1 : 以下、\... - 2016/10/20 21:00:04.579 thfhmhsz0.net 1/41

10月も下旬に差し掛かった、ある日のこと。

月末に古代ケルド人主催の収穫祭を控え、なにやらそわそわし始めた団長の命令によって、得体の知れない作業を強制させられた俺は、安息の地を求めて、学校帰りに長門の家にお邪魔させて貰っていた。

ペラペラと本を読み進める長門の向かいに座り、俺は半ば放心状態で1日の疲れを癒す。

長門の家は、落ち着く。
殺風景と表現するに相応しい、何もない室内。
こちらから訪ねたことには反応するが、自らは何も発しない家主。
その癖、湯呑みのお茶が減っていたり、冷めていたりすると、次々と新しいお茶を注いでくれるのだから、長門のことをよく知らない者はさぞ居心地が悪かろう。

しかし、俺は違う。
長門という少女のことを、知り尽くしていると言っても過言ではない俺には、その殺風景さも、無言も、全く苦にならない。
さすがに立て続けに飲ませられる大量のお茶には辟易としていたが、そんなことは瑣末な問題だ。

だが……静寂を切り開くように放たれた先ほどの一言は、瑣末な問題と割り切れるものではなかった。

キョン「……すまん、長門。もう一度言ってくれ。どうしたって?」

長門「……漏らしてしまった」

元スレ
長門「……漏らしてしまった」キョン「……えっ?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1476964804/

15 : 以下、\... - 2016/10/20 21:05:10.507 thfhmhsz0.net 2/41

聞き間違いではなかった。
そのことに、衝撃を受ける。

長門が……漏らした?

何をだ?
順当に考えれば、それは排泄物の類いだろう。
重要なのは、それが小なのか、はたまた大なのかだが……いやいや、落ち着け。
長門に限ってそんなことがあるわけがない。
ハルヒならともかく、まさか長門が、そんな。

思考を切り替える。
排泄物の類いでないとすれば、それはなんだ?
漏らす……つまりそれは、何かが流失してしまったということだ。
ということは、恐らく外部に流れてはいけない機密、そして俺と長門の関係性から鑑みるに、それはハルヒ関連の何か、だろう。

そこに思い至った俺は、意を決して口を開いた。

キョン「漏らしたってのは、ハルヒ関連の機密を誰かに漏らしてしまった……ということか?」

長門「……涼宮ハルヒの、機密?」

キョン「違うのか?」

長門「……違う。私が漏らしたのは……排泄物」

22 : 以下、\... - 2016/10/20 21:08:12.206 thfhmhsz0.net 3/41

排泄物。
長門は確かにそう言った。

つまり、俺の最初の読みは正しかったということになる。
しかし、そのことに対して素直に喜ぶ余裕は今の俺にはなかった。

問題は……そう、問題は、それが『どちら』なのか、である。

キョン「排泄物ってのは、その……ち、小さいほうか?」

長門「……違う」

キョン「ということは……」

長門「……そう、大きい、ほう」

事態は最悪の方向に進んでいった。

28 : 以下、\... - 2016/10/20 21:10:46.388 thfhmhsz0.net 4/41

キョン「ま、待ってくれ。長門、どうしてまたそんなことになったんだ?」

長門「……ずっと、我慢していた」

キョン「我慢してたって……ここはお前の家だろう?だったら、遠慮せずにトイレくらい行けば良かったじゃないか」

長門「……私が席を外すと、あなた1人になる」

キョン「そんな気を使わなくていいんだよ。大体こっちがお邪魔してるんだから、ほっといても全然構わないさ」

俺がそう言うと、長門はほんの少し俯く仕草をして、か細い声で本当の理由を話始めた。

長門「……聞かれたく、なかった」

キョン「何を?」

長門「……私が、脱糞している音を」

それが、長門が便意を堪え続けた理由だった。

31 : 以下、\... - 2016/10/20 21:12:26.821 thfhmhsz0.net 5/41

自分が用を足している時の音を聞かれたくない、という気持ちは、わからなくもなかった。
男の俺でさえ、そのことに対して忌避感を覚えるのだから、女の長門にとっては切実な問題だったのだろう。

ましてや、この部屋はお世辞にも防音設備が整っているとは言えない。
もちろん、高級マンションと呼べるくらいには立派なことは立派なのだが、テレビも無ければオーディオの類いも無いこの部屋では、用を足している音をかき消すことはできまい。

キョン「そうか……それは、何というか…すまなかったな。俺が長居し過ぎたせいで、こんなことになっちまって……」

長門「……そんなことは、ない。あなたが居てくれて……助かった」

不意に、長門はそんな意味のわからないことを言った。

37 : 以下、\... - 2016/10/20 21:15:31.867 thfhmhsz0.net 6/41

キョン「助かったって……どういう意味だ?」

長門「……言葉通りの、意味。私は……あなたに助力を願いたい」

助力を願いたい?
どういうことだ。
この状況下で俺に出来ることなど、限られている。
俺に出来ることなど、何も言わずに退室することくらいしか思いつかない。

だが……長門が助けを求めると言うのならば、俺は助けてやりたかった。
朝倉に襲撃された際に、身を呈して命を救ってくれたこの少女を、今度は俺は救ってやりたかった。

キョン「どうしたらいい?俺に出来ることなら、なんでもする。なんでも言ってくれ」

出来る限り真摯にそう申し出た俺を、長門はしばしじっと見つめて、そしておもむろに、驚くべき願いを口にした。

41 : 以下、\... - 2016/10/20 21:20:10.649 thfhmhsz0.net 7/41

長門「……私を、浴室まで運んで欲しい」

キョン「……えっ?」

そんな突拍子もない願いを聞かせられた俺は、まともな反応が出来なかった。
とにかく、この口数の少ない少女から事情を聞かねばなるまい。

キョン「えっと、長門。お前を浴室に運べばいいのか?」

長門「……そう」

キョン「どうしてだ?」

長門「……今の私は、『エマージェンシー・モード』」

『エマージェンシー・モード』

それは、三年前の七夕の日にタイムスリップをした俺と朝比奈さんが、長門のマンションの一室で部屋ごと凍結された際に用いられた表現だ。

まさかそれを再び聞くことになるとは、思いもしなかった。

44 : 以下、\... - 2016/10/20 21:25:02.032 thfhmhsz0.net 8/41

困惑している俺に、長門は説明を付け足した。

長門「……今の私……正確に言うと、私の臀部から足裏にかけてを、内部構造ごと凍結している」

キョン「……つまり?」

長門「……このままだと、一歩も歩けない」

なるほどな。
言いたいことはわかった。

キョン「それじゃあ、俺はお前を抱えて浴室まで向かえばいいんだな?」

長門「……そうして貰えると、助かる」

キョン「なに、お安い御用さ」

長門「……ありがとう」

45 : 以下、\... - 2016/10/20 21:27:03.273 thfhmhsz0.net 9/41

感謝されてしまった。
それも、あの長門に、だ。

キョン「い、いいって!そんなに畏まるな!」

長門「……でも、あなたが居なければ……私は、永久にこの場から離れられなかった」

事態はそこまで切迫していたらしい。
しかし、その原因を作ったのは紛れもなく俺という存在であり、そのことを自覚すると、なんとも居た堪れない気持ちになる。

キョン「と、とにかく、すぐに運んでやる。だから、安心しろ」

長門「……ありがとう」

二度目の感謝の言葉に心底申し訳ない気持ちで一杯になる俺だったが、兎にも角にもまずは依頼された務めを果たそうと、決意を新たに立ち上がった。

47 : 以下、\... - 2016/10/20 21:30:02.088 thfhmhsz0.net 10/41

部屋の中央に置かれたテーブルをぐるりと迂回して、長門の元へと辿り着いた俺は、漏らしたと言う割には異臭がしていないことに気がついた。

恐らく、これが『エマージェンシー・モード』とやらの効果なのだろう。
正座の姿勢の長門の、尻と足裏の間に挟まれたそれごと、凍結しているのだ。
ならば、匂わなくても不思議ではない。

キョン「それで、どう運べばいいんだ?」

長門「……だっこ」

傍に立ち、どのようにして抱えるべきか聞いた俺に、長門は両手を広げてその方法を示した。

足元から上目遣いでこちらを見上げ、両手を広げる長門は、月並みな表現ではあるがとても可愛らしく、こんな状況下だというのに、俺は胸が高鳴るのを感じた。

48 : 以下、\... - 2016/10/20 21:33:01.933 thfhmhsz0.net 11/41

キョン「……わかった。ほら、つかまれ」

長門「……よろしく、お願いする」

長門の細腕がしゃがみ込んだ俺の首に回され、その頬がひんやりとした感触と共に首筋に触れた。
その心地良さに、思わずこの場で押し倒したくなる衝動に駆られるが、ぐっと堪え、使命を優先する。

とりあえずこれで、俺が上体を起こせば長門は持ち上がるだろうが、いかんせん不安定だ。
なので、長門の下半身を安定させる必要があるのだが、これを幸いにと彼女の足や尻に触れるのは倫理的にどうかと思う。

なにか手はないか。
冴えない頭脳を振り絞って、俺は名案を思い付いた。

キョン「長門、座布団ごと、持ち上げるぞ」

長門「……わかった」

51 : 以下、\... - 2016/10/20 21:35:03.841 thfhmhsz0.net 12/41

俺が思い付いた苦肉の策は、長門が敷いている座布団ごと持ち上げる、というものだった。
これならば、長門の下半身を支える為に足や尻に触れる必要はなく、健全であると言えた。

そんな胸中を知ってか知らずか、快く快諾してくれた長門の座布団を掴み、上体を起こしながら座布団ごと正座の姿勢のまま、持ち上げることに成功した。

キョン「……よっと!長門、平気か?」

長門「……大丈夫」

長門の膝を腹で支えるようにして、安定感を更に増した俺が声を掛けると、長門は耳元で気丈にそう答えた。
囁くような彼女の声が耳朶を打つに伴い、ゾクゾクと劣情が湧き上がるのを感じたが、こればっかりはどうしようもない。

健全な男子高校生なんてこんなものだろう?

53 : 以下、\... - 2016/10/20 21:38:01.785 thfhmhsz0.net 13/41

キョン「それじゃあ、いくぞ。しっかり掴まっててくれ」

長門「……わかった」

なんとか劣情に抗いつつ、一歩一歩慎重に浴室へと足を運ぶ俺は、長門の軽さに驚きつつ、密着した彼女から漂う香りに頬が緩んでしまうのを感じた。

ああ、誤解しないでくれ。
長門の香りと言っても、それは大便の匂いではなく、彼女本来の体臭やシャンプーの香りであって、決して不健全な愉悦に浸っているわけではない。

そう、これは極めて健全な感情なのだ。
しかし、長門はそんな俺の邪気を感じ取ったのか、ポツリと言葉を漏らす。

長門「……匂いを、嗅がないで」

キョン「……すまん」

56 : 以下、\... - 2016/10/20 21:40:02.588 thfhmhsz0.net 14/41

そんなこんなでなんとか浴室まで辿り着いた俺は、割れ物を扱うかのように長門を降ろした。

キョン「これでいいか?」

長門「……これで、いい」

浴室の床に、座布団を敷いて座っている長門は酷く滑稽だったが、状況が状況である。
この際仕方あるまい。

キョン「それじゃあ、俺はリビングに戻るから……」

長門「……待って」

役目を終えた俺が足早に浴室から出ようとすると、袖口を引かれ、呼び止められた。

キョン「どうしたんだ?」

長門「……服を、脱がせて欲しい」

57 : 以下、\... - 2016/10/20 21:42:07.945 thfhmhsz0.net 15/41

服を……脱がせる?

俺が、長門の服を……?
そんなこと、許されるのだろうか。
いや、もちろん、俺個人としては願ってもない提案なのだが、どうしても長年培ってきた道徳観が邪魔をする。

しかし、そんな大役を他の誰かにやらせるくらいなら、俺は超法規的措置も辞さないだろう。
例えば、それがいけ好かない古泉であるならば、俺は俄然暴力に訴える自信さえあった。

そう考えると、もう俺の心は決まっているのだが、やはり理由を聞かずにはいられない。
もしかしたら、いや、長門に限っては万に一つもありえないが、謀られているだけ、からかわれているだけ、という可能性もごく僅かだが考えられる。

キョン「理由を聞かせてくれ」

長門「……手が震えて、自分で脱げそうにない」

61 : 以下、\... - 2016/10/20 21:45:08.768 thfhmhsz0.net 16/41

俺の問いに対して、いつも通りフラットな声音でそう答えた長門のだったが、俺の服の袖口を掴むその手は確かに震えていた。

その震えは羞恥心からのものだろうか?
それとも、醜態を見られた屈辱感から?

平凡な男子高校生に過ぎない俺ごときに、その心中を察することは不可能だ。
しかし、この事態において自分に出来ることはなんでもすると宣言した以上、その頼みを無下にすることは出来なかった。

キョン「……わかった。それじゃあ、脱がすぞ」

長門「……ん」

俺が承諾すると、長門は袖口を掴んでいた手を離し、万歳をする形で両腕を上げた。

もちろん、服を脱がす際に正面に回るなどという愚行を犯すことはなく、俺は長門の背後に回って学校指定のセーラー服の裾をたくし上げる。

63 : 以下、\... - 2016/10/20 21:48:03.048 thfhmhsz0.net 17/41

セーラー服を脱がせると、その下に、簡素な白いキャミソールが現れた。

その飾り気のない無地の生地に、長門らしさを感じた俺だったが、よく目を凝らすと端々にレースの模様が見て取れる。
どうやら、これが彼女の精一杯のお洒落のようだ。

そのことにいたく感動していた俺は、ふと我に返り、あまりジロジロ眺めるのは無粋であると思い、目を逸らして今度こそ浴室から退室すべく踵を返そうとしたのだが……

長門「……待って」

またもや、長門に呼び止められた。

キョン「今度はどうしたんだ?」

長門「……まだ、脱がせ終えていない」

キョン「まだって……下着くらいは自分で脱げるだろう?」

長門「……着衣全てを、脱がせて欲しい」

64 : 以下、\... - 2016/10/20 21:50:03.354 thfhmhsz0.net 18/41

俺は耳を疑った。

着衣全て、ということは、文字通り全て、という意味だろうか?
そうなるとつまり、上だけではなく、下も俺が脱がせて良いと、そう捉えることもできる。

いやいや、まさか……そんな馬鹿な。

ここは誤解が生じない為にも、きちんとその辺を明らかにしておくべきだと、俺は判断した。

キョン「長門、その言い方だと、キャミソールだけじゃなく、スカートも、そしてその下の下着も、俺が脱がせて良いように聞こえるが、その認識で合っているか?」

長門「……その認識で、間違いない」

長門は逡巡するそぶりすら見せずに、俺の認識で合っていると、そう断言した。

これでひとまず、俺の早とちりではないと確証が持てたので、ほっと安堵したのだが、それはそれで問題ではないだろうかと、再び悩む羽目になった。

65 : 以下、\... - 2016/10/20 21:53:01.461 thfhmhsz0.net 19/41

年頃の男子が、同じく年頃の女子の衣服を、そしてあまつさえ下着までも脱がせていいのだろうか?

脱がせたくない、と言えば、嘘になる。

俺は嘘つきは嫌いだ。
同じ理由で古泉が嫌いだ。
ここで、自分の気持ちに嘘をつけば、俺も奴と同類になってしまうのではないか?

それだけは、嫌だった。

キョン「……わかったよ。その役目を、引き受けよう」

長門「……ん」

色々、ああだこうだと理由を付けてはみたが、結局のところキャミソール姿の長門に迫られたら、俺は言いなりにならざるを得ないのだろう。

そういうものだと割り切ることにして、俺は意気揚々と長門のキャミを脱がせにかかったのだった。

67 : 以下、\... - 2016/10/20 21:55:02.843 thfhmhsz0.net 20/41

キョン「よし、脱がせたぞ」

すんなりとキャミソールを脱がせ終えた俺は、なるべく平然を装った。
もちろん、心中は大盛り上がりだ。

長門の白い背中が露わになり、脇の間からはささやかな横乳が垣間見える。

正直に言おう。
俺は今現在、かなり興奮している。

そんなムラムラが止まらない俺が、不意に視線を上げると、浴室の正面に備え付けられた鏡ごしに、長門と視線が合った。

合って、しまった。

正面に鏡があることは、浴室に入ったその時から知っていた。
その鏡に視線を向けたのは、長門の半裸を鏡ごしに見たい、という俺の下心に他ならない。
その為、俺は罪の意識に苛まれ、マズいっ!と、咄嗟に視線をあらぬ方向に背けるたのだが、目が合った時、長門は間違いなく俺を見咎めていた。

……参ったな。
これは怒られてしまうかと、肩を竦める俺だったが、長門は変わらぬ声音で先を促した。

長門「……次は、スカート」

70 : 以下、\... - 2016/10/20 21:58:04.395 thfhmhsz0.net 21/41

どうやら先ほどの俺の不埒な行いは黙認してくれたらしい。

しかし、そのことに安心している暇はない。
次はスカートを脱がせなければいけないのだ。

スカートを脱がせる為には必然的に立ち上がって貰う必要がある。
だが、長門の尻と足裏は『エマージェンシー・モード』であり、凍結中だ。

その状態でどうやって脱がせるべきか、俺が考えあぐねていると、見かねた長門が口を開いた。

長門「……情報連結の解除を申請」

情報連結の……解除?
何処かで聞いた覚えのあるその言葉に気を取られているうちに、事態は動き始めた。

ビチャッ……と、一つ、水音が響いたかと思うと、次の瞬間には連続的な水音が響く。

ビチャビチャビチャビチャ。

その音がどこから発せられているか、そんなことは考えるまでもなく、分かり切っている。

水音は、長門の尻と足裏の間から、鳴り響いていた。

72 : 以下、\... - 2016/10/20 22:00:17.649 thfhmhsz0.net 22/41

キョン「長門……お前……」

長門「……んっ……くっ……ッ」

絶句する俺の目の前で、長門は両手で自ら肩をかき抱き、身を震わせて、水音を奏でていた。

この惨状は恐らく、先ほど申請したという情報連結を解除したことによって引き起こされたのだろう。
凍結した尻と足裏の連結を解除することで、その間に封じ込められていた何かが、溢れ出て来たのだ。

では、それは何か?

尻と足裏との隙間から溢れる、液体と固体の丁度中間と呼べる茶色いそれを見て、俺は確信した。

これは、便だ。

しかも、ただの便ではない。
長門の、下痢便である。

浴室の床に広がるそれを目の当たりにして、茫然自失としている俺の鼻に、刺激臭が遅ればせながらやってきた。

74 : 以下、\... - 2016/10/20 22:05:01.607 thfhmhsz0.net 23/41

長門の便の香りに対して、不思議なことに俺は嫌悪感を覚えることはなかった。

何故だろう?

いや、今はそんなことよりも、するべきことがあった。

長門「……ごめん、なさい。ごめん……なさい」

浴室の中央で下痢便の海に沈み、消え入るような声で懺悔を繰り返す長門を、俺は見てられなかった。

キョン「ッ……長門っ!!」

俺は履いていた靴下を脱ぎ、ズボンの裾を捲り上げると、急いで長門の元へと駆け寄った。

長門「……ごめん、なさい」

キョン「……いいんだ。いいんだよ。謝らなくて、いいんだ」

俯く長門を背後から抱きしめる。

密着したことにより、長門本来の匂いと、便の匂いが混じり合い、俺は胸が締め付けられるのを感じた。

75 : 以下、\... - 2016/10/20 22:08:03.028 thfhmhsz0.net 24/41

長門「……」

キョン「……」

しばらく、無言の時が流れた。
茶色い便の上でそうしていると、まるで時の流れが止まったかのように感じる。

やがて、長門の身体の震えが収まり、俺も抱きしめていた腕の力を緩めた。

長門「……ありがとう。もう、大丈夫」

キョン「気にするな。それより、とっとと済ませちまおう」

長門「……わかった」

落ち着きを取り戻した長門が、フラフラと立ち上がり、浴室の壁に手をついて尻を突き出す体勢となる。

ガクガクと震える両足は、まるで産まれたての子鹿のようで、なんとも痛ましい。

キョン「……じゃあ、脱がせるぞ」

長門「……ん」

全ては長門の為。
俺は彼女を救うべく、便で汚れたスカートを剥ぎ取ったのだった。

76 : 以下、\... - 2016/10/20 22:10:02.860 thfhmhsz0.net 25/41

スカートを剥ぎ取ると、そこには茶色い染みの付いた白いパンツがあった。
出来ることならば、何時間でもその光景を眺めていたいとは思うが、事態は急を要する。

やむなく俺は、長門の染み付きパンツを拝むことを切り上げ、ひと思いにそれを引き下ろした。

キョン「長門、片足を上げてくれ」

長門「……ん」

キョン「……よし。もう片方も」

長門「……これで、いい?」

キョン「ああ。これで……終わりだ」

全ての衣服を脱がし終え、全裸となった長門の白い素肌に、唯一影を落とす汚れた尻。
この情景を一言で言い表わすならば、そうだな……

Excellent.

そう表現するのが適切だろう。

79 : 以下、\... - 2016/10/20 22:15:01.336 thfhmhsz0.net 26/41

キョン「あとはシャワーで洗い流すだけだな」

長門「……」

そんな目をするな。わかってるよ。

乗りかかった船だ。
ここまで来たならば、最後まで面倒を見るのが筋だろう。

キョン「……俺に任せて貰って、構わないか?」

長門「……もちろん」

肩を竦めてそう言ってやると、長門は嬉々として俺のシャツのボタンを外し始めた。

こちらの服を濡らさないようにしてくれるのはありがたいのだが、さっきまで手が震えて服が脱げないとか言ってた割には、なかなかどうして、随分手際が良いじゃないか。

あっという間に身包みを剥がされ、全裸となった俺は、シャワーを手に取り、人肌程度の温度かどうかを確認したのち、長門の尻を洗い流した。

キョン「熱くないか?」

長門「……丁度、いい」

82 : 以下、\... - 2016/10/20 22:20:09.306 thfhmhsz0.net 27/41

さすがにデリケートゾーンをアレコレ触るわけにはいかないので、ボディソープで秘部を洗うのは長門に任せた。

なので、俺はシャワーで流すことに専念する。
これでいいのだ。
無心となって、床に広がる便も流す。

ボディソープの香りが便の香りを打ち消し、空間自体が浄化されていくのがわかった。

長門「……終わった」

そうこうしている間に、長門は尻を洗い終えたようだ。

泡まみれの尻をシャワーで流してやると、そこには汚れ一つない綺麗な白い尻があった。
つい先ほどまで、そこに茶色い汚れが付着していたことが今となっては嘘みたいだ。

そのことに、一抹の寂しさを感じつつも、俺は労いの意味を込めて長門の頭を撫でてやった。

キョン「良かったな。それじゃあ、俺はそろそろ……ん?」

役目を終え、今度こそ退出しようとしたその時……

ブルリと、俺の身に、とある生理現象が襲いかかった。

87 : 以下、\... - 2016/10/20 22:25:16.031 thfhmhsz0.net 28/41

長門「……どう、したの?」

キョン「ああ、いや……どうやら、お茶を飲み過ぎたようだ」

利尿効果のあるお茶をあれほど飲まされたのだから、こうなるのは必然だろう。

そう、俺を襲った生理現象の正体は、尿意だった。

幸いなことに、まだある程度余裕がある。
とっとと服を着て、長門にトイレを貸して貰おうと、そう思い、足早に浴室を出ようとした俺は……

長門「……待って」

この日、三度目の足止めを食ったのだった。

89 : 以下、\... - 2016/10/20 22:28:03.054 thfhmhsz0.net 29/41

キョン「まだ何か用があるのか?」

長門「……トイレに、行きたいの?」

キョン「ああ。悪いが、貸して貰えるか?」

長門「……だめ」

ん?
何だって?

キョン「ま、待ってくれ。長門、お前は何を言ってるんだ?」

長門「……トイレに行っては、だめ」

キョン「じゃ、じゃあ、どうしろってんだ?」

長門「……ここで、して」

ここでしろ、だと?
何だそれは。何の冗談だ。

意味がわからないし、笑えない。

91 : 以下、\... - 2016/10/20 22:30:25.589 thfhmhsz0.net 30/41

キョン「ここでって……正気か?」

長門「……私は正常」

いやいや、明らかに異常だろう。
ここは浴室であり、トイレではない。
そして俺には別に、風呂場で放尿する趣味や習慣はないのだ。
一体全体、何だってそんなことを言い出したのか。

キョン「……理由を聞かせてくれ。なんでここでする必要があるんだ?」

長門「……あなたは私の排泄を目撃した」

キョン「……だから?」

長門「……だから、私にも、あなたの排泄を見せるべき」

96 : 以下、\... - 2016/10/20 22:33:03.087 thfhmhsz0.net 31/41

なるほど。
言ってることは分からなくもない。

……いや、正直に言えばさっぱりわからないのだが、どう反論したところで長門は俺にトイレを貸してくれないだろう。

この『対有機生命体用ヒューマノイド・インターフェース』は、これで案外頑固なところがあるからな。

仕方なく、俺は折れることにした。

キョン「……わかった。わかったよ。ここで放尿すればいいんだな?」

長門「……話が早くて、助かる」

キョン「なら、隅の方で済ませるから……」

長門「……それでは、放尿を見れない」

キョン「じゃあ、どうすりゃいいんだ?」

長門「……ここに、座って」

97 : 以下、\... - 2016/10/20 22:35:02.841 thfhmhsz0.net 32/41

促されるまま、俺は湯船の縁に座らせられた。
そしてその隣に、ちょこんと長門も腰掛ける。

長門「……早く、して」

キョン「な、長門、さすがにこの体勢は恥ずかし過ぎるというか、何というか……」

渋る俺を、長門は急かす。

長門「……いいから、早く」

そう言いながら、長門はこちらの肩にこてんと側頭部を乗せ、俺のエキセントリック・シャフトを凝視している。

肩にかかる重みと、長門の体温、そして食い入るように見つめるその視線で、頭の中がどうにかなってしまいそうだ。

キョン「こ、こんな状況じゃあ、出るものも出ないぞ」

長門「……じゃあ、こうする」

102 : 以下、\... - 2016/10/20 22:40:57.854 thfhmhsz0.net 33/41

長門「……あむっ」

キョン「ッ!?」

ぐいっと俺の方に身を寄せた長門は、あろうことか耳に噛みついてきた。
もちろん、噛みつくと言っても甘噛み程度のものだったが、この緊迫した状況下でのそれは、俺の抵抗力を奪うには充分過ぎる効果があった。

キョン「あっ」

脳に一番近い性感帯に対してダイレクトな刺激を受けた俺は、一瞬頭の中が真っ白になり、気が付いた時にはもはや手遅れだった。

膀胱から尿道を通過し、ジョボジョボと音を立てて尿が流れ出ていく。

長門「……すごい」

長門は俺の耳を噛むのをやめ、身を乗り出すようにして、垂れ流しのエキセントリック・シャフトを見つめていた。

自分の排尿を他ならぬ長門に見られたことに、脳みそが沸騰するのがわかった。

長門「……ドキドキ、する」

……どうやら、沸騰しているのは俺だけではないらしい。

106 : 以下、\... - 2016/10/20 22:45:01.620 thfhmhsz0.net 34/41

床一面に尿を撒き散らし、アンモニア臭が漂う浴室の中で、身を寄せ合って息を荒げる年頃の男女。

はたから見れば、何をしているんだと、突っ込まれること必至なこの状況の中で、それを口にする者はおらず、奇妙な沈黙がこの空間を支配していた。

しかし、それは決して嫌な沈黙ではなく、何かを成し遂げた充実感が、そこにはあった。

長門「……とても、いい放尿だった」

沈黙を破り、長門が発した第一声は、労いの言葉だった。
しかも、言葉だけでなく、俺の頭をよしよしと撫でるという出血大サービス付きだ。

いや、現在の状況を踏まえると、失禁大サービスと言った方が適切かも知れないが、そうなるとサービスをしたのが俺のように聞こえてしまうので、ここはあくまで、長門を立てておこう。

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しばらくの間、されるがままに頭を撫でられていた俺だったのだが、そうされていると愛しさと切なさが止まらなくなり、堪らず長門の肩に手を回し、ぎゅっと抱き寄せた。

そうすると長門も頭を撫でるのをやめ、こちらの腰に手を回し、抱き返してくれる。

この時芽生えた感情に、名前を付けようなどと野暮なことはせずに、俺達はただ静かに抱き合い、互いの気持ちを交わすに留めた。

キョン「……そろそろ、後始末をするか」

長門「……ん」

このままでは、間違いが起きそうだと判断した俺は、やむなく後始末を始めることとする。

ここまでくると、もう何が間違いで何が正しいかなんてわかったものではないが、ここら辺が俺達のボーダーラインとしておこう。

そして、長門もそれに異を唱えることなく、浴室の洗浄を手伝ったのだった。

111 : 以下、\... - 2016/10/20 22:52:03.601 thfhmhsz0.net 36/41

すっかり綺麗になった浴室の中で、俺達はついでに互いの身体と髪を洗い合った。
この辺は物語の本筋と何ら関連性が見当たらないので、割愛させていただく。

そして、いよいよ世話になったこの浴室に、別れを告げる時が来た。
あれ程の惨状が繰り広げられていたというのに、今はその痕跡すらないことに寂寥感を覚えるが、過ぎたことだ。

互いがその記憶を、思い出として胸に留めておけばそれでいい。

そう思い、退室しようとした俺の目に、糞尿塗れとなった座布団が飛び込んできた。

ああ、そういやすっかり忘れていたな。

俺はそれをシャワーで綺麗にしてやろうと持ち上げると、一枚の白い布切れが床に落ちた。

キョン「……これは」

ゴクリと喉を鳴らし、拾い上げると、それは長門の便付きパンツだった。

長門は先に脱衣所で身体を拭いている。
つまり、この存在を認識しているのは俺だけだ。

キョン「……頂きます」

これ幸いにと、俺はそのパンツを頂戴して、座布団を洗ったのち、今度こそ浴室を後にしたのだった。

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その後、何食わぬ顔で脱衣所で身体を拭き、着替え終えた俺は、手の中に忍ばせていた長門のウンパンを丁寧にタオルで包み、制服のポケットに押し込んだ。

長門がそのことに気付いた様子はなく、罪悪感の解消と、せめてもの罪滅ぼしを兼ねて、彼女の短めのショートヘヤーをドライヤーで乾かしてやることにした。

いや、短めのヘヤーと言っても、それはアンダーヘヤーのことではないぞ。
誤解がないように、念を押しておく。

キョン「よし。乾いたぞ」

長門「……次は、あなた」

気持ち良さげに俺に髪を乾かされた長門が、今度は俺の髪を乾かしてくれた。

参ったな。
これでは罪滅ぼしにならないじゃないか。

頭に温風を浴びながら、長門には後で何か埋め合わせをしようと、俺は心に誓うのだった。

113 : 以下、\... - 2016/10/20 22:57:44.761 thfhmhsz0.net 38/41

キョン「すっかり遅くなっちまった。それじゃあ、そろそろ帰るよ。長居して、すまなかったな」

長門「……いい。……気に、しないで」

全てを終えた俺がいとまを告げると、長門はそう言って玄関みで見送ってくれた。

長門「……これ」

キョン「ああ、ありがとうな」

靴べらを差し出され、それを受け取って靴を履いていると、なんだか新婚の夫婦のようで胸が温かくなる。

靴を履き終え、靴べらを返そうと振り返ると、長門は俯いていて、その様子がおかしいことに気付いた。

キョン「……どうしたんだ?」

長門「……私の、処分が検討されている」

114 : 以下、\... - 2016/10/20 23:00:03.700 thfhmhsz0.net 39/41

処分。
というと、また情報統合思念体のお偉いさんとやらに、何か言われたのだろう。

前にも一度同じようなことがあった。

それに対する俺の姿勢は、変わらない。

キョン「糞食らえ、と伝えろ」

文字通りの意味だ。
一度目はただの脅しだったが、二度三度同じような真似をするのなら、俺はジョン・スミスという切り札を使うよりも先に、本当に奴らに糞を食わせてやる。

キョン「今日のことは、俺とお前のプライベートでの出来事だ。だから、口出しされる筋合いはない」

長門「……わかった」

俺の本気さが伝わったのか、長門は俯いていた顔を上げ、しっかりと頷いた。

115 : 以下、\... - 2016/10/20 23:02:03.374 thfhmhsz0.net 40/41

キョン「このことは俺達だけの秘密だ。いいな?」

長門「……了解、した。……その代わり、私もあなたの秘密を……守る」

ん?
なんだか妙に引っかかる言い回しだな。

キョン「それは、どういう意味だ?」

長門「……あなたのポケットの中の、秘密」

長門は、俺の秘密に気付いていた。

キョン「な、なんのことだ?」

長門「……とぼけなくて、いい。……秘密は、守る」

116 : 以下、\... - 2016/10/20 23:05:03.785 thfhmhsz0.net 41/41

キョン「さ、さぁて!それじゃあ、そろそろ帰るよ。邪魔したな」

強引に話を切り上げ、立ち去ろうとする俺に、長門はそれ以上追求することはなかった。

長門「……また、来て」

キョン「また来るよ。それじゃあ、おやすみ」

長門「……おやすみ、なさい」

ドアが閉まる間際、こちらに向けて手を振る長門が微笑んだ。

その可憐な微笑みは、どんな魔法以上に愉快な気持ちにさせるものであり、俺は今日起こった一部始終を、鼻の奥に残る便の香りと共に思い返しながら、足取り軽く、帰路に着いたのだった。


FIN

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