1 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:13:49.12 HLkwgTXy0 1/32

「ふあぁ~」

「おはよう、梓ちゃん。眠そうだね」

「うーん、昨日いっぱい寝たんだけどなぁ。春眠暁を覚えず、って奴?」

「まだ眠そうにしてるじゃん」

「最近暖かくなってきたからかな? 寝足りないよ」

「そういえば、お姉ちゃんも眠そうにしてたっけ」

「唯先輩も?」

「うん。登校中も歩きながら寝ちゃいそうで大変だったよ」

「あはは……唯先輩ならありえるかも」

「梓ちゃんもそのまま授業中寝ないように気を付けてね」

「善処するよ」


3 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:17:33.54 HLkwgTXy0 2/32

「――って言ってたのに……」

「Zzz……」

「しっかり居眠りしてるし」

先生「……」

(さっきから先生がチラチラ見てるけど)

(堂々としすぎて対処に困ってる!? そういうのもあるのかー!)


4 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:22:16.43 HLkwgTXy0 3/32

「――さ、あーずーさ! 起きろ、この日本人形!」

「んあ……純? 授業中だよ……」

「まだ寝ボケてる」

「とっくに授業終っちゃったよ。いつ注意されるのかハラハラしちゃった」

「あ、もうこんな時間。次は体育だっけ」

「早く着替えなよ。もう梓だけだよ」

「ごめんごめん……よいしょっと。じゃあグラウンド行こうか」

「あ、待って梓ちゃん」

「え?」


5 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:26:22.51 HLkwgTXy0 4/32

「はい、これ忘れたら今度こそ怒られるよ」

「何か必要な物あったっけ……って、ネコミミ!? 何で憂が、ってか、体育に関係無いでしょ!」

「えぇ!?」

「寝ボケてるんじゃなくて、本格的にボケてきた?」

「そうだよ、梓ちゃん。私達も、皆もいつも着けてるよ?」

「ボ、ボケてるのは憂達じゃないの!? そんなの聞いた事無いよ!」

「こりゃ重症だわ」

「もう授業始まっちゃうよ。とりあえずグラウンド行こう? 皆着けてるの見たらわかるよ」

「だね。ほら梓、早く」

「い、一体どうなってるの……?」


6 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:31:33.75 HLkwgTXy0 5/32

「――あ、ああぁ……」

「ね、皆着けてるでしょ?」

「いい加減変な事ばっか言ってないで着けなって」

「うぅ……どうしてこんなことに」

「よし、それじゃ私らもさっさと走ろうか」

「うん、町内一周だもんね」

「この上、町内マラソン!? 恥の上塗りだよ!」

「いや普通だから。とっとと走る!」

「こんなの着けて走りたくないよおぉぉ~!!――」


10 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:36:08.40 HLkwgTXy0 6/32

「――さ、あーずーさ! 起きろ、この日本人形!」

「うぅーん……はっ」

「やっと起きた」

「おはよう、梓ちゃん。授業終っちゃったよ」

「う、憂、純! ネコミミは!? 町内一周は!?」

「え、えぇっ?」

「まだ寝ボケてんの? 次体育だから早く用意する!」

「あ……夢か……よかったぁ」

「梓ちゃーん、置いてくよー」

「あ、待ってー! すぐ行くー!」


11 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:41:24.26 HLkwgTXy0 7/32

「体育館でバレー……やっぱりさっきのは夢か……そりゃそうだよね」

「ようやく目が覚めてきた?」

「体動かしたら、きっと眠気なんて吹っ飛ぶよ」

「そうだね。で、私達の班の出番は?」

「次の次かな? それまでは見学してるしかないね」

「そうなんだ、それじゃあ」

「寝るんだ?」

「寝ないよっ! 邪魔にならないように、隅の方で見てようよ」

「はいはい、そういう事にしとこうか」

「もーっ!」

「あはは、まあまあ」


12 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:46:36.35 HLkwgTXy0 8/32

「――うお、今の凄っ」

「よく取れたね~」

「バレー部は動きが違うねー」

「そうだね」

「……ふあぁ」

(あぁ……またウトウトしてきた)

(純にあれだけ言っておいて……情けない)

(でも我慢の限界――)


13 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:52:09.69 HLkwgTXy0 9/32

「――よし、私らの出番が来たぞ!」

「純ちゃん気合い入ってるね」

「そりゃあ相手は全員バレー部だからね。不足無しってやつ?」

「いやいや、私達運動部じゃないよ。いくら憂がいても無理でしょ」

「やる前から諦めてどうする! なせばなるの精神!」

「こっち3人、向こう6人の変則マッチだって」


14 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 22:57:50.90 HLkwgTXy0 10/32

「更に追い打ち!?」

「望むところ!」

「純ちゃんかっこいいー」

「絶対おかしいって! そもそも純って運動好きだっけ!?」

「この日の為に片眉剃って山籠もりしたから大丈夫! 必殺技で蹴散らすよ」

「私も頑張るね。さ、梓ちゃん行こう」

「不安しかないよ……」


15 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:00:23.36 HLkwgTXy0 11/32

「おりゃ、 殺人トス!」

「お、おおー!」

「えい、変化球レシーブ!」

「す、凄いけど……どんな技!?」

「しまった! ブロックに回る人数が足りない!」

「梓ちゃん、受けて!」

「えぇ!? あの身長190位の黒人お姉さんのスパイクを私が!?」

「来るよ!」

「梓ちゃんなら取れるよ!」

「そんな訳なぁーい!――」


17 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:04:30.96 HLkwgTXy0 12/32

「――さ、梓ちゃん」

「う、ううん……体のどこかに当たって……」

「まーた寝ボケてる。ほら、梓!」

「あ、あれ……純、憂」

「おはよう、梓ちゃん」

「はっ! 6人の黒人は!? 殺人トスと変化球レシーブは!?」

「え、ええっと? ちょっと言ってる意味が分からないよ」

「こりゃ、いよいよヤバイわ」

「あぁ、夢か……よかった、本当に」


18 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:10:14.78 HLkwgTXy0 13/32

「ちっともよくないよ」

「梓ちゃん起きないから言い訳考えるの大変だったよ」

「え」

「体調悪いから見学ってことにしといたけどさ」

「本当に大丈夫? 保険室行こうか?」

「そこまでしなくても大丈夫だよ。ありがとう、もう寝ないよ」

「信用できない……まぁいいや、お昼のパン買いに行くんだけど付き合ってよ」

「うん、いいよ」

「私も構わないよ」


19 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:15:38.50 HLkwgTXy0 14/32

「――じゃあ行ってくる。ちょっと待ってて」

「うん、行ってらっしゃい」

「……ふわぁあ」

(ここ、陽射しが気持ちいいな……)

(純が戻ってくるちょっとの間だけど)

(待てない……自然とまぶたが……落ち……)


21 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:19:32.88 HLkwgTXy0 15/32

「――あ、純ちゃん戻ってきたよ」

「え、ホント」

「お待たせ……梓、寝てた?」

「そ、そんな訳ないじゃない! それより、なんでそんな浮かない顔してるの」

「パン買えなかったの?」

「いや、買うには買えたんだけどさ」

「ならいいじゃん」

「アレを手に入れられなかったんだよ……」


23 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:24:34.24 HLkwgTXy0 16/32

「アレ?」

「ゴールデンチョコパンに決まってんじゃん!」

「前に食べたじゃん」

「何言ってんの! そんな甘い考えじゃ、食糧難の時代を乗り越える事なんかできない!」

「食糧難? それこそ何言ってるの?」

「梓ちゃん、食料貯め置きしてないの? 大変なことになるんじゃ」

「あーっ! 梓ったら、ゴールデンチョコパン2つも確保してんじゃん! いつの間に!」

「え? 純、何が」


25 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:28:50.14 HLkwgTXy0 17/32

「梓ちゃん、髪、髪!」

「あ……ああぁ! ツインテールがゴールデンチョコパンになってるー!」

「梓ちゃん、声大きいよ!」

「えぇ?」

「遅かった! 今の騒ぎで皆に気付かれちゃったみたい」

「ああ……お腹を空かせた餓えた狼、餓狼たちが梓ちゃんに群がっちゃうんだ」

「ちょ、よくわかんないけど助けてよ!」

「もう手遅れだよ……他の人に取られる位だったらいっそ……」

「そうだね……ごめんね、梓ちゃん……」

「ふ、二人とも目が据わってて怖いよ……い、いやあぁぁぁぁぁ!――」


26 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:34:00.80 HLkwgTXy0 18/32

「――梓ちゃん、純ちゃん戻ってきたよ」

「う……ううん……ゴールデンチョコパンなんていらない……」

「純ちゃんが買ってきたのはカレーパンだよ?」

「この短時間でも寝てんの? おーい梓ー」

「はっ! わ、私の髪! よ、よかったぁパンじゃない……」

「……どんな夢見てたんだろう」

「さぁ……」


28 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:39:17.82 HLkwgTXy0 19/32

「――午後の授業は何とか無理やり乗り切ったけど」

「起きる事に集中し過ぎて、授業内容なんかさっぱりだったなぁ」

「でもここまで眠くなるなんてなぁ……春眠恐るべし」

「ずっと寝てた分、部活はしっかり頑張らないとね」

「こんにちはー!」


29 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:43:23.73 HLkwgTXy0 20/32

「……あれ? まだ誰も来てないのかな」

「仕方ない、ちょっと待っていよう」

「はふぅ……それにしても……」

「午後の授業全部起きてたから、反動で眠気が……」

「先輩方が来るまでなら……いいよね……」

「……げんか……い――」


30 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:47:35.49 HLkwgTXy0 21/32

「――う……ん……」

「……」

「……うん? ムギ先輩、何してるんですか?」

「わっ、梓ちゃん、もうちょっとそのまま!」

「カメラ……? ちょっ、やめて下さい!」

「ああ……もう少しだったのに……残念」

「残念じゃないですよ。何で写真撮ろうとしてたんですか?」

「だって、部室に来たら可愛い寝顔の梓ちゃんがいたから~。撮らない方が失礼かと思って」

「はぁ~……相変わらずよくわかんないですね」


31 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:51:12.59 HLkwgTXy0 22/32

「ご、ごめんね?」

「謝らなくても結構ですよ。気にしてませんから」

「ホントに?」

「はい、今に限った話でもないですし」

「そう? よかったぁ~」

「ところで他の先輩方は来てないんですか?」

「もうすぐ来ると思うけど……じゃあお湯沸いてるから、先に梓ちゃんにお茶入れるわね」

「あ、すみません」

「いいのいいの。ちょっと待っててね」

「はい」


32 : 以下、名... - 2011/03/21(月) 23:57:15.81 HLkwgTXy0 23/32

「んんー……はぁっ。また夢みてるのかと思ったけど」

「別に変な展開してないから、これは現実だよね」

「お待ちどうさまで~す」

「早かったですね。あっ、ムギ先輩危ない!」

「わ~、何故か足元にバナナの皮が~。そして梓ちゃんにお茶が~」

「え、えええぇっ!?」

「……あ、あれ? 熱くない? 紅茶の香りはしっかりするけど……」

「うーん、これは多分梓ちゃんの夢なのかも」

「あぁ……やっぱりそうなるんですか――」


34 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:02:54.30 QxlXdsov0 24/32

「――熱くない……熱くないよぉ……」

「?」

「……うん? ムギ先輩、何してるんですか?」

「おはよう、梓ちゃん」

「あ、私また寝てたんですね……それで、ムギ先輩はカップ片手に何を?」

「お茶の香りで梓ちゃんいぶり出し作戦~」

「何ですか、それ……」

「可愛らしい寝顔だったわ~」


35 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:06:22.23 QxlXdsov0 25/32

「すみません、今日は朝からずっと眠たくて」

「最近暖かいものね。唯ちゃんもずっと眠ってたわ」

「お恥ずかしい限りです……それで、他の先輩方は?」

「もうすぐ来ると思うけど……先にお菓子出すわね。今日はバナナケーキなの」

「ああ、これがさっきのに被ってる訳……」

「何のこと?」


37 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:14:48.31 QxlXdsov0 26/32

「いえ、こちらのことなんで、お気になさらず」

「そう? それじゃあ、どうぞ」

「そんな。私だけ先にいただく訳にはいかないですよ」

「じゃあ私も一緒にいただくわね。それならいい?」

「あ、はい。それでしたら」

「うふふ――」


39 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:18:57.10 QxlXdsov0 27/32

「――みなさん遅いですねー……」

「そうね、まだ唯ちゃん起きないのかしら」

「そういう事ですか……」

「梓ちゃんを待たせたら悪いと思って、私だけ先に来たの」

「そんな、別に気になさらなくても構いませんのに」

「いいのいいの。じゃあ皆が来たときの為に、またお湯沸かしてくるわね」

「あ、はい。すみません」

「ムギ先輩は本当に優しいなぁ」

「それにしても、唯先輩も一日中寝てるって」

「唯先輩と同レベルかぁ……」

「ああ、でも……このわずかな間にも睡魔が……」

「いけないとは思いつつも……――」


41 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:22:25.06 QxlXdsov0 28/32

「――ううん……暑くて重い何かが……?」

「Zzz……」

「ゆ、唯先輩!?」

「あれ~? おはよ~、あずにゃん」

「そんなことより離れて下さい! 重いです!」

「えぇ~? いけずな子だねぇ~、うりうり~」

「もー、やめて下さい!」


43 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:26:29.60 QxlXdsov0 29/32

「梓ちゃん、おはよう」

「ムギ先輩、もしかして私また寝てしまってたんですか」

「うん。戻ってきた時にはもうぐっすりと」

「そして私達がやってきたのです」

「唯もすぐに寝てしまったけどな」

「一日中寝てたんだから、練習くらいはちゃんとやれよー?」

「えへへ~、さすがにそれはもう」

「え……今なんて……?」


45 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:29:22.47 QxlXdsov0 30/32

「え? だから、休憩は十分だから練習でもしようかって……」

「……」

「あ、梓?」

「律先輩、澪先輩! ちょ、ちょっとほっぺたつねって下さい!」

「え、えぇ!?」

「こ、こうか?」

「あいたたた! も、もう結構です」

「一体……」


46 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:34:01.23 QxlXdsov0 31/32

「ゆ、夢じゃない……皆さんが率先して練習して下さるなんて……!」

「失礼なやつだな……」

「そうだよ、あずにゃん。私たちだってそういう気分の時もあるよ」

「そうね」

「いや、そこは毎日練習しようよ……」

「さ、もういいだろ」

「唯と梓も早く準備しろよ」

「おっけ~」

「はい! 張り切っていきましょう!」




おしま――

48 : 以下、名... - 2011/03/22(火) 00:38:32.24 QxlXdsov0 32/32

「あれ? ギー太、家に忘れてきちゃった」

「あ、あれ!? 私も持ってくるの忘れてました……」

「うおおおおいいいぃ!」

「二人とも仲良しね~」




おしまい!

記事をツイートする 記事をはてブする