◆艦娘が出て殺す!シリーズ◆
◆ウェルカムトゥ・ネオサイタマ・チンジフ
http://ayamevip.com/archives/44516722.html
◆ラスト・クチクカン・ガール・スタンディング
http://ayamevip.com/archives/48089635.html
◆キックアウト・ザ・ニンジャ・テイトクファッカー
http://ayamevip.com/archives/48089676.html
◆システム・オブ・チンジフ・ストラグル
http://ayamevip.com/archives/48089712.html
◆アトロオーシャン・イン・ネオサイタマオーシャン
http://ayamevip.com/archives/48089731.html
元スレ
【艦殺(艦これ)】アトロオーシャン・イン・ネオサイタマオーシャン
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1442646537/
◆思えばもう次の週なので始める◆
【ビヨンド・ザ・カグコインデカッタ・フスマ・オブ・サイレンス】
彼女は目を開けた。目の前にはひとつの部屋があった。
以前の彼女なら、ただそこで途方に暮れていたことだろう。しかし彼女…ハツカゼの踏んでいる場数は伊達ではない。この空中に浮かぶ部屋のさらに上にある黄金立方体。これも慣れた。ハツカゼは迷うことなくその空中に浮かぶ部屋のドアノブに手をかける。
(オジャマシマース…)ハツカゼは小さくつぶやきながらドアを開ける。部屋の中には円形のベッドがある、そのベッドの上には二つの影のシルエット。2人とも女性のようだ。その2人はベッドの上で激しく絡み合っている。
(ウェー…女同士で?こりゃあヘヴィな体験だわ)目を逸らしたくなる気持ちを抑え、ハツカゼはベッドの上を凝視する。片方は非常にグラマラスな髪の長い女でもう片方はクセのある長髪の小柄な女、しかしその体には不釣り合いな豊満なバスト。どうやら同意の上ではないようでグラマラスな女がむなしく抵抗する小柄な女を激しく愛撫している。
根気強くその様子を見守るハツカゼ。ウカツに手出しはできない。最悪の場合は患者の精神が崩壊したり、自分がおかしくなってしまう可能性もあるからだ。やがてハツカゼはグラマラスな女のシルエットのその影に、タコの形を認めた。
(ここでもタコか…よし)ハツカゼは懐に手を入れると、ウツボを取り出した。ウツボはタコの天敵ともいえる生物である。そしてハツカゼは振りかぶると、ウツボをグレネードめいて影に投げつけた。
「…う」「ふぅ、どうウシオ=サン?少しは楽になった?」ハツカゼはマインド潜行を止め、現実に戻った。ここは医療ケア部門の長であるハツカゼの治療室だ。ベッドの上のウシオにかざしていた手を離す。
「ハ、ハイ。なんだか気持ちに整理がついたというか…と、とにかくありがとうございます!」ウシオは不思議そうに目をしばたたかせた。「はいはーい!私も私も!とーっても気分が楽になったわ!」「あ、あの…私もです。女の子どうしなら…ノーカウントですよね?」すでに治療が終わったムラサメとイソナミも大事なさそうだ。「そうか…そりゃあよかったわ」3人の連続マインド治療は流石に負担が大きかったようだ。ハツカゼはイスにへたり込む。
「ウフフ、お疲れ様。ありがとうねハツカゼ=サン」脱力するハツカゼの肩を叩くのはこの治療を要請したタツタだ。「どうみんな?もう前線に戻れそうかしらぁ?」タツタは笑顔を三人に向ける。「スタンバイオーケーよ!でも…ノーカウントといってもなー」「ひゃあああ…思い出しただけで恥ずかしいですぅ」「も、もうおヨメにいけないかもしれません…」
「ウフフ、そうねえ。とりあえずここに並んでくれる?」タツタは自分の目の前を指差した。3人が不思議そうに横一列に並ぶと、タツタはすかさず3人を無言で平手打ちした。「「「ンアーッ!?」」」
タツタはニコニコと笑っている。「また相手に捕まるようなくだらないブザマを晒したらもう助けてあげないからねぇ〜?もしまた捕まってしまったらあなたたちは取引の価値すらない敵のメスブタ奴隷オイランという職が待ってるわよぉ?」「「「ハイ、ゴメンナサイ」」」3人は小さく失禁した。
◆寝休憩、タツタ=サンはやさしみにあふれている◆
◆再開な◆
「ウフフ、よろしい。でも、まだ心残りってことよねぇ〜?」タツタは自分の小型IRCに表示されているカレンダーのようなものに目を通した。「…そろそろかしらぁ?3人とも?提督=サンがあなたたちのために直々にカウンセリングしてくれるわぁ。3人同時にね…ウフフ」
「エッ!提督が!?」「わたしなんかに貴重なお時間を?え、えへへ…」「で、でも提督=サンに話さなきゃいけないんですよね?い、イソナミがあんなことやこんなことをされたとか…恥ずかしいです」3人の反応は至極まんざらでもなさそうである。「安心していいわよぉ?提督=サンはとーっても…ウフフ、やさしくしてくれるから」そしてタツタの目は優しかった。
治療室を出て行く4人を見送りながらハツカゼはいまだイスに身を預けていた。(提督直々にかぁ、いいな…私もしてほしいな)最近「あの夢」はあまり見なくなったがやや寝不足の生活は続いている。(でも提督が優しく?あんなぶあいそなのに?想像できないわー)大きく伸びをすると、細身なハツカゼの腹がちらりと覗く。彼女は駆逐艦娘の中でも見た目の年にしては少々小柄だ。
そう、小柄だからこそあの時の激突事故で想像をはるかに超えて吹き飛んでしまったのだろう。あれ以来、廊下などでミョウコウと鉢合わせると驚きのあまりに失禁しそうになる。実際少し出た。「ハァー…他人を治療する前にまず自分のトラウマを克服するべきかな…」部屋の奥を見やると部下である二人のクローン医療妖精たちがせっせとカルテの整理をしている。自分が手を貸すほどの仕事量ではないようだ。
(午後からの受診の予定は今のところナシか。休憩がてら昼寝でもするかあ)あくびを噛み殺し、行儀悪く腹をぽりぽりとかきながらハツカゼは患者用ベッドに寝そべろうとした、その時!「おいハツカゼ=サン。ちょっといいか?」思わず入口の方から男の声!ハツカゼはちいさく飛び上がりその男を、自分たちの司令官であり、ひそかにあこがれているその男の名前を呼んだ。「てっ!提督!?ち、違うの!これはサボってるってわけじゃ!」
アタフタと弁明しながらだらしない服装を直すハツカゼを見る提督は、ややあきれたように頭をかいた。「別に注意しにきたワケじゃねぇ。休める時には休んでも構わん」しかしそう言う提督の顔色はやや悪く、目の下にはうっすらとクマが浮かんでいる。「あ、ああ…うん。アノ、提督は大丈夫?なんか調子悪そうだけど…」「アー…気にするな。チト寝てないだけだ…」
思えば最近はセイカンヤの事のみならず、キョートとの本格的な交戦があったばかりだ。提督の仕事量は凄まじいだろう。「無理しないでね…それで今日はどうしたの?ち、治療なら!ヨロコンデ…」「いや、俺のことは今のところいい。ハツカゼ=サン、ちょっと付き合ってくれ」「エッ!?」
提督のどことなく憂いを帯びた視線を受けたハツカゼの心臓の鼓動はおもむろに早くなる!(てっ、提督から直接!?付き合ってって!?ヒュウガ=サンがそろそろ遠征任務から戻ってくるころなのに!?そ、そんな抜け駆けを!?え、エヘ…エヘ)赤面して思わずニヤついてしまったハツカゼに対し提督は怪訝な表情だ。「聞いてるか?」「…ハッ!!うんうん!わ、わたしでよければ是非!ふ、ふつつかものですがよろしくお願…」「まぁいい、付き合ってほしいッてのは、お前の『あの夢』についての事でだ」「…エッ?」
【KANMUSLAYER】
◆午後な〜◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
一歩先を歩く提督に続き、ハツカゼはおずおずとついて行く。キョートとの交戦事件がひと段落したおかげか、チンジフ内にはいつもよりたくさんの艦娘たちがいるようだ。非番の仲間も多いようで、立ち話をする者、親しい友人たちを引き連れて娯楽スペースに向かおうとする者たちもいる。
気だるげに歩を進める提督は駆け寄ってくる駆逐艦娘たちを退けながら、手を振る者に軽くアイサツを返しながら地下へ続くエレベータへと向かう。その横顔に疲れは見えるが、やはり端正な顔立ちである。(…それにしても)ハツカゼは思わずにやけてしまう。普段、提督の側を歩けるのは秘書艦のヒュウガ、秘書代理のタカオ、ストーカーのアタゴくらいである。他の艦娘たちが提督に付き添えるなどそうそうないことだからだ。
(メギツネェ…!)(呪われろ…呪われろ…)(アアアダブ)なんだか自分に対する恐ろしい呟きが聞こえる気もする。ハツカゼはところどころに現れる負のオーラに意識を向けないようにした。しかしなぜ多くの艦娘たちは提督に強く、または密かに惹かれてしまうのか?このようなハーレムめいたものは堕落的量産型アニメーションやタイトルも内容も薄い小説にはよく見られる光景だ。しかしこれは現実世界での話である。
それは簡単な話だろう。このチンジフに「異性」とも言える存在はいないからだ。艦娘たちは無論「女性」しかいない、クローン妖精たちは性別不明だがそもそもサイズが違いすぎる。それに加え提督は…なによりもまず部下たちの事を考えている。普段こそ素っ気ないが、いざというときは自分の地位をかなぐり捨て、艦娘たちのために行動できる人だ。少なくともハツカゼはそう思っている。
女性として生まれたからには、艦娘たちが初めて会う異性である提督のことを大なり小なり想ってしまうのは無理もないことなのだろう。つくづく罪作りな人だともハツカゼは思った。もし、その想いがねじ曲がってしまったら、今頃チンジフはある艦娘のようなサイコパスのレズのサディストの集団になってしまっていたかもしれないが。
(オオイ=サンの治療をした時はマジでヤバかったっけ…あそこにはもうマインド潜行したくないわ)ある記憶を思い出して気分が悪くなるハツカゼ。「おい、どうした?」「ウープス…な、なんでもないわ…」「おかしなヤツだ。とにかく着いたぞ」提督が壁に着いたボタンを押すとエレベータの扉が物々しい音を立て、開いた。
◆寝休憩な◆
◆作者は搾取的ブラックバイトメントから生還したのできょうはこうしんします。午後な◆
(親愛なる読者の皆さんへ : 更新を予定していましたが突発的用事メントのじじょうによりダメになりました。作者は速やかにケジメし、詳細なカンムス名鑑を3人分同時更新でお詫びとさせて頂きますのだなあ)
◆艦◆カンムス名鑑#52【駆逐艦ムラサメ】ネオサイタマ・チンジフ所属。元気で声がでかい。港湾セイキに舌を入れられてキスされた◆艦◆
◆艦◆カンムス名鑑#53【駆逐艦イソナミ】ネオサイタマ・チンジフ所属。控えめで気が弱い。港湾セイキに全身をくまなく舐め回された◆艦◆
艦◆カンムス名鑑#54【駆逐艦ウシオ】ネオサイタマ・チンジフ所属。控えめで気が弱く豊満。港湾セイキに全身をくまなく愛撫された◆艦◆
◆上記の名鑑で述べられたのは青少年のなんかに配慮したので事実のほんの一部に過ぎません。なお3人は元気に満ち溢れている。遅れたが始まる◆
(オオイ=サンの治療をした時はマジでヤバかったっけ…あそこにはもうマインド潜行したくないわ)ある記憶を思い出して気分が悪くなるハツカゼ。「おい、どうした?」「ウープス…な、なんでもないわ…」「おかしなヤツだ。とにかく着いたぞ」提督が壁に着いたボタンを押すとエレベータの扉が物々しい音を立て、開いた。
2人を乗せたエレベーターは粛々と下降してゆく。せっかく2人きりなのだから何か話題を振ろうともじもじするハツカゼに対し、提督はおもむろに口を開いた。「いいかハツカゼ=サン。これからお前に見せるものは…このチンジフの最重要機密のひとつだ」「きっ…機密!?そんなものを!?わ、わたしに!?」
ハツカゼは狼狽するが提督は冷静な目つきのままだ。「このことを知っているのは艦娘たちの中でもそういない。しかしお前の言っていた「あの夢」に関係あることかもしれんのでな」「つまり…私があの夢を見た原因が…その機密に?」「可能性がないとも限らん」
あの恐ろしいイメージが、その意識を発している何かが自分が暮らしているチンジフの中にいたということになるかもしれないのだ。ハツカゼはごくりと唾を飲む。「とにかく心の準備をしとけ。それにお前は…極端なビビり屋だしな」「んなっ!?そ、そんな事…」「ある。この前ミョウコウ=サンとすれ違っただけですっ転んでたの見たぞ」「んむっ…!」
「着任してそこそこ経つクセにビビり症は治ってねえみてーだな。そこに関してはアブクマ=サンといい勝負だぜ」悔しそうに頬を膨らませるハツカゼに対し、提督は小馬鹿にするように笑った。ハツカゼはその笑顔にどきりとしたが、ゴキブリが出ただけで、驚きのあまり派手に転び中爆発四散したアブクマと一緒にされる謂れはない!
「フン!私だって一応場数(イクサはないけど)踏んでんのよ!ちょっとのことじゃビビったりしないわ!」「どうだかな」そんなやり取りをしているとエレベーターが止まった。目的の階層についたようだ、扉が開いてゆく。ハツカゼは怒ったように扉に向かう。「ナメないでよ?私は詳しいんだ。特にマインド潜行の危険性ってのは…」「ドーモ」「アイエッ!?」
扉が開くがいなや、エレベータ内から出ようとしたハツカゼの数インチ手前に誰かが立っている!驚き後ずさってしまったハツカゼは着ていた白衣の裾を踏み転倒!「グワーッ!」ナムサン、後頭部強打!「…何やってんだ」頭を抑えて悶えるハツカゼを提督は呆れながら立たせた。
「い、いだ…あなたは」「ヤヨイよ」エレベーターの扉を開け前に立っていた艦娘は目礼した。そう、彼女こそが過去のマルノウチ抗争を最前線でたったひとりで引き受けたとされる、チンジフでも最高クラスのワザマエ持つネオサイタマの英雄とも名高いヤヨイである!
ハツカゼは面と向かってヤヨイに会ったのは初めての事である。自分とそう変わらぬ背丈と体格にもかかわらず、その謎めいた表情、薄く開いた瞳、閉じた口元、全身から漂うタツジン的オーラにハツカゼは思わず怯んだ。「ど…ドーモ。ハツカゼです」「知ってるわ、医療ケア長の人」「アッハイ」ハツカゼはぺこりと頭を下げた。
「いきなりですまんな。準備はできてるか?」「ええ」提督に対しヤヨイは短く返す。どうやらヤヨイは相当に口数が少ないらしい。提督に向けるその表情はどこか怒っているようにも見えるが、ハツカゼにはヤヨイのそのような感情はまったく読み取れなかった。「分かった、後は大丈夫だ。だから…」「次の命令は、何?」
ヤヨイは提督を見つめ続けている。「あなたの命令を、頂戴」その表情からは何も読み取れない。提督はやや怯んだが頭をかきながらやや目をそらして答えた。「アー…いや、今はいい。待機しててくれ」「そう」そう言うとヤヨイは2人にクルリと背を向け、近くにある小部屋の中へ入っていった。
ハツカゼは困ったような表情の提督を驚いて見た。いつも不機嫌そうで、常に冷静な提督には非常に珍しい表情である。一度も見た事がない。(や、ヤヨイ=サンって…一体何者?)ハツカゼがあれこれ考えてるうちに提督は廊下の奥へ歩を進め始めた。「人の顔をジロジロ見るな…とっとと行くぞ」「アッ!待ってよ!」ハツカゼは慌てて提督の後を追う。廊下の切れかけた電球が、不吉の前兆のようにチカチカとまたたいた。
【KANMUSLAYER】
◆さらに午後な◆
【KANMUSLAYER】
薄暗い通路を提督とハツカゼはしめやかに進む。通路の両端には鉄格子、それが意味するのはつまり(牢獄ってわけね…)ハツカゼは先ほどからいくつかのソウル反応を感じていた。しかしそれは自分たち艦娘のソウル反応ではない、深海凄艦娘の邪悪なソウル反応である。
「…ヤヨイ=サンは」「へ?」提督は歩きながらおもむろに口を開いた。「ここの看守長だ、任務のない間はな」「へぇー…でもナンデ?ヤヨイ=サンってスゴイ人ってのは誰でも知ってるけどこんな…」「ウラの部署にいるのかってか?」提督は言葉につまるハツカゼに振り向き答えた。
提督の表情はいつにもなくシリアスである。「ここには…下っぱはともかく、とんでもないヤツが1人いる」「とんでもないヤツ?でも、そんなヤバイ感じはないけど」ここで感じる深海凄艦娘たちのソウルの反応はかなり弱まっている。何よりも拷問や尋問を一手に引き受けているタツタのおかげだとハツカゼは思った。なぜか提督に対する恐怖心も伝わってくるがそれは知る由もない。
「とにかくソイツのためだ。いざっていう時に抑止力となるのが…ヤヨイ=サンくらいしかいねえんだよ」提督はしばらく歩き続けていたが、突き当たりの牢屋に着くと足を止めた。「ここだ」「この牢屋?」特に強い反応はない、牢屋の中にいるというのが分かる程度の小さな反応だ。「むむ…ほんとにここなの?」ハツカゼは訝しんだ。
「そうだ。ハツカゼ=サン…備えろよ」ハツカゼは薄暗い牢屋の中に目をこらす。牢屋内の簡素なベッドの上に誰かが寝そべっている。その者が着る黒いドレスから伸びる白いしなやかな足には足枷がはめられており、鎖がベッドの足につながっているようだ。(この人がとんでもないって?うーん、そんな風にヤバいと思え………ッ!?)
牢屋を覗きこもうとしたハツカゼは大きく後ずさり、思わず後ろにいた提督にぶつかってしまう!「おい…!」「ハ….ハァー…ハァー…!こ、このひと、だれ…!?」動悸が止まらない、汗が噴き出す、足がガクガクと震えた。なぜか?そのベッドに寝そべっていた者がおもむろにハツカゼに目を合わせてきたからだ!
(ナンデ…!?いままで、感じなかったのに、これ、ナンデ!?)混乱するハツカゼをよそに、その赤い瞳の持ち主、危険を感じるほどの妖艶なアトモスフィアを醸し出す深海凄艦娘は2人の姿を認めるとチロリと赤い舌を出し、笑った。「…ふふふ。来たのね?おもしろいコを連れてるじゃないの…」
その声は自分の頬を直接舐められたような感覚すら感じさせる。しかしそれは不快感ではない、それが心地よく感じてしまうのだ!「う…う…!」ハツカゼは思わず提督の軍服の裾を握りしめる。「できれば会いたくなかったがな…元気そうだな。残念ながら」提督に怯んだ様子はない。しかしハツカゼは提督のニューロンの乱れを感じ取った。
「相変わらずつれないわね。そこもイイけど…」その長身の深海凄艦娘は立ち上がりこちらに歩を進めると、怯えるハツカゼの顔を楽しげに覗き込んだ。「ドーモはじめましてハツカゼ=サン…私は戦艦棲キです。セイカンヤで一番エライのよ?ふふふ…」目の前に鉄格子を隔てて立っているのはとんでもない何かである。ハツカゼはようやくそれを理解した。
【KANMUSLAYER】
◆状況はかなりシリアスな。よってこのSSに猥雑は一切無い。続きは後日になる。以上です◆
◆夜な〜◆
ハツカゼはアイサツを返そうとした。しかし声が出てこない、恐怖のあまり口をぱくつかせることしかできないのだ。それになぜこの人は自分の名前を知っているのだ?この人の前で自分の名前は出していない!「あらら?アイサツは返さなきゃだめよ?貴方ニュービーの子?じゃないわよねぇ…」
戦艦棲キはにこりと笑った。その笑顔は同性でさえもどきりとしてしまうような美しさを醸し出している。しかしそれ以上に…ハツカゼの心を支配していたのは恐怖だった。それは何かとてつもなく暗い、深海の闇めいた言葉にできぬ恐怖。「セイカンヤで一番エライ?囚われの身でよく言えたモンだな」「囚われてあげてるのよ?今のところはね…ふふふ」
戦艦棲キはハツカゼから視線を外し、提督を舐め回すように見つめた。「それにしても…結構溜まってるみたいじゃないの。どう?私がスッキリさせてあげようか…?」戦艦棲キは自分の舌の上に指を這わせながら黒いドレスの片方の肩紐を下ろし、豊満な胸元を強調する。「貴方のスキなこと何でもさせてあげるわよ…ふふふ」なんたる破廉恥か!
提督は戦艦棲キの肢体を目の当たりにし、やや眉をひそめたが突き放すように吐き捨てた。「…ほざいてろ。ハツカゼ=サン、落ち着いたか?」「お…オーケーオーケー…なんとか、大丈夫よ」ようやく心が落ち着いてきた。しかしいまだ窺い知れぬ恐怖のアトモスフィアはこの場に渦を巻いている。一体この女性は?セイカンヤで一番エライというのはどういうことなのだろうか。
「コイツは確かにセイカンヤのトップだ、2年前までな」「にねん…まえ?」提督はハツカゼの疑問に答えるように静かに語り始めた。「お前が着任したのは1年と半年前くらいだが、知っているだろう?2年前のあの事件を」かつてネオサイタマ・チンジフは別の名前であり、このチンジフ自体も別の海域にあった。しかしそこはもうすでに無い。「…マルノウチ抗争?」ハツカゼは思い出した、あの大規模なイクサを、自分が生まれる前の大事件を。
「あ・た・り。あの時、セイカンヤの指揮をとったのがこの私ってことよ、ふふふ」ハツカゼと提督のやり取りを微笑しながら眺めていた戦艦棲キはまるで懐かしむように話に割り込んできた。「あのイクサは良かったわねぇ〜…私に挑みかかり大爆発四散する子、固まっちゃう子…失禁しちゃう子もいてすごく楽かったわぁ」
「…お前はあっちいってろ」提督が彼女を睨みつけると戦艦棲キは肩をすくめ、ベッドの上に寝そべった。「とにかくだ、その抗争で前のチンジフは無くなっちまった。だが…その代わり親玉のコイツを鹵獲したというわけだ」しかしハツカゼには信じられなかった。この人がセイカンヤのトップならばなぜセイカンヤとのイクサがいまだ続いているのか?彼女を引き合いに出せば、セイカンヤを降伏させることも可能かもしれないのに。
「今私を取り引きに使えばいいと思ったでしょう?」「エッ…」戦艦棲キはハツカゼの心を読み取ったかのように口を開いた。「でも残念ねえ、私がいなくてもカワイイ部下たちがなんとかしてくれるの。現に今もセイカンヤは動き続けている…それに」赤い光を湛える瞳が提督の顔に向けられた。「貴方、『あの子』がまだ生きてるって思ってるんでしょ?ふふふ…だから手を出せないのよ」
「………」提督は何も言わなかった。しかしハツカゼには伝わってくる。彼のニューロンの大きな乱れだけではない、固めた拳が微かに震えから彼の大きな動揺が。「アノ…提督」「…本題だハツカゼ=サン。お前の夢の原因はコイツか?」その言葉は質問を拒絶するような響きを帯びている。ハツカゼは押し黙り、戦艦棲キの方へと意識を集中する。
ハツカゼがマインド潜行を自らのジツと認めたのは最近のことである。今までは単なるイメージとしか思っていなかったが、一部の艦娘たちが持つとされるユニーク・ジツのひとつ、ユメミル・ジツ。この力が自分にあるということをようやく認めたのだ。(そうだ…今大切なのはあの夢のこと。これを早く、解決…)
…しかし!「…ンアーッ!」意識を集中させていたハツカゼは突如として大きく仰け反った!「何!?」提督も尋常ではない事態を察し、崩れ落ちかけたハツカゼを抱きしめ支えた!「どうしたハツカゼ!」「う…あ…!うう…!」ハツカゼの鼻から血がたれる。次の言葉が出てこない。「…あらあら?」戦艦棲キはやや驚いた様子でハツカゼを見た。
「こ…の…」「なんだ!?何があった!」ハツカゼは絞り出すように声を出した。「この人…じゃない…の…もっと、おそらく、別…の」残りの言葉は出なかった。ハツカゼが意識を失ったからだ。「くそッ!」提督はハツカゼを抱きかかえると踵を返し、エレベーターの方向へと駆け出した。
そして1人、牢屋に取り残された戦艦棲キは静かに微笑した。「あの子、今私の頭の中を覗こうとした…ユメミル・ジツ、おもしろいじゃないの」その微笑は相手を意識に関係なく魅了するような、見た者のニューロンに直接指を這わせるような、恐ろしいほど魅力的な微笑だった。「ハツカゼ=サン、あの子もほしくなっちゃったわ…ふふふ」
【KANMUSLAYER】
(親愛なる読者の皆様へ : 今回の更新ではアイキャッチのし忘れや、文書の乱れなどの偶発的あほインシデントがありました。この原因は作者が抗アレルギー鼻炎薬をキメていた副作用の眠気からと思われます。クスリはやめましょう。以上です)
◆なお今日な◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
あれから数時間後、ハツカゼは草木生い茂る森の中にいた。「ふう…」ハツカゼは汗を拭う。ここは彼女のある意味仕事場といってもいい精神世界ではない。れっきとした現実である。その証拠に、背の高い樹木の間からのぞくのは黄金立方体ではなく初夏の太陽だ。
(にしても…気絶してしまうとは情けないわね…わたし)草を掻き分けながらハツカゼは数時間前の事を思い出した。ハツカゼの目が覚めた時、そこにいたのは心配そうにこちらを覗き込む二匹の助手のクローン医療妖精、カルテを書くメディカル長のチョウカイ、そして提督だった。「提督!ハツカゼ=サンが!」「目が覚めたようだな」
「う…ここは…?」いまだ意識があやふやなハツカゼに、提督は辛い思いをさせてしまった事を詫びた後、ハツカゼが気を失ってしまい、チンジフのメディカルセンターに運び込んだ事を話した。「提督…あたし」「今は休め。何があったか話すのは後でいい…すまなかったな」最後に提督はもう一度詫びると、メディカルセンターを出て行った。
その後にハツカゼを診察してくれたチョウカイから言われたのは、身体のどこにも異常がない事、もう起き上がっても大丈夫という事、提督から今日の仕事はもう休んでいいという事。ハツカゼはフートンで寝て過ごそうかとも思ったが、ニューロンにチリチリと焼きつくような感覚が残っている。それを払拭するため、気分転換に外出したというわけだ。
「よしっと、結構取れたわね!情報通りだわ」ハツカゼは集めた薬草の束をバッグに入れる。この薬草は香を焚くと実際心地よい癒しの効果がある。自分の仕事にも大変役立つだろう。資源採取マップに新たに追加されたばかりの場所だが、来たかいがあった。(これだけ取れればいいか…うーん、結構スッキリしたな)
しかし気分転換になったとはいえ、まだハツカゼには疑問が残っている。あの時、戦艦棲キにマインド潜行を行おうとしたら弾き出されてしまったことはよく覚えている。覗き見る程度のつもりだったがそれでも彼女の邪悪で強固なニューロンはハツカゼを強く拒絶したのだろう。鼻血が出たのはその反動である。
そして何より「あの夢」の原因は戦艦棲キではなかった。弾き出されたとき、一瞬だが彼女の精神世界を垣間見た。しかしそれはハツカゼにしか分からないが、あの夢とは全く異なる感覚であった。(あの人が原因じゃないとしたら何が私にあの夢を見せているんだろ…あーあ!やっかいな特技のせいよね…絶対)
今回は色々なことが多すぎてハツカゼにはいまだ整理がつかない。しかし、ひとつ気になったこともあった。(戦艦棲キ=サンが言ってた『あの子』っていったい誰なんだろ)提督が生きているのを信じていると戦艦棲キは言っていたが、嘘か誠かは分からない。しかし提督のあの反応…もしかして本当なんだろうか?
「ドーモォ」小岩に腰掛け物思いにふけっていたハツカゼは突然声をかけられた。「え?あ、ドーモ!」ハツカゼは慌ててオジギした。いつの間にか近くにしゃがんで、草をむしっている女性がいる。ソウルの反応は無い、ただの一般人か?この人もこの小島に薬草を探しに来たのだろうか。「アナタも探しにきたの?ここに…」そう話しかける女性はつば広の白い帽子をかぶっており、表情はうかがい知れない。
「ア、ハイ。ちょっと薬草を探しに来たんです。仕事の一環というか…リフレッシュのためというか」「ヘェ、そうなの」その女性はハツカゼの横に腰掛けた。女性着ている短いワンピースのスリットから雪のように白い太腿がこぼれる。そして引き締まったウエストと豊満な胸と尻!実際グラマラスな女性である。(なんだろこの人?でもタカオ=サン並みにスゴイ…!)
「エート、私に何か用ですか」「ネオサイタマ・チンジフのコでしょアナタ」「え?」女性と自分のスタイルを比べてやや悲しくなっていたハツカゼは面食らった。(なんで私がチンジフの艦娘だって知ってるの?でもこの人、アタゴ=サン並みにスゴイ…!)なぜかハツカゼは視線をそらせない。女性は脚を高く蹴り上げて組んだ。もはやなぜかハツカゼはそれを凝視!
「汗をかいちゃった。脚を舐めてよ」「え?」何をいきなり?訳がわからぬ。ハツカゼはぎょっとした。ハツカゼは女性を見上げた。そう。見上げたのだ。ハツカゼは既に跪いていた。女性の目元は帽子に隠れて分からない。微笑しているということしか分からない。
「従順になってよ。カワイイ子」「ハイ」ハツカゼは即答した。(え?ナンデ?)「足首を舐めてキレイにして、早く」「ハイ」(ナンデ?ナンデ私は即答?ちくしょう!でも実際スゴイ脚してる。ヒュウガ=サンみたいに!でも…)ナムアミダブツ!ハツカゼは女性の足首をぺろぺろと舐め始めた。「アカチャン」女性はコロコロと笑った。
ハツカゼは苦悶した。(助けて!)女性はワンピースの胸元をはだけ、豊満な乳房を露わにした。「じゃあ、気持ちよくしてよね」「ハイ」(何で私はこんな?こんな趣味はない。でも実際スゴイおっぱいしてる!私の100倍はスゴイちくしょう!でもこれは明らかにヤバイ!!)
このままでは絶対にまずい。この女性は実際スゴイ(だがそんな趣味はない)アカギ=サン並みにスゴイ。でもこんなのはおかしい。わかる。不条理だ。わかる。(助けて!)ハツカゼは女性の胸を揉みながら、ブッダに祈った。女性は喘ぎ始めた。「アカチャン…アカチャン!」その時!女性の帽子が脱げ、地面に落ちた!
「…ぎゃあああああーっ!?ぎゃあああっばぁー!?アバーッ!?」その女性の眼を見たハツカゼは、乳房を揉みながら狂ったように絶叫!だが逃れられぬ!手の動きもとめられぬ!女性の眼が赤い光を放つ!女性は小岩に腰掛けながら、両脚でハツカゼをガッチリと抱え込んでいる!
「ファハハハハハ!ファハハハハハ!」女性は狂笑する!ナムサン!ハツカゼが胸を揉んでいる女性は、深海棲艦娘だったのだ!ハツカゼが叫ぶ!「アーッ!アーッ!アーッ!」「ファファファ!ドーモハツカゼ=サン!あたし港湾セイキっていうの!アカチャン!もっと愉しませて!愉しませてよ!」「アーッ!アーッ!アーッ!」殺される!犯される!殺される!逃げられない!港湾セイキの眼が光る!彼女の指先がハツカゼの顔を撫で回す!腰を擦り付ける!ナムアミダブツ…ナムアミダブツ!
【KANMUSLAYER】
◆艦◆カンムス名鑑#55【重巡洋艦チョウカイ】ネオサイタマ・チンジフ所属。メディカル長を務める艦娘。ハツカゼが精神治療のスペシャリストだとすれば、彼女はビョーキやケガの治療のスペシャリストである。常日頃激しい戦いを繰り広げる仲間たちを医療サポートする。真面目で、チンジフの中では数少ない常識人。姉のマヤがあほなのに対し明らかに知能指数が高い◆艦◆
◆午後な?◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
センダイは選曲マシンを操作していた手を止めた。「…あれ?今何か聞こえなかった?」不思議そうにあたりを見回すが特に異常はない。「は?イスズ=サンの歌声以外に?」ドリンクを飲んでいたアブクマは怪訝な表情を浮かべた。
「うん。なんか…助けてって聞こえた気がしてさ」センダイの隣ではイスズが大きく手を振りかぶりながら持ち歌を熱唱している。「んでんでんでっ!にゃあ~ん!」「ハイハイ、かまってかまってほしいのー。あんたの空耳じゃないの?」「うーん、そうかな」センダイは自分の専用小型IRCを確認する。モニターには「異常なしな」の文字。
「やっぱり空耳?」「ちょっと!せっかくの休みなんだから仕事のことなんてほっときなさいって。次はアンタの番よ!」「うん」センダイは選曲マシンに意識を戻す。本日センダイは非番の日である。なので同じく非番の仲の良いアブクマとイスズと共にチンジフ内の娯楽カラオケ施設である「タラバー歌カニ」に来ているのだ。
いかなセンダイ程の殺戮者でも休むときは休む。そうでなければ溜まったストレスがイクサにおいても弊害となるやもしれぬ。センダイはバイオタラバ蟹の足を齧りながらおかしな空耳について考えるのをやめ、どの曲を歌おうか考えた。
----------
「ヤメロー!ヤメロー!」ハツカゼは虚しく叫んだ。彼女は施術ベッドに横たえられ、その脇に立つのは淫靡な微笑を浮かべる深海棲艦娘。なぜかハツカゼは下着姿にされ拘束されているのだ!「ヤメロー!ヤメロー!」「目覚めたばかりなのに元気じゃないの。ファハハ!」
その深海棲艦娘、港湾セイキはハツカゼの腹部に指を走らせる。「ンアッ!」ビクリと身体を震わせるハツカゼを港湾セイキはうっとりとした顔で見つめる。「とってもカワイイ。今すぐファックしていい?」「アイエッ…!ヤメロー!」
「イヒヒーッ!港湾セイキ君!ファックするのはやめておきたまえ!この艦娘を検査中なのですからねェ!」当て身で意識を失ったハツカゼが連れてこられた場所が全く分からぬ暗い研究室の中にはこの二人だけではなく、もう一人誰かが素っ頓狂に笑いながらパソコンを高速タイピングしている。
(もう一人…エッ!?)必死に抵抗していたハツカゼは、そちらのもう一人に気が付くと目をむいて驚愕!その者から感じるものは他でもない、カンムスソウルの反応だったからだ!「ナンデ!?艦娘が深海棲艦娘とナンデ!?」あり得ぬ!なぜ敵同士にも拘わらず、協力してハツカゼを拘束しているのだ!?
「イヒヒーッ!おっと!アイサツが遅れましたねェ。ドーモ!カトリです!カトリ先生と呼んで下さいねェ!」白衣を着、眼鏡をかけたおかしな目つきをしている艦娘は高速タイピングを続けながらアイサツした。彼女はシンカイセイカンヤの潤沢な資金を思うままに使用して狂気の研究に邁進する悪魔的センセイである!
「ハッ…ハツカゼです!カトリ先生!?なんであなたがここに!?」「ただいまキョート・チンジフから出向中です!それにしても…アーッ!今までこんな面白い艦娘を見逃していたなんて!もったいなスギル!アーッ!」ハツカゼは、口の端から泡を吹きながら、興奮のあまり椅子ごとグルグル高速回転するこの艦娘を知っている!もともとはキョート・チンジフ所属のマッドサイエンティストだ!
「ファハハ…不思議なの?艦娘と深海棲艦娘が協力していることが」港湾セイキはハツカゼの身体に指を這わせながら顔を覗き込む。「ンアッ!そ、そうよ!一体ナンデ…」「ダーメ。教えてあげない…でもキョートとセイカンヤはチンチン・カモカモ(親密な関係)にある。これだけ教えといてアゲル」港湾セイキは悪戯っぽくウインクした。
(なんですって!?とんでもないことになっちゃった…!)ハツカゼはにわかに青ざめた。キョートとセイカンヤにつながりがあるという説もあったが、まさに現実となってしまったのだ!今すぐこのことを提督に、仲間たちに伝えなければ!しかし今は脱出しなければダメだ!「ちくしょう!私をどうするつもりよ!」ハツカゼは困惑を押し殺し、精いっぱい強がってみせる。
「アナタが欲しいって人がいるのよ。だから情報で誘い出し…捕まえたってワケ」「じ、じゃあ私は罠にはめられたってこと…!?それにその人って誰よ!?」「ダーメ。それも教えてアゲナイ」ハツカゼは自分の行動を悔いた、自分はウカツにもセイカンヤの罠にはめられたのだ!
「ねェカトリ先生。うまくやってよね」「イヒヒーッ!任せてください!私の脳手術で従順な艦娘にしてあげましょう!」カトリ先生は勢いよく椅子から飛び降りると、ハツカゼの瞼を無理やり開き、瞳孔を観察!「グワーッ!ヤメロー!」「しかしユメミル・ジツ!素晴らしい!面白いですねェ!」「手術が終わったらこの子ファックしてイイ?」「好きにするといいですねェ」「ヤメロー!ヤメロー!」
このままではハツカゼは脳をいじられたあげく犯されてしまう!それだけは絶対に避けなければ!脱出して皆に伝えなければ!「ちくしょう!やってみなさいよ!私はどんな責め苦にもまけないぞーッ!」ハツカゼはバタバタと暴れ、拘束されたベッドが軋む!ヤバレカバレ!
「アーッ!暴れると脳改造できませんねェ!港湾セイキ君!」「アイ、アイ」カトリ先生に指示された港湾セイキは手元のリモコンのボタンをおもむろに押した。「くそーッ!拷問装置か何か!?私は色々と詳しいんだ!絶対に負けたりしな…アイエエエエエエエエエエ!?」
しかし次の瞬間!明るくなった部屋の「それ」を目にしたハツカゼの強がった表情はどこかに吹き飛び、恐怖のあまり絶叫した!それを見た瞬間ハツカゼは思い出したのだ。あの時の恐怖、へし折れかけた首の痛み、ダイナミックな姿勢を!ハツカゼの目に飛び込んできた「それ」は…ミョウコウの等身大中破パネルである!「アーッ!アーッ!アーッ!アイエエエエエ!?ミョウコウ=サン!?ミョウコウ=サンナンデ!?アーッ!!」
【KANMUSLAYER】
◆アイフォーンの誤作動につき再度◆
【KANMUSLAYER】
◆艦◆カンムス名鑑#56【練習巡洋艦カトリ】キョート・チンジフ所属のマッドサイエンティスト。通称カトリ先生。カンムスソウル研究施設、イモータル・カンムス・ワークショップ(IKW)主任研究者。全艦娘の中でも最高と言っても過言ではないほどの知能指数を有しており、自分の興味が惹かれる対象に対し仲間から引かれる程の狂気的な喜びを見出す。全てを思考能力に回しているせいで生活力が皆無である◆艦◆
◆そして今日の午後更新になりうる◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
(これまでのあらすじ : ネオサイタマ・チンジフの艦娘、ハツカゼは特殊なジツであるユメミル・ジツを持つ鍼灸師だ。彼女はチンジフにおいて仲間たちの精神ケアを行っている。しかし彼女は「ある夢」を見るようになる)
(その原因を探るために、彼女は提督と共にチンジフの最高機密の一つである人物と面会する。しかしハツカゼはブザマにも気を失ってしまう。さらに気分転換のために出かけた先でセイカンヤの卑劣な罠に嵌ってしまったのだ!このままではカトリ先生に脳改造された後、港湾セイキにファックされるのは確実!私が何したってんのよちくしょう!)
しかし次の瞬間!明るくなった部屋の「それ」を目にしたハツカゼの強がった表情はどこかに吹き飛び、恐怖のあまり絶叫した!それを見た瞬間ハツカゼは思い出したのだ。あの時の恐怖、へし折れかけた首の痛み、ダイナミックな姿勢を!ハツカゼの目に飛び込んできた「それ」は…ミョウコウの等身大中破パネルである!「アーッ!アーッ!アーッ!アイエエエエエ!?ミョウコウ=サン!?ミョウコウ=サンナンデ!?アーッ!!」
ハツカゼはバタバタと暴れる!このままでは自分の精神が持たない。ハツカゼは首を左側に必死に捻った!しかしハツカゼの左側の視界に飛び込んできたのはミョウコウの等身大中破パネル!二枚目!「アイエエエエエエ!?左にもミョウコウ=サンナンデ!?」ハツカゼは絶叫!
ハツカゼはバタバタと暴れる!このままでは自分の精神が持たない。ハツカゼは首を身体の下側に必死に捻った!しかしハツカゼの下側の視界に飛び込んできたのはミョウコウの等身大中破パネル!三枚目!「アイエエエエエエ!?下にもミョウコウ=サンナンデ!?」ハツカゼは絶叫!
ハツカゼはバタバタと暴れる!このままでは自分の精神が持たない。ハツカゼは首を身体の上側に必死に捻った!しかしハツカゼの身体の上側の視界に飛び込んできたのはミョウコウの等身大中破パネル!四枚目!「アイエエエエエエ!?上にもミョウコウ=サンナンデ!?」ハツカゼは絶叫!
ハツカゼはバタバタと暴れる!このままでは自分の精神が持たない。ハツカゼは首を天井の方向に必死に捻った!しかしハツカゼの頭上の視界に飛び込んできたのは天井に貼られたミョウコウの等身大中破パネル!五枚目!「アイエエエエエエ!?頭上にもミョウコウ=サンナンデ!?」ハツカゼは絶叫!
「アーララ、本当に効くとは思わなかったわ」「特定の艦娘に対する異常なまでの恐怖心!興味深いですねェ!」「アイエエーエエ!アイエエーエエ!」もはやハツカゼは小失禁!ナムアミダブツ…!ベッドに下着姿で拘束されたハツカゼの四方八方すべての方向に威圧的にミョウコウの等身大中破パネルが配置されていたのだ!常人が見れば、精神不安定の末、発狂死しかねない空間である!コワイ!
◆なぜか作者のあたまがおかしくなってきたので明日に再開する◆
(親愛なる読者の皆さんへ : 更新を予定しておりましたが作者の暗黒合法搾取的バイト行為のためにダメになりました。明日の朝二延長されるだろう。作者は今は静かに憩っている。以上です)
◆未だ作者は憩っている。今日中には始まりそうにないので容赦なくケジメしました◆
◆艦◆カンムス名鑑#57【戦艦棲キ】かつてシンカイセンカンヤのトップであった深海棲艦娘。過去に領海を大幅に失ったマルノウチ抗争においてある艦娘と刺し違える形で拘束され幽閉された。囚われの身でもなお、不敵で妖艶なアトモスフィアを帯びる豊満な容姿を持つ。事あるごとに提督を誘惑するがその真意は全くもって不明。その刺し違えたといわれる艦娘についても詳細は不明である◆艦◆
◆復活◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
「小さな星の〜小さな秘め事〜誰も知らない秘密のキーワード!はいっ!」「魔・カ・セ・テ!トゥ…な」センダイは上げかけていた手を下げた。「ちょっと!あんたも合いの手しなさいよ。ムラハチするわよ!」隣のイスズは不満げにセンダイの服の裾を引っ張った。しかしセンダイはあたりをキョロキョロと見回している。
「イスズ=サンには…聞こえてないの?」「ワッツ?何のことよ?」「いや、だって悲鳴が…」「はぁ〜?アブクマ=サンのシャウト以外聞こえないわよ!」センダイは頭をぶんぶんと振った。やはり今のも空耳なのだろうか?ましくは自分が沈めてきた敵艦の恐怖の残滓がニューロンにこびりついているのだろうか?
(オバケ?…んなわけないよね)もう一度小型IRCを確認する。そこには「異常なしな」の文字。やはり何も起こっていない。「ほらほら!そんなシケたツラしてんじゃないわよ!次は私とアンタでデュエットいくわよっ!」「アー…うん」今はとにかく遊ぼう。センダイはマイクを持って立ち上がった。
----------
「アイエエエエ…一体私に、私になにするつもりなのよぉ…」先程の強気な表情から一転、半ベソをかきながらハツカゼはつぶやいた。相当に精神衰弱している。「さっき言ったでしょ?アナタを私達セイカンヤのモノにするのよ。アタシが手取り足とり教えてアゲルからさ」港湾セイキはハツカゼの身体を隠微に撫で回す!
「ンアッ!ワケが…わからない!」「アカチャン。アタシたちセイカンヤはいずれこの海全てを支配する。全てをね」「アイエエ…!」「ある人がアナタのそのテレパスに興味を持った。ユメミル・ジツ…秘密を暴く力。自分でも分かってるんでしょ?ネオサイタマなんかで人生終わらせる気?」「やめて!」ハツカゼは抗った。
「私はあそこが家なんだ!みんなのところへ戻りたい!セイカンヤなんて行きたくない!」「アハハハハハ!アカチャン!」港湾セイキは身を離し、部屋の隅のソファに腰掛け、寛いだ。「ま、後は慣れね。アナタが知らないことも、おいおいわかる」「ちくしょう…!」次にカトリ先生がハツカゼの顔を覗き込んだ。「話は済みましたか?それでは、施術に移りましょうねェ」
「エッ?施術?」「特に歯ですねェ。脳手術をする前にアナタの故障箇所を直すのも契約内ですから。アナタには虫歯がある!」ウカツ!最近アンコ・ビスケットばかり食べていたハツカゼの奥歯には虫歯があった。チョウカイに直してもらおうと思っていたが痛みが治まっていたから忘れていたのだ!
「安心してください!私が直してあげましょう。麻酔なしで」「え?」「ええ、麻酔なしで」「ナンデ!」カトリ先生は電動ドリルをガン・スピンさせる!「だから麻酔なしで!麻酔を打つ時間が勿体無くて効率的ではない!」「痛みはどうすんのよ!?」「君も艦娘だろう!キアイでなんとかしたまえ!」「アイエエエ!?ヤメロー!ヤメロー!」
カトリ先生は手際よく金具でハツカゼの口を開き、固定した!「あばばばばばば!アババババババババ!」ハツカゼはベッドをガタガタと揺らすが逃れられぬ!無力!ハツカゼには抵抗の手立てが無い!「見つけたァーッ!イヤーッ!」カトリ先生がシャウトと共にハツカゼの奥歯にドリルをねじ込んだ!「アバーッ!アバーッ!」激痛!ニューロンが爆発し、視界がホワイトアウトする!
「ヤメロー!ヤメロー!やめ…エッ?」ハツカゼは叫ぶのをやめた。自分の眼下では施術ベッドに横たえられた、白目をむいて激しく痙攣する艦娘と、その口にドリルを意気揚々としてねじこむ艦娘、隅のソファで退屈しのぎに自慰をする深海棲艦娘。彼女、ハツカゼは幽体離脱めいて己を見下ろしているのだ。「死んだの?私?」その声が届くことは無い。
【KANMUSLAYER】
◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
め…エッ?」ハツカゼは叫ぶのをやめた。自分の眼下では施術ベッドに横たえられた、白目をむいて激しく痙攣する艦娘と、その口にドリルを意気揚々としてねじこむ艦娘、隅のソファで退屈しのぎに自慰をする深海棲艦娘。彼女、ハツカゼは幽体離脱めいて己を見下ろしているのだ。「死んだの?私?」その声が届くことは無い。
(違う…死んで、ない?)しかしハツカゼは死んでいなかった。これは自分のユメミル・ジツの力である事を彼女は理解した。それはほとんど本能による理解であり、すべての道理を通り越した上でハツカゼは自覚したのだ。(…いや、いい。気持ちを切り替えるのよ。気持ちを)ハツカゼは自分に言い聞かせる。
彼女が無力に見守る中、カトリ先生はアタッシェケースを開き大量の電気メスを吟味していた。(ちくしょう、私の身体に何しやがる気なのよ……)ハツカゼは歯噛みする。「ねえ、ついでにこの子の性感を100倍にしてよ」港湾セイキが笑う。「残念ながらそのオプションは契約外ですねェ」しかしカトリ先生は涎をたらさん勢いである。
(ナムサン)彼女は泣きたい思いだった。だが眺めていても意味が無い。ハツカゼは浮上する。ベッドが、連れ去られた先の仮説研究テントが、それを取り囲むクローンヤクザ妖精が、まんまと誘導された小島があっという間に遥か下に遠ざかった。さらに遠ざかると近海に位置するチンジフさえも眼下にある。
(スゴイ…!これも私の力なの?でも、今はとにかく)ハツカゼは神経を張り巡らせる。チンジフ内には多数のカンムスソウル反応。それは大中小、色も様々な光としてハツカゼの眼には写っている。あの光に一斉に助けを求めればいいだろうか?それは無理だろう。近海にあるといってもチンジフとの距離がありすぎる。ハツカゼは残酷な事に、これも本能的に理解した。
◆寝休憩◆
◆遅れて再開◆
(ちくしょう!スゴイ力のクセに肝心の時に役にたたないなんて…ん?)ハツカゼの意識はある一つの光に目が止まる。(あの光…)その光はワイヤーフレームめいたチンジフの一室にある3つの光のうちの一つ、他の光とはあからさまに違う禍々しきアトモスフィア、そして赤黒い光を放っている。(…べし)(え?)そして光から何かの声がする。
(コロス…べし)(へ?殺す?)(殺すべし、敵艦殺すべし…!)(んなっ…)(敵艦!殺すべし!)(アイエッ!?)その禍々しき声にハツカゼは思わず怯んだ!(な、何アレ!?コワイ!)そのノロイめいた声は断続的に続く。(殺すべし…殺すべし…!)まるで呪詛めいている!
(でも待てよ…チンジフの中にいるって事は、味方って事よね…)ハツカゼは心を落ち着かせて考える。(殺すべし…敵艦殺すべし)ゾッとする呪詛がハツカゼの意識に絡みつく。(全敵艦!殺すべし!)(よし…!)しかしもう怖がらない。赤黒い光に意識を集中させる。(殺すべし…敵艦殺すべし…)(ちょっと!願いを叶えてあげるわよ!)
----------
「いつもぴょんぴょん可能!楽しさ求めてもうちょっと!はじけちゃえ!」「………」「へっ!?」イスズは前のめりにつんのめった。つい先ほどまでノリに乗って共に歌っていたセンダイの歌声が止まったからだ。はしゃぎながらタンバリンを叩いていたアブクマも勢いあまった様子である。「ちょっとセンダイ=サン!なんなのよもう!」「歌止めてんじゃないわよ!最初から歌い直し…」
…だが!「「…アイエエエエエエエエエエ!?」」ナ、ナムアミダブツ!!次の瞬間!イスズは立ったまま失禁し!アブクマはソファごと後ろに転倒し後頭部強打!なぜか!?自分たちの友人の目が殺戮者のそれに変わり、「憲 兵」の禍々しきカンジが刻まれたメンポが装着されていたからだ!「イヤーッ!」センダイは持っていたカラオケマイクを充電台にストライクすると、部屋のドアをトビゲリで破壊し猛然と飛び出した!
「「アイエエエ!!ニンジャ!ニンジャナンデ!?」」急性NRSを起こした2人の叫び声を背にしながらセンダイは出撃ドックに向かって赤黒い風めいて駆ける!「「「ンアーッ!?」」」廊下にいた艦娘たちのスカートを風圧で捲り上げながら駆ける!頭の中に響く、声に導かれるままに!
【KANMUSLAYER】
◆ほんじつの午後な◆
◆明日の朝にまたぐと思う◆
【KANMUSLAYER】
「…アッバーッ!!」凄まじき激痛!ハツカゼの身体が跳ねる!「治療完了ですねェ!私にかかればものの10分で出来上がりですッ!」「アバッアバッ…ま、まだ…誘導できて…な」ハツカゼを再び襲った激痛は、彼女を精神世界からジビキ網めいて引き戻してしまった。まだあの赤黒な光を正確な場所へ導き切れていない!
(ヤバイ…ヤバイヤバイヤバイ!あとどれくらい助けてもらうのにかかるの!?これ以上は…)「さて!次の歯に移りましょうか!」「エッ!?」カトリ先生は両手に持ったドリルをダブル・ガンスピンさせている!「あなたもう一本虫歯ありますよ?ついでにそちらも治療重点ですねェ!」「や、やめ」「イェーハーッ!イヤーッ!」「アッバーッ!!」モンドムヨー!カトリ先生の治療は継続中である!
ハツカゼは必死に意識を逸らそうと努めた。カトリ先生はどう考えても変態であり、サディストかどうか分からないがとにかく変態である。ハツカゼの精神を崩壊させ、容易に脳手術を「アバーッ!アッバーッ!アッバーッ!アーッ!」
ハツカゼの視界が涙でくもる。カトリ先生はいまや二本のドリルを奥歯にねじ込んでいる!「アバーッ!!」「アッハハハハハ!」港湾セイキが笑う!苦痛のパルスがハツカゼの世界を吹き飛ばす!ナムアミダブツ!「アガガガガッ…助け……!アガガガガッ…助け……!」「イヒヒヒーッ!この治療と脳手術が終わったらさらに肉体改造を加えてあげましょう!」
「アガガガガッ….アガガガガッ….助けて…ここ…….ここよ」「うわ言ですかねェ?艦娘のくせに情けない耐久力!そちらも改造が必要ですねェ!」「アハハハハハ!」「助け…こっち……助け……」「ホラホラ!ホラホラ!アナタを改造して腹筋をつけてあげましょう!ステキでしょう?腹筋ヒロインですよ!?」
「アガガガッ…助け…助け…こっち……ここ」「アーア、反応も薄くなってきたわね」港湾セイキがあくびをした。「あとね、大爆発四散させちゃダメなのよ?」「シンパイゴムヨー!ギリギリ耐えれるように調整してあります!」「アラそう。でもさ、あたしが暇…」「ホラホラ!ホラホラ!」カトリ先生は聞く耳持たぬ!治療しながら改造計画を立てるのに夢中だ!「ホラホラ!ホラホラ!ほら…」
「W a s s h o i !」
部屋内の天窓が、掛け声と共に割れ砕けた!飛び込んだ影はその瞬間ジゴクめいた跳び蹴りをカトリ先生に向けて繰り出す!「イヤーッ!」「アイエッ!?」反射的に身を竦めるカトリ先生!「イヤーッ!」港湾セイキが瞬時に割り込み蹴りをガード!なんたるカンムス反射神経!
「イヤーッ!」襲撃者は着地と同時に更にもう一撃!港湾セイキの脳天めがけチョップを振り下ろす!「イヤーッ!」港湾セイキは両腕をクロスしガード!いつの間にか彼女の両腕にはカギ爪めいたブレーサーが装着されている!「イヤーッ!」襲撃者はその腕を掴むと、イポン投げめいて港湾セイキを投げる!
「イヤーッ!」投げ出された港湾セイキは空中でクルクルと回転し着地!「イヤーッ!」襲撃者はそこへゼロセンを連続四機投擲!「イヤーッ!」カギ爪が全てを叩き落とす!「イヤーッ!」襲撃者は斜め後ろの四つん這いになって逃げようとしていたカトリ先生の尻をいきなり後ろ足で蹴る!「グワーッ!?」
カラテがほぼ皆無であるカトリ先生は鹿めいたキックをまともに受け、タンスの角に頭を打ち付ける!「グワーッ!」タンスの棚の上に飾られていたミョウコウの顔をかたどったダルマがその衝撃で落下し、カトリ先生の脳天を直撃!「グワーッ!」 悶絶不可避!
「アガーッ!」ハツカゼが叫ぶ。「イヤーッ!」襲撃者はその金具を一撃でむしり取った!「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」さらにチョップを連続で繰り出し、拘束ベルトをあっという間に破壊!ハツカゼが絶叫する!「ぶはーっ!!ブッダアスホール!そ、それと周りのミョウコウ=サンをなんとかして!」
改めてこの狂気的な空間を確認した襲撃者はやや目をひそめた。「イヤーッ!」しかし襲撃者はすかさゼロセンを全方向投擲しミョウコウの等身大中破パネルすべてを粉々に粉砕!(すまぬ、ミョウコウ=サン!)そして心の中で仲間に詫びる!
「ドーモ、はじめまして港湾セイキです」港湾セイキが先手を打ちアイサツした。「その憲兵のメンポ!あなたセンダイ=サンだよねェ!ウワサには聞いてるわ!」「いかにも」センダイが振り向き、アイサツを返す。「ドーモ、港湾セイキ=サン。センダイです。敵艦殺すべし」
「センダイ=サン…ですと!?」カトリ先生がずれた眼鏡を直して立ち上がる。「ドーモ、カトリです。最も正体不明で興味深い艦娘かつニンジャの対象!何故ここにあなたが現れるのですか!?」「知らぬ」センダイはハツカゼを見た。自分を呼んだのは彼女の声である。
「カーッ!ペッ!」ハツカゼはベッドから飛び降り、口に溜まった血を吐き出し、そしてオジギした。「あ、あなただったのねセンダイ=サン…!私があなたを呼んだの。ハツカゼよ…た、助かった」「無事か?」「あまり無事じゃないかも…」ハツカゼは小失禁したのを思い出し、やや内股になった。「私の服はどこかな」
「アナタが倒した私たちの部下を覚えてる?」港湾セイキが言った。「あンたが大破させたリ級=サン、チ級=サン、レ級=サン、ネ級=サン…」「そ奴らがどうした」センダイは睨み返した。「ちょっと!そいつの眼をまともに見るとヤバイわよ!」ハツカゼが口を挟むが、センダイは港湾セイキの視線を受けて立つ。
「くだらないセンチメントだけど。私たちセイカンヤのひとりひとりは血より強い絆で結ばれてる」港湾セイキは言った。「カワイイ部下たちということもある。でも上下関係も関係なく、それは強い絆よ」「……」「やってくれたわよね?センダイ=サン」「オヌシも仲間たちの後を追え」「イヤーッ!」
【KANMUSLAYER】
◆作者の冬休みメントにつき更新強化月間、しかしバイトはある◆
【KANMUSLAYER】
「イヤーッ!」港湾セイキの投げたセイカンヤ仕様のゼロセンにセンダイが投げ返したゼロセンがぶつかり合い、消滅した。次の瞬間二人はワン・インチ距離まで互いに接近していた。即座に打撃応酬が開始される!「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」ぶつかり合うチョップ!
「イヤーッ!」港湾セイキが鋭い踏み込みからの爪斬撃を繰り出す!「イヤーッ!」センダイは一瞬早くブリッジし回避した。だがもう片方の爪が振り下ろされる!「イヤーッ!」センダイはブリッジ姿勢からバックフリップし追撃を回避!飛びずさりながらカラテ砲発射!「イヤーッ!」
しかし港湾セイキは蝶めいた軽やかな動きで砲弾を最小限の動きでかわし、ステップで踏み込みながら脚を高く蹴り上げ、踵落としで襲撃!「イヤーッ!」センダイは側転で回避!着地点近くにいたカトリ先生に蹴りを見舞う!「イヤーッ!」「グワーッ!」ナムサン!当然カトリ先生はガードできず、再び床に転倒!
「イヤーッ!」転倒したカトリ先生にすかさず服を着たハツカゼが襲いかかり、尻を力任せに蹴る!「グワーッ!」「散々やりやがって!舐めるんじゃないわよ!イヤーッ!」「グワーッ!」「私を改造ですって?イヤーッ!」「グワーッ!」「胸だけならいいわよ!イヤーッ!」「グワーッ!」
「グワーッ!助けて下さい!港湾セイキ=サン!」尻を蹴られながらカトリ先生が悲鳴を上げる。「無理言わないでよ!こっちはこっちで大変なんだから!」センダイの打撃をいなしながら港湾セイキは返答する。「イヤーッ!」回し蹴りだ!「イヤーッ!」センダイは腰を落としてこれを回避!
卓越したカラテを放っている港湾セイキに一瞬の隙ができた!回し蹴りが戻る速度よりもはやく、センダイは斜め上に拳を突き上げた。斜め45度のポムポム・パンチだ!「イヤーッ!」「グワーッ!」なんたる技の切れ味!グラマラスな港湾セイキの身体が跳ね上げられる!「イヤーッ!」センダイは追って跳躍!組みつきにゆく!
これはアラバマオトシ!敵を羽交い締めにして共に落下、脳天から地面に叩きつける暗殺カラテ技!勝負あり……否、見よ!港湾セイキの淫靡かつ柔軟極まる関節の動きを!センダイはグラップし損ねる!「何!」「アハッ!ひっかかった!」港湾セイキは一瞬にして上になり、両脚で彼女の首を挟み込む!「フフフどうなるかしらァ」
「ウヌッ!」センダイは抵抗するが、港湾セイキの両脚はまるでタコの足のごとくセンダイに絡みつき、逃さぬ!そのまま港湾セイキはセンダイを抱え込んだまま空中でムーンサルト回転!勢いを乗せて床に叩きつける!「イヤーッ!」「グワーッ!」
自身も似た技を持つセンダイは、チャドー由来の受け身でこの空中投げの衝突ダメージを最小限に留めた。だが港湾セイキは機会を逃さず、センダイのマウントを取ったのである!「フフフ!アカチャン」港湾セイキが腰をグラインドさせ笑う! ナムサン!
「イヤーッ!……イヤーッ!」マウントを跳ね返そうとセンダイは力を込める。だが、そのグラビアモデルめいた外見からは想像できぬほどの怪力がセンダイの両肩を押さえつけている!港湾セイキは身を屈め……赤い舌がセンダイの額を舐める!「アナタもカワイイわねェ、この平坦な胸もカワイイ」「黙れ!」センダイは激昂!
センダイがもがく……港湾セイキの瞳が赤に光る!「グ……グワーッ!」「ファハハハハ!アカチャン!」「え?形勢逆転なの?」カトリ先生を蹴り続けていたハツカゼが蒼ざめた。その隙を捉え、カトリ先生がハツカゼの脚を掴む!「イヤーッ!」ハツカゼは転倒!「グワーッ!」
「ゲホッ……手間をかかせてくれますねェ!」カトリ先生はハツカゼの尻を蹴り返す!「グワーッ!」「艦娘の中でも最高の知能指数を持つ私の脳細胞をいくつも殺してくれましたねェ!イヤーッ!」「グワーッ!」「いわばこれはカンムス科学技術全体における損失!イヤーッ!」「グワーッ!」「許せませんねェ!イヤーッ!」「グワーッ!」 ナムアミダブツ!こちらも形勢逆転である!
【KANMUSLAYER】
◆朝でも更新◆
【KANMUSLAYER】
「ゲホッ……手間をかかせてくれますねェ!」カトリ先生はハツカゼの尻を蹴り返す!「グワーッ!」「艦娘の中でも最高の知能指数を持つ私の脳細胞をいくつも殺してくれましたねェ!イヤーッ!」「グワーッ!」「いわばこれはカンムス科学技術全体における損失!イヤーッ!」「グワーッ!」「許せませんねェ!イヤーッ!」「グワーッ!」 ナムアミダブツ!こちらも形勢逆転である!
「イヤーッ!」「グワーッ!あんた」「イヤーッ!」「グワーッ!熱く」「イヤーッ!」「グワーッ!熱くなり過ぎ」「イヤーッ!」「グワーッ!なり過ぎよッ!」ハツカゼがカトリ先生のストンピング足首を、掴んだ!「ちょっとウカツでしょ!これは!」「な……アバババッ!?アババババーッ!?」
途端にカトリ先生の身体が痙攣を始める!ハツカゼはこめかみに指を当て、眼と鼻から血を流す。マインド潜行だ!彼女はこのままカトリ先生を大爆発四散させるつもりだった。だがリラックスしていない相手では一筋縄でゆかぬか、気絶させるのがやっとだった。「あ…バ…」
「思い知ったかちくしょう!」泡を吹いて大股開きで転倒したカトリ先生にもう一度蹴りを入れると、ハツカゼは港湾セイキとセンダイの方向へ向き直った。自分を救った艦娘であり憲兵でありニンジャである彼女は今、港湾セイキに覆い被さられ、名状しがたいジツの洗礼を受けている最中だ。「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」ナムサン!
ハツカゼは淫靡な地獄絵図と割れた窓とを素早く見比べる。一方には悪夢めいた殺し合い……しかも救援者はこのまま倒されそうな状況ときたものだ。もう一方には……自由!このまま仮設研究施設を飛び出し、チンジフまで逃げてしまえばいい。それで全て終わりだ。「実際、選択の余地は無いでしょ……」
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」「ファハハハハハ!アカチャン……アカチャン!」港湾セイキは腰を揺すりながら上体を仰け反らせた。そして再び屈み込み、センダイの顔を覗き込む!「ネエネエ!あなたはファックするとき声を抑えるの?それとも声を出しちゃうの?今から試してアゲル!ねぇ!」
「グワーッ!グワーッ!グワーッ!」「……選択の余地なんてものは無いのよ!」ハツカゼは駆け出す!「ファハハハアカチャン!アカチャンアバッ!?アバーッ!?」港湾セイキがスタンガンを首筋に当てられたように反応し、痙攣!彼女の両こめかみに後ろから当てられたハツカゼの指!
「ウ……ウワッ!」ハツカゼはフィードバックにひるんだ。マインド潜行が拒絶されたのだ。なんたる邪悪かつ強靭なカンムス精神力!後ろへ弾き飛ばされそうになるが、彼女は必死でかじりついた。「GRRRRRRRR!」獣じみた唸り声を上げ、港湾セイキがハツカゼをもぎ離そうとする!
「つれないヒトだなッ……」ハツカゼは暴れる港湾セイキの首を肘の内側でガッチリとロックした。「へへへ…!さっき私をファックするって言ってたでしょ?心変わり?私も混ぜなさいよ!」「GRRRRRR!」襲いかかるカギ爪より早く、ハツカゼは己の額を港湾セイキの後頭部に押し当てた!「イヤーッ!」
自分の額を相手に押し当てる!原理はわからぬが、これが一番強力な潜行方法であることをハツカゼは理解していた。途端に二者の間で超自然のトンネルが拓かれ、ハツカゼの意志はエネルギーの流れめいた存在と化して港湾セイキのニューロンに突入した!「アアアアアア!」 ハツカゼの視界が光に包まれる!
「……から生まれた。私たちは」
「しかし私たちは繁殖することができません」「カンムス技術をもってしても無理なのですか?」「不可能よ」「クローンを使っても…?」「根本的な解決にはなっていないわね」「女の子どうしなら?」「とにかくこのままでは私たちが辿る道は滅びの道。ただそれだけ」
「でも大丈夫よ」「なぜです?」「なんかいい手があるのか?」「私たちだけでは繁殖できない。でも繁殖する機能はある」「どういうこと?」「つまり『種』さえあれば、私たちは繁栄できる」「そうすれば…」「そう、いつかはこの海さえ支配できるのよ」「流石姫様!」「マジか!」
「しかし『種』などどこにあるのでしょう?」「いるじゃないの。『あそこ』に」「エ?」「あそこって、アイツらのトコだよな」「まさか…姫様!?」「フフフ…」「その『種』ってアイツか!?」「まさか片方のコドモのほうじゃないわよね!」「もちろん。あっちはまだ幼すぎる。役に立たないわ」「そうすると…つまり?」「つまり…そのう」
「フフフ…そうよ…さえ手に入れば、私たちは種族繁栄…いずれ…そう….」
「うわあああッ!」ハツカゼは耐え切れず地面に叩き伏せられた。「何だってのよ!今のは!?」「グワーッ!」港湾セイキが身悶えする!「イヤーッ!」「グワーッ!」この隙を逃さず、センダイは港湾セイキの身体をブリッジ動作で弾き飛ばす!マウントが破られた!
空中で危うくバランスを取り着地した港湾セイキに、センダイは決断的速度でツカツカと接近してゆく。「スゥーッ!ハァーッ!」ゴウランガ!早歩きしながらのチャドー呼吸!在りし日に、センセイから授かったチャドー呼吸だ!港湾セイキが横目でハツカゼを睨む!「よくも…よくもあたしの頭の中を…!あたしは反対してるのよ!絶対に女の子しかイヤなんだから!」「え?」そしてセンダイに向き直る!
「あンたの負けよ、往生際の悪い奴」港湾セイキはカラテを構える。装備したカギ爪ブレーサーに特殊な機構めいた振動が発生!センダイは早歩きで接近!「…イヤーッ!」港湾セイキの指先から何かが一斉に放たれる!
それは10本のダート型の刃物!カギ爪ブレーサーの指先が射出されたのだ。なんたるテックにもとづいた高度な攻撃!仮にこの一瞬の予備動作でゼロセンを投擲できる艦娘がいるだろうか?殆どおらぬ!「イヤーッ!」早歩きするセンダイの両手が残像を伴って高速で閃く!
「な…何ですってェー!?」ワザマエを目撃したハツカゼが思わず叫んだ。センダイは早歩きしながら両手を前に掲げて見せた。その手にはの間には10つのダート刃物が全て挟み取られている!ゴウランガ!すでにこの手の攻撃はソウリュウのセンタクバサミ・ジツを受けたときに打ち破っている!なんたるカンムス動体視力そしてカンムス器用さそしてカンムス学習能力であろうか!
「イヤーッ!」港湾セイキがさらに追撃ゼロセンを投擲!「イヤーッ!」センダイは指に挟んでいたダート刃物をツブテめいて投げつける。それぞれがぶつかり合い相殺消滅!その時には既にセンダイは床すれすれまで身を沈めてダッシュしている!「イヤーッ!」
急加速で一瞬にして港湾セイキの足元へ潜り込んだセンダイは、組んだ両拳をハンマーめいて振り上げる!「イヤーッ!」立ち上がる膝のバネ力と両腕の勢いが乗った強烈な打撃は、港湾セイキの咄嗟のガードをたやすく崩した!「なッ……」港湾セイキの両手が強制的に開かれる!
「イヤーッ!」センダイはこの機を逃さぬ!さらに半歩踏み込んだその姿勢は必殺のポン・パンチ!だがその時「イヤーッ!!」港湾セイキの瞳が赤にストロボ発光する!ナムサン、これは彼女の奥の手のひとつ、最大出力ヒュプノ・ジツだ!「ヌウッ!」
敵の自我を支配し、服従させる恐るべきジツ……港湾セイキはジツにかけた艦娘を強制前後する淫乱的存在なのだ!センダイはハツカゼの警告を覚えており、彼女の眼に焦点を合わせぬようにしていた。しかしこの最大出力のジツはそれでもお構い無しだ!
だが!「グワーッ!?」悲鳴を上げたのは……港湾セイキである!「なによこれ……なんなのよこれは!」ヒュプノ・ジツを阻害された港湾セイキが悶える!「私だ!」見よ、それはハツカゼだ!床に膝をつき、己の両こめかみに人差し指と中指を当てている。両目と鼻から血を流す壮絶な有様!
「あンたちょっとウカツよね!ゲホッ!」ハツカゼがニヤリと笑いながら咳き込む。「精神攻撃やるなら気をつけないと….…ファイアーウォールが開いちゃうわ。私もいい勉強になった。あンたと触れ合うのも三度目だしね…否性的な意味で!」「アアアーッ!」そして再度踏み込むセンダイ!ポン・パンチ! 「イヤーッ!」「グワァーッ!」身体をくの字に折り曲げ、港湾セイキが吹き飛んだ!
【KANMUSLAYER】
◆艦◆カンムス名鑑#57【港湾セイキ】セイカンヤ、シックスゲイツのひとりである深海棲艦娘。相手を催眠状態に陥らせるヒュプノ・ジツの使い手。なお非常に性に奔放。ジツだけでなくカラテも強く、カギ爪ブレーサーや暗殺武器を用いる。妹が2人いるらしく、その1人は同シックスゲイツの飛行場キ。生粋のレズビアンであり経験が皆無にも関わらず男性嫌いである◆艦◆
◆今日な〜◆
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
【KANMUSLAYER】
港湾セイキは吹き飛ばされてなお、空中で姿勢を制御し、床に足をつきブレーキをかける!「イヤーッ!」壁に叩きつけられるのを回避するが床にヒビが入るほどの衝撃だ!「ぐウッ…!」港湾セイキは自分のダメージを推し量る。戦闘不能ではないが、かなりの痛手には違いない。
(クソッ!これがカワイイ部下たちを殺ったワザマエか…!)センダイは未だ尽きぬ殺意でこちらにジリジリと歩を進めている。その傍らにはへたり込むハツカゼ。そして自分の横には泡を吹いて大股開きで気を失っているカトリ先生がいる。「ジリー・プアーってワケね…」港湾セイキは再びカラテを構え直す。彼女とてシックスゲイツのひとりである。そんなヤワな戦士ではない!
センダイはゼロセンを構える。それに対抗しようと、港湾セイキもゼロセンを構えようとした瞬間!「「イヤーッ!」」部屋内に二重のシャウトが響き渡る!ドアを蹴破り、2人の艦娘が新たにエントリーした!「ドーモ!アブクマです!」「イスズよ!」2人はセンダイの横に並び立ち、カラテ砲を構える。もちろん狙いは港湾セイキただ1人だ!
「アブクマ=サンにイスズ=サン。なぜここが」「ったく!ひとりで勝手に突っ込んでんじゃないわよ!」「でもまぁ…ホントに助けを求めてる仲間がいたとは思わなかったけどね!」ハツカゼは慌てて3人の後ろに隠れる。2人は急性NRSから持ち前のカンムス精神力で復帰した後に、センダイの識別信号を追ってここまで来たのだ。無論この仮設研究所を囲んでいたクローンヤクザ妖精は殲滅済みである!
「アラアラ!カワイイ子がまた2人増えたわねェ。まとめてファックしてあげたいとこだけどさぁ…」港湾セイキは胸の谷間から何かを取り出す。3人は一斉に身構える。それはゼロセンか?否!グレネード爆弾だ!「イヤーッ!」港湾セイキはアンダースロー投擲!3人は咄嗟に防御の姿勢をとる。しかし3人を襲ったのは凄まじい閃光と、耳をつんざくような高音だった!「「「グワーッ閃光弾!」」」
3人はなんとか目と耳を覆うが、すでに備えていた港湾セイキはカトリ先生を抱えると、大きく跳躍した!「イヤーッ!」センダイの突き破った天窓から屋外に飛び出る!「「「イヤーッ!」」」3人は眩む視界の中、ゼロセンを投擲しカラテ砲を放つ!しかしその全ては空を切った。
3人の視界がほぼ同時に復帰すると、そこにはもはや誰もいなかった。「逃げられたわね」「負わなくては…ウッ!」後を追おうとしたセンダイがガクリと膝をついた。精神攻撃のダメージが未だ残っているのだ。「無理しないで!追うのはやめましょう。えーと、ハツカゼ=サンだよね?彼女は助かったんだし」「うん。ふぅ…」センダイはメンポを外した。その表情はいつも通りのセンダイの顔に戻っている。
いかに彼女といえどダメージを負ったまま、ハツカゼを守りながら戦うのには不安がなかったといえば嘘になる。だが実際2人のインターラプトのおかげで難を逃れることができたのだ。「うぐぐ…目が…目が!どうなったの!?私助かったの!?」3人の後ろでは閃光を避け損なったハツカゼが悶絶している。「アー、ハイハイ。大丈夫ハツカゼ=サン?ケガはない?」アブクマがハツカゼを助け起こす。
しかしハツカゼの顔を見たアブクマは驚愕し目を見開いた。「アイエッ!?あなた顔面血まみれじゃないの!ゴアいわ!大丈夫じゃないじゃない!」「へ…ヘーキヘーキ。ただの鼻血よ!」ようやく視界が戻ったハツカゼは慌てて顔を拭う。手のひらにベットリと血が付いている。「でも確かに…大丈夫には見えないわ。コレ」
「でもハツカゼ=サン。どうやってわたしを呼んだの?」センダイはアブクマに肩を貸してもらっているハツカゼに問うた。「わたしとアブクマ=サンには何も聞こえてなかったのよ?」イスズも怪訝な表情である。「エート…なんて説明すればいいのか…とにかく、提督に伝えなければいけないヤバイことがあるのよ。ヤバイことが…」
今日はあまりにも多くの事が起こりすぎている。今まではつとめて平和に過ごせてきたのに…この先、自分がとんでもないことに巻き込まれていってしまう予感がしてならない。(ちくしょう!とんでもない厄日だわ!とにかく…とにかく…パンツ、洗いたい…ちくしょう)帰路につく4人を照らす夕日は、やがて地平線の向こうへ沈んでいく。そしてハツカゼは結局臨時休暇がなくなってしまったことに気づき、ガックリと肩を落とした。
----------
(…そう。失敗したのね。残念だわ)彼女は閉じていた目を開くと、甘い溜息をついた。その仕草はそこはかとなく性的であり、この牢獄には不釣り合いにも思える。そして彼女、戦艦棲キは身を起こすと、鉄格子の外に立っている艦娘に視線を移す。「…4分経過」その艦娘は小さく呟きながらも戦艦棲キから視線を外さない。その表情は限りなく氷めいた無表情である。
「…ねえ。ヤヨイ=サン?たまにはお話でもしない?毎日顔をあわせているんだからさあ」「あなたとの会話は、命令に無い。」戦艦棲息キが話しかけるがその艦娘からの返答は取り付く島も無い。彼女は肩をすくめる。「もう…いつまでたっても分からないわね。アナタだけは」「4分30秒経過」
「…5分経過。見回りを終了する」その艦娘、ヤヨイはだれともなく呟くと無感情に踵を返した。「ねえってばぁ…じゃあひとつだけ教えてよ」戦艦棲キは去るヤヨイの背中に向かって話しかけた。しかし彼女の歩が止まる様子はない。
だが戦艦棲キはそれでもヤヨイの背に語りかける。「教えてほしいのよ!ヤヨイ=サン。あなた一体何のために戦ってるの?」その言葉を聞きたヤヨイは、歩を止めず振り向かずに、しかし、答えを呟いた。つとめて無表情に、無感情に。
「…私にあるのはあの人の命令だけ。ただそれだけ。それ以外には何もないわ」
【ビヨンド・ザ・カグコインデカッタ・フスマ・オブ・サイレンス】終わり
( 一)<ドーモ!ザ・ヴァーティゴです。セイカンヤのやつらは一体何を企んでるんだろうな?これからも物語から目が離せないぜ!あと提督が誰だろうが前後する鬼畜だと思われてるみたいだがそんなことはないぞ!ちゃんと寝た提督ならだけど。
>>レ級ちゃんに友達が…
( 一)<この物語のヴィラン的組織であるシンカイセンカンヤといえどその運営体系はチンジフとそう変わらないんだ。だから休暇だってあるし一緒に遊ぶ友達とかがいてもおかしくはないだろう?ひとりひとりの誕生日パーティーとかやってるみたいだし、みんな結構仲がいいらしいぞ。
>>カラテだけで戦ったらカトリセンセイとハツカゼどっちが強いの?
( 一)<そうだなあ…どっちもどっちだと思うけど、2人ともカラテは圧倒的にからきしだ。カトリ先生は研究することしか頭にないし、ハツカゼ=サンは戦うのがキライだからね。多分2人まとめてかかってもクマノ=サンに負けるレベルだろう。