1 : VIPに... - 2012/11/19 13:36:58.60 CgVR2Fo/o 1/371

紅莉栖「だから、IQテスト」

岡部「……と、突然何を言う出すかと思えば……突然どうしたのだ!?」

紅莉栖「別に、突然でもいいじゃない。IQテストしましょ?」

ダル「……」

まゆり「クリスちゃん顔が怖いよー……」

岡部「……突然そんなことを言うから、
   突然まゆりが怖がってるではないくわぁー!」

紅莉栖「大丈夫よ、まゆり?私は怖くないから!!」

ダル「……自分で言ってるお」

まゆり「クリスちゃんどうしたの?何かあった?」

元スレ
紅莉栖「さぁ、IQテストしましょうか?」岡部「え?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1353299818/

2 : VIPに... - 2012/11/19 13:41:51.23 CgVR2Fo/o 2/371

紅莉栖「ううん、大丈夫、大丈夫だから。
     ほら、みんなもIQテストしてみない?」

岡部「だから突然」まゆり 「IQテストって何かなー?」

紅莉栖「え?……あぁIQって言うのは知能指数のことで――」

まゆり「そ、それくらいは知ってるよー!
    まゆしぃそこまでバカじゃないよぅ。
    ……テストって何するのかなーって思っただけなのです」

紅莉栖「あぁー!その、えっと、IQテストって言うのはね、
     私が作ったコレを使って知能検査してみないってことでね?
     決してまゆりをバカにしてるとか――」

ダル「なんぞこれ、ヘッドホン?」

岡部「すぉーんなことはどうでも」紅莉栖 「ただのヘッドホンじゃないわ」

3 : VIPに... - 2012/11/19 13:44:53.94 CgVR2Fo/o 3/371

紅莉栖「うーんそうねー?
     ……ラボ風に言えば、新しい未来ガジェットって所かしら?」

岡部「何!?」

ダル「おぉー流石は牧瀬氏。
   オカリンの為ならなんでもやってのける!そこに痺れる憧れる!!」

まゆり「うわぁ~すごいねー!
    クリスちゃんはがんばりやさんだねぇ。オカリンも喜ぶよ~」

岡部(いかん、つい未来ガジェットという言葉に反応してしまった。
   しかし、これは……!)

紅莉栖「な、そんな岡部の為とかそういうわけでは……。
     いえ、そうね、岡部の為に作ったような物かもね?」

岡部「ふむふむ、なるほどなるほど……ククク、流石我が助手!
   仕事熱心で何よりだ。
   この調子で次なる未来ガジェットの制作に励むといいー」

4 : VIPに... - 2012/11/19 13:50:53.19 CgVR2Fo/o 4/371

紅莉栖「――名付けて、知能指数脳力検査機って所かしら」

まゆり「ちのうしすーのうりょくけんさきー?」

紅莉栖「長いからIQTマシンとかでいいわ」

岡部「さて次の議題だが」

紅莉栖「ええっとね?

     簡単に説明すると、このヘッドホンを付けながら、
     繋いである機械のボタン操作で、ゲームと言ってもいいかしら?
     操作してる内にヘッドホンがその人の脳から思考パターンを読み取り、
     数値化しながら画面に表示してくれるっていうガジェットなの」

岡部(なんだそれはなんでそんなもの作ったんだおいダルなんとかしてくれ頼む)

ダル「ふーん、でもそれって正確に測れるもんなん?
   知能指数なんて、知能検査を何度もやり続けて暗記したら、
   ぶっちゃけいくらでも上がるっしょ?

   検査によっちゃ知能指数も変わっちゃうわけで、
   あんまりIQって当てにならない罠。
   それなら未来に生きるガジェットとは言えないんじゃないかお。
   オカリンも認めない的な?(オカリンがピンチなんてレベルじゃねーぞ!)」

岡部「そ、そうだそうだ!つまり欠陥品ではないくぁ(良くやったぞダル)」

5 : VIPに... - 2012/11/19 13:55:38.36 CgVR2Fo/o 5/371

紅莉栖「そうね、だからまだこのガジェットは完成品じゃないわ。

     誰かが使ってみて、
     何度挑戦しても『IQの表示が変わらない』か、
     テストしてみないといけないわ」

ダル「つまり、どういうことだってばよ……?」

紅莉栖「つまり、いくらこの機械を使っても、
     その人のIQが変わらずに表示されるとしたら……。

     その人自身が本来持つ、正確な脳のIQに迫れるんじゃない?
     そういうわけだから、ちょっと実験させてくれないかしら?」

ダル「……だってさオカリン」

岡部「……だがしかし!IQなどと言う不確定な要素が、
   そんなちっぽけな機械で易々と測れるわけなかろう!?

   たとえ何度同じ数字が表示されるとしても、
   根本が間違っているのでは、なんの意味もない!
   つまり、それは欠陥――」

紅莉栖「だーかーらー!それを調べるためにも実験してみたいのよ!!

     ……せっかくだから色々なIQテストをしてみて、
     このガジェットで数値化されるIQと比較しながら調べてみましょ?
     ね、鳳凰院凶真さーん♪」

岡部「ヒグッ……」

6 : VIPに... - 2012/11/19 13:59:47.98 CgVR2Fo/o 6/371

まゆり「なんだかとっても面白そうなのです!まゆしぃにもやらせてー♪」

紅莉栖「でしょでしょー♪これが完成したら、
     結構面白い未来ガジェットとして売り出せるんじゃないかしら?

     ま、遊び感覚で楽しみましょうよ」

岡部「……バ、バカを言うな!
   そぁんな遊びみたいなこと俺にやれとでも?
   この俺は忙しいのだ……そんなことには付きあってられん。

   ――俺は自分の家に戻るぞ!!」

ダル「死亡フラグ乙!」

まゆり「えーオカリンもやろうよ~?
    せっかくクリスちゃんがオカリンの為に作ってくれたんだよー?」

ダル「wwwwwブフォッwwwwwwwwwww」

岡部「……いいか、まゆり?
   俺はな、遊びになんか付きあっている暇はないのだ。

   こうしている間にも“機関”の魔の手は広がり、
   世界中に散らばる俺の仲間達が苦しんでいる。
   俺は、俺たちには時間がないんだ。

   そう、だから俺にはなさねばならぬ使命が――」

ダル「そういやさっき暇だなって言ってなかったっけ?」

岡部「貴様ダル!お前は一体どっちの味方だ!!」

7 : VIPに... - 2012/11/19 14:03:29.11 CgVR2Fo/o 7/371

ダル「は?なんのことすか?
   どっちの味方と聞かれても……。

   あえて言うなら、カワイイおにゃのこの味方かなキリッ」

岡部「オッノーレ!

   ――ん?ああ、俺だ。
   ……何!奴らにやられただと!?
   今どこに……バカを言うな!
   俺に仲間を見捨てろと言うのか?
   そんなことできるわけないだろう……!
   待っていろ、すぐにそちらへ……危険?危険だ、だと?
   フッ……俺は常に危険――Beginning of fight――に晒されている……。
   今更その程度の――Beginning of fight――危険は苦でもない!
   俺に任せろ、全ては運命石の――Beginning of fight――扉の選択だ。
   俺が行くまで持ちこたえ――Beginning of fight――るんだ!
   ――Beginning of fight――ってええい!誰だこんな時にうるさいぞ!!」

               【着信】 助手

紅莉栖「……」

岡部「……」


ダル「っべーわー。マジべーわー。この助手容赦べーわー」

まゆり「オカリン……」

岡部「……ククク……ハハハ……フゥーハハハ!
   フゥーーーハハハハハ!!」

紅莉栖「さてっと、じゃあ始めましょうか♪」

8 : VIPに... - 2012/11/19 14:05:32.49 CgVR2Fo/o 8/371

まゆり「はーい☆」

岡部「がああああああああああ!いかん、俺の右手ぐぅああああああ!!」

ダル「オカリン往生際悪すぎワロタ」

岡部「このままではラボメンに危険がぁー!
   ――というわけで俺はこの辺で」ダッ


紅莉栖「岡部、逃げるの?」

岡部「」ピタッ


紅莉栖「逃げたって苦しくなるだけよ。今の岡部は見てられない……」

まゆり「そうだよ♪」

岡部「お、俺が逃げる……だと?
   この俺が……狂気のマッドサイエンティストが……」

紅莉栖「そう、あんたは狂気のマッドサイエンティスト。
     ……そのアインシュタインにも匹敵する、
     IQ170の怜悧なる頭脳を今こそ知らしめるべきなのよ!」

ダル「そうだよ(便乗)」

9 : VIPに... - 2012/11/19 14:07:29.45 CgVR2Fo/o 9/371

岡部「ありえん……この俺が、助手如きから逃げるなど断じてありえん!」

紅莉栖「そうよ!あんたはそれでこそあんたなのよ!!
     さぁ、前を向いて?この手(ヘッドホン)を取って!!」

岡部「……フ、フフ……フゥーハハハハハハ!
   良かろう、ならば示してやる!!
   我が灰色の脳細胞が誇る頭脳の真髄をなぁ!

   ハハハハッフゥーハハハ!!」

紅莉栖(……ちょろいもんだわ、岡部……!
     そのキレイな頭をフッ飛ばしてあげる)


‐‐--―――――――――――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
     ‐‐--―――――--‐‐

10 : VIPに... - 2012/11/19 14:09:59.95 CgVR2Fo/o 10/371


数日前。


紅莉栖「……うーん、この配線がここにくるから後はここを……」


岡部「フゥーハハハ!これでどうだ!?こんな感じか!!」

まゆり「うんうん、いいよいいよー♪じゃあ次はこれを着て撮ってみよー☆」

岡部「っておいまゆり。それはコスプレ衣装ではないか!
   俺はコスプレをしてるんではなく、
   サイリウムセーバーのサンプル画像を撮ってるだけなのだぞ?

   ……ぁあ、おいダル。顔は映すなよ、顔は!」

ダル「わかってるお――はい、そこでカッコいいポーズ!」

岡部「こうか!」ジャキーン!!

まゆり「カッコいいねーオカリーン♪」

ダル「うはwwwおkwww次www撮るおwwww」

11 : VIPに... - 2012/11/19 14:11:18.83 CgVR2Fo/o 11/371

岡部「フゥーハハハ!そうだろうそうだろう!
   この鳳凰院凶真がモデルになればこのくらい――」


紅莉栖「――あああ゛あ゛あ゛もぅっうるさいっ!
     ちょっとは静かに出来ないの!?」バンバンッ

ダル「うは、おk(戦慄)」

まゆり「ご、ごめんねぇクリスちゃん……」

岡部「お、おい助手よ……そんなに怒ると小じわが増えるぞ?」

紅莉栖「お前が言うな!岡部の所為でこっちは頭を悩ませてんでしょーが!!」

岡部「お、おう(震え声)」


紅莉栖「……ッチ……もういいわよ。
     ……あーそれにしても疲れたわ……少し休憩する」

岡部「そ、そうか。ご苦労であったクリスティーナ」

12 : VIPに... - 2012/11/19 14:13:43.62 CgVR2Fo/o 12/371

紅莉栖「だからティーナじゃないって……ああもういい、それよりお腹空いた」

岡部「!

   ……ククク、そう思ってすでにお湯を沸かしてあるぞ!
   感謝するがいいセレブセブンティーッヌ!!」

紅莉栖「だからセレセブでも……って何?あんたにしては気が利くじゃない」

岡部「なぁに、俺は世間では気が利く男No.1の異名を持つ男だからな!
   これくらいどうということはない」

ダル「というのは建前で、
   自分がカップラーメン食べる為に沸かしただけというのが本音だお」

紅莉栖「……気の利くマッドサイエンティストってなんぞ?
     ……まぁいいわ。そんなことよりもー♪
     昨日買っておいたカップラーメンが私を待ってるわ~」ルンルン


まゆり「……なんかクリスちゃん様子がおかしいのです」ヒソヒソ

ダル「……疲れでテンションがおかしくなってると思われ」ヒソヒソ

13 : VIPに... - 2012/11/19 14:15:24.47 CgVR2Fo/o 13/371

岡部「ふむ、好きなふぁけはぁべるがふぃい」ズルズル

紅莉栖「ふんふーん♪……あれ?」


岡部「ズルズルズルッ!ゴクリッ……どうした?」

紅莉栖「……え、あれ?確かここに……」

岡部「ズルズルズズーッズル!」

紅莉栖「……ない……ない!なんで……昨日確かにここへ置いたはず」

岡部「ズルルルルッルッルル」

紅莉栖「……う、うそぉ……なんでぇ……なんでないのよ!」

岡部「ズルズルズルズルチュポン!」

紅莉栖「ってズルズルうるさいっ!
     ねぇ岡部!?ここに置いてあったカップラーメン――」

岡部「ンッグ……ゴクンッ!何、カップラーメンがどうした?」

14 : VIPに... - 2012/11/19 14:17:32.69 CgVR2Fo/o 14/371

紅莉栖「知らな……い……?」

岡部「?……知らんぞ俺は」ズズズズズッ


紅莉栖「……あんたそれ……どこから……」

岡部「ズズズッ……ふぅ、美味かった。
   ……ん?何を見ているクリスティーナ」


紅莉栖「それ……」

岡部「は?それって……コレか?

   いやぁ、ラボにもこんな美味いカップ麺があるとは驚いたな。
   今度からラボの食糧はこれをメインにしても良いくらいだ」

紅莉栖「……」


ダル「オ、オカリンオカリン……ちょ、まずいってどう見ても……」

まゆり「あわわわわわ……」ガタガタ

岡部「どうしたのだ?ダルもまゆりも何を怯えている?」

15 : VIPに... - 2012/11/19 14:18:50.22 CgVR2Fo/o 15/371

紅莉栖「……ソレ……ワタシノ……」

岡部「なんだクリスティーナ、そんなに震えて……今なんて言ったのだ?」


紅莉栖「それは……私の……」

岡部「え?なんだって?」


紅莉栖「それは私のカップラーメンだぁあああああああッッッ!!」

岡部「ファッ!?」

紅莉栖「あんたの食ってるそのカップラーメンは私のだぁああああああ!!」

岡部「お、おいっ揺らすっなっ!食べた物がっ出っうぷっ!」

ダル「まだだ、まだ吐くな!堪えるんだ!!」

紅莉栖「カエセェェエェええええええ!!」

まゆり「クリスちゃんクリスちゃん落ち着いてー!」

16 : VIPに... - 2012/11/19 14:20:20.56 CgVR2Fo/o 16/371

岡部「あばばばばおぼぼぼぼっ」

紅莉栖「うぉおおおおおおお!!」

岡部「か、カップラーメンっなどっ!変わりはいくらでもっあるではないかっ!!」

紅莉栖「違うッ、私のカップラーメンはそれ一つだけよッ!
     変わりなんてない!!」

ダル「牧瀬氏暴走モード突入の予感!」

岡部「ダル!見てないで助けろ!!うっ」

まゆり「クリスちゃん、オカリンを離さないとホントに吐いちゃうよー!」

ダル「マジゲロだけは勘弁なっ!ほら、オカリン離れるお!」

岡部「俺を引っ張るなー!」

紅莉栖「吐けよぉぉおおおおおお!!」

17 : VIPに... - 2012/11/19 14:21:40.36 CgVR2Fo/o 17/371



岡部「――……ふぅ、偉い目にあった……」

紅莉栖「フー、フー……」

まゆり「クリスちゃん……落ち着いて、ね?
    まゆしぃケンカは嫌いなのです……。そうだ、バナナ食べる?」

紅莉栖「まゆり……ごめんなさい……でも、許せない……」

まゆり「クリスちゃん……」

ダル「……オカリン」


岡部「な、なんだ?なぜそんな目で俺を見る!?
   俺はラボに置いてあったカップラーメンを食っただけだぞ!?」

まゆり「でも、泥棒は犯罪だよ?いけないことなんだよ?オカリン」

岡部「ま、まゆりまで俺を責めるのか!?
   大体泥棒って、ここは俺のラボだぞ!
   俺のラボでラボの食糧を食べて何が悪いというのだ!!」

18 : VIPに... - 2012/11/19 14:24:12.54 CgVR2Fo/o 18/371

紅莉栖「それは、そのラーメンは……!

     昨日私がデパ地下のカップラーメン展で買って来た、
     限定100名様の特別なカップラーメン(定価500円)だったのに……!
     それをあんたは……」

岡部「し、知るかぁそんなこと!
   そんな大事な物ならなぜ他のカップラーメンと一緒にしとくのだ!
   よってこれは助手が悪い」

紅莉栖「どう見ても他のカップラーメンとパッケージが違うでしょ!
     それならあんたが買ってくる物と違う物だってくらい気づきなさいよっ!

     それに、確か私……自分の名前書いといたはずなんだけど!?」

岡部「自分のなむぁえー?そんなものどこにも書いてなかったが!?」

紅莉栖「嘘!……ちょっと待って――ほら!ここに書いてあるわ!!」

19 : VIPに... - 2012/11/19 14:25:36.93 CgVR2Fo/o 19/371

岡部「何?どれどれ――“牧瀬”……!?

   って、これでは“牧瀬のラーメン”と読めるではないくぁー!!」

紅莉栖「だから何よ!?あってるじゃない!」

岡部「日清のラーメンやマルちゃんのラーメンもあるのだから、
   牧瀬のラーメンも――」

紅莉栖「あるわけないだろいい加減にしろっ!
     そんなこと言っていつもいつもいつも私の食べ物に手を出して、
     あんた一体なんなのよ!?」

岡部「鳳凰院凶真だ!」バッ

紅莉栖「ふざけるな!」

岡部「だ、大体“牧瀬”とは――」

紅莉栖「私だよっ!助手でもクリスティーナでもなく私だよ!!」

岡部「ぐぬぬ」

紅莉栖「いいから返してよ……私のカップラーメン……返しなさいよ……」

20 : VIPに... - 2012/11/19 14:28:03.75 CgVR2Fo/o 20/371

岡部「返せと言われても……そうだっ!
   なら交換条件といこうではないか?

   クリスティーナ、お前には今ラボにあるカップラーメンの全てを進呈しよう。
   それで手を打たないか?」

紅莉栖「……」

岡部「お前は今腹を空かせている。研究で疲れもあるな?
   そんな中で不毛な言い争いなど、無駄にエネルギーを使うだけ。
   ……それくらいは聡明な助手のことだ、わかっているんだろう?」

紅莉栖(全てお前の所為なんだが)

岡部「そこで、使ったエネルギー+今必要な栄養摂取をするならば、
   俺の提案に乗るべきだと思うのだが……どうかな?
   クリスティーナ君……ククク」

紅莉栖「……も、もういいわよそれで。
     ……あんたと話しているだけで頭が痛くなる……。

     それでガ・マ・ンしてあげるから早く寄越しなさいよ」

岡部「フッいい子だ……待っているがいい。
   今ラボの誇る最高のカップラーメンを振る舞ってやろう……」

21 : VIPに... - 2012/11/19 14:31:08.90 CgVR2Fo/o 21/371

紅莉栖「いいから早くして。
     それでなくてもまだあの開発だって残ってるのに、
     こんなバカに付きあってる時間が勿体ないわ……」

岡部「……」

紅莉栖「……」

ダル「……」ズルルッ


岡部「……ふむ」

紅莉栖「……何してんの?早く出してお湯入れて作りなさいよ」

岡部「……いや、クリスティーナよ……」

紅莉栖「もうこの際ツッコまないから早く」


岡部「ないのだ」

紅莉栖「は?」

22 : VIPに... - 2012/11/19 14:32:22.86 CgVR2Fo/o 22/371

岡部「どうやらラボのカップラーメン……略してラボメンは尽きたようだ」

紅莉栖「な……な……な……」


岡部「まあ待て、そこでこれだ」スッ

紅莉栖「え?……何ソレ」

ダル「……どう見てもメロンです」

まゆり「メロンだねぇ」


岡部「これは実家から持ってきたメロンでな?
   ……ラボのみんなで食そうと冷やしておいたのだ」

紅莉栖「……で?」

23 : VIPに... - 2012/11/19 14:33:45.72 CgVR2Fo/o 23/371

岡部「つまりだな、何が言いたいのかというと……諦メ――」

紅莉栖「――言わせないわよ!
     諦めんなよ!どうしてそこで諦めるんだそこで!!
     今すぐ外に買いに行きなさいよ!!」

岡部「いや、でも、外は暑いし」

紅莉栖「もっと熱くなれよ!?交換条件はどうしたのよっ!
     私のエネルギーを返しなさいよ!!」


岡部「……おっと、言い忘れました……私の所持金は80円です」

紅莉栖「岡部ぇええええええ!!」

岡部「うわぁああ!!」

まゆり「わー!クリスちゃんおさえておさえてー!」

24 : VIPに... - 2012/11/19 14:36:51.37 CgVR2Fo/o 24/371

ダル「まったく毎回毎回懲りずに騒々しいお。
   痴話喧嘩もここまでくるとウザくなるっつか、
   少しは仲良くするべきと思われ」シーシー

紅莉栖「誰が痴話喧嘩か!全て岡部が悪い!!」

岡部「何故だ、俺は悪くない!俺は悪くない!!悪いのは不注意な助手だ」


紅莉栖「よし、今からお前をジワジワとなぶり論破してやる。
     覚悟しろよこの虫野郎!」

岡部「ひっ」


ダル「あーあ、早く終わんねーかなー。
   どうせこの後仲直りしながらカップラーメンを食べさせっこするんしょ?
   それで牧瀬氏が『あんっ岡部のラーメン熱いナリィ』とかって――」ズズズッ

岡部「誰がするか!何をわけのわからんことを言っているのだ!
   ――ってダル、お前なんだそれは何を食ってる、そこの容器はなんだ!?」

ダル「は?何って空のカップラーメンですが、それが何か?」

25 : VIPに... - 2012/11/19 14:39:43.15 CgVR2Fo/o 25/371

岡部「何か?ではない!何故空の容器が二つ以上もあるのだ!!」

ダル「急に選りすぐりのデザートを食べたくなったので、Q.E.D.証明終了」

岡部「いや、その理屈はおかしい」

ダル「いやぁー食後のデザートは格別だお」

岡部「なんてことをしてくれたのだ!
   お前が食いまくったせいで、俺がヤバいことになっているんだぞ?
   どうしてくれるんだ、なんとかしろ!!」

ダル「デュフフサーセンwwwwってこれは元々僕が買ってきた物だお。
   オカリン自分で所持金少ないの暴露してんじゃん。
   僕が僕の為に買った物をどうしようと僕の勝手ですしおすし」

岡部「だ、だがラボの物は」

26 : VIPに... - 2012/11/19 14:42:15.41 CgVR2Fo/o 26/371

ダル「違うな、間違っているぞ岡部倫太郎!

   ラボはラボメンの物だお!だからラボの物はラボメンのでもあるんだお!
   それを教えてくれたのは、他でもないオカリン、君じゃあないか!
   忘れたとは言わせないぞ」

岡部「え、そんなこと言った覚えは」

ダル「そうすると、オカリンが食べた牧瀬氏のラーメンも、
   やっぱしラボメンである牧瀬氏の物なわけで、
   そこんとこ謝罪と賠償を請求されてもおかしくない件」

岡部「なにそれこわい」

紅莉栖「岡部ぇぇ……」

岡部「うぬぅ……っ!?

   ――は、そうか……ならばこうしようではないか」

ダル「その顔は、何か思いついたんだねオカリン」

岡部「助手には食糧を渡さなくてはならない。

   だが、ラボに置いてあった食糧はなかった。
   しかし、ダルの買った食糧はダルへ戻った。
   そして、ダルはラボのラボメンである。
   
   ここから導き出される答えは……っ!!」

ダル「ゴクリッ」

紅莉栖「……」

27 : VIPに... - 2012/11/19 14:44:38.44 CgVR2Fo/o 27/371

まゆり「なんだかまゆしぃもお腹が空いてきたよー☆」


岡部「ずばり――

        ――助手には、ダルをやろうッッッ!!」

ダル「え?」

紅莉栖「え?」


岡部「だから、我が右腕……ダルをやるッッッ!!」

紅莉栖「ッッッ!?……?」


岡部「食糧=ダルの腹の中=ダルという図式における、明確な答えだ」

ダル「オカリン、それって……」

岡部「ラボはラボメンの物なのだろう?

   では、ラボメンはラボの物とも言えるのではないか?
   つまり、そういうことだよ」

まゆり「え、どういうことなのー?」

岡部「ダルは犠牲となったのだ」

28 : VIPに... - 2012/11/19 14:47:42.20 CgVR2Fo/o 28/371

紅莉栖「……るか……」

岡部「これで解決だな。
   やれやれ、この程度のことに頭を悩ますとは、
   どうだ、クリスティーナ?

   後はダルを煮るなり焼くなり好きにするがいい……」

紅莉栖「……いるか……」


岡部「――俺だ。
   ククッ、これで今日も俺の完全勝利というわけだ。
   我ながら、自らの発想には驚きを隠せんよ……。
   敗北を知りたいくらいだ。ああ、だがこれも運命石の扉の選択。
   全ては初めから決まっていたことだったのだ。
                        ――エル・プサイ・コングルゥ」


紅莉栖「そんなもん、いるかぁああああああ!なめんなぁああああ!!」

岡部「なんだと!?」

ダル「……」

まゆり「まゆしぃおでん缶買ってこようかなー?
    みんな~何か欲しい物あるー?」

29 : VIPに... - 2012/11/19 14:48:37.77 CgVR2Fo/o 29/371

紅莉栖「私を、怒らせて、そんなに、楽しいか?えぇ!?」

岡部「だ、だがダルだぞ?スーパーハカーだぞ!?
   マイ・フェイバリット・アームだぞ!!」

紅莉栖「だから何!?
     ただのHENTAIキモオタエロゲーマーじゃない!
     誰がそんなの欲しがるってーのよ!
     ってゆーかそんなのあげるとかセクハラでしょ!?

     訴えてやる!!」

ダル「……僕が……牧瀬氏の……」

岡部「れれれ冷静になれクリスティーナ!怒っていては何も解決はしない!」

紅莉栖「あんたが私を怒らせてるんでしょーがー!」

30 : VIPに... - 2012/11/19 14:49:04.26 CgVR2Fo/o 30/371

ダル「オカリン!!」バンッ!!

岡部「!?」紅莉栖「!!」

ダル「オカリン……あのさぁ……」

紅莉栖「ほら、ついに橋田もあんたにはご立腹なようね」

岡部「な、なんだ?」


ダル「つまりさぁ……食糧=僕ってことなわけっしょ……?」

岡部「そ、そうだが」

ダル「つまり、僕は牧瀬氏に食べられちゃうわけでしょ?」

紅莉栖「は?」

31 : VIPに... - 2012/11/19 14:52:18.03 CgVR2Fo/o 31/371

ダル「つまり、牧瀬氏は僕を召し上がれってわけで、

   ブヒュッ優しくおながいします!!フヒッまずは僕のウインナーから――」

紅莉栖「ソテーにしてやろうかこのHENTAI!」ドゴォッ!!

ダル「オゥフッ!」

岡部「ダルーッ!」


紅莉栖「もう最っ低!
     あんた達なんなの、そんなに訴えられたいの?
     ならいいわ、お望み通り――」

岡部「いやいや待て待て待て!
   たかがカップラーメンの一つや二つで、
   何故ここまで騒ぐ必要があるのだ!?」

紅莉栖「全て岡部が騒ぎ立てたんだが……あんたが素直に弁償すれば」

岡部「いや、クリスティーナもクリスティーナだ!

   ここまで喚かずとも冷静に話し合えば、
   俺だって少しは反省というものを感じるかもしれないだろう?
   なのにお前が怒り散らすから、
   こっちもそれに釣られて言い合いになってしまうのだ。
   煽りあいでは何も解決はしない。
   ここはお前の知ってる@ちゃんねるではないだぞ?
   まずお互い冷静に話し合うべきだ」ベラベラ

32 : VIPに... - 2012/11/19 14:54:09.88 CgVR2Fo/o 32/371

紅莉栖「だって……それは岡部が……っ!」

岡部「助手が疲れているのも知っている。
   疲れによって虫の居所が悪くなるというのもわかる。
   だが俺たちはもう大人だ。
   大人らしく振る舞うべきではないのか?

   なぁクリスティーナ」

紅莉栖「そんなの……~~ッ!」

岡部「そうだ、それでいい。

   ――そのまま気を静め、俺のいう事を聞くのだ。
   ……まゆり!まゆり、包丁を持て!!」

紅莉栖「……」

岡部「あれ?おーい、まゆり?
   ……いつの間にいなくなった?

   まぁいい、ここは俺自らが動くとしよう」

ダル「……お、オカリン……何をする気だお……?」


岡部「何も考えるな……俺のいう事を聞け……」スッ

紅莉栖「な、何……?包丁なんか持って……ってなんでこっちに来るの?」

岡部「……ニヤッ」

33 : VIPに... - 2012/11/19 14:55:21.59 CgVR2Fo/o 33/371

紅莉栖「や……ちょっと……何、岡部……っ!?」

岡部「……何をするって?ククッ……こうするのさっ!!」ブンッ

紅莉栖「え、嫌……きゃっ……!!」

岡部「……」

ダル「……」

紅莉栖「……?」

岡部「……フンッ!ん?切りにくいな……フン!ンー!ンーッ!!」

紅莉栖「……」

ダル「……はっ!?

   ――そこには、元気にメロンを切ってるオカリンの姿が!」

岡部「こんなものか――さぁ種も取り除いたぞ、クリスティーナ。
   これを受け取れ」

紅莉栖「……」

34 : VIPに... - 2012/11/19 14:58:00.80 CgVR2Fo/o 34/371

岡部「……受け取って、“怒りを静メロン”」キリッ

紅莉栖「  #」ブチィッ!!

ダル「で、出たー!同じネタで、惜し気もなく二度も強引に使うオカリンっ!」

岡部「その、あれだ?
   俺も少しは反省してやらんでもないこともないという事だ。

   だからこれを食べて、お前の内に眠る怒りをその甘さで乗り越えろという、
   俺からのメッセージ、受け取るがいい」

紅莉栖「」スッ

岡部「それにだ、確かに俺はお前の物を取ったのかもしれないが、
   お前は俺の助手だろう?

   助手ならば俺に奉仕するのは当たり前。
   ……いや、俺の研究を捗らせるために、物資の一つや二つ、
   援助したと思えば気にする程のことでもあるまい?
   ラボの頭脳と言うべき俺が食事を取らず栄養失調になったらどうする?
   それだけで世界の未来は危うくなるのだ」

紅莉栖「……へぇ……」

35 : VIPに... - 2012/11/19 15:00:31.26 CgVR2Fo/o 35/371

岡部「うむ、その調子だクリスティーナ。
   なんだ、冷静になれば話しがわかるではないか!
   お前は俺の頭脳を守るため食糧を援助した、これで解決でいいな?

   ――ああ、あの天才と呼ばれた助手でさえも、我が灰色の脳細胞が誇る、
   IQ170の怜悧なる頭脳の前ではチョロ……容易いもの。
   俺の発想がアインシュタインを越えるのもそう遠くはない、
   自分の才能というものが恐ろしくもあるさ。

   ……だがこれも運命石の扉の選択、抗うことは出来ないのだ。
                             ――エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「……モシャモシャ」

岡部「……よしよし、それでいい。
   特別に助手は二切れ食べていいぞ!

   ……ふぅ、最初から俺の言う通りメロンで我慢していれば、
   ここまで騒がずともすんだものを……あ、おいダル!
   お前は一切れだ、他のラボメンの分もあるのを忘れるな」

紅莉栖「……頭脳……IQ……」モシャモシャ


まゆり「トゥットゥルーただいま~♪あ、みんな何食べてるのー?

    ――わーメロン切ったんだねぇ、まゆしぃの分もあるかなー?
    オカリーン」

36 : VIPに... - 2012/11/19 15:01:55.20 CgVR2Fo/o 36/371

岡部「もちろんまゆりの分もあるぞ。ほら、新鮮なメロンだ」

まゆり「ありがとーオカリン♪
    ――……ん~甘くておいしいねぇ☆」

岡部「フッハッハ!何せメロンだからな、高級食材だからな!
   もはやなんの文句もあるまい。
   これで助手もメロンちゃんだフゥーハハ」

紅莉栖「岡部の為……フッ……フフ……そうね、それがいいわ……」

岡部「そうだろうそうだろう!甘いのは良いだろう!
   もっと感謝しても良いぞフゥーハハハ!」

紅莉栖「あれとこれがあれば……フフフッ……アハハハハ!」

岡部「フゥーハハハ!」


     ‐‐--―――――--‐‐
  ‐‐--―――――――――--‐‐
‐‐--―――――――――――――--‐‐

37 : VIPに... - 2012/11/19 15:03:25.59 CgVR2Fo/o 37/371



まゆり「――……どうかなー?」

紅莉栖「んーどれどれ……わ、すごいじゃないまゆり!」

ダル「ほほう……ウホ、まゆ氏のスペックは異常」

まゆり「ホントー?
    えっへへーそんなに褒められたら、まゆしぃ恥ずかしいよ~」

紅莉栖「恥ずかしいなんてことないわ。
     どこかの誰かさんの方がよほど恥ずかしいもの!」

ダル「次は僕の番だお!……僕のハイスペックを見て、惚れるなよ?」

紅莉栖「はいはい、キモいキモい」

ダル「カチャカチャカチャ、ターンッ!」

紅莉栖「何その無駄な動き……――え、何この数値ふざけてるの?」

38 : VIPに... - 2012/11/19 15:05:46.74 CgVR2Fo/o 38/371

ダル「どれどれ?うは、何この数値高須クリニックwww

   ……ふぅ、ま、僕が本気出せばこれぐらい余裕っつーか?
   デュフッいつもは世を忍ぶ仮の姿っつーか?
   世界が俺についてこいっつーコポォwwww」

まゆり「ダル君が天狗さんだよー」

紅莉栖「キモさは置いといて……橋田至……一体何者なんだ……?」

ダル「うへwww女子が僕を見てるwww見られてるwwwらめぇwww」

紅莉栖「ちょ、ちょっともっかいやってみて!
     ……おかしいなぁ、壊れてるなんてことないわよね?」


岡部「」ピクッ


ダル「何度でもござーいwwwうはwww俺のこの手が光って唸るwww」

紅莉栖「もうちょっと静かにやれないの?

    ――……でも認めたくないけど、これが橋田の実力のようね。
    さっきとまったく同じ数値」

岡部「」

39 : VIPに... - 2012/11/19 15:07:42.67 CgVR2Fo/o 39/371

まゆり「まゆしぃにもまたやらせてー♪」

紅莉栖「うん、何度でも試してみて。
     多分、出てくるIQは変わらないはずだから」

岡部「」


紅莉栖「――アハハ、やっぱりまゆりってすごいのねぇー!
     え、何、私?……しょうがないなー?一回だけよ」

岡部「……」


紅莉栖「――どうかしら?え、どうしたの二人とも?
     や、やだ、そんなに褒めないでよ……恥ずかしいわw」

岡部「……」


紅莉栖「え、もう一度やらないと実験にならない?
     わかったわ、じゃあもう一回」

岡部「……」


紅莉栖「――どう、変わった?うんうん、変わらないようね。
     とりあえずこの実験は成功ってことでいいのかしら」

岡部「」

40 : VIPに... - 2012/11/19 15:09:46.94 CgVR2Fo/o 40/371

紅莉栖「いやぁ、マシンが壊れてなくて良かったわ!
     これで次の実験も出来そう♪」

岡部「……ま」

紅莉栖「本当、良かったわー。壊れてなくて良かったわー。
     じゃあこの実験結果を紙に書いて……あーしまった!手が滑ったわー」

岡部「」バシッ ヒラヒラ

ダル「……」

紅莉栖「いや、滑ったわー。紙が落ちたわー。
     岡部の方に勢いよく滑り落ちたわー」

まゆり「……お、オカリ」


紅莉栖「あら、拾ってくれたのね……ありがとう、岡部(笑顔)」

岡部「」

紅莉栖「ねぇ、ところでこれ見てくれる?
     実験結果をよく見て?壊れてないでしょ?ねぇねぇ」

ダル「……オカリンの霊圧が……消えた!?」

41 : VIPに... - 2012/11/19 15:11:04.11 CgVR2Fo/o 41/371

紅莉栖「ほら、ほら、壊れてないでしょ?岡部の数値も、合ってるでしょう?」

岡部「」

紅莉栖「へんじがない、ただのしかばねのようだ」

まゆり「……クリスちゃん、もうそのくらいで」

紅莉栖「そうだ、他のラボメンも呼びましょう!
     もっと色んな人で実験してみないと!」

岡部「……ッ!?」

紅莉栖「フフフフ実験結果を多くの人に見てもらわないとねウフフフゥーハハハ」

ダル「牧瀬氏、それ以上いけない」

まゆり「クリスちゃんが壊れちゃったよ……」


岡部「   ぁ    ぅ   」

42 : VIPに... - 2012/11/19 15:12:11.97 CgVR2Fo/o 42/371

紅莉栖「ねぇ今どんな気持ち?ねぇねぇ今どんな気持ち?」


岡部「……ぅ、う、うっ!うるさぁぁぁっい!!
   こんな物は無効だ!!」ビリビリッ

紅莉栖「あっ!ちょ、おま、何すんのよ!?やめて!!」


岡部「フ、フフ、フゥハハ……おい、助手!」バンッ!!

紅莉栖「ひっ、な、何よ……?」

岡部「……お前は……“機関”の人間だな!?」

紅莉栖「……はぁ?」

岡部「やっとわかったぞ……クリスティーナ……いや、牧瀬紅莉栖!」

紅莉栖「ちょ、ちょっと岡部――」

43 : VIPに... - 2012/11/19 15:18:07.86 CgVR2Fo/o 43/371

岡部「どぉーして気が付かなかったのだ。
   まさか、こんなにも身近に“機関”の人間が紛れ込んでいるとは……!
   迂闊だった!」

紅莉栖「……おーい」

岡部「――俺だ!やはり牧瀬紅莉栖……奴は“機関”と通じていた……っ!
   俺が仲間だと思っていた奴の真の顔は、
   我が未来ガジェット研究所……いや、
   この鳳凰院凶真を貶めるため機関から送り込まれたスパイだったのだ!
   
   ……くそっ……奴は優秀な助手だと信じていたのに……っ!
   ……そうだな、こうなることは初めからわかっていたのかもしれない。
   俺はいつだって――Beginning of fight――
   孤独な生活を強いられてきたからな。
   ……なぁに、今度も一人に――Beginning of fight――なるだけさ。
   何故なら俺は狂気の――Beginning of fight――マッドサイエンティスト、
   鳳凰院――Beginning of fight――凶真なのだから!
   そう、それこそが運命石の扉の選択。
                    ――エル・プサイ・コングルゥ!!!11
               ――Beginning of fight――Beginning of fight――」

紅莉栖「……」

岡部「……んんんっ見損なったぞクリスティーナ!
   この俺を貶めて、一体何が目的だ!?

   は、そうかまさか……!
   この俺の権威を失墜させ……このラボを乗っ取ろうと?
   やらせはせん、やらせはせんぞ!
   この鳳凰院凶真が居る限りラボには一歩も――」

紅莉栖「いや、ここはもうラボの中だろ……。それに何よ、機関って……」

44 : VIPに... - 2012/11/19 15:20:08.93 CgVR2Fo/o 44/371

岡部「ええい、そのみょうちくりんなガジェットを使い何を企む!
   大方そのガジェットには細工がしてあって……っは!?
   そうか、それはもしや爆弾?

   いかん、まゆり!ダル!今すぐここからはなれるんだぁー!!」

ダル「ここは俺に任せて先に行けですね、わかります。だが断る」

まゆり「オカリンも壊れちゃったよ……帰ってきてーオカリーン」


岡部「ぬぅわああああ!
   ……つ、ついにこの右腕に宿る力を使わなければならないのか!?
   だがこれしか道はない……持ってくれ、俺の心臓!」

紅莉栖「爆弾って……。
     それよりもみょうちくりんって何よ、みょうちくりんって!
     それに乗っ取るとか企んでるとかないし!陰謀論乙」

岡部「ならばどういうつもりだ!」

45 : VIPに... - 2012/11/19 15:23:23.74 CgVR2Fo/o 45/371

紅莉栖「……べぇつにぃ?

     ただIQ170(自称)の鳳凰院凶真さんの頭脳が、
     本当かどうか知りたかったとか?
     いつかのオ・レ・イを返さなくちゃとか?
     少しは痛い目みてもらわないととか、考えてたわけじゃないですけど?」

岡部「企んでるではないかぁぁぁ!
   なんだ、いつかのオレイって!俺が何かしたか!?」

紅莉栖「したでしょー!?
     私のカップラーメンを無断で食べて、
     くだらないダジャレで終わらせようとした恨み……!

     忘れてなんてないんだからね!?」

岡部「な、たったそれだけの為に、
   わざわざこんなガジェットまで作っただと!?

   お前、頭おかしいんじゃないのか!」

紅莉栖「な、なんですって!?
     たったそれだけって何よ……たったそれだけって……!
     私がどんなにあのラーメンが食べたかったか……。
     あんたにわかるってーの!?

     ……それに、どっかの誰かさんよりかは頭いいですけど?
     なんならもう一度実験してみる?」

46 : VIPに... - 2012/11/19 15:28:04.66 CgVR2Fo/o 46/371

岡部「ぬ、ぬ、ぬ!
   しかし、そのガジェットに信頼性があるかなどまだわかるまい!

   何故なら、そのIQTマスィーンとやらの根本、すなわち、
   IQを計算するプログラムが間違っている可能性があるのだからなぁ!
   よって、それで出た数値などなんの当てにもならんということだ!!」

紅莉栖「……まぁ、そうね……」

岡部「ほらぁーそうだろう!
   フハ、おかしいと思ったんだ。
   ……この鳳凰院凶真があのような数値、壊れているとしか思えん。

   ……それとも、もしかしたら?いやそうだ、そうに違いない!
   例え天才の助手が作り出した未来ガジェットであろうと、
   この全ての創造主たる鳳凰院凶真の頭脳を解析しつくすことなど、
   出来はしなかったのだ!人の手で作り出した物では、
   この神をも超える頭脳に触れることすら出来ないのだ。
   ……フゥーハハハ!」

紅莉栖「……うーん、じゃあさ、こうしましょ。
     私最初に言ったわよね?
     『色々なIQテストをしてみて、
     このガジェットで数値化されるIQと比較しながら調べてみましょ』って。

     だから、別のIQテストやってみましょうよ、簡単なのでいいから」

岡部「なん……だと……?」

47 : VIPに... - 2012/11/19 15:29:55.53 CgVR2Fo/o 47/371

紅莉栖「橋田、そういうのってネットですぐ見つかるわよね?」

ダル「……お?おぉ、そりゃすぐに見つかるけど」

紅莉栖「じゃ、よろしく。
     ……あぁーそうだ!ねぇ、岡部ってIQ170(自称)なのよね?」

岡部「えーいその(自称)と付けるのをやめんか!
   ……いかにも、我が灰色の脳細胞が誇る――」

ダル「……このごにおよんでまだ強がるオカリン、マジリスペクトっす」

まゆり「も、もうやめようよ~!
    ……オカリンもクリスちゃんも大人気ないのです……」

紅莉栖「うっ!……でもまゆり?
     このIQ170(自称)が、
     どうやってIQ170(自称)ってわかったのか気にならない?

     私はただ知りたいだけなのよ、
     どうやって岡部がIQ170(自称)って調べたのか」

岡部「そ、それは……!」

48 : VIPに... - 2012/11/19 15:31:35.82 CgVR2Fo/o 48/371

ダル「わたし、気になります!」

岡部「黙ってろ!」

紅莉栖「ねぇ、どうやってIQ170(自称)を割り出したの?
     どんなIQテストをしたの?
     それがわかれば、このIQTマシーンも完成に近づくかもしれないわ。

     だからね、教えて岡部?」

岡部「そ、それはだな……?
   失われたエンシェント・ホライゾンから虚数空間を導いて」

紅莉栖「日本語でおk」

ダル「オカリンもうやめとけって……牧瀬氏もまゆ氏の言う通り大人気ないお」

紅莉栖「……ふん、これくらい、いいでしょ?
     そこのIQ170(自称)が本当に(自称)か証明するくらい、
     追及したってバチは当たらないわ。

     嘘なら嘘って言えばいいだけのことじゃない」

ダル「それはそうなんですけども」

49 : VIPに... - 2012/11/19 15:32:32.21 CgVR2Fo/o 49/371

紅莉栖(でもま、
     それを言えないってのをわかってて追求してるんですけどね)ギロッ

ダル(こいつ……直接脳内に……!?)


岡部「う、う、うぅ……嘘ではないッ!この俺はアインシュタインも越える――」

紅莉栖「だーかーらー?
     どうしてそれがわかるのか、教えてくださいよー鳳凰院さーん」


岡部「う、うぅぅ……ううううう!」

紅莉栖「唸ってるだけじゃわかりませんよー?」

岡部「お、おま、おま……ぐぐぐぐぐ!」

50 : VIPに... - 2012/11/19 15:35:48.93 CgVR2Fo/o 50/371

紅莉栖「ほらーどうしたんですかー?
                 教えられないんですかー?
     IQ170もあるなら、
                 すぐ私の質問に答えられますよねー?
     論理的に。
              それとも出来ないんですかー?
     貴方の頭は飾りですかー?
                       ほらほら言いなさいよ、
     言えるものなら言ってみなさいよ」

岡部「」

紅莉栖「それと、IQTマシンの性能が気になるなら、
     設計図をあんたに渡すわ。
     それで、間違ってると思う部分を指摘してくれてもいいわよ?

     出来るもんなら、ね」


岡部「こ、この……!


   ――ば、バーカバーカクリスティーナのおたんこなーす!
   誰が教えてやるものか、この貧乳残念HENTAIねらーのゾンビ!
   お前なんぞ機関に狙われて葬られればいいのだー!
   このぼっちめーーーー!!」

ダル「オカリン……(可哀想な物を見る目)」

51 : VIPに... - 2012/11/19 15:37:22.17 CgVR2Fo/o 51/371

紅莉栖「だ、だだだ誰が貧乳だ!貧乳ちゃうわ!訂正しろ!!
     大体何そのふざけた罵倒、今時小学生でもやらないわよ!?

     ――ちょ、どこ行くんだ、おい岡部!待ちなさいよぉー!!」


<オレハホウオウインキョウマダー!!キカンノインボウニハケッシテ
<ウルセーゾオカベ!!コレイジョウサワイダラヤチンアップダ!!


紅莉栖「――……行っちゃったわ」

ダル「オカリンのライフはもうゼロだお……」

紅莉栖「……ふ、ふんっいい気味よ!
     これで岡部も少しは思い知ったでしょ……私のカップラーメンの恨みを」

ダル「……流石牧瀬氏……そのねちっこさ、
   ねらーの称号は伊達じゃないお……」

紅莉栖「なんかいった!?」

ダル「だが、そこがいい!次は僕におながいします!!」

52 : VIPに... - 2012/11/19 15:38:27.75 CgVR2Fo/o 52/371

まゆり「……」

紅莉栖「まったく……。あれ、まゆり?どうしたの、俯いて……」


まゆり「……クーリースーちゃーんー!」

紅莉栖「ひっ!」

ダル「ま、まゆ氏の戦闘力が……っ!
   一万、十万……まだ上がるお……!?」

紅莉栖「ま、まゆ、まゆり?なんで」

まゆり「やーりーすーぎー!なーのーでーすー!!」

紅莉栖「あ、え、ごめ、ごめんなさ――にやぁぁぁ~~っ!!」


―――――――――――――――
――――――――――
――――――

53 : VIPに... - 2012/11/19 15:41:26.90 CgVR2Fo/o 53/371


数日後。


岡部「『罰を司る女神』作戦発動だ!!」

ダル「……」

ルカ子「え?」

岡部「オペレーション・ネメシスだ!!」

ダル「……何ソレ牧瀬氏のこと?オカリーン……まだいってんのかお」

ルカ子「なんだか……お、穏やかじゃありませんね……」


岡部「最後の審判は下ったのだ!
   ジャッジメント・デイだ!
   クリスティーナには神の鉄槌をくれてやらにゃならんのどぁ!」

54 : VIPに... - 2012/11/19 15:43:58.79 CgVR2Fo/o 54/371

ダル「っつーか、あの件はまゆ氏が牧瀬氏を叱って終わったっしょ?
   また蒸し返すん?」

岡部「うるさーい!このままでは俺の気が治まらんのだー!!」

ルカ子「その……牧瀬さんもきっと、
     悪気があってやったわけじゃないと思うんです。
     だから岡部さんも牧瀬さんには」

岡部「ルーカー子ーよぉー!お前までそんなことを言うのか?
   師匠の気持ちすらわからんのか、このバカ弟子がぁ!

   それと、俺は鳳凰院凶真だ」

ルカ子「ば、バカ弟子!?ボクが……バカ弟子……」

ダル「ちょ、るか氏に当たんのはよせってマジで!愚の骨頂だお!!」


岡部「あ、いや、すまん……今のはノリというか、その……」

ルカ子「いいんですいいんです……ボクはバカですから。
     ……岡部さんに口答えなんてボクは弟子失格ですから。
     ……ぅ……っすみません……」

55 : VIPに... - 2012/11/19 15:46:25.14 CgVR2Fo/o 55/371

岡部「ち、違うのだルカ子よ!
   今のはテンプレというかなんというかその、
   決してバカにしたわけではないのだ!

   だから泣くなっ、泣かないでくれ!後、俺は鳳凰院凶真だ」

ダル「あの後柳林神社に行って、るか氏に慰めて貰ったんしょ?
   それを仇で返すとか……なんという鬼畜。
   エロゲだったらバッドエンド直行だお。

   それとも鬼畜ルートですか?そういうプレイですか?
   うは、興奮してきたお」

岡部「鬼畜ってゆーな!それに……違うぞ!

   俺は別に慰めてとか、
   そんなつもりでルカ子に会いに行ったわけではなくてだな!
   ただ、右腕の悪霊を静めてもらいに」

ルカ子「いいんです、ボクはバカ弟子ですから。
    ……岡部さんの役に立てないバカ弟子ですから。
    ……バカ弟子ですみませんんん!」

岡部「あー!違うのだルカ子よ!
   だからバカ弟子というのは言葉のあやでだなー!?

   ――……ええーい、これでは話しが進まんではないかー!!」

56 : VIPに... - 2012/11/19 15:49:19.29 CgVR2Fo/o 56/371

ダル「だからさー、もう諦めろって。
   オカリンが牧瀬氏に勝てるわけないっしょ?

   そもそも、元凶はオカリンなわけだし、
   これ以上揉めたらまゆ氏がどうなるかわかんないお?」

岡部「まゆりは関係ないだろう、まゆりは!
   いいか?これは俺と助手の存在を賭けた戦いなんだよ!
   これに負けたら俺は……!

   助手に頭が上がらなくなってしまうではないかー!?」

ダル「何言ってんだおオカリン。
   頭が上がってたことなんていつあったんだお!
   何もしなくともいつもと変わんねーでFA」

岡部「言わせておけば~~っ……だがしかし、だからこそ今しかないのだ!
   今こそ助手の鼻を明かしてやる時だ」

ダル「やめとけってマジで。
   ……それにオカリンはまゆ氏関係ねーとか言ってるけど、
   あの後のまゆ氏ときたら……おー怖っ!

   思い出しただけで寒気が……すると思ったけど逆にあったまってきた!
   うは、まゆ氏に怒られるとかご褒美すぐる!!オカリン、僕と変われ!!」

57 : VIPに... - 2012/11/19 15:52:39.67 CgVR2Fo/o 57/371

岡部「何バカなこと言ってるんだこのHENTAI!

   ……ならなおさらクリスティーナをギャフンと言わせる作戦を考えるのだ。
   そうしたら貴様の望みを叶えてやるぞ?ダァルよぉ」

ダル「世界の半分を僕にくれるんですねわかります。
   でもフラグ立ってる悪役のポジションはNGなんで、
   お断りしますでござるの巻」

岡部「何、何故そうなるのだ!?
   クソッ使えない奴め……この作戦が終わったら貴様も処罰してやるぞ!
   ……ククク、俺に逆らった者にはどうなるか……どうなるかなぁ!?」

ダル「ってかさ、素直に謝って仲直りしたらいいんと違うん?
   どうせ引っ込みつかなくなったから、やけくそになってんじゃねーの?」

岡部「そ、そんなわけあるかそんなわけあるかー!
   大事な事なので二回言いました!!

   俺は別に仲直りしたいとかそういうわけではない!
   奴には立場の違いというものをわかってもらわねば困る」

58 : VIPに... - 2012/11/19 15:56:20.76 CgVR2Fo/o 58/371

ダル「ま、あそこまでプライドごとズタボロにされたら、
   男としても立つ瀬ねーってのはわかるけどさ。
   牧瀬氏容赦ねーもんなー」

岡部「そうだそうだそうなのだ……あいつときたら何もわかっていやしない!
   あんなだから友達の一人もいないボッチーナなのだ。
   それをわからせるためにも、俺は作戦を遂行せねばならない。
   それこそ運命石の扉の選択!エル・プサイ・コングルゥ……」

ダル「……どっちもどっちだと思うお。
   それにさ、牧瀬氏だって少しは反省してるかもよ?
   まゆ氏にも言われてたし、自分でもわかってっしょ、多分」

岡部「いーや、俺にはわかる。あいつはそんな玉じゃない。

   なんだかんだいって最後は『私は間違ってない!』という論を建て、
   その内俺を論破しにくるに決まっている……!
   そうなる前に、こっちも手を打っとかなければ俺は……!

   このラボに顔を出せなくなるぞ!」

ダル「ないとは言い切れないのが牧瀬氏の怖い所っすなー。
   でもやっぱり無理だおー。
   どう考えても、最後はオカリンが這いつくばるビジョンしか浮かばないお。
   約束された敗北の土下座だお」

59 : VIPに... - 2012/11/19 15:59:07.41 CgVR2Fo/o 59/371

岡部「そんなこと……そんなことがあってたまるか……!
   俺は、俺たちは、変わる、変わるんだ!!変わらなければ未来は……」

ダル「ダメダメ諦めろって。
   やっぱここは素直に謝るべきだと思うお。
   ……そんで牧瀬氏に変わりのプレゼントなんか用意してさ、

   『俺が悪かった、お前の怒る姿が可愛くて、ついからかってしまったんだ。
   どうか、これで許して欲しい。だから俺の元に戻ってきてくれ!
   お前がいなくなってようやく気づいたんだ、俺にはお前しかいない!
   もう俺から離れるな』みたいな言葉をかけたら、

   牧瀬氏が『ステキ、抱いて!』みたいな展開になって、
   その後二人はホテルに……ハァハァ!
   牧瀬氏ルートってどんな感じなんだろ……」

岡部「アホかっ!
   なんで俺がそんなスイーツ()なことを助手とせねばならんのだ!

   それとこれだけは言っておく。
   俺の辞書に、諦めるという単語はない!!」

ダル「自分で諦メロンって言ってたじゃん」

岡部「そんなこと言った覚えはない!
   言おうとしたら助手に阻まれたではないかー!!」

ダル「言おうとしてんだろ……」

60 : VIPに... - 2012/11/19 16:00:59.45 CgVR2Fo/o 60/371

岡部「とーもーかーくーだっ!
   俺はなんとしてもクリスティーナに一矢報いる必要があるのだ!
   わかったらなんでもいいので案を出せ。

   無理を通して道理を引っ込ませろ!」

ダル「無茶振り乙!
   もう後はオカリンの好きにして自爆したらいいと思われ。
   痴話喧嘩はこりごりだお、爆発しろ」

岡部「ダールー……くっ、一番頼みの綱としていたダルがこの有様とは……。

   かくなる上はっ!何かないかルーカー子ーよぉー!!」


ルカ子「え!?ボクですか……ええと……その……あの……」

岡部「なんでもいいのだ。
   今こそ秋葉原を守護する巫女として、神託を我に与えたまへ」

ルカ子「し、神託!?そんな、ボクには無理ですよぉ」

岡部「大丈夫だ、問題ない。
   お前なら出来る、俺にはお前しかいないんだ!
   だから頼む、この俺にその大いなる神々の知識を与えたまへぇぇぇ!!」

61 : VIPに... - 2012/11/19 16:02:09.17 CgVR2Fo/o 61/371

ルカ子「ええ!?
    ボクしか……岡部さんにはボクしかいない?
    ボクしか岡部さんのことを……?」

岡部「……ん?ルカ子、どうした?
   何をモジモジしている。俺は鳳凰院凶真だ」

ルカ子「ボクが、ボクが岡部さんの為に……?
    ボクだけが岡部さんの……ふふ……ふふふ」

岡部「おーい、ルカ子ー?」


ルカ子「ボクが岡部さんの……ボクの岡部さんの……――ッ!?」

岡部「む、どうしたルカ子!何か思いついたのか!?」

ルカ子「は、はい……ボク、思いつきました……!」

岡部「おおお、それは本当かルカ子!?
   流石は俺の弟子、やはり俺の目に狂いはなかったということか!!」

62 : VIPに... - 2012/11/19 16:02:59.06 CgVR2Fo/o 62/371

ルカ子「え、あの、そんなことは……嬉しいですけど……っ」

岡部「それで?一体何を思いついたというのだ!?」

ルカ子「あ、えと……アレですよ、岡部さん」

岡部「アレ、とは?」

63 : VIPに... - 2012/11/19 16:03:45.48 CgVR2Fo/o 63/371



ルカ子「宝くじ」

岡部「何?」



64 : VIPに... - 2012/11/19 16:04:38.19 CgVR2Fo/o 64/371

ルカ子「あの時もボクを頼ってくれたじゃないですか。

    ……ロト6……岡部さん、言ってましたよね?

    過去にメールを送って、そのメールでボクが買ったって……」


岡部「……ルカ子、お前それは」

65 : VIPに... - 2012/11/19 16:05:20.19 CgVR2Fo/o 65/371



ルカ子「……Dメールを、使えばいいんじゃないでしょうか?」

岡部「D……メール……ッッッ!!」


66 : VIPに... - 2012/11/19 16:06:42.52 CgVR2Fo/o 66/371

ルカ子「は、はいぃ……その過去にメールを送れるなら」

岡部「ルカ子ッッッ!!」


ルカ子「……まま牧瀬さんとケンカしないようにぃって、
    あのそのすみませぇ……」

岡部「お前は……お前と言う奴は……!」


ルカ子「ボクはやっぱりバカ弟子でした。
    岡部さんの役に立とうなんて差し出がましい真似して本当に」


岡部「……よくやった!それだ、それだよ!!
   流石は我が弟子、よく言った」

ルカ子「はいすみませんボクが弟子だからよくやれて……え?」

67 : VIPに... - 2012/11/19 16:09:11.24 CgVR2Fo/o 67/371

岡部「助手のせいですっかり忘れていたが、
   そもそもDメール実験が停滞していなければ、
   俺が暇になることもなく今頃忙しい研究の日々を送っていたはずだったのだ。

   それをカップラーメンだIQだとごちゃごちゃ横入りしたせいで、
   このような事態になっているのではないか!?」

ダル「いやオカリンが騒いだのが原因じゃね常識的に考えて」


岡部「フゥーハハハ、これで全ては繋がった!
   この騒動は、俺にDメールを使えという運命石の扉の選択だったのだ!

   そう、Dメールを使いクリスティーナに罰を下せ、
   という目的を与えるためのなぁ!!」

ルカ子「えぇ!?ボクはそんなつもりで言ったんじゃ」

岡部「ルカ子よ、俺を誰だと思っている?
   この俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!
   Dメールの実験で過去を改変し、
   世界を混沌へ導くのが俺の役目なのだ。

   ……がその結果、
   俺の目に映るのはクリスティーナの悔しがる姿だとしても一向に構わんのだよ。
   ……ククク、フゥーハハハ!!」

68 : VIPに... - 2012/11/19 16:11:31.22 CgVR2Fo/o 68/371

ダル「……牧瀬氏の悔しがる姿?……生贄……牧瀬氏の……悔しがる……」

岡部「ククク、見てろよ助手めぇ!
   ……この実験で何もかもなかったことにしてやる……ククク」

ルカ子「そ、そんな……岡部さん……考え直して下さい!」

岡部「止めるなルカ子!
   ……例えこの実験で助手が犠牲になろうとも、
   俺この実験をしなければならない。

   でなければ“機関”の支配に打ち勝つことは出来ないのだ。
   理解してくれ、俺だって本当は辛いんだ……!
   だがそれでもやらなければ、        シュタインズゲート
   何故ならそれが鳳凰院凶真に与えられた運命石の扉の選択なのだから!」


ルカ子「岡部さん……」

岡部「鳳凰院凶真だ」

69 : VIPに... - 2012/11/19 16:13:24.29 CgVR2Fo/o 69/371

ダル「どう考えても牧瀬氏に復讐するって目的の私怨……だがそれがいい!
   牧瀬氏が悔しがりながらも屈服する展開を見るために全力で支援!!」

岡部「よろしい、ならば実験だ!

   幸いこの時間で、クリスティーナがラボにきていない今こそ好機……!
   すぐにDメール実験の開始だ」

ダル「オーキードーキー!イヤッホゥ、テンション上がってキタお」

ルカ子「岡部さぁん……お、落ち着いて下さいぃ……」

岡部「凶真だ!」


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

70 : VIPに... - 2012/11/19 16:14:54.02 CgVR2Fo/o 70/371


一時間後。


岡部「」

ダル「ブヒ、ブヒィィィ!今年のアニメはブヒ良い!カワブヒィ!」

ルカ子「あ、そろそろお腹空きませんか?
    よろしければボク、お昼ご飯作りますよ」

ダル「マジで!?やったーるか氏の手料理とかそれなんてご褒美?
   僕ブヒってもいいスか!?」

ルカ子「ぶ、ぶひ?

    ……あの、岡部さん、岡部さんもお昼ご飯いかがですか?」


岡部「……なんでだ」

ルカ子「……」

71 : VIPに... - 2012/11/19 16:16:30.71 CgVR2Fo/o 71/371

ダル「……」

岡部「なんで、なんで……」

ダル「……オカリン、僕たちはよくやったよ。もうゴールしてもいいと思うお」

ルカ子「さ、サラダとかも作りますよ!
    ほら、野菜を食べれば元気な子になるって言うじゃないですか」


岡部「……なんでリーディング・シュタイナーが発動しないのだぁあああ!!」

ダル「……だからさー、やっぱ無理ゲーなんだおー。
   牧瀬氏は攻略不可能、これ結論」

岡部「認めん、俺は認めんぞ!

   こんなことあってたまるか……俺は狂気のマッドサイエンティストだぞ?
   鳳凰院凶真だぞ!?なのにこんな」

ルカ子「……でも、これだけ送ってもダメなら……?
    やっぱり過去を変えるなんてこと出来ないんじゃないでしょうか……」

岡部「ふざけるな……ふざけるなッ!馬鹿野郎ッ!」

72 : VIPに... - 2012/11/19 16:18:09.34 CgVR2Fo/o 72/371

ルカ子「バカ野郎!?
    ……すみません……ボクはやっぱりバカ野郎なんですね。
    ……バカ弟子なんですねぇ……!」

岡部「もう一度だ、もう一度Dメールを送る!変わるまで、何度でもだ!!」

ダル「大体、過去が変わってもオカリンしかわからんのでしょ?
   それって、僕が牧瀬氏のクリムゾンを見られないってことじゃん。
   意味ないじゃん。やる気失せたお」

岡部「ダル!貴様、裏切るのか!?
   おのれ助手めぇ……ラボメンの絆まで崩壊させるとは……。

   断じて許せん!!ルカ子は、ルカ子は何かないのか!?」

ルカ子「ごめんなさい、ボクはバカですみません……弟子失格ですぅ……」

岡部「ええい、ルカ子までやられたか!クソッ一体どうすればいいんだ……」

73 : VIPに... - 2012/11/19 16:21:07.37 CgVR2Fo/o 73/371

ダル「素直に謝って仲直りでFA」

岡部「いやだー!何故俺が謝らなければならんのだ!!

   それにそんなことすれば、
   クリスティーナはますますつけあがって俺を論破してくるかもしれん。
   ……そ、そんなこと考えただけで……やはり過去を変えるしか道はない!
   作戦の変更は認めんぞー」

ダル「なら後は好きにしておk。僕はここで詰んだアニメ消化してるお」


岡部「うぅー……――俺だ、ああそうだ。
   『罰を司る女神』作戦は難航を極めている。

   ……何、それでも科学者かだと?
   ククク……誰に物を言っている?
   俺はただの科学者ではなく……狂気のメァッドサイエンティスト、
   鳳凰院凶真だ!

   俺に不可能という言葉はない。
   必ずこの作戦を成功し、全てを手に入れてみせる……!
   それこそが運命石の扉の選択だ。
          まぁ、そこで見ていてくれ……エル・プサイ・コングルゥ」

ダル「うひょーたまんねー!今日の嫁は君に決めた!!
   僕とちゅっちゅしてくれー」

ルカ子「ボクって岡部さんのなんなんでしょうね?
    弟子じゃなくなったボクってなんなんでしょうね……?」ブツブツ


岡部「……」

74 : VIPに... - 2012/11/19 16:23:14.92 CgVR2Fo/o 74/371

岡部(く、他人事だと思って……この作戦がいかに重要か理解出来ないのか……?)


岡部(このままでは俺が助手に対して頭が上がらなくなり、
   助手の言いなりに……!
   そしていずれはラボを乗っ取られることになりかねんぞ?)


紅莉栖『――……岡部ぇーちょっとカップラーメン買ってきてー』

岡部『何!?そんなの自分で』

紅莉栖『あぁーいいんだー?そんなこと言っていいんだー?
     ラボの皆に言いふらしてもいいんだー?』

岡部『!?』

紅莉栖『あーなんだかIQTマシンだけじゃ物足りないなー。
     こういうのもっと作ろうかなー?岡部の為に作っちゃおうかなー?』

岡部『や、やめてくれ……それだけは……な、なんでもする……やめてくれ……』

紅莉栖『じゃ、早くカップラーメン買ってきて?
     あ、それと私、百数円とかしけた値段のは食べられないからよろしく。
     ドクぺももちろんつけてね?それと食後のデザートも』

岡部『バカを言うなセレセブ!そんな買う金がどこに』

紅莉栖『ん?今なんでもするって言ったでしょ?
     ……あーなんだか急に未来ガジェット作りたくなってきたわー。
     岡部に作ってあげたくなってきたわー』

岡部『う、うわぁぁぁあああぁあぁぁああ……――』


岡部「」

75 : VIPに... - 2012/11/19 16:25:44.32 CgVR2Fo/o 75/371

岡部(こんな未来は回避しなければ……!
   今こそ俺は、救世主にならなければならない!)


岡部「――……よし、これでどうだ?
   『IQTマシンは危険!爆発の可能性有り』送信!」


     ――バチバチバチバチバチバチバチッ!!――


岡部「ふぬっ!……ん……あれ?……クソッ、これも駄目か!?」


岡部(何度IQTマシンの開発を取り消そうとしても駄目。
   同時に、IQTマシンを作る元凶となったカップラーメンを、
   俺が食べないようにと送っても駄目。

   その他諸々、紅莉栖に対してDメールを送っても一向に過去が変わる気配なし。
   ……電話レンジ(仮)の放電は起きているから、
   過去にメールが届いているのは確実。
   ……しかし、その全てが無駄になってしまっている)


岡部「やはり、問題はクリスティーナの性格にあるのか?
   だとすれば、これはかなりやっかいな事態になりつつあるぞ……。
   人間の性格を変えるなんぞ出来るわけ……」

76 : VIPに... - 2012/11/19 16:27:10.46 CgVR2Fo/o 76/371

岡部(……いや、待て?

   ひょっとすると、過去を変えることが出来るなら、

   人の性格を形成する時期までDメールを飛ばせば、

   人間の性格なんぞいくらでも変えられるんじゃないか?)

77 : VIPに... - 2012/11/19 16:28:35.52 CgVR2Fo/o 77/371

岡部「……あのねらー独自のねちっこさを止めさせるために、
   @ちゃんねるを見るなと過去に送るか?

   ……いや、そんなうまくいくはずないか……」


岡部(……というか……もしもそれで紅莉栖の性格が変わったら……?
   俺は今の紅莉栖を消してしまうことになるんじゃ……?

   もしかしたら、科学者である紅莉栖という過去も変えかねないんでは……)

78 : VIPに... - 2012/11/19 16:32:23.41 CgVR2Fo/o 78/371

岡部「い、いかん……これは駄目だ。
   いくらなんでもそんなのはアウト過ぎる。

   ……鳳凰院凶真にもやっていいことと悪いことぐらい区別を付けねばな。
   そう、人の性格、
   ましてやその知識や記憶を揺るがすようなDメールを送るなど……。

   ――ッッ!?」


岡部(知識や記憶を……変える?

   ……そんなことが出来るなら、
   例えば他人を変えるのではなく、
   自らの知識や記憶を変えるだけなら、害はないのではないか?)


岡部「……そうだ、今回問題になったのは“俺のIQ”のせいだ。
   ……もしも、あの時点で俺のIQが本当に……。
   そうなれば、助手は俺に何も言えなくなる……のでは?」


岡部(いや、それどころか、
   もしそうなったら俺は紅莉栖を……?
   紅莉栖の頭脳を頼らずに済むようになるのでは!?

   ……そうなれば、今よりもっと未来ガジェットの制作を捗るんじゃ)ゴクリッ


岡部「……って、そんなこと出来るわけあるかー!
   そんな某青ダヌキのもしもしボックスみたいな展開が、
   実際に起きるわけないない……起きるわけ……」

79 : VIPに... - 2012/11/19 16:33:21.83 CgVR2Fo/o 79/371



  ――でも、もしも俺が紅莉栖を越える頭脳があれば……?



80 : VIPに... - 2012/11/19 16:35:50.99 CgVR2Fo/o 80/371

岡部「……フ……フゥーハッハ……フゥーハハハハ!!」

ダル「ちょっとオカリーン!うるせーんスけどー!!」

ルカ子「あー岡部さんが楽しそうに笑ってますー。
    でもボクはもう笑えませーん」グルグル


岡部「……い、一回だけなら……一回過去に送るだけなら……」


岡部(俺が……携帯を持ち始めた時期に……ちゅ、中学くらいだったか?
   ……その時期へ向けて、学力をつけるように……。
   いや、もっとアバウトでもいいか?
   知能をつけろ、とか……IQテストで一番になれとか……?

   なんでもいいから、俺が知識を付けられるように過去が変わるなら……)


岡部「ど、どうせ失敗するに決まっているし……テキトーな文でいいか。
   とりあえず、IQという単語を入れて……。
   俺のIQがもっと高くなるように修行しろ的なことを書けば……」


岡部(……そう、これは確認だ。
   過去にメールを送るぐらいで、
   人の性格を変えることは出来ないということを証明するための実験だ。

   そうすれば、
   余計なことを考えずに別のDメールのことを考えられるようになる。
   二度と人の性格を変えようなどと思わなくなる、そのための実証実験だ)

81 : VIPに... - 2012/11/19 16:38:00.77 CgVR2Fo/o 81/371

岡部「……よし、これでいいか。

   『お前の未来はIQに掛かってる修行しろ』

   ……いや、修行ってなんだよ、修行って(笑)。
   ……まぁいいか、これで送信だ」


  ――バチバチバチバチバチバチバチッ!!――


<クォラッ、オカベー!!テメェビルヲユラスナッテナンドイエバー!!


ダル「オカリン、まだやってんのー?下から怒声が響いてきてるおー!!」

岡部「ぐっ!?マズイ……これが最後のチャンスになるのか!?」


岡部(……これで駄目なら、素直に紅莉栖に謝るしかないよな……。
   それも運命石の扉の選択か。
   なら……仕方ないことなのかもしれないな……)


岡部「オペレーション・ネメシス……これが最終送信だ。

               ――いけ、エル・プサイ・コングルゥ!」

82 : VIPに... - 2012/11/19 16:40:39.88 CgVR2Fo/o 82/371



俺はもっとよく考えるべきだった。
過去にメールを送るということが、どういうことなのか。

もしも、あったかもしれない世界線が存在したら。
過去にメールを送ることで、俺はそこに辿り着いてしまうかもしれないのに。

俺は、迂闊だった。


               → .231082
1353299818-082


91 : VIPに... - 2012/11/20 22:20:17.09 UVeC/Jzbo 83/371



岡部「――ぬ――ぐぅ――ぅあああっ!?」


「――……さん?……ちょ……丈夫ですか?ねぇ……さ……」

                        リーディング・シュタイナー
岡部(……ぐっ!?これは――まさか……“運命探知”!?)


「――……おーい、凶……ーん?……しっかりしてください!」


岡部(……ぅ……誰だ?俺を呼ぶのは……俺は)


「――……ほら、凶真さん!まだ眠っちゃダメですよ!!」


岡部「……そう、俺は鳳凰院凶真!誰だ!?俺を呼ぶのは!!」


「きゃあっ!なんですか突然もぅー!驚かすのは止めてくださいよー!」

岡部「……お?……お、お、お?……あれ?」

92 : VIPに... - 2012/11/20 22:23:27.79 UVeC/Jzbo 84/371

「まったくー。
  ……今日はスケジュールが詰々なんですから、ちゃんとしてください」

岡部「……ど、どこだ……ここは?
   いやそれよりも、お前は……いや、貴方は誰……です?」

「は?何寝ぼけてるんですか凶真さん!


          私は貴方のマネージャーでしょー!」


岡部「は?ジャーマネがなんだって?
   ……いやいやいや、俺はラボに居たはずじゃ……」


助手「まぁ、凶真さんはいつも私を 『助手』 としか呼びませんけど。
   ……とにかく、しっかりしてくださいってば」

岡部「……助手?な、何を言ってるんです?……俺と貴方は初対面では」



助手「凶真さんこそ何言ってるんですかー!?
   寝ぼけるのもいい加減にしてください!
   それとも、また私のことからかってるんですか?なんなんですかもー」

93 : VIPに... - 2012/11/20 22:26:59.12 UVeC/Jzbo 85/371

岡部「なんなんですかーって、
   こっちこそなん……なん……だと……?


   なん……だ、ここは……どこだ……?」


助手「楽屋ですー!
   もう知りません、手短に今日のスケジュールをおさらいしますから、
   よく聞いて下さいね」

岡部「スケジュー……?

   いや、待て、待ってくれ!ここはどこだ!?
   俺は何故ここにいる?楽屋ってなんだ!?」

助手「何言ってるんですかー!?
   もう時間あんまりないんですよ凶真さん!ここは楽屋で、

   貴方はこれからドクター中鉢氏との対談番組の収録を控えてる所です!!

   目を覚ましてくださいよー」



岡部「……え?」

助手「だから、ドクター中鉢氏!
   今日は一押し番組の撮影なんですから、ほら、シャキッとしてください」

94 : VIPに... - 2012/11/20 22:29:01.22 UVeC/Jzbo 86/371

岡部「ドクター中鉢と……対談?
   番組って……確か奴の発表会は中止でそのまま」

助手「どうしちゃったんですか凶真さん!
   ……まさかそれ、記憶喪失のネタフリかなんかですか?
   何バラエティーに染まっちゃってるんですか!

   貴方元は科学者でしょー!!」

岡部「お、俺は真剣に聞いている!
   対談ってなんだ!?

   誰が……俺が?ドクター中鉢と……なんで!?」

助手「なんでって、貴方と中鉢氏は永遠のライバルなんでしょ!
   凶真さんがいつも言ってるから、
   こんなに流行ったんじゃないですかー!」


岡部「え、永遠のライバルゥー!?
   ま、まさか何をそんな……俺があんな変なおっさんと」

助手「大丈夫、凶真さんもかーなーり変なので。
   ……まぁ、その辺が売れるポイントなのかもしれないんですが……」

95 : VIPに... - 2012/11/20 22:33:08.72 UVeC/Jzbo 87/371

岡部「ええい、貴方じゃ話しにならん!責任者を呼べ責任者を!」


助手「はぁー!?何言ってるんですそんな時間ありません!

   貴方は鳳凰院凶真で、
   IQ170の怜悧なる頭脳を持つ、狂気のマッドサイエンティスト。
   今日は永遠のライバル・ドクター中鉢との対談番組の収録を控えてる、
   売れっ子芸能人兼科学者の端くれ!

   フェニックスの鳳凰に、院、凶悪なる真実と書いて、
   ……芸名・鳳凰院凶真こと本名・岡部倫太郎さん!

   はい、これでいいですか!?いいでしょう?もうっ!」


岡部「……」

助手「……はぁー……本当はこれ言わせたかっただけなんですよね?
   これで何回目でしたっけ?……もうなんなのこの人……!
   私が新人だからっておちょくって、勝手に助手呼ばわりもするし……!
   何がそんなに楽しいんですかー!」

96 : VIPに... - 2012/11/20 22:35:34.61 UVeC/Jzbo 88/371

岡部「……な、なんだって?ちょっともっかい言ってみてくれ」

助手「私が新人なのを見下してからかうのがそんなに」

岡部「違うっ!そこじゃない……もっと前だ!!俺が――」


助手「……科学者崩れの売れっ子芸能人こと鳳凰院凶真さん。
   ……これでいいですか?」


岡部「……な……なっ……は?」

助手「もういいですー!クビにするならしてくださいー!
   もう私助手止めますからぁ!!」



岡部「……俺が……科学者……?いや、芸能……人……?
   売れっ子だと……」

助手「……そりゃ確かに凶真さんは面白い人ですけど。
   ……まぁちょっとは優しい所もあるし?
   ……顔も整えれば中々イケてますけど。
   でも変人で……でもそこらへんが売れる要素で……」

97 : VIPに... - 2012/11/20 22:37:25.74 UVeC/Jzbo 89/371

岡部「……何を……何を言ってるんだ……?俺は……」

助手「……科学者崩れは言いすぎました。
   ……今もまだヘンテコ機械を作ってますしね……」


岡部「へ、ヘンテコ……。

   そうだ、俺は未来ガジェットを……」

助手「あ、そういえば、この間の番組で見せてたあの機械!

   えぇーっと、名前なんでしたっけ?
   ……のすたるじあ……どらいぶ、でしたっけ……?

   あれ、子供達に大うけらしいですよ」

岡部「……」


助手「ほんっと、子供受けはいいんですよねー凶真さん。
   中鉢氏との対談も、議論というより殆どバラエティートークですしね。
   今日の番組も煽りが酷いこと酷いこと」

岡部「ば、バラエティー……だと?」

助手「そうですよー?はぁ……ってこんなこと喋ってる場合じゃないんですよ!
   早く今日のスケジュール確認して、本番前のリハーサルを――」

98 : VIPに... - 2012/11/20 22:39:19.53 UVeC/Jzbo 90/371



  ぐにゃあっと、世界が歪むほどの眩暈に襲われた。



99 : VIPに... - 2012/11/20 22:40:52.22 UVeC/Jzbo 91/371

岡部「……嘘だ……」

助手「え?」

岡部「……こんなのは……――嘘だっ!!」ダッ


助手「は?……はっ!?ちょちょちょ、どこいくんですか凶真さーん!!」

岡部「こんなのは嘘だっ!でたらめだ!!俺は認めないぞー!?」ダダダッ



岡部(バカな……こんな……こんなことが……)

岡部「ここはどこなんだ……俺は秋葉原に、ラボにいたはずじゃないか!」

岡部(そうだ!俺はラボで、Dメールの実験をして)

岡部「……実験をして……それで……リーディング・シュタイナーが……」



岡部(発動……した?……ということは……過去が――)

100 : VIPに... - 2012/11/20 22:45:21.89 UVeC/Jzbo 92/371

岡部「な、なんだこれ……俺が居た所って?
   ……この景色、ここは……あそこに見えるのは――」

岡部(オタクの聖地……アレはまさにビッグサイト)


岡部「……ダメだ、考えるのは後だ!今は秋葉原に、ラボに戻らなくては――」

岡部(ラボに戻って、もう一度Dメールを)

岡部「そ、そうだ!ダルやルカ子はどうなったんだ!?れ、連絡を」

岡部(携帯……携帯……ダル、ルカ子、みんな……!)

岡部「……あ……なんだ……これっ!?」


ダルやルカ子に連絡をしようと、電話帳検索を掛けても、
そこには見慣れない連絡先と、知らない人間の名前が羅列しているだけ。
それどころか……俺の携帯電話でさえ――

――どことなく、桐生萌郁が使っていた携帯電話に似ている気がする――

                        ――見知らぬモノに変わっている。

102 : VIPに... - 2012/11/20 22:50:06.39 UVeC/Jzbo 93/371

岡部「誰だよ……こんな奴らは知らないぞ!?
   ……まさかこれは“機関”……」

岡部(……ば、バカを言うな……機関なんて――)

岡部「とにかく、ラボだ。……ラボに戻らなくては……Dメールを……」


岡部(こ、混乱している場合じゃない。……冷静になれ岡部倫太郎)


   ――岡部、あんた……効果って知ってる?


岡部(冷静になれ……こんな時あいつなら……俺の助手……クリスティー)

   ――『しっかりしてくださいー!凶真さん』

岡部「違う!あいつは俺の助手なんかじゃない……俺の助手は……」



そうだ、俺の助手はただ一人。
天才科学者の牧瀬紅莉栖……あいつだけなんだから!



   ――意図的に過去を変えれば、
      未来に重大な影響を及ぼすかもしれない。
      岡部、あんた何かあったら、その責任はどうとるの?

103 : VIPに... - 2012/11/20 22:52:27.88 UVeC/Jzbo 94/371



岡部(こんなことあってたまるか……!
   こんな、俺の知っている世界がまるっきり変わるなど……)


   ――蝶の羽ばたきが――


岡部「帰らなければ……ラボに……早く」ガタガタ


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

104 : VIPに... - 2012/11/20 22:54:45.74 UVeC/Jzbo 95/371


――Beginning of fight――

   【着信】 助手

岡部「!?この着信は……紅莉栖!!」



助手『あぁー出たぁー!何してるんですか凶真さん!!
   一人で現場に向かったんだと思ったのに、
   いないとかどういうことなんですか!?
   今どこですか何考えてちょっと――』ピッ


岡部「なんだこれ……なんだよこれ……」


――Beginning of fight――


岡部「うるさいんだよっ!クソッ……何がどうなってるんだ……」カチカチッ



岡部(リーディング・シュタイナーだ……俺はあの違和感を知っている)

岡部「過去が……変わったのか?
   俺のメールで……俺自身の過去が……」

105 : VIPに... - 2012/11/20 22:57:08.30 UVeC/Jzbo 96/371

岡部(俺の魔眼が発動したということは、過去改変が起こったという事)


   ――なんで、岡部は変わる前の過去を覚えているの?


岡部「そんなの俺が聞きたいくらいだ!
   なんなんだこれは……まさかっ!
   これは新手のドッキリだったりするのか!?」

岡部(だとしたら悪質にもほどがあるだろ。
   ……なんだ、芸能人って。まるで意味がわからんぞ。
   世界が丸ごとひっくり返りでもしない限り俺が――)


   ――世界線変動率1%の向こう側へ。
      アトラクタフィールドと呼ばれる壁の向こう側へ。


岡部「世界が変わる?
   ……そういえば……あの、ジョン・タイター(偽)がメールで言っていた……」

106 : VIPに... - 2012/11/20 22:58:48.77 UVeC/Jzbo 97/371

岡部(俺には世界の運命を変えられる可能性があるのだと、
   未来を変える事が出来るのは俺だけなのだと)


   ――救世主になって欲しい。


岡部「なな、何をバカなことを思い出してるんだ俺は!
   あれはタイターの作り出した妄想で、現実にあるわけがな」


岡部(タイターは「俺の記憶と周囲の人々の記憶が一致しない」のではなく、
   「俺だけが世界線変動前と後の記憶を持っている」と言っていた)


岡部「……もしも、俺が送ったあのDメールで過去が変わったことで、

   世界線が変わり、

   俺だけは世界線が変わる前の記憶のせいで、

   今の状況を生み出したとしたら?」

107 : VIPに... - 2012/11/20 23:01:26.66 UVeC/Jzbo 98/371

岡部(俺が未来を変えたとでも?
   俺はタイターの言う世界線変動率1%の向こうに辿り着いたんだとでも?
   救世主になったのだとでも?)


岡部「あるわけがない……そんなことあるわけない。
   思い出せ、俺が送ったDメールは、
   俺自身の過去を変えるメールだったんだぞ!?そんなことが」


岡部(……いや、合っている、今は合っているのか?
   俺自身の過去が変わったから、世界もそれに合わせて変わっていったと?
   俺が芸能人として、鳳凰院凶真が居る世界へ変わったと?)


岡部「ってなんでだ!
   俺はIQを、過去の俺の知能をちょっと高めようとしただけじゃないか!
   それがなんで芸能人?ホワイ?
   ドクター中鉢との対談?番組ってなんだ!

   それよりマネージャーって誰だよ!!」ガタンゴトンッ


<アキハバラ、アキハバラー。

108 : VIPに... - 2012/11/20 23:03:02.68 UVeC/Jzbo 99/371

岡部「!!

   やっと着いた、俺の場所、俺の知っている秋葉原だ!」


岡部(ともかくラボだ。ラボにさえ戻れば、今の状況も理解出来るはず。
   最悪わからなくとも、もう一度Dメールで過去を変えればいいんだ!
   それで元の状況に戻せば)


岡部「ハ、ハハハ!そうだ、何も恐がることなんてない。
   俺にはまだラボがある、ラボメン達がいる。
   それに俺には本物の助手、天才牧瀬紅莉栖がいるんだ……きっと――」


きっと、あいつならこんな状況でも冷静に分析してくれる。
ラボがあれば、ラボメンがいれば、紅莉栖がそこにいてくれれば!

俺の知っている世界ならば、答えはきっとそこにある。


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

109 : VIPに... - 2012/11/20 23:06:08.93 UVeC/Jzbo 100/371



岡部「――ハァ――ハァ――ハァッ!――」

岡部(ラボ……ラボ……未来ガジェット研究所……大檜山ビル……)


  『フゥーハハハハハハハハハ!!』


岡部「!?」


  『良い子の諸君!元気にしているかな?
  ……ならば、お前たちを混沌へ、この俺が誘ってやろう!
  心して聞くがいい!!

  ――「それでは今日は、今人気の天才?科学者、
     狂気のマッドサイエンティストを自称する、
     鳳凰院凶真さんに来ていただいております!

     いやぁーのっけから凄い登場ですねー」』


岡部「なんだこの声、俺!?」


  『フッフッフッ!俺は“機関”に追われている身だが、
  今日は世間に我が偉大なる発明を披露するため、
  幾多の危険をかいくぐってここまで来た。

  さぁ、心して聞け!
  これぞ、未来を究極的に加速させる装置、ノスタルジア・ドライブゥッ!!』


岡部「こ、これは、違う……聞こえてくるのはあのテレビからか!?」

110 : VIPに... - 2012/11/20 23:14:07.58 UVeC/Jzbo 101/371

「お、あれ見ろよ、鳳凰院凶真。また変な機械作ってんぞあいつwww」

「うはwwwなんだ未来を加速ってwww夢が広がりんぐwww」

「のすたるじあどらいぶー」


岡部(あれは……俺だ、間違いなく俺!
   どこか怪しげな雰囲気を醸し出しつつ、
   大袈裟なリアクションでインパクトを叩き出す。

   特徴的な白衣を翻し、
   世界に混沌をもたらす凶悪にして狂気のマッドサイエンティスト!
   正しく俺だっ!!)


  『ワーワーワーッ!!
  えーそれではこの鳳凰院凶真さんについて簡単なご説明をしましょう!

  彼は当時若干十五歳にして、
  世間一般を騒がせ、大流行したあの携帯ソフト、
  “IQTマシン”の企画開発者でもあるんですが――』


岡部「何!?

   おいっ!今なんて言った!!IQTマシンと言ったのか!?おいっ!!」


  『――その後様々なガラク……もとい!
  未来に生きる機械の数々を世に公表し、
  世界から「未来に生きてんな」と言わしめた経歴をお持ちで、

  現在はあの変人……ではなく、とんでも科学者ドクター中鉢氏との連携で、
  なんと、
  世界初のタイムマシーンの開発を進めてるとも言う噂なのですがー?
  今日は鳳凰院さんが、私達にも詳しく説明してくれるそうなので、
  期待が高まりますねー!』

111 : VIPに... - 2012/11/20 23:15:47.64 UVeC/Jzbo 102/371

岡部「タイムマシン!?何を言ってるんだその前だ!!
   どういうことだ、おい、CMに入るんじゃない!くそっ!!」


「ちょ、なんだあいつ……テレビに向かって吠えてるぞ……?」

「ヤバくね?目が血走って……あれ、あの白衣?」

「ほうおういんきょうまだー!のすたるじあどらいぶー」

「は、鳳凰院凶真?今誰か鳳凰院凶真って」

「よろしくお願いしますニャンニャンー!メイクイーンはあちらでーす」


岡部(どどどどうなってるんだ?
   俺がテレビに、ハイビジョンで、あんなに大きく?)


「ねぇ見て?あの白衣の人……あれって」

「嘘ー?こんな所にいるわけ」

「間違いない……あれは狂気の」

112 : VIPに... - 2012/11/20 23:17:47.18 UVeC/Jzbo 103/371

「ニャンニャンー!メイド喫茶はいかがですニャンー!そちらの貴方……も……」


岡部「こんな大衆の面前で……あんなに注目されている……?
   俺が、この鳳凰院凶真が!」


「おい、今鳳凰院って」

「やばっ写メ写メ」

「今秋葉で鳳凰院なう」


   「「「「「ざわ……ざわざわ……ざわ……」」」」」


岡部(なんだかこれって……とっても――)


「あのーすみません……鳳凰院……凶真さん」


岡部「――え?

   あ、いーかーにーもーッ!
   この俺は狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!」バッ

岡部(ってしまった!つい反射的に――)

113 : VIPに... - 2012/11/20 23:19:44.58 UVeC/Jzbo 104/371

「キャーやっぱり鳳凰院凶真」

「え?何どうしたの何が」

「お、なんだなんだイベントか」

「ヤバい!鳳凰院氏がいるヤバい!!」

「え、なになに番組撮影!?や、ちょ、押さな」

「鳳凰院降臨!鳳凰院降臨!!イエーイ見てるー?」


岡部「なんだなんだなんだ!?なんだこれは、なんだお前らは!」


「押すなっ押すなって!」

「あれやってくださーい!いつものあれー」

「サイン下さサイン!乗るしかないこのビッグ」

「物売るってレベルじゃねーぞ!」


岡部(お、お、俺か?これは俺に言っているのか!?なんで――)


  『フゥーハハハ!良い子の諸君!
  タイマシンは実現する。何故ならば、そうっ!それこそが――』

114 : VIPに... - 2012/11/20 23:21:53.25 UVeC/Jzbo 105/371


   シュタインズ・ゲート
岡部「運命石の扉の……選択……」

  『――エル・プサイ・コングルゥ!フゥーハハハハハハハ!!』


「シンクロktkr!!」

「ジュタインズゲートやってーシュタインズゲート!」

「しゅたいんずげーとってなにー!?」

「エロプサイコングルー!」


岡部「こ、これが……シュタインズゲートの選択だと……?」


岡部(なんだかこれって、とっても……とっても――)

115 : VIPに... - 2012/11/20 23:22:36.59 UVeC/Jzbo 106/371

「握手してー!」


岡部「気持ちいい!」


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

116 : VIPに... - 2012/11/20 23:25:05.74 UVeC/Jzbo 107/371



岡部「――ゼハッ――ハ――ハァハァ……ふぅ」

岡部(ここまでくれば……もう追って来ないよな?)


岡部「――俺だ、ああ、緊急事態だ!状況は極めて困難を要求している。

   まさか、“機関”ではなく、一般ピーポーに追われる羽目になるなんて……。
   そうだ、これは緊急事態、まさに世界のカオスが俺を襲っているんだよ!
   これが運命石の扉の選択だというのか?
   ……引き続き状況を継続する。エル・プサイ・コングルゥ……」


岡部(はぁ落ち着いた……っていかんいかん!
   一瞬とてつもない高揚と興奮が沸きあがってしまったが……!
   今はそんな状況じゃないんだ……俺はラボに戻らなくては……)

岡部「裏路地をつたっていくか?また見つかったら厄介だ。
   ……とにかく目立たないように行動を……」

117 : VIPに... - 2012/11/20 23:27:48.70 UVeC/Jzbo 108/371

岡部(それにしても、あのテレビに映っていた俺……。
   IQTマシン、十五歳で企画開発とか言っていたか?大流行がどうとか)


岡部「そんなバカな……!

   IQTマシンは紅莉栖が作った、
   いわば俺専用の嫌がらせガジェットだったはずだぞ!?
   それがなんで俺が企画開発など――」


   ――でも、もしも俺が紅莉栖を越える頭脳があれば……?


岡部「……ま、まさか……俺が作ったというのか?
   あの紅莉栖の作った未来ガジェットを……過去に?」


岡部(とととということはっ!?
   あのDメール実験は成功したというのか!
   俺は牧瀬紅莉栖を越える頭脳を手に入れ――)


岡部「……」

岡部(どこも変わってる気がしない……)

118 : VIPに... - 2012/11/20 23:30:04.22 UVeC/Jzbo 109/371

岡部「そもそも、俺にはIQTマシンを作った記憶なんてないぞ?
   他に知らない知識があるわけでもないし、

   一体どこが俺自身変わったと」


   ――岡部はどうして覚えてるの?


岡部「……そうだ、俺は変わる前の記憶を覚えている……」


岡部(それってつまり、

   変わった後の俺の記憶に上書きして、

   前の記憶を持ち越したってことなんじゃ)


岡部「まったく別人の岡部倫太郎に、俺の記憶を上書き……した……?」


   ――リーディング・シュタイナーという特殊能力。


岡部「じゃあ俺は……この世界の俺は誰なんだ……?
   これじゃあ俺だけが」

119 : VIPに... - 2012/11/20 23:32:15.78 UVeC/Jzbo 110/371



ドンッ


岡部「うっ……すみませ」

「おう、どこ見て歩いてんだ?気を付けろや」


岡部「ひっ……!ってこの声は……!?


      ――み、み、ミスターブラウン!!」


天王寺「は、誰だそりゃあ?っつーかおめぇーはだ……んんっ?」

岡部「お、俺ですよミスターブラウン!
   貴方のビルの二階に住んでる、
   未来ガジェット研究所の、鳳凰い……いえ、岡部倫太郎です!!

   お忘れですか!?」


天王寺「いや……知ってる。知ってるぞ、俺は……」

岡部「っ!!

   俺のことを知ってるんですね!?
   よ、良かった……ということはラボも――」

120 : VIPに... - 2012/11/20 23:34:14.76 UVeC/Jzbo 111/371



天王寺「おめぇさん、

     最近テレビによく出てる鳳凰院……えーっとなんだったかな?

     まぁいい、鳳凰院さんだろ?

     はっはぁー偶然だなぁ!いや、家の綯……娘がね?
     あんたのことをテレビでよく見てて、所謂ファンってやつなんですよ。
     それで、良かったらサインを」


岡部「」



121 : VIPに... - 2012/11/20 23:38:21.16 UVeC/Jzbo 112/371

天王寺「――もしもし、聞いてます?
     サインのひとつやふたつ、
     家のカワイーイ綯のためと思って書いてやっちゃあくれませんか!

     どうか、この通り!!」


岡部「」フラッ


天王寺「――ちょっと?
     おい、聞いてんですか?サインですよサーイーン!

     ……まさかあんた、家の綯の頼みが聞けないって言うんですかい?

     あんな胡散臭くて怪しい男のどこがいんだかわからねぇが、
     楽しそうに目を輝かせて、あんたのことを語る綯のためと思って、
     こうして頼んでるんです。

     それを、

     聞けないと?

     おい、
     コラ、
     なんとか言えや!!」

岡部「ぅわ……うわあ……」


天王寺「サインを寄越さねぇってんなら、こっちにも考えが――」


岡部「あああああああああああああああああ!!」

天王寺「あ、コラ、てめぇ待ちやがれ!
     サイン置いてけやコラァ――」


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

122 : VIPに... - 2012/11/20 23:41:16.38 UVeC/Jzbo 113/371



岡部(ミスターブラウンが壊れた!)


岡部「あの大男が俺に頭を下げて頼みごと?
   サイン、サインって言ったか?
   俺のぉ!?
   というかシスターブラウンが俺のファンって?www

   なんの冗談だ!!」


岡部(……というか、完全にラボの俺ではなく、
   芸能人の俺としか見てなかった……)


岡部「未来ガジェット研究所に、
   反応すらしてくれなかった……俺のラボに……」


岡部(この世界に、ラボはあるのか?そもそも、この世界の俺はラボを――)


岡部「……まゆり……ダル……紅莉栖……」


岡部(い、いかん……いかんいかんいかん!
   今は確認を、確認を最優先で行うんだ!)



岡部「……つ、着いた……」

123 : VIPに... - 2012/11/20 23:42:58.04 UVeC/Jzbo 114/371

岡部(大檜山ビル……その一階にあるブラウン管工房……!
   ある、あるぞ!)

岡部「そして……その上にある、
   俺が闇の支配権力に立ち向かうべく作った、
   大いなる野望の研究所……」


岡部(あってくれ……あってくれ頼む……――!!)


   「――!!   ――――!?    ――ッッ!」


――とその時、突然ビル全体が大きく震えだした。
大地震でも来たのかと思える揺れが、俺にまで伝わってくる。
この古いオンボロビルが倒れそうなほどの揺れだが、
今はそれが心地いい。

   何故ならこれは――

124 : VIPに... - 2012/11/20 23:44:47.62 UVeC/Jzbo 115/371



岡部「D……メール……!これはDメールだ!!」

   「「「   !   !!   」」」


岡部(それになんだ?上から何か聞こえる、聞こえるぞ!声が聞こえる!!)

岡部「いるんだ……誰かが……ラボメンが……!」


階段を上がる前に、ポストを確認。

ある。
安っぽさ全開の表札「未来ガジェット研究所」がそこにある!
無くなってなどなかった。どんな世界でも、ラボいつだってそこにあるんだ!
安堵の溜息と共に、俺は一気に階段を駆け上がり――


岡部(このドアの向こうに、ラボメンが、俺の知っている世界が――)

岡部「……みんなっ!」バンッ!!

125 : VIPに... - 2012/11/20 23:46:10.51 UVeC/Jzbo 116/371



   ――俺の知っているラボが、あったら良かったのに。



126 : VIPに... - 2012/11/20 23:47:16.87 UVeC/Jzbo 117/371

   ――……岡部、あんたバタフライ効果って知ってる?

127 : VIPに... - 2012/11/20 23:49:26.89 UVeC/Jzbo 118/371



   「「「?」」」


岡部「みんなっ!」

紅莉栖「……?」

ダル「お?」

ルカ子「……え?」


岡部「お、おお……おおおお!」

岡部(いた、ラボメンがいる!
   俺の知っている顔ぶれが、いつものメンバーが、俺だけの世界が)

128 : VIPに... - 2012/11/20 23:53:17.84 UVeC/Jzbo 119/371

岡部「よかっ……良かった……お前達がここにいてくれて……っ!」


紅莉栖「……お……お」

ダル「……」

ルカ子「……」


岡部「そうか、クリスティーナも来ていたんだな。

   それよりもダル、ルカ子!
   大変なんだ、俺が送ったDメールのせいで世界が――」


岡部(――世界が……本当に変わったのか?
   俺は実は今まで夢でも見て……いや待て、まさか本当にドッキリだった?
   いやいや、俺一人のためにそんなドッキリなぞ……?

   違うな、だとすると……今までのは幻想、妄想?
   まさかとは思いますが、リーディング・シュタイナーとは、
   あなたの想像上の能力にすぎないのではないでしょうか?

   だとするとあなたはは厨二病の可能性がってやかましいわ!)

129 : VIPに... - 2012/11/20 23:55:46.11 UVeC/Jzbo 120/371

岡部「はっ!そうか、クリスティーナまさかお前……?

   今度はこの俺に、
   幻覚を見せる未来ガジェットを作ったんじゃないだろうな!?
   お、おのれクリスティーナ!
          オペレーション・ネメシス
   この俺の『罰を司る女神』作戦に気づいていたんだな?
   な、なんとか言えクリスティーナ!」


紅莉栖「……フッ」

ダル「……す……す……」

ルカ子「……」


岡部「……紅……紅莉……栖?」

130 : VIPに... - 2012/11/20 23:57:01.25 UVeC/Jzbo 121/371



紅莉栖「……フッ……フフフ……」


岡部「な、なにがおか」

         紅莉栖「フゥワーハハハハハハハ!!」



岡部「ゑ?」

132 : VIPに... - 2012/11/21 00:00:07.08 jnX0sbDUo 122/371

紅莉栖「見ろ、実験は成功だ!Dメールで過去が変わったのよ!!」

ダル「sugeeeeeeeeeeeeee!!
   マジで牧瀬氏がやりやがった!Dメールマジパネェッス!!」

ルカ子「え、何……これはどういう?」


紅莉栖「ククク、これぞ我がラボの力!
     これぞ我が発明!!

     見なさい、これこそが世界を混沌へ導く未来ガジェットの真の姿よ!
     フゥーハハハ!!」

岡部「え、おい、クリスティー」


紅莉栖「そうっ!この私は、IQ170の怜悧なる頭脳を持つ狂気の」

ダル「ちょちょちょ、今はそんなのどうでもいいんで!

   あの、あの!僕のことはわかります?」

岡部「は?な、なんだダルまで……一体」


ダル「うぉおおお、なんぞ!?
   僕のことまで知ってるってマジすか!?
   うひょーこれはマジでビックリだお」



岡部「お、おい」

133 : VIPに... - 2012/11/21 00:01:15.13 jnX0sbDUo 123/371

紅莉栖「ええい、うるさいぞ橋田!今は私が喋ってるんだから」

ダル「っつーか、マジで牧瀬氏ってばどんなDメール送ったん?

   ここにさ――」

134 : VIPに... - 2012/11/21 00:02:11.91 jnX0sbDUo 124/371




   ――鳳凰院凶真が来るなんて、ありえないっしょ?



Steins;Gate――シュタインズ・ゲート――
          罪と罰のセレナーデ

140 : VIPに... - 2012/11/21 19:31:46.06 iQJcZglfo 125/371

紅莉栖「フフン、聞きたいか?そんなにこの驚天動地の実験結果を知りたいと」

ダル「だってさー、これってまずくね?
   どんなDメールで呼び寄せたかは知らんけど、
   鳳凰院氏は一応業界人だお?
   しかも、今一番注目されてる……とか、
   雑誌でもネットでも取り上げられてるさ。

   そんなお人をふざけたメールで呼び寄せた、とか知られたら、
   このラボなんて一瞬で消されるんじゃマイカ?」

紅莉栖「え!?

     ……いいいえ、その……?
     ちょっといっぱいメールを送ってたから、
     どのメールが当たっちゃったとか、
     そういうのちょっとわからないっていうか……?

     でででも、ふざけたメールとかじゃないし!
     ちゃんとした実験の結果なので!!
     だから大丈夫だと思ってたんだけど……」

ダル「ちょ、牧瀬氏それやべぇじゃん。
   ……一体どう言い訳するつもりだお?これ、しゃれじゃすまないっしょ……」



紅莉栖「……うっ」

ダル「……?」

141 : VIPに... - 2012/11/21 19:34:12.15 iQJcZglfo 126/371



紅莉栖「……ぐ……ぅうっ……!うぐぅあああああああっ!!」

岡部「!?ど、どうした紅莉」


紅莉栖「手がぁあああああ!

     こ、こんな時に、私の右腕に宿りし悪霊が……!!
     いけない、皆離れてっ!

     ……く、私はまだ仲間を手にかけたくなど……!?
     静まれ我が右腕よっ!!」

岡部「なん……だと……?」

ダル「……あちゃー、こりゃ完全に日和ってますなぁ……。

   あ、その、立ちっぱなしもアレなんで、
   そこのソファーにでも座って下さい鳳凰院氏」

岡部「え、あ、これはどうも……?」

142 : VIPに... - 2012/11/21 19:37:50.02 iQJcZglfo 127/371

紅莉栖「ぬぅうううう……ふぅ、危ない所だったわ。

     それで、なんの話しだったかな?
     Dメールの、ことについて……聞きたいのかね?」

ダル「いや、聞きたいのかね?じゃなくて、教えないとダメだろ常考。

   これ、全部説明して、納得して帰ってもらうしかないお」

紅莉栖「何!?

     ……しかし、このDメールのことは、このラボの極秘研究なのだぞ?
     それをそんな……しかもっ!
     研究者としてライバルとも言えるこの男に教えると!?
     そう簡単に教える訳には」

ダル「じゃあどう言い訳する気なん?
   言っとくけど、僕はこの件に関しちゃ一切無関係なんで。

   訴えられたら牧瀬氏完全監禁プレイルートだお。
   今から臭い飯の味でも想像しておく必要があるっすなー」

紅莉栖「か、監禁!?
     訴えられるって……そんなの私だってどう説明したらいいか」


ルカ子「……というか、この人誰なんですか?
    なんか有名な人みたいですけど、ボクそういうの疎いんで」

紅莉栖「な、漆原さんご存知、ないのですか!?
     彼こそ、我がラボにとっての最大の敵……!
     いえ、最強のライバルである、

     狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真よ!」

ルカ子「ボク、そういうの疎いんで」

143 : VIPに... - 2012/11/21 19:40:51.71 iQJcZglfo 128/371

紅莉栖「ダメ、全っ然ダメ!

     いい!?あなただってこのラボの一員なんだから、
     少しは情勢を理解しておかないと、この先危険が訪れるわよ?

     その時私が傍にいられるかもわからないのに、
     今の内にしっかりと危機管理能力を」

ルカ子「……反省してまーす」


ダル「それよりさー、どうせDメールも電話レンジ(仮)も、
   相対性理論超越委員会を通して世間に公表する予定だったじゃん?

   今この鳳凰院氏に教えちゃえば、
   それでミッションコンプリートじゃねーの?」

紅莉栖「だ、ダメよ!最初に教えるのはパパに……っ!?

     ……んんっオホンッ!
     ではなくて、この私の口で世間に向けて公表したいわけで」

ダル「えー牧瀬氏それじゃ意味なくね?
   自分の口から公表したら、このラボの研究成果になっちゃうお。

   ……ま、僕はそれでもいいけどさー?
   牧瀬氏いつも言ってんじゃん。自分は永遠の――」

144 : VIPに... - 2012/11/21 19:42:31.35 iQJcZglfo 129/371

紅莉栖「クックックッ……そうっ!

     この私こそは、相対性理論超越委員会を裏から牛耳る、
     稀代の天才科学者にして真の狂気のマッドサイエンティスト……!

     またの名を、委員会永遠の助手!
     そして、いずれは裏から世界の混沌に名を刻むであろうその名も――」

岡部「……ちょっと待て……」



紅莉栖「――その名もっ!」バッ!!

岡部「待ってくれ!」バンッ!!

紅莉栖「!」

ダル「!」

ルカ子「?」

145 : VIPに... - 2012/11/21 19:44:01.34 iQJcZglfo 130/371

岡部「……ふぅー……」

紅莉栖「……えっと……その名も……」


岡部「……お前達、なんの冗談だ?」

紅莉栖「……あの……」


岡部「これはなんの冗談かと聞いているっ!」バンッ!!

紅莉栖「ひっ!」


ダル「……やっべー……マジギレ半端ねぇッス……出るとこ出ちゃうお」

ルカ子「なんです?この空気」

岡部「あのなぁ、マジギレとかではなくてだなぁ!これはなんの冗談なのかと」

146 : VIPに... - 2012/11/21 19:46:33.58 iQJcZglfo 131/371

紅莉栖「……じょ、冗談などではない……!このラボは」

岡部「大体、紅莉栖!お前なんだ、その口調は!?まるでお前――」

紅莉栖「っ!?

     ……ち、違うわ!私は紅莉栖では――」

岡部「牧瀬紅莉栖!

   アメリカの大学を飛び級で卒業して、
   学術雑誌『サイエンス』に論文を載せた、天才少女牧瀬紅莉栖だろう!?」

紅莉栖「え!?

     ……あの、どうして……?
     じゃなくて、貴様、何故私のことを!?一体何者だ!」

岡部「はぁ!?

   俺はこのラボの所長……狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!」

147 : VIPに... - 2012/11/21 19:48:55.01 iQJcZglfo 132/371

紅莉栖「何ィ!?

     ……馬鹿な……このラボの所長は私のはず……はっ!
     まさか貴様、このラボを乗っ取るというのか!?

     その業界を操る権力を使って――」

岡部「だ、だからちょっと待て!

   なんだそれは!?紅莉栖、お前フェイリスにでも唆されたのか!?」


ダル「ん?なんでフェイリスたん?フェイリスたんは――」

紅莉栖「ええい、だから私は牧瀬でも紅莉栖でもない!

     我が名は――」

148 : VIPに... - 2012/11/21 19:53:57.00 iQJcZglfo 133/371



――女神の異名を持ち何度でも蘇りし不死鳥の名を分けた、
                     永遠の助手にして最高の称号!



149 : VIPに... - 2012/11/21 19:55:27.19 iQJcZglfo 134/371




紅莉栖「――我が名はクリスティーナ……クリスティーナ・ザ・フェニックス!

     その身にしかと刻みなさい!この魂の名を」

岡部「」



紅莉栖「……フッ……驚きで声も出ないようね」

ダル「ドン引きされてないことを祈るお」

ルカ子「……まゆりちゃん、まだかなー」

150 : VIPに... - 2012/11/21 19:57:17.75 iQJcZglfo 135/371

岡部「……ク、クリスティーナ……?フェニックス?」

紅莉栖「いかにも、この私のことはそう呼ぶといい。

     ……もっとも、その名を口にすれば、
     あなたにも大いなる災いが降りかかることに、なるかもしれないけどね」




岡部「……プッ」

151 : VIPに... - 2012/11/21 20:00:50.86 iQJcZglfo 136/371

紅莉栖「?」


岡部「……プハッ!……プププッフハッ!?フゥハハハハハハ!!」

紅莉栖「!?

     何がおかしい!?」

ダル「そりゃ全部――」


岡部「く、く、クリスティーナ、お前それはフヒッ、
   一体なんのブフォッ、真似だ?」

紅莉栖「……わ、わ……笑うな!なんでそんな――」


岡部「笑うなだとぉ?むしろ俺を笑わせてるんじゃないのか」

紅莉栖「わ、笑わせてなんかないわよ!私は至って真面目に」

岡部「まーじーめーにーwwwwwクリスティーナ、お前頭は大丈夫か?」

152 : VIPに... - 2012/11/21 20:03:08.56 iQJcZglfo 137/371

紅莉栖「笑うなぁーっ!!
     なんでそんなに笑うの!?私はあなたの――」

岡部「だってお前、それ、自分でいつも言ってるではないくぁー!
   この俺に対して――」


   ――厨二病乙!!


岡部「――と憎まれ口たっぷりでなぁ!
   それが、なんだ?お前自身が厨二病を発症させたとか、恥を知れ!」

ダル「……それ鳳凰院氏が言えることではなくね」

紅莉栖「お、オマエモナー!オマエモナー!
     大事なことなので二回言いました!!」

岡部「やかましい!俺は厨二病ではない!!俺こそは、
   世界を混沌へと導く狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真だ!
   そこのなんちゃってフェニックスと一緒にするな」

153 : VIPに... - 2012/11/21 20:06:39.05 iQJcZglfo 138/371

紅莉栖「!!

     ……な、なんちゃってとは何よ!
     私なんかあんた達が血眼になって研究してる、
     タイムマシンを作ったんだからね!

     私こそが狂気のマッドサイエンティストよ!!」

ダル「ちょww牧瀬氏牧瀬氏イッちゃってるイッちゃってるwww」


岡部「バカを言うな!タイムマシンを作ったのはこの俺だ!!

   あくまでお前は俺の助手で、開発権限は俺にあるのだ!
   そこの所しっかりと――」

紅莉栖「お、俺の助手!?

     ……ななな何を言っとるんだこのHENTAI!
     まだ私はあなたの助手になるなんて言ってないし……。
     私はパパのためと思って助手を選んだだけだし!

     そりゃいずれは本当に助手になりたいなーとかって、
     何を言わせるんだ恥ずかしい!」

岡部「お前こそ何を言ってるんだ!?いつものアレはどうした!

   私は助手でもクリスティーナでも~と、いつも否定していたではないか!?」

154 : VIPに... - 2012/11/21 20:09:15.90 iQJcZglfo 139/371

紅莉栖「は、否定?何を言ってるの……?

     いつもって、今私は初めて名乗ったわけだが」

岡部「ん!?
   ……いや、確かに初めて名乗られたのには変わりないが……?

   ってちっがーう!そうではない!!俺が言っているのは――」

紅莉栖「??

     ――……私だ、ああ、そうだ。
     現在このラボに、あの鳳凰院凶真が出現したのだ。
     何、そいつは“機関”のスパイだって?

     ……クク、そんなこともあろうかと、すでに二重三重の手は打ってある。
     ああ、そう簡単に逃がしはしないさ。
     こいつが本当に、あの鳳凰院凶真か確かめるまで、
     このラボから出られはしない。

     何故なら、それこそが運命石の扉の選択なのだから。
     そちらでも、この男が鳳凰院凶真なのか、調査を続けてくれ。
     健闘を祈る。            ――エル・プサイ・コングルゥ」

155 : VIPに... - 2012/11/21 20:11:41.81 iQJcZglfo 140/371

岡部「――……?

   な、なんの真似だ……クリスティーナ」

紅莉栖「……ん?
     いや、何、ちょっと確認をね?

     あなたが本当にあの鳳凰院凶真なのか、
     私は確かめないといけないから」

岡部「本当にも何も俺は――」


ダル「……すげぇ……あの牧瀬氏とまともに会話してるお……っ!」

ルカ子「え?これのどこがまともなんですか。意味不明なんですけど」


岡部「お前達もっ!
   これを見ておかしいと感じないのか!?

   あの助手が、
   牧瀬紅莉栖がこんな言動を取っていて違和感を感じないのか!?」

ダル「へ?
   ……いやぁ違和感と言われても……」

ルカ子「牧瀬さんはいっつもこうですからね」

156 : VIPに... - 2012/11/21 20:13:14.44 iQJcZglfo 141/371

岡部「おかしいだろ、どう見ても!!
   いつもの助手は、ツンツンしてるしヒステリックスイーツ()だけど、

   だが腐ってもこんな厨二もどきの科学者ではなかったはずだろう?
   そうだろう!」

紅莉栖「厨二言うな!」


ダル「というか、牧瀬氏がモロに影響受けちゃってるのは、
   鳳凰院氏のせいではないかと……」

ルカ子「というか、貴方も相当変ですよね?なんです、その白衣」

岡部「!?

   ……る、ルーカー子ーよ!今俺のことを変だと言ったのか!?」

157 : VIPに... - 2012/11/21 20:15:55.16 iQJcZglfo 142/371

ルカ子「は?

    ……るか子ってボクのことですか?
    なんでボクの名前知ってるんですか?
    それよりも子ってなんですか?馬鹿にしてるんですか?」

岡部「お、お、お……?
   ど、どうしたのだルカ子、お前まで……何をそんなに怒る」


ルカ子「ちょ……それ以上近寄らないでください。
    警察呼びますよ?

    ボク、貴方とは初対面ですよね?
    馴れ馴れしく話しかけないでもらえますか」


ダル「キター!るか氏の芸能人相手でも容赦ねー言葉攻め!
   そこに痺れる憧れるぅ!!」

ルカ子「っていうか、橋田さんもさっきからうるさいんですよ。

    ボクはここに馴れ合うためにいるんじゃなくて、
    まゆりちゃんを待っているだけなんです。静かにしていてもらえますか?」

ダル「はい(白目)」

158 : VIPに... - 2012/11/21 20:18:51.54 iQJcZglfo 143/371

岡部「なんなのだこれはぁ!

   お前達、一体どうしてしまったのだ?
   今日のお前達は異常だぞ!?何がどうしてこうなった」


ダル「それよりも、鳳凰院氏はなんでこのラボに?
   それがわかれば、
   Dメールで鳳凰院氏がここに来るのを止めることも可能なんじゃね?」


岡部「なんでって、お前、ここは俺のラボだ!

   俺が俺のラボに帰って来て何が悪い!」

ダル「え?」

紅莉栖「そっちこそさっきから何を言ってるの?こ、このラボは私のラボよ!

     いずれは相対性理論超越委員会の拠点となるかもしれないけど、
     まだその時ではないんだからね!?」

ダル「ツンデレ!」

紅莉栖「黙ってろ!」

159 : VIPに... - 2012/11/21 20:19:50.86 iQJcZglfo 144/371

岡部「お前こそ何を言ってる!?
   このラボは俺の――」


             ――俺の知っているラボか?


岡部「!?」

紅莉栖「……?」

160 : VIPに... - 2012/11/21 20:21:09.79 iQJcZglfo 145/371

岡部(……違和感だ……全てに違和感を感じるんだ……)


岡部「お、お前達……俺の名前を言ってみろ」

紅莉栖「は?」

ダル「お?」

ルカ子「?」


岡部「いいから、言ってくれ……!」

紅莉栖「……フェニックスの鳳凰に、院!凶悪なる真実と書いて――」

ダル「鳳凰院凶真だお」

ルカ子「変態の間違いじゃないですか?それとも不法侵入者?」

161 : VIPに... - 2012/11/21 20:22:08.59 iQJcZglfo 146/371

岡部「……」


岡部(ば、バカな……これは……)


岡部「どうして……どうして、お前達……」


紅莉栖「?」
            ダル「?」
  ルカ子「?」

162 : VIPに... - 2012/11/21 20:24:22.93 iQJcZglfo 147/371



岡部「……俺の名前を、呼んでくれないんだ!?」


――岡部!
            ――オカリン。
  ――岡部さん。


Steins;Gate――シュタインズ・ゲート――
          罪と罰のセレナーデ

166 : VIPに... - 2012/11/23 15:04:52.95 /nNDuaH0o 148/371

岡部「――何故、俺のことを鳳凰院凶真と呼ぶんだ!」

紅莉栖「??」

ダル「ど、どゆこと?だって鳳凰院氏は」

ルカ子「自分で名乗ってるじゃないですか。鳳凰院凶真だって」


岡部「いや、確かに俺は鳳凰院凶真だ!でも違うんだよ!!」

紅莉栖「違う?」

ダル「本人だけど違うと本人が否定するこれいかに」

ルカ子「この人頭おかしいんじゃないですか?」

167 : VIPに... - 2012/11/23 15:06:44.36 /nNDuaH0o 149/371

岡部「だーかーらっ!

   俺は鳳凰院凶真だが、お前達は一度たりとも、
   まともに俺を鳳凰院凶真と呼んだことは無かった!

   なのに、それなのに……どうして俺を鳳凰院凶真だと認識してるんだ!?」

紅莉栖「え、でも、あなたは」


岡部「俺はっ!

   ……俺はこのラボの……!
   ラボメンナンバー001……鳳凰院凶真なのに……!

   どうして、俺を部外者のように扱うんだ!?ここは……ここは……」


岡部(……ここは、俺の知っているラボじゃ……ないというのか?)


紅莉栖「……」

ダル「……」

ルカ子「?」

168 : VIPに... - 2012/11/23 15:07:55.47 /nNDuaH0o 150/371

岡部「ほ、本当に……俺は……?越えてしまったと言うのか……」


   ――世界線を越えて、世界の壁の、境界線の向こう側に。


岡部「俺がタイターの言っていた、
   世界を変える救世主になったと……本当に……」


紅莉栖「……」

ダル「救世主?」

ルカ子「頭おかしいんじゃないですか?(確認)」

169 : VIPに... - 2012/11/23 15:10:54.35 /nNDuaH0o 151/371

岡部「おかしいのはお前達だ!

   紅莉栖は厨二病、ルカ子は毒舌、ダルは……えーっとダルは……?
   お前だけ変わってないな?とそんなことはどうでもいい!

   おかしくなったのは俺じゃない、世界の方だ!」

紅莉栖「なん……だと?」

ダル「つまり、どういうことだってばよ?」

ルカ子「今ボクのこと毒舌って言いました?
    ボクは正論を言ってるだけなんですけど」


岡部「お前達にもう一度確認しておく。

   ……俺は誰だ?詳しく説明してくれ!」


紅莉栖「……あなたは狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真」

ダル「と言う名前で社会にネットに今大人気の、
   相対性理論超越委員会という活動を行ってる芸能人?
   いつもブログ、楽しく拝見してます!」

ルカ子「本当に誰ですか?帰って下さい」

170 : VIPに... - 2012/11/23 15:12:14.52 /nNDuaH0o 152/371

岡部「くっ……これはもう、認めるしかないのか……っ!」

紅莉栖「認める?一体何を――ッ!?」


   ――世界線が変わった事実を、俺が変えてしまった世界を。


岡部「……いいか良く聞け、お前達!

   ……俺は、お前達の知っている鳳凰院凶真ではない」

紅莉栖「そんなまさか……じゃあお前はっ!?」

岡部「そうだ、俺は……世界線を越えて――」




紅莉栖「Dメール……」

171 : VIPに... - 2012/11/23 15:14:20.53 /nNDuaH0o 153/371

岡部「!?

   ……紅莉栖、お前」

紅莉栖「……おかしいと思っていた。

     突然の来訪、そして自分はラボの所長と言い張り、
     私達に見せる不審な態度。
     まるで、どこか別の世界から来た人間のような……」

岡部「ああ、俺は」

紅莉栖「過去が変わったけど、
     世界から切り離された観測者のように、この世界へ漂流してきたと!

     そう、あなたは正に平行世界の鳳凰院凶真!」

172 : VIPに... - 2012/11/23 15:16:27.81 /nNDuaH0o 154/371

岡部「ん!?ああ、あながち間違いでは」

紅莉栖「過去を変えることが出来るのは、
     人類唯一の我が発明、この電話レンジ(仮)のみ!

     ……そこから導き出される答えは、
     つまり、あなたは過去改変が行われた後の鳳凰院凶真なのね!?」

岡部「んん!?違う、俺は過去改変を行う前の」

紅莉栖「私の送ったDメールで、
     ……なんの因果かあなたはこの世界に残ってしまった。

     平行世界にいるべき鳳凰院凶真だと!そういうことなんでしょ!?」

岡部「どういうことだ!?何かおかしいぞ!いいか、俺は」


紅莉栖「もういい、もういいわ。
     全ては繋がった、これこそが運命石の扉の選択!」

岡部「俺はまだ何も説明していない、勝手に自己解決をするな!
   なんだこのクリスティーナは!?」

173 : VIPに... - 2012/11/23 15:19:08.74 /nNDuaH0o 155/371

ダル「いやー多分牧瀬氏は、
   Dメールで過去が変わるんだって実証をさせたいんすな。
   で、無理矢理証明させようと。

   まだDメールは過去の送れるーってだけで、
   他になんの取り得もないからなー。
   ま、それだけですごいっちゃすごいんだけども。

   あ、ちなみにDメールというのは」

岡部「ええい、知っている!少しは俺に喋らせろ!!
   お前達はいつもこうなのか?」


紅莉栖「――私だ、これより実験は第二段階に入る。
     そう、人類夢のタイムマシン完成は目前まで迫っている。
                      ――エル・プサイ・コングルゥ」

ダル「牧瀬氏の唯我独尊率は異常。……あれ、でも何故かデジャヴが」


岡部「もういい!頼む、頼むから聞いてくれ……。

   俺は世界線を越えて、
   別の……いや、元の世界線から来た鳳凰院凶真なんだ」

174 : VIPに... - 2012/11/23 15:20:49.87 /nNDuaH0o 156/371

紅莉栖「……ん?別の、世界……線?」

ダル「……ゴクリッ」


岡部「そう、お前達から見たら別の世界線だ。
   俺はDメールを使ってここに来た。

   紅莉栖、お前がっ!じゃなくて俺がっ!だ」

紅莉栖「……あなたが、Dメールを……使った?」

ダル「……な、なんで鳳凰院氏はDメールのことを知ってるん?」


岡部「……それはな、別の世界線では、

   俺がこのラボの創設者だからだよ!」


紅莉栖「……な、なんだってー!?」

ダル「なんだってー!?」

ルカ子「なんだって?」

175 : VIPに... - 2012/11/23 15:24:20.79 /nNDuaH0o 157/371

岡部「っ!

   ……ククク、心して聞くがいい!我がラボは数多の実験の末、
   Dメールという“メールを過去に送れる機能”を発見した。
   ここまでは、お前達も周知の事実だな?

   ……しかし、俺は……実験の末、
   過去にメールを送ることで過去改変を行ってしまったんだよ!」

紅莉栖「過去改変を行った?あなたが……Dメールで!?」

岡部「そうだ。

   ……だが、その事実を知るのは世界中でこの俺ただ一人。
   何故ならばっ!
   俺に備わった、魔眼リーディング・シュタイナーという特殊能力によって、
   Dメールのせいで世界が変わった後も、
   世界が変わる前の記憶を持ち続けていられるからだっ!!」

176 : VIPに... - 2012/11/23 15:27:18.22 /nNDuaH0o 158/371

紅莉栖「ど、どういうことだ鳳凰院凶真!」

岡部「フゥーハハハ……!

   つまりここは、俺がDメールを送ったことで世界線が変動してしまった世界。
   過去改変が行われ、全ての事象に変化を起こし、
   世界が混沌に包まれてしまった後の世界なんだ!」

紅莉栖「そ、それは本当なのか、鳳凰院凶真!?」

岡部「ああ、本当だ!
   これで全てに説明が付く……。

   俺の助手がマネージャーだったことも、

   俺自身が芸能人に堕落していたことも、

   クリスティーナが厨二病なのも、

   ダルがHENTAIなのも、ルカ子がグレたことも!

   全ては過去が変わったことにより、
   俺たちが元の世界線で過去に行ってきた行動が、
   変わってしまったからだったんだ!!」

177 : VIPに... - 2012/11/23 15:30:21.34 /nNDuaH0o 159/371

紅莉栖「じゃ、じゃああなたがこのラボの場所を知っていたのも!?」

岡部「俺は元の世界線において、
   このラボの創設者であり所長でもある、
   ラボメンナンバー001の鳳凰院凶真だからだ」


紅莉栖「ならあなたがDメールを知っていたのも!?」

岡部「電話レンジ(仮)は、元の世界線で俺が作った未来ガジェットだからだ。
   Dメールを発見したのも俺だ」


紅莉栖「私が電話レンジ(仮)とDメールを作った事実は!?」

岡部「俺が過去を変えたせいで、
   それこそなんの因果か知らないが、
   この世界線ではお前がラボを作り、俺と同じ行動をとったからだ」


紅莉栖「では過去が改変されたという記憶が、私達にないのは?」

岡部「過去が変わったことにより、
   それに合わせてお前の記憶も再構成されたからだ。

   ……俺の言う世界線というのは、
   ジョン・タイターが言っていたモノと、
   (偽)の言っていたアトラクタフィールドと呼ばれる云々」

178 : VIPに... - 2012/11/23 15:31:54.25 /nNDuaH0o 160/371

紅莉栖「そ、そんな……!でもここにある未来ガジェットは」

岡部「それも俺が作ったものだ。

   ……ここには1~8号機までの未来ガジェットがあるだろう?
   それを作ったのも全て俺だ」


紅莉栖「いえ、私が作ったのはもっといっぱいあ」

岡部「全部俺だ。俺のDメールがそうなるように収束したのだ」


ダル「じゃあこのラボにエアコンがついてないのも!?」

岡部「それも俺だ」


紅莉栖「何故かラボに置いておいたはずの、
     私のカップラーメンがなくなってるのも!?」

岡部「それも俺だな」


ダル「実は昨日僕が夜中にこっそり食べてしまったことは!?」

岡部「フフフ……愚問だな?
   それも全ては俺が世界線変動を起こしたせいだ」

179 : VIPに... - 2012/11/23 15:33:57.94 /nNDuaH0o 161/371

紅莉栖「今から私が橋田の首を締め上げようと思ってるのも」

岡部「俺だなぁ」


ダル「そうくると思って、すでに僕は玄関へ向かってエスケープしてるのも」

岡部「俺だぁー」


ルカ子「貴方の言動が痛々しいのも?」

岡部「俺……んんっ……ルカ子?

   頼むからその顔で、そういう言葉を使うのは止めてくれないか?
   心が痛い……」

ルカ子「だからなんで“子”ってつけるんですか?
    いい加減にしないと、名誉棄損で訴えますよ」


紅莉栖「おい、待て、橋田ぁー!私のラーメン返しなさいよっ!!」

ダル「ウホフホウホホホッ!そんなこと言っても、もう僕のお腹の中だおー!」

180 : VIPに... - 2012/11/23 15:36:00.70 /nNDuaH0o 162/371

紅莉栖「絶対に許さない、絶対にだ!
     このっ、私がお昼に食べようと思ってたのにー!」

ダル「サーセンwwwでもこれも、
   鳳凰院氏がDメールで過去変えちゃったせいなんじゃね?

   だから僕は悪くないおー」


岡部「何!?
   おい、ダル俺にふるんじゃない!」

ダル「だってそれも俺だって」

紅莉栖「いいから私のカップラーメン返しなさいよ!

     ……でないと、
     海馬に電極ぶっ刺して、買いに行くよう洗脳してやる!」

岡部ダル「「うわ、うわぁぁああああ!!」」


ルカ子「まゆりちゃんまだかな……」


――――――――――――――――――
―――――――――――
―――――――

181 : VIPに... - 2012/11/23 15:37:33.34 /nNDuaH0o 163/371



紅莉栖「――……で、つまりあなたはこの世界の人間じゃないと?」ズルズル

岡部「そ、そういうことだと言っている。お前達も、これでわかってくれたか?」


岡部(くっ……ついついこの助手、喰いつきがいいので乗ってしまうな……!
   今はこんなことをしている場合ではないのに)


紅莉栖「……ふむ、それで?

     これからあなたはどうする気なの、鳳凰院凶真」

岡部「っ!!

   そう、それなんだ!
   ……これから俺は、Dメールを使い元の世界線に帰らなければならない!
   だから、ここにある電話レンジ(仮)を使って、Dメールを送らせてくれ!」

紅莉栖「……」

ダル「……」

182 : VIPに... - 2012/11/23 15:41:00.15 /nNDuaH0o 164/371

岡部「世界の歪みを作ったのは俺だ。
   だからこそ俺が、この世界の歪みを再生させなければならないんだ!

   わかってくれ、いや、お前ならわかるはずだクリスティーナ?
   これも運命石の扉の選択と思ってくれていい。エル・プサイ・コングルゥ」

紅莉栖「!!
     ……いや、その、そんな……えっと、エル・プサイ」

岡部「ニヤッ」



ダル「あの、ちょっといいすか!」

岡部「ん?なんだ、ダルよ」

ダル「……言おう言おうと思ってたんだけど……もう我慢出来ないお!

   鳳凰院氏、まじすげーッス!
   生演技感動しました、僕と握手してください!!」

岡部「お、お?演技……?何を言ってる、決してこれは演技では」

ダル「うはー!
   流石エンターテイナー、
   最後までキャラがブレないその姿勢、感服しますお。

   それで、これってなんかの練習なんです?
   それともまさか、ドッキリでこのラボが生中継とか!?」

183 : VIPに... - 2012/11/23 15:44:10.24 /nNDuaH0o 165/371

岡部「お、おいダル!俺が言っているのは嘘ではなく」

ダル「それにしても、
   Dメールを使った世界線の移動とかアトラクタフィールドとか!
   特殊能力設定まで抜かりないとか、かなり面白い気がするんだけど!

   これって映画化決定じゃね?」


紅莉栖「そこまでよ、橋田!

     ……この鳳凰院凶真が言っていることは、嘘ではないわ!」

岡部「おおっ!お前は信じてくれるのかクリスティーナ!!」

紅莉栖「フンッそれこそ愚問ね?

     ……何故ならあなたが別の世界線から来たことも、
     運命石の扉の選択として、すでに予言されていたことなのだから!」

岡部「ん!?」

紅莉栖「運命は繋がった!
     あなたのリーディング・シュタイナーは、
     全てこの時のためにあるといっても」

岡部「ストップ、スタァーップ!
   フェイリスみたいに設定を乗っ取ろうとするんじゃない!

   俺が言っているのは、全部事実なんだ!頼むから信じてくれ」


岡部(いかん、この助手相手だと真面目に会話が出来なくなる!
   今の状況では、フェイリスよりもよっぽどやっかいだぞ、これは)

184 : VIPに... - 2012/11/23 15:46:28.19 /nNDuaH0o 166/371

ダル「でも言ってること牧瀬氏とおんなじですしおすし……?

   あ、そぉーか!
   鳳凰院氏ってば、牧瀬氏の話しに乗ってあげてるんすね?
   なるほどー、それで牧瀬氏みたいな美少女を攻略しようと?

   いやぁー鳳凰院氏ってば策士すなぁ。
   まあ、牧瀬氏は見てくれだけはかなりいいから」

岡部「攻略!?

   何を勘違いしとるんだこのバカ者!
   もういい、なんでもいいからDメールを使わせてくれ」

紅莉栖「こ、攻略って……っっっ……!
     そうじゃないわ、そう、Dメール!Dメールを使いたいのね?」


岡部「そうだ!

   ……ふぅ、やっと本題に戻ることが出来た。
   俺は、もう一度Dメールを使って、
   過去が改変される事実をなかったことにしなければならない。

   そうすれば、世界は元の世界線へと変動し、
   俺も元の世界線へ戻ることが出来る。

   そのためには、このラボの力が必要なんだ」

紅莉栖「……」

岡部「頼む……俺にDメールを使わせてくれ!この通りだ……」

185 : VIPに... - 2012/11/23 15:49:05.31 /nNDuaH0o 167/371



岡部(そして、早くこんな変な世界線など、なかったことにしなければ――)


ダル「……んー……まぁ、いんじゃね?
   こんなに頼んでるんだしさ、一回くらい使わせてあげても」

ルカ子「部外者にこの家の設備を触らせるんですか?
    しかもこんな変な人に、その前に警察を呼んだ方が」

ダル「るか氏、るか氏!空気読んで!」

ルカ子「は?
    橋田さん、あんまり調子に乗ってると、五月雨の錆にしますよ」

ダル「あうあう!」


岡部「見ろ!
   こんな変なダルとルカ子も、Dメールを使えばなかったことに出来る!
   そして紅莉栖!お前も厨二病ではなく、
   普通の天才HE……少女牧瀬紅莉栖に戻れるのだ!」

ルカ子「おい」

ダル「僕のどこが変」

186 : VIPに... - 2012/11/23 15:50:35.58 /nNDuaH0o 168/371

岡部「Dメールを使わせてくれ!

   ……その、出来れば元の世界線に戻すために協力もしてほしいが、
   そこまでは言わん!

   使わせてくれれば、後は一人でもなんとかするから――」


紅莉栖「――……わかったわ」


岡部「……っ!
   わかってくれたか!!じゃあ早速――」


紅莉栖「鳳凰院凶真、あなたに――」

187 : VIPに... - 2012/11/23 15:51:31.78 /nNDuaH0o 169/371



   ――Dメールは、使わせない。


Steins;Gate――シュタインズ・ゲート――
          罪と罰のセレナーデ

195 : VIPに... - 2012/11/24 18:22:36.39 61rPGelro 170/371

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時々、不安になることがある。
私の居場所は、本当にここにあるんだろうか?

課題も終わり、研究も実験も一段落終えたその日、静かな夜のことだった。

こんなに静かで、やることもないから寝ようとしても、
中々寝付けないでこの暗闇の中にいると、思い出したくないことや、
不安を煽るような出来事が、瞼の裏に映るのだ。

こんなのは、私の脳が見せる幻覚だってわかっていても、
それを止めることは出来ない。
まだまだ人間の脳は不思議なことがいっぱいで、
私はいつか、それら全て解き明かすことが出来るのかな?

きっと明日になれば、また目まぐるしく研究と実験を繰り返し、
私は忙しさの中で余計な記憶は忘れていくだろう。

ううん、正確には忘れるんじゃなくて、
脳の引き出しに深く、深くしまいこんでしまうのだ。
そうやって私は、必要なことだけを、必要な分だけ知識として使っていく。

そうしていれば、次々に新しい発見が私を待ってくれているのだから。

196 : VIPに... - 2012/11/24 18:24:13.34 61rPGelro 171/371



「私の居場所は、ここにあるのかな……」


私の居場所はここにある。

パパと決別したあの日から今日まで、
私にとっての居場所は研究と実験の出来る場所、ただそこだけになったのだ。

それは私にとってとても楽しく、新しい発見をするたびに、
私の脳は活性化していって、また次の研究に没頭していくことが出来た。

そんなことを繰り返していたら、遠く日本を離れて、
私はアメリカの地まで来ていた。

今はここが私の居場所だ。
ここでは、常に私にとって新しい研究と実験の日々を送らせてくれる。
私にとって、ここ以上の居場所なんてないだろう。

197 : VIPに... - 2012/11/24 18:26:11.82 61rPGelro 172/371



「……パパ……か。元気にしてるかな……」


日本には、きっともう私の居場所はないだろう。
パパの研究を否定したあの日から、私の居場所はなくなったのだ。

私は私の理論を否定するつもりもないし、撤回するつもりもない。

……けど、もしもあの日、私がパパの論文を肯定していたら……?
未来は変わっていたんだろうか。


「……アホらし……寝よ、もう寝よう!」


私が、パパのタイムマシン理論を認めていたら……?

そしたら、私の居場所は今もパパの隣りで、
こうして余計な感情も沸かないで、ゆっくり眠ることが出来たんだろうか。

そんな意味のない妄想が、私の頭を巡って行く。

198 : VIPに... - 2012/11/24 18:27:31.07 61rPGelro 173/371



「……眠れない……」


研究と実験だけの私じゃなくて、
一人の少女としての私が、そこにいたんだろうか。

なんて、まだ大人になり切れてない私の脳が、余計なことを考えてしまうのだ。
こんなことでは、ここじゃやっていけない。

私の周りは大人ばかりで、子供のままではいられないこともわかってる。
むしろ、大人以上に大人にならなければ、
私はたちまち周囲の環境に潰されてしまうだろう。

だから早く眠って、
余計なことを考える脳の機能をリフレッシュさせないといけないのに。

199 : VIPに... - 2012/11/24 18:29:37.70 61rPGelro 174/371



「……こうして何もしてない私の、存在証明って出来るのかな……」


これは余計な感情だ、妄想だ、非論理的だ。

でも、研究と実験だけが居場所の私に、
それがもしもなくなったら、なかったことになったら、
私の居場所はここにあると言えるだろうか。

不安になる。

絶対にそんなことはないし、私は私の知識と記憶に絶対の自信を持っている。
いつかきっと、この経験で私は私だけの研究成果を発表して、
さらなる研究と実験へ足を踏み入れてくことだろう。

そんな私から、研究と実験がなくなることなんてない。
断言したっていい、絶対になくならないんだから。

それでも、私から研究と実験をなくしたら、私の居場所はどこにあるの?
出来なくなったら、誰が私を私と認めてくれるの?

いつか事故が起こって、私が研究も実験も出来ない人間になったら?
必要とされなくなったら、誰が私を証明してくれるの?

……ううん、そんなことない。私にはまだママだっている。
大学の先輩だって、きっと私を心配してくれる。
大丈夫、何が起こっても私の居場所はここにある。
これは仮説なんかじゃない。私にはちゃんと明日がある。

200 : VIPに... - 2012/11/24 18:30:50.66 61rPGelro 175/371



「……なんで眠れないの。睡眠剤、買っとけばよかったかな……」


眠ってしまいたい。

脳の機能を全面カットして、まどろみの中に消えてしまいたい。

もう何時間もこんなことを考えながら、ベットに横たわっていた。


   ――そんな時である。


<プルルルルルル、プルルルルルル!!

201 : VIPに... - 2012/11/24 18:33:07.98 61rPGelro 176/371



「……え!?誰、こんな時間に……今何時だと思って」


電話がかかってきたのだ。


   ――私の、そう、“運命を変える”電話が。


「……はい、もしもし?牧瀬紅莉栖です」


私は英語を使って受話器に出る。

でも、私の耳に聞こえてきたのは、懐かしい言葉で、
それでいて痛いほどの聞きなれた、アノ声だった。


『……く、紅莉栖か……?』

「……そ、その声……パパ……?」

202 : VIPに... - 2012/11/24 18:35:43.14 61rPGelro 177/371



   ――パパの声だ。


何年も前に、記憶の奥底にしまっておいた、パパの記憶。
それが頭の中に一気に蘇って――


『……く、紅莉栖ぅぅぅ!!』

「え、え、な、何!?ちょっと、パパどうし」

『俺はぁ~!いや、私はなぁ~!お前を、お前のことぉぉおお!』


『「おい章一!呂律が回って」
        離せー幸高!私に指図するなぁ~!後私のことは』

「!?!?……誰かいるの?っていうか、まさかパパ酔って」


『酔ってなどいない!いいか、私はな……お前を』

「……パパ……?」


『お前を……お前を……っ……!お前のことなどっ!!』

「……あ、待って……パパ……私」

203 : VIPに... - 2012/11/24 18:38:23.76 61rPGelro 178/371



   ――それ以上は、聞きたくない。


なんでパパが私に、
この場所を知っていて電話をかけてきたのかは知らないけれど。
もうパパの口からあの言葉なんて聞きたくない。

だって、今聞いてしまったら、私は……!


『よく聞けぇ~!俺は
             「フーハハハハ!電話を代われぇー!!」』

「……?……何、誰――」


『「――おい、君」
 アー、アー、テステステス!
 ……俺の声が聞こえているか、聞こえているな?

 そのまま静かに耳を傾けているがいい』

204 : VIPに... - 2012/11/24 18:39:56.04 61rPGelro 179/371



「……グスッ……なんなの、あんた誰?こんな時間に一体――」


『ククク……俺が誰かだと?
そうだな、あえて名前だけは名乗っておこうか。我が名は鳳凰院凶真!

……貴様の父親を預かっている者だ』

「……ど、どういうこと?預かっているって」


『フハハ、わからないのか?ならばどういうことかわからせてやろう……』

「?」


『「離せぇ、離せぇ!私は紅」

 クックック!聞こえたか、聞こえたな?
 預かっているというのは、つまりそういうことだよ』

「……ま、まさかあんた!パパに一体何を」

205 : VIPに... - 2012/11/24 18:41:39.16 61rPGelro 180/371



『あ、さてぇ~?わかってくれた所で本題に移ろうか!

……ここにいる人質を返してほしくば、今すぐ日本に来い』

「人質!?ちょっと今人質って言った!?言ったわよね!あんた私のパパに」


『おーっとっとぉ!静かにしてもらおうか?
それと、最初に念を押して置く。このことは一切他言無用で頼む。

出ないと、わかるな?ここにいる人質がどぉーなるか』

「やめて!
パパに指一本でも触れて見なさい、あんたの海馬に電極ぶっ刺して」


『ええい黙れ黙れ!耳元で怒鳴るな!!

   ……とにかく、今すぐ日本に来るのだ』

206 : VIPに... - 2012/11/24 18:44:18.79 61rPGelro 181/371



「な、なんで……そうだ警察……に、日本の警察に」

『警察!?やめろっ!
そんなことをすれば、この男の命は無いぞ!
わかったらとっとと日本に』

「何言ってるの!?……私が日本にって」


『そうだ、そうしたらこの男に

         「あー聞こえてるかい?紅莉栖さん、でいいね。
         章一は、君のパパは無事だから安心していい。

         それと、出来れば会って話しがしたいそうだ」』

「え、え、え?何、何がどうなってるの」


『「紅莉栖ぅ~!」
 ちょっと、雰囲気が壊れるんで、え、本当に捕まる?
 いや、それは……!

 ……っは!んんっ!!
 とにかくだ、この男の無事を確かめたかったら、

 日本に来い』

207 : VIPに... - 2012/11/24 18:46:53.32 61rPGelro 182/371



「に、日本……私が、日本に……?」

『そうだ。
そうしたら、お前に真実を教えてやろう?

牧瀬紅莉……いや、クリスティーナよ!』ブツッ

「はぁ!?

誰がクリスティーナだっ!……って、おい!もしもし、もしもし!?」


そうやって、国際電話が切れてしまった。

こんな時間にいきなりかかって来た電話は、
パパが私にかけてきた電話で、酔っているようで、他にも誰かがいて、
謎の男が私に「日本に来い」と、一方的に伝えてくると言う、
まったく意味のわからない電話。

っていうか、なんなのあの男?
まだ若いような声に聞こえたけど、パパを人質って!

208 : VIPに... - 2012/11/24 18:48:27.24 61rPGelro 183/371



「そ、そうよ……!人質って言ってた……でも会って話しがしたいって?」


もうわけがわからない。
頭が混乱してきた。私はどうすればいいの?
警察に連絡?
日本の、どうやって?

209 : VIPに... - 2012/11/24 18:49:21.60 61rPGelro 184/371



「日本……日本に……?」


   ――今すぐ……日本に?パパに、会いに?


謎の電話がかかって来た。

私に日本に来いという。

私が選ぶのは……私の居場所は……?

210 : VIPに... - 2012/11/24 18:52:41.48 61rPGelro 185/371



この電話が、私の運命の歯車を回していたなんて、今はまだ気づかない。


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######Steins;Gate――シュタインズ・ゲート――##########
############ 罪と罰のセレナーデ############


続き
紅莉栖「さぁ、IQテストしましょうか?」岡部「え?」【後編】

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