はい」

「これ…?」

「ネックウォーマー。あったかいよ?」

「ありがと…うん、あったかい」


期待してたのと違ったけど

これはこれであったかくて

なんだか満たされた気持ちになった


12 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:46:11.06 AX+Wc+rKo 12/17


「そのネックウォーマーさ、ほんとにあったかいんだよね」

「あ、これ私が去年あげたやつ?」

「そうそう」

「大事にしてくれてたんだね…ありがと」

「いやまあそりゃ…うん…」


お茶を濁すような言い方が引っかかったけど

特になにも言わなかった


「女?急に立ち止まってどうしたの?」

「あのさ…」

「うん?」

「男はさ、この前お参りした時の叶った?」

「あー…いや、叶いそうで叶ってないんだ」

「ふーん…私もなの」

「私もって?」

「叶いそうで叶わないの」


13 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:46:45.28 AX+Wc+rKo 13/17


あれ、どうしたんだろう

口が勝手に動き出した

ネックウォーマーのおかげかな


「へぇ…叶うと良いね」

「男こそ」

「…………」

「…………」

「「あ、あのさ!」」

「あっごめん…お先にどうぞ」

「こっちこそごめん…。今、たぶん同じこと考えてたよね」

「どうだろうね?」

「同時に言ってみない?」

「いいよ。じゃあ…せーの!」

「「この前のお願い教えあわない?」」

「あははっ…あははは!」

「あはは!!やっぱそうなんだ?」


ああよかった

不思議な安堵感に包まれた


14 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:47:19.01 AX+Wc+rKo 14/17



「女はなんてお願いしたの?」

「男から教えてよ」

「あー………」

「ほら早く」


ほぼ確信に変わったからわざと言ってみる


「その前にさ、ちょっと良い?」

「良いけどなに?」

「うん…いやぁ…少し待ってもらえる?」

「うん」


期待しちゃうじゃん

やめてよそんなの


「お待たせ。女ってさ、好きな人いる?」

「いるよ」

「その人に告白されたらどうする?」

「即オッケーだと思うな」

「じゃあ好きじゃない人からされたら?」

「うーん…たぶん断るかな」

「そっか……」

「うん…」


すごい緊張する

こんなに緊張することは人生で何度もないね


15 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:47:58.51 AX+Wc+rKo 15/17


「じゃあさ…俺が告白したら…?」

「男が…?………試しに告白してみてよ」

「試しに?」

「ほらほら」

「………ずっと好きでした。付き合ってください」

「………うん…!」


ああやっと

やっと男と付き合える

そう考えたら涙が溢れてきた


「ほんとに…?」

「遅いよバカ…ずっと待ってたんだよ……」


そのまま男に抱きついてしばらく泣いた

雪はいつの間にか止んでいた


「それでなんてお願いしたの?」

「そりゃ…女と付き合えますようにって…女は?」

「私は男と付き合えますようにって…2人して同じことお願いしてたんだね」

「みたいだね」


やっぱりか、と思いつつ安心する

よかった 本当によかった



16 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:48:41.02 AX+Wc+rKo 16/17



「あのさ…少し寒いなぁって思うんだけど」


手を彼に差し出して言う


「そっか」


その手を握って彼のポケットに入れてくれた

今までで一番あたたかいポケットだった


そのまま歩きながら言う


「来年はさ、なんてお願いするの?」

「どうしよっか?」


そんな質問、答えるまでもない

そんな風に彼の手が私の右手を握ってきた


少し立ち止まって見つめ合う


「………」

「………」

「…あははっ」

「…えへへっ」


そしてそのまま歩き出した


こんな日常が続きますようにってお願いしながら。



おわり


17 : ◆nRrk0j/cII - 2017/01/05 22:51:05.38 AX+Wc+rKo 17/17

以上です。

今回から酉を付けてみました。どこかで見たら暖かく見守ってください。

お付き合いいただきありがとうございました。

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