1 : 以下、名... - 2016/03/18 15:29:12.58 ArZVNf+DO 1/10

AM4:00



「なにって、ジャガイモだろ」

「……はぁ?」

「ああ、メークインが良かったのか? でもコンビニだし男爵しかなくてさー」

「……呆れました。無能ですね」

「あれあれ、なんで僕は罵倒されているんだろう。女がイモを買ってこいと言うからわざわざ買ってきたのに」

「イモと言えばマックのポテトでしょう!」

2 : 以下、名... - 2016/03/18 15:37:01.08 ArZVNf+DO 2/10

「知らねえよ! ポテトならポテトって言えよ!」

「あの、あなた誰ですか?」

「お前の彼氏だよ! 両親にも挨拶したよ!」

「なんですか妄想ですかキモいですね。私の彼氏なら、私が普段、マックのポテトをイモと呼称していることは、当然知っていて然るべきです」

「……ぐ、もちろん知ってるさ。僕のストーキング性を見くびるなよ女。こと女に関して、僕の知らないことは何もない。例えば、君の今朝の朝食は目玉焼きだ。どうだ図星だろう、はっはっはー」

「いえ、朝食は食べていません。ダイエット中です」

3 : 以下、名... - 2016/03/18 15:43:15.94 ArZVNf+DO 3/10

「おかしいな。今朝僕は確か、キュートな女の子と一緒に朝食をとっていたんだけど……」

「……そうでしたねうっかりしていました。ていうか同棲してるんですから、毎日一緒ですよね」テレ

「あ、デレた超可愛い! ……まあ、なんにせよ安心したよ。僕が彼氏だと証明できて。危うくストーカーに逆戻りするところだったぜ」

「いや、まだですよストーカーさん」

「やめて。自分で言うのは良いけど、女に言われたら凄い傷つくから」

「スーさんは嘘をつきました」

「アダ名にしないで! 定着しちゃうから! 友だちに『どうしてスーさんなの?』とか聞かれて、『ストーカーさんの略だよ』と答えなければいけない僕の気持ちを考えて!」

「じゃあどうしろと言うんですか。ワガママですね」

4 : 以下、名... - 2016/03/18 15:51:14.64 ArZVNf+DO 4/10

「今まで通りダーリンにしてください」

「わかりましたダーリン」

「……ごめんなさい。僕が悪かったです男くんにしてください」

「ふん、肝っ玉の小さい野郎ですね男くんは」

「言わないで。それ気にしてるやつだから……ていうか、僕が嘘をついたってどういう意味だ?」

「ようやく本題に戻りましたか。そう、嘘をついたんです。なぜなら、私は普段ポテトをイモとは呼んでいません。ポテトはポテトです」

「嘘をついたのお前かよ! いや僕もついたけど!」

「よって、あなたが彼氏であるという証明は成り立ちません。さあ、帰ってください」

5 : 以下、名... - 2016/03/18 15:58:37.31 ArZVNf+DO 5/10

「捨てないで! 何でもするから!」

「ポテトを置いてとっとと消えてください! 目障りです!」

「あ、ポテトならほら」

「それはイモでしょう! 私が言っているのはマックのポテ……しまった!」

「はっはー、引っ掛かったな女。お前は今、ポテトをイモと呼称した自分のミスを認めたのだ!」

「うぐぐ……」

「さてと、僕に非はないと分かったことだし、そろそろ部屋に上がって良いか? いい加減足も疲れたし」

「ま、まだです! まだあなたが彼氏であると証明されていません!」

6 : 以下、名... - 2016/03/18 16:06:26.19 ArZVNf+DO 6/10

「……やれやれ」カベドン

「ななな!? いったいなにをs

「女」アゴクイ

「あうあう」

「……口を結ぶな。ベロチューができないじゃないか」

「……分かりました。100歩譲って彼氏であることは認めましょう」

「なら――」

「キ、キスは駄目です! なんなんですかあなたは!? 馬ですか鹿ですか!?」

7 : 以下、名... - 2016/03/18 16:15:37.53 ArZVNf+DO 7/10

「じゃあ逆に聞くけどさ、どうしたら僕はベロチューができるんだ?」

「議題がすりかわってますよ! 欲望の赴くままに!」

「落ち着けって。ほら、シチューでも食べてさ」

「ないですよそんなもの……てまさか、シチューを作らせるためにイモを買って来たんじゃ――」

「女、愛してる」キリ

「す、すぐそうやって誤魔化すんですから……」

「I love you」

「……コホン、分かりました。このままじゃ埒があかないので妥協案を出しましょう」

8 : 以下、名... - 2016/03/18 16:21:02.88 ArZVNf+DO 8/10

「妥協案?」

「はい。まず男くんはポテトを買ってきてください。そこは譲れません。そして、その間に私はシチューを作ります。あなたの冷えきった身体をポカポカ暖める、極上のシチューです」

「なるほど。して、そのあとは?」

「……と言いますと?」

「冷えきった身体は暖まりましたが、冷えきった心がまだ解凍されていません」

「……本当に馬鹿ですねあなた」

「からの~?」

「私が暖めてあげますよこんちきしょー!」

9 : 以下、名... - 2016/03/18 16:26:39.16 ArZVNf+DO 9/10

「よし、そうと決まったらさっそく、ポテトを買いにいくか」

「私は急いでシチューを作らなきゃですね。すでにクタクタですが……」

「栄養ドリンクも買ってきた方が良いか? まだまだ先は長いんだし」

「要りません!………………あなた用だけ買っておいてください」ボソ

「オーケーオーケー! じゃあ、行ってくるよハニー!」

「はいはい、行ってらっしゃいダーリン」

ガチャバタン

タッタッタッタッタ……

「もう、何も走らなくても……」

10 : 以下、名... - 2016/03/18 16:31:07.71 ArZVNf+DO 10/10

AM5:30



「ただいまー。お、良い匂いがする」

「おかえりなさい。今夜はシチューですよ」

「もう朝だけどな。ほら、ポテト」

「わーい! ポテト♪ ポッテト♪」

「冷めてないかな? いやー、結構急いだんだけど、コンビニとは逆方向だったから時間食っちゃってさー」

「良いですよう別に。男くんの気持ちだけでおなかいっぱいで――」

「ん? どうしたんだ?」

「なんですかこれ」

「なにって、ポテトだけd



「ハッシュドポテトじゃないですか!!!」



fin

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