1 : 以下、名... - 2012/05/13(日) 00:22:23.27 poniHoSk0 1/26

勅使河原「あぁ、まぁ、うん……」

恒一「普通に可愛くてさ、レベルの高いこのクラスだと埋もれるけれど、他のクラスならクラスで二番目にはモテるくらい、普通に可愛いよね」

勅使河原「まぁ、そうかもな」

恒一「テストも様子をみる限りことごとく平均点前後で、クラスの皆と仲が良いし、普通に可愛いよね」

勅使河原「サカキ、よくわからないのろけは良いから、本題は何だよ」

恒一「有田さんと仲良くなりたいんだ……」

勅使河原「? 別に、普通に話しかければ良いだろ?」

恒一「普通に普通な有田さんに……僕は何て話しかければ良いと思う?」

元スレ
恒一「有田さんって普通に可愛いと思う」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336836143/

4 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:26:02.07 poniHoSk0 2/26

勅使河原「いや、知らんがな」

恒一「趣味もこれといってわからなくて、話しかける内容が無いんだ!」

勅使河原「空が青いですね。とかで良いだろ」

恒一「普通すぎるよ!」

勅使河原「普通が好きだったんじゃないのかよ!」

恒一「違うんだ、僕はたしかに普通な有田さんを好ましく思っているけれど、僕が普通じゃダメなんだ」

恒一「だって、考えてもみてよ、そんな事を有田さんにいったら、そうだね。しか返ってきそうにないじゃないか!」


6 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:29:22.46 poniHoSk0 3/26

勅使河原「さすがに有田も何かしら普通じゃない反応するだろ……」

恒一「僕は、普通じゃない有田さんに話しかける為に、考え得る全ての状況を想定し、常に最良の選択肢を選ばなくちゃいけないんだ!」

勅使河原「お前は何の指揮官なんだ」

恒一「普通に可愛いくて普通に可愛い、そんな普通の有田さんと、僕はどうやって仲良くなれば良いんだ……っ!」ダン

勅使河原「まぁ、えっと、取りあえず落ち着け、サカキ」

恒一「ちくしょう! 僕は普通少女に話しかける事も出来ないのか!」

7 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:33:59.65 poniHoSk0 4/26

廊下

有田(え? ええ? えええええええっ?)

有田(何で教室で榊原君が私の名前を呼びながら叫んでるのっ!?)

有田(私、忘れ物取りに来ただけだよ? し、しかも、可愛いって言われてるよ?)

有田(それも、榊原君にっ!?)

有田(勅使河原君じゃなくて、榊原君にっ!)

有田(でも、どうすれば良いんだろう。榊原君は何だか私に話しかけにくいらしいし……)

有田(今入ったら、普通に気まずいし……)

有田(でも、入らないと明日の数学の宿題をやれないよ!)

有田(うーん……)

8 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:37:51.61 poniHoSk0 5/26

教室

勅使河原「取りあえずさ、いったん有田の机でも調べてみろって」

恒一「……発言が中尾君みたいだよ」

勅使河原「ちげーよ、ほら、机を見てみれば何かしらの趣味がわかるかもしれないだろ。ほら、そこの江藤の机見てみろ」

恒一「……? 何か、数字が書いてあるね」

勅使河原「それ、アイツの水泳のタイムだぜ」

恒一「すごいね! どんどんタイムが縮んでるじゃないか!」

勅使河原「毎朝、嬉しそうにそこに書いてるぜ。なら、有田だって……」

恒一「わかったよ! 普通な有田さんにだって、何かしら……」

ガサゴソ

恒一「っ!?」

13 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:42:00.21 poniHoSk0 6/26

勅使河原「どうした、何かあったのか?」

恒一「数学のノートだ、それも明日の宿題をやってない……」

勅使河原「……普通だな。だが、有田にとってはアンラッキーだが、サカキ、お前にとってはラッキーだぜ」

恒一「どういう、事?」

勅使河原「明日、有田に宿題を見せてやるんだよ。ナチュラルに、かつ相手に良く見られる、完璧だろ?」

恒一「で、でもそんな有田さんの不幸につけこむような事……」

勅使河原「あのな、今更忘れ物を取りにくるわけが無いんだ。明日の有田を救えるのは……お前だけだぞ、サカキ」

恒一「勅使河原君……」

14 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:46:33.49 poniHoSk0 7/26

廊下

有田(いるよ! 絶賛忘れ物回収中だよ! 榊原君達が一番の障害だよ!)

有田(で、でも、明日榊原君が私に宿題を見せてくれるなら、やらなくても良いよね? むしろやらない方が良いよね?)

有田(どうしよう……?)

有田(あっ!? でも明日の数学は一時間目だよ! 朝に見せて貰わないと、間に合わないっ!)

有田(……少なくとも、私が遅刻しないようにしないと)

有田(そうと決まれば、早寝しなきゃね! どの道、今更教室には入れないし……帰ってすぐに寝ようっと!)タタタタ

15 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:49:36.61 poniHoSk0 8/26

教室

恒一「あれ?」

勅使河原「どうした、サカキ」

恒一「今、廊下で足音がしなかった?」

勅使河原「こんな時間に、いるはずが無いだろ。それよりも、そろそろ帰ろうぜ」

恒一「そうだね。僕も今日は早く寝ないと」

勅使河原「お前、何時にくるつもりだよ……」

恒一「少なくとも、有田さんより速く来ないとね」

18 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 00:55:13.55 poniHoSk0 9/26

次の日、日の出前

恒一(念入りに、一寸の間違いも無いように、宿題の問題を繰り返し三時間)

恒一(朝、登校してきた有田さんとの会話プラン百通りを考える事、八時間)

恒一(有田さんが学校に着く時間を考え、僕は……そろそろ学校に着く!)

恒一(万全だ、完璧だ、さすがに有田さんも、こんな時間にいるはずが無いっ!)

恒一(教室で、静かに精神を落ち着けよう。普通少女との邂逅を、最良で成し遂げるために……あれ?)

恒一「校門前に、誰か、いる……?」

22 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:00:36.78 poniHoSk0 10/26

校門前

恒一「お、おおおはよう、有田ひゃん!」

恒一(ちくしょう! 噛んだ!)

有田「さ、さささっかきばら君っ!?」

恒一(しかも軽く引かれたっ! 三歩下がられたっ!)

恒一(想定外すぎる。有田さんがこんな時間にこんな場所にいるなんて……)

恒一「は、早いね。どうしたの?」

有田「ええっ!? そ、それはね……」

有田(何か、何かネタを探さないと……っ!)

有田「!? 空が青いからっ!」

恒一「まだ真っ暗だよっ!?」

有田(そうだったっ!)

25 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:05:38.36 poniHoSk0 11/26

恒一(何か、とりあえず普通の会話をしないとっ!)

恒一「な、何で校門に立ってるの?」

有田「え、だって……その……」ユビサシ

恒一(閉まってた……っ! そりゃそうだよ!)

恒一「あ、あはは……僕達、ちょっとだけ、早すぎたみたいだね」

有田「う、うん……そ、それもこれも、空が青いからだよ!」

恒一(だからまだ暗いって!)

恒一「あはは……」

有田「あはは……」

恒一「…………」

有田「…………」

27 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:11:38.19 poniHoSk0 12/26

恒一(どうすれば良い? どうすれば良い? どうすれば良い?)

有田(どうしよう? どうしよう? どうしよう?)

恒一(さすがに、ここで宿題の話を出すわけには行かないっ! 考えろ、昨日、一晩中考えたプランを応用するんだ!)

有田(昨日ぐっすり寝ないで、何か話題を考えておくんだった! うぅ、おかげで起きれたし、こんなに早くに榊原君に会えたけど、いくら何でも早すぎるよっ!)

恒一「あ、有田さん!」

恒一(好きな食べ物を聞こう!)

有田「は、はい!」

恒一「す、好きな……」

有田「すすす、好きなっ!?」

有田(好きな……人っ!? 早い、早すぎるよ! こんな時間に登校するより早いよっ! その話題はもっと親密度を上げてからにしてほしいよっ!)

恒一(な、何だこの食いつきはっ!? もしかして、何か触れてはいけないタブーだったのかっ!?)

30 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:17:02.53 poniHoSk0 13/26

恒一(仕方ない方向転換だ、まだ間に合うっ!)

恒一(女子中学生が普通に好きそうな話題……そうだ! 恋愛トークだっ!)

恒一「す、好きな人は……いるの?」

有田(本当に好きな人だったぁっ!?)

有田「いい、今は、まだ、いない……かな?」

恒一「そ、そっか……」

恒一(そうか、いないのか……いや、それよりも、これじゃ話が広がらないよ! そもそもほぼ初めて話すのに、恋愛トークはおかしいよ!)

有田(あ、あれ? なんかしょんぼりしてる? 私何か間違えた? え? あれ?)

有田(いや、それは無いよ。でも、ももももしかしたら……榊原君、私の事が好きだったり?)

有田(いやいやいやいや、そんな一目惚れみたいな話……で、でも、う、うん?)

有田(榊原君なら、私も、嬉しいかなって……)

33 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:22:16.09 poniHoSk0 14/26

有田「えへへ……」

恒一(っ!? よくわからないけど、有田さんが嬉しそうだ! 何だ? 一体何が、有田さんを喜ばせたんだ!)

有田(いやぁ、でも、そんな榊原君みたいなカッコイい人が、普通に普通で普通な私の事なんて……でも、昨日も可愛いって言ってくれてたし、も、もしかしたら! ね! ねね!)

恒一(か、顔を真っ赤にして嬉しそう? いや、違うのか! あれはそうだ! 恥ずかしがってるんだな!)

恒一(きっと有田さんは、何か秘密があって、こんな時間に学校に来たんだ。それを、僕が、この僕が、このろくに会話も出来ない僕が、邪魔をしてしまった!?)

恒一(そしてきっと、秘密がバレることを恐れ、恥ずかしがっているんだ!)

35 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:30:59.00 poniHoSk0 15/26

恒一(でも、今更帰るわけにも行かない……っ!)

恒一(それに、本当は秘密は秘密のままにするべきなのに、僕は……有田さんがもしかしたら普通じゃなくなるその秘密を……知りたいっ!)

恒一「あ、有田さん……」

有田(こ、今度はやけに落ち着いた表情!? そ、そんなに見つめないで! 好きになっちゃうよぉ!)

恒一「僕に、教えてほしいな……なんて」

恒一(くっ! 弱気になって「なんて」をつけてしまった! この意気地なし!)

有田(ここ、これって遠まわしな告白なのかな! なのかな! どこをどう遠まわしなのか、よくわからないけど、何を教えれば良いのかわからないけれど、でも、何か前進してるよね!)

恒一(はっ!? 「秘密を」なんて主語が抜けてるっ!? まずい、これじゃ僕がよくわからない事を言っているみたいだ! 嫌われちゃう!?)

有田「さささ、榊原君!」

恒一「は、はい!」

有田「い、良い、よ?」

有田(おお、オッケーしちゃったよ! どうなるの、どうなっちゃうの! 私!)

36 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:35:57.20 poniHoSk0 16/26

恒一(オッケーされたっ!? 何を!? 秘密を教える事を!? 伝わったの!?)

有田(え、でも、どうすればいいの? きききき、キスとかするの? え、早すぎだよね!? ででも、その、ね、ほら、今なら二人っきりだし!)

恒一(秘密を話してくれるなら、こんな場所じゃダメだ。あんなに恥ずかしがってたんだ。万に一つも人に見聞きされる場所じゃいけない)

恒一「有田さん」

有田「はい!」

恒一「本当はダメだけど、学校の中に入っちゃおうか。人目につくと、やっぱり、ね」

有田(ひひひひひ人目に付かない場所で何をするのっ!?)

37 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 01:44:00.60 poniHoSk0 17/26

有田(でも、オトコノコって、やっぱり、そういうのが好きって言うもんね! 榊原君も、やっぱりそうなんだよね! 由美ちゃんも言ってたもん! 男に興味の無い奴なんていないって!)

有田(でも、さすがに性急すぎるよぉ! 私、心の準備がまだだし……それに、そういうのは、ゆっくりが良いと思うのに……)

恒一(あ、あれ? 今度はがっかりしてる? 僕、今、最高に気を利かせたはずなのに!? 何だ、どうなって?)

有田(ででも、一度オッケーをした以上、そんな形で断っちゃ……っ! そうだ! 幸い時間もあるんだし!)

有田「榊原君っ!」

恒一「は、はい!」

有田「私の、家でも、良いかな?」

恒一(自宅……だと……!?)

有田(い、言っちゃったよ! もう後戻り出来ないよ!)

48 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 02:25:47.45 poniHoSk0 18/26

有田宅前

恒一(来ちゃったよ。来ちゃったよ? 来ちゃったよ! ここまでするなんて、一体どんな秘密なんだ! ぼ、僕は、その重みに耐えられるのか!?)

恒一(腹を括るんだ、榊原恒一! ここで帰るなんてとんでもない! 一度手を出したんだ。それを放棄すれば、男が廃る!)

恒一「有田さん、親御さんは?」

有田「どっちもいないよ。仕事柄で、世界中を飛び回ってるの」

有田(でなきゃ、家でなんて……うぅ……、家に帰ってきたのに、扉を開けるのが怖いよぉ!)

恒一(りょ、両親不在だって!? やった! やったよ! 有田さんの普通じゃなくい所を、僕はついに知ったよ!)

恒一(でも、つまり、有田さんの秘密は、この状況にも関わってくるはずだ……! いや、もう迷いは無い! 僕は、僕は全力で、有田さんの秘密を受け入れる!)

51 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 02:33:46.48 poniHoSk0 19/26

松子ルーム

有田(へへへへ、部屋は、一応片づいてるよね? 汚く無いよね? 大丈夫だよね?)

恒一(お、女の子の部屋…… なんというか、その、ドキドキするね!)

恒一「じゃ、じゃあ、その……」

有田「う、うん……私は、良いよ」

有田(さ、榊原君なら、優しくしてくれるよね?)

恒一(どうした、有田さん。何かを待っているようだ。ここに来て、やっぱり恥ずかしくなっちゃったのか!?)

恒一「有田さん、その、有田さんが始めてくれないと……」

有田「ええっ!? そっちなの!?」

有田(び、びっくりだよ! だって、え? ええええ!?)

52 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 02:39:30.41 poniHoSk0 20/26

有田「さ、榊原君は……その方が、良いの?」

恒一「う、うん?」

恒一(何だ、何かがずれてる? 僕は、何か盛大な思い違いをしている!?)

恒一(有田さんは、僕から何かを待っている!? え? ……そうか、自分が秘密を話すのなら、僕にも秘密を言えってるんだな)

恒一「有田さんは、どんなのが良いの?」

有田「ど、どんなのっ!?」

有田(そ、それはどういうタイプでやればいいかって事っ!?)

有田「……優しいのが、いいな」

恒一(や、優しい秘密!? それは、え? どういう事だ?)

53 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 02:42:01.19 poniHoSk0 21/26

恒一(優しい……そうか、そうか! わかったぞ! 謎は全て解けた!)

有田(榊原君が、晴れ晴れとした表情をしてるっ!?)

恒一「有田さん、君は、昨日の僕と勅使河原君の会話を、聞いていたんだね」

有田(ばれた!?)

55 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 02:50:04.08 poniHoSk0 22/26

恒一「もう、大丈夫。全て僕に任せて」

有田「榊原君……うん、わかった。私、榊原君を信じる!」

有田(最初は痛いっていうけど、榊原君は自信があるみたいだし、その、ちょっとだけ悲しいけれど、経験者みたいだし……)

有田(ここで、誰と? なんて聞いたら、嫌な子になっちゃうよね。気になるし、いずれ知りたいけれど、今日は榊原君がエスコートしてくれるんだもん、文句は言えないよ)

有田(え、えっと、服は自分から脱いだ方が良いのかな? でも、脱がせたい人もいるらしいし……ううん、榊原君が任せてって言ったんだもん、私が勝手に脱いだらダメだよね!)

有田(よし、ちょっと深呼吸をしよう! すー、はー ……うん、大丈夫)

恒一「有田さん」

有田「ひゃい!」

有田(噛んじゃったよ!)

57 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 03:02:11.04 poniHoSk0 23/26

恒一「数学の宿題、どこがわからないの?」

有田「…………え?」

恒一「大丈夫、僕、しっかり予習したから、全部しっかりきっちり教えれるよ!」

恒一(数学の宿題をやるために、早くから学校に来ていた有田さんを、引き止めたのは僕だ。その責任を、取らなきゃいけない)

恒一(有田さんは昨日、宿題のためにノートを取りに戻ってきたんだ。なのに、僕と勅使河原君が、ノートの話をしていた)

恒一(有田さんは……これは僕の憶測でしか無いけれど、僕にわざわざ教えてもらわなくても良いように、朝早くに来て宿題をやろうとしていた)

恒一(なのに、僕も来てしまった)

恒一(自分の為に解いてきた僕に悪く思い、有田さんは恥ずかしそうにしていたんだ)

恒一(それなのに、僕は勘違いして「教えてくれるかな?」なんて、それじゃまるで「(何で早く来てるか)教えてくれるかな?」って思われちゃうよ!)

恒一(これじゃあ僕は、嫌な奴だ。わざわざ問い詰めるなんて)

恒一(有田さんには、僕は全てを知って起きながら、誰もいない学校に連れ込もうとした悪人に見えただろう。だから、彼女なりに抵抗して、こうして彼女のホームグラウンドの自宅に招いた)

恒一(僕は、秘密がどうのこうのなんて幻想を見て、有田さんを怯えさせてしまっていた……)

恒一(一度括った腹だ。僕は、有田さんに責任をとる!)

59 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 03:10:17.01 poniHoSk0 24/26

恒一(クラスの皆にはわからないように、有田さんが宿題を忘れたなんて、誰にもバレないように……)

恒一「……先に謝るよ、有田さん。誤解を招くような事をして、本当にごめん」

有田「……どういう、事? わ、私、覚悟を決めたんだよ? 榊原君なら、って。私はいつでも良いんだよ?」

恒一「うん、だから、僕は責任を取るよ。有田さんの為に、今から宿題を教えようと思う。それで有田さんが許してくれるとは思わないけど、僕も勘違いをしてたんだ。ごめん」

有田(……か、勘違いを勘違いしてるよぉ……うぅ)

恒一「こんな責任の取り方じゃ、ダメ、かな?」

有田「……よくわからないけど、責任、取ってくれるんだよね?」

恒一「うん、僕に出来ることなら、なんだって!」

61 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 03:18:01.25 poniHoSk0 25/26

有田(私は、私を勘違いさせた榊原君に、どうしたいの?)

有田(恋人になってほしいの? そりゃほしいよ! 私、もう、榊原君の事が、その……好きだもん)

有田(でも、強制したって、それはちゃんとした恋人じゃないよ。そんなの、嬉しくない)

有田(なら? 私はどうしたいの?)

有田「じゃあ……」

恒一「……じゃあ?」

有田(私は、少しでも長く、榊原君と一緒にいたい。少しずつでも、榊原君に近づけるように、一緒にいてほしい!)

有田「私に、勉強を教えて下さい! 平均点を超えて、その、榊原君が行くような高校にいけるくらい、私の頭を良くしてくださいっ!」

恒一「……わかった。僕に出来るだけ、毎日だって、教えるよ」

62 : 以下、名無しにかわりましてAritarがお送りします - 2012/05/13(日) 03:24:25.02 poniHoSk0 26/26

朝、通学路

有田「榊原君、思ったよりスパルタだね……」

恒一「大丈夫、次のテストで有田さんは、クラストップレベルまで頭が良くなるから」

有田「そんなにっ!?」

恒一「当然だよ。高校入試には、中学での評定も関わるからね」

有田「う、うわぁ……」

恒一「でも、不思議だね」

有田「何が?」

恒一「昨日まで、どう有田さんと話せばいいか、ずっと悩んでたのに、今はこうして、一緒に登校してる。何でだろう?」

有田「……うーん、それはきっと」

恒一「それはきっと?」

有田「空が青いからじゃないかな!」


Aritar
おわり

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