最初から
岡部倫子「これがシュタインズ・ゲートの選択……!!」【#01】


205 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:44:53.47 1x+JDDiqo 143/2638

第3章 蝶翼のダイバージェンス♀


2010年8月2日月曜日
未来ガジェット研究所


倫子「う、うーん……」

紅莉栖「(寝顔は、そりゃ可愛かったけど、つらそうな顔だった……)」

紅莉栖「おはよ。気分はどう?」

倫子「ああ……えっと、オレは昨日……?」

ダル「ゲル化人間を見て卒倒したんだお。覚えてる?」

倫子「ゲル化人間……うっ、おえっ」ウルウル

紅莉栖「大丈夫? トイレ行く?」

倫子「……思い出した。ヤツら、とんでもない実験を……うっぷ」

紅莉栖「ほら、一度吐いちゃった方がいいわ。肩貸すわよ」

206 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:46:14.85 1x+JDDiqo 144/2638


倫子「(紅莉栖とダルはあの後SERNのタイムトラベル理論について調べたらしい)」

紅莉栖「SERNの理論はジョン・タイターの語ったものと同じだった……なんかはめられた気分」

ダル「だけどタイムトラベルの送り先が時間も場所もバラバラになってたんだよね。あとリフターの調整もうまくいってない」

紅莉栖「リフターってのはLHCの陽子衝突地点に置かれた変な装置のことね」

紅莉栖「ミクロ特異点の重力調整がうまくできていない。だから完全な裸の特異点を作れていない」

紅莉栖「その結果、あらゆる物質がフラクタル構造になってしまった……これでゼリーマンの出来上がりってわけ」

倫子「う、うむ……そろそろ慣れてきたぞ……」プルプル

ダル「(強がりオカリン……縮めて、つよがりん……)」

207 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:48:11.25 1x+JDDiqo 145/2638


倫子「つまり、オレたちが先に電話レンジ(仮)を完成させれば、SERNを出し抜くことも可能というわけだ……!」キラキラ

紅莉栖「SERNでさえ完成できてないものを私たちで作れるとは思えないけど……」

倫子「なに、簡単な話だ。タイターは我がラボの階下に居る」

倫子「奴にタイムマシンを借りればいい。我ながら冴えているな」ドヤァ

紅莉栖「それってタイムパラドックスに……ならないわね。タイターの言う多世界解釈が正しいなら」

ダル「いや、だからそれ、自称だってば」

紅莉栖「それに、個人的に阿万音さんには近づきたくないし……」

ダル「ごめん、僕少し寝るお」

紅莉栖「私はもうちょっとSERNのレポートを読んでみる」

倫子「困ったものだな……」

208 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:49:20.23 1x+JDDiqo 146/2638


まゆり「トゥットゥルー♪ うわー、おっもーい空気が漂ってるよ? 空気入れ替えるねー」ガララッ

倫子「いい機会だ、久々に円卓会議を開こうと思う」

倫子「(ラボメン全員が揃っていないのは残念だが……ちなみに萌郁から『今日は用事があるから、明日ラボに行くねー♪ 萌郁』とメールが入っていた)」

まゆり「かいぎなんて今までやったことあったかなー」

紅莉栖「アーサー王? さすがにちょっと無理があるんじゃないかしら」

倫子「…………」ウルッ

紅莉栖「そ、そうねっ! きっと私たちの心の中に円卓があるんだわ!」アセッ

まゆり「クリスちゃん、だいぶ慣れてきたねー♪」

倫子「とにかく、まゆりには今の状況を教えておく。お前を仲間外れにするわけにもいかないしな」

209 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:51:41.98 1x+JDDiqo 147/2638


・・・

まゆり「……まゆしぃはね、オカリンを守るよ。その、こわーい黒服さんが現れてもね、人質パワーでやっつけちゃうのです」

倫子「フッ、期待しておこう。いずれにせよ、我がラボとSERNとの最終聖戦<ラグナロック>は避けられなくなった」

紅莉栖「こっちはまだ2回しか過去へメールを送れていないけどね。やっぱり電子注入がネックかしら……」

倫子「ところで、“過去へ送れるメール”では言いにくいな。名前を付けようではないか」

紅莉栖「どうせヘンテコな名前を付けたいんでしょ?」フフッ

まゆり「オカリンはね、自分で考えた名前を付けちゃう癖があるのです」エヘヘ

倫子「失敬なっ! ならばオレの名づけを発表しよう。その名も――」






倫子「時を超えた郷愁への旅路<ノスタルジアドライブ>ッ!!」ドヤァ






紅莉栖「(だ、だめよ……笑っちゃだめ……イミフな名前にこんな満足そうな顔、かわいすぎるけど……微笑ましく思ったら失礼……)」プルプル

まゆり「(クリスちゃんが笑いをこらえてる……)」

210 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:53:10.90 1x+JDDiqo 148/2638


紅莉栖「い……いいんじゃ、ない、かしら……フフッ」

倫子「そうであろう、そうであろうっ!」パァァ

まゆり「でも、まゆしぃは長い名前は覚えられないよー」

倫子「仕方ない、ならば頭文字<イニシャル>を取ってNDとしよう」

紅莉栖「それだとわかりにくいわ。NDメール、ううん、もうNも取ってDメールでいいんじゃない?」

まゆり「じゃあ、Dメールに決定しまーす!」

倫子「それだと味気ないが……まあ、ラボメンが意見を出し合って決まったのなら良しとしよう」

紅莉栖「そうそう、ラボメンは大切にね」

倫子「フッ、知れたことを」

211 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:54:56.38 1x+JDDiqo 149/2638


倫子「さて、今語るべきは、電話レンジ(仮)をタイムマシンとして使えるようにするにはどうしたらいいか、だ」

紅莉栖「……ねぇ岡部。どうしてタイムマシンを作りたいの? SERNを出し抜くためだけ?」

倫子「……だって、タイムマシン、使ってみたいんだもん」

まゆり「(かわいい)」

紅莉栖「(かわいい)」

紅莉栖「まあ、気持ちはわかるわ。誰もが抱く純粋な好奇心よね」

まゆり「まゆしぃもね、タイムマシンがあったら過去に行ってみたいな……そしたらおばあちゃんにちゃんとお別れを言いたいかも」

紅莉栖「えっと、ちゃんとお別れできなかったの?」

倫子「お前は。また土足でヒトの心を踏み荒らすつもりか」

紅莉栖「えっ?……あっ、ご、ごめんねまゆり!? 話したくないわよね……」

まゆり「……ううん、まゆしぃこそごめんね。変な空気にしちゃって」

倫子「謝るな。お前はオレの人質なのだから」ダキッ

まゆり「うん……」ギュッ

212 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:56:22.01 1x+JDDiqo 150/2638


まゆり「怖いけど……今、ちゃんと言うね。そうしないと、まゆしぃの世界がまた暗くなっちゃいそうだから……」

紅莉栖「無理はしなくていいのよ?」

まゆり「うん、大丈夫。ありがと、クリスちゃん」

まゆり「実はね、おばあちゃんが死んじゃった日、まゆしぃは一緒にお団子をつくって食べようねって約束してたんだ」

倫子「初耳だな」

まゆり「だけど、まゆしぃはお友達に誘われてお祭りに出掛けちゃって……おばあちゃんとの約束を破っちゃった……」

まゆり「おばあちゃんとはいつでも会えるし、また明日でもいいねって……」ウルウル

まゆり「だけど、その明日はこなかったんだ……」グスッ

まゆり「おばあちゃん、一人暮らしだったから、倒れてから誰にも気づかれなくて、それで死んじゃったの」

まゆり「まゆしぃがきちんと約束を守ってたら、おばあちゃんは死なずに済んだのに……」

まゆり「今まで誰にもこのことは話せなかったの。まゆしぃがおばあちゃんを殺したんだって言われるのが、こ、怖く、て……」プルプル

紅莉栖「そ、そんなわけない! まゆりの、まゆりのせいなんかじゃない!!」

倫子「そんな考えはあの婆さんが一番望んでいない。まゆりは愛されているのだから」

まゆり「うん……ありがと、クリスちゃん。オカリン」

倫子「(そうか、それであの頃、恐怖やら自責の念やらでまゆりの心は遠く離れていたのか……)」

213 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:57:46.05 1x+JDDiqo 151/2638


まゆり「暗い迷路からまゆしぃを助け出してくれたのは中学生のオカリンだったんだよ。えへへ、今もまた助けてくれたね」

倫子「オレたちはラボメンだ。互いを仲間として認め合う。一人で抱え込むことなど、この鳳凰院凶真が断じて許さん」

まゆり「うん……ラボメンで良かったー、えへへ」グスッ

紅莉栖「……やるだけやってみましょ、タイムマシン作り」

まゆり「あ、でもね、まゆしぃは別に、本当に過去に行きたいわけじゃ……」

倫子「フン、人質の分際でオレから離れて時空間移動できると思っているのか? その時はオレも同行しよう」

まゆり「で、でもでも~」

紅莉栖「ふふっ。一応言っとくけど、こういうのを机上の空論って言うのよ。マシンが完成してから心配しなさい」

まゆり「じゃあ、今は心配しなくていいの?」

倫子「無論だ。ふぅーはははっ!」

まゆり「そっかー。よかったー♪」

214 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 22:59:42.68 1x+JDDiqo 152/2638


紅莉栖「それで、どこから取りかかればいいか……」

倫子「放電現象が起きるか起きないかはランダムだと思っているようだが、オレには仮説がある」

倫子「発生条件の再現だよ、クリスティーナ。オレたちは、最も単純で最も決定的な“条件”を見落としていた」

倫子「すなわち、発生時刻だっ!」エヘン

紅莉栖「あっ……ということは、12時頃か、18時頃! あるいは12時から18時の6時間ってとこかしら」

倫子「とにかく実験だ、試してみる価値はあるっ!」キラキラ

紅莉栖「岡部もたまには良いサゼスチョンを提供してくれるのね。関心関心」

倫子「たまには、は余計だっ! ほらダル、起きろ! 実験を再開するっ!」ゲシッ

ダル「ふごっ!? 美少女にお腹を蹴られるとか、我々の業界(ry」

紅莉栖「黙れHENTAI!」

まゆり「ぷよぷよのお腹が揺れてるねー」

215 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:01:32.22 1x+JDDiqo 153/2638

大檜山ビル前


倫子「(やはり条件は時間帯だったようで、ゲルバナ実験もDメール実験も成功した。ククク、さすがは鳳凰院凶真……)」

倫子「(今はちょっと休憩中だ。オレとダルでコンビニに行ったのだが……)」

鈴羽「ちぃーっす。なんか朝から愉快そうなことしてる?」

倫子「おお、ジョン・タイターか、丁度いいところに」

倫子「実は今オレたちはタイムマシン実験をしているのだが、貴様のシボルエを見せてはもらえないだろうか」

鈴羽「へっ?……はぁぁっ!? あ、あ、あ、あたしがジョン・タイターなわけないじゃん!? 何言ってんの!?」

ダル「驚きすぎだろJK……つーかそう簡単に秘密バラしちゃっていいの、オカリン」

倫子「シマッター(棒) バイト戦士よ、今オレが話したことは内密に頼む。クックック……」

ダル「(ああ、そういうこと……)」

鈴羽「オーキードーキー! 時をかける戦士として、タイムマシンの秘密は死守するよ!」

倫子「おまっ! 声がデカいぞバカモノっ!」オロオロ

ダル「(未来人だってこと、隠す気あるんかな……)」

216 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:03:54.23 1x+JDDiqo 154/2638


鈴羽「あと、店長がキミたちのタイムマシン実験について、揺れるしホコリが落ちてくるしで怒ってたよ」

倫子「なにっ!?……さすがに謝りに行かねばならないか」

鈴羽「そんな! ワルキューレの女騎士にそんな情けない真似はさせられないよ!」

倫子「はあ?」

鈴羽「既にあたしが綯を人質に取ることでキミたちの実験を黙認することを約束させておいたから! 安心して!」エッヘン

倫子「……綯は今どこに」

鈴羽「んー? ××の廃工場の中で眠らせてるけど」

倫子「ダルっ! 今すぐ小動物の救出に迎え! オレはミスターブラウンに全力で謝罪してくるっ!」ダッ

ダル「オ、オーキードーキー!」ダッ

鈴羽「レジェンドの作戦行動!? えっと、あたしはどうすればいいですか!?」キラキラ

倫子「貴様は目と口と耳を塞いでここから一歩も動くなぁっ!! うわぁん!!」

217 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:08:14.71 1x+JDDiqo 155/2638

ブラウン管工房


倫子「(取りあえず綯の件は口八丁で乗り切った。バイトの話は冗談だったとして安心したようだ)」

天王寺「それで、岡部。おめぇらが上で何をやってようと知ったこっちゃねぇがな」

天王寺「このビルのオーナーは俺だ。このビルはな、俺にとっては大切なモンなんだ」

天王寺「俺が若い頃こっちに来てから母親のように面倒見てくれた、大切な人との思い出があってな……って、興味ねぇか」

倫子「い、いえ、そんなことは……」

天王寺「どうもお前の目付きや出で立ちはあの人に似ている気がしてならねぇ……そのせいでつい口が滑っちまった」

倫子「ほう? ということは、その人もマッドサイエンティストだったのでしょうね」

天王寺「マッドは余計だ。確かに白衣を着こなした大学教授だったが……」

天王寺「ともかく、コイツももう歳だからな。おめぇらがガタガタ揺らすと、壁にヒビでも入るんじゃねぇかと気が気じゃねぇ」

倫子「そのような大切なものだとは知らず、申し訳なかった。(床が少しへこんでしまったことは謝りづらい……)」

天王寺「わかってくれりゃいいんだ。岡部は言動は変だが、美人な上に根は良い娘で親御さんも―――」



……ガタガタガタガタッ!!!!



218 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:09:11.47 1x+JDDiqo 156/2638


倫子「(ビルが揺れた。天井からホコリやらコンクリート片やらがパラパラと降ってくる)」

倫子「(助手よ……タイミングが最悪だぞ……)」

天王寺「…………」イラッ

倫子「(その時、ハゲ頭に青筋が立つのが見えた)」

倫子「ただでさえデカいマッチョマンとこのクソ狭い空間に居るだけでオレは生理的な恐怖を感じるというのに……)」ガクガク

倫子「(何より、この状況はオレの人生において最も忌々しい記憶を想起させる……)」ワナワナ

倫子「(もちろん、店長がオレに手を出すような下衆な男でないことは周知の事実だが、怖いもんは怖いっ!)」プルプル

倫子「ミ、ミスターブラウン! 我が名誉に懸けて今日はもう揺らさないと誓おう! さらばだっ!」ダッ

鈴羽「んん~~~~!! んん、んんん~~~~!!」

倫子「ええい、うっとうしい! 命令解除っ!!」

219 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:11:04.01 1x+JDDiqo 157/2638

未来ガジェット研究所


倫子「クリスティーナ! 今すぐ実験は中止だっ!」

まゆり「ごめんねオカリン。まゆしぃのからあげを温めるついでにDメール実験をしようってなって……」

倫子「そ、そうか。だがせめてオレに報告をしてからだな……」

紅莉栖「メール見てないの? 5日も前に連絡しておいたのに」ニヤニヤ

倫子「わかるわけないだろぉ! というか、オレがミスターブラウンに怒られるのは真面目に勘弁してほしい!」ウルウル

紅莉栖「ご、ごめん。そんなつもりじゃなかった……」

倫子「……いちいち凹むな、助手よ。とにかく今日は、これ以上の実験は中止だ」ハァ

紅莉栖「うん、データは充分取れた。さすがに眠いし、シャワー浴びてゆっくり眠りたい」

まゆり「シャワーならここにもあるよ。オカリンはいつもここのを使ってるよねー」

紅莉栖「ホ、ホント!? ちょっと匂いを……は嘘で、ぺろぺろ……も違った、テイスティング……じゃなくて!!」

倫子「ダルも使ってるぞ」

紅莉栖「オロロロロロロロ!!!!」

220 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:11:59.62 1x+JDDiqo 158/2638


紅莉栖「ホテルに帰ってシャワー浴びて寝るわ……」ガックシ

倫子「高級ホテルでセレブ気分のバスタイムか。オレも連れて行ってほしいものだ」

紅莉栖「だがことわ……断らないっ!! え、岡部、今なんてっ!?!?」ドキドキ

まゆり「まゆしぃも行ってみたいなー」

紅莉栖「まゆりも大歓迎よ!! ふ、ふふ、落ち着け栗悟飯……まだ笑うな……こらえるんだ……しかし……」デヘヘ

倫子「……また今度にしような、まゆり」

まゆり「オカリンがそう言うならー」

紅莉栖「ぐはっ!」ガーン

221 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:13:47.10 1x+JDDiqo 159/2638


ダル「ただいま~。綯ちゃん氏は無事だお。鈴羽お姉ちゃんと遊んでるうちに寝ちゃったーとか言ってたからギリセーフっぽい」

倫子「それは良かった……もうイヤ……」

倫子「さて、ダルも帰ってきたところで、『過去を司る女神』作戦<オペレーション・ウルド>の実験成果について、この場で検討しようではないか」

ダル「オペレーション・ウルドってなんぞ?」

紅莉栖「Dメール送信実験のことでしょ」

倫子「いかにも。ふむ、助手とはかなり意志疎通が取れるようになってきたようだ……ククク」

紅莉栖「そろそろ素直に喜べないわね……大丈夫か私……」

紅莉栖「ともかく、実験の成果はあった。原理はまだわからないけど、取りあえず書き出してみる」

222 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:16:00.41 1x+JDDiqo 160/2638


・・・

倫子「ふむ、最大で英文36文字、日本語文18文字しか送れない、というのは不便だな」

まゆり「ブラックホールの穴がきついんだと思うなー」

ダル「ま、まゆ氏。今のセリフ……」ハァハァ

倫子「ダル? 切り落とされたいか?」ニコッ

ダル「わおっ」キュッ

紅莉栖「おそらくSERNのタイムマシンと同じ原因ね」

紅莉栖「リフターの調整がうまくできてないから完全な裸の特異点を作れない。そのせいで36バイト+αしか送れない」

紅莉栖「そもそもリフターに代わるものがなんなのかすらわかってない」

ダル「でも、タイマーの1秒が現実の1時間になるっていう、いつへ送るかの調節ができるのを発見したのはすごくね?」

紅莉栖「とは言ってもこんなんじゃ物理的タイムトラベルなんて夢のまた夢よ。タイターの予言だと、あと24年かかるんだっけ」

倫子「確かに今のオレたちでは物理的なタイムマシンは無理かもしれんな。だが……」

倫子「オレたちはタイムトラベル実験に成功した。データを過去へ送ったのだ」



倫子「―――決して忘れるな。それだけは、オレたちの栄誉だ」

223 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/25 23:18:29.85 1x+JDDiqo 161/2638


~~~


倫子「(ラボに居たメンバーはオレ以外帰宅の途に着いたが、しかし過去にメールを送れるとは改めて考えると夢のような力だ)」

倫子「(やはり宝くじでも当てるか。ラボの研究資金になるなっ! あるいは……)」


~~~


まゆり「(過去にメールを送るとしたら……おばあちゃんの約束を守るように送る?)」

まゆり「(……ううん、それだと、オカリンと今の関係じゃなくなっちゃう気がする)」

まゆり「(……オカリンといつまでも仲良くね、って送ろーっと♪)」


~~~


ダル「(過去に送れるメールか……やっぱりフェイリス杯での優勝だよな、フェイリスたんの手料理食べたかったお)」

ダル「(あるいは子どもの頃の僕に、もっと早くオタ道へ進め、って言うとか。あー、エヴァのTV放送をリアルタイムで観たかった)」


~~~


紅莉栖「(過去にメッセージを送ると世界はどうなるのかな。SFみたいに改変される?)」

紅莉栖「(そんなの非科学的すぎる……けど、変えられるなら、やっぱりパパとの関係……)」

紅莉栖「(ううん、あれがあったから今の私がある。否定はできない)」

紅莉栖「(……日本に居た頃の私に、岡部と友達になるよう送れば幼馴染属性が追加されるかしら)」ウフフフフフ

229 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 21:56:33.60 MldcXf8vo 162/2638

2010年8月3日火曜日
未来ガジェット研究所


ピロリン♪


倫子「んー……もう朝か」


ピロリン♪


倫子「また鳴った? 誰からメールだ……って、指圧師から15通!?」


『今、秋葉原駅にいるの 萌郁』

『今、中央通りにいるの 萌郁』

『今、末広町交差点にいるの 萌郁』

『今、大檜山ビルの前にいるの 萌郁』

『今、ラボの扉の前にいるの 萌郁』

『今、あなたの目の前にいるの 萌郁』


倫子「……は?」

萌郁「…………」

倫子「どぅわああっ!?!? も、萌郁っ!! おどかすなっ!!」フーッ フーッ

萌郁「鍵、開いてた……(お邪魔してまーす(^^♪ )」

倫子「しまった……次からは気を付けなければ……」ドキドキ

230 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:01:42.13 MldcXf8vo 163/2638


萌郁「汗、びっしょり……(髪がしっとりしててセクシーだなー)」

倫子「誰のせいだ誰の!! あとでシャワーを浴びねば……」

萌郁「(私のせいー?><。 )……からだ、洗ってあげる」

倫子「べ、別にいい。そんな子どものような真似、できるか!」

倫子「(というか、その2つの大きなモノの迫力に勝てそうにない……羨ましいわけではないが)」

萌郁「(でもやっぱり申し訳ないし(T_T) )……遠慮、しなくていい。服、脱いで」グイッ

倫子「え? ちょ、うわ、やめろ! 脱がすなぁ! 引っ張るなぁ!!」ジタバタ

萌郁「(ボディーライン、綺麗……)ボディーライン、綺麗……」

倫子「ひんむかれた……うぅっ……」カァァ

倫子「一応確認しておくが、貴様にそっちの気はないよな?」

萌郁「……? (なんのことだろう(・・? )」

倫子「(どうやらノーマルだな……ひとまず安心だ)」フゥ

231 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:02:32.21 MldcXf8vo 164/2638

シャワー室


萌郁「……(うわあ、裸の岡部さん、すっごくキレイ……ホントに美人なんだなぁ(≧▽≦) )」

倫子「うぅっ……こっち見るな……」

シャー……

萌郁「髪、洗うね……(わざと髪の毛くしゃくしゃにするの、やめればいいのにー )」

倫子「ほ、ほんとにやるのか……ひゃん! も、もっとやさしく頼む……っ!」ビクッ

倫子「(というか、さっきから背中に当たっている……萌郁の、温かくて柔らかくて大きいソレが……)」

萌郁「ごめん……(はわわ! もっとやさしくしなきゃ!>< )」ワシャワシャ

倫子「あっ……う、うむ、上手だぞ。なかなかに気持ちいい」ポーッ

倫子「(子どもの頃を思い出すなぁ。人にされるのもたまには悪くないかも……い、いやいや、何を考えてるの私、じゃなくてオレは!)」

萌郁「そう……(喜んでもらえてよかったー!\(^o^)/ )」ワシャワシャ

倫子「(ああ……気持ちいい……篭絡される……)」ポーッ

232 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:03:28.78 MldcXf8vo 165/2638

未来ガジェット研究所
談話室


倫子「ふわぁ~……指圧師に指を使わせたらヤバイということがわかった。今後は気を付けなければ……」ポーッ

萌郁「(髪を下ろした岡部さん、かわいいな(^^♪ )」

倫子「それで、お前はIBN5100を見に来たのだな?」

萌郁「(そだよん♪)」コクッ

倫子「というか、昨日はどうして来れなかったのだ?」

萌郁「……取材」

倫子「(編プロのバイトとか言ってたな。それは嘘だったのでは……いや、仕事自体はしているのか)」

倫子「なるほど、わかったぞ。貴様、本当の狙いはこのオレの取材だなっ!?」ガタッ

萌郁「……? (えっと……?)」

233 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:08:07.88 MldcXf8vo 166/2638


倫子「ククク……世界を股にかける狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真への潜入取材となれば、ネタ的にはかなりおいしいだろう」ニヤニヤ

倫子「だがっ! それは断じて許すことができないっ! オレは各国のスパイ、そして“機関”に追われる身だからな……すまない、指圧師よ」フッ

萌郁「……IBN5100、見せて」

倫子「(まさかの真スルー……こいつ、なかなかできるな……)」スッ

倫子「……オレだ。奴はスキル持ちのようだ。……ああ、わかっている。その対処法を編み出したのは元々オレだということを忘れたのか? まあいい、そちらは頼んだぞ。エル・プサイ・コングルゥ」

萌郁「……? (誰と電話してるんだろう……まさか、FB!?)」ポチポチ 

ピロリン♪

倫子「(またメールか……『FB?』、だと? フッ、やられたらやりかえす。こちらもスルースキル発動だ)」

倫子「これが例のブツが入ったダンボールだ」

萌郁「……っ! (本物だぁ♪ やったよFB、ついに見つけたよ!(≧▽≦) )」ポチポチポチポチ 

ピロリン♪

倫子「……またメールか。『これを貸してほしいな 萌郁』」

倫子「こんなクソ重いものを1人で運ぶ気か?」

ピロリン♪

倫子「『運ぶのを手伝ってもらえたらうれしいな。いつでも身体洗ってあげるから、お願い♪ 萌郁』……」

倫子「くっ、姑息な手段を……この“姑息”が日本語として間違った使い方なのはわかっているが、この言い方がカッコイイのだ……じゃなくて!」

倫子「甘言に屈する鳳凰院凶真ではないわっ! そもそも外部への持ち出しは禁止だと言っただろう」

萌郁「…………(そうだけど、FBが! でも岡部さんもFBの命令で動いてるとしたら? うーん、私一体どうしたら(+o+) )」

倫子「それにこれは借り物だ。神社へ返さねばならん」

萌郁「……神社? (なんのこと?(・ω・) )」

倫子「元々これは柳林神社に奉納されていたもの。オレたちは一時的に借りているに過ぎないのだ」

萌郁「…………(そんなところにあったんだ!)」

234 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:10:06.04 MldcXf8vo 167/2638


萌郁「……どうしてもダメ?」

倫子「だめ」

萌郁「……お願い」

倫子「だめったらだめ」

ピロリン♪

倫子「……『そんなのずるいよー>< 萌郁』。ええい、小学生か!」

倫子「こんなことを言いたくはないがな、萌郁。IBN5100は我がラボにとってトップシークレット」

倫子「それを外に持ち出すという事は、背信、裏切り、仲間に対する最大の侮辱だ」

萌郁「…………(あっ、ご、ごめんね(T_T) )」

倫子「……だが、話せばわかるとはよく言ったものだ」

倫子「理由を言え。場合によっては力になってやらんこともないのだからな」

萌郁「ほ、ほんと……!」

倫子「当たり前だ。貴様は既にこのラボのメンバー、ラボメンなのだから」ニコッ

萌郁「……っ!(お、お姉ちゃんと呼ばせてくださいぃっ!///)」

235 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:10:44.99 MldcXf8vo 168/2638


萌郁「でも……理由は……言えない……」シュン

倫子「……そうだったな。ならば質問を変えよう。お前はコレを何に使うつもりなのだ?」

萌郁「……知らない」

倫子「使用目的を知らないだと? もしかしてコレクターに売りつけるのか?」

萌郁「…………」

倫子「黙秘は肯定と受け取るが、いいか?」

萌郁「……売りつけは、しない」

倫子「売りはしない、だと?……無償提供か」

萌郁「…………」

倫子「……それは、お前の人生にとって大事なことなのか」

萌郁「えっ……?」

萌郁「……かなり、大事……私の人生の、すべて……」

倫子「そうか……」

236 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:17:24.40 MldcXf8vo 169/2638


倫子「なあ、指圧師。お前、どうしてそんなに無口なのだ? それに珍妙なコミュニケーション方法を取るし……」

ピロリン♪

倫子「『口で話すの苦手だから 萌郁』」

倫子「……過去になにかあったのか?」

萌郁「…………」

倫子「言いたくないこと、か。だが、オレは貴女の人生を知っておきたい」

倫子「その虚ろな目に潜んだ真実を。双眸に映した世界の欺瞞を」

萌郁「…………」

倫子「いや、フェアじゃなかったな。オレが一方的に聞き出すばかりでは」

萌郁「……?」

倫子「座れ」ポンポン

萌郁「…………」スッ

倫子「……お前の口のかたさを信じて、オレの……いや、私の過去を話す」

倫子「仲間となる者にはいずれ話さなければならないことだ……」

倫子「女、岡部倫子の、人生最大の汚点にして、最悪の記憶……」

萌郁「…………」

倫子「わ、私はっ……」プルプル

倫子「……っ!」




倫子「中学の時、レイプされかけた……ッ!!」



萌郁「っ!?!?」

237 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:21:00.77 MldcXf8vo 170/2638


・・・

あれは中学2年の夏、まゆりが言葉を取り戻してすぐの頃だった。

私は浮かれていた。

まゆりと新しい関係を築けたこと、まゆりというかけがえのない友人を取り戻したことに。

あの頃、地元で私はちょっとした有名人で、岡部青果店の娘さんが美人だってウワサは町のみんなが知ってた。

学校のみんなも……

男の子たちは私に執拗にちょっかいを出すし、女の子たちは私を妬んだ。

典型的な嫌がらせを受ける毎日だった。

そんな状況で私は、自分はともかく、まゆりに害が及ぶことを極端に恐れていた。

まゆりとの本当の関係を世間に知られたくなかった私は徹底的にソレを隠すことにした。

建前としては、私がまゆりをいじめていることにした。

何かあってもまゆりだけは助かるための保険。

高校に行くまでの1年半隠し通せばいいと思っていた。

自分だけがいじめられればいいと思っていた。

238 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:22:43.94 MldcXf8vo 171/2638


そんな時、家で飼っていた柴犬が殺された。

私は悲しかったし、悔しかった。

だけど、それ以上に、これでようやく反旗を翻せるとも思った。

器物損壊罪―――

当時の私は法律に詳しくは無かったけど、“ヤツら”はついに失敗したと思った。

刑事ドラマのように鑑識が出れば科学捜査で犯人は特定され、“ヤツら”は少年院送りになると確信した。

勝ったのだと。これで長きに渡る戦いに終止符が打たれ、私の人生は変わるのだと信じたかった。

その日のうちに近所の交番に駆け込んだ。

そこには毎日挨拶をする程度には顔を見知ったお巡りさ……警察官の青年が居た。

××××。当時27歳。顔も名前も一生忘れることはないその男。

私は彼に事情を話すと、奥の部屋に居たもう一人の警官に私の家に行くよう命じた上で、私から話を聞くと言って私を奥の部屋へと連れ込んだ。

239 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:25:50.82 MldcXf8vo 172/2638


その部屋はとても狭かった。

彼はまず部屋の鍵を閉めた。内側から鍵をかけられる構造だった……防犯上の理由だろう。

それで、私が事件のあらましについて説明しようとしたところでハンカチを口に当てられた。

クロロホルム。私は激しい頭痛に襲われ、気が動転した上に身動きが取れなくなった。

あっという間に私の手足は机に拘束され、猿ぐつわを咬まされ、机の上にあおむけに寝そべる形になった。

拳銃が机の上に無造作に投げ出された。余計な真似をしたら殺すと言わんばかりだった。

……それこそ、まるでマッドサイエンティストの人体実験のようだと幼ながらに思った。

身体をまさぐられた。とにかくおぞましかった。気持ち悪かった。

怖かった。死を覚悟した。

そいつは行為に及びながら、お前が悪いんだなんだと、全部私の容姿のせいにしてきた。ふざけた話だ。

結局犬を殺したのもそいつだった。

犬を殺されたら自分を頼るくらいの信頼を築くために、日ごろから私に紳士的に接してきたのもそいつの作戦だったってわけだ。

丸裸にされて写真を撮られた。写真で私を脅すつもりだったらしい。

だけど、性交に至るすんでのところでもう一人の警官が帰って来て事件が発覚することになった。

一応警察に助けられた形にはなったが……そもそも私は裏切られた。

国家に。権力に。そして……親しみをもって接してきた大人に。

私が信じた正義なんてものは、初めから世界に存在しなかった。

240 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:27:30.64 MldcXf8vo 173/2638


そいつは捕まった。当時新聞やテレビで結構報道されたから、少し調べれば事件が出てくると思う。

事件は解決したことになった。学校でのいじめも一旦は止んだ。だが……

この忌々しい記憶は私が死ぬまで脳内に残り続ける。

世界に正義など無い。世界は敵意で満ち溢れている。

裏切りと、暴力と、死―――

真に信じられるのは、この世で唯一まゆりだけだった。

私は……オレは、自分の力だけで、自分自身も、まゆりのことも、すべてを守らなければならないのだと悟った。

それが世界の理なのだと理解した。

だからオレは……まゆりを抱きしめた時には既に心の中で生まれていた“鳳凰院凶真”を、この世に顕現させる決意をした。

まあ、こんな事件が無かったとしても高校デビューと同時に鳳凰院凶真を開花させるつもりではあったが……

不死鳥<フェニックス>の鳳凰に、院。凶悪なる真実と書いて、“鳳凰院凶真”。

女の子らしさがなんだ。まともな人間である必要がどこにある。

平和だの日常だのというのは気狂いの妄言であり、“機関”の陰謀なのだ。

欺瞞の仮面を取り去り、かき乱してやりたい。カオスにしてやりたい。

世界は―――常にオレたちを陥れようとしているのだから。

・・・

241 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:29:36.34 MldcXf8vo 174/2638


萌郁「…………」

倫子「これがオレの過去だ。このことはまだ、まゆりとダルしか知らないけどな」

萌郁「……岡部、さん。その……(こんな時、なんて言えばいいの……)」

倫子「……ふぅーはははっ! 封印されし真実<サンゲタル>を知ってしまったからには貴様はもはや引き返せんっ!」

倫子「さあ、悪魔の取引だ。貴様の過去をすべて吐き出すがよいっ!」

倫子「そして我がラボのために働けっ! その身を捧げ―――」

萌郁「」ダキッ

倫子「ふおわっ!? きゅ、急になにをする!」ドキドキ

萌郁「……貴女は、強いひと」ギュッ

倫子「……何を知れたことを」プルプル

242 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:30:52.42 MldcXf8vo 175/2638

未来ガジェット研究所の入口前


鈴羽「(な、な、な、なんだってーーー!?!?!?!?!?!?)」

鈴羽「(あのSERNの犬【※鈴羽の妄想】であるストーカー女が分厚い面<ツラ>してラボに入っていくもんだから玄関扉に貼りついて聞き耳を立ててたら……)

鈴羽「(ワルキューレの女騎士にそんな想像を絶する過去があったなんて……許せない……ッ!!)」

鈴羽「(……待てよ、あたしが過去へ行ってその男、××××を殺害すればっ!!)」

鈴羽「(仮に収束で殺せないとしても、陰部を切断するとか、産まれる前に母親を殺すとか、他にも色々試せばいいっ!!)

鈴羽「(あたしが……あたしが過去へ行って、レジェンドを救う!!)」

鈴羽「(IBN5100はこの世界線で既に手に入ってるけど……あたしは過去に行ってやらなきゃいけないっ!!)」



鈴羽「待っててね、鳳凰院凶真! あたしが貴女を必ず救うからっ!!」ダッ

243 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:32:25.65 MldcXf8vo 176/2638

未来ガジェット研究所
談話室


萌郁「…………」

倫子「…………」

萌郁「…………」

倫子「(もうかれこれ5分は抱き合ったままだ……体感では30分くらいに感じる……)」

萌郁「……昔」

倫子「……うむ」

萌郁「……昔、何もかも嫌になって……生きてる意味がわからなくなって……」

萌郁「死のうって思ったとき……1通のメールが来て……親身になって話を聞いてくれて……」

萌郁「メールでなら……人と話しやすいことに気付いて……」

244 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:34:06.81 MldcXf8vo 177/2638


萌郁「私……いらない子だって、ずっと言われ続けて……ずっとずっと……」

萌郁「だから、本当に自分はいらない子なんだぁって、ずっとずっと思ってて……」

萌郁「そう思うことで、私、安心して……」

萌郁「だって、いらない子の私なら……誰も私を見ない……」

萌郁「誰も私に期待しない……誰も私に失望しない……だから……私……」

倫子「……お前の目を見た時から、オレはお前のことを放っておけなかった。その理由が今わかった」

倫子「だが、もう諦めろ。貴様の能力はオレに期待されている」

萌郁「…………」グスッ

倫子「ラボは既にお前の居場所だ。いつでもここに遊びに来い」

倫子「オレへのメールの連投は勘弁してほしいが……まあ、話し相手くらいにはなってやろう」

萌郁「うれ……しい……」

倫子「だが、IBN5100については少し待ってほしい」

倫子「ダルに使い方をマスターさせ、SERNの陰謀を暴いてから、ルカパパに頼んで萌郁に貸すよう頼んでみる」

萌郁「少しって、どれくらい……」

倫子「そうだな……ダルなら2週間もあれば大丈夫だろう」

萌郁「わかった……それまで、待つ……」

245 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:35:19.77 MldcXf8vo 178/2638


ダル「グーテンモルゲン。おぉ~桐生氏がラボに来てるとは。いらっしゃいなのだぜ」

萌郁「お邪魔……してます……」

ダル「そうそう、電話レンジだけどさ、ちょっと改良しようと思うんだよね」

ダル「もっと簡単な手順でDメールを過去に送れるようにして、専用ケータイからの転送も可能にしようかと」

倫子「わかった。手伝おう」スッ↑

倫子「(ここでクールにハイタッチを決めることで、オレたちがいかに“出来る”名コンビかを萌郁に知らしめてやろう!)」

ダル「……んお? 虫でも居たん?」

倫子「……なんでもないっ///」スッ↓

萌郁「(かわいい)」

246 : ◆/CNkusgt9A - 2015/10/27 22:37:00.30 MldcXf8vo 179/2638


ピロリン♪

倫子「ん? 指圧師か。『今、“メールを過去に送る”って話してたよね? どういうこと? 教えて! 萌郁』」

倫子「フフッ。逆に問おう。なんだと思う?」

まゆり「トゥットゥルー♪ あのね、タイムマシン実験をする前にまゆしぃのから揚げを……」

萌郁「タイムマシン……(ホントにタイムマシンを作ってるんだ! すっごーい!(゜o゜) )」

倫子「まゆりっ! 台無しだぁ!」

倫子「まあ良い……我がラボはタイムマシン研究をしていると言っただろう。やはり、俄かには信じられんようだなぁ」ククク

倫子「(ああ、助手のひんまがった解釈ではなく、素直な好奇心を寄せられることはこんなにも優越感に浸れるものなのだな……)」ツヤツヤ

まゆり「わぁー萌郁さんだー! 来てくれたんだねー」ダキッ

萌郁「……! (胸に、椎名さんの顔が……///)」

まゆり「うほほーっ、萌郁さんおっきいねぇ~」スリスリ

ダル「お、大きいのは身長ではなくて、おっ、おっ、おっp」

倫子「黙れHENTAI! まゆりも指圧師が困っているからやめろ」

まゆり「あっ、ごめんね萌郁さん……」

萌郁「……いい(ちょっとドキドキしちゃった♪ 若いっていいなー)」

倫子「早速だがラボメンナンバー005、桐生萌郁に任務を与える……」

倫子「今後行う実験におけるメールの文面を考え、送信することっ! 機関に気付かれぬよう慎重になっ!」ニコッ


258 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:30:21.17 gZBHMClko 180/2638


倫子「震えよ、我が右腕……。契約に基づき命じる、漆黒の獄炎を纏いて、我が望み、すなわち破壊の衝動を満たせッ!」

バキッ(電子レンジの扉が外れる音)

ダル「(キャラ作り云々の前にオカリンって厨二なんだよな……)」

紅莉栖「それじゃ、実験再開ね」

まゆり「でも、店長さんに怒られないかなー」

倫子「……オレがブラウン管工房へ交渉に行ってこよう。一応、振動対策をしたことも伝えねばなるまい」

萌郁「だい……じょうぶ……?」

倫子「案ずるな。オレもミスターブラウンもこのビルに愛着を持っていることには変わらん。話せばわかるさ」フッ

紅莉栖「(たまにかっこつけたがるわよね、岡部って)かわいい」

ダル「牧瀬氏、逆逆」

259 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:31:55.11 gZBHMClko 181/2638

大檜山ビル前


倫子「バイト戦士よ。仕事をサボってケータイいじりとは、いい身分だな」

鈴羽「えっ……うわぁ!? 鳳凰院凶真っ!?」

倫子「何をそんなに慌てている……何か調べ物か?」

鈴羽「う、うん。ちょっと昔の事件をね」アセッ

倫子「事件?」

鈴羽「ななな、なんでもないよ!! 過去に跳んだ時に殺す人間を調べてたとかじゃないから!! ホントだよ!!」アタフタ

倫子「(こいつホントに秘密を隠すのが下手だな……)」

260 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:33:17.32 gZBHMClko 182/2638


鈴羽「それより店長に用事? 今は居ないよ。ね、綯!」

「こ、こんにちは」ペコリ

倫子「ゲッ、小動物……居たのか」

鈴羽「ん? 鳳凰院凶真って、子ども苦手なの?」

倫子「い、いや、そういうわけではないが……」

「その……凶真、おねえちゃん……また、遊んでほしいな……」モジモジ

鈴羽「なぁんだ、人気あるじゃん」

倫子「うむ……こいつに好かれるのは別に構わん」

倫子「いや、本当は狂気のマッドサイエンティストが幼女と仲良く遊んでいるのはイメージダウンなんだが……」

鈴羽「そんな理由?」

倫子「……この子と一緒に遊ぶとオレの身体に生傷が絶えない」

鈴羽「へ?」

倫子「ごっこ遊びを越えて、もはや格ゲーなのだ、こいつの機動力は……」ハァ

鈴羽「へー、そうなんだ! 綯、あたしも格闘技好きだよ! 今度一緒に遊ぼう!」

「えぇー……鈴羽おねえちゃんはちょっと……」

261 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:34:32.15 gZBHMClko 183/2638

未来ガジェット研究所


倫子「今店長は留守だそうだ。思う存分実験ができるぞ、よかったなお前達」

ダル「ま、なんかあっても過去を変える実験に成功すれば問題ナッシング! 実験した過去を変えちゃえばいいだけだし」

萌郁「メールは……任せて……」

倫子「"過去を変える"……ククク、いよいよこの日が来たようだな」

まゆり「オカリン楽しそうだねー」

倫子「今日の実験では、作戦を第2段階へと進める。……すなわちッ! 『過去を変える』ッ!!!!!!」ガバッ

ダル「それ僕がさっき言ったわけだが」

倫子「…………」ウルッ

紅莉栖「(かわいい)」

ダル「(かわいい)」

萌郁「(かわいい)」

倫子「……まぁいい。それと助手、いいのか? てっきりお前なら反論してくると思ったのだが」

紅莉栖「……えっ。ひゃぁ!? えっと、ごめん、岡部の笑顔と泣き顔に見惚れてて話聞いてなかった……」

倫子「さすがにちょっと引くぞ……」

262 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:37:13.76 gZBHMClko 184/2638

倫子「宝くじを当てる」ドヤァ

ダル「大賛成」

まゆり「おくまんちょーじゃだねー♪」

萌郁「……」ポチポチ

ピロリン♪

倫子「『成功したらすごいことになるね(≧▽≦)』……指圧師も楽しみか。そうかそうか」フフッ

紅莉栖「阿万音さんの言う多世界解釈なら確かにバタフライ効果が起こってもパラドックスは起きないけど……ブツブツ」

ダル「やってみなきゃわからんっしょ」

倫子「助手よ、実は試してみたくてうずうずしているのだろう?」

倫子「欲望に忠実に実験する。実にマッドではないかぁ!」

紅莉栖「欲望に忠実……(*´Д`)ハァハァ」

倫子「……なぁダル。助手はどうしてしまったのだ?」ヒソヒソ

ダル「たぶん、ここに来る前に阿万音氏にまたボロクソ言われて心が壊れちゃったんだと思われ」

倫子「……一度脳内走査してもらったほうがいいかもな」

263 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:38:13.04 gZBHMClko 185/2638


ダル「ほい、ロト6の過去の当選番号出たお。1等は……ちょっ、2億とか!」

倫子「え、に、2億!? いや、待て、1等はマズイ!」アタフタ

紅莉栖「さ、さすがに2億は……ビビっちゃうわよね」

倫子「だ、誰がビビりだとぉ!? そうではなくだな……ほ、ほら! 目立ってしまうだろう!?」

倫子「ただでさえSERNや機関に我がラボは狙われているのだ、そこに2億当選しようものなら……たとえこの鳳凰院凶真でも、お前たちを守り切れるかどうか……」フッ

紅莉栖「必死すぎワロタ(かわいい)」

ダル「ん? 牧瀬氏いま……」

倫子「まさか、@ちゃん……?」

紅莉栖「へ?……ハッ。と、ともかく、2億は無理! 過去改変リスクが大きすぎるっ!」アタフタ

倫子「一理あるな。では、3等の70万にしよう」

紅莉栖「ほっ」

264 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:39:19.49 gZBHMClko 186/2638


紅莉栖「送り先は1週間前、170#でセットしましょ」

萌郁「『021219343537 ロト6で買え 絶対当たる!』……これで、いい?」

倫子「うむ、いい感じだぞ、萌郁」ナデナデ

萌郁「……///」

まゆり「なんだかとってもうさんくさいねー♪」フミッ

萌郁「……!? (椎名さんが私の足を踏んで来た!?><。 )」

ダル「じゃ、レンジ起動させるぜよ!」

倫子「では、送信するぞ……ッ!」

紅莉栖「どきどき……」

まゆり「わくわく……」

倫子「エル・プサイ・コングルゥ……ッ!!」

265 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:39:56.21 gZBHMClko 187/2638


―――――――――――――――――――
    0.52074  →  0.51015
―――――――――――――――――――

266 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:41:02.77 gZBHMClko 188/2638


倫子「……っ。なんだこの目眩は……気持ち悪い……」

まゆり「オカリン、どうかした?」

倫子「……ハッ。まゆりか。いや、なんでもない。心配するな」

まゆり「だいじょーぶー?」

ダル「も、もしかして、お、お、お、女の子の日的なアレですかわかりません!」

倫子「まゆり、ハサミを持ってこいっ!」

まゆり「ちょっきんちょっきんだよー♪」

ダル「うほっ」キュッ

267 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:45:18.05 gZBHMClko 189/2638


倫子「あ、あれ? 電話レンジ(仮)が止まってる……? それにセレセブよ、いつの間にソファーにテレポートしたのだ?」

紅莉栖「私に異能属性を付け加えるのはやめて? あとセレセブ呼び、唐突すぎだろ」

倫子「そういえば、メールはどうなった?」

ピッピッピッ

倫子「……受信されている。1週間前、あの内容の文章。なぜか送信履歴は無いが……」

倫子「ロト6は当たったのか?」

まゆり「えー、なんのことー?」

紅莉栖「岡部、さっきからどうしたの? ぽんぽん痛いの?」

萌郁「……(どうしたのかな(・・? )」

倫子「ダル、オレはたった今、ロト6の当たり番号を電話レンジ(仮)で送った。そうだな?」

ダル「おぉ、その発想はなかったわ。今すぐ実験すべきだろJK! うっひょう!」

倫子「何なのだ、これは……どうすればいいのだ?!」ブルブル

268 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:46:02.68 gZBHMClko 190/2638


ガチャ

るか「あ、あの、こんにちは……」

まゆり「あ、るかくんだー。いらっしゃーい♪」

るか「あの、おか……凶真さんに、謝らないといけないことが……」

倫子「オレに?……って、それはロト6の券! お前、これをどこで!?」ガシッ

るか「は、はわっ!? 凶真さんに、手を握られると、ボク、ボク……」ドキドキ

ダル「おお、百合劇場ハジマタ? あ、いや、ノンケか……でも僕は大歓迎だお!」

紅莉栖「ん?」

倫子「教えてくれ、ルカ子。そのロト6の券はどこで手に入れたっ!?」

るか「え……あの、ボク、1週間前に凶真さんに数字を教えてもらって……」

倫子「オレが?……ククク、なるほど。そうか、そうかぁ! そういうことかぁ!!」ニヤリ

倫子「過去を変える実験……成功すれば、当然過去が変わる。それはつまり、"現在"も変わるということ!!」

倫子「だがどうしてお前達ラボメンは覚えていない? 先ほどのDメール送信実験を」

紅莉栖「えっと……いつもの設定、ってわけじゃなさそうね」

倫子「……オレを、疑うのか」ウルッ

紅莉栖「う、疑えない」グッ

269 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:47:07.45 gZBHMClko 191/2638


ダル「ってかいくら当たったん!? 僕たち億万長者!?」

るか「ごめんなさい、数字を1個、間違えて記入しちゃって……」

倫子「当選金は70万ではなく5000円か……まあ、金額は問題じゃない。実験は成功した」

紅莉栖「……実験、やっぱりしたのね。私たちの記憶にはないけれど」

倫子「そうだ、そこなんだ。どうしてオレだけがあの実験の記憶がある?」

倫子「そりゃ、過去が変われば現在が変わるというのはわかる。宝くじDメールを受信したために、宝くじDメール実験をしなくなったというバタフライ効果も、まあわからなくはない」

倫子「だが……どうしてオレとお前たちの間に記憶の齟齬がある? まるでオレだけ機関に洗脳されたような……」

バーン!!

鈴羽「洗脳ッ!? 目を見せてッ!!」

クパァ!!

倫子「きゃぁ!? いたたたっ!? 目がっ、目があああああっ!!」

紅莉栖「ちょ、阿万音さん!?」

ダル「眼姦はさすがにレベル高杉だお……」

鈴羽「……大丈夫。洗脳チップは挿入されてない」ホッ

270 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:48:24.03 gZBHMClko 192/2638


紅莉栖「突然飛び込んできてあんた何してんのよ!? バカなの!? 電波なのぉ!?」

鈴羽「ッ!? 本性を現したか、牧瀬紅莉栖ッ!!」キッ

倫子「うぇいうぇい! やるなら外でやれバカモノどもがっ!!」

鈴羽「レジェンド、どいて! そいつ殺せない!」

ダル「伝説の元祖ヤンデレ台詞ktkr! いいよぉ、もっと愛が激しくてもいいんだぜ?」

倫子紅莉栖「「黙れHENTAI!」」

ダル「HENTAIじゃないよ! HENTAI紳士だよッ!!」

るか「な、なにがどうなって……」

萌郁「……(カオスだなー(+_+) )」

まゆり「もう、喧嘩はめっ、だよー?」

271 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:49:36.79 gZBHMClko 193/2638


倫子「(鈴羽に、『それ以上我が助手をいじめるようならお前とは二度と口をきかん』と伝えたら泣きじゃくりながら土下座してきたので一件落着した)」

紅莉栖「腑に落ちないわけだが」

倫子「そんなことより、どうしてタイムマシン実験の成功を誰も記憶していないのだ?」

るか「えっ、タ、タイムマシン?」

鈴羽「やっぱり、成功したんだね。レジェンドならタイムトラベルをやり遂げると信じてたよ」グスッ

倫子「……そうか、悩む必要など無かった。おい、自称未来人、この現象について説明しろ」

鈴羽「ふぇ?」

倫子「ふぇ? ではない。お前が本当にジョン・タイターなら説明できるだろう?」

鈴羽「だからさー、あたしはジョン・タイターじゃないって言ってるじゃん」

倫子「……お前も萌郁と同じでメールじゃないと連絡しないクチか」

萌郁「……(えっ、同類!?(/・ω・)/ )」

鈴羽「違うってばー!」

ガシッ!

天王寺「何が違うんだ、バイトォ。42型つけっぱなしの上、店ほっぽらかしてよぉ、あぁん?」ゴゴゴ

鈴羽「……失敗した失敗した」ブツブツ

るか「あ、あの、あの人、担がれていっちゃいましたけど……」

倫子「(ホントに何がしたいんだ鈴羽は……)」

272 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:51:38.66 gZBHMClko 194/2638


倫子「鈴羽が店長に連れ去られた後、まゆりとダルはメイクイーンに、ルカ子は謝り倒した挙句帰宅、萌郁は無言で退室……なんだかんだで助手と2人きりになってしまった」

紅莉栖「……なに? 私を追い出したいの?」

倫子「どうせ友達もいないし、ホテルに帰っても独りぼっちだからこの鳳凰院凶真に構ってほしいのだろう?」フッ

紅莉栖「半分正解だけど、半分不正解」

倫子「なに?」

紅莉栖「あんた、今元気無さそうな顔してる。悩みがあるなら聞いてあげようと思って」

倫子「ふん、セレセブに気遣われる鳳凰院凶真ではないわ」

紅莉栖「そっ。ならいいけど。……でも、側に居させて。女同士だし、別にいいでしょ」

倫子「お前の場合危機を感じるのだが……」

紅莉栖「わ、私は見境なく襲ったりするレズじゃないっ!! 鳳凰院ちゃんはお友達だからぁっ!!」

倫子「ちゃん付けするなぁ!」

273 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:52:56.47 gZBHMClko 195/2638


倫子「お前には悪いが、これから自称未来人にメールで相談しなければならない」

紅莉栖「……そうだったわね。全く、あの足の生えた爆竹みたいな人、なんとかならないかしら」

倫子「もしかしてクリスティーナよ、下で鈴羽に会いたくないから18時過ぎまでここに居ようとしているのか?」

紅莉栖「……正直、それもある」

倫子「……早いうちになんとかしなければな」ポチポチ

紅莉栖「それで、なんて聞くの?」



 ……過去が改変されたら、世界線は変わってしまうのですか?

 出来事が"なかったこと"になっていたのですが、他にも影響はありますか?……



紅莉栖「そんなこと言ってたわね……。あの人に解決できるかしら」

倫子「やつも今バイト中だ、18時を過ぎないと返事が来ないかもな」ピッ

274 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:54:02.34 gZBHMClko 196/2638


・・・


倫子「…………」

紅莉栖「恋する乙女が、好きな相手からのメールを待ってるみたい」フフッ

倫子「……クリスティーナ、嫉妬深いのはあまりよくないぞ」

紅莉栖「私だって結構活躍してると思うんだけど?」

倫子「あー、うん。そうだな。助手のおかげでここまでこれたのは事実だ。リスペクトしている」

紅莉栖「名前すらまともに呼んだことないくせに、よく言う……」

倫子「それについては済まないと思っている」

紅莉栖「えっ……えっ!?!?(まさか、名前で呼んでくれるの!?)」キラキラ

倫子「紅莉栖……と呼べばお前がつけあがることは火を見るよりも明らかだからな。すまないが、耐えてくれ」

紅莉栖「(身から出た錆でござった……orz)」

275 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 00:57:50.05 gZBHMClko 197/2638


ppppp


倫子「きゃっ……メールか。『状況を詳しく教えてほしい……』、そりゃそうか。よし……」ポチポチポチ

紅莉栖「まだ16時半じゃない……バイト中ね」

倫子「おそらくミスターブラウンが出掛けたのだろう」

紅莉栖「……あんな人の言う事、ネットでもリアルでも信じたくないけど」


ppppp


 ……あなたが過去へ送ったメールによって世界線変動率(ダイバージェンス)は僅かながら変わった筈
 ……唯一分からない点は、あなたには過去改変前の記憶が存在しているという事です


倫子「なんだ? まだ俺のこと、洗脳されてると思ってるのか?」

紅莉栖「そうじゃないと思う。世界が塗り替えられたなら、岡部の記憶も改変されてなくちゃおかしいってこと」

倫子「あ、そうか……」

276 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 01:02:11.48 gZBHMClko 198/2638


倫子「(その後、タイターから様々な説明を受けた。アトラクタフィールド理論はよくわからなかったが……)」

倫子「ますますわからん。オレに特別な能力<チカラ>があるとでも言うのか?」

紅莉栖「そんなわけない……岡部は、私にとっては特別だけど、なにも全人類にとって特別じゃない。うぬぼれんな」

倫子「う、うぬぼれてなどないっ! そりゃ、異能の一つや二つ、この鳳凰院凶真が持っていてもおかしくはないがなぁ?」ニヤニヤ

紅莉栖「……私は、あんたと対等な友達で居たいわ」

倫子「この黄昏時に何をたそがれているのだ、クリスティーナよ。たとえ禁忌の力を得ようとも、オレはオレだ」

紅莉栖「うん……そうだよね……」


ppppp


 ……もしかすると、キョーマはその稀にしか存在しない収束観測の力を有している可能性が有ります
 あなたならば世界を導く事が出来るかも知れません
 世界線変動率1%の向こう側へ
 アトラクタフィールドと呼ばれる壁の向こう側へ


倫子「な、なんだこれは? タイターが突然電波ゆんゆんになったぞ」

紅莉栖「ふむん……もっと情報を聞き出して」

277 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 01:04:57.41 gZBHMClko 199/2638


ppppp


 その先に待つのは、真の自由です
 逆に言うと、その壁を超えられなければ未来は変わらずディストピアとなる
 私の目的は、未来を変える事なのです
 そしてそれを可能にするのは、あなたなのかも知れない


紅莉栖「しらじらしいわね……未来から来たなら、岡部に力があることくらい知ってるくせに……」

倫子「たしかに……」


ppppp


 私はキョーマに、救世主、ワルキューレの女騎士になって欲しい。


倫子「わけがわからん……これが、鈴羽が未来から過去へ来た理由だと言うのか?」

紅莉栖「……前から気になってたんだけど、タイターの言う『ワルキューレの女騎士』って二つ名、いかにも岡部っぽいのよね」

倫子「オレが北欧神話好きだからといって短絡的すぎるぞ」

紅莉栖「今だって『狂気のマッドサイエンティスト』って名乗ってるでしょ? 狂気とマッドで意味がかぶってる」

倫子「う、うるさいなぁ! 語感がすべてなのっ! じゃなくて、なのだっ!」

紅莉栖「ワルキューレって女性なのに、わざわざ女騎士って言っちゃってるところなんかそっくりなネーミング」

倫子「う……確かにちょっとかっこいいと思うが……」

278 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/13 01:07:39.78 gZBHMClko 200/2638


倫子「すると何か。オレは将来的に自称を変えて、それを未来で生まれた鈴羽が知っていて、それを過去に来てオレに伝えた、ということか?……因果がループしているぞ」

紅莉栖「していない。多世界解釈、じゃなかった、そのアトラクタフィールド理論とかいう都合のいい話が本当ならだけど」

倫子「むむむ……だが、一つだけ納得できない」

紅莉栖「そうよね。納得できないことばっかr」

倫子「オレはぁ! 世界の支配構造を破壊し、混沌に陥れる、狂気のマッドサイエンティストだぁ!」

紅莉栖「お、おう」

倫子「そのオレがメシアだとぉ? ヴァルキュリアだとぉ? フッ、笑わせてくれる」

倫子「権力の破壊の後に始まるのは、秩序なき混乱っ! その中心に立つ存在こそ、このオレ、鳳凰院凶真だっ! フゥーハハハ!」

紅莉栖「まったく、どうしてこんなにかわいいダークヒーローに育っちゃったんだか」フフッ

倫子「か、かわいいは余計だっ!」

285 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 22:48:32.11 Sqs4Tgixo 201/2638

第4章 夢幻のホメオスタシス♀


ダル「ただいまんこ~。あれ、牧瀬氏まだ居たん?」

倫子「ダル、ちょうどいいところに。これより、"過去を司る女神作戦<オペレーション・ウルド>"を再開するっ!」パァッ

倫子「お前たちにも過去を変えるメールを送ってもらうぞ」フフッ

ダル「マジで? 下に店長まだ居るけど」

紅莉栖「夜は電話レンジ、カッコカリ、が作動しないはずでしょ」

倫子「無論、その検証も兼ねている」

倫子「(記憶継続現象が本当にオレだけに発現しているものか否かを確かめなければ……)」

倫子「(1週間前のあの現象――ドクター中鉢の記者会見や、2000年に現れたタイターの記憶が世界中から消えていた現象――も説明がつくかも知れない)」

倫子「(それはつまり、オレに特殊能力――"リーディング・シュタイナー"――があるやもしれぬということ……ふふふ)」ニヤニヤ

ダル「オカリン、にやついてるけど何かあったん?」

紅莉栖「特殊能力に目覚めそうなんだと」

ダル「あー、そういや高校の時、指ぬきグローブ集めたり、ノートに詠唱呪文書いてたりしたな……」

286 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 22:54:23.64 Sqs4Tgixo 202/2638


倫子「で、過去をどう変えるか、決まったか?」

紅莉栖「……私、今日は帰るね。実験結果は明日教えて。じゃ」クルッ

倫子「逃げるのか」

紅莉栖「え……はぁ!?」

ダル「突然どしたんオカリン」

倫子「ここまで来てまだタイムマシンから逃げるのかと聞いている」

倫子「愛憎相反する気持ちを同時に持ち合わせているようだが、トラウマは克服しなければいつまでも苦しめられることになるぞ」

紅莉栖「……あんたが私のためを思って言ってくれてるのはわかる。けど、けど……」

ダル「な、何の話?」

倫子「安心しろ。過去改変は一度無事に行われた。天才少女なら問題なく実行できるはずだ」

紅莉栖「……もし、私が記憶を失ったら?」

倫子「その時はオレが覚えていてやる。そしてお前に思い出させてやる」

紅莉栖「おかべぇ……///」トゥンク

紅莉栖「で、でも、そんなの、無責任で非科学的よ!」

倫子「そうだな……すまない」シュン

紅莉栖「……考えるだけ考えてみる」

287 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 22:55:43.97 Sqs4Tgixo 203/2638


紅莉栖「…………」

ダル「牧瀬氏が長考に入ったっぽいから、僕の過去から変えてもおk?」

倫子「ああ、いいぞ。どんな内容だ?」

ダル「こないだのフェイリス杯の話だけど、フェイリスたんに雷ネットABでどうしても勝ちたいんだよね」

倫子「む? フェイリス株を上げたいなら負けてあげた方がいいのではないか?」

ダル「いやあ、優勝賞品のオカリン写真集の副賞のフェイリスたんの手料理が食べたくて……おっといっけね」

倫子「おいまてコラ」

紅莉栖「橋田、今なんて言った!?!?」キラキラ

倫子「お、おい、やめろ! そこに食いつくなぁ!」

ダル「うっかり口が滑ってしまったのだぜテヘペロ☆」

288 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 22:57:20.73 Sqs4Tgixo 204/2638


prrrrrr ピッ

フェイリス『凶真ァ! 凶真から電話くれるニャんて、フェイリス嬉しいニャ♪』

倫子「この間のフェイリス杯での優勝賞品の件なんだが」

フェイリス『……ハニャ~ン? ニャんのことかニャ? フェイリス、全然わからないニャ! それじゃ』ピッ

倫子「……黒だな」

紅莉栖「岡部写真集についてkwsk!」

ダル「えっと、小学生の頃から今に至るまでのベストショット100選を収めたコレクター垂涎の一品だお」

ダル「まあ僕は3年間ずっとリアルオカリンの隣で萌え成分を吸収してきたから、それよりも副賞のフェイリスたんの手料理が食べたいわけだが」ドヤァ

紅莉栖「このデブ、羨ましすぎる……」ギギギ

倫子「ツッコミどころが多すぎるぞ……」

倫子「まず、どうしてそんなものをフェイリスが持っている? それに、まるでオレ関連グッズが市場に出回ってるような言い方ではないか」

ダル「アウトローだから元締めの許可がないと参加できないマーケットだお」

紅莉栖「フェイリスさんにお近づきにならなきゃ……!」

倫子「支配構造を破壊してやるぅ!! うわぁん!!」

289 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:00:44.47 Sqs4Tgixo 205/2638


紅莉栖「なんとしても橋田をフェイリスさんに勝たせるわよ……ウフフ」ジュルリ

倫子「なんとしてもダルをフェイリスに勝たせなければ……」ゴゴゴ

ダル「おうふ……2人とも僕よりやる気満々になっちゃったお」

倫子「早く準備をしろ、ダル!」

ダル「あいあいさー! 『フェイリス杯 敵の配置は VL V VL VLL』、これでバッチリだお!」

倫子「よしっ、早速送信だっ!」

バチバチバチッ……

倫子「ヒッ……この放電現象が出たという事は……"現在"が、変わっていない?」

ダル「過去、変わった?」

倫子「ちょっと待て! ダルも覚えているんだな?」

ダル「は? なにを」

倫子「今Dメールを送ったことをだぁ!」

紅莉栖「覚えてるに決まって……あ、そうか。過去が変わったなら、この記憶があるのはおかしい」

ダル「……僕がフェイリスたんに勝った記憶はないお。ショボーン」

紅莉栖「結局フェイリスさんのストラテジーのほうが一枚上手だった、ってことね」

倫子「ぐぬぬ……これではオレのプライバシーが守られないではないかぁ!」

290 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:02:07.48 Sqs4Tgixo 206/2638


ダル「僕が勝つまで何度でも試すお!」

紅莉栖「必勝法なんて本当にあるのかしら……」

倫子「ん、待てよ? 別にダルが勝つ必要はないんじゃ……」

倫子「過去のオレに『フェイリス杯 優勝賞品は オレの写真』と送るだけであの時のオレは探りを入れるはず……ッ!」

倫子「もちろん送信先は、萌郁をラボメンに加えたタイミングだっ! そのままフェイリスを問いただせばいい!」

倫子「(本当はダルの過去を変える実験をしたかったが、この際背に腹は代えられぬ!)」

紅莉栖「でもフェイリス杯やってる時、私と岡部はIBN5100を神社から運んでたのよね……」

ダル「じゃ、それ送ってみるお」

倫子「ああ、よろしく頼む」

ダル「ポチっとな」

291 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:02:35.12 Sqs4Tgixo 207/2638


―――――――――――――――――――
    0.51015  →  0.50329
―――――――――――――――――――

292 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:04:51.79 Sqs4Tgixo 208/2638


倫子「(ぐっ……またこの気持ち悪さか。だがこれはつまり、成功した、ということか?)」

紅莉栖「だ、だいじょうぶ? 突然具合悪そうにして……救急車呼ぶ?」

倫子「……もう大丈夫だ。頭痛も治まった」

紅莉栖「で、でも……脳疾患系だったら緊急の可能性もあるし……」

倫子「心配しすぎだ。ラボメンを置いて鳳凰院凶真が倒れるわけないだろう」

ダル「それで、どう? 過去変わった?」

倫子「なにっ? やはり失敗したか。この目眩は成功とは関係ないのか……?」

ダル「失敗かー。どうあがいても僕はフェイリスたんに勝てないのかお! ふざくんな!」

倫子「……む? 今のDメールはフェイリスに勝つためのメールではなかったはずだが」

紅莉栖「えっと、岡部の記憶ではどんなメールを送ったことになってるの?」

倫子「なんだと……? これは、ひょっとするとひょっとして……」

293 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:05:49.92 Sqs4Tgixo 209/2638


prrrr ピッ

フェイリス『凶真ァ! 凶真から電話くれるニャんて、フェイリス嬉しいニャ♪』

倫子「さっきも電話しただろう?」

フェイリス『ハニャ? ニャんのことかニャ?』

倫子「(やはり過去が変わっている……?)」

倫子「まあいい。それで、フェイリス杯の優勝賞品についてなんだが」

フェイリス『あ、あれは本当に悪かったニャ~。凶真ァ、そろそろ許してほしいニャ!』

倫子「……オレはお前から写真集を取り上げた、そうだな?」

フェイリス『黒服たちに頼んで10年かけて集めた至高の一品だったのにぃ……』

倫子「10年前からお前はオレのことをストーカーしていたのか。軽く衝撃の真実だな、引くぞ」

フェイリス『ニ゛ャーッ!? 凶真ァ、なんでもするから嫌いにならないで欲しいニャ! 前世より課された天命に従わされてしまったせいなのニャ!』

倫子「盗撮を棚に上げて何を……というか、そんなものをなぜ賞品にした」

フェイリス『もっちろん誰にも譲る気はなかったニャ! 事実、フェイリス杯はフェイリスの優勝だったのニャ!』

倫子「(ダルは勝てなかった……ここは変わっていないのか)」

294 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:06:58.94 Sqs4Tgixo 210/2638


倫子「(その後、過去改変が成功した旨を紅莉栖とダルに説明した)」

紅莉栖「ってことは、今写真集は岡部の手元にあるのね!? どこ!? どこにあるのぉ!?」ハァハァ

倫子「ええい、うっとおしい! というか、このオレにはそんな記憶はないのだ。わかるわけないだろ」

紅莉栖「忘れない能力っていうか、それ、思い出せない能力なんじゃないの? つっかえないわねー」

倫子「ぐぅっ!!」グサッ

ダル「牧瀬氏、容赦ねえっす」

倫子「言うようになったではないかぁ、助手ぅ……ククク」

紅莉栖「いつまでも下手に出てる私じゃないわよ? 私が居ないと研究が進まないことをわかってもらってるみたいだからね」フフン

倫子「弱みを握ったつもりか、貴様……いずれ鳳凰院凶真に盾ついたことを後悔させてやろう。覚悟しておくがいいっ!」

紅莉栖「……岡部の身体や脳に異変があるのは、私イヤだから」

倫子「ん? 何か言ったか?」

紅莉栖「ううん、なんでも」

295 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:08:21.50 Sqs4Tgixo 211/2638


倫子「(この後も実験を続けたが放電現象は起きなかった。夜の7時がタイムリミットらしい)」

紅莉栖「昨日からこのマシンの仕組みについて考えてたんだけど……」

紅莉栖「電子レンジ単体じゃブラックホールは作れない。何かが干渉して電子を注入してきているのは間違いない」

倫子「"なにか"とは、なんだ」

紅莉栖「……ごめん、そこまではわからない。ホテルで考えてみる」

ダル「牧瀬氏、今日はラボに泊まらないん? 僕は帰るけど」

紅莉栖「……と、泊まってもいい? 岡部?」

倫子「むしろオレはセレブなホテルでゆっくり風呂に入って体を休めてみたいがな」

紅莉栖「えっと……じゃぁ、来る?」

倫子「いいのか?」

紅莉栖「全然いいけど。料金は私が払うし」

ダル「うほっ。妄想が捗りますなぁ」

倫子「……やはり、やめておこう」

紅莉栖「な、なんで!?」

倫子「お前にこれ以上貸しを作っては、なにで脅されるかわかったもんじゃない。それに今オレの手持ちは5000円しかない」

ダル「うはwww 牧瀬氏信用なさすぎwww」

紅莉栖「ぐ……ぐはぁ」orz

296 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:12:45.53 Sqs4Tgixo 212/2638


紅莉栖「フェイリスさんが金で岡部を堕とそうとした気持ちがわかるわ。ってかそれでどうやってここの家賃払ってるのよ」

倫子「無論、家賃代や水道光熱費代は別に取ってある。手を付けるなよ」

紅莉栖「つけないわよ。むしろ無利子で援助したいくらい」

紅莉栖「私、結構研究費降りてきてるんだけど、そんなに使い道がないのよね」

倫子「なんともうらやましい……が、そんなことでセレセブになびくオレではないわっ!」

ダル「オカリンは夏休みになるまで必死でバイトしてお金溜めてたんだお」

倫子「言うなぁ!」

ダル「たしか、棚卸や映画館の半券もぎり、ティッシュ配りとかしてたっけ」

紅莉栖「へー、意外ね。でも、それって10万も溜まってないんじゃない?」

倫子「……正直、金がヤバイ」

紅莉栖「今日ホテルに泊まってくれるなら金銭的援助をしてもいいけど?」

ダル「それって援助交s」

倫子「……ッ! ダルぅ、助けてくれぇ!」グスン

ダル「プライドが金になると思えばいんじゃね? つか、牧瀬氏なら大丈夫っしょ」

倫子「裏切り者ぉ!! うわぁん!!」

297 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:14:28.86 Sqs4Tgixo 213/2638

御茶ノ水 ローズホテル東京


倫子「結局ホイホイついてきてしまった……屈辱だ……」

紅莉栖「待ってもらってごめん。片付いたから、どうぞ入って」ガチャ

紅莉栖「(ついに倫子ちゃんを部屋に連れ込むことに成功した……! ワクワクしてきたぞっ!)」

倫子「想像していたほどではないが、いい部屋だな」

倫子「シャワー借りるぞ。変なことするなよ」

紅莉栖「わかってるわよ。ゆっくりお風呂につかって、日ごろの疲れを落としなさい」

紅莉栖「(無理無理無理ッ! 変なことしない自信がないッ!!)」

紅莉栖「お、落ち着け牧瀬紅莉栖……素数を数えるんだ……だがしかし……」

シャー

紅莉栖「壁越しに聞こえるシャワーの音ッ! 正直、たまりません……ハァハァ」

298 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:15:38.73 Sqs4Tgixo 214/2638


倫子「ふわぁ、すっごく気持ち良かった……。足が伸ばせる湯船は最高だな!」ポカポカ

倫子「って、どうしたクリスティーナ? ぼーっとしているが」

紅莉栖「別に、なんでもないわ」ツヤツヤ

倫子「……まあいい。ほら、次はお前がシャワー浴びてこい」

紅莉栖「その台詞だけで3杯はイケるわね……」

倫子「はよ行け! この絶倫百合女が!」

紅莉栖「今までで一番ひどいっ!?」


倫子「まったく、いちいち疲れるやつだな。オレはベッドで寝かせてもらおう」

トスッ

倫子「……シーツが湿っている?」

299 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:17:49.22 Sqs4Tgixo 215/2638


紅莉栖「お待たせ。遅くなってごめん、髪乾かすのに時間がかかっちゃって」

紅莉栖「(倫子ちゃんの残り湯で第2回戦に突入してしまうとは……失敗したわ)」

倫子「別に待ってなどいない。助手が風呂をあがるまでに寝込むつもりが間に合わなかったか……」

紅莉栖「それで、その、私もそろそろ寝ようと思うのだけど……」モジモジ

倫子「ああ。オレはベッドで寝るから貴様は床で寝ろ」

紅莉栖「はぁっ!?」

倫子「もし寝ているオレに触れたり、写真でも撮ろうものならお前とは絶交する。この条件が飲めないならオレはラボに帰る」

紅莉栖「ちょ……。ううん、わかった。それでいいわ」

紅莉栖「(私ってラボメンなのに、こんなに信用されてなかったんだ……)」グスン

倫子「……と言おうと思っていたが、今後の助手の活躍を期待して大目に見てやろう。何よりこの部屋の主はお前だしな」

紅莉栖「ふぇ?」

倫子「ほら、こっちに来い」

紅莉栖「おかべぇ……!」ウルウル

倫子「か、勘違いするなぁ! 単にベッドで寝るのを許可しただけで、変なことしたら即通報するからなっ!」アセアセ

300 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:19:12.84 Sqs4Tgixo 216/2638


紅莉栖「(うほほぉーっ、まさかの同衾! くんかくんか、スーハースーハー!)」

紅莉栖「(岡部は向こう向いちゃって背中しか見えないけど……うなじのラインがたまらんっ!)」ハァハァ

倫子「静かにしろ。息を吹きかけるな、こそばゆい」

紅莉栖「ご、ごめん……」

倫子「……なあ、本当にオレでよかったのか」

紅莉栖「えっ?」

倫子「オレみたいな……その、痛い子が友達で、お前は満足なのか?」

紅莉栖「……私のいるアメリカの研究所って結構殺伐としてるのよね」

倫子「む?」

紅莉栖「それに比べて、あんたのラボは幼稚だけど……居心地がいい」

紅莉栖「あんたが作ってる空気に浸かってるとね……なつかしさっていうのかな。私に幸せなホームがあった頃を思い出すの」

倫子「ホーム、か……」

301 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:20:24.52 Sqs4Tgixo 217/2638


紅莉栖「そう言えば岡部はどうしてラボを作ったの?」

倫子「電機大にダルと共に行くことは前々から決めていたからな。自分で非公認サークルを立ち上げたまでだ」

紅莉栖「(既にあるサークルに入っても、岡部にはいずれ自分の居場所がなくなる不安があった、ってところかしら)」

紅莉栖「でも、どうして大檜山ビルに?」

倫子「……いいだろう。たまには昔話に洒落込むとするか。そう、あれは今から半年前のこと―――」



~~~~~


倫子「店主! 店主はいるか!」

天王寺「俺が店主だが、なんだい嬢ちゃん?」

倫子「表の張り紙を見てきたのだが、このビルの2階が貸し出し中というのは本当か? 賃料応相談というのも?」

天王寺「まあな」

倫子「ならば貸しては貰えないだろうか。もちろん出せる限りは出す」

天王寺「いくらだ? ほれ、電卓だ」

倫子「……こんなものでどうだろうか」スッ

天王寺「喧嘩売りに来たのか?」

倫子「い、いや、そういうわけでは……」

天王寺「だったら相場を学んでこい。いくら綺麗なツラした姉ちゃんだからって、社会を舐めちゃいけねえな」

倫子「くっ……そこをなんとか! オレは、このビルが気に入った! 風情というか、時代を生き抜いてきた空気感というか!」

倫子「実にすばらしい佇まいだ! このビル以外に我がラボはありえない!」

天王寺「ラボ? お前さん、研究者か何かか?」

倫子「ククク……我が名は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だぁ!」

天王寺「帰れ」

倫子「岡部倫子です……」


~~~~~


302 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:22:44.98 Sqs4Tgixo 218/2638


紅莉栖「それであそこを貸してもらうことになったのね」

倫子「いや、断られた」

紅莉栖「えっ?」

倫子「丁度その頃、別の人間があそこを借りようとしていたらしくてな……オレは必死にミスターブラウンに訴えたのだ」



~~~~~


倫子「待ってくれ! 話はまだ終わっていない!」

天王寺「向こうさんとは契約手前まで行きかけてるんだよ。お前さんと違っておかしな言動も無いしな」

天王寺「ハッキリ言って勝負にならねえ。お前さんみたいな文無しに貸す可能性は1%もねえんだよ」

倫子「そこをなんとか! 居場所が……居場所が、必要なんだ!」

天王寺「そんなの俺の知ったことか」

倫子「オレはどうしてもラボを作らなければならないんだ!」

天王寺「オイオイ、なんで俺が学生のサークル遊びに付き合わなきゃならねえんだ。カンベンしてくれ」

天王寺「大体、金がねえなら郊外に行きゃいいだろ。ここじゃなくたっていいはずだ」

倫子「ダメなんだ! この秋葉原でなければっ!」

天王寺「大声出すな。なぜこの街にこだわる?」

倫子「ここにはすべてがあるからだ。新しい物も古い物もすべてな」

倫子「この秋葉原には最先端の文化だけでなく、時代に取り残されたロストテクノロジーが眠っている!」

倫子「常人にはガラクタにしか見えない遺物。だがその中にこそ、偉大な発明の元がある!」

倫子「本流とは常にマスコミや広告会社の陰謀にまみれているもの。亜流から本流を生み出すことこそが、この鳳凰院凶真の目的!」

倫子「混沌に溢れた秋葉原こそ我が故郷なのだ! ふぅーはははぁ!」

天王寺「……お前さん、ブラウン管に興味はあるか?」

倫子「ブラウン管? フン、微塵もないな」

天王寺「なにィ?」

倫子「……いや、あります。あることにしました」

天王寺「そうか。なら今から一杯やりにいくか」

倫子「なっ!? 年端もいかない少女に酒を飲ませ、酔ったところを襲うつもりかこの卑劣漢め!」

天王寺「嫌ならいいんだ、嫌なら」

倫子「お酌致しますので、はい……」


~~~~~


303 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:24:33.79 Sqs4Tgixo 219/2638


紅莉栖「(あのクソハゲダルマ、倫子ちゃんを飲みに連れて行くなんて……羨ましいっ!!)」

倫子「まあ、飲みに連れて行かれはしたが奴の苦労話を聞くだけだった。オレを見てると死んだ嫁さんを思い出すんだと」

倫子「綴さん……ミスターブラウンが運命の人と出会ったのは、まだ相手が大学生の頃だったそうだ。偶然にも電大生でな、オレの先輩ってわけだ」

紅莉栖「えっ……じゃぁ、綯ちゃんのお母さんって……」

倫子「綯を産んだと同時に亡くなったらしい」

紅莉栖「そう……だったの……」

倫子「部屋を借りてからはミスターブラウンに頼まれて綯と遊ぶこともあったが……綯のタックルは痛い。受け止められるのはまゆりくらいだろう」

紅莉栖「まゆりって結構基礎体力あるわよね」

倫子「あいつは小さい頃から足が早くてな。食べても太らない、アスリート体質なんだよ」

紅莉栖「(こうして岡部とベッドの中で話してると、修学旅行の夜みたいで楽しいな……一度も行ったことないけど)」フフッ

304 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/14 23:26:07.39 Sqs4Tgixo 220/2638


紅莉栖「橋田に聞いたけど、最初のうちはまゆりだけがラボメンだったんでしょ?」

倫子「そうなのだ……あいつ、オレがラボに誘った当初は全く乗り気ではなかった」

倫子「5月過ぎにメイクイーンとラボが近所であることが判明したことでラボメンに加入することになったが」

紅莉栖「(橋田なりに岡部の大学生活を見守った結果なのかも知れないわね)」

倫子「……オレは、友達が欲しかっただけなのかもしれないな」

紅莉栖「私も……そうなのかな」

紅莉栖「まだ出会って1週間なのに、まるで何かの力に引き寄せられるように私たちは近づいていった……」

倫子「その何かとは、まさしくタイムマシンだろうな」

紅莉栖「……岡部の、力になりたい」

倫子「ああ、期待しているぞ。さあ、そろそろ未来へと旅立とうではないか」

紅莉栖「ふふ、そうね。日付をひとつ進めましょうか」

倫子「おやすみ、クリスティーナ」

紅莉栖「……おやすみ、岡部」

311 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:14:55.89 9lnzvTlvo 221/2638

2010年8月4日 
未来ガジェット研究所


倫子「(朝起きると助手がオレに抱き着く形でよだれを垂らしながら『倫子ちゃん、ぺろぺろー』などと寝言をほざいていたのでオレは無言で退室した)」

まゆり「オカリンだけずるいなー、クリスちゃんとお泊り会するなんてー」

倫子「性的な危機さえなければ大歓迎なんだがな……」

まゆり「はい、ラーメン缶だよー。朝ごはんにどぞー♪」

倫子「おお、ご苦労まゆりっ!」

キキーッ!!

倫子「む。このブレーキ音は、バイト戦士のMTBか」


 鈴羽<「やっほー! おはよー!」


倫子「窓を開けると下からもよく声が聞こえるな」

まゆり「スズさんだぁ! トゥットゥルー♪」


 鈴羽<「鳳凰院凶真ー! タイターはなんか言ってたー?」


倫子「(今更誤魔化そうとしてるつもりらしいが、開口一番その話題とは、問うに落ちず語るに落ちたな)」フッ

312 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:17:31.97 9lnzvTlvo 222/2638


まゆり「あー、クリスちゃんだー!」

倫子「なにっ!? ただでさえあいつはオレが無言退室したことで不機嫌なはずっ」

倫子「そんなあいつが今バイト戦士と出会ったら……」ガタガタ


 鈴羽「…………」

 紅莉栖「……言いたいことがあるならハッキリ言えば」

 鈴羽「ぐっ……収束さえなければ殺すのに……」ボソボソ


倫子「(一瞬つかみ合いになるかと思ったが、二言三言交わしただけだった)」

ガチャ

まゆり「クリスちゃん、トゥットゥルー♪ 昨日はお楽しみでしたねー?」

紅莉栖「どこで覚えたのそんな言葉……グッモーニン、まゆり」

倫子「思いのほか機嫌が良さそうだな。なにか良いことでもあったのか?」

紅莉栖「えっ? 昨日の夜のこと、忘れちゃったの? 岡部の温もりを思い出しただけでも……えへへぇ」トロォ

倫子「そ、そうか。それでお前が満足ならいいが……」

まゆり「お泊り会でなにかあったのかなー、オカリン?」ズイッ

倫子「ひぃっ!? 顔が笑ってないぞぉ! 怖いからやめてくれぇ!」

紅莉栖「安心して、まゆり。一緒の布団で寝たけど、別に何もなかったわ」

まゆり「よかったー♪ もしオカリンにいたずらしてたら、まゆしぃは……ううん、なんでもないよー♪」

倫子「人質にどうこう言われる筋合いはないがなっ!」

紅莉栖「(まゆりも結構ヤンデレなのかしら……)」

313 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:18:13.49 9lnzvTlvo 223/2638


倫子「しかし、バイト戦士はどうしてクリスティーナに突っかかるんだろうな」

ダル「そんなの、牧瀬氏の人気に嫉妬してるに決まってんじゃんJK」

まゆり「ダルくん、トゥットゥルー♪」

ダル「本来ならあたしがラボメンナンバー004になって、楽しくみんなと青春する予定だったのに、キーッ! 悔しい! みたいな」

紅莉栖「仮にそうだとしたら死んでも004の座は渡さないわ。岡部から貰った大切な番号だもん」

倫子「いい心がけだ、助手。ラボメンナンバーは数千万円というレートで違法トレードされるほどのシロモノだからな」フゥン

ダル「(実は裏マーケットでフェイリスたんが血眼になってラボメンナンバーを手に入れようとしているなんて言えない……)」

まゆり「みんな仲良くしてるほうがまゆしぃはいいなー」

314 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:18:57.82 9lnzvTlvo 224/2638


倫子「それで、助手。変える過去は決まったか?」

紅莉栖「それなんだけど……私が今このラボにいる確率って、奇跡的なものだと思うの」

ダル「それは激同。サイエンス誌に載った若き天才が目の前に居るって、よくよく考えなくてもすごいことだお」

紅莉栖「だからね、どんな些細な過去を変えたとしても、私はこのラボのラボメンじゃなくなってしまう可能性がゼロとは言い切れない」

倫子「ふむ……。一理ある」

まゆり「まゆしぃもね、クリスちゃんがラボメンじゃなくなっちゃったら、いやだよー」

紅莉栖「私も絶対イヤ。日本に来てようやく見つけた私の居場所だもの、この現在を変えるなんて、私はできない」

倫子「……わかった。助手は過去を変えなくていい」

紅莉栖「ありがと、岡部」

倫子「となると、残されたのは……」

ダル「……」

紅莉栖「……」

まゆり「えー? まゆしぃ?」

315 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:19:55.82 9lnzvTlvo 225/2638


倫子「いいか、まゆり。現在はまだ8号機の実験段階だ、制御下にあるとは言い難い」

倫子「ゆえに目下改変すべきは直近の過去であり、些細なことに限定している」

まゆり「……おばあちゃんが生きてた頃、まゆしぃはケータイ電話持ってないから大丈夫だよー」

倫子「そうだ、このラーメン缶を使おう。『今日はおでん缶が食べたい気分だなー』とメールするのだ」

まゆり「あー! それならすごくいいかも! 今日もね、自動販売機の前で10分くらい迷っちゃったんだよーえへへー」

紅莉栖「(アホの子かわいい)」

倫子「助手、今まゆりのことを"アホかわいい"と思っただろう」

紅莉栖「ふぇっ!?」

まゆり「クリスちゃん、まゆしぃのこと、アホだと思ってるのかなー?」ショボーン

紅莉栖「お、思ってないわよ!? まゆりと会話する時は難しい単語を使わないようにしようとかこれっぽっちも考えてないから!!」

ダル「Oh……」

316 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:21:04.15 9lnzvTlvo 226/2638


ダル「1時間前にメールを送るとなると、マシン作動時間が1秒しかないから放電現象は起きませんでしたワロス」

倫子「ぐぬぬ……。これではいつまでたっても検証ができないっ!」

紅莉栖「岡部以外の過去改変で岡部の記憶がどうなるか、という点について、よね」

倫子「こうなったらラボメンナンバー005を出動させるしかなさそうだな」

紅莉栖「005?……ああ、桐生さんか。そう言えばラボメンだったわね」

倫子「お前。ひどいこと言ってるの、自覚してるか?」

紅莉栖「えっ?……あっ。ご、ごめん」

倫子「オレに謝られても困る。まあ、7年も友達が居なかったやつに人の気持ちを考えろというのも酷な話かも知れんな」

紅莉栖「うぅ……人として恥ずかしい……」

まゆり「だいじょうぶだよー、クリスちゃん。クリスちゃんは良い子だよー?」ナデナデ

紅莉栖「まゆりぃ……ふぇぇ……」

倫子「とにかく、指圧師に過去を変えさせるぞっ!」

317 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:22:04.99 9lnzvTlvo 227/2638


倫子「メールで呼び出したから、今に来るだろう」

倫子「(受信履歴を見たところ、どういうわけか8月3日以降の萌郁からのメールは削除されていた……記憶には無いが、オレが消したのか?)」

ガチャ

萌郁「…………」

まゆり「トゥットゥルー、萌郁さん♪ あれー、元気ないよー? だいじょーぶ?」

倫子「指圧師はいつも無表情だろう」

倫子「萌郁よ。ラボメンとしての働き、期待しているぞっ」

萌郁「わかった……」

紅莉栖「送信するDメールの内容は、過去が変わったかすぐわかるような、それでいてシンプルなものが好ましいわ」

萌郁「過去を変える、メール……?」

倫子「もう忘れたのか? というか、お前はロト6のメールを送信……あ、そうか。この記憶はオレにしかないものだったな」

紅莉栖「なに岡部、まだ桐生さんに電話レンジの……カッコカリの機能の説明をしてなかったの?」

倫子「あー、どうやらそうらしい。記憶があったりなかったり、ややこしいな……」

萌郁「…………」

318 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:23:20.26 9lnzvTlvo 228/2638


倫子「(萌郁に簡単に"過去を司る女神作戦<オペレーション・ウルド>"の概要について説明し、今までのDメール実験の成功例と失敗例を伝えた)」

萌郁「…………」ポチポチ

ピロリン♪

倫子「どれどれ? 『4日前にケータイの機種変したの。でもやっぱり変えない方がよかったなって思い始めて…… 萌郁』」

倫子「閃光の指圧師<シャイニング・フィンガー>は実に有能だなっ! まさにラボメンの鑑っ!」パァッ

紅莉栖「なるほど、良い案だと思うわ。桐生さんが今持ってるケータイが別のモノになれば過去が変わったことになる」

ダル「おっ、それって先月出たばっかの『GG01』じゃん! 最新機種だよ、今品薄でどこ行っても入荷待ちだけど、よく手に入ったなぁ」

萌郁「…………」

紅莉栖「それじゃ、早速実験の準備するわよ」

ダル「ブラウン店長になんか言われたらどうするん?」

倫子「ふぅーはははぁ! あんなハゲチクリン、おそるるに足らんわぁ!」

ダル「(まあ、あの人だったら許してくれるかもな)」

319 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:24:38.95 9lnzvTlvo 229/2638


倫子「指圧師よ、メールの準備はいいか?」

萌郁「…………」コクッ

倫子「電話レンジ(仮)、起動ッ!!」

バチバチバチバチッ

倫子「放電現象っ! よし、今だ、萌郁っ! 送信ボタンを押せ!」

萌郁「…………」ポチッ

・・・チーン

倫子「あ、あれ……なにも、起こらない……?」

ダル「どう? 過去変わった?」

紅莉栖「ケータイの機種は……変わってない、わね」

倫子「どういうことだ? どうして過去が変わらなかった?」

萌郁「……私、あの時、最新機種に惹かれてたから、無視、したのかも」

ダル「あー、確かにそれはわかる。どんなに@ちゃんの評判がクソのゲームでも自分が気に入ったものだったら買わずには居られない」

紅莉栖「それに未来から来た変なメールだし、桐生さんなら信用するに値しないと判断したのかも」

倫子「くそぅ、結局失敗か……はぁ」

320 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:26:25.09 9lnzvTlvo 230/2638


萌郁「私は仕事があるから、これで……」

倫子「そうなのか? 忙しいところ悪かったな。ヒマができたら遊びに来い」

萌郁「…………」

ガチャ バタン

倫子「ふむ、しかしまたどうして失敗してしまったのか……」

紅莉栖「どうして成功しないか、じゃなくて、どうして失敗したか、か。逆に、成功した時の状況を再現してみたら?」

倫子「……ぐあああっ!! オ、オレの左眼、魔眼"リーディング・シュタイナー"があぁぁっ!!」ガクッ

まゆり「オカリン、大丈夫……?」オロオロ

倫子「ダメだ、まゆり、オレに近づくな……今のオレは、お前を傷つけてしまうやもしれぬ……ぐぅっ!!」

ダル「釣り、乙」

紅莉栖「そ、そうよね……もう、冗談でもやめてよ。心配するじゃない」

倫子「再現しろと言ったのは助手ではないかー」プンスコ

紅莉栖「それに、シュタインズゲートもそうだけど、リーディングシュタイナーとかいうドイツ語と英語の組み合わせ、意味不明なんですけど」プークスクス

倫子「ぬうう……貴様、いよいよその生意気な本性を現し始めたな……」グギギ

321 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:27:09.63 9lnzvTlvo 231/2638

大檜山ビル前


倫子「(結局電話レンジ(仮)の使用限界である夜7時までに芳しい成果は得られなかった)」

紅莉栖「それで、岡部。今日もホテルに来る?」

倫子「いや、今日は1人にさせてくれ。オレが外に出たのはお前らの見送りだ」

ダル「1人残ったラボでよからぬことを……はぁはぁ」

紅莉栖倫子「「HENTAI禁止!」」

まゆり「まゆしぃもクリスちゃんとお泊り会したいなー」

紅莉栖「大歓迎よ、まゆり」

まゆり「でもねー、きっとお父さんが許してくれないのです」

倫子「まゆりの親父は過保護だからな」

322 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:27:46.54 9lnzvTlvo 232/2638


ダル「そんじゃまた」

紅莉栖「バァイ」

まゆり「バイバーイ♪」

倫子「……まゆりは、帰らないのか?」

まゆり「…………」

倫子「(と思ったら例のクセ――"星屑との握手<スターダスト・シェイクハンド>"――か。夜空に片手を伸ばしている)」

まゆり「あっ、流れ星……ねぇ、オカリン」

倫子「願い事はしたか? 今の一瞬では3回唱えるのは難しいか」

まゆり「……オカリンって、小学生の頃、すごい熱を出して1か月くらい寝込んだことがあったよね」

倫子「何を突然……。99年の年末から2000年の元旦にかけて、40度近い熱が1か月も続いた、らしいな。親から聞いた話だが」

まゆり「そっか。オカリン、意識がもうろうとしてて記憶にないんだっけ」

323 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:29:26.00 9lnzvTlvo 233/2638


まゆり「あのときね、まゆしぃはオカリンが死んじゃうんじゃないかって思って、すごく怖かったんだよー」

まゆり「だからね、おばあちゃんと一緒に、お空に祈ってたの。"オカリン死なないで"って」

倫子「ククク。このオレ、鳳凰院凶真が死ぬはずがないだろう!」

まゆり「そっか、オカリンはすごいねー」ニコニコ

まゆり「でもね、あの時……大晦日の日、流れ星がピューって流れたの。今みたいに」

まゆり「オカリン死なないで、オカリン死なないで、オカリン死なないで……って」

まゆり「次の日、年が明けた頃にね、オカリンは熱が下がって目を覚ましたのです」

まゆり「つまりまゆしぃは、オカリンの命の恩人なんだよーえへへー」

倫子「……そうか。それもまた運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択。ククク」

まゆり「違うよー、まゆしぃのおかげだってばー」

倫子「それも含めて運命だったのだろう。オレとお前は、前世からの宿縁によって相利共生の存在となっているのだっ!」

まゆり「そうだったのー? なんだかすごいねー♪」

324 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:32:30.36 9lnzvTlvo 234/2638


まゆり「ねぇねぇ。熱が下がったときね、オカリンはこんなことを言ったんだけど、覚えてる?」

まゆり「急に見ているものがグニャグニャしてきて、立っていられなくてふらふらして、身体がビクってなった、って」

倫子「ビ、ビクってなどいないわっ!」

まゆり「るかくんが宝くじを持ってきた時も、さっきのオカリンの……釣り? の時も、そんな感じだったよ」

まゆり「オカリン、本当に大丈夫? 熱出てない?」

倫子「案ずるな。なにも心配ない」フッ

倫子「(あの熱から目覚めて、最初に目にしたのはまゆりの泣き顔だった)」

倫子「(言われてみればリーディング・シュタイナーの時の目眩や気持ち悪さの感じととても良く似ていた気がする……)」

倫子「そうか。この魔眼は、まさにあの時この身に宿ったのだな……! ふぅーはははぁ!」

倫子「やはり特殊能力を得るには修行が必要! どの少年漫画でもそうなっているっ!」

倫子「1か月高熱を出し続けるという苦行に打ち勝ったオレは、魔眼を手に入れたのだっ! すべて辻褄が合う!」

倫子「……だが、オレにその記憶は無い。もしかして、ここ最近のオレの記憶同様、過去が変わったせいで記憶を思い出せないでいるのか?」

倫子「例えば、元々99年末にオレが熱を出さなかった世界線――自称未来人の単語を使うのは憚られるが――において、2010年のオレが電話レンジ(仮)を発明し……」

倫子「99年末へとなんらかの情報を送ることによってオレに原因不明の病を引き起こさせた……無論、目的は魔眼発動のため」

倫子「(いや、そうとは限らない。仮にあの高熱でオレが死亡していたとしたら……というか、医者には死んで当然と言われたらしい)」

倫子「(オレの死の後、何者かがオレを蘇らせるために過去を変え、魔眼はその副産物だったとしたら……まあ、さすがに妄想しすぎか)」

倫子「ククク……世界の支配構造を破壊するのも、時間の問題だなぁ! ふぅーはははぁ!」

まゆり「オ、オカリン、夜に大声出すとご近所さん迷惑だよー」アタフタ

325 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/15 21:35:32.78 9lnzvTlvo 235/2638


・・・


その日、ラボのソファで寝たオレは、変な夢を見た。

紅莉栖が開発室に立っている。X68kのターミナルを呼び出し、タイマー指定をしている。

なぜか、テレビのリモコンを持っている。

気が付けば、オレの頭にはアルパカマンというゲームのヘッドセットが装着されていた。

『問題。岡部を救うために祈りを捧げたまゆりが岡部を救ったとする。ここから導き出される論理的帰結とは、どんなのもの?』

準備を終えた紅莉栖は、肩越しに変なことを聞いてきた。

『①まゆりは岡部を助けることができた ②岡部を助けたのでまゆりは死ぬ ③岡部が助かったとは限らない』

そしてマシンが起動した。

『答えは③。現実は非情よね』

『じゃあね、岡部。世界線を超えようと、時間を遡ろうと、これだけは忘れないで』

『いつだって私たちはあんたの――』

『味方よ――』

333 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:51:37.30 zM6IpGU1o 236/2638

2010年8月5日木曜日
未来ガジェット研究所


るか「あ、あの、タイムマシンを使わせてくださいっ!」

倫子「……それは、むしろ願ってもない申し出だが、突然どうした?」

まゆり「るかくん、コスプレしに来てくれたんじゃなかったの……?」

るか「ごめんねまゆりちゃん。あの、岡部さん。ボク、どうしても試してみたいことがあって……」

倫子「凶真だ」

るか「あぁっ! す、すいません、おか――凶真さん」シュン

倫子「まったく、世話の焼ける弟子だな」フフッ

るか「(わふっ///)」

紅莉栖「しかしながら、こうしてみるとやっぱり漆原さんって……キュート、よね」ジュルリ

るか「え、え? えぇっ!?」

ダル「そろそろ牧瀬氏の性癖にも慣れてきた件」

倫子「出たな万年発情レズ。だが、お前は1つ重大な過ちを犯している」

紅莉栖「な、なにがよ? 漆原さんがかわいいってことは揺るぎない正義でしょーが」

倫子「まあいい。それで、ルカ子よ。己の望みをその言霊に乗せ、解き放てっ!」

るか「その……ボク……っ!」



るか「――女の子になりたいんですっ!!」



紅莉栖「…………」

紅莉栖「…………」

紅莉栖「"What's?"」

334 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:52:45.63 zM6IpGU1o 237/2638


るか「ボク、自分の顔、あんまり好きじゃなくて……」

るか「だから、もし女の子になれれば、少しは自信が出るかなって、昔から思っていたんです……」

倫子「ルカ子がそのような悩みを抱えていたとは……。気付いてやれなくてすまない。師匠失格だな」

るか「そ、そんな! おか――凶真さんは悪くありませんっ! ボクがこんな容姿なのが悪いんです……」グスッ

倫子「そんなわけない。ありのままのお前でいいのだ、否定はできない」ナデナデ

倫子「だが、同時にオレは、オレたちは、お前の望みも否定しないっ!」

るか「(きゅん///)」

紅莉栖「彼女はナニを言っているの」

倫子「クリスティーナ。たまにはその邪念で曇った双眸を磨いたらどうだ」

紅莉栖「……どういうことよ」

倫子「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」

紅莉栖「……カエサル。というか、それを紹介した日本人の言葉ね」

倫子「貴様の、"かわいい女の子と接点を持ちたい~♪"という邪念によって、ルカ子がかわいい女の子であると心から信じてしまう……脳の認識を誤らせているのだっ!」

紅莉栖「嘘よ……嘘だと言って……」

倫子「さあ、ひざまずけっ! 己の愚かさを後悔しろっ!」

倫子「そして最近オレに対して上から目線になりつつあることを反省しろぉっ!!」

倫子「―――ルカ子は、おぉとぉこぉだぁぁぁぁっ!!!」

紅莉栖「ぐっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」ダバーッ!

ダル「ちょ! 血を吐くほどとか」

まゆり「わー、タオルタオル……」

335 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:54:58.28 zM6IpGU1o 238/2638


倫子「まあ。オレだって男っぽく振る舞ってる女だ。女らしい男が居ても今更驚くことはないだろう」

紅莉栖「いや、それは何か違う気がする……」

紅莉栖「その理屈で行くと、岡部も男になりたかったりするの?」

倫子「オレの場合はこうでもしてないと理性を保てない人間どもが多いというだけで、男になりたいとはならない」

ダル「もはや厨二病こじらせてるだけっしょ」

倫子「う、うるさいぞっ! 厨二病で悪いかぁ!」

紅莉栖「(かわいい)」

倫子「だが、ルカ子の場合は違う。なんというか……ルカ子は素の状態で既に女なのだ」

紅莉栖「見た目も中身も女の子より女の子らしい……。水泳の授業の時とか、どうしてるの?」

るか「体育の先生にはお話を伝えていて、いつも見学させてもらってます」

ダル「ちな制服はどっちを?」

るか「えっ? も、もちろん学ランです」

紅莉栖「……学校でいじめられたりしてない?」

るか「……いえ、そんなことはないですけど」

まゆり「るかくんはねー、学校では人気者なんだよー♪」

倫子「ルカ子はまゆりと同じ私立花浅葱大学付属学園の2年生だ。同級生ってやつだな」

紅莉栖「(もしかしなくても、まゆりさんが彼女――彼を守ってるのかしら)」

336 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:57:14.26 zM6IpGU1o 239/2638


倫子「電話レンジ(仮)は我がラボの最重要機密事項。それを使う以上、お前はラボメンとならなければならないっ」

るか「あ、あの、ボク、このラボのメンバーに……ずっとなりたいって思っていたんです……」ウルウル

倫子「ラボメンナンバー006よ。以後、ラボに忠誠を誓い、ラボの発展のために全力を尽くせっ!」

まゆり「わーい! るかくんがラボメンだー♪」

ダル「(これはフェイリスたん憤死案件だ罠)」

倫子「しかし、性別を変えるほどの過去改変となると、どうすればいいか……」

紅莉栖「お肉をたくさん食べれば男の子を、野菜をたくさん食べれば女の子を産めるっている俗説があるらしい」

ダル「ソースは?」

紅莉栖「@ちゃ……インターネット」

ダル「そういう返しをするとは……おぬし、やるな……」

倫子「実に怪しい俗説。だが、それがいい。ククク、マッドな実験は大賛成だ」

るか「まっど……ですか。ちょっと怖いです」

紅莉栖「大丈夫よ、過去にメールを送るだけだから」

紅莉栖「えっと……この場合、漆原さんのお母さんが妊娠中の時期にDメールを送るのね」

倫子「さすが実験大好きっ娘。もう具体的な思案をしているとは」

ダル「ちょい待ち。るか氏のお母さん、その頃ケータイ持ってるん?」

倫子「あっ」

紅莉栖「はっ」

337 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:58:37.24 zM6IpGU1o 240/2638


倫子「ルカ子は1993年8月生まれ。ということは、1992年年末頃にメールを送らねばなるまい」

ダル「えっと……ググったら、携帯電話が日本に普及するのは96年っぽい。メール機能が実装されるのはさらに遅いかも」

るか「え……ダメ、なんですか……」ウルウル

倫子「……こういう時にぴったりな、オレの師匠の至言がある」

るか「師匠の、師匠……?」

倫子「諦めたら、そこで試合終了ですよ」

紅莉栖「安西先生ェ……」

ダル「おお、スラダンで思い付いたけど、ポケベルならるか氏の母上も持ってるかも」

紅莉栖「ああ、あのヤンデレソングね」


・・・


るか「ただいま戻りました。お母さん、ポケベルを持ってました。番号も聞いてきました」

まゆり「わぁー! よかったね、るかくーん♪」

ダル「技術的には多分問題ない。当時のポケベル文字に変換すればおk」

るか「ええと……『やさいたべるとげんきなこをうめる』、でどうでしょうか」

紅莉栖「濁点が文字数になっちゃうから『やさいくうとげんきなこをうめる』にして、これを変換すると『*2*281311223134524040322512502137493』ね」

倫子「ルカ子。ケータイの送信ボタンを押すのは、お前自身だ」

るか「はいっ……」

倫子「タイマーは『154152#』……よーし、起動っ!」



バチバチバチバチッ



るか「……えいっ!」

338 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 13:59:39.64 zM6IpGU1o 241/2638


―――――――――――――――――――
    0.50329  →  0.46903
―――――――――――――――――――

339 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:00:53.64 zM6IpGU1o 242/2638


倫子「ぐぅ……っ! また……またこの目眩か。ということは、成功……?」

倫子「(ルカ子は女になったのか?)」

るか「あの、岡部さん。大丈夫ですか?」

倫子「凶真だ」

るか「えっ。あっ! ご、ごめんなさいおか――凶真、さん」

倫子「ふーむ……」ジロジロ

るか「そ、そんなに見つめないでください……照れちゃいます……」

倫子「(見た目は全く変わってない。胸なんか、これで女の子だとすればぺったんこを通り越してまな板クリフだ)」

倫子「(自慢じゃないが、オレのおっぱいは助手よりはある。バストサイズが下がればいいと思ったことは一度もないが、今回ばかりはルカ子に分けてやりたい気分になる)」

倫子「実験は失敗か……」

まゆり「しっぱいって、なにがー?」

倫子「なにって、今まさに過去を変える実験を―――ああ、そうか。過去が変わったから記憶がないのか」

倫子「(おそらく、ポケベルにメッセージを送ることでなんらかの事象が変わり、先ほどの実験をしないバタフライ効果が生まれた)」

倫子「(例えば、ルカ子が女になったためにそもそも性別転換を思いつかなくなった……)」

倫子「(ん? だったら過去改変に成功しているのか?)」

340 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:01:40.99 zM6IpGU1o 243/2638


るか「それじゃ、ボクは帰りますね。まゆりちゃん、またね」

まゆり「今度こそコスを着てねー! ばいばーい♪」

ガチャ

倫子「(本人は帰ってしまった。周りに聞いてみるか)」

倫子「助手。ルカ子は女か?」

紅莉栖「へっ?……ちょ、ちょっと突然ナニ聞いてんのよ! 自分で聞いたらいいじゃない///」

倫子「(このアホ、また何かスケベな勘違いをしているな)」

倫子「まゆり。ルカ子は女か?」

まゆり「うーん? るかちゃんはねー、まだ誰とも付き合ってないよー?」

倫子「(日本語って難しいな……)」

倫子「おいダル。ルカ子の性別は女か? 生物学的な意味で」

ダル「おいおい、オカリン。あんなにかわいい子が女の子のわけがないだろ常考」

倫子「(話にならん)」

341 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:05:09.24 zM6IpGU1o 244/2638

メイクイーン+ニャン2


倫子「(ダルが突然『フェイリスたん成分を充電しに行かなくては!』、などとほざいたので渋々ついていくことにした)」

倫子「なあダル。Dメールについてなんだが……もっと送り手側がコントロールできるような装置にしたいと思う」

ダル「うーん、いくら僕でもそういう改造は思いつかないっつーか」

倫子「まるで運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択によって、オレたちが過去を自在に改変できないかのようだ……ええい!」

倫子「この鳳凰院凶真ともあろう女が、簡単に諦めたりなどしてたまるものかっ!」

倫子「この魔眼リーディング・シュタイナーを駆使し、必ずや完ぺきなタイムマシンを創り出し、時空の覇者となり、世界の支配構造を破壊する……」

倫子「それが運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択なのだからなっ! ふぅーはははぁ!」

ダル「倫子ちゃんが楽しそうでなによりです」

倫子「倫子ちゃん言うなぁ!」

フェイリス「タイムマシン!?」

倫子「ハッ!?」

342 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:06:22.41 zM6IpGU1o 245/2638


倫子「しまった、声がでかすぎたか……オレとしたことが」

フェイリス「大丈夫ニャ。この店に集うご主人様たちは、みーんな訓練されてるのニャ」

フェイリス「外部に凶真の秘密を漏らすような卑劣な人間は1人もいないニャ!」

客A「もちろんだお!」

客B「倫子ちゃんは僕たちが守るお!」

倫子「だから倫子ちゃん言うなぁ!」

フェイリス「アイスコーヒーとアイスティーとねこまんま、お待たせしましたニャン♪」

フェイリス「ミルクとガムシロは入れますかニャン?」

倫子「断る」

フェイリス「そんな凶真には、全部入れちゃうニャ~。まぜまぜ~、まぜまぜ~。にゃんにゃん♪」

ダル「出たー! フェイリスたんの秘技、"目を見て混ぜ混ぜ"だー!」

倫子「……オレのグッズの闇市場があると聞いたのだが」

フェイリス「ニ゛ャ゛ッ!?」

ガッチャーン!! バシャー

倫子「うわぁ!? オ、オレの白衣があっ!?」

マッキー・ニャンニャン「お嬢様、大丈夫ですか!」

リサリサ・ニャンニャン「今お拭きします!」

フェイリス「ハニャニャ……」

343 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:09:37.00 zM6IpGU1o 246/2638


ダル「結果メイド服を着ることになったオカリンであった」

倫子「茶色く汚れたシャツと白衣は洗濯するしかなかったからな……仕方がないとはいえ恥ずかしいぞ……」

倫子「というか、なぜオレのサイズにピッタリのメイド服が用意されている」

フェイリス「それはもちろん、凶真がいつメイドさんになりたいって思ってもいいようにニャ!」

倫子「…………」ゾワワッ

ダル「チェキ1枚いいですか?」

フェイリス「猫耳をつけてくれないのは残念ニャけど、とってもカワイイニャン♪」

倫子「元はと言えば貴様のせいではないかぁ……っ! このダメイドがぁっ!」

フェイリス「きょ、凶真が突然変なこと言うから悪いのニャ」

倫子「ネタは上がっているんだ。ダルから聞いたぞ」

フェイリス「……ダルニャン。信じてたのに、ウニャァ……」

ダル「ちょ! 僕、一言もオカリンにブラックマーケットの件は言ってないお! 誓うお!」

倫子「そうか、過去が改変されてダルから聞くことは無くなったのか……。だが、リーディング・シュタイナーは真実を見通すっ!」

倫子「とにかく、どういうことか説明しろぉ!」

フェイリス「それは出来ない約束ニャ」

倫子「そもそもあの写真集だって、どうしてオレが小学生の頃からの写真をお前が撮影できたのだ」

倫子「知り合ったのは今年になってからだろう」

フェイリス「黙秘権を発動するニャ!」

倫子「……オレの服、ちゃんと洗って返すんだよな?」

フェイリス「……も、もちろんニャ」

倫子「おいィ!? なんだいまの間はっ!? うわぁん!!」

344 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:11:38.61 zM6IpGU1o 247/2638


フェイリス「その秘密を教えてあげるかわりに、フェイリスにもタイムマシンについて教えてほしいニャ!」

倫子「どこまでもふてぶてしいやつめ。教えるわけがなかろう」

フェイリス「ダルニャーン♪」

ダル「実はメールを過去に送れるすげえマシンを作ったんだお。主に僕が。過去改変も小規模ながら成功してるっぽい」

倫子「貴様ぁっ! あっさり色香に惑わされおって……っ!」プルプル

ダル「ごめんオカリン、フェイリスたんの可愛さは正義だから」

倫子「まあ、フェイリスにはIBN5100の居処を教えてもらった恩がある……」

フェイリス「フェイリスにもタイムマシンを使わせてもらえないかニャー」

ダル「ま、僕の権限で使わせてあげてもいいお」

フェイリス「ホントかニャ! ダルニャン、だーいすきニャ♪」ダキッ

ダル「うへうへ」

バンッ!!

倫子「……帰るッ!! 勝手にしていろ、バカどもがッ!!」ダッ

345 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:13:51.88 zM6IpGU1o 248/2638

未来ガジェット研究所


倫子「クソっ、クソっ、クソぉぉっ……! ダルのやつ、軽率な行動を取りおって……うぅ……」ウルウル

まゆり「うわー! オカリンがメイド服だー♪ もしかして、コスしてみたくなった?」キラキラ

倫子「断じて否っ! フェイリスにコーヒーをぶっかけられて仕方なく着ているだけだっ! 今すぐ着替えるっ!」プンスコ

まゆり「オカリン、なんだか怒ってる? なにかあった?」

倫子「ダルのやつがフェイリスにタイムマシンの情報を漏えいさせたのだ。鼻の下を伸ばしきってな!」ヌギヌギ

まゆり「そっかー。ダルくんらしいなー」

まゆり「でもね? だからって、ダルくんがオカリンのことを嫌いになっちゃったってわけじゃないと思うよ?」

倫子「は? ……別に奴に嫌われようが一向に構わん」

まゆり「まゆしぃたちは、オカリンの味方だよー」


『これだけは忘れないで。いつだって私たちはあんたの味方よ』


倫子「(……なんだ今の既視感<デジャヴ>は。リーディング・シュタイナー、ではなさそうだが……)」

まゆり「オカリン?」

倫子「クックック……バカなことを言うな。ラボメンは鳳凰院凶真の策略によって操られているに過ぎないのだからな! ふぅーはははぁ!」

まゆり「まゆしぃは操られてないよー?」

倫子「む、そうだった。お前はオレが呼んでもいないのにラボに参加してくれた……」

倫子「あの時のまゆりは女神に見えたぞ。ガチで」

まゆり「まゆしぃはオカリンの人質なのでー。えっへへー」

346 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/19 14:18:02.05 zM6IpGU1o 249/2638


倫子「やっぱり白衣が落ち着くな……。助手の白衣、今日は借りさせてもらおう」

倫子「まゆり。くれぐれも助手にこの白衣をオレが着たことを言うなよ?」

まゆり「クリスちゃんはHENTAIさんだからねー。わかったよー」

まゆり「ねぇねぇオカリン。オカリンは、これからもまゆしぃのこと、人質にしておいてくれる?」

倫子「お前は人質のままでいたいのか?」

まゆり「うーん……。えへへ、居たいかもー♪」

倫子「まったく。とんだドM娘に育ってしまったものだな」

まゆり「まゆしぃはHENTAIさんじゃないよー?」

倫子「そんなんだと嫁の貰い手がなくなるぞ?」

まゆり「じゃあ、まゆしぃはオカリンのお嫁さんになるしかないねー♪」

倫子「そのためにはどっちかが性転換しなければならんな。少なくとも、2010年の日本では」

倫子「オレが男だったら今以上に痛い奴になっていそうだ」ククッ

まゆり「男の子のオカリンかぁ。きっとモテモテでイケメンなんだろうなー」

倫子「(こいつ。一見何も考えていないようで、落ち込んでいたオレを励ましてくれていたのか……)」

倫子「昼はまだか? 今日はおごってやろう」

まゆり「えー! いいのー? あのね、まゆしぃはキッチン・ジローのメンチカツがいいなー」

倫子「ああ。お安い御用だ」

まゆり「わーい。オカリン大好きー♪ まゆしぃはとっても幸せだよー」

倫子「(しかし、"オレが男だったら"か)」

倫子「(そしたらまゆりとは男女関係になっているだろうし、ダルのHENTAIにいちいち怒ったりしないだろう)」

倫子「(助手は……オレに興味を持たなくなるかもな。うむ、やはり今のままが一番だ)」

倫子「ほら、いくぞ。まゆり」

まゆり「うん!」

351 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 22:59:02.78 qu2SHL7Ro 250/2638

大檜山ビル前


倫子「(まゆりにカレーをおごり駅まで送ったあと、ラボに帰ってくると店先に小動物ことシスターブラウンが居た)」

「あっ……凶真、おねえちゃん……」

倫子「1人で何をしている。バイトはいないのか?」

「中に居ます……」

倫子「そうか。それで? オレになにか用か?」

「えっと……あの……」モジモジ

倫子「ん? なんだ?」

「わ、私にも……その……」

「タ、タイムマシン、使わせてくださいっ!」

倫子「……え?」

352 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 22:59:40.18 qu2SHL7Ro 251/2638

未来ガジェット研究所


「ごめんなさい……。2階のお話が、下にも聞こえてきてて」

倫子「あー、そのことは構わない。むしろいつもうるさくして申し訳ないと店長に伝えてくれ」

倫子「(床に穴も開いてるしな……。実際ほとんど聞こえているのだろう)」

倫子「それで。本気で言っているのか?」

「は、はい。どうしても変えたい過去があるんです」

倫子「その歳で思い悩むとは……。で、一体なんなのだ、それは」

倫子「表では話しにくいことだというから、ラボに入れてやったが……」

倫子「(このラボには未来ガジェットが転がっている。子どものオモチャにされたらたまったもんじゃない)」

倫子「(あんまりこの子をここに入れたくはないんだが……)」

「あの……、その……」

「お、お母さんを、生き返らせてほしいんです……」

倫子「な……」

倫子「(想像以上だった……)」

353 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:01:25.88 qu2SHL7Ro 252/2638


「お父さん、酔っぱらって帰って来た時、たまに言うんです」

「『俺はあいつを見捨てたんだ、守ることができたのに』って」

「お父さんは、お母さんは私を産んで死んじゃったって言ってたけど」

「たぶん……違うと思うんです。お父さんの寝言とか聞いても、そうは思えなくて」

倫子「どんな寝言だ?」

「えっと、にんむをやらなければ……とか、です」

倫子「(任務?)」

倫子「ふむ。しかし、奴の性格からしてそれらの言葉は額面通りに受け取るべきではないな」

倫子「何か事故ではあったのだろう。だが、守ることができた、ということは、対策をしていれば対処できる類のものだったのか……?」

倫子「(つまり、ミスターブラウンは綴さんが死ぬ危険にあることを知っていた?)」

「いつもお父さん、私の顔を見ながら遠い目をしていて」

「たぶん、お母さんの面影を見てるんだと思うんです」

倫子「察しの良い子どもだな……。いや、こういうのは子どものほうが勘が鋭いのか」

「だから、お父さんのためにも、お母さんを生き返らせてほしいんですっ!」

倫子「(断りにくいな……)」

354 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:03:00.57 qu2SHL7Ro 253/2638


倫子「確かに試す価値はある」

倫子「だが、死んだ人間を蘇らせるなど、因果律に対する反逆、創造主に対する冒涜ではないのか……」

倫子「冒涜……ククク。実にマッドではないかぁ」

倫子「このオレ、鳳凰院凶真こそ、亡者を現世に顕現せし者っ!」

倫子「よく聞け、シスターブラウンッ! 貴様はその齢にして、悪魔に魂を売るのだぁ……」ニタリ

「ひっ……で、でも、お父さんはいつも、お前はラボのメンバーにはなるなって言ってるので……」

倫子「あのハゲ頭め、ラボメンを何だと思ってるのだ。だがまあ怒らせたら怖いしな……」

倫子「貴様はラボメンにならなくていい。今回は特別だぞ?」

「は、はい!」パァァ

倫子「そうとなればさっそく文面を考えるぞっ!」

「はいっ!」キラキラ

355 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:04:28.41 qu2SHL7Ro 254/2638


倫子「『任務を遂行し ろ。でなけれ ば綴が死ぬ!』……。シスターブラウンの情報からだと、こんなところか」

「すいません……お力になれず……」

倫子「いちいち謝るな。それで、綴さんが亡くなったのはいつだ?」

「えっと、2001年の10月22日です。でも、メールは2000年の5月18日に送ってください」

倫子「なにか確信があるのか?」

「たぶん……。うちのお仏壇にいる、もう1人の人の命日なんですけど」

倫子「もう1人の人……」

「それから、これがお父さんのメールアドレスです」

倫子「店長がアドレスをここ10年間のうちに1度でも変えていたらアウトだが、コロコロ変えるような人間には見えないな」

「私が生まれる前からお仕事でも使ってたって言ってたので、たぶん変えてないと思います」

倫子「2000年に届く時間は……よし、マシンの準備もできた」

倫子「あとは放電現象中にお前の手でその送信ボタンを押すだけだ」

「はい……」ゴクリ

倫子「マシンを起動するぞ……」ポチッ

電話レンジ「……」シーン

倫子「あ、あれ? 起動しない?」ポチポチポチ

「え……」

356 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:07:24.05 qu2SHL7Ro 255/2638


倫子「うーむ、どうやら内部パーツのどれかがイッたらしい。クソ、これだからワゴン品は!」

倫子「(ちなみに電子レンジ本体はごみ置き場から拾ってきたものだ。中身の電子部品はほとんど魔改造したが)」

倫子「しかしここはダルの領域だ。オレはあいつがコレにどんな改造を施したかよくわかっていないから直せん」

倫子「ダルか……。正直、今日はあいつに会いたくないんだよな……」

「……す、すいません。あの……」

倫子「どうした? 綯」

「あっ///」ドキッ

倫子「……む?」

「あ、いえ、その……ごめんなさい。やっぱり、もう少し、考えさせてもらってもいいですか……」

倫子「……そうか」ホッ

倫子「無論、構わん。お前が本当にどうしたいのか、よく考えてみると良い」

倫子「(この子も大人への階段を上っているところなのかもしれないな)」フッ

倫子「オレたちはお前の手伝いをすることはできる。だが、行動を選択するのは己自身でなくてはならぬ!」

「は、はい」

倫子「送りたくなったらいつでも言えよ」ニコッ

「はいっ!」

357 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:08:09.03 qu2SHL7Ro 256/2638

大檜山ビル前


倫子「(小動物を未来人バイトの元へ送り返そうと階下に来たはいいが、なぜかクリスティーナが店先のベンチに座っていた)」

倫子「どうしてラボに入らない? ん、誰かと電話……?」


紅莉栖「なによそれ……。日本に呼びつけておいて今更そんな―――」

紅莉栖「……そう。結局、会うつもりなんかなかったんでしょ」グスッ

紅莉栖「いったいなにがしたかったのよ? それすら教えてくれな―――」


紅莉栖「あっ、岡部……」

倫子「お、おう」

紅莉栖「…………」

紅莉栖「……ッ!!」ダッ

倫子「あ、おいっ!」

「……お姉ちゃん、行っちゃった」

倫子「泣いていたようだが……。まさか向こうの彼氏か? いやいや、あいつはレズだから彼女か」

倫子「だがあいつにパートナーがいるようには思えない……。となると、例の親父さんか」

倫子「ほら。綯はもうお店に戻れ」

「うん。凶真お姉ちゃん、今日はありがとう、ございました」ペコリ

倫子「フッ。オレは感謝されるようなことをした覚えはないがな」

「えへへ……」

358 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:09:49.04 qu2SHL7Ro 257/2638

未来ガジェット研究所


紅莉栖「…………」

倫子「で、結局ラボに戻って来たか。……どうした」

紅莉栖「わ、私はっ! 別に、泣いてなんかないからなっ!」

倫子「なぜそこで強がる。まあ、お前がそういうならそうなんだろう」

倫子「目が赤いのも、ゴミが入ったんだろう?」

紅莉栖「……。今日のことは忘れて。気にしないで」

倫子「ホントにお前は構ってちゃんだな」

倫子「どう考えてもその台詞は、私の悩みを聞いてほしいの~にしか聞こえんぞ」

紅莉栖「うっ……。そ、そんなこと、ないからな」

倫子「いいか、クリスティーナ。話さなくていいから黙って聞け」

倫子「お前が困っているならば、オレは、オレたちは全力で解決に協力する」

紅莉栖「え……」

倫子「1人で強がって抱え込んでいるより、弱音を吐きたいときは吐いてしまえ。オレたちはそれを拒絶したりしない」

紅莉栖「なんで……」

倫子「お前が、ラボメンナンバー004だからだ」

紅莉栖「岡部……」ジュン

359 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:10:28.15 qu2SHL7Ro 258/2638


紅莉栖「ごめん……。なんだか、今日は気が立ってて……」

倫子「無理に今話せとは言わない。お前が落ち着いた時、話す準備ができた時でいい」

紅莉栖「うん……。あ、あのさ、岡部」

倫子「なんだ?」

紅莉栖「今日、ラボに泊まっていっていい?」

倫子「心細いのか?」

紅莉栖「そ、そんなこと……ある、かも」

倫子「だったら御茶ノ水のホテルで―――」

紅莉栖「だ、だめ! 私は、ラボがいい!」

倫子「む? なら別に構わんが」

紅莉栖「ホ、ホント!? ありがと……」

倫子「……なあ、紅莉栖。もしオレが男だったらお前は、オレに心を開いてくれただろうか」

紅莉栖「えっ?」

倫子「あ、いや、なんでもない。忘れてくれ」

360 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/20 23:11:42.52 qu2SHL7Ro 259/2638


その夜、ソファーで眠った紅莉栖は、やはりというべきか、夢の中でも泣いていた。

なんだかんだでこいつは、まだ自分のことについてほとんど話していない。

それは、強い自分を創るために必要なことだったのだろう。

他人に自分をさらけ出さない。

それこそが、こいつが生きてきた環境で生み出した、生きるすべだったはずだ。

だが、ここは違う。このラボは違う。

心から信頼してもいい仲間の集まりだ。

オレが望んだのだから、そうなるべきなのだ。

……早くこいつに、オレのことを信頼してもらわねばな。


365 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:22:54.86 XXCCD2jmo 260/2638

2010年8月7日土曜日
未来ガジェット研究所


倫子「諸君。土曜日なのにご苦労。本日もマッドに研究していくぞっ!」

ダル「…………」

倫子「(普段ならダルは、『そんなことより、昨夜はお楽しみでしたね、についてkwsk。百合厨の僕としては牧瀬氏が受けの展開キボン』などと言い出すところだが)」

倫子「(オレのよそよそしい態度が伝播してしまったのだろう。若干気まずそうにしている)」

倫子「(こんなことではいけない。機関によるラボメンの切り崩し工作がどこから始まるかわからないのだからな)」

紅莉栖「おいピザ。話は聞いたわよ」ギロッ

紅莉栖「あんた、倫子ちゃんを差し置いて猫耳メイドにうつつを抜かしてたんですって?」イライラ

倫子「倫子ちゃん言うなぁ!」

ダル「おうふ……。正直すまんかった」

倫子「ふん。誠意が見えんな」

倫子「貴様、この美女揃いのラボに居て、自分が世間的にどれだけ羨ましい存在かわかっていないようだなぁ?」

ダル「ぐはぁ! い、いや? 僕だってわかってるのだぜ?」

倫子「貴様のその幸せな日々は、誰のおかげで導かれたのだ。言ってみろ」

ダル「ほ、鳳凰院凶真さんのおかげです、ハイィ……」

倫子「む。よろしいっ」ニコッ

紅莉栖「(かわいい)」

ダル「(かわいい)」

倫子「次は無いからな。まゆり、ハサミ閉まっていいぞ」

まゆり「はーい」チョキチョキ

ダル「オーキードーキー……」

366 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:25:02.43 XXCCD2jmo 261/2638


まゆり「でもでもー、ダルくんはね、本当はとってもオカリンのこと大好きなんだと思うなー」

ダル「ちょ、まゆ氏!?」

倫子「こいつがぁ? そもそも、恋愛感情を持たぬよう命じたのはこのオレだぞ」

まゆり「ううん、そうじゃなくてね、相棒としてだよー♪」

倫子「だが、ラボに誘ってすぐラボに参加しないような薄情者だぞ?」

まゆり「それはねー、オカリンがね、ダルくんが居なくてもしっかりやっていけるかどうか見てたって、ダルくん言ってたよー?」

倫子「な……に……」

ダル「あ、いや……。なんつか、ごめんお、オカリン」

ダル「大学入って、僕みたいなのとつるんでたらオカリンの株が下がっちゃうんじゃないかと思ってさ……」

倫子「そうだったのか……」

倫子「…………」

倫子「まったく、このラボはバカばかりだな」フフッ

ダル「いやあ」

倫子「褒めてないっ!」

紅莉栖「……あれ。私もバカ認定されたっ!?」

まゆり「クリスちゃんは、オカリンバカなんだよー」ニコニコ

紅莉栖「ならばよし」

367 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:27:26.12 XXCCD2jmo 262/2638


・・・

カチャカチャカチャカチャ

倫子「どうだ? 直ったか?」

ダル「さすがにジャンクパーツだとピンキリあるよな。ちょっと良いやつに変えておいたお」

倫子「資金の出処は?」

紅莉栖「私よ。このくらいは出資させて。一晩泊めてもらったしね」

倫子「……まあいいだろう。さて、マシンも直ったところで話を進めよう」

倫子「昨日ダルには話したが、これまでの一連の実験結果を見て、気付いたことがあるっ!」

倫子「Dメールには、不確定要素が強すぎるということだ」

倫子「そこで、今回諸君に集まってもらったのは他でもない。本日の円卓会議の議題は――」

倫子「Dメールではなく、SERNと同じように物理的タイムトラベルという方法を模索したい件について、だっ!」

ダル「(もはや誰も円卓会議についてツッコミを入れないのな)」

紅莉栖「うーん……私たちに本当にそんなことできるのかしら」

ダル「SERNだって未だに成功してないわけですしおすし」

倫子「科学者たるもの、諦めてはならない。それに、我らはすでにDメールという、人類史上初の快挙を達成した実績がある」

紅莉栖「でも、未だにリフターの代替物も解明できてないし」

倫子「それが解明できればいいのだろう?」

紅莉栖「他にも、局所場指定問題がある」

倫子「いやちょっと待て。Dメールは局所場指定をしていないにもかかわらずちゃんと届いている」

紅莉栖「……言われてみれば」

倫子「そうかっ! ここに問題解決の糸口があると見たっ!」パァッ

368 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:28:06.74 XXCCD2jmo 263/2638


ダル「でもさ、Dメールじゃ36バイト+αのデータ量しか送れないじゃん」

紅莉栖「物理的なタイムトラベルは夢のまた夢ね。データが送れるだけでもすごいわよ」

倫子「むむむ……どうすれば……」

紅莉栖「前から思ってたけど、電話レンジカッコカリをしかるべき研究機関に持ち込んで、専門家に委ねればね」

紅莉栖「適切な頭脳と設備、資金によって本格的な開発が進むんじゃないかしら」

倫子「……もし公表すれば、"機関"のヤツらに気付かれてしまう」

紅莉栖「そんな居もしないものを引き合いに出さないで」

ダル「まあ、SERNに知られるのはまずい罠。ハッキングの足はついてないけど、SERNが極秘でやってる研究をバラすようなもんだし」

紅莉栖「あ、そっか……。ホント、世界は欺瞞で満ち溢れているわね……」

まゆり「なんだか怖いね……」

倫子「それに。これが何よりも問題なのだが……」

倫子「公表してしまったら、もうラボでタイムマシンを使えなくなってしまうではないかぁ!」

紅莉栖「――ハッ! 私のアイデンティティがなくなる!?」

ダル「そこかよ」

369 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:29:34.29 XXCCD2jmo 264/2638


倫子「そう言えばダルよ。SERNについて調べは進んだか?」

ダル「一応やってるけど、これと言った成果はナス」

倫子「そうか……」シュン

紅莉栖「(かわいい)」

ダル「そ言えば、今SERNは実験の真っ最中みたいで、LHCがフル稼働してんだよね」

ダル「こっそり使わせてもらえないかなーって準備してみたり」

紅莉栖「嘘っ!? スーパーハカー、恐ろしい子……!」

倫子「クリスティーナ改めネラーよ。この状況をどうみる?」

紅莉栖「ち、違うっ! 私はネラーじゃないっ!」

倫子「ID真っ赤に――」

紅莉栖「してないっ!! ……ハッ」

倫子「煽り耐性ゼロだなぁ、ククク。それで、ダル。IBN5100の解析は順調か?」

紅莉栖「スルー安定ですかぁ!?」ビェェ

ダル「は? なんのこと?」

倫子「例の擬似スタンドアロンデータべースを暴くべく、プログラミング解析をしろと言っただろう」

ダル「ああ、それは無理って言ったじゃん」

倫子「……なぜだ?」

ダル「なぜって、IBN5100が無いからっしょ常考」

倫子「……んん?」

370 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:31:37.56 XXCCD2jmo 265/2638


倫子「IBN5100はオレとそこの助手が手に入れてきただろう」

ダル「へ? いつよ」

紅莉栖「えっと……そんな記憶、ないけど」

倫子「バカな!? だって、開発室のダンボール箱に――」

倫子「……無い。ダンボール箱も、IBN5100も、無い……?」

倫子「ここに置いてあったのにっ……なくなっちゃったよぉ……」ウルウル

まゆり「だ、だいじょうぶ、オカリン……?」

紅莉栖「えっと……?」オロオロ

倫子「疑問符を浮かべるなぁ!!」

倫子「お前達もよく知っているだろう!? フェイリスから託され、ルカ子の神社に奉納されていた、伝説のレトロPCだっ!!」

ダル「神社に奉納とか、妄想乙なんだが」

紅莉栖「もしかしてまた白昼夢、いえ、日常的非病的乖離症状……?」

紅莉栖「岡部、ちょっと休んだ方がいいわ」

倫子「なぁっ……なぜ、記憶がないのだ……」ワナワナ

まゆり「また記憶がなくなっちゃったの?」

倫子「また……? そ、そうか。一連の過去改変で、現在が改変されている可能性……」

371 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:34:41.19 XXCCD2jmo 266/2638


To 桐生萌郁
Sub 至急確認
オレはIBN5100を手に入れ
たはずなんだが、何か知っ
ているか?


倫子「(あいつならIBN5100の居場所を常に気にしていたはずだ。何か知っているかもしれない)」ピッ

紅莉栖「バタフライ効果。どれかのDメールがIBN5100の存在に影響を与えた……」ブツブツ

倫子「おおっ! オレの話を信じてくれるのだなっ!」ウルウル

紅莉栖「(か、かわいい!)」

紅莉栖「でも、これまでのDメールはどれも些細なものばかり。とても影響を与えるとは思えない」

まゆり「ひとつは、ロト6のメールだよね。送ったところは見てないけど、着信履歴はあったもんね」

紅莉栖「あと、私が死んでた云々ってメールか」

ダル「桐生氏のメールは失敗だったんだっけ」

倫子「いや、まだある! その他に、フェイリス杯メール、ルカ子の性別改変メール……」

紅莉栖「でも、そう主張できるのは岡部の主観だけなのよね」

倫子「だから言っているだろぉ! オレだけがリーディングシュタイナーを保持しているのだとっ!」ウルウル

紅莉栖「ぐはぁ! この、罪悪感……」

紅莉栖「ごめん、言い方が悪かった。岡部の現実を疑ってるわけじゃないの、それだけは信じて」

倫子「お、おう……グスッ……」

紅莉栖「(お持ち帰りしたい……)」ウヘヘ

372 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:36:46.03 XXCCD2jmo 267/2638


紅莉栖「さっき、漆原さんとフェイリスさんの名前が出たわね。2人にも確認取ったら?」

倫子「あ、ああ。やってみよう」

prrrrr

るか『はい。岡部さん、こんにちは』

倫子「ルカ子。IBN5100について聞きたい」

るか『え? あいびー……?』

倫子「柳林神社に、9年ほど前に小学生のフェイリスが預けたレトロなパソコンのことだ。知っているな?」

るか『……あ、はい』

倫子「覚えていたか! オレはあれをお前の父上から預かった、そうだな!?」

るか『え……? そんなはずは、ないと思います……』

倫子「なに……? だが、IBN5100が神社にあったのは事実なんだな? 今もあるのか?」

るか『…………』

倫子「(なんだ? なにを言いよどんでいるんだ、ルカ子は)」

るか『ごめんなさい、岡部さん……。ボク、わかりません……』

倫子「そうか……わかった。あとで神社に確認しに行く」ピッ

倫子「次はフェイリスだな。本当はあいつにオレの電話番号もアドレスも教えたくなかったのだが、泣きつかれて渋々教えたことがあった」

倫子「それがここで役に立つとは……」prrrrr

373 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:38:13.46 XXCCD2jmo 268/2638


ピッ

倫子「オレだ」

フェイリス『凶真! その、昨日はダルニャンに悪いことしちゃったニャ。怒ってるニャ?』

倫子「いや、そのことはもうどうでもいい。それより、どうしても聞きたいことがある」

倫子「お前は昔、柳林神社にレトロPCを奉納した。それに間違いはないな?」

フェイリス『そうだニャ。IBN5100って名前だったって知ったのは最近ニャけど』

倫子「(やはり神社に確認しにいかなくては……)」

倫子「(そういえばフェイリスはレトロPCマニアだった。神社のIBN5100以外でも構わないのだから、ほかのIBN5100について聞いてみよう)」

倫子「お前はたしかアキバに強いネットワークを持っているだろう? 今アキバにあるIBN5100を探してもらえないだろうか」

フェイリス『探してもいいけど、条件があるニャ』

倫子「取引を持ち掛けるつもりか……。まあいい。それで、条件とはなんだ?」

フェイリス『じゃあ、これからフェイリスのおうちまで来てほしいのニャ。場所は……』

374 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:41:36.56 XXCCD2jmo 269/2638

中央通り


倫子「で、お前らはどうしてもついてくるのだな」

まゆり「だってね、まゆしぃはフェリスちゃんのおうち、遊びに行ったことないんだもん」エヘヘ

紅莉栖「私もブラックマーケットに参加したい……じゃなくて、あの子かわいいから……でもなかった、えっと、えっと」アセアセ

倫子「ドン引きだぞ」

紅莉栖「ぐはぁ!」

倫子「(ダルは置いて来た。昨日の罪を償ってもらうため、今日は1日フェイリス禁止にしたのだ)」


倫子「(途中、柳林神社に寄り、ルカパパに話を聞いた)」

―――
栄輔(ルカパパ)「おや、鳳凰院くん。今日は天気がいいですね、こんな日はきっと巫女服が似合いますよ」

まゆり「えっへへー、オカリンは何を着ても似合うと思うのです♪」

紅莉栖「岡部の巫女服姿……ハァハァ」ジュルリ

倫子「おい、やめろ! 服を脱がそうとするな! アーッ!」
―――

倫子「(……ともかく、IBN5100はどういうわけか神社のどこにもなかった)」


倫子「ん? あそこに居るのは……指圧師ではないか! おーい、指圧師ー!」

まゆり「あー、萌郁さんだー」

紅莉栖「いつ見ても綺麗な人よね。岡部と並んだら直視できないわ」

萌郁「あいびーえぬ……ない……(どうして見つからないのー!><。 )」

倫子「閃光の指圧師<シャイニングフィンガー>、聞こえていないのか?」

萌郁「……どこかに、あるはず……じゃないと、おかしい……FBが……(死にたいよぉ……ふぇぇ……)」

倫子「桐生萌郁っ!」

萌郁「あっ……岡部姉さん……!(メールの返事ができないくらいパニクってたよぉ><。 )」

倫子「(その表情は少し和らいだ……ように思えたが)」

倫子「ね、”姉さん”!?」

375 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:44:46.46 XXCCD2jmo 270/2638


倫子「……まあいい。なあ萌郁、ラボにあったIBN5100を知らないか」

倫子「貸し出すのは2週間ほど待ってほしいと言ったはずなんだが」

倫子「オレはお前が持って行ったとは思いたくない。仲間だからな……」

萌郁「IBN5100、見つけたの!?」ガシッ

紅莉栖「キマシ!」

倫子「ヒィッ! 急に肩をつかむなぁ!」ガクガク

倫子「い、いや、見つけたはずが、今日になって失くなっていたのだっ!」

萌郁「……っ!!」ポチポチポチ

ピロリン♪

倫子「『きちんと説明してほしい。IBN5100をどこで見つけたの? 萌郁』……このようすだと、本当に知らないようだな」

倫子「……すまない、指圧師よ。オレは、ラボメンであるお前を、仲間を、疑ってしまった……」

萌郁「……? IBN5100は、姉さんと一緒に見つける約束……(またいつものお芝居だったのかな(´・ω・`) )」

倫子「(そうか。そういう記憶、というか歴史になっているのか)」

倫子「もちろんだ。共に真実に辿り着くぞ、萌郁っ!」

萌郁「うん……(IBN5100、一緒に見つけようね(^^♪ )」

376 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:47:32.93 XXCCD2jmo 271/2638

秋葉原タイムスタワー
秋葉邸


まゆり「リアル執事さんだー……」

黒木「ようこそおいで下さいました。鳳凰院凶真様と、そのお友達の皆さま」

フェイリス「ニャニャ? マユシィとクーニャンも来たのかニャン?」

紅莉栖「くーにゃん? 私のことか……」ハァ

フェイリス「……クーニャンって、この間メイクイーンで会ったのが初めまして、ニャ?」ジーッ

紅莉栖「うん? そうですよ。私、7年ぶりに日本に帰ってきたので」

紅莉栖「(こんな可愛らしい子に見つめられると……ウフフ)」

フェイリス「フェイリスに敬語はいらないニャン♪」

紅莉栖「あっ……うん、わかったわ!」

紅莉栖「でもなんだろう、こんな感じの家に一度来たことがある、ような気が……」

倫子「既視感<デジャヴ>だな。あるいは、別世界の記憶を受信しているのかもしれない」

フェイリス「ニャニャ!? クーニャンは前世でフェイリスの母星、チンチラ星の住人だったのニャ!?」

まゆり「えー、そうなの? クリスちゃんはすごいニャー♪」

紅莉栖「厨二病世界に巻き込まないでぇ!」

377 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:49:43.42 XXCCD2jmo 272/2638


倫子「しかしこの豪邸……フェイリスが金持ちなのは知ってはいたが、一体何者だ?」

フェイリス「実は、この辺の土地は元々、秋葉家のものだったのニャ」

紅莉栖「なん……だと……」

まゆり「そっかー、だから秋葉さんなんだねー」

フェイリス「ちなみに、フェイリスはアキバの都市開発計画にも結構な発言力を持ってるニャン」

フェイリス「アキバの各ショップに萌え文化を積極的に導入するようお願いしたのは、フェイリスなのニャ」

フェイリス「でもでもー、これは内緒の話ニャ。みんなにはこれまで通りフェイリスラブの大ファンとして接してほしいニャ♪」

倫子「この2人は知らんが、オレは貴様のファンなどではないっ!」

フェイリス「ニャニャ! まさか、前世からの宿縁を背負う永遠のライバルだとでも言うのかニャ!?」

倫子「違うっ! オレは、フェイリスの友達だっ!」

フェイリス「ニャ……」

倫子「たとえ権力者だろうが大地主だろうが、そんなことでオレたちの絆は変わらんっ!」

まゆり「まゆしぃもフェリスちゃんのお友達だよー! えっへへー♪」

紅莉栖「じゃ、じゃあ、私も……///」

倫子「クリスティーナの下心が手に取るようにわかるな……」

フェイリス「……さすが凶真。フェイリスの弱いところを的確に突いてくるニャァ」

フェイリス「これまでいろんな人と会ったけど、"秋葉の跡取り"って話すと、みんなフェイリスをフェイリスとして見てくれなくなるのニャ」

倫子「(そんな理由でこいつ、友達が少ないのか……。金持ちの家に生まれるというのも考え物だな)」

378 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:52:50.84 XXCCD2jmo 273/2638


倫子「しかし広い家だな。マンションなのに、何部屋あるんだ?」

まゆり「このお部屋はなんのお部屋ー?」

フェイリス「そこを開けてはならないニャ。犬耳が生える呪いがかかっているのニャ!」

倫子「レトロPCの部屋……か。父親が集めていた、とか言っていたな」

フェイリス「PCだけじゃなくて、古い家電なんかもコレクションされてるのニャ♪」

まゆり「えぇー? じゃあーこっちの、壁と同じ色になってるお部屋は?」

フェイリス「ニャ……ニャニャ!? マユシィ、なんでそこに部屋があるってわかったニャ!?」

フェイリス「ダメニャ!! そこは絶対開けちゃダメニャ!!」キシャー

フェイリス「10年に及ぶ凶真関連のコレクション……は、入ってなんかいないニャ?」アセアセ

紅莉栖「フェイリスさんっ!! 私、あなたにどうしてもお願いがあるんですっ!!」ガバッ

フェイリス「ニャァ!? クーニャン、土下座はやめるニャァ!」

まゆり「あ、オカリン、こっちにふかふかベッドがあるよー♪」

倫子「(都合のいいことにフェイリスの珍しい狼狽ぶりと助手の暴走ぶりはオレの耳には入らなかった)」

379 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 20:58:10.35 XXCCD2jmo 274/2638


倫子「それでフェイリスよ、IBN5100を探す代わりの交換条件とはなんだ?」

フェイリス「フェイリスからの条件は――」

フェイリス「タイムマシンを使わせてほしいニャ」

倫子「そう言えばそんなことを言っていたな……」

倫子「タイムマシンは我がラボにおける最重要機密事項だ。どうしても使いたいと言うならば、ラボメンになってもらう必要があるが?」

フェイリス「えっ……そ、それホントッ!?」ギュッ

倫子「うおっ!? 急に手をつかむな……」

フェイリス「ラ、ラボ、ラボメ……フェイリスが、ラボメン……」ワナワナ

フェイリス「ウニャアアアアアアアアッ!!!!!!!!!!」

倫子「ヒィッ!?」ビクッ

紅莉栖「!?」

まゆり「!?」

フェイリス「我が生涯に、一片の悔い無し、ニャ……」バタッ

倫子「い、意味がわからんぞ。おい、フェイリス。……フェイリス?」

倫子「……返事がない。ただの屍のようだ」

紅莉栖「フェイリスさーん!! 帰って来てーっ!!」

380 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:00:46.43 XXCCD2jmo 275/2638


フェイリス「タイムマシンが使える上にラボメンにしてくれる……こんな幸せなことがあるニャんて、想像もしてなかったニャ」

倫子「なんだ、フェイリスもラボメンになりたかったのか。そうならそうと早く言ってくれればよかったのに」

フェイリス「ニャニャニャ!? フェイリスからの協力は一切拒否するって言ったのは凶真ニャ!」

フェイリス「あの時フェイリスは、サイコエリアの第4層にまで及ぶ深い深ーい傷を負ってしまったのニャ……」

倫子「あ、あれは、お前が莫大な資金提供の代わりにオレを1日召使いにするなどと言いだしたせいだっ!」

フェイリス「召使いじゃなくてメイドだって言ったニャ!」

倫子「同じだろうがっ!!」

紅莉栖「ちょっと、ストップ! 話が進まないじゃない!」

倫子「ともかくだな! フェイリスをラボメンナンバー007に認定するっ!」

フェイリス「勝った!! 第3部完ッ!! ニャ!!」

紅莉栖「話を終わらせないでぇ!!」

381 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:04:35.34 XXCCD2jmo 276/2638


倫子「そう言えば、フェイリスはさっきの握手までオレの身体に触れたことは一度もなかったな」

倫子「お前の仕事ぶりからして、他人とすぐ物理的に接触するのはクセのようなものだと思っていたが」

フェイリス「実はマーケット参加者には血の盟約が交わされているんだニャ」

倫子「……知りたいような、知りたくないような」

フェイリス「第359条。鳳凰院凶真に自ら肉体的接触をしてはいけない。但し、鳳凰院凶真から触ってきた場合は除く」

倫子「…………」ゾワワァ

紅莉栖「でも、フェイリスさんはさっき触ったわよね? この場合、どうなるの?」

フェイリス「ペナルティが課されるのニャ。その内容はMM<マーケットマスター>によってダイスが振られるんニャけど、今回は代理投擲による――」

倫子「……も、もういい。聞いたオレがバカだった」

倫子「(第359条ってなんだ!? 何条まであるんだ!? MMってなんだよ!? 何人が参加してるんだ!?)」ガタガタ

まゆり「オカリン、手が震えてるよ? だいじょうぶ?」ギュッ

倫子「おお、まゆり……! お前のこの小さな両手がこんなに頼もしく思ったのは初めてだ……!」

382 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:06:59.96 XXCCD2jmo 277/2638


紅莉栖「話をタイムマシンに戻すけど、実際フェイリス様……じゃなかった、フェイリスさんが実験を手伝ってくれたらもっとデータが取れるわね」

倫子「そうだなっ! 貴様は実験台なのだぞ、大人しくするがいいっ!」

倫子「すべては運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択っ! ふぅーははは!」

紅莉栖「若干やけになってるわね……そんな岡部も素敵だけど」

倫子「それで、説明は受け終わったのか?」

フェイリス「クーニャンにバッチリ教えてもらったニャ♪」

紅莉栖「ラボに残ってる橋田とも電話繋がってる。今準備中よ」

ダル『2000年4月3日午前8時へはっと……はーい、電話レンジはオッケーだお』

倫子「了解だ。フェイリス、メールの内容を教えるのだ」

フェイリス「そ、それはその……」

フェイリス「は、恥ずかしいニャ! 企業秘密だニャン!」

倫子「…………」

倫子「……いい加減、オレも堪忍袋の緒が切れそうだ」イラッ

倫子「貴様ぁっ! オレがどれだけお前の悪行の数々を見逃してやっていると思っているんだっ!」

フェイリス「なに言ってるニャ! これは交換条件だニャ! そっちがそう言うなら、IBN5100の話はなかったことにするニャ!」

倫子「ぐぬぬ……この猫娘が……っ!」

フェイリス「だてに会社運営をやってないのニャ……ッ!」

紅莉栖「実際訴えられたら負けるわよね、フェイリスさんって……」

383 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:08:35.85 XXCCD2jmo 278/2638


倫子「秋葉留未穂。お前に、ラボメンとして、そして1人の友人として問いたい」

フェイリス「ニャゥッ!? そ、それは卑怯だニャァ……」

倫子「恥ずかしいとはいえ、オレに言えないほどなのか。そんなにオレを信用していないのか?」

フェイリス「凶真は誰よりも信頼しているニャ。だけど……」

倫子「正直に話せ。オレは嘘が嫌いだ」

倫子「今のお前は、お前を利用しようとして近づいてくるような汚い人間どもと同じだぞ」

フェイリス「――っ!!」

紅莉栖「ちょっと岡部、少し言い過ぎじゃ……」

まゆり「オカリン……フェリスちゃん……」オロオロ

フェイリス「……わかったニャ。正直に話すニャ」

フェイリス「――パパを、助けたいのニャ」

倫子「パパさんを?」

384 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:10:43.83 XXCCD2jmo 279/2638


フェイリス「パパは10年前、飛行機事故で死んじゃったのニャ」

紅莉栖「飛行機事故……? それだったら有名な事故のはずよね」

フェイリス「ううん、死んだのは、乗客乗員合わせてもパパだけだったんだニャ」

倫子「なんだと!? そんなバカなことって起こり得るのか!?」

紅莉栖「私は岡部みたいな陰謀論者じゃないけど、さすがになにかあるんじゃないかと疑っちゃうレベルね……」

フェイリス「ちょうど90年代後半から2000年にかけては、パパの会社はITバブルに乗っかっていた頃だったのニャ」

フェイリス「90年代前半はバブル崩壊やメキシコ通貨危機の影響で業績が悪化してたから、その躍進はめまぐるしいものだったんだニャ」

倫子「あまりに目立った成長だったため、ライバル企業から刺客を送られ、事故に見せかけた暗殺……」

紅莉栖「そうと決まったわけじゃないけど、事実関係はもっと洗うべきね。警察は?」

フェイリス「警察はハナから事故として断定してたのニャ」

倫子「国家権力を丸め込むのは陰謀の基本だ。くそっ、10年も前では調べようが……」

倫子「……そうか。そのためのDメールかっ!」

385 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:12:25.74 XXCCD2jmo 280/2638


倫子「お前の父上を飛行機に乗らせないようにする。そういうことだな? フェイリス」

フェイリス「さっすが凶真! そういうことだニャ」

倫子「Dメール送信で父上が亡くならなければ事故……」

倫子「それでも亡くなっていれば間違いなく暗殺……。まさかDメールにこんな使い方ができるとはな」

紅莉栖「でも待って! それって、死者を蘇らせることになるのよ?」

紅莉栖「冗談じゃなく、どんな事態を引き起こすかわからない」

紅莉栖「世界の因果が崩壊して、文字通り宇宙が破滅するかもしれないのよ! もっと慎重になるべき」

倫子「だが、真実の究明にはこれしかないのも事実だ」

倫子「それに、オレはリーディングシュタイナーを発動させることで改変前後を比較できる」

倫子「お前は科学者として、事実をうやむやにすることを良しとするのか?」

倫子「フェイリスの父上の死を、闇に葬っても良いというのか?」

紅莉栖「それとこれとは……ああもう、お願いだから時間をちょうだい!」

まゆり「うーん……まゆしぃには難しくてなんだかわからないけど、時間をかければ答えが出るのかなー?」

紅莉栖「それは……」

フェイリス「……ダルニャン。聞こえているニャ? 今すぐスイッチを押してほしいニャ」

ダル『オーキードーキー。放電現象、始まったお』

紅莉栖「ちょっと!!」

フェイリス「クーニャン、ごめんニャ。でも、フェイリスは可能性に賭けるしかないんだニャ」ポチッ

386 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:13:37.18 XXCCD2jmo 281/2638


―――――――――――――――――――
    0.46903  →  0.40923
―――――――――――――――――――

387 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:15:37.84 XXCCD2jmo 282/2638


倫子「……また、この目眩か」

倫子「さて、世界よ。変貌を遂げたその姿を現すがいい……!」チラッ


紅莉栖「ふむん、そんな戦術もあるのね。興味深いわ」

まゆり「あわわー、またウイルスカード?」

フェイリス「またフェイリスの勝ちだニャン♪」

まゆり「”待った”はだめかニャー?」

フェイリス「フェイリスの真似してもダメニャ♪」


倫子「呑気に雷ネットABで遊びおって。それより、フェイリスの父上は……」キョロキョロ


フェイリス「今度の公式大会では絶対に優勝するってパパに約束したニャ! その日までは誰にも負けられないニャ!」

倫子「……公式大会? パパに約束? ということは、お前のパパ上は生きているのだなっ!?」

倫子「(今まで一度も公式大会に出たことがなかったフェイリスが、パパさんが生きていることで変わった……?)」

フェイリス「ニャ? ……どういう意味ニャ。事と次第によってはぁ~……」

紅莉栖「岡部のその、人を勝手に殺す癖はあんまり慣れないな……」

倫子「あ、いや、そうではなく……」

初老の男性「失礼。留未穂、ちょっといいかな」

フェイリス「あ、パパ!」

倫子「あの人が、パパさん……!」

388 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:17:23.89 XXCCD2jmo 283/2638


倫子「(父上は黄泉の国より舞い戻った……実験は成功したのだっ!)」

倫子「ついにオレは、神の禁忌を破ってしまった……ククク、ふぅーははは!」

紅莉栖「いつにもまして突然ね……なにか良いことでもあった?」

倫子「(そうか。この世界の歴史では、パパさんは10年間生きているのだから下手な発言はできないな……)」

倫子「いやなに。父と娘の仲が良さそうで嬉しいだけだ」

紅莉栖「……そうね。私もちょっとうらやましい」

フェイリス「ごめんニャ。フェイリス、これからパパと出掛けなきゃいけなくなっちゃったニャ」

まゆり「それじゃー、まゆしぃたちはこれでバイバイさせてもらうね」

紅莉栖「今日は来れてよかったわ。ちょっとした奇跡よね」

倫子「む? 何がだ?」

幸高(パパ)「紅莉栖ちゃん、またいつでも遊びに来るといい。留未穂も喜ぶよ」

フェイリス「もうパパ~。それじゃ、お見送りするニャ!」

389 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:18:10.99 XXCCD2jmo 284/2638

中央通り


倫子「(結局、例の飛行機事故は天文学的な可能性で起こった事故だった、というわけだ)」

倫子「(ググってみたら、10年前の事故は死者0人となっていた。パパさんは飛行機に乗らなかったのだ)」

倫子「(狂気のマッドサイエンティストであるオレが蘇らせたわけだが……そのことを改変後の世界で吹聴しても意味がないだろうな)」

倫子「(あいつの幸せそうな顔が見れただけでも良しとしよう……)」

倫子「ところで、クリスティーナ。フェイリスのパパさんと仲良さげだったが、なにかあったのか?」

紅莉栖「えっ? あったもなにも、こっちがビックリよ。って、岡部も話聞いてたでしょ?」

倫子「……秋葉原の全景を見下すのに忙しくて聞いてなかった」

紅莉栖「……はぁ。えっと、私と留未穂ちゃん、じゃなかった、フェイリスが幼馴染だった、って話よ」

倫子「へぇー、そうだったのか」

倫子「…………」

倫子「…………」

倫子「は、はぁ!?!?!?」

390 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:20:04.51 XXCCD2jmo 285/2638


紅莉栖「だ、大丈夫よ! それでも岡部が私の一番の友達、だから///」

倫子「いやいや! そんなことを心配してるわけではなくだなぁ!?」

倫子「どういうことだ!? なんの因果でそんなことになった!?」

倫子「(これも過去改変の影響か!? パパさんが生きていることで2人は幼馴染になってしまったというのか!?)」

紅莉栖「なんの因果って、私のパパとフェイリスのパパが大学の同期で親友なのよ」

倫子「なるほど、それで娘同士も自然に仲が良くなり、と。……衝撃の事実だ」

紅莉栖「向こうは源氏名だったから、パパさんに会うまで思い出せなかったけどね」

倫子「源氏名てお前……」

紅莉栖「7年ぶりに会えた友達……ふふ、私、日本に戻って来て良かった」ニコ

倫子「な……。ま、まあ、お前が喜んでいるようなら、別にいい」

紅莉栖「ん? 岡部は何もしてないでしょーが」

倫子「はぁ!? あのな、誰のおかげで……。あ、いや、なんでもない」

倫子「(記憶が失われるというのは、厄介だな……)」

紅莉栖「(もしかして……私とフェイリスの仲を妬いてる!?!?!?)」

紅莉栖「岡部はかわいいなーもう♪」ダキッ

倫子「ふわぁ!? って、お前、ブラックマーケットの血の盟約はどうしたのだ!? 入ったのだろう、貴様も!」

紅莉栖「……また設定? はいはい、厨二病乙~♪」ギュッ

倫子「やめろ、離せぇ! 暑苦しいっ!」ジタバタ

倫子「(こいつ、結局フェイリスの闇市場には参加しなかったのか? ……まあ、それならそれでいいが)」

倫子「……って、あれ? まゆりは?」

紅莉栖「あれっ? ……あ、あんなところに」

391 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/22 21:21:42.21 XXCCD2jmo 286/2638


倫子「おーい、まゆり。どうしたんだ?」

まゆり「あ、オカリーン。あのね、まゆしぃはこれからおうちに帰るんだけど、中野に寄って行こうと思って」

倫子「(沈黙の直帰<スニーキング・フェードアウト>が発動したか。まったく心配させる)」

倫子「そもそも中野に何の用があるというのだ」

まゆり「あのね、昨日出た『哀ソード』の同人誌を買いに行くのです」

倫子「またまゆりはよくわからんことを。同人誌だったらそこに『とらのあな』があるではない……か……」

倫子「(あ、あれ? たしかにここ、アニメイトの隣だったと思うのだが……)」

倫子「(アニメイトも無い。というか、こんなところに電器店などあったか?)」

紅莉栖「岡部? どうしたの? 結婚する?」

まゆり「とらのあななんてアキバにないよー。だからまゆしぃは中野まで行くのです」

倫子「ないって……そんな、まさか。いや、それしか考えられない……っ」



倫子「――バタフライ、エフェクトッ!!」

397 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:45:24.35 xVh1B71ho 287/2638


倫子「――ないっ、ないっ、ないっ!!」ハァッ、ハァッ

倫子「まんだらけも、ラムタラも、ゲーマーズも……」ハァッ、ハァッ

倫子「メイクイーン+ニャン2までも……」ハァッ、ハァッ

まゆり「オカリン、突然どうしたのー?」タッタッタッ

倫子「まゆり。お前、メイクイーンで働いていたよな?」

まゆり「ジャガイモさん?」

倫子「じゃなくて、お前のバイト先だよ!」

まゆり「まゆしぃがバイトしてるのは『ルモアンヌ』だよ?」

倫子「……普通の喫茶店か。名前は知っている」

紅莉栖「この前萌郁さんをラボメンにした時、一緒に行ったじゃない。まゆりのウェイトレス姿、ステキだったわよ」

まゆり「えっへへー。ありがとー、クリスちゃん♪」

倫子「(まさかまゆりのバイト先まで変わってしまうなんて……)」

倫子「(原因はなんとなくわかる。フェイリスはアキバの都市開発に萌えを導入した張本人だった)」

倫子「(父上が生存することによってここ10年間の都市計画そのものが変化してしまった、ということだろう)」

倫子「(オレが……、このオレが、街をひとつ変えてしまった?)」ガクガク

倫子「(いや、誰の記憶にもないのだから、オレが責められることもないが……)」ブルブル

紅莉栖「岡部……?」

398 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:46:14.66 xVh1B71ho 288/2638

秋葉原某所


萌郁「どうしてFBは……あんなことを……」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
3日前(萌郁の記憶)
8月5日木曜日


萌郁「…………」ポチポチポチポチ


To FB
Sub IBN5100
ごめんなさい……
例のIBN5100だけど、
まったく情報がつかめな
いの。


ピロリン♪

萌郁「っ!」ピッ


From FB
Sub Re:IBN5100
報告ありがとう。IBN5
100の件はしばらく置い
ておくわ。
実はM4には別の任務を
お願いしたいの。
未来ガジェット研究所って
組織について調べて。
できれば潜入して監視をお
願いしたいんだけど大丈夫
かしら?
危険な任務だから無理にと
は言わないわ。


萌郁「…………」ポチポチポチポチ


To FB
Sub IBN5100
私は大丈夫。
任せて。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



399 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:47:40.04 xVh1B71ho 289/2638

2010年8月8日日曜日
中央通り


prrrr

倫子「(変わり果てた秋葉原を散策していたら助手からメールがきた)」


From 助手
Sub ここにいること
どうして私はここにいるの
? どこで歯車は狂ったの
? 運命の女神様は本当に
いるの? 岡部、私を巻き
込んだ責任取りなさいよね
。私は貴女を信じてる。


倫子「謎ポエムをよこしおって……。牧瀬紅莉栖の憂鬱、アニメ化決定だな」ピッ

prrrr

倫子「またか……。連投レスとは、半年ROMっていろ!」ピッ


From patghqwskm@ninesixpbb.ne.jp
Sub
姉さんのこと見てるよ(≧▽≦)
▼添付画像アリ


倫子「なんだ、これ……?」

倫子「(なにしてるんだ指圧師。なんだこのアドレス?)」

倫子「(それにこの添付画像……、赤いゼリー?)」

倫子「冗談はやめてIBN5100を捜索しろ……と。普通に返事をしておこう」ピッ

倫子「帰りにゼリーでも買って帰るか」

400 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:51:27.85 xVh1B71ho 290/2638

未来ガジェット研究所


倫子「盆休みの日曜だというのに、男遊びの1つもしてないのかお前たちは。ほら、安売りのゼリー買ってきたぞ」

まゆり「オカリン、おかえりーん。わーい、ゼリーだぁ♪」

るか「お邪魔してます、おか……凶真さん」

萌郁「…………(お邪魔してるよー(≧▽≦) )」

紅莉栖「それはブーメランでしょ。私とデートする?」

倫子「フン、オレは俗世と違って男に興味などないが、女とイチャつく趣味もない」

紅莉栖「……それとなく暗示をかけて……いっそのこと開頭して洗脳……」ブツブツ

倫子「というか、指圧師よ来ていたのか。IBN5100は見つかったか?」

萌郁「IBN5100は……ひとまず中断……」

倫子「ほう? あんなに必死に欲していたのにか」

倫子「(これも過去改変の影響か?)」

倫子「それで、ラボメンガールズたちで何を話していたのだ?」

紅莉栖「複数形のsと”たち”で意味がかぶってる」クスクス

倫子「いちいち揚げ足を取るなぁ!」ウルウル

紅莉栖「(今日のかわいい、いただきました)」

萌郁「…………(えっとねー。色々あってね? )」ポチポチポチ

ピロリン♪

倫子「『岡部姉さんのステキなところについて語り合ってたよ(^^♪ 萌郁』……まあ、楽しそうでなによりだ。うん」

まゆり「メロン味のゼリー、おいしいのです♪」モグモグ

401 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:54:41.27 xVh1B71ho 291/2638


紅莉栖「まゆりはいいわね、いくら食べても太らなくて」モグモグ

まゆり「そんなことないよー」

るか「牧瀬さん、スレンダーですよね」

紅莉栖「そ、そうかしら。ありがと」

まゆり「萌郁さんもね、スタイル抜群だからコスプレ映えすると思うなー」

萌郁「…………」ポチポチポチ

ピロリン♪

まゆり「あれ? 萌郁さんからメールだー。えっと、『コスプレは恥ずかしいなぁ(/ω\) 写真を撮る方だったら得意だよ! 萌郁』」

まゆり「ホントー! じゃあ、今度のコミマ、一緒に行こうよー!」

倫子「随分打ち解けたようだな」フッ

萌郁「…………」ポチポチポチ

ピロリン♪

倫子「『みんな優しい人で良かった(^^♪ だけど、今まで友達なんて居たことないから、こんな接し方でいいのかわからないよ。 萌郁』」

倫子「いいんじゃないか? わからないなりにそれが正解なんだと思うぞ」

萌郁「…………(いいこと言うなぁ。さすが私の姉さん!)」


紅莉栖「こんなこと言うのも変なんだけど、私と桐生さんってどこか似ている気がするのよね」ヒソヒソ

倫子「ほう、珍しいことを言う」

紅莉栖「承認欲求が人一倍強いくせに孤独になりたがって、その上自分のホームを探してる」

倫子「自分で言うか、それ」

紅莉栖「か、観察の結果よ! 客観的な分析のもとに導出された解であって、変な意味は……」

倫子「はいはい」フフッ

402 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:56:03.09 xVh1B71ho 292/2638


倫子「それで? まゆりとルカ子はなにを読んでいるんだ?」

まゆり「昨日中野でね、チェックしてなかったサークルさんの"月華の刃"の新作が置いてあって、つい買っちゃったのです」

るか「原作は知らないですけど、衣装にこだわりがあって、見ていて面白いです」

倫子「……これ、BLじゃないか。ルカ子よ、お前……」

るか「えっ? えっと、びーえる、って、なんでしょうか……?」

紅莉栖「月華は単純にカップリングじゃ語れないわよ。琴たんの活躍は燃える。萌えるじゃなくて燃える、ね」

倫子「おいクリ腐ティーナ。貴様、百合厨から対極の存在へとクラスチェンジしたのか?」

紅莉栖「クリフ……っ!? その呼び方はやめてぇ!! 別に私は百合厨でも腐女子でもないからなぁ!?」

倫子「黙れこのクソレズ万年発情百合腐女子っ! あまつさえオレを腐界へと導こうという腹積もりらしいがそうはいかんっ!」

紅莉栖「じゃあ逆に聞くけど、まゆりがBL本読んでるのはOKなの!?」

まゆり「オカリンもねぇ、読み始めたらきっとハマると思うのです♪」

倫子「まゆりは健全な腐女子だから問題ない」

紅莉栖「どういう……ことなの……」ガクッ

403 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 21:57:29.83 xVh1B71ho 293/2638


まゆり「そうだぁ! コミマが終わったら、ラボメンのみんなで一緒に海に行こうよー!」

紅莉栖「……まゆり、グッドアイデア」タラタラ

倫子「鼻血を拭け、バカモノ」

紅莉栖「私、水に浮かんでる感覚って好きなのよね。久しぶりに行きたいなー、海」チラッチラッ

倫子「(こいつ……)」

紅莉栖「いいじゃない、海。一緒に行きましょうよ」

倫子「HENTAIが居なければオレだって諸手を挙げて賛成なんだがな」

紅莉栖「もしかして鳳凰院ちゃん、臀部の蒙古斑が見られたくないんでちゅかー?」ニヤニヤ

倫子「ちゃん付けするなぁ! というか、ネラークリスのネット弁慶さを抽出したような煽り文句はやめるのだ……っ!」ウルウル

紅莉栖「ご、ごめん。ってか、私は岡部と海に行きたいっ!」

倫子「もちろんダルもラボメンだから連れて行くぞ」

紅莉栖「HENTAIは不要」

倫子「萌郁やフェイリス、まゆりと乳比べすることになるが構わないか?」

紅莉栖「ちちっ!? ……か、構わない。岡部の水着姿が見れるなら全然構わない」ギリギリ

倫子「(歯ぎしりをするほどか……)」

まゆり「ひんにゅうは正義だよ、クリスちゃん。るかちゃん」

倫子「おいおい、ルカ子を引き合いに出してやるなよ。男と比べるのはさすがに“絶壁<クリフ>”ティーナが可哀想そうだろ」

紅莉栖「えっ」

まゆり「えっ」

るか「…………」

萌郁「…………」

倫子「あ、あれ……?」

405 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:04:41.30 xVh1B71ho 294/2638


紅莉栖「……ごめん。私、岡部のこと大好きだけど、さすがに怒らせて」

紅莉栖「あんたは“男”って言われてもいいかもしれないけどね、胸の話でそれは無いと思うわ」

まゆり「そうだよ、オカリン。そういうこと言うの、まゆしぃは好きじゃないな……」

るか「…………」グスッ

倫子「百合スティーナよ。お前が現実から目をそむけたくなるのもわかる。だがな――」

紅莉栖「岡部ッ!!」キッ

倫子「ヒッ!?」ビクッ

紅莉栖「私を変な呼び方で呼ぶのは構わない。でもね、他人を傷つける冗談を言うのは……」

紅莉栖「サイテーよ」

倫子「な……なにを怒っている……」ワナワナ

紅莉栖「謝りなさいッ! 今すぐ、漆原さんに謝りなさい!」

倫子「やめてよ……なんで私に怒るの……」ウルウル

倫子「わた……オ、オレは、真実しか言ってな――」

るか「いいんですっ」

るか「ボク……岡部さんに、そういう風に見られてたんですね」ウルッ

倫子「お前まで何を言っているっ! お前は男だよなぁ!? そうだよなぁ!?」

紅莉栖「ッ!!」



バシッ!



倫子「え……」ジンジン

倫子「(なにが起きた……? 助手に、ビンタされた……!?)」

406 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:07:03.90 xVh1B71ho 295/2638


倫子「うぇ……ひぐっ……」ウルウル

るか「ま、牧瀬さん!?」

まゆり「クリスちゃん……」

紅莉栖「あっ……ご、ごめん、岡部……」オロオロ

倫子「謝るなら最初からするなぁ……うぅ……」グスッ

紅莉栖「私の信じた貴女が、ひどい人になるのが耐えられなかった……」

紅莉栖「それに、同じ女として許せなかった……」

倫子「…………」

倫子「……だが、顔を叩かれたおかげで冷静さを取り戻せたようだ」

倫子「つまりは、ルカ子は女として生まれ変わっていた――」

倫子「あのポケベルへのDメールによって16年の歴史が塗り替わった、ということだな」

紅莉栖「えっ……? それじゃあ……」

倫子「Dメール実験が成功した場合、記憶を引き継げるのはリーディングシュタイナーを持つオレだけ」

るか「えっと……?」

倫子「今のお前達には信じられないかもしれないが、漆原るかは8月5日までは本当に男だったのだ」

紅莉栖「……そんなっ!? し、信じられないけどその可能性も否定できなうわあああああああああ!!!!!!!!」

407 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:12:18.05 xVh1B71ho 296/2638


倫子「(性別を変えるような過去改変はどのように実行されたか、そして男性だった頃のルカ子の状況を説明した)」

紅莉栖「死んで詫びるわ!!! 死んで詫びるわ!!!」ゴツッ!ゴツッ!

萌郁「土下座しながら……床に頭突き……(痛そうだなぁ>< )」

倫子「オレが虚言妄想の類をまき散らしている可能性も否定できないのだから仕方ない」

倫子「それに、ルカ子が男だったという方が信じられない。女よりも女らしかったからな」

るか「よくわかりません……」

まゆり「まゆしぃにはちんぷんかんぷんだよー。オカリンは嘘をついてないってこと?」

紅莉栖「状況証拠はいくつもあるし、なにより岡部があんなひどい嘘を言うなんて信じられない!」

紅莉栖「それに漆原さんのお母さんに確認すればいいだけの話よ! 過去改変の結果だけは改変後の世界にも残り続けるんだから!」

るか「そ、そうなんですか? 今からお母さんに電話してみます」ピッ

紅莉栖「あなたがお腹の中にいる頃に、ポケベルに変なメッセージが来なかったか聞いてみて!」

倫子「たしか、『やさいくうとげんきなこをうめる』だったか」

るか「……はい、うん、わかった。それじゃ」ピッ

るか「お母さん、たしかにそういうメッセージを受信してました。それで野菜をたくさん食べたそうです」

るか「でも、ボク、頭がこんがらがって……、どうしたらいいんでしょう……」グスッ

倫子「……お前にとっては女として生きてきた16年間のほうが現実なのだ。複雑に考える必要は無い」

るか「で、でも……」

倫子「大丈夫だ。たとえ何があろうとルカ子はルカ子、オレの大事な弟子だ」

るか「はいぃ……(きゅん///)」

ゴツッ!ゴツッ!

まゆり「クリスちゃん、そろそろやめた方が……」

紅莉栖「こ゛め゛ん゛ね゛お゛か゛へ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!!!!!」ゴツッ!ゴツッ!

萌郁「おでこから血が出てる……(写真撮っちゃお!)」パシャ

ガチャ

鈴羽「たいへんっ! 2階がドンドンうるさいからって店長怒ってるよ! 何やってんの!」

倫子「何ィ!? 今すぐ謝りに行くっ! 助手は自傷行為を直ちにやめなさいっ!」

紅莉栖「迷惑ばっかりかけてごべんねぇぇぇ!!!!」ビェェェ

408 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:14:26.02 xVh1B71ho 297/2638

大檜山ビル前


倫子「(なんとかミスターブラウン氏には弁明させてもらえた……が)」

倫子「なんだが気疲れしてしまったな……」

鈴羽「だったらさ、一緒にサイクリングでもしない? 今日みたいに天気のいい日は気分がスカッとするよ」

倫子「そう言えば、なんだかバイト戦士も元気無さそうだな。なにかあったのか?」

倫子「(いつもならもっと助手と喧嘩したり、わけのわからん面倒事を起こしそうなもんだが)」

鈴羽「えっ? ……あはは、さすが鳳凰院凶真。まあ、そんなところ」

倫子「前にケータイで調べていた事件のことか?」

鈴羽「あー、あれね。うん、容疑者は見つけたんだけど、事件の情報が全然見つからなくてさ」

倫子「というか、チャリは1台しかないではないか」

鈴羽「2人乗りすればいいじゃん。もちろん、あたしが漕ぐよ」

倫子「ミスターブラウンがこっちを見ているぞ?」

鈴羽「ちょっと待ってて……許可取ってきた。ほら、行こう!」

倫子「あ、おい、ちょっと!」

409 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:15:16.25 xVh1B71ho 298/2638

UPX前


倫子「思いのほか筋肉質なのだな」

鈴羽「まーね。戦士だもん」キーコキーコ

倫子「(今オレは鈴羽の肩をつかみ、背後に立つ形で2人乗りしているわけだが、肩甲骨の下のあたりなんかはキュッと引き締まっている)」

倫子「(特筆すべきはヒップだ。女のオレでさえその形と感触に惹かれてしまう)」

鈴羽「あんまり触られるとくすぐったいな、あはは」キーコキーコ

倫子「す、すまん! 決してHENTAI的な意味ではなくだなっ!」アセッ

鈴羽「わかってるって。レジェンドは最期まで純潔を守り抜いたしね」

倫子「またその話か。なんなんだ、それ」

鈴羽「あたしさ、東京に来たのは10日前が初めてなんだよね」

倫子「未来から来たのが、という意味か?」

鈴羽「あっ、あの辺座ろうよ。ちょっと自転車停めてくるね」

倫子「(まともに会話できない……)」

410 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:17:41.71 xVh1B71ho 299/2638


鈴羽「あたしね、父さんを"そうさく"するためにここに来たんだ」

倫子「そうさく……ソウサク……捜索、か。初耳だな」

鈴羽「もう何年も会ってなくて。この街にいるのは分かってるんだけど」

倫子「(こいつ、そのために過去へタイムトラベルを……? そう言えば2000年に現れた方のタイターも1998年から家族と暮らした、などと言っていたな)」

倫子「アテはあるのか」

鈴羽「……明日、チャンスがあるんだ。ある場所に現れるかもしれなくて」

倫子「(なんだか刑事ドラマのヒロインみたいなことを言い出したぞ。もしかしてこいつの父親、組織に追われる反逆者か何かなのか?)」

鈴羽「明日会えなかったら諦める。あたしはこの街を出るよ」

倫子「不安なのだな」

鈴羽「……なんていうかさ。曇りガラスの向こうをのぞいてるみたいに、自分で自分の心がよく見えないんだ」

倫子「わかるぞ、その気持ち。たった1人で誰かを探すなど、さぞ心細いだろうな」

倫子「(まゆりの心を取り戻すまでの半年間、オレの心は毎日が雨だった……)」

倫子「相談する相手を探したが、身近にいる人間で頼りになりそうなのがオレしかいなかった。そんなところか」

鈴羽「そんな消去法じゃないよ! あたしは、鳳凰院凶真だからこそ……話したんだ……」

倫子「だが残念だったな。オレは狂気のマッドサイエンティストっ!」

倫子「貴様のような心にスキマのある女など、都合のいい実験台でしかないのだぁ。ククク」ニヤリ

鈴羽「実験台……って?」

倫子「無論、Dメールだ。オレたちのラボが開発した栄光であり、人類の夢だ」

411 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:18:57.88 xVh1B71ho 300/2638


鈴羽「どういうこと?」

倫子「何、難しい話ではない。時間的過去の話であるならば、蒸発する前の父親に『娘を置いていくな』とDメールを送ればいい」

倫子「さすれば辛い記憶を忘却の彼方に置き去りにし、仲睦まじく触れ合う父子の姿がそこにあろう」

鈴羽「……やっぱりキミはレジェンド、鳳凰院凶真だね。父さんから聞いた通りだ」

倫子「ん? なんだって?」

鈴羽「ううん。なんかちょっとだけ、楽になったかも」

鈴羽「でもごめん。父さんのケータイの番号もメルアドも知らないんだ」

倫子「…………そう、か。力になれなくてすまないな」シュン

倫子「(Dメールは万能ではない。フェイリスの件でオレは天狗になっていたのかも知れないな……)」

鈴羽「そんな! キミが心配してくれて本当にうれしかったよ!」アタフタ

倫子「し、心配などしていないっ。勘違いするなっ」プイッ

鈴羽「(あれ? なんだろうこの気持ち……。レジェンドとしての尊敬以上の、なにか……)」トゥンク

倫子「早いところ、あのマシンを改良していかねばな」ハァ

鈴羽「……だったら、あたしからひとつ忠告」

倫子「む?」

鈴羽「牧瀬紅莉栖は仲間から外した方がいい」

倫子「……またそれか」

412 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/23 22:22:43.49 xVh1B71ho 301/2638


鈴羽「(こんなに居心地がいいんだね、キミのとなりって)」

鈴羽「(牧瀬紅莉栖がここに居たがる理由もわかる気がする。あたしだって本当は……)」

鈴羽「(でも甘えてちゃダメだ。あたしにはあたしの使命がある)」

鈴羽「(……鳳凰院凶真とは、距離を置かないと)」

鈴羽「さてと、30分休憩ももうおしまい。そろそろ帰らないと、また店長に怒られちゃう」

倫子「……明日は、父親と会えても会えなくてもラボに来い」

鈴羽「なんで?」

倫子「言っただろう? お前の傷心を利用して、Dメール実験を行うとなっ! ふぅーはははぁ!」

鈴羽「あはは。マッドサイエンティストにしては美人すぎるかな」

倫子「オレにとっては侮辱の言葉だが……。まあ、悪い気はしないな」フッ

鈴羽「もし父さんと会えたら行くよ。じゃあね」

鈴羽「(じゃあね……あたしの、鳳凰院凶真……)」

ガチャ シャー

倫子「(そう言うと鈴羽は自転車に乗って行ってしまった……って!)」

倫子「ちょっと待ってぇ! オレも乗せていけよぉ! うわぁん!」

418 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:27:25.73 wPUX3QcLo 302/2638


・・・


『オカリン、死んじゃやだよぅ……!』
『オカリン、死なないで……』


頭の中でまゆりの声がする。それも二重に。

片方の声は今よりも幼い、多分小学生だった頃の声。
もう片方は、今よりも歳をとったような落ち着いた声だ。

姿は見えない。何も見えない。
オレは宇宙空間のような暗黒の中に立っていた。


『それでもあなたは行くのね……岡部を救うために……』


これは、誰の声だ? 助手か?

眼下に広がる暗闇の先に、いくつかの光点が観測できる。
それはきっと過去からの光。
地球で観測できる星の輝きは何十年、何百年も過去のものだと、助手は言っていた。


『私は行きます。彼を救う可能性が、彼がそこへたどり着く可能性が1%でもあるなら』


なんなのだこの声は……幻聴か? それにしてはやけにリアルだな……


『だから、信じて待っていてください。必ず、今ここへ届けます』

『――何千年も過去にある、お星さまの祈りを』

419 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:30:29.98 wPUX3QcLo 303/2638

2010年8月9日月曜日
未来ガジェット研究所


倫子「これより作戦名『エルドフリームニル』の概要について説明するっ」ドヤァ

まゆり「わー」パチパチ

るか「わ、わー」パチパチ

萌郁「……(わー(≧▽≦) )」

倫子「(ラボメン全員に召集をかけたのだが、フェイリスは忙しいらしく連絡が取れなかった。大会の準備か?)」

倫子「(そしてあのダルだが、"用事があるからパス"というふざけたことを言ってきた)」

紅莉栖「話は聞かせてもらったわ。要は阿万音さんを元気づけるためのパーティーをやろう、ってことよね」

倫子「ぐっ、たしかにそうだが、オレに仕切らせろよぅ」グヌヌ

倫子「(日に日に態度が委員長タイプになってきたな……バイト戦士が危惧していた事態はこれだったのか……)」

紅莉栖「あの人がお父さんを探してたなんて知らなかった。私を目の敵にしている理由は判然としないけど……」

紅莉栖「そういう事なら話は別。岡部の作戦に協力するわ」

倫子「バイト戦士のこと、苦手じゃなかったのか」

紅莉栖「大丈夫よ、私って人に嫌われるの慣れてるから」

倫子「(……やはり父親にも嫌われているのか)」

420 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:32:20.32 wPUX3QcLo 304/2638


るか「あの、阿万音さんって、阿万音鈴羽さんのことですか?」

倫子「ほう、ルカ子に面識があったとはな」

るか「はい。昨晩、本殿の軒下で野宿されてまして……」

倫子「の、野宿だと!?」

紅莉栖「嘘でしょ!?」

るか「え、えと、うちの父が今朝方に野良猫と喧嘩している阿万音さんを見つけて、朝餉とお風呂を提供しまして……」

倫子「あの未来人、まともに現代の金が無いからといって根なし草だったとは……」

倫子「ん? ルカ子の父上が、お風呂を貸した……?」

るか「ご想像の通り、今頃阿万音さんは巫女装束です」シュン

倫子「……鈴羽のパパがオタ趣味に理解のある人であることを祈ろう」ハァ

倫子「本当はバイト戦士の側にいて励ましてやりたいところだが、親子水入らずの方がいいだろうと思ってな」

倫子「お前たちっ! ラボメンガールズの女子力をいかんなく発揮し、宴会の準備をするのだっ!」

紅莉栖「じゃあ、私は岡部と買い出しに行くわ。まゆりと漆原さんは今ある材料で料理を始めてて。桐生さんはこの辺の掃除をお願い」

倫子「だから勝手に仕切るなぁ!」

421 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:34:41.39 wPUX3QcLo 305/2638

ヨドダシカメラ周辺


紅莉栖「……この前のこと、謝る。本当にごめんなさい」

倫子「なんだ藪から棒に。ビンタのことなら昨日許したと言っただろう」

紅莉栖「……私の事、嫌になったらいつでもラボから追い出していいからね」

倫子「馬鹿にするなよ」

倫子「たとえオレがIQ170の灰色の脳細胞を持つ狂気のマッドサイエンティストとは言え、1人でできることに限界があることは自覚している」

倫子「電話レンジ(仮)がいい例だ。お前の協力があってこそと言えよう」

紅莉栖「それは、そうかもしれないけど……」

倫子「貴様。オレが鈴羽に肩入れしているから、鈴羽に嫌われている自分はお払い箱になるとでも妄想してしまったんだろう」

紅莉栖「そんなわけ……ある、けど」

倫子「まったくもって発想がいじめられっ子のソレだな。逆留学中の高校生活で友達の1人や2人居なかったのか?」

紅莉栖「……みんな私にビビって話しかけてすらこなかったわよ」

倫子「ククク。世界は残酷だなぁ、ボッチティーナ?」

紅莉栖「もはや跡形がない件について……」

倫子「だが、オレたちはもはや外に漏らしてはならない秘密を共有しているのだ。よって貴様をラボから追い出すわけにはいかない」

倫子「くだらん被害妄想などドブに捨てて、オレに忠誠を誓っていればいいのだっ!」

紅莉栖「じゃ、じゃあ私も岡部の人質に……」テレッ

倫子「いや、あの、それはちょっと……」

422 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:38:44.69 wPUX3QcLo 306/2638


紅莉栖「あれ? あそこにいるの、橋田?」

倫子「なっ!? 見つけたぞダル!」

ダル「えっ? あっ――」ダッ

倫子「なぜ逃げる! 待てィ!」ガシッ

ダル「ぐぇっ」

倫子「お前、オレの召集に応じないとはどういうつもりだ」ゴゴゴ

ダル「用事があるって言ってんじゃん……」

紅莉栖「岡部より大事な用ってどんな用事よ!」

倫子「そーだそーだ」

ダル「オフ会……」

紅莉栖「死刑」

ダル「いや、ちょっと聞いてくれよぅ――」

倫子「鈴羽のことを、なんとも思わないのか」

ダル「あの自称タイターの未来っ娘にも関係あるオフ会なんだけど――」

紅莉栖「あんた以外に男はいない美少女だらけのハーレムパーティーと、ムサいオッサンどもの酒飲み。さあ、選択権を持つのはあんたよ」ヒソヒソ

ダル「(え、フェイリスたんもいるん!? オカリンの手前、フェイリスたんのことは口に出せないけど……)」

ダル「……僕はオフ会を諦めるぞぉぉぉ!」

倫子「おおっ! それでこそ我が右腕だぁ!」パァァッ

紅莉栖「(この笑顔で今日も生きていける)」グッ

423 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:40:55.54 wPUX3QcLo 307/2638

未来ガジェット研究所


ダル「フェイリスたんが居ない……ガクッ」

紅莉栖「あんたが勝手に勘違いしたんでしょ」

ダル「ふざけんなよぉ、せっかくのタイムマシンオフ会だったのに……」

倫子「タイムマシンオフ会だと!? くっ、なぜ先にそれを言わないのだ。オレも行きたい……っ!」

紅莉栖「はいはいまた今度ね」

ダル「ってか、ラボ散らかりすぎじゃね?」

紅莉栖「なにこれ!? えっと、桐生さん!?」

桐生「…………」ピロリン♪

倫子「『片付けるつもりが逆に散らかしちゃうことってあるよね☆ 萌郁』……もういい、オレがやるから代わりに料理を手伝ってやれ」

萌郁「私、カップ麺しか……作れない……」シュン

倫子「わかった、とりあえず指圧師は待機……ん? なにか変な臭いがしないか?」

紅莉栖「橋田の汗臭かしら。岡部に移るからあっち行きなさいよ」シッシッ

ダル「想像を絶する悲しみが僕を襲った」

るか「す、すみません……っ。たぶん、まゆりちゃんのお料理の臭い、だと思います……」

倫子「……まゆりに包丁を持たせたのかっ!?」

倫子「家庭科の授業の時も、バレンタインの時も、まゆりに包丁を持たせてはならなかったというのにっ!」

まゆり「もう。まゆしぃはいつまでも子どもじゃないよ、オカリン?」グサッグサッ

倫子「ヒィッ! 代われ、オレが料理するからっ!」

紅莉栖「あ、私も手伝うわ! えっと、卵を電話レンジカッコカリに入れて――」

倫子「やめろぉぉぉぉぉっ!! うわぁぁぁん!!」

424 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:43:58.49 wPUX3QcLo 308/2638

トントントントン カチッ ジュージュー

倫子「……ルカ子、それをこっちに渡してくれ」

るか「は、はい、凶真さん! えへへ……」


ダル「結局オカリンとルカ氏2人で料理することになった件」

紅莉栖「岡部が料理女子だったとは……うぬぅ……」

まゆり「オカリンは昔からお料理上手なんだよー。おかーさんに鍛えられたんだって」

萌郁「岡部さんのお母さん……美人そう……」

まゆり「オカリンはおかーさん似なんだよー。おかーさんもモデルさんみたいにスラッとしてるのです」

紅莉栖「お父さんは?」

ダル「昭和の頑固親父って感じ。オカリンと一緒にいるところを見られた時は、僕半殺しにされたお」

紅莉栖「そりゃ、美人の娘が橋田と歩いてたら誰だってそうするわよ」

まゆり「オカリンね、お父さんから愛され過ぎちゃって、それであんまり家に帰りたくないみたいなの……。なんだかさみしいな……」

紅莉栖「そんな理由でラボに寝泊まりしてたの。お年頃だものねぇ」ウフフ


倫子「(あいつら……勝手なことばかり話しおって……)」トントントントン

るか「(岡部さんとの共同作業……えへへ……)」トントントントン

425 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:47:16.66 wPUX3QcLo 309/2638

カチッ カチッ カチッ カチッ (秒針の音)


倫子「……遅いっ!」

ダル「料理冷めちゃったお……」

まゆり「お外、真っ暗だねぇ……」

萌郁「女子高生組は……そろそろ帰らないと……」

prrrr

倫子「む? 鈴羽からメール――ッ!!」


『さよなら』


倫子「(ヤツめ、父親とは会えなかったのか! そしてそのまま秋葉原を離れるつもりだな……っ!)」

倫子「そんなことは、この鳳凰院凶真が許さん……! あいつは実験台なのだから!」ダッ

紅莉栖「あ、ちょっと岡部! ……もう! 私たちも追うわよ!」

ダル「お、おう!」

426 : ◆/CNkusgt9A - 2015/11/27 21:48:34.26 wPUX3QcLo 310/2638

NR秋葉原駅前


倫子「はぁっ……はぁっ……。どこだ、どこにいる……」

倫子「(ルカ子によればあいつは今上下紅白の派手な格好をしているはずだ、探せばすぐに……居たっ!)」

鈴羽「ぐすっ……ひぐっ……」

倫子「そこのバイト巫女っ!」

鈴羽「っ!?」ダッ

倫子「あ、おい! ちょっと待てっ!」ダッ

倫子「(……あいつは、未来から来たかはともかく、オレを信頼してくれた)」タッタッ

倫子「(だったら、せめてものことをすべきだろうが!)」タッタッ

ポツ、ポツ……

倫子「こんな時に雨っ! バイト巫女め、あの格好ですばしっこく走り回るとは……!」

倫子「だ、だめだ、体力が……。くそ、こんなことならまゆりと毎朝ジョギングしておくんだった……」ハァハァ

倫子「今更過去を後悔しても仕方ない、か。過去を、後悔……」

紅莉栖「見つけた! もう、いつも1人で飛び出して……岡部?」

ダル「ふぃ~、やっと追いついたのだぜ……って、オカリン?」

倫子「……ククク。その手があったか。いや、これこそが運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択……っ!」

倫子「明日12時、電話レンジ(仮)を起動させ、今日のオレにメールを送ればいいっ!」

倫子「『何があっても鈴羽を尾行しろ』となっ! ふぅーはははぁ! はぁ、はぁ……」ゼェゼェ

432 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:48:18.75 13cm5L15o 311/2638

2010年8月10日火曜日
未来ガジェット研究所



―――――――――――――――――――
    0.40923 → 0.33871
―――――――――――――――――――



倫子「……この目眩。Dメールは正しく送信され、過去を変えたようだな」

倫子「鈴羽。鈴羽はどうなった?」キョロキョロ

鈴羽「……zzz」

倫子「ソファーで寝ていたか」ホッ

倫子「(ホームレスであることを知ったオレたちがこいつを帰さなかった、というわけだな)」

倫子「おい起きろバイト戦士。もう昼だぞ。あと服を着ろ」

倫子(どういうわけかこいつはスポブラにスパッツの状態で寝ていた。許しすぎだろ……)

鈴羽「んー……夜中まで騒いだの、久しぶりだから眠いよ。ふわぁ……」

倫子「……オレはお前を尾行し、"最後の晩餐"へと連行した。そうだな」

鈴羽「椎名まゆりの腹筋ナデナデ攻撃には参ったなぁ。でも、漆原るかのカレーは極上だった! 母さんのカレーよりおいしかったよ」ニコニコ

鈴羽「予定が狂っちゃったけど、タイムマシンオフ会よりは楽しかった、かな」

倫子「ちょ、ちょっと待て。タイムマシンオフ会!? それが父親が現れるかもしれない場所だったのか!?」

鈴羽「そうだって昨日説明したじゃん。鳳凰院凶真は忘れっぽい?」

倫子「い、いや、きっと昨日の料理に記憶破壊系の毒が盛られていたのだろう――ハッ」

倫子「(しまった! こいつには冗談が通じないんだった!)」

鈴羽「毒!? もしかして牧瀬紅莉栖が……なんて、ちょっと前のあたしなら身構えただろうけどさ」

倫子「……助手と和解したのか?」

鈴羽「キミたちのラボ、なんかいいね。みんな仲がよくて、いつも楽しそうで……」

鈴羽「あんなに心地いい時間は、生まれて初めてだったよ」

倫子「(意外にこいつは暗い青春時代を送ってきたのかも知れない……。父親の蒸発と関係があるのか?)」

433 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:50:39.65 13cm5L15o 312/2638


鈴羽「いやあ、漆原るかがあたしのジャージを持ってきてくれて助かったよ」

倫子「(なぜかソファーには巫女服がキレイに折りたたまれて置いてあった)」

倫子「それで、約束通り、お前には実験台になってもらう。実験はいずれ行う」

倫子「そして電話レンジ(仮)は我がラボの最高機密だ。外部情報保護の観点からして、お前にはラボメンになってもらう」

鈴羽「……いいの? あたしみたいな末端が、ワルキューレの神話時代のメンバーになっても……」

倫子「言葉の意味はわからんが、いやでもなってもらうぞ。お前は今日から、ラボメンナンバー08だっ! ふぅーはははぁ!」

鈴羽「……うぅ……ぐすっ……」

倫子「ど、どうした? 急にしゃがみこんだりして……」オロオロ

鈴羽「……えへへ。ありがとう、ございます……」

倫子「同い年なのに敬語はやめろ。それで、どうするんだ」

鈴羽「うん。もうちょっとだけ、父さんを捜索してみるよ」

倫子「ラボメンの悩みはラボの悩みだ。オレたちも協力しよう。なにか手掛かりは無いのか?」

鈴羽「……あたしの父さんは『タイター』って名乗ってる」

倫子「なるほど。それで父親を炙り出すためにジョン・タイターを名乗っていたのか」

鈴羽「そうそ……ええっ!? いや、違うってば!」

倫子「となると、貴様の父親は2000年に現れたタイターの可能性があるな。お前、見るからに日本人だが、ハーフなのか?」

鈴羽「い、いや、父さんも日本人だと思うけど……」

434 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:51:57.01 13cm5L15o 313/2638


倫子「お前の話を整理すると、我が未来ガジェット研究所の後身にあたるワルキューレとかいう反社会組織の創設メンバーの1人がパパタイターなのだな?」

鈴羽「違うって言ってるのに」

倫子「さんざんオレをワルキューレの女騎士扱いしておいて今更何を言うのだ、未来人ジョン・タイターよ」

鈴羽「ぐっ……あ、あのさ」

倫子「なんだ?」

鈴羽「その……仮に、だよ? あたしが未来人だったとして、鳳凰院凶真はあたしを、軽蔑、したりしない、かな?」

倫子「それはまたよくわからん心配だな。むしろオレなら未来人とコンタクトを取れる状況に対し、慎重になりながらも狡猾に利用してやるぞ、ククク」

鈴羽「……私欲のために、過去に必要以上に干渉する行為を、見逃してくれる?」

倫子「私欲、か。だが、お前は気付いていないだろうが、その欲望こそが運命石の扉<シュタインズ・ゲート>の選択なのだよ」

鈴羽「う、うん?」

倫子「貴様の行動はオレの掌の上で弄ばれているということだっ! ふぅーはははぁ!」

鈴羽「……あはは、さすが鳳凰院凶真。なんか1人で心配してたのがバカみたい」

倫子「ようやく未来人であることを認めるのか?」

鈴羽「それとこれとは別だってば」フフッ

倫子「生意気なやつめ」ムッ

435 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:54:15.21 13cm5L15o 314/2638


倫子「お前が2036年から来た未来人だとすると、パパタイターの正体はダルしか考えられない……オレは基本的に男が嫌いだからな」

倫子「創設メンバーに居るとなると他にアテがない。無論、将来的に知り合う人間である可能性もゼロではないが」

鈴羽「ダルって、橋田至、だよね?」

倫子「…………」

鈴羽「…………」

倫子「HAHAHA! あのHENTAIに娘だとぉ? あいつは一生魔法使いに決まっているっ!」

鈴羽「あたしの父さんはもっと痩せてたよ。もう、悪い冗談はやめてよね」

倫子「…………」

鈴羽「…………」

倫子「だが確かにダルはタイムマシンオフ会に参加していた……オレの妨害が無ければ、だが」

鈴羽「橋田至の特徴、母さんからの情報とも一致する」

倫子「…………」

鈴羽「…………」

倫子「ちょ、ちょっと確認してみるか?」ガクガク

鈴羽「にわかには信じられないよ……」ブルブル

436 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:56:16.82 13cm5L15o 315/2638


ダル「な~ん? 急に呼び出したりしてー。フェイリスたんの雷ネット特訓で忙しかったのにー」

倫子「それが、だな……」

鈴羽「あ、あはは……///」テレッ

ダル「あれ、阿万音氏。どったの? 顔赤いお」

鈴羽「ふぇっ!? い、いや、それが、その……」

倫子「お前も知っている通り、鈴羽は2036年からやってきた未来人ジョン・タイターでな」

ダル「っていう"設定"っしょ?」

鈴羽「信じて貰えないとは思うけど、本当なんだよ」

倫子「正直オレも信じられん……が、我がラボがタイムマシンを開発する運命であるならば、それもまた必然」

ダル「いやいや。阿万音氏を否定するわけじゃないけど、ホントに未来人なん? 証拠は?」

鈴羽「……ラジ館に突き刺さってる人工衛星。あれ、あたしの乗ってきたタイムマシン」

ダル「オウフ……」

倫子「マジか……」

437 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:57:10.05 13cm5L15o 316/2638


倫子「お前には昨晩話したと思うが、鈴羽は未来で会えなくなった親父にこの時代で会おうとしている」

鈴羽「あのタイムマシンを作ったのはあたしの父さんなんだ」

倫子「その稀代のメカニックが我がラボのメンバーである可能性が高いらしいのだ」

ダル「なんだか僕たちのタイムマシン研究で阿万音氏の人生がとんでもないことになってる希ガス」

鈴羽「そんなことないよ。感謝してもしきれない……。あたしが生きる意味そのものだからね」

ダル「で? 阿万音氏のお父さんって誰なん?」

倫子「…………」

鈴羽「…………」

ダル「え、何? なんで僕を見るん? ……あっ」

ダル「ラボに男って僕しかいないじゃん……」

鈴羽「父さん……?」

ダル「……つ、つつ、つまりどういうことだってばよ!?」

438 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 14:59:20.53 13cm5L15o 317/2638


倫子「栗毛色のくせ毛は父親譲りだったのか」

鈴羽「匂いも……。うん。あたしが小さい時の記憶、そのままかも」

ダル「うほっ、こんな可愛い子に匂いをかがれるとか……って、普段なら喜んでたはずなんだけどなぁ」

鈴羽「ご、ごめん。迷惑だった、よね」

ダル「あっーと……驚きはしたけど、迷惑なんかじゃないお」

ダル「むしろ未来の娘がこんなにかわいい娘と知って、僕、大勝利っつーか」ポリポリ

倫子「HENTAIは自重しろよ?」

ダル「わ、わかってるっつの。さすがに血を分けた娘に妄想とかしないお……てかできないお……」

鈴羽「あ、あはは……」

ダル「あの、1つだけ聞いていい?」

鈴羽「う、うん。なに?」

ダル「母さんかわいかった? ロリ顔で背が小さくて巨乳ってのをキボン」

倫子「わかってないではないかぁ! このHENTAI!」ゲシッ ゲシッ

ダル「お尻を蹴られるのは我々の業界ではご褒美ですっ!」

鈴羽「あははっ。それはナイショにしとく」

439 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 15:00:56.30 13cm5L15o 318/2638


ダル「……思ったんだけどさ、阿万音氏の話を聞く限りじゃ、未来の僕って親失格じゃね?」

倫子「ディストピアがどんなものかは知らんが、父親としては最低だな」

鈴羽「な、なに言ってるのさ! あたしは別に父さんのことを恨んだりしてないよ、それどころか尊敬してる」

鈴羽「世界の支配構造を塗り替えるための、唯一の希望を残してくれたんだから」

鈴羽「父さんが世界を見捨ててあたしに優しくしてたら、それこそ軽蔑してたよ」

倫子「…………」

ダル「…………」

鈴羽「それに初代女騎士の数々の伝説を後世に残してくれたしね! ワルキューレの精神的支柱だったよ、鳳凰院凶真の伝説は!」

倫子「お前の仕業だったのか」ギロッ

ダル「まだやってないってばよ……」

440 : ◆/CNkusgt9A - 2015/12/01 15:02:37.48 13cm5L15o 319/2638


倫子「……なあ、ダルよ」

ダル「オカリンが言いたいことはだいたい予想できるんだな、これが」

倫子「せっかくの親子の再会なのだ。水入らずで遊んで来たらどうだ?」

ダル「それって、阿万音氏とデートしてこいってことですねわかります!」

倫子「家族サービスと言え、バカモノッ」

ダル「いやあ、ぶっちゃけ同い年だし」

鈴羽「デ、デート……」モジモジ

倫子「バイトは休め。店長にはオレから言っておく」

ダル「えっと……アキバでも散歩する?」

鈴羽「い、いいの? ホントに?」

倫子「今のアキバには萌えショップも無いしな。親父のHENTAI度も下がるだろうし、いいんじゃないか」

鈴羽「あたしも、父さんたちが見てきた景色を見たい……かな」

ダル「そうと決まれば、父さんがんばっちゃうお!」

倫子「ああ、行ってこいっ!」ニコッ


次章
岡部倫子「これがシュタインズ・ゲートの選択……!!」【#03】


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