1 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/06/28 21:33:24.13 11Y+bk09o 1/770このスレは「悪魔のリドル」アニメ最終回後を勝手に想像して展開していく二次創作スレです
初SSなので進行遅いですが、生暖かい目で見てくれたらと思います
ー最終回後の桜並木
兎角「なあ、晴。ところでこれからどうするんだ?」
晴「?? どうするって何がですか?」
兎角「いや黒組も卒業したし、理事長からも解放されて自由じゃないか。何かやりたいこととかないのか?」
晴「実を言うとひとつだけ.......やりたいことがあるんです。」
兎角「そうか。言ってみろ。お前を縛るものは無いんだからな。」ニコッ
晴「兎角さん....。じゃあ言いますね。実は晴.....」
晴「もう一度黒組がやりたいんです!」
兎角「」
兎角「は?」
晴「聞こえなかったんですか。もう一度黒組を「いや違う違う!」
兎角「なんでだ!?私達は何度も死にそうになっただろ!死にたいのか!」
晴「あ、ごめんなさい。そういう黒組じゃなくて」
晴「黒組のみんなで今度は普通の学生生活がしたいんです。」
兎角「なんだ、そういうことか。」
晴「はい。それで......兎角さんにお願いがあるんです」
兎角「何だ?」
晴「その...また黒組をやるためには理事長に頼まないといけないですよね...」
兎角「まあ、そうなるな」
晴「だから...その...無茶なオネガイだって分かってるんですけど...」
晴「兎角さんの願いを叶える権利を、晴のために使ってくれませんか!?」
兎角「いいぞ」
晴「即答!?」
晴「いいんですか...?晴の勝手なワガママなのに...」
兎角「晴、私はそもそも願いを叶える権利なんて欲しいと思ってなかった」
兎角「ただお前のために行動してたら、手に入っただけだ」
兎角「晴の幸せのために使うんなら断る理由なんて無いさ」ニコッ
晴「.......!もうっ、兎角さんったら...///」テレテレ
兎角「しかし理事長が承諾してくれるかだがな...」
ー理事長室
百合「いいですよ」
兎晴「軽っ!」
百合「実際こちらとしても渡りに船と言ったところなんですよ」
兎角「どういうことだ」
百合「東兎角さん。あなたが一ノ瀬さんを刺したことで、一族の中で一ノ瀬さんがプライマーではないという声が大きくなりました」
鳰「まあそのおかげで晴が卒業出来たってのもあるんスけど~」
兎角「長い。簡潔に言え」
百合「つまり一族の中にはまだ一ノ瀬さんがプライマーである、と考えている人もいるということよ」
百合「そしてそうした人たちは一ノ瀬晴をもうしばらく監視下に置くべきだ、と考えているわ」
兎角「ふざけるな!」
百合「落ち着きなさい。だから今回の提案は渡りに船と言ったのよ」
百合「そして一ノ瀬さん、あなたもそれを分かっていたんではないかしら?」
晴「......」
兎角「晴...」
晴「晴は大丈夫。それに...兎角さんが守ってくれるでしょ?」ウワメヅカイ
兎角「あ、あぁ!もちろんだ!」ドキッ
晴「兎角さん...///」
兎角「晴...///」
鳰「イチャつくんならよそでやってくんないっスかね~?」
~適当な話し合い終了後~
晴「それじゃあ、理事長よろしくお願いします」
百合「ええ、準備は万全にしておくわ。任せておきなさい」
兎角「晴、行くぞ」
晴「あ、待って兎角さん。それでは、失礼します」ペコッ タッタッタ
百合「フフッ、微笑ましいですね」
百合「さて、それでは鳰さん」
鳰「はい、なんっスか?」
百合「始業式までに元黒組メンバー全員の召集、及び金星寮の準備等お願いしますね」ニコッ
鳰「」
鳰「マジっスか...」
鳰「始業式まであと一ヶ月.......」
鳰「寮の準備はともかくとして、住所不定者や受刑者を含めた10人を召集って...」
鳰「ムリじゃね?」
鳰「でもあの人から頼まれたことだしなぁ...」
鳰「よし!こうなったら鳰ちゃんの本気をみせてやるっスよ!」
鳰「まずは住所のわかる人から行くっスかね~」テクテク
鳰「というわけでまず一人目っス!こんばんは~」ピンポーン
ー寒河江家
春紀「冬香~。そろそろ風呂入っちゃいな~」
冬香「は~い」
春紀「さてと、私は洗い物でもするかねっと」ピンポーン
冬香「お客さん~?」
春紀「ああ、いいよ。私が出るから。」
春紀「たくっ、誰だよこんな時間に」ガラッ
鳰「どうも、こんばんwガララッ ピシャッ
冬香「誰だった~?」
春紀「たちの悪い新聞屋だったよ」
鳰「ちょっ、顔見るなり閉めないでくださいよ!春紀さ~ん?春紀さ~ん?」
春紀「もう一度黒組を結成する?」
鳰「はい。晴の望みで。とはいっても暗殺とかはナシの普通の学生としてですけど」
春紀「とはいっても家族のこともあるしね~」
鳰「そう言うと思って理事長から伝言を預かってるっスよ」
春紀「ふ~ん、なんだって?」
鳰「簡単に言っちゃえば奨学金を設定するって話っスね。」
春紀「理由もなくお情けをかけてもらって喜ぶほど、落ちぶれちゃいないつもりなんだけど?」ギロッ
鳰「そう言われるだろうからって条件が提示されてるっス。これっスね」ピラッ
春紀「なになに教室の備品管理に...金星寮における毎日の浴場清掃、週一回の共用部分の清掃と備品管理...か」
鳰「言っちゃえば用務員と清掃員の仕事っスね」
春紀「まあ、ビルの清掃のバイトとかやってたこともあるから出来るとは思うぜ」
鳰「じゃあ黒組に戻って来てくれるっスか?」
春紀「う~ん、でもねぇ」
冬香「行ってきなよ、お姉ちゃん」
春紀「!! 冬香!?」
冬香「お姉ちゃんは私達のために高校にも行かず私達を守ってくれた」
冬香「何やってたかまでは知らないけど、多分あんまり良くないことをしてまでお金を稼いでくれた」
冬香「でも最近高卒認定試験とか調べてるの見てて、なにか本当にやりたいことが見つかったんだって分かった」
冬香「もうお姉ちゃんに我慢して欲しくない!弟達も大きくなってきたし、家族のことは私が何とかするから...」
冬香「だから行ってきて!」
春紀「冬香...」
鳰「いやー、感動の家族愛っスね~」
春紀「お前に言われるとバカにされてるようにしか思えないんだけど」
鳰「いやいやホントに感動してるっすよ~。眩しすぎるくらいだったっスよ」
春紀「どうだか...」
鳰「それと春紀さん、黒組参加の報酬の話はまだ終わってないっスよ」
春紀「なんだい、ずいぶん気前の良い話だね」
鳰「ええ!黒組に参加していただければ、」チョイチョイ
春紀「なんだい、耳寄せろってか」ヒョイ
鳰「暗殺者としての過去を完全に抹消させてもらうっス」ヒソッ
春紀「!!」
鳰「黒組に入ってわかったはずっスよ。自分がいるべきは腐った海の中ではなく、日向の世界だってことが...」ヒソヒソ
春紀「なるほど、受ける受けないの選択の自由なんてハナから無かったってことかい...」
鳰「いえいえ、黒組に入るも入らないも究極的には春紀さんの自由っスよ」ニパッ
春紀「そうやってアタシに自ら選ばせるカタチにするって訳かい...」
春紀「いいさ、もともと最後の条件がなくても入る気ではいたしね」
鳰「ありがとうございますっス!」
春紀「冬香。アタシのいない間、家のことはお前に任せる」
冬香「うん!!」
春紀「とはいっても最低週一回は必ず電話する。あとそっちに何かあったら必ずすぐ電話しろ。いいな?」
冬香「うん!行ってらっしゃい、お姉ちゃん」
春紀「ああ!お姉ちゃん行ってくるよ!」
鳰「春紀さんそれでですね」
春紀「ん?まだなんかあんのかい?」
鳰「始業式前に春紀さんに手伝ってほしいことがあるんスよ」
春紀「手伝ってほしいこと?」
鳰「実はっスね、伊介さんの説得を手伝って欲しくてですね...」
春紀「伊介様の?」
鳰「連絡先とか分かってる人には直接合う前に連絡したりとかしたんスよ。そしたら...」
伊介『めんどくさ~い。伊介パ~ス』
鳰「と即返信されちゃって途方に暮れてたっスすよ」
春紀「アハハ。伊介様らしいな」
鳰「笑いごとじゃないんすよ~」
冬香「ねえ、走りさん?一つ聞いていい?」
鳰「おっ、なんすか冬香さん?」
冬香「伊介様って人、お姉ちゃんの彼氏?」
春紀「冬香!?お前一体何言い出すんだ!?」
冬香「え、だってお姉ちゃん帰ってきてからよく一人の時『伊介様大丈夫かな...』とか呟いてるじゃん」
春紀「」
冬香「この前なんか窓から月見ながら『伊介様ちゃんとご飯食べてるかな...』って...」
鳰「アハハww、春紀さんって意外と尽くすオンナタイプだったんスねw。いやむしろ過保護な母親タイプかなww」
ヒュッ ガシッ
春紀「今度余計なこと言うと口を縫い合わすぞ」グリグリ
鳰「は、春紀さんコマンドー好きなんスか。意外なような、意外でないような...」
春紀「OK?」ギリギリ
鳰「お、OKっス...」
ーどこかのリゾート地
春紀「ここのどこかに伊介様がいるってわけかい」
鳰「情報によるとそうっスね~」
春紀「まあ、広いと言ってもたかが知れてるし、虱潰しで探すかね」
鳰「伊介さんは泳ぐタイプじゃないっスからビーチを歩いてれば見つかるでしょう」
???「ふむ、君たちが伊介の元クラスメイトか...」
春鳰「!?」バッ
春紀「何だこの人!?」
鳰「気配もなくウチらの後ろを取る...。そうっスか。あんたがあの...」
恵介「ご想像のとおり。俺の名は犬飼恵介。伊介のママさ」
春紀「伊介様の...ママ?」
鳰「あ~、それについてはウチからあとで説明するっスよ」
???「ママ~?どこ~?」
恵介「おっと、噂をすれば...」
伊介「あっ、ママいた~...って何で鳰が?それに春紀まで」
春紀「よっ、伊介様!」
~事情説明~
伊介「なるほど...。それで春紀まで連れてこんなところまで来たわけなのね」
鳰「伊介さん~、どうかよろしくお願いしますよ~」
伊介「イヤ。伊介パ~ス」
鳰「そこをなんとか!ほら、春紀さんもなんとか言ってくださいよ」
春紀「何とかって言われてもなぁ~。まあ、でも伊介様がいない学校生活ってのはちょっと寂しいな」
伊介「...!」ドキッ
伊介「いや、春紀が言ったってダメよ。私はママの後を継ぐ暗殺者になるんですもの」
伊介「それにママだって、2年間も暗殺から離れるなんて許せないわよね~♥」
恵介「いや、行って来るんだ伊介」
伊介「は?」
伊介「ちょっと、ママ、どういうこと!?」
恵介「伊介、ママは確かに伊介に立派な暗殺者になって欲しいと思っている」
恵介「だけど超一流の暗殺者になるには暗殺の技術を学ぶだけでは足りないんだ...」
恵介「ママにとってのパパや伊介のような存在が、暗殺を一流から超一流へと変えるんだ」
恵介「そして黒組ならそれが見つかるとママは思ってる」
恵介「いや、もう見つけているのかな」チラッ
春紀「?」
伊介「いや、ちょ、ママっ!?」
恵介「君が寒河江春紀さんか。伊介から話は聞いているよ」
春紀「あっ、はい、どうも...」
恵介「黒組から帰ってから伊介がよく君の話をしてくれてね。こうして実物に会えて嬉しいよ」
春紀「えっ、伊介様、よくアタシの話するんですか?」
伊介「いやっ、そんなの伊介がしてるわけない「いやほぼ毎日のように聞かされているよ」
伊介「」
恵介「このリゾートに来てからも『春紀も連れてきてあげたい』とか『これ春紀に似合いそう~♥』とか」
伊介「ちょっ、ママ、もうやめて...」カアア
鳰「じゃあ、伊介さんを連れてってもいいっスね?」
恵介「ああ、どうぞ」
春紀「よし、じゃあ行こうか!伊介様!」ニカッ
伊介「ちょっとまっ、イヤ、伊介行きたくない~~」ズルズル
恵介「頑張って来いよ、伊介~」
伊介「行きたくない~~~」ズルズル
鳰「とまあ、こんなカンジで10人全員なんとか始業式までに引っ張ってこれたっス」
鳰「えっ?他の人たちの描写?」
鳰「そんなの無駄に長くなるからカットっスよ」
鳰「いつか書かれるかもしれないっスけどね」
鳰「まあ、メタい話はこのへんにして...」
鳰「とうとう始業式の日を迎えたっス」
ーー始業式当日
ー黒組教室
溝呂木「みんな!再入学おめでとう!」
溝呂木「知ってると思うが、もう一度言わせてもらう!」
溝呂木「11年黒組の担任の溝呂木辺だ!」
溝呂木「去年は急な転校の多発で、一ノ瀬以外いなくなってしまった...」
溝呂木「そして一ノ瀬も一年で卒業してしまった...」
溝呂木「だが理事長の厚意によって、こうしてまたみんなのクラスを受け持つことが出来て、先生は...、先生はホントに幸せだ!」
伊介「先生、話なが~い」
鳰「溝呂木先生、相当熱くなってるすね~」
溝呂木「よし!それじゃあ、出席を取る!」
溝呂木「1番、東 兎角!」
兎角「ああ」
溝呂木「2番、犬飼 伊介!」
伊介「は~い」
溝呂木「3番、神長 香子!」
香子「はい!」
溝呂木「4番、桐ケ谷 柩!」
柩「はい」
溝呂木「5番、剣持 しえな!」
しえな「はい」
溝呂木「6番、寒河江 春紀!」
春紀「はいよっと」
溝呂木「7番、首藤 涼!」
涼「はいじゃ」
溝呂木「8番、武智 乙哉!」
乙哉「は~い!」
溝呂木「9番、生田目 千足!」
千足「はい」
溝呂木「10番、走り 鳰!」
鳰「はいっす」
溝呂木「11番、英 純恋子」
純恋子「ええ」
溝呂木「12番、番場 真昼!」
真昼「は、はい...」
溝呂木「そして13番」
溝呂木「一ノ瀬 晴!」
晴「はいっ!」
晴(これから始まるんだ...)
晴(兎角さんや黒組のみんなといっしょに...)
晴(晴の望んだ...普通の学園生活が!)
34 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/06/28 23:15:12.98 11Y+bk09o 31/770「しえなちゃんの出番がアニメでついになかったな~ちゃんとした活躍書きたいな~」という思いから、その土台となる導入編をつくろうと思ったら、妙に打ち切り漫画っぽい終わり方になった上にしえなちゃんが一回しか出てこなかった...(しかもセリフは「はい」のみ)
どうしてこうなった
38 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/06/28 23:23:17.82 11Y+bk09o 32/770書き溜めが尽きたので一旦ここまでです。
書くのが遅いので次の更新は未定ですが、できるだけ早くあげたいです。
一応現在考えているネタを挙げておきます。必ずしも書くとは限りません
①しえなちゃん奮闘記~乙哉もいるよ~
②金星祭再び~ヴェルサイユのバラの悲劇(笑)~
③発明家涼さん~出来たぞ香子ちゃん、○○が××する薬じゃ~
④理事長と鳰の黒組SM判定
⑤黒組対抗インディアンポーカー大会
以下こんなのが見たいなどのネタがあればお書きください。参考にさせていただきます。
しえなちゃん奮闘記~乙哉もいるよ~
54 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/07/03 22:45:58.85 MQ+yI491o 34/770※アニメでのみ「悪魔のリドル」をご視聴の方へ
アニメ本編では一切素性について語られなかったしえなちゃんですが、漫画版では多少黒組に来るまでの背景が描かれています。
それらをまとめると以下のようになります。
・昔いじめられていた。(そのせいで引きこもりに)
・そのせいでいじめが嫌い。
・引きこもり時代、いじめられっ子の集団互助組織「集団下校」に出会い、組織の一員となる
・「集団下校」はいじめられっ子同士が、組織のメンバーのいじめっ子への復讐を代行するということを活動内容としている。(いわゆる交換殺人ならぬ交換復讐)
・黒組での報酬は「集団下校」のために用いられる(内容も「集団下校」のメンバーに一任している)
・「集団下校」を大切な居場所だと考えている
以上の要素を前提としながら話を進めていきます
ボクの名前は剣持しえな
生まれも育ちもごく一般的な一般人だ
普通の病院で普通に生まれ、普通に親から愛を受け育ち、普通に学校へ行き、
そして普通にいじめを受けて、
普通に引きこもり、普通に失望され、普通にそこから這い出した
普通の人間に過ぎないと自分では思っている
だけど今ボクは....
乙哉「おっはよ~う!し~え~なちゃ~ん!」
殺人鬼と一緒の部屋で暮らしている
ことの始まりは黒組から脱落した後半年以上過ぎた3月
あの胡散臭い奴との再会からだった
ーしえなちゃん回想
鳰「どうもおひさしぶりっス、しえなさ~ん」
しえな「げぇっ」
鳰「そんな孔明を見つけた司馬瑋仲達みたいな声あげないでくださいよ~。傷つくな~」
しえな「嘘つけ。ボクが何言ったってお前は傷つきもなんともしないだろ。」
鳰「アハハ、バレたっスか~」
その態度や口調も、そこで平然と認めることも、すべてにおいて気に入らないと思っている奴に会ってしまった
しえな「で?なんの用があってきたんだ?」
鳰「おっ、ウチが探してたってこともう見抜きましたか。さすがっスね~」
そんなのはちょっと考えればすぐわかるだろう
ここはボクが諜報活動に用いているネットカフェの内の1軒だ
当然こいつの所属しているミョウジョウ学園からはかなり遠い位置にある
しかも黒組退場からコンタクトなど一度も無かったのに、突然に、しかも予め知っていたかのような口ぶりで挨拶されたのだ
何か裏があるのは誰でもわかる
ボクを馬鹿にしているのか
~鳰ちゃん説明中っス~
しえな「なるほど、もう一度黒組を作って、今度は卒業まで普通の学生生活を送るってことか...」
鳰「どうっスか?参加してくれますか?」
しえな「断る」
鳰「え~、どうしてっスか~?」
しえな「黒組のあいつらに普通の学生生活なんてムリに決まってるだろう」
しえな「それにボクが黒組に戻ったところで利益がない」
しえな「しかも殺人鬼と同室なんてリスクしかないじゃないか」
しえな「むしろ逆にどうしてボクが参加するなんて言うと思えるんだ?」
コイツと話をしているだけで気分が不愉快になる
さっさと話を打ち切ろう
鳰「しえなさん、早とちりしないでほしいっスね~」
鳰「まだ黒組参加の際、あなただけに適応される条件について話してないっすよ」
...ふむ。話だけは聞いておこう
鳰「まず同室の武智乙哉についてですけど、それについては安全を保証するっス」
しえな「どうやって?」
鳰「簡単っス。武智さんは快楽殺人者っス。ですから今回武智さんの黒組参加にはある条件を付けさせてもらいました」
しえな「条件?」
鳰「ええ。この学生生活中に誰かを殺害または回復不可能な怪我を追わせた場合...」
鳰「彼女は我々の組織に殺される、という約束になってるっス」
しえな「...ふうん、で?」
鳰「ちょっ、反応薄いっスね~w」
しえな「正直その程度は予想内、むしろ殺人鬼を限定的とはいえ社会に解き放つんだから、その程度の条件はなきゃいけないものだよね」
しえな「それで?武智がそうした制約があるにも関わらず、一時の感情に負けてボクに危害を加える可能性は?その対策は?」
これで答えが詰まるようでは話にならない。このあとでどんな良い条件を提示されたところで断る以外の選択肢は存在しない
自分の命は仲間のためにある
そう簡単に失うわけにはいかないのだから
鳰「もちろんしてるっスよ、対策」ニヤッ
...! なるほど。これがこいつの本性ってわけか
今までの不快感とは違う、危機感を感じる
だがどっちにしろ、結局は信用できない相手というだけだ
対応は変わらない
しえな「で?対策って?」
鳰「武智さんにはいわゆる催眠術って呼ばれてるものがかかってるっス」
鳰「その効果でしえなさんに危害を加えることは絶対に出来ないという暗示がかかってるっス」
鳰「具体的に言えばしえなさんに危害を加えようとした時点で体の自由が効かなくなる」
鳰「そしてそれでも危害を加えようとする場合、呼吸もできなくなって意識を失うという効果になってるっス」
正直想定してた以上の対策だ。だがここで焦って相手に主導権を渡してはいけない。冷静さを保たなければ
しえな「ふ~ん。それで、それは証明できるのかい?」
鳰「信用できないなら試してみるっスか?ご自分の身で」ニヤァ
しえな「...いや。そこまで対策が練られているなら充分だ」
鳰「フフッ、そうっスか」
不愉快だ。本当に不愉快な笑いだ
鳰「それじゃあ次は黒組に参加することへの報酬っスね」
そうだ。大事なのはそれだ。その報酬如何で今後の身の振り方が大きく変わる
鳰「しえなさんへの報酬は」
鳰「グループ『集団下校』の諜報活動の支援っス」
しえな「...!!」
鳰「知ってるっスよ~。しえなさんが放課後や時に学校休んでまで、ネットカフェ何軒も利用してなにやってるか」
鳰「ホントに仲間思いっスよね~、しえなさんは」
鳰「交換復讐の利点は動機という点で犯人候補に挙がらない点っス」
鳰「だからこそ相手が犯人を特定できない状況で復讐は行われなければならない」
鳰「そのため復讐の対象であるイジメっ子達の情報を収集する必要がどうしても出てくる」
鳰「そしてそれが「集団下校」におけるしえなさんの役割だったっスね」
鳰「しかし一時期から対策が取られ諜報活動が難しくなる」
鳰「そのため組織に対して貢献出来なくなった」
鳰「その状況の打破のためってのが、10年黒組への参加理由だったっスね」
鳰「そうして黒組へ一般枠として参加するも桐ケ谷さんによって退場」
鳰「結局何も出来ない状況のまま、現在「集団下校」での立場も危うくなっている」
鳰「これがしえなさんの現状で、合ってるっスよね?」ニヤニヤ
コイツはまったく...苛つくほどよく調べている
鳰「黒組へまた参加してくれたら、機器の提供やトップカーストへのコネクションなど諜報活動のための道具を提供させてもらうっス」
鳰「どうっスかね?黒組に参加してもらえないっスか?」
...本当ならかなりの好条件だ...。これなら参加を考えても...
鳰「参加しさえすれば、」
鳰「「集団下校」からは捨てられなくて済むっスよ」ニタアア
気がつくとボクは
走りの胸倉をつかみ、壁に叩きつけていた
しえな「それ以上...!!それ以上っ...!」
それ以上、言葉が出なかった
しえな「...分かったよ。参加すればいいんだろ!」
鳰「ホントっスか!いや~助かるっス~」
こんなことをしても意に介した様子もない。もう耐えられそうにない
しえな「参加する。参加するから...、とっととボクの前から姿を消せ!ボクに話しかけるな!」
鳰「御参加ありがとうございます。ではまた始業式にっス」ニヤニヤ
そうしてボクは半ば理性を失った状態で黒組に参加することを決めてしまった
始業式から走りはまたいつもの小物キャラを演じている
だがアイツは関わらないようにしてれば害は無い
だから問題とすべき点はむしろ今...
乙哉「しえなちゃ~ん、朝だよ~!起きて~!」ユサユサ
布団に跨がりながら声をかけるという、漫画の中の幼なじみしかしないであろう起こし方をしているこの殺人鬼にある
武智とは前回の黒組の時も同室だった
しかし彼女が殺人鬼であると知ってからの共同生活は今回が初めてである
当然前回とは異なる生活にならざるを得ないと思っていた
だが現在、考えていた方向とは別の生活を、この殺人鬼と送っている
そう...例えば昨日のあいつの様子はこのようなものだった
~しえなちゃん回想~
朝6時
乙哉「しえなちゃんおはよー!朝だよ、起きて~!」ユサユサ
朝7時
乙哉「しえなちゃ~ん。いっしょに朝ごはん食べにいこ~♥」
朝8時
乙哉「しえなちゃんいっしょに学校行こー!」
1時間目休み時間
乙哉「さっきの授業退屈だったよね~。しえなちゃんも眠そうだったもん」
2時間目休み時間
乙哉「しえなちゃんトイレ?アタシもいっしょ行く~」
3時間目休み時間
乙哉「移動教室だね!いっしょ行こ、しえなちゃん」
昼休み
乙哉「お昼いっしょに食べよう、しえなちゃん」
5時間目休み時間
乙哉「体育だねしえなちゃん!着替えさせてあげる!」ハアハア
放課後
乙哉「いっしょに帰ろ~、しえなちゃ~ん」
夕ごはん調理時
乙哉「いっしょに作ろ!私野菜とか切るの上手いんだよ~」
夕ごはん時
乙哉「いただきます!しえなちゃん、あ~んしてあげる!」
入浴時
乙哉「しえなちゃ~ん、いっしょに大浴場行こ~」
就寝時
乙哉「し~え~なちゃん!いっしょに寝よ!」
なんというか...うん...
非 常 に ウ ザ い
どうしたんだお前!
前回の時はこんなコミュニケーション過剰じゃなかったろうが!
だいたい毎朝6時に起床ってなんだよ!殺人鬼のくせに健康志向か!
あと体育の着替えくらい自分で出来るわ!
しかも引き剥がすのにげんこつしたら不二家のペコちゃんみたいな顔しやがって!ウゼェ!
ハア...ハア...興奮しすぎて思考が乱れているな。ちょっと落ち着こう
だが武智が何故豹変したかなんてことは考えてもしょうがない
人は人の気持ちを理解することなんて出来ない
ましてやあいつは人でなく、鬼なのだから...
問題は始業式からこの1週間、諜報活動の時間が取れていないという点だ
この問題はどう解決すれば「...ちゃん!しえなちゃん!」
乙哉「しえなちゃん!」
しえな「...!!何だ武智!?」
乙哉「も~!やっぱり聞いてなかった!今日の放課後からアタシ1ヶ月間講習があるからって言ってるのに~」プンスカ
しえな「講習?なんの?」
乙哉「メンドイんだけどさー、再犯防止のためカウンセリングも兼ねた講習だって。」
しえな「そんなのがあったのか」
乙哉「黒組に入るための条件だよ~。わざわざ他所から心理学の先生まで招いてイヤになるよ~...」
しえな「そうか、頑張ってこいよ」
乙哉「しえなちゃん大丈夫?一人で帰れる?変な人についてかない?」
しえな「子供か!!いいからさっさと講習受けて更正してろ!」スタスタ
乙哉「しえなちゃん冷た~い」ヨヨヨ
...問題は解決した。うん...いいんだ...
今まで悩んでいた時間は何だったんだとか思う必要は無いんだ...うん
そんなわけでついに念願の諜報活動の時間が手に入った
さすが言うだけあってミョウジョウ学園の設備は段違いだ
今まで手こずっていたのはなんなのかというほど容易に情報は手に入った
明日「集団下校」のターゲットである女子生徒がある男子生徒に告白を行うらしい
そのため旧校舎の使われていない教室へ1人で移動するという
この価値ある情報をボクは早速「集団下校」へと伝えることにした...
ー翌日放課後
今ボクは「集団下校」のターゲットが来るという旧校舎の教室にいる
あのあと「集団下校」に連絡を取ると、ちょうど戦闘要員が対応出来ない日であるということが分かった
そのため方針を転換し、今回直接的な復讐を行うのではなく、相手の弱みを握り、後に呼び出すための交渉材料の収集が今回の目的となった
幸いターゲットの学校はミョウジョウ学園からそこまで遠くなく、ボクも現場に赴くことが出来た
あとは他の集団下校のメンバーの到着を待つだけだ
そう考えていたボクの思考は
背後からの殴打によって切断された
目を覚まして...最初に気づいたのは自分を縛る縄の感覚
次に頭の痛み、そして三番目に知覚したのが
自分の前にいる7人の集団だった
???「お、やっと目覚ましたようだぜ」
その7人の女生徒集団のリーダー格と思わしき人物が発言した
???「どうもこんにちは。剣持しえな」ニヤリ
そんなどこかで見たような笑みを浮かべているあいつがボクを殴ったのだろう
しかし何故ボクを殴った?何故あいつはボクの名前を知っている?
???「なにがなんだか分かんねぇって顔してんな。これだからアチュートはイヤんなるぜ」
しえな「アチュート?」
???「面倒臭いから簡潔に自己紹介させてもらおうか」
???「私達は『スクールカースト』」
スクールカーストA「「集団下校」とかいうアチュートの作った組織を潰すための自警団だよ」
しえな「スクール...カースト...?」
スクールカーストA「そうだ。お前らは「集団下校」なんて傷を舐め合う組織を作ってたけどな」
スクールカーストA「お前らに思いつくことが私達に思いつかないわけがない」
スクールカーストA「そのことに気づかないからお前らはアチュートなんだよ」
しえな「っ...!さっきから...アチュートってなんのことだ!」
スクールカーストA「だからテメーはアチュートなんだよ」
スクールカーストA「インドのカースト制度ぐらいは知ってるか?」
スクールカーストA「その中では人間を4つのヴァルナ(枠組み)で分けられる」
スクールカーストA「神職のバラモン、王族・武士のクシャトリヤ、商人のヴァイシャ、奴隷のシュードラ」
スクールカーストA「そしてその下にいる人権すら与えられない存在、それがアチュートだ」
スクールカーストA「つまりオメーらみたいな自称イジメられっ子のことだよ」
しえな「自称!?ふざけるな!」
スクールカーストA「あーあーヤメろヤメろ。そんなことについて議論する気は無いんだよ」
スクールカーストA「それに他に気にするべき事があるだろ。例えば...」
スクールカーストA「何故私達がお前の名前を知っていたのか」
スクールカーストA「何故私達がお前らの組織の名称を把握しているのか」
スクールカーストA「何故告白の現場にこんなに「スクールカースト」が居るのか」
スクールカーストA「何故お前以外に来るはずだった「集団下校」のメンバーが誰もいないのか」
しえな「...!!」
たった1つですべての疑問を解消するシンプルな答えが頭に浮かぶ
だが口に出せない...出してはいけないと心が騒ぐ
だが...
スクールカーストA「言えねぇのか。なら言ってやる」
スクールカーストA「「集団下校」がお前を切り捨てたんだよ」
この無慈悲な一言がボクの心を蹂躙した
スクールカーストA「「集団下校」ってのは存在からして不毛な組織だ」
スクールカーストA「なにせ活動内容は復讐のみ。生産性など一切ない」
スクールカーストA「そして最初は復讐に囚われてたヤツらも時間と共に気づいたのさ」
スクールカーストA「この組織にいたところで、自分達は結局何も変われてないと」
スクールカーストA「だから「集団下校」は密かに分裂した」
スクールカーストA「1つは復讐を止め、やり直しを望む集団」
スクールカーストA「そしてもう1つがお前のような復讐のことしか頭にない終わってる集団ってわけさ」
スクールカーストA「言っとくけどやり直しを望む集団の方が主流になってんだぜ」
スクールカーストA「やり直しを望む集団にとって、この組織に在籍したという事実はそれだけで致命傷に近い」
スクールカーストA「だから主要メンバーを私達に差し出すことで、その事実をもみ消してもらおう、そう連中は思っているらしいぜ」
スクールカーストA「情報収集能力に長けたお前は、その中でも特に危険な人物として挙げられていたぜ」
スクールカーストA「評価してもらえて良かったな~w...ってオイ、聞いてんのかお前?」
スクールカーストB「リーダー、そいつもう壊れかけてますよ」
「集団下校」から...切り捨てられた...
スクールカーストA「ああ?早えよ。これだからアチュートは...よっ!」バキッ
腹を蹴られているというのに、体の痛みや苦しさに反応すら出来ない...
「大体さっ!」ゲシッ「お前にはよっ!」ボスッ「仲間が何人もやられてんだよっ!」バコッ
いっそここでコイツに殺されれば、楽になれるのかもしれない...
スクールカーストA「誰からも必要とされてないのに...、生きてんじゃねえよ!」ブンッ
ああ...そうだな...そうだよな...
自分の腹目掛けて、足が蹴りかかるのがスローで見える...
ああ...早く...終わらせてくれ...
サクッ
いつの間にか...迫り来る足から、ハサミが生えていた
スクールカーストA「っっ!?っあああああああ!?なんだよ!?なんだよこれ!?」
リーダーの女生徒が転がりまわっている
絶叫が響く中、明るい声でそいつは現れた
乙哉「こんにちはー!しえなちゃ~ん、遅れてごめんねー♥」
スクールカーストB「なっ、なんだよお前!」
乙哉「う~ん、しえなちゃんの保護者かな?」
オイコラ待て、こんな状態でも見逃せない発言をしたぞ今
スクールカーストB「っ...!!リーダーっ、どうします!?」
スクールカーストA「うっ、痛っ...!!殺せ!!剣持も殺す予定だったんだ。ソイツを、ソイツを殺せぇぇぇぇ!!」
「スクールカースト」の残りメンバー6人が一斉に武智に襲い掛かった
全員が鈍器や刃物などの凶器を持っている
なのに武智は飄々としながら、凶器を避け、ハサミを操っている
シャキン!シャキン!シャキシャキシャキン!
スクールカーストB「...っ!?どこも...切れてない!?」
乙哉「へ~、良い生地使ってるね~。どこかのお嬢様学校の生徒かな?」
そして交差した6人の制服が、切り刻まれ宙に舞った
スクールカースト「「「イ、イヤァァーッ!!」」」
乙哉「まずは制服、次は下着、それから皮膚、そして筋肉、内蔵」
乙哉「君たちは...どこまで切らせてくれるの?」ニタアア
それを聞いたスクールカーストのメンバーは一目散に逃げていった
スクールカーストA「待てっ!!お前ら!!逃げるな!!」
足にハサミが刺さって動けないこいつを除いて
スクールカーストA「なんなんだよお前!」
スクールカーストA「なんで...なんでコイツを助けるんだよっ!!」
乙哉「じゃあ聞くけど君はなんでしえなちゃんを殺そうとしたの?」
首筋にハサミの刃を当て武智が問う
スクールカーストA「そ、それはソイツがあたしの仲間を...」
乙哉「じゃあそれと同じ♥」ジョキン
武智は結局殺さなかった
ただ首に当てたハサミにちょっと力を入れると同時に、もう片方のハサミを鳴らしただけだった
だがそれで切られたと思ったヤツは、気絶していた
ハサミで人を切っている武智は
美しく、生き生きとして、まるで舞を踊っているかのようだった
そして...
乙哉「終わったよしえなちゃん!いっしょに帰ろう!」
そう太陽のように笑う彼女の背には
羽根のように、白い制服の切れ端が舞い落ちていて
まるで天使のようだった
「スクールカースト」のリーダーと呼ばれていた少女は、暗い部屋で目を覚ました
スクールカーストA「...!?何だ!ここどこだよ!」
薄暗い明かりを頼りに部屋を見回すと、他の「スクールカースト」のメンバーもその部屋に横たわっていた
声をかけようとする直前に、その部屋にはもう1人誰か居るのに気づいた
鳰「まったく乙哉さんにも困ったもんっスね~。いやどっちかっていうとしえなさんの方かな?」
スクールカーストA「だ、誰だアンタ!?」
鳰「アンタも馬鹿っスね~。井戸の中で満足してれば、鬼になんか会わずに済んだのに」
直感で充分理解出来るほど、その少女の発する空気は歪んでいた
鳰「殺しはしないっスよ。ただしえなさんや乙哉さんについて、記憶をちょっと書き換えさせてもらうだけっスから」ニヤリ
~少女達帰宅中(乙哉しえなをおんぶ中)~
乙哉「ハイ、これ飲みなよ」
しえな「なに、これ?」
乙哉「睡眠薬。痛みもあるしあんまり起きてたくないでしょ?」
しえな「...うん。ありがと」ガサガサ ゴクッ
乙哉「効果は10分くらいで出るから」
しえな「うん...」
しえな「なあ、武智」
乙哉「なあに?しえなちゃん」
しえな「何でお前はボクのところに来れたんだ?」
乙哉「う~ん、匂いをたどって、とか?」
しえな「真面目に答えろ」
乙哉「うん...。しえなちゃんにはGPSと盗聴器が仕掛けてあったからだよ」
しえな「誰が、何で仕掛けたんだ?」
乙哉「私が、しえなちゃんを守るために」
しえな「...なら次の質問だ」
しえな「何故、ボクを守ろうと思った」
乙哉「...、言わなきゃダメ?」
しえな「ああ...、検討はついてる。だから...ハッキリ言ってくれないか?」
乙哉「......しえなちゃんが...どんな理由だろうと黒組を抜けた時、私は殺されるっていう約束になってるから」
しえな「うん...。そういう理由だと思ってた」
しえな「...なあ、武智」
しえな「ボク、またひとりぼっちになっちゃったよ...」
しえな「誰からも必要とされない...」
しえな「生きる価値のない人間に...」
乙哉「それは違うよ、しえなちゃん」
しえな「??」
乙哉「生きるのに価値なんて関係ないよ」
乙哉「誰かから必要とされなきゃ、生きてちゃいけないわけじゃない!」
乙哉「生きてるのが楽しいから、人は生きてるんだよ!」
しえな「...プフフッ、殺人鬼の言うセリフかよw...」プフッ
乙哉「あー、ひっど~い!」プンスカプンスカ
しえな「......」
乙哉「......」
乙哉「ねえ、しえなちゃん」
しえな「うん?なんだ武智?」
乙哉「怪我治ったらさ、いっしょに楽しいこと探さない?」
しえな「楽しいこと?」
乙哉「うん。実は講習受けてる心理学の先生にさ、殺人以外の楽しみを知れって言われてさ」
乙哉「だから私も知ろうとしなきゃいけないんだ...。人を殺す以外の楽しみを」
乙哉「だからさ、いっしょn「何でだ?」
しえな「ボクが黒組を止めないためにか?同情からか?」
しえな「そんなのだったら止めてくれよ。これ以上、惨めな思いはしたくないんだ...」
乙哉「...友達だから...じゃダメかな?」
乙哉「この1週間、しえなちゃんは付きまとわれて鬱陶しそうにしてたけど...」
乙哉「1回も止めろって言わなかった」
乙哉「イヤそうにしててもずっと付き合ってくれた」
乙哉「だから...正直、楽しかった」
乙哉「本当の友達ってこういうものなのかな...って思った」
乙哉「しえなちゃんは...嫌だった?」
しえな「......いや、楽し...かった///」
乙哉「...!!」パアア
しえな「........」
しえな「...なあ、武智」
乙哉「なあに?」
しえな「...ボ、ボクと...」
乙哉「うん」
しえな「友達に...なって...ください///」
乙哉「...!うん!うんっ!!」
乙哉「じゃあさ、これから二人でい~っぱい楽しいことやってみよう!」
乙哉「今までやって来なかったこと、全部、ぜ~んぶ!!」
しえな「...うん。そう...だ...な...」コクッ コクッ
乙哉「あ、眠くなってきた?じゃあ眠りなよ。寮まで運んどくからさ」
しえな「武...智...」
乙哉「な~に?」
しえな「ボクを...守ってくれた...時...」
しえな「すごい...綺麗だっ...た...」スヤ
乙哉「」
乙哉「」
乙哉「///!?」ズルッ ゴンッ
ー理事長室
鳰「ただ今戻りました~」
百合「あら、お疲れ様、鳰さん」
鳰「いや~。乙哉さんにも困ったもんっスよ~。いやしえなさんかな?」
百合「フフ、それで剣持さんは無事「卒業」出来たかしら?」
鳰「ええ、「集団下校」内では彼女は除籍扱いに、「スクールカースト」内では制裁済みってことになってるっス」
鳰「しえなさんもおそらくもう「集団下校」とはコンタクトは取らないでしょうしね」
百合「それは良かった」
百合「集団下校は子供の頃しかやらないもの」
百合「早いうちに卒業しとかなきゃいけませんでしたからね」
百合「今日はお疲れ様でした。帰って休んでもらっていいですよ」
鳰「いや~、このあとしえなさんのお見舞いがあるんすよ~」
百合「あら、素敵。色々話してきてらっしゃいな」
鳰「いや~、まぁ、とりあえず行ってくるっス」
鳰「それじゃ、おやすみなさい」
百合「ええ、おやすみなさい」
ー5号室
しえな「う...うん...」
晴「あっ...!!剣持さん起きたよ」
ガタガタッ シュバッ ウワッ チョッ ドウシタッ バタンッ
しえな「...うん?一ノ瀬...か?」
晴「そうだよ。あと晴以外のみんなもいるよ」
伊介「鳰はいないけどね~」
涼「何やら大変だったようじゃのう」
千足「怪我は幸いそんなにひどくないらしい」
真昼「に、2,3日安静にしてれば、問題...なひらしい...です」
しえな「そうか...、って痛っ」
春紀「その頭の怪我もすぐ治るってさ」
しえな「頭に...怪我?」
しえな「ってあれ?武智は?」
柩「それが...」
兎角「武智ならあそこだ。クローゼットの中」
乙哉「...しえなちゃん///」ギィィ
しえな「どうしたんだ、そんなところで?こっち来ればいいじゃないか」
乙哉「う、うん///」シズシズ
しえな「...今日は色々とありがとうな、武智」
しえな「おかげで...なんか色々楽になったよ」ニコッ
乙哉「あ、あのね...しえなちゃん...」
しえな「?なんだ、武智?」
乙哉「あ、あのさ...お、乙哉って...呼んでくれない?///」
晴伊柩純涼「!!」
兎春千真香「??」
しえな「いいけど...急になんだ、一体」
乙哉「あ、あれだよ。友達になった記念?っていうか、なんていうか///」
晴「兎角さん!剣持さんも目を覚ましたようですし、今日はそろそろお暇しましょう!」
兎角「ん?ああ、そうだな」
晴「おやすみなさい、しえなさん、武智さん」
伊介「春紀~、伊介喉乾いちゃった~♥何か買いに行こ♥」
春紀「ああ、そうしようか伊介様」
伊介「それじゃあね~」フリフリ
柩「千足さん、ぼく眠くなってきちゃいました。お部屋に戻りません?」
千足「ああ、桐ケ谷。そうしようか」
千足「じゃ、二人共、おやすみ」
純恋子「真昼さん、私達も部屋に戻ってお茶にしませんか?」
真昼「あ...は、はい」
純恋子「それでは、失礼いたしますわ」
涼「のう、香子ちゃん。そろそろ風呂にでも入りにいかんかのぉ?」
香子「急にどうした首藤?まあ、剣持も大丈夫そうだからいいか」
涼「それじゃあ、ごゆっくりの、おふたりさん」ニヤニヤ
乙哉「///」
しえな「??」
乙哉「あ、あのさ...」
しえな「うん?」
乙哉「眠る直前に言ったこと、覚えてる?」
しえな「眠る直前?」
乙哉「その...綺麗とか...なんとか...///」
しえな「ああ、あのことか」
乙哉「私さ...、あの状態の時っていっつも怖がられててさ...」
乙哉「刑事のジジイとかは化け物とか呼んでたしさ...」
乙哉「でもね...あの状態も私の一部なんだよ」
乙哉「だから...綺麗だって言われた時...すっごい嬉しかった///」
しえな「...そうか」
しえな「でも本当に綺麗だったぞ」
しえな「まるで天使みたいだった」
乙哉「.......///」
乙哉「......」
しえな「......」
乙哉「あ、あn「ど~もっス~!しえなさん、怪我の具合どうっスか~!」バァンッ
鳰「いや~、来るのが遅れてすいませ...って、あれ?」
鳰「ど、どうしたんスか、乙哉さん?そんな怖い顔でハサミ持って」
乙哉「アンタのかけた催眠、今なら破れそうな気がするよ...」
鳰「ちょ、そ、それはマジヤバイ!シャレになんないっス!」
鳰「た、助けて下さいよ、しえなさん!」
しえな「乙哉~、うるさくなるから部屋の外でやるんだぞ~」
鳰「ちょ、ひどっ!ていうか、あっ、そ、それはマズイっス!止めて、止めて下さいっス~!」
その夜、鳥を絞めたような声が金星寮に響いたそうな...
しえなちゃん奮闘記~乙哉もいるよ~ 完
121 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/07/03 23:33:11.62 MQ+yI491o 101/770想像以上に書くのに手こずり、遅くなりました
なんか書いてるとどんどん鳰ちゃんが不憫な目に合うストーリーを思いつくのはなんでなんですかね
無表情な誤解
ー黒組教室
春紀「やっばいなぁ、思ったより備品の補充に時間かかっちまった。伊介様怒ってるだろうなぁ...」
私、寒河江春紀は放課後の廊下を急いで走っている
なぜなら今教室に伊介様を待たせているからだ
伊介様は新しい黒組になってからアタシと毎日一緒に下校するようになった
アタシは奨学金を受け取る条件として教室の備品管理などを任されているため、帰りが遅くなるのだが、その間伊助様はアタシを教室で待っていてくれている
理由は伊助様曰く、『からかったり小間使いをする相手がいないとつまらないから』だそうだ
正直どうかと思う理由だが、一緒に下校できるというのは...まあ、悪くないと想思う
だが今日はいつもよりも作業に手間取ってしまい、遅くなってしまった
だからアタシは超特急で廊下を移動している
これ以上伊介様を待たせるわけにはいかない
ここに神長がいたら激しく注意されるだろうが、そんなことはお構いなしだ
そうしてアタシは黒組教室にたどり着いた
春紀「ふうっ、おまt」
伊介「ところで東さんってさ、まだ処女なの?」
そしてアタシは扉に手を掛けた状態で停止した
春紀(え、えっと、これっていわゆるガールズトーク!?あの伊介様と東で!?)
黒組の面々は正直普通の生活とは無縁の人間が多いので、このような会話が教室で繰り広げられるということはなかった
しかし今伊介様とあの東という予想外の面子でまさかのガールズトークが繰り広げられている...
高校に行かずに働き詰めだったので今までこんな会話とは無縁の日々だった
春紀(どうしよう...なんか入りづらい)
兎角「ハァ...どうだっていいだろそんなこと」
...!東はどうやら乗り気ではないようだ
春紀(これなら普通に入っていって大丈夫かも...)
そして扉に手をかけようとした時...
兎角「そういうお前はこれまで一体何人やってきたんだ」
瞬間扉を開けようとした手の力を逃し、教室から見えないようにして扉に寄りかかり教室の会話に聞き耳をたてていた
伊介「あ~、今露骨に話し逸らした!」
兎角「うるさいっ!」
春紀(あ、あれ?なんで今アタシ隠れて聞き耳たててんだろ...?)
伊介「まぁいいけどね。別に話してあげても」
春紀(こ、これはあれだ!同室の相手ともっと上手くやってくための...その...情報収集!)
春紀(同室の相手と上手く暮らしていくのは大事なことだし...うん...こ、これは必要なことなんだよ!うん!)
誰に言ってるわけでないのに自分で自分に言い訳していた
伊介「私は東さんと違って経験豊富だし」
春紀(......え?)
伊介「まあ話すって言っても、正直ハッキリとは覚えてないんだけど...」
春紀(え?......え?)
伊介「まあ両手と両足の指の数よりは多いってカンジ?」
春紀「」
春紀(そ、そうなんだ...まあ、伊介様美人だし...胸大きいし...当然っちゃ当然...なのかな)
頭をハンマーで殴られたような感覚を覚えながら、必死で自分を納得させようとしていた
伊介「まあ正直~、一回で複数人やったこともあるから正確な人数なんて覚えてないし」
春紀「!?」
伊介「あ、でも最後にやった社長さんは覚えてる!とってもいい声で鳴いてたわ♥」
春紀「!!??」
もう...なにがなんだかわからない...
春紀(て、てゆーか複数人って!?それに社長って...もしかして...援○交際ってやつ!?)
春紀(ダメだよ伊介様!そんな自分を安売りするようなことしちゃ!)
春紀(いや、アタシが伊介様の性事情にとやかく言う権利なんてないのはわかってんだけどさ...)
今まで感じたことのない、なんだかモヤモヤした感覚だった...
伊介「さ~あ、伊介が話したんだからアンタにも話してもらうわよ~」
兎角「なんでだ。お前が勝手に喋っただけだろ」
どうやら話はまた戻ったようだ。いつまでもこうして盗み聞きしてるのも良くない。さっさと入ってしまおう...
伊介「じゃあさ...鳰から聞いたんだけどさ...、晴ヤリかけたってホントなの?」
春紀「!?」
春紀(え、えっと...晴ちゃんが東の...その...処女を?)
春紀(え?日頃から仲良いとは思ってたけど、そういう関係だったの!?)
春紀(てゆーか晴ちゃんが攻める方!?...って、まあこれは東を見てればなんか納得できるけど...)
兎角「っ!!あの時は...ああするしか無かったんだ!」
春紀(いやそれどんな状況!?処女捧げるしかない状況ってどんなだよ!?)
伊介「けどそれも結局未遂に終わったんでしょ。まあ...」
伊介「結局伊介や番場さんの時も未遂だったわけだし」
春紀「~~!!??」
春紀(伊介様や番場ちゃんの時ってなに!?晴ちゃんだけでなく二人ともそういうことしそうになったのか東!?)
春紀(ていうか伊介様ってそっちもありなのか...)
このとき無意識に右手が握りこぶしを作っていたことにその時のアタシは気づいていなかった
兎角「まあな。晴の時は結局中にあったチタンのおかげで大丈夫だったようだ」
春紀(な、中にチタン!?え?何?プロの暗殺者ってそんなところまで武装してるの!?)
もうその時のアタシには信じられないことばかり聞いていて冷静な思考や判断力は喪失していた
だから全く気づくことが出来なかった
普通に歩いて近づいてきた人の気配にすら
晴「?どうしたんですか、春紀さん?こんなところで」
春紀「う、うわあっ!?」ガタガタガタッ
兎角「誰だ!?」
伊介「誰!?」
晴「兎角さん、遅れてごめんなさい」ガラララ
兎角「なんだ晴...と寒河江か。どうしたんだ、そんな格好して?」
伊介「あ~!春紀遅~い!てゆーかどこで道草食ってたのよ!?」
春紀「あ、ご、ごめん伊介様」メソラシ
伊介「?春紀どうしたの?なんか様子変じゃない?」
春紀「い!いや!?別に!?」
伊介「そ、そう...?」
春紀「あ、あのさ伊介様...」
伊介「ん、何?春紀」
春紀「その...アタシがとやかく言う権利なんて無いとは思ってるんだけどさ...」
春紀「自分の体を安売りしちゃ...その...だめだよ...///」
伊介「...はぁ??」
その時伊介の脳内に一瞬で思考が展開された
ー伊介様思考MAP
春紀が頬染めて変なこと言ってる
↓ ↓
一体何故? ヤダ...ちょっとカワイイ///→こういうのもイイかも...///
↓
教室に入ってきた時から変だった
↓
教室に入った時も変だった→転がってた時一瞬パンツが見えたような///
↓
なんか扉に寄りかかってたような体制で転んでいた?
↓
もしかして伊介と東の会話を盗み聞きしていた?
↓
でもあんなふうになる要素がどこに?
↓
会話反芻中...
↓
!!
伊介「ちょ、ちょっと春紀、アンタ誤解してるわ!伊介の話を聞きなさい!!」
春紀「イヤ...ごめん伊介様...今ちょっとショック受けてて少し休みたいんだけど...」
伊介「だから聞けっつてんでしょ!誤解、誤解なの!」
春紀「会話盗み聞きしたのは悪かったよ...ゴメン...アタシは誰にも言わないからさ...」
伊介「くっ...だから...つまり...その...」
伊介「アタシはまだ処女だって言ってんのよ!!」
春紀「」
兎角「?」
晴「?」
伊介「......」
伊介「///」ボンッ
晴「え、ええと、兎角さん。晴達が来るまで伊介さんとどんな話してたの?」
兎角「ん?今まで人を殺した経験についてだが?」
晴「えぇっ!? と、というか一体何でそんな話になったの!?」
兎角「いや犬飼がお前はまだ人を殺したことのない暗殺処女なのかとか挑発してきて...」
兎角「走りの奴が話した晴を刺したことの話になって...」
兎角「それで晴がチタンで助かった話に流れでなったんだ」
春紀「......ああ!そうだったのか!処女ってそういう...」
春紀「ん?て、てゆーことは...」ソローリ
伊介「........」プルプルプル
春紀「あ、あの、伊介様。ご、ごめんな変な誤解しちゃってさ...」タハハ...
伊介「は...」
春紀「は?」
伊介「春紀のバカーーーーーーッ!!」ビューン
春紀「ちょ、ちょっと待ってよ伊介様!ああ、それじゃな二人共!」
兎角「??」
晴「青春ですね!兎角さん」ニコニコ
兎角「そうかこれが青春なのか、晴」(よく分かっていない)
結局それから一晩中、伊介様は口を利いてくれなかった
無表情な誤解 完
177 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/08/28 23:26:07.31 L+YptDIKo 116/770短編のタイトルはこの手法を得意とする某有名お笑いグループの名前から取りました
現在授業参観の話は8割程度出来てますが、細かい部分の修正や仕事の忙しさからいつ完成するか分かりません
その他にもメイド喫茶でバイトするしえなちゃんや涼おばあちゃんの怪しい薬開発、春伊
のシリアスっぽいものとかいろいろ書きたいとは思っていてもなかなか書けない状況です
遅筆で申し訳ありませんがお待ちいただけたら幸いです
武智乙哉の講習
ー講習初日(しえなちゃん奮闘記事件発生前日)
乙哉「う~~遅刻遅刻」
今講習を受けるために全力疾走している私はミョウジョウ学園に通うごく一般的な女の子
強いて違うところを挙げるとすれば殺人に興味があるってことかナ
名前は武智乙哉
そんなわけで放課後にある教室にやってきたのだ
ふと見ると教室に1人の若い男が...ってあれ?
乙哉「教室だれもいないじゃん」
もう講習の時間始まってたから急いで来たのになんか損した気分
まあちょうどいいや
心理学の先生とやらが来るまでこれでも確認しておくか...
パカンッ!ピシュピシュパシュ~ン!テッテテテッテテーテテーン!「しえなちゃん盗聴器~!」(の○よ風)
GPSによるとミョウジョウ学園内にはいるみたい
乙哉「さ~てと、しえなちゃん今何してるのかな~」スッ
……
………
…………
しえな『よしっ!アカウント乗っ取り成功~!そして~、さらにさらに~』カタカタカタカタ
しえな『やった!コイツブログとメールのアカウントのパスワードも同じに設定してる!』カタカタカタカタ
しえな『こっから...情報も...芋づる式に...よし、ゲットォ!ヒャッホーイ!!やったやった~!』カタカタカタカタ
…………
………
……
乙哉「...」
うん...ゲームとかで上手くいってる時にテンションが妙にハイになることってあるよね...うん...
思わぬしえなちゃんの一面をかいま見てしまった気がする
とりあえず聞かなかったことにしよう
???「うっわ、コイツはっずかしいなぁ、ホントww」
乙哉「!?」
乙哉「だ、誰!?」
???「オイオイ、誰だはねぇぜそりゃ」
???「お前だって講習がとっくに始まってる時間だって分かってただろ、武智乙哉ぁ~」
乙哉「心理学の...講師?」
???「せいかぁ~い」
???「お前のために私立17学園から呼ばれてきた...」
カイバ「カイバ先生だ」
乙哉「っていうかどこにいたのさ今まで」
カイバ「知ってるか?先生ってのは生徒の見本になんなきゃならねぇんだぜ」
カイバ「授業開始時間過ぎにいるのが教室じゃなきゃどこだって言うんだよ?なぁ~」
乙哉「いや、でもいなかったじゃん」
カイバ「あぁ~?じゃあ、お前はカーテンの裏とか、掃除用具入れの中とか教卓の中とか調べたっていうのか?」
カイバ「いなかったっていうの言えるのはそういうことやったやつだけなんだぜぇ」
乙哉「隠れてたってことか」
つかみ所のなさそうな男だけどとりあえずこれまでの会話でわかったことが1つある
こいつはウザい
カイバ「さてと、ダラダラ話しててもしょうがねぇし、じゃあ始めっか」
乙哉「で、何やんの?」
カイバ「まずはテストだ。この問題全部解け」バサッ
乙哉「え~マジ?めんどくさー」
カイバ「めんどくせぇのは俺もだっつの。ほれさっさとやれ」
乙哉「ちぇー」
~殺人鬼試験中~
乙哉「あ~、やっと終わった~」グテー
カイバ「ハイ、お疲れさん。んじゃこれからカウンセリング始めるぞ」
乙哉「え~、こういうのって普通分析してからやるんじゃないの」
カイバ「んなもんお前と並行しながらやって終わってるっての」
乙哉「い!?マジで!?」
カイバ「大体お前に関しては刑務所でも同じようなテストやってたろ。そのデータもあったから今回のテストはその確認ってカンジだな」
乙哉「は~、なるほどねぇ~」
カイバ「んでテスト結果についてだが...」
カイバ「やっぱお前頭おかしいわ」
乙哉「いきなりそれはひどくない!?」
カイバ「なんていうか...サイコパスをそのまま人間にしたようなヤツだなお前は」
乙哉「いやあ~、それほどでも///」
カイバ「褒めてねぇよバカ」
カイバ「ま、お前のそのイカれた頭は治しようがないからいいとして...」
乙哉「いいの!?」
カイバ「今後の治療方針としてはとりあえず社会的寛解を目指していくってところだな」
乙哉「しゃかいてきかんかい?」
カイバ「悪ぃ、バカに難しい言葉使っちまったな。まぁ要は病気とかが完治していなくても一般的な生活が送れるようになってる状態ってことだ」
カイバ「つまりお前に当てはめるとそのイカれた性癖は何とかならなくても、とりあえず表での殺人を抑えられるようにしようってことだな」
乙哉「へ~。でさ、実際アタシはどうすればいいの?」
カイバ「まぁ現段階でお前がやることは1つだな」
乙哉「それって何?」
カイバ「簡単に言えば...」
カイバ「これからは殺人以外の快楽を経験しろってことだ」
乙哉「え、なに、セクハラ?」ドンビキ
カイバ「ちげーよエロガキ。分析によるとお前のこれまでの経験・嗜好は殺人に偏りすぎてる」
カイバ「なんだよこの問題の回答。頭おかしいんじゃねーの。いやおかしいんだろうけどよ」
問題6 あなたの趣味は?
回答6 殺人(斬殺)
問題18 あなたの経験で今まで最も楽しかったことは?
回答18 憧れていたお姉さんにハサミの刃を入れた瞬間
問題31 今までで人を好きになった経験はあるか?ある場合は何人か?
回答31 ある。X人(殺人件数と一致)
問題47 あなたが殺人を犯した理由は?
回答47 綺麗な人を綺麗なままで終わらせるため
問題53 人を殺害した際どのような感情だったか?
回答53 (楽しいという感情が読み取れる文章が長々と書かれていた)
カイバ「お前は今現在殺人以外なにも知らない、いや知ろうとしていない状態だ」
カイバ「だからつまり殺人以外の楽しいことをやってみろってことだ。...バカなお前に分かりやすいように言うとな」
乙哉「へ~、そんなことでいいんだ」
カイバ「心理学で言うところの「代償行動」ってやつだ。まずはこれが可能かどうかを確かめる」
カイバ「ああ、あとついでに...出来る限り自分以外の人間と関わってその楽しいことをやれ」
乙哉「ん?なんで?」
カイバ「お前は表面的には解りづらいがかなり性格が内向的...というか自分のことだけを考えて行動する傾向がある。だから他人との関わりも必要ってことだ」
カイバ「とまあ、今のところはこの程度だな」
乙哉「あ、終わり?」
カイバ「ああ、経過状況の提出書類の詳しい書き方等は明日説明するわ」
カイバ「だから今日はもう帰っていいぞ」
乙哉「やっと終わったぁ~。これ一ヶ月はキツイなぁ」
カイバ「じゃあ刑務所に戻るかぁ?」ニヤニヤ
乙哉「ちょっ!それは勘弁してよっ!」
乙哉「それじゃ、じゃあね先生」
カイバ「あぁ待て乙哉」
乙哉「ん~?なに?」
カイバ「最後に1個だけ宿題だ」
乙哉「え~!?面倒くさいな~」
カイバ「簡単な質問だ。何なら今この場で答えてもいい」
カイバ「『世界は□□に満ちている』」
カイバ「この□□には何が入ると思う?」
乙哉「ん?そんなんでいいの?だったら簡単だよ」
乙哉「『世界は快楽に満ちている』だね!」
ー1人残された教室
カイバ「乙哉よぉ...」
カイバ「お前の歪みはお前が思っている以上に根深いものなんだぜ」
カイバ「綺麗なままで終わらせたいと言うのに、無残な姿で殺さなければならない」
カイバ「お前のその人間として矛盾した性質は明らかに天性のものだ」
カイバ「多くのシリアルキラーというのは幼少期の経験から後天的に作られるのに...だ」
カイバ「お前の持つ殺人衝動という本能を、果たしてお前は理性で抑えられるのか」
カイバ「ひょっとすると俺のやっていることなんざなんの意味も持たないのかも知れねぇ」
カイバ「だがそんなお前を変えるきっかけがあるとしたら、やはりコレなのかもしれねぇな」パサッ
問題67 あなたがこれまで経験してこなかったことで、人からされてみたいことは?
回答67 自分が人を斬る姿を褒めて欲しい
問題89 自分の命より大事な人・物はあるか?
回答89 ない
武智乙哉の講習 完
205 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/09/23 20:23:01.35 PWHgZWz1o 133/770タイトルこそ乙哉ですがカイバ先生登場といったような短編です
次は授業参観ネタです
黒組受業惨観
ー黒組教室 4時間目終了後
いつも脳天気そうに笑っている担任は若干ばつの悪そうな表情でいきなり言った
溝呂木「それと、今日の午後からは授業参観が開かれることになった」
兎角「は?」
そういう反応をしたのはなにも私だけではなく、クラスのほとんどの連中も同じ反応だった
伊介「ちょっと先生?話が急すぎるんじゃない?」
いつも何かにつけて文句を言う犬飼だがこの時ばかりは言いがかりとは言えなかった
溝呂木「いや~、先生も早めに伝えておきたかったんだがな...、その...理事長から口止めされていてな」
鳰「ゆ、理事長がっスか!?」
理事長という単語からまた走りが何かしているのかと思ったが、見るとまさに唖然という表情をしていた。どうやら何も知らないようだ
溝呂木「そうなんだ。まあ関係者の人達はそんなに多くないようだけどな。とりあえず昼休みの間には来られるということらしい」
「それじゃ、5時間目にまた」とだけ言い残し、溝呂木は去っていった
逃げたな
兎角「なあ、晴。どう思う?」
晴「うーん、とりあえず晴はどんな人が来るのか楽しみです!」ニコッ
兎角(...カワイイ///)
まあ、いいか...どうでも...
兎角「とりあえず昼を食べに行こうか」
晴「そうですね」
今日の私の気分はビーフカレーだ
ここ最近シーフードカレーやグリーンカレー、キーマカレーなどを食べてきた
変わり種としてカレーうどんやカレーパンも味わってきた
ならばここらでやはり基本中の基本、王道に立ち返ってビーフカレーを食べるのがこの世の理というものだろう
ちなみに黒組再開時に走りに言って食堂のメニューにカレーを十数種ほど追加させた
これは決して個人の嗜好に走った暴挙などではなく、あくまで公共の福祉を考えてのことだ
なんてったってカレーは完全食だからな
ガララッ
???「失礼します」
???「し、失礼しますっ!」
早速誰かの関係者が来たようだ
父親くらいの年齢の男性と、私達より年下の女の子のようだが...
伊介「っ!?ママっ!?」
春紀「ふっ、冬香!?」
どうやらあいつらの関係者のようだ
恵介「やあ、伊介。元気にやっているようで何よりだ」
冬香「お姉ちゃん久しぶり!」
春紀「あ、ああ、久しぶり。っていうか」
伊介「何でママと春紀の妹が一緒にいんの!?」
恵介「たまたま来る途中で会ったんだよ。ミョウジョウ学園の制服でない娘が学園内で迷っているようだったから声をかけたんだ。まさか春紀さんの妹さんだったとは思わなかったがね」
冬香「あ、あなたが伊介様ですね!いつもお姉ちゃんがお世話になってます」ペッコリ
伊介「あ、ああ、いや、こ、こちらこそ?」
寒河江の妹は何故か犬飼に熱い視線を送っている
それをどうしたらいいか解らないという表情で犬飼が珍しく困惑している
晴「伊介さんのお父さんと春紀さんの妹さんですかね」
兎角「だけど今ママって言って...まあ、どうでもいいけどな」
冬香「お姉ちゃん!私お弁当作ってきたよ!前にお姉ちゃんが伊介様に食べさせたいって言った料理も入ってるよ!」
恵介「伊介。ママもお前が春紀さんに食べさせたいって言ってたおみやげ買ってきたぞ。さあ4人で一緒に食べようじゃないか」
春紀「///」
伊介「///」
晴「春紀さんも伊介さんもすっごい嬉しそうだね、兎角さん」
兎角「いや...嬉しそうってよりは恥ずかしそうにしてる気が...」
兎角(だがあれが家族の団欒というものなのかもしれない...)
兎角(私が知らない、そして晴が失ってしまったもの...)
兎角(晴にこの光景を見せ続けるのも酷かもしれないな...)
兎角「晴。私達は昼食に行こう。少し腹が減ってきたんだ」
晴「......うんっ!兎角さんは今日もカレー?」
兎角「当然だ。カレーは完全食だからな」
晴「ふふっ。そうだね」
晴(...ありがとう...兎角さん///)
そうして私は晴と食堂へ向かうため、教室の扉の前へと移動していた
その扉の先にはすでに面倒な天邪鬼がいるということを知らずに...
私が目の前の扉を開けようとした瞬間、逆側から扉が開けられた
ガラララッ
そこにはここにいるはずのない人間がいた
カイバ「よう、兎角ぅ。相変わらずバカみたいにカレー食いまくってるようだなぁww」
兎角「お、お前は、カイバっ!?」
晴「兎角さん知り合い?」
カイバ「お?お前が一ノ瀬晴か。一応自己紹介しておくぜ。俺はコイツの元いた私立17学園の教師のカイバ先生だ」
晴「兎角さんの先生ですかっ!?は、始めましてっ!!」
カイバ「いや~、しっかし兎角は相変わらずカレーバカのようだなぁ。可愛げのない様子も健在のようだし...一ノ瀬ぇ、大変だなぁお前もよぉww」
晴「いっ、いえっ!!兎角さんは頼りになるし、その...とっても可愛いですよ///」
兎角「晴...!」ジ~ン
鳰(でもカレーバカは否定しないんスね、晴...)
兎角「いやいや待てっ!!そもそもなんでお前がここにいる!?」
カイバ「あ~ん?お前人の話聞いてねぇのか?今日は授業参観だって言われたんじゃねぇのかぁ?」
兎角「それは聞いている!だが何でお前が来るんだと聞いているんだ!」
カイバ「来ちゃ悪いのかよ。前の黒組の時もずっとサポートを続けてたろうがよぉww」
兎角「ふざけるなっ!!」
兎角「あれのどこがサポートだっ!」
カイバ「ハハハッ!まぁ今回はお前の様子を見に来ただけじゃねぇんだよ」
兎角「はぁ?どういうことだ?」
カイバ「それはなぁ...オイ!逃げようとしてんじゃねぇぞ乙哉ァ!」
乙哉「!?」ギクッ
兎角「武智?」
しえな「なんだ乙哉、あの男の人と知り合いなのか?」
乙哉「前話してた講習の先生...」
しえな「ふーん、そうなのか」トテトテ
しえな「どうも。乙哉と同室の剣持しえなです。乙哉がお世話になっています」ペッコリン
乙哉「ちょっ、や、やめてよしえなちゃん///」
しえな「いや、お前のことだからどうせ講習の先生にもいろいろ迷惑かけてるんだろうなと思ったら...ついな」
カイバ「おう、お前が剣持しえなか。俺はカイバ先生だ」
兎角「お前武智に講習なんてやってたのか」
カイバ「ハハハッ!見識の狭いお前は知らねぇだろうけど俺はこの世界では『今でしょ!』とか言ってるオッサン並みに引っ張りだこなんだぜぇ」
晴「へ~」
しえな「そんな凄い先生だったんですか!」
乙哉「いや、しえなちゃん...コイツとはあんまり話をしない方が...」
武智はどうやら講習の間にカイバの人となり(ウザさ)を理解していたようだ
カイバ「あ、そうだ剣持」
しえな「はい?なんですか?」
カイバ「お前さぁ、あれからパソコンの前で1人でハイになる癖は治ったのか?」
しえな「!?」
カイバ「おっと、その様子じゃ乙哉から聞かされてなかったようだな、悪い悪いww」
しえな「乙哉?なんのことだ...?」ギロッ
乙哉「……」ダラダラダラ
カイバ「いや~、コイツが前にお前を盗聴してたのをたまたま一緒に聞いちまってなぁ」
カイバ「てっきり乙哉がすでに言ってると思ったら、コイツまだそのこと黙ってたとはなぁw」
しえな「お~と~や~?」ギロリ
乙哉「い、いやあの盗聴器とかGPSはもう外したんだし変に過去の話を蒸し返すのもどうかと思ってさそれにああいう明るい元気なしえなちゃんも可愛かったよっていうかあのしえなちゃん顔怖いんだけどあっごめんなさいごめんなさいごめんなさいもうお前と一緒にゲームやらないとか言わないで許しt...」
兎角(やっぱり相変わらずだな...)
兎角「カイバはああいうヤツなんだ。お前もあまり話しかけるなよ晴...って、晴はどこ行った!?」
鳰「晴なら兎角さんの17学園時代の話を聞くって言ってカイバ先生のところに行ったっスよ」
兎角「」
晴を昼ご飯を食べるという名目でなんとかカイバから引き剥がし(もちろん晴がカイバを昼食に誘ったが、幸い奴はもう済ませていたようだ)、なんとか授業開始時間まで奴との接触は防いだ
授業さえ始まってしまえば関係者の出来ることなんて後ろでただ私達の様子を見ていることぐらいだ
そして授業終了と同時に晴を強引にでも連れ出して速攻で帰宅する
あとで晴からぶーぶー文句を言われるだろうがアイツと接触されることによる被害に比べればなんてことはない
怒って頬が膨れた晴も可愛いしな...///
うん...、完璧な計画だ
東のアズマの名に賭けて、晴は誰にも触らせないっ!!キリッ
溝呂木「それでは5時間目総合学習の授業の時間だ」
溝呂木「え~、せっかく父兄の方々に授業参観にいらしていただいたということで、今日の総合授業は理事長からの提案で関係者の方たちとの合同授業となった」
溝呂木「父兄の方一名を含んだグループを4つ作って、各グループであるテーマに沿ったインタビューを行うという内容らしい」
鳰「先生~」
溝呂木「ん?なんだ走り?」
鳰「テーマってなんなんスか?それに4グループって言ってるけどそれじゃ1人足りないんじゃないんスか?」
溝呂木「ああ、1人は少し遅れてからいらっしゃるらしい。それとテーマは...これだ!」カッカッカッ
「ミョウジョウ学園以外での生徒の様子」
兎角「」
伊介「」
春紀「」
溝呂木「黒組の生徒達は去年は早期に多くが不幸にも転校してしまい、お互いのことは何も知らないという状況にある」
溝呂木「そこで理事長は黒組内の結束を高めるため、お互いのことを知る機会を与えるという考えの下、この授業を提案して下さった!」
溝呂木「先生もこれを機にお前らが更に仲良くなってくれることを願っているぞ!」
鳰「うわ~、こりゃ関係者の来てる人達にはたまったもんじゃないっスね~w」ニヤニヤ
純恋子「あら、ずいぶん楽しそうにしているわね。自分の関係者が来るとは思わないの?」
鳰「いや~、ウチは天涯孤独っスからww。いわば今日は鳰ちゃんが狩る側の人間になるってことっスよ~ww」
コンコン
???「遅くなりました。おまたせしてしまったかしら」ガララ
溝呂木「いえ、今始まったばかりですよ」
???「それは良かった。ああ、黒組の皆さんには自己紹介をしませんとね。授業参観参加者の...」
百合「百合です」
鳰「」
鳰「え、ちょ、理事長!?どうしたんスかこんなところに!?」
百合「いやだわ鳰さん、さっき授業参観参加者って言ったじゃありませんか」
鳰「え、えっとそれじゃ...あ!分かった!晴を見に来たんスね!理事長は晴の親戚ですもんね!」
百合「またまた鳰さんったら...一ノ瀬さんとは親戚と言っても遠い間柄でまだあまり互いをよく知らないわ」
百合「今回はもちろん、あなたの関係者として授業参観に来ましたよ」ニッコリ
鳰「」
純恋子「やっぱりあなたは狩られる側でしたわね♪」ニッコリ
溝呂木「グループはくじ引きで次のように決まったな」
グループ1 恵介 春紀 鳰 香子
恵介「よろしく」
春紀「よ、よろしくお願いします」
鳰「よろしくっス...」ズーン...
香子「よろしくお願いします」
グループ2 冬香 伊介 涼 千足
冬香「よろしくお願いします!」
伊介「ああ、うん...よろしく」
涼「よろしくたのむの」
千足「よろしく」
グループ3 カイバ 晴 しえな 柩
カイバ「カハハッ、よろしくなぁw」
晴「ハイッ!よろしくお願いします!」
しえな「よ、よろしく...」ビクビク
柩「よろしくです」ニコッ
グループ4 百合 純恋子 真昼 兎角 乙哉
百合「よろしくお願いしますね」
純恋子「こちらこそ、よろしくお願いいたします」
真昼「よ、よろしく...です...」
兎角「よろしく」ムスーッ
乙哉「はぁ...よろしく...」
溝呂木「グループ分けも済みましたし、それじゃ理事長!あとはよろしくお願いします!」
百合「ええ、ご苦労様でした。溝呂木先生」
鳰「あれ、溝呂木先生どっか行くんスか?」
溝呂木「ああ。急な出張が入ってしまってな。だがありがたいことに理事長が授業を引き受けて下さったんだ」
溝呂木「みんな!理事長先生の言うことをよく聞くんだぞ。それでは理事長、失礼します!」ペコッ
百合「ええ、いってらっしゃい」
ガラッ カツカッカッ
百合「さあ、授業を続けましょうか」
ー狩られる側アイコンタクト
兎角(どうする。今の内なら武力蜂起して逃げることも可能だが...)
鳰(...いいっスね。現在進行形で吊るしあげられるのはマジ勘弁っスよ...今回はマジで協力するっスよ)
春紀(アタシはムリ。冬香来てるし)
伊介(伊介もママがいるのに授業フケるとかありえな~い)
兎角(くっ、ならば単独での離脱を...)ガシッ
純恋子「あら、東さんどうなさいました?」ガッシリ
兎角「くそっ、この馬鹿力サイボーグめ...」ボソッ
純恋子「あらあら」ニコニコ ギリギリギリ(お嬢様式アームロック)
兎角「がああああ!!」
ガアアアァァ
鳰(今っス。この隙にせめてウチだけでも!)ガシッ
香子「走り、どこへ行く。授業中だぞ」
鳰「いや、あの、ト、トイレに...」
香子「いやお前昼休みに行ってただろ。私が入ったと同時に出て行ったじゃないか」
鳰「い、いや、お、お腹壊しちゃったんスよっ!」ブンッ ダッ
香子「あ、おい、走り!」
涼「腹が痛いもんはそんなに元気に走れんもんじゃがのう...よっこらしょっと」スッ
鳰(くっ、首藤さんがウチの前に...いや、でも武闘派じゃない首藤さん相手なら強行突破できるはず!)
鳰「うおおぉぉぉ!」ダッダッダッ
涼「これこれ、走りよ...」スッ
シュバッ クルッ ズダーンッ
全力疾走していた鳰は、そのままのスピードで空中で半回転し、床に叩きつけられていた
鳰(あれ?何でウチ走ってたはずなのに教室に仰向けになってるんだろう?)
涼「あまり香子ちゃんに手間を取らせるな、走りよ」ストッ
鳰(そしてなんで胴体に片手を置かれただけで全身動かせないんスか!?ウチの催眠術よりよっぽどオカルトっスよこの人!)
百合「それでは落ち着いたようですし、授業を再開しましょうか♪」
冬香「お、お姉ちゃんのクラスメイトって色々すごいね...」
春紀「ハハハ...だよな...」
ーなんやかんやで授業スタート
グループ1 恵介 鳰 春紀 香子
恵介「さて...何から話そうか...」
鳰「もーこうなったらヤケっス!自分が受ける分以上に相手にダメージ与えてやるっス!」
鳰「というわけで恵介さん!伊介さんの子供時代はどんなだったんスか!?」
...ニオ...アイツ...コロス
鳰「なんか怖い言葉が聞こえるっスけど幻聴っスよ幻聴!さあ、どうなんスか恵介さん!?」
恵介「伊介の子供時代か...黒組ではどう過ごしているのかはあまり知らないけど...」
恵介「大人しい娘だったよ。あとちょっと甘えん坊なところもあったね」
春紀「へぇ~」
香子「ほう、意外だな」
鳰「ふんふんそれでそれで?」
恵介「中学に上がるまでは1人で寝るのを嫌がってね、俺やパパと一緒に寝てたよ」
鳰「ヒューーッ!イイっスねイイっスね!そういうのっスよ!」
恵介「まあ中学に上がってからは1人で寝るようになったんだけどね」
恵介「ただなかなか慣れないようだったからね、俺とパパから一緒に眠れるようにってテディベアを買ってあげたんだ」
恵介「それから中学時代はそのテディベアと一緒に寝ていたようだね」
鳰「ウッヒャーーw!意外な事実判明っスw!」
春紀(テディベアを抱いて寝てる伊介様か...なんか新鮮でカワイイな...///)
春紀「じゃなくて...おい鳰!そんぐらいにしときなよ!」
香子「そうだな、そろそろ個人のプライバシー侵害になりつつあるぞ」
鳰「じゃあ春紀さんはいいんスか!?自分だけ恥ずかしい秘密大・公・開されても!」
春紀「ハハッ!お前にはわからないかも知れないけどな...」
春紀「アタシはアタシの家族を信じてるんだ!」
春紀「冬香なら絶対アタシの変なこと言いふらしたりなんかしないさ!」キリッ
グループ2 冬香 伊介 涼 千足
涼「ほうほう、やはり寒河江は頼れる姉をやっとるんじゃな」
冬香「ハイ!私達のことをいつも助けてくれてる、自慢のお姉ちゃんです!」
伊介「ふーん、やっぱアイツ、家でもそんなカンジなんだ」
千足「良いお姉さんだな」
涼「ふむふむ、それじゃ最近何か変わったこととかは無いかの?」
冬香「最近ですか?そうですね...あっ!」チラッ
伊介「ん?何?」
冬香「そういえば帰ってきてからお姉ちゃん、何かを1人で考えてるような様子がすごい増えたんです」
千足「ふむ、何故だろうね?」
冬香「だから気になって様子を観察してみたらですね!」
冬香「どうやら伊介様のことを考えていたようなんですよ!!」キャーーッ
伊介「!?」
伊介「い、いや!なんで春紀が伊介のこと考えてたって分かるのよ!」
冬香「だってお姉ちゃん、考え事してる時は『伊介様』って呟いてたり、伊介様について紙になぐり書きしてたりしてるんですもん。これじゃ丸分かりですよ」
涼「なるほど...想われておるのう、犬飼」
伊介「……///」
冬香「特にこの前なんか月を見ながら『伊介様ご飯食べてるかな...』とか呟いてて...」
冬香「そして伊介様のための料理のレシピとかを考えてたりしてたんですよ!」
千足「ふふ...まるで...」
「母親みたいだな」
伊介(!! 母...親...)
冬香「そのうえ『アタシは伊介様のこと...どう思ってんのかな...』なんて呟いてて!」キャーーッ
伊介(アタシは...春紀のことを...どう...思ってる...?)
冬香「あれはもう!絶対恋する乙女の顔でs...ってあの~、伊介様?聞いてますか~?」フリフリ
伊介「………」
千足「どうやら聞こえてないようだな」
涼「心ここにあらずというカンジじゃのう」
冬香(うぅ...「お姉ちゃんの様子を伝えて伊介様ドキドキ意識しちゃう大作戦」が失敗に終わるなんて...ごめんねお姉ちゃん...)
恵介「……」
グループ3 カイバ 晴 しえな 柩
しえな(...気まずいな)
しえな(このグループの会話はほぼ一ノ瀬とカイバ先生の対談みたくなってる)
しえな(なんであそこまで一ノ瀬は(二重の意味で)痛々しい時代の東の話を楽しそうに聞けるんだろう...?)
しえな(ボクは少し聞いただけで疲れたっていうのに...)
ー痛々しい兎角さんの過去話 その1
17学園生徒A「凄いです!東さん!」
17学園生徒B「また実技テスト満点ですよ!」
17学園生徒B「どうやったらそんな凄い暗殺技術を身につけられるんですか?」
兎角「どう身に付けるとかそういうものじゃないだろ、暗殺ってのは」
兎角「目に入ったものをただ即座に始末する...それだけだよ」ドヤァァ
しえな(...なんの回答にもなってないっ...!!)
しえな(一見カッコイイこと言ってるように聞こえるけど、質問の答えに全くなってないっ!!)
ー痛々しい兎角さんの過去話 その2
17学園生徒A「東さん今月の校内暗殺実技テストもトップですね!」
17学園生徒B「さすが東のアズマってカンジですね!」
兎角「...東のアズマだから凄いってわけじゃない」
17学園生徒B「あっ...す、すいません...」
兎角「私だからこそ!東のアズマなんだ!!」ドドンッ
しえな(まるで意味がわからないっ...!!)
しえな(東のアズマは関係なく私は凄いって言いたいんだろうけど、結局わけが分からないっ!!)
ー痛々しい兎角さんの過去話 その3
17学園生徒A「東さん昼食一緒に食べてもいいですか?」
兎角「ああ、別にいいぞ」
17学園生徒B「東さん今日もカレーですか?」
兎角「いや、このところカレーが続いて少し飽きてきたんでな...気分を変えて...」
兎角「カレーうどんにしようと思っている!」バーーンッ
しえな(結局カレーじゃねえかっ!!)
しえな(気分よりまず先にカレーしか考えてない脳みそを取り替えてろよっ!!)
しえな(ハァ...思い出すだけで疲れてくる...)
しえな(そして東の話を楽しそうにしている二人のおかげで、ボクと桐ケ谷は置いてけぼりをくらっている)
しえな(そう、ボクと あ の 桐ケ谷が!)
しえな(ボクを笑顔で毒殺しかけたあの桐ヶ谷が!)
しえな(『イジメられっ子の分際でぼくの千足さんに何色目使ってるんですか』とか言ってたあの桐ヶ谷が!)
※しえなちゃんの記憶には多少の齟齬があります
しえな(黒組再開時にその時のことは桐ケ谷からも謝罪はあった(ただし生田目に言わされていた感たっぷり)けど...)
しえな(やっぱりコイツは苦手だ...)
しえな(今もずっと笑顔のままで何考えてんだか分からないし...)
柩「剣持さん、具合悪そうですけど大丈夫ですか?」
しえな「ふゃっ!?な、なんともないよっ」
カイバ「あぁ?何かと思えばずいぶん暇そうにしてるじゃねぇか剣持ぃ」
カイバ「まあ確かにつっまんねぇ兎角の話ばっかしてたからな、そりゃ飽きるわなぁ」
カイバ「そうだ!だったらここでいっちょ方向転換して、乙哉の話でもするか」
カイバ「乙哉が思わず涙するような、こっ恥ずかしい話でもよぉww」
チョッ、オマエッ、ナニイッテンダ!
しえな(乙哉の恥ずかしい話とかはあまり興味は無いけど、この空気のままよりはずっといいかな)
しえな「ぜひ聞かせて下さい」ニコッ
チョッ、シエナチャーン!? タケチサン、チョットウルサイデスワヨ ギリギリギリッ ガアアァァ...
晴「わぁ!晴も聞きたいです先生!」ニコニコ
柩「ぼくも武智さんのこともっと知りたいです」ニコニコ
しえな(この2人の笑顔は最近何故か純粋なものに思えない...)
しえな(そう...まるで...あのセリフが浮かんでくるような...)
『笑うという行為は本来攻撃的なものであり、獣が牙をむく行為が原点である』
カイバ「クハハッw、意外と乗り気じゃねえか」
カイバ「じゃあ兎角ほど付き合いがあるわけじゃねぇから1つだけ話すとするか...実は以前こんなことがあってよ」
ーカイバ回想
ー乙哉講習教室
ーしえなちゃん奮闘記の事件翌日
カイバ「よ~う乙哉ぁ、昨日は剣持の奴に巻き込まれて色々大変だったようじゃねぇか」
乙哉「…」
カイバ「しっかしお前も大変だよなぁ、退場したら殺されるってのに本人はわざわざ危険な場所に自分からひょいひょい行くんだからよぉww」
乙哉「…」
カイバ「まったくどんな気分だぁ?手の掛かるイジメられっ子をおもりしなきゃいけない気分はよww」
カイバ「......ていうか今日はやけに静かだな。オイ、なんか拾い食いでもs「あ、あのさっ!」
カイバ「あぁ?」
乙哉「せ、先生ってさ、シリアルキラーとかについて詳しいんだよね!?」
カイバ「はぁ?何だぁ、いきなり?」
カイバ「まあ殺人行為の後のメンタル保護とかが俺の専門だからな」
カイバ「大量に殺人を犯したシリアルキラーのケースについてはもちろんある程度熟知してるぜ」
乙哉「じゃ、じゃあさ1つ質問があるんだけど...」
カイバ「ハッww、お前が質問とか、昨日頭でも打ったのかよww」
乙哉「う、うるさいなっ!!」
カイバ「ハハッ、んで一体何が聞きたいってんだ?」
乙哉「う、うん、あのさ...」
乙哉「シリアルキラーって恋とかするの?」
カイバ「……!!」
カイバ「...はぁ?なんだそりゃいきなり?」
乙哉「い、いやさ、シリアルキラーって自分で言うのも何だけど人間を人間として扱ってないってとこあるじゃん?」
乙哉「だからさ...シリアルキラーってまともな恋愛するための機能とかが壊れてる人種なのかなってふと思ってさ...」
カイバ「ふぅん...つまり気になるヤツができたけど、その感情が恋愛感情か殺害衝動の一種か分からなくなってきたんでオレに相談しに来たってトコか...」
乙哉「い!?いや!そこまでは言ってないじゃん!!」
カイバ「いや今日たまたまパシリに...あれ走りだっけ?まぁどっちでもいいか、まぁそいつに会ってよぉ...」
カイバ「お前の昨日の行動についてはよぉ、寮に帰ってからのことも含めてぜぇ~んぶ聞いてんだよなぁww」
乙哉「」
カイバ「お前さぁ、感情が行動に現れ過ぎなんだよ。そこにいたヤツらの約半分にはお前の気持ちバレバレだったようだぜぇww」
カイバ(ていうかそこまで露骨なのになんで半分も気づいてないヤツがいるんだよって話でもあるけどな)
カイバ「お前そんなんで良くシリアルキラーとかやれてたよなぁww」
乙哉「...よし殺そう」ジャキッ
カイバ「フフッ、待て待て。俺を殺したらお前の知りたい情報が知れなくなるし、即刑務所へ逆戻りだぜ」ニヤニヤ
乙哉「くっ...!」
カイバ「ま、俺はテメェの青臭い感情には1ミリも興味ねぇからよ、素直にその質問に答えてやるよ。なんたって俺は...」
カイバ「先生だからな」
カイバ「さぁてシリアルキラーが恋愛感情を持つかってことだが」
カイバ「結論から言うとだな、シリアルキラーであろうと恋愛感情は持ちうる」
乙哉「!!」
カイバ「代表的なケースはペーター・キュルテンという男のケースだ」
カイバ「コイツはデュッセルドルフの吸血鬼と呼ばれ恐れられたシリアルキラーだ」
カイバ「家庭環境の影響で異常なまでに強いサディズム嗜好を持ち、殺人を行っていた」
カイバ「しかしコイツは結婚した自分の妻に対しては、そのようなサディズム嗜好を一切出さなかった」
カイバ「しかも殺人鬼に怯える何も知らない妻を毎晩職場まで迎えに行ったり、昔殺人を犯し刑務所に入っていた妻を侮辱されると本気で怒ったりもした」
カイバ「極めつけなのは逮捕前の会話と裁判だな。コイツは自分がもうすぐ逮捕されると知った時、妻に自分が巷で噂の殺人鬼だと打ち明け、妻に自分を通報してその報奨金で老後を過ごして欲しいと言っている」
カイバ「妻の方もペーターを愛していたようで、殺人鬼と知ってなお愛情は尽きず、心中を強く主張していたらしい」
カイバ「最後には折れてペーターを通報したが、その後妻は裁判で『自分は彼を愛していたし、彼も私を愛していた』と発言したようだ」
カイバ「殺人鬼なんて穢れた存在からお伽話のような愛が生まれたっていう皮肉なケースだな」
乙哉「……」
カイバ「これ以外にもシリアルキラーが傷害・殺人を伴わない恋愛をしているケースは結構あってな」
カイバ「つまり殺人衝動と恋愛感情はたとえシリアルキラーであってもイコールとは限らねぇってことだ」
乙哉「...そうなんだ...」ホッ
カイバ「まあ、中にはそこらへんごっちゃになってる頭のおかしい奴もいるし、お前がそうでないという保証はどこにもないんだけどなww」
乙哉「一言余計だよっ!!あっ、あとこの相談のこと鳰とかには言わないでよね!」
カイバ「ハッ、バーカ。お前の恋愛事情なんて興味ねぇことをわざわざ人に話しかけてまで話そうとしねぇっつうのww」
ー回想終了
カイバ「ま、決して『言わない』なんて言ってないんだがなぁww」
晴「うーん...それって話しても良い話なのかな...」
柩「でもすごい刺激的な内容でした。そう思いますよね、しえなさん」
晴(ここでしえなちゃんに話振るんだ...柩ちゃん...)
しえな「確かに...」
しえな「まさか乙哉に好きな人ができていただなんてなぁ...」
カイバ「はぁ?」
晴「え?」
柩「はい?」
しえな「えっ、みんな何に驚いてるんだ!?」
晴「いや~...え~と...」
柩「しえなさんは乙哉さんの好きな人に心当たりは無いんですか?」
しえな「いや、ボクには全くないよ」
晴「あ、あはは...」
柩「……はぁ...」タメイキ
カイバ「プッハハハッ!!マジヤベェな、兎角並だわww」
しえな「!?なんでそんな反応っ!?」
柩「はぁ、剣持さん...」
「そんなだからイジメられたんじゃないんですか...?」
桐ケ谷からキツイ一言が浴びせられる。しかし...
しえな「うっ...!そ、そうなのかなぁ...?」
この言葉に対して自分でも意外に思うほど、深刻にダメージを受けていなかった
以前なら自分を否定されたことで傷つき、憤り、そしてそれを指摘した相手を激しく憎んでいただろう
そんなボクが変われたのはあの事件で復讐に囚われることの無意味さを知ったこと...
そして自分のことを真に友達と思ってくれている人ができた...
そのおかげなのかもしれない
しえな(やっぱり少し癪だけど...乙哉のおかげなのかな)フフッ
しえな(でも...)
しえな(一体何がまずかったんだろう...?)
だけどまだ
この時のボクはラノベの主人公たちのように
自分への好意にはてしなく鈍かった
しえな(...にしても桐ヶ谷は相変わらず容姿に似合わず毒を吐くなぁ...)
しえな(エンゼルトランペットだけに...なんてな)プフッ
晴「も~!柩ちゃん毒吐きすぎだよ!」
晴「いくらエンゼルトランペットだからって!!」
晴「...なんちゃって♪」 スパパパーン
瞬間一ノ瀬の頭をボクも含めた3人は息を合わせたかのように叩いていた
決して一ノ瀬にイラついて叩いた訳ではない
ボケを言った人間はツッコまれる
それがこの世のお約束というやつだ
・・・一ノ瀬の『晴、上手いこと言っちゃいました♪』という表情にイラついた訳では決してない...と思う
グループ4 百合 英 兎角 乙哉
スパパパーン
兎角「あいつら!なんで晴の頭を叩いているっ!!っく!!これをほどけ、英!!」ガチャガチャガチャ
他の班はだいぶ賑わっているようですわね...
こうなると交流という点だけを見ると理事長の狙い(これも本当かは分かりませんが...)通りに進んでいるようですね
深まるのが絆か溝かの違いはありますが...
真昼「あ、あの...純恋子さん...」
純恋子「あら、どうしましたか真昼さん」
真昼「そ、そのですね...東さんと武智さん...大丈夫...ですか...?」
そう私の膝の上で可愛らしく言った真昼さんから目を離し、ガチャガチャと五月蝿い方へ目を向けた
そこには鎖で席に縛られぐったりと俯いてる武智さんと、同じく鎖で縛られもがいている東さんがいた
まあ縛ったのは私なんですけれど
純恋子「大丈夫ですね。東さんは鎖で縛ってないとすぐ一ノ瀬さんのところへ行こうとしますし...」
純恋子「武智さんはただ他のグループの話を聞いて恥ずかしさから俯いてるだけですわ♪」
真昼「そ、そうですか...あと...あの...1つ...」
純恋子「なんですか?真昼さん」
膝の上の真昼さんが可愛らしく告げました(大事なことなので何度だろうと言います)
真昼「お...重くない...ですか///?」
ズキューーン
こ...これは///
純恋子「とんでもありませんわ。授業が終わってからもずっとこうしていたいくらいですわ///」ニッコリ
と、とんでもない破壊力ですわね///
グループごとに席を移る際に、スペースがないなどの詭弁を弄して真昼さんを膝に誘導した甲斐がありましたわ!!ガッツポーズ
百合「あら...つい他のグループの様子を見ていて、話すのをすっかり忘れていましたね。ごめんなさいね」
純恋子「いえいえ、こちらも堪能させてもらっていますから」ニパー
真昼(堪能って...何を...?)
百合「東さんと武智さんは...話を聞ける状態ではないようですね」
純恋子「とりあえず私達が聞いて、その後2人にも伝えておきますわ」
百合「そうですか、ではお願いします」
百合「さて...鳰さんの話ですか...何について話しましょうか...」
純恋子「周りはもう恥ずかしいことの暴露大会のようなものになってしまってますわね」
百合「では場の流れに合わせて、鳰さんの恥ずかしい出来事でも話しましょうか」ニッコリ
純恋子(どうやら深めたいのは黒組生徒間の溝だったようですわね...)
百合「まあ月並みな話になりますけどね...そう、あれは...」
膝の上の真昼さんの感触を楽しみながら私は話を聞くことにした...
そうして理事長の話を少し聞いていると、授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、授業参観は無事終わりました
まあしかし...
晴「もう...兎角さん機嫌直してよ~」
兎角「晴のバカ...」
晴「あ~ん、ごめんってば~」
しえな「なあ...おい...乙哉...」
乙哉「……」
しえな「と、とりあえず今日のことはお互い水に流さないか?なっ!」
乙哉「しえなちゃんのいじわる...」
しえな「うっ、うう...」
一部の方々の溝を深める結果を伴って、ではありますが...
純恋子「しかし理事長のお話も意外と面白かったですわね」
真昼「そ、そう...ですね」
純恋子「特に走りさんが『yahoo!』のことを『ヤホー』と読んでいた話はからかい甲斐のある話でしたわ」クスクス
真昼「明日からは...ヤホーちゃんですね...」クスッ
純恋子(ただ1つ...)
純恋子(理事長の話した、走りさんが一度間違えて理事長をお母さんと呼んでしまった話の時...)
純恋子(真昼さんの体がハッキリと分かるほどこわばっていましたわね...)
真昼「純恋子...さん?どう...しましたか?」
純恋子「...いえ、何でもありませんわ。今日のお茶はどれにしようか迷っていただけです」
純恋子「もちろん、真昼さんも付き合って下さいますわよね?」ニコッ
真昼「は...はい///」
純恋子「では早く帰りましょうか」
真昼「そう...ですね...///」
純恋子(母親の話題というのはやはりまだ禁句のようですわね...)
純恋子(もっとも...これは真昼さんに限った話では無いでしょうが...)
ーミョウジョウ学園の人気のない教室
恵介「よう、待たせたな伊介」
伊介「大丈夫、まだあんまり待ってないわ。で、どうしたのママ?授業が終わった後こんなところに呼び出して」
恵介「フフッ、いやなに...伊介も頑張っているようだからな」
恵介「1つプレゼントを渡そうかと思ってな」
伊介「え!?本当!?伊介嬉しい♥」
恵介「ほら、開けてみな」
恵介から伊介に手渡されたのは、一枚の封をされた便箋だった
伊介「うん!分かった♥」ペリペリ
伊介は便箋が破けないように丁寧に封を開け、一枚の紙を取り出した
伊介「......え?」
恵介「気に入ってくれたか?」
伊介「ママ...これって...」
恵介「そう...」
恵介「寒河江春紀さんの、暗殺手配書だ」
黒組受業惨観 完
254 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/09/23 21:23:14.96 PWHgZWz1o 182/770今回の投下は以上で終わりです
また授業参観ネタで次に続くカタチの終わりとなったので、次回は一週間以内の投下を目指しています
255 : ◆c4CaI5ETl. - 2014/09/23 21:32:06.87 PWHgZWz1o 183/770ついでにちょっと補足です
・ペーター・キュルテンについて
彼は実在した殺人鬼です。かの手塚治虫も『ペーター・キュルテンの記録』という作品を書いて取り上げるほどに、シリアルキラーというイメージとはかけ離れた愛の深さを見せた人間です。
・キャラの呼び方について
このSS内でのキャラの他のキャラへの呼び方は原作と異なる点があります。原作から時間が立っていることを考え意図的にやっているものもあれば、もしかしたら勘違いで書いているものもあるかもしれません。それらについては違和感があるかもしれませんがどうかご容赦下さい
・暗殺手配書と言う単語
これは造語です。指名手配書と同じようなものと考えて下さい。要は春紀さんを殺して欲しいという依頼が出たということです。
続き
晴「11年黒組です!」【中編】