1 : ぐう - 2013/06/23 23:42:21 CkNlCctM 1/676ヤンデレは某蔵などのことみんをイメージしています。
脳内CV:能登でお楽しみください。短いです。
元スレ
男「別れよう」ヤンデレ「……!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1371998541/
ヤンデレ「別れる……? わかった。死ぬね?」
男「待て、落ち着け。今お前に足りないものがある。わかるか?」
ヤンデレ「ロープと椅子?」
男「違う。冷静さと正常な思考能力だ」
ヤンデレ「……?」
男「そこで『ん? この人は何を言ってるんだろう?』と可愛らしく小首を傾げるのはおかしい」
ヤンデレ「もしかして……私に不満があるの?」
男「もしかしなくても、そうだろうな」
ヤンデレ「……直す」
ヤンデレ「だから、別れるのは嫌……」
ヤンデレ「別れるのは嫌だから、直す」
ヤンデレ「だから、そんなこと言わないで?」
男「……はぁ」
男「しょうがないなぁ、ヤンデレは」
ヤンデレ「えへへ」
男「じゃ、まずは……一日に100通を超えるメール送ってくるのやめてくれる?」
ヤンデレ「……?」
男「小首ー!」
ヤンデレ「わっ……びっくりした」
男「困るんだよ……重要なメールとか見過ごすし、何よりお前だって疲れないか?」
男「毎日毎日『好き?』だの『今どこにいるの?』とか『もう私に飽きたの?』とか」
男「そんなに俺って信用ないのか?」
ヤンデレ「違う……けど」
男「じゃあ、なんで」
ヤンデレ「落ち着かないから」
男「落ち着かないって……はぁ」
男「俺の都合は考えてくれないのか?」
ヤンデレ「世間一般的に、」
男「は?」
ヤンデレ「恋人からメールが来ると、嬉しい」
男「え、まぁ……そうだな」
ヤンデレ「男が嬉しいと、私も嬉しい」
男「そりゃあ、いいことだな。幸せスパイラルだ。こまりちゃんもびっくりだ」
ヤンデレ「なので、私は男にいっぱいメールを送っても大丈夫です」
男「それは違う」
ヤンデレ「……?」
男「限度があります。多すぎます」
ヤンデレ「え、まだ少ない方……」
男「しゃらっぷ! あとメールだけじゃなくて、電話もやめてください」
ヤンデレ「え、無理……」
男「すぐに無理とかいうのは、ゆとりの悪い癖です。悔い改めてください」
ヤンデレ「ゆとってない……。それは言いがかり」ボソッ
男「メールと電話、それぞれ一日20件と2件を目標にしてください」
ヤンデレ「わかった。じゃあSkypeを20回加えてください」
男「悪化した! 確実に悪化したよねその状況!」
ヤンデレ「いつも、大切な人とつながるために――Skype」
男「なんでCM風に言った?」
ヤンデレ「オファー、待ってます」
男「こねぇから! 俺しか聞いてないから!」
ヤンデレ「男、面白い」
男「からかいがい、ある?」
ヤンデレ「ある」
男「じゃあ俺は口を閉ざします。物言わぬ貝になります」
ヤンデレ「だめ」
男「俺が喋ろうが喋るまいが、それは俺の自由です」
ヤンデレ「そんな我儘言ってたら、社会でやっていけないよ……? 私、男のことが心配……」
男「その社会不適合者予備軍がお前なんだけどな!」
ヤンデレ「……?」
男(突っ込まないぞ……)
男「……おほん」
男「だいたい、なんでそんなに俺のこと好きなわけ?」
ヤンデレ「面白い」
男「え? 面白いところ?」
ヤンデレ「……そう」
ヤンデレ「『だいたいー、なんでぇー、そんなに俺のこと好きなわけぇ?』」
男「恥ずかしいこと言ったのはわかるけどチャラ男風に真似するのやめて! ってか元々お前のせいだから!」
ヤンデレ「今のは……冗談。私ってお茶目……」
男(自分で言っちゃうところね)
ヤンデレ「好きなところ……。全部……かな」
ヤンデレ「優しいところ、面白いところ、私を笑わせて、ホッとさせてくれるところ」
男「お、おお」
ヤンデレ「その、『自分で好きなところ言わせておいてなんだけど、まぁ満更でもないな(照)』って顔も好き!」
男「それ完全に蛇足だから言わないで! ねぇ気づいてる!?」
ヤンデレ「ねぇ、好き……。好きなの……」
男「お、おう……」
男(急展開だなコイツ)
ヤンデレ「ねぇ、男……、目ぇつむって?」
男「……え? あ、ああ」
ドキドキ。
ヤンデレ「……ふっ、ちょろ可愛い」ボソッ
男「よし別れる。ぜってー別れる」
ヤンデレ「あ、うそ。うそだから。ごめんなさい」
ヤンデレ「あ、でも好きなのは本当。ちょろいのは……ほ、嘘」
男「本当って言いかけたよね!?」
ヤンデレ「好きなの、大好き。愛してる……」
男「う……、おう」
ヤンデレ「あ……口に出したら、興奮してきちゃった」
ヤンデレ「口に出したら……? な、なに言ってるのよ、もう……男、えっち」
男「いま勝手に一人で暴走してたよね!?」
ヤンデレ「若さって、罪……」
男「ああ。お前は罪な女だよ。別な意味で」
ヤンデレ「……ぽっ」
男「馬鹿な……、皮肉が通じない……だと?」
ヤンデレ「ふふふ、私の弱点は、男。貴様の接吻だけだ。わっはっはー」
男「なんだって……じゃあキスするしかお前を倒す方法はないのか……! ええーい、ままよー! ――とは、ならない」
ヤンデレ「かーらーのー?」
男「ねぇよ! 『かーらーのー?』じゃねえよ! 今時の若者風に煽るな!」
ヤンデレ「ちぇ」
ヤンデレ「でも男、ノリがいい」
男「そうだな。今後は控えるよう検討する」
ヤンデレ「やだ。そんなの面白くない……そんな男、いらない」
男「がーん! お、お前、あっさりと『いらない』とか言うなよ! お前ヤンデレだろ!? もっと俺を求め……はっ!」
ヤンデレ「わかった。超求める。もう絶対離さないし、ずっと私が面倒見てあげる」
ぎゅー。
男(こいつ……狙ってたな)
ヤンデレ「えへへ」
男(結局、こいつの掌の上が、俺の居場所なんだろうか)
ヤンデレ「男、あったかい」
男「そうかよ……」
ヤンデレ「不満?」
男「……いや」
男「不思議と、嫌な気分じゃないさ」
男(そもそも誰かに求められるってのは、悪いことじゃあないんだ)
男(束縛されすぎるのが、他者との関係の障害になるから困るってだけで)
男(家族以外で無償の愛を注いでくれることは、本当は、とっても……)
ヤンデレ「えへへ」
男「嫌いじゃないぞ、お前のこと」
ヤンデレ「え?」
男「そもそも……まぁ、なんだ、その。好きじゃなかったら付き合ってすらいないわけだしな」
ヤンデレ「……男」
男「へへっ」
ヤンデレ「たまにくさいこと平気で言っちゃうところも、私は全然、好きだよ?」
男「だからそういうこと言わないでーー!」
END.
32 : ぐう - 2013/06/24 00:49:26 uqgBIqpM 30/676ひとまず終わったけど、第二部書く?
要望あったら書くけど、べ、別に期待なんかしてないんだからねっ!
33 : 以下、名無しが深夜にお送りします - 2013/06/24 00:53:15 nCii9aP6 31/676第二部はよ。
34 : ぐう - 2013/06/24 01:09:59 uqgBIqpM 32/676>>33 まじかよ……俺明日会社だぞ。支障でない範囲で頑張る。
第二部「その日暮らしの男君」
実は甲斐性なしで割とダメ人間の男君(とヤンデレちゃん)の日常を書いていく予定。予定は未定。つまり思いつき。下記溜めはないし、悪いけど寝落ちする可能性大。了承してねっ
ぐぎゅるるる。
男「は……腹減った」
ヤンデレ「男。何か、食べる?」
男「うん。お願いします」
ヤンデレ「カップめんでもいい?」
男「全然かまわないっす」
ヤンデレ「そう……じゃあ、3分立つまでのつなぎとして」
男「お、なに? お菓子とか用意してくれるの? さっすがヤンデレ」
ヤンデレ「わたしを食べて」
男「……さっすがヤンデレ」
男(想像はできた。俺が悪い)
ヤンデレ「あ、でも……3分以上は確実にかかるから、ラーメン伸びちゃうね……ハァハァ」
男「ハァハァすな! 食べるのはラーメンだけ!」
ヤンデレ「ひどい……私のこと飯炊き女くらいにしか思ってないのね……」
男(こいつは一体どこでこういう言葉を覚えてくるんだろう……)
ヤンデレ「ところで、男」
男「なに?」
ヤンデレ「今日、デートにいっちゃったりしちゃったり、しっぽり決め込んじゃったりしませんか?」
男「あー……その、うん」
男(なんだよいっちゃったりしちゃったりって。しっぽりって)
ヤンデレ「わくわく」
男「ちょっと、金が……」
ヤンデレ「え……」
男「いや、ちょっとさぁ、ほら、俺って多趣味じゃん?」
ヤンデレ「……そうだね」
ヤンデレ「……そうだね」
ヤンデレ「表向きは、読書に、芸術に、創作だけど」
ヤンデレ「要は『漫画』に、『アニメ』に、『同人誌』……」
ヤンデレ「お金、いくらあっても……足りないよね」
ヤンデレ「お前を見ているぞー」
男「最近今更ながらプレイした某タイムリープADVのネタで返されたっ!」
ヤンデレ「わたし、優先順位、低い?」
うるうる。
男「ぐっ……!」
男(まいった……確実に、世間一般的にもこの甲斐性なしっぷりは、俺が悪い)
男「いやあ、優先順位とかそういう問題じゃなくってさあ。例えば」
ヤンデレ「例えば?」
男「お前、クレープ好きだろ?」
ヤンデレ「うん。『男の次に』、好き」ジトッ
男(やべ、地雷踏んだ)
ピピピピピピピピ……
ヤンデレ「カップめん、できた」
男「ああー、そうな、カップめんな」
ヤンデレ「うん。食べさせてあげる」
男「いやー、いつもすまないねぇ」
ヤンデレ「それは言わない約束」
ヤンデレ「で?」
男「うまいなぁ。ヤンデレの作るカップめんは最高だよ」
ヤンデレ「そ、そう、かな」
男(ちょろインだな、こいつ)
ヤンデレ「あ、でも、だめ……私の優先順位について、その案件が可及的速やかに解決するまでは……」
男「ヤンデレ、あーん」
ヤンデレ(……男からおねだりなんて、レア!)
ヤンデレ「しょ、しょうがないなぁ、男は。もう」
パクッ。
男「美味しいよ、ヤンデレ」
ヤンデレ「や、やだぁ、もう……私が美味しいなんて」
男(そんなことは一言も言っていないが)
男「ヤンデレ、好きだよ」
ヤンデレ「……うん。私も、いいよ」
男「うん?」
ヤンデレ「真昼間から、しっぽり決め込んじゃう……」
男「待った。お前は思考が飛躍しすぎだ。走り幅跳びの選手並だ」
ヤンデレ「あんまり上手いこと言えてないけどそのドヤ顔は好き……」
男「ごめんなさいでしたぁあ! 余計なこと言うなっつの!」
ヤンデレ「冗談……面白かった?」
男「お前はどっからどこまでが冗談かわかんねーよ……」
ヤンデレ「お詫びに、今日のデートは私のおごり」
男「え……?」
ヤンデレ「最初からそうするつもりだったの。ごめんなさい」
ヤンデレ「男の困った顔が見たくて……つい……」
男「ヤンデレ……」
男「でも、優先順位の件は本気で怒ってたでしょ」
ヤンデレ「え、もちろん……」
男(ですよね!)
男「例えば、ご飯より睡眠よりその人が好きだとしても、ご飯は食べなきゃいけないし、睡眠はとらなきゃならないだろ?」
ヤンデレ「悲しいことに」
男(こいつは飯・睡眠抜きって俺が言ったら死ぬまで実行しかねないな……)
男「つまりは、そういうことだ」
ヤンデレ「漫画を読まなくても、死なない……」
男「ヤンデレ、そんなに細かいことが重要か? 『俺たちの』、今日のデートプランを考える以上に?」
ヤンデレ「男……!」
ヤンデレ「ど、どこでする? 青いのはちょっと抵抗あるけど、男がどうしてもっていうならそういうプレイも、」
男「ゴールから逆算することは重要だが、お前のそれは間違っている!」
~書店~
男「おっ、東いおり先生の新作出てるじゃーん。俺好きなんだよねー」
ヤンデレ「むすっ」
男「口でムスッとしている状態をわざわざ伝えてくれてありがとう、お前が初めてだよ。んで、俺が何か粗相をした?」
ヤンデレ「いおり……別の女を彼女の前で『好き』とか言うのはどうかと思う」
男「はっはっは、ヤンデレがそう言うことは見越していたぜ」
ヤンデレ「え、じゃあまさかわざと嫉妬させるために……? もう、そんなことしなくったって、私はあなたのものなのに……身も心も」
ヤンデレ「な、なんなら今この場でおっぱじめる……? ハァハァ」
男「うわぁ」
ヤンデレ「……引かないでほしい」
男「全く……。いおり先生は男性だよ、安心しな」
ヤンデレ「男……ホモだったの? がーん」
男「お前の思考は俺の一手先を行くから困る!」
ヤンデレ「手間のかかる彼女ほど?」
男「可愛い――とは言わない。それを言うなら『子供』、だしな」
ヤンデレ「ああ……っ! 焦らしプレイ……好き……」
男(こいつ、結局何でもいいんじゃね?)
男「まぁとにかく、俺が好きなのは女だから安心しろ」
ヤンデレ「安心できない」
男「ん……? ああ、そういうことね」
男(『女』じゃなくて、好きなのは『ヤンデレ』だけって言ってほしいわけか)
男「でも言わない」
ヤンデレ「ああっ……おあずけ……切ない……!」
男(こいつMっ気増してないか……?)
デパート ~フードコート~
ヤンデレ「はい、あーん」
男「ばっ……! 恥ずかしいからやめろっての」
ヤンデレ「どうして? いつもお家でやってる……」
男「ひ、人目があるだろ」
ヤンデレ「……? あそこのカップルはやってる」
イチャイチャ。
男「がーん!」
ヤンデレ「はい」
男「……うっ、うっ、あーん」
ヤンデレ「泣くほど嬉しい?」
男「そうだな、お前のプラス思考が羨ましい……」
ヤンデレ「えへへ……褒められた」
男(そういうところー! 言わないけどぉぉ!)
ヤンデレ「というか、私がお金を払っているので、そもそも男に拒否権はない……と思う」
男「ぐっ」
ヤンデレ「あ、今のはちょっと意地悪だった。ごめん……」
男「いいよ、確かにそうだよ」
男「元はと言えば、俺に計画性がないのが問題だしな……ふっ」
ヤンデレ「ふふっ、人のお金で食べるご飯、美味しい?」
男「なぁ、それは意地悪とは言わないのか?」
ヤンデレ「ごめん。男が面白くって、つい……」
男「全く……俺はモルモットかってーの」
ヤンデレ「どちらかというとハムスターだけど……」
男「俺、ちゃんと人間として扱われてる!? ねぇ!」
ヤンデレ「男、ほっぺにケチャップついてる」
ペロッ。
ヤンデレ「はい、とれた」
男「なっ……! ば、ばかっ!」
ヤンデレ「……ほわっとする」
男「なにが!?」
ヤンデレ「照れてる男、可愛い」
雑貨屋
男(だめだ、今日はなんかコイツのペースだ……思うようにいかない)
ヤンデレ「わぁ……見て見て、これ可愛いー」
男「クマのぬいぐるみか」
男(コイツもこういうふうに、女の子らしいところあるんだな)
ヤンデレ「ふわふわー……ねぇ、男も触ってみて」
男「どれどれ」
ヤンデレ「私の身体と、どっちがふわふわ?」ボソッ
男「ぶっ!」
男「お前、外でなんてこと言うんだ!」
ヤンデレ「ふふっ、意識……しちゃう?」
男「そんなこと言われたら嫌でも意識するわ!」
ヤンデレ「嫌……なの?」
男(これみよがしに、しゅんとした態度を見せて俺の同情を誘う作戦だろう)
男「それは落ち込んだふりだ」
ヤンデレ「……ちぇ、つまんない」
男「当たりかよ……」
ヤンデレ「カマをかけるのはよくない……。私にかけていいのはアレだけ」
男「下ネタに走るのも俺は良くないと思う!」
ヤンデレ「ちぇ」
服屋
ヤンデレ「これ、似合う……かな」
男「ん? ああ、良いと思うぞ」
ヤンデレ「……いま、別の女、見てた」
男(す、鋭い! 一瞬気を取られただけなのにっ)
男「はっはっは、俺の目にはヤンデレしか映らないよ」
ヤンデレ「怪しい」
男(『俺は逃げ出した! しかし回りこまれてしまった!』)
ヤンデレ「で、でも、嬉しい……」
男(ちょろいなこいつ)
ヤンデレ「……次、いこっか」
男「はい」
ヤンデレ「もう、見るもの、ないよね?」
男「うん……だって、女物の店だからね……はは」
ヤンデレ「そう、よかった」
ヤンデレ「お気に入りの服が汚れないで、よかった」
ヤンデレは『名状しがたいバール』のようなものを懐にしまった。
男「……」
ヤンデレ「……」
ヤンデレ「……今のは魔法のステッキです。」
男(絶対嘘だ!)
ヤンデレ「浮気、だめ、ゼッタイ」
男「イエス。ユアハイネス」
ヤンデレ「そう。男は良い子。良い子にはご褒美をあげなくちゃ」
男「えー、なんだろうちょーたのしみ(棒)」
ヤンデレ「これを」スッ
男「なに……『しょっけん』? 食券? 手作り感満載なんだが」
ヤンデレ「違う。お触り券。略して『触券』」
男「なん……だと……」
ヤンデレ「その紙一枚で、私に触り放題。きゃっ」
ヤンデレ「子供がお父さんにあげる『肩たたき券』のようなもの……」
男「子供の純真とその欲望の紙切れを一緒にするな!」
ヤンデレ「……いらないの?」
男「いらないわけがないだろう」
ヤンデレ「男はなんだかんだ言って自分の欲求に忠実……」
男「うるさいよ!」
ヤンデレ「もぅ、えっちなんだから」
男「あー、はいはい」
ヤンデレ「じゃあ、夕飯を食べに行きましょう。もちろん男の分は私が」
男「大丈夫なのか? そんなにお金使ってもらって……なんか、悪いんだが」
ヤンデレ「大丈夫。男は私のことを財布だと思ってくれればいい」
男「嫌な言い方するなよ! 俺が最低な男に思われるじゃないか!」
ヤンデレ「いいの。男がどんなに最低でも、私の気持ちは変わらない」
男「そうか。例えば俺が浮気しても?」
ヤンデレ「……」
ヤンデレは 名状しがたい以下略を とりだした!
ヤンデレ「魔法のステッキを一振りすると、」
ブン!
男「あぶねっ!」
ヤンデレ「あら不思議。魔法の力で願いがなんでも叶っちゃう☆」
男「それは魔法の力でも不思議でもなく、何の変哲もない物理的な暴力だ!」
ヤンデレ「……?」
男「小首を傾げるな。小首を」
ヤンデレ「ふふ、男って面白い」
男(面白いことにされた!)
~夕食後~
ヤンデレ「ふぅ、美味しかった」
男「ごちです」
ヤンデレ「いいの。生活能力に乏しい男は、私の母性本能をくすぐりながら上手に生きていけばいい……」
男「さ、さいですか」
ヤンデレ「……そういう役割の、人が居てもいい」
男「ん?」
ヤンデレ「甘える人間がいて、甘えさせる人間もいる」
ヤンデレ「人は誰かに頼られることで……意義を持てる。存在できる」
ヤンデレ「そうやって、世界は回ってる。」
ヤンデレ「そう……そぅれはまるでぇ、車ぁ輪のようにィ」
男「とっつぁん!?」
男「久々に良いこと言ってるなと思ったら車輪だった!」
ヤンデレ「南雲さんが……好き」
男「最初に死ぬ人だよねぇ!?」
ヤンデレ「冗談……。ホントはセピア」
男「まだ冗談のほうがマシだった!」
ヤンデレ「……今日は、楽しかった」
男「ああ、そうだな。久々にデートらしいことしたな」
男(全て奢ってもらったのは心苦しいが)
ヤンデレ「あ、間違えた……」
男「?」
ギュッ。
ヤンデレ「手、握って良い?」
男「事後承諾かよ」
ヤンデレ「うん」
男「……で、何を間違えたって?」
ヤンデレ「『も』」
男「も?」
ヤンデレ「今日『も』、楽しかった」
男「……そ、そうか」
ヤンデレ「男、なんで目を逸らした?」
男「な、なんでもない」
ヤンデレ「顔赤い」
男「ちょ、覗き込むな!」
ヤンデレ「ちょっと、いやかなりキュンときた? ハァハァ」
男「自分で言うな! ハァハァするな!」
ヤンデレ「もーう、男が可愛いから襲っちゃうぞ?」
男「やめれー!」
ヤンデレ「いやよいやよも好きのうち……、」
シュルッ
男「上着を脱がすなー!」
ヤンデレ「よいではないか、よいではないか」
男「あーれー、ってばか!」
ヤンデレ「……続きはウェブで。男くんの結末や、いかに!」
男「ノリノリだな」
ヤンデレ「男ほどではない……」
ヤンデレ「それに、さすがに人前では恥ずかしい。まだ」
男(まだ?)
ヤンデレ「だから――帰ったら、大人のキスをしましょう」
男「微妙に間違えてるし、お前が言うとただの痴女だし」
ヤンデレ「今、自分の彼女に痴女って言った?」
男「まあ、なんにせよ」
男「今度は、俺がリードするから」
ヤンデレ「ほんと……?」
男「ああ」
ヤンデレ「ほんとのほんと……?」
男「ああ」
男「だけど、期待はするなよ。一応釘を刺しておくが」
ヤンデレ「いいよ……? 男になら何を刺されても……?」
男(あ、そこでボケるんだ)
ヤンデレ「楽しみ……」
男「だからあんまり期待するなって」
ヤンデレ「あ、でも男が自立したら私はいらなくなっちゃう……」ボソッ
ヤンデレ「無理しないで……?」
男「完全に自分の都合で気遣ったよね?」
ヤンデレ「わ、私がんばるから……!」
男「やめて! それだと俺、ずっとダメなままだぞ?」
ヤンデレ「ダメなままでいい……」
男「よくねぇよ」
ヤンデレ「私は一向に構わんっ」
男「どこの海王だよ」
ヤンデレ「だって、男が真人間になったら私いらない……」
男「お前のために真人間になろうとしてるんですが!?」
ヤンデレ「え、お前のためって、そんな……嬉しい……」
男「今頃!?」
~第二部・END~
124 : ぐう - 2013/07/15 21:18:26 mnsq.MIk 98/676>>122 今更だけど部、じゃなくて話だよなこれ。まいっか、てへぺろー
第三部「ヤンデレの冒険」
ある日、男君がヤンデレちゃんの部屋で某有名RPGをプレイしていたそうな
ヤンデレ「……」
男「このボスつえーな、おい」
ヤンデレ「……むう」
男「回復回復……っと」
男「分身から倒すのが定石だよな、やっぱ」
男「いや、でもそう思わせといて7のヘ○クラウウダーさんみたいに本体からという可能性も……」
男「ヤンデレ、どう思」ヤンデレ「えいっ」
ブチッ
―砂嵐―
男「う……」
ヤンデレ「ねぇ……、かまって?」
男「お……、おお、俺の3時間半が、」
男「一瞬で水の泡に」
男「おお、男よ死んでしまうとは情けない……」
ヤンデレ「ねぇってば」
男「えぇー、いやだって、ゲーム外攻撃は防ぎようがないっすよ王様……」
男「ばっかもーん、貴様それでも勇者かー! いかなる逆境をも跳ね返す気位がないと世界再生などできはせんのだー」
男「うふふ。なんだかそれってとってもシンフォニア」
男「リフィル先生もびっくりだー」
ヤンデレ「お、男……?」
男「ああ……ははは、脳天に瞬迅剣を喰らった気分さ」
男「今なら傘で虎牙破斬もできそうさ。なんならアバンストラッシュもできそうさ……」
ヤンデレ「だ、だいじょぶ……?」
男「どんなボスより強いっすよ強制リセットは」
男「あ……圧倒的物理的ダメージッ……!!」
男「そう、これはまるでレベルを上げて物理で殴られたような」
男「ストⅡプレイ中にリアルファイトに発展して後ろで見てただけなのに灰皿ソニックを食らったような」
ヤンデレ「わわ……どうしよう、私のせいで男が意味不明な言葉の羅列を……」
男「人生ゲームで結婚したプレイヤーに何の祝福の感情も抱いてないのに強制的に御祝儀持ってかれるような」
男「グラツーでちょっとハンドル操作誤っただけですぐ操作効かなくなってスピンしてしまうような」
男「ポケモンで目があっただけなのに勝負を挑んでくるトレーナーのような」
男「あ……圧倒的、理不尽ッ!!」バタッ
ヤンデレ「男ーッ!?」
~数時間後~
男「なんとか一命を取り留めた」
ヤンデレ「ごめんなさい……男がゲームに夢中になりすぎてるから、つい」
男「う……うぉおお、そうだ、俺の3時間半……ッ!」
ヤンデレ「ご、ごめん」
男「謝っても俺の3時間半は帰ってこないのさ……」
ヤンデレ(やたらと3時間半に細かい……)
ヤンデレ「わかった、私がなんとかする」
男「え……?」
ヤンデレ「男の、失われた3時間半を私が取り戻して見せる」
男「でも、お前、RPGなんてやったことあるのか……?」
ヤンデレ「……ない!」
男「すげーきっぱり否定したね! いいよ……俺が自分でやったほうが早いよ……」
ヤンデレ「私に任せて」
男「いや、だからいいって、謹んで辞退させていただくって」
ヤンデレ「私に任せるがよい」
男「口調変えてもお前がずぶの素人であることに変わりはないからな」
ヤンデレ「お兄ちゃん……私に任せて?」
男「なんでいきなり妹キャラだよ」
ヤンデレ「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
男「今この場で全然関係のない懐かしいネタを!」
ヤンデレ「うふっ、お姉さんに任せなさい?」
男「貴様……俺が姉萌えであると知った上での振る舞いか?」
ヤンデレ「え、姉萌えだったの?」
男「うん」
ヤンデレ「お、お姉ちゃんって呼ぶ……?」
男「嘘だよばーか!」
~~
ズバッ!
主人公は魔物の群れを倒した!
経験値54EXPを得た!
お金を34GOLD手に入れた!
魔物はやくそうを持っていた!
ヤンデレ「おかしい……」
男「どうした、部屋に間接照明でもなかったか?」
ヤンデレ「テキ、やくそうを持っているなら使えばよかったのに……なぜ?」
男「そういうものなんだよ」
ヤンデレ「プレイヤー側にとって都合の良い存在」
ヤンデレ「経験値はくれるしお金も持ってるし……そういえばお金って使うのかな? 魔物」
男「さぁ、魔物だから買い物できないんじゃね?」
ヤンデレ「そもそもそのお金はどこから……」
男「冒険者のものを奪ったんでしょうよ」
ヤンデレ「な、なんの目的があって……?」
男「そりゃお前……そういうものなんだよ」
ヤンデレ「二回目……」
男「悪いか、だいたい何でもかんでも理由を求めるなよ」
男「冒険を進めるためには経験値を積んでレベルアップしなきゃいけないし、」
男「お金をためていい装備を買わなきゃならないんだから」
ヤンデレ「強さの果てに何を望む?」
男「どこのタカの目だ、お前は」
男「とにかく、うだうだケチ付けてたら先に進まないの」
ヤンデレ「苦手……」
男「システムじゃなくて世界観というか設定に苦手意識を持つ奴初めて見たよ!」
ヤンデレ「でも頑張る。不慮の事故で3時間半の戦果を失った男のために」
男「不慮じゃねーよ、心当たりあんだろお前、胸に手を当てて自分に問うてみろっつんだよ」
ヤンデレ「わかった」
ふにっ。
男「おっ、俺の手をお前の胸に当ててどうすんだよ! ってか比喩だっつーの! 言葉のあやだっつーの!」
ヤンデレ「……咄嗟のハプニングエッチ。男は30のダメージ」
男「30どころじゃねーわ……」
ヤンデレ「村人Aに話しかける」
男「あ、それ町長だから。一応格上な。お前の中では全員村人Aかもしんないけど、一応な」
ヤンデレ「私にとって、男以外は全員村人Aだよ……?」
男「なにそれ嬉しいけどひく」
ヤンデレ「ちぇ」
ヤンデレ「この人、村が魔物に襲われて困ってるらしい」
男「そう。だから北のはずれの洞窟まで行って、村を襲うよう指示してる魔物のボスを倒してきてくれーって話」
ヤンデレ「モンスターに命令系統が機能するのって不思議」
男「強い奴には従うようにできてんだよ」
ヤンデレ「ちなみに私は男の命令なら絶対服従……だよ?」
男「……だよ? じゃねーよ」
ヤンデレ「たとえ男が私より弱くても、私は男を立てるよ?」
男「名状しがたいバールのようなものを躊躇なくぶん回すやつに勝てる人間はそうそういねぇよ……」
ヤンデレ「立てるし、立てるよ?」
男「……うん……?」
ヤンデレ「だから……男の男性じし、」
男「言わせねえよ!?」
ヤンデレ「洞窟ついた」
男「そうか。じゃあまず右の入口からはいって宝箱を回収するんだ」
ヤンデレ「宝ば、」
男「なぜ洞窟に宝箱があるのか。それは永遠のミステリー」
ヤンデレ「以心伝心……ぽっ」
男「今までのやりとりで、だいたいわかるわ」
ヤンデレ「男は私の全てをお見通しなのね……」
ヤンデレ「心も、体も……やだ、恥ずかしい……っ」
男(そういうところね)
ヤンデレ「おたから回収」
男「よくやった」
ヤンデレ「ご褒美は?」
男「ありません」
ヤンデレ「なでなでを所望します」
男「……」
男「……ほれ」
ヤンデレ「あっ……! 男……どこ、なでなでして……あぁっ!」
男「ほれほれ」
ヤンデレ「あっ! やっ! だめ……っ!」
男「なーでなで、なでなで。なでこなでこ」
ヤンデレ「ら、らめぇえええっ!」
男「……」
ヤンデレ「はぁ……はぁ……」
男「……悪ふざけしてみました」
ヤンデレ「……好き」
男「はっはっは」
ヤンデレ「メロメロ」
男「さて、気を取り直してダンジョン攻略だ」
男「ザガンはまだまだこれからだぞー」
ヤンデレ「違うダンジョンになってる気が……」
男「ハル○ール・インフィガール的なね」
男「さて、そろそろ中ボスのおでましな訳だが」
ヤンデレ「装備は万全」
男「うむ。ならばあえてここでセーブだ」
男「良い子の皆っ! セーブはこまめに、だよっ!」
ヤンデレ「誰に何を言ってるの……?」
男「視聴者の皆様」
ヤンデレ「メタなところも好き……っ!」
男「RPGの鉄則だ。食う時に食う。セーブできるときにセーブする」
ヤンデレ「襲えるときに襲う……」
男「それはお前の中での鉄則かもしれないな」
ヤンデレ「中ボス強い」
GAMEOVER
男「おおう!? いつの間に負けてんの!?」
ヤンデレ「フ○ーハかけないとブレス系で一網打尽……」
男「あー、よくあるな、それはな」
男「一応、慣れてきた感あるな」
ヤンデレ「慣れてきた。ガバガバ」
男「慣れることをガバガバと言う婦女子の存在を未だかつて俺は知らなかったし、知りたくもなかった!」
ヤンデレ「冗談。私ってお茶目」
男(だから、自分で言っちゃうところね。)
ヤンデレ「氷&炎対策―」
男「おっ、そうそう。後は効果が切れたら呪文かけなおして、好き放題ぼこればOK」
ヤンデレ「私も好き放題OKだよ……?」
男「アス○ロンッ!」
ヤンデレ「局部的に?」
男「やめて! 恥ずかしいから言わないでっ!」
ヤンデレ「超究武神はざーん」
男「どこの1stソルジャーだよ……せめてバトルアックスじゃなくて両手剣系の武器を装備させてやってくれ」
ヤンデレ「ぱぱぱぱーぱーぱーぱっぱぱー」
男「そういうことは知ってるのね」
ヤンデレ「有名……」
男「確かにね。でもぱぱぱぱっぱっぱっぱーでここはひとつよろしく」
ヤンデレ「ふんふふーんふーんふーんふんふっふー」
男「上機嫌だな」
ヤンデレ「好きかも、RPG」
男「ふぅん」
ヤンデレ「あ……ごめん、嫉妬したよね。大丈夫、私が一番好きなのは男だから」
男「嫉妬してねぇよ。なんでゲームに嫉妬しなきゃいけないんだよ……」
ヤンデレ「可愛い」
男「ツンデレって訳でもないからな!?」
ヤンデレ「そろそろボス戦……」
男「よし、代われ。もう十分だよヤンデレ。お前はよくやった」
ヤンデレ「ひどい……使うだけ使っておいてボス戦になったらポイなのね」
ヤンデレ「まるでボロ雑巾のように! ポイなのねっ!」
男「ボロ雑巾って言いたいだけだということは理解した」
男「さーて、やっるぞーリベンジじゃー」
ヤンデレ「ううっ……ひどい……私はしょせんレベル上げ要因だったのね……」
男(こいつ、自分がリセットボタン押したことがすべての元凶だということを忘却の彼方に置き忘れているよな)
男「……まったく、しょーがないなぁ」
ヤンデレ「いいの?」
男「一回死んだら交代だぞ」
ヤンデレ「うんっ!」
男(あれ、なにこいつ可愛い)
ヤンデレ「ふははー覚悟しろ魔王よー」
男「あ、すいません。魔王さんもっと後です」
ヤンデレ「ちっ、ただの雑魚モンスターかよ」
男「どんだけ強気!? 一応ボス級だからね!?」
ヤンデレ「メダ○ニ!」
男「それ効かないからぁああ!」
ヤンデレ「ラ○ホー!」
男「それもらめぇええええ!」
男「ていっ」
バッ
ヤンデレ「あっ」
男「ふふふ悪いな一回死んだら交代と言う約束、反故にさせてもらうぞ……」
男「お前はボス戦でやってはいけない禁忌を二度犯した。ボスにちゃっちぃ呪文は効かないのだ。なぜならボスだからだ」
男「ボス戦は神聖なのだ。小細工などいらん。純粋な力と力のぶつかり合いなのだ!」
ヤンデレ「がーん」
男「それが分からぬ貴様にボス戦に挑む資格はないっ!」
ヤンデレ「ががーんっ!」
男「ス○ルトッ!」
ヤンデレ「それは小細工ではないの?」
男「これは工夫だ」
ヤンデレ「違いがわからないよ……わけがわからないよ……」
男「ティロ・フィナーレ!」
ドガーン。
男「ふっ、虚しいものだな。容易に得られる勝利というのも」
ヤンデレ「割とターン数かかってたけど……」
男「しゃらっぷ! ボスはHP高いからしょうがないのだ」
ヤンデレ「そういうもの?」
男「そういうもの」
ヤンデレ「今度は私一人でやりたい」
男「えー、なに、ボス戦?」
ヤンデレ「うん。自分の力だけで倒す」
男「めんどくせー、次の町行こうぜ?」
ヤンデレ「やだのやだの! たおすのー!」
男「幼児逆行!? おっと、こんなに我儘なヤンデレちゃんは久しぶりだ!」
ヤンデレ「私も倒すのー!」
男「なぜそうまでしてこだわるんだよ。次のボス戦任せてあげるから、とかじゃだめなの?」
ヤンデレ「だめなのー! だって、だって男と同じ感情を味わいたいんだもん……」
男(正直めんどくせぇ)
男「わかったよ、ほら」
ヤンデレ「やん、男優しい」
男「そうせざるを得ないだけだ」
ヤンデレ「さー、倒すぞー」
ヤンデレ「あ、あれ……? 回復が上手くいかない」
ヤンデレ「ホ○ミかけても敵の二回行動でダメージ上乗せされて削られる……ジリ貧……」
ヤンデレ「男助けて?」
男「だー、言わんこっちゃない」
男「まずは防御を固めてだな、そしてCPUの戦略は命大事にすることを忘れてはいけない」
ヤンデレ「おおー」
男「いのちだいじに!」
ヤンデレ「うん……男の次に大事にするね?」
男「おお……お前はぶれないよな」
ヤンデレ「くらえーい、これが草薙の拳だぁー」
男「今のは草薙の拳ではない、メ○だ」
ヤンデレ「勝った! 嬉しい!」
男「そうか、よかったな」
男(これでようやく次の町に行ける……)
ヤンデレ「RPG面白い」
男「それは何よりだ。趣味を分かってくれる人が増えて俺は嬉しい」
ヤンデレ「なによりそれが彼女だっていうところが、ミソ?」
男「あの、自分で言うことによって俺の感情が若干しらける可能性をお前は考慮したことはないか?」
ヤンデレ「男が好きなものが好きになれて嬉しい」
男「そ、そうか」
ヤンデレ「照れてる?」
男「まぁ……若干な。面と向かって言われると、その、照れるよ」
ヤンデレ「素直……レア!」
パシャパシャ
男「わー! なんだなんだ! 写真を撮るな! 俺は零に出てくる幽霊ではないんだぞ!」
ヤンデレ「男が幽霊なら、一番弱いフィルムで何度でも取ってあげる。じわじわとなぶり殺しにするように、何度でも、角度を変えて取ってあげる……はぁはぁ」
男「こえぇよ」
ヤンデレ「それはそうと零シリーズの女の子ってみんな可愛い」
男「そうだな。俺は海咲ちゃん押しだな」
ヤンデレ「むっ」
男「自分で話ふっといて褒めるとこれだよ」
ヤンデレ「じゃあ私、海咲ちゃんのコスする」
男「まじで!?」
ヤンデレ「……やっぱやめた」
男「なんでさ!」
ヤンデレ「冗談。男面白い。コスプレ好きなの?」
男「コスプレしてるのを見てるのは好き」
ヤンデレ「じゃあ、RPGで次の町私に救わせてくれるなら、コスしてもいいよ?」
男「ふっ、ではこちらも条件を追加させてもらおう」
男「海咲とあやこちゃんコスだ!」
ヤンデレ「……いいだろう。結ぶぞ、その契約!」
男「性別的に台詞が逆な気がするが、これで私とお前は共犯者だーといったところか!」
ヤンデレ「では、次の冒険にれっつらごーなのです」
男「俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだ!」
~とりとめもなくEND~
191 : ぐう - 2013/08/15 18:01:58 I24ps1zI 158/676おまた
男くんの妹が重度のブラコンでヤンデレちゃんとなんやかんや
というありきたりな設定の第四部が始まるよっ!
~回想~
妹「おにいちゃーん、風船取れないよー」
男「全く、しかたないな妹は」
男「よっ……と、おわっ!」
妹「お兄ちゃん、危ないっ!」
ドシーン
男「いてて……」
妹「お兄ちゃん、大丈夫!?」
男「ああ、どうってことないよ……それより、」
男「ほらっ、大切なものを簡単に手離しちゃだめだぞ」
妹「うんっ! お兄ちゃんありがとー!」
妹(大切なものは手放しちゃだめ……か)
妹(お兄ちゃん……)
ジリリリリリ
男「うー……五月蠅い」
ポチッ
男「全く、何故この目覚まし時計と言うやつは人の耳朶を打ち、不快指数を増長させる音を的確に鳴らしてくれるのだろう」
シャーッ
男「カーテンの隙間から外の世界を覗いた。すると全てを洗い流すような大雨……が降っている訳でもなく、普通に晴れていた」
シャッ
男「もう一度カーテンを閉めると、ただでさえ薄暗い部屋の陰気が増した気がした」
男「特筆すべき点など無い。いつもと変わらない朝。部屋にこもる湿気と、夜を経て僅かに二酸化炭素が増した空気」
男「しかし、何故休みの日に目覚ましで起こされなければならないのだ、と憤りをぶり返してみるも、スイッチを切り忘れた昨日の自分に言えるはずもなく」
男「まだ7時の時計に焦点を合わせ、意味もなくボーっとしていると、たまらなく自分が無駄な時間を過ごしている気持ちになる」
男「あと3時間寝てから起きたって、午前中だ。十分健全の範囲内と呼べるだろう。なんてったって午前中なのだから」
男「しょうがないからプ○キュアでも見るか、等と考えつつ、僕は枕から頭を引きはがし、起床フェイズに移行した」
妹「お兄ちゃん、何言ってんの?」
男「……」
男「……僕は目の前で不思議そうな顔をしている少女を見つめた」
妹「え、ええ?」
男「この顔には見覚えがある。というか僕の妹だ」
妹「お、お兄ちゃん?」
男「先ほどまで『ラノベ風に起床でもしてみるか』なんて寝起きの発想で、一人狂言のようなセリフを垂れ流しつつ布団でもんどりうっていた僕の様子を、」
男「妹は『この人何してんだろう』という感じでじーっと見つめていたのだ」
男「さて、今のこの僕……というか、俺の気持ちを30文字程度で述べよ」
妹「!?」
妹「まぁ、多分『恥ずかしい』とか『びっくりした』とかそういうことだと思うんだけど、それって今のお兄ちゃんの気持ちを表すのに不十分だと思うの」
男「そうだな」
妹「それはあくまで、恥とか驚きみたいな一括りの言葉ではなくて、『ラノベ風に起床してみたら、それを妹に見られていた』という言葉でしか表せないんじゃ」
男「エレス・コレクート!!!」
妹「何語!?」
男「死因。恥ずか死」バタッ
妹「おおおお兄ちゃーん!?」
~~
男の部屋
男「全く、来るなら来ると連絡してくれれば良いじゃないか」
妹「したもん。でもお兄ちゃん無視するんだもん」
男「そんなわけ……ハッ」
男(ヤンデレからの着信が5分おきに来るから、携帯電源切ってた……)
妹「どしたの?」
男「いやいやいや、なんでもありませんでございますよ」
妹「なんで敬語が重複するんでございますですの? 怪しい」
男(妹が知ったら絶対心配するというか、別れろとか言って、ヤンデレの元に乗り込みかねないからな……)
男(……いやいや、俺がヤンデレと別れたくないとかじゃなくて、妹の身を案じてだな……)
男(そう、これは妹のため!)
男「いやいや、世の中には知らない方が良いこともあるあし、知らなくて良いこともあるんだよ」
男「深淵を覗く者は同様に深淵からもまた覗かれているのだ、的な言葉があってだな……」
妹「ふーん……? 深淵ってなに? 生き物?」
男「いや、まぁ、なんというか……」
妹「へへっ、それより、今日はお兄ちゃんにいっぱい甘えちゃおっ」
ギュ
男「こらこら、お前はいくつになっても甘えんぼだな」
妹「いいもーん、甘えんぼで」
男「はっはっは」
男(こんなところヤンデレに見られたら終わりだな)
ピンポーン
妹「誰だろう、お兄ちゃんとのラブラブタイムを邪魔する不届き者は……」
男「ちょ、ま」
妹「はーい」ガチャ
ヤンデレ「ちゃお」
男「深淵があらわれた!」
妹「ど、どちら様でs」ヤンデレ「男」
男「はい」
ヤンデレ「1つだけ……確認したいことがあるんだけど……」
男「うん、俺も一つだけ言っておきたいことがある。落ち着け」
ヤンデレ「わかった。深呼吸する。すーはー……すーはー」
ヤンデレ「うんっ……よし。お部屋の『お掃除』するから、包丁貸してもらえる?」
男「掃除に包丁は使いません!」
妹(ば……解体される!?)
ヤンデレ「……」
男「妹だ。ヤンデレ。い・も・う・と。ドゥーユーアンダスタン?」
ヤンデレ「妹……そう、妹だから、性別は女だよね」
男「!?」
ヤンデレ「自分の彼氏の家に彼女以外の女がいたら、ダメだよね……?」
妹「ひぃっ!?」
男(こんなときにアレだけど、お母さんが掃除しに来たとかでもダメ判定なのかコイツ?)
男「ヤンデレ。いいか? 家族に性別は関係ない」
ヤンデレ「……ん、男でも女でもオーケーという意味……?」
男「解釈おかしいだろ! つーか、そもそも妹を異性の対象として見たことなんかねぇよ!」
妹「がーんっ!」
男「え?」
妹「いやいやいや、なんでもございませんですのよ」
ヤンデレ「……なんで敬語が重複するの……? 怪しい……」
妹「なななな何をおっしゃるんですか、だ、大体あなた、お兄ちゃんの何なんですかっ!?」
ヤンデレ「何って……ポッ」
男「口に出して『ポッ』って言うてもーたよコイツ」
男「妹、まぁこの際だからもうバラすが、この女が俺の彼女だ。ヤンデレだ」
ヤンデレ「初めまして」
妹「え、え? は、初めまして……?」
ヤンデレ「ええ、そしてさようなら」
妹「!?」
~惨劇の後(嘘)~
男「落ち着いたか?」
妹「う、うん……」
妹(この人が本当にお兄ちゃんの彼女……? 確かに可愛いしサラサラ黒髪ツインテールだし、物静かで知的な感じだし……うぐ、胸も大きい)
ヤンデレ「ほんの冗談だったのに……」
男「そうか。だったらバールしまえよ」
ヤンデレ「念のため」ジッ
妹(すっごい見てくる! すっごい見てくるよヤンデレさん!)
ヤンデレ「……」ニコッ
妹「」ビクッ
ヤンデレ「なかよくしよう……ね?」
妹「は、はぁ……」
ヤンデレ「ね?」
妹「はいっ!」
ヤンデレ「……」
妹「……」
男(どうしようか、この空気……)
男「あー、なんだ。とりあえずお前ら、お茶でも飲むか?」
ぐぎゅるるる
ヤンデレ「……」
妹「……」
男「あー、悪い」
妹「……あ、お兄ちゃんお腹空いてr」
ヤンデレ「食べる?」
男「……、一応聞くけど、何を?」
ヤンデレ「私を」
妹「!?」
男「予想はできた」
妹「お兄ちゃん何でそんな冷静なの!?」
男「慣れって恐ろしいな……とりあえずカップめん作るわ」
妹「ま、待って! 私こんなこともあろうかとお弁当つくってk」
ヤンデレ「もぐもぐ」
妹「ッキャー!」
妹「何してんですかあなた! 返しなさいよ私の手作り弁当!」
ヤンデレ「とても美味しかった……褒めて遣わす」
妹「あ、どうも。一応自信作なんですよー……じゃなくて!」
ヤンデレ「むっ……このノリの良さ……まさか男の妹というのは本当に……?」
妹「今頃!? ねぇ、今頃!?」
ヤンデレ「そうすると、将来的には私の……」
ヤンデレ「お姉ちゃん、って、呼んでみて? 『おねー』って伸ばした後に、『ちゃんっ』って可愛く」
妹「お断りしますけれど!? なにそのこだわり!」
ヤンデレ「うふふ、私の妹、か」
妹「か、勝手に貴女の妹にしないでください!」
ヤンデレ「私、ずっと妹が欲しかった。ひとりっこ」
妹「そ、そうなんですか」
ヤンデレ「棚ぼたとはこのこと」
妹「勝手にぼたもち扱いしないで……」
ピピピピピ
男「カップめん3人分おまち」
ヤンデレ「わーい、男の手作り」
妹「カップめんは手作りとは言わないです。ていうか、まだ食べるんですか」
ヤンデレ「男が私のために作ってくれたものは、いくらでも」
妹「さいですか」
ヤンデレ「妹ちゃん、塩と豚骨どっちがいい?」
妹「えっ? じゃ、じゃあ豚骨で……」
ヤンデレ「はい、どーぞ」
妹「あっ、ありがとう……ございます……」
妹(ちょっと優しいところもあるのかな)
男「おおお」
妹「?」
男「なんか仲良くなった?」
ヤンデレ「うん。既にお互い『妹ちゃんっ』『おねーちゃんっ』って呼び合う仲」
妹「そこまで仲良くなった覚えはありませんが!?」
ヤンデレ「うーん……『妹御よ』『なんだい姉貴』とかのほうがいい?」
妹「違う違う。根本的に違う」
ヤンデレ「ヤンデレシスターズ」
妹「某アララギさん家の炎姉妹みたいな名称つけないで!?」
ヤンデレ「……楽しい」
妹「何が!? ねぇ、お兄ちゃん、この人変だよ!?」
男「そうだな。突っ込みがいてくれるとこんなに楽なんだな……ふぅ」
妹「こっちはこっちで変な感動に浸っている!?」
ヤンデレ「マハラギ君、自分の本分を忘れてはだめよ?」
男「人のことをアトラス作品の魔法みたいな名前で呼ぶのはやめてくれ」
ヤンデレ「アトラスと言えば……P4よりP3が好き」
男「いきなりだなおい」
ヤンデレ「人間関係のドロドロした感じがリアリティあって……いいよね」ジッ
妹「そこでなぜ私を見るんですか!?」
ヤンデレ「いや、そういえば義理の妹という可能性があったなぁ……と思って」
シャキーン
妹「バールしまってください!?」
男「安心しろヤンデレ。こいつがたとえ義理の妹でも、俺は恋愛対象としてみない」
妹「がーんっ!!」
男「え?」
妹「いやいや、お兄ちゃん、妹がお兄ちゃんを敬愛するのは至極当然のことでございますのよ?」
男「そうなのか」
妹「そうなんでございますのよ」
男「……」
妹「だから、お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ!」
男「どっかで聞いたフレーズゥウ!」
ヤンデレ「何が関係ないのか詳しく」
妹「そりゃあ、『彼女がいること』とか『結婚できないこと』とか、ねっ!」
男「いや、関係あるだろ」
妹「ないもんっ!」
男「ええー!? なにその開き直り!」
妹「もういいもん! 私……だって、私、ずーっとずーっと前からお兄ちゃんのこと大好きだったんだもん!」
男「」
妹「兄弟同士でいけないことだってわかってるけど……でも、お父さんとお母さんには納得してもらうしかない……よね?」
男「『……よね?』じゃなくて、父母の前に俺が納得していないんですけど」
ヤンデレ「待って、私も納得してない……」
妹「だから……だから……!」
妹「あなたなんかにお兄ちゃんは渡さないんだからっ!!!」
妹「うぐ……っ、うっ、ふえーん!!!」
男(泣いちゃったよ……どうしよう……)
ヤンデレ「……」
男「……」
ヤンデレ「……ふぅ」
ヤンデレ「男」
男「はい」
ヤンデレ「なに、この可愛いいきもの」
妹「!?」
男「はい、妹という生物にございます」
ヤンデレ「妹ちゃん」
妹「なっ、なんですか」
ヤンデレ「妹ちゃんが妹じゃなかったら、魔法のステッキ一振りで問題解決だけど」
妹「えっ」
妹(それバールだよね)
ヤンデレ「その可愛さと、『どうせ男に恋愛感情ないし』、『妹だから結婚もできないし』、と言う事実に免じて」
ヤンデレ「許します」
妹「許されたっ!? しかも辛辣な言葉を並べられて!」
ヤンデレ「好きな人を取られる気持ちは痛いほどわかる」
妹「……」
男(ヤンデレがまともなことを言おうとしてる気がする)
ヤンデレ「でも、考えてみて?」
ヤンデレ「本当に好きなら、その人のことを応援してあげるべきじゃないのかな」
妹「……うっ、ヤンデレさん」
ヤンデレ「だめ。おねーちゃん」
妹「えっ、お、おねーちゃん」
男(言い直させたっ!)
妹「うん……おねーちゃんの言う通りかもしれない」
妹「だって私はブラコンでお兄ちゃんのことを心から愛しているけれど」
妹「所詮は妹だもの……」
ヤンデレ「そうそう。自分の立場がようやくわかってきたみたいね」
男「おねえちゃん酷いッ!」
妹「うん……私、二人の邪魔しちゃってたよね」
ヤンデレ「うん」
男「だから酷いッ!」
妹「あはは……今日は、もう帰るね」
妹「お兄ちゃん……私、お兄ちゃんのことが好き……」
妹「だから……応援するね、お兄ちゃんと、ヤンデレさんのこと」
男「お、おう……?」
妹「お幸せにっ!」ダッ
男「妹ー!?」
ヤンデレ「……一件落着」
男「どこがだよ……」
ヤンデレ「兄を愛する少女は、正妻を見て潔く身を引いたのであった。完」
男「いつ婚姻を交わしたんだよ、俺とお前が」
ヤンデレ「あ・な・た」
男「どうするかなー、妹が俺にそのような感情を持っていたとは……」
ヤンデレ(ガン無視……)
ヤンデレ「妹さんの気持ちに折り合いがつくまで、待とう」
男「そうだな……」
ヤンデレ「じゃあ、落ち着いたところでイチャイチャしよう?」
男「全然落ち着いてないから……」
~数日後、男宅~
妹「お・に・いっ、」
男「むっ、この気配はいも、」
妹「ちゃーんっ!」
ドゴフッ
男「ぐはっ」
男「妹よ、兄に背後からフライングボディアタックをしてはいけないとお母さんから教わらなかったか?」
妹「全然!」
男「おおう……なんか今日はやけにハイテンションだな」
妹「これ、見て、これ!」
ピラッ
男「なんだ……?」
妹「ほら、私たち、実は血の繋がってない兄妹なんだよ!」
男「はい?」
妹「お父さんとお母さんが、私たちがすっごーく小さいころに再婚してて、」
妹「それぞれの連れ子だった、というわけなのさ!」
男「……はい?」
妹「つまり、私たちは完全に血の繋がってない義兄妹! 結婚可能!」
男「え……?」
妹「だからー、要するに合体可能なの!」
男「待て、なにそのアクエリオン的結論」
妹「あなたと……合体したい」
ヤンデレ「その合体、ちょっと待った」
妹「なっ、ヤンデレさん、いつの間に!?」
ヤンデレ「ずっと前から」
男(こえぇよ)
妹「し、しかし! ヤンデレさんとて今や妹という枠組みに収まらない私を止めることなd」
ヤンデレ「黙れ、そして聞けい」
男「ゼ○ガー!?」
ヤンデレ「我はゼ○ガー・ゾンボルト。悪を断つ剣なりぃいー」
妹「ちょ、まっ」
ゴスッ
妹「がふっ」
妹(だから……それ……バールだよ……ね? 斬艦刀じゃなくて、ね……?)
ドサッ
ヤンデレ「悪は滅びた」
男「展開が急すぎてもう」
ヤンデレ「私はこの剣に誓おう」
男「剣じゃないとか、もうつっこまねぇ」
ヤンデレ「これから第二第三の妹が現れようと、この剣で悪を断ち続けると……」
男「あの、人斬りだけはマジでやめてね?」
ヤンデレ「妹襲来編・完」
男「勝手に終わらせられた!?」
~ありきたりな設定の妹編・完~
272 : ぐう - 2013/09/26 22:52:56 3llu2fgQ 224/676
第4・5部 納涼 怪談座談会
~夏と花火とタワシの死体~
はじまるよっ
男「怪談百物語、はじまりはじまりー」
ヤンデレ「いぇーい、ドンドンパフパフ―」
妹「ううー……怖いの苦手なのに」
男「大丈夫だ妹よ、お兄ちゃんがついてる」
妹「お兄ちゃん……!」
妹(いや、そもそも断ったのを無理やり連れてきたのはそっちなんだけどね……?)
ヤンデレ「じっ」
妹「おねーちゃん、羨ましそうなもとい恨めしそうな目でこちらを凝視するのはやめていただきたい」
ヤンデレ「私も言われたい……」
男「何をだよ……」
ヤンデレ「とりあえず、男には私が憑いてるから大丈夫」
男「その誤植怖いんですけど」
ヤンデレ「誤植……?」
男「どうやら違った! 本気だったみたいだ!」
妹「うぅ……、とりあえずさっさと始めてさっさと終わらせようよぉ……」
ヤンデレ「では、僭越ながら私がトップバッターを」
男「お、やる気満々だな」
ヤンデレ「こほん。では……いきます」
ヤンデレ「むかーしむかしあるところに」
男「待て、それは本当に怪談か? 出だしからして昔話だぞ」
ヤンデレ「懐談」
妹「懐かしむんですか!?」
ヤンデレ「私ってお茶目……」
妹「あ、それ自分で言うんだ……」
ヤンデレ「いわゆる、てへぺろというやつ」
ヤンデレ「それはさておき……これは、私の知人が本当に体験した話です」
男「お前知人とかいたんだ」
ヤンデレ「……」
男「わ、悪かったよ。そんな涙目でにらむなよ」
妹「あ、ほら、続きは? おねーちゃんっ」ニコッ
ヤンデレ(妹ちゃん可愛い)
ヤンデレ「こほん。……私の知人はファミレスでバイトをしているのですが、その日は夜勤でお客さんの入りも少なかったそうです」
ヤンデレ「知人は暇な時間を掃除にあてがいながら、何気なくお客さんの数を数えてみました」
ヤンデレ「深夜1時の時点で1組のカップル、中年の男性、若者3人、中学生ぐらいの女の子の計7人」
ヤンデレ「やがて30分くらいでカップルが去り、しばらくすると中年の男性、若者グループが去りました」
ヤンデレ「残ったのは女の子だけだ、と思い席のほうを眺めてみると、誰もいません」
ヤンデレ「知人は首を傾げ、「さっき中学生ぐらいの女の子がいたよね」とシフトが同じ人に尋ねると、そんな女の子はいなかったの一点張り」
ヤンデレ「少し気味の悪さを覚えつつも、その日の業務は何事もなく終了しました」
妹「ごく……」
ヤンデレ「……」ソワソワ
ヤンデレ「それは……、お前だー!!」妹「ぎゃー!!!」
男「やめれ」
ビシッ
ヤンデレ「あうっ」
男「脈絡がなさすぎるだろ! それで驚く妹も重傷だが……」
妹「だ、だだだって! いきなりおっきい声出すんだもん!」
ヤンデレ「ふふ、妹ちゃん可愛い」
男(悪趣味っ!)
ヤンデレ「こほん。さて、続きです」
ヤンデレ「再び夜勤のシフトになった知人は、その日もお客さんの数を数えていました」
ヤンデレ「深夜1時の時点で計6人。この間の女の子は見当たりません」
ヤンデレ「なんだか落ち着かない様子でソワソワしていると、「すみません」と背後から声をかけられました」
ヤンデレ「びっくりして振り返ると、おばあちゃんが手を挙げていて、「コーヒーのおかわり」と一言。」
ヤンデレ「そのおばあちゃんの優しそうな顔にどこか安堵を覚え、「かしこまりました」と言って知人はキッチンに向かいました」
ヤンデレ「同僚が怪訝そうな顔でこちらを見ていましたが、気にせずコーヒーを注いで戻ります」
ヤンデレ「すると、僅か2分ほどの間だったにも関わらず、おばあちゃんの姿がどこにも見当たりません」
ヤンデレ「この間の女の子の件を思い出し、なんだか知人は背筋に寒気のようなものを覚えました」
ヤンデレ「思わず、近くの席に座っていた初老の男性に話しかけます。「失礼ですが、こちらに座っていたお客様って、お帰りになられたか分かりますか?」」
ヤンデレ「しばらく男性は面食らった後、「あなた、見える人ですか?」と聞いてきました」
ヤンデレ「その言葉で直感的に、知人は「ああ、あのおばあちゃんはこの世の者ではなかったのか」と納得しました」
ヤンデレ「「集まるところには集まるらしいですから……なあに、害はありませんよ」と男性。知人はお礼を言って、「もしよろしければ」と淹れたてのコーヒーを男性に差し出しました」
ヤンデレ「キッチンにトレイを下げに戻ると、やはり怪訝そうな顔をした同僚に「さっきのコーヒーは?」と聞かれました」
ヤンデレ「「ああ、多分聞かない方が良いよ。とりあえず別のお客様にあげちゃった」と答えると、同僚の顔がみるみるうちに青ざめていきます」
ヤンデレ「「言ってもいいかわかんないんだけど……うーん」と同僚は何やら考え込んでいる様子」
ヤンデレ「「どういう意味?」と尋ねると、「誰もいないんだよ」と同僚は答えました」
ヤンデレ「「……この間も、今日も、深夜1時のシフトが始まってから今の時間まで、この店にはお客さんなんて『誰一人』来ていないんだよ」」
ヤンデレ「果たして、知人の目に見えていたお客さんは、一体なんだったのでしょうか」
ヤンデレ「……以上。知人の実体験にもとづく怪談でした」
妹「お……おぅふ……」
男「すげー、そんなことってあるんだな」
ヤンデレ「ちなみにその場所っていうのが、」
妹「あーあーきこえなーい」
男「リアルでこんな事する人初めて見た!」
ヤンデレ「妹ちゃんの家の近くの」
妹「あーあー!」
ヤンデレ「……、うっそぴょんっ」
妹「ウソなの!? そしてなんでちょっと逡巡した後に可愛らしい言い方したの!?」
ヤンデレ「面白いかな、と。ちなみに本当の場所は……」
妹「あーあーあー!」
ヤンデレ(面白い……)
男「さて、じゃあ次は俺だな」
ヤンデレ「猥談?」
男「ちげーよ怪談だよ! なんで実の妹がいる前で猥談だよ!」
妹「うぅ……、怪談も猥談もいやぁ……」
男「だから怪談だっての……コホン、では」
男「あれは俺がまだ小学生ぐらいのときでした」
妹「待ってお兄ちゃん。それって実体験?」
男「ノーコメント」
妹「ふぇぇ……」
ヤンデレ「小学生時代の男……ハァハァ」
男「……ノーコメント!」
ヤンデレ「ちぇ」
男「まぁ、その頃クラスで怖い話とかが流行ってさ」
男「合わせ鏡を作ると悪魔が現れる、とかいうやつを実行してみたわけよ。夜12時」
妹「うわーん、やっぱり実体験なんだ!」
男「まあ、いいからいいから」
男「何のことはなかったよ。ただ鏡を持ってる俺がずーと写ってるだけで、悪魔なんて出てこなかった」
妹「ほっ」
男「うん、悪魔は出てこなかった」
妹「何が!? 何が出てきたの、お兄ちゃん!?」
妹「あっ! でもいい! やっぱり言わないでください!」
ヤンデレ「聞きたい……」
妹「いやー!」
男「まあ、ご想像にお任せするということで。それ以来俺は一生合わせ鏡をしないと誓ったけど」
妹「意味深すぎて逆に怖い!」
ヤンデレ「貞子的なやつ?」
男「いや、そこまでではない」
妹「『そこまでではない』!? 貞子以下の何かしらが出てきたの!? こえぇよ!」
ヤンデレ「怖さのあまり妹ちゃんの口調が崩壊を……」
男「いやぁ、実はあんまり思い出したくないんだよ」
妹「よし、じゃあもうこの話題やめよう! 次行こう、次!」
ヤンデレ「妹ちゃんが乗り気になってくれて嬉しい」
妹「ち、違うんだからね! 乗り気とかじゃないんだからね!」
男(ツンに見せかけたマジ否定とは、妹よいつの間にそんな高等テクニックを……)
妹「ていうか、次って順番的に私ですか? あんまり怖い話とかはちょっと……」
男「何でもいいぞ。天井のシミが人の顔に見えたー、とか」
ヤンデレ「微妙に部屋のレイアウトが変わってたり、自分以外の髪の毛が落ちていたりとか」
男「うん、それ俺の体験だね! そして犯人はお前だ!」
ヤンデレ「てへぺろ」
妹「あっ」
男「なにか見つかったか? 怖い話」
ヤンデレ「言っちゃいなよゆー」
男「どこのジャニーさんだよお前は」
妹「話とかじゃないけど……、お兄ちゃんとヤンデレさんのやりとりに慣れつつある自分の変化がちょっと怖い」
The・End
ヤンデレ「今回はきれいに落ちた。……ちょちょいのジョイやで!」
男「落ちてねえよ。落ちてるのは油汚れだけだよ」
ヤンデレ「更新遅かったね。私男とイチャイチャできるのをずっと待ってた」
男「更新とかメタな話はらめぇえええ!」
ヤンデレ「……実は今回の話、過去編のインタールードになってる」
男「そんな某巨人みたいな嘘まみれの次回予告はよくない。そしてやるなら笑いを取りに行けよ」
ヤンデレ「次回! 特に理由のない暴力が男を襲う編!」
男「丸パクリじゃねーか! 少しはひねりなさいよあなた!」
ヤンデレ「次回! 特に理由のないヤンデレが男を愛しすぎて夜も眠れない綿流し編!」
男「色々混ざってるし! 意味わかんねーし! 最後の物騒なんですけどL5発症したりしないよね!? ダイジョウブだよね!?」
ヤンデレ「こうご期待!」
~第五部 ストーリーなんて飾りです。
偉い人にはそれが分からんのですよ編~
男「う……! うぁっ……!」
ヤンデレ「ねぇ……まだ……?」
男「ぐっ……ちょ、ちょっと待て」
ヤンデレ「はぁはぁ」
男「や、やめろ……ヤンデレ、それ以上は……っ!」
ヤンデレ「だめ。やめてあげない」
男「あっ……もうヤバい! だめだって!」
ヤンデレ「ふふ……男、今どんな表情してるの……? 暗くて良く見えない……」
男「ぐっ……! あぁ……来る! もう来るってば!」
ヤンデレ「ペースあげるね」
男「あっ! こら、だっ、だめ! 来ちゃう! 来ちゃうんだって!」
ヤンデレ「はぁ……はぁ……」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!
男「らめぇええそんなにチャイム鳴らしたらお隣さん来ちゃうのぉおおおお!!!」
~~
男「ていっ」
ヤンデレ「あうっ」
男「人がう○こしてる最中に訪ねてきやがって……しかも、なかなか出てこないから浮気と疑ったんだろどうせ」
ヤンデレ「……私よりう○こが大事なの? 私はう○こ以下のクソ女だって言いたいの? 男、ひどい」
男「ちげーよ、っつーかどこのミコノさんだよ」
ヤンデレ「あまたくん!」
男「ねーから。光の翼が足から出てきたりしないから」
ヤンデレ「まぁ冗談はさておき……」
男「近所迷惑っていう部分に関しては冗談になってないんだけどな」
ヤンデレ「ダイジョウブ。お隣さんが『いなければ』文句を言う人はいない……」
男「待て、お前……。201号室と203号室の人……どこにやった?」
ヤンデレ「……君のような勘の良いガキは嫌いだよ」
男「ニーナ、アレキサンダーッ!!!」
ヤンデレ「ジョバンニが一晩で殺ってくれました」
男「『やる』の意味が違うから!」
ヤンデレ「圭一君、お隣さんは『転校』したんだよ……だよ?」
男「サトシにぃにーーー!」
ヤンデレ「こほん。隣が留守であることは調査済み、男が最中であることも調査済み」
男「よかった……ほんとに。さーて、監視カメラどこだー?」
ヤンデレ「あう……」
~~
ヤンデレ「キスを……してみませんか、キスをして、いただけますか…違う……キスを……しま、キスをしましょう。阿良々木くん」
男「ガハラさんみたいな言い方してもダメだし、俺は阿良々木くんじゃないし」
ヤンデレ「ちぇ」
男「で、なに」
ヤンデレ「……?」
男「そこで小首を傾げるか。何の用か、ってこと」
ヤンデレ「用なんて……ないよ?」
男「なるほど。人の大便を邪魔する理由にはなってないな、という訳でゴーホーム!」
ヤンデレ「分かった。もっかい帰ってまた来るね?」
男「同じだから! 結果同じだから!」
ヤンデレ「じゃあ男の家に帰るね?」
男「ここだから! 俺の家! やはり結果変わってないから!」
ヤンデレ「じゃあ、男の実家に帰って挨拶してくるね?」
男「ここにいてくださいお願いします!」
ヤンデレ「やだもう男ってば……言われなくてもそのつもりなのに……」
男「……はあ、いい。いいよもう……居とけよ」
ヤンデレ「えっ……『俺の傍にいろよ』だなんて……男、ダイタン……」
男「言ってねえから。それは幻聴だから」
ヤンデレ「照れ屋……」
男「はぁ、とりあえず漫画でも読んどけよ。俺はもっかいトイレにこもらせてもらう」
ヤンデレ「わかった。出そうになったら言ってね?」
男「ああ、わかっ……いや言わねえよ!? さも当然の如く言われたけど、何するつもりなの!?」
ヤンデレ「大丈夫。さすがにそういうディープな趣味はない……けど、男の苦悶に満ちた表情をハァハァ」
男「十分ディープだし、最後ハァハァでいえてないし」
ヤンデレ「眉間にしわを寄せていきむところから出しきったところの解放感に満ち溢れた表情の一部始終を……」
男「いいから! 最後まで言わなくていいから!」
ヤンデレ「そう……じゃあ、漫画でも読むことにする。ちょうど……第五部だから、ジ○ジョ第五部読んでおく」
男「メタな話しちゃらめなのぉおおお!」
ヤンデレ「男はお腹の中のムーディー○ルースをトイレでエ○ロスミスッ! してきていいよ?」
男「いいよ? じゃねえよ! 荒○先生に怒られるぞお前!」
ヤンデレ「戻ってきたらブチャのかっこよさについて語ろう……」
男「くっ……大便とヤンデレの相手、両方やらなくっちゃあならないのが幹部の辛いところだ……ッ!」
~WC後~
男「アリーヴェデルチッ!」
ジャゴー(トイレの水を流す音)
男「すっきり!」
ヤンデレ「もう、男ってば……いっぱい溜めてたのね」
男「やめて! 何か違う別のものを溜めてたように聞こえるから!」
ヤンデレ「あ……ごめん、気づかなくて」
カチャカチャ
男「待て」
ヤンデレ「どうして止めるの……?」
男「普通いきなりズボンのベルトをカチャカチャされたら止めるだろう」
ヤンデレ「……。スティッキーフィンガーズッ!」
男「無駄無駄無駄ァッ! 読めていたぞッ!」
ヤンデレ「でも……男のスピ○ット・オブ・ソードもうこんなにダブルオーバーソウルだよ……?」
男「だよ……? じゃねえよ! 武井先生にも怒られるぞお前!」
ヤンデレ「あなたの甲縛式OSになりたい」
男「十分縛られてるんで遠慮します」
ヤンデレ「じゃあ、あなたと憑依合体したい」
男「どっちか死なないと無理!」
ヤンデレ「男が死んだら、持霊にしてあげる……」
男「まん太ぁあああ!」
ヤンデレ「リーパイロンみたいに身体そのままでゾンビ化も捨てがたい……かも」
男「何をする気だ、俺の体を媒介にして」
ヤンデレ「コホン。さて、今日は良いものを持ってきました」
男「うわーヤンデレは相変わらず唐突だなー」
ヤンデレ「良いもの、一体なんでしょう……?」
男「なんだ?」
ヤンデレ「ナウいものです」
男「うん、まずその言い方がナウくねーわ」
ヤンデレ「色のついた丸が描かれています」
男「……国旗?」
ヤンデレ「男面白い」
男「不正解なんだな。そうかそうか。いやー外れちゃったな残念だな。寝るわ」
ヤンデレ「あっ、待って待って……恋人同士で楽しむものです」
男(どうせツイスターゲームとかなんだろうな)
ヤンデレ「当たり」
男「マジだった! ていうか心を読むな!」
ヤンデレ「読唇術を以てすれば容易い……」
男「動いてないから! 唇は一切動いてないから!」
ヤンデレ「……?」
男「小首をかしげられても!」
~~
男「じゃあ次、緑な」
ヤンデレ「あっ……」
男「ほらほら次行くぞー、黄色」
ヤンデレ「んっ……だめ……!」
男「まだまだ行くぞー、おっと、ここで青」
ヤンデレ「ん……!」
男「次は……」
ヤンデレ「ちょっとタンマ」
男「どうした」
ヤンデレ「思ってたのと……違う」
男「そうか?」
ヤンデレ「うん……私が思ってたのは、そう、男と私が密着してイチャラブな感じの……」
男「残念だが、俺はここで針を回すことしかできない」
ヤンデレ「え……?」
男「だがヤンデレにはヤンデレにしかできない、ヤンデレにならできることがあるはずだ」
ヤンデレ「加持さん……?」
男「誰も強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」
ヤンデレ「じゃあ男と一緒にツイス」
男「誰も強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」
ヤンデレ「昔見たMADを思い出す言い回し……」
男「分かってくれればいいんだ」
ヤンデレ「あぅ……」
~~
ヤンデレ「あ、昔のアルバムがある」
男「目ざとい奴だな」
ヤンデレ「これ、男が高校入学のときのやつ……」
男「うむ。いかにも」
ヤンデレ「ふふ。このとき、緊張しすぎて入学式初日から遅れちゃったんだよね……」
男「うむ! いかにも!」
ヤンデレ「こっちは文化祭……女装メイドの男可愛いかったなぁ」
男「黒歴史だからやめて……」
ヤンデレ「すね毛剃ったら女の子の足だよね……うふふ……」
男「やめてー! 見ないで―!」
ヤンデレ「こうしてると私たちが出会ったときのことを思い出すね……」
男「……」
ヤンデレ「……思い出すね?」
男「……その件なんだが」
ヤンデレ「なにかな? ……かな?」
男「俺、お前と出会った『記憶』が一切ないんだが」
ヤンデレ「それぐらい自然に男と仲良くなれたってこと……? 嬉しい……」
男「ははは……いや、そうじゃねーよ……」
男(……いや、ちょ、改めて考えると怖いなこれ……)
男(俺は『出会った覚えのない女』と付き合ってるということになるのか)
ヤンデレ「どうしたのかな? なんだか震えてるみたいだよ? ……だよ?」
男「いやぁ……ははは、ちょっと待って」
ヤンデレ「なんで後ずさるの? 逃げられたら追いかけたくなっちゃう……」
男「うん、よくよく考えたらおかしな話なんだよな……」
ヤンデレ「何もおかしいことなんてないよ……?」
男「いや……、おかしいんだよ。お前は……だって、『女子高』出身だろ? なんで他校の、共学の俺の様子を、自分の目で見たかのように事細かに知っているんだ? お前は何なんだ……?」
ヤンデレ「ふふ……おかしな男、私は私……だよ? 男のことが大好きな、私。男のことならなんでも知ってる、私」
男「……そうか」
ヤンデレ「……そうだよ? だよ?」
男「……」
ヤンデレ「……」
男(三十六計逃げるにしかず、と俺の中のヒューズ(故)が申している!)
男「……俺、ちょっとコンビニいっ」
ヤンデレ「だめ」ガシッ
男「なっ……!」
ヤンデレ「ちょっと痛いけど……我慢して、ね?」
ブスッ
男「な……それ……注射、器……?」
ヤンデレ「大丈夫。ちょっと眠るだけ」
ヤンデレ「起きたら全て終わってる。そう……ひぐらし的なものが泣く頃に」
男「ていうか、それ……ひぐらしだよね……!?」バタッ
ヤンデレ「……」
~~
男「はっ」
ヤンデレ「あ、男……気が付いた?」
男「う……、なんだかひどく嫌な夢を見ていた気がする」
ヤンデレ「うん。なんだか、うなされてたもん」
ヤンデレ「遊びに来たら、一人で床に寝てるんだからびっくりしちゃった……びつくり」
男「わざわざ小さい『っ』を『つ』に直す意味は分からんが、一人で……?」
ヤンデレ「そうだよ……? 一人で。」
男「うん……? おっかしいな……」
ヤンデレ「そんなことより、ご飯のこと考えよ? 夕飯、何がいい? 私好きなもの作ってあげる」
男「……」
ヤンデレ「男、どうせロクなもの食べてないでしょ……」
男「いや、おかしい」
ヤンデレ「……なにが?」
男「何か隠していることはないか?」
ヤンデレ「なんのことかな……ひょっとして男、まだ寝ぼけてる?」
男「そう、それだ」
ヤンデレ「えっ」
男「普通さ、寝てた人が起きたら『気が付いた?』って声をかけるかな……? と思って」
ヤンデレ「……」
男「いや、不思議ではないよ。でも、明らかに寝てるんなら、『あ、起きた?』とかいう反応になるんじゃないかな……と」
ヤンデレ「……ふふ、そんなの、どっちでもいいじゃない」
男「そうだな。どっちでもいいか、はっはっは」
ヤンデレ「そうだよ……。男、心配性」
男「そうだな。悪い悪い。ところでヤンデレ」
ヤンデレ「なに……?」
男「お前、いつから料理できるようになったんだ?」
~なんだかよくわからないがちょっぴりホラーEND~
続き
男「別れよう」ヤンデレ「……!」【後編】