赤沢「顔写真つきの名簿を渡して2週間たつのに」
榊原「ごめん、青山さん」
赤沢「違うわ」
榊原「あれ、でも青は合ってるよね?」
赤沢「合ってない」
榊原「うーん、確か色が関係してたような…あ、黒沢さん!」
赤沢「一歩前進、かしらね」ハァ
元スレ
赤沢「転校生がクラスメイトの名前を全然覚えない」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1333780583/
綾野「こういっちゃん、私の名前は?」
榊原「えーと…、阿波野さん」
綾野「誰が巨人をクビになって横浜に入団した近鉄の元エース左腕やねん!惜しいけど!」
勅使河原「お前野球詳しいんだな。じゃあサカキ、俺は?」
榊原「確か…武者小路くん」
勅使河原「そんなゴツい苗字じゃねーよ」
榊原「ごめん。漢字4文字の小難しい苗字だった気がしたんだけど」
望月「考え方は間違ってないんだけどな。じゃあ僕は?」
榊原「えっと…松崎くん?」
望月「あはは…響きは近い、かな」
中尾「じゃあ俺は?」
榊原「木村くん」
中尾「即答した割りにかすってもねーよ!」
榊原「あれ、自信あったんだけどな」
赤沢「これは対策が必要ね…」
赤沢「とりあえず廊下側の列の人の名前を順に言ってみて」
榊原「えーと藤崎さん、高良さん、松木さん、金井さん、杉原さん、若林くん」
勅使河原「サカキ、お前わざとやってないか?」
榊原「至って真面目にやってるつもりなんだけど、間違ってた?」
綾野「全員ぜつみょーな間違い方だよ」
赤沢「どうしたものかしらね」
見崎「私に考えがあるんだけど」
榊原「渚さん」
勅使河原「ナギサ?」
榊原「また間違ってた?海っぽくて、下の名前にもなりそうな苗字だと思ったんだけど…」
勅使河原「おー、なるほど」
見崎「納得しないで」
勅使河原「わりぃわりぃ。で、考えって?」
見崎「人の脳には報酬系といって、報酬が期待される時に活性化される部分があるの」
見崎「そこを上手く活性化してやれば、学習の効率がよくなるんだって」
中尾「ほぉ、しゅげぇ」
全員「」
綾野「つ、つまり、ご褒美を用意すれば覚えやすくなるってことね?」
見崎「簡単にいえばそういうこと」
赤沢「なるほど、みんなの名前を覚えることでなにか恒一くんにメリットのある状況を…」
望月「ご褒美だけでいいのかな?」
赤沢「え?」
望月「覚えられたらご褒美をあげるけど、覚えられなかったら罰を与えるってほうが効率がよさそうな気がする」
赤沢「アメとムチってわけね。一理あるわね」
綾野「じゃあじゃあ、こういうのはどう?」
綾野「女子の名前をちゃんとフルネームで言えたら、その子にキスしてもらえるの!」
綾野「ただし間違ったら全力でデコピンね」
赤沢勅使河原中尾「はぁっ!?」
中尾「アメとムチのバランスおかしいだろ!」
赤沢「あなたはそれでいいの?恒一くんに、その、キ、キスなんて//」
綾野「いーよ。全然」
勅使河原「まあ、そんなの女子全員が了承するとは思えねーけどな」
中尾「男子はどうすんだよ」
綾野「それは男子同士で考えてよ」
望月「そんな、男同士でキスなんて//」
勅使河原「誰もそんなこと一言も言ってねーから」
綾野「みんなには私から話つけとくから、こういっちゃんはこの土日を使ってしっかり覚えてくること!」
綾野「じゃあね!」
赤沢「あ、ちょっと…」
勅使河原「おいサカキ、なんかえらいことになってきたぞ」
榊原「まあ、小比類巻くんの言う通り、みんなが了承するなんてありえないだろうし」
勅使河原「小比類巻…」
榊原「そんなの関係なく、僕は僕で覚える努力をしてくるよ。それじゃ、また来週」
中尾「…おい赤沢、綾野を止めなくていいのか?」
赤沢「珍しく意見が合うわね。行きましょう」
勅使河原「放っといても大丈夫だと思うけどね。帰ろうぜ望月」
望月「あ、うん」
見崎(榊原くんと、キス…//)
週明け
赤沢「おはよう、恒一くん。例の件だけど、結局全員了承したわ」
榊原「例の件?」
赤沢「女子の名前を覚えたら、って話」
榊原「ああ…え、嘘!?」
赤沢「みんなほっぺならいいって言うのよ。15対1で押し切られちゃったわ」
赤沢「で、私の名前は?」
榊原「いきなりだね。えーと、赤川真奈美さん」
赤沢「下の名前が全然違うわ」デコピン
榊原「痛っ。苗字だけで精一杯で、まだ下の名前までは…」
赤沢「苗字も間違ってるけどね」
綾野「おはよう、こういっちゃん!」
小椋「私たちの名前、覚えた?」
榊原「天野彩乃さんと、小沢亜美さん?」
綾野「あれー?」デコピン
小椋「全然ダメじゃん」デコピン
榊原「痛っ。…ごめん」
綾野「はいじゃー次この子!」
有田「え、ちょ、心の準備が!」
榊原「…有野雅子さん」
有田「…心の準備必要なかったわ」デコピン
綾野「じゃー次あの2人ね」
榊原「松木亜希子さんと、金井杏さん」
松井金木「残念」デコピンピン
杉浦「きれいに混ざっちゃってるわね」
榊原「いつも2人一緒にいるから…」
杉浦「で、私は?」
榊原「杉下佳代子さん」
杉浦「」デコピン!
榊原「痛ぁ!」
桜木「榊原くん、おでこ真っ赤ですね」
榊原「あはは、おかげさまで」
桜木「私の名前は覚えてくれました?」
榊原「桜田…のりさん」
桜木「…ごめんなさい」デコピン
見崎「調子はどう、榊原くん?」
榊原「全然だよ、えーと、貝木舞さん」
見崎「海から離れて」デコピン
榊原「はぁ、結局初日は全滅か…」
勅使河原「前途多難だな、サカキ。まあ、俺は応援しないけど」
風見「応援してる男子なんかいないだろ。それにしても重症だな」
榊原「長宗我部くんに早見くん。何かいい方法はないのかなぁ」
勅使河原「さぁな。モノ覚えるコツは人それぞれだろうし」
風見「さすがにこれ以上のご褒美を用意するわけにはいかないしな」
榊原「だよね。僕は帰ってまた覚えなおしてくるよ。また明日」
勅使河原「…なあ風見、ちょーそかべ?なんて苗字あんのかよ。どんな字書くんだ?」
風見「確か『長宗我部』だったかな」
勅使河原「へぇ。これなら俺の苗字の方が覚えやすいだろ」
風見「いや、それはどうかな…」
翌日
榊原「柿崎百合子さん」デコピン
榊原「佐藤和子さん」デコピン
榊原「藤崎奈緒美さん」デコピン
榊原「江藤悠子さん」デコピン
榊原「小椋由香さん」
小椋「あーもう、惜しいけど違う!」デコピン
榊原「綾部彩さん」
綾野「もーちょい、もーちょいだよこういっちゃん!」デコピン
女子一同(そろそろか?そろそろなのか?)ソワソワ
榊原「多々良恵さん」
全員「!?」
多々良「今、なんて?」
榊原「多々良、恵さん」
多々良「ぁ、たり」
榊原「え?」
多々良「当たりです!//」チュ
男子一同(やりやがったあぁぁ!!)
赤沢(恵…まさかの伏兵にやられたわ)
綾野(私の名前がクラスでいちばん覚えやすいと思ってたのにぃ)
見崎(榊原くんが最後に選ぶのは私。最後に選ぶのは私。最後に選ぶのは…)ブツブツ
榊原「やった…。やったーーーー!!」
勅使河原「おいサカキ、多々良のキスがそんなに嬉しかったのかよ」
榊原「いやそんなことより、初めてクラスメイトの名前をちゃんと言えたよ四月一日くん!」
多々良「そんなこと!?」ガーン
勅使河原「綿貫?漢字4文字シリーズは終わりか?」
望月「『四月一日』って書いて『わたぬき』って苗字があるらしいよ」
榊原「よーしこの調子でどんどんいくぞー!」
そこから先はあっという間だった。
榊原「綾野彩さん」
綾野「あーあ、最初に覚えられる自信あったのになぁ」チュ
榊原「小椋由美さん」
小椋「私だって」チュ
榊原「見崎鳴さん」
見崎「最初に覚えなきゃ許さないって思ってたけど。特別に許します」チュ
榊原「桜木ゆかりさん」
桜木「はい」チュ
榊原「今一瞬風間くんにものすごく睨まれた気が…」
桜木「?」
水曜の放課後
榊原「最後の1人。赤沢泉美さん」
赤沢「ようやく覚えてくれたのね」
榊原「昨日から自信はあったんだけど、正解したらキスっていうのに反対してたから言いづらくて」
赤沢「そんなこと。クラスの決め事は何であれ守るのが3年3組よ」
榊原「じゃあ、その、キス、してくれる?」
赤沢「あ、改めて言われると恥ずかしいじゃない//」
赤沢「目、閉じてて」チュ
綾野「おめでとうこういっちゃん!ついに全員のキスゲットだね!」バシッ
榊原「痛っ。ありがとう。みんなが協力してくれたおかげだよ」
綾野「じゃあこの子の名前は?」
榊原「え?えーと、中島美幸さん」
中島「覚えてないじゃない」デコピン
綾野「今週いっぱいぐらいはテスト継続だなこりゃ」
土曜の放課後
榊原「藤巻奈緒美さん」チュ
榊原「中島幸子さん」チュ
榊原「渡辺珊さん」チュ
榊原「江藤悠さん」チュ
榊原「綾野彩さん」
綾野「もうほとんど間違えなくなったね」チュ
榊原「うん。だいぶ自信を持って名前を呼べるようになったよ」
綾野「じゃあこれをもって終わりってことでいいかな?」
小椋「じゃあ最後に私の名前を呼んで、榊原くん!」
有田「いいえ最後は私が」
多々良「最初が私だったんだから最後も私が」
榊原「ちょっとみんな落ち着いて…!」
赤沢「アホらし」
見崎(榊原くんが最後に選ぶのは私。最後に選ぶのは…)ブツブツ
翌週
榊原「赤沢さん、ちょっといい?」
赤沢「なぁに、恒一くん?」チュ
榊原「え、ちょ、赤沢さん?//」
赤沢「今まで名前を呼ばれるたびキスしてたからつい。条件反射ってやつかしら」
榊原「嘘だ。キスしてたのはフルネームで呼んだ時だけじゃないか」
赤沢「意地悪ね。そんなに私にキスされるのが嫌だった?」
榊原「ごめん、不意打ちだったからちょっときつい言い方しちゃった」
榊原「嫌なんかじゃない。僕がキスされていちばん嬉しかったのは、その…赤沢さんだよ//」
赤沢「じ、じゃあ、その、今度は恒一くんから、き、キスしてくれる?//」
榊原「うん。赤沢さん、好きだよ…//」チュ
赤沢「私も、恒一くんのことが好き…//」
勅使河原「あのー、俺らは?」
風見「もう諦めよう、勅使河原」
中尾「いっそ榊原に濃厚なキスをして全部忘れさせてやろうか…」
望月「中尾くんって、そういう趣味が…//」
おしまい
73 : 以下、名... - 2012/04/07(土) 18:04:59.25 jVAwoTOg0 22/22危うく渡辺さんを登場させるのを忘れるところだった
ところで渡辺さんの名前はなんて読むんだろう?
最後のパートはとりあえず赤沢さんにしたけどみんな自分の好きなキャラに置き換えて楽しんでねw