【関連】
男「パンツから始まる恋だってある」 転校生「ねーよ」
の続き(女ルート)です。
男「パンツ見せてください」後輩「な、何言ってるんですか!」(後輩ルート)
元スレ
男「パンツ見せてください」転校生「バ、バカじゃないの!」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1416920736/
男(女・・・スルーするか。気まずいし)
男(でもあいつ一人で夏祭り来るわけないよな。まさかあいつも迷子か?)
女「」オロオロ
男(やなりその様だ。夏祭りに一人ってのは危ないしな。後輩も例外ではないが・・・)
女「・・・!」
男(と言ってる間にもナンパされてるし。これってかなり不味い状況だよな)
男(助けるしか道はないか。行くしかない)
男「どこ行ってたんだ。ほら、行くぞ」
女「お、男君っ!?」
男「迷惑かけました。それじゃ失礼します」
「ちょっと待て!」「お前この前も!」
男「・・・手、離すなよ」ギュッ
女「・・・うん」
~~~~
男「なんとか撒いたな・・・大丈夫か?」
女「私は大丈夫・・・ありがとう男君・・・」
男「・・・」
男「ところで何で一人なんだ?一人で来たわけじゃないだろうし」
女「実は女友ちゃんと転校生ちゃんと来たんだけど、はぐれちゃって」
男「それなら好都合だ。俺も友と会長姉妹と来てたんだけどはぐれてな。一緒に探さないか?」
女「う、うん、いいよ。携帯もうまく繋がらなくて困ってた所だから」
男「じゃあ、あっちの通りを行こう」
~~~~
男「こっちも行ったから・・・あっちか?」
女「ねぇ、あれって後輩ちゃんじゃないかな?・・・」
男「って転校生と女友も一緒じゃねぇか・・・こりゃあ手間が省けたな」
後輩「せんぱーいっ」
男「まったく、食い意地張って勝手にどっか行くからはぐれるんだぞ」
後輩「す、すいません」
女「まぁ、後輩ちゃんにも何も無かったんだから、とりあえずよかったよ」
転校生「むしろあんたが勝手にどっか行ってたんじゃないの?」ジトー
男「ちげーわ!お前こそ食ってばっかで女の事忘れてたんじゃないのか?」
転校生「失礼なっ!そんな事ないし!」
女「ふ、二人とも・・・そんなこと言ってる間にも花火始まっちゃうよ?」
女友「場所も埋まっちゃうから早くしないと」
男「わ、悪かったな」
転校生「ご、こめん・・・」
後輩「あ、あのー」
転校生「? どうしたの後輩ちゃん?」
後輩「私、花火見るのにいい場所知ってるのでそこ行きませんか?」
223 : ◆Cjqc0.rpcA - 2015/01/24 13:12:42 LTjFXbQA 318/1388一応、>>219は>>73からの続きです…
~~~~
転校生「こんな所があったんだっ!」
後輩「ここのお祭り結構来てるんで
詳しいんですよ私」
女友「女・・・ここは男とあんたで二人きりになるようにするから、頑張りなさいよ」ボソツ
女「えぇっ!?ちょっ、ちょっと女友ちゃん・・・」
男「俺らもあっち行くか・・・」
女友≪こっちに来るな・・・≫
男(こいつっ!直接脳内に!?)
男(仕方ねぇ。ここに座るか・・・)
女「んしょ・・・」
男(なんでお前はナチュラルに俺の隣来るんだよ・・・緊張するから)
男「・・・」
女「・・・」
女(無理無理っ!話しかけるなんてできないよぅ・・・)
女(隣にいるだけで充分幸せなのに・・・)
女(昔だったら隣にいたのが当たり前だったんだけどね・・・そういえば、小さい頃にも男君とお祭り来たっけ・・・)
女「懐かしいね男君・・・」
男「ぇあ!? な、なにがだ?」
女「小さい頃に夏祭り一緒に行って、それで花火見たりしたよね・・・」
男「・・・そうだったな」
男(でも、きっと俺達は昔の関係には戻れない・・・)
女「ーー私は、昔みたいに、小さい頃の様にまた一緒に夏祭りに行けるようになりたい・・・」
男「いま、なんてーー」
女「ううん。何でもないよっ」
男「・・・」
男(女がふと呟いた言葉は聞こえていた)
男(けれど、それが本当なのか、分からなくて、混乱して、何も言えなくなった)
男(俺には女の近くにいれる権利なんてない。俺は、弱くて脆いから)
男(近づけばまた傷つけてしまうのではないのか)
男(そうだ、そうに決まってる。もう俺達は、昔には戻れないんだからーー)
男「パンツ見せてください」女「ダ、ダメだよっ」カァァ
~~~~
男(長かった夏休みも終わり、今日から晴れて新学期)
男(夏休みの思い出話に花を咲かせるクラスメイトを横目に見ながら俺はある事を考えていた)
男(夏祭りの時の女のあの言葉は一体なんだったんだろうか)
男(女は俺の事を許してくれるのか?・・・)
友「新学期早々考え事か?・・・忙しいな」
男「うるせぇ脳内お花畑」
友「お花畑か・・・それもいいな」
男「ついにぶっ壊れたか」
男(友は夏祭りの時に晴れて先輩とカップルになった。ノロけまくってる。鬱陶しい)
友「壊れてないわ。・・・困ってる事があるなら言ってくれよ?一人で溜め込んだりしないで、な?」
男「・・・ああ。そん時は頼りにさせてもらうわ」
男(でも今考えてる事は、そう簡単に言えるようなもんじゃない)
男(女は至って変わった様子はないみたいだな・・・)ジー
転校生「なんでさっきから女ちゃん見てるのよ」
男「別に・・・」
転校生「あっ!まさか女ちゃんの事が気になるの?」
男「ちげーよ。そんな簡単なもんじゃない」
転校生「へぇー。簡単なもんじゃないねぇ・・・」ニヤニヤ
男「言っとくが、お前が考えてる様な事じゃねぇからな」
転校生「もしかして照れてるの?」
男「あーはいはい。それでいいよ」
転校生「・・・なーんか変な男」
~~~~
男(始業式を終えた俺達は、来月に迫る文化祭に向け話し合いを行っていた)
女「じゃあ、文化祭実行委員は友君にお願いしたいと思います」
男(早速先輩と付き合ってるのがバレた友はモテない男達の怨念を受けて文化祭実行委員となった。ざまぁみろ)←バラした張本人
女「後は文化祭の出し物だけど・・・みんなまだ考えてないと思うので、後日また意見を聞きたいと思います」
女「なので今日はここまででいいかな?みんな、お疲れ様」
友「なーんでお前は平気でっ!・・・」
男「いいじゃん。つうかこっちからすれば早くくっつけよ!って感じだったしな」
男「俺達からの祝福だと思って受け取ってくれ」
友「まったく・・・文実に多分姉さんいるからいいだろうけど」
~~~~
男(長い休みを明けた学校は、やはり変わりばえしなかった。文化祭の話し合いにも意欲は出ず、ただ聞き流していただけだ)
男「ただいまー」
男(俺はあの頃から変われたのだろうか)
男母「あー、ちょうど良かった。男、女ちゃん家に行ってきてくれない?」
男「・・・は?」
男母「この前ご飯行った時に約束してた物があってそれを取ってきてほしいんだけど」
男「なんで俺がっ・・・母さん行けばいいじゃねぇか」
男母「無理ねーお母さん今、手空いてないから」ポリポリ
男(ソファ寝っ転がりながら煎餅食ってドラマ見てるのが手空いてないと言うのか)
男「ドラマ見てんじゃん・・・」
男母「・・・あ?」ギロッ
男「」
男「イッテクル」
男母「頼んだわよ」ヒラヒラ
~~~~
男(ったく、ウチの母親め!・・・)
男(今日はおばさんに荷物を貰うだけ。荷物を貰うだけ。緊張する必要はない)
ピンポーン
女母「あら、男君久しぶりねぇ」
男「こんにちは。母がおばさんから荷物もらってこいって言われたんで来たんですけど・・・」
女母「そうだったかしら・・・ちょっと探すわね。時間かかるかもしれないから上がって?」
男「い、いえ大丈夫です・・・」
女母「そう言わずにほらほら」
男「ちょっ、おばさんっ」
~~~~
女母「お茶でいいわよね?」
男「は、はい。大丈夫です」
女母「久しぶりだからって堅くなりすぎよ?もっとリラックスしてね」
男「は、はい」
男(幸い女は家にいなかったから良かったものの、いつ帰ってくるかは分からない・・・できれば早く帰りたいんだが・・・)
男(おばさんがブツを探す気配がないっ・・・!)
女母「最近、ウチの子とはどうかしら?」
男(いきなり何言いよっとね)
男「ま、まぁ・・・普通って感じです」
女母「普通ってどんな感じなのかな?」
男「普通の学生の距離感・・・って感じですかね?」
女母「そう、ウチの子には愛想尽きちゃったのね・・・」
男「い、いえっ!そんな事は無いです!ただ・・・」
女母「ただ?」
男「・・・えーと、なんて言うか・・・」
女母「」ニヤニヤ
男「って、何おばさんにやけてるんですかーーー」
女「・・・」カァァ
男「・・・ぇ」
女母「ウフフ。後はお若い二人に任せるわ♪」
~~~~
男「・・・」
女「・・・」
女(男君・・・私の事、嫌いではないんだ・・・)
女(さっきの言葉の続き、きっとあの頃の事が関係してるんだよね・・・)
女(・・・私はっ・・・)
男「・・・とりあえず、お茶飲んでいいか?」
女「ど、どうぞっ」
男「ん・・・」
男女((会話が続かないっ・・・!))
男(とりあえず話題を探すんだ!えーと、今日は文化祭の話し合いしてたからそれで・・・)
女(そういえば男君は文化祭なにがしたいんだろう・・・)
男女「「あのっ」」
男「・・・先に言っていいぞ」
女「い、いや男君が先でいいよ・・・」
男「お、おう・・・文化祭さ、女は出し物何か考えてるのか?」
女「ううん。まだ考えていないんだ・・・男君は何か考えてる?」
男「そうだな、俺も特には考えてはないんだよなぁ・・・」
女「そ、そうなんだ・・・」
男「ああ・・・」
男(あれ、これまた振り出しに戻ってない?)
女(またさっきと同じ・・・どうしよう・・・)
女母(そろそろ頃合いかしら・・・)
女母「あったわよ~ごめんねぇ男君」
男(おばさん、ナイスタイミング)
男「あ、はい。ありがとうございます」
女母「ついでに夕飯も家で食べていく?」
男「いえっ、大丈夫です」
女母「そう~残念ね~」
男「では、俺はこれで・・・」
女母「また来てね~」
女(わ、私もなにか言わなきゃっ・・・)
男「女・・・またな」
女「ーーー」
女「うんっ。また、ね・・・」ニコッ
男「」ドキッ
男「あ、ああ・・・」
ガチャ
女(あの言葉一つでこんなに喜んじゃうなんて、本当に私は男君の事がーー)
女母「あなた達は本当に純粋ねぇ」ニヤニヤ
女「お、おかあさんっ!?」カァァ
~~~~
女「ーーでは、これから多数決を取りたいと思います。まずは・・・」
男(あれから何の音沙汰もなく数日が経ち、今は文化祭の出し物を決めている所だ)
男(今出ている案は、主に男子(変態)が推すメイド喫茶と主に女子が推す演劇の二つ)
男(女はどうしても話し合いで決めようとしている。ホント、そういう所は昔から変わらないな・・・)
男(まぁ、変態()と女子が話し合いで決着が着くわけはなく、結局多数決で決まる事になった)
男(ここで大切なのは男子(正常)の票を両陣営はどれほど取れるかという所。俺もそこに含まれる・・・筈)
男(俺は今の所メイド喫茶に入れようと思っている・・・決して他意は無い。女子のメイド姿を見たいとかそういうのじゃないぞ。そういうのじゃないからなっ・・・!)
女「メイド喫茶がいいと思う人は手を挙げてください」
男(さて、俺はクラスメイトのメイド姿を拝むためにーー)
男(そう思って手を挙げようとしたら二人から物凄く視線を感じる)
転校生「」ジトー
男(一人は転校生。物凄く呆れた様な顔で見られている。ヤダっ・・・感じちゃうっ・・・嘘だ。)
女「」カァァ
男(もう一人は女。何故か分からないが顔を真っ赤にして俺を見ている。俺が何をした)
男(とりあえずこの状況で手を挙げるのは分が悪いので大人しく手を下げる事にした。俺の夢はみんな(変態)に託したっ!)
石井「おい男・・・お前はそういう奴だったのか?」
男(あーやばい。変なの出てきた)
男「いいだろ。たまには・・・」
石井「何がたまには・・・だっ!俺はお前が課外学習で見せた熱い気持ちを覚えているぞっ!」
石井「なのにお前は、俺達を裏切るというのか!この薄情者!」
男(セリフはカッコいいが内容の意味が残念すぎて笑えない。それに俺はその熱い気持ちを覚えていない)
男「裏切るもなにも仲間になった覚えがないなぁ・・・」
石井「この野郎っ!どうせ女子に引かれたくないだけだろっ!そんな意思の弱い奴なんか俺はもう知らん!」
男(ぶっちゃけその通りですが、俺は元々お前なんか知らん)
女「じゃ、じゃあ次は演劇がいいと思う人・・・」
~~~~
女友「じゃあ、やる演目だったり配役は後日発表するから楽しみにしといてね~あ、ちなみにメイド喫茶に票入れたヤツは出さないから」
男(結果は演劇の圧勝。正直メイド喫茶に手を挙げていたヤツは過半数を余裕で下回ってた)
男(ということで我がクラスは演劇をやることに。俺は早めに楽な役割に就こう)
女友「・・・ねぇ、女。あんた男の事、ホントに好きよね?」
女「い、いいいきなり何を言い出すのかな女友ちゃんっ!」
女友「真剣に聞いてるの」
女「そっ、それは・・・すき、だよ・・・」カァァ
女友「だけど、ここ最近は進展ないんでしょ?」
女「・・・うん」
女友「・・・それじゃあ、私が背中を押してあげる」
女「・・・?どういうこと?」
女友「まぁ、待ってなさいって」
~~~~
・主役 女 男
・脚本 監督 女友
女「」パクパク
男「」アゼン
女友「さぁーっ!ということでこれでやっていくよ!」
男「・・・って、ちょっとまてええええ!!」
女「」パクパク
女友「なによ、私の配役に文句あるの?」
男「何で俺が主役なんだ」
女友「演劇派で票入れた男子でまともにできそうなのあんたと友君ぐらいしかいないから。友君は文実で忙しいから無理だし」
男(正論すぎる)
男「なら男子がいない演目にすればいいじゃねぇか」
女友「それは配役決める前から決まってたから無理ね。今さら台本とか作り直すのもやだし」
男「・・・じゃあ、何で女が主役に?」
女友「それは・・・女が主役をやりたいって言ったからよ」
女友「だからあんたと女が組むのは仕方がないって事なの。分かった?」
男「・・・でもお前だってあの頃の事は忘れたわけじゃないだろ」
女友(やっぱり、男はまだそれに囚われてるのね・・・女もだけど)
女友「当たり前よ・・・だからこそよ。あんたと女を組ませたのは」
男「・・・どういう意味だ?」
女友「この際だから言っておくけど、あんた達二人はーーー」
男「・・・」
女友「いや、やっぱり言うのは止める」
男「は?・・・俺らがどうしたって言うんだよっ・・・」
女友「・・・とにかく!演劇の練習の時は関係云々で集中乱さない様に!また後の日に詳しい事は言うから」
男「おいっ!待てよ!」
男(なんなんだよっ・・・)
~~~~
女友(ついじれったくなっちゃって言いそうになったけど、私が言っちゃうとダメだ)
女友(私が言っちゃえば楽に解決するかも、しれない。だけどそれじゃあ言葉の重みは軽くなる)
女友(だから、これは女が直接言わないといけないこと)
女「女友ちゃん~」ウルウル
女友「ん?どうしたの?」
女「どうしたのじゃないよぉ~なんで男君と主役なんて無理だって~」ポカポカ
女友(うっ、可愛い・・・)
女友「私が背中を押してあげるって言ったでしょ?」
女「だからって、私まともに演技できるか分からないよ・・・」
女友(だけど、今の女にはそれを言う事は無理よね・・・)
女友(私が、背中を押さなきゃーー)
女友「・・・一つ言っとくよ、女」
女友「・・・あんたは多分このまま行くと男とは仲直りすらできない」
女「・・・まだ、わからないよ・・・」
女友「そう言ってどれだけ経った?もう3年経とうとしてるんだよ!それだけの期間があったのになんで今まで何もなかったの?」
女「それはっ・・・!」
女友「3年と何もできなかったって言うのに好きだから、すぐに付き合うことなんて今の2人にはできないのよ!」
女「・・・女友ちゃんは何も分かってないんだよっ!」
女「・・・私達の間の事は私達しか分からないに決まってるっ・・・!」
女友「分からないよ・・・」
女友「私は2人の辿ってきた時間の事は全然分からない・・・」
女友「だけど、私だって女の事を大事に思ってるのは一緒」
女友「私はあの時、女に対して何もできなくて、ただ見てるしかできなかった事を今でも後悔してるの・・・」
女友「ただ、男一人に任せてただけで何もできなかった・・・」
女友「私の今からでもできることは、二人の関係を元通り・・・いや、それ以上にする事だけ」
女友「だから、女。その為なら私はできる事なら何でも協力する。自分の地位を使ってでも」
女「・・・女友ちゃん・・・」ポロポロ
女友「酷い事言ってごめん・・・だけど、女。今のあんたには覚悟が必要なのよ」
女「・・・うん」ポロポロ
女友「男と演劇をやっていくのもそうだけど、一番大事なのは過去を清算していく事」
女友「機会はそんなに無いけど、女。あんたにはできるはず・・・」
女「・・・うん、うん・・・」ポロポロ
女友「だからがんばろ?女・・・」ウルウル
女「・・・がんばるよ、私・・・」
女「いつまでも、引きずっちゃダメだよね・・・」
女「ありがとう女友ちゃんっ・・・!」
女友「すぐでもなくてもいいからね。でもそんなに待たせるのはダメだから」
女「うんっ・・・」
~~~~
女友「カットー!」
女友「女、今の演技すんごいよかった!」
女「あ、ありがとう」
女友「でも最後のセリフの所はもっとこう・・・」
男(あれから数日。俺らは文化祭に向けて演劇の練習をしている)
男(俺は主役と言っても女に比べたら出番が無いから、練習する所が少ないのは嬉しい)
男(これはほとんど女がメインの演劇だからな。まぁ、一番の驚きは・・・)
女「わかったよ。・・・男君、今のどうだったかな?」
男「えっ、とまぁよかったじゃねぇか・・・?」
女「・・・ならよかった」ホッ
男(女の演技の上手さ、真剣度。そして俺に接触する事が多くなった事)
男(俺の記憶には女が演劇で役をやっているのも見た事無いし、知らない)
男(なぜ女がここまで真剣なのか。俺に関わる事に積極的なのか。俺には・・・)
女友「こっからは男も入ってくるから準備して!」
男「ああ・・・」
男(・・・俺には、分からない)
女「・・・」
~~~~
女友「女、お疲れ」
女「あっ、女友ちゃんありがとう」
女友「男も中々しぶといねー」
女「うん・・・」
女友「あいつもあいつなりに何か思う所があるのか、それとも女に興味がないのか・・・」
女「や、やっぱりそうなのかなぁ・・・」ウルウル
女友「いや、冗談だって!絶対そんな事思ってないって!」
女「・・・本当に?」
女友「本当、本当!」
女友(むしろあれは気にしすぎてるレベルよね)
女友「まだ練習あるから、やってくよ!」
女「うん、今いくよ」
~~~~
女友「よーっし!今日は結構つめてくから覚悟しといてねっー!」
「「はーい」」
男(遂に文化祭まで二週間を切り、いよいよ本番に向け練習にもますます身が入るはずなんだが・・・)
女「あと二週間かぁ・・・早かったね」
男「ん、ああ。そうだな」
女「でも本当の勝負はこれからだよっ。頑張ろうね男君っ」ニコッ
男「お、おう・・・」
男(最近の女の様子が前と全然違うことが気になる。多分ここ3年ぐらいでここまで女と会話しているのはなかった)
男(女はあの頃の事を、俺を、許してくれようとしてるのか・・・?)
男(・・・止めろっ・・・今はそんなことを考えている場合じゃないっ・・・)
~~~~
女友「ーーじゃあ、今日はここまで!みんな遅くまでお疲れさまっー!」
「おつかれさまーっ!」「おつかれー」
男(今日は随分遅くまでやったな・・・さて、帰るか)
女友「ちょっと待て」ガシ
男(いい予感がしない)
男「お家でママが待ってるから早く帰らなきゃダメなんだよ」
女友「それなんだけど、今日私この後部活の方で用事あるから女と帰れないのよね」
男「それが?」
女友「時間も遅いし、あんた家近いから女を送っていって。ていうか送れ」
男「・・・実は今日帰りに寄る所があって」
女友「送ってけ」ミシミシ
男「いたいいたいおくってくおくってく」
女友「よろしい」
~~~~
女「・・・」
男(しばらく、歩いているけどやっぱり会話がない)
男(・・・これが普通の俺達。これが普通なんだ)
女「・・・懐かしいね」
男「・・・えっ」
女「こうやって一緒に帰るのが懐かしいなぁって」
男「・・・」
男「・・・なぁ」
女「・・・なに、男君?」
男「俺の知る限りお前は演劇に熱を入れる人間ではないのに・・・どうしてお前はあんなに頑張ってるんだ?」
男(そう聞くと女は大きく息を吸って、吐き、そして俺の瞳をまっすぐ見て、言った)
女「・・・男君、私は変わりたいって思ってるんだ」
女「今まで過去に囚われて、何もできなくて下を向いていた私を変えたいんだ」
女「過去の事は勿論忘れることなんてできない・・・だけど、新しくやり直せる事はできるから」
男「・・・」
女「私の事を応援してくれる友達だっている・・・私の事を大事に思ってくれる大切な友達」
女「それに私は演劇の物語も気に入ってるんだ・・・」
女「私も変わって、輝きたいと思うから・・・」
女「だから、男君。」
女「あの時悪かったのは私。」
女「本当にっ、本当に・・・ごめんなさいっ・・・
男「・・・何で・・・なんでお前が謝ってるんだよ・・・おかしいだろそんなの・・・」
男「悪いのは、お前の事を傷つけたのは俺だろ・・・」
女「ううん、違う。私は男君のしようとしている事を理解しようとしないで、酷い事を言って男君の事を傷つけた」
男(やめろ)
女「男君は私を助けようとしてくれてたのに・・・」
男(もうそれ以上はやめろ)
男「・・・もう、それ以上言うな、よ・・・」
女「ううん。何度でも言うよ。私の気持ちが伝わるまで」
男(やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ)
男「やめろっ・・・!」ハァハァ
女『・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・』
男「っ!!」
女「お、男君っ!?」
男「」タッタッタッ
女「・・・おとこ、くん・・・」
~~~~
男「ハァ・・・ハァ・・・」
男(寝よう。何も思い出してはダメだ。)
男(寝たらきっと忘れる。きっとそうだ)
男(朝起きたら大丈夫になってる。おちつけ
、おちつけ)
もう、わすれろ。
【過去】
ー10年前ー
幼女「よいしょ・・・よいしょ・・・」
幼男「・・・」ジー
幼友「おいおとこー!そっちにボールいったぞ!」
幼男「あ、ごめん!」
幼女「できた・・・」
幼男「・・・」ジー
~~~~
幼女「よいしょ・・・」
幼男「・・・」ジー
幼男「ねぇ、きみってなんでいつもひとりですなばにいるの?」
幼女「・・・わ、わたし・・・おともだちいないから・・・」
幼男「じゃあ、ぼくとあそぼうよ!そっちのほうがおもしろいよ!」
幼女「で、でも・・・」
幼男「ほら、いこう?」スッ
幼女「・・・う、うんっ!」
ー4年前ー
男「ついに俺達も中学生かー」
女「この前まで小学生だったのに、なんだか早いね・・・」
男「だなー お前と会ってからもすごくはやかった!」
女「そうだね・・・こうやって私達も大人になっていくのかなぁ・・・」
男「・・・あっ、クラス貼ってあるぞ!」
女「えっ、ま、待って男君!」
男「早く来ないと置いてくぞー!」
~~~~
男「おんなー 一緒に帰るぞー」
女「うんっ。ちょっと待ってて」
男「んー待ってるー」
~~~~
女友「かわいい・・・」
女「・・・え?」
女友「あなたすごくかわいいっ!名前なんて言うの!?」
女「えっ、えええっ。お、女です・・・」
女友「女ねっ!早速なんだけど、私と一緒に演劇やらない?」
女「・・・ごめん、あまり時間無くて部活はできないんだ・・・」
女友「なら私と友達になって!」
女「うんっ。それならいいよ」
女友「ありがとう!よろしくね女!」
女「よろしく・・・女友ちゃん」
~~~~
女友「女、一緒に帰ろ」
女「ごめん。今日はちょっと・・・」
女友「あー男君ね・・・」
女「」カァァ
女友「しょうがないなぁ。じゃあまた今度ね」
女「うん。またね」
男「おんなー」
女「あっ、今行くよー」
~~~~
「おとこー!これからサッカーやるけどお前来るか?」
男「おう、いくいく」
「今日は負けねぇからな!」
男「俺こそ負けねぇよ!」
女「・・・」
~~~~
友「男、今日ちょっと行きたい場所あるからついてきてくれないか?」
男「いいぞー」
女「お、男君」
男「ん?なんだ?」
女「今日、その・・・一緒に帰らない?」
男「ごめん、これから用事あるから」
女「そっか・・・それじゃあ仕方ないね・・・」
男「また今度な!」
女「・・・うんっ」
~~~~
女友「女、今日一緒に帰ろうよ」
女「うん、いいよ」
男「おんなー」
女「・・・!」
男「一緒に帰ろうぜー」
女「ごめんね、今日は女友ちゃんと一緒に帰るから・・・」
男「・・・じゃあ、いいや。またなー」
女「う、うん」
ー3年前ー
「おとこー!お前何組?」
男「俺は2組だ!お前は?」
「一緒だ!今年もよろしく!」
男「おうよ!よろしくなー!」
友「またお前と一緒か・・・もはや腐れ縁だな」
男「本当だよ。マジで不正疑うレベルだな」
友「うるさいわ・・・まぁ、今年もよろしく」
男「ん・・・よろしく」
女友「あー、女とは違うクラスだ・・・」
女「そ、そうだね・・・」
女友「休み時間とか会いに行くからねー!待っててねー!」
女「う、うん」
女(男君は・・・)
女(また違うクラス・・・)
女(こうやって私達、離れ離れになっちゃうのかな・・・)
~~~~
女(どうしよう・・・友達がほとんどいない・・・)
女(私、あんまり話しかけるの得意じゃないしなぁ・・・女友ちゃんの事を待とう)
「あっれー?女さんじゃーん」
女「」ピク
ギャル「今年も同じクラスだぁ~。よろしくねぇ~」
女「う、うんっ。よろしくお願いします・・・」
ギャル「」クスクス
女「・・・?」
~~~~
男「うらぁっ!」
「やべー!やられたー!」
女(いいなぁ男君・・・楽しそう)
女(女友ちゃんまだかなぁ・・・)
ギャル「女さん一人~?」
女「そうだけど・・・」
ギャル「なら私達と一緒にお弁当食べない~?」
「・・・」クスクス
女「・・・ごめんなさい・・・私お友達と約束してるから・・・」
ギャル「そうなのー?じゃあ、仕方ないね」
ギャル「・・・調子乗ってんじゃねーよ」ボソッ
女「・・・?」
女(何だかギャルさん怖いな・・・)
~~~~
女(・・・あれ?おかしいな・・・ちゃんと教科書持ってきたはずなのに・・・)
女(もう一回ちゃんと探してみよう)
ギャル「女さ~ん、どうかしたの~?」
女「・・・!」
女「いや、なんでもないよ・・・」
ギャル「そう~?」
ギャル「もし、困ったことがあったら言ってね?」ニヤリ
女(・・・っ!)
女「う、うん・・・」
女(ギャルさんの今の顔、すごく嫌な感じがした・・・)
~~~~
女(今度は体育着・・・これで何度目だろう・・・)
女(日に日に私の物が隠されてたり、無くなってたりする・・・)
女(これってやっぱり、私イジメられてるんだよね・・・)
女(やだよぉ・・・怖いよぉ・・・)ウルウル
「・・・」クスクス
~~~~
『女は人を平気で騙す最低なヤツ』
女「なにこれ・・・」
「・・・」クスクス
女(もう・・・やだよぉ・・・)ウルウル
「キャハハハハハハ!!」
女「っ・・・」
ギャル「今のお前の顔サイコーに面白いよ!ヤバイ!」
ギャル「お前にホントーにお似合いだよ!キャハハハハ!!」
女「・・・なんで・・・」
ギャル「あ?お前のその態度がムカつくんだよ」
ギャル「下手に顔はいいくせして、そのへりくだったような態度。見ててイラつくんだよ!」
ギャル「いい加減やめてくれないかなぁ、そういうの」
女「・・・わたし、そんなことっ・・・」
ギャル「ほら、またそういうだよ。それがイラつくんだっつうの」
女「・・・うぅ・・・」
「女!!」
女友「女・・・大丈夫!?」
女「・・・おんな、ともちゃん・・・」
女友「あんたら女に何してるのっ!!」
ギャル「何って、そりゃあ・・・ねぇ?」
女友「ふざけてんじゃないよ!」
女「女友ちゃんっ・・・大丈夫だからっ」
女友「どこが大丈夫なのよ・・・」
女「お願い・・・女友ちゃん・・・」
女友「・・・一旦出よう女・・・」
女友「」キッ
ギャル「・・・」クスクス
~~~~
女友「こんな事になってるなんて、何でもっと早く言ってくれなかったの?」
女「それは・・・」
女友「親友が困ってるのに何もしないなんて、そっちの方が私は嫌だよ・・・」
女友「・・・私、あの女達と話つけてくる」
女「・・・っ!、ダメっ」ギュッ
女友「なんで?離してよ・・・」
女「女友ちゃんまで、巻き込みたくないからっ・・・」
女友「でもっ!」
女「お願い・・・これは私の問題」
女「わたしが、自分で解決するから・・・」
女友「・・・あの女が手でも出してきたら、すぐ助けるから」
女「・・・うん。ありがとう女友ちゃん」
女友(女はこんな時でも自分より私の事を・・・)
女友(何かしてあげたいのに、何もできないっ・・・)
女友(何か、何か方法はないの・・・!?)
女友(・・・!! あの人なら・・・!)
~~~~
友「なぁ、男」
男「ん、なんだ?」
友「最近他クラスで女同士のイジメがあったって噂知ってるか?」
男「いや、初めて聞くな」
友「かなりヤバイって話らしい・・・最低な奴もいるもんだ」
男(そういやぁ、女は大丈夫なのか・・・あいつ友達少ないし、あんまり友達作れるタイプじゃねぇし)
男「あぁ。全くだ・・・ちなみにイジメられてるのは誰なんだ?」
友「そこまでは分からない」
男「そうか・・・」
男(女・・・じゃないよな)
「すみません・・・」
男(・・・?)
女友「君って男君・・・だよね」
男(たしかこいつは・・・女の友達)
男「ああ。なんか用?」
女友「実は・・・女の事で相談したい事があって・・・」
男(・・・!)
男「別にいいが・・・友は居ていい話か?」
女友(・・・人数は多い方がいいよね)
女友「大丈夫・・・ちょっとついてきて」
~~~~
女友「話っていうのは・・・」
女友「・・・女がイジメを受けてるって事」
男(・・・っ!!)ギリ
男「・・・おい、女イジメてるのはどこのどいつだよ」
女友「それは・・・女のクラスのギャルって人の集団が・・・」
男「・・・ぶっとばす」グッ
友「待て男っ!」ギュッ
男「離せっ!!そいつの顔ボコボコにしてやらねぇと俺の気が済まねぇ!!」
友「何も考えなしに行くのは危険だ!お前が何かした所でイジメが無くなる訳でも無いだろっ!」
男「こうしてる間にも女は苦しんでるかもしれねぇんだぞ!!なんでお前はそんな冷静でいられるんだよっ!!」
友「俺だって今すぐ何とかしてやりたい!だけど、意味がある事をしないとダメなんだよ・・・俺を信じろ、男っ・・・」
男「・・・」
男「・・・っ・・・分かった」
友「悪い、男・・・」
友「・・・女友さんって言ったっけ、その後の話を教えてくれないか?」
女友「う、うん。今日女のクラスに行ったら黒板に言われもない事が書いてあって・・・」
女友「黒板の前で屈んで泣いている女とそれを囲む様に立っているギャルの集団がいて、その中から女を連れて出たの・・・」
女友「その後女から話を聞いたら前からそういう事があったみたいで、私が何とかしようとするって言うと・・・」
女友「女は私に迷惑をかけたくないから何もしないでって言うから、もうどうしたらいいか分かんなくて・・・」
女友「それで2人に相談を・・・」
友「・・・ちなみにイジメられている原因は?」
女友「それが、何とも言わなくて・・・」
男「・・・お前、それでも女の友達かよ」
女友「・・・えっ」
男「なんでこんな事になる前にどうにかしてやれなかったんだよ」
女友「それは・・・」
友「やめろ男っ!女友さんは何も悪くない!むしろ俺達に女さんの事を知らせてくれたんだぞ」
友「それに、最近女さんと居る事が少なかったのはお前も同じだろっ・・・!」
男「・・・っ!・・・悪かった・・・」
女友「いや・・・君の言う通りだし・・・」
友「しかし、原因が何なのか分からないのなら対処の仕様が無いな・・・」
男「・・・」
友「女友さん、それだけ何とか聞き出せないかな?後の事は俺達が何とかするから」
女友「うん・・・分かった」
友「なら女友さんはできるだけ女さんの近くにいてあげてほしい」
男「・・・」
~~~~
男(原因を聞くまで待ってろ?そんなの遅すぎるに決まっている。イジメる奴らの理由なんて聞くに足りないものだ)
男(そう言ってる間にも女は苦しい思いをしてるんだ・・・一秒も待つ暇なんて無い)
男(ただ殴り倒したって問題は解決しないし、女の立場が無くなる・・・)
男(どうすれば、どうすれば女を助けられるっ・・・!)
男(・・・!分かったぞ・・・)
男(こうすれば、女は・・・)
男(これなら、いける・・・)
男(待ってろ・・・必ず、助け出してやるぞ女っ・・・!)
~~~~
ギャル「・・・なによ、これ」
「私のバックが・・・」「嘘っ、これめっちゃ高かったのに・・・」
ギャル「よくも、やってくれたわね・・・」
女(え・・・これってどういう事・・・?)
女(昼休みまで保健室にいて、教室に荷物を取りにきたらギャルさん達の持ち物が荒らされてる・・・)
ギャル「お前、覚悟できてんだろうね・・・」
女「・・・っ!、私じゃない・・・」
ギャル「お前以外に誰がやるの?ねぇ?」
女友「やめなさい!」
ギャル「チッ・・・またお前か・・・」
女友「手出したら許さないって言ったよね・・・」
ギャル「じゃあ、やったのお前かぁ!?」
女友「何の話かは分からないけど、私はあんたらには何もしてない」
ギャル「しらばっくれてんじゃねぇよ!」
「うるせーな」
ギャル「!?・・・誰お前」
男「どう?俺のコーディネートは気に入ってくれた?」
女(・・・おとこ・・・君・・・?)
ギャル「お前がやったのか!ふざけんじゃねぇ!」
男「うるせー 猿みたいな姿してんのに、声まで似せられたらたまんねぇよ」
ギャル「黙れよ!何の為に私達に手出した!?」
男「あぁ?てめぇらが気に食わねぇからに決まってんだろ」
男「自分が偉いと思ってるのか知らねぇがよ、所構わず大声で騒いで目障りなんだよ」
ギャル「この野郎っ・・・!!」
男(いいぞ・・・てめぇらのアホみたいな頭なら下手な煽りでも乗っかってくれる・・・)
男(そのまま女の事は忘れて俺に矛先を向ければいいっ・・・)
男(俺ならどうなったっていい・・・せめて女に被害がいかなければいい・・・)
「・・・そういえばこいつ」コソコソ
ギャル「・・・あぁ、なるほど」
ギャル「お前、女と仲が良いらしいじゃない・・・」
「・・・!」
男(・・・っ、一番懸念していた事を・・・)
ギャル「女を助ける為に体を張るなんてかっこいいねぇ。そんなんしても意味ないけど」
男(ここで引いたら確実に女は助からないっ・・・)
男(むしろ、俺も被害を受けて共倒れだ・・・何か方法は・・・)
男(・・・・・・女を助ける為なら俺はっ・・・!)
男(嫌われたっていいっ・・・!)
男「はぁ?お前ら何言ってるんだ?」
ギャル「・・・は?」
男「なんで俺が女の事を助けなきゃいけねぇんだよ」
女「・・・っ」
男「俺はてめぇらが目障りだから手出してんだよ」
男「・・・むしろ俺、女の事・・・嫌いなんだよ」
女(・・・!!)
男「勝手についてきて鬱陶しいし、頼んでもねぇのに世話焼いてきて・・・」
男「本当に・・・あいつなんか、どうでもいい」
男(・・・思った以上に辛ぇ・・・)
女友「あんたっ!」
男「・・・うるせぇよ・・・」
女友「」
女友(なんなのよ、こいつ・・・なんであんなこと言ってるのにそんなに辛い顔してるのよ・・・)
女「・・・なんで・・・」ウルウル
女「・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・」
タッタッタッ
男「ーーー」
ギャル「・・・こりゃあ、女が関わってるって訳ではなさそうね・・・」
ギャル「それに、あいつよりこっちの方が面白そうだし・・・♪」
男「・・・」
ギャル「まぁ、私達に手を出したんだ。覚悟はできてるんだろ?先輩も呼び出して徹底的にやってやるから」
男「・・・」
~~~~
「んで?こいつボコればいいの?」
ギャル「はい。好き勝手やってください」
「ちょうどいいや。最近ケンカとかしてなくてよぉ」
男「・・・」
「なんだよこいつ・・・不気味なんだけど」
ギャル「まぁ、いいじゃないですか~それじゃあ、お願いします♪」
「んじゃあ、遠慮なくーー」
~~~~
友「男っ!」
男「・・・誰だ・・・」
友「何でお前、こんなボロボロになってるんだよ!」
男「・・・わかんね」
友「何があったんだよっ・・・!」
男「・・・それ、は・・・」
『・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・』
男「っ!・・・ぅぁ・・・」ズキン
友「おい!しっかりしろっ!」
男「・・・あぁ・・・」
友「それで、何があったんだ?」
男「・・・先輩に殴られた」
友「なんでって、まさかっ・・・!」
男「・・・ギャルに手を出した」
友「お前あれ程何もやるなと言ったのに!何でだよ!」
男「・・・俺は価値も何も無い人間だからな」
友「おい、お前どうしたんだよ・・・」
男「・・・」
男(・・・なにやってんだろうなぁ、俺)
~~~~
男(あれから、女に対するイジメが発覚しギャルのグループは長い停学期間の後、転校する事が決まったらしい)
男(俺もギャル達の物を破損したという事で一週間程度の停学を言い渡された)
男(発覚した原因が俺が派手に暴れたってのが理由なのが不幸中の幸いとでも言うべきなのかもしれない・・・)
男(けど、俺はもう女を傷付けた、クズだ・・・)
男(俺は存在する事に、価値があるのだろうか)
「」ヒソヒソ
男(俺を見る目が冷たい・・・まぁ、当然か・・・)
男(・・・学校に来るのも嫌だな)
女友「それでねー」
女「へえ・・・」
男(女・・・)
男(あいつは、あの後女友や友の尽力のおかげで学校に通うのも問題なくなり、イジメられる以前の生活に戻っている)
男(当たり前だ。女はあいつらに嫌われてただけなんだからな・・・)
女「・・・!」
男(俺の事を見て、目を逸らすか・・・)
女友「」キッ
男(・・・敵視されてんなぁ、俺・・・)
男「・・・」スタスタ
男(もういい。俺達はもう何でもないんだ)
男(幼馴染とか、そういうのでも何でもない・・・)
男(なぜだが、こう思うのはすごく心が痛い・・・)
男(この感覚を、前から知っている様な・・・)
~~~~
友「男・・・」
男「・・・なんだ」
友「その・・・さ、昼休み野球やるからお前もどうかなって・・・」
男(・・・ホントに友はいい奴だ)
男(あの後でも俺に接してきてくれる)
男「・・・お前って本当にいい奴だよな」
友「どうしたんだ男・・・」
男「もう、俺なんか放っておけよ・・・」
友「・・・おとこ?・・・」
友「なぁ、お前本当におかしいよ!」
友「お前はそんな奴じゃないだろ!いつも俺らに前に立って騒いで、笑いあって、それで・・・それでよ・・・」
男「・・・すまねぇ、友。もう前には戻れない・・・」スタスタ
友「どこに行くんだよ・・・」
男「体調悪くなったから保健室にでも行くわ・・・」
友「・・・くそっ」
「なにあいつ・・・」「マジでうぜぇな」
友(男・・・なんでだよっ・・・!)
友(なんで・・・俺に何も言ってくれないんだよっ・・・!)
~~~~
友「ーーそれで、そいつがあんなにも変わっちまうなんて、必ず何かあったはずなんだ」
友「その何かを俺に言ってくれなくてすごくムシャクシャするというか」
友「もう、どうしたらいいか分からないんだよっ・・・!」
会長「なるほどね・・・」
会長「やっと言ってくれたね、友」
友「・・・え?」
会長「まさか、気づかないとでも思った?あなた、ここ最近思い詰めた顔してたから、こっちだって心配したのよ?ね、後輩?」
後輩「そうだよお兄ちゃん。悩みがあるなら言ってくれなきゃこっちだって困るよ」
友「そうだったのか・・・悪かった」
会長「それで、今どんな気持ち?」
友「それは・・・少しホッとしたって言うか」
会長「それよ。その子にもできればそうしてあげたいけど・・・相当参ってるでしょ」
友「そうだね・・・男がへこんでる姿なんて今までで一度も見た事がない」
会長「だから、その子の心をほぐしてあげなきゃね・・・」
友「でも、どうやって?」
会長「・・・私に任せなさい」
~~~~
男「友、無理矢理俺をどこに行かせようとしてるんだ・・・」
友「生徒会室だ」
男「まだ俺には処罰が・・・」
友「そういうのじゃない。お前には戻ってもらう」
男「・・・何を言っているんだお前は」
友「行けば分かる」
男「・・・」
~~~~
友「連れてきたよ、姉さん」
男「・・・」
会長「・・・あなたが例の問題児クンね」
会長(これは思っていたより酷いわね・・・)
後輩(この人抜け殻みたいで、目が死んでてなんだか怖いっ・・・)
男「俺は・・・何の為にここまで連れて来られたんですか」
友「・・・お前には俺の親友である男に戻ってもらう為だ」
男「・・・なんでだ?」
友「あの時以来、お前はまるで人が変わったかの様におかしくなっちまった・・・」
友「それを、見てる俺が辛くないわけないだろっ・・・!」
友「悩んでるのなら俺に何か言って欲しいし、頼ってほしいんだよ!」
男「・・・人に言えるもんじゃねぇんだよ、あの時の事は・・・」
友「でもっ・・・!」
会長「はい、そこまで!お互いに冷静になりましょ、ね?」
友「・・・っ」
男「・・・俺は元から冷静です」
会長「今はそんな事はどうでもいいの。それよりも今のやりとり見てて、ウチの妹が怖がってたんだけど」
後輩「・・・」
友「あっ・・・ごめんな」
男「・・・悪かった、俺のせいで・・・」
男(また、人を傷付けた・・・)
会長「・・・」
後輩「いえっ、そんな事はないですけど・・・」
会長「なので、二人には罰として生徒会の仕事を手伝ってもらうから」
友「ちょっ、姉さんそれはどういう・・・」
会長「私に任せなさいって言ったでしょ」コソコソ
男「・・・別にいいですけど」
会長「ちなみに期間は一週間ね♪」
友「・・・え?」
男「・・・」
~~~~
後輩「・・・」
男「・・・」
男(俺は何をしているんだ・・・)
男(書類を纏めたり、荷物を運んだり・・・)
男(こんな事をしてて何になる・・・)
男(・・・別に他にやるような気が起きないからいいが)
後輩「・・・」ジー
男「・・・なんだ」
後輩「い、いえっ!何もないです!」ピクッ
男「あっそ・・・」
後輩「・・・」ジー
男(なんなんだよ、こいつ・・・)
後輩(・・・お姉ちゃんにこの人の事をよく見て観察しろって言ってたけど・・・)
後輩(この人、すごく辛そうで悲しそう・・・)
男「・・・ちょっと」
後輩「な、なんですか!?」
男「そんなに見られるとやりにくいんだけど」
後輩(バ、バレてたー!?)
後輩「す、すいません・・・」
男「・・・」
後輩「・・・」
後輩「あの・・・」
男「・・・ん」
後輩「・・・どうしても聞きたい事があって」
男「・・・いいけど」
後輩「・・・先輩ってなんでそんなに辛そうなんですか?」
男「・・・え」
後輩「失礼だったらすみません・・・でも先輩の事見てると、すごく私まで辛くなって・・・こんな気持ち初めてなんです・・・」
後輩「そう思うと、なぜか先輩がどうしてそんなに辛そうなのかが気になって」
男「・・・悪いな。俺のせいで」
後輩「いや、先輩のせいじゃないですっ」
男「いや、俺のせいなんだよ・・・」
男「・・・全て、俺のせいだ・・・」
後輩「せんばい・・・?」
会長「・・・」
~~~~
友「・・・」
男「・・・」
友「・・・まだ話す気にはならないのか」
男「だから、人に言うような事じゃない」
友「・・・そうか」
友「俺は、待ってるからな・・・」
男「・・・」
会長「・・・」
~~~~
会長「2人とも一週間お疲れさま~」
男「・・・どうも」
友「でも姉さん、どうしてこんな事を?」
会長「調べてたのよ・・・色々とね」
男「・・・どういうことですか」
会長「男クン・・・君さ」
会長「自分の事をどうでもいいだったり、価値が無い人間だと思ってるでしょ?」
男「っ・・・そんなことは」
会長「いいえ、そう思ってる。自分で言ってるじゃない。それも何度も」
男「・・・それがどうかしたんですか」
会長「・・・君をね、必要としている人はいるのよ」
男「・・・そんなことは」
会長「まず、友。君に何があったって常に君の味方であろうとしている。そんな友を君はどうでもいいと思ってたりしてるの?」
男「・・・っ!そんな事はないっ・・・」
会長「なら、どうして?」
男「・・・俺は大事な人のそばにいると傷つけてしまうからっ・・・」
友「・・・」
会長「でも、その態度が逆に友を傷つけてるとは思わない?」
男「・・・」
会長「それに君を見て心を痛めてるのは友だけじゃない」
男「えっ・・・?」
会長「ウチの妹だって、君の事を心配してたの。君の辛そうな姿を見るのは嫌だって言うの」
会長「接する様になって一週間。それなのに君の事を心配してくれている人だっている」
会長「そして、私だって君を必要としている」
会長「確かに大切な人を守りたい、そう思うが故に失敗するかもしれない」
男「・・・なんで、それを・・・」
会長「言ったでしょ?色々調べたって」
会長「でも、本当の事はあなたからしか聞けない」
会長「だから聞かせてくれない?あの時の本当の事」
会長「ーー君を大切な人だとしている私達に」
男「ーーー」
友「・・・言っただろ。俺は待ってるって」
後輩「そうですよ。困った事は相談するのが一番ですっ」ニコッ
男「・・・なんでみんな俺の事を・・・」ウルウル
友「そりゃあ、お前を大切に思ってるからな」
男「・・・そう言ったって・・・」
後輩「何か私も、先輩の事を放っておけないって感じがして・・・」
男「・・・」
男「・・・ありがとう・・・俺のためにっ・・・」
男「・・・正直、くだらない話かもしれない」
男「それでも、いいなら聞いてほしい・・・」
~~~~
男「ーーー・・・ということですが」
友「やっぱり・・・だから待てって言ったのにっ・・・」
会長「今はそういう事を話す時じゃないのよ、友」
友「・・・ごめん、姉さん」
会長「その話を聞いた限りでは男クンの行動は間違ってたかもしれないけど・・・」
会長「でも男クン、君が悪いって事は無いの」
会長「これはどちらが悪いという問題じゃ無い。男クンと女ちゃん、二人とも悪くなんてない」
会長「ただ、想いがすれ違っただけ」
男「・・・それでも俺に否があったのは確かです」
会長「なぜ?」
男「友が言う通り、最善の方法を待てば良かったのに俺が自分勝手にやった事で誰も望まない結果になってしまった」
男「それに、俺は女を傷つけた自分も嫌なんです。俺がもっと頭があったり力があれば、女を傷つける事は無かったんじゃないかって」
会長「過ぎた事を言ってもしょうがないの。もうその事はーーー」
男「いえ、これが俺のけじめです。」
男「こう思う事で、今回の事を忘れたくない」
男「もう二度と、大切な人を傷つけない為に」
会長「・・・なら、もう大丈夫ね」
会長「もう、君は誰かを傷つけたりしないのね?」
男「はい、二度とそんな事はしません」
友「・・・」
後輩「・・・」
会長「なら、私達が君を手伝ってあげる」
男「えっ・・・?」
会長「君を大切な人を傷つけないような人にしてあげるのよ」
男「でも、これ以上手を借りるのは・・・」
友「もう忘れたのか?俺達を頼るのを」
友「大切な人に頼られるのは、こっちとしても本望なんだ」
男「友・・・」
男(俺は、俺はもうっ・・・)
男(女の、大切な人のあんな顔を見たくないし、させたくないっ・・・!)ウルウル
男「俺のことっ・・・よろしくお願いしますっ・・・!」ポロポロ
~~~~
女(あれからどれだけ経ったのだろう・・・)
女(あの時の事は思い出したくないほど、辛かった。何よりも・・・)
男『本当に・・・あいつなんか、どうでもいい』
女(男君に嫌われてた事が、一番辛い・・・)
女(女友ちゃんには忘れろと言われるけど、忘れられるはずが無いよ・・・)
女(私が初めて好きになって、これまでも好きだった人の事を・・・)
女(でもあの時の男君の顔は・・・)
女(ううん、違う。私に都合がいい訳ないよね・・・)
女(でも、もし・・・男君が私を助ける為にそう言ったなら)
女(私はなんて酷い事を言ってしまったんだろう)
女(それに、原因は私にある。あの時、悪かったのは私なのかもしれない・・・)
女友「おんなー?何ぼーっとしてんの?」
女「あっ、ごめんね。ちょっと考え事・・・」
女友「また、考え事?最近多くない?」
女「あはは・・・気にしないで」
女友「・・・もし男の事なら、考える必要はないからね」
女「・・・うん」
~~~~
男「それで・・・今日から、俺は何をするんですか?」
会長「そうねぇ・・・単純に言えば頭と力を鍛えてもらうってことかしら」
男「は、はぁ・・・」
会長「まぁ、最終目的は決まってるから・・・」
男「最終目的とは?」
会長「・・・君を次期生徒会長にする事よ」
男「・・・えっ?」
会長「あの日、私がなんで君の事を必要と感じたと思う?」
男「それは・・・分からないです」
会長「君の事を調べていくうちにね、私が求める生徒会長像にピッタリハマってきたという感じでね・・・」
会長「それに、君が生徒会長になるという事はみんなが君を必要としてくれたという事にもなって、君にも自信つくでしょ?」
男「な、なるほど・・・でもそれって自分の権力を使える奴を生徒会長に・・・」
会長「そんなこと無いよ?いい?」ニッコリ
男「アッハイ」
友(絶対そうだ・・・)
後輩(お姉ちゃん、それは・・・)
会長「それじゃあ、早速やるわよ。まずは男クンに生徒会の仕事にもっと慣れてもらうから」
男「はいっ」
~~~~
男「」セッセッ
女(・・・男君、変わったな。あの時以来まったく元気が無かったのに、最近はまた前の男君、いやそれとはまた違う気がする・・・)
女友「・・・なんか最近あいつ変わったよね」
女「そ、そうだね・・・」
女友「なんか、前の魂抜けた感じじゃなくて、輝いてるっていうのかな」
女(・・・私はどうなんだろう)
~~~~
会長「あと30秒以内に終わらせてね♪」
男(おいおいまだ、山の様に書類あるぞっ・・・!)
会長「終わらなかったら、さらに量増えるよ?」
男「ク、クソぉぉぉぉぉぉ!!」
~~~~
後輩「先輩、あと10回ですっ!」
男「・・・もうっ、限界・・・」プルプル
後輩「ここで頑張らなきゃ、どうするんですか!?」
男「ちょ、うるさい・・・」プルプル
~~~~
友「ーー男ぉ!俺のペースについてこれないかー?」
男「うるせぇ!なんでお前そんな早いんだよっ!」
友「そりゃあ、毎日走り込んでるからなぁ!」
男「っ!そこで、待ってろぉ!」
友「ははっ!待たねーぞ!」
~~~~
男「男でーす!投票よろしくお願いします!」
後輩「よろしくお願いしまーす」
男「おい、声が小さいぞ」
後輩「手伝ってあげてるだけいいじゃないですか」
男「なんで、お前上から目線なんだよ・・・」
~~~~
~~~~
~~~~
~~~~
~~~~
男「うぉぉぉ・・・緊張してきたぁ・・・」
会長「大丈夫よ。どうせ信任投票なんだから」
男「それでも全校生徒の前っていうのは緊張しますよ・・・」
会長「慣れれば気持ちいいものよ?」
男(この人は生まれた時からカリスマだからな・・・)
会長「・・・そろそろ出番よ」
男「はいっ・・・」
会長「今の君はもうあの時の君とは違う。大切な人を守る事ができる、能力を持っているの」
会長「そして、私が後を継ぐのを認めた人物」
会長「それを、皆の前で証明してきなさい」
男「・・・当たり前です。やってやりますよ」
~~~~
女友「・・・一体どういうつもりなんだろ」
女「・・・」
女(なんでだろう・・・男君は生徒会長とかやりたがらなそうなのに)
女(でも私には関係ないよね・・・嫌われてるから)
会長『ーーー以上の理由から男君を生徒会長に推薦します』
『では、次に生徒会長候補の男君、お願いします』
男『・・・はい』
男『まず、私が生徒会長に立候補した理由はーーー』
男『ーーー・・・以上の理由から、私は生徒会長に立候補します』
男『・・・そして、最後にここで言いたい事があります』
男『私は前に過ちを犯して、道を違えてしまいました』
男『・・・大切な人を傷つけてしまったのです』
男『ですが、そこで道を違えた私を、助けてくれた人がいました』
男『その人達のおかげで私はこの場に立つ事ができています』
男『私を支えてくれたその人達に、この場を借りてお礼を述べたいと思います』
男『・・・本当に・・・ありがとうございましたっ・・・』
男『皆さんのお時間を使ってしまい申し訳ございませんでした。以上で、私の演説を終わります』
女「ーーー」
女友「あいつっ・・・って女?」
女「・・・」ポロポロ
女(やっぱり・・・男君は、私の為に・・・)
女(なのにっ・・・)
女(・・・なのに、私はっ・・・なんて酷いことを言ってしまったんだろう・・・)
女(あの時、悪かったのは私なんだ・・・)
女友「・・・女」
~~~~
後輩「ではっ、男先輩の生徒会長の就任」
「「「おめでとうっ!」」」
男「ハハハ・・・なんだか照れるわ」
友「これもお前の努力の賜物だよ」
後輩「そうですよっ!私は先輩の腕立てを数えてた時の事を思い出しますよ・・・」
男「俺もお前が数え間違いを何度もした事は忘れねぇ・・・」
後輩「そ、そんな事もありましたねぇ~」ピュ~
男「こいつっ・・・」
会長「それにしても、男君の最後の言葉には感動しかけたわね・・・」
男「そこは素直に感動しましょうよ・・・」
コンコン
女友「失礼します・・・」
男「あれ、お前は・・・」
女友「ちょうどよかった。あなたに用があるんだけど」
男「あぁ、場所は移すか?」
女友「そうね・・・」
友(あの時の事か・・・)
会長(・・・)
後輩(えっ?・・・まさか、こここ告白!?)アタフタ
~~~~
男「それで、話って?」
女友「・・・ごめんなさい。私、あなたの事を勘違いしてた」
女友「女の為に自らを犠牲にしてたに、その事を私はあなたが女を傷つけさせたと思って・・・」
男「いいんだ。実際あの事は俺の責任だからな。そう思われても仕方ない」
男「・・・女の事、よろしく」
女友「・・・」
~~~~
男「この後、生徒会か・・・もういいよなぁ」
友「去年のお前はどこにいったんだ・・・そういえば、男はどこ高受けるんだ?」
男「んーやっぱ、家から近くて頭もまぁまぁいい◯×高かな・・・先輩もいるし」
友「やっぱりな。俺もそう思ってたんだ」
男「・・・先輩目当て」
友「う、うるさい!」
女(男君、◯×高受けるんだ・・・)
女(・・・)グッ
~~~~
女(◯×高・・・)
女(私も候補の一つで受けようと思ってたけど
、もう決めよう)
女(あの日からまた大きくなったこの気持ち・・・)
女(男君に謝って、それで、また昔の様になって)
女(それで、伝える・・・窓の向こうにいるあなたに・・・)
女「男君、私はあなたのことが好きですって・・・」
【回顧】
男「ーーー・・・」
男(女と話してた時の俺は、確実に腐ってた時の俺だった)
男(どうして・・・今頃、あの時の俺が出てくるんだよ・・・)
男(俺は変れたんじゃないのか・・・)
『俺は・・・価値の無い人間だ・・・』
男「」ズキッ
男「っ・・・!」
男(やめろっ、思い出すとあの時の俺がっ・・・!)
男(あの時の俺はもうっ、忘れるんだっ・・・!)
~~~~
「えー男は体調不良で休みっと・・・それじゃあーー」
転校生「男が体調悪いって、珍しいわね。バカだから風邪とかひかなそうだけど」
女友「確かに・・・これじゃあ、男が入る所の練習できないね。まぁ、一日ぐらい仕方ないか」
女「・・・」
女(もしかしたら・・・いや、私が原因だ)
女(私があんな事を言ったからだ・・・男君、やっぱり苦しそうにしてたから・・・)
女(これは私の責任。だから私が何とかしなきゃ)
女「あの、女友ちゃんーーー」
~~~~
男(結局、今日は学校を休んだ)
男(不安定な状態をみんなに見せれば、心配かけさせたり迷惑になるかもしれない)
男(あの時の俺は、二度と見せてはいけない)
男「しっかし、やる事が漫画読む事か寝るしか無いってのもなぁ・・・」
男(嗚呼、なんと哀しき高校生活。オラも放課後遊びほうけたり、彼女作ったりして青春したいぞ・・・)
ピンポーン
男「・・・ん?」
男(こんな時に誰だ?)
男(まぁ、宅急便とかだろ。母さんに任せよ)
コンコン
男(・・・? 母さんがノック?)
男「・・・ん、いいよー」
ガチャ……
女「・・・お、おじゃまします・・・」
男「・・・え?」
男「・・・なんでお前が」
女「その、昨日の帰りに男君が苦しそうにしてたから、きっと今日休んだのは私のせいだから・・・」
女「何と言えば・・・お見舞い?・・・かな」
男「・・・別にお前は関係ない。心配するな」
女「それでもっ」
男「俺のせいなんだ。だから、お前は関係ない・・・」
女「・・・」
男「悪い・・・」
男「・・・そういえば、今日は演劇の練習はどうしたんだ?」
女「女友ちゃんに言ってお休みにしてもらったんだ」
男「悪いな・・・気利かせちまって」
女「そんな事ないよっ。ほら、最近練習ばかりだからたまには休みも必要かなぁ・・・って」
男「・・・ありがとな」
女「うん・・・」
男(女は、変わろうとしている)
男(あの日から途切れた俺達の関係を)
男(俺は、どうしたいんだ?)
男(俺達が幼馴染だった時の様な関係を望むか?それではまたあの時の様にならないか?)
男(それならいっそ、これまでの様に曖昧な関係を続けるか?)
男(あるいは―――)
男(・・・俺にはその答えをまだ迷っている・・・こんな中途半端な気持ちでは女に失礼だ)
男「・・・一ついいか?」
女「ん?なに?」
男「・・・しばらく待ってほしいんだ」
男「俺が女に対する事の答えを出すまで、待ってほしい」
男「あんまり時間はかけない様にする。だから」
女「・・・分かった。私は男君の答えを待つ」
女「でも、男君」
男「・・・?」
女「演劇の練習は、そういうのを一切気にしないでやらなきゃダメだからね?」
男「・・・わかってるよ」
女「それじゃあ、私そろそろ帰るね」
男「おう、今日は色々と悪いな」
女「ううん。別に気にしてないよ」
男「・・・ああ」
女「また明日、ね」
バタン
男(・・・俺は、今度こそ間違わずに正しい答えを出すことができるだろうか。)
男(俺の・・・俺達の、本当の答えを)
~文化祭当日~
男(今日は、文化祭当日)
男(あれから女は俺に対して過度に接することなく、だが前のように他所他所しくもなく)
男(あくまで自然に。そういう風に接してくれた)
男(そのお陰もあってか、俺も余計に気を使うことなく演劇の練習に集中する事ができた)
男(そう、演劇の練習には集中できた・・・)
男(俺は、未だに答えを見つけることが出来ていない・・・)
男(・・・今はこの事を考えてもいても仕方ない。気にしすぎて演劇で失敗でもしてしまったら大変だからな)
男(今日は、演劇に集中しよう・・・)
~~~~
~本番3時間前~
男(生徒会主導の下、盛大に文化祭の開催が宣言され俺達の祭の幕は上がった)
男(先輩のバイオレンスな叫びは、俺は一生忘れない)
男(まぁ、そういう事で俺達のクラスは演劇なわけなので今は本番まで準備中といった所)
男(そして俺と女は主役ということなので)
男「―――・・・私と、手をつないでくれますか?」
女「・・・はい、よろこんで」
男(開演時間ギリギリまで練習する事になった。今のはラストのシーンの所だな)
男(この演劇を締めくくる大事なシーンだ。意地でもここの完成度は高くしたい)
男「・・・どうだ?」
女友「うーん、もっと手を差し出す動作をもっと・・・」
男(セリフに集中しすぎてどうも動きが悪くなってるかのかもしれない。もっとしっかりしないと・・・)
友「・・・」
~本番二時間前~
男「ふぅ・・・」
男(練習をすること早一時間。休憩を貰ったので屋上に来て周りを見渡す)
男(本当に賑やかだ。祭を楽しむ奴らを見ながら飲み物を啜るのも悪くない・・・)
友「よっ、休憩か王子様」
男「やめんか、その呼び方は」
友「いやぁ、お前の王子様って似合わなくて・・・つい、いじりたくなるんだよ」
男「うっせ・・・」
友「それでどうだ?本番は」
男「まぁ、よくも悪くもって感じだな」
友「そうか・・・それじゃあ、俺から一つアドバイスだ」
男「・・・は? 別にお前、演劇をやってわけじゃねぇし」
友「まぁ、聞けって・・・男。率直に言うが、お前は今悩み事があるな?」
男「・・・別にお前には関係ないし」
友「ツレナイことを言うなよ。俺らは昔からの親友だろ?」
男「それがどうしたって言うんだ」
友「お前はな、考え過ぎなんだ。もっと物事を簡単に、単純に考えればいい」
友「自分の気持ちに素直になればいい」
男「・・・」
友「俺からのアドバイスは、それだけだよ」
男「・・・いつから気づいてた?」
友「そうだな・・・お前が久しぶりに学校休んだ次の日ぐらいか?」
男「マジかよ・・・どんだけ俺の事好きなんだよ・・・」
友「違うわ!お前のあんな辛気臭い顔見たら普通に分かったんだよ!」
友「それにな、中途半端な演技見せて姉さんガッカリさせないようにだな・・・」
男「・・・ありがとな、少し楽になった」
友「そうか・・・それは良かった」
友「それじゃあ、俺は戻るからな・・・頑張れよ」
男「おう・・・」
男(よもや、友にバレていようとは・・・)
男(・・・でも、少し答えは見えた様な気がする)
男(俺の気持ちに素直になる、か・・・)
~本番1時間前~
転校生「あ~緊張してきたなぁ・・・」
女友「まだ1時間前だし、あんたは端役でしょ・・・」
転校生「それでも緊張はするわよぉ・・・」
男(本番まで一時間。演技の最終チェックも終わり、遂に本番を待つのみとなった)
男(友のアドバイスのお陰か体の軽くなった俺は微妙だった箇所も難なく演じる事ができる様になった。後は本番だけだ)
転校生「あんたは緊張しないの?」
男「してるな。これ以上なく」
転校生「その割には落ち着いてる気がするけど・・・」
男「これが俺の緊張のスタンダードだ」
転校生「ふぅん、まぁいいわ。一つ言っとくけど、失敗なんかして女ちゃんをガッカリさせちゃダメよ?」
男「・・・そうだが・・・何故お前が?」
転校生「・・・女ちゃん、この日の為にもの凄く練習してたの知ってるからよ・・・学校以外でも一人で練習してたの」
男「・・・」
転校生「女ちゃんの努力があんたのミスなんかで台無しになったら嫌だし、さ」
転校生「まぁ、だから頑張りましょ?」
男「・・・あたりめぇだ」
~本番15分前~
女友「さぁ・・・もうすぐよ・・・」
女「そうだね・・・」
女友「大丈夫?いけそう?」
女「うん、バッチリだよっ。いつもより良い演技できそう」
女友「その意気よ、女。絶対に成功させるわよ!」
女「うんっ・・・!」
~本番5分前~
女友「いよいよ、私達の出番よ!今日まで練習してきた私達の演技の全てを、この瞬間に出しきるよ!せーの、」
「「「えい、えい、おーっ!!!」」」
男(・・・いよいよ、本番)
男(必ずいい演技を見せよう。俺に期待してくれる人たちの為に、そして・・・女の為にも)
女「・・・男くん」
男「ん?なんだ?」
女「ちょっと、話聞いてくれる?」
男「あぁ、いいぞ」
女「今でも人前で演技するのは恥ずかしいし・・・だけどね」
女「私の、輝いてる所を見てもらいたい。だから頑張れるんだ」
女「前にね、ある人が変わったのを見てからそう思うようになってたの」
女「その人に変わった私を見てほしいって・・・日に日にその思いは強くなって」
女「その思いで私は、この舞台に上がることができる。だから、男くんっ」
女「私のこと、ちゃんと・・・・見ててね」
男「―――」
男「・・・あぁ、わかったよ。お前の事ちゃんと見てる」
男(やっと、分かった俺の素直な気持ち)
男(余計な事は何も考えなくていい)
男(ずっと昔からそうだったのに、何今頃気づいてんだよ俺・・・)
男(公園で遊んだ日々だって、一緒に学校に通った日々も、)
男(女を傷つけたあの日も。きっと俺はこの気持ちを持ってたから、無茶したんだよな・・・)
男(だけど俺はもう間違えない・・・この気持ちを裏切らないためにも)
<<次は2年○組による演劇です。演目は―――>>
<<シンデレラ>>
<<これは数百年も前の話です。ある国に一人の少女がいました。名をシンデレラと言い、容姿は美しく心優しい少女です。しかし彼女は―――>>
男(遂に、始まった。俺達の演劇『シンデレラ』)
男(この演目は女友が選んだというが、なんとも良いチョイスをしたと思える)
女<<よいしょ、よいしょ・・・」>>
<<シンデレラは召使のようにこき使われていました。それでも彼女はいつも一生懸命に自分の仕事をこなしました>>
男(まるで女が演じる為に出来たかのようにピッタリと役がハマっている)
転校生<<ここがまだ汚いじゃない!ほら、やり直し!>>
男(最初はこの役を嫌がってた転校生もいざ演じてみれば、しっくりきてるんだよな・・・)
~~~~
女<<本当に私にドレスを?>>
女友<<あぁ、お前にピッタリなドレスを今から用意してやる>>
男(物語も中盤。今はシンデレラが魔女に魔法をかけてもらい、舞踏会へ行くという場面だ)
男(女友さん・・・あんたその声どっから出してるんですか・・・ダミ声どころじゃないよ)
男(・・・もうすぐ、俺の出番だな・・・)
男(いざ出番が近づくと緊張がヤバイな・・・セリフは全部覚えたし、動きも大丈夫)
男(女に対する気持ちだって、もうハッキリした)
「男君~もうすぐだよー」ボソボソ
男「あぁ、今行く」
男(見せよう、俺の演技を――)
~~~~
男(舞踏会の場面を終え、物語もいよいよ終盤に差し掛かる)
男(俺に残ってるのは最後のシーンのみだ)
男(正直、女の演技はこれまででもダントツに良い)
男(・・・誰から見ても今の女は輝いている。そう確信できる)
男(俺は、女の努力に応えられる演技ができているだろうか)
男(精一杯やってるが、多分まだダメだと思う)
男(最後のシーン、正直少ししかセリフが無いんだよな・・・)
男(・・・そこに全力をかけよう)
女<<その靴・・・私にも履かせてください>>
転校生<<なによ偉そうに!あんたに合うわけ無いじゃない!>>
<<王子からの命令ではこの国の全ての女性に履いてもらうという事なので・・・>>
転校生<<ふん、まぁいいわ。どうせ無駄だからね>>
<<・・・!! こ、これは・・・>>
<<い、今すぐ王子に伝えねば!さぁ、あなたもついてきてください!>>
女<<は、はいっ>>
転校生<<・・・嘘でしょ>>
~~~~
<<王子・・・連れてまいりました>>
男<<ご苦労だったな・・・下がっていいぞ。後で褒美はやろう>>
<<はっ>>
男<<・・・あなたは、シンデレラと言ったか>>
女<<はい、そうです。王子様>>
男<<舞踏会で共に踊った事は覚えているかい?>>
女<<勿論です・・・王子様>>
男(目の前にいる女は、それこそ本当のお姫様みたいに綺麗で)
男(そばにいるからずっと気づかなかったのかもしれない。だけど、離れた事でようやく分かることができた)
男(・・・俺のセリフは一つだけだ。最後の最後まで練習したあの言葉)
男(この時の為に練習してきた。だからそれを見せるんだ。女に応えられるようにっ・・・!)
男<<・・・あの日から、あなたに会いたくて仕方がなかった>>
男<<・・・この先、どんな事があろうと、必ずあなたを幸せにすると誓います。だから>>
男<<―――・・・私と、手をつないでくれますか?>>
女<<―――>>
女<<・・・はいっ・・・喜んで・・・>>
男(涙声に言った女の姿はきっと、いや絶対。この日の誰よりも輝いていた―――)
~~~~
男(本番も終わり、いよいよ今年の文化祭も後夜祭を残すのみに)
男(劇は大成功。文化祭前の予想を大きく上回る出来だった)
男(反響もその分大きかった。本番後の俺達が廊下を歩いている時、女に劇の感想を述べる熱狂的なファン?みたいな子もいたぐらいだ)
男(ただし、女と・・・転校生だけ。転校生についてはなぜ人気が出たのかは知らん)
男(俺には王子様と擦り寄ってくるヤツはいなかった。ちょっと悲しい)
友「おつかれっ」
男「おっ、友か。どうだった?先輩との学校デートは」
友「おまっ!そういう事はあんまり言うなよ・・・」
男「あまりにも上機嫌だったから・・・いじり倒してやろうかと」
友「はいはい・・・時間は短かったけど新鮮で楽しかったよ」
男(楽しがってたお前の陰では先輩と友が交際している事をマジマジと見せつけられて絶望に打ちひしがれた男女がいた事を俺は忘れない)
友「ところで、お前はどうだったんだよ?」
男「どうって・・・なんだよ」
友「決まってんだろ。女さんとの関係」
男「・・・なんでお前が」
友「実は俺も女友さんと相談してて、今回の劇も俺と女友さんで考えたんだ」
友「この文化祭を機に、二人の関係が元通りなるようにってな」
友「まぁ・・・劇でのお前と女さん見てたらもう大丈夫そうだなって思ったよ」
友「それに・・・お前は多分本当の気持ちを分かったはず」
男「・・・とも・・・わかってたのか・・・?」
友「俺ら何年親友やってると思うんだっ。そんぐらい俺にだって分かるよ」
男「ほんと・・・友には頭上がらねないわ・・・」
友「ようやく、だな」
友「ほら、もうすぐ後夜祭始まるから。この後にいい催しが企画されてるんだ」
友「キャンプファイヤーの周りで踊るとかなんとか。だから」
友「いってこい・・・シンデレラの下に・・・」
男「ぷっ・・・お前そのセリフ恥ずかしくねぇのか・・・」クスクス
友「い、言うな!マジ恥ずかしかったわ・・・」
男「ははっ・・・なぁ、友」
友「ん?なんだ?」
男「本当に・・・ありがとなっ・・・」
友「あぁ・・・」
男「じゃあ、行ってくる。舞踏会」
友「お前そのセリフ恥ずかしくないのかよ・・・」
男「お、お前に合わせただけだよバカ野郎!」
友「うるせ。早くいってこい」
男「・・・おう」
男(本当に・・・友には感謝してもしきれない・・・)
~~~~
男(女の居場所はすぐ分かった)
男(女友、転校生など色々な男女に囲まれて会話を楽しんでいる)
男(その光景はまるで舞踏会で注目を浴びたシンデレラのようだ)
男(・・・綺麗に、輝いている・・・彼女は)
男(つまり、連れ出すのはちょっと億劫になる・・・)
男(あれだけの友達やその他の人々に囲まれる女を見てるとそういう気分になる)
男(・・・昔は人に囲まれる様なヤツじゃなくて、むしろ真逆だったのにな・・・)
男(って、やめだやめ。感傷的になってる場合じゃない)
男(・・・後で呼び出すぐらいなら今でもできる・・・よな?)
転校生「あっ、王子様の登場よ」ニヤニヤ
男(迷ってる間に転校生が俺を見つけニヤけている。王子様いじりが微妙にウザい)
男「どうも、お姉さん・・・靴が合わなくてさぞ悔しかった事で」
男(なので俺も転校生の劇中の役を用いてイジることにした)
転校生「ハッ、何を言い出すのかしら。私は別に悔しくなくてよ?」
男(転校生も乗っかってきたらしくまるでまた劇が始まったかのように演技し始める)
男「じゃあ、あの時の嘘って言葉は何だったのか・・・王子気になる」
男(言い返そうと必死に出した言葉が『王子気になる』って俺のボキャブラリーの無さ・・・)
「お、なんだなんだー?」「もしかして劇の続きー?」
男(・・・ギャラリーが増えてきている。あんたら見せモンじゃないのよ。王子怒っちゃうよ?)
女友「何してんのあんたら・・・」
男(そうしていると見兼ねた女友がやってきた。正直GOODタイミングです)
女「ぷっ・・・ふふっ・・・」
男「何で吹き出してるんだ・・・」
女「いやぁ、男くんと転校生ちゃんのやり取りが面白くて・・・」クスクス
女友「まったく女も・・・それで男はなんの用?」
男「それなんだが・・・ちょっと、女に用があったんだが・・・後にするわ」
女友「いやいやそれなら、どうぞ連れてって!いや、むしろ連れてけ」
女「お、おんなともちゃん・・・?」
女友「ほら、魔法がかかっている間に・・・ね?」
女「そ、それってどういう」
女友「ほら行った行った」
女「わっ、わわ」
男「・・・じゃあ、行くか」
女「う、うん・・・」
~~~~
男(二人きりになれる所を探していたら、これから後夜祭という事を思い出した)
男(それは校舎には誰もいなくなるという事を指していて―――)
男「ということで屋上にやってきました」
女「だね・・・」
男「・・・」
女「・・・」
男「・・・そのなんつーか、こう改まると変、だよな」
女「そうだね・・・さっきまではシンデレラと王子様だったのにね」
男「まったくおかしな話だよな・・・俺が王子様だなんて・・・」
女「ううん、そんなことないよ。そのっ・・・」
女「うぅ・・・これはちょっと恥ずかしいかも・・・」
男「なにがだ?」
女「・・・手をつないでくれますかってセリフの時・・・すごく嬉しかった・・・」
女「劇のセリフなのに嬉しいと思っちゃったんだ・・・」
女「本当に嬉しくて泣いちゃった・・・ごめんね」
男「・・・俺も嬉しいよ」
女「・・・えっ、えぇ!?」
男「俺もな、嬉しいんだよ」
男「ここまで誰よりも演劇の練習をしてきて」
男「演技は誰よりも輝いていて」
男「・・・俺の為に自分を変えようとした女の子がいてな・・・」
男「その女の子の努力に応えられるような演技をしようと思ったんだ」
男「・・・応えれたんだな・・・よかった」
女「・・・うん、応えられてるよ・・・ちゃんと・・・」
男「・・・女、俺の答え。俺の気持ち、分かった」
女「・・・うん」
男「―――俺は、女と一緒にいる」
男「昔と比べたら、俺も女も変わったかもしれないから昔の様にとはいかないかもしれないけど・・・」
男「・・・だけど、大丈夫だと分かったから。たとえ、これから先あの時と同じことがあったって」
男「今の俺達なら・・・乗り越えられる」
男「・・・これが俺の出した答え」
女「そっか・・・そうだね・・・」
女「今の私達なら・・・乗り越えていけるよね」ニコ
男「・・・あぁ。絶対」
女「・・・これから先も・・・あの、よろしくお願いします」
男「・・・こちらこそ・・・よろしくお願いします・・・」
男 女 「「ぷっ・・・」」
女「や、やっぱり・・・こう改まったのは可笑しいね・・・」クスクス
男「・・・だな」クスクス
<<これより後夜祭を行います。まずは講評を校長先生お願いします>>
男「やべっ・・・後夜祭始まっちまった」
女「は、はやく戻らなきゃ・・・」
男「・・・最後に一ついいか?」
女「ん・・・」
男「後夜祭で、キャンプファイヤーを囲んでどうやら踊るらしい・・・オクラホマ・・・なんとか」
男「その時は・・・私と踊ってくれますか、お姫様」
女「・・・そのセリフ恥ずかしくない?」クスクス
男「そのパターンには慣れたんだよ・・・」
女「んん・・・こういう時はこう言うのが正しいかな」
女「―――喜んでお受けします、王子様っ」ニコッ
~~~~
男(文化祭から一週間)
男(新しく、そして変わった俺と女)
女「おはようっ。男くん」
男「おう。そんじゃ行くか」
男(俺達の関係はあるべき姿になったはずなのになぁ・・・)
女「ん?男くん、ぼーっとしてどうかしたの?」
男「あ、いや何でもないわ」
女「・・・? そう?」
男(・・・何かが物足りない。それはきっと―――)
~~~~
石井「恋だな」
男「・・・は?」
石井「いやさぁ、女さんあの劇の前後からすんごく魅力的になったと思わない?」
石井「これってやっぱり恋してるよね?女さん。絶対そうだわ」
石井「勿論俺にいいいいいいいいてええええええええええ」メリメリ
男「はいはい魅力的」
石井「ゆるしてえええええええおうじいいいいいいいいい」メリメリ
男「はいはい王子王子」
男(・・・確かに魅力的になったよなぁ・・・)
女「い、いま男君がみ、魅力的って・・・」ボソボソ
女友「はいはい王子王子」
~~~~
男「女ー帰ろうぜー」
女「あっ、今日はちょっと用事があるから先に帰っててくれるかな」
男「おう、じゃあ明日の朝もいつもの時間な」
女「うん・・・また明日」
男(・・・なんだか最近女が付き合い悪いような・・・)
~校門~
転校生「おっ・・・振られた王子様じゃないですか」
男「べっ、別に振られるも何もねーし。つーかなんだよお前」
転校生「実は私も女ちゃんと女友に振られちゃってね・・・私、今暇なんだよねー」
男「あっそ・・・じゃあな」
転校生「おいちょっとまてゴラ」ガシッ
男「・・・なんだよ」
転校生「私暇なんだけどなー?どこかに都合のいいパシリいないかなー?」
男「あー分かったよ。付き合う付き合う」
~~~~
男「そーいやーお前のパシリだった事忘れてたな」
転校生「そうよ。それで今は王子様だなんてホントに呆れるわ」
男「どんだけお前は王子様ネタにハマってるんだよ」
転校生「それはそうとさ・・・実は女ちゃんの事で話しておきたい事があって・・・」
男「え? 女の事で?」
転校生「うん。今日、なんで女があんたの誘い断ったか分かる?」
男「それは・・・用事だからだろ」
転校生「その用事が何か分かる?」
男「・・・女の事なんだから俺には関係ないだろ」
転校生「いんや、あんたに一番関係ある事よ」
男「どういうことだよ・・・」
転校生「女ちゃんは今・・・告白されてる」
男「・・・は?」
男「告白ってあれか?恋の?」
転校生「そうよ、それ以外何かある?」
男「そ、そりゃあそうだが・・・そ、それがどうした」
転校生「んーとね・・・とりあえずあんたに伝えたい事はね・・・」
転校生「女ちゃんはモテるの、分かる?」
男「べ、べつにしらねーし。余計なお節介だわ・・・」
転校生「あのね、私もよくわからないけどあんたら二人を見てると応援したくなるのよ」
男「ちょ、おま・・・俺らはただの幼馴染であって・・・」
転校生「・・・そうだと思うけど、なぜか無性にこの事言いたくなって」
転校生「アハハ・・・今の私ちょっと変かも」
男「ま、まぁ・・・一つのアドバイスとして受け取っておいてやるよ」
~~~~
男「焦るに決まってんだろうがああああああああああああああああああ!!」
男母「うるせぇ!!」バンッ!
男「はい、すみません」
男母「ったく・・・」
男(・・・実際あんな事言われると焦るだろ・・・)
男(つまりもたもたしてると他のヤツに盗られるってことだろ・・・そしたら・・・)
男「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」
バンッ!!
男母「・・・覚悟はできてるんだろうな」
男「ホントにすいません。このとおりです」ドゲザ
男母「次は許さねぇぞ・・・」
男「ハイ」
男(・・・とにかく、早く伝えないと俺は・・・)
男「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」
バンッ!!
男母「」ギロッ
~~~~
女友「女さぁ・・・いつになったら男と付き合うの?」
女「えっ、ええええええええ!?」
女友「こんな感じのやり取り前もしたような・・・まぁいいや。それで?今どんな感じなの?」
女「それは―――」
女「―――・・・って感じかな」
女友「それもう実質付き合ってるんじゃね?」
女「つ、つきあってるなんてそそそんなことないよ」
女友「あーはいはい。でもそれは男もきっと女の事を・・・」
女「女友ちゃん、それ以上は言っちゃダメ」
女友「・・・そうだね。こっから先はあんたら二人だけの問題だもんね」
女「うん・・・」
~~~~
女(・・・女友ちゃんは男くんが私の事好きだと思ってるみたいだけど・・・)
女(実際にそうかは分からない・・・でも、男君がもし、もしもそう思ってるんだったら・・・)
女(私は・・・男くんと付き合いたいな・・・)
「いてええええええええええええええええええええええええ!!」
女「・・・?」
男「―っ!!―――!」
女(男くん・・・お母さんに怒られてる・・・)
女(なのに・・・なんだかおかしいな)クスクス
女(あっ・・・男くんがこっちに気づいた)
男「―っ!―――!」
女(なにか言ってるけど聞こえないよ・・・)クスクス
女(窓・・・開けようかな・・・)
ガラガラ
女「ねぇ、男くん――」
~~~~
女「―――」
男母「女ちゃんが何か言ってるわよ・・・反応したら?」
男「なら母さんは早く出て行ってくれ・・・ごめん明日甘いもの買ってくるからその手降ろして」
男「ったく・・・荒いんだよ・・・って女が何か言ってるんだったな」
ガラガラ
男「どした・・・」
女「男くんと男くんのお母さんのやりとり見てて面白くて・・・懐かしいね」
男「そういえばそうだな・・・あいつ未だに力強いから殴られると痛ぇんだよな」
女「ふふっ・・・昔はよくそれで泣きそうになってたよね」
男「それは忘れろ」
女「忘れられないよ・・・大事な記憶の一つだからね」
男「・・・そういえばさ、女今日・・・告白されたんだろ?」
女「・・・そうだよ」
男「その、さ・・・どうしたんだよ」
女「どうしたって?」
男「う、受けたのかこ、告白」
女「断ったよ。相手には悪いと思うけど・・・」
男「そ、そうか・・・」
男「・・・」
女「・・・」
男「そ、それじゃあ・・・」
女「まって」
男「おんな・・・?」
女「私・・・男くんの事が好き」
女「昔からずっと・・・男くんが好きだった」
女「何があっても、その気持ちは変わらなかった」
女「だから・・・」
男「女、その先は言わないでくれ」
女「えっ・・・」
男「こういうのってさ・・・男の方から言わないとカッコつかないからな」
女「・・・うん」
男「公園で見た時にさ、衝動的に助けたくなって・・・それで、女を誘った」
男「それからはさ、一緒に遊んだりしてすげぇ楽しかったし・・・何より心が満たされてたし、女の笑顔が嬉しかった」
男「あの時はどうにかして女を助けたかった・・・結局空回りして俺達はバラバラになったけど」
男「あの時があったから。こうして俺達は変わることができて・・・」
男「俺は・・・本当の気持ちに気づくことができた」
男「―――・・・一目見た時からあなたの事が好きでした。俺と付き合ってください」
女「・・・はいっ」ウルッ
男(俺と女が付き合うまで色んな事があった)
男(ときには、ボロボロになって立ち上がるのさえ無理だった時だってあった)
男(でもその事があったから俺は人として強くなれたし・・・)
男(何よりも大事なモノに気づく事ができた)
男(この先なにがあっても・・・必ず女の事を幸せにしよう)
男(この愛しい人の笑顔を・・・ずっと見ていたいから)
男「・・・必ず・・・幸せにするからな」
女「うん・・・幸せにしてね?」
~~~~
「なぁ、おんな」
「ん?なぁにおとこくん」
「これからはずっとおれが、おまえのことをしあわせにするから・・・」
「だから、いっしょについてきてくれ!」
「うんっ!ぜったいにしあわせにしてねっ!」
男「パンツ見せてください」女「ダ、ダメだよっ」カァァ
~終わり~
472 : ◆Cjqc0.rpcA - 2015/03/22 17:57:53 4idKipGM 527/1388長かった・・・女ルート終了です。
この後は後日談・・・というかCパート的感じでやって女は終了です
というか言ったそばから誤字る俺ェ・・・
最後の所は一応部屋の窓から的な感じで、前の板ではそういう描写あったんですがこの板では何も書いてなかったので一応補足。
ともあれ本日はここまで。ここまでお付き合いしてくれた方には感謝です。
女「どんなことがあっても」
女「・・・ねぇ、男君」
男「なんだ?」
男(女と付き合って3ヶ月が経った。という事で今日も街でデート)
男(今日も見たい映画も見れたし、クリスマスに向けて、プレゼントを下見する事ができた)
男(何より・・・女とこうして二人でいられる事が何よりも嬉しい)
女「今日、楽しかった?」
男「当たり前だろ。まさか、今日の俺つまらなかったか?」
女「そんな事ないよ!男君といて退屈だった時なんて一度も無いよ」
男「そうだよな・・・」
男(これが俺達が変わった事で手に入れた日々なんだ)
女「・・・」
女「男君。今から行きたい所があるんだけど、いいかな?」
男「ん、いいぞ」
~~~~
男「おぉ~懐かしいな、ここ」
女「・・・懐かしいよね・・・本当に懐かしい」
男「なんせ俺と女が初めて会ったのがこの公園だもんな・・・」
女「・・・」
男「・・・おんな?」
女「・・・私達が初めて会った時って男君と私以外の他に誰がいた?」
男「そ、そりゃあ・・・たしか友がいたかもしんねぇが・・・どうしたんだいきなり?」
女「そっか・・・やっぱりそうなんだね」ボソッ
女「・・・わたし、思い出したんだ。本当の事」
男「・・・は?」
女「私は魔法にかかってるんだ。だからこうして今も幸せな夢を見れると思う」
女「だけど・・・それももう今日でお終い。夢からは早く醒めなきゃ」
男「おい、女。お前はさっきから何を言って・・・」
男(・・・!? 視界が変にグラついてきた・・・?)
女「男君、必ずこれだけは覚えていて欲しい」
女「どんな事があっても大切な人との思い出を忘れては駄目・・・絶対に」
女「距離なんか関係無いんだよ。近すぎたから悪かった事なんて一つもない」
女「だから、思い出して」
男「おっ、おい!女、それ以上は!」
男(今度は耳までおかしくなってきた・・・!?)
女「私達のもう一人の―――」
女「そして、男君・・・あなたの大切な人の事を・・・」
女「あなたの恋人で私の一番の友達―――との日々を」
女「最後に・・・本当に好きでした、ありがとう。男君」ニコッ
男「―――」
男(そして俺の視界は、暗闇に包まれた―――)
488 : ◆Cjqc0.rpcA - 2015/05/14 00:39:15 2nCornMo 535/1388お久しぶりです・・・
忙しかったので更新ができなかったです。申し訳無いです。
そして保守していただいと人達にも感謝です。
これからはぼちぼちと書いていこうと思います。
次回からは黒髪です。
続き
男「パンツ見せてください」黒髪「・・・」ジトー