関連
勇者「やっぱり処女は最高だね」戦士「え?」【前編】
勇者「やっぱり処女は最高だね」戦士「え?」【後編】
788 : ◆qj/KwVcV5s - 2016/04/19 00:59:52.18 PSu3UBQNo 1/17後でごくごく短い番外編やります
アキレスとマリナの話
元スレ
勇者「やっぱり処女は最高だね」戦士「え?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1457772149/
番外編 残念だからこそ
――封印の神殿
魔法使い「これでやっと肩の荷が降りたわね」
魔法使い「あの子達の嬉しそうな顔を見れて気が晴れたわ」
七つの聖玉が全て揃い、魔の核は封印された。
再び封印が解かれないよう、封印の神殿はアイスベルクが厳重に管理している。
聖玉の浄化の力は凄まじい。
現在はまだ瘴気で汚染されている地域も、やがては聖玉の力により浄化されるだろう。
北から徐々に清らかな波動が広がっているのだ。
尤も、アモル教の聖職者が大地を浄化しきる方が先かもしれないが。
今、俺の隣には最愛のマリナがいる。
彼女との結婚までの道のりは少々険しかった。
そう、あれは今から二年ともう少し前のことだ。
――
――――――――
英雄「条件を満たす魔適体質者は、これで四人か」
アルカさんを助けるためには、
魔力容量が大きくて且つ、魔適傾向が150マジカル近くある魔適体質者が必要だった。
ただの魔適体質者ならば比較的すぐに見つけられるが、
あらゆる国の魔適体質者の登録情報を集めても、
条件に合う魔適体質者を見つけることは困難だった。
最低でもあと三人必要なんだ。
魔法使い「あの扉を開けるアルゴリズムでも組めれば話は別なんだけどね」
魔法使い「あれは完全にあの子のイメージによるものだから、」
魔法使い「魔適体質者じゃないと助けられないわ」
だがまだ希望はあった。
魔族により、後天的に魔適体質となった人間がいるのだ。
虱潰しに探し続けよう。
少し前よりは格段に情報の流れが速くなったし、格段に遠出しやすくなった。
後天性魔適体質者の噂を聞きつけては本人を探して回った。
魔族に姦淫されたからという理由で迫害されている人も珍しくなかった。
……そんな理由で迫害されてしまうなんて、理不尽な世の中だ。
そんな状態を見た時は、迫害していた人間達を必死に諭した。
英雄「まあ、この頃人探しはしやすくなったよな」
魔法使い「…………そうね。探されやすくもなったけれど」
英雄「……例えお兄さんが君を見つけたって、俺が絶対に君を守るから」
俺とマリナは、正式に付き合っているわけではなかったけれど、
なんとなく二人で行動するようになっていた。
エイルは真に愛せる恋人と出会えたため、彼女に負い目を感じることもなくなった。
今ではいい友人同士に戻っている。
俺達はマリナの兄、イガルクに見つからないよう普段は正体を隠して旅をしていた。
だが、俺達は有名になりすぎているし、どうしても噂は立ってしまうものだった。
魔法使い「兄さんはね、あたしを世界で一番美人だと思ってるみたいよ」
実際、彼女はかなりの美人だ。俺も彼女が世界一きれいだと思う。
魔法使い「自分で言うのもなんだけど、」
魔法使い「兄さんは、村で最も顔が綺麗なのがあたしだって認識した瞬間おかしくなっちゃった」
魔法使い「あたし以上の美人を見れば気も変わるかもしれないけど、」
魔法使い「その時はその子が兄さんの犠牲になるでしょうね」
英雄「……よし、これであと二人だ」
とある町でのことだ。俺は、マリナと似ている男を見かけた。
魔道士「妹を探しているのです。名はマリナ」
魔道士「この町に訪れている可能性が高いのです」
町の住民に対し、男は確かにそう訪ねていた。
逃げなければ。だが、俺達はまだこの町でやらなければならないことがある。
マリナだけでも町の外へ……いや、だめだ。一人にするなんて危険すぎる。
俺はある策を講じた。
――宿
魔法使い「兄さんの魔力を感じたわ」
英雄「君に決して危害を加えさせはしない。安心してくれ」
魔法使い「……安心できないのだけど」
英雄「俺、綺麗だろ?」
魔法使い「…………」
俺の女装の腕は上がっていた。
化粧と服装次第では、そこらの美少女よりもよほど美人になる自信があった。
マリナとだって、タイプは違うが同レベルだと思う。
さあ、変声石で声を整え、奴の元へ向かおう。
町人1「今の子美人だけどすごく逞しかったな」
町人2「一見清楚だけど夜が激しそうな感じ……たまらん」
ドンッ
英雄「きゃっ、ごめんなさい」
魔道士「あ、すみません……ご、ごつ」
英雄「お怪我はありませんか?」
魔道士「……!? 君からマリナの残り香がする。君はもしかしてマリナの友人かい」
英雄「え、マリナちゃんですか? 実は親友なんですっ」
魔道士「教えてくれ、妹は何処にいるんだ!?」
魔道士「俺はもう彼女がいないと生きていけないんだ!!」
奴の目は完全に逝っていた。だが俺は必死に愛想笑いを作った。
英雄「な、なんて凛々しいお顔立ち……」
英雄「あなたはきっと、私の運命の人っ!」
そして俺は奴に抱き付いた。胸を思いっきり押し付けてやった。
もちろん本物の女性の胸の感触そっくりの詰め物をしている。抜かりはない。
魔道士「あ、は、はい?」
英雄「お茶しませんか? ゆっくりお話ししたいわ」
魔道士「マリナの居場所を教えてくれ」
英雄「ほら、こっちこっち!」
強引に男を喫茶店へ連れ込んだ。
魔道士「ああ、マリナ……マリナの魔力がすぐそこに……」
英雄「私を見て!」
魔道士「っ……」
魔道士「う、美しい……ごついけど……」
英雄「あなたは、どうしてそこまでマリナにしゅうちゃ……愛してらっしゃるの?」
魔道士「……マリナは私の太陽そのものなんだ。あの美しさを独占したくてたまらない」
魔道士「一刻も早く見つけ出し、故郷へ連れ帰らなければ」
英雄「でも、兄妹の関係でしょう? 近親婚は禁じられているわ」
魔道士「知ったことか!」
英雄「ご両親はどう思っておられるのかしら」
魔道士「孫の顔を見られるならば妹だろうが構わんと言っている」
魔道士「優秀な魔術師の家系だからな。血は濃い方がいい」
魔道士「ああ……マリナ……」
英雄「……そこまで、一途に妹さんを愛してらっしゃるのね」
英雄「ああ、一途な男性ってステキ!」
反吐が出そうだ。
魔道士「そ、そんなことを言われたのは初めてだ」
英雄「でも、道を踏み外してしまっていることに変わりはないわ」
英雄「……私じゃ、駄目かしら」
魔道士「え…………」
俺は奴の手を取った。
英雄「人は、いつか仮初の恋を卒業して、真の愛を見つけるものなの」
英雄「私、あなたの生涯の相手になりたいわ」
障害になるつもりしかないけどな。
魔道士「だ、だが、俺は……」
英雄「あなたはマリナの表面しか見ていない」
英雄「マリナが美しさを失っても、あなたは彼女を愛せるの?」
魔道士「あ、あ……わた、しは…………」
俺はマリナの中身まで全部全部大好きだもんねー!
魔道士「ああぁああぁああああああああ」
英雄「……」
魔道士「私は……間違っていたのか…………?」
英雄「安心して。間違いは正すことができるわ」
英雄「私と共に正しい道を歩んでいきましょう」
魔道士「……私を真剣に諭してくれたのは君だけだ」
魔道士「結婚しよう」
気が早いにもほどがあるだろこいつ。
魔道士「さあ、夫婦の契りを交わそうか」
英雄「え?」
ほんとに気が早いな。
喫茶店を出た。連れ込み宿へ行くつもりらしい。肩を抱かれている。
何年も執着した妹を忘れてあっさり心変わりしたあたり、
よほど女性から言い寄られ慣れてなかったのだろうか。
それとも、あまりにも俺が魅力的であるが故なのだろうか……。
魔道士「君のような身も心も美しく、そして逞しい女性と出会えて、」
魔道士「私はなんて幸せなのだろう」
魔道士「ああもう我慢できない。さあ口付けを」
人気が少なくなってきたあたりでキスを要求された。
彼の真剣な眼差しが俺を見つめている。少しずつ彼の顔が近付いてくる。
唇と唇が触れ合いかけた直前、俺は声を元に戻した。
英雄「私、実は男なの」
魔道士「え?」
その瞬間、俺は奴の股間に膝蹴りを食らわせた。
魔道士「うぐ……ご……」
英雄「いくら心を入れ替えようとなあ!」
英雄「おまえが彼女に深い心の傷を刻み付けたことには変わりねえんだよ!!」
英雄「ってかすぐに淫行に及ぼうとしたあたり全く反省してないだろ!?!?」
魔道士「ひっ」
英雄「俺はマリナを守る」
俺は剣を抜いた。聖剣は王都に返したため、今持っているのは普通の剣だ。
英雄「おまえの股間の剣からなあっ!!」
そして奴の股間を突き刺した。
男と男の戦いには、目と股間だけは狙ってはならないという暗黙のルールがある。
でも今の私は女の子だもん。容赦はなんてないわ。
流石にさくらんぼ狩りの勇者ナハトのように何度も攻撃を繰り返す気はないが、
今回ばかりは躊躇なく男の息子にとどめを刺せた。
魔道士「あっ……あがっ……」
英雄「もう二度と彼女に近付くな」
英雄「親御さんにも、『孫の顔を見れると思うなよ』って伝えておいてくれ」
魔法使い「ちょっと、あんた……」
英雄「……マリナ」
魔法使い「はあ……もう、兄さんに怯えなくていいのね」
英雄「ああ」
魔法使い「よくあんなことができたわね」
魔法使い「男の子にナハトの真似なんて無理だと思ってたわ」
英雄「だって私、女の子だもの」
英雄「出会った直後に貞操を狙われたのよ。あのくらい当然よ」
魔法使い「…………」
英雄「ごめん呆れないで。冗談だから」
魔法使い「お礼は言うわ。感謝してもし足りないくらい」
魔法使い「でもあんた、自分がどれだけ危険なことしたかわかってる?」
魔法使い「兄さんはあたし以上の魔術師なのよ」
魔法使い「いくら英雄のあんたでも、下手をすれば大怪我だったわ」
魔法使い「いいえ、最悪の場合、殺されていたかも……」
英雄「だからちゃんと油断させただろ?」
魔法使い「……」
英雄「無謀な真似はしないって」
英雄「俺、やっぱり君が好きだよ」
英雄「どうか、これからもずっと一緒にいてほしい」
魔法使い「…………」
魔法使い「…………はあ」
魔法使い「あんたの勝ちよ」
英雄「え?」
魔法使い「長いこと一緒に過ごしてる内に、ちょっとずつあんたには惹かれていっていたわ」
魔法使い「でも、あたしにとって、あんたはいい奴すぎて……」
魔法使い「完璧すぎる男なんて、あたしには釣り合わないってずっと思ってたのよ」
魔法使い「でも……まあ、いいかなって」
英雄「ほんと? やったあ!」
彼女は微妙に眉をひそめている気がするが、一応微笑んでいる。
俺はすぐ傍のショーウィンドウを見た。
英雄「……女の子同士でくっついてるのって、ドキドキしないか?」
魔法使い「……やっぱり、なかったことにしましょう」
英雄「え、ちょっと待って! マリナ! 置いてかないで!!」
英雄「マリナー!!」
――――――――
――
ヘリオスやエイル達とはこれからも交流が続くだろう。
英雄「南の大陸って辛い食べ物が旨いんだろ?」
英雄「今度家族を連れて遊びに行くよ」
僧侶「私達もいずれ会いに行きます。ね、お義父さん」
傭兵「そうだな」
戦士「ああ、待ってるよ」
魔法使い「さ、あたし達も東へ帰りましょうか」
魔法使い「あの子達を二人きりにしてあげたいもの」
英雄「そうだな。息子も待ってることだし」
幼い息子は俺の親に預けてきていた。今頃母親を恋しがっているだろう。
マリナに似た可愛い子だ。
魔法使い「女の子の格好させたりしないでよ?」
英雄「し、しないよそんなこと」
子供に女装を強いるようなことはしないし、
子供には女装しているところを見られたくないなと思った。
かっこいいお父さんでいたい。
数年後、俺の女装姿そっくりの可愛らしい女の子が生まれるのだが、
それはまた未来の話。
821 : ◆qj/KwVcV5s - 2016/04/19 21:34:09.45 PSu3UBQNo 16/17おわり
元ネタはイヌイット神話
ヘリオスは、よほど変な男を連れてこない限り娘の好きにさせるかと
彼自身親から束縛されずに自由に育てられたんで
823 : ◆qj/KwVcV5s - 2016/04/19 21:49:07.18 PSu3UBQNo 17/17今のところ予定はないです
思いついた時にまだHTML化されてなければやるかもしれない程度(依頼出し済み
続編は書きたいけどもう引き出しが空っぽなんでしばらくインプット期間に入ります