1 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:29:17.27 pPF7v43h0 1/19

(7月2日、ムギの誕生日)

(私達は部室でムギの誕生パーティーをやったんだ)

(ムギのやつは大はしゃぎで・・・あ、唯のほうがはしゃいでたかもしれないけど)

(澪もみんなを宥める側にまわってたけど、実はかなりはしゃいでたと思う。多分梓も)

(そんな中、私だけははしゃげなかった)

(・・・)

(パーティーの片付けが終わったあと、少し残るようにムギに頼んだ)

(それから私はムギに告白した)

(好きだ、って)

元スレ
律「さぷらいずむぎ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1377084557/

5 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:34:48.61 pPF7v43h0 2/19



「り、りっちゃん?」

「返事はいつでもいいから」

「う、うん//」

「じゃあ」



(あの時は逃げるように走り去ってしまった)

(告白なんてはじめてだし・・・)

(緊張したから仕方がないと思う)

(ムギ、戸惑ってたなぁ)

(でも顔がほんのり赤かった・・・ような気がする)

(私の見間違いじゃなければ)

7 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:39:36.42 pPF7v43h0 3/19

(ムギを好きになったきかっけ)

(きっかけらしいきっかけと言えば、あのお出かけかな)

(偶然出会って、駄菓子屋にいって、ゲームセンターにいって・・・アレってデートだったんだろうか)

(・・・)

(あの別れ際の笑顔が心にひっかかって)

(いつの間にかムギから目を離せなくなっていたんだ)

(自分は同性愛から遠い存在だと思ってたけど)

(ほんと、いつの間にか・・・)


(・・・今ではムギのことが気になって仕方ない)

(まぁ、それはいい)

(それはいいんだ)

(それより問題なのは・・・)

9 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:42:43.18 pPF7v43h0 4/19



「りっちゃん、はい」

「ありがとう」

「唯ちゃんも、どうぞ」

「これなーに?」

「親戚の人からもらったの。フランスの地方の焼き菓子だって」

「いただきまーす」パク

「うん、うん、これは!?」

「これは!?」

「とっても美味しいよー!!」

「そう、おかわりもあるわよ」

「え。ほんと!」

「ええ」

「わ~い、ムギちゃん大好き!」ダキッ

(お、おい)

10 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:45:21.68 pPF7v43h0 5/19

「うふふ、唯ちゃんったら」

「えへへー」

「・・・ムギ、私ももう一つもらっていいか?」

「りっちゃんも気に入ってくれたんだ!」

「お、おう」

(なんて眩しい笑顔だ)

「はい、りっちゃん」

「さんきゅー」

「・・・」ウズウズ

「むぎ?」

「ちっちっちっ、りっちゃんはわかってないねー」

「え」

「ムギちゃんはりっちゃんに抱きついて欲しいんだよ」

「え、え」

「うふふ、冗談よ。はい、お茶のおかわりもいれるね」

11 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:45:41.48 pPF7v43h0 6/19



(という感じにどぎまぎさせられっぱなしなのである)

(・・・)

(あの時抱きついてたら・・・ううん、なに考えてるんだ)

(私とムギはまだそういうんじゃ・・・)

(と、とにかく、こういうのは困る)

(この前だって)

12 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:46:03.23 pPF7v43h0 7/19



「そっかぁ、りっちゃんは小海老のかき揚げが好きなんだ」

「あぁ、ムギは?」

「私は紫蘇の葉かな」

「美味しいよな、紫蘇の天麩羅」

「こんにちはー、あ、お二人だけでしたか」

「いらっしゃい、梓ちゃん」

「おう」

「むーぎ先輩」ダキッ

「あ、梓ちゃん//」

14 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:47:05.05 pPF7v43h0 8/19

「ふふふ」ギュ

「も、もうっ、どうしたの?」

「抱きついちゃダメですか?」

「えっと・・・ダメではないけれど、どうして?」

「私にだって誰かに抱きつきたくなることはあります」

「そ、そうなんだ」

「それにムギ先輩はいいにおいがしますから」

「・・・」

「あ、律先輩も混ざりますか?」

「え」

(確かにムギはいい匂いがするけど・・・混ざれるわけないだろ)

「いいです、私ひとりで堪能させてもらいますから」

「もう、梓ちゃんったら・・・」

15 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:47:35.41 pPF7v43h0 9/19



(梓までこんな有り様である)

(まさかみんなグルになって私をからかってるんじゃ・・・)

(いや、ムギに限ってそんなことないはずだ)

(・・・たぶん)

(と、とにかく、そろそろ返事が欲しい)

(でも『いつでもいいから』と言った手前、催促するのも気がひける)

(私の勝手な勘だけど、ムギは『同性だから』という理由で断ることはないと思う)

(そして、答えを保留することでキープするようなやつでもない)

(だからきっとムギはまだ迷ってるんだと思う)

(・・・)

17 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:48:07.31 pPF7v43h0 10/19



「見ら  に来 ?」コソコソ

「・・・う 大 夫」コソコソ

(あれ、あそこにいるのは澪と・・・ムギ?)

(空き教室の端っこで何をはなしてるんだろう・・・?)

(・・・小声で全然聞き取れない)

「・・・」コソコソ

「・・・」コソコソ

「・・・」コソコソ

「・・・」コソコソ

「はは」

「うふふ」

(笑ってるのはわかるけど、さっぱり聞き取れない)

「・・・」ポカ

「・・・」ニコッ

18 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:48:30.07 pPF7v43h0 11/19

(あ、澪が叩いた。ムギは嬉しそうにしてる)

(あの二人、いつの間に仲良くなったんだろう・・・)

(なんだか悔しいな)

(・・・)

(澪に嫉妬する日がくるなんて・・・)

(でもムギのやつ、昔は私にスキンシップされて喜んでたのに)

(さいきんは澪や唯や梓と・・・)

(・・・)

(や、やめよう、これ以上考えるのはいけない)

(あ、出てくる、隠れなきゃ)

19 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:48:59.56 pPF7v43h0 12/19

ガラッ

「それじゃあ・・・」ジー

「どうかした? あら・・・」ジー

「・・・あ、あはは」

「律、こんなところでどうしたんだ」

「ちょ、ちょっと通りかかっただけだよ」

「そっかぁ、ねぇ、りっちゃん。りっちゃんの好きな食べ物について教えてくれる」

「へ」

「今ね、澪ちゃんと誕生パーティーの料理について相談してたの」

「あぁ、律の好物について教えてたんだ」

「そ、そうなのか?」

「うん」

「楽しみにしてくれ。最高の誕生パーティーにするから」

20 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:49:20.73 pPF7v43h0 13/19



(私の誕生パーティーの相談・・・)

(そっかそっか、ムギが私のために料理を・・・)

(それはいい。それはいいんだけど・・・何かひっかかるような)

(ま、いっか)

(ムギの手料理楽しみだし)

(そんなこんなで月日は流れ8月21日)

(私の誕生日当日のこと)

21 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:49:48.27 pPF7v43h0 14/19



パーン
パパパパーン

「りっちゃん」
「りっちゃん」
「律」
「律先輩」
「誕生日おめでとう!!」

「おう、ありがとう」

(やっぱり友達に誕生日パーティーをやってもらうのっていいものだな・・・)

(ごちそう・・・飾り付け・・・みんな頑張ってくれたんだ)

(・・・いけない、ちょっと泣きそうだ)

22 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:50:53.11 pPF7v43h0 15/19

「さ、りっちゃん、座ってどーぞ」

「あ、飲み物注ぎますね」

「さんきゅ」

「どういたしまして」

「じゃあ、料理をとりわけてっと・・・」

「さ、じゃあ乾杯の前に、ムギから一言」

「え、ムギから?」

「こ、こほん・・・あー、あー」

(なにがはじまるんだろう)

「えー、えー、っと、りっちゃん」

「は、はいっ」

「わ、私、琴吹紬は、りっちゃんのことが大好きです!! 付き合って欲しいとです!!」

「え」

24 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:51:18.32 pPF7v43h0 16/19

「ひゅーひゅー」

「お熱いです」

「やったな、律・・・・・・律?」

「・・・」

「えっと、りっちゃん?」

「・・・」

「りっちゃん・・・もしかして怒ってる」

(よく考えがまとまらないけど、とりあえず)

「私がムギに告白したって、みんな知ってたのか?」

「うん」

「告白のとき、扉の影から聞いてましたから」

(な、なんだと・・・!?)

25 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:52:56.89 pPF7v43h0 17/19

「それでちょっと気を利かせたりもしたんだけど」

「はい。律先輩はほとんど乗ってくれませんでしたが」

「ムギ先輩。こんなののどこがよかったんですか?」

「りっちゃんは優しくて、かっこよくて、とっても気が利くのよ~」

「そ、そうですか・・・」

「ほら、律。最高の誕生パーティーになっただろ」ドヤッ

「告白現場をみたときに閃いちゃってさ。ムギに返事を先延ばしにしてもらったんだ」

「サプライズパーティーは去年やったからさ、今度はパーティーの中でサプライズを・・・ってさ」

「・・・」

26 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:53:31.29 pPF7v43h0 18/19

(あ、わかった)

(わかってしまった)

(こいつらは馬鹿だ)

(それも愛すべき最高の馬鹿だ)

(それなら私もそれに答えてやらないと)

「あぁ、確かに最高の誕生日だよ、誕生日だけど・・・」

「この野郎!」ポカ

「り、律が殴った」

「誰が『こんなの』だ!!」ポカ

「あわわわ、ごめんなさい、律先輩」

「唯は・・・ムギに抱きつくのはほどほどに」

「ひー、ムギちゃん、お助けを~」

「逃すか」ポカ

「わ~ん、・・・・あれ、あんまり痛くないや」

28 : 以下、名... - 2013/08/21(水) 20:53:56.35 pPF7v43h0 19/19

「そして、最後はムギ」

「・・・」ウズウズ

「ふむ。叩いてもお仕置きにならなそうだ・・・」

「そ、そんなぁ・・・」シュン

「だからムギにはこうだ・・・」チュ



(たんこぶをつくった3人と、顔を真っ赤にした2人が写った記念写真は、私達の宝物になった)



おしまいっ!

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