―みほの部屋―
みほ「さて…試合に向けて作戦を考えないと…」
みほ「次は…お姉ちゃんだもんね…」
みほ「……」
みほ「お姉ちゃん…私のことどう思ってるのかな…」
ピンポーン
みほ「?」
みほ「こんな時間に誰だろ?」
みほ(とりあえず覗き穴で用心用心と…)
みほ「!?」
みほ「お姉ちゃん!?」
元スレ
みほ「お姉ちゃんダイスキ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359629647/
まほ「みほ、私だ」
まほ「…開けてくれないか」
みほ「……」
みほ「わかった」
ガチャ
まほ「ありがとう、みほ」
みほ「……」
まほ「すまないな、いきなり」
まほ「みほと…」
まほ「みほと試合前に一度だけ話がしたかったんだ」
みほ「…」
まほ「…」
まほ「学校」
みほ「え?」
まほ「学校は楽しいか?」
みほ「…うん、楽しいよ」
みほ「友達も出来たんだ」にこっ
まほ(黒森峰にいたころはこんな表情なんてしなかったな)
まほ「そうか、よかった」にこっ
まほ「戦車道…まだやってたのか」
みほ「うん…」
みほ「本当はやめるつもりだったの」
みほ「だけどなんかやることになっちゃって」
みほ「でも…それでみんなとも仲良くなれたんだ」
まほ「そうか」
みほ(お姉ちゃん…)
みほ(やっぱり私のこと…怒ってるのかな…)
みほ「ねえお姉ちゃん…」
みほ「私が戦車道続けてたから…怒ってるよね」
まほ「…」
まほ「怒ってなんかいないさ」
まほ「憶えているか、みほ」
みほ「え?」
まほ「昔…みほが小学生のとき」
まほ「私はみほに『自分の戦車道を見つけなさい』って」
まほ「そういったんだ」
みほ「…うん、憶えてる」
みほ(エミちゃんたちと試合したときだ…)
まほ「みほがこっちにいたときの戦車道は西住流の戦車道」
まほ「みほの戦車道じゃなかった」
まほ「私は…みほの戦車道を尊重したい」
みほ「お姉ちゃん…」
まほ「だが…お母様はそう思われてはいないようだ」
みほ「…うん」
まほ「…勘当すると仰っていた」
みほ「……うん」
まほ「だが、何があってもみほは私の妹だよ」
まほ「私は謝りにきたんだ、みほ」
まほ「去年の大会の後、私はみほを慰めもせず」
まほ「ただ放っておいた」
まほ「そしてみほは転校した」
みほ「…うん」
まほ「辛い思いをさせたな」
まほ「私は…もうみほは戦車道をやらないでいいと思っていた」
まほ「普通の女子高生としてすごすのがみほの幸せだとな」
まほ「また戦車道をやってるみほを見て、初めはビックリしたよ」
みほ「あはは…」
まほ「でも…転校先で楽しそうに自分の戦車道をするみほを見て」
まほ「私は…とても嬉しく思えたよ」
まほ「ごめんね、みほ」
みほ「…」
みほ「ううん」
みほ「謝るのは私のほうだよお姉ちゃん」
みほ「自分のことだけ考えて転校して」
みほ「お姉ちゃん一人に重荷を背負わせちゃった」
まほ「みほ…」
みほ「お姉ちゃんは謝る必要なんてないよ」
みほ「お姉ちゃんが私のこと嫌ってなくて」
みほ「そして私のことをそんなに大事に思ってくれて」
みほ「私…すごく幸せだよ」
みほ「お姉ちゃん…」
ぎゅっ
みほは昔のようにまほに抱きついた
みほ「ありがとうお姉ちゃん」
まほ「…」ナデナデ
みほ「えへへ、なんか懐かしいね」
まほ「うふふ、そうだな」
まほ(試合前にみほと話せてよかった…)
まほ(こんな姉を許してくれてありがとうみほ)
みほ「ねえ、お姉ちゃん」
みほ「せっかくだから今日は泊まっていってよ!」
まほ「え?」
みほ「久しぶりにお姉ちゃんと一緒にいたいの」
まほ(…エリカ達にところに帰るのは○日だから)
まほ(一応大丈夫かな)
まほ(それに…私もみほと話がしたい)
まほ「ああ、そうするよ」
まほ「よろしくな、みほ」
みほ「うんっ!」
ビリリッ!!
まほ「なっ…!?」
まほ(なんだ…痺れて…)
まほ(スタンガン…?)
まほ(みほ…?)
バタッ…
まほ「…」
みほ「……あはは」
みほ「おやすみ、お姉ちゃん」
――――――――――――――――…………
まほ「……」
まほ「ん…わたしは…」
まほ(そうだ…みほにスタンガンを…)
まほ「え…?」
まほの両手が手錠で拘束されていた
あまりのことにまほは混乱せずにはいられなかった
みほ「あっ、起きた?お姉ちゃん」
まほ「みほ…」
まほ「どういうこと…?」
みほ「ねえ、お姉ちゃん」
みほ「私、お姉ちゃんのことダイスキだよ」
みほ「子供の頃からずっと」
みほ「だけど去年のことで私のことなんて嫌いになっちゃったって」
みほ「そう思ってたんだ」
みほ「でも…そうじゃなかった」
みほ「お姉ちゃんは私のこと大切に思っててくれたんだね」
みほ「嬉しい…嬉しいよ…」
まほ「み…みほ…?」
まほ(なんだかみほの様子がおかしい…)
まほ(…怖い)
まほ「う、うん…」
まほ「私もみほのこと好きよ」
まほ「だからこの手錠外して…」
みほ「ダメ」
みほ「これからいっぱいお姉ちゃん愛するんだから」
みほ「これなーんだ」
まほ「それは…」
まほ(たしかみほが好きなぬいぐるみの…)
まほ「ボコられ…熊?」
みほ「正解!」
みほ「よく知ってたねお姉ちゃん、嬉しいな~」
みほ「かわいいでしょ?」
みほ「私のお気に入りなんだー」
まほ「そうなの…」
まほ(包帯ばっかりで…)
まほ(正直あまりいい趣味とは思えないけど…)
みほ「お姉ちゃんもこういうふうにしたいの」
まほ「へ?」
みほ「きっとすっごく可愛いと思うんだ~!」
みほ「あっ、心配しないでお姉ちゃん」
みほ「ちょっと傷つけて包帯巻くだけだからね」
まほ「…」ゾクッ
みほ「さてと…」
そういいながらみほは包丁を手に取った
まほ「や…やめてみほ…」
まほ「やっぱり私のことが許せないの…?」
みほ「違うよ、お姉ちゃん」
みほ「お姉ちゃんが大好きだからするの」
みほ「あはは…私って病んでるかな?」
みほ「叫んでもいいよお姉ちゃん」
みほ「でもお姉ちゃんって優しいから」
みほ「そんなことできないよね?」
みほ「こんなところ見られたら私タダじゃすまないし」
まほ「うっ…」
みほ「そんなお姉ちゃんが大好き」
まほ(私のせい…?)
まほ(黒森峰のときに私がみほに冷たくしたから…)
まほ(そのせいでこんなに…)
みほ「いくよ、お姉ちゃん」
みほ「ちょっと我慢してね~」
サクッ
まほ「ぐっ…」
みほ「痛い?痛いのお姉ちゃん?」
みほ「そんなお姉ちゃんもかわいいな~」
みほ「あっ、血が…」ペロ
みほ「えへへ…」
みほ「お姉ちゃんの味がする」
みほ「ケガしちゃったね…」
みほ「ごめん…ごめんねお姉ちゃん…」
みほ「手当てしないとね…」
恍惚した表情でみほはまほに包帯を巻いていく
まほ(みほ…)
まほ(いったいどうしちゃったの…)
みほ「できた!」
みほ「かわいい」
みほ「かわいいよお姉ちゃん!」
みほ「今度は足だね」
みほ「このくらいの深さでいいかな」
サクッ
まほ「あう…」
みほ「傷口はちゃんと舐めないとね~」
ペロペロ
まほ「はあっ…」
みほ「くすぐったいかなお姉ちゃん?」
みほ「かわいいな、もう」
まほ「ううっ…」
みほ「包帯巻かないとね」
みほ「よしっ、オッケー」
みほ「わぁ…!」
みほ「お姉ちゃん…綺麗…」
まほ「こんなの…」
まほ「こんなのおかしいよみほ…」
みほ「それはわかってるよ」
みほ「でもお姉ちゃんが大好きだから」
みほ「これが私の愛情表現なの!」
まほ「…」
まほ「……」
みほ「あれ?泣いてるのお姉ちゃん?」
みほ「ご、ごめんねお姉ちゃん」
みほ「痛かったよね?」
みほ「もう私の名前をお姉ちゃんに彫って終わりにするから…」
みほ「だからもうちょっと我慢して?」
みほ「ねっ?ねっ?」
まほ「違うのみほ…」
まほ「これは…後悔の涙」
まほ「みほをこうなるまで追い詰めたことに後悔する涙」
まほ「ごめんねみほ…」
みほ「お姉ちゃん…」
まほ「私が黒森峰のときにみほに冷たくしたのは」
まほ「みほを戦車道から遠ざけるためだった」
まほ「でも…違う」
まほ「ただ私はお母様から逃げていただけだった」
まほ「ごめんねみほ…」
みほ「…」
まほ「彫って」
みほ「え」
まほ「みほの名前を私に彫って」
みほ「い…いいの?」
まほ「うん」
まほ「みほに刻んでほしいの」
まほ(これは…戒め)
まほ(私のしたことを忘れないために)
みほ「…わかった」
みほ「彫るね、お姉ちゃん」
みほは器用に針を持ち出した
まほ「ッ…」
みほ「ご、ごめんお姉ちゃん!」
みほ「でも嬉しいな」
みほ「お姉ちゃんの体に私の跡を残せるなんて」
みほ「お姉ちゃんからして欲しいなんて!」
みほ「もう少しだからね」
みほ「辛抱だよお姉ちゃん」
まほ「…」こく
まほ(やっぱりみほはおかしいままだ)
徐々にまほの胸に文字が刻まれていく
みほ「……」
みほ「これで…いいかな」
みほ「うん!キレイに彫れた!」
まほ(胸が痛い…)
まほ(みほ…それでも私は姉としてみほを…)
西住みほ
そうまほの胸には刻まれていた
みほ「私上手に彫れたよお姉ちゃん!」
まほ「……うん」
まほ「とても綺麗な字だよ、みほ」
みほ「えへへ」
みほ「手錠外してあげるねお姉ちゃん」
カチャカチャ
みほ「ごめんね…お姉ちゃん」
みほ「私のこと嫌いになったよね」
みほ「だけどね…お姉ちゃんが来て…」
みほ「お姉ちゃんの話聞いてたら我慢できなくて…」
まほ「いいよ、みほ」
まほ(みほがおかしくなったのは私のせいか…それとも元から…?)
まほ(いや…きっと私のせいなんだ)
まほ(どんなみほも受け入れないといけないんだ)
まほ「こんなことでみほを嫌ったりしない」
まほ「私もみほが大好きだから」
みほ「ホント!?」
まほ「ああ、ホント…ッ!」
みほ「大丈夫お姉ちゃん!?」
みほ「痛い?痛いんだよね」
みほ「その痛みで…私のこと忘れないで」
みほ「いつでも私を感じて」
まほ「みほ…」
まほ「ごめん…ごめんね」
泣きながらまほはみほを抱きしめることしか出来なかった
―数日後―
エリカ「あっ、隊長」
エリカ「おかえりなさい、もう休暇はよろしいのですか?」
まほ「ああ」
エリカ「!どうしたのですかそのおケガは!?」
まほ「…なんでもない」
まほ「大した傷でもないさ」
エリカ「そんな…どう見ても…」
まほ「気にするな、今は大会のことだけに集中しろ」
エリカ「は…はい」
まほ(歩くたびに傷が痛む)
まほ(みほ…私は…)
沙織「みぽりん最近元気だね!」
沙織「なんかいいことでもあった?」
みほ「うん!ちょっとね!」
みほ(お姉ちゃん今私のこと考えてるのかな)
みほ(きっとそうだよね、うん)
みほ「…」
みほ「お姉ちゃんダイスキ」
終