1 : 以下、名... - 2016/02/10 11:15:12.04 FZzDF/u0O 1/411


提督「いやー鎮守府に帰るのも久しぶりだなぁ」テクテク

提督「暫く忙しかったし何より飽き気味だったからな」テクテク

提督「プロデューサー業も忙しかったししょうがないよな」テクテク

提督「近日中にイベントがあるって聞いて久しぶりにやりたくなって来てみたが」テクテク

提督「どうせすぐ終わるまでんだろうな、うちの艦娘優秀だし」テクテク


元スレ
提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1455070512/

2 : 以下、名... - 2016/02/10 11:16:01.08 FZzDF/u0O 2/411


提督「お、そろそろ着くな」テクテク

提督「あいつら元気にやってるかなぁ」テクテク


ビュオオオオオオオ


カランカラン


提督「ん、なんだこれ?ボロボロな板みたいだが」

提督「なになに……【○○鎮守府】」

提督「あれ?これって俺の鎮守府の表札だ。こんなにボロボロだったけ」

提督「まったく、表札の手入れ位ちゃんとやっとけよな。後で明石にでも頼むか」

3 : 以下、名... - 2016/02/10 11:16:36.39 FZzDF/u0O 3/411


提督「さ、付いた着いた。久しぶりに提督業頑張るとしますか!」チラッ


ガラーン

カーカー


提督「ん、なんだこの廃墟」

提督「あー久しぶりすぎて道間違えちゃったかもしれん」

提督「ん?でもこの表札ぴったり合うな」

提督「……」

提督「まさかな!だって俺の鎮守府はいつも綺麗で小鳥のさえずりが聞こえてくるくらいだし」

提督「まあでも折角だしちょっと寄ってみるか」

5 : 以下、名... - 2016/02/10 11:27:28.00 FZzDF/u0O 4/411



―司令室―


「ただいまなのです」バキッ

「あ、またドアノブが壊れてしまいました。後で直さなきゃいけませんね」

「それよりも今日も出撃してイ級を沈めてきたのです」

「これで今日は大丈夫なのです」

6 : 以下、名... - 2016/02/10 11:28:30.86 FZzDF/u0O 5/411


「あ、報告書を書かないと」

「えーと、今日はイ級を二隻沈めました。鎮守府の近くの海域にいる深海棲艦は少しずつこの鎮守府に近づいています。このままではここも……」カキカキ

「」ブンブン

「な、内容を間違えてしまったのです。書き直さなきゃ、ええと、今日もいい天気なのです、と」

7 : 以下、名... - 2016/02/10 11:29:28.26 FZzDF/u0O 6/411


「うんしょっと」ドサ

「報告書の段ボール箱が溜まってきたのです。そろそろ書くのをやめるべきでしょうか……」

「でもやめたら司令官さんが困ってしまうのです。やっぱり書き続けましょう」

「あ、もうこんな時間なのです。遠征と掃除と演習とご飯の準備とやることが一杯あるのに」

メリメリ

ズドン

「報告書の段ボールの重さに耐えられなくなって床が抜けてしまったのです……」

「まずは掃除からしましょう」

8 : 以下、名... - 2016/02/10 11:35:07.59 FZzDF/u0O 7/411


「」カンカン

「板もそろそろ尽きてきました。また拾って来なくちゃいけませんね」カンカン

「また寝る時間が減ってしまいそうなのです」カンカン

「できました。次は司令官さんの机を拭きましょう」

9 : 以下、名... - 2016/02/10 11:35:46.98 FZzDF/u0O 8/411


「」フキフキ

「司令官さんの机はちゃんと綺麗にしないといけないのです」フキフキ

「司令官さんはすぐ机を汚してしまうのです」フキフキ

「だから電がちゃんと綺麗にしないといけないのです」フキフキ

10 : 以下、名... - 2016/02/10 11:36:45.50 FZzDF/u0O 9/411


「ふぅ、これでいいのです」

「今日も司令官さんの机は綺麗なのです」

「明日も……多分綺麗なのです」

「明後日も……その次の日も……綺麗……なのです」

「……」

「」グスッ

「」グシグシ

「弱音を吐いちゃいけないのです。電は初期艦なのです、秘書艦なのです」

「だから……泣き言なんて……言わないのです」

「例え司令官さんが帰って来なくても……電はここで待ち続けるのです……」

11 : 以下、名... - 2016/02/10 11:37:31.83 FZzDF/u0O 10/411


ヒラリ

「あ、写真が落ちてしまいました」

「もう色褪せてボロボロになっているけれど」

「電の大事な大事な宝物なのです……」ポロポロ

「司令官さん……電は……もう限界なのです……」ポロポロ



18 : 以下、名... - 2016/02/10 12:11:38.57 FZzDF/u0O 11/411



扉『』バンッ


提督「なんだこれ、ドアノブ壊れてるじゃねーか!」

「え?」

提督「ん?」

「え?え?」

19 : 以下、名... - 2016/02/10 12:12:10.33 FZzDF/u0O 12/411


提督「おお電じゃないか、久しぶりだな。こんな所で何やってんだ?」

「司令官……さん‥…?」

提督「ははーん、さては暁達とここに遊びに来たんだな。ここは危ないから鎮守府に帰……」

「司令官さん!」ダキッ

提督「うおっ!?急にどうした?」

「うわあああああん!」ボロボロ

提督「幽霊でも見たのか?」

「司令官さあああああん!」ボロボロ

提督「よしよし、もう怖くないぞー」ナデナデ

――――――――――
―――――――
―――



20 : 以下、名... - 2016/02/10 12:18:23.33 FZzDF/u0O 13/411


提督「そろそろ泣き止んだか?」

「はいなのです、ごめんなさいなのです」グスッ

提督「よし、じゃあそろそろ離れて……」

「嫌なのです」ガシッ

提督「この状態じゃ話し難いだろ」

「もう絶対に離さないのです」

提督「しょうがないやつだ」

21 : 以下、名... - 2016/02/10 12:18:51.27 FZzDF/u0O 14/411


提督「それよりさっさと鎮守府に帰るぞ、こんなボロい所にいつまでもいたら危険だしな」

「何を言ってるんですか?」

提督「だからこんな廃墟で遊ぶのはやめてもう帰るぞ。今日はカレーの日だからな、遅くなると鳳翔に怒られる」

「……ここなのです」

提督「ん?なんだって?」

「ここが……鎮守府なのです」

提督「はい?」

「……」

23 : 以下、名... - 2016/02/10 12:27:11.91 FZzDF/u0O 15/411


提督「はっはっは、電は嘘が下手だなぁ」

「嘘じゃないのです」

提督「ここが俺の鎮守府なわけないだろ、甲勲章に名前が書いてあるんだからここの鎮守府が誰のか位すぐに……」

提督「あれ?俺の名前が書いてあるんだけど」

「ここは司令官さんの鎮守府なのです」

提督「……本当?」

「なのです」コクリ

提督「ええええええええええ!?」

24 : 以下、名... - 2016/02/10 12:27:50.03 FZzDF/u0O 16/411


提督「嘘だろ!?この廃墟みたいなボロい所が俺の鎮守府!?」

「電一人では掃除しきれなかったのです」

提督「他の艦娘は!?」

「皆出ていってしまいました」

提督「第一艦隊もケッコン艦娘も全員か!?」

「はい」コクリ

提督「のおおおおおおおおお!」ゴロゴロ

「あ、そんなに暴れちゃ危ないのです!」

メリメリ

ズドン

提督「うわああああああ!」

「大丈夫ですかー!」



27 : 以下、名... - 2016/02/10 12:37:32.56 FZzDF/u0O 17/411


提督「ちょっと現状を整理してもいいか?」

「はいなのです」

提督「どうしてこうなったんだ?」

「司令官さんがいなくなってから始めは金剛さんが司令官さんの代わりを務めていたのですが」

「司令官さんがいない鎮守府の風当たりは強くていつも苦労してました」

提督「……」

「それでもいつか帰ってくる。そう信じて皆で支え合いながら頑張ってきたのですが」

提督「……」

「いつまでたっても帰ってくる気配がなく、段々鎮守府の雰囲気が悪くなってきました」

提督「もうやめて」

28 : 以下、名... - 2016/02/10 12:38:13.20 FZzDF/u0O 18/411


「司令官さんが帰って来ない事に怒る人、自分を責める人、悲しむ人、色々いました」

提督「ごめんほんとごめん」

「そして司令官さんは帰ってくる、帰ってこないという言い争いが続き、鎮守府は機能しなくなっていきました」

提督「」

「そして皆さんの心身が疲弊しきった頃、大本営からこの鎮守府の全艦娘の異動命令が出ました」

提督「それでか」

「皆さんはもう疲れ切っていて正常な判断ができなくなっていたのです。それでいなくなってしまいました」

29 : 以下、名... - 2016/02/10 12:39:44.03 FZzDF/u0O 19/411


提督「あれ、じゃあなんで電はここに?」

「異動自体は特に問題なかったのですが、ここを壊すと言われてそれだけはどうしても嫌だと抵抗したのです」

提督「電……」

「それで大本営にも見捨てられてしまって」

提督「今まですまなかったな」

「いいのです、司令官さんがいれば他に何もいらないのです」

30 : 以下、名... - 2016/02/10 12:40:47.87 FZzDF/u0O 20/411


「それよりこれからどうするのです?」

提督「そうだな、ちゃっちゃとイベント終わらせようと思ったがやめだ」

提督「まずは艦娘を取り返すぞ!」

「取り返すって、他の鎮守府に行った皆さんをですか?」

提督「ああ、ケッコン艦娘を取り戻せばなんとかなるだろ」

「相変わらず大雑把なのです」

提督「それまで取り敢えず二人で頑張るか。改めてこれからよろしく頼むぞ、電」

「はいなのです!いつか昔の鎮守府みたいになるように頑張るのです!」

59 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:31:58.49 0+NibwpyO 21/411


提督「おーい電、そこの板取ってくれー」カンカン

「はいなのです!」

提督「よし、できたぞ!仮の鎮守府だ」

「傾いてるのです」

提督「気にするな」

60 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:33:18.06 0+NibwpyO 22/411


「」ガチャ

「司令官さん!ドアノブが壊れないのです!凄いのです!」ガチャガチャ

提督「はっはっは、当然だろ?」

「司令官さん!床が抜けないのです!嬉しいのです!」ピョンピョン

提督「本当今まですまんかった」

61 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:33:47.08 0+NibwpyO 23/411


「司令官さん、まずは誰の元へ行くのですか?」

提督「そうだな、まずはあいつからかなぁ」

「あの人ですかぁ」

提督「あいつは五月蝿いけど強力な雷撃撃つからなぁ」

「凄い威力なのです」

62 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:34:16.97 0+NibwpyO 24/411


提督「あ、そういえばまだあれとあれとあれログインしてないや」

提督「電、ちょっと出掛けるから待っててくれ」

「嫌なのです!」ガシッ

提督「電……」

「もう司令官さんがどこかに行ってしまうのは嫌なのです……」ギュッ

提督「わかった。電がそう言うならここに残るさ」

「司令官さん……」

提督「別に少し位ログインしなくても変わらんしな」

「ありがとうなのです」

提督「気にするな。それよりあいつの所に行くぞ!」

「はいなのです!」

63 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:53:58.37 0+NibwpyO 25/411


―西鎮守府―


扉『』コンコン

大井「失礼します」ガチャ

大井「こちら今日の報告書になります」スッ

西提督「ああ、ありがとう。それにしても凄いね、またレ級沈めたんだ」

大井「運が良かっただけです」

西提督「それでも凄いよ、大井さんがここに来てから効率が凄く良くなってる。本当に感謝してるよ」

64 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:54:24.72 0+NibwpyO 26/411


大井「光栄です。では私はこれで」

西提督「あ、ちょっと待って」

大井「何か?」

西提督「折角だしさ、一緒に間宮でパフェでも食べに行かない?」

大井「私はここに居させてもらうだけで十分です、そのような娯楽はいりません」

西提督「で、でもさ」

大井「失礼します」バタン

西提督「あ……」

西提督「うーん、やっぱり中々心を開いてはくれないなぁ」

65 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:55:32.33 0+NibwpyO 27/411


―港―


ザザァン


大井「……」


『おい、なんで大破してんだよ!まだボス前だぞ!』

『うるさいわね!あんたの指揮が悪いんでしょうが!』

『なにおう!?俺の采配が悪いって言いたいのか!』

『当たり前でしょ!私のせいじゃないわ!』

『くそう!覚えてろよ!』ダッ


大井「……」

66 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:56:12.98 0+NibwpyO 28/411


北上「やっぱりここにいた」

大井「北上さん……」

北上「やっほー。元気?」

大井「ええ、元気よ」

北上「調子はどう?」

大井「ええ、提督も優しいしこの鎮守府の皆も笑顔で迎えてくれてるし」

大井「何より北上さんと一緒に居ることができるんですもの、最高よ」ニコッ

北上「私も大井っちと一緒に生活できて楽しいよー」

67 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:56:42.66 0+NibwpyO 29/411


北上「でも大井っちは凄いねー。敵に必ず雷撃当てるし被弾もしないし」

北上「まさに理想の艦娘だねぇ。昔からそうだったの?」

大井「そんな事ありませんよ。昔は何をやってもだめでお荷物でした」

北上「えー信じられないよぉ」

大井「本当ですよ。そのせいでよく提督と喧嘩して……」

大井「……」

北上「提督とよく喧嘩してたんだ?」

68 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 03:57:31.43 0+NibwpyO 30/411


大井「……なんでもないです」

北上「ちなみにその提督ってどんな人なの?」

大井「知りませんあんな人」プイッ

大井「私の提督はあの人だけです」

北上「ははは、頑固だねぇ」

大井「私は用事があるので失礼します!」スタスタ

北上「あちゃー怒らせちゃった。まだこの話題は早かったね」

北上「でもそうやって怒ってる時が一番大井っちらしいんだけどねー」

69 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 04:09:24.17 0+NibwpyO 31/411



―西鎮守府門―


提督「そこをなんとかお願いしますよー」ペコペコ

「お願いなのです」

山城「駄目です。正式な手続きをした上でまた来てください」

提督「そんな時間がかかる事やってられないんですよ」

山城「では諦めてください」

提督「ちょっとでいいんで!五分でいいんで!」

山城「駄目です」

70 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 04:09:56.87 0+NibwpyO 32/411


提督「電、耳を貸せ」

「はいなのです」

提督「」ゴニョゴニョ

提督「わかったか?」

「はいなのです」

山城「ふぅ、変な事はしないで欲しいわ」

提督「」スー

提督「ここにレズがいるぞー!」

山城「!?」

72 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 04:19:49.86 0+NibwpyO 33/411


山城「!?」

提督「姉妹艦の私物を勝手に盗んだりしてるぞー!」

「それは酷いのです!」

山城「何言ってるのあんた達!」


ザワザワ

エ、ナニ……レズガイルッテ?

ウソデショ?

ソレハマズイナ

山城「ああ……」オロオロ

73 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 04:20:45.61 0+NibwpyO 34/411


提督「山城は凄いぞー!あんなことやこんなことまでしてるぞー!」

ソ、ソンナ……

アノヤマシロサンガ……

山城「わかった!通すから黙りなさい!」

扶桑「山城……私の私物を盗んでたの?」

山城「お姉様!?」

扶桑「最近よく物がなくなると思ってたけどもしかして」

山城「違うんです!私は盗んだりなんてしてません!本当です!」アタフタ

提督「今だ電、走れ!」ダッ

「はいなのです!」ダッ

山城「あっ!待ちなさい!」

扶桑「じゃああの時の事なんかも……」

山城「だから違うんですってばああああああ!」

75 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/11 04:31:07.84 0+NibwpyO 35/411



ウウウーーーウウウーーー


『鎮守府に何者かが侵入しました。見つけ次第直ちに拘束してください』


大井「侵入者?珍しいわね」

天龍「鎮守府に侵入とは中々肝の座った奴じゃねーか」

大井「どうせ猫とかでしょ。こんな所に侵入する馬鹿なんているわけないじゃない」

天龍「それもそうか。わざわざ死にに行くようなもんだしな!」ハハ

大井「……」

天龍「どうした?」

大井「いえ、なんでもないわ」

天龍「そうか、じゃあ俺は侵入者探しでもするか。じゃあな」ダッ

大井「……」

大井「こんな馬鹿なこと、あいつならやりかねないわね……」

98 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:14:49.90 Fqv95JC5O 36/411



龍田「侵入者はどこかしら~」

那珂「那珂ちゃんをアイドルにしてくれる人がきたって本当!?」

提督「くそっ、きりがねえな」ハァハァ

「なのです」ハァハァ

提督「もういっそ捕まるなんてどうだろう」

「いいんですか?」

99 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:16:41.92 Fqv95JC5O 37/411


提督「だってこの鎮守府に入った時点で目的は達成してるわけだしな、一旦捕まって大井と話す機会をもらえばいいだろ」

「多分捕まったら大井さんと話す機会はないと思うのです」

提督「なんでだ?」

「あれを見るのです」

提督「ん?」チラッ

山城「許さない……絶対に許さない……」コシューコシュー

最上「山城さん、流石に鎮守府内で艤装を展開させるのは駄目だよ!」

山城「よくも変な噂を流してくれたわね……塵も残らないと思いなさい……」コシューコシュー

最上「残さなきゃ駄目だよ!?生け捕りにしなきゃいけないって言われてるじゃん!」

提督「……」

「……」

100 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:17:39.87 Fqv95JC5O 38/411


山城「あそこの物陰からあいつの気配がするっ!」ギロッ

提督「あいつ索敵能力おかしいだろ!?」

山城「見ぃつけたぁ!」ニヤリ

最上「侵入者さん逃げて!今の山城さんは正気じゃないよ!」

提督「逃げるぞ電!」ダッ

「はいなのです!」ダッ

101 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:20:18.12 Fqv95JC5O 39/411




山城「待ああああああああてえええええええええ!」ドンドン

提督「誰が待つかあああああああああああ!」ダダダダ

「司令官さん、分かれ道なのです!」

提督「よし、左に曲がるぞ!」

「なのです!」クルッ

提督「ん?」ピタッ

「行き止まりですね……」

提督「なん……だと……」

102 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:20:50.26 Fqv95JC5O 40/411


山城「どおおこおおおだああああ」コシューコシュー

提督「やばい!」

「このままじゃ司令官さんが塵になってしまうのです!」

提督「多分お前もだぞ!?」

提督「しかしどうすれば……」

ザッ

北上「山城っち、変な奴あっちに行ったってさ」

山城「なんですって!?今行くわ!」コシューコシュー

北上「頑張ってねー」

ダダダダダ

提督「へ?」

「え?」

103 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:21:41.07 Fqv95JC5O 41/411


北上「さ、もう大丈夫だよ侵入者さん」

提督「お前は……」

北上「ん?このスーパー北上様を知らないのかな?」

提督「いや、知ってる。うちにもいるし」

「それよりどうして助けてくれたんですか?」

北上「んーなんとなくかなー」

北上「それにこういう非日常って好きなんだよねー」

提督「変わった奴だな」

北上「部屋に連れてってあげるから面白い話聞かせてよ」

提督「嫌だと言ったら?」

北上「提督に突き出すしかないかなー」

提督「俺に選択権無いじゃねーか」

北上「まーまーそう固いこと言わずに」

提督「わかったよ」

「なのです」

105 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:22:17.64 Fqv95JC5O 42/411



-北上の部屋-


提督「どうやら罠って訳じゃないようだな」

北上「そんなことする訳ないじゃん」

「私達の鎮守府とあまり変わらない部屋ですね」

北上「へーそうなんだ」

提督「ここの相部屋の奴には言わなくていいのか?」

北上「いいのいいの、相部屋の人はいっつもどこかに行ってるからね」

「仲が悪いのですか?」

北上「そういう訳じゃないよー。ただ中々心を開いてくれないだけ」

提督「相部屋なのに心を開かないとか相当気難しい奴だな」

北上「そーなんだよねー」

106 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:23:12.31 Fqv95JC5O 43/411


提督「うちにも一人うるさいやつがいてな、いっつも苦労してたわ」

北上「どこにでもいるんだねー」

提督「全くだ」

「なのです」

北上「それよりどうしてここに来たの?」

提督「ちょっとある艦娘に会いたくてな」

北上「それなら普通に手続きして会えばいいじゃん」

提督「それが色々あってな」

北上「それでどんな艦娘に会いにきたの?」

提督「電と同じくらい長い間いる艦娘でな、さっき言ってたうるさい奴だ」

「よく司令官さんと喧嘩してましたもんね」

107 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:24:01.44 Fqv95JC5O 44/411


提督「そいつは何かあるとすぐに俺の采配のせいにするんだぞ、私が大破したのはあんたのせいだ!って」

「いっつも電が止めていたのです」

北上「あーきついねー」

提督「まあだから俺も必死で戦術とか覚えたんだけどな」

北上「じゃあその艦娘に感謝しないといけないねー」

提督「いやいや、俺は愛宕とかに優しく手取り足取り教えてほしかったね」

108 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/12 13:24:41.88 Fqv95JC5O 45/411


提督「いいや、あれには優しさなんてこれっぽっちもなかったな」

北上「どんな感じだったの?」

提督「まさに鬼だね。こんな感じで俺を睨んで士官学校からやり直してきなさいとか言うんだぜ」

北上「それはきついねー」

提督「だろー」

「し、司令官さん……」

提督「なんだ?」

「あ、あれ……」

大井「………」ゴゴゴゴゴ

提督「」

121 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:45:17.20 4T5suGBkO 46/411


北上「あ、大井っちおかえりー」

大井「何をしてるの北上さん?」

北上「今侵入者さんと話をしてたんだよー。大丈夫、悪い人じゃないみたいだから」

大井「へぇ、おもしろそうだから私も混ぜてもらってもいいかしら?」

提督「い、いえ。私は用事があるのでこれで……」

大井「座りなさい」

提督「はい」

122 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:45:46.63 4T5suGBkO 47/411


大井「何しにここへ来たんですか?」

北上「なんでもある艦娘を探してるんだってさー」

大井「そうなんですかぁ。その人についてもっと教えてもらってもいいですかぁ?」

提督「とても……美しくて……凛々しい方です」

「なのです……なのです……」

北上「あれ?さっきはうるさくてしょうがない奴だって言ってたじゃん」

大井「へぇ~」ピキピキ

123 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:46:18.87 4T5suGBkO 48/411


大井「他には?」

提督「そ、そして私が道を間違えた時には厳しく叱ってくれる優しい方です」

「なのです……なのです……」

北上「こんな顔して士官学校からやり直してきなさいって言うんだってさー」

提督「北上さん頼むからもうやめて!」

大井「そうなんですか~」ジャキン

124 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:47:11.57 4T5suGBkO 49/411


北上「あれ、どしたの大井っち。艤装なんか展開して」

提督「やばい、逃げるぞ電!」

大井「遅い!」ドン


ドゴォン


提督「けほっけほっ」

「だ、大丈夫ですか司令官さん?」

提督「電、お前俺を庇って……」

「電は中破だから大丈夫なのです」

125 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:48:01.07 4T5suGBkO 50/411


大井「なんでそんな奴の事庇うのよ」

「司令官さんが傷つくのは見たくないのです」

大井「こいつはもう提督じゃないわ!ただの屑よ!」

天龍「おい、何やってんだ大井!よせ!」ダッ

北上「」スッ

天龍「どうした北上?何故止めやがんだ!」

北上「もう少しだけ待ってあげて。これは私達が突っ込んでいい問題じゃないから」

天龍「何言ってんだお前!このままじゃ」

北上「頼むよ」

天龍「くそっ、どうなっても知らねえぞ」

北上「その時は、その時かな……」

126 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:48:32.56 4T5suGBkO 51/411


大井「こいつは何も言わずに急に私達を見捨てていなくなったのよ!」

大井「そのせいで皆がどれだけ苦労したかわかってるの!」

「それでも……戻ってきてくれたのです」

「時間はかかっちゃったけど……司令官さんは私達の元に戻ってきてくれたのです」

提督「電……」

大井「戻ってきたからなんだって言うのよ!へらへらしながら悪びれもなく戻ってくるくらいなら戻ってこない方が良かったわよ!」

提督「……すまない」

大井「今更謝って済む訳ないじゃない!」バキッ

提督「ぐふっ!」

127 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:49:09.83 4T5suGBkO 52/411


大井「貴方が居なくなってから他の艦娘がどれだけ心配したかわからないの!」バキッ

提督「がはっ!」

「やめるのです!」ダッ

提督「来るな電!」

「え……?」

提督「来るんじゃない!」

「司令官さん……」

128 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:49:40.33 4T5suGBkO 53/411


大井「皆ずっと待ってたのよ!辛くても、苦しくてもいつかきっと帰ってくるって!」ドカッ

提督「ぐっ!」

大井「他の鎮守府の娘に提督に見捨てられた鎮守府って馬鹿にされても!」

大井「他所の提督にお前らの提督はもう帰ってくることはないって言われても!」

大井「ずっと堪えて待ってたのよ!」

提督「……」

129 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:50:10.65 4T5suGBkO 54/411


大井「駆逐艦の娘なんてずっと寂しそうだった!」

大井「空母や戦艦の人たちは無理して笑って、陰で泣いてた!」

大井「それもこれも全部貴方のせいよ!」ドカッバキッ

提督「がはっ!」

提督「(……ずっと一緒に居たからわかる)」

提督「(これは全部……皆じゃなくて大井、お前の事なんだろう?)」

提督「(ずっと……溜め込んでたんだな……)」

130 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:51:06.47 4T5suGBkO 55/411


大井「私だって何度も指輪を捨てようとしたわよ!」

大井「ここで新しい道を歩もうと思ったわよ!」

大井「でもどうしてもできなかった!」

大井「だって……だって……」ポロポロ

大井「どこの鎮守府に行こうとも……誰が提督になっても……」ポロポロ

大井「私の鎮守府はあそこだけで……私にとっての提督は……貴方だけなんですもの……」ポロポロ

提督「大井……」

大井「今まで……どこ行ってたのよ……」ギュッ

提督「……すまん」

大井「馬鹿……」

133 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 18:59:27.30 4T5suGBkO 56/411



-----------------
-----------
------
---
-



-司令室-


西提督「」カキカキ

北上「」カキカキ

扉『』コンコン

提督「失礼します」ガチャ

北上「お、起きたみたいだねー」

西提督「気分はどうですか?」

提督「ええ、おかげで大分楽になりました。ここに泊まってしまって申し訳ない」

西提督「いえいえ、いいんですよ。そちらの方が階級は上ですし」

提督「昔の話ですよ」

西提督「それでもですよ」

134 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 19:00:11.21 4T5suGBkO 57/411


提督「そうですか……それで、一つご相談が」

西提督「大井さんの件ですか?」

提督「ええ。誠に身勝手ですが、どうか大井をまたうちに異動させてください!」

西提督「ええ、いいですよ」

提督「へ?」

西提督「ん?」

提督「いいんですか?そんなにあっさり決めて」

西提督「確かに大井さんはかなり優秀な艦娘でできればずっとうちに居てほしいです」

西提督「ですが私は艦娘の意見を尊重したいのです」

135 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 19:00:37.33 4T5suGBkO 58/411


提督「……大井が何か言ったんですか?」

西提督「いいえ、大井さんは何も言ってません」

提督「じゃあなんで」

西提督「口では何も言わなくても態度でわかりますよ。誰と一緒に居るのがいいのかくらい」

西提督「それに昨日の事もありますしね」

提督「……」

西提督「大井さんと電さんには門の前にいるのでいってあげてください」

提督「……ありがとうございます」

西提督「……もう艦娘に寂しい思いをさせないでくださいね」

提督「はい」ギリッ

136 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 19:01:08.86 4T5suGBkO 59/411


-門-

大井「おっそいわね、もう二人だけで帰ってもいいんじゃないかしら?」

「それはだめなのです」

提督「おーい、待った?」

「あ、司令官さんがきたのです!」

提督「そろそろ帰るけど大井、本当に俺なんかのところに来ていいのか?」

大井「どの道こんな騒ぎを起こしといてここにはいられないわ」

大井「提督のせいでここにいられなくなったんですから責任とってくださいね」

提督「じゃあ帰るか!」

大井「ええ」

「なのです!」

137 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/13 19:04:18.85 4T5suGBkO 60/411



北上「……行っちゃったねー」

西提督「ああ」

北上「態々こんな騒ぎを起こしてまで自分の艦娘取り返しにくるならなんで暫くいなくなっちゃったんだろうね」

西提督「人の心は移ろうものなんだよ。良くも悪くもね」

北上「ふーん。それにしても大井っちいい顔してるねー」

西提督「ああ、彼女の居場所はここではなく彼の元なんだろうね」

北上「でもあの提督これから他の艦娘も取り戻しにいくんでしょ?凄いねー」

西提督「本当に取り戻しせるかな?」

北上「え、なんで?」

西提督「あの人は今回の事で自分のやったことの重さをはっきりと自覚したと思う」

西提督「ここから先艦娘の恨みや憎しみを全部背負いながらそれでも取り戻したいと思えるかな」

北上「苦しいねぇ」

西提督「……ところでさ、山城が『私はノーマルです!』っていうプラカードを掲げて鎮守府を走り回ってるんだけどどうしてかわかるかい?」

北上「……さーなんでだろうねぇ?」


225 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:07:01.50 Q0tkcMxKO 61/411



大井「で、これは何かしら?」ピキピキ

「鎮守府なのです」

大井「どう見てもただのボロいプレハブ小屋にしか見えないんですけど」ピキピキ

「そんなことないのです、素晴らしいところなのです」

「見てください、ドアを開いても壊れたりしないし床も腐ってないのです!ダンボール三個も積めるのですよ!」キラキラ

大井「……」

提督「……」

大井「……提督ぅ?」

提督「知らんっ!」ダッ

大井「待ちなさい!」ガッ

提督「ぐえっ!」

大井「貴方今まで電にどんな生活させてたのよ!こんな子じゃなかったでしょ!」ゲシゲシ

提督「悪気はなかったんだ!」

226 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:07:45.80 Q0tkcMxKO 62/411


大井「まあいいわ、今更ですもの」

大井「ところで貴女、なんでそんな廃材持ってるよ」

「あ、いつもの癖で持ってきてしまったのです」

大井「……」(無言で板を取り上げる)

「?」

大井「電になんてこと覚えさせるのよ!」ドゴン!

提督「ごめんなさいっ!」ゴハッ!

「ああっ!板が!」

227 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:08:30.40 Q0tkcMxKO 63/411



提督「でもなんか懐かしいな、一番初めに戻った気分だ」

「初めは三人で生活してましたもんね」

提督「ああ、家具もダンボールだけだったしな」ハハ

大井「指揮官の能力も低かったものね」

提督「余計なお世話だ」

228 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:09:09.82 Q0tkcMxKO 64/411


大井「それより今度は誰を迎えに行くのよ?」

提督「そうだなぁ、次は暁でも迎えにいくかぁ」

「暁ちゃんに会えるのです!」

大井「あら、てっきり戦艦や空母を迎えに行くと思ったけど」

提督「そうしようかとも思ったけどな、あいつはまだ子供だから心配でな」

大井「まあわからなくもないわね」

提督「ああ、だから早く迎えに行ってやらないとな」

229 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:10:08.05 Q0tkcMxKO 65/411


大井「そう、じゃあさっさと行って戻ってきなさい」

「大井さんは行かないのですか?」

大井「行こうと思ったけどこの鎮守府をほっとく訳にもいかないじゃない」

大井「だから私は残ってここを綺麗にするわ」

提督「お前って意外とできる女だよな」

大井「意外と……?」ジャキン

提督「冗談だからその艤装をしまってください」

230 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:10:54.90 Q0tkcMxKO 66/411


大井「全く、わかったらさっさと連れて帰ってきなさいな!」

提督「大井、帰ったらシチュー食いたいから作っといてくれ」

「楽しみなのです」

大井「嫌よ、そんな余裕ないわ」

提督「それもそうか、残念だ。じゃあ行ってくる!行くぞ電!」ダッ

「なのです!」

大井「行ってらっしゃい」





大井「……クリームシチューの材料、ここにあったかしら」



231 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:24:23.77 Q0tkcMxKO 67/411


−東鎮守府門−


神通「何か御用ですか?」

提督「ええ、東提督さんに招待されまして」

神通「ああそうでしたか、提督はあちらの建物にいますので」

提督「どうも」ペコ

「なのです」ペコ



神通「それにしても他の提督を呼ぶなんて提督言ってたかしら……?」


234 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:47:59.10 Q0tkcMxKO 68/411


提督「なんとか潜入できたな」フゥ

「バレたらきっと大変な事になるのです」

提督「なんとかなるだろ、多分」

「司令官さんらしいのです」

提督「それより暁はどこだ?」キョロキョロ

「いないのです」キョロキョロ

「」テクテク

提督「お、いた。おーい、あかつ……」

吹雪「暁ちゃーん」タッタッ

夕立「ぽーい」タッタッ

235 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:48:49.11 Q0tkcMxKO 69/411


提督「まずい、隠れるぞ!」

「はいなのです!」

「ん?何かしら?」

吹雪「この前の出撃はありがとう!」

「ああ、それなら別にお礼なんて言わなくてもいいわよ」

夕立「暁ちゃんすっごく強いっぽい!お陰で誰も負傷しなかったっぽい!」

「私のお陰なんかじゃないわよ」

吹雪「そんなことないよ!暁ちゃんが沢山敵を沈めてくれたからだよ!とっても格好良かったんだから!」

「当然じゃない、レディですもの!」エッヘン

提督「……」

「……」

237 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:58:18.36 Q0tkcMxKO 70/411


夕立「ところでこれから間宮さんのパフェ食べに行くんだけど一緒に行きましょ」

「え、いいの?」

吹雪「うん、だって私達友達でしょ!」

「なんだか恥ずかしいわね」

夕立「早く行くっぽい!」

吹雪「さ、行こ」

「ええ」

238 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 03:59:30.85 Q0tkcMxKO 71/411



提督「……」

「司令官さん、声をかけなくて良かったのですか?」

提督「……帰るか」

「な、なんでですか!?」

提督「お前も暁の楽しそうな顔を見たろ?」

提督「今更俺の鎮守府に帰るよりここで過ごした方があいつにとってもいいはずだ」

「で、ですが……」

提督「それに大井と会った時だってあいつ俺を恨んでた」

提督「暁もきっと俺の事を恨んでるさ」

「そんなことはないのです!」

提督「だけどな……」

トントン

提督「ん?なんだ?」クルッ

神通「みぃつけた」ニコッ

提督「」

「」


240 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/19 04:00:43.23 Q0tkcMxKO 72/411


−暁の部屋−


「ふぅ、演習疲れたわ」ポスッ

「強いとか格好いいって言われるのは嬉しいけど慣れないものね」

「……」


『はっはっは、暁はいつまでたっても子供だなぁ』

『そ、そんなことないしっ!ちゃんと成長してるんだから!』

『強がるなって、背伸びしたっていい事ないぞ?』

『背伸びなんかしてないもん!立派なレディですもの!』

『そうかそうか』ナデナデ

『もー!頭を撫でるなー!』プンスカ


「……もっと強くなれば、司令官……迎えにきてくれるかな……」ギュッ

277 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:05:40.89 JyJawAA5O 73/411


-司令室-

東提督「で、なんでこんな事したんだ?」

提督「いや……その……」

「ごめんなさいなのです」

鳳翔「困った人ですねぇ」

東提督「神通が疑わなかったら今頃何をされていたか」

提督「ちょっと艦娘の様子を見に来ただけなんですよ、本当です」

東提督「様子って誰のだ?」

提督「それは……」

278 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:07:43.57 JyJawAA5O 74/411


鳳翔「思い出しました。提督、この人確か……」

東提督「ああ、貴方が鎮守府を放置して逃げた提督でしたか」

提督「……」

東提督「今更何をしにきたかと思えば異動した自分の艦娘を取り返しにでも来たんですか?」

提督「そのつもりだったんだけどやっぱり止めることにしました」

提督「ここで他の艦娘と楽しそうに話してる暁を見て思ったんです。きっと暁は私の事なんか忘れてここで頑張っているんだって」

提督「今更私が彼女の元へ行っても嫌な記憶を思い出させるだけだって」

「司令官さん……」

279 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:08:33.45 JyJawAA5O 75/411


東提督「わかってるじゃないですか。暁はここの大事な戦力です、そうやすやすと返す訳ないでしょう」

東提督「ただでさえ最近深海棲艦の被害が増えてきていて人手が欲しい時なのに」

東提督「それに返したってきっと貴方はまた彼女たちを見捨ててどこかに行くんでしょう?」

提督「!」ズキッ

280 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:09:16.04 JyJawAA5O 76/411


「そんなことはないのです!」

東提督「何故そう言い切れる?この人は一度逃げ出したんだぞ?」

東提督「どうせ今回帰ってきたのも偶然でまたすぐいなくなるに決まってる」

東提督「そんな奴の元で働かされる位なら私の鎮守府に居た方が暁の為だ」

提督「……」

「それは違うのです!」

「居なくなったのにはきっと司令官さんなりの理由があるはずなのです!」

提督「電……」

「それに司令官さんはもういなくなったりしないのです!そうですよね、司令官さん!」

提督「それは……」

281 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:09:58.03 JyJawAA5O 77/411


東提督「ほら、即答できない」

提督「……」

東提督「そんないつ居なくなるかもわからない人間についていきたい艦娘なんていませんよ」

東提督「それに艦娘だって会いたくないでしょう、自分を見捨てた人間になんて」

鳳翔「提督、それ以上は」

東提督「ああ、すまん。少し言い過ぎたかな」

提督「……」

東提督「兎に角貴方に返す艦娘はありません。もう帰ってください」

286 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:23:25.04 JyJawAA5O 78/411



-鎮守府門-

「……」トボトボ

提督「……」トボトボ

「……司令官さん」

提督「なんだ?」

「もし全員集まったら……また……居なくなってしまうのですか?」

提督「……」

「また……司令官さんがいない鎮守府で……帰りを待ち続けるのですか?」

提督「……」

「電は……そんなの嫌なのです……」グスッ

提督「電……」

287 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:24:49.81 JyJawAA5O 79/411


鳳翔「あの……」

提督「ん?」

鳳翔「ここまで来て何もせずに帰るのもあれですから暁さんの様子をもう少し見ていきませんか?」

提督「え、いいんですか?」

鳳翔「ええ、それ位なら提督も許してくれるでしょう」

提督「(そうだな、暁の元気な姿をもう一度だけ見て帰ろう)」

提督「はい、お願いします」ペコッ

289 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:26:49.29 JyJawAA5O 80/411



-演習場-

吹雪「やあ!」」ドン

夕立「ぽい!」ドン

吹雪「凄いよ夕立ちゃん、的が粉々だよ!」

夕立「夕立は性能がいいっぽい!」エッヘン

吹雪「いいなぁ、私も夕立ちゃんみたいに高火力だったらなぁ」

290 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:27:36.49 JyJawAA5O 81/411


「やー!」ドンドン

ドゴン

吹雪「す、凄い……」

夕立「完璧っぽい……」



鳳翔「今は自主訓練をしているみたいですね、いい心がけです」

提督「……」

「調子が良さそうなのです」

鳳翔「こんなに遠くでいいんですか?ここじゃ声も聞こえないでしょう」

提督「ええ、あんまり近づきすぎると見つかるかもしれないんで」

鳳翔「そうですか」


291 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:28:16.74 JyJawAA5O 82/411


吹雪「暁ちゃんはどうしてこんなに強いの?」

夕立「夕立も気になるっぽい」

「どうしてって言われてもねぇ。毎日頑張って訓練するしかないわ」

「それに大事なのは性能なんかじゃない、愛があれば強くなる」

「司令官はよくそう言ってたわ」

292 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:28:52.15 JyJawAA5O 83/411


夕立「ぽい?」

吹雪「愛だよ夕立ちゃん。でも変わった人だね、性能なんて関係ないなんて」

「そうね、いっつも私の事子供扱いしてたわ」

吹雪「私達から見たら全然子供には見えないよ」

「そう?」

夕立「そうっぽい!」

「ふふ、ありがと」

293 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/22 02:29:24.50 JyJawAA5O 84/411


提督「もう行くか」

「本当にいいんですか?」

提督「……ああ」

鳳翔「そうですか、では門まで送りま……」


ウウウーーーーウウウーーーー


鳳翔「!」

『深海棲艦が接近しています、直ちに迎撃してください』

提督「嘘だろ、深海棲艦が攻めてくるわけ……」

鳳翔「最近深海棲艦の動きが活発になっているんです。申し訳ありませんが私はこれで」ダッ

提督「電、俺たちも手伝うぞ!」ダッ

「はいなのです!」ダッ

355 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:02:30.56 pZWfoiSvO 85/411


−司令室−


鳳翔「提督!」

東提督「おお、いいところに来た。今すぐ第一艦隊に戦闘準備をするよう伝えてくれ」

鳳翔「はい!」

東提督「ところで何故貴方がまだここにいるんですか?」

提督「あ、いや、何か手伝えることはないかと思って」ハハ

東提督「残念ながら貴方にできることはありませんよ。ここは私の鎮守府です、自分の鎮守府位自分で守ります」

東提督「そこで指を咥えて見ててください」

提督「ですよね……」

356 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:03:25.16 pZWfoiSvO 86/411


鳳翔「大変です!」

東提督「どうした?」

鳳翔「この近くの泊地にも深海棲艦が向かっているとの情報が!」

提督「!」

東提督「なんだと!」

鳳翔「こちらに向かっている戦力的に考えてもここは囮で本命は泊地でしょう」

東提督「まずいぞ!泊地が襲われたらこの鎮守府も大きな被害を被る事になる!」

鳳翔「はい、なので第一、第二艦隊を泊地に向かわせましょう」

東提督「しかしそうすればここ守りが手薄になる」

東提督「それに私は三つも一度に指揮した事なんてない……」

東提督「くそっ、どうすれば……」

357 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:05:11.70 pZWfoiSvO 87/411


提督「東提督さん」

東提督「なんだ!」

提督「ここの指揮は私に任せて東提督さんは泊地へ行ってください」

東提督「!」

鳳翔「!」

「司令官さん……」

東提督「お前、自分が何を言ってるのかわかってるのか?」

東提督「どこの誰かもわからない奴に自分の鎮守府を預けろって?馬鹿言うな!」

358 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:07:14.42 pZWfoiSvO 88/411


提督「無茶苦茶な事を言っているのはわかっています、ですがこれが最善だと思います」

提督「東提督さんはまだ複数指揮にあまり馴れていないようですし、泊地に向かっている深海棲艦は強力です」

提督「東提督さんは泊地の指揮に専念するべきです」

提督「私がここの第一、第二艦隊を指揮する事も考えましたが私よりもここの艦隊をよく知っている東提督さんが指揮する方がいい」

東提督「ふざけるな!」

東提督「そんな事を言ってもしここを落とされたらそれこそ大変なことになる!」

東提督「貴方にとってはどうでもいい場所かもしれないが私にとっては大事な鎮守府なんだ!」

359 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:08:07.32 pZWfoiSvO 89/411


提督「どうでもよくなんかない!」

提督「ここは……この鎮守府は……暁の新しい居場所なんだ!」

提督「暁にはこの場所が必要なんだよ!」

「司令官さん……」

鳳翔「……提督、ここはこの方の言う通りにしましょう」

東提督「何だと?」

鳳翔「このままではどちらの指揮も中途半端になってしまいます」

鳳翔「それにこの方は暫く居なかったとはいえ甲種勲章保持者、指揮については大丈夫でしょう」

東提督「……」

鳳翔「お願いします、どうか私の我儘をお許しください」ペコッ

提督「鳳翔さん……」

360 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:08:59.40 pZWfoiSvO 90/411


東提督「……いいだろう」

提督「いいんですか?」

東提督「鳳翔に免じてここの指揮は貴方に任せる、絶対に守ってくださいよ!」

提督「はい!」

「なのです!」

提督「それとですが」

東提督「何ですか?」

提督「暁は泊地へは行かせずここに残してください」

東提督「……わかりました」

361 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:09:42.89 pZWfoiSvO 91/411


東提督「私達は泊地に向かうぞ、鳳翔」ダッ

鳳翔「はい」

提督「鳳翔さん!」

鳳翔「なんですか?」

提督「ありがとうございます」

鳳翔「いえ、私は最善の手を言ったまでです。ここは任せましたよ」

鳳翔「ですが、万が一ここが落とされたら……私は貴方を一生恨みますからね」ニコッ

鳳翔「では」ダッ

362 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/24 13:10:38.84 pZWfoiSvO 92/411


提督「これは何が何でも勝たなきゃな」

「なのです」

提督「まさか帰ってきていきなり指揮するのが他の鎮守府の艦隊とは」

提督「試練だなぁ」

「司令官さんならきっと大丈夫なのです」

提督「そう言ってくれるのはお前だけだよ」

「電も出撃しましょうか?」

提督「いや、電が出てもここの艦娘と連携をとれないだろ?」

提督「だから旗艦は暁でいく」

「わかりました」

提督「じゃ、いっちょやりますかぁ!」キリッ

「なのです!」

400 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:48:42.93 l+opr+sVO 93/411



吹雪「どどどどうしよう!このままじゃ鎮守府が襲われちゃうよ!」

吹雪「戦艦や正規空母の人達は泊地の方にいっちゃうし」

吹雪「あの人達無しじゃ防衛なんて無理だよぉ!」オロオロ

「そそそそんなに慌てちゃ駄目よ、ももももっとエレファントに振る舞わなきゃ!」

吹雪「暁ちゃんも落ち着いて!」

401 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:49:28.68 l+opr+sVO 94/411


「で、でもこっちに来る深海棲艦は陽動みたいだし大丈夫よ。多分」

吹雪「あれ?でもなんで夕立ちゃんは泊地に行っちゃったのに暁ちゃんはここにいるの?」

「さあ?」

吹雪「司令官もそっちに行っちゃったしどうしよー!」

『あーあー、聞こえますかー?』

吹雪「?」

『どうも、ここの司令官が泊地に行ったんでその間にここを任された者です。よろしく』

402 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:49:56.04 l+opr+sVO 95/411


吹雪「うわあああああよくわかんない人が来ちゃったよおおおおお」オロオロ

吹雪「司令官はきっとここを見捨てるつもりなんだよおおおおおおお」

「あわわわわ!落ち着きなさい!」ブンブン

「(それにしてもこの声どこかで……)」

『これから今ここにいる艦娘で防衛戦をする、今から呼ばれたものは艤装を準備し出撃せよ』

吹雪「だ、誰が呼ばれるのかな……」

『旗艦……』


---------------------------
------------------
----------
------
--

403 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:50:52.28 l+opr+sVO 96/411



-海-

吹雪「あわわわわ、なんで私が呼ばれちゃったんだろ」

球磨「遠征じゃないのは久しぶりクマー」

多摩「嬉しいニャ」

朝潮「朝潮、例えこの身が朽ち果てようと頑張る所存です!」

「みみみ皆落ち着いて!」ガクガク

弥生「まず旗艦の暁さんが落ち着いてください」

「ご、ごめんなさい。だから怒んないで」

弥生「怒ってないです……」

404 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:51:40.30 l+opr+sVO 97/411


「それにしても私が旗艦なんて……」

『皆、準備はいいか?』

「ええ、大丈夫よ」

「(やっぱりこの声どこかで聞いたような……)」

『そろそろ敵が来る、迎撃するぞ』

「(いけないいけない、集中しなきゃ)」

「わかったわ!」

405 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:52:14.37 l+opr+sVO 98/411


吹雪「うう、不安だよぉ」

『大丈夫、お前達は強い』

吹雪「え?」

『戦艦や空母が全てじゃないさ』

弥生「そうなんですか……?」

『ああ、最後に頼りになるのは駆逐艦や軽巡なんだよ』

球磨「変わった人クマー」

『よく言われる』

「来たわ、相手の艦載機よ!」

406 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:52:58.43 l+opr+sVO 99/411


ブロロロロ

『よし、まずは輪形陣でやり過ごすんだ!』

「!」

吹雪「り、輪形陣ですか!?」

多摩「演習以外でやるのは初めてだニャ」

『ああ、被害を抑えるにはこれが一番だ』

朝潮「でもそれでは雷撃戦での命中率が下がるのでは……」

『そこは気合だ!』

球磨「やっぱこいつ駄目だクマ!」

多摩「無能だニャ」

吹雪「指揮官さん……」

「……」

407 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:53:45.23 l+opr+sVO 100/411


『さあくるぞ、構え!』


ガガガガガガガ


吹雪「な、なんとか持ちこたえましたね」ハァハァ

弥生「凄い……誰も傷ついてない」

『気を抜くな、連携を取りつつ一番弱い敵から沈めろ!』

吹雪「はいっ!やあああああああああ!」


------------------------------
----------------------
----------------
----------
------
--


408 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 22:58:27.73 l+opr+sVO 101/411


多摩「な、なんとか勝ったニャ」ハァハァ

球磨「疲れたクマー」ハァハァ

吹雪「でもなんだかんだ言って誰も中破にはなってないですよね」

弥生「気合いって……凄い」

朝潮「それにしても暁さんの動きがいつも以上に良かったですね」

吹雪「うん、今回のMVPだし本当に凄かったよ!まるで指示が初めからわかってたみたいに……」

「……」

吹雪「暁ちゃん?」

「……」ザザァ

吹雪「あっ、暁ちゃん!」

朝潮「どうしたんでしょうか?かなりの速さで戻って行きましたが」

吹雪「わかんない、でも今日の暁ちゃんなんだか様子がおかしかったんだよね」

吹雪「一体どうしたんだろ……?」

409 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:00:21.18 l+opr+sVO 102/411




「……」ザザァ

「あの指揮の仕方も……戦果よりも私達の安全を優先するやり方も……」ハァハァ

「そっくりだった……」ハァハァ

「もしかして……」ハァハァ



410 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:07:38.93 l+opr+sVO 103/411


―司令室―


提督「ふぅ、なんとかなったな」

「流石司令官さんなのです」

提督「誰も傷つかなくて良かったよ」

「やっぱりそのやり方は変わらないのですね」

提督「ああ、今まで勝ってこれたのは俺の指揮が上手いんじゃない、皆が強いからだ」

「そんなことはないのです、司令官さんのおかげなのです」

司令官「さ、後は東提督に報告すれば……」

扉『』バンッ

提督「ん?」クルッ

「……」ハァハァ

提督「な……」

「あ、暁ちゃん……」

「……しれー……かん?」ハァハァ

提督「あか……つき……」


411 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:09:54.27 l+opr+sVO 104/411


今自分の前にいるのは紛れもなく暁で、ここまで来るとは思っていなかったから言葉に詰まる


「……」ツカツカ

提督「あ……あ……」


同時に東提督の言っていた事を思い出す、自分の勝手な行為がどれ程彼女達を傷つけていたのかを
きっと恨んでるに違いない、心の底から憎んでるに違いない

412 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:10:34.67 l+opr+sVO 105/411


「……」ツカツカ

提督「く、くるな……!」


上手く立てずに後ずさる。彼女の口からどんな恨みの言葉が出てくるか、彼女がどれだけ私を憎んでいるか想像しただけで堪えられなくなる


「……」

提督「(くるっ!)」


反射的に目を瞑った。彼女の憎しみに歪んだ顔を見るのが嫌で、自分のしてしまった事を再確認するのが怖くて

413 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:30:07.15 l+opr+sVO 106/411



「」ギュッ

提督「あか……つき……?」

「じれー……がん」ポロポロ

提督「なんで……泣いてるんだ?」

「ずっと……ずっと……会いたかったんだから……」ポロポロ

「ずっと……待ってたんだから」ポロポロ

提督「待っ……て……た……?」

414 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/26 23:34:49.37 l+opr+sVO 107/411


「寂しくても……悲しくても……ずっと我慢してたんだから……」ポロポロ

「迎えにきてくれるって……信じてたんだから……」ポロポロ

提督「あ……あ……」

提督「(俺は……何を勘違いしてたんだろう……)」

提督「(目の前にいるのは……昔と何ひとつ変わらない暁じゃないか……)」

提督「(真っ直ぐで……純粋な……暁じゃないか……)」ポロポロ

提督「……ごめん……本当にごめん……」ポロポロ

「うわあああああああああん!」ポロポロ

提督「ごめんな……」ギュッ


――――――――――――
――――――――――
――――――――
――――――
―――

419 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 00:29:53.80 dniMu4fcO 108/411


-司令室-


扉『』コンコン

提督「失礼します」

東提督「どうも、昨日は鎮守府の防衛ありがとうございました」

提督「いえ、そちらもお疲れ様でした。どうでしたか?」

東提督「ええ、大きな被害は出ましたがなんとか守り抜きましたよ」

提督「それは良かったです」

420 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 00:35:22.31 dniMu4fcO 109/411


鳳翔「ですが深海棲艦の様子がおかしかったのです」

提督「おかしかった?」

鳳翔「ええ、今まではバラバラに行動していたのですが昨日は何故か私達と同じように統制された動きをしていました」

提督「なんですって?」

鳳翔「はい」

東提督「深海棲艦も段々知恵を付けてきているのかもしれないですね」

422 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 00:41:06.26 dniMu4fcO 110/411


提督「それは危険ですね。ちなみにその艦載機は?」

鳳翔「それがですね、私達の誰のものでもない艦載機なんですよ」

提督「誰のものでもない?」

鳳翔「ええ、第一、第二艦隊の全員に聞いても自分のではないと」

提督「ちょっと見てもいいですか?」

鳳翔「どうぞ」

提督「!」

鳳翔「どうかしましたか?」

提督「いや、なんでもないです。いい艦載機だなーって」ハハ

423 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 00:45:33.20 dniMu4fcO 111/411


東提督「よかったらあげましょうか?」

提督「いいんですか?」

東提督「ええ、いくらいい艦載機でも誰のものでもないなんて気味が悪いですし。昨日のお礼ということで」

提督「ありがとうございます」

東提督「こちらの騒ぎに巻き込んですみませんでした、もう大丈夫なのでお帰りください」

提督「いえ、その前に一つ」

東提督「なんでしょう?」

提督「お願いします!暁を私に返してください!」バッ

424 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 00:56:14.83 dniMu4fcO 112/411


東提督「……どうしたんですか急に?」

提督「やっと気づいたんです、どんなに艦娘に嫌われても、憎まれても、俺はそれでもあいつらが好きだって!」

鳳翔「提督さん……」

東提督「……昨日言ったはずです。貴方に返す艦娘はないと」

提督「どうか、どうかお願いします!」

東提督「駄目と言ったら駄目です!早く帰ってください!」

東提督「これ以上は憲兵に通報しますよ!」

提督「わかり……ました……」ギリッ

提督「失礼……します」バタン

東提督「……」

427 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:08:00.75 dniMu4fcO 113/411


鳳翔「本当によかったんですか?」

東提督「……」

扉『』コンコン

「失礼します」ガチャ

東提督「しつこいと言っているだろう!」

「ひっ!」ビクッ

東提督「あ、暁か。すまない」

「どうしたの?司令官?」

東提督「いや、なんでもないさ」

「私は今日は何をすればいいのかしら」

東提督「ああ、昨日出撃したし今日は疲労抜きのために休みなさい」

「そう‥…わかったわ……」

428 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:09:54.09 dniMu4fcO 114/411


東提督「どうした?調子でも悪いのか?」

「なんでも……ないわ、それじゃ」

東提督「ちょっと待ってくれ」

「なあに?」

東提督「暁、元の鎮守府に帰りたいか?」

鳳翔「……」

「え?」

東提督「元の鎮守府に帰りたいかと聞いてるんだ」

429 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:11:06.65 dniMu4fcO 115/411



「ここも好きだけど……やっぱり帰りたいわ」

東提督「そうか、しかし大本営の命令がない限り異動はできない。諦めてくれ」

「わかってるわ、ここで頑張るって決めたから大丈夫よ」シュン

「じゃあ……もう行くわ……」

「」トボトボ

430 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:11:49.19 dniMu4fcO 116/411


東提督「……」イライラ

東提督「あーもうっ!」

東提督「鳳翔!」

鳳翔「なんでしょう?」

東提督「そういえばうちの鎮守府はもう母港がいっぱいだったな!そうだよな!」

鳳翔「ええ」ニコニコ

東提督「そういうことだ暁、今うちにはどこぞの鎮守府から貰ってきた艦娘を置いておけるほどの余裕はない!」

東提督「だからお前を解体する!」

「ええ!?そんなの困るわよ!」オロオロ

東提督「うるさい!鳳翔、連れていけ!」

鳳翔「はい」ガシッ

「え!?ちょっと!?」ズルズル

「助けてえええええ!」バタン

東提督「ふんっ」ドサッ

432 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:14:12.61 dniMu4fcO 117/411


「いやああああああ!」ズルズル

鳳翔「」パッ

「ああああああってあれ?」

鳳翔「冗談ですよ」フフ

「冗……談?」

鳳翔「母港がいっぱいになるほど艦娘なんていませんよ」

「じゃあなんで?」

鳳翔「解体されればそれ以上は追及されません。だから提督は暁さんを形式上解体したんです」

「それじゃあ暁は本当に解体されるわけじゃないの?」

鳳翔「ええ、これで暁さんは自由です。本当の提督の元へ行ってらっしゃい」

「え、いいの?」

鳳翔「ええ、あの人は素直じゃないですからこういう形になりましたが」

鳳翔「本当は艦娘の事をちゃんと考えているんですよ」

「司令官……」

鳳翔「あんな言い方しかできないからよく誤解されるんですけどね」

「鳳翔さんも大変ね」

鳳翔「そちらの提督も負けてませんけどね」

「そうだったわ……」

鳳翔「さ、早く行きなさい。提督が帰ってしまいますよ」

「わかったわ!今までありがとう!司令官にもありがとうって言っておいて!」ダッ

鳳翔「わかりました」フフ

433 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:15:40.19 dniMu4fcO 118/411



-東鎮守府外-

提督「ぐぬぬ……」

「どうしますか?」

提督「そうだな、こうなったら大井も呼んで無理矢理奪還なんてどうだ?」

「勝てる気がしないのです」

提督「だよなぁ、流石に数が足りないなぁ」

提督「こうなったら深夜に忍び込むしかないか」

「もし見つかったらどうなるのですか?」

提督「監獄行きかな」

「嫌なのです!司令官さんが居なくなるのは嫌なのです!」ギュッ

提督「冗談!冗談だから離して!」

「何やってるのよ……」

提督「え?」

「へ?」

434 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:17:17.89 dniMu4fcO 119/411


「司令官がどうしてもって言うから戻ってきてあげたわ!」エッヘン

提督「本当か!?」

「ばんざいなのです!」

提督「じゃあ帰るか!」

「ええ!」

提督「でも何か忘れているような……」

「」ハッ

「し、司令官さん」

提督「ん?なんだ?」

「昨日……大井さんに晩御飯はシチューが食べたいと……」

提督「」

「きっと怒ってるのです……」ガクガク

「あ、暁はまだこの鎮守府にやり残したことがあるからまた……」ガクガク

提督「急いで帰るぞ!」ガシッ

「ちょ!いきなり掴むなんてレディに対して失礼よ!」

提督「うおおおおおおおおおおおおお!」ダダダダダ

「いやああああああああああ!」

435 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/02/27 01:26:11.90 dniMu4fcO 120/411




―海―


加賀「……」

榛名「どうしたんですか?」

加賀「……艦載機の数が足りないのよ」

榛名「もしかしたら先程の戦いで奪われてしまったのかもしれませんね」

加賀「そうみたいね」

榛名「諦めて帰りましょう」

加賀「ええ」

榛名「今回はあと少しで敗れてしまいました。次はもう少し戦艦を増やした方がいいですね」

加賀「そうね、陣形についてももっと詳しく教えましょう」ザザァ

榛名「ええ」ザザァ



468 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:34:53.02 Gp7QffHqO 121/411


大井「辞世の句はできたかしら?」ゴゴゴゴ

提督「本当にすみませんでした……」ドゲザ

「なのです……」ガクガク

「なんで暁まで……」ガクガク

大井「何か言った?」

「ご、ごめんなさい!だから食べないでぇ!」ガクガク

大井「さて、三人共覚悟はできてるんでしょうね?」ギロリ

提督「できてるような……できてないような……」ガクガク

「ぜ、全部司令官さんのせいなのです!」

「そ、そうよ!全部司令官が悪いわ!」

提督「何言ってんだお前達!?」

大井「だそうよ?」ジャキン

提督「違う!これには深い理由があるんだ!」

大井「自分からシチューが食べたいと言っておいてすっぽかすんだからさぞ大層な理由があるんでしょうね~?」グリグリ

提督「は、はひ……」

469 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:36:54.04 Gp7QffHqO 122/411


提督「じ、実は深海棲艦が攻めてきてな、迎撃しなければならなかったんだよ」

大井「あら、予想よりまともな理由ね」

提督「ああ、深海棲艦の攻撃は凄まじく長い長い戦いだった」

「昼過ぎには終わっていたのです」

提督「電!?」

大井「その後帰っても全然間に合うじゃない」ジャキン

提督「ま、待て!東鎮守府の提督が泊地に防衛に行っていて戻ってくるまでは離れるわけにはいかなかったんだ!」

大井「本当でしょうね?」

「それは本当よ、レディは嘘は吐かないわ」

470 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:37:58.43 Gp7QffHqO 123/411


提督「(ナイスフォローだ暁!)」

大井「そう、ならしょうがな……」

「でも東司令官は夕方には戻ってきたわ」

提督「馬鹿!」

大井「その後何してたのかしら~?」グリグリ

提督「さ、さあ~覚えてないな~」ダラダラ

「疲れたし帰るのは明日でいいかって一泊したのです」

提督「この野郎!」

大井「とっても深い理由だったわね~」ピキピキ

471 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:39:04.57 Gp7QffHqO 124/411


提督「くそう……こうなったら……」

提督「あっ!あそこに北上の脱いだばかりの制服が」

大井「そんなの既に持ってるわよ!」

提督「なんだと!?」

大井「いい加減にしなさ……」

北上「やっほー」ガチャ

大井「え?」クルッ

西提督「こんにちはー」

大井「西提督まで……」

北上「勝手に入っちゃってごめんね。ノックしても出なかったからさ」

西提督「(あ、皆正座してる。きっと何かやらかしたんだろうなぁ……)」

提督「チャンス!」ダッ

大井「あ、待ちなさい!」ドンドン

「ああ!鎮守府を壊さないでほしいのです!」

「ここ鎮守府だったの!?」

ギャーギャー

北上「賑やかだねぇ」

西提督「タイミング悪かったかな……?」

472 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:44:26.27 Gp7QffHqO 125/411




提督「で、急にどうしたんだ?あ、暁前掛けしなきゃだめだろ」モグモグ

「したことないわよ!」モグモグ

北上「提督の様子を見に来たんだよー」モグモグ

大井「北上さんどう?美味しい?」

北上「うん、すっごく美味しいよー。流石大井っちだね」

大井「ああ……幸せ……」バタン

473 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:45:05.81 Gp7QffHqO 126/411


西提督「本当は前もって連絡しようとしたんだけど電話がつながらないし」

「そういえば電話設置してなかったのです」

西提督「手紙を送ったら戻ってくるし」

「多分ボロボロすぎて住所を間違えたと思われたのかもしれません」

西提督「だから直接来たって訳です」

提督「なるほどなー。あ、ちゃんと人参も食べるんだぞ暁」

「いつの話よ!もうちょっとレディらしく扱ってよね!」

474 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:46:53.75 Gp7QffHqO 127/411


「そういえば大井さんは食べないのですか?」

大井「……」

「大井さん?」

大井「」グー

「寝ちゃってる……」

提督「目の隈が凄かったからな、きっと一睡もしないで待ってたんだろ」

「大井さん……」

北上「でもどうして急に寝ちゃったんだろうね?」

西提督「(とどめはきっと北上の一言だと思う)」

提督「しょうがない、大井を部屋に運んでくる」

西提督「お姫様抱っことは普段から大切にしてるのが伝わってくるね」

「羨ましいのです」

西提督「言えばしてもらえるんじゃないかい?」

「いえ、そんな資格電にはないのです」

西提督「そう?」

「なのです」

475 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:54:27.91 Gp7QffHqO 128/411

―港―


ザザァン


提督「……」

西提督「ここにいたんですか」

提督「ん?ああ、西提督さんか」

西提督「何か釣れましたか?」

提督「まだまだこれからよ」

西提督「そうですか」ハハ

西提督「この場所、いいですね」

提督「だろ?ここから見る景色は最高だ」

西提督「提督さんの鎮守府、随分家庭的でしたね」

提督「まああんな廃墟に住むよりはずっといいさ」

476 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:57:07.54 Gp7QffHqO 129/411


西提督「一人増えてましたね、また迎えに行ったんですか?」

提督「まあな」

西提督「そうやって全員迎えに行くんですか?」

提督「ああ」

西提督「全員戻った後はどうするんですか?」

提督「……」

西提督「また居なくなって艦娘に悲しい思いをさせる為に集めてるんですか?」

提督「……最初はさっさとイベントクリアしてまたすぐ出ていこうと思ってたさ」

提督「でも電に会って、大井に怒られて、暁に言われてやっと気づいた」

提督「俺は艦娘達に深い悲しみを背負わせてたんだな」

477 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:58:25.82 Gp7QffHqO 130/411


西提督「……」

提督「だからまず取り戻す取り戻さないは別として皆に謝りに行く」

提督「そしてこんな俺とまた一緒になってもいいって奴と一から始めるつもりだ」

西提督「……そうですか」

提督「ところで西提督さんの鎮守府はいいのか?」

西提督「ええ、思い切って一週間ほど休日にしてますから」

提督「そうか」

478 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 22:59:50.74 Gp7QffHqO 131/411


西提督「それと一ついいですか?」

提督「ん?」

西提督「提督さんがここに戻ってくるまでの間ずっと電さんが鎮守府にいたんですよね?」

提督「ああ、ずっと一人で頑張ってたみたいだ」

西提督「……それにしては鎮守府がボロボロすぎると思いませんか?」

提督「どういうことだ?」

西提督「いくら一人では掃除しきれないからってあそこまでボロボロになるでしょうか?」

西提督「まるで長い間誰もいなかったみたいな劣化のしかたでした」

提督「……」

西提督「電さんは本当にずっとこの鎮守府に……」

479 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 23:00:29.06 Gp7QffHqO 132/411



グググ


提督「おお!掛かったぞ!」

西提督「本当ですか!」

提督「ああ、手ごたえからしてこいつは大物だ!」グググ

西提督「ここって何が釣れるんでしょうね?」

提督「知らん、初めて釣りしたからな」

西提督「まさかイ級が釣れたりして」

提督「笑えねえなぁ」

提督「うおおおおおおおお!」


ザバァン


蒼龍「」ポタポタ

提督「……」

西提督「……」

蒼龍「提……督……?」

提督「お前、もしかして蒼龍か!?」

蒼龍「はは……神様っているんだね……最期にいい夢見せてくれるなんて……」

蒼龍「嬉しいなぁ……」ガク

提督「おい!しっかりしろ蒼龍!」

西提督「大丈夫、まだ間に合います!急いで入渠させましょう!」


----------------------------------------
---------------------------------
------------------------
----------------
-------

480 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 23:01:17.20 Gp7QffHqO 133/411


提督「蒼龍の様子は?」

大井「大丈夫、特に大きな損傷はないわ」

提督「良かった」ホッ

大井「ただ、とても疲労が溜まってるみたいね」

提督「疲労?」

大井「どうやったらここまで酷い状態になるのかしら、普通は疲労抜き位するはずだけど……」

大井「恐らく休みなしでずっと過ごしてたのかもしれないわね」

西提督「それってまさか……」

481 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/05 23:02:53.77 Gp7QffHqO 134/411


提督「……電、蒼龍は今どこの鎮守府に所属しているんだ?」

「蒼龍さんは確か北鎮守府に異動したはずなのです。他にも川内さんがいるのです」

提督「……そうか」ガタッ

「ど、どこ行くの司令官……?」

提督「ちょっと北鎮守府に挨拶しに行くだけさ」

「なら暁も……」

提督「暁と大井はここで蒼龍の看病をしていてくれ」

「でも……」

提督「レディなんだろ?蒼龍を頼んだぞ」ナデナデ

「もう……こんな時だけずるいわよ……」

北上「私達も手伝おうか?」

提督「いや、これは俺の鎮守府の問題だから俺がなんとかするさ」

西提督「そうですか」

提督「じゃあ行ってくる」

大井「……気をつけなさい」

提督「ああ。行くぞ、電!」キリッ

「なのです!」

516 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:44:17.87 Ma4Dq/LyO 135/411


-北鎮守府-


扉『』コンコン

北提督「入れ」カキカキ

皐月「ただいま!出撃から帰ってきたよ!」ガチャ

北提督「そうか」カキカキ

皐月「僕にかかればあんな海域簡単だったよ」

北提督「そうか」カキカキ

皐月「でもまだここに着任したばかりだからもっと出撃して練度をあげなきゃね」

北提督「皐月、お前残りの燃料と弾薬はどのくらいだ?」カキカキ

皐月「この出撃で丁度空になったよ。だって司令官さっき補給忘れて出撃させるんだもん、焦ったよ」

517 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:44:44.60 Ma4Dq/LyO 136/411


北提督「そうか。島風」カキカキ

島風「はーい」

北提督「連れていけ」カキカキ

島風「わっかりましたー」

皐月「補給室に連れて行ってくれるのかい?わざわざありがとう」

島風「こっちだよー!」グイッ

皐月「わわっ!そんなに急がないでよ」

扉『』バタン

北提督「……」カキカキ


530 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 15:12:35.29 Ma4Dq/LyO 137/411


島風「おっそーい」

皐月「僕は今燃料が空なんだからしょうがないよ」ハァハァ

島風「はやくはやくー」

皐月「元気がいいなぁ。あれ、補給室って工廠にあったっけ?」

島風「さ、着いたよ」

皐月「うん、ありが……」


『解体室』


島風「さ、この部屋だよ」

皐月「はは、島風ちゃんはおっちょこちょいだなぁ……ここは補給室じゃないよ」

島風「補給なんてしないよ」

皐月「え……?」

島風「提督がもういらないって」

皐月「うそ……でしょ……?」

島風「本当だよ」

皐月「なんで……?僕、何か悪いことでもしたのかい?」

島風「ううん」

皐月「じゃあ僕が弱いからかい!?でもそれは仕方ないじゃないか!僕はまだ着任したばかりなんだから!」

島風「それも違うよ」

皐月「じゃあなんで!」

島風「元々解体する予定だったから」

皐月「……は?」

島風「その前に使えるだけ使っただけだよ」

皐月「は……はは……」

皐月「そっか……」

皐月「僕は……初めからいらない艦娘だったんだ……」

皐月「通りで補給もされないし傷ついても入渠させてもらえなかった訳だ」

皐月「それなら……僕はなんの為に艦娘になったのかな……」

島風「島風にはわかんないよ」

皐月「それもそうだね……ああ、島風ちゃんが羨ましいなぁ……」

島風「遅い艦になるのが悪いんだよ」

皐月「そうだね、じゃあ僕はもういくよ」

皐月「さよなら」

ギィ

バタン

島風「……」

島風「……ごめんね」


518 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:45:25.11 Ma4Dq/LyO 138/411



扉『』コンコン


北提督「入れ」

川内「川内、ただいま帰投したよ」

北提督「ご苦労」

川内「はい遠征報告書、資源沢山持ってきたよ」

北提督「うむ」

川内「約束まであと90万だね!」

北提督「そうだな」

川内「絶対忘れないでよ!絶対だからね!」

北提督「わかってる」

川内「じゃあまた遠征行ってくるよ」

北提督「ああ、頑張れ」

川内「うん、じゃあね!」バタン

519 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:46:05.61 Ma4Dq/LyO 139/411


川内「……」ヨロヨロ

睦月「きゃっ」ドンッ

川内「あ、いたんだ。ごめんね」

睦月「ううん、睦月は大丈夫だよ」

川内「そう……」

睦月「あれ、川内さんどこ行くの?」

川内「遠征」

睦月「遠征って……さっきいったばかりでしょ!」

520 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:46:47.30 Ma4Dq/LyO 140/411


睦月「それにここ最近ずっと寝てないでしょ!少しは休もうよ!」

川内「いいよ、休んでる時間が勿体無いし。そこどいて」ヨロヨロ

睦月「やだよ!だって川内さんボロボロだもん!とっても辛そうだもん!」

川内「でもこのままのペースじゃ約束まで時間がかかりすぎちゃう」

睦月「約束って……資源100万集めたら川内さんの前の司令官に会わせるっていう……」

川内「うん」

537 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 17:59:52.92 p55pQBUPO 141/411


睦月「100万なんて無茶だよ!その前に川内さんが潰れちゃうよ!」

川内「……どいてよ」

睦月「それに川内さんの司令官さんだって今の川内さんの姿を見たらきっと……」

川内「どいてよ」ギロリ

睦月「!」ビクッ

川内「次の遠征部隊用意しといて」ヨロヨロ

睦月「川内さん……」

522 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/09 14:48:41.00 Ma4Dq/LyO 142/411


川内「……」ヨロヨロ

『夜戦ー!夜戦ー!』

『うるさい!寝ろ!』

『夜戦させてくれるまで動かないからね!』

『しょうがないな、一回だけだぞ』

『ありがとう提督、大好き!』

『好きなのは俺じゃなくて夜戦だろ?』

『どっちも好きだよー!』

『都合のいい奴だ』

川内「提……督……」ヨロヨロ

576 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:44:25.77 lWT53r/Co 143/411


-北鎮守府-

提督「ここか」

「なのです」

提督「門の前に誰もいなかったから勝手に入ったが……」

「空気が重いのです」

提督「ああ。それにどの艦娘を見ても表情が暗い」

伊58「……」ヨロヨロ

伊168「……」ヨロヨロ

「何故でしょう……電達には興味も示さないのです」

提督「……」

577 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:45:27.86 lWT53r/Co 144/411


霧島「さ、行きましょう」

千代田「また、キス島……?」

瑞鶴「毎日毎日同じことの繰り返し、私達は一体何の為に生きてるのかしら」

千歳「考えちゃ駄目よ……終わりなんてないんだから……」

提督「……」

578 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:46:38.33 lWT53r/Co 145/411


龍田「さ、遠征に行きましょう」

如月「もう行くの?」

菊月「もう少しだけ休……」

龍田「解体されたいの?」ジャキ

菊月「……行こうか」

文月「もう……疲れた」

提督「……もう行こう、電」

「なのです」

579 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:47:37.95 lWT53r/Co 146/411


睦月「あのぅ」

提督「ん?」

睦月「誰ですか?見慣れない人ですけど」

提督「ああ、ちょっとここの提督に用事があってね」

睦月「そうですか、そっちに行けば会えますよ」

提督「ありがとう」

睦月「どういたしましてにゃしぃ♪」

提督「それよりお前、傷ついてるじゃないか。早く入渠しなきゃ」

睦月「知らないんですか?この位の傷じゃ轟沈しないんですよ?」

提督「そういう意味じゃ……」

睦月「あ、もう行かなきゃ。さよなら」タッ

提督「……」

「……」

580 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:49:53.62 lWT53r/Co 147/411


提督「ん、あれは……」

川内「……」フラフラ

提督「川内!」

川内「……」ドシャ

提督「大丈夫か!」ダッ

提督「川内!しっかりしろ!川内!」

川内「……」ムク

川内「折角……集めた……資源が……」

581 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:50:33.80 lWT53r/Co 148/411


提督「それよりもお前ボロボロじゃないか!」

川内「そこ……どいてよ」

提督「川……内……?」

「電達だと気づいてないのですか?」

川内「資源……届けなきゃいけないんだから……」スッ

川内「……」フラフラ

川内「……」ドシャ

提督「川内!」ダッ

川内「資……源……」

提督「なんでそんなにボロボロになるまで働くんだ!」

582 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:51:49.79 lWT53r/Co 149/411


川内「約……束……」

提督「約束?」

川内「資源100万集めたら……提督に会わせてくれるの……」

提督「!」

川内「今度提督に会ったら……言うんだ……」

川内「今まで我儘ばっかり言って……ごめんなさいって……」

「川内さん……」

川内「本当は夜戦なんかより……提督の……方が……」

川内「ずっと……ずっと……好きだって……」ガクッ

「川内さん!」

583 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/12 08:54:25.63 lWT53r/Co 150/411


提督「大丈夫、気を失ってるだけだ」

「……」

提督「電、川内を頼む」スッ

「……司令官さん」

提督「……なんだ?」

「なんでここの人達は下ばかり向いているのですか?」

提督「……」

「なんで……誰も笑ってないのですか?」

提督「……」

「なんで……こんなに心が苦しいのですか……?」ポロポロ

提督「電……」

「ここにいる人達は……皆……辛そうなのです……苦しそうなのです」ポロポロ

提督「……」

「川内さんだけじゃなく……皆を……助けてあげる事はできないのでしょうか……」ポロポロ

提督「なんとか……してみせるさ……」

645 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/20 23:44:56.32 NPTnEIdeO 151/411


−司令室−


北提督「」カキカキ

扉『』コンコン

北提督「入れ」

提督「失礼します」ガチャ

北提督「貴方は……?」

提督「提督と申します」

北提督「おかしいですね、門番から何の連絡も無かったのですが」

提督「門の前に誰も居なかったので誠に勝手ながら入らせてもらいました」

646 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/20 23:45:31.42 NPTnEIdeO 152/411


北提督「誰もいなかった……?」

北提督「全く……」ハァ

北提督『島風、至急執務室までこい』

ダダダダダダ

島風「はーい、島風来たよー!」ガチャ

島風「どう?早かった?」

北提督「遅い」

島風「ぶー」

647 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/20 23:48:58.54 NPTnEIdeO 153/411


北提督「それよりお前今日は秘書艦の仕事はないから門番やってろと言っただろう」

島風「誰も来なかったから遊んでたよー」

北提督「来ただろうが、全く。すみません、うちのミスです」

提督「いえ、大丈夫です」

北提督「それで今日はどのような用件で?」

提督「ええ、私の鎮守府に蒼龍が流れついてきまして、確か今はそちらの配属だったかと」

北提督「おお、すみません。蒼龍が急に行方不明になるものですからずっと捜索してたんですよ」

北提督「本当にありがとうございます」

提督「ええ、それとうちの蒼龍と川内を可愛がってくれたお礼を言いに」

北提督「うちの……?」ピクッ

648 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/20 23:55:45.94 NPTnEIdeO 154/411


北提督「ああ……貴方が……そうですか……」

提督「疲労抜きもせずにずっと出撃、守る気のない約束をして心を弄ぶ……」

提督「貴方はそれでも提督ですか!」

北提督「私は何も悪い事なんてしてませんよ?」

提督「なんだと?」

北提督「私は大本営が定めた規則を何一つ破った覚えはありません」

提督「!」

649 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/20 23:57:34.69 NPTnEIdeO 155/411


北提督「確かに何度も艦娘を轟沈させてはいけないという注意はありますが」

北提督「大本営は艦娘を酷使させてはいけないといつ言いました?」

北提督「艦娘を傷つけたまま放置してはいけないといつ言いました?」

北提督「言ってませんよね?」

島風「……」

652 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 00:01:27.33 nKSTgNkHO 156/411


提督「ふざけるな!」ドンッ

提督「そんな事規則にするまでもないだろ!艦娘は道具じゃない、俺達と同じ心の通った人間だ!」

北提督「だからぬくぬくとした環境で大切に育てろと言うのか!?そんなんじゃいつまで経っても強くなんかなれない!」

提督「だからってこんなやり方は間違っている!」

北提督「強くなるには厳しくする必要もあるんだ!それが艦娘の為になるんだ!」

提督「権力を使って一方的に命令することが艦娘の為になる訳がない!艦娘と共に考え、共に歩むのが提督のあるべき姿だ!」

北提督「そんなのは理想論だ!お前が居た頃とはもう時代が違う、これが今の時代に一番合ったやり方だ!」

提督「違う!どんなに時代が変わってもこの理念は変わらない!」

653 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 00:03:23.60 nKSTgNkHO 157/411


提督「……」ハァハァ

北提督「……」ハァハァ

北提督「……じゃあお前はどうなんだ」

提督「……」

北提督「自分の鎮守府の艦娘をずっと放置するのが正しいやり方なのか!?」

提督「……!」

北提督「放置された艦娘はさぞ辛かったろうな、悲しかったろうなぁ」

北提督「そんな奴が俺に説教する権利なんてないんだよ!」

提督「……」ギリッ

662 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 00:59:40.57 nKSTgNkHO 158/411


提督「(悔しいが……こいつの言う通りだ……)」

提督「(今の俺に何かを言う資格なんて……)」

「だから何なのよ」

北提督「ん?」

島風「」ピクッ

扉『』ドゴン!

北提督「なんだお前は?」

大井「ただの重雷装巡洋艦よ」

提督「大井!?なんでここに!?」

664 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:04:51.28 nKSTgNkHO 159/411


大井「心配になって来てみたけど」

大井「何縮こまってるのよ、いつもの貴方らしくもない」

提督「しかしな……」

大井「まあ確かに提督がこいつを説教する権利なんてないわ」ツカツカ

大井「でもね」グイッ

北提督「!」

大井「だからってあんたが正しい事にはならないわよ」

北提督「……」

665 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:05:58.41 nKSTgNkHO 160/411


大井「うちの提督は確かに屑よ、何の連絡もせずに私達をほったらかしてどこかにいってたんですもの」

大井「でもこの人は今変わろうとしている。自分の罪を受け止めてやり直そうとしている」

大井「あんたと違ってね」

提督「大井……」

北提督「……」

島風「」ガッ

大井「ん?」

島風「その手、離してよ」ミシミシ

大井「ふんっ!」パッ

北提督「躾のなってない小娘め」

大井「なんとでも言いなさい」

666 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:07:36.85 nKSTgNkHO 161/411


北提督「……そんなに艦娘を取り返したいのか?」

提督「ああ。でもそれだけじゃない、ここにいる全員どうにかしたいと思ってる」

北提督「やれやれ、このまま貴方を返すのは簡単だ、しかし大本営や他鎮守府に告げ口されては私も困る」

北提督「暫く居なかったとはいえ昔トップランカーだった人ですからね、発言の影響力も少なくないでしょう」

提督「……」

北提督「それならば今ここではっきりと白黒つけた方がいい」

北提督「俺と演習をしましょう」

667 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:08:45.69 nKSTgNkHO 162/411


提督「演習だと?」

北提督「ええ、貴方が勝てば川内と蒼龍は返します。そして艦娘の異動願いを全て受理しましょう」

北提督「その代わり貴方が負ければ貴方の所持艦娘、装備を全ていただきます」

提督「!」

大井「それって負けたら私達はあんたの鎮守府に行くってこと?」

北提督「ああ」

提督「艦娘は道具じゃないと言っただろう!賭け事の対象にするなんて……」

大井「いいわよ」

668 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:11:21.52 nKSTgNkHO 163/411


提督「え?」

大井「その勝負受けて立つわ」

提督「何を言ってるんだ大井!」

北提督「言ったな?もう取り消しはできんぞ」

大井「ええ、望むところよ」

提督「大井!」

北提督「よし、成立だ!勝負は三日後、ここの演習場で」

提督「全く……」ハァ

北提督「それまで特別に川内と蒼龍は返しましょう」

提督「しかし今私の鎮守府にはその2人を入れても5人しかいないのですが」

北提督「そこはご安心を、こちらも5隻にするので。貴方ごとき実力でねじ伏せてやりますよ」

提督「ありがとうございます」

669 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/21 01:15:49.43 nKSTgNkHO 164/411


大井「そうと決まったらさっさと帰って作戦練るわよ」

提督「ああ、それと一つ聞いていいですか?」

北提督「何ですか?」

提督「貴方は艦娘と共に歩んでいこうと思ったことはないんですか?」

北提督「……ないですね、今も昔も」

提督「そうですか、では」バタン

島風「……本当に良かったの?」

北提督「当たり前だ。ずっとどこかに行っていた奴なんかに負ける訳がないだろう」

北提督「それに優秀な艦娘と装備を大量に手に入れる事ができるんだ」

北提督「こんないい話しは滅多にない」ハハ

島風「……」

699 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:35:59.23 lBu2jHb0O 165/411


-鎮守府-

提督「という訳で北鎮守府と演習することになった」

「なんでそうなるのよ!」

提督「だって大井がなぁ」

大井「しょうがないじゃない、あそこまで言われて黙ってる方が無理よ」

提督「まあ確かにな」

川内「よくわかんないけどとりあえず夜戦しようよ」

提督「それは最終手段な。あと動き難いから離れなさい川内」

川内「やだー!」

700 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:37:09.23 lBu2jHb0O 166/411


「そうよ川内さん、羨ま……じゃなくて司令官が動きにくそうじゃない!」

川内「だって離れたらまた提督どっか行きそうなんだもん」

「で、でも……!」ウズウズ

提督「暁、左側空いてるけど来るか?」

「え、いいの?」キラキラ

提督「嘘だ」

「もう司令官なんてしらないんだからっ!」ダッ

701 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:38:08.44 lBu2jHb0O 167/411


提督「ああっ!すまん暁、俺が悪かった!今日一緒に寝てあげるから!」

「本当?」ピタッ

提督「本当」

「な、なら許してあげるわ!別にそれが目当てって訳じゃないけど……」

蒼龍「もう、何やってるんですか提督」ハァ

提督「蒼龍も川内も元気になったし良かった良かった」

蒼龍「うん、暁ちゃんが看病してくれたからもう元気だよ」

川内「私は高速修復材だけどねー」

702 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:41:07.48 lBu2jHb0O 168/411


提督「西提督が持ってきてくれて助かったよ、うちにはなかったから」

西提督「いえいえ」

提督「しかし二人とも、本当にすまなかった」

川内「別にいいよー。私は提督が居ればそれ以外何もいらないしねー」

蒼龍「私も同じかな、もう勝手に居なくなったりしないでね?」

提督「ああ、わかってる」

「少しずつ戻ってきて嬉しいのです」

703 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:43:01.40 lBu2jHb0O 169/411


西提督「皆が行っている間はここは私が守っておきますから安心してください」

提督「そうか、本当にありがとう」

西提督「困った時はお互い様ですよ」

北上「でも演習で負けたら皆また提督と離れることになるんでしょ?大変だねぇ」

704 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:44:07.52 lBu2jHb0O 170/411


大井「大丈夫よ北上さん、私達も練度が高いし装備だってちゃんとあるし……」

提督「すまん、装備は何もない」

大井「は?」

提督「装備は全部倉庫にしまってるだろ?その倉庫の鍵失くしちゃったみたいでな」

大井「じゃあ甲標的は?」

提督「倉庫」

大井「五連装酸素魚雷は?」

提督「倉庫」

大井「他の皆の装備は?」

提督「倉庫」

大井「ふざけんじゃないわよ!」ドゴォ

提督「すみません!」ゴフッ

蒼龍「あちゃー」

「もうダメダメね」

「司令官さん……」

705 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:46:28.75 lBu2jHb0O 171/411


大井「仕方ないわ、こうなったら演習までの間にできるだけ装備を開発するしかないわね」

北上「ねえ提督、私達の装備を貸すってだめなの?」

西提督「それは駄目だよ。これは私達が関わってはいけない問題だからね」

北上「そうなの?」

西提督「うん、もし仮にできたとしてもこの提督さんは受け取らないだろう」

北上「ふーん、男のプライドってやつ?」

提督「そういう事だ。すまんな北上」

北上「別にいいよー」

西提督「これから作戦を練ったりするのに私達が居ては邪魔でしょう。私達は一旦鎮守府に帰りますね」

提督「ああ、すまない」

西提督「いえいえ、それよりも負けないでくださいね」

提督「ああ、負けないさ」

西提督「そうですか、それは良かった。では」

北上「じゃねー」

708 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:51:25.64 lBu2jHb0O 172/411



大井「……でもどうするのよ。まず艦載機だけでもいい物を揃えなきゃ」

提督「それについては大丈夫だ。蒼龍、これを使え」スッ

蒼龍「え、これって……烈風(六〇一空)!?」

「!」

大井「この艦載機って……」

提督「ああ、加賀に持たせている物だ」

蒼龍「でもなんで提督が持ってるの?」

「司令官さん!会ったのですか、加賀さんに!?」

提督「いや、そういう訳じゃない。東提督からもらったんだ」

「そうですか……」

提督「どうした?」

「なんでもないのです」

大井「でもなんで東提督がこれを……」

提督「さあな、だが兎に角これで制空権は大丈夫だ!次は作戦を練るぞ!」

艦娘一同「「「「「はい!」」」」」

709 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:53:28.19 lBu2jHb0O 173/411



-北鎮守府-


北提督「お前達は今日から三日間出撃と遠征をしなくていいぞ」

島風「はーい」

「……」

霧島「……」

五十鈴「……」

飛龍「……」

北提督「そして三日後に演習にでてもらう」

北提督「この演習は負けは許されない、絶対に勝ってもらう」

霧島「ならば戦艦と空母の数を増やせばいいのでは……?」

北提督「その分の消費した資材は君が稼いでくれるのか?」

霧島「……いえ、すみません」

710 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:54:00.54 lBu2jHb0O 174/411


北提督「大丈夫だ、相手に戦艦はいないし空母も一隻。このメンバーなら負けはない」

北提督「そして勝利した暁には更に一週間の休暇を与えよう」

「!」

霧島「!」

五十鈴「!」

飛龍「!」

北提督「旗艦は島風で行く。各自三日間疲労抜きに努めるように」

艦娘一同「「「「「はいっ!」」」」」

711 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/23 23:57:39.41 lBu2jHb0O 175/411


-廊下-

「いきなり三日間休めって何言ってるのよあの司令官」

霧島「さあ、あの人の考えることはわからないわ」

五十鈴「私達だけ休むのも逆に嫌だわ、なんだか申し訳ないし」

島風「ね、ねえ、これからミーティングしない?」

五十鈴「え?」

島風「だって連携の確認とかした方が……」

「嫌よ、私は疲れてるの。贔屓されてるあんたと違ってね」

五十鈴「まあ秘書艦だからか初期から一緒にいるからか知らないけどなんでいつも自由気ままに振る舞って何も言われないのって思うわよね」

飛龍「今更そんなのどうでもいいわ。それより私眠いから帰る、じゃ」

霧島「私もそうするわ」

「例え旗艦だろうが私はあんたの指示には従わないから」

五十鈴「相手はそんなに強くないんでしょ?大丈夫だって」

島風「そ、そうだよね。ごめんね」

「ふんっ!」スタスタ

五十鈴「じゃあ私も帰るけど変な事で集めたりしないでよね。疲れてるんだから」スタスタ

島風「うん、わかった」

島風「……ごめんね」

712 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/03/24 00:01:20.63 yWLtczF2O 176/411

ここまで。
少し描写しきれなかった所を補足
・装備をしまう倉庫はかなり頑丈に施錠されていて艦娘でも壊す事はできない
・北鎮守府の艦娘は基本いいこなんです、本当です

792 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:04:30.52 peHwdGRRO 177/411




-演習当日-



提督「よしお前ら、準備はできたか!」

大井「できてる訳ないでしょ!」ドゴォ

提督「ごはっ!」

大井「結局ほとんど装備開発してないじゃない!」

川内「私と蒼龍さんの装備を開発しただけだったねー」

蒼龍「しかもほとんどはずれの艦載機……」

「暁達は元々装備があったからよかったものの」

「やっぱりいい装備とは言えないのです」

提督「流星改とか出るとおもったんだけどなー」

蒼龍「後先考えずにやりすぎですよ」ハァ

川内「相変わらずだねー」ハハ

793 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:05:46.84 peHwdGRRO 178/411


提督「兎に角後は作戦通りやるだけだ。一応無線で指示は送るが各自作戦通り動いてくれ」

提督「お前達なら勝てると信じてる」

大井「当たり前じゃない。なんせ私達は提督の艦娘なんだから」ジャキ

「そうよ、司令官が暁達を信じているように」ジャキ

川内「私達だって提督を信じてるんだから」ジャキ

蒼龍「だからドンと構えてよね」ジャキ

「なのです」ジャキ

提督「俺は幸せ者だな……」

794 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:06:25.66 peHwdGRRO 179/411


「司令官さん、一つ聞いていいですか?」

提督「なんだ?」

「何故電にだけ応急修理女神が積んであるのですか?演習で沈むことはないと思うのですが……」

提督「念の為ってやつだ。なんだか俺の知ってる艦これとは少し変わってきてるからな」

提督「それに、お前は一人で無茶する時があるだろ、だから心配でな」

「司令官さん……ありがとうなのです」

提督「気にすんな」

提督「よし、行ってこい!艦隊、抜錨!」

艦娘一同「「「「「はいっ!」」」」」

795 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:06:57.36 peHwdGRRO 180/411


北提督「準備はできたか?」

「ええ」

霧島「はい」

五十鈴「はい」

飛龍「はい」

島風「島風はいつでも戦えるよ!」

北提督「作戦は伝えた通りだ。その通りにやれ」

霧島「わかりました」

796 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:07:37.87 peHwdGRRO 181/411


島風「ねえ提督!」

北提督「なんだ?」

島風「この戦い絶対に勝つからさ、勝ったら前みたいに島風と追いかけっこしようよ!」

北提督「考えておいてやる」

島風「鬼は提督だよ!」

北提督「わかったから早く行け」

島風「うん!島風、抜錨しまーす!」ザザァ

「ちょっと待ちなさいよ!」ザザァ

五十鈴「焦っちゃ駄目よ!」

飛龍「面倒くさいけど休暇の為だし頑張りますかぁ」ザザァ

797 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:08:06.24 peHwdGRRO 182/411


霧島「司令」

北提督「なんだ?」

霧島「私達に休暇を与えてまで勝たなければいけない理由とはなんですか?」

北提督「お前には関係のないことだ、行け」

霧島「わかりました」ザザァ

北提督「……」

798 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:09:17.41 peHwdGRRO 183/411




提督『あーあー』

提督『無線の音は聞こえるか?』

大井「ええ」

提督『よし、全員持ち場についたか?』

蒼龍「うん」

「ええ」

川内「いつでも戦えるよ」

「なのです」

提督『そうか、しかしまずは航空戦だ。蒼龍、頼んだぞ』

蒼龍「了解、発艦!」バシュ

ブロロロロロロロ

提督『よし、その間に四人は前進だ!』

大井「わかったわ!」ザザァ

「怖くなんてないし!」ザザァ

川内「夜戦になんないかなー」ザザァ

「できればその前に終わらせたいのです」ザザァ


799 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:10:20.24 peHwdGRRO 184/411


北提督『よし、飛龍。飛ばせ』

飛龍「はい!」バシュ

ブロロロロロロロ

北提督『他は迎撃の準備をしろ!』

島風「はーい!」

霧島「はい」

「わかったわ」

五十鈴「ええ」

北提督『いいか、飛龍には艦攻と艦爆を多めに積んである。今回は制空権をとるつもりはない』

北提督『制空はきっと拮抗状態になるだろう、しかし艦攻と艦爆で敵の数を減らす。後は数で圧せ』

霧島「わかりました」

北提督『作戦はわかっているな?相手の脅威は空母と雷巡だけだ。それを最優先して狙え』

「ええ」

飛龍「敵艦載機発見しました!」

北提督『よし、できるだけ多くの損害を与えるんだぞ』

飛龍「わかってます」

800 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:11:26.90 peHwdGRRO 185/411


蒼龍「提督、敵の艦載機が来たよ」

提督『艦載機の種類は?』

蒼龍「凄い、提督の言ってた通り艦攻と艦爆が多めだよ」

提督『やっぱりな、これで相手がこちらを舐めてるのは確信になった。後はその隙を突くぞ』

蒼龍「うん!」

801 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:12:02.88 peHwdGRRO 186/411



飛龍「提督、やっぱり相手あんまりいい艦載機使ってないみたい」

北提督『やはりな。あの提督は暫く不在にしていた場合倉庫の鍵が掛けられ一時的に大本営の管理下に置かれることを知らないらしい』

北提督『まあこれを知っている奴の方が少ないだろうがな』

飛龍「どうしますか?」

北提督『構わん、やれ』

飛龍「はい!」

飛龍「……」キッ

飛龍「航空状態は拮抗!こちらも相手も艦戦はゼロです」

北提督『被害状況は?』

飛龍「今のところほとんど撃ち落されてはいません。更に相手の艦攻と艦爆をかなり落としました」

北提督『このままできるだけ損害を与えろ』

飛龍「はい」

802 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:13:12.26 peHwdGRRO 187/411


飛龍「……」

飛龍「(なんだろう……)」

飛龍「(あまりにも上手く行き過ぎているような……)」

飛龍「(そういえば、蒼龍の艦載機ってあれだけしか積めなかったっけ?)」

飛龍「(いや、違う!もっと積めるはずだ!)」

飛龍「提督、ちょっと待っ……」

飛龍「!」

北提督『どうした?』

飛龍「相手の後方から更に艦載機が接近しています!」

北提督『落ち着け、恐らく後方にも配置していたんだろう。こちらの艦載機が少し減るが構わん、突っ切れ』

飛龍「いえ……それが……」

飛龍「相手の艦載機は……烈風(六〇一)です!」

803 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:13:55.53 peHwdGRRO 188/411


蒼龍「提督、前半の艦載機ほとんどなくなっちゃったよ」

提督『大体予想はしてたからな、少しでも敵に損害を与えたら儲けもん位に考えてるさ』

提督『相手の艦戦はどうだ?』

蒼龍「ほとんど撃ち落したよ」

提督『完璧だ、よくやった蒼龍』

蒼龍「なんだか照れるなぁ」

提督『さあ後もうひと踏ん張りだ、頑張れよ!』

蒼龍「わかった!」

804 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:14:48.32 peHwdGRRO 189/411



飛龍「提督、駄目です!どんどん艦載機が撃ち落されていきます!」

北提督『くそっ!どうにかするんだ!』

飛龍「どうにかってどうすればいいんですか!?」

北提督『そんなもの自分で考えろ!いいのか、このまま負けたら休暇はないんだぞ!』

飛龍「!」

飛龍「……」ギリッ

飛龍「絶対に……負けられない!」キッ

805 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:15:49.94 peHwdGRRO 190/411


提督『どうだ?』

蒼龍「うん、このままいけば全部落とせるよ」

提督『そうか、最高の立ち上がりだな』

蒼龍「!」

蒼龍「提督、相手の艦載機の様子が少しおかしい」

提督『どういうことだ?』

蒼龍「他の全ての艦載機が一機だけを守るようにして向かってきてる!」

提督『全部落とされるのだけは避けようという事か、何とかして全部落とすんだ蒼龍!』

蒼龍「駄目、守りが堅すぎて突破されちゃったよ!ものすごい速さでこっちに接近してる!」

提督『落ち着け、たった一機だ!よく見て避けるんだ!』

蒼龍「嘘、さっきまでとは格段に速……」

ドォン

806 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:16:16.73 peHwdGRRO 191/411


提督『蒼龍!』

提督『大丈夫か!?応答しろ!』

蒼龍「こちら……蒼龍……」

提督『無事か!?』

蒼龍「うん、私は大丈夫」

提督『そうか』ホッ

蒼龍「ただ、艤装にストッパーかかっちゃったみたい……」

蒼龍「だから私はここまでかな。ごめんね提督」

提督『気にするな、よくやったさ。後は見ていてくれ』

蒼龍「うん、そうするね。じゃあ」ピッ

蒼龍「……」

蒼龍「あの艦載機の最後の一撃、相手の執念を感じたなぁ……」

807 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:16:50.36 peHwdGRRO 192/411


飛龍「……」ゼーハー

飛龍「制空権は奪われましたが……蒼龍を撃沈しました……」ゼーハー

北提督『よくやった』

飛龍「……まだ敵の艦載機が残ってます」

北提督『わかっている。こちらに艦載機が接近している!回避しろ!』

「来たわ!」

島風「島風には当たらないよ!」サッ

霧島「よく見れば大丈夫のはずよ」サッ

霧島「!」

霧島「もう一機ですって……!」

霧島「(駄目、このままじゃ……)」

五十鈴「危ない!」バッ

ドォン

808 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/06 07:17:44.32 peHwdGRRO 193/411


北提督『大丈夫か』

「ええ、霧島さんは無事よ」

島風「でもその代わり……」

五十鈴「いつつ……艤装にストッパーかかっちゃったみたいね」

霧島「なんで私を庇って……」

五十鈴「そんなの勝つ為に決まってるじゃない。こんなところで主力を失うわけにはいかないわ」

島風「……」

霧島「ごめんなさい」

五十鈴「謝らなくていいから勝ってよね、絶対よ」

霧島「ええ」キリッ

北提督『そのつもりだ。そろそろ敵が来るぞ、迎撃しろ!』

島風霧島「「「はいっ!」」」

819 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:38:40.11 zYjfG8ddO 194/411


大井「皆、作戦は覚えてるわね」

川内「わかってるよ」

「はいなのです」

「ええ」

大井「これから交戦するけど一つだけ注意して」

大井「霧島は勿論だけどあの島風にも警戒しなさい」

川内「え、あの駆逐艦?」

「確かに速いものね」

大井「ええ、あの速さもそうだけどそれだけじゃないわ」

大井「あの子、なんとなく嫌な予感がするの」

「嫌な予感?」

大井「ええ」

川内「ふぅん。了解、気を付けるよ」

「わかったわ」

「なのです」

820 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:39:22.61 zYjfG8ddO 195/411


北提督『よし、敵の空母は潰した。後は大井を倒せばそちらにもう駒はない』

霧島「はい」

北提督『奴らも全力であいつを守ってくるはずだ、そうさせないように分断させろ』

北提督『そして島風と霧島の二人で大井を狙って霞が時間を稼げ』

「!」

島風「!」

霧島「!」

821 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:40:00.88 zYjfG8ddO 196/411


「それは……勝負に勝つ為に私に沈めって言いたいの?」

島風「ちょっと待って!時間稼ぎなら島風がするよ!だってほら、島風の方が速いし!」

北提督『ならん、大井は確実に仕留めなければならない』

島風「で、でも」

北提督『作戦に変更はない』

島風「……」

霧島「……」ギリッ

822 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:40:33.00 zYjfG8ddO 197/411


「……いいわ」

島風「!」

「やってやるわよ。感謝しなさい、このクズ」

「あんたなんて……あんたなんて地獄に落ちればいいのよ!」バキッ

霧島「……私ももう疲れたわ」バキッ

島風「……」

霧島「これが演習でなければ確実に霞ちゃんは沈むでしょうね」

「もういいわ。どうせここで勝ってもいつかこういう作戦で沈むことになるんだし好きにやらせてもらって」

「これが終わったら解体申請でもだすわ」

霧島「私も一緒に行きますよ」

823 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:41:09.06 zYjfG8ddO 198/411


北提督『島風、聞こえるか?』

島風「……」

北提督『あの二人が無線を壊したようだがお前の無線があれば問題ない、作戦の続きだが……』

島風「提督!」

北提督『……なんだ』

島風「安心して、絶対勝つから!」

島風「じゃあね!」バキッ

「どういうつもり……」

霧島「これは驚きましたね……」

824 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:41:39.71 zYjfG8ddO 199/411


島風「勝てばいいんだよ。そうすればきっと許してくれるよ」ニコッ

「別に許してもらおうなんて思ってないわよ」

霧島「でもやはり勝負には勝ちたいですね」

島風「じゃあ作戦どうするの?」

霧島「今私が考えるので待ってて……」

「あのクズの作戦でいいわよ」

島風「!」

霧島「!」

「別にこれは実戦じゃないんだし。それに勝つ為にはこの作戦が一番でしょうしね」

島風「でも……」

825 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/10 07:42:05.95 zYjfG8ddO 200/411


「勘違いしないで。これはあのクズに言われたからじゃなくて私自身の意志でやってるの」

「だから負い目なんて感じる必要ないわ」

霧島「……本当にいいんですか?」

「ええ、それにもう時間もないし」

霧島「そうね、そろそろ来るわ」

霧島「総員、戦闘準備!」

島風「「はいっ!」」

836 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:08:15.62 aqm+2Yi/O 201/411


大井「敵艦発見、戦闘に入るわよ!」

提督『総員作戦通り動け!』

「わかったわ、大井さんは雷撃の準備をお願い!」

「その間は電達が守るのです!」

大井「わかったわ」

霧島「そうはさせない!総員突撃!」

島風「はーい!」

「わかったわ!」

837 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:09:50.69 aqm+2Yi/O 202/411


川内「させないよ!」ドンドン

「なのです!」ドンドン

「レディが相手よ!」ドンドン

島風「そんなの当たんないよ!」サッ

霧島「そんなの効かないわ!」ザザァ

「電達の砲撃を受けてもびくともしないのです」

「それどころか気にせずこっちに向かってくるわ」

提督『諦めるな。当て続ければダメージは蓄積される!』

「そんなのわかってるわ!」ドンドン

838 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:11:24.76 aqm+2Yi/O 203/411


霧島「!」

霧島「ここよ!」ドン

ドゴォン

大井「!」

「っ!」

「きゃあ!」

川内「くっ、凄い爆風だね」

島風「こっちもあるよ!」ドンドン

「くらいなさい!」ドンドン

「甘いわ!」サッ

「なのです!」サッ

839 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:13:16.23 aqm+2Yi/O 204/411


霧島「避けると思ってましたよ」ニヤリ

川内「!」

川内「二人共!大井から離れすぎだって!」

「!」

「!」

「いつの間にか……」

「大井さんが一人になっているのです……」

大井「これが狙いだった訳ね……」

提督『急いで大井の元に戻るんだ!』

「わかったわ!」

「なのです!」

ドン

川内「!」

「!」

「!」

「あんた達の相手は私よ」

川内「一人で相手するつもり?」

「私一人で十分ってことよ」ジャキ

川内「ふぅん」ジャキ

------------------------
----------------
----------
-----
--

840 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:15:22.30 aqm+2Yi/O 205/411


大井「これがあなた達の作戦って訳ね」

霧島「ええ」

島風「そうだよ」

大井「私を倒せば他はどうでもいいなんて随分舐められたものね」

霧島「ええ、ただの駆逐艦と軽巡になんて負けませんよ」ジャキ

大井「私だって魚雷なんか使わなくてもあなた達くらい倒せるわ」ジャキ

島風「負けないよ。だって遅いもん」ジャキ

大井「はああああああああああ!」ドンドン

841 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:28:49.60 aqm+2Yi/O 206/411



川内「遅いよ!」ドンドン

「くっ!」

「まだよ!まだ私は戦えるわ!かかってきなさい!」

川内「しぶとい!さっさと沈んでよ!」ドンドン

「!」

ドン

「かはっ……!」

川内「……やっと終わりだね」ハァハァ

「……」ハァハァ

842 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:30:05.50 aqm+2Yi/O 207/411


「そうね、この距離は流石に逃げ切れないわ」ハァハァ

「(私も……ここまでのようね……)」

川内「……」ジャキ

「(これが実戦だったら……私はこんな最期になってたのかしら……)」

「(そんなものよね……私なんて……)」

川内「さよな……」

川内「!」ゾクッ

川内「(殺気!)」クルッ

飛龍「はあああああああああああ!」ドゴォ

843 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:31:36.24 aqm+2Yi/O 208/411


川内「かはっ……!」メリメリ

「!」

川内「(意識……が……)」

提督『川内!大丈夫か!』

川内「!」ハッ

川内「(ただじゃ……やられないよ……)」ジャキ

「やめなさい!」

川内「」ニッ

川内「」ドン



ドゴォン



844 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:33:05.15 aqm+2Yi/O 209/411


提督『おい!川内!大丈夫か!返事しろ!川内!川内!』

「うっさいわね」ケホケホ

提督『なんだお前は!川内はどうした!』

「私の横で気絶してるわ」

提督『そうか……一体何があった?』

「あんた一体艦娘にどんな訓練させてるのよ」

提督『どういう意味だ?』

「どうもこうもないわよ。意識が飛ぶ瞬間になんのためらいもなく私達ごと巻き込む砲撃撃つなんてどんな精神してるのよ」

「おかげでこっちは二人とも轟沈扱いよ」

提督『そうか。川内が起きたらありがとうと伝えておいてくれ』

「嫌よ、自分で伝えなさい」バキッ

「ふんっ」

845 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 00:35:00.64 aqm+2Yi/O 210/411


「それと……」クルッ

飛龍「……」

「なんで私のところに来たのよ。私は時間稼ぎの囮よ?」

飛龍「別に、ただ提督がそこに向かって援護しろって言ったから来ただけ」

「!」

飛龍「これでよかったの?提督」

北提督『十分だ』

飛龍「そう、じゃあね」ブツッ

「嘘……でしょ……」

飛龍「ま、結果的には二人とも轟沈扱いになったけど相手が悪かったからだね。普通なら二人とも生きてた」

「じゃあ……あいつは初めから私を犠牲にするつもりなんてなかったの……?」

飛龍「さあ?提督の考えることなんて私にはわからないね」

飛龍「でも提督ってさ、私の知ってる限りでは解体は山ほどしてきたのに轟沈だけは一度もさせたことなかった」

飛龍「これだけは確かだよ」

「……」

飛龍「まあ考えたって無駄だって。後はただ待とうよ、勝利の報告を……」


849 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:13:56.36 aqm+2Yi/O 211/411




大井「」ハァハァ

霧島「私達二人相手によく逃げたわね」ジャキ

島風「追いかけっこ楽しかったよ」ジャキ

大井「まだ……負けてないわ……」ジャキ

大井「はあっ!」ドンドン

島風「当たらないって言ってるでしょ!」サッ

霧島「決めるわよ!全門斉射!」ドンドン

大井「きゃあっ!」

大井「……駄目、ストッパーがかかったわ。轟沈ね」

850 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:24:38.94 aqm+2Yi/O 212/411


霧島「やったわ!私達の勝利よ!」

島風「だって私速いもん!」

大井「ええ、確かにあなた達は勝ったわ……私にね」

島風「」ピク

霧島「どういう意味かしら?」

大井「提督、準備はできたかしら?」

提督『ああ、間に合わなくてすまなかった』

大井「仕方ないわ、だって二人がかりで来るとは思わなかったんですもの」

島風「!」

島風「後ろ!」

851 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:30:39.88 aqm+2Yi/O 213/411


霧島「!」クルッ

「暁ちゃん、準備はいいですか?」

「ええ、レディですもの」

霧島「まさか……魚雷の準備をしてたのは本当は……」

大井「ええ、初めからあの子達が魚雷を撃つ係よ」

提督『だから言っただろう?』

大井「最後に頼りになるのは」

提督『駆逐艦や軽巡だって』

霧島「……」ギリッ

島風「……」

「「はああああああああああ!」」バシュ


ドゴォン


852 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:42:55.76 aqm+2Yi/O 214/411



島風「……」



『おめでとう!お前が最初の建造艦だ!これから三人で頑張ろうな!』





『島風、お前追いかけっこ強いな!今度は俺達も逃げ切ってみせるからな!』





『はっはっは、島風は速いけどMVPを取るのはあいつの方が上手いみたいだな』





『これからもずっとずっと三人一緒にいような』










島風「」カッ




853 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:48:38.97 aqm+2Yi/O 215/411


「ふぅ。これでおしまいね」

「疲れたのです」

「じゃあ後は帰るだけね」

提督『ああ、よく頑張ったな二人とも』

「なんだか照れるので……」

「!」ゾクッ

ドォン

「きゃあ!」

「っ!」

提督『おい!どうした!二人とも!』

「嘘……でしょ……?」

島風「……」ハァハァ

島風「まだ……負けてないよ」ハァハァ

854 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:54:44.52 aqm+2Yi/O 216/411


「暁ちゃん、まだ動けますか?」

「ううん、ストッパーがかかったみたい。ついでに無線も駄目になったわ」

「そうですか。ではこの無線をどうぞ」スッ

「電は最後の決着をつけてくるのです」

提督『電、何を言っている!』

「いいの?」

「電は大丈夫なのです」

「……気をつけてね」

「はいなのです」

「こっちです」ザザァ

島風「はあああああああああ!」ザザァ

855 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/11 01:57:13.75 aqm+2Yi/O 217/411



島風「あああああああああああ!」ブンッ

「」サッ

島風「どうして当たらないの!島風の方がずっとずっと速いのに!」ブンブン

「ただ速いだけの攻撃は電には当たらないのです」サッ

「ここです」ドン

ドォン

島風「がはっ!」

島風「まだ……まだ……」ギギギ

「もうストッパーが働いているはずです!これ以上は危険なのです!」

島風「島風は……負けないよ……!」

島風「だって……島風が負けたら……提督が泣いちゃうもん……!」

島風「もう……提督の泣いてる顔なんて……見たくないもん……!」

「島風さんにもどうしても負けられない理由があるのですね」

「でも電の負けられない理由はもっともっと重いのです」ジャキ

島風「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!」

「さよならです」ジャキ



ドォン



887 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:27:03.07 e52uxROJO 218/411



---------------
---------
----
--


島風「」ガバッ

島風「ここは……医務室?」キョロキョロ

島風「っ!」ズキッ

島風「そうだ、演習してたんだっけ。それで……」

島風「とりあえず提督のところに行かなきゃ」ダッ


888 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:28:13.26 e52uxROJO 219/411


-司令室-

北提督「……」

扉『』コンコン

北提督「誰だ」

島風「失礼……します」

北提督「なんだ、やっと起きたのか」

島風「演習……負けちゃった……ごめんなさい」

北提督「いいさ、お前で勝てないなら誰がやっても負けていた」

島風「……皆は?」

北提督「異動願いを全て受理すると言ったら全員提出したから異動させた。今この鎮守府にいるのは俺とお前だけだ」

北提督「お前もさっさと異動願いを書け」

889 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:29:06.45 e52uxROJO 220/411


島風「……提督はこれからどうするの?」

北提督「俺は提督を辞める。誰もいない鎮守府でできることなんてないしな」

島風「……」

北提督「まあお前は強いからな、俺が大本営に掛け合って大本営に行けるようにしといてやる」

島風「……嫌」ボソッ

北提督「わかったらさっさと身支度を済ませて……」

島風「嫌っ!」

北提督「……」

890 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:31:36.38 e52uxROJO 221/411


島風「」ギュ

島風「島風はどこにもいかないよ」

島風「だって……島風は提督の秘書艦だもん。ずっと……ずっと一緒だよ」ポロポロ

北提督「島風……」

島風「それに……島風が居なくなったら……提督が独りぼっちになっちゃうよ……独りぼっちは……寂しいよ……」ポロポロ

北提督「俺はやり方を間違えた。こんな馬鹿な人間と一緒になんていなくていい」

島風「そんなことないよ……提督はもう誰も沈めないようにするために一生懸命だったんだよね……誰もあの子の二の舞にしたくなかっただけなんだよね」ポロポロ

北提督「……」

891 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:34:01.40 e52uxROJO 222/411


島風「どんなに提督が変わっても……島風はずっと提督のそばにいるよ……」ギュ

島風「だから……どこかに行けなんて言わないでよ……」ポロポロ

北提督「なあ島風……俺は……どこで間違えてしまったんだろうな……」

島風「ううん、提督は間違えてなんかないよ……ただ速く走りすぎちゃっただけ……」

島風「だから……今度は二人でゆっくり歩いていこ……」



892 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:35:05.47 e52uxROJO 223/411





提督「いやーなんとか勝ったなー」

大井「何言ってるのよ、全部予想通りだったくせに」

提督「そんなことはないさ」

「これでこのまま皆と一緒にいられるのです」

提督「そうだな。よかったよかった」

川内「提督!夜戦してないよ!夜戦!」

提督「夜戦は危ないからだめだ」

川内「そんなのやだよ!夜戦しよ夜戦ー!」グイグイ

提督「わかったわかった!近いうちやらせてやるから服引っ張るな!」

川内「やったー!」ピョンピョン

893 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:36:31.95 e52uxROJO 224/411


提督「さ、とっとと帰るぞ」

「司令官さん、電は疲れてもう動けないのです」

提督「そっか、お前頑張ったもんな。よし、おんぶしてやる。さあ来い」

「ありあとうなのです!(計算通りなのです)」ニヤリ

「ず、ずるいわ!暁も頑張ったんだからおんぶしてよね!」ダキッ

提督「わかったわかった、暁も後でおんぶしてやるからな!」

川内「ずーるーいー!私も頑張ったんだよー」ガシッ

蒼龍「私も私もー」ガシッ

提督「お前らは大人だろうが!足にしがみつくな!」


ギャーギャー


大井「まったく、相変わらずね」フゥ


896 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:39:09.62 e52uxROJO 225/411


大井「ところで次はどこに行くつもりなのよ?」

提督「そうだなぁ、流れ的に次は南鎮守府かなぁ」

大井「ほんとてきとーね」ハァ

「電は司令官さんがいればどこでもいいのです」

提督「よーし皆、帰ったら大井がハンバーグ作ってくれるってよ!」

大井「なんでそうなるのよっ!」

川内「やったー!」

「なのです!」

「べ、別にハンバーグで喜ぶほど子供じゃないし」ソワソワ

蒼龍「楽しみだねー」

大井「しょうがなわね」

提督「そうと決まればさっさと帰るぞー!」

艦娘一同「「「「「おおー!」」」」」



897 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:40:37.33 e52uxROJO 226/411





ザザァン


榛名「……」

戦艦水鬼「ナニヲシテイル?」

榛名「別に、ただ空を見ていただけですよ」

戦艦水鬼「ソレニ何ノ意味ガアル?」

榛名「こうしてると思い出すんです、楽しかった昔の日々を……」

戦艦水鬼「……」

榛名「それと同時に怒りが沸々と込み上げてくるんです。あの人に対する怒りが、裏切られると知らずにへらへらと笑っていたあの頃の自分への怒りが……」

戦艦水鬼「本当ニ嫌ナラ忘レレバイイ」

榛名「忘れればこの怒りも憎しみも……復讐心も思い出せなくなるじゃないですか」

戦艦水鬼「恐ロシイ奴ダ」フッ

榛名「何とでも言ってください」フンッ

加賀「全部隊の準備ができたわ」

戦艦水鬼「ダソウダ、ドウスル?」

榛名「ではそろそろ行きましょうか」

榛名「南鎮守府を落としに」スッ





続く

900 : ◆URthX3tYSmgA - 2016/04/15 20:45:46.00 e52uxROJO 227/411

これで北鎮守府編は終わりです。キリがいいので続きは次スレに書くことにします
それとネタ切れもあるので充電期間に入ります
次の更新はいつになるかわかりませんが気長にお付き合いください


続き
提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」提督「いやー鎮守府に帰るの久しぶりだなー」電「その2なのです」

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